説明

オゾン滅菌装置およびオゾン滅菌処理の管理方法

【課題】設置および撤去が容易であり、かつ滅菌時間を適切に短縮化することができるオゾン滅菌装置を提供する。
【解決手段】オゾン滅菌装置1は、閉鎖空間にオゾンガスを送り出すオゾン発生器4と、閉鎖空間のオゾン濃度を検出するオゾンセンサー7と、予め求めたオゾン分解時の経過時間とオゾン濃度との関係であるオゾン分解特性、滅菌処理の終了を判断するためのCT設定値Ect、および積分時間Htを記憶可能なコントローラ2と、を有する。コントローラは、オゾンセンサーが検出するオゾン濃度Coを入力してCT値Sctを算出する手段と、最新のオゾン濃度、オゾン分解特性および積分時間に基づいてオゾン発生器が停止した場合に停止後から積分時間が経過するまでのCT近似値Actを算出する手段と、CT値およびCT近似値の和がCT設定値Ect以上のときオゾン発生器を停止させる手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾンを使用して衣服等の滅菌を行うオゾン滅菌装置およびオゾン滅菌処理の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、季節性インフルエンザとは異なる、鳥インフルエンザ等の変異形ウィルスによる爆発的な流行が現実的な問題となっている。また、抗生物質耐性を獲得した従来型ウィルスも世界各地で発見されている。このようなウィルスによる感染症の拡大を防止するには、感染者の隔離治療の他に、感染者に接触した保健所員、救急隊員および医療関係者の着衣および医療器具等の滅菌処理が求められる。
【0003】
ウィルスは飛沫感染および接触感染により、家族間、学校または職場等の限られた社会から広まる。そのため、患者の発生が認められると狭い地域で重点的に感染の予防措置が行われる。そして、感染地域は短期間で変化するので、保健所員および医療関係者によるそのような限定された地域活動における着衣および医療器具等の緊急の滅菌処理には、設置および撤去が容易な滅菌施設が有効である。
【0004】
特許文献1には、囲われた空間内のオゾンによる滅菌において、殺菌効果を維持しながら空間内の作業者の安全を図る滅菌装置が開示されている。また、特許文献2には、屋外に設営され居住空間として利用されるテント内に通気孔からオゾンガスを吐出して殺菌および脱臭を行い、良好な住環境を得る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−321430号公報
【特許文献2】特開平7−62933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された滅菌装置は固定型であり、局地的に感染者が増大しその場所が不特定のウィルス感染症等に対して、感染者が多い地域において迅速に滅菌処理を行うことができない。
特許文献2に開示されたエアマット付きテントにおける殺菌、脱臭方法は、人に大きな脅威となる流行性のウィルス感染症にそのまま応用することが困難である。
【0007】
また、ウィルス感染症が流行すると、治療器具等の不測が懸念され、繰り返し使用される器具については、効率的な滅菌が求められる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、設置および撤去が容易であり、かつ滅菌時間を適切に短縮化することができるオゾン滅菌装置およびオゾンを使用して滅菌時間を適切に短縮化することができるオゾン滅菌処理の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るオゾン滅菌装置は、閉鎖空間にオゾンガスを送り出すオゾン発生器と、前記閉鎖空間における空気中のオゾン濃度を検出するオゾンセンサーと、予め求めたオゾン分解時の経過時間とオゾン濃度との関係であるオゾン分解特性、滅菌処理の終了を判断するためのCT設定値、および積分時間を記憶可能なコントローラと、を有し、前記コントローラは、前記オゾンセンサーが検出するオゾン濃度を入力してCT値を算出する手段と、最新のオゾン濃度、前記オゾン分解特性および前記積分時間に基づいて前記オゾン発生器が停止した場合に停止後から前記積分時間が経過するまでのCT予測値を算出する手段と、前記CT値および前記CT予測値の和が前記CT設定値以上のとき前記オゾン発生器を停止させる手段と、を有する。
【0009】
好ましくは、前記閉鎖空間内のオゾンの濃度分布を減少させるための循環ブロワーと、オゾンを分解させるためのオゾン分解触媒と、前記CT値および前記CT予測値の和が前記CT設定値以上のとき前記循環ブロワーの吸気流路または吐出流路に前記オゾン分解触媒を含ませる手段と、を有する。
前記オゾン滅菌装置は、仮設の閉鎖空間に適用することができ、その場合、前記滅菌装置は、折り畳み可能なテントを有し、前記閉鎖空間は組み立てられた前記テントにより形成される。
【0010】
好ましくは、前記テントは、組み立てられたとき内部の上方を略水平に囲む筒状の循環流路を備え、前記循環流路には100以上の噴出口が設けられ、前記循環流路は前記循環ブロワーの吐出側に連通可能に形成される。
