説明

オブジェクトからバインディング情報を分離して適切な権利管理を可能にする方法及び装置

オブジェクトからバインディング情報を分離して適切な権利管理を可能にする方法及び装置。実施形態は、コンピュータ支援設計(CAD)システム内に実装することができる権利管理機構を提供することができる。権利管理機構は、CADアセンブリ内のオブジェクトからバインディング情報を分離し、オブジェクトレベルで権利管理を可能にする。権利管理機構は、ユーザーレベルで、並びにオブジェクトレベルで権利を施行して、異なるCAD動作についてユーザーレベルで権利を管理及び施行する。権利管理機構の実施形態は、権利管理サーバ及び権利クライアント機構を含むことができる。CADセッションにインスタンス化されるCADファイルのセットからの幾何学的形状を権利クライアント機構が解釈し、権利管理サーバが関連ファイルと相関付けて、ファイルからインスタンス化されたパートに適用される必要がある権利を決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムに関し、更に詳細には、CADアセンブリなどのオブジェクトの集合のデジタル権利管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ支援設計(CAD)システムは、建築家、技術者、製図者、芸術家などが精密図面又はテクニカルイラストを作成するために使用することができる。CADソフトウェア(本明細書ではCADアプリケーションという)を使用して2次元(2D)図面又は3次元(3D)モデルを作成することができる。密接な関係があるCAD/CAM(コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造)は、コンピュータ及び他の装置内の電子回路基板などの製品を設計するために使用するソフトウェアである。様々なCADシステム、CADソフトウェア/アプリケーション及びCADハードウェアが様々なベンダから販売されている。CADシステムは、パーソナルコンピュータ上でCADアプリケーションとして実装し実行することができる個人利用を目的とするローエンドシステムから、複数のハイエンドCADワークステーション、CADファイルサーバ、ハイエンドプリンタ、及び場合によっては他のインフラストラクチャー及びコンポーネントを有して、ハイエンドのネットワーク実装システム、部門規模のシステム、或いは、場合によっては企業規模のシステムにまで及ぶことができ、ここでは、CADオブジェクトに企業内の様々なユーザがアクセスするか又はその間でCADオブジェクトを共有することができ、或いは、場合によっては企業外の他者がCADオブジェクトにアクセスし又は企業外の他者にCADオブジェクトを分配することができる。
【0003】
図1A及び図1Bは、ネットワーク上で実装される従来のCADシステムを示す。図1Aにおいては、各々がCADアプリケーション122としてCADソフトウェアを実装する1つ又はそれ以上のCADステーション120は、ネットワーク100に結合することができる。CADサーバ110はネットワーク100に結合することができる。CADサーバは、CADファイル112を格納し管理することができる。図1Bは、CADステーション120の動作を示す。ユーザ150は、CADステーション120上に実装されたCADアプリケーション122と対話して、CAD作業を開始することができる。例えば、ユーザ150は、CADアプリケーション122と対話して、CADアセンブリを開き、表示することができる。CADアプリケーション122は、CADサーバ110と通信して所望のアセンブリにアクセスすることができる。CADサーバ110は、アセンブリをアセンブリファイル118として管理及び格納することができる。アセンブリファイル118は、1つ又はそれ以上のパートファイル114、及び/又は1つ又はそれ以上のファミリファイル116など、他のCADファイルを参照することができる。各パートファイル114は、限定ではないが幾何学的情報を含む、特定のパートに関係する情報を含むことができる。本明細書において、パートとは、原子(アトミックな)CAD要素又は単位である。CADにおいて、パートは、パート間で定義された幾何学的関係に従ってアセンブリに組み立てることができる。アセンブリファイルは、その中で示されるパート間の幾何学的関係に関係する情報、及び場合によってはアセンブリに関係する他の情報を含むことができる点に留意されたい。従って、アセンブリは、パートの幾何学的に並べられた又は関係がある集合と考えることができ、アセンブリファイル118で定義される。ファミリファイル116は、1つ又はそれ以上のパートファイル114の集合を示すファイルとすることができ、その中で示されるパート間の関係に関する情報など、他の情報を含むことができる。
【0004】
CADサーバ110からアセンブリファイル118にアクセスすると、CADアプリケーション122は、CADステーション120に結合されているディスプレイ130上でアセンブリ138をレンダリングすることができる。この実施例においては、アセンブリ138は、アセンブリ138のこの図において、アセンブリファイル118で指定された幾何学的関係に従って並べられたパート134A〜134Eを含む3Dモデルとしてディスプレイ130上にレンダリングされている。次いで、ユーザ150は、必要に応じて又は要望通りに、アセンブリ138又はパート134に操作、修正、又は他の作業を行うことができる。例えば、ユーザ150は、パート134を追加又は除去し、パート134を移動し、パート134を修正し、アセンブリ138又はその一部を印刷し、アセンブリ138の透視図又は矢視図を回転又は他の方法で変更し、現在表示されていないアセンブリ138の他の面を表示するなどを行うことができる。
【0005】
図2は、図1Bのアセンブリ138など、CADアセンブリの簡素化した概念図を示している。アセンブリ160は、パート162の集合及びパート162間の関係として概念的にとらえることができる。パート162間の関係は、バインディング情報ということができる。アセンブリファイル118は、パート162を識別する情報(例えば、1つ又はそれ以上のパートファイル114及び/又はファミリファイル116を識別する情報)及び含まれるパート162間の関係を定義するバインディング情報を含むことができる。概念的に、アセンブリ160のパート162は、高レベル(例えば、パート162Aを含むレベル)から1つ又はそれ以上の低レベルまで階層的に配列されたパートの階層とみなすことができる。バインディング情報は、パート160間の階層関係、及びレベル内でのパート間の関係情報を識別するものである。
【0006】
図1A及び図1Bの例示的なシステムなどのCADシステムにおいては、アクセス管理及びセキュリティが懸念事項となっている。例えば、従来のネットワークベースのCADシステムにおいては、ファイル暗号化及びアカウントレベルのパスワード制御は、CADファイルへのアクセスを制御するために一般に使用される機構である。従って、有効なアカウント及びパスワードを有しネットワークアクセスことができる任意のユーザは、CADステーション120を介してCADファイルサーバ110により管理されるCADファイルにアクセスすることができる。従って、従来的に、このような任意のユーザは、CADファイルが多くのユーザ間で共有することができること、並びにファミリ及びパートはアセンブリ間で共有できることにもかかわらず、CADセッションにおいてアセンブリ、ファミリ、又はパートファイルを改変、コピー、印刷、又は他の方法で操作又は使用することができる。
【発明の概要】
【0007】
オブジェクトからバインディング情報を分離して適切な権利管理を可能にする方法及び装置の様々な実施形態が説明される。実施形態は、ネットワークベースのCADシステムを含む、コンピュータ支援設計(CAD)システム内で実装及び/又は該システムと一体化することができる権利管理機構を提供することができる。権利管理機構の1つの態様は、構造化CADアセンブリにおけるオブジェクト(例えば、アセンブリ内のパート)からバインディング情報を分離し、機構がCAD環境においてオブジェクト(パート)レベルで適切な権利管理を可能にするものである。権利管理機構の実施形態は、原子オブジェクトレベルを含む全てのレベルで、及びCADアセンブリ内のパートの階層の異なるレベル又は層で権利を管理及び施行することができる。権利管理機構の別の態様は、機構がユーザーレベルで並びにCADアセンブリ内の原子レベルで権利を管理及び施行することができ、CADアセンブリ内の原子レベルで異なるCAD機能又は動作についてユーザーレベルで権利を管理及び施行することができるものである。権利管理システムの実施形態により可能にされるこの原子的ユーザ固有権利管理は、従来のCADシステムでは提供されていない。
【0008】
