説明

オリゴヌクレオチド類似体またはその塩

【課題】ヌクレアーゼ耐性およびノックダウン効果の2つの特性が優れたオリゴヌクレオチド類似体を提供する。
【解決手段】オリゴヌクレオチドを構成する3’末端のヌクレオシドが、特定の官能基で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えられているオリゴヌクレオチド類似体またはその塩により解決される。該官能基は特定のヌクレオチド類似体から選択されるいずれかの基、互いに独立し、1〜10の整数で表される側鎖を持った、末端が水酸基または脂溶性残基を含んでいる構造を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴヌクレオチド類似体またはその塩に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、遺伝情報そのものを治療の対象としてとらえるという方法論が普及しつつある。この方法論の一つに、オリゴヌクレオチドを用いたアンチセンス法がある。アンチセンス法とは、化学合成したオリゴヌクレオチド類似体(例えば、15〜20の塩基対から成る一本鎖DNA)を細胞に加え、標的メッセンジャーRNA(mRNA)とDNA等/mRNA二本鎖核酸を形成させることにより、標的遺伝子の発現を塩基配列特異的に抑制し、mRNAからタンパク質への翻訳過程を阻害する方法である。アンチセンス法では、病因となるウイルスまたは遺伝子の塩基配列が既知の場合、アンチセンス分子を理論的に設計し、それを合成するのが可能であることから、これまで治癒が困難と考えられてきた様々なウイルスを原因とする疾患および遺伝子疾患に対する有効な治療方法の一つとして期待されている。
【0003】
また、ごく最近、オリゴヌクレオチドを用いた遺伝子発現抑制法として、RNAi(RNA inteference、RNA干渉)を利用した方法に、注目が集まっている。このRNAiとは、二本鎖RNAを細胞に導入することにより、同じ塩基配列を有する細胞の染色体由来のRNAが分解され、切断される現象を指す。このRNAiの機構は、現在のところ、次のように考えられている。先ず、長鎖二本鎖RNAが、酵素(Dicerと呼ばれる)により3’−UU型のダングリングエンド構造を持つ21塩基程度の長さの二本鎖RNA(siRNA(short interfering RNA)と呼ばれる)に加水分解される。そのsiRNAが、標的mRNAとRNA/mRNA二本鎖核酸を形成し、この二本鎖核酸を認識する細胞内タンパク質(RISC(RNA-induced Silencing Complex)と呼ばれる)と、この二本鎖核酸とが結合し、この結合体により、標的mRNAが切断されるというものである。その結果、遺伝子の発現が抑制されるというノックダウン効果が生じる。
【0004】
アンチセンス法、RNAiを利用する方法等に用いるのには、天然型オリゴヌクレオチドに含まれるリボース環を含むオリゴヌクレオチド類似体は、化学的、生物学的に非常に不安定であるという問題があった(例えば、非特許文献1参照)。さらに、オリゴヌクレオチド類似体をアンチセンス法、RNAiを利用する方法等で用いるためには、前記RISCとの結合能力が要求されるが、化学的、生物学的に不安定なオリゴヌクレオチド類似体は、通常、この結合能力が低いという問題があった。このように、化学的、生物学的に安定という特性と、優れたノックダウン効果という特性は、両立するのが困難であるという問題があった。しかし、遺伝子治療薬、DNAチップ、遺伝子診断薬等にオリゴヌクレオチド類似体を用いる場合、安定した診断結果を得るためにも、これらの特性が優れたオリゴヌクレオチド類似体の提供が望まれていた。
【非特許文献1】Eugen Uhlmann and Anusch Peyman, "Antisense oligonucleotides: a new therapeutic principle", Chemical Reviews, 1990年、第90巻、p.543.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、化学的、生物的安定性およびノックダウン効果の2つの特性が優れたオリゴヌクレオチド類似体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、オリゴヌクレオチドを構成する3’末端のヌクレオシドが、式(I)で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えられているオリゴヌクレオチド類似体またはその塩である。
【0007】
【化2】

【0008】
式(I)中、R1は、式(1)の基、式(2)の基、式(3)の基、式(4)の基、式(5)の基、式(6)の基、式(7)の基および式(8)の基からなる群から選択されるいずれかの基であり、R2は脂溶性残基であり、k1、l1、m1およびn1は、互いに独立して、1〜10の整数である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、このオリゴヌクレオチド類似体により、ヌクレアーゼ耐性およびノックダウン効果の2つの特性が優れたオリゴヌクレオチド類似体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、「オリゴヌクレオチド」は、例えばヌクレオシドサブユニットのポリマーをいい、そのサブユニット数は特に限定されないが、例えば、2から100個である。中でも、本発明のオリゴヌクレオチド類似体がDNAである場合には、それらのサブユニット数は、3〜100個が好ましく、3〜30個がより好ましく、RNAである場合には、3〜50個が好ましく、3〜30個がより好ましい。なお、本発明における「オリゴヌクレオチド類似体」は、3’末端のヌクレオシドが式(I)のヌクレオシド類似体で置き換えられていること以外は、特に限定されない。例えば、3’末端以外のヌクレオシドについては、糖部および塩基部分は、当業者に公知な類似体であってもよい。例えば、3’末端のヌクレオシドを除くヌクレオシドの1以上は、国際公開公報WO2006/030906号において記載の式(II)で表わすヌクレオシド類似体でそれぞれ置き換えられていてもよい。
【0011】
【化3】

【0012】
式(II)中、R1は、式(1)の基、式(2)の基、式(3)の基、式(4)の基、式(5)の基、式(6)の基、式(7)の基および式(8)の基からなる群から選択されるいずれかの基であり、k2、l2、m2およびn2は、互いに独立して、1〜10の整数である。
【0013】
本発明において、R1について、前記脂溶性残基は、式−O−C(=O)−R21、−O−(CH2X−R22、−O−R23および−NH−R24からなる群から選択されるのが好ましい。前記式中、R21は、アリール、置換されたアリール、アルキル、または置換されたアルキルであり、R22は、アリールまたは置換されたアリールであり、R23は、アルキルまたは置換されたアルキルであり、R24は、アリール、置換されたアリール、アルキル、または置換されたアルキルであり、xは1〜3の整数である。
【0014】
本発明において、前記アリールとは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素から誘導された基を意味し、例えばフェニル基、ナフチル基(1−ナフチル基、2−ナフチル基等)等が挙げられる。
【0015】
本発明において、前記アルキルとは、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の炭化水素から誘導された基を意味する。前記アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、t−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、4−エチルペンチル、1,1−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1−プロピルブチル、n−オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、5−エチルヘキシル、1,1−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、1−プロピルペンチル、および2−プロピルペンチルなどの直鎖状または分岐状のアルキルが挙げられる。