本発明に係るオゾン滅菌処理の管理方法は、閉鎖空間におけるオゾンによる滅菌処理をオゾン濃度と暴露時間との積であるCT値で管理する方法であって、オゾン生成開始後に繰り返し行うオゾン濃度の測定ごとにそれまでのCT値を求め、測定された最新のオゾン濃度を初期濃度とし予め求めたオゾン分解時の経過時間とオゾン濃度との関係であるオゾン分解特性に基づきオゾン生成を停止したと仮定したときの予め設定された積分時間経過までの推定CT値を求め、前記CT値と前記推定CT値との和が予め設定されたCT設定値以上となったとき、オゾン生成を停止させる。
【0011】
なお、前記した「閉鎖空間」とは、完全に密閉された空間の意ではなく、常識的に考えて除菌対象物(人も含む)が収容され除菌が行われるのに適する程度の閉鎖された空間も含む意である。したがって、微陰圧に維持された空間および微陽圧に維持された空間、またはわずかに換気が行われる空間も含まれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、設置および撤去が容易であり、かつ滅菌時間を適切に短縮化することができるオゾン滅菌装置およびオゾンを使用して滅菌時間を適切に短縮化することができるオゾン滅菌処理の管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は滅菌装置の概略図である。
【図2】図2はコントローラの正面図である。
【図3】図3はコントローラの右側面図である。
【図4】図4はコントローラの構成および外部機器との関係を示す図である。
【図5】図5はコントローラ2の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は進捗度表示処理のフローチャートである。
【図7】図7はCT値の近似計算のフローチャートである。
【図8】図8はテント内におけるオゾン濃度変化を示す図である。
【図9】図9は滅菌処理におけるオゾン濃度の変化例を示す図である。
【図10】図10は分解触媒装置の正面図である。
【図11】図11は分解触媒装置の左側面図である。
【図12】図12は分解触媒装置の右側面図である。
【図13】図13は図10におけるA−A矢視図である。
【図14】図14はコントローラの動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は他の滅菌装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は滅菌装置1の概略図、図2はコントローラ2の正面図、図3はコントローラ2の右側面図、図4はコントローラ2の構成および外部機器との関係を示す図である。
滅菌装置1は、テント3、オゾン発生器4、コントローラ2、循環ブロワー5および陰圧維持装置からなる。
テント3は、平面視(上から見たとき)において矩形である。テント3は、いずれも膜材で形成された四方の側面11a,11b,11c,11d、床面12、屋根面13a,13b、フレーム14および循環流路15で主に形成される。
【0015】
1つの側面11aには出入口16が設けられ、他の1つの側面11bには透明な膜で作られた観察窓17が設けられている。出入口16は、縦長の矩形であって縦に伸びた2辺が切り込みとなった巻き上げ式である。出入口16の切り込みとなった2辺は、テント3の外側および内側のいずれからも、面ファスナー18,18で簡易にシールが可能である。
【0016】
側面11a,11b,11c,11d、床面12および屋根面13a,13bは、出入口16を有する側面11aと床面12とが突き合わされる(交差する)交線部分を除き、フレーム14で接続されている。フレーム14は、膜材で筒状に形成され、すべての交線部分で内部が連通する。
循環流路15は、四方の側面11a,11b,11c,11dの上方に一体化された矩形の噴出部21および噴出部21における矩形の1つの角(かど)からフレーム14に沿って下方に伸びた導入部22からなる。噴出部21および導入部22は筒状であって、内部が連通する。
【0017】
噴出部21には、内側の下方45度の位置に多数の噴出口23が設けられている。噴出口23は、噴出部21の内外を連通させる貫通孔である。
テント3は、ポリ塩化ビニル樹脂がコーティングされたポリエステル膜で製造され、折り畳み可能である。
オゾン発生器4は、紫外線ランプおよび紫外線ランプに空気を送り込む送風機等よりなる。オゾン発生器4は、テント3の外に配置され、オゾン発生器4と循環流路15の導入部22とは、導入管26により連結される。オゾン発生器4をテント3内に配置することもできる。
【0018】
コントローラ2は、筐体(ケース)6、オゾンセンサー7、操作表示部8および制御部9等からなる。
筐体6は、鉄板で略直方体に形成される。筐体6は、下側にゴム足が取り付けられ、上面には、持ち運びに便利なように取っ手が取り付けられている。
筐体6の前面には、横方向の一方の側に偏って操作表示部8が設けられている。操作表示部8の反対側の端には、後述するオゾンセンサー7を着脱可能に保持するセンサー保持部31が設けられている。
【0019】
