説明

オゾン含有活性水の噴霧システム

【課題】オゾン水の消臭、殺菌、鎮塵、冷却の各効果、オゾン水の生成効率がそれぞれ高まり、送水管、これに連通した各種の送水関連機器の目詰まりや、噴霧手段の機能低下も防止可能なオゾン含有活性水の噴霧システムを提供する。
【解決手段】噴霧ノズル21により噴霧されるオゾン水の原料として、水道水に比べて水分子のクラスタが小さく、表面張力も小さい活性水を採用したので、水の粒子が粉塵に付着しやすく鎮塵効果が高い。かつ、水道水よりオゾンの混入量が増えてオゾン水の生成効率が高まる。しかも、スケールが発生し難いので、第3送水管19、噴霧ノズル21の目詰まりが起き難い。また、オゾンと同様の機能を有する活性水を原料としているので、消臭、殺菌、鎮塵、冷却の各効果がさらに高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はオゾン含有活性水の噴霧システム、詳しくは活性水にオゾンを含ませたオゾン含有活性水を、例えば畜産場や水産施設などに噴霧することで、施設の消臭、殺菌、鎮塵が可能なオゾン含有活性水の噴霧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畜産場や水産施設などにおいて、悪臭の発生、雑菌の繁殖、粉塵の飛散を抑えるため、オゾン水生成装置により生成されたオゾン水を、施設内の空間に噴霧する技術が開発されている(例えば、特許文献1など)。
特許文献1に開示された発明は、放電方式または紫外線方式のオゾン発生体により、空気中の酸素を分解したオゾンガスを水道水に混合してオゾン水を生成し、得られたオゾン水を噴霧ノズルにより噴霧するものである。
【0003】
【特許文献1】特開2006−035009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、オゾン水の原料に水道水が使用されていた。水道水は、水分子を水素結合によって集団化したクラスタが大きい。そのため、以下に示す3つの問題点が発生していた。
(1)クラスタが大きい水道水は表面張力も大きい。そのため、霧化した水の粒子が粉塵と接触した時、この粒子が粉塵に付着しにくく、十分な鎮塵効果が得られなかった。
(2)オゾン水の生成工程では、水とオゾンガスとを混合し、水中にオゾンを溶かし込む作業が行われる。しかしながら、水道水はクラスタが大きく、その分、オゾンの混入量は少なくなり、オゾン水の生成効率が低下していた。
(3)また、水道水はオゾン水をオゾン水生成装置から噴霧ノズルへ導く送水管の内壁や噴霧ノズルの内壁に、水道水に微かに含まれるカルシウム分、マグネシウム分が付着しやすく、これらの路壁でスケールが発生しやすかった。その結果、送水管、これに連通した送水関連機器(送水ポンプ、流量計など)および噴霧ノズルに目詰まりが起きやすかった。
【0005】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、オゾン水の原料となる水に、水道水に比べてクラスタが小さい活性水を使用すれば、上述した全ての課題が解消されるとともに、活性水自体も消臭、殺菌、鎮塵、冷却の各効果を有することから、オゾンとの相乗効果によりこれらの効果が高まることを知見し、この発明を完成させた。
また、発明者は鋭意研究の結果、オゾン水生成装置により生成されたオゾン含有活性水をオゾン水生成装置を経ていったん貯蔵タンクに貯液後、ここから噴霧ノズルへ送水中のオゾン含有活性水の一部を貯蔵タンクへ戻すように構成したので、オゾン含有活性水の生成から噴霧までのタイムラグ(時間差)が短縮し、噴霧直前または噴霧時のオゾン含有活性水のオゾン濃度の低下を抑えることができることを知見し、この発明を完成させた。
【0006】
この発明は、オゾン水の消臭、殺菌、鎮塵、冷却の各効果、および、オゾン水の生成効率がそれぞれ高まり、しかもスケール発生に伴う送水管およびこれに連通した送水関連機器の目詰まりや噴霧手段の機能低下も防止することができるオゾン含有活性水の噴霧システムを提供することを目的としている。
