説明

エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品及びこれを製造するための方法

エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品及びこれを製造するための方法が提供される。エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品(10)は、繊維性構造体(12)の第1プライ及び繊維性構造体(14)の第2プライを含み、それらは結合部位(20)においてそれらの隣接表面(16、18)に沿ってそれぞれ接着剤により接着剤で結合されている。エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は更にエンボス加工部位(22)を含む。エンボス加工部位は、少なくとも1000μmのエンボス高さを示す。エンボス加工部位は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品のx−平面からy−方向に伸びる。エンボス加工部位は、共に接着剤で結合されず及び高密度化されない。結合部位は、接着剤(24)によって共に接着剤で結合され及び高密度化される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多プライの繊維性構造体製品に関し、より具体的にはエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品及びこれを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1000μm以上のエンボス高さを有する従来のエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、当該技術分野において既知である。しかしながら、こうした従来のエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、結合され、高密度化されたエンボス加工部位を含有した。こうした従来のエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、特に湿潤破裂強度に関して、製品特性の欠陥を示した。こうした従来のエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、303g以下の湿潤破裂強度を示した。加えて、こうした従来のエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、許容範囲のプライ結合強度を達成する前に、エンボス加工時に動くプライ間の接着剤に関連した問題を抱えていた。こうした製品の引張り強度もまた典型的には許容範囲より低いものであった。
【0003】
先行技術は、先行技術の製品特性の欠陥を克服しようと試みており、これには、エンボス加工の前に繊維性構造体のプライに過剰の接着剤を付与し、次いでプライを結合させて多プライの繊維性構造体製品を形成することが挙げられる。接着剤は、プライの40%を超える表面積を被覆した。製品中に許容範囲のプライ結合強度を得るためには、相対的に多量の接着剤が必要とされた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、多プライの繊維性構造体製品のプライが接着剤によりプライの表面積の40%未満にわたって共に結合された、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の必要性がある。更に、1000μmを超えるエンボス高さ、及び少なくとも305gの湿潤破裂強度、及び/又は少なくとも1.57g/cmのプライ結合強度を有するエンボスを含む、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品を提供することにより上記の要求を満たす。
【0006】
本発明の1つの態様では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品が提供され、2つ以上のプライの隣接表面に沿って接着剤により共に結合される繊維性構造体の2つ以上のプライを含み、結合領域は接合された隣接表面の約30%未満であり、製品は2つの面を含み、1つの面が、非接着接合したエンボス加工部位を含むと共に、別の面が、接着剤で結合した非エンボス加工部位を含み、前記繊維性構造体製品が、少なくとも約1000μmのエンボス高さを示す。
【0007】
本発明の別の態様では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品が提供され、2つ以上のプライの隣接表面に沿って少なくとも約1.57g/cmのプライ結合強度で接着剤により共に結合される繊維性構造体の2つ以上のプライを含み、結合領域は結合された隣接表面の約30%未満であり、前記繊維性構造体製品が、少なくとも約1000μmのエンボス高さ、及び少なくとも約305gの湿潤破裂強度を示す。
【0008】
本発明の更に別の態様では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品が提供され、第1面と第2面を含み、前記第1面が、非接着接合したエンボス加工部位を含むと共に前記第2面が、接着剤で結合した非エンボス加工部位を含む。
【0009】
本発明の更に別の態様では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品が提供され、これは第1面と第2面を含み、前記第1面が、非高密度化エンボス加工部位を含むと共に前記第2面が、高密度化非エンボス加工部位を含む。
【0010】
本発明の更に別の態様では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品を製造するための方法が提供され、この方法は:
a)前記2つ以上のプライの少なくとも1つの表面に接着剤を付与することにより繊維性構造体の2つ以上のプライを接着剤で結合して多プライの繊維性構造体を形成する工程と、ここで接着剤が、2つ以上のプライ表面の少なくとも1つの約30%未満に付与され;
b)前記多プライの繊維性構造体が、少なくとも約1000μmのエンボス高さを示すように前記多プライの繊維性構造体をエンボス加工して、前記エンボス加工された前記多プライの繊維性構造体製品を形成する工程と、を含む。
【0011】
本発明のなお更に別の態様では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品を製造するための方法が提供され、この方法が:
a)繊維性構造体の第1のプライを提供する工程と;
b)繊維性構造体の第2のプライを提供する工程と;
c)接着剤が繊維性構造体の第1プライの表面積の約30%未満に接触するように、繊維性構造体の第1プライの表面に接着剤を付与する工程と;
d)繊維性構造体の第1及び第2プライを、接着剤が2つのプライを共に結合して少なくとも約1.57g/cmのプライ結合強度を示す多プライの繊維性構造体を形成するように、繊維性構造体の第1及び第2プライの隣接表面に沿って組み合わせる及び結合させる工程と;及び
e)少なくとも1000μmのエンボス高さを示すエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品が製造されるように、多プライの繊維性構造体をエンボス加工する工程と、を含む。
【0012】
それ故に、本発明は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品、及びエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品を製造するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書で使用する時、「繊維」は、その見かけの幅より非常に大きい見かけの長さを有する、即ち長さ対直径の比が少なくとも約10である、細長い微粒子を意味する。より具体的には、本明細書で使用する時、「繊維」は抄紙製造用繊維を指す。本発明は、多様な抄紙製造用繊維、例えば天然繊維又は合成繊維、あるいはあらゆるその他の好適な繊維、及びそれらのあらゆる組み合わせなどを使用することを企図する。本発明で有用な抄紙用繊維には、木材パルプ繊維として一般的に既知のセルロース繊維が挙げられる。利用可能な木材パルプとしては、クラフトパルプ、亜硫酸パルプ、及び硫酸塩パルプなどの化学パルプ、並びに例えば、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、及び化学的に改質したサーモメカニカルパルプを包含するメカニカルパルプが挙げられる。しかしながら、化学パルプから作成されたティッシュシートには触知できる優れた柔軟性が付与されることから、化学パルプが好ましい場合もある。落葉樹(以下、「広葉樹材」とも呼ばれる)及び針葉樹(以下、「針葉樹材」とも呼ばれる)に由来するパルプの両方を使用してもよい。広葉樹の繊維及び針葉樹の繊維は、混合することができ、あるいは、層状ウェブを提供するために層状に積層することができる。米国特許第4,300,981号及び同第3,994,771号が、広葉樹及び針葉樹の繊維の層化を開示する目的で、本明細書に参考として組み込まれる。また、上記分類のいずれか又はすべて、並びに元々の抄紙製造を容易にするために使用された充填剤及び接着剤などの他の非繊維材料を含有してもよい、リサイクル紙に由来する繊維も、本発明に利用できる。上記に加えて、ポリマー、具体的にはヒドロキシルポリマーから作成される繊維及び/又は長繊維も本発明に使用してもよい。好適なヒドロキシルポリマーの非限定例としては、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0014】
本明細書で使用する時、「湿潤破裂強度」は、繊維性構造体及び/又は繊維性構造体を組み込んだ繊維性構造体製品が、湿潤し及び繊維性構造体及び/又は繊維性構造体製品の平面に対して垂直の変形を受けた時に、エネルギーを吸収する能力の尺度である。
【0015】
本明細書で使用する時、「坪量」は、lbs/3000ft2又はg/m2で報告される試料の単位面積当りの重量である。坪量は、特定の面積(m2)の1つ以上の試料を用意し、本発明による繊維性構造体及び/又はこうした繊維性構造体を含む繊維性構造体製品の試料(類)を、0.01gの最小感度を有する上皿天秤で秤量することにより測定される。天秤は、風防を使用することにより、気流及びその他の外乱から保護される。天秤の表示が一定になった時に、重量を記録する。平均重量(g)を計算し、及び試料の平均面積(m2)坪量(g/m2)を、平均重量(g)を試料の平均面積(m2)で除算することにより計算する。
【0016】
本明細書で使用する時、「機械方向」又は「MD」は、抄紙製造機及び/又は製品製造機器を通る繊維性構造体の流れに平行な方向を意味する。
【0017】
本明細書で使用する時、「機械横方向」又は「CD」は、繊維性構造体及び/又は繊維性構造体を含む繊維性構造体製品の同じ平面において、機械方向に垂直な方向を意味する。
【0018】
本明細書で使用する時、「シート・キャリパー」又は「キャリパー」は、試料の巨視的な厚さを意味する。
【0019】
本明細書で使用する時、「高密度化」は、繊維性構造体製品の別の部分より大きい密度を示す繊維性構造体製品の部分を意味する。例えば、本発明によるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の高密度化領域は、典型的には0.19g/cc以上である。本発明の1つの実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の別の部分の密度の少なくとも2倍である高密度化領域を含む。
【0020】
本明細書で使用する時、「非高密度化」とは、繊維性構造体製品の別の部分より少ない密度を示す繊維性構造体製品の部分を意味する。例えば、本発明によるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の非高密度化領域は、典型的には約0.19g/cc未満である。本発明の1つの実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の別の部分の密度の2倍未満である非高密度化領域を含む。
【0021】
本明細書で使用する時、「伸長」は、繊維性構造体の機械方向及び/又は機械横方向の乾燥引張り強度を測定することにより決定される。
【0022】
本明細書で使用する時、「有効キャリパー」は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の層が、こうしたエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の渦巻状に巻かれたロール内に占める肉厚を意味する。有効キャリパーの決定を容易にするため、有効キャリパー試験方法が本明細書に記載される。エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の有効キャリパーは、巻き張力、入れ子になった変形などのために、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品のシート・キャリパーとは異なる可能性がある。