筐体6の前から見て右側面には、AC100V用電源コードのコネクタ32、オゾン発生器用電源のコネクタ33、循環ブロワー電源用のコネクタ34、オゾン発生器制御出力用のコネクタ35、オゾン分解装置入力用のコネクタ36およびオゾン分解装置電源用のコネクタ37が設けられている。筐体6内には、コネクタ32から受け入れたAC100Vの電源を、オゾンセンサー7、操作表示部8の各表示装置、ならびに制御部9の駆動等にそれぞれ適した電圧に変換するトランスおよび整流器等からなる電源部が組み込まれている。また、筐体6には、滅菌処理の完了を知らせる完了ブザーが取り付けられている。
【0020】
オゾンセンサー7は、0.01ppm〜10.00ppmの濃度範囲のオゾンを検出することができるものであり、検出したオゾン濃度に応じたアナログ出力が可能である。オゾンセンサー7は、外形が直方体である。オゾンセンサー7は、動作電源コードおよびアナログ出力コードが纏められたカールコード38により、筐体6内の電源部および制御部9に接続されている。オゾンセンサー7は、筐体6のセンサー保持部31に保持される。オゾンセンサー7には、貫通孔が設けられた被保持部39が側面に設けられ、これとは別の折り畳み可能な吊り下げ用のフックも裏面の上端に取り付けられている。
【0021】
操作表示部8は、操作部41および表示部42からなる
操作部41は、電源スイッチ43、設定入力部44、スタートボタン45、リセットボタン46、半減期選択ダイヤル47およびブザースイッチ48で構成される。
電源スイッチ43は、コントローラ2全体の電源をオン−オフするためのスイッチである。
【0022】
設定入力部44は、4つの7セグメントディスプレイにより4桁数値を表示するCT設定値表示部51、アップボタン52およびダウンボタン53で形成される。CT設定値表示部51は、滅菌処理の終了を判断する指標であるCT設定値を表示するものである。アップボタン52は、押されることによりCT設定値表示部51に表示されるCT設定値を大きくする。ダウンボタン53は、押されることによりCT設定値表示部51に表示されるCT設定値を小さくする。いずれも、押し初めは1桁目の数値が1つずつ変化し、押す時間が長くなるにつれて、順に2桁単位、3桁単位、4桁単位で数値が変化する。
【0023】
CT値とは、オゾン濃度(ppm)と滅菌時間(分)との積であり、一般にオゾンによる滅菌処理を行うときの処理時間の目安とされるものである。一定の殺菌率を得るCT値は細菌(ウィルス)の種類により異なる。CT設定値は、滅菌対象に適した値が選択される。
スタートボタン45は、押されることにより、コントローラ2に接続されたオゾン発生器4を起動させ、同時にオゾンセンサー7が検出したオゾン濃度により滅菌処理の管理を開始する。
【0024】
リセットボタン46は、押されることにより、完了ブザーの動作およびコネクタ34に接続された循環ブロワー5の動作を停止させる。また、リセットボタン46は、ダウンボタン53と同時に押されることにより、CT設定値をリセット、つまり0にセットする機能を有する。
半減期選択ダイヤル47は、滅菌処理時のCT値管理に使用するオゾンの半減期を設定するものである。半減期は、10分から40分までの5段階で選択可能であり、クリック式の半減期選択ダイヤル47で選択される。
【0025】
ブザースイッチ48は、オンにすることにより、滅菌処理が終了したときに筐体6に取り付けられた完了ブザーが動作する。
表示部42は、オゾン濃度表示部55、経過時間表示部56、CT値表示部57、進捗度表示部58および処理完了表示部59からなる。
オゾン濃度表示部55は、オゾンセンサー7が検出したオゾン濃度を表示する。視認し易さを考慮して、表示される濃度は、制御部9において演算された一定時間間隔ごとの平均値である。経過時間表示部56は、滅菌処理が開始されてからの経過時間を表示する。CT値表示部57は、経過時間表示部56に表示される経過時間におけるCT値(CT値については後述する)を表示する。
【0026】
進捗度表示部58は、5つの表示灯で構成される。5つの表示灯は、CT値表示部57の下に、CT値表示部の4つの7セグメントディスプレイの並びと同方向に並べて配されている。5つの表示灯は、左から順に、CT値表示部57の表示値がCT設定値表示部の表示値の20%以上、40%以上、60%以上、80%以上、100%以上になったときに点灯する。
【0027】
処理完了表示部59は、進捗度表示部58の並びの右に設けられ、オゾンによる滅菌処理が終了したとき表示される。
制御部9は、図4を参照して、入出力部61、演算部62および記憶部63からなる。入出力部61は、操作部41、表示部42およびオゾンセンサー7との情報の受け渡し、ならびに接続するオゾン発生器4および循環ブロワー5の電源のオンオフ等を行う。入出力部61は、例えば、オゾンセンサー7からのオゾン濃度に応じたアナログ出力を、演算部62が処理可能なデジタルデータに変換するA/D変換器、およびオゾン発生器および外部警報装置等の電源のオンオフを行うデジタルリレーを備える。
【0028】