【0016】
本発明において、前記置換されたアリールとは、前記アリールのベンゼン環上に1以上の置換基を有するものを意味する。前記置換基としては、例えば低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、低級シクロアルキル、アリールオキシ、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ等が挙げられる。
【0017】
また、前記置換されたアルキルとは、前記アルキルに1以上の置換基を有するものを意味する。前記置換基としては、例えばアリール、アリールオキシ、置換されたアリール、置換されたアリールオキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、ハロ低級アルキル、低級シクロアルキル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ等が挙げられる。
【0018】
本発明において、前記低級アルキルとしては、前記アルキルのうち、例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のものである。前記低級アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、t−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、および1−エチル−1−メチルプロピル等の直鎖状または分岐状のアルキルが挙げられる。
【0019】
本発明において、前記ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子であり、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0020】
本発明において、前記低級アルコキシとしては、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキルオキシである。前記低級アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、i−ペンチルオキシ、sec−ペンチルオキシ、t−ペンチルオキシ、2−メチルブトキシ、n−ヘキシルオキシ、i−ヘキシルオキシ、t−ヘキシルオキシ、sec−ヘキシルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシ、1−エチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、1,1−ジメチルブチルオキシ、2,2−ジメチルブチルオキシ、3,3−ジメチルブチルオキシ、および1−エチル−1−メチルプロピルオキシ等が挙げられる。
【0021】
本発明において、前記低級アルキルチオとしては、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキルチオである。前記低級アルキルチオとしては、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、i−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、i−ペンチルチオ、sec−ペンチルチオ、t−ペンチルチオ、2−メチルブチルチオ、n−ヘキシルチオ、i−ヘキシルチオ、t−ヘキシルチオ、sec−ヘキシルチオ、2−メチルペンチルチオ、3−メチルペンチルチオ、1−エチルブチルチオ、2−エチルブチルチオ、1,1−ジメチルブチルチオ、2,2−ジメチルブチルチオ、3,3−ジメチルブチルチオ、および1−エチル−1−メチルプロピルチオ等が挙げられる。
【0022】
本発明においては、前記ハロ低級アルキルとしては、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキルの1以上、好ましくは1〜3の水素原子がハロゲン原子で置き換えられたものである。前記ハロ低級アルキルとしては、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、1,2−ジフルオロエチル、1,2−ジクロロエチル、1,2−ジブロモエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ヘプタフルオロエチル、1−フルオロプロピル、1−クロロプロピル、1−ブロモプロピル、2−フルオロプロピル、2−クロロプロピル、2−ブロモプロピル、3−フルオロプロピル、3−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、1,2−ジフルオロプロピル、1,2−ジクロロプロピル、1,2−ジブロモプロピル、2,3−ジフルオロプロピル、2,3−ジクロロプロピル、2,3−ジブロモプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2−フルオロブチル、2−クロロブチル、2−ブロモブチル、4−フルオロブチル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、パーフルオロブチル、2−フルオロペンチル、2−クロロペンチル、2−ブロモペンチル、5−フルオロペンチル、5−クロロペンチル、5−ブロモペンチル、パーフルオロペンチル、2−フルオロヘキシル、2−クロロヘキシル、2−ブロモヘキシル、6−フルオロヘキシル、6−クロロヘキシル、6−ブロモヘキシル、パーフルオロヘキシル、2−フルオロヘプチル、2−クロロヘプチル、2−ブロモヘプチル、7−フルオロヘプチル、7−クロロヘプチル、7−ブロモヘプチル、およびパーフルオロヘプチル等が挙げられる。
【0023】
本発明において、前記低級シクロアルキルとしては、炭素数3〜7の脂環式アルキルである。前記低級シクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル等が挙げられる。
【0024】
本発明において、前記アリールオキシとしては、アリール部分は前記アリールについて定義したものである。
【0025】
本発明において、前記置換されたアリールオキシとしては、置換されたアリール部分は前記置換されたアリールについて定義したものである。
【0026】
本発明において、R1について、前記式−O−C(=O)−R21中、前記のようにR21は、アリール、置換されたアリール、アルキル、または置換されたアルキルであるのが好ましい。前記R21中のアリールとしては、フェニルが好ましい。また、前記R21中の置換されたアリールとしては、低級アルキル、ハロゲン原子および/またはニトロで置換されたフェニルが好ましく、メチル;臭素、フッ素;ニトロで置換されたフェニルがより好ましく、p−ニトロフェニルがさらに好ましい。前記R21中のアルキルとしては、炭素数1〜6のアルキルが好ましく、炭素数1〜3のアルキルがさらに好ましく、メチルがより好ましい。前記R21中の置換されたアルキルとしては、低級アルコキシおよび/またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキルが好ましく、低級アルコキシおよび/またはハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のアルキルがより好ましく、トリフルオロメチルがさらに好ましい。
【0027】
本発明において、R1について、前記式−O−(CH2X−R22中、前記のようにR22は、アリールまたは置換されたアリールであり、xは1〜3の整数であるのが好ましい。前記R22中のアリールとしては、フェニルが好ましい。また、前記R22中の置換されたアリールとしては、低級アルコキシ、ハロゲン原子、および/またはニトロで置換されたフェニルが好ましく、メトキシおよび/またはニトロで置換されたフェニルがより好ましく、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、ニトロフェニルがさらに好ましい。
【0028】
