説明

オキソノール化合物の製造方法

【課題】収率の高い汎用性のあるオキソノール化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物を反応させて一般式(I)で表されるオキソノール化合物を製造する方法において、塩基の存在下、10〜−30℃の反応温度で反応させる一般式(I)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
【化1】


式中、Za1は酸性核を形成する原子群を表し、Ma1、Ma2及びMa3は各々置換または無置換のメチン基を表し、mは0〜3の整数を表し、Qは電荷を中和するイオンを表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。R1及びR2は各々置換基を表し、R3は水素原子または置換基を表し、p及びqは各々0〜5の整数を表す。L1は水素原子または脱離基を表し、Za1は前記と同義である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高エネルギー密度のレーザ光を用いて情報の書き込み(記録)や読み取り(再生)が可能なヒートモード型の情報記録媒体に用いられるオキソノール化合物の製造方法(合成法)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な情報記録媒体(光ディスク)が知られている。該情報記録媒体は、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、従来のCDの作製に比べて少量のCDを手頃な価格でしかも迅速に提供できる利点を有しており、最近のパーソナルコンピュータの普及に伴ってその需要も増大している。CD−R型の情報記録媒体の代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属からなる反射層、更に樹脂製の保護層をこの順に積層したものである。そして光ディスクへの情報の記録は、近赤外域のレーザ光(通常780nm付近の波長のレーザ光)を照射して記録層を局所的に発熱変形させることにより行われる。一方情報の読み取り(再生)は通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を照射して、記録層が発熱変形された部位(記録部分)と変形されない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより行われている。また、追記型デジタル・ビデオ・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが提案されている。DVD−Rは、可視レーザ光(通常600nm〜700nmの範囲の波長のレーザ光)を照射することにより、記録及び再生が行われ、CD−R型の光ディスクよりも高密度の記録が可能である。
特開昭63−209995号公報[特許文献1]には、オキソノール色素からなる記録層が基板上に設けられたCD−R型の情報記録媒体が開示されている。この色素化合物を用いることにより、長期間にわたり安定した記録再生特性を維持し得るとされている。そしてここには、分子内に塩の形でアンモニウムが導入されたオキソノール色素化合物が記載されている。また、特開2000−52658号公報[特許文献2]には、DVD−R用色素として高い耐光性と耐久性を示し、良好な記録特性の光情報記録媒体を提供するオキソノール色素化合物が記載されている。
【0003】
特開平10−297103公報[特許文献3]、特開2000−52658号公報[特許文献2]および特開2002−249674号公報[特許文献4]には種々のオキソノール色素化合物の合成法の記載がある。合成は、メルドラム酸型誘導体とN,N’−1,3−ペンタジエン−1−イル−5−イリデンジアニリン塩酸塩またはN,N’−1,3,5−ヘプタトリエン−1−イル−7−イリデンジアニリン塩酸塩とを反応溶媒及び塩基の存在、室温で反応させることにより目的のオキソノール色素またはその第4級アンモニウム塩を合成する方法が記載されている。しかしながら、記載の方法では目的の化合物によっては副生成物の生成により収率の低いものが含まれるなど目的の化合物により収率が大きく異なっていた。特に、メルドラム酸型誘導体とN,N’−1,3,5−ヘプタトリエン−1−イル−7−イリデンジアニリン塩酸塩との反応において副生成物が生成する割合が多く目的のオキソノール色素化合物の収率が低いことが問題であった。そのため、基質の変化によっても収率の高い汎用性のあるオキソノール色素化合物の製造法が望まれていた。
【特許文献1】特開昭63−209995号公報
【特許文献2】特開2000−52658号公報
【特許文献3】特開平10−297103号公報
【特許文献4】特開2002−249674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は収率の高い汎用性のあるオキソノール色素化合物の製造法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発明者による鋭意検討の結果、下記の手段によりオキソノール化合物の収率を向上させ、かつ汎用性のある合成法を見出した。
【0006】
(1)一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物を反応させて一般式(I)で表されるオキソノール化合物を製造する方法において、塩基(好ましくは一般式(II)で表される化合物に対して2〜10当量の塩基)の存在下、10〜−30℃(10℃以下−30℃以上)の反応温度で反応させることを特徴とする一般式(I)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
一般式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、Za1は酸性核を形成する原子群を表し、Ma1、Ma2およびMa3は各々独立に置換または無置換のメチン基を表し、mは0〜3の整数を表し、Qは電荷を中和するイオンを表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。]
一般式(II)
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、R1およびR2は置換基を表し、R3は水素原子または置換基を表し、pおよびqは各々独立に0〜5の整数を表す。Ma1、Ma2、Ma3およびmは前記と同義である。]
一般式(III)
【0011】
【化3】

