説明

オプション型給紙装置

【課題】印刷装置が持っている印刷速度の可変性を活かすことができ、印刷作業の能率向上に寄与できるオプション型給紙装置を提供する。
【解決手段】大量給紙装置200は、用紙積載部201と、給紙機構部202と、孔版印刷装置等の印刷装置の給紙部に連結される中間搬送部203を有している。中間搬送部203は第1の用紙搬送手段205とその下流に位置する第2の用紙搬送手段206を有しており、第1の用紙搬送手段205の上部にはインクジェット印刷部204が設けられている。第1の用紙搬送手段205の搬送速度はインクジェット印刷部204の印刷に適した速度に固定されており、第2の用紙搬送手段206の搬送速度は可変となっている。連結された印刷装置の印刷速度に応じて図示しない制御手段により第2の用紙搬送手段206の搬送速度が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載されたシート状記録媒体としての用紙を1枚ずつ分離して給紙する給紙装置に関し、詳しくは、それ自体がインクジェット印刷機能を有し、孔版印刷装置等に任意に連結してハイブリッド印刷システムを構築可能なオプション型の給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
孔版印刷装置では、速く安価に印刷することができるが、機能上1ドラムに1色の印刷しかできないため、多色印刷をするには複数本(フルカラー印刷では4本以上)のドラムを用意して重ね印刷をするか、1台の装置に上記本数のドラムを配置した構成とするしかないが、重ね印刷では時間がかかり、同時4色印刷構成では高価なため実現していない。
また、孔版印刷では版を用いるため、ページ印刷や宛名印刷などの可変データの印刷には対応できなかった。このため、共通部分を孔版印刷し、その後可変部分をプリンタなどによって再度印刷することが行われているが手間と時間が掛かることを避けられない。
【0003】
特許文献1、2には、1つの装置内に孔版印刷部と、これとは異なる印刷方式であるインクジェット印刷部を設け、1回の通紙で多色印刷(カラー印刷)が可能なハイブリッド孔版印刷装置が開示されている。
孔版印刷部とインクジェット印刷部間の印刷速度の差の影響を無くすために、両印刷部間に最大用紙サイズよりも長い搬送区間を設けている。
しかしながら、1つの装置内に孔版印刷部とインクジェット印刷部を設ける方式では、既存の孔版印刷装置を使用してハイブリッド印刷システムを構築することができないとともに、インクジェットのヘッドの清掃や交換等のメンテンンス作業が面倒である等の問題を抱えている。
特許文献3には、インクジェット方式の記録装置を備えた後処理装置を画像形成装置本体に接続し、電子写真方式の画像形成部とインクジェット印刷部を分離構成としたハイブリッド画像形成装置が開示されている。
特許文献4には、インクジェット印刷部を装置外部に露出したユニットに備えるハイブリッド孔版印刷装置が開示されている。
特許文献4の図7には、インクジェット印刷部を有するオプション型の大量給紙ユニットを孔版印刷装置に接続するハイブリッド孔版印刷装置が開示されている。この装置によれば、既存の孔版印刷装置を使用してハイブリッド印刷システムを構築することができ、可変データに対応しつつカラー印刷を大量に速く行うことができる。また、インクジェットのヘッドのメンテンンス作業も容易であるという利点を有している。
【0004】
【特許文献1】特開2002−137514号公報
【特許文献2】特開2002−137515号公報
【特許文献3】特開2002−60072号公報
【特許文献4】特開2006−76043号公報
【特許文献5】特開2005−41631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的にインクジェット印刷装置では、印刷部での搬送速度は一定になっている。搬送速度を可変にするとインク吐出量の調整制御が複雑になってしまうからである。
したがって、インクジェット印刷部を有するオプション型の給紙装置を孔版印刷装置等の印刷装置に連結してハイブリッド印刷システム(ハイブリッド孔版印刷装置等)を構築する場合、インクジェット印刷部の搬送速度に印刷装置の搬送速度(印刷速度)を合わせる必要があり、搬送速度が合わない印刷装置には連結することはできなかった。
また、孔版印刷装置では印刷速度を任意に設定できるが、従来のインクジェット印刷部を有するオプション型の給紙装置を連結した場合、給紙装置の搬送速度に合わせるためその搬送速度でしか印刷を行うことができず、複数段の印刷速度を有する印刷装置のメリットを活かすことができなかった。
【0006】
本発明は、印刷装置が持っている印刷速度の可変性を活かすことができ、印刷作業の能率向上に寄与できるオプション型給紙装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、用紙積載部と、該用紙積載部の用紙を1枚ずつ分離して給紙する給紙機構部と、版を用いて印刷する印刷装置の給紙部に任意に連結可能であり、前記給紙機構部から給紙された用紙を前記印刷装置の給紙部に搬送する中間搬送部と、該中間搬送部に設けられたインクジェット印刷部とを有するオプション型給紙装置において、前記中間搬送部が、前記インクジェット印刷部に対向して設けられた第1の用紙搬送手段と、該第1の用紙搬送手段の搬送方向下流側に設けられた第2の用紙搬送手段とを備え、前記第1の用紙搬送手段は搬送速度が略一定に固定され、前記第2の用紙搬送手段は搬送速度が可変であることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明では、請求項1記載のオプション型給紙装置において、前記印刷装置に通信可能に連結された場合に、前記印刷装置からの印刷速度情報に基づいて前記第2の用紙搬送手段の搬送速度を前記印刷速度に合うように調整する制御手段を有していることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載のオプション型給紙装置において、前記用紙積載部が、前記印刷装置の給紙部よりも用紙を大量に積載可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1つに記載のオプション型給紙装置において、前記第1の用紙搬送手段と前記第2の用紙搬送手段のうち、少なくとも前記第1の用紙搬送手段は静電力又は空気の負圧で用紙を吸着して搬送する構造を有していることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1つに記載のオプション型給紙装置において、前記印刷装置を介さずに直接排紙装置に連結可能であり、インクジェットプリンタとして使用できることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明では、請求項5記載のオプション型給紙装置において、前記排紙装置に通信可能に連結された場合に、前記排紙装置からの情報により前記インクジェット印刷部による印刷を停止可能であることを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項5又は6記載のオプション型給紙装置において、印刷データをメモリに一時記憶し、記憶されたデータを読み出して前記インクジェット印刷部による追加印刷を可能とする制御手段を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明では、請求項1〜7のいずれか1つに記載のオプション型給紙装置において、クリーニング信号により動作し、前記インクジェット印刷部のインクヘッドをクリーニングするクリーニング手段を有していることを特徴とする。