本発明において、R1について、前記−O−R23中、前記のようにR23は、アルキルまたは置換されたアルキルが好ましい。前記R23中のアルキルとしては、炭素数1〜6のアルキルが好ましく、炭素数1〜4のアルキルがより好ましい。前記R23中の置換されたアルキルとしては、アリールオキシおよび/または低級アルコキシで置換された炭素数1〜6のアルキルが好ましく、ベンジルオキシ、メトキシおよび/またはt−ブトキシで置換された炭素数1〜3のアルキルが好ましく、ベンジルオキシメチル、メトキシメチル、t−ブトキシメチルがさらに好ましい。
【0029】
本発明において、R1について、前記−NH−R24中、前記R24は、アリール、置換されたアリール、アルキル、または置換されたアルキルが好ましく、アリールがより好ましく、フェニルがさらに好ましい。
【0030】
本発明において、その塩とは、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩等などが挙げられる。無機塩基との塩の例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。本発明において、その塩とは、薬理学的に許容される塩が好ましい。
【0031】
本発明において、k1、l1、m1およびn1は、互いに独立して1〜10の整数であり、好ましくは1〜6の整数である。k1、l1、m1およびn1は、同一または異なっていてもよい。
【0032】
本発明のオリゴヌクレオチド類似体は、オリゴヌクレオチドを構成する3’末端のヌクレオシドが、式(I)で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えられているオリゴヌクレオチド類似体またはその塩である。例えば、オリゴヌクレオチドを構成する3’末端のヌクレオシドのみが、前記ヌクレオシド類似体で置き換えられているオリゴヌクレオチド類似体は、以下の式で表される。
【0033】
【化4】

【0034】
前記式中、R111およびRは、互いに独立して、前記式(1)の基、前記式(2)の基、前記式(3)の基、前記式(4)の基、前記式(5)の基、前記式(6)の基、前記式(7)の基および前記式(8)の基からなる群から選択されるいずれかの基であり、k1、l1、m1およびn1は、互いに独立して、1〜10の整数である。
【0035】
本発明のオリゴヌクレオチド類似体は、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチド等であってもよい。オリゴヌクレオチド類似体が、二本鎖である場合、前記二本鎖オリゴヌクレオチドの一方または両方の一本鎖オリゴヌクレオチドを構成する3’末端のヌクレオシドが、式(I)で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えられていてもよい。
【0036】
オリゴヌクレオチド類似体が一本鎖である場合、本発明のオリゴヌクレオチド類似体は、二本鎖形成能を有するのが好ましい。本発明のオリゴヌクレオチド類似体が、天然型オリゴヌクレオチドと二本鎖形成能を有すれば、アンチセンス、遺伝子検出等のため用いることができるからである。
【0037】
本発明のオリゴヌクレオチド類似体は、ヌクレアーゼ耐性であるのが好ましい。本発明のオリゴヌクレオチド類似体が、細胞内に取り込まれた際、ヌクレアーゼで分解されるのを防ぐことができ、その結果、オリゴヌクレオチド類似体の細胞内での活性を、持続させることが可能だからである。
【0038】
本発明の遺伝子発現抑制剤は、本発明のオリゴヌクレオチド類似体を含む。このような遺伝子発現抑制剤は、オリゴヌクレオチド類似体が、例えば、siRNAやアンチセンスとして作用し、標的遺伝子のmRNAを切断したり、標的遺伝子のmRNAと二本鎖を形成等して、その結果、遺伝子発現を抑制することができる。
【0039】
本発明の医薬組成物は、遺伝子発現に伴う疾患を治療するためであり、前記遺伝子発現抑制剤を含むものである。遺伝子発現に伴う疾患、例えば、あるタンパク質が発現されることにより疾患が引き起こされる場合、この医薬組成物により、その遺伝子発現を抑制し、その遺伝子発現に伴う疾患を治療するのに用いることが可能である。
【0040】
本発明の検査キットは、本発明のオリゴヌクレオチド類似体を含み、前記オリゴヌクレオチド類似体が、検体中の遺伝子とハイブリッド形成することにより、前記遺伝子が検査されるキットである。このようなキットとしては、例えば、DNAチップ、DNAマイクロアレイ等が挙げられる。このキットには、本発明のオリゴヌクレオチド類似体の他に、ウエルとオリゴヌクレオチド類似体等とが固定されたプレート、ファイバー、バイオチップ等の固定化担体等が挙げられる。このようなキットには、前記オリゴヌクレオチド類似体等のほかに、例えば、薬物、反応して発色する発色試薬、検出を容易にする検出試薬等を含んでもよい。
【0041】
DNAチップとしては、一般に、ガラス基板上に既知遺伝子配列を用いた本発明のオリゴヌクレオチド類似体を含む溶液をスポットして固定化したものや、ガラス基板上で本発明のオリゴヌクレオチド類似体を合成することによって固定化したもの等がある。前記DNAチップは、例えば、検体中の遺伝子を、前記オリゴヌクレオチド類似体を固定化した分析部にアプライし、前記遺伝子と基板上のオリゴヌクレオチド類似体とのハイブリッド形成を、例えば、蛍光色素等により検出することによって、目的遺伝子の発現の有無を検出できる。このようなDNAチップによれば、例えば、少量の試料でも有効に分析が可能であり、また、多種のDNAプローブを一つの基板に固定化できるため、一つのDNAチップにおいて同一検体につき、多項目の分析を行うことができる。
【0042】
本発明の遺伝子発現抑制方法は、オリゴヌクレオチド類似体を用いて、遺伝子の発現を抑制する方法である。この方法では、オリゴヌクレオチド類似体が、例えば、siRNAやアンチセンスとして作用し、標的遺伝子のmRNAを切断したり、標的遺伝子のmRNAと二本鎖を形成等して、その結果、遺伝子発現を抑制することができる。
【0043】
次に、本発明のヌクレオシド類似体を製造するための製造方法について、例を挙げて説明する。このような製造方法により、従来にはない化学構造を有する、本発明のヌクレオシド類似体の製造が可能になった。以下の製造方法は、本発明のヌクレオシド類似体を製造するための製造方法の一例であって、この製造方法に限定されるものではない。
【0044】
まずオリゴヌクレオチド類似体が一本鎖である場合、その製造方法は、例えば、式(III)で表わされる固相合成用ユニット化合物のR14を除去して式(IV)で表わされる固相合成用ユニット化合物を得、その式(IV)の化合物の遊離の水酸基にヌクレオチドを伸長させ、その後、固相担体から切り出して本発明のヌクレオシド類似体を得る工程を含む。
【0045】
【化5】

【0046】
前記式(III)および(IV)中、
3は、前記式(1)の基、前記式(1)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(2)の基、前記式(2)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(3)の基、前記式(3)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(4)の基、前記式(4)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(5)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(6)の基、前記式(6)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(7)の基、前記式(7)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(8)の基、および前記式(8)の基において、その官能基が保護基で保護された基からなる群から選択されるいずれかの基であり、
2は脂溶性残基であり、
Aは、式−(CH2n−で表わされる基であり、前記式においてnは1〜6の整数であり、
Mは、固相担体であり、
前記式(III)中、R14は、保護基である。
【0047】
