説明

エーロゲル粒子及びそれらの製造方法

1μm未満平均粒径を有するエーロゲル粒子、それを含有する生成物、その製造方法、およびその使用が記載されている。出発エーロゲル粒子が均質化され、または湿式粉砕される粒子の製造方法がまた記載されている。出発エーロゲル粒子は、凝集または凝結を防ぐために粉砕工程の間に表面処理されることができる。このエーロゲル粒子は、種々の製品および用途において使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、先の2007年3月16日出願の米国仮特許出願第60/918、343号明細書(参照によりその全てを本明細書に取り込む。)の35U.S.C.§119(e)の下での利益を主張する。
【0002】
本発明は、エーロゲル粒子、それらを含有する製品、それらの製造方法、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
エーロゲル粒子は、非常に低い密度、高い気孔率、および小さい孔直径を有することができる。エーロゲル粒子は、極度に軽い重量であることができ、そして通常、共にゲル中の粒子を気体と交換することによって生成される。エーロゲル粒子は、広範な使用を有する。例えば、エーロゲル、特に、約60%超の気孔率および約0.4g/cc超の密度を有するエーロゲルは、非常に低い熱伝導度を示すことができる。したがって、エーロゲルは、例えば、欧州特許出願公開第0171722号明細書(参照によりその全てを本明細書中に取り込む。)に記載された熱絶縁材料として使用される。あるクラスのエーロゲルは、シリカゲル粒子を含む。シリカゲル材料は、2〜3例挙げると、艶消し剤、触媒、パーソナルケア製品、およびクロマトグラフィーを含む広範な用途において使用される。
【0004】
商業的に生産されたシリカゲル材料は、典型的には、大きい表面積および空隙容積を有することができ、そしてメソ細孔およびマイクロ孔の範囲において、狭い細孔サイズ分布を有する。これらの材料の粒径分布の下限は、典型的には3μm超であり、乾燥したシリカゲル粉末のエアージェットミリングによって達成できる。従って、現在の方法は、より小さい粒子の生産を可能にせず、それによってシリカゲルまたはエーロゲルの使用を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それぞれのバッチの材料は、好ましくは類似の物理的特性を有するので、最終製品のより良い品質コントロールとなることができる、より狭い粒子分布範囲を提供することへのニーズがまたある。
【0006】
従って、上記に記載した不利益の1つまたは2つ以上を回避する粒子へのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、1μm未満の平均粒径を有する疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子を提供することである。
【0008】
本発明の別の特徴は、1μm未満の平均粒径を有する疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子を提供することであって、このエーロゲル粒子は、シリカゲル粒子またはシリカヒドロゾル粒子であることができる。
【0009】
本発明の別の特徴は、1μm未満の全粒径分布の少なくとも80%を有する疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子を提供することである。
【0010】
本発明の別の特徴は、0.1μm〜1μm未満の平均粒径を有する疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子を提供することである。
【0011】
これらおよび他の利点を達成するために、そして具体的に記載され、そして本明細書中に広く記載されたように本発明の目的に従って、本発明は、部分的に1μm未満の平均粒径を有する疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子に関する。本発明のエーロゲル粒子を製造する方法は、出発エーロゲル粒子を粉砕することを含むことができる。出発エーロゲル粒子は、例えば、湿式粉砕、ミクロフルイダイザーまたは超音波分解法によって粉砕され、または砕かれることができる。好ましくは、出発エーロゲル粒子は、ホモジナイザーまたはボールミルを通して湿式粉砕される。出発エーロゲル粒子は、粉砕の間に、再凝集を低下させ、または妨げる1種または2種以上の試薬を含む溶液中で処理できる。
【0012】
本発明の別の形態は、出発エーロゲル粒子に少なくとも1種の官能基を結合または被覆させながら、出発エーロゲル粒子を粉砕することを含む、1μm未満の平均粒径を有する疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子を製造する方法を提供する。官能基は、ビニルまたはビニル含有組成物であることができる。
【0013】
本発明の別の形態は、エーロゲル出発粒子の溶液の超音波分解によって、1μm未満の平均粒径を有する疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子を製造する方法を提供することである。一つの形態では、超音波分解は、溶液中で有機官能性シラン反応物等のシリル化剤の存在下で行うことができ、このシリル化剤は、生じるエーロゲル粒子を非反応性にするために、超音波分解処理の間に、および超音波分解の結果として曝される新たな粒子表面を含むエーロゲル粒子を表面処理するであろう。代わりの形態では、反応性の超音波で分解されたエーロゲル粒子は、シリル化剤がエーロゲル出発粒子の溶液に行われる超音波分解の間に含まれないか、または存在していない、エーロゲル粒子を製造する方法において提供される。生成される生じた反応性エーロゲル粒子は、相互におよび/または他の材料と反応でき、そして、例えば、高多孔質の薄いエーロゲルフィルムを形成するために使用できる。別の形態では、超音波分解がシリル化剤なしで起こるか、またあるいはシリル化剤が存在する工程のいずれか等の溶液を調製する出発材料として乾燥エーロゲルが使用される、エーロゲル粒子の溶液に、超音波分解を行うことができる。超音波分解処理を使用した方法において出発材料として乾燥エーロゲルを使用する能力は、他の利点の中でも生産の柔軟性を高め、また望ましい特徴および性能を有する製品を与える。超音波分解を使用したこれらの種々の工程から得られる生じた溶液は、そのままであるか、または粘度調整剤、フィルム厚改質剤、触媒などを用いて改質されているので、フィルム形成被膜溶液として使用できる。
