説明

オキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、及びラジアレン化合物、並びにこれらの利用方法

【課題】有機半導体のドーピング用のドーピング剤として使用でき、製造プロセスにおいてより容易に取り扱うことができ、有機半導体材料が再生可能な方法で製造することができる電子部品を生じる、新規な有機メソメリック化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】新たなオキソカーボン類、擬似オキソカーボン類、及びラジアレン類を製造することによるこれらの利用法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、電荷注入層や電極材に加えてブロッカー材としての電気的性質を変化させるための、有機半導体マトリックス材をドーピングする有機ドーピング剤としての使用に関するものであり、加えて、オキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、及びラジアレン化合物に関するものである。また、上記発明は、オキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、及びラジアレン化合物が使用される電子部品に関するものであり、加えて、有機半導体材料に関するものである。
【0002】
本出願では、全ての環を構成する原子がsp2混成であり、可能な範囲内で環外二重結合を有する脂環式類(alicyclics)は、ラジアレンと表される(H. Hopf and G. Maas, Angew. Chem. (1992),8,955参照)。最初のオキソカーボン化合物、クロコン酸カリウム(potassium croconate)は、炭酸カリウムと石炭とから1825年にL. Gmelinにより製造された。少なくとも1つの酸素原子が他のヘテロ原子に置き換わったこれらの化合物は、当業者によく知られているように、擬似オキソカーボンとして表される。
【0003】
ここ数年、有機半導体が電気伝導率に関して、ドーピングにより強く影響されることが知られている。このような有機半導体マトリックス材は、優れた電子供与特性を有する化合物、若しくは優れた電子受容特性を有する化合物の一方から、構成させることができる。テトラシアノキノジメタン(TCNQ)若しくは2,3,5,6−テトラフルオロ−テトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(FTCNQ)のような強い電子アクセプターは、電子ドナー材料(HT)のドーピング用として知られている(M. Pfeiffer, A. Beyer, T. Fritz, K. Leo, Appl. Phys. Lett., 73 (22), 3202−3204 (1998)、並びにJ. Blochwitz, M. Pfeiffer, T. Fritz, K. Leo, Appl. Phys. Lett., 73 (6), 729−731 (1998))。これらは、基材の伝導度が、程度の差はあるが著しく変化する、電子ドナーのような基材(ホール輸送材料)における、ホールの数と移動度とによる電子移動プロセスにより、いわゆるホールを発生させる。例えば、N,N’−パーアリール化(perarylated)ベンジジンTPDや、材料TDATAのようなN,N',N''−パーアリール化(perarylated)スターバースト化合物、又は特定の金属フタロシアニン(具体的には、亜鉛フタロシアニンZnPc等)が、ホール輸送特性を有するマトリックス材として知られている。
【0004】
しかしながら、上述した化合物は、ドープした半導体有機層、若しくはそのようなドープした層を有する対応する電子部品の製造における技術的用途において不利な点がある。これは、大規模の生産工場若しくは工業的規模での工業プロセスは、いつも十分に正確ではなく、所望の製品品質を達成するためのプロセスの範囲内での高制御及び調整によるコストを生じるか、製品の望ましくない許容誤差を生じるからである。更には、発光ダイオード(OLEDs)、電界効果トランジスタ(FET)若しくは太陽電池それら自身のような電子部品に関する、以前から知られている有機ドナーの使用においても不利な点がある。前述の製品の、ドーピング剤のハンドリングにおける困難性により、電子部品若しくは電子部品の熟成効果において、望ましくない不規則なものとなるからである。しかしながら、使用されるドーピング剤は、極端に高い電子親和力(還元電位)と、上記応用の場合に適した他の性質とを有する。これは、例えば、上記ドーピング剤は、与えられた条件下で、有機半導体層の電気伝導率若しくは他の電気的性質を共に決定するからである。上記マトリックス材のHOMOと、上記ドーピング剤のLUMOとのエネルギーの位置は、ドーピング効果の決め手となる。
【0005】
本発明は、上記技術の不利な点を克服するという課題を有する。具体的には、有機半導体のドーピング用のドーピング剤として使用でき、製造プロセスにおいてより容易に取り扱うことができ、有機半導体材料が再生可能な方法で製造することができる電子部品を生じる、新規な有機メソメリック化合物を製造することである。
【0006】
この課題は、本出願の独立請求項により解決される。好ましい典型的な実施形態は、下位クレームに由来する。
【0007】