前記固相担体とは、固相合成でDNA、RNA等を合成するのに適した固相担体であれば限定されず、たとえば、CPG(コントロール細孔ガラス)、HCP(High cross-linked polystyrene)等である。
【0048】
14について前記保護基とは、従来公知の1級アルコ−ルの保護基を用いることができる。そのような保護基としては、例えば、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、4,4’−ジメトキシトリチル(DMTr)、4−モノメトキシトリチル(MMTr)、(9−フェニル)キサンテン−9−イル[ピキシル(pixyl)]、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、メトキシメチル(MOM)等が、挙げられる。
【0049】
3について、官能基が保護されている保護基は、核酸化学において公知な保護基から選択される。例えば、ベンゾイル(Bz)、イソブチリル(iBu)、フェノキシアセチル(Pac)、アリルオキシカルボニル(AOC)、N,N−ジメチルアミノメチレン等が、そのような保護基として用いられうる。
【0050】
3について、式(1)で表された基の官能基が保護基で保護された基、式(2)で表された基の官能基が保護基で保護された基、式(3)で表された基の官能基が保護基で保護された基、式(4)で表された基の官能基が保護基で保護された基および(5)で表された基の官能基が保護基で保護された基としては、例えば、下記式
【0051】
【化6】

【0052】
で表される基等が挙げられる。
【0053】
前記固相合成用ユニット化合物の遊離の水酸基にヌクレオチドを伸長させるには、オリゴヌクレオチド合成分野で従来公知の技術を用いて、オリゴヌクレオチド類似体の配列に従い、ヌクレオシドを順次カップリングさせて行うことができる。
【0054】
なお、ヌクレオシド、カップリング試薬、脱保護試薬、洗浄試薬等は、通常核酸固相合成に用いられるものを用いる。得られた固相担体上のオリゴヌクレオチド類似体は、固相担体から切り出して、粗オリゴヌクレオチド類似体を得ることができる。オリゴヌクレオチド側鎖の脱保護は、必要であれば、固相担体の切り出しの前、同時および/または後に行ってもよい。切り出しに用いる試薬は、固相担体およびリンカー(固相担体とオリゴヌクレオチド類似体を接続する部分)構造等に応じて、従来公知の試薬から、適宜選択することができる。この粗オリゴヌクレオチド類似体は、必要であれば、HPLC等で精製してもよい。
【0055】
次に、オリゴヌクレオチド類似体が二本鎖である場合の製造について例を挙げて説明する。例えば前記のような方法に従い、一本鎖のオリゴヌクレオチド類似体をまず製造する。そのオリゴヌクレオチド類似体と相補的な配列を有する、一本鎖の天然オリゴヌクレオチドも別途、従来公知の方法に従い、製造する。次いで、得られた一本鎖のオリゴヌクレオチド類似体をアニーリング用緩衝液(例えば、100mMのKOAc水溶液、2mMのMgOAc溶液、および30mMのHEPES−KOH(pH7.4)を含む緩衝液)中に溶解させたものと、一本鎖の天然オリゴヌクレオチドをアニーリング用緩衝液中に溶解させたものとを、例えば混合し、95℃で5分間処理し、その後、徐々に25℃まで冷却させて、二本鎖のオリゴヌクレオチド類似体を得ることができる。この二本鎖のオリゴヌクレオチド類似体は、必要に応じて、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿等をさらに行って、単離精製することができる。なお、前記一本鎖の天然オリゴヌクレオチドの代わりに、前記のような方法に従い、一本鎖のオリゴヌクレオチド類似体を用いてもよい。そのような方法により、二本鎖のオリゴヌクレオチド類似体を得てもよい。
【0056】
なお、ヌクレオシド、カップリング試薬、脱保護試薬、洗浄試薬等は、通常核酸固相合成に用いられるものを用いる。得られた固相担体上のオリゴヌクレオチド類似体は、必要であればオリゴヌクレオチド側鎖の脱保護を行った後、固相担体から切り出して、粗オリゴヌクレオチド類似体を得る。切り出しに用いる試薬は、固相担体およびリンカー(固相担体とオリゴヌクレオチド類似体を接続する部分)構造等に応じて、従来公知の試薬から、適宜選択することができる。この粗オリゴヌクレオチド類似体は、必要であれば、HPLC等で精製してもよい。
【0057】
前記製造方法で用いる固相合成用ユニット化合物(III)は、例えば、式(III−1)で表わされる化合物は、以下のような方法で製造することができる。これを、スキーム2を参照しながら説明する。
【0058】
【化7】

【0059】
前記式中、R3は、前記式(1)の基、前記式(1)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(2)の基、前記式(2)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(3)の基、前記式(3)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(4)の基、前記式(4)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(5)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(6)の基、前記式(6)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(7)の基、前記式(7)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(8)の基、および前記式(8)の基において、その官能基が保護基で保護された基からなる群から選択されるいずれかの基である。
【0060】
前記式中、R4は、式−O−C(=O)−R21、−O−(CH2X−R22、または−O−R23である。前記式中、R21は、アリール、置換されたアリール、アルキル、または置換されたアルキルであり、R22は、アリールまたは置換されたアリールであり、R23は、アルキルまたは置換されたアルキルであり、xは1〜3の整数である。
【0061】
前記式中、k1、l1、m1およびn1は、互いに独立して、1〜10の整数である。
【0062】
前記式中、R11およびR12は、一緒になって、式−CR1617−で表される基であり、
13およびR14は保護基であり、
前記R16およびR17は、互いに独立して、水素原子、低級アルキル基および低級アルコキシル基からなる群から選択されるいずれかであり、
15は、式−SO2−R18で表される基であり、前記R18は、低級アルキルで置換されていてもよいアリール基であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
Aは、式−(CH2n−で表わされる基であり、前記式においてnは1〜6の整数であり、
Mは、固相担体である。
【0063】
例えば、式(XI)で表される化合物と、式(XII)で表される化合物とを、任意に塩基(例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、DABCO等)存在下に反応させ、前記式(XIII)で表される化合物を得ることができる。なお、前記式(XI)で表される化合物は、公知文献を参考に自家製造してもよいし、市販で入手してもよい。
【0064】
次に、前記式(XIII)で表される化合物と、前記式(XIV)で表される化合物とを、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸ルビジウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム等)および任意にクラウンエーテル(18−クラウン−6−エーテル、21−クラウン−7−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、12−クラウン−4−エーテル等)存在下に縮合させ、下記式(XV)で表される化合物を得ることができる。なお、前記式(XIV)で表される化合物は、公知文献を参考に自家製造してもよいし、市販で入手してもよい。
【0065】