【0012】
[式中、L1は水素原子または脱離基を表し、Za1は前記一般式(I)におけると同義である。]
【0013】
(2)一般式(V)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物を反応させて一般式(IV)で表されるオキソノール化合物を製造する方法において、塩基(好ましくは一般式(V)で表される化合物に対して1〜10当量の塩基)の存在下、10〜−30℃(10℃以下−30℃以上)で反応させることを特徴とする一般式(V)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
一般式(IV)
【0014】
【化4】

【0015】
[式中、Za1およびZa2は各々独立に酸性核を形成するのに必要な原子群を表し、Ma4、Ma5およびMa6は各々独立に置換または無置換のメチン基を表し、nは0〜3の整数を表し、Qは電荷を中和するイオンを表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。]
一般式(V)
【0016】
【化5】

【0017】
[式中、R4は置換基を表し、R5は水素原子または置換基を表し、rは0〜5の整数を表す。Za2、Ma4、Ma5、Ma6およびnは前記一般式(IV)におけると同義である。]
一般式(III)
【0018】
【化6】

【0019】
[式中、L1は水素原子または脱離基を表し、Za1は前記一般式(I)におけると同義である。]
【0020】
(3)一般式(VII)で表される化合物と一般式(V)で表される化合物を反応させて一般式(VI)で表されるオキソノール化合物を製造する方法において、塩基(好ましくは一般式(VII)で表される化合物に対して3.5当量〜10当量の塩基)の存在下、10〜−30℃(10℃以下−30℃以上)の温度で反応させることを特徴とする一般式(VI)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
一般式(VI)
【0021】
【化7】

【0022】
[式中、Za2、Za3、およびZa4は各々独立に酸性核を形成する原子群を表し、Ma4、Ma5およびMa6は各々独立に置換または無置換のメチン基を表し、Yは2つの結合とともにπ共役系を形成しない2価の連結基を表し、nは0〜3の整数を表し、Qは電荷を中和するイオンを表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。]
一般式(VII)
【0023】
【化8】

【0024】
[式中、L2は水素原子または脱離基を表し、Za3、Za4およびYは前記一般式(VI)におけると同義である。]
一般式(V)
【0025】
【化9】

【0026】
[式中、Za2、Ma4、Ma5、Ma6、R4、R5およびnは前記一般式(V)におけると同義である。]
【0027】
(4)一般式(I)、一般式(IV)および一般式(VI)で表されるオキソノール化合物と第4級アンモニウム塩を反応させて一般式(VIII)で表されるオキソノール合物の第4級アンモニウム塩を製造する方法において、一般式(IX)で表される化合物を経由することを特徴とする(VIII)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
一般式(I)
【0028】
【化10】

【0029】
[式中、Za1、Ma1、Ma2、Ma3、m、Qおよびyは前記一般式(I)におけると同義である。]
一般式(IV)
【0030】
【化11】

【0031】
[式中、Za1、Za2、Ma4、Ma5、Ma6、n、Qおよびyは前記一般式(IV)におけると同義である。]
一般式(VI)
【0032】
【化12】

【0033】
[式中、Za2、Za3、Za4、Ma4、Ma5、Ma6、Y、n、Qおよびyは前記一般式(VI)におけると同義である。]
一般式(VIII)
【0034】
【化13】

【0035】
[式中、Aはオキソノール残基を表し、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19およびR20は各々独立に水素原子または置換基を表し、R13、R18は各々独立に置換基を表す。tは0.5〜1.0を表す。]
一般式(IX)
【0036】
【化14】