また、この発明は、オゾン含有活性水が生成されてから噴霧されるまでのタイムラグに起因した噴霧直前または噴霧時のオゾン含有活性水のオゾン濃度の低下を抑制することができるオゾン含有活性水の噴霧システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、水分子のクラスタが水道水より小さい活性水を生成する活性水生成装置と、酸素を分解して得たオゾンを前記活性水中に含有させ、前記活性水をオゾン含有活性水とするオゾン水生成装置と、前記オゾン含有活性水を噴霧する噴霧手段とを備えたオゾン含有活性水の噴霧システムである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、活性水生成装置により活性水を生成し、その後、活性水をオゾン水生成装置に供給し、ここで酸素を分解して得たオゾンを活性水に含ませてオゾン含有活性水を生成する。その後、噴霧手段によりオゾン含有活性水を噴霧する。
オゾン含有活性水は、水道水に比べて水分子のクラスタが小さく、表面張力も小さい。そのため、霧化した水の粒子が粉塵に付着しやすく、高い鎮塵効果が得られ、また水道水を噴霧したときに比べて周辺空気の冷却効果が高い。しかも、オゾン水を生成する際、水道水に比べてオゾンの混入量が増大し、オゾン水の生成効率を高めることができる。
さらに、クラスタが大きい水道水に比べて、オゾン水生成装置から噴霧手段へオゾン水を導く送水管の内壁や噴霧手段の内部水路の内壁に、スケールがそれぞれ発生しにくい。その結果、送水管、これに連通した例えば送水ポンプや流量計などの送水関連機器の目詰まりおよび噴霧手段の機能低下が起きにくくなる。
また、活性水は、それ自体がオゾンと同様の消臭、殺菌および鎮塵の各効果を有している。そのため、噴霧されたオゾン含有活性水には、これらの機能に対して、オゾンとの相乗効果を期待することができる。
【0009】
オゾン含有活性水の噴霧システムは、例えば畜産施設、水産施設、一般産業廃棄物のリサイクル施設、医療施設、介護施設、浴場施設、岩盤浴施設、食品加工施設、農業関連施設などで利用することができる。
ここでいう活性水とは、水道水に比べてクラスタおよび表面張力が小さい水をいう。例えば、電解水(アルカリイオン水、酸性水、強酸化水など)、磁気処理水、超純水、ミネラル添加水(単分子イオン化カルシウム水など)を採用することができる。
活性水生成装置としては、陽極および陰極を有して水を電気分解するもの、磁石を有して水を磁気処理するもの、ミネラル活性石を有して水にミネラル分を添加するものなどを採用することができる。
オゾン含有活性水とは、オゾンが活性水中に含まれている水をいう。
活性水中にオゾンを含ませる方法としては、例えば、空気を放電素子に晒して放電によりオゾンを生成し、そのオゾンを活性水に例えばバブリングなどで混入する方法を採用することができる。その他、活性水中の溶存酸素を、直接水中で分解する方法などを採用することができる。
【0010】
噴霧手段とは、オゾン含有活性水を、例えば平均粒子径が7.5〜12μmの水の粒子(ドライフォグ;ミスト)として噴射させるものである。
具体的な噴霧手段としては、例えば水(オゾン含有活性水)を圧送ポンプの圧送力により吹き出す1流体ノズルを使用するもの、水と圧縮空気とを混合して吹き出す2流体ノズルを使用するもの、回転円盤の遠心力で水を霧状にし、ファンにより拡散させる遠心式加湿器、超音波振動子を振動させて水を霧化させる超音波加湿器などを採用することができる。