請求項9記載の発明では、請求項1〜8のいずれか1つに記載のオプション型給紙装置において、前記第1の用紙搬送手段の搬送方向上流側端部に当接し、用紙を押さえる押さえローラを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、給紙装置側においてインクジェット印刷部による印刷をした後用紙の搬送速度を印刷装置の印刷速度に合わせることができるので、印刷装置側の機能を制限することなくハイブリッド印刷システムを構築することができ、使用性、作業能率の向上を図ることができる。
また、用紙の搬送タイミングとインクジェット印刷部による印刷タイミングを高精度に合わせることができ、画像ずれのない印刷を行うことができる。
また、インクジェットヘッドのクリーニング動作を印刷装置から指令することができることによって、大量印刷するときに印刷枚数によってクリーニングしたり、印刷中に一時停止してクリーニング動作をすることができ、インクジェット印刷部の目詰まり等による機能低下を防止することができる。
また、給紙装置を排紙装置に直接接続した場合には、インクジェットプリンタを容易に構築でき、使用性の向上を図ることができる。
また、印刷データを内部メモリに記億し、読み出して印刷することにより印刷の多様化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図1乃至図5に基づいて第1の実施形態を説明する。図1及び図2に示すように、オプション型印刷装置としての大量給紙装置200は、孔版印刷装置等の印刷装置に標準装備される給紙台又は給紙トレイに比べて用紙を大量に積載可能な用紙積載部201と、該用紙積載部201の用紙166を1枚ずつ分離して給紙する給紙機構部202と、該給紙機構部202から給紙されてきた用紙166を後述する孔版印刷装置の給紙部の給紙台に搬送する中間搬送部203等を有している。
中間搬送部203は、インクジェット印刷部204と、該インクジェット印刷部204の下方に略水平に延びるように且つインクジェット印刷部204に対向して設けられた第1の用紙搬送手段205と、第1の用紙搬送手段205の搬送方向下流側に設けられた第2の用紙搬送手段206を有している。
用紙166は用紙積載部201の給紙台162に積載され、給紙台162は図示しない給紙台昇降機構によって下限位置から上限位置まで用紙を積載して上下移動する。図1において、符号160は底板を、161は給紙方向の用紙サイズを検知する用紙サイズ検知センサを、163はサイドフェンスを示している。図示しないが、給紙方向と直交する用紙幅方向のサイズを検知するセンサも設けられている。
【0014】
給紙機構部202は、給紙ローラ164a、分離ローラ164b、分離パッド165、図示しないステッピングモータ等を有している。給紙台162が上記給紙台昇降機構によって停止位置から上限位置まで用紙を積載して上昇すると、上限位置で停止した給紙台162上の用紙166の最上面用紙は上記ステッピングモータの動作によって回転する給紙ローラ164aと、分離ローラ164bとで分離搬送され、第1の用紙搬送手段205へ搬送される。
インクジェット印刷部204には、ライン型インクジェットプリンタヘッドが4色分配置されている。Y(イエロー)42a、M(マゼンタ)42b、C(シアン)42c、Bk(ブラック)42dの4色の専用ヘッドで構成されていて、インクジェットプリンタヘッドには各色のインキが供給される。
インクボトルY(イエロー)41a、インクボトルM(マゼンタ)41b、インクボトルC(シアン)41c、インクボトルBk(ブラック)41dの4色の専用インクボトルが大量給紙装置200内に配置されている。
【0015】
各インクボトル内には、図3に示すように、インクポンプ207が配置され、大量給紙装置200の動作を制御する制御手段208からの信号によりインクを各インクジェットプリンタヘッドへ供給する。制御手段208はCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース等を有するマイクロコンピュータである。
また、各インクボトル内にはインク残量検知手段としてのインク残量検知センサ209が配置されていて、インク残量を制御手段208へ信号により出力する。この信号を元にインキ残量を図9に示す孔版印刷装置300の操作パネル103に表示することが可能となる。図3に示すように、大量給紙装置200の操作パネル212に表示することもできる。
図4に示すように、インクジェットプリンタヘッドのクリーニング時には廃液が廃液管40a、40b、40c、40dに通して廃液タンク44に集められる。廃液タンク44には、廃インク満杯検知センサ210が配置されていて、インク満杯を制御手段208へ信号により出力する。この信号を元に廃液満杯を操作パネル103に表示することが可能となる。図3に示すように、大量給紙装置200の操作パネル212に表示することもできる。
【0016】
第1の用紙搬送手段205は、駆動ローラ43a、従動ローラ43b、用紙搬送部材としての無端ベルト43c、吸引ファン46a等を有しており、分離ローラ164bから搬送された用紙166を空気の負圧で吸着して搬送し、下流側の第2の用紙搬送手段206に受け渡す。第1の用紙搬送手段205の搬送速度はインクジェット印刷部204の印刷に適した所定の速度に固定されている。
第2の用紙搬送手段206は、駆動ローラ43d、従動ローラ43e、用紙搬送部材としての無端ベルト43f、吸引ファン46b等を有しており、第1の用紙搬送手段205により搬送された用紙166を空気の負圧で吸着して搬送し、中間搬送部203の端部位置まで用紙166を吸着搬送する。
第2の用紙搬送手段206の搬送速度は可変(複数段)であり、後述する孔版印刷装置300の制御手段129からその印刷速度の情報を得た制御手段208は搬送速度が適正となるように第2の用紙搬送手段206の搬送速度を設定する。
すなわち、第2の用紙搬送手段206の搬送速度は、孔版印刷装置300の給紙ローラやレジストローラ対の速度に応じて可変であり、大量給紙装置200と孔版印刷装置300間における速度変換の機能を有する。
速度調整は、図3に示すように、駆動ローラ43dを駆動する駆動源としての駆動モータ211の回転速度を制御することによりなされる。
