説明

エンボス加工されたエンドカバー及び/又は燃焼ケーシング用ガスケット及び関連方法

【課題】通常の環境下で約850°F〜1050°Fで供用可能なグラファイトガスケット材料が燃焼ガスへの曝露のため850°F程度の低温で分解するという問題を解消する。
【解決手段】ガスケットアセンブリは、上面34と底面36と内端30と外端32とを有する外周閉鎖コア28と、外周閉鎖コア28の少なくとも外端32を取り囲む第1カバー部品38と、外周閉鎖コア28の内端30を取り囲み、第1カバー部品38と重なり合うように延在する第2カバー部品50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に回転機械技術に関し、具体的には、タービン燃焼器エンドカバー又はケーシングのための新規なガスケット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
タービン燃焼器システムでは、燃焼ガスの漏れを防止するため、例えば燃焼器エンドカバー、燃焼器ケーシング等の様々な燃焼器部品の間の接続部をシールするために、ガスケットが常用されている。現在、かかるガスケットは、通常の環境下で約850°F〜1050°Fの範囲で供用可能なグラファイトでできている。しかしながら、グラファイトガスケット材料は、明らかに燃焼ガスへの曝露のため、450°F程度の低温で分解することが知られている。そこで、現在グラファイトガスケットで日常的にみられる漏れの問題が解消されたガスタービン燃焼システム用ガスケット構造が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4878678号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある非限定的で例示的な態様では、本発明は、上面と底面と内端と外端とを有する圧縮性シール材料のコアと、コアの少なくとも外端を取り囲む第1カバー部品と、コアの内端を取り囲み、第1カバー部品と重なり合うように延在する第2カバー部品とを備えるガスケットアセンブリに関する。
【0005】
別の態様では、本発明は、ガスケットアセンブリであって、上部平坦面と下部平坦面と半径方向内端と半径方向外端とを有する圧縮性シール材料の外周閉鎖コアと、上部平坦面及び下部平坦面の非過半部分と半径方向外端とを取り囲む第1カバー部品と、上部平坦面及び下部平坦面の過半部分と半径方向内端とを取り囲む第2カバー部品とを備えており、第2カバー部品の上側面及び下側面が第1カバー部品の上側面及び下側面と重なり合っており、さらに第2カバー部品の自由エッジ部が、それぞれ外周閉鎖コアから突き出た中空連続環状リブを含むように形成されている、ガスケットアセンブリに関する。
【0006】
さらに別の非限定的で例示的な態様では、本発明は、各機械部品の隣接環状ボルトフランジをシールする方法であって、ボルトフランジの一方に環状ガスケット溝を形成するステップと、圧縮性シール材料の内部コアを準備するステップと、内部コアを一対のカバー部品で取り囲むステップであって、カバー部品の一方が第1の上側面及び下側面と半径方向外端とを有していて、他方が第1の上側面及び下側面と重なり合う第2の上側面及び下側面と半径方向外端とを有しており、第2の上側面及び下側面の自由端部がそれぞれ内部コアから突き出た連続中空リブを含むように形成され、自由端部が第1の上側面及び下側面と係合可能である、ステップと、ガスケットアセンブリを溝に挿入するステップと、ボルトフランジを固定するステップとを含む方法に関する。
【0007】
これより、添付図面に関連して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の例示的な実施形態に係るガスケットを収容するための溝をもつように形成された燃焼器ケーシングフランジを示す部分切断・部分斜視図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態に係るガスケットアセンブリの拡大部分斜視図である。
【図3】図1に示すケーシング溝に装着した図2に示すガスケットアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず図1を参照すると、燃焼器ケーシング10は、その一端にボルトフランジ12が形成又は設けられ、ボルトフランジには、ケーシング10を別の機械部品に固定するのに用いられるボルト穴14の環状列が形成されている。ボルトフランジ12の前面つまり取付面16には、ボルト穴14の列の半径方向内側にガスケット溝18も形成されている。ガスケット溝18は開口溝の形態であり、底面20と内側溝壁22と外側溝壁24とを含む。溝は、後で詳しく説明するガスケットアセンブリ26を収容できる寸法とされる。
【0010】
図2及び図3を参照すると、ガスケットアセンブリ26は、比較的軟らかいシール材料好ましくはグラファイトからなる外周閉鎖内部コア28をもつように形成されており、その表面特性は現在使用されているグラファイトガスケットと同様である。コア28は、内端30と外端32と上面34と底面36を有する。上側面42及び下側面44と外端40とを有する逆C字形のプラテンリング(つまり第1の内側カバー部品)38が、グラファイトコア28の上面34及び底面36の非過半部分と半径方向外端32の上に被せられ、縁46,48を終端とする。プラテンリング38は、好ましくは、予圧縮された比較的重いステンレス鋼材で作製され、図に示す形状から容易には変形しない。
【0011】
内端52と上側面54と下側面56とを有する略C字形の第2外側カバー部品50が、コア28の内端30を取り囲み、コア28の上面34及び底面36の残りの過半部分の上に延在して、プラテンリング38の上側面42及び下側面44と重なる。
【0012】
