説明

オゾン濃度の検出方法及び装置並びにオゾン供給量の制御方法及び装置

【課題】ガス中のオゾン濃度を簡易に検出し、この検出結果から、被処理物のオゾン処理におけるオゾン供給量を簡易にかつ適正に制御する。
【解決手段】被処理物のオゾン処理に当たり、被処理物のオゾン処理後の排ガスをオゾン処理剤の充填層に通気し、排ガス通気後の充填層の温度の測定値に基いて被処理物に供給するオゾン量を制御する。充填層に流入したオゾン量と充填層の温度上昇度合は一次関数の関係にあるため、充填層の温度から排ガス中のオゾン濃度を求めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス中のオゾン濃度を簡易に検出する方法及び装置と、この検出結果を利用して、被処理物のオゾン処理におけるオゾン供給量を簡易にかつ適正に制御する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機性排水のオゾン酸化処理又はオゾン促進酸化処理においては、給水(処理する有機性排水)中の有機物濃度に応じてオゾン供給量を過不足なく適正に制御することが極めて重要である。即ち、有機性排水中の有機物濃度に対してオゾン供給量が過剰であると、高価なオゾンガスの無駄が生じ、逆にオゾン供給量が不足した場合には処理水質が悪化し、回収先で必要な水質を満足できなくなる問題が生じる。このため、給水の水質変動に応じてオゾン供給量を適切に制御する必要がある。
【0003】
従来、オゾン供給量を簡易に制御する方法としては、給水又は処理水の有機物濃度をTOC(全有機炭素)計や蛍光分析計のような分析計で連続的にモニタリングして、測定した有機物濃度に応じたオゾン量となるようにオゾンガス濃度を制御したり、排オゾン濃度(オゾン処理に使用した排ガス中のオゾン濃度)や処理水中の溶存オゾン濃度を測定し、その変化から間接的に水質変動を把握し、排オゾン濃度や溶存オゾン濃度が一定になるようにオゾン供給量を調節する方法がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来法には以下のような問題点があった。
即ち、給水又は処理水の有機物濃度を連続的にモニタリングする方法は、水質変動を把握するには精度がよく、追随性も良いが、分析のための計器が非常に高価であった。また、排オゾン濃度や溶存オゾン濃度が一定になるよう監視する方法は、ガスオゾン濃度計及び溶存オゾン濃度計が高価である上に、測定器内の紫外線(UV)ランプの寿命が短く、定期的なメンテナンスが必要となる。このようなことから、従来法はいずれも簡便性に欠け、また、コストの面でも問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、ガス中のオゾン濃度を簡易に検出する方法及び装置と、この検出結果を利用して、被処理物のオゾン処理におけるオゾン供給量を簡易にかつ適正に制御する方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1)のオゾン濃度の検出方法は、試料ガス中のオゾン濃度を検出する方法において、該試料ガスをオゾン処理剤の充填層に通気し、該試料ガス通気後の該充填層の温度の測定値に基いて、該試料ガス中のオゾン濃度を検出することを特徴とする。
【0007】
請求項2のオゾン濃度の検出方法は、請求項1において、該オゾン処理剤がオゾン分解触媒及び/又は活性炭であることを特徴とする。
【0008】
本発明(請求項3)のオゾン濃度の検出装置は、試料ガス中のオゾン濃度を検出する装置において、オゾン処理剤の充填層と、該充填層に試料ガスを通気する手段と、該充填層の温度を測定する手段とを備えてなることを特徴とする。
【0009】