【0037】
[式中、Aはオキソノール残基を表し、R6、R7、R8およびR9は各々独立に置換または無置換のアルキル基またはアリール基を表し、sは1または2の整数を表す。]
【発明の効果】
【0038】
従来のオキソノール化合物の合成法に比べて、副生成物の生成を抑制することが可能となり、従来反応収率が低かった基質についても収率よく目的のオキソノール化合物を効率よく合成することができる。また、生成したオキソノール化合物から直接または間接的に簡便にオキソノール化合物の第4級アンモニウム塩類を合成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りの無い限りは、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でも良い。また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
【0040】
本発明の光情報記録媒体に使用するオキソノール色素について詳細に説明する。
オキソノール色素の具体例としては、F.M.Harmer著、Heterocyclic Compounds−Cyanine Dyes and Related Compounds、John&Wiley&Sons、New York、London、1964年刊に記載のものが挙げられる。
【0041】
一般式(I)、一般式(III)、一般式(IV)、一般式(V)、一般式(VI)および一般式(VI)で表される化合物中、Za1、Za2、Za3およびZa4は各々独立に酸性核を形成する原子群を表わす。
Za1、Za2、Za3およびZa4の酸性核は、James 編、The Theory of the Photographic Process、第4版、マクミラン社、1977年、第198頁により定義される。具体的には、置換基によって置換されていても良い以下の酸性核である。例えば、ピラゾール−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、5,6員の炭素環(例えばインダン−1,3−ジオン)、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2-a 〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリンー2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2-a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5-b〕キナゾロン、ピラゾロピリドンなどの核が挙げられ、好ましくは、ピラゾール−5−オン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(例えば、メルドラム酸)である。より好ましくは1,3−ジオキサン−4,6−ジオンである。
Za1、Za2、Za3およびZa4で形成される酸性母核に置換する置換基は、後述するR11について述べる置換基を例として挙げることができる。
【0042】
一般式(I)、一般式(II)、一般式(IV)、一般式(V)および一般式(VI)で表される化合物中、Ma1、Ma2、Ma3、Ma4、Ma5およびMa6は各々独立に、置換または無置換のメチン基を表わす。
Ma1、Ma2、Ma3、Ma4、Ma5およびMa6を置換する置換基は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、シアノ基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、置換もしくは無置換のスルホンアミド基、置換もしくは無置換のウレイド基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、置換もしくは無置換のスルフィニル基および置換もしくは無置換のスルファモイル基を表す。置換基として好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のヘテロ環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜10ヘテロ環基、ハロゲン原子が好ましく、最も好ましくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜6のヘテロ環基およびハロゲン原子である。置換基の例は、後述のR11の説明で例示するものから該当するものが選択される。
Ma1、Ma2、Ma3、Ma4、Ma5、およびMa6は、好ましくは、無置換のメチン基、または無置換の炭素数1〜5のアルキル基、無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜6のヘテロ環基、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の炭素環で、置換されたメチン基である。
【0043】
一般式(I)、一般式(II)、一般式(IV)、一般式(V)および一般式(VI)で表される化合物中、mおよびnは各々独立に0から3までの整数を表わし、より好ましくは2または3を表す。mまたはnが2以上の時、複数存在するMa1、Ma2、Ma4およびMa5は同じでも異なってもよい。一般式(I)および一般式(II)で表される化合物の製造方法においてはmまたはnが3であるとき、従来法に比べて本発明の製造方法の効果が大きい。一般式(VI)で表される化合物の製造においてはnが2であるとき、本発明の製造方法の効果が大きい。
【0044】
一般式(I)、一般式(IV)および一般式(VI)においてQは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。ある化合物が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を有するか否かは、その化合物の置換基に依存する。Qで表されるイオンは、対する色素分子の電荷に応じて、陽イオンを表す場合と、陰イオンを表す場合があり、また、色素分子が無電荷の場合には、Qは存在しない。Qとして表されるイオンには特に制限は無く、無機化合物よりなるイオンであっても、有機化合物よりなるイオンであっても構わない。また、Qとして表されるイオンの電荷は1価であっても多価であっても構わない。Qとして表される陽イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオンのような金属イオン、4級アンモニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、セレノニウムイオン、ヨードニウムイオンなどのオニウムイオンが挙げられる。一方、Qとして表される陰イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオンのようなハロゲン陰イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオンなどのヘテロポリ酸イオン、琥珀酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、芳香族ジスルホン酸イオンのような有機多価陰イオン、四フッ化ホウ酸イオン、六フッ化リン酸イオンが挙げられる。Qで表される陽イオンとして好ましくは、水素イオン、金属イオン、オニウムイオンである。Qが水素イオンのときは中性のフリー体を表す。
【0045】
一般式(II)および一般式(V)において、R1、R2およびR4は各々独立に置換基を表わし、R3およびR5は各々独立に水素原子または置換基を表わす。置換基は、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基等を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0046】
