説明

オリゴアルキレンイミン側鎖を有するグラフトポリマー、それらの製造方法及びそれらの使用

グラフトポリマーであって、そのグラフト主鎖がビニルアミン単位含有ポリマー、ポリアミン、ポリアミドアミン及びエチレン性不飽和酸のポリマーからなる群から選択され、その側鎖として専らオリゴアルキレンイミン側鎖を含有するグラフトポリマー、オリゴアルキレンイミン側鎖を有するグラフトポリマーの製造方法において、上記グラフト主鎖の1つに、末端のアジリジン基を含有する少なくとも1種のオリゴアルキレンイミンをグラフトさせるグラフトポリマーの製造方法、並びに、紙の製造の際の処理化学薬剤としての、抗菌性被覆材料としての、洗剤のビルダーとしての及び金属表面の処理のためのそのように得られたグラフトポリマーの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、グラフトポリマーであって、側鎖として専らオリゴアルキレンイミン側鎖を含み且つそのグラフト主鎖が、ビニルアミン単位含有ポリマー、ポリアミン、ポリアミドアミン及びエチレン性不飽和酸のポリマーからなる群から選択されるグラフトポリマーに関し、オリゴアルキレンイミン側鎖を有するグラフトポリマーの製造方法において、上記グラフト主鎖の1つに、末端のアジリジン基を含有する少なくとも1種のオリゴアルキレンイミンをグラフトさせるグラフトポリマーの製造方法に関し、そしてこのように得られたグラフトポリマーの、紙の製造の際の処理化学薬剤としての、抗菌性被覆材料としての、洗剤のビルダーとしての及び金属表面の処理のための使用に関する。
【0002】
US−A3,280,218号より、ポリアクリル酸及び/又はポリメタクリル酸へのエチレンイミンのグラフトポリマーが公知である。この場合、これは側鎖としてエチレンイミン単位を含む、櫛形ポリマーである。形成されたグラフト分枝鎖のモル質量分布は広範囲に及ぶ。このグラフト分枝鎖は例えば、1つのエチレンイミン単位だけ又は複数のアルキレンイミン単位からなってもよい。エチレンイミンによるポリマーのグラフトの深刻な欠点は、エチレンイミンのホモポリマーの形成を抑制するために必要とされる、非常に長い反応時間である。グラフトポリマーは、紙の製造の際に湿潤強度剤として使用される。
【0003】
US−A3,492,289号より完全な末端のアジリジン環を有する、300〜3000のモル質量を有するポリアルキレンイミンが公知である。それらは、ベンゼン、トルエン、n−ヘプタン、シクロヘキサン又は2−エチルヘキサンなどのほぼ無水の溶媒中で、触媒としてのアルミニウムトリアルキル、酸又はルイス酸の存在下でアルキレンイミンの重合により製造される。これらのポリマーは殺菌剤として又はエポキシ樹脂用の硬化剤として使用することができる。
【0004】
WO01/36500号より式
【化1】

(式中、
Rは水素又はC〜C−アルキルを表し、−[Al]はm個のアルキレンイミン単位を有する線状又は分枝鎖状のオリゴアルキレンイミン鎖を意味し、
mは1〜20の範囲の整数を表し、且つオリゴアルキレンイミン鎖中の数平均mは少なくとも1.5であり、
Yは鉱酸のアニオン等価体を意味し且つ
nは1≦n≦mの数を表す)
のアルキレンイミン単位含有モノマーが公知である。
【0005】
モノマーもしくはモノマー混合物は、上記の式においてmの数平均が少なくとも2.1、大抵は2.1〜8である場合、有利である。それらは、オリゴアルキレンイミンとエチレン性不飽和カルボン酸とを、有利にはオリゴマー混合物の形で、反応させることによって得られる。この場合、生じる生成物は、場合により鉱酸HYを用いて酸付加塩に変換することができる。このようなモノマーは、ラジカル重合を引き起こす開始剤の存在下において水性媒体中でホモポリマー及びコポリマーへ重合されることができ、これらは製紙の際に助剤として使用される。
【0006】
更なる樹枝状マクロモノマー及びそれより製造されたポリマーはEP−A1524314号より公知である。該マクロモノマーは、例えば、ポリエチレンイミンへのエチレンオキサイドの付加生成物とアリルグリシジルエーテルとの反応によって製造される。これらのマクロモノマーとアクリル酸とのコポリマーは洗剤中のビルダーとして使用される。
【0007】
先のEP出願第07117909.7号から式
【化2】

(式中、
[Al]はn個のアルキレンイミン単位を有する線状又は分枝鎖状のオリゴアルキレンイミン鎖を表し、
nは少なくとも1の数を意味し且つ
Xは直鎖及び分枝鎖のC〜Cアルキレン基、並びにモノマーIと鉱酸又は有機酸との塩及びモノマーIとアルキルハロゲン化物又はジアルキルスルファートとの四級化生成物を表す)
のアルキレンイミン単位含有アミノアルキルビニルエーテルが公知である。
【0008】