本発明(請求項4)のオゾン供給量の制御方法は、被処理物にオゾン含有ガスを供給して該被処理物をオゾン処理するに当たり、該被処理物のオゾン処理後の排ガス中のオゾン濃度を検出し、この検出結果に基いて該被処理物に供給するオゾン量を制御する方法において、該排ガスをオゾン処理剤の充填層に通気し、該排ガス通気後の該充填層の温度の測定値に基いて前記被処理物に供給するオゾン量を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5のオゾン供給量の制御方法は、請求項4において、該オゾン処理剤がオゾン分解触媒及び/又は活性炭であることを特徴とする。
【0011】
請求項6のオゾン供給量の制御方法は、請求項4又は5において、該充填層の温度が予め設定された所定範囲内となるように、該被処理物に供給するオゾン量を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明(請求項7)のオゾン供給量の制御装置は、被処理物にオゾン含有ガスを供給して該被処理物をオゾン処理するオゾン処理手段と、該オゾン処理手段から排出された排ガスが通気されるオゾン処理剤充填層と、該充填層の温度を測定する温度測定手段と、該温度測定手段の測定値に基いて、前記被処理物に供給するオゾン含有ガス中のオゾン濃度又はオゾン含有ガス供給量を制御する手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、試料ガスを通気させたオゾン処理剤充填層の温度を測定してその上昇度合を調べるという、簡易かつ安価な手段で、試料ガス中のオゾン濃度を間接的に検出することができる。また、この検出結果に基いて、被処理物のオゾン処理において、被処理物の処理に使用されたオゾン量を推算し、この結果に基いてオゾン供給量を簡易にかつ適正に制御することができる。
【0014】
本発明は、高価な計器類や煩雑なメンテナンスが必要な計器類を必要とすることがなく、温度計のみで簡易にしかも即時的に実施することができ、被処理物のオゾン処理に当たり、オゾン供給量の過不足を防止して、効率的なオゾン処理を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明におけるオゾン処理剤充填層の温度の測定値に基くオゾン濃度の検出機構について説明する。
【0017】
本発明では、オゾンが活性炭やオゾン分解触媒等のオゾン処理剤と以下のような反応式に従って反応する際の反応熱(発熱反応)を利用して、充填層の温度からオゾン濃度を検出する。
【0018】
<活性炭>
(1) 2O+2C→2CO+O
(2) 2O+C→CO+2O
(3) 2O+C→3O+C
【0019】
<触媒(二酸化マンガンの場合)>
(1) O+MnO→MnO+O
(2) O+MnO→MnO+2O
【0020】
上記反応式からも明らかなように、オゾン処理剤充填層に流入したオゾン量と、流入したオゾンとオゾン処理剤充填層内のオゾン処理剤との反応で生成する反応熱によるオゾン処理剤充填層の温度上昇度合とは一次関数の関係にある(ただし、充填層への流入オゾン量に対してオゾン処理剤が反応当量よりも過剰にあることを必須とする。)。
【0021】
即ち、試料ガスを通気したときのオゾン処理剤充填層の温度が高いことは、試料ガス中のオゾン濃度が高く、この結果、オゾンとオゾン処理剤との反応で反応熱が多量に発生したために、充填層の温度が上昇したことを示し、逆に、試料ガスを通気したときのオゾン処理剤充填層の温度が低いことは、試料ガス中のオゾン濃度が低いことから、オゾンとオゾン処理剤との反応による反応熱量が少なく、この結果、充填層の温度がさほど上昇しなかったことを示す。
【0022】
従って、例えば、オゾン濃度既知のガスをオゾン処理剤充填層に通気して、オゾン濃度と通気後のオゾン処理剤充填層の温度から予め検量線を作製しておき、試料ガスを通気した時のオゾン処理剤充填層の温度の測定値をこの検量線に当てはめて、試料ガスのオゾン濃度を求めることができる。
【0023】