オゾン含有活性水の平均粒子径は、7.5〜12μmである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記噴霧手段は、前記オゾン水生成装置により生成されたオゾン含有活性水を貯液する貯蔵タンクと、該貯蔵タンクから送水管を通して送水されたオゾン含有活性水を、該オゾン含有活性水に圧縮空気を混合して噴霧する噴霧ノズルと、該噴霧ノズルに前記圧縮空気を供給する圧縮空気発生装置と、前記送水管の途中に設けられ、該送水管を流れるオゾン含有活性水の一部を前記貯蔵タンクへ戻して循環させるバイパス管とを有した請求項1に記載のオゾン含有活性水の噴霧システムである。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、オゾン水生成装置からのオゾン含有活性水はいったん貯蔵タンクに貯液後、送水管から噴霧ノズルへ送水される。ここで、オゾン含有活性水と圧縮空気発生装置からの圧縮空気とが混合され、微細な水の粒子として噴霧される。このとき、送水管を流れるオゾン含有活性水の一部がオゾン水生成装置を経て再び貯蔵タンクへ戻され、循環水となる。オゾンは半減期が短く、配管が長くなって送水時間が長くなるほど噴霧ノズルから噴霧されたオゾン含有活性水中のオゾン濃度は低下する。そこで、このように送水管を流れるオゾン含有活性水の一部がオゾン水生成装置を経て再び貯蔵タンクへ戻ることで、オゾン含有活性水の生成から噴霧までのタイムラグ(時間差)が短くなり、噴霧直前または噴霧時のオゾン含有活性水のオゾン濃度の低下を抑えることができる。
【0013】
貯蔵タンク内でのオゾン含有活性水の温度は5〜30℃が好ましい。これは、環境温度が高くなるほど、オゾンの半減期が短くなるためである。同様の理由から、送水管の途中には、放熱器などの冷却手段を設けた方が好ましい。
噴霧ノズルとしては、例えば株式会社いけうち製、ドライフォグ加湿器「AKIMist”D”」を採用することができる。
圧縮空気発生装置としては、レシプロ方式、ツインスクリュー方式、スクロール方式、ダブルシース方式などの各種のコンプレッサを採用することができる。
バイパス管は、その一端部(上流部)が送水管のどの位置に連通されてもよい。ただし、オゾン含有活性水中のオゾン濃度の低下を効果的に抑えるには、送水管の上流部(貯蔵タンクの近傍)が好ましい。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記噴霧ノズルは複数使用され、前記圧縮空気発生装置と前記各噴霧ノズルとは、枝管を介して1本のエア配管により連通され、該エア配管の枝管との連通部分には、少なくとも1本の該枝管を跨ぐリリーフ管が設けられた請求項2に記載のオゾン含有活性水の噴霧システムである。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、エア配管には、その枝管との連通部分に、少なくとも1本の枝管を跨いでリリーフ管が設けられているので、リリーフ管の水圧調整作用により、各噴霧ノズルへ供給されるオゾン含有活性水の圧力のバラつきを抑えることができる。
噴霧ノズルの使用本数は2本でも、3本以上でもよい。
リリーフ管の使用本数も1本でも、2本以上でもよい。
「枝管を跨ぐリリーフ管」とは、枝管を中間にしてそれよりエア配管の上流部分とそれよりエア配管の下流部分とを連通(バイパス)したリリーフ管をいう。
エア配管において、リリーフ配管が跨ぐ枝管の本数は、1本でも2本以上でもよい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、噴霧手段により噴霧されるオゾン水の原料として、水道水に比べて水分子のクラスタが小さく、表面張力も小さい活性水を採用したので、霧化した水の粒子が粉塵に付着しやすく、高い鎮塵効果が得られる。さらに、オゾン含有活性水は水道水に比べて冷却性能が高く、周辺温度を下げやすい。しかも、オゾン水を生成する際、水道水に比べてオゾンの混入量が増大し、オゾン水の生成効率を高めることができる。
さらに、水道水に比べてクラスタが小さいので、オゾン水生成装置から噴霧手段へオゾン水を導く送水管の内壁や噴霧手段の内部水路の内壁に、スケールがそれぞれ発生しにくい。その結果、送水管およびこれに連通した各種の送水関連機器の目詰まりおよび噴霧手段の機能低下が起きにくい。
また、活性水は、それ自体がオゾンと同様の消臭、殺菌および鎮塵の各効果を有しているので、噴霧されたオゾン含有活性水には、これらの機能に対してオゾンとの相乗効果を期待することができる。