式Iのモノマーを重合によって組み込んで含有するポリマーは、例えば、紙の製造の際に固定剤として、抗菌性被覆材料として、洗剤中で及び金属表面の処理のために使用される。
【0009】
本発明の課題は、更なるアルキレンイミン単位含有ポリマーを提供することである。
【0010】
この課題は、本発明により、グラフトポリマーであってそれらがアルキレンイミン単位として専らオリゴアルキレンイミン側鎖を含有する場合、側鎖としてアルキレンイミン単位を有し且つそのベースポリマーがビニルアミン単位含有ポリマー、ポリアミン、ポリアミドアミン及びエチレン性不飽和酸のポリマーからなる群から選択されるグラフトポリマーによって解決される。
【0011】
オリゴアルキレンイミン側鎖は、例えば、2〜50個のアルキレンイミン単位、大抵は3〜30個のアルキレンイミン単位、有利には3〜15個のアルキレンイミン単位を含む。5〜10個のアルキレンイミン単位を含む、オリゴアルキレンイミン側鎖が特に有利である。線状オリゴアルキレンイミン側鎖[Al]は、例えば、以下の式
【化3】

(式中、nは少なくとも2の数を表し且つR’及びR’’は一価の有機残基、例えば、C〜Cアルキル、フェニル又は水素を表す)
によって記載することができる。R’及びR’’は有利には水素を表す。更に、分枝鎖状のオリゴアルキレンイミン側鎖[Al]が挙げられる。これらは例えば、以下の式
【化4】

(式中、pは0又は0とは異なる整数1、2、3などを表し、q及びrは相互に独立して0とは異なる整数を表し且つ総和p+q+r+1=nであり、その際、n=少なくとも2〜50、大抵は3〜30、有利には3〜15及び殊に5〜10を意味する)
によって特徴付けることができる。式IIIは単純な分枝鎖状のオリゴアルキレンイミン単位[Al]を示し、しかしながら、それは多重の分枝も可能である。
【0012】
オリゴアルキレンイミン側鎖がエチレンイミン単位からなるグラフトポリマーが特に有利である。
【0013】
このオリゴアルキレンイミン側鎖は、遊離塩基の形で又は塩としても存在することができる。塩形成のために、例えば、鉱酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸又は硝酸並びに飽和有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸が挙げられる。側鎖の窒素原子は完全に又は部分的に酸によって中和されていてもよい。更に、それらは四級化された形で存在することが可能である。それらは、例えば、塩化メチル、塩化エチル、n−塩化プロピル、塩化イソプロピル、n−塩化ブチル、sec−塩化ブチル、n−塩化ヘキシル、塩化シクロヘキシル、塩化ベンジル、臭化メチル、ヨウ化メチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、硫酸ジメチル又は硫酸ジエチルにより部分的に又は完全に四級化されていてもよい。
【0014】
本発明によるグラフトポリマーは、例えば、ベースポリマーにおいて、官能性モノマー単位当たり1〜100モル%、大抵は20〜80モル%、有利には30〜60モル%の少なくとも1種のオリゴアルキレンイミンを含む。ベースポリマー中の官能性モノマー単位とは、例えば、ビニルアミン単位含有ポリマーの場合にビニルアミン単位であると解釈されるか又はアミンもしくはポリアミドアミンの場合に第1級もしくは第2級アミノ基であると解釈され且つ酸基を有するポリマーの場合に酸基、有利にはカルボキシル基であると解釈される。
【0015】
本発明の対象は、ビニルアミン単位含有ポリマー、ポリアミン、ポリアミドアミン及びエチレン性不飽和酸のポリマーからなる群から選択されるグラフト主鎖に、末端のアジリジン基を含む、少なくとも1種のオリゴアルキレンイミンがグラフトされた、オリゴアルキレンイミン側鎖を有するグラフトポリマーの製造方法でもある。
【0016】
オリゴアルキレンイミンとして、有利には、末端のアジリジン基を含有するオリゴエチレンイミンが使用される。アジリジン基と共にオリゴアルキレンイミンは2〜50個のアルキレンイミン単位、大抵は3〜30個の、有利には3〜15個の、及び特に5〜10個のアルキレンイミン単位から構成される。係る化合物の製造は公知であり、上で先行技術に関して挙げられたUS3,492,289号を参照されたい。
【0017】
完全なアジリジン基を有する、少なくとも1種のオリゴアルキレンイミンがグラフトされる、グラフト主鎖として、例えば、ビニルアミン単位含有ポリマー、ポリアミン、ポリアミドアミン及びエチレン性不飽和酸のポリマーが挙げられる。これらのポリマーのモル質量M(ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される)は、例えば、500〜100万、有利には1000〜500000、特に2000〜350000である。
【0018】