権利管理機構の実施形態は、構造化CADアセンブリのコンテキストで権利管理を適用する。構造化CADアセンブリにおいては、CADモデルは、階層的又は他の構造化手法で幾つかのオブジェクト(パート)に細分化することができる。これらのパート間の関係がバインディング情報である。実施形態においては、パートの各々に権利を個々に割り当てることができる。権利管理機構は、異なるパートに割り当てられる権利間の相関関係を管理し、各パートに対して個々に権利管理を行う。権利管理機構の実施形態は、パートの階層に従って構造化CADアセンブリを調べ、各パートを切り離して調べ、更にパートが権利を割り当てて認識させる必要がある特定のオブジェクトであることを判定する能力を提供する。CADアセンブリのオブジェクト(パート)を分離することは、アセンブリ内のオブジェクトを認識してこれを分離し、オブジェクトレベルの権利管理を適用することを意味する。CADアセンブリのオブジェクト(パート)を分離する際に、権利管理機構は、アセンブリの構造を解釈して互いに対するパートの関係を理解することができ、従ってアセンブリにおける別個のパートを認識することができる。
【0009】
実施形態においては、権利は、CADファイル及びCADファイルに含まれるコンテンツのレベルで管理及び適用することができる。CADファイルのセット内の幾何学的形状がCADセッションにおいてインスタンス化されると、権利管理システムは、パート間の幾何学的関係を解釈して、特定の幾何学的形状が特定のパートに属し、従って特定のCADファイルに属すること、並びにパート及び関連のCADファイルが一定の関連した権利を有すると判定することができる。従って、CADセッションの幾何学的形状を考慮すると、権利管理システムは、その幾何学的形状が権利管理により保護されていた特定のCADファイルに属すると判定し、従って、関連したファイルに割り当てられた権利に応じてCADセッション内で権利を適用することができる。
【0010】
権利管理機構の実施形態は、限定ではないが、権利管理サーバ及び権利クライアント機構を含むことができる。一実施例においては、1つ又はそれ以上の権利管理サーバは、通常1つ又はそれ以上のCADファイルサーバ上でCADファイル内に格納及び管理されるCADオブジェクトに関する権利情報、CADファイル自体に関する権利情報、及びCADユーザに関する権利情報を格納及び管理することができる。ネットワーク化されたCADシステム内の各CADステーションは、権利クライアント機構の少なくとも1つのインスタンスをホストすることができる。一実施例においては、権利クライアント機構は、各CADステーション上でCADアプリケーションソフトウェアに対するプラグインとして実装することができる。或いは、権利クライアント機構は、CADアプリケーションソフトウェアのモジュール又はコンポーネントとして実装することができる。
【0011】
一実施例においては、CADシステムのエンドユーザは、ファイル単位ベースで権利を割り当てることができる。これらの権利は、権利管理サーバ上のファイルのコンテンツ(幾何学的情報を含む)と関連付けることができる。ファイルがパッケージ化されたときには、ファイルは、権利定義を格納及び管理する権利管理サーバにこれらのファイルを示す情報を含む。CADセッションにインスタンス化されるCADファイルのセットからの幾何学的形状は、権利クライアント機構により解釈されて、関連したファイルと権利管理サーバにより相関付けられて、CADセッションにおいてインスタンス化されたCADアセンブリの特定のインスタンスのコンテキストでファイルからインスタンス化されたパートに適用される必要がある権利を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】ネットワーク上で実装される従来のCADシステムを例示する図である。
【図1B】ネットワーク上で実装される従来のCADシステムを例示する図である。
【0013】
【図2】CADアセンブリの概念図である。
【0014】
【図3】一実施形態による、ネットワーク上で実装され権利管理機構を含むCADシステムを示す図である。
【0015】
【図4】一実施形態によるCADシステムにおいて実装することができる権利管理機構のコンポーネントを示す図である。
【0016】
【図5】一実施形態によるネットワーク化されたCADシステムにおいて実装された権利管理機構の動作を示す図である。
【0017】
【図6】一実施形態によるCADシステムにおいて実装された権利管理機構の動作の方法を示すフローチャートである。
【0018】
【図7】一実施形態によるネットワーク化されたCADシステムにおいてCADステーション上に実装された権利クライアント機構の動作を示すフローチャートである。
【0019】
【図8】実施形態を実装することができる例示的なコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を幾つかの実施形態及び例示的な図面について例示として本明細書で説明するが、当業者であれば、本発明は説明される実施形態又は図面に限定されないことは認識するであろう。各種図面及びその詳細な説明は、開示される特定の形態に本発明を限定する意図はなく、むしろ、本発明は、添付の請求項により定められる本発明の精神及び範囲に含まれる全ての改変、均等物、及び代替形態を保護することになることを理解されたい。本明細書で使用する見出しは、構成上の目的のものに過ぎず、本明細書又は請求項を限定するために使用されることを意図していない。本明細書を通じて使用される用語「することができる」とは、強制的な意味(すなわち、しなければならない意味)ではなく、許容的な意味(すなわち、〜する可能性を有する意味)で使用される。同様に、用語「含む」、「含んでいる」とは、「〜を含むがこれらに限定されない」ことを意味する。
【0021】
オブジェクトからバインディング情報を分離して適切な権利管理を可能にする方法及び装置の種々の実施形態を説明する。実施形態は、ネットワークベースのCADシステムを含む、コンピュータ支援設計(CAD)システム内で実装し、及び/又はこれと一体化することができる権利管理機構を実現することができる。権利管理機構を用いて、CADオブジェクトのデジタル権利管理を確立、管理、及び施行することができる。CADオブジェクトとしては、限定ではないがCADアセンブリファイル、ファミリファイル及びパートファイルを含むCADファイル、並びにこれらのファイルからインスタンス化されるオブジェクト、例えば、バインディング情報に従って幾何学的関係でCADセッションにおいて表示可能な構造化CADモデルにインスタンス化されるアセンブリ及びパート、或いはCADアセンブリなどを挙げることができるが、これらに限定されない。「CADモデル」とは、本明細書では「CADアセンブリ」を意味する点に留意されたい。
【0022】
限定ではなく、3次元(3D)CADを可能にするCADシステムを含む多くのCADシステムにおいて、構造化CADアセンブリ内でCADオブジェクト又はパートのデジタル権利管理を確立、管理、及び施行する必要性がある。特に3DCAD環境においては、権利管理される必要があるCADアセンブリのコンポーネント(パート)の特性及び関係を定義することは、直観的なものではない。権利管理機構の態様は、当該機構が構造化CADアセンブリにおいてオブジェクト(例えば、アセンブリ内のパート)からバインディング情報を分離し、CAD環境におけるオブジェクト(パート)レベルで適切な権利管理を可能にするものである。権利管理機構の実施形態は、原子オブジェクトレベルを含め全てのレベルで、及びCADアセンブリのパートの階層の異なるレベル又は層で権利を管理及び施行する(図2を参照)。従来のアクセス管理及びCADシステムのセキュリティモデルは、一般に、パスワード保護に依存するものであり、従って、CADアセンブリ内で原子レベルで権利管理を実行及び施行する機構を実現するものではない。
【0023】
権利管理機構の別の態様は、該機構が、ユーザーレベル並びにCADアセンブリ内の原子レベルで権利を管理及び施行することができ、更に、CADアセンブリ内の原子レベルで異なるCAD機能又は動作についてユーザーレベルで権利を管理及び施行することができるものである。従って、CADシステムの異なるユーザには、CADアセンブリ内の個々のコンポーネントに対する異なるCAD動作に対して異なる権利を付与することができ、特定のユーザには、CADアセンブリ内の異なるコンポーネントに異なる権利が割り当てられるようにする。権利管理システムの実施形態により可能にされるこの原子的なユーザに固有の権利管理は、従来のCADシステムにおいて実現されていない。
【0024】
CADモデルを単純化して見ると、各パートはディスク上のファイルである。実際には、CADモデルは単なるディスク上の物理ファイルのセットではなく、CADモデルは、アセンブリファイルに含まれ、パートファイル及びその情報がCADセッションにインスタンス化される方法を関連付ける幾何学的情報である。CADシステムは、幾何学的情報を解釈して、CADセッションのコンテキストの範囲内でモデル又はアセンブリを作成する。例えば、住宅の例示的なCADモデルにおいては、ドアは、ディスク上のパートファイルからインスタンス化することができる。ファイル内にはドアについての幾何学的形状についての複数のインスタンスが存在することができる。従って、ドアの基本的な構造を単に知ればよいだけではない。CADシステムは、その構造を解釈して、CADセッションにおいて正確な幾何学的情報に従ってドアの図を作成しなければならない。従って、CADセッションにおけるパート間の関係のニュアンスはまた、そのセッションでのパートが何であるかを「定義する」ことができる。従って、パートは、CADセッションのコンテキストにおいてパート間の関係に従ってインスタンス化され、そのコンテキストにおいて理解又は解釈する必要がある。例えば、住宅の例示的なCADモデルにおいては、ドアは、住宅のコンテキストでモデル化される。ドアのコンテキストは、住宅のコンテキスト以外では意味を成さない。