演算部62は、種々の情報を演算処理するCPUで構成される。記憶部63は、操作部41から入力されたオゾン滅菌処理に関する条件等、滅菌処理においてオゾンセンサーにより計測されたオゾン濃度の経時データおよび演算の途中に生じ消去されるデータ等を一時記憶する。記憶部63は、半導体による大容量の揮発性メモリ(DRAM)および不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)で構成される。
【0029】
コントローラ2は、滅菌装置1においてはテント3の内部またはテント3の外に配置される。
オゾン発生器4およびコントローラ2は、いずれもコンパクトに製作可能であり、設置および撤去が容易である。
循環ブロワー5は、シロッコファン送風機である。循環ブロワー5は、吐出側が循環流路15の導入部22に連結可能である。循環ブロワー5は、吸入側が開放され、テント3の内部に配置される。
【0030】
陰圧維持装置は、テント3内を外部に比べて少しだけ陰圧の状態を維持するための装置である。陰圧維持装置は、例えばテント3の内部と外部との差圧を微差圧計で検出し、差圧が所定の値以下である場合に排気ブロワーによりテント3内の空気を排気する。
滅菌装置1は、テント3、オゾン発生器4、コントローラ2、循環ブロワー5および陰圧維持装置を容易に分解および一体化可能に設計される。滅菌装置1は、分解された状態で滅菌処理を要する場所まで運搬され、その場所で一体化される。
【0031】
滅菌装置1の組み立ては、循環ブロワー5稼働させ、拡げられたテント3のフレーム14内に空気を充満させることから始められる。フレーム14内に空気が充満し流入口が閉じられるとすると、テント3は自立する。
コントローラ2がテント3内に持ち込まれ、コネクタ32にAC100V電源からの電源コードが接続される。オゾンセンサー7は、センサー保持部31から取り外されて、テント3内における滅菌対象物の近くに設置される。オゾンセンサー7を保持したコントローラ2を滅菌対象物の近くに配置してもよい。
【0032】
テント3内において循環ブロワー5の吐出側が循環流路15の導入部22に接続され、その電源コードがコントローラ2のコネクタ34に接続される。
オゾン発生器4がテント3外に配置され、その電源コードがコントローラ2のコネクタ33に接続される。また、オゾン発生器4は、コントローラ2(のオゾン発生器制御出力用のコネクタ35)と信号ケーブルにより接続される。
【0033】
滅菌装置1は、テント3、オゾン発生器4、コントローラ2、循環ブロワー5および陰圧維持装置に分離されており、これらを設置場所において容易に組み立て、および容易にこれらに分解することができる。そのため、滅菌装置1は、大掛かりな輸送手段を使用しなくとも殺菌処理が求められる地域に迅速に運搬することができ、速やかに滅菌処理を行うことができる。
【0034】
次に、滅菌装置1を使用した滅菌処理について説明する。
図5はコントローラ2の動作を示すフローチャート、図6は進捗度表示処理のフローチャートである。
テント3内には、滅菌対象物が搬入され、また防護服を装着したままで有害菌に汚染された区域で活動した救急隊員、介護者等が収容されて、出入口16が面ファスナー18,18により閉じられる。
【0035】
なお、コントローラ2は、予め設定入力部44によりCT設定値が設定され、テント3内のオゾンの半減期が半減期選択ダイヤルにより選択されている。
滅菌処理は、操作部41のスタートボタン45が押されることにより開始される。滅菌対象物が物のみの場合には、スタートボタン45を押した作業者は、テント3内から速やかに退出する。
【0036】
図5を参照して、コントローラ2は、スタートボタン45が押されたことを検出すると、デジタルリレーを動作させ、コネクタ34に接続された循環ブロワー5を起動させ、同時に、オゾン発生器制御出力用のコネクタ35からオゾン発生器4に起動信号を発して、オゾン発生器4を起動させる。また、演算部62は、スタートボタン45が押されると、滅菌処理の経過時間Mtを管理する管理タイマー、およびCT値(Sct)をリセット(Mt=0,Sct=0)し、オゾン発生器4を起動させたことを示すフラグOfに1を当てはめる(S1)。
【0037】
続いて、演算部62は、オゾン濃度Coのサンプリング間隔を管理するためのサンプリングタイマーの値Tsをリセット(Ts=0)する(S2)。以後、CT値表示部57には計測されたオゾン濃度により算出されたCT値が表示され、経過時間表示部56には経過時間Mtが表示されて、コントローラ2による実質的なCT値管理が行われる。
演算部62は、オゾンセンサー7からの出力を入出力部61がデジタル化したデータ(オゾン濃度)を繰り返し読み込み、それを積算するとともに読み込み回数を記憶部63に記憶する。演算部62は、予めサンプリング間隔として記憶された時間Te(分)が経過する(Ts≧Te)と(S3)、記憶部63からオゾン濃度の積算値および積算回数を読み出し、その間のオゾン濃度(平均オゾン濃度)Coを算出する(S4)。
【0038】
演算部62は、サンプリングタイマーの値Ts(分)と算出された平均オゾン濃度Co(ppm)との積をCT値Sctに加算する(S4)。サンプリング間隔Teは、0.5〜5秒に設定される。サンプリング間隔Teをこれ以下としても、またはこれ以上としてもよい。