ビニルアミン単位含有ポリマーは、ビニルホルムアミド単位含有ポリマーの加水分解によって得られる。ポリビニルアミンは、例えば、N−ビニルホルムアミドのホモポリマーの加水分解によって製造され、その際、加水分解度は、例えば、100%まで、大抵は70〜95%である。N−ビニルホルムアミドと他のエチレン性不飽和酸モノマーとの共重合体、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリルアミド、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルもまた、ビニルアミン単位含有ポリマーへ加水分解することができ且つ本発明によりグラフト主鎖として使用することができる。ビニルアミン単位含有ポリマーはカチオン性である。カ性ソーダ液又は苛性カリ液などの塩基との加水分解の際にアミノ基を有するポリマーが生じる一方で、N−ビニルホルムアミドのポリマーと酸との加水分解の際に、ポリマーの塩(アンモニウム塩)が生じる。N−ビニルホルムアミドのホモポリマー及びコポリマーの製造並びにそれらから加水分解により得られるアミノ基もしくはアンモニウム基を有するポリマーの製造が公知である。それらは、例えば、US6,132,558号、第2欄、第36行〜第5欄、第25行において詳細に記載されている。そこに記載された実施態様は、本出願の開示内容に援用される。ベースポリマーのこれらの基から、有利には、少なくとも50モル%のビニルアミン単位を含む、ビニルアミン単位含有ポリマーが使用される。
【0019】
グラフト主鎖として更にポリアミドアミンが挙げられる。これらは周知のようにポリカルボン酸、有利にはジカルボン酸とポリアミンとの縮合により製造される。例えば、分子中に4〜10個の炭素原子を有する少なくとも1種のジカルボン酸と、分子中に3〜10個の塩基性窒素原子を含む、少なくとも1種のポリアルキレンポリアミンとが縮合される。適当なジカルボン酸は、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、コルク酸、セバシン酸又はテレフタル酸である。ポリアルキレンポリアミンの例は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン及びビス−アミノプロピルエチレンジアミンである。ポリアミドアミンの製造の際に、勿論、ポリカルボン酸の混合物又はポリアルキレンポリアミンの混合物も使用することができる。ポリアミドアミンを製造するために、少なくとも1種のジカルボン酸及び少なくとも1種のポリアルキレンポリアミンは、比較的高い温度、例えば、120〜220℃の範囲、大抵は130〜180℃の範囲の温度に加熱される。縮合の際に生じた水は反応混合物から除去される。縮合の際に、場合により4〜8個の炭素原子を有するカルボン酸のラクトン又はラクタムも使用することができる。ジカルボン酸1モル当たり、例えば、0.8〜1.4モルのポリアルキレンポリアミンが使用される。
【0020】
グラフト主鎖として変性されたポリアミドアミンも使用することができる。変性されたポリアミドアミンには、例えば、ポリアミドアミンと少なくとも1種の架橋剤との反応により水溶性の生成物の形成下で得られる、架橋したポリアミドアミンが含まれる。架橋剤として、例えば、アルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールのエピクロロヒドリン又はビス−クロロヒドリンエーテルが適している。ポリアルキレングリコールは、例えば、2〜100個の酸化アルキレン単位を含むことができる。
【0021】
変性したポリアミドアミンの更なる例は、少なくとも1種の架橋剤と反応して水溶性の生成物を与える、エチレンイミンによりグラフトされたポリアミドアミンである。ポリアミドアミンをエチレンイミンでグラフトするために、該アミンを、例えば、水性媒体中で触媒としての硫酸又は三フッ化ホウ素エーテラートの存在下において80〜100℃の温度でエチレンイミンと反応させる。この種の化合物は例えば、DE−B2434816号に記載されている。
【0022】
本発明による生成物の製造のためのグラフト主鎖として、さらにポリアルキレンポリアミン、例えば、300〜15000、有利には1000〜12000のモル質量Mを有するポリアルキレンポリアミン及びポリエチレンイミンが挙げられる。
【0023】
グラフト主鎖として、エチレン性不飽和酸のホモポリマー及び/又はコポリマーも適している。これについての例は、エチレン性不飽和C〜C−カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、ビニル乳酸又はビニル酢酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸又はビニルホスホン酸のポリマーである。有利には、これらのポリマーの群から、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸及びメタクリル酸からなるコポリマー並びにアクリル酸及びマレイン酸からなるコポリマーが挙げられる。