また、この原理を利用して、被処理物のオゾン処理に当たり、オゾン処理に使用した後の排ガスをオゾン処理剤充填層に通気し、そのときの充填層の温度を測定し、この結果に基いて排ガスのオゾン濃度を求め、排ガス中のオゾン濃度が検出範囲内で最も少なくなるように被処理物へのオゾン供給量を制御することにより、オゾンの過不足を防止して、オゾン供給量を適正に制御することができる。
【0024】
即ち、被処理物にオゾン含有ガスを供給して被処理物をオゾン処理した場合、使用されたオゾン量(被処理物に供給したオゾン含有ガスのオゾン濃度−排ガスのオゾン濃度)と、被処理物中の被オゾン分解物(例えば有機物)濃度とは一次関数の関係にある。従って、例えば、被処理水中の有機物濃度が変動して低濃度となった場合、反応器内の有機物に対して供給オゾン量が過剰となり、未反応オゾン量が増え、この場合には、排ガスが通気されたオゾン処理剤充填層の温度上昇度合が大きくなる。
【0025】
逆に、被処理水の有機物濃度が高濃度となった場合、反応器内の有機物に対して供給オゾン量が不足となり、未反応オゾン量が減り、この場合には、排ガスが通気されたオゾン処理剤充填層の温度上昇度合が小さくなるか、或いは、温度が全く上昇しなくなる。
【0026】
従って、オゾン処理剤充填層の温度から、残留オゾン量、換言すれば反応に使用されたオゾン量を推算することができ、この結果に基いて、検出される範囲で残留オゾン量が少なくなるように、オゾン供給量を制御することにより、オゾン供給量を適正に制御することが可能となる。
【0027】
また、オゾン供給量が適正値である場合の、排ガスが通気されたオゾン処理剤充填層の温度(設定温度)を予め求めておき、排ガスが通気されるオゾン処理剤充填層の温度が常にこの設定温度となるようにオゾン供給量を制御することにより、オゾン供給量を容易に適正供給量に制御することができるようになる。
【0028】
即ち、例えば、排ガスが通気されたオゾン処理剤充填層の温度が設定温度よりも高いときは、排ガス中のオゾン濃度が高く、オゾン供給量が過剰であると判断し、被処理物へのオゾン供給量を低減し、逆に排ガスが通気されたオゾン処理剤充填層の温度が設定温度よりも低いときは、排ガス中のオゾン濃度が低く、オゾン供給量が不足していると判断し、被処理物へのオゾン供給量を増加させることにより、オゾン供給量を簡易にかつ適正に制御することができる。
【0029】
なお、オゾン供給量を増減するには、被処理物のオゾン含有ガス供給量を増減する方法であっても良いが、オゾン含有ガス供給量は一定として、オゾン含有ガス中のオゾン濃度を増減する方法が簡便である。また、このオゾン含有ガス中のオゾン濃度の増減には、例えばオゾン発生器の出力(電流)調整による方法が簡便である。
【0030】
本発明で用いるオゾン処理剤としては、オゾンと反応して発熱するもの、特に、常温でオゾンと発熱反応するものが好ましく、例えば、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、チタン等の重金属の酸化物や銀、白金等のオゾン分解触媒や活性炭等が用いられる。これらは、2種以上混合して用いることもできるが、通常は1種のみを用いれば良い。
【0031】
これらのオゾン処理剤を充填するカラム等の型式には特に制限はないが、オゾンの酸化力に対して耐性を持った材質(例えばSUS304、SUS316等)で構成されている必要がある。なお、オゾン分解触媒や活性炭等のオゾン処理剤はオゾンの分解反応の触媒として機能し、試料ガスの通気によりオゾン処理剤の触媒機能が損なわれることはないため、充填層内のオゾン処理剤はメンテナンスフリーで長期使用可能である。ただし、充填層内に流入する排オゾンガス中に水分が比較的多く含まれる場合は、寿命短期化や性能低下を招くため、予め水分を除去しておくことが好ましい。
また、オゾン処理剤充填カラムの温度を測定する位置は上流側であることが好ましい。これは、下流側になると流入したガス中のオゾン量が少なくなって、充填カラムの温度上昇が不十分になる恐れがあるためである。
【0032】