【0014】
本発明は、さらに本発明の疎水性エーロゲル粒子を含有する製品に関する。これらの製品は、インクおよび被膜、インクジェット媒体の被膜、絶縁体、食品、吸収剤、パーソナルケア製品、フィラーまたは増粘剤、高多孔質フィルム、および他の製品であることができるが、これらに限られない。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、部分的には以下の記載において説明され、そして、部分的には以下の記載から明らかになり、または本発明の実施によって理解できるであろう。本発明の目的および他の利点は、記載および付属の請求項において特に指摘される要素および組み合わせによって理解され、そして達成されるであろう。
【0016】
当然のことながら、先の一般的な記載および以下の詳細な記載の両者は、単なる例示および説明としてであり、そして請求項に記載した本発明のさらなる説明を提供することを目的とする。
【0017】
本出願を通して記載された全ての特許、特許出願、および特許出願公開は、参照により本明細書中にその全てを取り込まれ、そして本願の一部をなす。
【0018】
本願中に取り込まれ、そして本願の一部を構成する添付図面は、本発明の原理を説明するのに役立つ記載と共に、本発明の幾つかの態様を具体的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図Iは、本発明の態様の1つによるエーロゲル粒子の粒径分布のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、部分的に疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子に関する。1つまたは2つ以上の態様において、本発明は、1μm未満の平均粒径を有する疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子に関する。エーロゲル粒子は、0.1〜1μm未満の平均粒径、または0.25μm〜1μm未満の平均粒径、または0.4μm〜1μm未満の平均粒径、または0.2μm〜0.8μmの平均粒径を有することができる。本発明のエーロゲル粒子は、上記に記載された不利益の多くを克服できる。本発明によるエーロゲル粒子は、シリカゲル粒子またはシリカヒドロゾル粒子または他のタイプのエーロゲル粒子であることができる。1つまたは2つ以上の態様において、エーロゲル粒子は、狭い粒子分布範囲を有することができる。例えば、粒子分布範囲は、全粒径分布の少なくとも80%が1μm未満であるか、または全粒径分布の少なくとも90%が1μm未満であることができる。ほかの粒子分布範囲は可能である。任意選択的粒径分布は、本発明の平均粒径と組み合わせて特徴付けることができる。本発明による疎水性エーロゲル粒子等のエーロゲル粒子は、インク、被膜、インクジェット媒体の被膜、水性系のための無機増粘剤、補強のためのフィラー、歯磨き粉のための増粘剤、食品、パーソナルケア製品、絶縁材料、またはエーロゲル粒子を含むことができる任意の製造製品等の多くの用途において利用できる。
【0021】
出発エーロゲル粒子は、粉砕機またはホモジナイザーを通して、湿式粉砕できる(湿式粉砕(milling)は、湿式粉砕(grinding)とも呼ばれる)。本発明のエーロゲル粒子を製造する好ましい方法において、出発エーロゲル粒子は、粉砕され、そして好ましくは湿式粉砕(粒子が液体中で粉砕されるか、または粒子がスラリー中にあることを意味する)される。アトライター(Attritor)タイプの粉砕機、またはボールミル等の任意のタイプの湿式粉砕デバイスが、使用可能である。流体媒体または任意選択的な粉砕媒体中で分散した粉末(または粒子)のための高エネルギー粉砕機を使用できる。一般的に、任意の湿式粉砕手段は、適当なホモジナイザーを用いて使用できる。湿式粉砕流体は、有機液体または水性液体であることができる。疎水性エーロゲル粒子を粉砕する場合には、有機液体または非水性液体が好ましい。(水性または非水性)流体媒体は、界面活性剤または表面活性有機試薬であることができる。例えば、流体は、潤滑剤であることができる。使用される液体はまた、水、アルコール、およびその同類のものであることができる。例えば、ステンレススチール球等の粉砕媒体を、使用可能である。
【0022】
出発エーロゲル粒子、(存在する場合)流体媒体および任意選択的な粉砕媒体を所定の比率で混合する。出発エーロゲル粒子および他の試薬の体積は、約1体積%〜約99体積%、好ましくは約10体積%〜約70体積%等の任意の量であることができる。
【0023】
高エネルギー粉砕機は、任意の高エネルギー粉砕機であることができる、例えば、遠心粉砕機、および好ましくは、例えば、Glen Mills、 Inc.またはRetsch(例えば、PM400)からの市販されているプラネタリーボールミルであることができるであろう。他の例は、ジェットミル、スピニングエアーフロー粉砕機、または例えば、CCE Technologies、 Inc.からの)対向ジェット流体エネルギー粉砕機のような流体エネルギーミルを含む。粉砕機の例はまた、米国特許第5、522、558号明細書;米国特許第5、232、169号明細書;米国特許第6、126、097号明細書;および米国特許第6、145、765号明細書に記述されており、参照により本明細書中に、それらの全てを取り込む。好ましくは、高エネルギー粉砕機は、粉砕媒体および/または粉末に、約0.3G〜約25Gの高衝撃力を与えるために、充分な速度で回転される。さらに好ましくは、高エネルギー粉砕機は、粉砕媒体および/または粉末に少なくとも0.5Gの力を与える。例えば、高エネルギー粉砕機は、約100〜約400回転/分以上で回転でき、そして好ましくは少なくとも約300回転/分で回転される。