次に、前記式(XV)で表される化合物のR13の性質に応じた条件下(例えば、R13がシリル基であればテトラフルオロボランで処理)で処理してR13を除去し、その後、前記式(XVI)で表わされる化合物と、任意に塩基(例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、DABCO、ピリジン等)存在下に反応させ、前記式(XVII)で表される化合物を得ることができる。なお、前記式(XVI)で表される化合物は、公知文献を参考に自家製造してもよいし、市販で入手してもよい。
【0066】
次に、前記式(XVII)で表される化合物のR11およびR12の性質に応じた条件下で処理してR11およびR12を除去し、その後、前記式(XVIII)で表わされる化合物と、任意に塩基(例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、DABCO、ピリジン等)存在下に反応させ、前記式(XIX)で表される化合物を得ることができる。なお、R11およびR12それぞれの基に応じて、公知の除去方法を選択することができる。例えば、R11またはR12がtert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)等のシリル基である場合、トリブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)、塩化アンモニウム等で処理することにより、R11またはR12を除去することが可能である。また、例えば、R12およびR13が、一緒になって、式−C(CH32−で表される基である場合、酸(例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、酢酸等)で処理することにより、R12およびR13を同時に除去することが可能である。
【0067】
次に、前記式(XIX)で表わされる化合物と、式(XX)で表わされる無水物とを、任意に塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン等)、触媒(例えば4−メチルアミノピリジン(DMAP)等)等の存在下に縮合させ、式(XXI)で表わされる化合物を得ることができる。なお、式(XX)で表わされる無水物は、公知文献を参考に自家製造してもよいし、市販で入手してもよい。
【0068】
次に、前記式(XXI)で表わされる化合物と、式(XXII)で表わされるアミノ基を有する固相担体とを、カップリング試薬(例えば、WSC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩))存在下に縮合させ、ユニット化合物(III−1)を得ることができる。
【0069】
また、例えば、式(III−2)で表わされる化合物は、前記スキーム2中の化合物(XV)で表わされる化合物から、以下のような方法で製造することができる。これを、スキーム3を参照しながら説明する。
【0070】
【化8】

【0071】
前記式中、R3は、前記式(1)の基、前記式(1)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(2)の基、前記式(2)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(3)の基、前記式(3)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(4)の基、前記式(4)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(5)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(6)の基、前記式(6)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(7)の基、前記式(7)の基において、その官能基が保護基で保護された基、前記式(8)の基、および前記式(8)の基において、その官能基が保護基で保護された基からなる群から選択されるいずれかの基である。
【0072】
前記式中、k1、l1、m1およびn1は、互いに独立して、1〜10の整数である。
【0073】
前記式中、R11およびR12は、一緒になって、式−CR1617−で表される基であり、
前記R16およびR17は、互いに独立して、水素原子、低級アルキル基および低級アルコキシル基からなる群から選択されるいずれかであり、
13およびR14は保護基であり、
Aは、式−(CH2n−で表わされる基であり、前記式においてnは1〜6の整数であり、
24は、アリール、置換されたアリール、アルキル、または置換されたアルキルであり、
Mは、固相担体である。
【0074】
例えば、前記式(XV)で表わされる化合物のR13の性質に応じた条件下で処理してR13を除去して1級アルコールを得、それをアルデヒドまで酸化して前記式(XXIII)で表わされる化合物を得ることができる。前記酸化としては、PCC(クロロクロム酸ピリジニウム)酸化、PDC(二クロム酸ピリジニウム)酸化、スワーン(Swern)酸化、TRAP(過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム)酸化、デス・マーチン(Dess-Martin)酸化等を用いることができる。
【0075】
次に、前記式(XXIII)で表わされた化合物と、式(XXIV)で表わされるアミンとを、任意に酸(例えば、塩化水素、パラトルエンスルホン酸等)存在下に縮合させ、シッフ塩基を得る。そのシッフ塩基を還元して、前記式(XXV)で表わされる化合物を得ることができる。前記還元は、NaCNBH3、NaBH4、LiBH4等を用いて行うことができる。なお、前記式(XXIV)で表される化合物は、公知文献を参考に自家製造してもよいし、市販で入手してもよい。
【0076】
次に、前記式(XXV)で表わされる化合物のR11およびR12の性質に応じた条件下で処理してR11およびR12を除去し、その後、前記式(XVIII)で表わされる化合物と、任意に塩基(例えば、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、DABCO、ピリジン等)存在下に反応させ、前記式(XXVI)で表される化合物を得ることができる。なお、R11およびR12それぞれの基に応じて、公知の除去方法を選択することができる。例えば、R11またはR12がtert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)等のシリル基である場合、トリブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)、塩化アンモニウム等で処理することにより、R11またはR12を除去することが可能である。また、例えば、R12およびR13が、一緒になって、式−C(CH32−で表される基である場合、酸(例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、酢酸等)で処理することにより、R12およびR13を同時に除去することが可能である。
【0077】
次に、前記式(XXVI)で表わされる化合物と、式(XX)で表わされる無水物とを、任意に塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン等)、触媒(例えば4−メチルアミノピリジン(DMAP)等)等の存在下に縮合させ、式(XXVII)で表わされる化合物を得ることができる。なお、式(XX)で表わされる無水物は、公知文献を参考に自家製造してもよいし、市販で入手してもよい。
【0078】
次に、前記式(XXVII)で表わされる化合物と、式(XXII)で表わされるアミノ基を有する固相担体とを、カップリング試薬(例えば、WSC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩))存在下に縮合させ、ユニット化合物(III−2)を得ることができる。
【0079】