更に詳しくは、R1、R2およびR4は各々独立に置換基を表わし、R3およびR5は各々独立に水素原子または置換基を表わし、R1、R2、R3、R4およびR5の置換基としては各々独立に、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5もしくは6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換もしくは無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表わす。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
より好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられる。R3およびR5は好ましくは水素原子である。
p、q、rは各々独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。
【0047】
一般式(III)および一般式(VII)で表される化合物中、L1、L2は水素原子または脱離基を表わす。脱離基の具体的な例は、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルボニル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基などが挙げられる。
【0048】
一般式(VI)および一般式(VII)で表される化合物中、Yは2価の連結基を表し、それらが結合したクロモフォア間でπ共役系を形成しない以外に特に限定は無いが、好ましくは置換もしくは無置換のアルキレン基(炭素数1〜20、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、置換もしくは無置換のアリーレン基(炭素数6〜26、例えばフェニレン、ナフチレン)、置換もしくは無置換のアルケニレン基(炭素数2〜20、例えばエテニレン、プロペニレン)、置換もしくは無置換のアルキニンレン基(炭素数2〜20、例えばエチニレン、プロピニレン)、-CO-N(R101)-、-CO-O-、-SO2-N(R102)-、-SO2-O-、-N(R103)-CO-N(R104)-、-SO2-、-SO-、-S-、-O-、-CO-、-N(R105 )-、置換もしくは無置換のヘテリレン基(炭素数1〜26、例えば6−クロロ−1,3,5−トリアジル−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数0〜100以下、好ましくは1以上20以下の連結基を表す。上記、R101、R102、R103、R104、R105は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。また、Yで表される連結基は、それらが連結する2つのクロモフォア間で1つ以上複数個存在していてもよく、複数個(好ましくは2つ)が結合して環を形成してもよい。Yとして、好ましくは2つのアルキレン基が結合して環を形成したものである。その中でも、5または6員環を形成した場合が更に好ましい。最も好ましくは、シクロヘキシル環を形成したものである。
【0049】
本発明の合成法で合成することができるオキソノール色素は、一般式(VIII)で表される構造が好ましい。Aは一般式(I)、一般式(IV)および一般式(VI)で表されるオキソノール残基を表し、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19およびR20は各々独立に水素原子または置換基を表し、R13、R18は各々独立に置換基を表す。
式中、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19およびR20が表す置換基について説明する。 置換基は、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
更に詳しくは、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19およびR20は、R1〜R5各々の置換基の項で述べたのと同義である。
【0050】
R13およびR18は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。置換基の例は、上記のR11で説明したもののうち該当するものが例として挙げられる。R13およびR18は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましい。更には、置換もしくは無置換のアリール基がより好ましく、更には、置換アリール基がより好ましい。R13およびR18が置換アリール基である場合の置換基は、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子が好ましい。
【0051】
一般式(VIII)で表される構造は、好ましくは、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19およびR20が全て水素原子であり、R13、R18が、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基のものである。一般式(VIII)で表される構造は、より好ましくは、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19およびR20が全て水素原子であり、R13、R18が置換アリール基のものである。更に好ましくは、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19およびR20が全て水素原子であり、R13、R18がヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアリール基である。
【0052】
一般式(IX)で表される化合物中、R6、R7、R8およびR9は、各々独立に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。好ましい置換基の例は〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、エイコシル、2―エチルヘキシル、ドデシル、ヘキサデシル、ベンジル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)が挙げられる。より好ましいのはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基である。
【0053】
以下に、本発明の一般式(I)、一般式(IV)および(VI)で表される化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。一般的なオキソノール色素部は、該当する活性メチレン化合物とメチン源(メチン染料にメチン基を導入するために用いられる化合物)との縮合反応によって合成することができる。この種の化合物についての詳細は、特公昭39−22069号、同43−3504号、同52−38056号、同54−38129号、同55−10059号、同58−35544号、特開昭49−99620号、同52−92716号、同59−16834号、同63−316853号、同64−40827号各公報、ならびに英国特許第1133986号、米国特許第3247127号、同4042397号、同4181225号、同5213956号、同5260179号各明細書を参照することができる。
一般式(I)で表される化合物の具体例
【0054】
【化15】