【0023】
本明細書で使用する時、「見掛け密度」又は「密度」は、試料の坪量をキャリパーにより、その中に組み込まれた適切な変換を用いて除算したものを意味する。本明細書で用いられる見掛け密度は、単位g/cm3(あるいはg/cc)を有する。
【0024】
本明細書で使用する時、「容積密度」は、繊維性構造体製品の離散した領域ではなく、繊維性構造体製品全体の見掛け密度を意味する。
【0025】
本明細書で使用する時、「プライ」(単数又は複数)は、他のプライと実質的に隣接する、向かい合わせの関係に任意に配置されて、多プライの繊維性構造体を形成する、個々の繊維性構造体を意味する。また、単一の繊維性構造体は、例えばそれ自体の上に折り畳まれることにより、2つの「プライ」又は多「プライ」を効果的に形成できると考えられる。
【0026】
(エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品)
本発明によるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、繊維性構造体の2つ以上のプライであってそれらの隣接表面に沿って接着剤により共に結合される繊維性構造体の2つ以上のプライを含む。接着剤は、接合された隣接表面の約30%未満、及び/又は約0.1%〜約30%、及び/又は約3%〜約30%、及び/又は約5%〜約25%、及び/又は約5%〜約20%を被覆してもよい。接着剤は、繊維性構造体の1つ以上のプライに、連続及び/又は不連続の網状模様、例えば個別の離散したドット及び/又は個別の離散した縞において付与されてもよい。
【0027】
本発明の1つの実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体は、本明細書に記載されるプライ結合強度試験方法により測定される時、少なくとも約1.57g/cm(4g/in)、及び/又は少なくとも約1.97g/cm(5g/in)、及び/又は少なくとも約2.36g/cm(6g/in)のプライ結合強度を示す。
【0028】
本発明の別の実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は第1面と第2面を含み、第1面は非接着接合したエンボス加工部位を含むと共に第2面は接着剤で結合した非エンボス加工部位を含む。
【0029】
本発明の更に別の実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は第1面と第2面を含み、第1面は非高密度化エンボス加工部位を含むと共に第2面は高密度化非エンボス加工部位を含む。
【0030】
本発明の更に別の実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、本明細書に記載される湿潤破裂強度試験方法により測定される時、少なくとも305g、及び/又は少なくとも約315g、及び/又は少なくとも約325g、及び/又は少なくとも約400gの湿潤破裂強度を示す。
【0031】
本発明の更に別の実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、本明細書に記載されるエンボス高さ試験方法により測定される時、少なくとも1000μm、及び/又は約1000μm〜約5000μm、及び/又は約1100μm〜約3000μm、及び/又は約1100μm〜約2000μmのエンボス加工部位を含む。
【0032】
本発明の更に別の実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、高密度化及び非高密度化領域を含み、高密度化領域は、254μm以下、及び/又は約2.54〜約152.4μm、及び/又は約25.4〜約127μmのキャリパーを示す。
【0033】
本発明のなお更に別の実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、製品が、シート・キャリパー試験方法により測定される時、少なくとも約762μm、及び/又は少なくとも約1016μm、及び/又は少なくとも約1.27mmのシート・キャリパーを示す。
【0034】
本発明のなお更に別の実施形態では、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、本明細書に記載される伸長試験方法により測定される時、約8%を超える、及び/又は約10%を超える、及び/又は約12%を超えるピーク荷重時の機械横方向の伸長を示す。
【0035】
エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、ロール形態であってもよい。ロール形態にある時、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、コアの周囲に渦巻状に巻かれてもよいし、又はコアなしに渦巻状に巻かれてもよい。
【0036】
エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、1.1を超える、及び/又は1.2を超える、及び/又は1.3を超えるシート・キャリパーの有効キャリパーに対する比を示してもよい。
【0037】
エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、ロール形態では、同一の多プライの繊維性構造体製品のその非エンボス加工形態における平均のシート・キャリパーより大きい平均有効キャリパーを示してもよい。
【0038】
エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、約10g/m2〜約120g/m2の坪量、及び約0.10g/cc以下の容積密度を有してもよい。好ましくは、坪量は約60g/m2未満であり、及び容積密度は約0.07g/cc以下である。最も好ましくは、本明細書に記載される坪量方法により測定される時、容積密度は約0.02g/cc〜約0.07g/ccである。
【0039】
エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、印刷要素のような着色剤を含んでもよい。
【0040】