なお、スキーム1〜3の各工程において、必要であれば、各官能基に保護基を導入したり、保護基を脱保護したり、保護基を変更してもよい。なお、官能基の種類に応じた保護基の選択、保護基の導入および保護基の除去は、当該分野で公知の方法に従い、行うことができ、例えば、「有機合成における保護基("Protective Groups in Organic Synthesis"), T. Greeneら著、John Wiley & Sons, Inc.出版」等を参照することができる。
【0080】
本明細書の記載において、以下の略語を使用する。
Ar:アルゴン(Argon)
CPG:コントロール細孔ガラス (controlled pore glass)
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン(4-dimethylaminopyridine )
DMF:ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)
DMSO:ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)
EDTA: エチレンジアミン-N,N,N’,N’−テトラ酢酸・ジナトリウム塩・de
hydrate (ethylenediamine-N,N,N',N'-tetraacetic acid, disodium salt, dehydrate )
HRMS: 高分解能質量分析(high-resolution mass spectrometry )
TBAF: トリブチルアンモニウムフルオライド(tributylammoniumfluoride)
TBDPS−Cl: tert−ブチルジフェニルシリルクロライド(tert-butyldiphenylsilylchloride)
TBE:トリスホウ酸-EDTA(Tris-boric acid-EDTA)
TEAA:トリエチルアミン-酢酸(triethylamine-acetic acid)
THF:テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)
TEMED: N,N,N’,N’−テトラメチル−エチレンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-ethylenediamine)
WSC: 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide, hydrochloride)
【0081】
CPG上の化合物の活性は、以下のようにして算出した。
乾燥させたCPG6mgをガラスフィルターにのせ、そこへHClO4およびエタノールの混合物(HClO4:EtOH=3:2)を流し込んだ。得られたろ液の吸光度(波長498nm(DMTr基の吸収波長))を測定し、その値を以下の式に代入して算出した。
【0082】
【数1】

前記式中、Abs.は、波長498nmにおけるCPGの吸光度であり、
Vol.は、測定したろ液の容量であり、
weightは、測定したCPGの重量である。
【0083】
[機器]
NMRスペクトルは日本電子株式会社製JMR−α400を用いて測定した。質量分析(EI)は株式会社島津製作所製QP1000Aを、質量分析(FAB、HRMS)は日本電子株式会社製JMS−D300を用いて測定した。MALDI−TOF/MSは株式会社島津製作所製AXIMA−CFR plusを用いて測定した。吸光度は日立ハイテクノロジーズ製分光光度計U2001 スペクトロフォトメーターを用い測定した。オリゴヌクレオチド類似体の融解温度は株式会社島津製作所製 UV2450 UV ビジブル・スペクトロフォトメーターを用いて測定した。核酸自動合成機はアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)ジャパン株式会社製Nucleic Acid Synthesis System Expedite 8909 systemを使用した。放射活性の測定には富士フィルム株式会社製FUJIX BASS 2500TRを使用した。測定の際使用するイメージングプレートは富士フィルム株式会社製BAS−IPMS 2040を使用した。Luc Assayにはアトー株式会社製マイクロプレート用ルミノメータ ルミネッセンサーJNRIIを使用した。
【0084】
[実験材料]
反応溶媒として使用したDMFは購入後、モレキュラーシーブス3Åまたは4Å存在下、保存したものを使用した。ピリジンは水酸化カルシウムにより脱水し蒸留、モレキュラーシーブス3Åまたは4Å存在下、保存したものを使用した。その他の試薬、及び溶媒については市販のものをそのまま用いた。TLCプレートはメルク株式会社製シリカゲル60F254を用いた。順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーの充填剤には和光純薬株式会社製ワコーゲルC−300、関東化学株式会社製シリカゲル60N (spherical, neutral)63〜210μmを用いた。オリゴヌクレオチドの精製には日本ウォーターズ株式会社製セップパック(Sep−Pak)(登録商標)C18を使用した。
【0085】
(製造例1)
CPG樹脂と結合した3−(チミン−1−イルメチル)−2−O−ベンゾイル−2−(4,4’−ジメトキシトリチル)−プロパノン−1−オールの製造
【化9】

【0086】
(1) 1−t−ブチル−ジフェニルシリルオキシ−2,2−ジヒドロキシメチル−3−プロパノール(1-t-butyl-diphenylsilyloxy-2,2-dihydroxymethyl-3-propanol)の製造
ペンタエリスリトール(6.00g、44.04mmol)とイミダゾール(6.60g、88.08mmol)を乾燥させ、アルゴン雰囲気下においてDMF(400ml)に溶解させた。その溶液に、TBDPS−Cl(12,L、45.9mmol)をゆっくり滴下して加え、その混合物を室温にて5時間撹拌した。混合物から溶媒を留去後、得られた残渣を、酢酸エチルと水から抽出した。抽出した酢酸エチル溶液を、飽和NaClaqで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その酢酸エチル溶液から溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=1:0〜20:1)で精製して、無色透明オイル状の表題化合物を得た。(収量8.28g、22.1mmol、収率50%)
【0087】
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.56(4H,s,フェニル),7.32(6H,s,フェニル),3.57(8H,d,J=30.8,4−CH2−),2.90(3H,m,3−OH),0.98(9H,s,t−ブチル).
13CNMR(100MHz,CDCl3)δ:99.16,97.16,93.59,91.47,28.90,28.33,9.16,−9.55,−17.23。
【0088】
(2) 2,2−ジメチル−5−t−ブチル−ジフェニルシリルオキシルメチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン(2,2-dimethyl-5-t-butyl-diphenylsilyloxylmethyl-5-hydroxymethyl-1,3-dioxan)の製造
1−t−ブチル−ジフェニルシリルオキシ−2,2−ジヒドロキシメチル−3−プロパノール(7.96g、21.3mmol)およびp−トルエン安息香酸・一水和物(3.00g、15.44mmol)とを、アセトン(250ml)中で溶解した。その溶液に、o−ギ酸エチル(25ml)を加え、その混合物を室温で6時間攪拌した。その混合物を希アンモニア水で中和して反応を停止した後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−Hex:EtOAc=20:1〜5:1)で精製して、表題化合物を得た。(収量7.57g、8.98mmol、収率86%)
【0089】
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.67(5H,d,J=6.4Hz,フェニル),7.40(5H,q,J=8.0Hz,フェニル),3.74(8H,m,4−CH2−),1.40(6H,d,J=9.8Hz,2−CH3),1.062(9H,s,t−ブチル).