上記発明に従った化合物では、更に技術的に興味深いホール輸送材料が、最初に、効率的に直ちにドープされるように、LUMOの位置が低い。上記化合物の極端に低いLUMOの位置、及び関連した高い還元電位により、太陽電池のパフォーマンスの効率でさえ、著しく改善させることができる。加えて、これらの化合物は、これらの高い極性により、有機層で極端に安定して拡散している。上記製造プロセスは、ドーピング剤として利用可能なオキソカーボン類、擬似オキソカーボン類、及びラジアレン類を製造することにより、部品の構造が均一であることを確保する、低い拡散係数で、特別の部品中でのドーピング材の有利な電子親和力を与える有機半導体マトリックスの十分な電気伝導度をもたらすことが可能となる。このため、より良く制御できるため、より低いコストで、そしてより高い蒸発温度及び同じ条件下でのより低い揮発性により再生可能な方法で、適切な時期に実行することができる。更には、ドープした層中への接点の上記電荷担体注入は、上記ドーピング剤により改善する。更には、上記ドープした有機半導体材料、及び結果として得られる上記電子部品は、上記発明に従って使用される化合物によって、改善された長期安定性を有し得る。これは、例えば、時間に伴う上記ドーピング濃度の減少に関係する。これは、更には、所定の長さでの光収率(light yield)、太陽電池の実効性等のような電気光学特性の増加した長期安定性を有する電気光学部品を生じるように、電気光学部品の非ドープ層に隣接して配置される、ドープした上記層の安定性に関係する。
【0008】
上記発明に従って使用される化合物を有する基材の蒸発速度は、例えば、OLEDsの製造等において通常使用されるような、石英厚さモニター(quartz thickness monitor)を使用して決定することができる。特に、マトリックス材とドーピング剤との蒸発速度の比は、上記ドーピング速度を調整するために、2つの別個の石英厚さモニターを使用した、これら独立した測定結果により測定される。
【0009】
上記発明に従って使用される上記化合物は、ほぼ分解しない、若しくは実質的に分解しないで蒸発することが好ましい。しかしながら、必要であれば、目的のある前駆体(purposeful precursors)でさえ、上記発明に従って使用される上記化合物を放つドーピング源としてとして使用できる。ドーピング源として、例えば、酸付加塩(例えば、揮発性若しくは非揮発性の無機酸若しくは有機酸の酸付加塩、又はこれらの電荷移動錯体)が挙げられる。ここで、酸及び/又は電子ドナーは、好ましくは揮発しない若しくは僅かに揮発し、又は上記電荷移動錯体自身がドーピング剤としての役割を果たす。
【0010】
上記ドーピング剤は、好ましくはFTCNQ以上の伝導度を所定の条件下で生じるように以下のように選択される。上記条件は、ドープ剤の種類以外の条件、具体的には、所定のマトリックス材(例えば、亜鉛フタロシアニン、又は以下で更に言及される別のマトリックス材)におけるドーピング濃度(モル比、ドーピング剤:マトリックス、層厚み、電流の強さ)は、同じである。上記伝導度(s/cm)は、例えば、ドーピング剤としてFTCNQを用いたものの1.1倍以上、1.2倍以上、又は1.5倍若しくは2倍以上である。
【0011】
本発明に従って使用される上記ドーピング剤は、それによりドープされた上記有機半導体有機材料の伝導度(s/cm)が、100℃からRT(20℃)への温度変化後で、100℃での値の20%より高く、好ましくは30%より高く、特に好ましくは50%より高く、若しくは60%となるように、好ましく選択される。
【0012】
上記発明の目的のために有利に使用することができる、好ましいオキソカーボン類、擬似オキソカーボン類、及びラジアレン類の僅かな例を下記に示す。
【0013】
[3]ラジアレン誘導体
【0014】
【化1】

R1=メチル、イソプロピル、t−ブチル
【0015】
【化2】

[4]ラジアレン誘導体
【0016】
【化3】

[5]ラジアレン誘導体
【0017】
【化4】

更なる、オキソカーボン構造、擬似オキソカーボン構造、及び[6]ラジアレン構造の誘導体
【0018】
【化5】

〔オキソカーボン構造、擬似オキソカーボン構造、及びラジアレン構造の生成〕
最初のオキソカーボン化合物、クロコン酸カリウム(potassium croconate)は、炭酸カリウムと石炭とから1825年にL. Gmelinにより製造された。オキソカーボン、及びこれらのエステル及びハロゲン化物は、脂肪族化合物及び芳香族アミン、芳香族及び複素環式芳香族化合物のような電子リッチ化合物と反応し易い(A.H. Schmidt,Synthesis (1980) 961)。例えば、アリールアセトニトリル類、1,3−ジケトン類、シクロペンタジエン類、マロノジニトリル類、アクセプター置換ジアリールメタン、電子プアなジヘテロアリールメタンのような、ルイス酸、又は強塩基によるCH−酸性化合物の存在下で、テトラクロロシクロプロペンとフェノールとの反応生成物は、上記発明による利用に特に適している。[3]ラジアレンは、酸化が行われた後に得られる(R.West et al. J. Org. Chem. (1975) 40 2295; T.Kazuka, T.Shinji J. Chem. Soc. Chem. Commun.(1994) 519; T.Fukunaga et al. JACS (1976) 98 610.)。
【0019】