【0055】
【化16】

【0056】
一般式(IV)で表される化合物の具体例
【0057】
【化17】

【0058】
【化18】

【0059】
一般式(VI)で表される化合物の具体例
【0060】
【化19】

【0061】
【化20】

【0062】
【化21】

【0063】
以下に一般式(VIII)で表される化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
一般式(VIII)で表される化合物の具体例
【0064】
【化22】

【0065】
【化23】

【0066】
【化24】

【0067】
本発明の反応条件を詳細に説明する。
一般式(II)で表わされる化合物と一般式(III)で表わされる化合物を反応させて一般式(I)を製造する方法において、用いることができる好ましい塩基としては有機塩基(トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等)、ピリジン類(ピリジン、2−メチルピリジン、2,6−ルチジン等)、金属アルコキサイド(ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、t−ブトキシカリウム、t−ブトキシナトリウム等)、金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等)、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。より好ましい塩基は有機塩基の第3級アミン類(トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等)であり、最も好ましいのはトリエチルアミンである。
使用する塩基の量は一般式(II)で表わされる化合物に対して2〜10当量が好ましく、より好ましいのは2〜6当量である。
【0068】
本発明の反応に用いることができる好ましい溶媒としては、低級アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等)、芳香族系溶媒(トルエン、キシレン、クロロベンゼン等)、スルホン系溶媒(スルホラン)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、酢酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、塩素系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム等)が挙げられるが、より好ましいのはメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドであり基質により選択される。
【0069】
本発明の好ましい反応温度は、10〜−30℃であり、より好ましいのは5℃未満〜−30℃であり基質により選択される。好ましい反応時間は20分〜10時間であり、より好ましくは30分〜5時間の範囲である。
本発明の反応の一般式(II)、一般式(III)で表される化合物および塩基の好ましい添加順序は、反応溶媒に一般式(III)で表される化合物および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(II)で表される化合物を添加する方法、反応溶媒に一般式(II)で表される化合物および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(III)で表される化合物を添加する方法、反応溶媒に一般式(II)および一般式(III)表される化合物を溶解させた中に10〜−30℃で塩基を添加する方法が挙げられるが、より好ましくは反応溶媒に一般式(III)および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(II)で表される化合物を添加する方法であり、基質により選択される。添加方法は、添加する化合物が結晶であれば粉末で添加してもよいし、反応溶媒に溶解して添加してもよい。
【0070】
一般式(V)で表わされる化合物と一般式(III)で表わされる化合物を反応させて一般式(IV)で表される化合物を製造する方法において、用いることができる好ましい塩基の種類、反応溶媒、反応溶媒、反応温度および反応時間は一般式(I)の製造方法の反応条件で述べた内容と同義である。使用する塩基の量は、一般式(IV)に対して1〜10当量が好ましく、より好ましいのは2〜6当量である。本発明の反応の一般式(V)、一般式(III)で表される化合物および塩基の好ましい添加順序は、反応溶媒に一般式(III)で表される化合物および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(V)で表される化合物を添加する方法、反応溶媒に一般式(V)で表される化合物および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(III)で表される化合物を添加する方法、反応溶媒に一般式(V)および一般式(III)表される化合物を溶解させた中に10〜−30℃で塩基を添加する方法が挙げられるが、より好ましくは反応溶媒に一般式(III)で表される化合物および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(V)で表される化合物を添加する方法であり、基質により選択される。添加方法は、添加する化合物が結晶であれば粉末で添加してもよいし、反応溶媒に溶解して添加してもよい。
【0071】
一般式(VII)で表わされる化合物と一般式(V)で表わされる化合物を反応させて一般式(VI)を製造する方法において、用いることができる好ましい塩基の種類、反応溶媒、反応溶媒、反応温度および反応時間は一般式(I)の製造方法の反応条件で述べた内容と同義である。使用する塩基の量は、一般式(VII)で表される化合物に対して3.5〜10当量が好ましく、より好ましいのは3.5〜8当量であり、最も好ましいのは4〜7当量である。本発明の反応の一般式(VII)、一般式(V)で表される化合物および塩基の好ましい添加順序は、反応溶媒に一般式(VII)および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(V)で表される化合物を添加する方法、反応溶媒に一般式(V)および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(VII)で表される化合物を添加する方法、反応溶媒に一般式(VII)および一般式(V)で表される化合物を溶解させた中に10〜−30℃で塩基を添加する方法が挙げられるが、より好ましくは反応溶媒に一般式(VII)および塩基を溶解させた中に10〜−30℃で一般式(V)で表される化合物を添加する方法であり、基質により選択される。添加方法は、添加する化合物が結晶であれば粉末で添加してもよいし、反応溶媒に溶解して添加してもよい。
【0072】
一般式(I)、一般式(IV)で表わされオキソノール化合物から一般式(VIII)で表わされるオキソノール化合物の第4級アンモニウム塩を合成する方法は、特開2000−52658号公報、特開2002−249674号公報に記載されている。
【0073】
一般式(I)、一般式(IV)および一般式(VI)で表わされるオキソノール化合物から一般式(VIII)で表わされるオキソノール化合物の第4級アンモニウム塩を製造する方法において、一般式(IX)で表わされる化合物を経由する方法について詳しく説明する。一般式(IX)で表わされるオキソノール化合物を製造するのに用いられる第4級アンモニウム塩は、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムクロライド、テトラペンチルアンモニウムブロマイド、テトラヘキシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルエチルアンモニウムブロマイド、ドデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ミリスチルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、より好ましいのはテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムヨージドであり、使用する第4級アンモニウム塩の好ましい使用量は、一般式(I)、一般式(IV)および一般式(VI)で表わされるオキソノール化合物に対して1〜10当量、より好ましくは1〜6当量である。
一般式(IX)で表わされる化合物を製造するのに使用される好ましい溶媒としては、低級アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等)、酢酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)が挙げられるが、より好ましいのはメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドであり、反応物により選択される。好ましい反応温度は10℃〜70℃であり、より好ましくは10℃〜60℃である。
【0074】
一般式(IX)で表わされる化合物から一般式(VIII)で表わされるオキソノール化合物の第4級アンモニウム化合物を製造する方法において使用される第4級アンモニウム塩は、特開2000−52658号公報の一般式(I−4)で表される4,4’−ビピリジニウム塩類および特開2002−59652号公報に開示されている4,4’−ビピリジニウム塩類であり、使用する量は、一般式(VIII)で表わされる化合物に対して0.5当量〜1.0当量であり、基質により選択される。使用される好ましい溶媒は、低級アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等)、酢酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)が挙げられるが、より好ましいのはメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドであり、基質により選択される。好ましい反応温度は10℃〜70℃であり、より好ましくは10℃〜60℃である。好ましい反応時間は20分〜10時間であり、より好ましくは30分〜5時間の範囲である。
【0075】
[実施例]
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0076】
(例示化合物D-2の合成)
下記合成ルートにより例示化合物D-2を合成した。化合物K-1は、特開2002-249674号公報に記載の方法により合成することができる。
【0077】
【化25】