孔版印刷装置300の制御手段129が制御手段208を介して駆動モータ211を制御してもよい。
【0017】
図1及び図2に示すように、第1の用紙搬送手段205の搬送方向上流側端部における従動ローラ43bの上部には、用紙を押さえる押さえローラ47が設けられており、無端ベルト43cに押し付けられている。
上述のように、給紙台162に積載された用紙166は最上のものから1枚ずつ給紙ローラ164aと分離ローラ164bによって分離搬送されるが、第1の用紙搬送手段205に用紙搬送する時に、押さえローラ47を押し付けて、その間に用紙166を給紙機構部202から分離搬送することによって、用紙搬送とインクジェット印刷を同時にすることが可能になり、画像ずれのない印刷ができる。
給紙機構部202の分離搬送速度と第1の用紙搬送手段205の用紙搬送速度を合わせないと用紙と画像の位置ずれが生じる。速度を合わせるには、どちらか一方の速度に合わせる必要があるが、ローラ径や無端ベルト厚み、ステッピングモータの動作速度などを合わせても、ローラ径や無端ベルト厚みなどの加工精度のばらつきがあるためにステッピングモータにより回転させるとそれぞれの搬送速度に差が生じてしまう。
この問題に対処すべく、本実施形態では第1の用紙搬送手段205の搬送速度で確実に吸着搬送して用紙位置ずれが生じないように、押さえローラ47を押し付け、その間に用紙166を給紙機構部202から分離搬送することによって、用紙搬送タイミングとインクジェット印刷のタイミングを高精度に合わせることを実現している。
【0018】
図5に示すように、大量給紙装置200は、版を用いて印刷する印刷装置としての孔版印刷装置300の給紙部301に中間搬送部203の先端部を挿入して連結される。
この場合、孔版印刷装置300の給紙部301の用紙検知センサ等は中間搬送部203で遮蔽されて無効化され、大量給紙装置200が給紙部301の機能を代替する。
勿論、孔版印刷装置300と大量給紙装置200が電気的に接続(制御手段129と制御手段208が通信可能に接続)された場合には大量給紙装置200により給紙する制御がなされる。
給紙部301とは別に大量給紙装置200を接続する専用の接続口(給紙部)を孔版印刷装置300に設けて給紙するようにしてもよい。孔版印刷装置300の構成及び印刷動作についての詳細は後述する。
図5において、符号400は排紙装置としての大量排紙装置を示し、大量給紙装置200、孔版印刷装置300及び大量排紙装置400が機械的且つ電気的に接続されて、異なる印刷方式(孔版印刷+インクジェット印刷)で印刷可能なハイブリッド孔版印刷システムが構築されている。
【0019】
孔版印刷装置300の制御手段129から給紙開始の信号を受信すると、大量給紙装置200の給紙台162の図示しない用紙有無検知センサによって積載した用紙の有無が検知され、用紙有りの場合には図示しない給紙台上昇機構によって給紙台162が停止位置から上限位置まで用紙を積載して上昇し上限位置で停止する。
積載された用紙166の最上面用紙が給紙ローラ164aと分離ローラ164bによって1枚ずつ分離され、第1の用紙搬送手段205に搬送される。用紙166は第1の用紙搬送手段205により各インクジェットプリンタヘッドとの距離を高精度に保ちながら略水平に搬送され、インクジェット印刷部204で所定の印刷を施される。すなわち、孔版印刷装置300に給紙する前にインクジェット印刷部204による印刷が行われる。
これにより、インクジェット印刷部204で可変データ部分を印刷し、共通部分を孔版印刷装置300で印刷することができる。
吸着搬送方式にすることによって用紙搬送とインクジェット印刷部204によるインクジェット印刷を一定のタイミングですることが可能になり、画像ずれのない印刷ができる。ここでは空気の負圧による吸着搬送としたが、静電吸着方式としてもよい。
インクジェット印刷部204は単色でも良いが、本実施形態ではフルカラー印刷ができるように各色のインクジェットプリンタヘッドが配置されている。
インクジェット印刷部204はフルカラー印刷が可能であるので、大量給紙装置200自体、独立した画像形成装置としての機能も有している。
【0020】
図3に示すように、大量給紙装置200には、インクジェット印刷部204の各インクジェットプリンタヘッドをクリーニングするクリーニング手段213を有している。
大量給紙装置200のインクジェット印刷部204におけるインクジェットヘッドのクリーニング動作は、孔版印刷装置300の制御手段129又は大量給紙装置200の制御手段208からの指令によってなされる。
大量印刷するときに印刷枚数によってクリーニングしたり、印刷中に一時停止してクリーニング動作をすることができる。これによって連続印刷中の紙粉によるノズル目詰まり対策が可能になる。
【0021】
図6に基づいて第2の実施形態を説明する。
上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する。
本実施形態では、大量給紙装置200を孔版印刷装置300に接続することなく直接大量排紙装置400に接続してインクジェットプリンタを構築している。
大量排紙装置400はオフラインの排紙装置で良く、図示しない上限検知センサにより排紙台73上の排紙上限検知がなされたら、一定時間排紙台73を下降させる。図示しない下限検知センサにより検知される下限位置まで下降したら動作を停止する。
大量給紙装置200によってカラー印刷(インクジェット印刷)した用紙は大量排紙装置400に搬送されて排紙台73上に積載される。図6において、符号71は装置本体の上板を、70は底板を、72はエンドフェンスを、74はサイドフェンスをそれぞれ示している。
【0022】
大量給紙装置200と大量排紙装置400が通信可能に接続された場合には、排紙台73が下限位置まで下降したら動作を停止し、大量給紙装置200の制御手段208に排紙台満杯の信号を送信する。大量給紙装置200の制御手段208は排紙台満杯の信号を受信すると操作パネル212に排紙台満杯の表示を行う。
大量排紙装置400には図示しない搬送ジャム検知センサが設けられており、用紙搬送のジャムを検知すると、大量給紙装置200に搬送ジャム信号を送信する。
制御手段208は搬送ジャムの信号を受信すると操作パネル212に搬送ジャムの表示を行うとともに、大量給紙装置200の給紙動作を停止する。
【0023】
大量排紙装置400に直接接続した場合において、大量給紙装置200にLANやリムーバルディスク等により送られ又は入力された印刷データを制御手段208の内部メモリ(ROM等)に記億して後から印刷することもできる。印刷時には制御手段208内の内部メモリからデータを読み出して印刷に使用する。
このことによって大量給紙装置200に送られ又は入力された印刷データを設定枚数プリントした後に、操作パネル212の印刷枚数の設定とプリントキーの押下により、制御手段208内の内部メモリからデータを読み出して追加印刷することができる。
【0024】