なお、本発明のオゾン供給量の制御技術が適用される被処理物のオゾン処理としては、特に制限はないが、本発明は特に有機性排水のオゾン酸化処理又はオゾン促進酸化処理におけるオゾン供給量の制御に有効である。
【0033】
この場合、有機性排水は、オゾン分解促進剤の存在下にオゾンと接触させても良く、そのオゾン分解促進剤としては、過酸化水素、水酸化ナトリウム等のアルカリ、遷移金属及びその酸化物等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0034】
また、オゾン促進酸化処理法としては、
(1) オゾンとアルカリの併用
(2) オゾンと過酸化水素の併用
(3) オゾンと過酸化水素とアルカリの併用
(4) オゾンと紫外線と過酸化水素の併用
などが挙げられる。
【0035】
以下に図面を参照して本発明のオゾン濃度の検出方法及び装置とオゾン供給量の制御方法及び装置をより具体的に説明する。
【0036】
図1は本発明のオゾン濃度の検出方法及び装置の実施の形態を示す系統図である。
図1のオゾン濃度検出装置10は、オゾン処理剤充填カラム1に試料ガスの導入配管1Aと排出配管1Bが設けられ、また、カラム1内のオゾン処理剤充填層の温度を測定する温度測定機器2とこの結果に基いてオゾン濃度を表示するオゾン濃度表示計3とが設けられている。
【0037】
温度測定機器2としては、十分な耐酸化性を有し、連続してオゾン処理剤充填層内又はオゾン処理剤充填カラム表面の温度を測定できるものであれば良く、特に制限はないが、例えば、非接触タイプの赤外線放射温度センサー、センサー部が十分な耐酸化性を持った(例えばSUS316やテフロンで被覆された)接触型温度計などを用いることができる。
【0038】
このオゾン濃度検出装置10では、配管1Aからオゾン処理剤充填カラム1内に流入した試料ガス中のオゾンは、カラム1内のオゾン処理剤と接触して発熱反応し、この反応熱で上昇したオゾン処理剤充填層の温度は温度測定機器2により測定される。また、この測定結果に基いて、予め設定された計算式に従って、オゾン濃度が算出され、オゾン濃度表示計3により算出されたオゾン濃度が表示される。
【0039】
図2は、有機性排水(給水)のオゾン処理装置に、このようなオゾン濃度の検出装置10を設け、本発明に従って、オゾン供給量の制御を行う方法及び装置を示す系統図であり、給水はポンプ4を備えた配管11よりオゾン反応槽5に送水される。この配管11にはオゾン分解促進剤とpH調整剤の注入配管12,13が設けられており、給水は、これらの薬剤が添加された後オゾン反応槽5に導入される。オゾン反応槽5にはオゾン発生器6からのオゾン含有ガスが配管14より導入される。このオゾン発生器6の形態としては、電圧を変化させることでオゾン発生濃度を変化させることができるものなどが好適に用いられる。
【0040】
オゾン反応槽5内でオゾン処理された処理水は配管15より系外へ排出される。
オゾン反応槽5で給水のオゾン処理に使用された排ガスは配管16より排出され、ガスドライヤー7でガス中の水分が除去された後、乾燥排ガスが配管17を経てオゾン濃度検出装置10に通水された後、配管18より系外へ排出される。
【0041】
オゾン濃度検出装置10では、前述のように、排ガス中のオゾンとオゾン処理剤との反応熱による上昇温度が測定され、その測定結果が制御機器8に入力される。制御機器8では、入力された温度の測定値に基いて、オゾン発生量の制御信号が出力され、この制御信号によりオゾン発生器6のオゾン発生量が制御される。
【0042】
例えば、連続的にモニタリングしているオゾン濃度検出装置10のオゾン処理剤充填層内の温度が一定となるように、オゾン発生器6からのオゾン含有ガス中のオゾン濃度を制御する。より具体的には、オゾン濃度検出装置10のオゾン処理剤充填層内の設定温度を30℃とすると、これよりも温度が高くなってきたら発生オゾン濃度を下げ(注入オゾン量が過剰で排ガス中のオゾン濃度が高いため、発生オゾン量を低減する)、これよりも温度が低くなってきたら発生オゾン量を上げる(注入オゾン量が不足することで、排ガス中のオゾン濃度が低くなっているため、発生オゾン量を増加させる)。