【0078】
1)例示化合物A-5の合成
化合物K-1(3.68g, 0.02mol)をDMF(60ml)に加え、更にトリエチルアミン(5.58ml, 0.04mol)を添加して溶解させた。反応液を−10℃に冷却し、撹拌下でN,N’−1,5−ヘプタジエン−1−イル−7−イリデンジアニリン塩酸塩K-2(3.10g, 0.01mol)の粉末を添加した。−10℃で2時間撹拌を行った。酢酸エチル(200ml)および水を加えて抽出を行い、更に食塩水で2回水洗を行った。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。酢酸エチルおよびn−へキサンの混合溶媒で再結晶して目的の例示化合物A-5を4.74g得た(収率85.0%)。化合物の構造はNMRで確認した。1H-NMR (DMSO−d6)δ(ppm):7.55(d, 2H), 7.30(t, 2H), 7.17(t, 2H), 6.28(t, 1H), 1.92〜1.72(m, 8H), 1.61〜1.49 (m, 8H), 1.48〜1.31(m, 4H)
2)例示化合物D-2の合成
N,N’−ビピリジウム塩P-1(1.16g , 2.05mmol)にメタノール350mlを加え40℃で加熱溶解させた。この溶液に、化合物A-5(1.96g, 4.10mmol)をメタノール30mlに溶解させた溶液を滴下し、析出した結晶をろ過して目的の例示化合物D-2を2.72g得た(収率94.5%)。化合物の構造はNMRで確認した。1H-NMR (DMSO−d6)δ(ppm):10.84(s, 1H), 9.69(br, 2H), 9.01(br, 2H), 8.00〜7.62(m, 4H), 7.57〜7.35 (m, 5H), 7.34〜7.04(m, 5H), 6.25(t, 1H), 1.95〜1.70(m, 8H), 1.64〜1.47(m, 8H), 1.46〜1.30(m, 4H)
(比較例)
例示化合物A-5の合成
化合物K-1(3.68g, 0.02mol) をDMF(50ml)に加え、更にトリエチルアミン(2.79ml,0.02mol)を添加して溶解させた。室温(約25℃)で撹拌下、N,N’−1,3,5−ヘプタトリエン−1−イル−7−イリデンジアニリン塩酸塩K-2(3.10g, 0.01mol)の粉末を添加した。室温(約25℃)で撹拌を2時間行った後、酢酸エチル(200ml)および水を加えて抽出を行い、更に食塩水で2回水洗を行った。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。酢酸エチルおよびn−へキサンの混合溶媒で再結晶して目的の化合物A-5を0.83g得た(収率15.0%)。化合物の構造はNMRで確認した。
【実施例2】
【0079】
(例示化合物D-1の合成)
下記合成ルートにより例示化合物D-1を合成した。化合物K-4は、実施例1に記載の化合物K-1の合成で使用したシクロヘキサノンを2−ブタノンに変更することにより容易に合成することができる。
【0080】
【化26】

【0081】
1)例示化合物K-5の合成
化合物K-4(1.89g, 0.011mol)をDMF(30ml)に加え、更にトリエチルアミン(3.07ml, 0.022mol)を添加して溶解させた。反応液を−10℃に冷却し、撹拌下でN,N’−1,5−ヘプタジエン−1−イル−7−イリデンジアニリン過塩素酸塩K-5(1.87g, 0.005mol)の粉末を分割添加した。−10℃で2時間撹拌を行い化合物A-2を生成させた。続いて臭化テトラブチルアンモニウム(7.09g,0.022mol)をメタノール10mlに溶解した溶液を滴下した。0℃以下の温度で1時間撹拌を行った後、酢酸エチルおよび水を加えて抽出を行い、更に食塩水で2回水洗を行った。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、目的の化合物K-6を2.99g得た(収率88.7%)。化合物の構造はNMRで確認した。1H-NMR (DMSO−d6)δ(ppm) :7.55(d, 2H), 7.39〜7.10 (m, 4H), 6.26(t, 1H), 3.27〜3.05(m, 8H),1.89〜1.70 (m, 4H), 1.68〜1.49(m, 14H) , 1.48〜1.23(m, 12H), 1.06〜0.82(m, 18H)
2)例示化合物D-1の合成
N,N’−ビピリジウム塩P-1(1.0g, 1.77mmol)をメタノール300mlに加え40℃で溶解させた。この溶液を撹拌下、化合物K-6(2.38g, 3.53mmol)をメタノール30mlに溶解した溶液を滴下した。40℃で1時間撹拌を行った後、反応液を冷却して室温とした。反応液に水330mlを滴下し、析出した結晶をろ過して目的物の例示化合物D-1をg得た(収率82.0%)。化合物の構造はNMRで確認した。1H-NMR (DMSO−d6)δ(ppm):10.73(s, 1H), 9.68(br, 2H), 9.00(br, 2H), 7.91(s, 1H), 7.81〜7.68 (m, 3H), 7.60〜7.35 (m, 5H), 7.34〜7.10(m, 5H), 6.26(t, 1H), 1.86〜1.71(m, 4H), 1.51(s, 6H), 1.50〜1.30(m, 4H), 0.89(t, 6H)
【実施例3】
【0082】
(例示化合物D-6の合成)
下記合成ルートにより例示化合物D-6を合成した。
【0083】
【化27】