本発明に従ってエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の非限定例が、図1Aに示される。図1Aに示されるように、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は、繊維性構造体12の第1プライ及び繊維性構造体14の第2プライを含み、それらは結合部位20においてそれぞれそれらの隣接表面16及び18に沿って接着剤により共に接着剤で結合されている。エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は更にエンボス加工部位22を含む。エンボス加工部位22は、少なくとも1000μmのエンボス高さを示す。エンボス加工部位22は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10のx平面からy方向に伸びる。エンボス加工部位は共に接着剤で結合されず、及び高密度化されない。結合部位20は、接着剤24により共に接着剤で結合され、及び高密度化される。
【0041】
更に、図1Aに示されるように、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は、第1面52及び第2面54を含む。
【0042】
本発明に従ってエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の別の実施形態が、図1Bに示される。図1Bに示されるように、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は、繊維性構造体12の第1プライ及び繊維性構造体14の第2プライを含み、それらは結合部位20においてそれぞれそれらの隣接表面16及び18に沿って接着剤により共に接着剤で結合されている。エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は更にエンボス加工部位22を含む。エンボス加工部位22は、少なくとも1000μmのエンボス高さを示す。エンボス加工部位22は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10のx平面からy方向に伸びる。エンボス加工部位は共に接着剤で結合されず、及び高密度化されない。結合部位20は、接着剤24により共に接着剤で結合され、及び高密度化され、及びプライ結合強度は維持される。
【0043】
更に、図1Bに示されるように、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は、第1面52及び第2面54を含む。
【0044】
本発明によるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の別の実施形態が、図1Cに示される。図1Cに示されるように、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は、繊維性構造体12の第1プライ及び繊維性構造体14の第2プライを含み、それらは結合部位20においてそれぞれそれらの隣接表面16及び18に沿って接着剤により共に接着剤で結合されている。エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は更にエンボス加工部位22を含む。エンボス加工部位22は、少なくとも1000μmのエンボス高さを示す。エンボス加工部位22は、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10のx平面からy方向に伸びる。エンボス加工部位は共に接着剤で結合されず、及び高密度化されない。結合部位20は、接着剤24により共に接着剤で結合され、及び高密度化され、及びプライ結合強度が維持される。
【0045】
更に、図1Cに示されるように、エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は、第1面52及び第2面54を含む。
【0046】
図1B及び1Cに示されるようなエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10は、図1Aに示されるようなエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品10と同一に見えるように設計された場合もある。しかしながら製品の製造方法のエンボス加工工程の間に、製品10がそれから由来する多プライ繊維性構造体の結合部位20は、エンボス加工部位22に対して移動してもよい。
【0047】
(繊維性構造体)
本発明に従ってエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、通気空気乾燥された繊維性構造体のプライ、密度差のある繊維性構造体のプライ、湿式載置繊維性構造体のプライ、エアレイド繊維性構造体のプライ、従来の繊維性構造体のプライ、及びこれらの混合物からなる群から選択される繊維性構造体のプライを含んでもよい。エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、同一の種類のプライを含んでもよいし、異なる種類のプライの混合物を含んでもよい。
【0048】
繊維性構造体は、クレープ加工により、及び/又は湿潤ミクロ収縮により、及び/又は急激に動かすことにより縮小されてもよい。あるいは、繊維性構造体は縮小されなくてもよい。
【0049】
繊維性構造体は、模様付きの高密度化であってもよい。模様付き高密度化繊維性構造体は、相対的に低い繊維密度の相対的に嵩高い区域、及び相対的に高い繊維密度の高密度化領域の配列を有することを特徴とする。嵩高い区域は、あるいは枕状領域の区域として特徴付けられる。高密度化領域は、あるいはナックル領域とも呼ばれる。高密度化領域は、嵩高い区域内において離散して間隔を空けてもよく、又は嵩高い区域内において完全に若しくは部分的に連結されてもよい。模様付き高密度化繊維性構造体を製造する好ましい方法及びそこで用いられる装置は、米国特許第4,529,480号、及び第4,528,239号に記載されている。
【0050】
繊維性構造体は、緻密化、模様付き高密度化でなくてもよい。
【0051】
繊維性構造体は、均質であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0052】
繊維性構造体は、単層初期(embryonic)繊維ウェブを作り出す繊維性完成紙料、又は多層初期繊維ウェブを作り出す繊維性完成紙料を用いて製造されてもよい。
【0053】
(成分)
繊維性構造体、及び/又はそれから製造されるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、柔軟化剤、吸収剤、例えば界面活性剤、湿潤強度剤、ローション、抗菌剤、着色剤、香料のような1つ以上の成分を含んでもよい。
