オイルミスト除去装置
【課題】捕集効率を向上させるとともにメンテナンス性に優れたオイルミスト除去装置を提供する。
【解決手段】オイルミスト除去装置1は、吸気口6および排気口13を有する筐体2と、筐体2内に設けた第1、第2、第3および第4処理部7、8、11、12と、筐体2の底部に設けたミスト回収部14とを具備している。第1処理部7は、吸気口6に対向して配設された衝突板24を有し、第2処理部8は、第1処理部7を通った空気10を遠心回転させる円筒壁28を有している。第3処理部11は、第2処理部8内の空気10を吸い込む吸込用ファン40および多孔板からなる捕集筒52A、52Bを含み吸込用ファン40の側面を取り囲む捕集ユニット41とを備え、第4処理部12は、多孔板によって形成され第3処理部11を通った空気を整風し排気口13から筐体2の外部に排出する整風部材60を備えている。
【解決手段】オイルミスト除去装置1は、吸気口6および排気口13を有する筐体2と、筐体2内に設けた第1、第2、第3および第4処理部7、8、11、12と、筐体2の底部に設けたミスト回収部14とを具備している。第1処理部7は、吸気口6に対向して配設された衝突板24を有し、第2処理部8は、第1処理部7を通った空気10を遠心回転させる円筒壁28を有している。第3処理部11は、第2処理部8内の空気10を吸い込む吸込用ファン40および多孔板からなる捕集筒52A、52Bを含み吸込用ファン40の側面を取り囲む捕集ユニット41とを備え、第4処理部12は、多孔板によって形成され第3処理部11を通った空気を整風し排気口13から筐体2の外部に排出する整風部材60を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に飛散、浮遊するオイルミストや微細な切削粉、塵埃等の異物を捕集、除去し、空気の清浄化を図るオイルミスト除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場などで用いられているこの種のオイルミスト除去装置としては、例えば特許文献1〜3に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているオイルミスト除去装置は、衝突板と、羽根車の上流側に位置しオイルミストを一次的に捕集、除去する入側コレクタと、羽根車の下流側に位置し残存オイルミストを二次的に捕集、除去する出側コレクタとを備えている。前記入側コレクタは、垂直もしくは傾斜した多数の独立したエアパスを備え、これによって吸引空気をエアパスの上端開口部から下端開口部に向けて流通させる通路集合体を構成している。出側コレクタは、繊維質の多層構造フィルタで構成されている。
【0004】
特許文献2に記載されているミストコレクタ装置は、ケーシングの吸込み側に回転自在に支承したミスト処理板と、ミスト処理板を回転させるモータと、ミスト処理板に対峙するように設けた吸込み手段とを備えている。前記ミスト処理板は、無数の細孔を有する1〜数枚の処理板で構成され、異物(浮遊ゴミ)の分離と、オイルの粒子化と、オイルと水の分離とを行なうようにしている。
【0005】
特許文献3に記載されているオイルミスト除去装置は、吸込み口および排出口を備えたケーシングの内部に第1〜第4処理部を設け、吸込み口からケーシングに吸込んだオイルミストを含んだ空気を、第1〜第4処理部によって処理し、分離したオイルを回収部に回収し、清澄化した空気を排出口より装置の外部に排気するようにしている。第1処理部は、リンクの中央通路に設けた傘状の衝突板を備えている。第2処理部は、パンチング板と、第1多孔質部材とで構成されている。第3処理部は、吸込みファンを取り囲む環状のパンチング板と、第2多孔質部材とで構成されている。第4処理部は、活性炭、ゼオライト、科学的薬剤、薬品等を含浸した一枚または数枚のフィルタで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−88050号公報
【特許文献2】特開2008−155093号公報
【特許文献3】特開2005−152805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に記載されているオイルミスト除去装置は、出側コレクタにフィルタを用いているので、フィルタが目詰まりすると空気の清浄化効率が低下し、また新しいフィルタと交換する必要があるため、ランニングコストが高くつくという問題があった。
【0008】
特許文献2に記載されているミストコレクタ装置は、遠心分離方式を採用しているため、オイルと粒子とを良好に分離することができるという利点を有するものの、無数の細孔を有する1〜数枚のミスト処理板を用いているので、細孔が切削粉によって目詰まりし易く、上記特許文献1と同様にミスト処理の効率が低く、また処理板のメンテナンスが面倒であるという問題があった。
【0009】
特許文献3に記載されているオイルミスト除去装置は、パンチング板と多孔質板の数が多く、製造コストの低減化の大きな障害となり、またこれらのメンテナンスが面倒である。また、フィルタを用いているので、上記特許文献1に開示されているオイルミスト除去装置と同様な問題があった。
【0010】
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、捕集効率を向上させるとともにメンテナンス性に優れたオイルミスト除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、吸気口および排気口を有する筐体と、前記筐体内に設けられた第1、第2、第3および第4処理部と、前記筐体の底部に設けられたミスト回収部とを具備してなり、前記第1処理部は、前記吸気口に対向して配設された衝突板を有し、前記第2処理部は、前記第1処理部を通った空気を遠心回転させる円筒壁を有し、前記第3処理部は、前記第2処理部内の空気を吸い込む吸込用ファンおよび多孔板からなる捕集筒を含み前記吸込用ファンの側面を取り囲む捕集ユニットとを備え、前記第4処理部は、多孔板によって形成され前記第3処理部を通った空気を整風し前記排気口から前記筐体の外部に排出する整風部材を備えているものである。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記捕集筒が軸線方向に長い多数のミスト通路用孔を有するものである。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記吸込用ファンが軸線方向から外気を吸入して半径方向外側に吐出させるターボファンからなるものである。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記筐体が、両端が開放する箱型の筐体本体と、前記筐体本体の前面側開口部と背面側開口部をそれぞれ閉塞する前面扉および裏蓋とを備え、前記前面扉は、前記吸気口と前記第1、第2処理部を有し、前記筐体本体が前記排気口と前記第3、第4処理部を有するものである。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記第1処理部が、前記衝突板の外周の一部と前記前面扉の背面を接続する側板とによって接続することにより、一側に開放する開口部を有し、前記吸気口から前記第1処理部内に導かれた空気が前記衝突板に当たって前記開口部から排出され、前記第2の処理部に導かれると前記円筒壁に沿って遠心回転するものである。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記捕集ユニットが、前記第3処理部内に着脱可能に収納され、前記前面扉によって押圧し支持されるものである。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記裏蓋が前記整風部材の一端を押圧し支持するものである。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記第3および第4処理部の境部には仕切壁が設けられ、前記仕切壁は、中央に前記吸込用ファンを駆動するモータが取り付けられ、前記仕切壁と前記捕集壁との間には前記第3および第4処理部を連通させる半径方向に長い多数の通路孔が形成されているものである。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記ミスト回収部が、前記吸込用ファンの回転方向側の側壁に前記第2処理部内に延在する切削粉捕獲部を有するものである。