【0084】
1)化合物K-7の合成
1,4−シクロヘキサジオン(22.43g, 0.2mol)とマロン酸(41.62g, 0.4mol)を無水酢酸(85ml)に溶解させ、濃硫酸(7.0ml, 0.12mol)を加えて氷浴中で2時間攪拌した。更に室温で2時間攪拌を行なった。反応の進行に伴い薄茶色の結晶が析出したのでこれをろ過し、酢酸続いて水洗して化合物K-7の結晶10.8 gを得た(収率19.0%)。構造はMSおよびNMRで確認した。1H-NMR (DMSO−d6)δ(ppm):4.07(s, 4H), 2.20(s, 8H)
2)化合物K-9の合成
N,N’−1,3−ペンタジエン−1−イル−5−イリデンジアニリン塩酸塩K-8(11.5g,40.4 mmol)にメタノール150mlおよびトリエチルアミン(8.5 ml,60.6 mmol)を加えて室温で溶解した。室温で撹拌下、中間体K-4(10.0g,40.4 mmol)をメタノール20mlに溶解した溶液を40分かけて滴下した。室温で1時間撹拌し、析出した結晶を濾過して目的の化合物K-9を7.3g得た(収率44.8%)。構造はNMRで確認した。1H-NMR (DMSO−d6)δ(ppm) :11.05(s, 1H), 8.29 (d, 1H), 7.80(s, 1H), 7.64(t, 1H), 7.46〜7.35(m, 2H), 7.34〜7.21(m, 3H), 7.11(t, 1H), 6.14(t, 1H), 1.89〜1.76(m, 2H), 1.58(s, 3H), 1.50〜1.33(m, 2H), 0.91(t, 3H)
3)化合物K-10の合成
化合物K-4(14.5g, 0.051mol)にDMF(400ml)に加え、更にトリエチルアミン(42.7ml, 0.306mol)を添加した。氷冷して内温を−10℃とし、同温度を保ちながら化合物K-9の粉末(31.7g, 0.097mol)を20分かけて分割添加した。更に−8〜−10℃で3.5時間反応を行ない例示化合物C-1を生成させた。HPLCで反応の生成率を調べた結果、例示化合物C-1がHPLC面積比で95.0%の割合で生成していることを確認した。反応液に臭化テトラブチルアンモニウム(98.7g, 0.306mol)をメタノール(150ml)に溶解させた溶液を滴下した。冷却をやめ、1時間攪拌を行なった。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出を行なった。酢酸エチル層を3回水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して例示化合物K-10を51.4g得た(収率81.5%)。化合物の構造はMSおよびNMRで確認した。1H-NMR (DMSO−d6)δ(ppm):7.76〜7.60(m, 4H), 7.59〜7.46 (m, 2H), 7.27〜7.10 (m, 4H), 3.23〜3.09 (m, 16H), 2.01 (s, 8H), 1.87〜1.73 (m, 4H), 1.65〜1.50(m, 22H), 1.48〜1.37 (m, 4H), 1.36〜1.22(m, 16H), 1.01〜0.82 (m, 30H)
5)例示化合物D-6の合成
4,4’−ビピリジニウム塩P-1(1.60g,2.83mmol)をメタノール(500ml)に40℃で加熱溶解した。40℃で撹拌下、化合物K-10(3.50g,2.83 mmol)をメタノール50mlに溶解した溶液を20分かけて滴下した。40℃で1時間攪拌した後、反応液を室温とした。析出した結晶を濾過して目的の例示化合物を3.27g得た(収率92.8%)。構造はNMRで確認した。1H-NMR (DMSO−d6)δ(ppm):10.71(s, 2H),9.69(d, 4H), 9.00(d, 4H), 7.91(s, 2H), 7.82〜7.56 (m, 10H), 7.55〜7.33 (m, 8H), 7.31〜7.07(m, 6H), 1.99(s, 8H), 1.85〜1.70(m, 4H), 1.51(s, 6H), 1.48〜1.31(m, 4H), 0.90(t, 6H)
【0085】
(比較例)
(化合物K-10の合成)
化合物K-4(14.5g, 0.051mol)にDMF(400ml)に加え、更にトリエチルアミン(42.7ml, 0.306mol)を添加した。室温(約25℃)で攪拌下、化合物K-9の粉末(31.7g, 0.097mol)を20分かけて分割添加した。更に室温で3時間反応を行ない例示化合物C-1を生成させた。HPLCで反応の生成率を調べた結果、例示化合物C-1がHPLC面積比で67.0%の割合で生成していることを確認した。反応液に臭化テトラブチルアンモニウム(98.7g, 0.306mol)をメタノール(150ml)に溶解させた溶液を滴下した。冷却をやめ、1時間攪拌を行なった。反応液に酢酸エチル、水を加えて抽出を行なった。酢酸エチル層を3回水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して例示化合物K-10を24.6g得た(収率39.0%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(II)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物を反応させて一般式(I)で表されるオキソノール化合物を製造する方法において、塩基の存在下、10〜−30℃の反応温度で反応させることを特徴とする一般式(I)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
一般式(I)
【化1】