13CNMR(100MHz,CDCl3)δ:135.58,132.32,129.85,127.77,65.01,64.45,62.48,60.36,39.50,26.80,24.20,23.10,19.19。
【0090】
(3) 2,2−ジメチル−5−t−ブチル−ジフェニルシリルオキシルメチル−5−トルエンスルホニルメチル−1,3−ジオキサン(2,2-dimethyl-5-t-butyl-diphenylsilyloxylmethyl-5-tolueneslufonylmethyl-1,3-dioxan)の製造
2,2−ジメチル−5−t−ブチル−ジフェニルシリルオキシルメチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン(6.33g、15.27mmol)のCH2Cl2(250ml)中溶液に、DMAP(5.62g、45.81mmol)を加え、さらに氷冷下にて5−トルエンスルホニルメチルクロライド(5.82g、30.54mmol)を加えて、その混合物を約5時間攪拌した。その混合物を、CH3Clおよび飽和NaHCO3水溶液で抽出および洗浄した。得られた有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、有機溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:1〜20:1)で精製して、表題化合物を得た。(収量7.86g、13.81mmol、収率90%)
【0091】
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:7.66(5H,m,フェニル),7.35(9H,m,フェニル),3.82(4H,s,2−CH2),3.74(4H,s,2−CH2),1.38(6H,s,2−CH3),1.05(9H,s,t−ブチル),1.05(3H,s,Ts−Me).
13CNMR(100MHz,CDCl3)δ:99.13,96.26,95.97,93.42,91.61,91.33,61.90,32.57,25.83,25.42,2.91,−9.72,−12.03,−13.81,−14.81,−17.21。
【0092】
(4) 2,2−ジメチル−5−(チミン−9−イルメチル)−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン(2,2-dimethyl-5-(thymine-9-yl-methyl)-5-hydroxymethyl-1,3-dioxann)の製造
2,2−ジメチル−5−t−ブチル−ジフェニルシリルオキシルメチル−5−トルエンスルホニルメチル−1,3−ジオキサン(9.90g、17.40mmol)に、チミン(4.39g、34.80mmol)、炭酸カリウム(3.61g、26.10mmol)、18−クラウン−6−エーテル(4.20g、1.56mmol)を加え、一晩乾燥させた。その混合物にDMF(150ml)およびDMSO(50mL)を加え、得られた混合物を70℃オイルバスで48時間加熱した。その混合物から溶媒を減圧留去し、得られた残渣に、n−ヘキサンおよび酢酸エチルの混合物(n−Hex:EtoAc=1:1)および水を加えて、抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:1〜20:1)で精製して白色結晶の混合物を得た(6.88g)。この混合物(6.88g)にAr置換下にTHF(120mL)を加えて溶解させ、その溶液にTBAF(28mL)を加えて得られた混合物を一晩混合した。その混合物から溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:1〜20:1)で精製して標題化合物を得た(1.633g、5.74ool、収率33%)。
【0093】
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:8.45(1H,s,−NH−),7.16(1H,s,−CH−),4.07(2H,s,−CH2),3.74(4H,d,J=6Hz,2−CH2),),3.60(3H,t,J=12Hz,−OH,−CH2),3.22(2H,d,J=8Hz,−CH2)1.38(6H,s,2−CH3),1.95(3H,s,−CH3),1.05(9H,s,t−ブチル),1.05(3H,s,Ts−Me).
Mass(EI)m/z:284.1372(M+)269,233,208,195,180.
元素分析。C1320N25・1/5H2Oについて計算。計算値:C,54.23;H,7.14;N,9.73.測定値:C,54.30;H,6.90;N,9.65。
【0094】
(5) 2,2−ジメチル−5−(チミン−1−イルメチル)−5−ベンジルオキシメチル−1,3−ジオキサン(2,2-dimethyl-5-(thymine-1-yl-methyl)-5-benzyloxymethyl-1,3-dioxan)の製造
予め真空乾燥させておいた2,2−ジメチル−5−(チミン−9−イルメチル)−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン(580mg、2.04 mmol)のピリジン(18ml)溶液に、ベンジルクロライド(1ml、8.67mmol)のピリジン(9ml)溶液を滴下した。Ar雰囲気下で8時間攪拌した後、反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を止めた。その混合物を酢酸エチルおよび飽和NaHCO3水溶液で抽出した。得られた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄後、無水Na2SO4で乾燥した。その酢酸エチル溶液から溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:1〜15:1)で精製して標題化合物(562mg、1.45mmol、収率71%)を得た。
【0095】
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:8.49(1H,s−NH−),7.98−7.43(5H,m,フェニル),7.15(1H,s,−CH−),4.27−3.75(8H,m,4−CH2−),1.88(3H,s,−CH3),1.48(6H,s,2−CH3).
13CNMR(100MHz,CDCl3)δ:165.91,151.47,141.49,133.40,129.48,129.45,128.60,110.58,98.93,64.67,63.07,48.67,38.90,26.53,21.03,12.35.
Mass(EI)m/z:388(M+),373,208,195,180,137,105,77,66.
HRMS(EI):C202426 について計算した値388.16344、測定値388.16442。
【0096】
(6)3−チミン−1−イルメチル)−2−O−ベンゾイル−2−ヒドロキシメチルプロパン−1−オール(3-(thymine-1-yl-methyl)-2-O-Benzoyl-2-hydroxymethyl-propane-1-ol)の製造
2,2−ジメチル−5−(チミン−1−イルメチル)−5−ベンジルオキシメチル−1,3−ジオキサン(564mg、1.45 mmol)の水およびTHF混合溶媒(水:THF=1:1)中溶液(15mL)に、酢酸(7ml)を加えて24時間攪拌した。前記混合物から溶媒を減圧留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:1〜10:1)で精製し、標題化合物(470mg、1.35mmol、収率93%)を得た。
【0097】
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:9.04(1H,s−NH−),8.07−7.46(5H,m,フェニル),7.26(1H,s,−CH−),4.38−3.43(8H,m,4−CH2−),3.28(2H,m,2−OH−),1.90(3H,s,−CH3).