なお、CT値Sctに加算する値として、サンプリング間隔として設定された時間Te(分)と平均オゾン濃度Co(ppm)との積を用いてもよい。演算部62(CPU)の処理速度を考慮すると、タイマーによる実際のサンプリング間隔Ts(分)を用いて積算した場合との差は無視できる程度に小さいからである。
【0039】
CT値表示部57には、CT値Sctが更新されるごとに更新されたCT値Sctが表示される。
図6を参照して、演算部62は、CT値Sctにタイマーによるサンプリング間隔Tsとサンプリングされたオゾン濃度Coとの積が加算されると、加算されたCT値Sctは、CT設定値Ectの20%、40%、60%および80%の数値と比較される(S5)。この比較の結果、CT値Sctが20%以上となったとき進捗度表示部58の20%に対応する表示灯を点灯させる(S21)。CT値Sctが40%以上となったときは、40%に対応する表示灯を点灯させ(S22)、60%以上、80%以上となったときも同様にそれぞれ対応する表示灯を点灯させる(S23,S24)。
【0040】
演算部62はフラグOfを参照してオゾン発生器4が稼働しているときには(S6でYES)、オゾン発生器4を停止させてもCT値が最終的にCT設定値を上回るかどうかを推定する(S7)。
オゾン発生器4を停止させてもCT値が最終的にCT設定値を上回るかどうかの推定は、次のようにして行う。
【0041】
オゾンは、一定の環境下では、オゾンの濃度が元の濃度の半分となるまでの時間が常に同じであるという性質(半減期T)を有する。この関係は、次の(1)式で表される。
C=Ci×(1/2)t/T ・・・ (1)
(1)式におけるtは経過時間である。
図8は滅菌装置1のテント3内におけるオゾン濃度変化を示す図である。
【0042】
使用した滅菌装置1において、テント3の内容積は12.5m3、噴出部21に設けられた噴出口23は径2.5mmのものが152個、オゾン発生器44のオゾン生成量は3g/hr、循環ブロワー5の吐出量は2.7m3/minであった。
図8から、滅菌装置1のテント3内においてオゾン濃度の減少(分解)が(1)式で略表せることがわかる。
【0043】
CT値がオゾン濃度と時間の積であることから、例えば、テント3内のオゾン初期濃度をCi、半減期をT、経過時間をtとすると、オゾンが分解しながら時間t経過したときのCT値は、(1)式を0からtまで積分した値となる。この積分を近似計算で求めると、
Act≒f(Δt)×Δt+f(2Δt)×Δt+・・・
・・・・+f(nΔt)×Δt ・・・ (2)
ここで、Δtは微小時間、f(t)=Ci×(1/2)t/T 、nΔt=t であり、Actは、オゾン発生器4の停止時をゼロとした近似計算されたCT値である。
【0044】
図7にCT値の近似計算(半減期に基づくCT値予測)のフローチャートを示す。
記憶部63から積分時間Htおよび繰り返し回数nが読み出され、微小時間Dt(Δt)が計算される(S31)。積分時間Htは、半減期選択ダイヤル47で選択された半減期、半減期の2倍または半減期の4倍の数値が用いられる。積分時間Htを、半減期とは別に記憶部63に予め記憶させておいてもよい。繰り返し回数nは、20〜50が選択されるがその数は任意である。(2)式に代えて積分の台形公式を利用してもよい。
【0045】
近似積分値Actおよび微小時間Dtの積算値Stがリセット(Act=0、St=0)される(S31)。
続いて最初の積算値Stが求められ、積算時間Stにおけるオゾン濃度((1)式でt=Stとした値)と微小時間Dtとから最初のCT値が(2)式により求められて、近似積分値Actに加算される(S32)。
【0046】
微小時間の積算値Stと積分時間Htとが比較され、積算値Stが小さいとき、CT値の積算が繰り返される(S33でNO)。すなわち、先の積算値Stに微小時間Dtが加えられて経過時間(St−Dt)からStまでのCT値が求められ、これが先の近似積分値Actに加算される(S32)。
微小時間の積算値Stと積分時間Htとの比較で、積算値Stが積分時間Htと等しいか大きくなったとき(桁落ちによりn+1回ループが繰り返される場合を想定)(S33でYES)、オゾン発生器4の起動後に実際に計測されたCT値Sctに近似積分値Actが加算されてCT予測値Pctが求められる(S34)。
【0047】
近似積分値Actを求める処理(S7)は、オゾン濃度がある程度の値、例えば1ppm以上となったときから開始されるようにしてもよい。
さて、図5に戻って、現時点でオゾン発生器4を停止させた場合にCT値Sctが最終的にCT設定値を上回るかどうかについて、得られたCT予測値PctがCT設定値Ectと比較される(S8)。
【0048】
CT予測値PctがCT設定値Ectよりも小さいとき(S8でNO)、オゾン濃度CoのサンプリングおよびCT値Sctの加算(S4)等の一連の処理が繰り返される。
CT予測値PctがCT設定値Ectよりも小さいとき(S8でYES)、コントローラ2はオゾン発生器4を停止させ、オゾン発生器4の稼働に関するフラグOfをリセット(Of=0)する(S9)。
【0049】
この後もオゾン濃度CoのサンプリングおよびCT値Sctの加算(S4)等の一連の処理が繰り返され、CT値SctがCT設定値Ect以上となったとき(S10でYES)、コントローラ2は循環ブロワー5を停止させ、完了ブザーを動作させる(S11)。