【0020】
さらに、本発明は、上記発明において、前記モータが前記第4処理部内に位置し、前記整風部材が円筒状に形成されて前記第4処理部内に挿抜可能に配設され、前記モータの側面を取り囲むものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1処理部は、吸気口から筐体内に吸い込んだ空気に含まれている比較的大きくて重い切削粉や吸気口に導かれる過程で大きくなった粒子状のオイルミストを衝突板に衝突させて一時保持する。衝突板は、第1処理部を通った空気流を円筒壁に沿って遠心回転する気流生成機能を有する。第1処理部の衝突板に当たったオイルミストは、空気流に流されて第2処理部の円筒壁に沿って遠心回転し、外側に移動した比較的重いオイルミストが第2処理部によって捕捉される。第2処理部で捕捉されない比較的小さな切削粉やオイルミストを含んだ空気流は、遠心回転しながら吸込用ファンによって第3処理部に導かれ、捕集ユニットによって微細な切削粉やオイルミストが捕捉、除去される。
微細なオイルミストは、空気の流れに乗って移動するが、高速で物に衝突すると、オイルミストどうしが衝突し合うことで合体し、粒径が段々と大きくなり、微細な切削粉などはオイルミスト内に取り込まれることになる。この効果を実現するためには、空気の流れる抵抗は少なく衝突させるところが多いほどオイルミストの捕集効率が向上する。捕集ユニットは、多孔板からなる捕集筒を備えているので、捕集筒の孔縁に空気流が衝突することで、オイルミストの捕集効率を向上させることができる。
第4処理部の整風部材は、多孔板からなる整風部材によって第3処理部を通った空気中に残存している微細なオイルミスト、切削粉等の異物をさらに捕捉、除去し、清浄化した空気を整風して排気口から筐体外部に排出する。
【0022】
また、本発明においては、捕集筒のミスト通路用孔を軸線方向に長い長孔に形成しているのため、円形の孔に比べて孔縁の長さが長くて空気の流れに対して衝突面が多く、オイルミストの捕集効率を一層向上させることができる。
【0023】
また、本発明においては、第3、第4処理部の境部に設けた仕切壁と捕集壁との間に、第3、第4処理部を連通させる半径方向に長い多数の通路孔を設けているので、オイルミストの捕集効率を向上させるとともに、空気抵抗を低減することができる。
【0024】
また、本発明においては、捕集ユニットを第3処理部内に着脱可能に配置し、同じく整風部材を第4処理部内に着脱可能に配置しているので、これらの組込み、取外し作業が容易で、目詰まりした場合は圧搾空気の吹き付けによって簡単にクリーニングできるため、ランニングコストを低減することができる。
【0025】
また、本発明においては、ミスト回収部に2処理部内に延在する切削粉捕獲部を設けているので、円筒壁に沿って遠心回転する空気流中の比較的重い切削粉やオイルミストを捕捉、除去する。
【0026】
さらに、第4処理部内において、清浄化した空気が整風部材内を通り、モータの側面を通過することにより、モータを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るオイルミスト除去装置の一実施の形態を示す外観斜視図である。
【図2】オイルミスト除去装置の前面扉を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】オイルミスト除去装置の裏蓋を外した状態を示す斜視図である。
【図4】オイルミスト除去装置の側面図である。
【図5】オイルミスト除去装置の正面図である。
【図6】オイルミスト除去装置の断面図である。
【図7】第1、第2処理部を示す図である。
【図8】第3処理部の要部の斜視図である。
【図9】(a)は吸込用ファンの正面図、(b)は吸込用ファンの側面図である。
【図10】捕集ユニットの外観斜視図である。
【図11】捕集ユニットの分解斜視図である。
【図12】裏蓋と整風部材の斜視図である。
【図13】捕集筒のミスト通路用孔を通過する空気の流れの方向を示す図である。
【図14】リングの通路孔を通過する空気の流れの方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜図7において、全体を符号1で示すオイルミスト除去装置は、筐体2を備えている。筐体2は、略立方体の筐体本体3と、筐体本体3の前面側開口部3Aを覆う前面扉4および背面側開口部3Bを覆おう裏蓋5とで構成されている。前面扉4には、吸気口6と、吸気口6から吸い込んだ筐体外部の空気10を処理する第1、第2処理部7、8が設けられている。筐体本体3には、第1、第2処理部7、8によって処理した空気10をさらに処理する第3、第4処理部11、12と、清浄化した空気10’を筐体2の外部に排出する排気口13が設けられている。
【0029】
さらに、オイルミスト除去装置1は、ミスト回収部14(図6)を備えている。ミスト回収部14は、第1回収部14Aと、第2回収部14Bとで構成されている。第1回収部14Aは、前記前面扉4の底部に第1、第2処理部7、8に対応して設けられ、第2回収部14Bは、前記筐体本体3の底部に第3、第4処理部11、12に対応して設けられている。
【0030】
図1〜図2、図4〜図6において、前記前面扉4は、略正方形の前面板15と前面板15の前面に設けられた第1円筒部16と、第1円筒部16の前面中央に突設された第2円筒部17とで構成されている。前面板15は、中心孔20(図2)と、裏面側に同心円状に突設した2重の環状押圧体21とを有し、右側縁が一対の蝶番18によって前記筐体本体3の前端縁に回動自在に枢着され、閉蓋時に一対のクランプ金具19によって左側縁が筐体本体3に係止される。
【0031】
第1円筒部16は、前面板15の中心孔20と略同じ大きさからなるリング状の円板16Aと、円板16Aの背面外周に接合された円筒体16Bとからなり、円筒体16Bの後端が前記前面板15の前面に接合されている。
【0032】
前記第2円筒部17は、円板16Aの中心孔22(図6)と略同じ内径を有する両端開放の筒体からなり、前記円板16Aの中央に複数のビス23(図4、図5)によって固定されている。第2円筒部17の内部は、前記第1処理部7の吸気口6を形成している。
【0033】
図2、図6および図7において、前記第1処理部7は、吸気口6から吸引された筐体外部の空気10中に含まれている主として比較的重いオイルミスト、切削粉等の異物を一次的に捕捉、除去する部分で、前記前面扉4の背面側、より詳述すると吸気口6と対向するように円板16Aの裏面側にこれと平行に設けられた衝突板24と、円板16Aと衝突板24を接続する側板25とで構成されている。衝突板24は、金属板の打ち抜き加工等によって一端側が略半円形、他端側が三角形で、全体形状が略雫型に形成されることにより、略水平な底面部24aと、底面部24aに対して80°前後の角度で交差する斜辺部24bと、略200°の円弧状部24cとで構成されている。側板25は、略C字状の帯状に形成され、衝突板24の斜辺部24bを除く外周部、すなわち底面部24aおよび円弧状部24cを円板16Aの裏面に接続している。このため、第1処理部7は、図2において斜辺部24bの側方に開放する開口部26を有し、この開口部26によって第1、第2処理部7、8を連通させている。開口部26は、斜辺部24bが図7において右下りに傾斜していることから、下端から上端に向かうにしたがって円筒体16Bとの間隔が広くなっており、これにより第1処理部7から開口部26を通って第2処理部8に導かれた空気10を円筒体16Bの内壁(以下、円筒壁という)28に沿って図7において反時計方向に遠心回転させるようにしている。
【0034】
前記第2処理部8は、前記第1処理部7を通過した空気10を円筒壁28に沿って遠心回転させ、第1処理部7で除去されなかった比較的重いオイルミストや切削粉等の異物を二次的に分離、除去する部分で、前記第1円筒部16Aの内部空間部分とされる(但し、第1処理部7を除く)。第2処理部8内における空気10の遠心回転方向は、後述する吸込用ファン40の回転方向(図9(a)の反時計方向)と一致している。空気10の遠心回転距離、すなわち図7において開口部26から第1回収部14Aまでの反時計方向周りの距離は、切削粉等の異物の捕集効率を高めるために長く設定されることが望ましい。すなわち、遠心回転する距離が長くなればなるほど遠心力により比較的軽量なオイルミストや切削粉であっても外側に移動させることができるため、より多くのオイルミストや切削粉を除去することができ、第1回収部14Aによって回収することができる。なお、実際には中心部寄りを遠心回転する一部の空気は、第1回収部14Aを越えて一周以上回転するものと思われる。