図7乃至図9に基づいて、第1の実施形態で示した孔版印刷装置300の構成及び印刷動作を説明する。
図7に示すように、孔版印刷装置300は、印刷部15、製版部40、給紙部301、排版部80、図示しない排紙部、画像読取部50、用紙分離爪17等を有している。
孔版印刷装置300のほぼ中央に配設された印刷部15は、版胴1とプレスローラ13とを有している。版胴1は、インキ供給パイプを兼ねた支軸16に回転自在に支持された図示しない一対の端板と、各端板の外周面に巻装された図示しない多孔性支持板と、該多孔性支持板の外周面に巻装された図示しないメッシュスクリーンとから主に構成されており、版胴駆動手段121(図8参照)によって回転駆動されると共に孔版印刷装置300に対して着脱可能に構成されている。
【0025】
本実施形態において版胴1は、片面印刷時において最大でA3サイズの印刷物を得ることが可能な大きさを有している。版胴1の内部にはインキ供給手段18が配設されている。インキ供給手段18は、支軸16、インキローラ3、ドクターローラ4等を有している。インキローラ3は、版胴1内に設けられた図示しない側板間に回転自在に支持されており、その周面を版胴1の内周面に近接して配置され、図示しない駆動手段によって版胴1と同方向に回転駆動される。
ドクターローラ4も前記側板間に回転自在に支持されており、その周面をインキローラ3の周面に近接して配置され、図示しない駆動手段によって版胴1とは逆方向に回転駆動される。
支軸16には複数の小さな孔が穿設されており、供給されたインキがインキローラ3とドクターローラ4との近接部に形成される断面楔状の空間に溜まることによりインキ溜まりが形成される。
【0026】
版胴1の外周面上には、版胴1の一母線に沿った平面をなす図示しないステージ部が形成されており、この上には版胴1の外周面上にマスタ2の先端を保持させるクランパ6が配設されている。クランパ6は回転軸5を支軸として回転し、版胴1が所定の位置まで回転されたときに図示しない開閉手段によって開閉される。
版胴1の下方にはプレスローラ13が配設されている。プレスローラ13は金属製の芯部にゴム等の弾性体を巻成して構成されており、版胴1の軸方向に延在して設けられている。プレスローラ13は、図示しない芯部の両端部を一対の図示しないアーム部材によって回転自在に支持されている。
ほぼL字形状を呈する各アーム部材は、その曲折部近傍の部位に取り付けられた図示しない揺動軸によってそれぞれ一体化されており、図示しない揺動軸は孔版印刷装置本体によって回動自在に支持されている。
プレスローラ13は、図示しない各カム板の凸部が図示しないカムフォロアと当接したときにその周面が版胴1の周面より離間する離間位置を占め、何れかの凸部と図示しないカムフォロアとの当接が解除されたときに図示しない印圧ばねの付勢力によってその周面が版胴1の周面に圧接する圧接位置を占める。
【0027】
孔版印刷装置300の右上部には製版部40が配設されている。製版部40は、マスタ保持部材41、プラテンローラ42、サーマルヘッド43、切断手段44、マスタストック部45、テンションローラ対46、反転ローラ対47等を有している。
マスタ保持部材41は製版部40の図示しない側板対にそれぞれ設けられており、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタをロール状に巻成してなるマスタロールの芯部の両端を回転自在かつ着脱自在に支持する。
マスタ保持部材41の左方に設けられた図示しないプラテンローラ42は製版部40の図示しない側板に回転自在に支持されており、図示しないステッピングモータを含む製版駆動手段124(図8参照)によって回転駆動される。
プラテンローラ42の下方に位置し多数の発熱素子を有するサーマルヘッド43も製版部40の図示しない側板に取り付けられており、図示しない押し付け手段の押し付け力によってその発熱素子面をプラテンローラ42に圧接されている。
サーマルヘッド43はマスタの熱可塑性樹脂フィルム面に接触しつつ発熱素子を選択的に発熱させ、マスタに対して熱溶融穿孔製版を行う。プラテンローラ42及びサーマルヘッド43の左方には切断手段44が配設されている。
【0028】
製版部40の図示しないフレームに固設された固定刃と、この固定刃に移動自在に支持された可動刃とを有する図示しない切断手段44は、固定刃に対して可動刃が回転移動することによりマスタを切断する周知の構成である。
切断手段44のマスタ搬送方向下流側下方にはマスタストック部45が配設されている。製版済みマスタを一時的に貯容する空間であるマスタストック部45は複数の板部材によってその内部を仕切られており、その最奥部には図示しない吸引ファンが配設されている。この吸引ファンが作動することにより密閉された空間であるマスタストック部45の内部に負圧が発生し、製版搬送されてきた製版済みマスタはマスタストック部45の最奥部に向けて貯容される。
切断手段44とマスタストック部45との間の部位にはテンションローラ対46が配設されている。それぞれ製版部40の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラと従動ローラとからなるテンションローラ対46は、従動ローラが図示しない押し付け手段によってその周面を駆動ローラの周面に圧接されており、製版駆動手段124によって駆動ローラが回転駆動されることによりマスタを挟持して搬送する。
駆動ローラは、その周速度がプラテンローラ42の周速度よりも若干遠く設定されていると共にその内部には図示しないトルクリミッタが設けられており、プラテンローラ42とテンションローラ対46との間においてマスタに対して所定の張力が付与されるように構成されている。
【0029】
マスタストック部45のマスタ搬送方向下流側には、それぞれ製版部40の図示しない側板に回転自在に支持された駆動ローラと従動ローラとからなる反転ローラ対47が配設されている。反転ローラ対47は、製版駆動手段124によって回転駆動される駆動ローラと、図示しない押し付け手段によってこれに圧接配置された従動ローラとによってマスタを挟持して搬送する。
駆動ローラの内部には図示しないワンウェイクラッチが設けられている。また、テンションローラ対46と反転ローラ対47との間の部位には、図示しない可動マスタガイド板が配設されている。この可動マスタガイド板は図示しない支持部材に揺動自在に支持されており、図示しないソレノイドによってその上面がマスタの搬送路を構成する搬送位置と、マスタのマスタストック部45への進入を妨げない退避位置とに選択的に位置決めされる。
【0030】
製版部40の下方には給紙部301が配設されている。給紙部301は、給紙トレイ60、給紙ローラ10a、分離ローラ10b、分離パッド11、レジストローラ対12等を有している。上面に多数の用紙100を積載可能な給紙トレイ60は孔版印刷装置本体に上下動自在に支持されており、昇降手段を含む給紙駆動手段125(図8参照)によって上下動される。