【0024】
粉砕は、例えば、粉砕媒体を回転させるために使用されるローターシャフトを含む粉砕チャンバーを有するプラネタリーボールミルを使用することによって達成できる。高エネルギー粉砕機はまた、www.Ademe.fr/recherche/manifestations/materiaux 2002/Site/file/pdf%5CCM01109.PDF、に見いだすことができる’’Mechanical Alloying and High−Energy Ball−Milling:Technical Simplicity and Physical Complexity for the Synthesis of New Materials、’’ by G. Le Caer、 S。 Begin−Colin、 and P. Delcroix、およびwww.zoz.de/de/veroeff/19.htm、に見いだすことができる’’Processing of Ceramic Powder Using High Energy Milling、’’ by H. Zoz およびH. Renに記載されており、その両者の全てを参照により本明細書中に取り込む。粉砕ボールは、ローターを回転させることによって加速でき、そして14m/秒以上までの相対速度で互いに衝突する。
【0025】
高エネルギーミルのいずれかでの粉砕は、任意の所定量の時間起こることができ、そして好ましくは、約30分〜約10時間、例えば、約2〜約3時間等の約10時間以下の時間生じる。生産される粒子の粒径および/またはBET表面積は、一般的に粉砕時間に関係することができる。
【0026】
粉砕はまた、約350rpmで運転される1S粉砕機等のアトライター粉砕機において行うことができる。粉砕が完了した場合、次に、混合物は、上記の様に熱処理に曝されることができる。本発明の目的のために、本願中に記載された粉砕工程の全ては、国際公開第00/56486号パンフレット(参照によりその全てを本明細書中に取り込む。)に記載された等の加熱下で行うことができる。また、滑剤、界面活性剤、分散剤、溶媒、または上記の様なその同類のもの等の他の添加物は、任意の粉砕工程の間に加えることができる。
【0027】
使用できる別のホモジナイザーは、Microfluidics International Corporationから入手可能であるミクロフルイダイザーである。この技術は、例えば、25、000psiに、懸濁液または分散体を再生可能に加圧できる一定増圧ポンプを利用する。加圧に続き、懸濁液は、数100m/秒までの速度で細かいマイクロチャネルを通して供給できる相互作用チャンバー(interaction chamber)に入る。次に、プロセスの流れは、2つに分かれて、方向を変え、そして単一の流れとなってそれ自身と衝突する。シリカゲル粒子等の懸濁液中の粒子は、3つの主要な力、せん断、衝撃およびキャビテーションによって作用されて、本発明によるサブミクロン粒子の生成となる。
【0028】
要約すると、ミクロフルイダイザー、さらに具体的に言うと、Microfluidics International Corporationから入手可能であるM−11 OEH ミクロフルイダイザーの操作原理は、以下の様である。このミクロフルイダイザーの力は、加圧された油圧オイルを単動式増圧ポンプに供給する、機内に搭載された油圧力システムによって生成される。増圧ポンプは、油圧を増幅させ、そしてその圧力をプロセス流れ中の液体圧力に移す。25、000psiもの高さの作用圧力レベルに達することができる。吸引ストロークの間に、増圧ポンプは、流入貯蔵容器から圧力チャンバー内に、動力行程(power stroke)の間は閉じている流入逆止め弁を介して生成物を引く。動力工程の間、生成物流は、一定の圧力レベルに上昇する。次に、加圧された生成物流は、相互作用チャンバーに入り、そして幾何学的に固定されたマイクロチャネルを通って通過し、非常に高い速度まで加速される。3つの主要な力が、生成物の所望の結果を生じさせるのはここである。第1の力は、生成物流の変形となるせん断力であり、流路壁との高速度での接触を生じる。第2の力は、衝突に基づく衝撃力であり、高い衝撃速度の生成物流をそれ自身と衝突する場合に生じる。第3の力は、生成物流内の空洞の形成および衝突であるキャビテーションである。相互作用チャンバーを出ると、生成物は、補助処理モジュールを通過するにつれて、さらに処理される。熱交換器は、生成物流を周囲温度に戻す。
【0029】
砕く(ミリング)エネルギーを提供する別の方法は、エーロゲルの溶液を超音波分解処理に曝すことである。音響エネルギーは、エーロゲル粒子をより小さいフラグメントに破壊する。超音波分解は、より大きいエーロゲル粒子から、1μm未満または本明細書中に記載された他のサイズの平均粒径を有するもの等の微細なエーロゲル粒子を生成させるのに使用できる。Cole−Parmer Instrument CompanyからモデルMisoNix Sonicator(商標)3000として入手可能等の音響プローブは、例えば、20kHzの最大周波数、および550W最大出力で運転される超音波分解を行うために使用できる。使用される超音波分解の時間、周波数および出力は、例えば、最終粒径分布に影響する。超音波分解を使用した本発明の態様に従った典型的な方法は、使用される場合、溶媒(単数または複数)および反応物(単数または複数)の溶液に、エーロゲル粒子を入れることを含む。一つの形態では、シリル化剤および有機官能性シラン等の反応物の使用は、特に、出発エーロゲル粒子の超音波分解の間に、新たに生成されたエーロゲル粒子表面の処理を提供する。これは、独自の非反応性エーロゲル粒子を与える。あるいは、別の形態では、反応性の粉砕された粒子が必要または所望の場合、シラン処理剤およびアルコールは、超音波分解の間に加えられない。乾燥した出発エーロゲル粒子の超音波分解は、トルエンまたはヘキサン等の非極性溶媒を用いて行うことができる。反応性の粉砕された粒子は、特に、薄膜を生成させるために使用できるので、関心の対象である。