好ましくは、外側カバー部品50は、銅のようなさらに軟らかい金属でできており、その上側面54及び下側面56は、それらの自由エッジ62及び64の近傍にエンボス58及び60をもつように形成される。エンボス58及び60は、ガスケットの外周閉鎖全体の周囲に延在する連続中空リブを含む。なお、自由エッジ62及び64は、プラテンリング38の外端40の手前で、その近傍に終端をもつ。したがって、内側部品38と外側部品50は、外側部品50の上側面54及び下側面56が内側部品38の上側面42及び下側面44と重なるように、コア28の上に両側から内側部品38及び外側部品50を押すことによって、コア28の周囲に組み立てることができる。
【0013】
装着すると、外側カバー部品50の内端52及びプラテンリング38の外端40が、溝18の内側壁22及び外側壁24とそれぞれ係合する。別の部品(図示せず)の対応ボルトフランジをボルトフランジ12に当てて締めると、ガスケットアセンブリ26は完全に溝18に着座して、エンボス58及び60は圧縮され、必要に応じて対向ボルトフランジ上の表面の凸凹に順応するように変形する。同時に、グラファイトコア28は依然として完全に取り囲まれているので、有害な燃焼ガスから保護される。なお、重い第1の内側カバー部品つまりプラテンリング38によって、ガスケットを装着する際にエンボス58及び60が硬い裏当材(つまりプラテンリング)に押しつけられるようにすることができ、コア28の損傷が防止される。さらに、第2カバー部品50の自由エッジ62及び64の終端がプラテンリング38の外端40の手前に位置しているので、図3から最もよくわかるように、圧縮下のエンボスエッジが、外側溝壁24で制約されずに、半径方向にある程度伸張できる空間が得られる。
【0014】
ガスケットアセンブリ26は表面の凸凹に順応できるとともに、内部グラファイトコア28が過酷な環境に曝露されないように保護することができるので、無保護グラファイトガスケットでみられた漏れに関する問題が実質的に解消される。
【0015】
明らかであろうが、ガスケット構造は外周が閉鎖された設計のものでなくてもよいし、ある特定の領域でのみガスケットが必要とされる他の機械部品の接続にも使用できる。
【0016】
以上、現時点で最も実用的で好ましいと思料される実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明は本明細書に開示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲及び要旨に属する様々な修正及び均等な構成を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面(34)と底面(36)と内端(30)と外端(32)とを有する圧縮性シール材料のコア(28)と、
コア(28)の少なくとも外端(32)を取り囲む第1カバー部品(38)と、
コア(28)の内端(30)を取り囲み、第1カバー部品(38)と重なり合うように延在する第2カバー部品(50)と
を備えるガスケットアセンブリ(26)。
【請求項2】
第1カバー部品(38)が、コア(28)の上面(34)及び底面(36)の一部の上に延在する上側面(42)と下側面(44)を有しており、第2カバー部品(50)が、第1カバー部品(38)で覆われていないコア(28)の上面(34)及び底面(36)の部分の上に延在する上側面(54)と下側面(56)を有している、請求項1記載のガスケットアセンブリ(26)。
【請求項3】
第1カバー部品(38)が予圧縮ステンレス鋼からなる、請求項1記載のガスケットアセンブリ(26)。
【請求項4】
第2カバー部品(50)が銅からなる、請求項1記載のガスケットアセンブリ(26)。
【請求項5】
コア(28)が円形である、請求項1記載のガスケットアセンブリ(26)。
【請求項6】
上部平坦面(34)と下部平坦面(36)と半径方向内端(30)と半径方向外端(32)とを有する圧縮性シール材料の外周閉鎖コア(28)と、
上部平坦面(34)及び下部平坦面(36)の非過半部分と半径方向外端(32)とを取り囲む第1カバー部品(38)と、
上部平坦面(34)及び下部平坦面(36)の過半部分と半径方向内端(30)とを取り囲む第2カバー部品(50)
とを備えるガスケットアセンブリ(26)であって、第2カバー部品(50)の上側面(54)及び下側面(56)が第1カバー部品(38)の上側面(42)及び下側面(44)と重なり合っており、さらに第2カバー部品(50)の自由エッジ部(62,64)が、それぞれ外周閉鎖コア(28)から突き出た中空連続環状リブを含むように形成されている、ガスケットアセンブリ(26)。
【請求項7】
自由エッジ部(62,64)が、外周閉鎖コア(28)の半径方向外端(32)の近傍に終端をもつ、請求項6記載のガスケットアセンブリ(26)。
【請求項8】
第1カバー部品(38)が予圧縮ステンレス鋼からなる、請求項6記載のガスケットアセンブリ(26)。
【請求項9】
各機械部品の隣接環状ボルトフランジをシールする方法であって、
ボルトフランジの一方に環状ガスケット溝を形成するステップと、
圧縮性シール材料の内部コアを提供するステップと、
内部コアを一対のカバー部品で取り囲むステップであって、カバー部品の一方が第1の上側面及び下側面と半径方向外端とを有していて、他方が第1の上側面及び下側面と重なり合う第2の上側面及び下側面と半径方向外端とを有しており、第2の上側面及び下側面の自由端部がそれぞれ内部コアから突き出た連続中空リブを含むように形成され、自由端部が第1の上側面及び下側面と係合可能である、ステップと、
ガスケットアセンブリを溝に挿入するステップと、
ボルトフランジを固定するステップと
を含む方法。
【請求項10】
第2カバー部品が銅からなる、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−25343(P2010−25343A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170688(P2009−170688)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】