【0035】
前記第1回収部14Aは、第1、第2処理部7、8によって除去されたオイルミストや切削粉等の異物を回収する部分で、両端開放の異径筒体からなり、前記円筒体16Bの下面で前記第1、第2処理部7、8と対応する位置に設けられ、下端部が円筒体16Aの下方に突出している。また、第1回収部14Aの左右両側壁のうち、前記吸込用ファン40の回転方向側、言い換えれば空気10の遠心回転方向側である左側壁29(図7)の上端には、第2処理部8内に延在する切削粉捕獲部29aが一体に延設されており、これによってオイルミストや切削粉の捕集効率を高めるようにしている。すなわち、空気10を第2の処理部8内において遠心回転させると、比較的重いオイルミストや切削粉は、遠心力により徐々に回転半径が大きくなって外側に移動し、円筒壁28に沿って回転するようになるため、切削粉捕獲部29aに当たると付着もしくは落下して第1回収部14Aに回収される。そして、前記第2処理部8によって処理された空気10は、吸込用ファン40によって筐体本体3内に導かれ、第3、第4処理部11、12によってさらに処理される。
【0036】
図1〜図6および図8において、前記筐体本体3は、前面板3a、上面板3b、底面板3cおよび左右一対の側板3d、3eによって前方および後方に開放する略立方体からなる箱型に形成され、通常前面側開口部3Aが前記前面扉4によって閉塞され、背面側開口部3Bが前記裏蓋5によって閉塞されている。筐体本体3の内部は、仕切壁36によって前後2つの室に仕切られ、前方側の室が第3処理部11を形成し、後方側の室が第4処理部12を形成している。上面板3bには、前記排気口13が前記第4処理部12に対応して形成されている。底面板3cには、取付フランジ32が取り付けられている。右側板3dには、電源コードが接続される端子ボックス33が取り付けられている。
【0037】
前記第3処理部11は、空気10中に残存する微細なオイルや切削粉をさらに捕捉、除去する部分で、捕集壁38によって囲まれた内側部分とされ、内部に吸込用ファン40と捕集ユニット41が配置されている。
【0038】
前記捕集壁38は、両端開放の円筒体からなり、筐体本体3の前面側開口部3A内に配設され、前端が前記前面板3aの裏面に接合され、後端が前記上面板3bと底面板3cに突設したリブ39に接合されている。
【0039】
前記仕切壁36は、外径が前記捕集壁38の内径より小さい円板状に形成され、捕集壁38の後端側開口部を覆うように筐体本体3内に固定されている。仕切壁36と捕集壁38との間には、前記第3、第4処理部11、12を連通させる環状の通路37が形成されている。
【0040】
前記吸込用ファン40は、図9に示すように前面中央に形成された吸込用口45と、内部に形成された長さが長く後ろ向き(回転方向とは反対方向)に反った複数の羽根46とを有し、羽根46が回転することにより軸線方向から空気10を吸い込んで半径方向外側に旋回、吐出させるターボファン(遠心ファン)からなり、駆動モータ47(図6)の出力軸48に取り付けられ、捕集ユニット41の内部中央に配置されている。
【0041】
図10および図11において、前記捕集ユニット41は、中心孔51を有する前面板50と、前面板50の背面に取り付けられた大小2つの捕集筒52A、52Bと、捕集筒52A、52Bの後端に取り付けられたリング53と、前面板50の中央に突設した筒体54とで構成されている。捕集筒52A、52Bは、多孔板によって円筒状に形成されることにより、軸線方向に長い多数のミスト通路用孔55を有し、前面板50の背面に同心円状に取付けられている。リング53は、外径が捕集壁38の内径と略等しく、内径が内側の捕集筒52Aの内径と略等しいリングからなり、全周にわたって形成された空気10の通路を形成する半径方向に長い複数の通路孔56と、4つの位置決め用孔57を有している。
【0042】
このような捕集ユニット41は、筐体本体3の前方から第3処理部11内に着脱可能に、位置決め用孔57と位置決めピン58(図6)とによって位置決めされるとともに回転を防止され、前面扉4の閉成状態において裏面側に突設した環状押圧体22によって前面板50が押圧されることにより、前記第3処理部11内に固定され、リング53の外周縁が捕集壁38の内壁に密接され、内周縁が仕切壁36の前面外周縁に密接される。したがって、捕集ユニット41は、前面扉4を開くと第3処理部11に簡単に装着したり取り出すことができる。
【0043】
前記筒体54は、両端開放の筒体からなり、空気10を吸込用ファン40および捕集ユニット41内に導く吸込口59を形成している。
【0044】
図6において、前記第4処理部12は、第3処理部11からリング53の通路孔56を通って流入する空気10中に残存している僅かなオイルミストや切削粉等の異物をさらに捕捉、除去するとともに、整風して前記排気口13から筐体2の外部に排出する部分で、前記駆動モータ47と、整風部材60および整風部材60の前端を保持するロート状の保持部材61が配設されている。
【0045】
駆動モータ47は、前記仕切壁36の背面中央に水平に取り付けられ、出力軸48が仕切壁36に設けた穴を貫通して前記第3処理部11内に突出し、その突出端部に前記吸込用ファン40が取付けられている。
【0046】
前記整風部材60は、図12に示すように多孔板によって形成されることにより多数の小孔62を有する両端開放の円筒体からなり、前端が前記保持部材61の後端側開口部に後方から嵌合され、後端が前記裏蓋5によって支持されることにより、前記モータ47の側面(外周)を取り囲んでいる。
【0047】
前記保持部材61は、前端側開口部が後端側開口部より大きな穴径を有し、前端が前記捕集壁38の後端に固定され、後端側開口部に前記整風部材60の前端部が着脱可能に嵌合されている。
【0048】
前記裏蓋5は、筐体本体3の背面側開口部3Bに着脱可能に嵌合され、複数の取付けねじ63によって固定されている。この固定状態において、裏蓋5は整風部材60の後端を押圧し、前記保持部材61とともに整風部材60を保持している。
【0049】
前記第2回収部14Bは、第3処理部11および第4処理部12において除去された空気10中のオイルミストや切削粉等の異物を回収する部分で、第3処理部11と第4処理部12の両方に延在する長さを有し、筐体本体3の底部に取付けられている。また、第2回収部14Bの前端には、オイル排出口70が設けられている。
【0050】
次に、このような構造からなるオイルミスト除去装置1の動作について説明する。
オイルミスト除去装置1を工作機械が稼働する工場内に設置し、駆動モータ47を駆動して吸込用ファン40を図9(a)において反時計方向に回転させる。
【0051】
吸込用ファン40が回転すると、オイルミスト、切削粉等の異物を含んだ筐体外部の空気10は、吸気口6から第1処理部7内に吸引され、衝突板24に衝突することにより、空気10中に含まれている粒子径の大きいオイルミストや切削粉等の異物が一次的に捕捉、除去される。すなわち、オイルミストは、衝突板24に当たると衝突板24に付着する。衝突板24に付着したオイルミストは、粒子が増えることにより油滴化し、第1処理部7から第2処理部8に流れ落ちて第1回収部14Aに回収される。同じく空気10中に含まれている切削粉や塵埃も衝突板24に当たって第2処理部8内に落下すると、第1回収部14Aに回収される。
【0052】
衝突板24に当たった空気10は、図7において右方に90°方向転換し、衝突板24に沿って径方向外方に進み、開口部26から第2処理部8内に流入し、円筒壁28に当たると円筒壁28に沿って遠心回転し、空気10中に残存しているオイルミストや切削粉等の異物を遠心力によって徐々に外側に移動させる。外側に移動したオイルミストや切削粉等の異物は、図7において反時計方向に略270°遠心回転すると、切削粉捕捉部29aに当たって二次的に捕捉され、第1回収部14Aに回収される。
【0053】
第2処理部8内を遠心回転する空気10は、吸引用ファン40による吸引力によって吸引されることにより、筒体54の吸込口59を通って吸引用ファン40の中心部に導かれ、遠心方向に加速されることにより、旋回流となって吸引ファン40の半径方向外側に斜めに排出され、捕集ユニット41を透過することによって空気10中に残存しているオイルミストや切削粉等の異物がさらに捕捉、除去される。すなわち、吸引ファン40から排出された空気10が捕集ユニット41を構成する捕集筒52A、52Bのミスト通路用孔55を順次通過するとき、空気10中に残存するオイルミストや切削粉等の異物は、ミスト通路用孔55の孔壁に当たって捕捉、除去される。
