説明

オイルフィルタ

【課題】フィルタエレメントをハウジングに対して簡単且つ容易に装填乃至取り出すことが出来て、ハウジングや蓋体のみならずフィルタエレメントの再利用が可能なオイルフィルタを提供する。
【解決手段】機器本体に取り付け可能な一端が開口する有底筒状のハウジングと、このハウジング内に着脱自在に装填されるフィルタエレメントユニットと、前記ハウジングの開口部を閉鎖する蓋部材が備えられ、蓋部材には、前記ハウジングに設けられたネジ部に着脱可能に螺着するネジ部が設けられるとともに、蓋体とハウジングとの間には、前記ハウジングと蓋体との間の間隙を密封するためのシール部材が介装され、前記フィルタエレメントユニットを構成するエレメント本体が、金属製の網部材から形成されており、またフィルタエレメントユニットには、オイル内に混入する金属粉を吸着するための磁石が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車の内燃機関のオイルに混入する金属粉などを濾過するためのオイルフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の内燃機関の円滑な作動を促すために用いられる例えばエンジンオイルには、摩擦、磨耗、燃料の燃焼、あるいはオイル自体の劣化などによって、金属粉、カーボン、スラッジ等が混入するのであって、これらの金属粉等は、ピストンやベアリングの損傷の原因となる。
【0003】
そこで、これらの金属粉等を含むオイルをエンジン内から抜き出して濾過、清浄化し、清浄化したオイルを、再び、エンジン内に供給して循環使用するために、従来からオイルフィルタが用いられている。
【0004】
即ち、このようなオイルフィルタとしては、有底筒状のハウジング内にフィルタエレメントが装填されるとともに、ハウジングの開口部には、オイル流入口およびオイル流出口を備えた蓋体が組み付けられ、オイルポンプ等によってオイル流入口から流入されるオイル中の金属粉等をフィルタエレメントで濾過して、濾過済みのオイルを流出口から吐出するようにした所謂カートリッジ型のものが知られている。(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら以上のカートリッジ型のオイルフィルタは、蓋体がハウジングに取り外し不能に組みつけられて、使用者による分解が不可能な所謂使い捨てタイプとなっており、従って以上のオイルフィルタを用いている使用者にとっては、オイルフィルタの交換に結構費用がかかるものである。
【特許文献1】特開2003−126613号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みて開発したものであって、目的とするところは、フィルタエレメントをハウジングに対して簡単且つ容易に装填乃至取り出すことが出来て、ハウジングや蓋体のみならずフィルタエレメントの再利用が可能なオイルフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
機器本体に取り付け可能な一端が開口する有底筒状のハウジングと、
このハウジング内に着脱自在に装填されるフィルタエレメントユニットと、
前記ハウジングの開口部を閉鎖する蓋部材が備えられ、
蓋部材には、前記ハウジングに設けられたネジ部に着脱可能に螺着するネジ部が設けられるとともに、蓋体とハウジングとの間には、前記ハウジングと蓋体との間の間隙を密封するためのシール部材が介装され、前記フィルタエレメントユニットを構成するエレメント本体が、金属製の網部材から形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフィルタエレメントユニットには、オイル内に混入する金属粉を吸着するための磁石が備えられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、フィルタエレメントをハウジングから取り出して、フィルタエレメントの清掃を簡単且つ容易に行なうことが出来るので、ハウジングや蓋体のみならずフィルタエレメントを再利用することが出来る。
【0010】
また請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、フィルタエレメントと磁石により、オイル内に混入する金属粉を効率よく除去することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかるオイルフィルタの一実施形態を説明する。
【0012】
本発明にかかるオイルフィルタ1は、基本的には、一端が開口する有底円筒状のハウジング2と、このハウジング2内に着脱自在に装入されるフィルタエレメントユニット3と、ハウジング2に着脱自在に組みつけられる蓋体4と、オイルの逆流を防止するためのシリコンゴム製の逆止弁5と、ハウジング内のフィルタエレメントユニット3を蓋体4側に押圧するためのバネ部材6から構成されている。
【0013】
ハウジング2及び蓋体4はアルミニウムから形成され、またバネ部材6はステンレス板から形成されている。
【0014】
ハウジング2の上部側外周面にはローレット21が刻設され、上面には平面視六角状の操作用突起22が突設されている。
【0015】
またハウジング2の下端部内周面には雌ネジ23が周設されている。
【0016】
フィルタエレメントユニット3は、金属製、具体的にはステンレス製の網部材から円筒状に形成されたエレメント本体31と、このエレメント本体31の上端及び下端にそれぞれ組み付けた上蓋32及び下蓋33と、エレメント本体31内の上下蓋32・33間に介装されるコイルスプリング34から構成されている。
【0017】
尚、コイルスプリング34は、エレメント本体31の型崩れを抑制するため、並びにオイル流量を確保すべく投影面積の少ない形状とするために設けられている。
【0018】
そして上蓋32の上面中央に設けた凹所35には、オイル内に混入する金属粉を吸着するための磁石8が嵌めこまれている。
【0019】