【0030】
高周波音に曝される溶液は、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)等のシロキサン、1種または2種以上の酸、例えばHCl、IDA、トリメチルアルキオキシシラン等のシラン、アンモニア、エタノールのようなアルコール、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)等のシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。この溶液は、HCl、IDA、およびHMDS;またはトリメチルアルキオキシシラン、アンモニア、および水;またはHMDZおよび水;またはエタノール、HMDS、アンモニアおよび水;またはクロロシランおよび水、の混合物を含むことができる。この溶液は、出発エーロゲル粒子の表面および/または粉砕の間に新たに生成された表面の少なくとも一部分を処理でき、そしてそれによって、出発エーロゲル粒子のサイズが同時に減少しながら、粉砕の間の凝集または凝結を防止または減少させる。
【0031】
コストおよび柔軟性の観点からは、類似した薄膜を製造するために、既に調製された(乾燥した)エーロゲル粒子を使用することは、また好都合である。すなわち、超音波分解は、シリル化剤なしで超音波分解が行われる方法、またあるいはシリル化剤が存在する方法のいずれかにおいて等の、溶液を調製するのに、乾燥エーロゲルが出発材料として使用されるエーロゲル粒子の溶液に行うことができる。超音波分解処理を使用した方法において、出発材料として乾燥エーロゲルを使用する能力は、他の利点の中でも生産の柔軟性を高めるが、さらに望ましい特徴および性能を有する生成物を与える。乾燥エーロゲルの非限定の例は、Nanogel(商標)TLD201等のNanogel(商標)エーロゲルである。出発材料として乾燥エーロゲルを使用する非限定の例示的方法は、(1)エタノール/イソプロパノール等のアルコール溶媒の、(Nanogel(商標)等の)乾燥疎水性エーロゲル粒子への添加;(2)トルエンまたはヘキサン等の第2の溶媒の任意選択的な添加;(3)得られた粘性のあるゲル状材料の低粘度溶液が得られるような間の超音波分解(例えば、MisoNix Sonicator(商標)3000を使用した20kHz、1時間で、1gの乾燥エーロゲル/15ccエタノール);(4)粘度および被膜の厚さを調整するためのトルエン、アルコール等の第3の溶媒の任意選択的添加;(5)少(触媒の)量の酸または塩基(例えば、NHOH)の任意選択的添加;および(6)ディップコーティング、スピンコーティング、ドレインコーティング(drain coating)等の当該技術分野で知られている方法を用いて基材を被覆するための得られた溶液の使用を含むことができる。超音波分解を使用したこれらの種々の方法で得られた溶液は、そのままで、または粘度調整剤、フィルム厚さ改質剤、触媒などを用いて改質して、のいずれかのフィルムを形成するコーティング溶液として使用できる。
【0032】
本発明によるエーロゲル粒子を製造する方法のためのホモジナイザー装置に制約はない。この目的のために当業者に知られた、任意のホモジナイザーまたは粉砕機を使用できる。
【0033】
出発エーロゲル粒子は、粉砕の間の再凝集を防ぐか、または減少させる1種または2種以上の試薬を含む溶液中で処理できる。一般的に、この処理は、粒子を少なくとも部分的に被覆すること、または存在する試薬(単数または複数)および粒子を用いてスラリーまたは溶液を製造することを含む。湿式粉砕に使用される液体は、2つの目的、すなわち、湿式粉砕の媒体として機能すること、ならびにまた、予め粉砕された、および粉砕の間に粉砕される粒子の再凝集を低下させ、または防ぐための試薬として機能すること、を有することができる。この溶液は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)のようなシロキサン、1種または2種以上の酸、イミノ二酢酸(IDA)、トリメチルアルキオキシシランのようなシラン、アンモニア、エタノールのようなアルコール、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)のようなシラザン、クロロシラン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。この溶液は、HCl、IDA、およびHMDS;またはトリメチルアルキオキシシラン、アンモニア、および水;またはHMDZおよび水;またはエタノール、HMDS、アンモニアおよび水;またはクロロシランおよび水、の混合物を含むことができる。この溶液は、出発エーロゲル粒子の表面および/または粉砕の間に作り出された新たに生成された表面の少なくとも一部分を処理でき、そしてそれによって、出発エーロゲル粒子のサイズが同時に減少しながら、粉砕の間の凝集または凝結を防ぐか、または減少させる。さらに、粉砕工程の間に、少なくとも1種の官能基は、出発エーロゲル粒子に結合、または被覆できる。好ましくは、少なくとも1種の官能基はビニルである。
【0034】