【0054】
(エンボス加工された多プライの繊維性構造体製品を製造するための方法)
本発明のエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品は、次の非限定例により製造されてもよい。
【0055】
図2及び3に示されるように、繊維性構造体12の第1プライは、彫刻スチールエンボスロールのような第1のエンボスロール26のこぶの表面42に接触する。接着剤24を付与するためのアプリケーターロール28は繊維性構造体12の第1プライに接着剤24を付与し、繊維性構造体のプライ12は、こぶの表面42により支持されている。接着剤24は、図4に示されるように、繊維性構造体のプライ12に、離散したドットの模様50において付与されて接着剤含有繊維性構造体12’を製造してもよい。接着剤24は、アプリケーターロール28にグラビアシステム、好ましくはグラビアロール30を具備するオフセットグラビアシステムにより付与されてもよい。グラビアシステムは、特定量の接着剤24を接着剤容器(図示されず)からアプリケーターロール28上に計量することができる。接着剤24を付与するその他の好適な手段が、当業者に既知である。接着剤24は、当該技術分野において既知のいずれの好適な接着剤であってもよい。好ましくは、接着剤24はポリビニルアルコールを含む。
【0056】
繊維性構造体12の第1プライは、第1エンボスロール26とのその接触中のある時点で、第1プライを制御するために好適な張力下にあってもよい。
【0057】
繊維性構造体14の第2プライは、繊維性構造体12’の第1プライ上に存在する接着剤24と、第1のエンボスロール26と結合ロール32との間のニップにおいて接触させられる。第1プライ及び第2プライは、多プライの繊維性構造体48に共に結合される(即ち、組み合わされる)。結合ロール32は、同一調の結合ロール、即ち滑らかな表面の結合ロールであってもよい。
【0058】
結合ロール32は、多プライの繊維性構造体48に圧力を適用し、及び接着剤24は、繊維性構造体の2つのプライ間で結合部位20において押され、そこでは繊維性構造体12’の第1プライがこぶの表面42によって支持されている。この作用は2つのプライを共に結合し、及び少なくとも約1.57g/cmのプライ結合強度を生成する。この時点では、多プライの繊維性構造体48はまだエンボス加工されていない。
【0059】
次に、多プライの繊維性構造体48は、第1エンボスロール26のその凹部44と、第2エンボスロール34のその凸部46との間の境界面に入る。第2エンボスロール34は、スチールエンボスロールであってもよい。第2エンボスロール34の凸部46及び第1エンボスロール26の凹部44は、凸部46が凹部44内に入れ子になるように配列される。凸部46は、少なくとも1000μmのエンボス高さが多プライの繊維性構造体48中に形成されるように、少なくとも約1.27mmの長さで凹部44内に嵌合される。エンボス加工された多プライの繊維性構造体10の製品は、第1エンボスロール26と第2エンボスロール34との間のニップを出る。
【0060】
結合部位20は、第1エンボスロール26と結合ロール32との間のニップにおいて、及び/又は第1エンボスロール26と第2エンボスロール34との間の境界面において、高密度化される。
【0061】
第1エンボスロール26の凹部44に嵌合する第2エンボスロール34の凸部46によって生じるエンボス加工部位16は、非高密度化である。
【0062】
ウェブ取扱ロール36、38、及び40は、繊維性構造体12、及び14、及び/又は多プライの繊維性構造体製品10を制御及び/又は前進させるために用いられてもよい。
【0063】
この方法に用いられるロールの好ましい回転方向は、ロールに付随する矢印により表される。
【0064】
ロール26、28、32、及び34は同じ速度で作動することが望ましい。ウェブ取扱ロール36、38、及び40は、ロール26、28、32、及び34と同じ速度で作動する必要はない。
【0065】
繊維性構造体12と14及び/又は多プライの繊維性構造体製品10の好ましい機械方向は、繊維性構造体12と14及び/又は多プライの繊維性構造体製品10に付随する矢印によって表される。
【0066】
試験方法:
(有効キャリパー試験)
ロール形態の繊維性構造体の有効キャリパーは次の方程式により決定される:
EC=(RD2−CD2)/(0.00127×SC×SL)
式中、ECは繊維性構造体の巻かれたロール中の単一シートのミルによる有効キャリパーであり;RDはインチによるロールの直径であり;CDはインチによるコアの直径であり;SCはシート数であり;及びSLはインチによるシート長である。
【0067】
(プライ結合強度試験方法)
プライ結合強度が次の試験方法に従って測定される。
【0068】
2つ以上のプライを共に結合する接着剤を含む単一の多プライ繊維性構造体から、必要であればすべてのラッピング及び/又は包装材料を取り除いて、温度約23℃±1℃(73°F±2°F)及び相対湿度50%±2%で二(2)時間調整した、四つ(4)の76.2mm×208.3mm(3インチ×8.2インチ)の連続する(即ち非穿孔の)繊維性構造体試料ストリップを切断する。この試験方法は、繊維性構造体の2つの隣接するプライ間のプライ結合強度を測定する。
【0069】
繊維性構造体試料ストリップは、合板の土台上の切断金型[76.2mm×279.4mm(3インチ×11インチ)](アクメ・スチール・ルール社(Acme Steel Rule Corp.)(06714コネチカット州ウォーターベリーのスチーブンズ通り(Stevens St.)5)から市販される)を用いて作成される。切断金型は、柔軟な発泡ゴム挿入材料により修正されていなければならない。76.2mm×208.3mm(3インチ×8.2インチ)の繊維性構造体試料ストッリップを切断するために、横側の収容能力を有する、JDCカッター(JDC Cutter)76.2mm(3インチ)モデル#JDC−3−12精密試料カッター(Precision Sample Cutter)(ツイング・アルバート機器社(Thwing-Albert Instrument Company)(19154ペンシルベニア州フィラデルフィアのダットン通り(Dutton Road)10960)を用いて繊維性構造体試料が切断される。76.2mm(3インチ)幅のストリップが繊維性構造体の中央から切断される。ストリップは、繊維性構造体の機械方向に切断される。繊維性構造体がロール形態である場合には、ロールの末端部から1016mm(40インチ)を超えるところから試料を切断する。
【0070】