【0017】
特に、請求項2に記載の発明によれば、貯蔵タンクから噴霧ノズルへ送水中のオゾン含有活性水の一部を、オゾン水製造装置を再び通し、貯蔵タンクへ戻すように構成したので、オゾン含有活性水の生成から噴霧までのタイムラグ(時間差)が短縮し、噴霧直前または噴霧時のオゾン含有活性水のオゾン濃度の低下を抑えることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、エア配管には、その枝管との連通部分に、少なくとも1本の枝管を跨ぐようにリリーフ管が設けられているので、リリーフ管のエア圧調整作用により、各噴霧ノズルへ供給されるオゾン含有活性水の圧力のバラつきを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、畜産施設内に施工されたオゾン含有活性水の噴霧システムを例にとる。
【実施例1】
【0020】
図1において、10はこの発明の実施例1に係るオゾン含有活性水の噴霧システムである。オゾン含有活性水の噴霧システム10は、畜産施設に配備されるもので、水分子のクラスタが水道水より小さい活性水を生成する活性水生成装置11と、酸素を分解して得たオゾンを活性水中に含有させ、活性水をオゾン含有活性水とするオゾン水生成装置12と、オゾン含有活性水を噴霧する噴霧手段13とを備えている。
【0021】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
活性水生成装置11は、水道水が送水される第1送水管40に、上流から順に濾過フィルタ14と活水器15と流量計31とが配設されている。活水器15には、例えば水道水にミネラル分を添加する原料となる麦飯石、トルマリンなどの各種のセラミックスボール(直径2mm)が充填されている。
第1送水管40は、その下流端がオゾン水生成装置12の導水部に連通されている。第1送水管40のうち、濾過フィルタ14の上流近傍に第1弁V1、濾過フィルタ14と活水器15との間の部分に第2弁V2、流量計31の設置部分から下流へ向かって第3弁V3、逆止弁V4、電磁弁V5、減圧弁V6、第1放熱器16が順に配設されている。各弁V1〜V3は手動式の開閉弁である。
【0022】
オゾン水生成装置12は、放電方式のオゾン発生体を有している。オゾン発生体により空気中の酸素を分解することでオゾンガスを生成し、オゾンガスを活性水中にバブリングしてオゾン含有活性水を得る。
その後、オゾン含有活性水は、第2送水管17を通して貯蔵タンク18にいったん貯液される。貯蔵タンク18は液面センサ18aを有し、貯蔵タンク18の底部には第3送水管19の一端(上流端)が連通されている。第3送水管19の他端(下流端)は、第1送水管40のうち、電磁弁V5と減圧弁V6との間の配管部分に連通されている。第3送水管19は、畜産施設の床から室内壁を経て天井に配管されている。第3送水管19の上流部に渦流ポンプ20が設けられ、第3送水管19の下流部には電磁弁V7が設けられている。
【0023】
第3送水管19の天井部分には、所定ピッチで多数個の噴霧ノズル21が分岐水管22を介して配設されている。各噴霧ノズル21としては、株式会社いけうち製のドライフォグ加湿器「AKIMist”D”」が採用されている(図2)。各噴霧ノズル21は、略卵形の本体ケーシング23を有し、本体ケーシング23の周壁の一部に、一対の霧噴射部24が対向状態で突設されている。また、各噴霧ノズル21には、エアー管25を介して、コンプレッサ(圧縮空気発生装置)26により発生した圧縮空気を各噴霧ノズル21に供給するエア配管27がそれぞれ連通されている。各噴霧ノズル21からは、オゾン含有活性水のドライミスト(平均粒径7.5μm)が、噴霧量2.4リットル/Hrでそれぞれ噴霧される。なお、エア配管27の各エアー管25との連通部分には、このエアー管25との連結部を跨ぐように(バイパスして)リリーフ管42を設けてもよい。この場合には、リリーフ管42のエアー圧力調整の作用により、各噴霧ノズル21へ供給されるオゾン含有活性水の圧力のバラつきを抑えることができる。