【0054】
ここで、捕集筒52A、52Bのミスト通路用孔55は、吸引用ファン40の軸線方向に長い長穴に形成し、空気10を旋回流となって吸込用ファン40の中心から半径方向外側に排出するようにしているため、その相乗効果としてミスト通路用孔55を円形に形成した場合に比べてミストの捕集効率を高めることができる。すなわち、吸引用ファン40から押し出されたオイルミスト、切削粉等を含んだ空気10は、旋回流のため図13に矢印で示すように吸込用ファン40の軸線に対して斜め方向に流れる。捕集筒52A、52Bのミスト通路用孔55は長穴からなり、空気10の流れに対して傾斜するように、言い換えれば空気10の流れに対して衝突面が多くなるように形成、配置されているので、オイルミストを含む空気10がミスト通路用孔55の孔縁と衝突を繰り返すことにより、多くのオイルミストがミスト通路用孔55の孔縁に付着し、捕集、除去され、結果として捕集効率を高めることができる。
【0055】
同様に、図14に示すようにリング53の通路孔56も長穴からなり、ミスト通路用孔55を通過した空気10が斜め方向に流れるため、空気10中に残っているオイルミストが通路孔56の孔縁に衝突して付着し、捕集、除去されることにより捕集効率を高める。
【0056】
リング53の通路用孔56を通過した空気10は、保持部材61の内部を通って整風部材60内に導かれ、モータ47の側面(外周)に沿って後方に進み、モータ47を冷却する。また、空気10は、整風部材60の小孔62を通過することにより整風されるとともに、空気10中に残存するオイルミストや切削粉等の異物が小孔62の孔縁に当たって除去され、清浄な空気10’として排気口13から筐体2の外部に排出される。
【0057】
このように本発明によるオイルミスト除去装置1は、衝突板24、多孔板からなる捕集筒52A、52B、リング53および整風部材60を用いてオイルミストや微細な切削粉等の異物を捕集、除去するようにしているので、フィルタを必要とせず、したがってフィルタの購入、廃棄費用等が発生せずランニングコストを低減することができる。
【0058】
また、本発明においては、第1処理部7から第2処理部8に導かれた空気10を円筒壁28に沿って遠心回転させることにより、比較的重いオイルミストや切削粉を遠心力によって外側に移動させ、除去するようしているので、簡単な構造にもかかわらずオイルミストや切削粉を確実に除去することができる。
【0059】
また、本発明に係るオイルミスト除去装置1においては、特に捕集筒52A、52Bのミスト通路用孔55を軸線方向に長い長孔としているので、丸孔に比べてオイルミストの捕集効率を向上させることができる。因みに、ミスト通路用孔55が直径3mmの丸孔からなる捕集筒と、幅2.4mm×長さ30mmの長孔からなる捕集筒を用いて、オイルミストの捕集効率を測定したところ、直径3mmの丸孔からなる捕集筒の捕集効率が44.7%であったのに対し、幅2.4mm×長さ30mmの長孔からなる捕集筒の場合は、その開口面積を約96%にすることができ、捕集効率を61.7%にすることができた。これはとりもなおさず上記した通り、吸込用ファン40により空気10を旋回流とし、長穴からなるミスト通路用孔55に対して衝突を繰り返すことにより衝突面が多くなることによるものと思われる。
【0060】
さらに、装置全体の捕集効率を測定したところ、特開平9−105399号公報に開示されている送風機の場合は、直径2μm以上の粒子径における捕集率が83%程度であったのに対し、本発明によるオイルミスト除去装置1によれば、直径2μm以上の粒子径における捕集率を99%にまで向上させることができることを確認した。
【0061】
また、本発明に係るオイルミスト除去装置1は、捕集ユニット41を第3処理部11に挿抜可能に収納し、前面扉4によって第3処理部11に固定しているので、捕集ユニット41の筐体2への装着、取り出し作業が簡単かつ容易で、装置の取扱性を向上させることができる。さらに、整風部材60も第4処理部12内に着脱可能に配置し、裏蓋5によって押圧、固定しているので、裏蓋5を取り外すと、整風部材60を容易に抜き出すことができ、一層取扱性を向上させることができる。
【0062】
また、多孔板からなる捕集筒52A、52、リング53および整風部材60は、孔が目詰まりした場合、圧搾空気によって簡単に除去することができるため、メンテナンスが容易で、再利用することができる。
【0063】
なお、本発明は上記した実施の形態に何ら特定されるものではなく、種々の変更、変形が可能であり、例えば捕集筒52A、52Bの数は2つに限らず、圧損を考慮して適宜増減することができる。また、モータ47を吸込用ファン4とともに第3処理部11内に配置してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…オイルミスト除去装置、2…筐体、3…筐体本体、3A…前面側開口部、3B…背面側開口部、4…前面扉、5…裏蓋、6…吸気口、7…第1処理部、8…第2処理部、10…空気、11…第3処理部、12…第4処理部、13…排気口、14…ミスト回収部、14A…第1回収部、14B…第2回収部、24…衝突板、25…側板、26…開口部、28…円筒壁、29a…切削粉捕獲部、36…仕切壁、38…捕集壁、40…吸込用ファン、41…捕集ユニット、47…モータ、50…前面板、52A、52B…捕集筒、55…ミスト通路用孔、56…通路孔、59…吸込口、60…整風部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に飛散、浮遊するオイルミストや微細な切削粉、塵埃等の異物を捕集、除去し、空気の清浄化を図るオイルミスト除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場などで用いられているこの種のオイルミスト除去装置としては、例えば特許文献1〜3に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているオイルミスト除去装置は、衝突板と、羽根車の上流側に位置しオイルミストを一次的に捕集、除去する入側コレクタと、羽根車の下流側に位置し残存オイルミストを二次的に捕集、除去する出側コレクタとを備えている。前記入側コレクタは、垂直もしくは傾斜した多数の独立したエアパスを備え、これによって吸引空気をエアパスの上端開口部から下端開口部に向けて流通させる通路集合体を構成している。出側コレクタは、繊維質の多層構造フィルタで構成されている。
【0004】
特許文献2に記載されているミストコレクタ装置は、ケーシングの吸込み側に回転自在に支承したミスト処理板と、ミスト処理板を回転させるモータと、ミスト処理板に対峙するように設けた吸込み手段とを備えている。前記ミスト処理板は、無数の細孔を有する1〜数枚の処理板で構成され、異物(浮遊ゴミ)の分離と、オイルの粒子化と、オイルと水の分離とを行なうようにしている。
【0005】
特許文献3に記載されているオイルミスト除去装置は、吸込み口および排出口を備えたケーシングの内部に第1〜第4処理部を設け、吸込み口からケーシングに吸込んだオイルミストを含んだ空気を、第1〜第4処理部によって処理し、分離したオイルを回収部に回収し、清澄化した空気を排出口より装置の外部に排気するようにしている。第1処理部は、リンクの中央通路に設けた傘状の衝突板を備えている。第2処理部は、パンチング板と、第1多孔質部材とで構成されている。第3処理部は、吸込みファンを取り囲む環状のパンチング板と、第2多孔質部材とで構成されている。第4処理部は、活性炭、ゼオライト、科学的薬剤、薬品等を含浸した一枚または数枚のフィルタで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−88050号公報
【特許文献2】特開2008−155093号公報
【特許文献3】特開2005−152805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に記載されているオイルミスト除去装置は、出側コレクタにフィルタを用いているので、フィルタが目詰まりすると空気の清浄化効率が低下し、また新しいフィルタと交換する必要があるため、ランニングコストが高くつくという問題があった。
【0008】