その後に4[ラジアレン類]に酸化され得る、スクエア酸ジクロライド及びフェノールは、更に適切である(R.West, S.K.Koster J.Org.Chem. (1975) 40 2300)。CH−酸性メロン酸(melonic acid)ジニトリルの求核アニオンは、アルコールの分裂(splitting off of alcohol)下、優先的にエステルに置換され、ジアニオン性のスクエア酸化合物となり得る(T.Fukanaga J.Am.Chem.Soc. (1976) 98 610; W.Ziegenbein, H.−E.Sprenger Angew. Chem. (1967) 79 581; G.Seitz et al. Chem. Ber. (1987) 120 1691.)。これらのCN置換化合物の酸化は、従来、電気化学的にのみで成功していた(T.A.Blinka, R.West, Tetrahedron Lett. (1983) 24 1567.)。[4]ラジアレンは、ジキノンエチレン類の熱的二量化により作製され得る(R.West, S.K.Koster, JOC (1975) 40 2300.)。
【0020】
マロジニトリルと置換された、最初のクロコン酸(croconic acid)誘導体は、文献(Fatiadi,J.Org.Chem. (1980) 45 1338, J.Am.Chem.Soc.(1978)100 2586.)により製造することができる。これら化合物の酸化についても彼により電気化学的に調査された(A.J.Fatiadi,L.M.Doane,J.Electroanal.Chem.(1982)135 193−209.)。
【0021】
しかしながら、[6]ラジアレンでさえ周知である(H.Hopf, A.K.Wick Helv. Chim. Acta (1961)46 380−6.)。
【0022】
より最近の、少数の典型的なものは、ビデオの画面におけるエレクトロルミネセント材料として、色素として、光伝導体として、有機酸化剤として、電子写真で使用されていた、及び/又は使用されている(US 4003943 (1977),JP 07−168377,JP 2004010703 A (2004),US 4133821 (1979))。
【0023】
〔新規サイクリックオキソカーボン誘導体、及び擬似オキソカーボン誘導体の生成〕
〔実施例]
a)1,3−ビス(ジシアノメチレン)インダン−2−イリデン−ビス(4−オキソ−[3,5−ジ−t−ブチル]−2,5−シクロヘキサジエニリデン)−シクロプロパン
ビス(4−オキソ−[3,5−ジ−t−ブチル]−2,5−シクロヘキサジエニル)−シクロプロペノン4.75gと、1,3−ビス(ジシアノメチレン)−インダン3.5gと、β−アラニン60mgとを、12mLの無水酢酸に溶解させ、攪拌下で一時的に還流するように加熱する。上記混合物は、60mLのトルエンと混合して冷却し、赤茶色(reddish−brown)の結晶固体を吸引により取り除く。上記混合物は、その後、ベンゼン/トルエンで洗浄し、再結晶する(収量:4.6g)。
【0024】
上記赤茶色の結晶2.5gを、アルゴン下で、クロロホルム100mLに溶解し、赤い(red)フェロシアン化カリウム4.7gと、KOH8.8gの水150mLの溶液と一体とする。1時間の激しい攪拌の後、上記有機相を、NaSOで乾燥させ、蒸発により体積を減らし、生成物を再結晶した(収量:2.3g、黒っぽい緑色の結晶、fp.>250℃(分解下))。
【0025】
b)(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−ペンタフルオロフェニルアセトニトリル)
ペンタフルオロフェニルアセトニトリル4g(20mmol)のグリム10mL溶液を、グリム40mL中のNaH1.6gへ滴下して加え、氷水により冷却する。次に、テトラクロロシクロプロペン0.9のグリム10mL溶液を滴下して加えた。室温で24時間攪拌した後、上記暗い混合物を氷水に加え、CHClで抽出する。上記抽出物は、黒色固体をもたらす。上記未精製の中間生成物4gを、50mLのCHClに溶解し、この溶液に、2gのKCOを含む50mLの水を加える。0.5mLの臭素を、攪拌下で、この濃緑色の2相混合物へ加える。その後、上記相を分離し、上記有機相は、NaSOで乾燥させた後に、ロータリーエバポレータを用いて蒸発させる。残存するオレンジ色固体を、適切な溶媒を用いて再結晶する(収率:約70%、FP:182℃)。
【0026】
c)(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−[2’,3’,5’,6’−テトラフルオロピリッド−4’−イル]アセトニトリル)
グリム10mL中の2,3,5,6−テトラフルオロピリジルアセトニトリル4.75gを、グリム60mL中のLiH0.4gへ滴下して加える。その後、1.1gのテトラクロロシクロプロペンを上記溶液に滴下して加え、一晩攪拌する。上記混合物を氷水に注ぎ、EtOAcで抽出する。乾燥及び蒸発後、4.6g固体が残存する。上記固体2.25gを、AcOH50mLに溶解し、HNO(65%)5mLを加える。水を、このオレンジ−ブラウン溶液に加え、得られる沈殿物を分離し、水で洗い、乾燥する(収量;1g、Fp.:170℃)。
【0027】
d)(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−(2,6−ジクロロ−3,5−ジフルオロ−4−(トリスフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル)
LiH0.29gを68mLのグリム中に懸濁させ、冷却し、グリム6mL中の2,6−ジクロロ−3,5−ジフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトニトリル)5gを、アルゴン雰囲気下でゆっくりと加える。上記混合物を、室温まで加熱し、テトラクロロシクロプロペン0.8gを滴下し手加え、上記混合物を一晩攪拌する。上記溶液を氷水に注ぎ、得られる沈殿物を分離し、乾燥する(収量:4.7g)。上記生成物3.5gを、氷酢酸に溶解させ、冷却下で、HNO7mLを滴下して加え、その後、水を加え、得られる沈殿物を分離する。上記生成物を、適切な溶媒を利用して再結晶する(収率:72%、Fp.:185℃)。