【0025】
権利管理機構の実施形態は、構造化CADアセンブリのコンテキストにおいて権利管理を適用する。構造化CADアセンブリにおいては、CADモデルは、階層的に又は他の構造化手法で幾つかのオブジェクト(パート)に細分化することができる(図2を参照)。例えば、住宅は、屋根、ドア、窓、その他から成る。CADモデルにおいては、住宅は、アセンブリと考えることができ、住宅の構成要素の各々は、パートとして表現することができる。前述のように、構造化CADアセンブリにはパートの階層的な配置がある。例えば、住宅のCADモデルにおいては、高レベルパートは部屋とすることができる。階層を更に下げると、次のレベルのパートは、台所とすることができる。台所は、流し台、カウンタ、食器戸棚、その他を含むパートを含むことができる。これらのパート間の関係がバインディング情報である。これらのパートの各々には権利を個々に割り当てることができる。権利管理機構は、異なるパートに割り当てられた権利間の相互関係を管理する。権利管理機構は、各パートについて個々に権利管理を行う。
【0026】
管理機構はまた、権利の階層的な配置並びに権利の管理を更に行う。例えば、1つの権利は、パートを印刷する能力とすることができる。アセンブリ内のパートの1つは、印刷許可を有することができず、他のパートは、印刷許可を有する。権利管理機構は、アセンブリが印刷されるときに、印刷権利を有するパートのみが印刷されるように、権利間の関係を管理する。
【0027】
権利管理機構の実施形態は、パートの階層に従って構造化CADアセンブリを調べ、各パートを区別して調べ、及びパートが権利を割り当て及び認識させる必要がある特定オブジェクトであると判定する能力を提供する。これが、CADアセンブリ内のオブジェクトからバインディング情報を分離して適切な権利管理を可能にすることの意味である。CADアセンブリのオブジェクト(パート)を分離することは、アセンブリ内のオブジェクトを認識してこれを区別し、オブジェクトレベルの権利管理を適用することを意味する。CADアセンブリのオブジェクト(パート)を分離する際に、権利管理機構は、アセンブリの構造を解釈し、従って、互いに対するパートの関係を理解することができるので、アセンブリにおける別個のパートを認識することができる。
【0028】
権利管理システムの実施形態において、権利は、CADファイル及びCADファイルに含まれるコンテンツのレベルで管理及び適用することができる。CADファイルのセット内の幾何学的形状がCADセッションにおいてインスタンス化されると、権利管理システムは、パート間の幾何学的関係を解釈して、特定の幾何学的形状が特定のパートに属し、従って特定のCADファイルに属すること、並びにパート及び関連のCADファイルが一定の関連する権利を有すると判定することができる。従って、CADセッションの幾何学的形状を考慮すると、権利管理システムは、その幾何学的形状が権利管理により保護されていた特定のCADファイルに属すると判定し、従って、関連したファイルに割り当てられた権利に応じてCADセッション内で権利を適用することができる。
【0029】
一実施例においては、CADシステムのエンドユーザは、ファイル単位ベースで権利を割り当てることができる。これらの権利は、権利管理サーバ上のファイルのコンテンツ(幾何学的情報を含む)と関連付けることができる。ファイルがパッケージ化されたときには、ファイルは、権利定義を格納及び管理する権利管理サーバにこれらのファイルを示す情報を含む。CADセッションにインスタンス化されるファイルのセットからの幾何学的形状は、権利管理サーバにより関連ファイルと相関付けられ、ファイルからインスタンス化されたパートに適用される必要がある権利を決定することができる。
【0030】
権利管理機構の実施形態は、限定ではないが、権利管理サーバ、及び本明細書で権利クライアント機構と呼ばれる権利管理クライアントを挙げることができる。ネットワーク化されたCADシステムにおいて実装される1つの実施形態において、1つ又はそれ以上の権利管理サーバは、図1A及び図1Bに示すように通常は1つ又はそれ以上のCADファイルサーバ上でCADファイルにおいて格納及び管理されるCADオブジェクトに関しての権利情報、及びCADファイル自体に関する権利情報、並びにCADユーザに関する権利情報を格納及び管理することができる。ネットワーク化されたCADシステム内の各CADステーションは、権利クライアント機構の少なくとも1つのインスタンスをホストすることができる。一実施例において、権利クライアント機構は、各CADステーション上でCADアプリケーションソフトウェアに対するプラグインとして実装することができる。プラグインとして権利クライアント機構を実施行することにより、権利クライアント機構は、様々なベンダからの様々なCADアプリケーションソフトウェアと共に機能する(「プラグインする」)ように適合させることができる。或いは、権利クライアント機構は、CADアプリケーションソフトウェアのモジュール又はコンポーネントとして実装することができる。
【0031】
権利管理機構の実施形態の別の構成要素は、限定ではないが、1又は複数の管理者が権利管理機構により施行される権利、ポリシー及び規則を定義及び改変することを含む、権利管理機構に対する様々な管理機能を実施することが可能な1つ又はそれ以上のステーション又はコンソールとすることができる。例えば、新しいCADユーザがCADシステムに追加された場合、管理者は、新しいユーザに与えるべき権利を定義することができ、これらのユーザの権利は、権利管理サーバにより格納及び管理され、権利クライアント機構によりユーザに関連付けられたCADセッション中にCADステーション上で施行される。
【0032】
権利管理機構は、本明細書ではCADシステムにおいて該権利管理機構を提供することに関して説明したが、実施形態には、同様の権利管理を他の形式のシステムに対して提供するように適合させてもよい。
【0033】
図3は、ネットワーク上で実装され、且つ一実施形態による権利管理機構を含む例示的なCADシステムを示している。各々がCADアプリケーション122としてCADソフトウェアを実装する1つ又はそれ以上のCADステーション120は、ネットワーク100に結合することができる。CADサーバ110は、ネットワーク100に結合することができる。CADサーバ110は、CADファイル112を格納及び管理することができる。CADファイル112としては、アセンブリファイル、パートファイル及びファミリファイルを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0034】
CADステーション120及びCADアプリケーション122を含むCADシステムソフトウェア及び/又ハードウェアは、必須ではないが、異種環境のものであってもよい。すなわち、CADシステムソフトウェア及び/又ハードウェアは、1つのベンダからのコンポーネントで構成することができ、CADアプリケーション122は、そのベンダからの特定のCADアプリケーションのインスタンスとすることができる。或いは、CADシステムは、同種のハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができる。すなわち、CADシステムソフトウェア及び/又ハードウェアは、2つ又はそれ以上のベンダからのコンポーネントで構成することができる。例えば、CADアプリケーション122は、異なるベンダからのCADアプリケーション、及び/又は、1つのベンダからのCADアプリケーションの異なるバージョン又はタイプのインスタンスを含むことができる。更に、CADステーション120は、CAD向けに特別に設計されたハイエンドCADワークステーションとすることができ、或いは、CADアプリケーション122をホストし実行できるより汎用のコンピュータシステムとすることができる点に注意されたい。CADシステム内のCADステーション120としては、CADアプリケーションをホストする1つ又はそれ以上のベンダからの異なるタイプのコンピュータデバイス又はワークステーションの混成を挙げることができる。
【0035】
更に、様々なユーザが様々なCADステーション120で動作することができる点に注意されたい。各ユーザは、1つ又は複数のアカウント、場合によってはパスワード保護されるか又は他の方法で保護されたアカウントを有することができ、これにより、ユーザは、CADステーション120にログインして、CADステーション上でCADアプリケーション122を使用してCADシステムに参加することが可能になる。CADステーション120上のCADアプリケーション122のユーザは、CADサーバ110を介してCADファイル112にアクセスすることができる。例えば、ユーザは、特定のCADアセンブリファイルにアクセスして、CADステーション120A上のCADアセンブリをレンダリングし表示することができる。CADアプリケーション122A及びCADステーション120Aは、表示されたCADアセンブリを操作又は改変し、CADアセンブリを印刷することなどを可能にすることができる様々なユーザインタフェース要素及びツールを提供することができる。権利管理機構の一実施形態を使用して、CADアセンブリのコンポーネントレベルで特定のユーザのために表示されたCADアセンブリに権利管理を適用することができる。また、通常のCADシステムにおいては、異なるCADステーション120上の2人又はそれ以上のユーザが、同じCADアセンブリ及び/又は同じCADパートにアクセスしてレンダリング及び表示し、場合によってはアセンブリ及びパートに動作を行うことができる点に注意されたい。