図9は上記方法による滅菌処理におけるオゾン濃度の変化例を示す図である。図9における積分時間Htは半減期Tの2倍である。
【0050】
図9において実線で示されるオゾン濃度変化では、測定されたオゾン濃度CoをC1とすると、実測されたCT値Sct(A−B−Cで囲まれた面積)と近似積分値Act(C−B−D−Eで囲まれた面積)との和(CT予測値Pct)がCT設定値Ect以上になるとオゾン発生器4が停止される(S8でYES)。
一方、図9において実線よりもオゾン濃度Coの上昇速度が遅い破線で示されるオゾン濃度変化では、実線に比べてオゾン濃度増加過程における同一オゾン濃度に達したときのCT値Sctが大きい。例えば、(A−d−eで囲まれる面積)>(A−a−bで囲まれる面積)である。そのため、オゾン濃度Coの上昇速度が遅い破線で示されるオゾン濃度変化では、オゾン発生器4を停止させたときのオゾン濃度Coが低くその後の近似積分値Actが小さくても、実測されたCT値Sctとの和であるCT予測値PctがCT設定値Ect以上になる。
【0051】
図5および図7に示された方法によれば、オゾン濃度の増加状況に応じてオゾン発生器4の停止時期が柔軟に決定され、予め設定されたオゾン濃度に達するまでオゾン発生器4を稼働させる方法に比べて、オゾン発生器4の稼働時間を適切に短縮することができ、その結果として滅菌処理時間の短縮化を図ることができる。
コントローラ2およびオゾン発生器4の組合せは、上記したテント3での使用の他、仮設プレハブ小屋、住宅の1部屋、滅菌専用に設けられた空間に設置しても、図5および図7に示される方法により滅菌処理を行うことができ、その場合であってもオゾン発生器4の適切な稼働を実現することができる。
【0052】
図10は分解触媒装置10の正面図、図11は分解触媒装置10の左側面図、図12は分解触媒装置10の右側面図、図13は図10におけるA−A矢視図である。図11は循環ブロワー5に連結された状態の図であり、図12および図13では、背景が省略されている。
分解触媒装置10は、滅菌装置1によるオゾン滅菌処理において、CT値SctがCT設定値Ect以上となった後に(図5のS10でYES)、テント3内のオゾンを分解するために使用される。
【0053】
分解触媒装置10は、ベース71、触媒保持装置72および駆動装置74からなる。
ベース71は、触媒保持装置72および駆動装置74をその上に保持し分解触媒装置10を一体として機能させるためのものである。ベース71は、平面視(図10を上から見たとき)で長方形であり、金属の平板の2長辺を内側に折り曲げて製作される。
触媒保持装置72は、第1側板75、第2側板76および触媒保持部77等からなる。
【0054】
第1側板75は、厚板による矩形の本体81aとその長辺が本体81aに連続し本体81aと直交して一方に拡がる矩形の底部82aからなる。本体81aは、その略中央に円形の孔83が貫通する。本体81aには、孔83の中心を中心とした正方形の対角の位置に、後に説明するボールねじのネジ軸91のための軸受92,92が固定されている。残りの対角の位置には、ガイドバー94,94固定用の丸孔が設けられている。
【0055】
また、第1側板75には、内径が孔83の径と同じまたは若干大きな円筒のブロワー連結部84が、その軸を孔83の中心に一致させて、底部82aが拡がる側に一体化されている。
第2側板76は、孔83を有しない点、および軸受92,92が異なる対角の位置に設けられた点を除き、全体として第1側板75と同一の形状である。
【0056】
触媒保持部77は、厚板により略正方形に形成される。触媒保持部77は、中央に正方形の触媒保持孔85が設けられ、触媒保持孔85には、触媒ユニットCUが貫通した状態で複数のブラケットにより固定される。触媒ユニットCUは、断面正方形の角筒内に、オゾン分解触媒を担持させたシートをハニカム状に組み合わせたものである。このようなオゾン分解触媒は公知である。
【0057】
触媒保持部77は、第1側板75に重ねたとき軸受92,92に対応する位置にボールねじのナット93が固定され、正方形の残りの対角位置に円筒状のガイド86,86が固定されている。
第1側板75、触媒保持部77および第2側板76は、この順に並べられ、各軸受92,92とナット93とにボールねじのネジ軸91を貫通させ、各丸孔とガイド86とには丸棒であるガイドバー94を貫通させて、第1側板75および第2側板の底部82a,82bがベース71に固定されている。ネジ軸91,91およびガイドバー94,94は、互いに並行である。ガイド86は、ガイドバー94を嵌め入れてガイドバー94と相対的に摺動する。触媒保持部77は、2本のネジ軸91が同一方向に同一程度回転することにより、第1側板75(の本体81a)と並行状態を保ちながら、第1側板75に接近しまたは遠ざかる。この関係は第2側板76も同じである。
【0058】
駆動装置74は、モーター95、2つの1次プーリー96,96、2つの2次プーリー97,97および2つのリミットスイッチ98,98等からなる。