【0028】
e)(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−シアノフェニルアセトニトリル)(2−2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニルアセトニトリル)
内部塩(Internal salt):2,3−ビス(シアノ(4−シアノ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)メチル)−1−トリエチルアミノ)シクロプロプ−2−エン−1−イド
300mLのCHCl中のテトラクロロシクロプロペン5.34gと、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−シアノベンジルシアニド13.8gを冷却し、トリエチルアミン17.1gを加える。得られる生成物を攪拌し、室温に加熱する。そして、水を加え、得られる黄色固体を除去し、洗浄し、空気で乾燥する(収率:93%)。
【0029】
THF15mL中の2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−ベンジルシアニド1.15gを、THF55mL中のLDA0.46gに滴下して加える。上記溶液を冷却し、DMPU中の内部塩2gの懸濁液を滴下して加える。上記溶液を氷水に注ぐ。上記沈殿物を除去し、水で洗浄し、その後真空で乾燥する(収率:100%)。
【0030】
酸化される上記材料2.7gを、70mL酢酸中に溶解し、HNO(65%)5.5mLを滴下して加える。そして、酸化される上記材料を、水で沈殿させる。分離後、水で洗浄し、真空で乾燥させ、上記生成物が得られた(収率:90%、Fp:>250℃)。
【0031】
f)(2E,2’E,2”E,2’’’E)−2,2’,2”,2’’’−(シクロプロパン−1,2,3,4−テトライリデン)テトラキス(2−2’,3’,5’,6’−テトラフルオロ−4’−シアノフェニル)アセトニトリル
1,2−ビス−トシル−3,4−ビス−ジメチルアミノ−クアドラタット(quadratat)1.2gを、ピリジン20mL中の2,3,5,6−テトラフルオロ−4−シアノ−ベンジルシアニド2.14gと16時間攪拌下で加熱する。上記溶液を濃縮し、氷水の中に加える。その後、EtOAcで抽出する。上記乾燥した抽出物を濃縮することにより、適切な溶媒で再結晶できる上記生成物が得られる(Fp.:>250℃)。
【0032】
〔マトリックス材〕
本発明では、OLEDs若しくは有機太陽電池に通常使用されるホール輸送材料HTのような、有機半導体材料用の適切なドーピング剤を説明する。上記半導体材料は、本質的にホールを伝導するものであることが好ましい。下記の事項は、上記発明による、上記オキソカーボンタイプ、及び擬似オキソカーボンタイプのドーピング剤に適用することができる。
【0033】
上記マトリックス材は、金属フタロシアニン錯体、ポルフィリン錯体、特に、金属ポルフィリン錯体、オリゴチオフェン化合物、オリゴフェニル化合物、オリゴフェニレンビニレン化合物、又はオリゴフルオレン化合物の、一部(>10重量%若しくは>25重量%)、大部分(>50重量%若しくは>75重量%)、又は全部からなり得る。ここで、上記オリゴマーは、好ましくは2〜500以上のモノマー単位、より好ましくは2〜100以上、2〜50以上、又は2〜10以上のモノマー単位を含む。上記オリゴマーは、>4、>6、>10、又はそれ以上のモノマー単位を含ませることもでき、上記示した範囲として具体的には、例えば、4若しくは6〜10モノマー単位、6若しくは10〜100モノマー単位、又は10〜500モノマー単位である。上記モノマー及びオリゴマーは、置換体若しくは非置換体とすることができ、前述のオリゴマーのブロック重合体(polymerizates)若しくは混合重合体(polymerizates)も、トリアリールアミン単位を有する化合物若しくはスピロ−ビフルオレン化合物と同様に、与えられる。前述のマトリクス材は、互いに組み合わせて与えることもでき、任意で他のマトリックス化合物と組み合わせることもできる。上記マトリックス材は、減少したイオン化エネルギーを有する、若しくはマトリックス材のイオン化エネルギーを減少させる、アルキル基若しくはアルコキシ基のような電子供与性置換基を有し得る。
【0034】
マトリックス材として使用される、上記金属フタロシアニン錯体、若しくはポルフィリン錯体は、主族金属原子(main group metal atom)若しくは亜族金属原子(subgroup metal atom)を有し得る。金属原子Meは、例えば、オキソ(Me=O)錯体、ジオキソ(O=Me=O)イミン錯体、ジイミン錯体、ヒドロキソ錯体、ジヒドロキソ錯体、アミノ錯体、又はジアミノ錯体の形式で、4倍、5倍、又は6倍配位結合させることができる。尚、錯体の形式はこれらには限定されない。上記フタロシアニン錯体、若しくはポルフィリン錯体は、それぞれ、部分的に水素化することができるが、上記メソメリック環系は、阻害されないことが好ましい。上記フタロシアニンは、中心金属として、例えば、マグネシウム、亜鉛、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、銅、又はバナジル(=VO)を含ませることができる。上記同じ若しくは他の金属原子、又はオキソメタル原子は、ポルフィリン錯体の場合に与えることができる。