【0036】
権利管理機構の実施形態を用いて、各ユーザには、CADアセンブリ及び/又はCADパートレベルでの特定のCAD動作ごとにユーザに固有の権利を割り当てることができ、権利管理機構は、アセンブリ及びそのパートに対する特定のCAD動作についてCADステーション120上でレンダリングされた特定のCADアセンブリの様々なレベルで適用される権利の解釈及び施行を担うことができる。例えば、1人のユーザは、アセンブリの特定部分を表示し印刷する権利を有することができ、一方、別のユーザは、特定のパートを表示するが印刷しない権利を有する場合がある。別の実施例として、1人のユーザには、ユーザがCADシステムにおいて任意のアセンブリ又はパートにアクセスして何らかのCAD動作を行うことを可能にする包括的権利を与えられることができ、一方、別のユーザには、そのユーザがアセンブリを表示し観ることだけができる限定的権利を与えることができる。別の実施例として、特定のユーザには、ユーザがアセンブリ及び/又はパートのサブセットにアクセスして何らかのCAD動作を行うことを可能にする権利を与えることができるが、そのユーザは、残りのアセンブリ及び/又はパートにアクセスし及び/又はCAD動作を実施する権利が制限されるようにすることができる。別の実施例として、特定のユーザには、アセンブリファイル内のパートを含む、特定のアセンブリにアクセスし、レンダリングし、表示し、操作して、更に改変する権利を与えることができるが、アセンブリの1つ又はそれ以上の特定のパートに対しては少なくとも一部のCAD動作を行う権利を持たない場合がある。
【0037】
権利は、一実施例においては、ユーザに並びにCADアセンブリ及びパートに対して割り当てられ管理されるように本明細書で全体的に説明しているが、特定のCADステーション120及び/又はCADアプリケーション122の特定のインスタンスに権利を割り当て、及び/又は関連付けるようにすることができる。換言すれば、権利管理機構は、特定の権利を特定のCADステーション120又はアプリケーション122と関連付け、当該CADステーション120又はアプリケーション122のあるユーザにCADアセンブリ及び/又はパートの一部又は全てに対する特定のCAD動作を拒否又は許可することができる。
【0038】
ネットワーク化されたCADシステム内の権利管理機構の実施は、限定ではないが、少なくとも1つの権利管理サーバ200及び1つ又はそれ以上の権利クライアント機構210を含むことができる。権利クライアントサーバ200は、権利情報202を格納及び管理することができる。権利情報202は、限定ではないが、CADオブジェクトに関する権利情報、CADファイル112に関する権利情報、及び、CADユーザに関する権利情報の1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0039】
ネットワーク化されたCADシステム内の各CADステーションは、権利クライアント機構210のインスタンスをホストすることができる。一実施例においては、権利クライアント機構210は、各CADステーション120上にCADアプリケーションソフトウェアに対するプラグインとして実装することができる。或いは、権利クライアント機構210は、CADアプリケーション122ソフトウェアのモジュール又はコンポーネントとして実装することができる。CADステーション120上の権利クライアント機構210のインスタンスは、CADステーション120上で現在表示され、権利管理が適用されるべき動作が開始されたCADアセンブリのオブジェクト(例えば、パート)からのバインディング情報の分離を担うことができる。動作は、必須ではないが、CADステーション120上でCADアプリケーション122のユーザにより開始することができる点に留意されたい。従って、権利クライアント機構210は、CADステーション120上の開始された動作を傍受又は他の方法でアクセスし、開始された動作に応答して、CADアセンブリの全てのレベル(原子オブジェクトレベルを含む)で且つ及び動作を開始した特定のユーザについて適切な権利管理を適用するように機能することができる。
【0040】
CADアセンブリ内のオブジェクトからバインディング情報を分離することにより、権利クライアント機構210は、開始された動作により影響を受ける可能性があるCADアセンブリの各原子オブジェクト(例えば、各個々のパート)を識別可能にすることができる。次いで、権利クライアント機構210は、ネットワーク100を介して権利管理サーバ200にアクセスし、CADアセンブリ、CADアセンブリの関連オブジェクト(例えば、関連パート)、CADアプリケーション122のユーザ、及び特定の動作に関連した権利情報を取得することができる。次に、権利クライアント機構210は、取得された権利情報に従って、CADアセンブリの原子レベルで開始された動作を許可又は不許可にすることができる。例えば、動作は、CADアセンブリを印刷する印刷動作とすることができ、権利情報は、特定のユーザがCADアセンブリを印刷する適切な権利を有するが、アセンブリに含まれるパートの1つ又はそれ以上を印刷する権利は持たないことを示すことができる。次に、CADアセンブリは、表示されたプリンタに印刷することができるが、ユーザが印刷する権利を有していない1つ又はそれ以上であるパートは印刷されない。パートがあると思われる「空間」はブランクとすることができ、或いは、「パート欠落」の概略又は他の表示を印刷することができ、更に、「アクセス権が否定されました」又は「パートabcに対して印刷する権利がありません」などの何らかのメッセージ、又は何らかの他のこのようなメッセージをユーザに伝達することができる。
【0041】
図4は、一実施形態に従ってCADシステムで実装することができる例示的な権利管理機構の構成要素を示している。権利管理機構300の実施は、限定ではないが、少なくとも1つの権利管理サーバ200、権利情報202及び1つ又はそれ以上の権利クライアント機構210を含むことができる。権利クライアントサーバ200は、権利情報202を格納及び管理することができる。権利情報202は、限定ではないが、CADオブジェクトに関する権利情報(オブジェクト権204)、CADファイルに関する権利情報(ファイル権利206)、及びCADユーザに関する権利情報(ユーザー権利208)の1つ又はそれ以上を含むことができる。オブジェクト及び/又はファイルに関して示される権利情報は、特定のユーザの特定のCAD動作に特有のものとすることができる点に留意されたい。
【0042】
権利情報202は、情報を格納及び関連付ける様々な方法の何れか、或いはその2つ又はそれ以上の組み合わせを用いて格納し管理することができる。権利情報202は、権利管理サーバ200により格納及び管理されて、権利クライアント機構210によりCADステーションレベルで施行されるCADシステムにおける権利ポリシーの定義とみなすことができる点に留意されたい。更に、図4は別個の要素としてオブジェクト権利204、ファイル権利206及びユーザ権利208を示しているが、様々な実施形態においては、権利情報は、1つ又はそれ以上のデータ構造内に格納し管理することができる点に注意されたい。更に、一部の実施形態においては、他の権利を権利情報202で定義することができる点に留意されたい。例えば、一実施例においては、権利情報202は、特定の動作が特定のCADステーション上で、又は特定のCADステーションで特定のユーザによって行われることに対して許可又は制限する権利をCADステーションレベルで定義することができる。後者の場合、例えば、権利情報202は、特定のユーザはCADオブジェクトに対する一部の動作を特定のCADステーション上で行うことができるが、他のCADステーション上では行うことができないようなポリシーを定義することができる。
【0043】
権利情報202は、CADセッションにおいて特定のCADファイル、アセンブリ及びパートに対して特定の動作を行う特定のユーザについてのポリシーを確立、管理、検索、及び施行することができるように編成することができる。従って、権利情報202は、CADセッションにおいてどのような動作を特定のユーザが特定のファイル、パート及び/又はアセンブリに対して行うことができ、又は行うことができないかを定義することができる。権利情報202を示す代替の方法は、CADセッションにおいてどのユーザがどのCADオブジェクトにどの動作を行うことができ、又は行うことができないかを権利情報202が定義できるものである。
【0044】
以下に、権利情報202を編成することができる方法の例示的な高レベルの図を示す。これは例示的なものであり、限定を意図するものではない点に留意されたい。
【0045】
一実施例においては、権利情報は、限定ではないが、特定のユーザに関して「包括的」権利を定義する以下と概念的に同様のものを含むことができる。
<ユーザ1>
権利:全アクセス、全改変、全印刷、全コピー、全削除、....