【0024】
また、第3送水管19のうち、渦流ポンプ20の下流近傍には、第2の送水管19中のオゾン含有活性水が過剰圧となったとき、安全弁V8の作用により、管内を流れるオゾン含有活性水の一部を貯蔵タンク18へ戻し、第2の送水管19中のオゾン含有活性水の過剰圧を自動的に調整するリリーフ配管28の一端が連通されている。
さらに、第3送水管19のうち、電磁弁V7の設置部分の上流近傍には、各噴霧ノズル21で使用しきれなかった余剰のオゾン含有活性水の一部を貯蔵タンク18に戻す余水バイパス管29の一端が連通されている。余水バイパス管29には、その下流に向かって電磁弁V9と第2放熱器30とが順次離間して配設されている。第1送水管40に第1放熱器16を設け、第3送水管19に第2放熱器30を設けることで、両管19,40内を流れる活性水の温度を放熱により低下させる。これにより、水温が高まることでオゾンの半減期が短くなることを抑制することができる。
前記噴霧手段13は、貯蔵タンク18、第3送水管19、各噴霧ノズル21、エアー管25、コンプレッサ26、エア配管27を有している。
なお、図1において、41はエア配管27のすべてのエアー管25を跨いで配設されたエアループ配管である。
また、これらのバルブ、ポンプ、ノズルはいずれも制御盤32からの電気信号に基づいて個別に制御される構成となっている。その制御は、制御盤32の記憶装置に格納したプログラムによることもできる。
【0025】
次に、図1および図3のフローシートを参照して、実施例1に係るオゾン含有活性水の噴霧システム10の作動を説明する。まず、弁V9を残して全ての弁V1〜V8を開いておく。
第1送水管40から活性水生成装置11へ供給された水道水は、濾過フィルタ14による異物の濾過後、活水器15を通過した際に各種のセラミックスボールと接触し、所定のミネラル分が添加された活性水(ミネラル水)となる。その後、流量計16により計量され、活性水生成装置11から排出される。活性水はクラスタが小さくて表面張力も小さい。しかも、酸化還元電位を300〜500ミリボルトより小さくすることで、水の物性を変化させて錆びにくい水としている。
【0026】
次に、活性水は第1送水管40からオゾン水生成装置12に供給される。その途中、活性水は減圧弁V6により減圧され、第1放熱器16による熱交換により冷却される。オゾン水生成装置12では、オゾン発生体により空気中の酸素を分解することでオゾンガスが生成され、得られたオゾンガスを活性水中にバブリングし、オゾン含有活性水が得られる。オゾン水を生成する際、水道水に比べて活性水の方が水分子のクラスタが小さくその表面張力も小さい。そのため、活性水へのオゾンの混入量が増大し、オゾン水の生成効率が高まり、活性水のオゾン濃度を高めることができる。
【0027】
その後、オゾン含有活性水は、第2送水管17を経て貯蔵タンク18に貯液される。それから、オゾン含有活性水は、渦流ポンプ20の圧送力により、第3送水管19から畜産施設の天井に配設された各噴霧ノズル21へそれぞれ供給される。 第2の送水管19中のオゾン含有活性水が過剰圧になれば、安全弁V8の作用により、管内を流れるオゾン含有活性水の一部がリリーフ配管28から貯蔵タンク18へ戻され、その過剰圧が自動調整される。また、各噴霧ノズル21には、エア配管27を通してコンプレッサ26からの圧縮空気もそれぞれ供給されている。よって、各噴霧ノズル21では、圧縮空気と混合されたオゾン含有活性水が、一対の霧噴射部24から平均粒径7.5μmのドライミストとして、2.4リットル/Hrでそれぞれ噴霧される(図2)。
【0028】
オゾン含有活性水は、このように水道水に比べて水分子のクラスタが小さく、表面張力も小さい。そのため、霧化した水の粒子が粉塵に付着しやすく、高い鎮塵効果が得られる(図4)。同じように、水の粒子には空気中を漂う臭気成分や細菌も吸着される。さらに、オゾン含有活性水は水道水に比べて熱吸収効果が高く、周辺温度を下げやすい。