特許文献2に記載されているミストコレクタ装置は、遠心分離方式を採用しているため、オイルと粒子とを良好に分離することができるという利点を有するものの、無数の細孔を有する1〜数枚のミスト処理板を用いているので、細孔が切削粉によって目詰まりし易く、上記特許文献1と同様にミスト処理の効率が低く、また処理板のメンテナンスが面倒であるという問題があった。
【0009】
特許文献3に記載されているオイルミスト除去装置は、パンチング板と多孔質板の数が多く、製造コストの低減化の大きな障害となり、またこれらのメンテナンスが面倒である。また、フィルタを用いているので、上記特許文献1に開示されているオイルミスト除去装置と同様な問題があった。
【0010】
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、捕集効率を向上させるとともにメンテナンス性に優れたオイルミスト除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、吸気口および排気口を有する筐体と、前記筐体内に設けられた第1、第2、第3および第4処理部と、前記筐体の底部に設けられたミスト回収部とを具備してなり、前記第1処理部は、前記吸気口に対向して配設された衝突板を有し、前記第2処理部は、前記第1処理部を通った空気を遠心回転させる円筒壁を有し、前記第3処理部は、前記第2処理部内の空気を吸い込む吸込用ファンおよび多孔板からなる捕集筒を含み前記吸込用ファンの側面を取り囲む捕集ユニットとを備え、前記第4処理部は、多孔板によって形成され前記第3処理部を通った空気を整風し前記排気口から前記筐体の外部に排出する整風部材を備えているものである。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記捕集筒が軸線方向に長い多数のミスト通路用孔を有するものである。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記吸込用ファンが軸線方向から外気を吸入して半径方向外側に吐出させるターボファンからなるものである。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記筐体が、両端が開放する箱型の筐体本体と、前記筐体本体の前面側開口部と背面側開口部をそれぞれ閉塞する前面扉および裏蓋とを備え、前記前面扉は、前記吸気口と前記第1、第2処理部を有し、前記筐体本体が前記排気口と前記第3、第4処理部を有するものである。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記第1処理部が、前記衝突板の外周の一部と前記前面扉の背面を接続する側板とによって接続することにより、一側に開放する開口部を有し、前記吸気口から前記第1処理部内に導かれた空気が前記衝突板に当たって前記開口部から排出され、前記第2の処理部に導かれると前記円筒壁に沿って遠心回転するものである。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記捕集ユニットが、前記第3処理部内に着脱可能に収納され、前記前面扉によって押圧し支持されるものである。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記裏蓋が前記整風部材の一端を押圧し支持するものである。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記第3および第4処理部の境部には仕切壁が設けられ、前記仕切壁は、中央に前記吸込用ファンを駆動するモータが取り付けられ、前記仕切壁と前記捕集壁との間には前記第3および第4処理部を連通させる半径方向に長い多数の通路孔が形成されているものである。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記ミスト回収部が、前記吸込用ファンの回転方向側の側壁に前記第2処理部内に延在する切削粉捕獲部を有するものである。
【0020】
さらに、本発明は、上記発明において、前記モータが前記第4処理部内に位置し、前記整風部材が円筒状に形成されて前記第4処理部内に挿抜可能に配設され、前記モータの側面を取り囲むものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1処理部は、吸気口から筐体内に吸い込んだ空気に含まれている比較的大きくて重い切削粉や吸気口に導かれる過程で大きくなった粒子状のオイルミストを衝突板に衝突させて一時保持する。衝突板は、第1処理部を通った空気流を円筒壁に沿って遠心回転する気流生成機能を有する。第1処理部の衝突板に当たったオイルミストは、空気流に流されて第2処理部の円筒壁に沿って遠心回転し、外側に移動した比較的重いオイルミストが第2処理部によって捕捉される。第2処理部で捕捉されない比較的小さな切削粉やオイルミストを含んだ空気流は、遠心回転しながら吸込用ファンによって第3処理部に導かれ、捕集ユニットによって微細な切削粉やオイルミストが捕捉、除去される。
微細なオイルミストは、空気の流れに乗って移動するが、高速で物に衝突すると、オイルミストどうしが衝突し合うことで合体し、粒径が段々と大きくなり、微細な切削粉などはオイルミスト内に取り込まれることになる。この効果を実現するためには、空気の流れる抵抗は少なく衝突させるところが多いほどオイルミストの捕集効率が向上する。捕集ユニットは、多孔板からなる捕集筒を備えているので、捕集筒の孔縁に空気流が衝突することで、オイルミストの捕集効率を向上させることができる。
第4処理部の整風部材は、多孔板からなる整風部材によって第3処理部を通った空気中に残存している微細なオイルミスト、切削粉等の異物をさらに捕捉、除去し、清浄化した空気を整風して排気口から筐体外部に排出する。
【0022】
また、本発明においては、捕集筒のミスト通路用孔を軸線方向に長い長孔に形成しているのため、円形の孔に比べて孔縁の長さが長くて空気の流れに対して衝突面が多く、オイルミストの捕集効率を一層向上させることができる。
【0023】
また、本発明においては、第3、第4処理部の境部に設けた仕切壁と捕集壁との間に、第3、第4処理部を連通させる半径方向に長い多数の通路孔を設けているので、オイルミストの捕集効率を向上させるとともに、空気抵抗を低減することができる。
【0024】
また、本発明においては、捕集ユニットを第3処理部内に着脱可能に配置し、同じく整風部材を第4処理部内に着脱可能に配置しているので、これらの組込み、取外し作業が容易で、目詰まりした場合は圧搾空気の吹き付けによって簡単にクリーニングできるため、ランニングコストを低減することができる。
【0025】
また、本発明においては、ミスト回収部に2処理部内に延在する切削粉捕獲部を設けているので、円筒壁に沿って遠心回転する空気流中の比較的重い切削粉やオイルミストを捕捉、除去する。
【0026】
さらに、第4処理部内において、清浄化した空気が整風部材内を通り、モータの側面を通過することにより、モータを冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るオイルミスト除去装置の一実施の形態を示す外観斜視図である。
【図2】オイルミスト除去装置の前面扉を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】オイルミスト除去装置の裏蓋を外した状態を示す斜視図である。
【図4】オイルミスト除去装置の側面図である。
【図5】オイルミスト除去装置の正面図である。
【図6】オイルミスト除去装置の断面図である。
【図7】第1、第2処理部を示す図である。
【図8】第3処理部の要部の斜視図である。
【図9】(a)は吸込用ファンの正面図、(b)は吸込用ファンの側面図である。
【図10】捕集ユニットの外観斜視図である。
【図11】捕集ユニットの分解斜視図である。
【図12】裏蓋と整風部材の斜視図である。
【図13】捕集筒のミスト通路用孔を通過する空気の流れの方向を示す図である。
【図14】リングの通路孔を通過する空気の流れの方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜図7において、全体を符号1で示すオイルミスト除去装置は、筐体2を備えている。筐体2は、略立方体の筐体本体3と、筐体本体3の前面側開口部3Aを覆う前面扉4および背面側開口部3Bを覆おう裏蓋5とで構成されている。前面扉4には、吸気口6と、吸気口6から吸い込んだ筐体外部の空気10を処理する第1、第2処理部7、8が設けられている。筐体本体3には、第1、第2処理部7、8によって処理した空気10をさらに処理する第3、第4処理部11、12と、清浄化した空気10’を筐体2の外部に排出する排気口13が設けられている。