<ユーザ2>
権利:全アクセス、許可を得て改変、全印刷、許可を得てコピー、削除禁止、....
<ユーザ3>
権利:許可を得てアクセス、改変禁止、許可を得て印刷、許可を得てコピー、削除禁止、....
....
<n番目ユーザ>
権利:....
【0046】
上記における「許可を得て」とは、特定のユーザがオブジェクトに対して特定の動作を行うことができるか又はできないことを当該オブジェクト(例えば、アセンブリ又はパート)に関する権利情報が示すかどうかを指すことができる。例えば、ユーザの権利が「許可を得てアクセス」を示す場合、ユーザがファイルを開く許可を有することをアセンブリファイルの関連ファイル権利206が示す場合に限ってユーザはアセンブリファイルを開いて、CADステーション上でアセンブリをレンダリングし表示することができる。引き続きこの実施例において、ユーザの権利が「許可を得て印刷」を示す場合、ユーザがアセンブリを印刷する許可を有することをアセンブリの関連オブジェクト権利204が示す場合にかぎりユーザがアセンブリを印刷することができる。引き続きこの実施例において、ユーザの権利が「許可を得て印刷」を示す場合、アセンブリの関連権利情報がアセンブリを印刷する権利をユーザに与える場合にかぎりユーザがアセンブリを印刷することができる。しかしながら、ユーザが1つ又はそれ以上のパートを印刷する許可を有していないことをパートの関連オブジェクト権利204が示す場合には、ユーザは、アセンブリの1つ又はそれ以上のパートを印刷することができない。
【0047】
一実施例においては、権利情報は、限定ではないが、特定のオブジェクト、例えばアセンブリ及びパートに関して特定のユーザに対する権利を定義する以下と概念的に同様のものを含むことができる。
<アセンブリ1>
<ユーザ1>権利:表示、改変、印刷、コピー、削除、...
<ユーザ2>権利:表示、印刷
<ユーザ3>権利:なし
<ユーザ4>権利:表示、印刷、コピー
<アセンブリ2>
<ユーザ1>権利:表示、改変、印刷、コピー、削除、...
<ユーザ2>権利:表示、改変、印刷、コピー
<ユーザ3>権利:なし
<ユーザ4>権利:表示、印刷
<パート1>
<ユーザ1>権利:表示、改変、印刷、コピー、削除、...
<ユーザ2>権利:表示、改変、印刷、
<ユーザ3>権利:表示、印刷、コピー
<ユーザ4>権利:表示、
<パート2>
<ユーザ1>権利:表示、改変、印刷、コピー、削除、...
<ユーザ2>権利:表示、改変、印刷、コピー
<ユーザ3>権利:なし
<ユーザ4>権利:表示、印刷
【0048】
この場合も同様に、上記は、権利情報202が何を含むことができるか、及び、権利情報202をどのように編成することができるかに関する例示であり、限定を意図するのもではない点に留意されたい。他の権利を含むことができ、権利情報202を編成する他の方法を用いることもできる。しかしながら、権利管理機構300は、権利がCADセッションにおいてCADモデル(アセンブリ)の原子レベルで、及び特定のユーザに関する定義されたポリシーに従って識別し適用することができるように権利情報202を格納、編成、及び管理する点に注意されたい。
【0049】
権利管理サーバ200及び権利情報202の少なくとも1つのインスタンスを含むCADシステムに加えて、CADシステム内の各CADステーションは、権利クライアント機構210の少なくとも1つのインスタンスをホストすることができる。一実施形態においては、権利クライアント機構210は、各CADステーション120上でCADアプリケーションに対するプラグインとして実装することができる。或いは、権利クライアント機構210は、CADステーション上でCADアプリケーションソフトウェアのモジュール又はコンポーネントとして実装することができる。
【0050】
権利管理機構300の実施形態は、1つ又はそれ以上の他のコンポーネントを含むことができる。例えば、権利管理機構300の実施は、限定ではないが、権利管理機構300により施行されるべき権利、ポリシー及び規則を定義及び改変することを含む、CADシステム内の権利管理機構300について様々な管理機能を1又は複数の管理者が実施することができる1つ又はそれ以上のステーション又はコンソールを含むことができる。
【0051】
図5は、一実施形態によるネットワーク化されたCADシステムで実装される例示的な権利管理機構の動作を示す。ユーザ150は、CADステーション120上で実装されたCADアプリケーション122と対話してCAD動作を開始することができる。CADステーション120は、権利クライアント機構210のインスタンスをホストすることができる。一実施例において、権利クライアント機構210は、CADステーション122上でCADアプリケーション122に対するプラグインとして実装することができる。或いは、権利クライアント機構210は、CADアプリケーション122のモジュール又はコンポーネントとして実装することができる。
【0052】
例えば、ユーザ150は、CADアプリケーション122で対話して特定のCADアセンブリ138を開いて表示する動作を開始することができる。アセンブリ138は、アセンブリファイル118に含まれた情報からのCADアプリケーション122によりCADステーション120上でレンダリング及び表示することができるパート134の幾何学的に並べられ又は関係がある集合と考えることができる。アセンブリファイル118は、1つ又はそれ以上のパートファイル114及び/又は1つ又はそれ以上のファミリファイル116など、他のCADファイルを参照することができる。アセンブリファイル118は、そこで示されるパート134間の幾何学的関係に関係する情報、及び場合によってはアセンブリ138に関係する他の情報を含むことができる。各パートファイル114は、限定ではないが幾何学的情報を含む、特定のパート134に関係する情報を含むことができる。ファミリファイル116は、1つ又はそれ以上のパートファイル114の集合を示すファイルとすることができ、そこで示されるパート138間の関係に関する情報のような他の情報を含むことができる。
【0053】
ユーザ150がアセンブリ138を開いて表示する動作を開始することに応答して、CADアプリケーション122は、CADサーバ110と通信して、所望のアセンブリ138についてアセンブリファイル118にアクセスするように構成することができる。一実施例においては、権利クライアント機構210は、アセンブリファイル118に関してユーザ150の権利を決定するために、動作を傍受又は他の方法でアクセスすることができる。権利クライアント機構210は、権利管理サーバ200との通信を介して権利情報202における関連したファミリファイル206及び/又はユーザ権利208にアクセスして、ユーザ150が関連したアセンブリファイル118にアクセス(開く)する、従ってCADステーション120上でアセンブリ138を表示する適切な権利を有するかどうかを判定することができる。同様に、権利クライアント機構210は、権利管理サーバ200との通信を介して権利情報202内の関連したファイル権利206及び/又はユーザ権利208にアクセスして、ユーザ150が関連したパートファイル114及び/又はファミリファイル116にアクセス(開く)し、CADステーション120上でアセンブリ138の様々なパート134を表示する適切な権利を有するかどうかを判定することができる。
【0054】
ユーザ150がアセンブリファイル118にアクセスしてアセンブリ138を表示する適切な権利を有すると権利クライアント機構210が判定した場合、権利クライアント機構210は、CADアプリケーション122がCADサーバ110を介してアセンブリファイル118にアクセスし、アセンブリファイル118及び参照済みパートファイル114に含まれるパート134情報及び幾何学的関係情報(バインディング情報)を用いて、CADステーション120に結合されたディスプレイ130上でアセンブリ138をレンダリング可能にすることができる。この実施例において、アセンブリ138は、この図において、アセンブリファイル118において指定された幾何学的関係に従って並べられたパート134A〜134Eを含む3Dモデルとしてディスプレイ130上にレンダリングされている。
【0055】
ユーザ150はアセンブリファイル118にアクセスする適切な権利を有していないと権利クライアント機構210が判定した場合、権利クライアント機構210は、CADアプリケーション120がアセンブリ138を開いて表示できないようにすることができる。ユーザ150はアセンブリファイル118にアクセスするが、アセンブリファイル118により示されるパートファイル114の1つ又はそれ以上にはアクセスしない適切な権利を有すると権利クライアント機構210が判定した場合、権利クライアント機構210は、CADアプリケーション120がアセンブリ138を開いて表示するが、ユーザ150が適切な権利を有していない1つ又はそれ以上のパート134を開いて表示することができないようにすることができる。
【0056】
アセンブリ138がディスプレイ130上に表示されると、ユーザ150は、CADステーション120上でCADアプリケーション122に対するユーザインタフェースを介してアセンブリ138又はパート134に対して操作、改変、又は他の形式の動作を行うこと要求又は所望することができる。例えば、ユーザ150は、パート134を追加又は除去、パート134を移動、パート134を改変、アセンブリ138又はその一部を印刷、アセンブリ138の透視図又は矢視を回転又は他の方法で変更、現在表示されていないアセンブリ138の他の面を表示、アセンブリ138又はアセンブリ138の1つ又はそれ以上のパートを記憶媒体にコピー、ネットワークを介してアセンブリ138を何らかのリモート宛先に転送又はコピー、アセンブリのパート134の特性又は幾何学的関係を変更、などを行うことを要求又は所望することができる。
【0057】