A3サイズの用紙100を縦置き可能な給紙トレイ60の上面には、図示しないレール部材によって用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に移動自在に支持された一対のサイドフェンス62が設けられている。
給紙トレイ60の自由端部側には、積載された用紙100のサイズを検知する複数の用紙サイズ検知センサ61が設けられている。
【0031】
給紙トレイ60の上方には、表面に高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ10aが配設されている。給紙ローラ10aは孔版印刷装置本体に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、給紙トレイ60が図示しない昇降手段によって上昇されたときに所定の圧接力で給紙トレイ60上の最上位の用紙100に圧接する。給紙ローラ10aは図示しない給紙駆動手段によって回転駆動される。
給紙ローラ10aの左方には、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有する分離ローラ10bと分離パッド11とが配設されている。分離ローラ10bはタイミングベルトを介して給紙ローラ10aに駆動連結されており、給紙ローラ10aの回転駆動時にこれと同期して同方向に回転駆動される。
分離パッド11は図示しない付勢手段の付勢力によって分離ローラ10bに圧接されている。分離ローラ10b及び分離パッド11の左方にはレジストローラ対12が配設されている。駆動ローラ12bと従動ローラ12aとからなるレジストローラ対12は、版胴駆動手段121からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動カ伝達手段によって伝達されることで駆動ローラ12bが版胴1と同期した所定のタイミングで回転し、駆動ローラ12bに圧接された従動ローラ12aとによって用紙100を印刷部に向けて所定のタイミングで給紙する。
【0032】
レジストローラ対12の用紙搬送方向上流側及び下流側には、給紙部301から印刷部15へと給紙される用紙100の搬送をガイドするための給紙ガイド板がそれぞれ配設されている。各給紙ガイド板は、孔版印刷装置本体の図示しない側板間にそれぞれ固定されている。
印刷部15の左上方には排版部80が配設されている。排版部80は、上排版部材81、下排版部材82、排版ボックス83、圧縮板84等を有している。上排版部材81は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト等を有し、排版駆動手段126(図8参照)によって駆動ローラが図の時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルトが移動する。
下排版部材82は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト等を有し、駆動ローラを回転駆動する排版駆動手段126の駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動カ伝達手段によって伝達されることで駆動ローラが反時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルトが移動する。
下排版部材82は排版駆動手段126に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラの外周面上に位置する無端ベルトが版胴1の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
【0033】
内部に使用済みマスタを貯容する排版ボックス83は、孔版印刷装置本体に対して着脱自在に設けられている。上排版部材81と下排版部材82とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス83の内部に押し込む圧縮板84は孔版印刷装置本体に上下動自在に支持されており、排版駆動手段126に含まれる図示しない昇降手段によって上下動される。
排版部80の下方には排紙部20が配設されている。排紙部20は、用紙分離爪17、排紙搬送ユニット21、排紙トレイ70等を有している。
用紙分離爪17は版胴1の幅方向に複数配置され、孔版印刷装置本体に揺動自在支持された支軸にそれぞれ一体的に取り付けられている。複数の用紙分離爪17は図示しない爪揺動手段によって揺動され、その先端が版胴1の周面に近接する図に示す位置と、クランパ6等の障害物を回避するためにその先端が版胴1の外周面から離間する位置とを選択的に占める。
図示しない爪揺動手段は、版胴駆動手段121(図8参照)からの駆動力を図示しない駆動力伝達手段により伝達され、版胴1の回転と同期して用紙分離爪17を揺動させる。
【0034】
用紙分離爪17の下方であって用紙分離爪17の左方に配設された排紙搬送ユニット21は、駆動ローラ25b、従動ローラ25a、無端ベルト27、吸引ファン26等を有している。コロ状の駆動ローラ25bは図示しないユニット側板に回転自在に支持された図示しない支軸に所定の間隔で複数取り付けられており、排紙駆動手段127(図8参照)によってそれぞれ一体的に回転駆動される。
従動ローラ25aも同側板に回転自在に支持された図示しない支軸に各駆動ローラ25bと等間隔で複数設けられており、各駆動ローラ25b及びこれと対応する各従動ローラ25aには無端ベルト27がそれぞれ掛け渡されている。
駆動ローラ25b、従動ローラ25a、無端ベルト27の下方には吸引ファン26が配設されている。
排紙搬送ユニット21は、吸引ファン26の吸引力によって各無端ベルト27上に印刷済みの用紙101を吸引し、各駆動ローラ25bの回転によって印刷済み用紙101を搬送する。排紙搬送ユニット21によって搬送された印刷済み用紙101をその上面に積載する排紙トレイ70は、用紙搬送方向に移動自在な1個のエンドフェンス71と用紙幅方向に移動自在な一対のサイドフェンス72とを有している。
【0035】
孔版印刷装置300の上部には画像読取部50が配設されている。画像読取部50は、原稿を載置するコンタクトガラス52、コンタクトガラス52に対して接離自在に設けられた圧板51、原稿画像を走査して読み取る反射ミラー及び蛍光灯、走査された原稿画像を集束するレンズ53、集束された画像を処理するCCD等の画像センサ54、原稿のサイズを検知する複数の原稿サイズ検知センサ55、読み取られた画像データを記憶する図示しない画像メモリ等を有しており、原稿画像の読取動作は図示しない読取駆動手段128(図8参照)の作動によって行われる。
図7に示すように、版胴1を構成する図示しない端板の外面にはドグ29が取り付けられており、版胴1の周囲近傍には孔版印刷装置本体に取り付けられたホームポジションセンサ28が配設されている。ホームポジションセンサ28は、クランパ6がプレスローラ13と対向する位置を版胴1が占めたときにドグ29を検知して制御手段129に向けて信号を出力する。