本発明において、「エーロゲル粒子」および「エーロゲル」の用語は、置き換えて使用される。任意のエーロゲル粒子を本発明において使用できる。本発明のための好ましいエーロゲル粒子は、SiまたはAl化合物等のゾルゲル技術(C.J.Brinker、G.W.Scherer、Sol−Gel Science.1990、Chaps.2および3)に好適な金属酸化物に基づくもの、またはメラミンホルムアルデヒド縮合物(米国特許第5、086、085号明細書)またはレゾルシノールホルムアルデヒド縮合物(米国特許第4、873、218号明細書)等のゾルゲル技術に好適な有機物質に基づくものである。本発明のための好ましいエーロゲル粒子は、上記の材料の混合物に基づくことができる。好ましくは、ケイ素(Si)化合物、およびさらに好ましくは、SiOを含有するエーロゲルが使用される。従って、本発明による好ましい出発エーロゲル粒子は、シリカゲル粒子またはシリカヒドロゾル粒子である。熱伝導度への放射の寄与を低下させるために、エーロゲルは、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、またはジルコニウム二酸化物、またはそれらの混合物等のIR乳濁剤を含むことができる。
【0035】
出発エーロゲル粒子は、種々の粒径および/または粒径分布を有することができる。一般的に、出発エーロゲル粒子は、3μm以上、または3μm〜3mm等の1μm以上の平均粒径を有する。出発エーロゲル粒子は、砕かれた粉末またはより大きい塊の形態であることができる。エーロゲルの塊は、任意の形を有することができるが、これらの粒子は球の形であることができる。
【0036】
本質的に、任意の市販されているエーロゲルは、本発明において、出発エーロゲル粒子として使用できる。これらのエーロゲルは、疎水性であることができる。例は、Cabot Corporationから市販されているエーロゲルを含むがこれらに限られない。特別な市販されているタイプは、Nanogel(商標)エーロゲルを含むがこれらに限られない。
【0037】
本発明中で使用される出発エーロゲル粒子は、疎水性の表面基を有することができる。孔内の湿気の凝結による続くエーロゲルのあらゆる破壊を避けるために、疎水性基が、エーロゲルの少なくとも内側表面に共有結合で結合していることが好ましい。永続的な疎水性化のための好ましい基は、式:
【化1】

(式中、Rは、水素または非反応性の直鎖、分枝鎖、環状、芳香族、またはヘテロ芳香族有機基、好ましくは、直鎖、分枝鎖、または環状C〜C18アルキル基またはC〜C14アリール基である。同一であるか、または異なることができるRおよびRは、水素であるか、または非反応性直鎖、分枝鎖、環状、芳香族、またはヘテロ芳香族有機基、好ましくは、直鎖、分枝鎖、または環状C〜C18アルキル基、C〜C14アリール基、OHまたはOR基(式中、R’は、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル基である。);好ましくはトリアルキルおよび/またはトリアリールシリル基であることができる。同一であるか、または異なることができるR、R、およびRは、C〜Cアルキル、シクロヘキシル、またはフェニルであることができる。)の1置換、2置換、または3置換シリル基である。
【0038】
エーロゲルの永続的な疎水性化のためのトリメチルシリル基およびジメチルシリル基の使用を用いることができる。これらの基は、国際公開第94/25149号パンフレット(参照により、本明細書中にその全てを取り込む)に記載されたように、またはエーロゲルと、例えば、クロロトリアルキルシランまたはヘキサアルキルジシラザン(参照:R.Her、The Chemistry of Silica、Wiley & Sons、1979)等の活性化されたトリアルキルシラン誘導体との間の気相反応によって、導入できる。
【0039】
さらにそしてある制限内で、気孔率が増加し、そして密度が低下するにつれて、エーロゲルの熱伝導度は、低下できる。この理由で、約60%超の気孔率および約0.4g/cc未満の密度を有するエーロゲルが、好ましい。さらに好ましくは、本発明のエーロゲルは、約0.05〜約0.15g/ccの密度を有する。エーロゲル粒子の熱伝導度は、約40mW/m°K未満、好ましくは、約25mW/m°K未満であることができ、そしてさらに好ましくは、エーロゲル粒子の熱伝導度は、約12W/m°K〜約18mW/m°K、または約18mW/m°K以下である。
【0040】
上記のように、本発明の出発エーロゲル粒子は、疎水性であることができ、そして/または疎水性の表面基を有することができる。疎水性エーロゲル粒子は、水のみによって湿潤できず、そして、したがって、水溶液中における疎水性粒子の湿式粉砕は難しいであろう。一般的に、疎水性エーロゲル粒子が水に加えられた場合、疎水性エーロゲル粒子は、激しい攪拌下でさえ、単に水の表面上に浮かぶ。水性スラリー中における疎水性エーロゲル粒子の均質な分布を達成するために、少なくとも1種の表面活性剤(例えば、界面活性剤)等の少なくとも1種の湿潤剤、および/または少なくとも1種の分散剤が、水のような水溶液での疎水性エーロゲル粒子の湿潤をさらに容易に可能にするために使用可能である。分散剤は、例えば、イオン性(アニオン性およびカチオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、および高分子化合物から選択できる。アニオン性界面活性剤は、例えば、アルキル硫酸塩および高級アルキルエーテル硫酸塩、さらに具体的に言うと、ラウリル硫酸アンモニウム、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含む。カチオン性界面活性剤は、例えば、脂肪族アンモニウム塩およびアミン塩、さらに具体的に言うと、アルキルトリメチルアンモニウム、およびポリオキシエチレンアルキルアミンを含む。両性界面活性剤は、例えば、アルキルジメチルベタイン等のベタインタイプ、またはアルキルジメチルアミンオキシド等のオキシド(oxido)タイプであることができる。
【0041】
非イオン性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルコールエステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどを含む。
【0042】