[式中、Za1は酸性核を形成する原子群を表し、Ma1、Ma2およびMa3は各々独立に置換または無置換のメチン基を表し、mは0〜3の整数を表し、Qは電荷を中和するイオンを表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。]
一般式(II)
【化2】

[式中、R1およびR2は置換基を表し、R3は水素原子または置換基を表し、pおよびqは各々独立に0〜5の整数を表す。Ma1、Ma2、Ma3およびmは前記と同義である。]
一般式(III)
【化3】

[式中、L1は水素原子または脱離基を表し、Za1は前記一般式(I)におけると同義である。]
【請求項2】
一般式(V)で表される化合物と一般式(III)で表される化合物を反応させて一般式(IV)で表されるオキソノール化合物を製造する方法において、塩基の存在下、10〜−30℃で反応させることを特徴とする一般式(IV)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
一般式(IV)
【化4】

[式中、Za1およびZa2は各々独立に酸性核を形成する原子群を表し、Ma4、Ma5およびMa6は各々独立に置換または無置換のメチン基を表し、nは0〜3の整数を表し、Qは電荷を中和するイオンを表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。]
一般式(V)
【化5】

[式中、R4は置換基を表し、R5は水素原子または置換基を表し、rは0〜5の整数を表す。Za2、Ma4、Ma5、Ma6およびnは前記一般式(IV)におけると同義である。]
一般式(III)
【化6】

[式中、L1は水素原子または脱離基を表し、Za1は前記一般式(I)におけると同義である。]
【請求項3】
一般式(VII)で表される化合物と一般式(V)で表される化合物を反応させて一般式(VI)で表されるオキソノール化合物を製造する方法において、塩基の存在下、10℃〜−30℃の温度で反応させることを特徴とする一般式(VI)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
一般式(VI)
【化7】

[式中、Za2、Za3およびZa4は各々独立に酸性核を形成する原子群を表し、Ma4、Ma5およびMa6は各々独立に置換または無置換のメチン基を表し、Yは2つの結合とともにπ共役系を形成しない2価の連結基を表し、nは0〜3の整数を表し、Qは電荷を中和するイオンを表し、yは電荷の中和に必要な数を表す。]
一般式(VII)
【化8】

[式中、L2は水素原子または脱離基を表し、Za3、Za4、およびYは前記一般式(VI)におけると同義である。]
一般式(V)
【化9】

[式中、Za2、Ma4、Ma5、Ma6、R4、R5、nおよびrは前記一般式(V)におけると同義である。]
【請求項4】
一般式(I)、一般式(IV)および一般式(VI)で表されるオキソノール化合物と第4級アンモニウム塩を反応させて一般式(VIII)で表されるオキソノール化合物の第4級アンモニウム塩を製造する方法において、一般式(IX)で表される化合物を経由することを特徴とする(VIII)で表されるオキソノール化合物の製造方法。
一般式(I)
【化10】

[式中、Za1、Ma1、Ma2、Ma3、m、Qおよびyは前記一般式(I)におけると同義である。]
一般式(IV)
【化11】

[式中、Za1、Za2、Ma4、Ma5、Ma6、n、Qおよびyは前記一般式(IV)におけると同義である。]
一般式(VI)
【化12】

[式中、Za2、Za3、Za4、Ma4、Ma5、Ma6、Y、n、Qおよびyは前記一般式(VI)におけると同義である。]
一般式(VIII)
【化13】

[式中、Aはオキソノール残基を表し、R11、R12、R14、R15、R16、R17、R19およびR20は各々独立に水素原子または置換基を表し、R13、R18は各々独立に置換基を表す。tは0.5〜1.0を表す。]
一般式(IX)
【化14】

[式中、Aはオキソノール残基を表し、R6、R7、R8、およびR9は各々独立に置換または無置換の、アルキル基またはアリール基を表し、sは1または2の整数を表す。]

【公開番号】特開2006−1875(P2006−1875A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179389(P2004−179389)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】