各試料ストリップを個々に取り、及び機械方向に沿ってプライの分離を手でそっと開始し、及び50mm(2インチ)の間続ける。
【0071】
皺、折り目、裂け目、穴などの明らかな欠陥を含有する試料は使用しない。
【0072】
試料の測定及び試料の作成はすべて、温度約23℃±1℃(73°F±2°F)及び相対湿度50%±2%で調整された環境において生じるべきである。
【0073】
ツイング・アルバートEJA(Thwing-Albert EJA)又はインテレクト−II−STD(Intelect-II-STD)、カタログ番号1451−24PG;ツイング・アルバート機器社(Thwing-Albert Instrument Company)の引張り試験機が試料のプライ結合強度を測定するために用いられる。引張り試験機は、25.4mm×76.2mm(1インチ×3インチ)の挿入を有する汎用の空気作動グリップ(カタログ番号734K)を有する。引張り試験機のロードセルは5000gである。試料サイズ設定(Sample Size Setting)(荷重分割機(Load Divider))は3に設定される。引張り試験機は次のように作動される:
1.作成された試料ストリップの分離されたプライの1つを引張り試験機の最上部のグリッドの中に設置する。もう1つのプライは最下部のグリッドの中に設置される。試料ストリップはグリップの中央に真っ直ぐに置かれることが必要である。
【0074】
2.引張り試験機を駆動する。試験が終了したら、荷重の平均値を記録する。試料ストリップをグリップから取り出し及び廃棄する。ロードセルのゼロの読みを点検する。
【0075】
3.工程1及び2を各試料ストリップについて繰り返す。
【0076】
引張り試験機は、荷重の平均値をg/25.4mm(g/インチ)で表示する。四つ(4)の試料ストリップの平均を取り繊維性構造体のプライ結合強度を得る。
【0077】
(結合領域試験方法)
結合領域は、繊維性構造体の製造者が、繊維性構造体が製造される前に知っている測定値である。それは、接着剤により共に結合される繊維性構造体の2つ以上のプライの隣接表面の表面積を表す。最も典型的には、接着剤は、エンボスロールのエンボスのこぶの先端にだけ付与される。この面積は、エンボスロールの製造者に既知であり、それから繊維性構造体の製造者はこうした結合領域の大きさを得ることができる。
【0078】
更に結合領域は、ポリビニルアルコール非含有接着剤ではなく、ポリビニルアルコールを唯一の接着剤として含む接着剤を含む、繊維性構造体の試料を採用することにより測定できる。それ故に、繊維性構造体が典型的には、ポリビニルアルコール非含有接着剤と共に製造される場合には、こうした繊維性構造体の製造者は、そのポリビニルアルコール非含有接着剤を、ポリビニルアルコールを含む接着剤に置き換える必要がある。製造者は次に、そのポリビニルアルコール非含有繊維性構造体を作成する時に行うのと同等の方式で、その繊維性構造体を製造する。
【0079】
次に、ポリビニルアルコールを含む接着剤を含む繊維性構造体の試料は、8:1の体積比のホウ酸溶液とヨウ素溶液の混合物に曝される。ホウ酸溶液は、脱イオン水中の4%のホウ酸溶液である。ヨウ素溶液は、脱イオン水中の0.1Nのヨウ素溶液である。混合物は試料上に噴霧される。接着剤中のポリビニルアルコールは、青味がかった緑に変わる。結果として得られる画像は、標準的な画像解析技術を用いて結合領域の%(即ち、接着剤領域の付与範囲)について解析できる。
【0080】
また、ポリビニルアルコール非含有接着剤のみを含む繊維性構造体の試料の結合領域は、こうした試料に、ポリビニルアルコール非含有接着剤を含む繊維性構造体の試料の領域を確定する方法に従うことにより測定することができる。例えば、繊維性構造体試料を、ポリビニルアルコール非含有接着剤を着色してそれを画像解析技術のために目立ちやすくする化学剤などの条件下におくことが挙げられる。別の例には、例えば繊維性構造体試料を、ポリビニルアルコール非含有接着剤以外のすべてを着色してその接着剤を画像解析技術のために目立ちやすくする化学剤などの条件下におくことが挙げられる。
【0081】
これらの技術のいずれか1つが、ある繊維性構造体試料について、2つ以上のプライの隣接表面の表面積の約0.1%〜約30%の結合領域を含むとして同定した場合には、その繊維性構造体は、本発明の結合領域の態様を満足させる。
【0082】
(エンボス高さの試験方法)
エンボス高さは、GFM測定社(GFMesstechnik GmbH)(ドイツ、テルトー/ベルリンD14513ワルセ通り(Warthestrasse)21)から市販されるGFMプリモス光学観測記録装置(GFM Primos Optical Profiler instrument)を用いることにより測定される。GFMプリモス光学観測記録装置(GFM Primos Optical Profiler instrument)は、次の主な構成要素からなる、デジタルマイクロミラープロジェクションに基づく小型光学測定センサーを包含する:a)1024×768の直接デジタル制御マイクロミラーを有するDMDプロジェクター、b)高解像度(1300×1000ピクセル)を有するCCDカメラ、c)少なくとも27×22mmの測定領域に適合された投影光学;及びd)少なくとも27×22mmの測定領域に適合された記録光学;小さな硬石プレートに基づく低い三脚台;冷光源;測定、制御、及び評価コンピュータ;測定、制御、及び評価ソフトウェアODSCAD4.0、英語版;及び横(x−y)及び縦(z)の較正のための調整プローブ。
【0083】
GFMプリモス光学観測記録システム(GFM Primos Optical Profiler system)は、試料の表面の高さを、デジタルマイクロミラーパターン投影技術を用いて測定する。解析の結果は、表面の高さ(z)対xy変位のマップである。システムは、21ミクロンの解像度を有する27×22mmの視野を有する。高さの解像度は、0.10〜1.00ミクロンに設定されるべきである。高さの範囲は、解像度の64,000倍である。
【0084】
繊維性構造体試料を測定するためには次のようにする:
1.冷光源のスイッチを入れる。冷光源の設定は4及びCであるべきであり、これは画面上に3000Kの読みを与えるはずである。
【0085】
2.コンピュータ、モニター、及びプリンターのスイッチを入れ、及びODSCAD4.0プリモス・ソフトウェア(ODSCAD 4.0 Primos Software)を開く。
【0086】
3.プリモス(Primos)タスクバーから「測定開始(Start Measurement)」アイコンを選択し、次いで「ライブ ピク(Live Pic)」ボタンをクリックする。