【0043】
ここで、制御の基準とするオゾン処理剤充填層の設定温度は、要求される処理水の水質やオゾン処理剤充填カラムの構造、オゾン処理剤の種類によって異なるため、運転初期に目的の処理水質を満足している時のオゾン処理剤充填層温度を測定し、その温度で一定となるようオゾン発生器6の出力を制御するようにすることが好ましい。
【0044】
なお、図2において、オゾン反応槽におけるオゾンと給水との気液接触方法としては特に制限はなく、気泡塔に散気管を設置する方法のほか、Uチューブ式接触槽などの気液分離を兼ねた反応器などを用いることができる。
【0045】
また、給水のpH調整は、反応が進行しても反応器内のpHが一定になるように制御されていれば良い。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を挙げる。
【0047】
[実施例1]
<実験条件>
図2に示す装置を使用し、DMSO(ジメチルスルフォキシド)の濃度を1.0〜20mg−C/Lの範囲で変化させたDMSO含有水を給水としてオゾン反応槽に連続的に通水して処理することによって、排ガスとしてオゾン濃度が変動するオゾン含有ガスを生成させた。このオゾン含有ガスをオゾン処理剤充填カラムに通気してオゾンガスを処理し、オゾン処理剤充填カラムの温度とオゾン濃度との関係を検証した。
【0048】
オゾン反応槽への給水の移送には、渦流ポンプ((株)ニクニ製、M20NPD40S)を使用した。
オゾン反応槽は透明塩化ビニル製カラム(直径150mm、高さは4500mm)を用い、給水流量は500L/hで運転した。
オゾン処理剤としては、オゾン分解触媒(品川化成株式会社製「セカードKR」)を用いた。
オゾン処理剤充填カラムとしては、SUS316製、直径250mm、高さ1350mmのカラムを用い、オゾン分解触媒を60L充填した。
オゾン処理剤充填カラムに設置する温度測定機器としては、耐薬品性熱電対(フッ素樹脂モールドセンサ、株式会社オレガ製)を使用した。
オゾン反応槽上部から排出されるオゾン含有ガス中のオゾン濃度は、オゾン濃度計EG−600(荏原実業(株)製)を用いて測定した。
【0049】
<実験結果>
このとき、オゾン反応槽上部から排出され、オゾン処理剤充填カラムに流入するオゾン含有ガス中のオゾン濃度と、オゾン処理剤充填層の温度との関係を図3に示す。
給水のDMSO濃度が変化するにつれ、オゾン濃度およびオゾン処理剤充填カラム内温度もそれに追随し、図3のように一次関数の関係が得られた。
よって、オゾン含有ガスが通気されたオゾン処理剤充填カラムの温度を測定することにより、間接的にオゾン含有ガス中のオゾン濃度を測定できることが示された。
【0050】
[実施例2]
図2に示す装置により、本発明に従って、オゾンの注入制御を行った。
【0051】
DMSO(ジメチルスルフォキシド)の濃度を1.0〜20mg−C/Lの範囲で変化させたDMSO含有水を給水とし、給水ポンプとしては、渦流ポンプ((株)ニクニ製、M20NPD40S)を使用し、オゾン分解促進剤として過酸化水素1重量%をオゾン注入量に合わせて添加し、さらに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH10とした後、オゾン反応槽に500L/hrの流量で供給した。
【0052】
オゾン反応槽には、直径150mm、高さ4500mmの透明塩化ビニル製カラムを用い、オゾン発生器からのオゾンを槽下部から散気した。
【0053】
オゾン処理剤充填カラムとしては直径250mm、高さ1350mmのSUS316製カラムを用い、オゾン分解触媒(品川化成(株)製「セカードKR」)を60L充填したものを用いた。このオゾン処理剤充填カラムの温度を測定する温度計としては、耐薬品性熱電対((株)オレガ製 フッ素樹脂モールドセンサ)を使用した。