【0036】
図9は孔版印刷装置300の操作パネルを示している。同図において孔版印刷装置300の上部前面に設けられた操作パネル103は、その上面に製版スタートキー104、印刷スタートキー105、試し刷りキー106、連続キー107、クリア/ストップキー108、テンキー109、エンターキー110、プログラムキー111、モードクリアキー112、印刷速度設定キー113、4方向キー114、用紙サイズ設定キー115、用紙厚み設定キー116、7セグメントLEDからなる表示装置119、LCDからなる表示装置120等を有している。
製版スタートキー104は孔版印刷装置300に製版動作を行わせる際に押下され、製版スタートキー104が押下されると排版動作及び原稿読取動作が行われた後に製版動作が行われ、その後、版付け動作が行われて孔版印刷装置300は印刷待機状態となる。
【0037】
印刷スタートキー105は孔版印刷装置300に印刷動作を行わせる際に押下され、孔版印刷装置300が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー105が押下されることにより印刷動作が行われる。試し刷りキー106は孔版印刷装置300に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定された後に試し刷りキー106が押下されることにより1枚だけ印刷が行われる。連続キー107は製版動作と印刷動作とを連続して行う際に製版スタートキー104の押下前に押下され、連続キー107の押下後、印刷条件が入力された後に製版スタートキー104が押下されると、排版動作、原稿読取動作、製版動作に引き続いて印刷動作が行われる。
クリア/ストップキー108は孔版印刷装置1の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下され、テンキー109は数値入力に用いられる。エンターキー110は各種設定時に数値等を設定する際に、プログラムキー111はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際にそれぞれ押下され、モードクリアキー112は各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。
印刷速度設定キー113は印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下され、濃い目の画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く、薄めの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を速く設定する。
【0038】
4方向キー114は上キー114a、下キー114b、左キー114c、右キー114dを有しており、画像編集時に画像位置を調整する場合あるいは各種設定時に数値や項目等を選択する場合等に押下される。
用紙サイズ設定キー115は用紙サイズを任意で入力する際に押下され、用紙サイズ設定キー115で入力された用紙サイズは用紙サイズ検知センサ73によって検知された用紙サイズに優先される。用紙厚み設定キー116は両面印刷に先立って用紙100の厚みを入力する際に押下され、本実施形態では「普通紙」、「薄紙」、「厚紙」の3種類のうちの何れかを選択する構成となっている。
7セグメントLEDからなる表示装置119は、主に印刷枚数等の数字を表示する。LCDからなる表示装置120は階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キー120a、120b、120c、120dを押下することにより、変倍や位置調整等の様々なモードヘの変更及び各モードでの設定が可能に構成されている。また表示装置120には、図示したように「製版・プリントできます」のような孔版印刷装置300の状態が表示される他、製版あるいは排版ジャム、給紙あるいは排紙ジャム等のアラーム、印刷用紙、マスタ、インキ等のサプライの供給指示等も表示される。
【0039】
図8は、孔版印刷装置300における制御ブロック図を示している。同図において制御手段129は、内部にCPU130、ROM131、RAM132等を有する周知のマイクロコンピュータであり、孔版印刷装置本体の内部に設けられている。
CPU130は、操作パネル103からの各種信号及び孔版印刷装置本体に設けられた各種センサからの検知信号及びROM131から呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部15、製版部40、給紙部301、排版部80、排紙部20、画像読取部50に設けられた各駆動手段を制御し、孔版印刷装置全体の動作を制御する。
ROM131には孔版印刷装置全体の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムはCPU130によって適宜呼び出される。RAM132は、CPU130の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル103上の各種キー及び各種センサから設定及び入力されたデータ信号及びオン・オフ信号を随時記億する機能等を有している。
制御手段129は、ホームポジションセンサ134からのホームポジション信号と、版胴駆動手段121に設けられた図示しないエンコーダからの信号とに基づいて、版胴1の位置の把握も行っている。
【0040】
上述の構成に基づき、孔版印刷装置300の動作を説明する。
オペレータは給紙トレイ60上に印刷に使用される用紙100を積載し、圧板51を開放してコンタクトガラス52上に印刷すべき原稿を載置した後、再び圧板51を閉じる。その後、操作パネル103上の各種キーによって製版条件を設定した後、製版スタートキー104を押下する。
先ず、片面印刷キー118を押下して片面印刷を行う場合を説明する。オペレータは製版スタートキー104を押下する。製版スタートキー104が押下されると、用紙サイズ検知センサ61から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ55から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、信号を受けた制御手段129は各信号を比較する。
このとき、用紙サイズと原稿サイズとが同じ場合は直ちに画像読取動作が行われ、用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合には、制御手段129はその旨を表示装置120に表示してオペレータに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行い、原稿サイズと画像サイズとを整合させるように構成してもよい。
【0041】