【0035】
具体的には、そのようなドープすることができるホール輸送材料HTは、アリール化ベンジジン、例えば、N,N’−パーアリール化ベンジジン類、若しくはTPD型のような他のジアミン(ここで、1つ、複数又は全てのアリール基が芳香族へテロ原子を含み得る)、化合物TDATA(ここで、1つ、複数又は全てのアリール基が芳香族へテロ原子を含み得る)等のN,N’,N’’−パーアリール化スターバースト化合物のような適切なアリール化スターバースト化合物とすることができる。上記アリール基は、フェニル、ナフチル、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ペリダジン(peridazine)、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、フラン、ピロール、インドール等、特に、上述の各化合物、を含ませることができる。上記特定の化合物のフェニル基は、部分的に若しくは完全にチオフェン基に置き換えることができる。
【0036】
【化6】

上記使用される材料は、金属フタロシアニン錯体、ポルフィリン錯体、トリアリールアミン単位を有する化合物、又はスピロ−ビフルオレン化合物のみからなることが好ましい。
【0037】
他の適切な有機マトリックス材、特にホール−伝導材料であっても、半導体特性を有するものとして使用できることが理解できる。
【0038】
〔ドーピング〕
上記ドーピングは、具体的には、ドーピング剤に対するマトリックス分子のモル比、若しくはオリゴマーのマトリックス材の場合はドーピング剤に対するマトリックスモノマー数の比が、1:100000、好ましくは1:10000、特に好ましくは1:5〜1:1000、例えば、1:10〜1:100、例えば、約1:50〜1:100若しくは1:25〜1:50となるような方法で行うことができる。
【0039】
〔上記ドーピング剤の蒸発〕
本発明により使用される、ドーピング剤を有する特定のマトリックス材(ここでは、なるべく、ホール−伝導マトリックス材HTとして示す)の上記ドーピングは、以下のプロセスの1つ若しくは組合せにより実現できる。
a)HT源とドーピング剤源と共に、真空下での混合蒸発(mixed evaporation)。
b)HTとドーピング剤の逐次堆積、並びにその後の熱処理によるドーピング剤の内部拡散。
c)ドーピング剤溶液によるHT層のドーピング、並びにその後の熱処理による溶剤の蒸発。
d)ドーピング剤層をHT層の表面に加えることによる、HT層の表面ドーピング。
【0040】
上記ドーピングは、上記ドーピング剤が、加熱及び/又は照射下で、上記ドーピング剤を放出する前駆体化合物から外へ、蒸発されるような方法で行うことができる。上記照射は、例えば、レーザー光若しくは他の照射形式で、電磁放射、特に、可視光、UV光、又はIR光により行うことができる。蒸発に必要な熱は、実質的には、上記照射により利用できる。また、蒸発に必要な熱は、励起状態への変換による錯体の解離によって、化合物の蒸発を容易にする目的で、蒸発する、上記化合物、前駆体、又は電荷移動錯体のような化合物錯体の特定のバンドへの意図的な方法で照射することもできる。以下に記載する蒸発条件は、照射を行わない条件であり、均一な蒸発条件が、比較のために用いられることが理解される。
【0041】
例えば、下記のものは、前駆体化合物として使用できる。
【0042】
a)上記ドーピング化合物と、不活性で、非揮発性物質(例えば、ポリマー、モルキュラーシーブ、酸化アルミニウム、シリカゲル、及びオリゴマー、又は、高い蒸発温度を有する有機若しくは無機物質)との、混合物、化学量論の若しくは混晶化合物。ここで、上記ドーピング剤は、これら化合物とのファンデルワールス力及び/又は水素架橋結合により主として結合している。
【0043】
b)上記ドーピング剤と、ほぼ電子ドナー型である、ある非揮発性化合物Vとの混合物、又は化学量論若しくは混晶化合物。ここで、例えば、ほぼ電子リッチの多環芳香族類、ヘテロ芳香族類、又は、高い蒸発温度を有する他の有機若しくは無機物質との電荷移動錯体の場合では、ほぼ完全な電荷移動が、上記ドーピング剤と化合物Vとの間で生じる。
【0044】
c)上記ドーピング剤と、有機マトリックス材においてホールのトラップを形成しないように、ドープされる物質HTと同じ若しくはより高いイオン化エネルギーを有し、ドーピング剤と共に蒸発する物質との、混合物、又は化学量論の結晶若しくは混晶化合物。上記発明によれば、上記物質は、ここではマトリックス材と同じとすることもでき、例えば、金属フタロシアニン若しくはベンジジン誘導体とすることができる。更には、ハイドロキノン類、1,4−フェニレンジアミン、1−アミノ−4−ヒドロキシベンゼン、又はキンヒドロンを形成するその他の化合物、他の電荷移動錯体のような、適切な揮発性共物質。
【0045】
〔電子部品〕
複数の電子部品、若しくはこれらを含む装置は、特に、層若しくは電線路経路(electrical line paths)の形式で、配置することができる、ドープした有機半導体材料を作り出す上記発明に従って、上記有機化合物を用いて製造することができる。特に、上記発明による上記ドーピング剤は、有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池、有機ダイオード(特に、高い整流比(例えば、103〜107、好ましくは104〜107又は105〜107)を有するもの)、又は有機電界効果トランジスタを製造することに用いることができる。上記ドープ層の伝導度、及び/又は、ドープした層への接点の電荷担体の注入の向上の度合いは、本発明によるドーピング剤により改善することができる。特に、OLEDsの場合では、上記部品は、PIN構造若しくは逆の構造とすることができ、これらには限定されない。しかしながら、上記発明によるドーピング剤の使用は、上述した有利な典型的な実施形態には限定されない。