ユーザ150は、CADアプリケーション122と対話して、CADアセンブリ138又はその1つ又はそれ以上のパート134に対する動作を開始することができる。ユーザ150が動作を開始することに応答して、権利クライアント機構210は、動作を傍受又は他の方法でアクセスし、アセンブリ138及び/又はアセンブリ138に含まれるパート134に特定の動作を行うことに関するユーザ150の権利を決定することができる。権利クライアント機構210は、アセンブリ138のパート134からアセンブリ138のバインディング情報を分離し、原子レベルで動作により影響を受けるアセンブリ138のパート134を識別することができる。次いで、権利クライアント機構210は、アセンブリ138及び識別されたパート138に関連したオブジェクト権利204にアクセスすることができ、及び/又は権利管理サーバ200との通信を介してユーザ権利208にアクセスし、影響を受けたパート134についてアセンブリ138及びパート134レベルにて動作を行う適切な権利をユーザ150が有するかどうかを判定することができる。ユーザ150はアセンブリ138及びパート134レベルにて動作を行う適切な権利を権利クライアント機構210が有すると判定した場合、権利クライアント機構210は、CADアプリケーション122がアセンブリ138及び影響を受けたパートに対して動作を行うことを可能にすることができる。ユーザ150はアセンブリファイル118にアクセスするがアセンブリ138の1つ又はそれ以上のパート134について、アセンブリ138レベルで動作を行うがパート134レベルではない適切な権利を有すると権利クライアント機構210が判定した場合、権利クライアント機構210は、CADアプリケーション122がアセンブリ138及びそのパート134の一部に対して動作を行うが、ユーザ150が適切な権利を有していない1つ又はそれ以上のパート134に対しては行わないようにすることができる。ユーザ150はアセンブリ138レベルにて動作を行う適切な権利を有していないと権利クライアント機構210が判定した場合、権利クライアント機構210は、CADアプリケーション122が動作を行うのを抑制することができる。
【0058】
一例として、ユーザ150は、CADアプリケーション122を介してアセンブリ138をローカル又はリモートプリンタで印刷する印刷動作を開始することができる。権利クライアント機構210は、権利管理サーバ200との通信を介して権利情報202内の関連するオブジェクト権利204及び/又はユーザ権利208にアクセスし、ユーザ150がアセンブリ138及びアセンブリ138のパートの各々について印刷権利を有するかどうかを判定することができる。ユーザ150がアセンブリ138及びアセンブリ138のパート134の各々について印刷権利を有する場合、CADアプリケーション122には、アセンブリ138(或いは、アセンブリ138の現在の図)及びアセンブリ138のパート134の印刷を許可することができる。ユーザ150がアセンブリ138及びパート134B以外のアセンブリ138のパート134の各々について印刷権利を有する場合、CADアプリケーション122には、アセンブリ138(或いは、アセンブリ138の現在の図)及びアセンブリ138のパート134B以外のパート134の全ての印刷を許可することができる。
【0059】
別の実施例として、ユーザ150は、CADアプリケーション122を介してコピー操作を開始し、アセンブリ138をローカル記憶媒体に、又はネットワークを介してリモート宛先にコピーすることができる。権利クライアント機構210は、権利管理サーバ200との通信を介して権利情報202内の関連したオブジェクト権利204及び/又はユーザ権利208にアクセスし、ユーザ150がアセンブリ138及びアセンブリ138のパート134の各々のローカル又はリモートコピーを行う適切な権利を有するかどうかを判定することができる。ユーザ150がアセンブリ138及びアセンブリ138のパート134の各々をコピーする適切な権利を有する場合、CADアプリケーション122には、アセンブリ138及びアセンブリ138のパート134を指示されたローカル又はリモート宛先にコピーすることを許可することができる。ユーザ150がアセンブリ138及びアセンブリ138のパート134B以外のパート134の各々をコピーする適切な権利を有する場合、CADアプリケーション122には、アセンブリ138及びアセンブリ138のパート134B以外のパート134を指示されたローカル又はリモート宛先にコピーすることを許可することができる。
【0060】
図6は、一実施形態によるCADシステムに実装された権利管理機構の動作の方法を例示するフローチャートである。400で示すように、ユーザは、CADステーション上でCADアプリケーションインスタンスを介してパート(例えば、CADアセンブリ)の集合に対する動作を開始する。402で示すように、権利管理機構は、動作により影響を受ける各パートについてのユーザの該当権利を決定する。404で示すように、権利管理機構は、決定した権利に応じてパートレベルで動作を許可又は不許可にする。例えば、動作は印刷動作とすることができ、ユーザには、権利管理機構によりアセンブリ及びそのパートを印刷することを許可することができ、或いは、アセンブリ及びそのパートの一部の印刷を許可することができるが、ユーザが印刷権利を有していない1つ又はそれ以上のパートには許可されない。次いで、CADアプリケーションは、406で示すように、判定された権利が動作を許可するパートについてのみ動作を行うことができる。
【0061】
図7は、一実施形態によるネットワーク化されたCADシステムにおいてCADステーション上で実装された権利管理機構の動作を例示するフローチャートである。450で示すように、ユーザは、CADステーション上でCADアプリケーションインスタンスを介してパート(例えば、CADアセンブリ)の集合に対し動作を開始する。452で示すように、権利クライアント機構のインスタンスは、CADステーション上で動作を傍受する。次いで、権利クライアント機構は、アセンブリのパートからバインディング情報を分離し、454で示すように、原子レベルでアセンブリの影響を受けたパートを識別する。一実施形態においては、CADアセンブリのパートからバインディング情報を分離するため、権利クライアント機構は、パートに関連した幾何学的情報を分離して各パートに特有の幾何学的情報を判定するように構成することができる。456で示すように、権利クライアント機構は、権利管理サーバにアクセスし、アセンブリ、識別されたパート、及びユーザに関連する当該権利を決定する。一実施形態において、権利管理サーバは、パートファイルを含む複数のCADファイルに関連した権利情報を格納することができる。権利管理サーバは、権利クライアント機構からパートに特有の情報を受信する。次いで、権利管理サーバは、パートに特有の情報からパートに関連したファイルを識別して、パートに関連したファイルに割り当てられた権利からパートに関連した権利を決定することができる。458で示すように、権利管理機構は次に、決定した権利に応じてパートレベルで動作を許可又は不許可にする。次いで、CADアプリケーションは、460で示すように、判定された権利が動作を許可するCADオブジェクトについてのみ動作を行うことができる。
【0062】
(例示的なシステム)
本明細書で説明するような権利管理機構の実施形態の様々なコンポーネントは、様々な他の装置と対話することができる1つ又はそれ以上のコンピュータシステム上で実行することができる。1つのこのようなコンピュータシステムは、図8により示される。図示の実施形態において、コンピュータシステム700は、入出力(I/O)インタフェース730を介してシステムメモリ720に結合された1つ又はそれ以上のプロセッサ710を含む。コンピュータシステム700は更に、入出力インタフェース730に結合されたネットワークインタフェース740と、カーソル制御装置760、キーボード770、オーディオ装置790及びディスプレイ780など、1つ又はそれ以上の入出力装置750とを含む。一部の実施形態においては、実施形態は、コンピュータシステム700の単一のインスタンスを用いて実施することができることが企図されており、他の実施形態においては、複数のこのようなシステム又はコンピュータシステム700を構成する複数のノードは、実施形態の異なる部分又はインスタンスをホストするように構成することができる。例えば、一実施例においては、一部の要素は、他の要素を実装するノードとは別個のコンピュータシステム700の1つ又はそれ以上のノードを介して実施することができる。
【0063】
様々な実施形態においては、コンピュータシステム700は1つのプロセッサ710を含む単一プロセッサシステム、又は複数のプロセッサ710(例えば、2、4、8又は別の好適な数)を含むマルチプロセッサシステムとすることができる。プロセッサ710は、命令を実行することができるあらゆる好適なプロセッサとすることができる。例えば、様々な実施形態においては、プロセッサ710は、x86、PowerPC、SPARC又はMIPS ISA、或いは他の何らかの好適なISAなど、様々な命令セットアーキテクチャ(ISA)の何れかを実装する汎用又は埋設プロセッサとすることができる。マルチプロセッサシステムにおいては、プロセッサ710の各々は一般に、必須ではないが、同じISAを実装することができる。
【0064】
システムメモリ720は、プロセッサ710がアクセス可能なプログラム命令及び/又はデータを格納するよう構成することができる。様々な実施形態においては、システムメモリ720は、スタティックRAM(SRAM)、シンクロナスダイナミックRAM(SDRAM)不揮発性/フラッシュタイプメモリ、又は任意の他のタイプのメモリなどのあらゆる好適なメモリ技術を用いて実装することができる。図示の実施形態においては、権利管理機構について先に説明したものなど、所望の機能を実装するプログラム命令及びデータは、プログラム命令725及びデータ記憶735としてそれぞれシステムメモリ720内に格納されて示されている。他の実施形態においては、プログラム命令及び/又はデータは、異なるタイプのコンピュータアクセス可能な媒体、又はシステムメモリ720又はコンピュータシステム700とは別個の類似した媒体上で受信、送信又は格納することができる。一般的には、コンピュータアクセス可能媒体は、磁気媒体又は光媒体など記憶媒体又はメモリ媒体(例えば、入出力インタフェース730を介してコンピュータシステム700に結合されたディスク又はCD/DVD−ROM)を含むことができる。コンピュータアクセス可能媒体を介して格納されるプログラム命令及びデータは、伝送媒体、或いは電気、電磁、又はデジタル信号などの信号により伝送することができ、ネットワークインタフェース740を介して実施することができるなど、ネットワーク及び/又は無線リンクなどの通信媒体を介して伝達することができる。