【0024】
グラフト重合の際に、例えば、グラフト主鎖において官能性モノマー単位当たり1〜100モル%、大抵は20〜80モル%及び有利には30〜60モル%の、完全なアジリジン環を含有する、少なくとも1種のオリゴアルキレンイミンが使用される。
【0025】
本発明による生成物の製造は、有利には、水性媒体中で触媒、例えば、塩酸又は硫酸などの鉱酸の存在下で行われる。反応混合物のpH値は、例えば、5.5〜12、有利には6〜11の範囲である。
【0026】
この反応は、例えば、まずグラフト主鎖の水溶液に触媒を添加し、この混合物を反応温度に加熱し、次に完全な末端のアジリジン基を有する、オリゴアルキレンイミンを、連続的に又は断続的に計量供給するように実施される。反応温度は、例えば、55〜110℃の範囲、有利には85〜100℃である。反応時間は、主にバッチのサイズ並びに反応温度に依存する。それは、例えば、30分〜2時間の範囲内にある。反応の終点、即ち、反応混合物中でアジリジン基を更に検出することができない時点は、アジリジンと4−(4−ニトロベンジル)ピリジンとの反応によって測定することができる(R. Preussmann, H. Schneider及びF. Epple, Arzneimittel-Forschung, 第19巻, 第1059-1073頁(1969)を参照)。アジリジン基は、この試験において強い紫色の着色に基づいて認識される。試験が負になる場合に、反応は完了する。反応混合物は直接使用することができる。しかしながら、本発明によるグラフト生成物を反応混合物から単離することも可能である。
【0027】
本発明による方法によって、定義された側鎖を有するグラフトポリマーを製造することが可能である。この方法の更なる利点は、副生物としてのホモポリマーの形成が、エチレンイミンによるグラフトに比べて著しく抑制されることである。本発明による方法によって、グラフト分枝鎖の分子量分布がエチレンイミンによるグラフトの場合ほど著しく広くない、グラフト生成物が得られる。
【0028】
アルキレンイミン単位として専らオリゴアルキレンイミン側鎖を含有する、本発明によるグラフトポリマーは、例えば、紙の製造の際に処理化学薬剤として使用される。30000までのモル質量M(ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される)を有するグラフトポリマーは、特に製紙の際のピッチ及び微細物の固定剤として適している。本発明によるグラフトポリマーは、更に抗菌性被覆材料として、洗剤中のビルダーとして及び金属表面の処理のために使用することができる。
【0029】
実施例
ポリマーの特性決定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて並びに部分的に多角レーザー光散乱検出装置(GPC−MALLS)と結合してなされる。
【0030】
アミン価は、DIN53176による電位差滴定によって決定した。
【0031】
アジリジン含有種との反応の終点は、4−(4−ニトロベンジル)ピリジンとの反応によって測定した(R. Preussmann, H. Schneider及びF. Epple, Arzneimittel-Forschung, 第19巻, 第1059-1073頁 (1969)を参照)。アジリジンは、4−(4−ニトロベンジル)ピリジンを用いる上記の試験において強い紫色の着色に基づいて認識される。この試験(以下の文脈において"プロイスマン試験"と呼ばれる)が負になる場合に、反応は完了する。
【0032】
末端のエチレンイミン基を有するオリゴマーエチレンイミンの合成
強力冷却器、温度計、250mlの滴下漏斗、500mlの滴下漏斗及びN導入管を有するガス噴射ノズルを備えた1Lの四ツ口フラスコ中に、150gの完全に脱塩された水を装入し且つ55℃に加熱した。次に1時間以内に、同時に60%のエチレンイミン水溶液450g及び37%の塩酸6.5gと完全脱塩水152gとの混合物を更に添加した。それに引き続いて、反応混合物を更に4時間55℃で撹拌した。その後に混合物を15℃に冷却し且つ25%の苛性ソーダ水溶液11.6gを添加した。生成物を引き続きガラス容器中で移し替え且つその中に5℃で貯蔵した。オリゴマー化度n(H−NMR−分光法によって測定された)は6.84であった。
【0033】
同様に、末端のエチレンイミン基を有するオリゴエチレンイミンを製造し、これらのオリゴマー化度nは以下の値を有していた:
n=4.4
n=4.7及び
n=6.0
【0034】
実施例1