【0046】
〔典型的な実施形態〕
上記発明は、少しの典型的な実施形態と共に詳細に説明されるであろう。上記発明に従って使用される上記化合物(具体的には、上記オキソカーボン化合物及び上記擬似オキソカーボン化合物の上述した物質類からの上述した典型的な化合物)は、例えば、OLEDのような、特定の超小型電子部品若しくは光電子部品を構成するために一部に使用される、異なるホール伝導体のためのドーピング剤として後述の方法で使用される。上記ドーピング剤は、上記マトリックスのホール輸送材料と同時に、高真空下(約2×10−4Pa)、高温で、互いに近接して、蒸発させることができる。マトリックス材としての典型的な基材の蒸発速度は、0.2nm/s(密度は、約1.5g/cm)である。上記ドーピング剤の蒸発速度は、所望のドーピング比に従って、見込まれる同じ密度で、0.001〜0.5nm/sの間で変化し得る。後述の実施例では、電流測定は、ZnPcが電流を実質的に伝導しない条件下で、1Vで、長さ1mm及び幅約0.5mmのドープしたHT材料の電流路上で実行した。
【0047】
〔実施例〕
〔実施例1〕
ジシアノメチレンビス(4−オキソ−[3,5−ジ−t−ブチル]−2,5−シクロヘキサジエニリデン)シクロプロパンによるZnPcのドーピング
伝導度:1.5×10−5s/cm
〔実施例2〕
ジシアノメチレンビス(4−オキソ−[3,5−ジ−t−ブチル]−2,5−シクロヘキサジエニリデン)シクロプロパンによるスピロ−TTPのドーピング
伝導度:3.6×10−7s/cm
〔実施例3〕
1,3−ビス(ジシアノメチレン)インダン−2−イリデン−ビス(4−オキソ−[3,5−ジ−t−ブチル]−2,5−シクロヘキサジエニリデン)シクロプロパンによるZnPCのドーピング
伝導度:5.8×10−6s/cm
〔実施例4〕
1,3−ビス(ジシアノメチレン)インダン−2−イリデン−ビス(4−オキソ−[3,5−ジ−t−ブチル]−2,5−シクロヘキサジエニリデン)シクロプロパンによるスピロ−TTPのドーピング
伝導度:5×10−7S/cm
〔実施例5〕
(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−ペンタフルオロフェニルアセトニトリル10%によるN4,N4’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(N4,N4’,N4’−トリフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン)のドーピング
伝導度:3.21×10−6S/cm
〔実施例6〕
(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−ペンタフルオロフェニルアセトニトリル)10%によるスピロ−TTPのドーピング
伝導度:1.89×10−6S/cm
〔実施例7〕
(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−ペンタフルオロフェニルアセトニトリル)10%による4,4’−ビス(10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン−5−イル)ビフェニルのドーピング
伝導度:1.55×10−7S/cm
〔実施例8〕
(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−(シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−[2’,3’,5’,6’−テトラフルオロピリド−4’−イル]アセトニトリル)5%によるスピロ−TTPのドーピング
伝導度:4.35×10−5S/cm
〔実施例9〕
(2E,2’E,2”E)−2,2’,2”−シクロプロパン−1,2,3−トリイリデン)トリス(2−[2’,3’,5’,6’−テトラフルオロピリド−4’−イル]アセトニトリル)5%によるa−NPDのドーピング
伝導度:1.28×10−5S/cm
〔実施例10〕
(N,N’,N”,N’’’−シクロブタン−1,2,3,4−テトライリデン)テトラアニリン5%によるZnPcのドーピング
伝導度:1.3×10−6S/cm
〔実施例11〕
(2E,2’E,2”E,2’’’E)−2,2’,2”,2’’’−(シクロブタン−1,2,3,4−テトライリデン)N,N’,N”,N’’’−シクロブタン−1,2,3,4−テトライリデン)テトラキス(2−パーフルオロフェニル)アセトニトリル)5%によるスピロ−TTPのドーピング
伝導度:3.3×10−5S/cm
上述の記載及び上記請求項において開示した発明の特徴は、その各種実施形態において、上記発明の実現のための任意の組合せることができるであるのと同様に、一つ一つ必須なものとすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機半導体マトリックス材のドーピング用の有機ドーピング剤として、ブロッカー層として、電荷注入層として、又は有機半導体自体としての有機メソメリック化合物の利用方法であり、
上記メソメリック化合物は、下記式
【化1】

(式中、n=1〜4であり、X、X、X、X及びXは、それぞれ独立して、C(CN)、(CF)C(CN)、(NO)C(CN)、C(ハロゲン)、C(CF、NCN、O、S、NR