モーター95は、正逆回転可能な直流モーターが使用される。モーター95はベース71に固定されている。
2つの1次プーリー96,96は同一のものであり、モーター95の駆動軸に取り付けられている。
【0059】
2つの2次プーリー97,97は、対角に位置し、第2側板76から外方に突出するネジ軸91,91にそれぞれ取り付けられている。
1次プーリー96と2次プーリー97とはそれぞれベルト99で連結される。
リミットスイッチ98,98は、第1側板75および第2側板76それぞれの触媒保持部77側の面の下方に取り付けられる。リミットスイッチ98,98は、触媒保持部77の下端に取り付けられた作動板87に押圧されることにより動作する。
【0060】
分解触媒装置10は、リミットスイッチ98,98からの出力ケーブルがコントローラ2に接続可能に形成される。
図10を参照して、分解触媒装置10は、連通管27によりブロワー連結部84(孔83)が循環ブロワー5の吸入側に連結される。
なお、図10における符合28はオゾン導入管である。オゾン発生器4で生成したオゾンを循環ブロワー5の吐出側の流路の流れ軸方向に供給することにより、アスピレーターにおける吸い込み効果(静圧)と同様に円滑にオゾンを吐出流に合流させることができる。
【0061】
次に分解触媒装置10と組み合わされた滅菌装置1による滅菌処理について説明する。
滅菌装置1は、オゾン発生器4のオゾン吐出側が循環ブロワー5のオゾン導入管28に連結される。分解触媒装置10のリミットスイッチ98,98からの出力ケーブルはコントローラ2のオゾン分解装置入力用のコネクタ36に接続され、分解触媒装置10のモーター95の電源コードがコントローラ2のオゾン分解装置電源用のコネクタ37に接続される。
【0062】
図14は滅菌処理におけるコントローラ2の動作を示すフローチャートである。
分解触媒装置10が接続されたコントローラ2の動作は、図5に示される分解触媒装置10に接続されないコントローラ2の動作と、測定されたCT値SctとCT設定値Ectとの比較処理まで(S1〜S10)同じである。
ここで、オゾン発生器4の起動は、分解触媒装置10における触媒保持部77が第2側板76側の移動端に位置することが条件となる。コントローラ2のスタートボタン45が押されたときに、第2側板76に固定されたリミットスイッチ98からの信号がない場合、コントローラ2はモーター95を逆回転させて触媒保持部77を第2側板76側の移動端に移動させる。触媒保持部77が第2側板76側の移動端に位置するとき、循環ブロワー5は、触媒ユニットCUを通過しない空気を吸引し吐出する。
【0063】
オゾン発生器4が停止した後、オゾン雰囲気下のテント3内におけるCT値SctがCT設定値Ect以上になると(S10でYES)、コントローラ2はモーター95を正回転させて触媒保持部77を第1側板75側の移動端に移動させる(図10の2点鎖線参照)。触媒保持部77に保持された触媒ユニットCUは、第1側板75側の移動端において循環ブロワー5に連通する連通管27の開口を覆い、触媒ユニットCUを通過し(触媒に接触し)てオゾン分解された空気が循環ブロワー5に吸引される(S41)。
【0064】
オゾンは、触媒ユニットで強制分解され、オゾン濃度の低下が加速される。オゾンセンサー7はオゾン濃度の測定を継続し、オゾン濃度が人体に害を及ぼさない程度(0.1ppm以下、好ましくは0.02ppm以下)にまで低下したら(S42)、コントローラ2は循環ブロワー5を停止させ、完了ブザーを動作させる(S43)。コントローラ2は、モーター95を逆回転させて触媒保持部77を第2側板76側の移動端に移動させる。
【0065】
以上のコントローラ2の一連の動作により滅菌処理が終了する。
コントローラ2、オゾン発生器4、循環ブロワー5および分解触媒装置10の組合せによる滅菌処理では、オゾン濃度の増加状況に応じてオゾン発生器4の停止時期を柔軟に決定することができることに加え、CT値SctがCT設定値Ectに達した後速やかにテント3内のオゾン濃度を低下させることができる。そのため、滅菌処理のサイクルタイムを短縮することができ、一定時間でより多くの滅菌対象物を滅菌処理することができる。
【0066】
オゾン分解触媒を、循環ブロワー5の吐出側に配置してもよい。例えば、吐出側に触媒ユニットCUを有する流路と触媒ユニットCUのバイパス流路を設けて、これらの流路を条件により切り換える等である。
図15は他の滅菌装置1Bの概略図である。
滅菌装置1Bは、テント3、オゾン発生器4B、コントローラ2B、循環ブロワー5および陰圧維持装置からなる。滅菌装置1Bにおけるテント3,循環ブロワー5および陰圧維持装置は、滅菌装置1におけるものと同じであり、図15において図1と同じ符合を付しその説明を省略する。
【0067】
オゾン発生器4Bとコントローラ2Bとは、基本的な機能は滅菌装置1におけるオゾン発生器4およびコントローラ2と同じであるが、これらは一体化され同じ筐体(ケース)に収められている。
コントローラ2Bは、警報器のための電源コネクタを有し、滅菌処理時には、この電源コネクタにテント3の外部に配置させたパトライト19の電源コードが接続される。
【0068】