還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた500mlの四ツ口フラスコ中に、95%まで加水分解されたポリビニルホルムアミド(このアミドは95モル%のビニルアミン単位及び5モル%のビニルホルムアミド単位を含有し、2000gmol−1のモル質量M(GPC)及び4100gmol−1のモル質量M(GPC)を有する)の17%の水溶液26.2gを装入し、37%の塩酸1.06gの添加によりpH6.0に調節し且つ95℃の温度に加熱した。末端のエチレンイミン基を含有し且つ4.7のオリゴマー化度nを有する、オリゴエチレンイミンの35.1%の水溶液204.0gを1時間以内に計量供給した。反応混合物を更に1時間95℃で撹拌した。その後に反応を完了させた(プロイスマン試験が負になる)。反応生成物は2500のモル質量M(GPC)及び5800のモル質量M(GPC)を有していた。
【0035】
実施例2
還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた500mlの四ツ口フラスコ中に、ジエチレントリアミン及びアジピン酸から製造されたポリアミドアミン(M(GPC)=1950gmol−1、M(GPC)=3290gmol−1)の57.4%の水溶液56.9gを装入し、37%の塩酸21.5gを用いてpH5.9に調節し且つ95℃の温度に加熱した。次に、末端のエチレンイミン基及び6.84のオリゴマー化度を示す、オリゴエチレンイミンの35.1%の水溶液230.0gを1時間以内に添加した。反応混合物を引き続き更に2時間95℃の温度で撹拌した。次に反応を完了させた(プロイスマン試験が負になる)。反応混合物のpH値は11であった。ポリマーは293mgKOH/gのアミン価、4900gmol−1のモル質量M(GPC)及び10500gmol−1のモル質量M(GPC)を有していた。
【0036】
実施例3
還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた500mlの四ツ口フラスコ中に、ジエチレントリアミン及びアジピン酸から製造されたポリアミドアミン(M(GPC)=1370gmol−1、M(GPC)=2280gmol−1)の57.4%の水溶液74.6gを装入し、37%の塩酸23.2gを用いてpH6.0に調節し且つ95℃の温度に加熱した。末端のエチレンイミン基及び6.0のオリゴマー化度nを有する、オリゴエチレンイミンの33.2%の水溶液273.9gを1時間以内に計量供給した。オリゴエチレンイミンの添加後に、反応混合物を更に2時間95℃の温度で撹拌した。この反応をこの時点で完了させた(プロイスマン試験が負になる)。反応混合物のpH値は10.2であった。ポリマーは297mgKOH/gのアミン価、3500gmol−1のモル質量M(GPC)及び7400gmol−1のモル質量M(GPC)を有していた。
【0037】
実施例4
還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた500mlの四ツ口フラスコ中に、95%まで加水分解されたポリビニルホルムアミド(このアミドは95モル%のビニルアミン単位及び5モル%のビニルホルムアミド単位を含有し、3100gmol−1のモル質量M(GPC)及び8100gmol−1のモル質量M(GPC)を有する)の17%の水溶液26.2gを装入し、37%の塩酸1.06gの添加によりpH6.0に調節し且つ95℃の温度に加熱した。次に、末端のエチレンイミン基及び6.84のオリゴマー化度を有する、オリゴエチレンイミンの35.1%の水溶液230.0gを1時間以内に添加した。その後に反応混合物を更に1時間95℃の温度で撹拌した。この時間の後に反応を完了させた(プロイスマン試験が負になる)。反応混合物のpH値は11であった。ポリマーは357mgKOH/gのアミン価、8500のモル質量M(GPC)及び24000のモル質量M(GPC)を有していた。
【0038】
実施例5
還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた500mlの四ツ口フラスコ中に、95%まで加水分解されたポリビニルホルムアミド(このアミドは95モル%のビニルアミン単位及び5モル%のビニルホルムアミド単位を含有し、112000gmol−1のモル質量M(GPC)及び510000gmol−1のモル質量M(GPC)、240000のM(MALLS)を有する)の18%の水溶液100.0gを装入し、37%の塩酸5.6gの添加によりpH5.9に調節し且つ95℃の温度に加熱した。次に末端のエチレンイミン基及び6.84のオリゴマー化度を有するオリゴエチレンイミンの35.1%の水溶液230.0gを1時間以内に添加した。その後に反応混合物を更に1時間95℃の温度で撹拌した。その後に反応を完了させた(プロイスマン試験が負になる)。反応混合物のpH値は11であった。ポリマーは292mgKOH/gのアミン価を有し、モル質量については以下の値が測定された:
(GPC)=310000
(GPC)=570000
(MALLS)=390000。
【0039】
実施例6
還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた1Lの四ツ口フラスコ中に、97%まで加水分解されたポリビニルホルムアミド(このアミドは97モル%のビニルアミン単位及び3モル%のビニルホルムアミド単位を含有し、34000gmol−1のモル質量M(GPC)及び91000gmol−1のモル質量M(GPC)及び54000のM(MALLS)を有する)の18.8%の水溶液40.2gを装入し、塩酸によってpH5.5に調節し且つ95℃に加熱した。次に、末端のエチレンイミン基を含有し且つ4.4のオリゴマー化度を有するオリゴエチレンイミンの45%の水溶液200.0gを1時間以内に添加した。反応混合物を更に1時間95℃の温度で撹拌した。その後に反応を完了させた(プロイスマン試験が負になる)。反応混合物のpH値は10.2であった。ポリマーは326mgKOH/gのアミン価、200000のモル質量M(GPC)及び235000のモル質量M(GPC)を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖としてアルキレンイミン単位を有し且つそのグラフト主鎖がビニルアミン単位含有ポリマー、ポリアミン、ポリアミドアミン及びエチレン性不飽和酸のポリマーからなる群から選択されるグラフトポリマーであって、アルキレンイミン単位として専らオリゴアルキレンイミン側鎖を含有することを特徴とする、グラフトポリマー。
【請求項2】
オリゴアルキレンイミン側鎖が2〜50個のアルキレンイミン単位を有することを特徴とする、請求項1記載のグラフトポリマー。
【請求項3】
オリゴアルキレンイミン側鎖が3〜30個のアルキレンイミン単位を有することを特徴とする、請求項1又は2記載のグラフトポリマー。
【請求項4】
オリゴアルキレンイミン側鎖が3〜15個のアルキレンイミン単位を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のグラフトポリマー。
【請求項5】
オリゴアルキレンイミン側鎖がエチレンイミン単位からなることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のグラフトポリマー。
【請求項6】
ビニルアミン単位含有ポリマー、ポリアミン、ポリアミドアミン及びエチレン性不飽和酸のポリマーからなる群から選択されるグラフト主鎖に、末端のアジリジン基を含有する、少なくとも1種のオリゴアルキレンイミンをグラフトさせることを特徴とする、オリゴアルキレンイミン側鎖を有するグラフトポリマーの製造方法。
【請求項7】
オリゴアルキレンイミンとして、末端のアジリジン基を含有する、オリゴエチレンイミンを使用することを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
グラフト主鎖として、少なくとも50モル%のビニルアミン単位を有する、ビニルアミン単位含有ポリマーを使用することを特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
グラフト主鎖として少なくとも1種のポリアミドアミンを使用することを特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
【請求項10】
グラフト主鎖として少なくとも1種のポリアミンを使用することを特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
【請求項11】
グラフト主鎖としてエチレン性不飽和カルボン酸のポリマーを使用することを特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
【請求項12】
紙の製造の際の処理化学薬剤としての、抗菌性被覆材料としての、洗剤中のビルダーとしての及び金属表面の処理のための請求項1から5までのいずれか1項記載のグラフトポリマーの使用。

【公表番号】特表2011−506728(P2011−506728A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538648(P2010−538648)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067619
【国際公開番号】WO2009/080613
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】