使用できる典型的な湿潤剤は、例えば、AEROSOL OT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)、BARLOX 12i(分枝鎖アルキルジメチルアミンオキサイド)、トリトン100(オクチルフェノキシポリエトキシ(9〜10)エタノール)、TWEEN100界面活性剤のようなTWEEN界面活性剤、およびBASFのプルロニック(pluronic)界面活性剤を含む。一般的なクラスは、グリコール、ポリオキシエチレン脂肪エーテル等のアルコキシレートポリオキシアルキレン脂肪エーテル、ソルビタンエステル、モノおよびジグリセリド、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、Hypermenポリマー界面活性剤のようなポリマー界面活性剤、ナトリウムココ−PG−ジモニウムクロライドホスフェートおよびコアミドプロピルPG−ジモニウムクロライドホスフェート、ホスフェートエステル、ポリオキシエチレン(POE)脂肪酸エステル、Renex非イオン性界面活性剤(エチレンオキサイドと不飽和脂肪酸と複素環樹脂酸との反応によって生成される非イオン性エステル)、アルコールエトキシレート、アルコールアルコキシレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロックコポリマー、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体またはそれらの組み合わせである。好ましい湿潤剤は、疎水性エーロゲル粒子の疎水性の好適な回復を可能にするために、乾燥および/またはホットカレンダリング(hot calendaring)の間に蒸発できる。湿潤剤がエーロゲル粒子の表面に残る場合、残った湿潤剤は、複合材料の全体的な熱伝導度に寄与できる。従って、好ましい湿潤剤は、分解または他の手段を用いてまたは用いずに蒸発によって等で着脱できるものである。一般的に、エーロゲルと適合する任意の湿潤剤を用いることができる。
【0043】
一般的に、疎水性エーロゲル粒子は、例えば、約700m/g等の大表面積を含むことができる。従って、エーロゲルを完全に湿潤できる界面活性剤または分散剤の量は、多いことができる。一般的に、水性媒体中に沈むように、水がエーロゲル粒子の内部に浸透することを可能にするために、充分な量の湿潤剤が加えられた場合に、完全な湿潤が起こると考えられる。典型的には、約1重量部のエーロゲルに対して、約0.6〜0.8重量部超の湿潤剤の添加が、疎水性エーロゲル粒子の完全な湿潤となることができる。しかし、水性スラリーが実質的に乾燥している場合には、完全に湿潤した粒子は、粒子のかさ密度において大きな増加を示すことができる。結果として、充分に湿潤したエーロゲル粒子でできた複合材料の熱伝導度は、より高い熱伝導性を有する傾向がある。
【0044】
疎水性エーロゲル粒子の疎水性および低密度を満足に回復させるために、疎水性エーロゲル粒子の外側表面層のみを湿潤させるだけの量の湿潤剤を使用することが好ましい。従って、充分な量の湿潤剤は、エーロゲル粒子の外側表面上に吸着されるように存在できる。エーロゲル粒子の外側表面層だけが湿潤している場合、乾燥すると、エーロゲル粒子のかさ密度に無視できる増加があることができる。結果として、疎水性エーロゲル粒子の疎水性は、比較的影響されず、そして複合材料は、熱伝導度を有する傾向がある。従って、好ましくは約1重量部のエーロゲルに対して、約0.6重量部以下の湿潤剤が使用される。例えば、約1重量部のエーロゲルに対して、0.05重量部〜約0.5重量部の湿潤剤が使用できる。湿潤剤は、エーロゲルに直接予め適用でき、またはスラリーに導入でき、好ましくはエーロゲルが加えられる前に、同時に、または後でスラリーに導入できる。
【0045】
エーロゲル粒子の外側の表面層の湿潤を生じさせるためだけに必要な湿潤剤の量は、疎水性エーロゲル粒子のサイズによることができる。一般的に、より小さいサイズの粒子は、より湿潤剤を必要とする。好ましくは、湿潤剤は、疎水性の実質的な回復および乾燥後の疎水性エーロゲルの低密度を可能にするのに充分な量である。さらに好ましくは、湿潤剤は、エーロゲルが約40mW/m°K未満の熱伝導度、そして最も好ましくは、約12〜約25mW/m°K等の約10〜約30mW/m°Kから熱伝導度を有するのに充分な量であることができる。
【0046】
従って、本発明による粒子を製造するのに使用されるエーロゲルは、低密度、低熱伝導度、低電気伝導度、低誘電率および/または衝撃吸収、および/または光線透過等のエーロゲルによる望ましい特性を有する。
【0047】
出発エーロゲルが、所望である粒子の特性により粉砕工程を受ける前、間、および/または後で、上記のようにコーティング工程または表面処理を行うことができる。しかし、下記の様に、粒子の再凝集または凝結を防ぐために粉砕工程の間に、ある表面処理が、好ましくは行われる。
【0048】
例えば、有機溶媒中のマイクロナイズ化の間に起こる効果は、望ましくない懸濁液の粘度の大幅な増加である。ある好ましい溶媒は、HMDSである。HMDSは、疎水化剤であることができる。これは、粒子の凝結または再凝集となるエーロゲル粒子上での未処理の酸化表面の生成によると考えられている。
【0049】
本発明による方法は、本質的に1つの工程ステップにおいて2つの作業を行うことによってこの問題を解決できる。サブミクロン粒子を生成させるようなエーロゲル懸濁液の粉砕は、新たなシリカ表面が生成するにつれて、新たなシリカ表面を処理するために、懸濁液において有用な反応性種を有するように、同時に行われる。これは、懸濁液の粘度を低く保ち、粉砕器内の全ての粒子の狭い滞留時間の分布を可能にし、完全に処理された粒子の表面を確実にし、そして/または生成されたサブミクロン粒子が、粉砕されていないエーロゲル供給と比較して類似の特性を有することを確かにする。
【0050】
本発明によるエーロゲルまたは粒子の他の望ましい特性は、粒子の表面積および/または空隙容積に基づくことができる。
【0051】