噴霧後の余剰のオゾン含有活性水は、第3送水管19の下流端から第1送水管40に戻される。その際、一部のオゾン含有活性水は余水バイパス管29を通って貯蔵タンク18へ直接戻される。
【0029】
このように、噴霧手段13により噴霧されるイオン水の原料として、水道水に比べて水分子のクラスタが小さく、表面張力も小さい活性水を採用したので、オゾン水生成装置12から噴霧手段13へオゾン水を導く第3送水管19の内壁や噴霧ノズル21の内壁に、スケールがそれぞれ発生しにくい。その結果、第3送水管19およびこれに連通した送水関連機器(渦流ポンプ20、水量計など)、噴霧ノズル21の目詰まりがそれぞれ起きにくい。
また、活性水は、それ自体がオゾンと同様の消臭、殺菌および鎮塵の各効果を有しているので、噴霧されたオゾン含有活性水には、これらの機能に対してオゾンとの相乗効果を期待することができる。
さらに、貯蔵タンク18から噴霧ノズル21へ送水中のオゾン含有活性水の一部を、オゾン水生成装置12を経て貯蔵タンク18へ戻すように構成したので、オゾン含有活性水の生成から噴霧までのタイムラグが短縮し、噴霧直前または噴霧時のオゾン含有活性水のオゾン濃度の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施例1に係るオゾン含有活性水の噴霧システムの全体構成図である。
【図2】この発明の実施例1に係るオゾン含有活性水の噴霧システムの噴霧手段の噴霧ノズルを示す斜視図である。
【図3】この発明の実施例1に係るオゾン含有活性水の噴霧システムの作動を示すフローシートである。
【図4】この発明の実施例1に係るオゾン含有活性水の噴霧システムにより噴霧されたオゾン含有活性水による臭気成分などの吸着状態を示す拡大正面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 オゾン含有活性水の噴霧システム、
11 活性水生成装置、
12 オゾン水生成装置、
13 噴霧手段、
18 貯蔵タンク、
19 第3送水管、
21 噴霧ノズル、
25 エアー管、
26 コンプレッサ(圧縮空気発生装置)、
27 エア配管、
42 リリーフ管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分子のクラスタが水道水より小さい活性水を生成する活性水生成装置と、
酸素を分解して得たオゾンを前記活性水中に含有させ、該活性水をオゾン含有活性水とするオゾン水生成装置と、
前記オゾン含有活性水を噴霧する噴霧手段とを備えたオゾン含有活性水の噴霧システム。
【請求項2】
前記噴霧手段は、
前記オゾン水生成装置により生成されたオゾン含有活性水を貯液する貯蔵タンクと、
該貯蔵タンクから送水管を通して送水されたオゾン含有活性水を、該オゾン含有活性水に圧縮空気を混合して噴霧する噴霧ノズルと、
該噴霧ノズルに前記圧縮空気を供給する圧縮空気発生装置と、
前記送水管の途中に設けられ、該送水管を流れるオゾン含有活性水の一部を前記貯蔵タンクへ戻して循環させるバイパス管とを有した請求項1に記載のオゾン含有活性水の噴霧システム。
【請求項3】
前記噴霧ノズルは複数使用され、
前記圧縮空気発生装置と前記各噴霧ノズルとは、枝管を介して1本のエア配管により連通され、
該エア配管の枝管との連通部分には、少なくとも1本の該枝管を跨ぐリリーフ管が設けられた請求項2に記載のオゾン含有活性水の噴霧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−39218(P2009−39218A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205758(P2007−205758)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(507266059)有限会社ベック九州 (2)
【Fターム(参考)】