【0029】
さらに、オイルミスト除去装置1は、ミスト回収部14(図6)を備えている。ミスト回収部14は、第1回収部14Aと、第2回収部14Bとで構成されている。第1回収部14Aは、前記前面扉4の底部に第1、第2処理部7、8に対応して設けられ、第2回収部14Bは、前記筐体本体3の底部に第3、第4処理部11、12に対応して設けられている。
【0030】
図1〜図2、図4〜図6において、前記前面扉4は、略正方形の前面板15と前面板15の前面に設けられた第1円筒部16と、第1円筒部16の前面中央に突設された第2円筒部17とで構成されている。前面板15は、中心孔20(図2)と、裏面側に同心円状に突設した2重の環状押圧体21とを有し、右側縁が一対の蝶番18によって前記筐体本体3の前端縁に回動自在に枢着され、閉蓋時に一対のクランプ金具19によって左側縁が筐体本体3に係止される。
【0031】
第1円筒部16は、前面板15の中心孔20と略同じ大きさからなるリング状の円板16Aと、円板16Aの背面外周に接合された円筒体16Bとからなり、円筒体16Bの後端が前記前面板15の前面に接合されている。
【0032】
前記第2円筒部17は、円板16Aの中心孔22(図6)と略同じ内径を有する両端開放の筒体からなり、前記円板16Aの中央に複数のビス23(図4、図5)によって固定されている。第2円筒部17の内部は、前記第1処理部7の吸気口6を形成している。
【0033】
図2、図6および図7において、前記第1処理部7は、吸気口6から吸引された筐体外部の空気10中に含まれている主として比較的重いオイルミスト、切削粉等の異物を一次的に捕捉、除去する部分で、前記前面扉4の背面側、より詳述すると吸気口6と対向するように円板16Aの裏面側にこれと平行に設けられた衝突板24と、円板16Aと衝突板24を接続する側板25とで構成されている。衝突板24は、金属板の打ち抜き加工等によって一端側が略半円形、他端側が三角形で、全体形状が略雫型に形成されることにより、略水平な底面部24aと、底面部24aに対して80°前後の角度で交差する斜辺部24bと、略200°の円弧状部24cとで構成されている。側板25は、略C字状の帯状に形成され、衝突板24の斜辺部24bを除く外周部、すなわち底面部24aおよび円弧状部24cを円板16Aの裏面に接続している。このため、第1処理部7は、図2において斜辺部24bの側方に開放する開口部26を有し、この開口部26によって第1、第2処理部7、8を連通させている。開口部26は、斜辺部24bが図7において右下りに傾斜していることから、下端から上端に向かうにしたがって円筒体16Bとの間隔が広くなっており、これにより第1処理部7から開口部26を通って第2処理部8に導かれた空気10を円筒体16Bの内壁(以下、円筒壁という)28に沿って図7において反時計方向に遠心回転させるようにしている。
【0034】
前記第2処理部8は、前記第1処理部7を通過した空気10を円筒壁28に沿って遠心回転させ、第1処理部7で除去されなかった比較的重いオイルミストや切削粉等の異物を二次的に分離、除去する部分で、前記第1円筒部16Aの内部空間部分とされる(但し、第1処理部7を除く)。第2処理部8内における空気10の遠心回転方向は、後述する吸込用ファン40の回転方向(図9(a)の反時計方向)と一致している。空気10の遠心回転距離、すなわち図7において開口部26から第1回収部14Aまでの反時計方向周りの距離は、切削粉等の異物の捕集効率を高めるために長く設定されることが望ましい。すなわち、遠心回転する距離が長くなればなるほど遠心力により比較的軽量なオイルミストや切削粉であっても外側に移動させることができるため、より多くのオイルミストや切削粉を除去することができ、第1回収部14Aによって回収することができる。なお、実際には中心部寄りを遠心回転する一部の空気は、第1回収部14Aを越えて一周以上回転するものと思われる。
【0035】
前記第1回収部14Aは、第1、第2処理部7、8によって除去されたオイルミストや切削粉等の異物を回収する部分で、両端開放の異径筒体からなり、前記円筒体16Bの下面で前記第1、第2処理部7、8と対応する位置に設けられ、下端部が円筒体16Aの下方に突出している。また、第1回収部14Aの左右両側壁のうち、前記吸込用ファン40の回転方向側、言い換えれば空気10の遠心回転方向側である左側壁29(図7)の上端には、第2処理部8内に延在する切削粉捕獲部29aが一体に延設されており、これによってオイルミストや切削粉の捕集効率を高めるようにしている。すなわち、空気10を第2の処理部8内において遠心回転させると、比較的重いオイルミストや切削粉は、遠心力により徐々に回転半径が大きくなって外側に移動し、円筒壁28に沿って回転するようになるため、切削粉捕獲部29aに当たると付着もしくは落下して第1回収部14Aに回収される。そして、前記第2処理部8によって処理された空気10は、吸込用ファン40によって筐体本体3内に導かれ、第3、第4処理部11、12によってさらに処理される。
【0036】
図1〜図6および図8において、前記筐体本体3は、前面板3a、上面板3b、底面板3cおよび左右一対の側板3d、3eによって前方および後方に開放する略立方体からなる箱型に形成され、通常前面側開口部3Aが前記前面扉4によって閉塞され、背面側開口部3Bが前記裏蓋5によって閉塞されている。筐体本体3の内部は、仕切壁36によって前後2つの室に仕切られ、前方側の室が第3処理部11を形成し、後方側の室が第4処理部12を形成している。上面板3bには、前記排気口13が前記第4処理部12に対応して形成されている。底面板3cには、取付フランジ32が取り付けられている。右側板3dには、電源コードが接続される端子ボックス33が取り付けられている。
【0037】
前記第3処理部11は、空気10中に残存する微細なオイルや切削粉をさらに捕捉、除去する部分で、捕集壁38によって囲まれた内側部分とされ、内部に吸込用ファン40と捕集ユニット41が配置されている。
【0038】
前記捕集壁38は、両端開放の円筒体からなり、筐体本体3の前面側開口部3A内に配設され、前端が前記前面板3aの裏面に接合され、後端が前記上面板3bと底面板3cに突設したリブ39に接合されている。
【0039】
前記仕切壁36は、外径が前記捕集壁38の内径より小さい円板状に形成され、捕集壁38の後端側開口部を覆うように筐体本体3内に固定されている。仕切壁36と捕集壁38との間には、前記第3、第4処理部11、12を連通させる環状の通路37が形成されている。
【0040】
前記吸込用ファン40は、図9に示すように前面中央に形成された吸込用口45と、内部に形成された長さが長く後ろ向き(回転方向とは反対方向)に反った複数の羽根46とを有し、羽根46が回転することにより軸線方向から空気10を吸い込んで半径方向外側に旋回、吐出させるターボファン(遠心ファン)からなり、駆動モータ47(図6)の出力軸48に取り付けられ、捕集ユニット41の内部中央に配置されている。
【0041】
図10および図11において、前記捕集ユニット41は、中心孔51を有する前面板50と、前面板50の背面に取り付けられた大小2つの捕集筒52A、52Bと、捕集筒52A、52Bの後端に取り付けられたリング53と、前面板50の中央に突設した筒体54とで構成されている。捕集筒52A、52Bは、多孔板によって円筒状に形成されることにより、軸線方向に長い多数のミスト通路用孔55を有し、前面板50の背面に同心円状に取付けられている。リング53は、外径が捕集壁38の内径と略等しく、内径が内側の捕集筒52Aの内径と略等しいリングからなり、全周にわたって形成された空気10の通路を形成する半径方向に長い複数の通路孔56と、4つの位置決め用孔57を有している。
【0042】
このような捕集ユニット41は、筐体本体3の前方から第3処理部11内に着脱可能に、位置決め用孔57と位置決めピン58(図6)とによって位置決めされるとともに回転を防止され、前面扉4の閉成状態において裏面側に突設した環状押圧体22によって前面板50が押圧されることにより、前記第3処理部11内に固定され、リング53の外周縁が捕集壁38の内壁に密接され、内周縁が仕切壁36の前面外周縁に密接される。したがって、捕集ユニット41は、前面扉4を開くと第3処理部11に簡単に装着したり取り出すことができる。