【化2】

(式中、Yは、CN、NO、COR、若しくはパーハロゲン化アルキルであり、
Aryl若しくはArは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素若しくはビアリール、任意で、ポリサイクリックであり、
hetarylは、置換若しくは非置換の芳香族ヘテロサイクリック化合物若しくはビヘテロアリールであり、好ましくは電子プアであり、任意で、多核の、又は部分的若しくは完全に水素化若しくはフッ素化したものであり、
〜Rは、独立して、水素、ハロゲン、CN、NO、COR、アルキル、アルコキシ、アリール、及びヘテロアリールから選択される)
からなる群から選択される)
で表されるオキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、又はラジアレン化合物であることを特徴とする方法。
【請求項2】
Yは、CFのようなパーフルオロアルキルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アリールは、部分的に若しくは完全に水素化若しくはフッ素化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
hetarylは、ピリジル、ピリミジル、トリアジン、及びオキサジアゾールから選択されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
〜Rは、独立して、パーハロゲン化、及び/又は部分的にハロゲン化したアルキル基、特にパーフルオロ化アルキル基から選択されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
下記式
【化3】

(式中、n=1〜4であり、
n=1では、X〜Xは、それぞれ独立して、請求項1の構造A〜Wに加えて、C(CN)、(CF)C(CN)、C(CF、Oから選択され、
Yは、CN、COR、パーハロゲン化アルキル基、特にパーフルオロアルキルから選択され、
Aryl若しくはArは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素、同様に、ポリサイクリック、及びビアリールから選択され、部分的に若しくは完全に水素化若しくはフッ素化したものであり、
hetaryl及びビヘタリール(bihetaryl)は、置換若しくは非置換の芳香族ヘテロサイクリック化合物から選択され、好ましくは電子プアな化合物であり、同様に、多核の、及び部分的に若しくは完全に水素化若しくはフッ素化した複素環式芳香族化合物であり、
〜Rは、独立して、水素、ハロゲン、CN、NO、COR、パーハロゲン化及び/又は部分的にハロゲン化したアルキル基、置換及び/又は非置換のアリール基、及びヘテロアリール基であり;
n=2では、X〜Xは、それぞれ独立して、請求項1の構造A〜Wに加えて、C(CN)、(CF)C(CN)、(NO)C(CN)、C(CF、NCN、O、S、NRから選択され、
Yは、CN、NO、COR、パーハロゲン化アルキル基、特に、CF以外のパーフルオロアルキルから選択され、
Aryl若しくはArは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素、同様にポリサイクリック、及びビアリールから選択され、部分的若しくは完全に水素化若しくはフッ素化したものであり、
hetarylは、置換若しくは非置換の芳香族ヘテロサイクリック化合物、特に電子プアな化合物から選択され、同様に多核であり、部分的若しくは完全に水素化若しくはフッ素化されており、
〜Rは、独立して、水素、ハロゲン、CN、NO、COR、アルキル、アルコキシ、好ましくはパーハロゲン化及び/又は部分的にハロゲン化したアルキル、特にパーフッ素化したアルキル、置換及び/又は非置換アリール基及びヘテロアリール基から選択され;
n=3では、X〜Xは、それぞれ独立して、請求項1の構造A〜Wに加えて、C(CN)、(CF)C(CN)、(NO)C(CN)、C(ハロゲン)、C(CF、NCN、O、S、NRから選択され、
Yは、CN、COR、パーハロゲン化アルキル基、特にパーフルオロアルキルから選択され、
Aryl若しくはArは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素、同様にポリサイクリック、及びビフェニルから選択され、同様に部分的若しくは完全に水素化若しくはフッ素化されており、
hetarylは、置換若しくは非置換の芳香族ヘテロサイクリック化合物、特に電子プアな化合物から選択され、同様に多核であり、同様に部分的若しくは完全に水素化若しくはフッ素化しており、
〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、CN、NO、COR、アルキル、アルコキシ、好ましくはパーハロゲン化及び/又は部分的にハロゲン化したアルキル、特にパーフッ素化アルキル、置換及び非置換のアリール基及びヘテロアリール基から選択され;
n=4では、
〜Xは、それぞれ独立して、請求項1の構造A〜Wに加えて、C(CN)、(CF)C(CN)、(NO)C(CN)、C(ハロゲン)、C(CF、NCN、O、S、NRから選択され、
Yは、CN、COR、パーハロゲン化アルキル基、特にパーフルオロアルキルから選択され、
Aryl若しくはArは、置換若しくは非置換の芳香族炭化水素から選択され、同様にポリサイクリックであり、同様に部分的若しくは完全に水素化若しくはフッ素化しており、