【0054】
運転開始時に、オゾン反応槽の処理水のDMSO濃度が0.1mg−C/Lとなるよう、オゾン発生器での発生オゾン濃度を調節すると共に、このときのオゾン処理剤充填カラムの温度を測定し、その後はオゾン処理剤充填カラムの温度が運転開始時の温度程度で一定(運転開始時の温度±3℃の範囲)になるよう、オゾン発生器の出力を制御することにより、オゾン反応槽に供給されるオゾン含有ガスのオゾン濃度を調整した。なお、オゾン反応槽へのオゾン含有ガス流量は8.0NL/minで一定とした。
【0055】
このときの反応結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
表1より、オゾン反応槽に供給するオゾン含有ガス中のオゾン濃度を、オゾン処理剤充填層の温度に応じて制御することにより、給水水質の変動に応じて反応に必要なオゾンを過不足なく供給して、安定した処理水水質を得ることができることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のオゾン濃度の検出方法及び装置の実施の形態を示す系統図である。
【図2】本発明のオゾン供給量の制御方法及び装置の実施の形態を示す系統図である。
【図3】実施例1の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0059】
1 オゾン処理剤充填カラム
2 温度測定機器
3 オゾン濃度表示計
4 ポンプ
5 オゾン反応槽
6 オゾン発生器
7 ガスドライヤー
8 制御機器
10 オゾン濃度検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ガス中のオゾン濃度を検出する方法において、該試料ガスをオゾン処理剤の充填層に通気し、該試料ガス通気後の該充填層の温度の測定値に基いて、該試料ガス中のオゾン濃度を検出することを特徴とするオゾン濃度の検出方法。
【請求項2】
請求項1において、該オゾン処理剤がオゾン分解触媒及び/又は活性炭であることを特徴とするオゾン濃度の検出方法。
【請求項3】
試料ガス中のオゾン濃度を検出する装置において、オゾン処理剤の充填層と、該充填層に試料ガスを通気する手段と、該充填層の温度を測定する手段とを備えてなることを特徴とするオゾン濃度の検出装置。
【請求項4】
被処理物にオゾン含有ガスを供給して該被処理物をオゾン処理するに当たり、該被処理物のオゾン処理後の排ガス中のオゾン濃度を検出し、この検出結果に基いて該被処理物に供給するオゾン量を制御する方法において、該排ガスをオゾン処理剤の充填層に通気し、該排ガス通気後の該充填層の温度の測定値に基いて前記被処理物に供給するオゾン量を制御することを特徴とするオゾン供給量の制御方法。
【請求項5】
請求項4において、該オゾン処理剤がオゾン分解触媒及び/又は活性炭であることを特徴とするオゾン供給量の制御方法。
【請求項6】
請求項4又は5において、該充填層の温度が予め設定された所定範囲内となるように、該被処理物に供給するオゾン量を制御することを特徴とするオゾン供給量の制御方法。
【請求項7】
被処理物にオゾン含有ガスを供給して該被処理物をオゾン処理するオゾン処理手段と、該オゾン処理手段から排出された排ガスが通気されるオゾン処理剤充填層と、該充填層の温度を測定する温度測定手段と、該温度測定手段の測定値に基いて、前記被処理物に供給するオゾン含有ガス中のオゾン濃度又はオゾン含有ガス供給量を制御する手段とを有することを特徴とするオゾン供給量の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−139141(P2009−139141A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313608(P2007−313608)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】