製版スタートキー104が押下されると、画像読取部50では原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、蛍光灯によって露光された反射光を各反射ミラーによって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像はレンズ53で集束された後に画像センサ54に入射されて光電変換される。
光電変換された電気信号は図示しなA/D変換器に入カされた後、画像メモリ135内に画像データ信号として格納される。
画像読取部50での画像読取動作と並行して、排版部80では版胴1の外周面から使用済みマスタを剥離する排版動作が行われる。製版スタートキー104が押下されると版胴1が回転を開始し、版胴1が図7に示すホームポジションに達すると図示しないドグ29がホームポジションセンサ28に検知され、ホームポジションセンサ28から制御手段129に向けてホームポジション信号が送られる。
ホームポジション信号を受けた制御手段129は、このホームポジションを基点として図示しないエンコーダが発するパルス数を計測し、版胴1の外周面上に巻装された使用済みマスタの先端が排版部80の従動ローラの外周面上に位置する無端ベルトと対応する所定の排版位置に達したと判断すると、版胴駆動手段121の作動を停止させる。
【0042】
版胴駆動手段121が停止されて版胴1が所定の排版位置で停止すると、版胴駆動手段121及び排版駆動手段126が作動して各駆動ローラが回転駆動されると共に下排版部材82が版胴1側に移動し、従動ローラの外周面上に位置する無端ベルトが版胴1上の使用済みマスタと当接する。
版胴1の回転及び無端ベルトの移動によって版胴1の外周面上よりすくい上げられた使用済みマスタは、下排版部材82と上排版部材81とで挟持搬送されて版胴1の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタは排版ボックス83内に廃棄された後、圧縮板84によって圧縮される。
外周面上より使用済みマスタが全て剥離された後も版胴1は回転を継続し、クランパ6が右上方に位置する所定の給版待機位置に達するまで回転して停止する。
版胴1が給版待機位置で停止すると図示しない開閉手段が作動してクランパ6が開放され、給版待機状態となる。排版動作と並行して、製版部40では製版動作が行われる。製版スタートキー104が押下されると、プラテンローラ42、テンションローラ対46、反転ローラ対47がそれぞれ回転駆動されてマスタロールよりマスタが引き出される。
【0043】
このとき図示しない可動マスタガイド板は搬送位置に位置決めされている。マスタが引き出されてその画像形成領域がサーマルヘッド43の発熱素子と対応する位置に達すると、図示しない画像メモリ内に格納されている画像データ信号が画像処理を施された後に呼び出され、図示しないサーマルヘッドドライバがサーマルヘッド43の各発熱素子を選択的に発熱させることにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルム面に製版画像が形成される。
マスタは製版されつつ搬送されその先端部が反転ローラ対47に挟持されると、図示しない可動マスタガイド板が退避位置に移動されると共に反転ローラ対47の回転が停止される。
反転ローラ対47の回転停止後もプラテンローラ42及びテンションローラ対46は回転を継続しており、サーマルヘッド43によって製版された製版済みマスタはマスタストック部45内に貯容される。
反転ローラ対47の停止時において、マスタストック部45に設けられた図示しない吸引ファンが作動されており、製版済みマスタは図示しない吸引ファンに吸引されることによって良好にマスタストック部45内に貯容される。
【0044】
上述の製版動作中、排版動作が完了して孔版印刷装置300が給版待機状態となると、反転ローラ対47が回転を開始してマスタストック部45内に貯容されている製版済みマスタが図示しないステージ部と開放されているクランパ6との間に向けて搬送される。
製版済みマスタの先端部がクランパ6によって挟持可能な所定位置まで搬送されると、図示しない開閉手段が作動してクランパ6が閉じられ、製版済みマスタはその先端部を図示しないステージ部とクランパ6とによって版胴1の外周面上に保持される。
版胴1が図7において時計回り方向に間欠的に回転駆動され、製版済みマスタの版胴1への巻装動作が行われる。このとき反転ローラ対47は回転を停止しており、図示しない駆動ローラは内部に設けられた図示しないワンウェイクラッチによって製版済みマスタの引き出しに伴い連れ回りする。
上記画像メモリからの画像データ信号が途絶えるとサーマルヘッド43の作動が停止し、1版分の製版済みマスタが製版搬送されるとプラテンローラ42、テンションローラ対46、反転ローラ対47の回転がそれぞれ停止されると共に切断手段44が作動して製版済みマスタが切断される。
切断された製版済みマスタは版胴1の回転によって製版部40より引き出され、版胴1がホームポジションまで回転して停止することで製版動作及び給版動作が完了する。給版動作に引き続き版付け動作が行われる。
【0045】
版胴1がホームポジションで停止すると用紙分離爪17が版胴1の周面に近接した位置に位置決めされた後、プレスローラ係止手段が作動すると共に図示しないステッピングモータが作動して段差カムが回転され、そのカム部をカムフォロアに当接させる。これにより移動アームが支軸を中心に揺動されてカム軸がカム板をカムフォロアに対して当接可能となる位置に移動された後、図示しないプレスローラ係止手段の作動が解除される。
その後、給紙ローラ10a、分離ローラ10b、駆動ローラ25a、吸引ファン26がそれぞれ駆動されると共に版胴1が低速で図7の時計回り方向に回転駆動され、給紙トレイ60上に積載された用紙100の最上位の1枚が引き出されてその先端をレジストローラ対12に挟持される。
版胴1上に巻装された製版済みマスタの版胴回転方向における画像領域先端部がプレスローラ13と対応する位置に到達する所定のタイミングでレジストローラ対12が回転駆動され、引き出された用紙100は版胴1とプレスローラ13との間に向けて給送される。
【0046】
版胴1の回転に同期して、プレスローラ接離機構55では図示しないカム軸及びこれと一体に設けられた図示しない多段カムが回転駆動されており、上述したように図示しないカムフォロアと当接可能となる位置に移動された図示しないカム板は、上記所定のタイミングにおいてその凸部を図示しないカムフォロアから離脱させる。
これによりプレスローラ13がその周面を版胴1の外周面に図示しない印圧ばねの付勢力によって圧接させ、レジストローラ対12によって給紙された用紙100が版胴1に巻装された製版済みマスタに押圧される。
この押圧動作によりプレスローラ13と用紙100と製版済みマスタと版胴1とが圧接し、インキローラ3によって版胴1の内周面に供給されたインキが版胴1の開口部より滲み出し、版胴1を構成する図示しない多孔性支持板及び図示しないメッシュスクリーン、及び版胴1に巻装された製版済みマスタの多孔性支持体に充填された後に製版済みマスタの穿孔部を介して用紙100に転写され、いわゆる版付けが行われる。