【0065】
一実施例においては、入出力インタフェース730は、プロセッサ710と、システムメモリ720と、ネットワークインタフェース740又は入出力装置750のような他の周辺インタフェースを含む装置内のあらゆる周辺機器との間でI/Oトラフィックを調整するように構成することができる。一部の実施形態においては、入出力インタフェース730は、1つのコンポーネント(例えば、システムメモリ720)からのデータ信号を別のコンポーネント(例えば、プロセッサ710)が使用するのに好適なフォーマットに変換するために、あらゆる必要なプロトコル、タイミング又は他のデータ変換を行うことができる。一部の実施形態においては、入出力インタフェース730は、例えば、周辺コンポーネントインタコネクト(PCI)バス規格又はユニバーサルシリアルバス(USB)規格の変形形態など、様々なタイプの周辺バスによって取り付けられる装置に対するサポートを含むことができる。一部の実施形態においては、入出力インタフェース730の機能は、例えば、ノースブリッジ及びサウスブリッジなど、2つ又はそれ以上の別個のコンポーネントに分割することができる。加えて、一部の実施形態においては、システムメモリ720とのインタフェースのような、入出力インタフェース730の機能の一部又は全ては、プロセッサ710に直接組み込むことができる。
【0066】
ネットワークインタフェース740は、コンピュータシステム700と他のコンピュータシステムなどのネットワークに取り付けられた他の装置との間で、又は、コンピュータシステム700のノード間でデータを交換できるように構成することができる。様々な実施形態においては、ネットワークインタフェース740は、例えば、アナログ音声ネットワーク又はデジタルファイバ通信網などの電気通信/電話ネットワークを介して;Fibre Channel SANなどの記憶領域ネットワークを介して、或いはあらゆる他の好適なタイプのネットワーク及び/又はプロトコルを介してなど、あらゆる好適なタイプのイーサネット(登録商標)ネットワークなどの有線又は無線の汎用データ網を介して通信をサポートすることができる。
【0067】
入出力装置750は、一部の実施形態においては、1つ又はそれ以上のディスプレイ端末、キーボード、キーパッド、タッチパッド、スキャン装置、音声又は光学認識装置、或いは1つ又はそれ以上のコンピュータシステム700によりデータを入力又は検索するのに好適な他の何らかの装置を含むことができる。複数の入出力装置750は、コンピュータシステム700内に存在することができ、又は、コンピュータシステム700の様々なノード上で分散させることができる。一部の実施形態においては、類似の入出力装置は、コンピュータシステム700と別個のものとすることができ、ネットワークインタフェース740上でなど、有線又は無線接続を介してコンピュータシステム700の1つ又はそれ以上のノードと対話することができる。
【0068】
図8に示すように、メモリ720は、本明細書で説明する権利管理機構の実施形態を実装するように構成されたプログラム命令725と、該プログラム命令725によりアクセス可能な様々なデータを含むデータストレージ735とを含むことができる。一実施例においては、プログラム命令725は、図3、図4及び図5に示すような権利管理機構のソフトウェア要素を含むことができる。データストレージ735は、一部の実施形態において使用することができるデータを含むことができる。他の実施形態においては、異なるソフトウェア要素及びデータを含めることができる。
【0069】
当業者であれば、コンピュータシステム700が単に例示的なものであり、本明細書で説明するような権利管理機構の範囲を限定するよう意図するものではない点を理解するであろう。特に、コンピュータシステム及び装置は、コンピュータ、ネットワーク装置、インターネット家電、PDA、無線電話、ポケットベル、その他を含む、示された機能を実行することができるハードウェア又はソフトウェアのあらゆる組み合わせを含むことができる。コンピュータシステム700はまた、例示していない他の装置に接続することができ、又はその代わりに、独立型システムとして動作することができる。加えて、例示するコンポーネントにより提供される機能は、一部の実施形態ではより少数のコンポーネントで組み合わせることができ、或いは、追加のコンポーネントに分散させることができる。同様に、一部の実施形態においては、例示するコンポーネントの一部の機能が提供されない場合があり、及び/又は、他の追加の機能が利用可能である場合がある。
【0070】
種々の品目が使用中はメモリ内に又はストレージ上に格納されるように示されているが、これらの品目又はその一部は、メモリ管理及びデータの完全性の目的でメモリと他の記憶装置との間で転送してもよいことは、当業者であれば認識するであろう。或いは、他の実施形態においては、ソフトウェアコンポーネントの一部又は全ては、別の装置上のメモリで実行され、コンピュータ間通信を介して図示のコンピュータシステムと通信することができる。システム構成部品又はデータ構造の一部又は全てはまた、適切なドライブにより読み込まれることになるコンピュータアクセス可能媒体又は携帯製品上で格納する(例えば、命令又は構造化データとして)こともでき、その種々の実施例が上記で説明された。一部の実施形態においては、コンピュータシステム700とは別個のコンピュータアクセス可能媒体上に記憶される命令は、伝送媒体、又はネットワーク及び/又は無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される電気、電磁、又はデジタル信号のような信号を介してコンピュータシステム700に伝達することができる。様々な実施形態は更に、コンピュータアクセス可能媒体上の前述の説明に従って実施される命令及び/又はデータを受信、送信又は格納することを含むことができる。従って、本発明は、他のコンピュータシステム構成で実施することができる。
【0071】
(結論)
様々な実施形態は更に、コンピュータアクセス可能媒体に関する前述の説明に従って実施される命令及び/又はデータを受信、送信又は格納することを含むことができる。概略的に述べると、コンピュータアクセス可能媒体は、磁気媒体又は光媒体(例えば、ディスク又はDVD/CD−ROM)、RAM(例えばSDRAM、DDR、RDRAM、SRAMなど)ROM、その他などの揮発性又は不揮発性媒体といった、記憶媒体又はメモリ媒体を含むことができる。同様に、伝達媒体、又はネットワーク及び/又は無線リンクなど通信媒体を介して伝達される電気、電磁、又はデジタル信号などの信号。
【0072】
各図において例示され、且つ本明細書で説明するような種々の方法は、方法の例示的な実施形態を提示するものである。本方法は、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組合で実施することができる。本方法の順序を変えることができ、且つ様々な要素を追加、並び替え、結合、省略、改変、その他とすることができる。
【0073】
本開示の利点を有する当業者に明らかであるような様々な改変及び変更を行うことができる。本発明は、全てのこのような改変及び変更を包含し、従って、上記の説明は、限定的な意味ではなく例示的な意味と見なすものとする。
【符号の説明】
【0074】
112 CADファイル
116 ファミリファイル
114 パートファイル
118 アセンブリファイル
202 権利情報
208 ユーザ権利
204 オブジェクト権利
206 ファイル権利
110 CADファイルサーバ
200 権利管理サーバ
150 ユーザ
120 CADステーション
122 CADアプリケーション
210 権利クライアント機構
134D パート
134B パート
138 アセンブリ
130 ディスプレイ
134A パート
134C パート
134E パート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実装される方法であって、
コンピュータ支援設計(CAD)アセンブリ上で開始された動作に応答して、CADステーション上でインスタンス化される前記CADアセンブリの複数のパートからバインディング情報を分離する段階と、
前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に関連した権利を決定する段階と、
前記動作により個々に影響を受ける前記複数のパートの各々に対して前記判定された権利を施行する段階と
を含む方法。
【請求項2】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に対する前記判定された権利が、前記ユーザに固有のものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に対する前記判定された権利が、前記動作に固有のものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に対する前記判定された権利が、前記動作及び前記ユーザに固有のものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により個々に影響を受ける前記複数のパートの各々に対して前記判定された権利を施行する前記段階が、