滅菌装置1Bによる滅菌処理においては、一体化されたオゾン発生器4Bおよびコントローラ2Bはテント3内に配置され、オゾン発生器4Bからのオゾンを含む空気は、導入管26により循環ブロワー5の吐出側に供給される。コントローラ2Bは、オゾン発生器4Bが起動される(S1)とパトライト19を点灯させる。コントローラ2Bは、オゾン発生器4Bの停止(Of=0)を条件として、オゾン濃度Co(図5または図14におけるS4)が人体に害を及ぼさない程度(例えば0.1ppm以下)にまで低下したら、パトライト19を消灯させる。
【0069】
テント3外の滅菌作業者は、パトライト19の稼働状態を観察することにより、テント3内の滅菌処理の進捗状況を知ることができる。
コントローラ2,2B、オゾン発生器4,4B、循環ブロワー5および分解触媒装置10は、テント3以外の閉鎖空間、例えば、専用に設置された滅菌室、仮設小屋、民家の部屋およびコンテナ等に適用して、上記したと同様に滅菌処理を行うことができる。循環ブロワー5の使用が困難な環境では、滅菌空間の空気を撹拌する手段、例えば扇風機等を使用してもよい。
【0070】
コントローラ2,2B、オゾン発生器4,4Bおよび循環ブロワー5を一体に形成し、コンパクト化を行って運搬の際の便宜を図ってもよい。
上述の実施形態において、コントローラ2,2B、オゾン発生器4,4B、循環ブロワー5および分解触媒装置10およびこれらの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、オゾンを使用して衣服等の滅菌対象物の滅菌を行うオゾン滅菌に使用する滅菌装置およびオゾン滅菌方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1B 滅菌装置(オゾン滅菌装置)
2,2B コントローラ
3 テント
4,4B オゾン発生器
5 循環ブロワー
7 オゾンセンサー
21 噴出部(循環流路)
23 噴出口
Co オゾン濃度
CU 触媒ユニット(オゾン分解触媒)
Ect CT設定値
Ht 積分時間
Act 近似積分値(CT近似値)
Sct CT値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖空間にオゾンガスを送り出すオゾン発生器と、
前記閉鎖空間における空気中のオゾン濃度を検出するオゾンセンサーと、
予め求めたオゾン分解時の経過時間とオゾン濃度との関係であるオゾン分解特性、滅菌処理の終了を判断するためのCT設定値、および積分時間を記憶可能なコントローラと、を有し、
前記コントローラは、
前記オゾンセンサーが検出するオゾン濃度を入力してCT値を算出する手段と、
最新のオゾン濃度、前記オゾン分解特性および前記積分時間に基づいて前記オゾン発生器が停止した場合に停止後から前記積分時間が経過するまでのCT近似値を算出する手段と、
前記CT値および前記CT近似値の和が前記CT設定値以上のとき前記オゾン発生器を停止させる手段と、を有する
ことを特徴とするオゾン滅菌装置。
【請求項2】
前記閉鎖空間内のオゾンの濃度分布を減少させるための循環ブロワーと、
オゾンを分解させるためのオゾン分解触媒と、
前記CT値および前記CT近似値の和が前記CT設定値以上のとき前記循環ブロワーの吸気流路または吐出流路に前記オゾン分解触媒を含ませる手段と、を有する
請求項1に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項3】
折り畳み可能なテントを有し、
前記閉鎖空間は組み立てられた前記テントにより形成される
請求項1または請求項2に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項4】
前記テントは、組み立てられたとき内部の上方を略水平に囲む筒状の循環流路を備え、
前記循環流路には100以上の噴出口が設けられ、
前記循環流路は前記循環ブロワーの吐出側に連通可能に形成された
請求項3に記載のオゾン滅菌装置。
【請求項5】
閉鎖空間におけるオゾンによる滅菌処理をオゾン濃度と暴露時間との積であるCT値で管理する方法であって、
オゾン生成開始後に繰り返し行うオゾン濃度の測定ごとにそれまでのCT値を求め、
測定された最新のオゾン濃度を初期濃度とし予め求めたオゾン分解時の経過時間とオゾン濃度との関係であるオゾン分解特性に基づきオゾン生成を停止したと仮定したときの予め設定された積分時間経過までのCT近似値を求め、
前記CT値と前記CT近似値との和が予め設定されたCT設定値以上となったとき、オゾン生成を停止させる
ことを特徴とするオゾン滅菌処理の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−75711(P2012−75711A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224040(P2010−224040)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(503242877)株式会社タムラテコ (11)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】