【0047】
版付けにより製版画像に応じた画像を印刷された用紙100は、印刷済み用紙101となって、用紙分離爪17によってその先端部から版胴外周面上の製版済みマスタより剥離される。
剥離された印刷済み用紙101は下方へと落下して排紙搬送ユニット21ヘと送られ、吸引ファン26の吸引力によって無端ベルト27の上面に引き付けられつつ左方へと搬送されて排紙トレイ70上に排出される。その後、版胴1が再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて孔版印刷装置300は印刷待機状態となる。
孔版印刷装置300が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー113及び操作パネル103上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー106が押下されると試し刷りが行われる。試し刷りキー106が押下されると、設定された印刷速度で版胴1が回転駆動されると共に給紙部301から用紙100が1枚給紙される。
給紙された用紙100はレジストローラ対12で一時停止された後に版付け時と同じタイミングで搬送され、プレスローラ13によって版胴外周面上の製版済みマスタに圧接される。画像を印刷された印刷済み用紙101は用紙分離爪17によって版胴外周面上の製版済みマスタより剥離され、排紙搬送ユニット21により搬送されて排紙トレイ70上に排出される。
【0048】
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー109によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー105が押下されると、給紙部301から用紙100が連続的に給送され、試し刷りと同条件で印刷動作が行われる。設定された印刷枚数が消化されると版胴1がホームポジションで停止し、孔版印刷装置300は再び印刷待機状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るオプション型給紙装置としての大量給紙装置の概要正面図である。
【図2】大量給紙装置の中間搬送部の拡大図である。
【図3】大量給紙装置の制御ブロック図である。
【図4】インクボトルから廃液タンクへのインクの流れを示す模式図である。
【図5】孔版印刷装置に大量給紙装置と大量排紙装置を連結して構成したハイブリッド孔版印刷システムの概要正面図である。
【図6】第2の実施形態に係る、大量給紙装置と大量排紙装置を連結し手構成したインクジェットプリンタの概要正面図である。
【図7】孔版印刷装置の概要正面図である。
【図8】孔版印刷装置の制御ブロック図である。
【図9】孔版印刷装置の操作パネルを示す要部平面図である。
【符号の説明】
【0050】
47 押さえローラ
201 用紙積載部
202 給紙機構部
203 中間搬送部
204 インクジェット印刷部
205 第1の用紙搬送手段
206 第2の用紙搬送手段
208 制御手段
213 クリーニング手段
300 版を用いて印刷する印刷装置としての孔版印刷装置
400 排紙装置としての大量排紙装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙積載部と、該用紙積載部の用紙を1枚ずつ分離して給紙する給紙機構部と、版を用いて印刷する印刷装置の給紙部に任意に連結可能であり、前記給紙機構部から給紙された用紙を前記印刷装置の給紙部に搬送する中間搬送部と、該中間搬送部に設けられたインクジェット印刷部とを有するオプション型給紙装置において、
前記中間搬送部が、前記インクジェット印刷部に対向して設けられた第1の用紙搬送手段と、該第1の用紙搬送手段の搬送方向下流側に設けられた第2の用紙搬送手段とを備え、
前記第1の用紙搬送手段は搬送速度が略一定に固定され、前記第2の用紙搬送手段は搬送速度が可変であることを特徴とするオプション型給紙装置。
【請求項2】
請求項1記載のオプション型給紙装置において、
前記印刷装置に通信可能に連結された場合に、前記印刷装置からの印刷速度情報に基づいて前記第2の用紙搬送手段の搬送速度を前記印刷速度に合うように調整する制御手段を有していることを特徴とするオプション型給紙装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のオプション型給紙装置において、
前記用紙積載部が、前記印刷装置の給紙部よりも用紙を大量に積載可能であることを特徴とするオプション型給紙装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のオプション型給紙装置において、
前記第1の用紙搬送手段と前記第2の用紙搬送手段のうち、少なくとも前記第1の用紙搬送手段は静電力又は空気の負圧で用紙を吸着して搬送する構造を有していることを特徴とするオプション型給紙装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のオプション型給紙装置において、
前記印刷装置を介さずに直接排紙装置に連結可能であり、インクジェットプリンタとして使用できることを特徴とするオプション型給紙装置。
【請求項6】
請求項5記載のオプション型給紙装置において、
前記排紙装置に通信可能に連結された場合に、前記排紙装置からの情報により前記インクジェット印刷部による印刷を停止可能であることを特徴とするオプション型給紙装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載のオプション型給紙装置において、
印刷データをメモリに一時記憶し、記憶されたデータを読み出して前記インクジェット印刷部による追加印刷を可能とする制御手段を有していることを特徴とするオプション型給紙装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のオプション型給紙装置において、
クリーニング信号により動作し、前記インクジェット印刷部のインクヘッドをクリーニングするクリーニング手段を有していることを特徴とするオプション型給紙装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のオプション型給紙装置において、
前記第1の用紙搬送手段の搬送方向上流側端部に当接し、用紙を押さえる押さえローラを有していることを特徴とするオプション型給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−137663(P2009−137663A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312610(P2007−312610)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】