さらに、本発明の粒子を製造する方法のために使用できる例示的なエーロゲルは、トリメチルシリルの表面官能性を有し、700m/gの表面積、40kg/mのタップ密度、DBP中での油吸収540cm/100g、8μmのメジアン粒子、5% m/m懸濁液においてpH5を有し、そして白色粉末の形態である。これらの特性を有するエーロゲルは、Cabot Corporationから入手可能であるNanogel(商標)エーロゲルである。
【0052】
先に記載したように、出発エーロゲル粒子は、シリカゲル粒子またはシリカヒドロゾル粒子であることができる。本明細書中に記載したように、出発エーロゲル粒子は、エージングした(aged)シリカゲル懸濁液中にあることができる。
【0053】
シリカヒドロゾルは、HCl等の酸を含む急速に攪拌された溶液への、希薄されたナトリウムシリケート懸濁液の素早い添加によって調製できる。急速に攪拌した溶液は、好ましくは約5〜約5.4の範囲のpHを有し、ヒドロゲルが生成される。ヒドロゲルは、反応混合物中でさらに破壊され、そして反応混合物は加熱できる。加熱工程は、好ましくは攪拌下で行うことができる。反応混合物は、約2.25時間の間還流され、続いて約40℃に冷却される。この冷却工程は、エージングしたシリカゲル懸濁液を生成する。
【0054】
エージングしたシリカゲル懸濁液は、約350m/g(例えば、100m/g〜500m/g)の表面積および約8%(例えば、1%〜15%)のシリカ含有量を、おおよそ有することができる。次に、懸濁液を均質化できる。この懸濁液はまた、20、000psi等の圧力で、加圧されることができる。均質化工程の間、懸濁液中で粒子は、せん断、衝撃、キャビテーション、またはそれらの組み合わせ等の力に曝されることができる。均質化工程の後で、生じた疎水性エーロゲル粒子を乾燥できる。
【0055】
上記の様にシリカゲル懸濁液を調製する代わりに、出発エーロゲル粒子は、他の方法で得ることができる。例えば、乾燥エーロゲルは、有機溶媒中に分散されて、有機ゲル懸濁液を生成し、または有機ゲル粒子の予め乾燥されていない懸濁液を得て、次に有機ゲル懸濁液またはあらかじめ乾燥されていない懸濁液を湿式粉砕する。
【0056】
粉砕の後で、この流体は、空気乾燥、加熱、ろ過、蒸発、またはそれらの組み合わせ等の任意の方法によって、粒子から分離され、または除去されることができる。この流体は、好ましくは、一般的に、粒子の凝集および/または乾燥を防ぐのに充分な任意の温度における加熱によって除去される。
【0057】
本明細書中に記載された粉砕工程に加えて、任意の予備的なまたは中間のまたは最終の粉砕工程を使用できる。
【0058】
本発明は、本発明を純粋に例示することを目的とする以下の例によって、さらに明らかになるであろう。
【実施例】
【0059】
例1
シリカゲル懸濁液のサンプルを、Cabot Corporationから得た。シリカヒドロゾルは、HCl等の酸を含む急速に攪拌した溶液に、希薄されたナトリウムシリケート懸濁液の素早い添加によって調製した。急速に攪拌された溶液は、約5〜約5.4の範囲のpHを有し、ヒドロゲルが生成された。ヒドロゲルを、反応混合物中でさらに破壊し、そして、反応混合物を加熱した。加熱工程を攪拌下で行った。この反応混合物を、約2.25時間還流させ、続いて、約40℃に冷却させた。この冷却工程は、エージングしたシリカゲル懸濁液を生成した。エージングしたシリカゲル懸濁液は、約350m/gの表面および約8%のシリカ含有量をおおよそ有していた。エージングしたシリカ懸濁液の平均粒径は、31μmであった。
【0060】
上記の様に、Microfluidics International Corporationから入手可能であるM−110EHマイクロフルイダイザーを使用して、サンプルを、均質化工程(湿式粉砕)に曝した。この例のためのミクロフルイダイザーにおいて達成された圧力は、10、000psiであり、そしてミクロフルイダイザーを一回通した。
【0061】
図1は、サンプルが均質化された後の、このサンプルでのレーザー散乱粒径分布分析器から得られたデータを示す。得られた粒子のサイズは、0.115μm〜3.409μmの範囲であった。ある粒径の%頻度を下記表1に示す。
表1
【表1】

【0062】
メジアン値粒径を、0.282μmと決定し、そして平均粒径を、0.437μmと決定した。さらに、粒子の約90%は、粒径で1μm未満である。
【0063】
例2
処理試薬系を、トリメチルアルコシラン、アンモニアおよび水を混合することによって調製した。次に、試薬系をHMDS中におけるCabot Corporationから入手可能であるNanogel(商標)エーロゲルの懸濁液に混合して加えた。次にこの懸濁液を、攪拌媒体(stirred−media)粉砕機に供給した。
【0064】
粘度が増加するにつれて、追加の処理試薬を、懸濁液に加えた。これは、エーロゲル粒子に、ほとんど直ちに化学的表面処理を与え、それによって懸濁液の粘度が低下するので、粒子表面間の接着力を低下させ、進行粉砕法の利益を与える。この粉砕は、1μm超の粒子を2〜3個含むか、または全く含まない、サブミクロン範囲の粒径分布を有する最終生成物を与えた。
例3
【0065】
処理試薬系を、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)と、水とを混合することによって調製した。次に、この試薬系を、HMDS中におけるCabot Corporationから入手可能であるNanogel(商標)エーロゲルの懸濁液に、混合させた。次に、この懸濁液を、攪拌媒体粉砕機に供給した。
【0066】
粘度が増加するにつれて、追加の処理試薬を懸濁液に加えた。これは、エーロゲル粒子に、ほとんど直ちに化学的表面処理を与え、それによって懸濁液の粘度が低下するので、粒子表面間の接着力を低下させ、進行粉砕法の利益を与える。この粉砕は、1μm超の粒子を2〜3個含むか、または全く含まない、サブミクロン範囲の粒径分布を有する最終生成物を与えた。
例4
【0067】
処理試薬系を、エタノール、HMDS、アンモニアおよび水を混合させることによって調製した。次に、この試薬系を、Cabot Corporationから入手可能であるNanogel(商標)エーロゲルのHMDS中懸濁液に混合させた。次に、この懸濁液を攪拌媒体粉砕機に供給した。