【0087】
4.温度約23℃±1℃(73°F±2°F)及び相対湿度50%±2%で調整された30mm×30mmの繊維性構造体製品の試料をプロジェクションヘッドの下に設置し、及び最良のピントのために距離を調整する。
【0088】
5.「パターン(Pattern)」ボタンを繰り返しクリックして、最良のピントを達成するのを助けるために幾つかのピントを合わせたパターンの1つを投影する(最適のピントが達成された時にはソフトウェアの十字線は、投影された十字線と一致するはずである)。プロジェクションヘッドを試料表面に垂直に位置付ける。
【0089】
6.プロジェクターヘッドの横の穴を通してレンズの開口を変えることにより画像の明るさを調整し、及び/又は画面上のカメラの「増幅率」の設定を変更する。電子雑音の量を制御するために7を超える増幅率を設定しない。照明が最適である時、画面の下の「I.O.」と標識された赤色の円は緑色に変わる。
【0090】
7.技術面/概略測定(Technical Surface/Rough measurement)の種類を選択する。
【0091】
8.「測定」ボタンをクリックする。これは画面上の現在の画像を凍結し、及び同時に画像は取り込まれ及びデジタル化される。取り込まれた画像のぶれを避けるためにこの時間中試料を動かさないようにすることが重要である。画像はおよそ20秒間で取り込まれる。
【0092】
9.画像が満足できるものあれば、画像を「.omc」の拡張子を有するコンピュータファイルに保存する。これはまたカメラ画像のファイル「.kam」を保存する。
【0093】
10.データをソフトウェアの解析部分に移動するために、「クリップボード/マン(clipboard/man)」アイコンをクリックする。
【0094】
11.今度は、「カットラインを引く(Draw Cutting Lines)」アイコンをクリックする。アクティブラインはライン1に設定されていることを確認する。十字線をコンピュータ画面の画像の左側の最も低い点に移動し及びマウスをクリックする。次に十字線をカレントライン上のコンピュータ画面の画像の右側の最も低い点に移動し及びマウスをクリックする。今度は、「整列(Align)」を表示ポイントアイコンによりクリックする。今度は、このラインの最も低い点の上でマウスをクリックし、次いでこのラインの最も高い点の上でマウスをクリックする。「垂直(Vertical)」距離アイコンをクリックする。距離の測定値を記録する。今度は、アクティブラインを次のラインに進め、及び前の工程を繰り返し、合計で(六(6))本のすべてのラインが測定されるまでこれを行う。すべての記録された数の平均を取り、及び単位がマイクロメートルでない場合は、それをマイクロメートル(μm)に変換する。この数がエンボス高さである。この手順を繊維性構造体製品試料の別の画像について繰り返し、及びエンボス高さの平均を取る。
【0095】
(湿潤破裂強度試験方法)
湿潤時破裂強度は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのツイング・アルバート機器社(Thwing-Albert Instrument Company)から市販される2000gのロードセルを装備したツイング・アルバート破裂試験機(Thwing-Albert Burst Tester)カタログ番号177を用いて測定されてもよい。
【0096】
湿潤破裂強度は、2つ(2)の多プライ繊維性構造体製品試料を採取することにより測定される。はさみを使って、試料を、それが機械方向におよそ228mm及び機械横方向におよそ114mmであり、各二つ(2)のプライの厚さであるように、機械方向に半分に切断する(これで四つの試料ができる)。最初に、試料を温度約23℃±1℃(73°F±2°F)及び相対湿度50%±2%で二(2)時間調整する。次に小さな紙ばさみを用いて試料を共に積み重ねて束にしそのまま試料を寝かせ、及び試料の束のもう一方の末端部をクランプにより105℃(±1℃)の強制通風オーブン中で5分(±10秒)間送風する。加熱期間後、試料の束をオーブンから取り出し、及び試験前に最低三(3)分間冷却する。1つの試料ストリップを取り、狭い機械横方向の端で試料を保持して、試料の中央を、約25mmの蒸留水が満たされた容器中に浸漬する。試料を水中に四(4)(±0.5)秒間放置する。取り出して、水が機械横方向に流れるように試料を保持し、三(3)(±0.5)秒間水切りをする。水切り工程後、直ちに試験を進める。濡れた試料を、破裂試験機の試料保持装置の下部リング上に試料の外側表面が上を向くように設置し、試料の濡れた部分が試料保持リングの開いた面を完全に覆うようにする。皺がある場合には、試料を廃棄し及び新しい試料を用いて繰り返す。試料が下部の試料保持リングの所定位置に適切に設置された後、破裂試験機の上部リングを下げるスイッチを入れる。試験される試料が、これで試料保持装置にしっかりと保持される。この時点で破裂試験機の開始ボタンを押すことにより、破裂試験を直ちに開始する。プランジャは、試料の濡れた表面の方に上がり始める。試料が裂けたり又は破裂した時点での、最大の読みを報告する。プランジャは自動的に反転し、その元の開始位置に戻る。この手順を、合計四(4)回の試験、即ち四つ(4)の複製のために、更に三つ(3)の試料について繰り返す。結果を四つ(4)の複製の平均としてgの単位で報告する。
【0097】
(シート・キャリパー試験方法)
繊維性構造体製品の試料のシート・キャリパー又はキャリパーは、繊維性構造体製品の試料を、その大きさが荷重底部の荷重面より大きくなるように切断することにより決定されるが、この場合荷重底部の荷重面は、約20.25cm2(3.14インチ2)の円形表面積を有する。試料は、水平平面と荷重底部の荷重面との間に閉じ込められる。荷重底部の荷重面は、1.45kPa(約0.21psi)の封圧を試料に適用する。キャリパーは、水平平面と荷重底部の荷重面との間に結果として得られる隔たりである。こうした測定値は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのツイング・アルバート機器社(Thwing-Albert Instrument Company)から入手可能なVIR電子厚さ試験機モデルII(VIR Electronic Thickness Tester Model II)上で得られる。キャリパーの測定は、平均のキャリパーが計算できるように、少なくとも五(5)回繰り返され及び記録される。結果はミルで報告される。
【0098】
(伸長試験方法)