前記ユーザが前記動作を行う権利を有する各パートに対する前記動作を許可する段階と、 前記ユーザが前記動作を行う権利を有していない各パートに対する前記動作を不許可にする段階と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
CADアセンブリの複数のパートからバインディング情報を分離する前記段階が、前記複数のパートに関連した幾何学的情報を分離して、各パートに固有の幾何学的情報を判定する段階を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に関連した権利を決定する前記段階が、各パートについて、
前記パートに関連したファイルを前記パートに固有の幾何学的情報から識別する段階と、 前記パートに関連した前記ファイルに割り当てられる権利から前記パートに関連した権利を決定する段階と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータ支援設計(CAD)システムであって、
パートファイル及びアセンブリファイルを含むCADファイルを格納するように構成されたCADファイルサーバと、
前記CADサーバ上の前記CADファイルに関連付けられた権利情報を格納するように構成された権利管理サーバと、
CADアプリケーションのインスタンスと、権利クライアント機構のインスタンスと各々が含む1つ又はそれ以上のCADステーションと、
を備え、
前記権利クライアント機構が、
CADアセンブリ上で開始された動作に応答して、前記CADファイルサーバからアクセスされる1つ又はそれ以上のCADファイルからの前記CADアプリケーションによって、前記CADステーションで上でインスタンス化される前記CADアセンブリの複数のパートからバインディング情報を分離し、
前記権利管理サーバにアクセスして、前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に関連した権利を決定し、
前記動作により個々に影響を受ける前記複数のパートの各々に対して前記判定された権利を施行するように構成される、
ことを特徴とするCADシステム。
【請求項9】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に対する前記判定された権利が、前記動作及び前記ユーザに固有のものである、
ことを特徴とする請求項8に記載のCADシステム。
【請求項10】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により個々に影響を受ける前記複数のパートの各々に対して前記判定された権利を施行するために前記権利クライアント機構が、
前記ユーザが前記動作を行う権利を有する各パートに対する前記動作を許可し、
前記ユーザが前記動作を行う権利を有していない各パートに対する前記動作を不許可にする、
ように構成されることを特徴とする請求項8に記載のCADシステム。
【請求項11】
CADアセンブリの複数のパートからバインディング情報を分離するために、前記権利クライアント機構が、前記複数のパートに関連した幾何学的情報を分離して、各パートに固有の幾何学的情報を判定するように構成され、前記権利管理サーバにアクセスして前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に関連した権利を決定するために、前記権利クライアント機構が、各パートについて前記パートに固有の幾何学的情報を前記権利管理サーバに送るように構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のCADシステム。
【請求項12】
前記権利管理サーバが、
前記権利クライアント機構から受信された前記パートに固有の前記幾何学的情報から前記パートに関連したファイルを識別し、
前記パートに関連した前記ファイルに割り当てられる権利から前記パートに関連した権利を決定し、
前記パートに関連した前記判定された権利を前記権利クライアント機構に提供するように構成される、
ことを特徴とする請求項11に記載のCADシステム。
【請求項13】
コンピュータ支援設計(CAD)ステーションであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
プログラム命令を含むメモリと、
を備え、
前記プログラム命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって、
コンピュータ支援設計(CAD)アセンブリ上で開始された動作に応答して、前記CADステーション上でインスタンス化される前記CADアセンブリの複数のパートからバインディング情報を分離し、
前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に関連した権利を決定し、
前記動作により個々に影響を受ける前記複数のパートの各々に対して前記判定された権利を施行するように、
実行可能である、
ことを特徴とするCADステーション。
【請求項14】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に対する前記判定された権利が、前記動作及び前記ユーザに固有のものである、
ことを特徴とする請求項13に記載のCADステーション。
【請求項15】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により個々に影響を受ける前記複数のパートの各々に対して前記判定された権利を施行するために、前記プログラム命令が更に、
前記ユーザが前記動作を行う権利を有する各パートに対する前記動作を許可し、
前記ユーザが前記動作を行う権利を有していない各パートに対する前記動作を不許可にする、
ように実行可能である、
ことを特徴とする請求項13に記載のCADステーション。
【請求項16】
少なくとも1つのプロセッサと、
プログラム命令を含むメモリと、
を備えたシステムであって、
前記プログラム命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって、
パートファイルを含む複数のコンピュータ支援設計(CAD)ファイルに関連した権利情報を格納し、
CADステーションからパートに固有の情報を受信し、
前記パートに固有の情報から前記パートに関連したファイルを識別し、
前記パートに関連した前記ファイルに割り当てられた権利から前記パートに関連した権利を決定し、
前記パートに関連した前記判定された権利を前記CADステーションに戻す、
ように実行可能である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
プログラム命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、
コンピュータ支援設計(CAD)アセンブリ上で開始された動作に応答して、CADステーション上でインスタンス化された前記CADアセンブリの複数のパートからバインディング情報を分離し、
前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に関連した権利を決定し、
前記動作により個々に影響を受ける前記複数のパートの各々に対する前記判定された権利を施行する、
ことをコンピュータで実行可能であるプログラム命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に対する前記判定された権利が、前記動作及び前記ユーザに固有のものである、
ことを特徴とする請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記動作が、前記CADステーションのユーザにより前記CADアセンブリ上で開始され、前記動作により個々に影響を受ける前記複数のパートの各々に対して前記判定された権利を施行する前記段階において、前記プログラム命令が、
前記ユーザが前記動作を行う権利を有する各パートに対する前記動作を許可し、
前記ユーザが前記動作を行う権利を有していない各パートに対する前記動作を不許可にする、
ように更にコンピュータ実行可能である、
ことを特徴とする請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
CADアセンブリの複数のパートからバインディング情報を分離する前記段階において、
前記プログラム命令が、前記複数のパートに関連した幾何学的情報を分離して各パートに固有の幾何学的情報を判定することを実施するよう更にコンピュータ実行可能である、
ことを特徴とする請求項17に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
前記動作により影響を受ける前記複数のパートの各々に関連した権利を決定する前記段階において、前記プログラム命令が、各パートについて、
前記パートに固有の幾何学的情報から前記パートに関連したファイルを識別し、
前記パートに関連した前記ファイルに割り当てられた権利から前記パートに関連した権利を決定する、
ことを実施するよう更にコンピュータ実行可能である、
ことを特徴とする請求項20に記載のコンピュータ可読記憶媒体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−512605(P2010−512605A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541558(P2009−541558)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/087261
【国際公開番号】WO2008/073978
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(595097771)アドビ システムズ, インコーポレイテッド (22)
【氏名又は名称原語表記】ADOBE SYSTEMS, INC.
【Fターム(参考)】