また下蓋33の中央には、後記する蓋本体41の筒部41aに嵌りこむオイル流通口36が設けられている。
【0020】
実施形態では、エレメント本体31を構成する網部材として網目の開口が30ミクロン程度のものが使用されている。
【0021】
蓋体4は、円盤状の蓋本体41が備えられ、この蓋本体41の上面には蓋本体41の外周よりも一回り小径とした筒部42が突設され、筒部42の外周面には前記した雌ネジ23に螺合可能な雄ネジ43が周設されている。
【0022】
そして筒部42の外周基部には合成ゴム製のOリング40が嵌められており、また蓋体4の外周面にはローレット47が刻設されている。
【0023】
また蓋本体41には複数のオイル流入口44と1つのオイル流出口45が形成され、オイル流出口45の内周面には、自動車の内燃機関に螺着するための雌ネジ46が周設されている。
【0024】
更に蓋本体41の下面外周には、シリコンゴム製の環状シール部材7を嵌め込むための嵌合48が周設されるとともに、嵌合溝48内面には、環状シール部材7の内周に突設した環状リップ71が嵌る係合溝49が周設されている。
【0025】
逆止弁5は、蓋本体41の上面中央に突出する筒部41aに嵌合可能な嵌合孔51が設けられており、この嵌合孔51を筒部41aに嵌合させることで、蓋本体41の上面に開口するオイル流入口44を覆うようにしている。
【0026】
バネ部材6は、ハウジング2内の上面とこのハウジング内2に収容されるフィルタエレメントユニット3の上蓋32間に介装されている。
【0027】
以上の構造から成るオイルフィルタ1は、ハウジング2内にバネ部材6とフィルタエレメントユニット3を順次挿入した後、蓋体4をハウジング2の開口にあてがって、蓋体4の雄ネジ43をハウジングの雌ネジ23に螺締することで、オイルフィルタ1が組まれるのである。
【0028】
そして組まれたオイルフィルタ1は、雌ネジ46を介して自動車の内燃機関に組み付けて用いるのであって、内燃機関内に溜まるオイルは、オイルポンプの駆動により、蓋体4のオイル流入口44から逆止弁5を通ってハウジング2内に流入した後、オイル内に混入する金属粉は磁石8に一部吸着させられるとともに、オイル内に混入する残りの金属粉、及びカーボンやスラッジ等は、オイルがフィルタエレメントユニット3のエレメント本体31を通過する際に、エレメント本体31で濾過されるのである。
【0029】
そして清浄化されたオイルは、蓋体4のオイル流出口45から再び内燃機関に戻されるのである。
【0030】
以上のように内燃機関に組み付けて一定期間使用されたオイルフィルタを清掃する場合には、オイルフィルタ1全体を内燃機関から取り外した上で、蓋体4をハウジング2に対して螺緩方向に回転させて、蓋体4をハウジング2から取り外すとともに、ハウジング2内のフィルタエレメントユニット3を取り出して、磁石やエレメント本体31の外面に残留する金属粉、カーボン、スラッジ等を除去するのであり、エレメント本体31がステンレス製の網から形成されているので、エレメント本体31の表面に付着する金属粉やスラッジ等を例えばブラシや洗浄液などで簡単且つ容易に清掃して除去することが出来、エレメント本体31の再利用が図れる。
【0031】
そして、オイルフィルタ全体の清掃が完了したならば、再度ハウジング2内にフィルタエレメントユニット3を戻した後、蓋体4の雄ネジ43をハウジングの雌ネジ23に螺締することで、オイルフィルタ1を組み立てる。
【0032】
そして組み立てられたオイルフィルタ1は、雌ネジ46を介して自動車の内燃機関に再度組み付けて再利用することが出来るのである。
【0033】
ところで、環状シール部材7は環状リップ71が係合溝49に係合しているので、環状シール部材7が内燃機関側に固着していても、オイルフィルタ1を内燃機関から取り外す際、環状シール部材が不用意に内燃機関側に残ることがなく、内燃機関側から確実に剥がすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかるオイルフィルタの一実施形態を示す正面図。
【図2】同、底面図。
【図3】同、縦断面図
【図4】フィルタエレメントユニットの一部切欠正面図。
【図5】蓋体の縦断面図。
【図6】エレメント本体の平面図。
【図7】環状シール部材の縦断面図。
【符号の説明】
【0035】
1 オイルフィルタ
2 ハウジング
23 雌ネジ(ネジ部)
3 フィルタエレメントユニット
31 エレメント本体
32 上蓋
33 下蓋
4 蓋体
43 雄ネジ(ネジ部)
44 オイル流入口
45 オイル流出口
5 逆止弁
6 バネ部材
7 環状シール部材
8 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に取り付け可能な一端が開口する有底筒状のハウジングと、このハウジング内に着脱自在に装填されるフィルタエレメントユニットと、前記ハウジングの開口部を閉鎖する蓋部材が備えられ、蓋部材には、前記ハウジングに設けられたネジ部に着脱可能に螺着するネジ部が設けられるとともに、蓋体とハウジングとの間には、前記ハウジングと蓋体との間の間隙を密封するためのシール部材が介装され、前記フィルタエレメントユニットを構成するエレメント本体が、金属製の網部材から形成されていることを特徴とするオイルフィルタ。
【請求項2】
フィルタエレメントユニットには、オイル内に混入する金属粉を吸着するための磁石が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のオイルフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−150330(P2009−150330A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329751(P2007−329751)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(507418186)株式会社キノクニエンタープライズ (1)
【Fターム(参考)】