【0068】
粘度が増加するにつれて、追加の処理試薬を懸濁液に加えた。これは、エーロゲル粒子に、ほとんど直ちに化学的表面処理を与え、それによって懸濁液の粘度が低下するので、粒子表面間の接着力を低下させ、進行粉砕方法の利益を与える。この粉砕は、1μm超の粒子を2〜3個含むか、または全く含まない、サブミクロン範囲の粒径分布を有する最終生成物を与えた。
例5
【0069】
シリカゲル粒子のサンプルが得られた。シリカゲルを、HCl、IDAおよびHMDSと共に混合させ、そしてホモジナイザー中で湿式粉砕した。同時に再凝集を防ぎながら、シリカゲルで処理しながら粉砕することによって、エーロゲル粒子のサイズが減少することを見いだした。
【0070】
出願人らは、本開示中の全ての引用文献の内容を、特に取り込む。さらに、量、濃度、または他の値またはパラメーターが、範囲、好ましい範囲、または上限の好ましい値および下限の好ましい値のリストのいずれかとして与えられた場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲または好ましい値と、任意の下限範囲または好ましい値との任意の対で形成された全ての範囲を特に開示すると理解される。数値範囲が本明細書中に記載された場合、特に明記しない限り、この範囲は、この範囲の終点、およびその範囲内の全ての整数および分数を含むことを意図する。範囲を規定する場合、本発明の範囲が、記載された特定の値に限定されることは意図していない。
【0071】
本発明の他の態様は、本明細書および本明細書中に記載された発明の実施を考慮すれば当業者には明らかであろう。本発明の真の範囲および精神が、請求項およびその均等であり、本明細書および例が例示的のみであると考えられることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1μm未満の平均粒径を有する、エーロゲル粒子。
【請求項2】
該エーロゲル粒子が、シリカゲル粒子である、請求項1のエーロゲル粒子。
【請求項3】
該エーロゲル粒子の少なくとも80%が、1μm未満の粒径を有する、請求項1のエーロゲル粒子。
【請求項4】
該平均粒径が、0.1〜1μm未満である、請求項1のエーロゲル粒子。
【請求項5】
該エーロゲル粒子が、疎水性エーロゲル粒子である、請求項1のエーロゲル粒子。
【請求項6】
出発エーロゲル粒子を粉砕する工程を含む、請求項1のエーロゲル粒子の製造方法。
【請求項7】
該出発エーロゲル粒子が、ホモジナイザーを通して粉砕される、請求項6の方法。
【請求項8】
該粉砕が、湿式粉砕である、請求項6の方法。
【請求項9】
該湿式粉砕が、有機液体中で生じる、請求項8の方法。
【請求項10】
該湿式粉砕が、水性液体中で生じる、請求項8の方法。
【請求項11】
粉砕の間に凝集を防ぐ、1種または2種以上の試薬を含む溶液中で、該出発エーロゲル粒子を処理する工程をさらに含む、請求項8の方法。
【請求項12】
該溶液が、ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)を含む、請求項11の方法。
【請求項13】
同時に凝集を防ぎながら、該出発エーロゲル粒子の粒径が、減少する、請求項9の方法。
【請求項14】
少なくとも1種の、酸、およびIDAをさらに含む、請求項12の方法。
【請求項15】
該出発エーロゲル粒子が、シリカヒドロゾルである、請求項6の方法。
【請求項16】
該溶液が、トリメチルアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、クロロシランを含み、そして任意選択的にアルコール、アンモニア、またはその両方を含む、請求項11のエーロゲル粒子の製造方法。
【請求項17】
少なくとも1種の官能性有機基が、該出発エーロゲル粒子に結合している、請求項11の方法。
【請求項18】
該少なくとも1種の官能性有機基が、ビニルである、請求項17のエーロゲル粒子の製造方法。
【請求項19】
該エーロゲル粒子が、疎水性エーロゲル粒子である、請求項6の方法。
【請求項20】
シリル化剤の存在下で、出発エーロゲル粒子を含む溶液を超音波分解する工程を含む、請求項1のエーロゲル粒子の製造方法。
【請求項21】
シリル化剤なしで、乾燥出発エーロゲル粒子および溶媒を含む溶液を、超音波分解する工程を含む、請求項1のエーロゲル粒子の製造方法。
【請求項22】
請求項21のエーロゲル粒子を含有する溶液を、適用する工程を含む、多孔質の薄いエーロゲルフィルムの形成方法。
【請求項23】
請求項1のエーロゲル粒子を含む、インクまたはトナー媒体被膜。
【請求項24】
請求項5の疎水性エーロゲル粒子を含む、インクまたはトナー媒体被膜。
【請求項25】
請求項1のエーロゲル粒子を含む、水性系用無機増粘剤。
【請求項26】
請求項5の疎水性エーロゲル粒子を含む、水性系用無機増粘剤。
【請求項27】
請求項1のエーロゲル粒子を含む、補強用フィラー。
【請求項28】
請求項5の疎水性エーロゲル粒子を含む、補強用フィラー
【請求項29】
該請求項1のエーロゲル粒子を含む、歯磨き粉用増粘剤。
【請求項30】
請求項5の疎水性エーロゲル粒子を含む、歯磨き粉用増粘剤。
【請求項31】
請求項21の方法のエーロゲル生成物を含む、エーロゲル薄膜のコーティング溶液。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−521399(P2010−521399A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553817(P2009−553817)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/057062
【国際公開番号】WO2008/115812
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】