伸長は、2.5cm×12.7cm(一(1)インチ×五(5)インチ)の繊維性構造体のストリップを提供することにより測定される。各ストリップは、温度約23℃±1℃(73°F±2°F)及び相対湿度50%±2%に調整された部屋の中で電子引張り試験機モデル1122(マサチューセッツ州カントンのインストロン社(Instron Corp.)から市販される)上に設置される。引張り試験機のクロスヘッド速度は約5.1cm/分(2.0インチ/分)、及びゲージ長は約10.2cm(4.0インチ)である。ピーク荷重時の伸長が測定される。
【0099】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれているが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であるとの容認と見なされるべきではない。
【0100】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1A】本発明によるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の1つの実施形態の部分側断面図。
【図1B】本発明によるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の別の実施形態の部分側断面図。
【図1C】本発明によるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品の別の実施形態の部分側断面図。
【図2】本発明によるエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品を製造するために用いられる装置の1つの実施形態の概略側面図。
【図3】図2に示される装置の拡大部分側面図。
【図4】模様形態において接着剤を含む繊維性構造体の平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面を含むエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品であって、前記第1面が、非接着接合したエンボス加工部位を含むと共に前記第2面が、接着剤で結合した非エンボス加工部位を含む繊維性構造体製品。
【請求項2】
前記第1面が、非高密度化エンボス加工部位を含むと共に前記第2面が、高密度化非エンボス加工部位を含む、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項3】
前記繊維性構造体製品が、2つ以上のプライの隣接表面に沿って接着剤により共に結合されて結合領域を形成する繊維性構造体の2つ以上のプライを含み、前記結合領域が、接合された隣接表面の30%未満であり、前記繊維性構造体製品が2つの面を含み、1つの面が、非接着接合したエンボス加工部位を含むと共に別の面が、接着剤で結合した非エンボス加工部位を含み、前記繊維性構造体製品が、少なくとも1000μmのエンボス高さを示す、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項4】
前記繊維性構造体の2つ以上のプライが、少なくとも1.57g/cmのプライ結合強度で共に結合される、請求項3に記載の繊維性構造体製品。
【請求項5】
前記繊維性構造体製品が、少なくとも305gの湿潤破裂強度を示す、請求項3に記載の繊維性構造体製品。
【請求項6】
前記繊維性構造体製品が、2つ以上のプライの隣接表面に沿って少なくとも1.57g/cmのプライ結合強度で接着剤により共に接合されて結合領域を形成する繊維性構造体の前記2つ以上のプライを含み、前記結合領域が前記接合された隣接表面の30%未満であり、前記繊維性構造体製品が、少なくとも1000μmのエンボス高さと少なくとも305gの湿潤破裂強度を示す、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項7】
前記繊維性構造体製品が、少なくとも1016μmのシート・キャリパーを示す、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項8】
前記繊維性構造体製品が、1.1を超えるシート・キャリパーの有効キャリパーに対する比を示す、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項9】
前記繊維性構造体製品が、8%を超えるピーク荷重時の機械横方向の伸長を示す、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項10】
前記繊維性構造体製品が、ロール形態である、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項11】
前記接着剤が、個別の離散したドット及び/又は個別の離散した縞の形態で前記隣接表面上に存在する、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項12】
繊維性構造体の2つ以上のプライの少なくとも1つが、通気空気乾燥された繊維性構造体のプライ、密度差のある繊維性構造体のプライ、湿式載置繊維性構造体のプライ、エアレイド繊維性構造体のプライ、従来の繊維性構造体のプライ、及びこれらの混合物からなる群から選択される繊維性構造体を含む、請求項1に記載の繊維性構造体製品。
【請求項13】
a)前記2つ以上のプライの少なくとも1つの表面に接着剤を付与することにより繊維性構造体の2つ以上のプライを接着剤で結合して多プライの繊維性構造体を形成する工程と、ここで前記接着剤が、前記2つ以上のプライ表面の少なくとも1つの30%未満に付与され;
b)前記多プライの繊維性構造体が、少なくとも1000μmのエンボス高さを示すように前記多プライの繊維性構造体をエンボス加工して、前記エンボス加工された前記多プライの繊維性構造体製品を形成する工程と、を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載のエンボス加工された多プライの繊維性構造体製品を製造する方法。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−505235(P2007−505235A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526443(P2006−526443)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/032524
【国際公開番号】WO2005/035857
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】