hetarylは、置換若しくは非置換の芳香族ヘテロサイクリック化合物、特に電子プアな化合物から選択され、同様に多核であり、同様に部分的若しくは完全に水素化若しくはフッ素化されており、
〜Rは、独立して、水素、ハロゲン、CN、NO、COR、アルキル、アルコキシ、好ましくはパーハロゲン化及び/又は部分的にハロゲン化したアルキル、特にパーフッ素化したアルキル、置換及び非置換のアリール基及びヘテロアリール基から選択され、以下の化合物は除外される。
a)n=1;X、X、X=Bであり、X=O;R及びR=H、及びR=R=CH若しくはC若しくはCH(CH若しくはC(CH
b)n=1;X、X=Bであり、X=O;X=C(CN)若しくはX=O;R及びR=H、及びR=R=CH若しくはC若しくはCH(CH若しくはC(CH
c)n=1;X=X=C(CN)、C(CN)(COOR)、C(COOR)、C(COR)、C(CN)(COR)、C(COR)(COOR)、ここでR=C〜Cのアルキルである;X=C(CN)、(C)C(CN)、(C)C(COR)、(CSO)C(CN)、ここでR=C〜Cのアルキルである;
d)n=1;X=X=Kであり、X=O;R1−8=水素;X=O、C(CN)、基礎構造Kであり、X=O及びR1−8=水素;
e)n=1;X=X=E及びX=O及びR1−3,6=H及びR4,5=C(CH;X=Eであり、X=O及びR1−3,6=H及びR4,5=C(CH
f)n=1;X=X=X=NCN;
g)n=1;X=X=X=基礎構造Cであり、X=C(CN)
h)n=1;X=X=X=基礎構造R若しくはT;
i)n=2;X=X=X=R若しくはT;
j)n=2;X=X=O若しくはS;X=C(CN)若しくは基礎構造R(Ar=フェニルアルキルフェニル、アルコキシフェニル)若しくは基礎構造W(R1−8=H)若しくは基礎構造B(X=O及びR1−4=H、アルキル);
k)n=2;X=X=X=基礎構造S、Ar=フェニル、Y=CF
l)n=2;X、X、X=Bであり、X=O;R及びR=H及びR=R=CH若しくはC若しくはCH(CH若しくはC(CH
m)n=3;X=X=X=O若しくはC(CN)
n)n=3;X=X=X=基礎構造R若しくはT;
o)n=4;X=X=X=基礎構造R若しくはT)
で表されるオキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、又はラジアレン化合物。
【請求項7】
hetarylが、ピリジル、ピリミジル、トリアジン、及びオキサジアゾールから選択されることを特徴とする請求項6に記載のオキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、及びラジアレン化合物。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の、オキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、及びラジアレン化合物、又はこれらのラジカルアニオン塩、ジアニオン塩、若しくはドナーとの電荷移動錯体の、強磁性体としての利用方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の、オキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、及びラジアレン化合物、又はこれらのラジカルアニオン塩、ジアニオン塩、若しくはドナーとの電荷移動錯体の、有機導体としての利用方法。
【請求項10】
少なくとも1種の有機マトリックス化合物と1種のドーピング剤とを含む有機半導体材料であり、
上記ドーピング剤は、1以上の、請求項1〜5の何れか1項に記載の、オキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、又はラジアレン化合物であることを特徴とする有機半導体材料。
【請求項11】
マトリックス分子に対するドーピング剤のモルドーピング比、及び/又は重合体のマトリックス分子のモノマーユニットに対するドーピング剤の当該ドーピング比が、1:1と1:100,000との間であることを特徴とする請求項10に記載の有機半導体材料。
【請求項12】
電子的機能的活性領域(electronically functionally active area)を有する電子部品であり、
上記電子的機能的活性領域は、少なくとも1以上の、請求項1〜5の何れか1項に記載の、オキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、又はラジアレン化合物を用いて作り出されることを特徴とする電子部品。
【請求項13】
上記電子的機能的活性領域は、少なくとも1以上の、請求項1〜5の何れか1項に記載の、オキソカーボン化合物、擬似オキソカーボン化合物、又はラジアレン化合物を用いて、半導体マトリックス材の電子的性質を変化させるための少なくとも1種のドーピング剤よりドープされた有機半導体マトリックス材を含むことを特徴とする請求項11に記載の電子部品。
【請求項14】
有機発光ダイオード、光電池、有機太陽電池、有機ダイオード、又は有機電界効果トランジスタの形式である請求項11又は12に記載の電子部品。

【公開番号】特開2009−10338(P2009−10338A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−117345(P2008−117345)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(503180100)ノヴァレッド・アクチエンゲゼルシャフト (47)
【Fターム(参考)】