【0043】
前記筒体54は、両端開放の筒体からなり、空気10を吸込用ファン40および捕集ユニット41内に導く吸込口59を形成している。
【0044】
図6において、前記第4処理部12は、第3処理部11からリング53の通路孔56を通って流入する空気10中に残存している僅かなオイルミストや切削粉等の異物をさらに捕捉、除去するとともに、整風して前記排気口13から筐体2の外部に排出する部分で、前記駆動モータ47と、整風部材60および整風部材60の前端を保持するロート状の保持部材61が配設されている。
【0045】
駆動モータ47は、前記仕切壁36の背面中央に水平に取り付けられ、出力軸48が仕切壁36に設けた穴を貫通して前記第3処理部11内に突出し、その突出端部に前記吸込用ファン40が取付けられている。
【0046】
前記整風部材60は、図12に示すように多孔板によって形成されることにより多数の小孔62を有する両端開放の円筒体からなり、前端が前記保持部材61の後端側開口部に後方から嵌合され、後端が前記裏蓋5によって支持されることにより、前記モータ47の側面(外周)を取り囲んでいる。
【0047】
前記保持部材61は、前端側開口部が後端側開口部より大きな穴径を有し、前端が前記捕集壁38の後端に固定され、後端側開口部に前記整風部材60の前端部が着脱可能に嵌合されている。
【0048】
前記裏蓋5は、筐体本体3の背面側開口部3Bに着脱可能に嵌合され、複数の取付けねじ63によって固定されている。この固定状態において、裏蓋5は整風部材60の後端を押圧し、前記保持部材61とともに整風部材60を保持している。
【0049】
前記第2回収部14Bは、第3処理部11および第4処理部12において除去された空気10中のオイルミストや切削粉等の異物を回収する部分で、第3処理部11と第4処理部12の両方に延在する長さを有し、筐体本体3の底部に取付けられている。また、第2回収部14Bの前端には、オイル排出口70が設けられている。
【0050】
次に、このような構造からなるオイルミスト除去装置1の動作について説明する。
オイルミスト除去装置1を工作機械が稼働する工場内に設置し、駆動モータ47を駆動して吸込用ファン40を図9(a)において反時計方向に回転させる。
【0051】
吸込用ファン40が回転すると、オイルミスト、切削粉等の異物を含んだ筐体外部の空気10は、吸気口6から第1処理部7内に吸引され、衝突板24に衝突することにより、空気10中に含まれている粒子径の大きいオイルミストや切削粉等の異物が一次的に捕捉、除去される。すなわち、オイルミストは、衝突板24に当たると衝突板24に付着する。衝突板24に付着したオイルミストは、粒子が増えることにより油滴化し、第1処理部7から第2処理部8に流れ落ちて第1回収部14Aに回収される。同じく空気10中に含まれている切削粉や塵埃も衝突板24に当たって第2処理部8内に落下すると、第1回収部14Aに回収される。
【0052】
衝突板24に当たった空気10は、図7において右方に90°方向転換し、衝突板24に沿って径方向外方に進み、開口部26から第2処理部8内に流入し、円筒壁28に当たると円筒壁28に沿って遠心回転し、空気10中に残存しているオイルミストや切削粉等の異物を遠心力によって徐々に外側に移動させる。外側に移動したオイルミストや切削粉等の異物は、図7において反時計方向に略270°遠心回転すると、切削粉捕捉部29aに当たって二次的に捕捉され、第1回収部14Aに回収される。
【0053】
第2処理部8内を遠心回転する空気10は、吸引用ファン40による吸引力によって吸引されることにより、筒体54の吸込口59を通って吸引用ファン40の中心部に導かれ、遠心方向に加速されることにより、旋回流となって吸引ファン40の半径方向外側に斜めに排出され、捕集ユニット41を透過することによって空気10中に残存しているオイルミストや切削粉等の異物がさらに捕捉、除去される。すなわち、吸引ファン40から排出された空気10が捕集ユニット41を構成する捕集筒52A、52Bのミスト通路用孔55を順次通過するとき、空気10中に残存するオイルミストや切削粉等の異物は、ミスト通路用孔55の孔壁に当たって捕捉、除去される。
【0054】
ここで、捕集筒52A、52Bのミスト通路用孔55は、吸引用ファン40の軸線方向に長い長穴に形成し、空気10を旋回流となって吸込用ファン40の中心から半径方向外側に排出するようにしているため、その相乗効果としてミスト通路用孔55を円形に形成した場合に比べてミストの捕集効率を高めることができる。すなわち、吸引用ファン40から押し出されたオイルミスト、切削粉等を含んだ空気10は、旋回流のため図13に矢印で示すように吸込用ファン40の軸線に対して斜め方向に流れる。捕集筒52A、52Bのミスト通路用孔55は長穴からなり、空気10の流れに対して傾斜するように、言い換えれば空気10の流れに対して衝突面が多くなるように形成、配置されているので、オイルミストを含む空気10がミスト通路用孔55の孔縁と衝突を繰り返すことにより、多くのオイルミストがミスト通路用孔55の孔縁に付着し、捕集、除去され、結果として捕集効率を高めることができる。
【0055】
同様に、図14に示すようにリング53の通路孔56も長穴からなり、ミスト通路用孔55を通過した空気10が斜め方向に流れるため、空気10中に残っているオイルミストが通路孔56の孔縁に衝突して付着し、捕集、除去されることにより捕集効率を高める。
【0056】
リング53の通路用孔56を通過した空気10は、保持部材61の内部を通って整風部材60内に導かれ、モータ47の側面(外周)に沿って後方に進み、モータ47を冷却する。また、空気10は、整風部材60の小孔62を通過することにより整風されるとともに、空気10中に残存するオイルミストや切削粉等の異物が小孔62の孔縁に当たって除去され、清浄な空気10’として排気口13から筐体2の外部に排出される。
【0057】
このように本発明によるオイルミスト除去装置1は、衝突板24、多孔板からなる捕集筒52A、52B、リング53および整風部材60を用いてオイルミストや微細な切削粉等の異物を捕集、除去するようにしているので、フィルタを必要とせず、したがってフィルタの購入、廃棄費用等が発生せずランニングコストを低減することができる。
【0058】
また、本発明においては、第1処理部7から第2処理部8に導かれた空気10を円筒壁28に沿って遠心回転させることにより、比較的重いオイルミストや切削粉を遠心力によって外側に移動させ、除去するようしているので、簡単な構造にもかかわらずオイルミストや切削粉を確実に除去することができる。
【0059】
また、本発明に係るオイルミスト除去装置1においては、特に捕集筒52A、52Bのミスト通路用孔55を軸線方向に長い長孔としているので、丸孔に比べてオイルミストの捕集効率を向上させることができる。因みに、ミスト通路用孔55が直径3mmの丸孔からなる捕集筒と、幅2.4mm×長さ30mmの長孔からなる捕集筒を用いて、オイルミストの捕集効率を測定したところ、直径3mmの丸孔からなる捕集筒の捕集効率が44.7%であったのに対し、幅2.4mm×長さ30mmの長孔からなる捕集筒の場合は、その開口面積を約96%にすることができ、捕集効率を61.7%にすることができた。これはとりもなおさず上記した通り、吸込用ファン40により空気10を旋回流とし、長穴からなるミスト通路用孔55に対して衝突を繰り返すことにより衝突面が多くなることによるものと思われる。
【0060】
さらに、装置全体の捕集効率を測定したところ、特開平9−105399号公報に開示されている送風機の場合は、直径2μm以上の粒子径における捕集率が83%程度であったのに対し、本発明によるオイルミスト除去装置1によれば、直径2μm以上の粒子径における捕集率を99%にまで向上させることができることを確認した。
【0061】
また、本発明に係るオイルミスト除去装置1は、捕集ユニット41を第3処理部11に挿抜可能に収納し、前面扉4によって第3処理部11に固定しているので、捕集ユニット41の筐体2への装着、取り出し作業が簡単かつ容易で、装置の取扱性を向上させることができる。さらに、整風部材60も第4処理部12内に着脱可能に配置し、裏蓋5によって押圧、固定しているので、裏蓋5を取り外すと、整風部材60を容易に抜き出すことができ、一層取扱性を向上させることができる。
【0062】
また、多孔板からなる捕集筒52A、52、リング53および整風部材60は、孔が目詰まりした場合、圧搾空気によって簡単に除去することができるため、メンテナンスが容易で、再利用することができる。
【0063】
なお、本発明は上記した実施の形態に何ら特定されるものではなく、種々の変更、変形が可能であり、例えば捕集筒52A、52Bの数は2つに限らず、圧損を考慮して適宜増減することができる。また、モータ47を吸込用ファン4とともに第3処理部11内に配置してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…オイルミスト除去装置、2…筐体、3…筐体本体、3A…前面側開口部、3B…背面側開口部、4…前面扉、5…裏蓋、6…吸気口、7…第1処理部、8…第2処理部、10…空気、11…第3処理部、12…第4処理部、13…排気口、14…ミスト回収部、14A…第1回収部、14B…第2回収部、24…衝突板、25…側板、26…開口部、28…円筒壁、29a…切削粉捕獲部、36…仕切壁、38…捕集壁、40…吸込用ファン、41…捕集ユニット、47…モータ、50…前面板、52A、52B…捕集筒、55…ミスト通路用孔、56…通路孔、59…吸込口、60…整風部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口および排気口を有する筐体と、
前記筐体内に設けられた第1、第2、第3および第4処理部と、
前記筐体の底部に設けられたミスト回収部とを具備してなり、
前記第1処理部は、前記吸気口に対向して配設された衝突板を有し、
前記第2処理部は、前記第1処理部を通った空気を遠心回転させる円筒壁を有し、
前記第3処理部は、前記第2処理部内の空気を吸い込む吸込用ファンおよび多孔板からなる捕集筒を含み前記吸込用ファンの側面を取り囲む捕集ユニットとを備え、
前記第4処理部は、多孔板によって形成され前記第3処理部を通った空気を整風し前記排気口から前記筐体の外部に排出する整風部材を備えているオイルミスト除去装置。
【請求項2】
請求項1記載のオイルミスト除去装置において、
前記捕集筒は、軸線方向に長い多数のミスト通路用孔を有するオイルミスト除去装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のオイルミスト除去装置において、
前記吸込用ファンは、軸線方向から外気を吸入して半径方向外側に吐出させるターボファンからなるオイルミスト除去装置。
【請求項4】
請求項1、2、3のうちのいずれか一項記載のオイルミスト除去装置において、
前記筐体は、両端が開放する箱型の筐体本体と、前記筐体本体の前面側開口部と背面側開口部をそれぞれ閉塞する前面扉および裏蓋とを備え、前記前面扉は、前記吸気口と前記第1、第2処理部を有し、前記筐体本体は、前記排気口と前記第3、第4処理部を有するオイルミスト除去装置。
【請求項5】
請求項4記載のオイルミスト除去装置において、
前記第1処理部は、前記衝突板の外周の一部と前記前面扉の背面とを側板によって接続することにより、一側に開放する開口部を有し、前記吸気口から前記第1処理部内に導かれた空気は、前記衝突板に当たって前記開口部から排出され、前記第2の処理部に導かれると前記円筒壁に沿って遠心回転するオイルミスト除去装置。
【請求項6】
請求項4または5記載のオイルミスト除去装置において、
前記捕集ユニットは、前記第3処理部内に着脱可能に収納され、前記前面扉によって押圧し支持されるオイルミスト除去装置。
【請求項7】
請求項4〜6のうちのいずれか一項記載のオイルミスト除去装置において、
前記裏蓋は、前記整風部材の一端を押圧し支持するオイルミスト除去装置。
【請求項8】
請求項1〜7記載のオイルミスト除去装置において、
前記第3および第4処理部の境部には仕切壁が設けられ、前記仕切壁は、中央に前記吸込用ファンを駆動するモータが取り付けられ、前記仕切壁と前記捕集壁との間には前記第3および第4処理部を連通させる半径方向に長い多数の通路孔が形成されているオイルミスト除去装置。
【請求項9】
請求項1〜8記載のオイルミスト除去装置において、
前記ミスト回収部は、前記吸込用ファンの回転方向側の側壁に前記第2処理部内に延在する切削粉捕獲部を有するオイルミスト除去装置。
【請求項10】
請求項8または9記載のオイルミスト除去装置において、
前記モータは前記第4処理部内に位置し、
前記整風部材は円筒状に形成されて前記第4処理部内に挿抜可能に配設され、前記モータの側面を取り囲むオイルミスト除去装置。
【請求項1】
吸気口および排気口を有する筐体と、
前記筐体内に設けられた第1、第2、第3および第4処理部と、
前記筐体の底部に設けられたミスト回収部とを具備してなり、
前記第1処理部は、前記吸気口に対向して配設された衝突板を有し、
前記第2処理部は、前記第1処理部を通った空気を遠心回転させる円筒壁を有し、
前記第3処理部は、前記第2処理部内の空気を吸い込む吸込用ファンおよび多孔板からなる捕集筒を含み前記吸込用ファンの側面を取り囲む捕集ユニットとを備え、
前記第4処理部は、多孔板によって形成され前記第3処理部を通った空気を整風し前記排気口から前記筐体の外部に排出する整風部材を備えているオイルミスト除去装置。
【請求項2】
請求項1記載のオイルミスト除去装置において、
前記捕集筒は、軸線方向に長い多数のミスト通路用孔を有するオイルミスト除去装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のオイルミスト除去装置において、
前記吸込用ファンは、軸線方向から外気を吸入して半径方向外側に吐出させるターボファンからなるオイルミスト除去装置。
【請求項4】
請求項1、2、3のうちのいずれか一項記載のオイルミスト除去装置において、
前記筐体は、両端が開放する箱型の筐体本体と、前記筐体本体の前面側開口部と背面側開口部をそれぞれ閉塞する前面扉および裏蓋とを備え、前記前面扉は、前記吸気口と前記第1、第2処理部を有し、前記筐体本体は、前記排気口と前記第3、第4処理部を有するオイルミスト除去装置。
【請求項5】
請求項4記載のオイルミスト除去装置において、
前記第1処理部は、前記衝突板の外周の一部と前記前面扉の背面とを側板によって接続することにより、一側に開放する開口部を有し、前記吸気口から前記第1処理部内に導かれた空気は、前記衝突板に当たって前記開口部から排出され、前記第2の処理部に導かれると前記円筒壁に沿って遠心回転するオイルミスト除去装置。
【請求項6】
請求項4または5記載のオイルミスト除去装置において、
前記捕集ユニットは、前記第3処理部内に着脱可能に収納され、前記前面扉によって押圧し支持されるオイルミスト除去装置。
【請求項7】
請求項4〜6のうちのいずれか一項記載のオイルミスト除去装置において、
前記裏蓋は、前記整風部材の一端を押圧し支持するオイルミスト除去装置。
【請求項8】
請求項1〜7記載のオイルミスト除去装置において、
前記第3および第4処理部の境部には仕切壁が設けられ、前記仕切壁は、中央に前記吸込用ファンを駆動するモータが取り付けられ、前記仕切壁と前記捕集壁との間には前記第3および第4処理部を連通させる半径方向に長い多数の通路孔が形成されているオイルミスト除去装置。
【請求項9】
請求項1〜8記載のオイルミスト除去装置において、
前記ミスト回収部は、前記吸込用ファンの回転方向側の側壁に前記第2処理部内に延在する切削粉捕獲部を有するオイルミスト除去装置。
【請求項10】
請求項8または9記載のオイルミスト除去装置において、
前記モータは前記第4処理部内に位置し、
前記整風部材は円筒状に形成されて前記第4処理部内に挿抜可能に配設され、前記モータの側面を取り囲むオイルミスト除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−279910(P2010−279910A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135950(P2009−135950)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(591113437)オーム電機株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(591113437)オーム電機株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
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