13CNMR(100MHz,CDCl3)δ:153.01,141.75,133.69,129.72,129.09,128.60,111.69,92.68,62.35,59.85,47.03,46.34,12.28.
Mass(EI)m/z:348(M+),299,226,195,180,155,139,126,105,77,66.
HRMS(EI):C172026について計算した値348.13214、測定値r348.13134。
【0098】
(7)3−(チミン−1−イルメチル)−2−O−ベンゾイル−2−(4,4−ジメトキシトリチル)プロパン−1−オール(3-(thymine-1-yl-methyl)-2-O-Benzoyl-2-(4,4’-dimethoxytrityl)-propane-1-ol)の製造
予め真空下に乾燥させておいた3−チミン−1−イルメチル)−2−O−ベンゾイル−2−ヒドロキシメチルプロパン−1−オール(470mg、1.35mmol)のピリジン(17ml)溶液に、4,4’−ジメトキシトリチルクロライド(548mg、1.61mmol)のピリジン溶液(10mL)を加え、得られた混合物をAr雰囲気下で48時間攪拌した。前記混合物を酢酸エチルおよび飽和NaHCO3水溶液で抽出した。得られた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、その後無水Na2SO4で乾燥した。得られた有機層から溶媒を減圧留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=100:1〜15:1)で精製し、標題化合物(280mg、0.43mmol、収率32%)を得た。
【0099】
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ:8.36(1H,s−NH−),7.88−7.39(5H,m,フェニル),7.36−6.71(15H,m,DMTrおよび芳香族プロトン),3.67(6H,d,2−CH3),4.47−3.37(8H,m,4−CH2−),3.05(2H,d,2−OH−),1.70(3H,s,−CH3).
13CNMR(100MHz,CDCl3)δ:166.03,158.57,158.51,152.54,141.33,135.10,135.01,133.24,130.10,129.95,129.61,129.57,128.41,127.95,127.94,127.01,113.20,113.17,111.34,86.61,63.48,61.31,60.45,55.11,55.10,47.81,45.97,12.31.
Mass(FAB)m/z:651([M++H]),303,277,185,105,93,75,57.
HRMS(EI):C383928について計算した値 651.27063、測定値651.26917。
【0100】
(8)CPG樹脂と結合した3−(チミン−1−イルメチル)−2−O−ベンゾイル−2−(4,4’−ジメトキシトリチル)−プロパノン−1−オールの製造
予め真空下に乾燥させておいた3−(チミン−1−イルメチル)−2−O−ベンゾイル−2−(4,4−ジメトキシトリチル)プロパン−1−オール(318mg、0.49mmol)およびDMAP(119mg、0.98mmol)にピリジン(5ml)を加えた。その溶液に、無水コハク酸(147mg、1.47mmol)を加え、得られた混合物をAr雰囲気下で24時間攪拌した。その混合物を酢酸エチルおよび飽和NaHCO3水溶液で抽出した。得られた有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、その後無水Na2SO4で乾燥した。得られた有機層から溶媒を減圧留去後、残渣にDMF(12ml)を加えた。そのDMF混合物に、CPG(628mg、0.12mmol)とWSC(93mg、0.49mmol)を加え、Ar雰囲気下で72時間振とうさせた。前記混合物をピリジンで洗浄した後、0.1M DMAPのピリジンおよび無水酢酸混合溶液(ピリジン:無水酢酸=9:1、10mL)を加え、さらに12時間振とうさせた。得られた混合物のCPGをフィルター上でメタノール、次いでアセトンで洗浄し、乾燥させた(得られたCPG樹脂と結合した3−(チミン−1−イルメチル)−2−O−ベンゾイル−2−(4,4’−ジメトキシトリチル)−プロパノン−1−オールの活性は22.4μmol/g)。
【実施例1】
【0101】
塩基配列の3’末端に、式(I)で表わされるヌクレオシド類似体を導入した配列番号1(下記に示す塩基配列参照)からなる一本鎖のオリゴヌクレオチド類似体の製造
【化10】

【0102】
Renilla(ルシフェラーゼ)の19塩基配列の3’末端にTTを付加したものをsiRNAとした。そのsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端のTを式(I)で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えたものを配列番号1とする。また、そのsiRNAのセンス鎖の3’末端のTを式(I)で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えたものを配列番号2とする。配列番号1の塩基配列に従い、核酸自動合成機およびCPG樹脂を用いるホスホロアミダイト法によりオリゴヌクレオチド類似体(RNAタイプ)を製造した。塩基配列中、Yで示す配列には、製造例1で製造したCPG樹脂と結合した3−(チミン−1−イルメチル)−2−O−ベンゾイル−2−(4,4’−ジメトキシトリチル)−プロパノン−1−オールをCPG樹脂として用いて導入した。他の配列には、リボースタイプのヌクレオシドのアミダイト誘導体を用いて導入した。CPG樹脂は、0.5μmolに相当する量をカラムに入れ、核酸自動合成機にセットした。前記アミダイト誘導体はアセトニトリルに溶解させ、0.1M溶液に調製した。各縮合時間は、15分とした。
【0103】
前記CPG樹脂に結合した配列番号1のオリゴヌクレオチド類似体は、DMTr基が除去され、ベンゾイル基、アセチル基、フェノキシアセチル基およびシアノエチル基で保護された状態で核酸自動合成機による合成を終了した。
【0104】
合成終了後、CPG樹脂に結合したオリゴヌクレオチドをエタノールとアンモニア水の混合液(EtOH:NH3=3:1、1mL)中で室温で12時間振とうして樹脂からの切り出し及び脱保護を行なった。反応混合物をエッペンドルフチューブに移し、減圧下乾固した。得られた残渣にTBAFのTHF溶液(1M、1mL)を加え、その混合物を室温で12時間振とうした。この反応混合物をTEAA緩衝液(0.1M)で30mLまで希釈した。この混合物をC−18逆相カラムクロマトグラフィー(Sep−Pak)(溶出液:水中、50%CH3CN(3mL))により精製して、目的とする一本鎖のオリゴヌクレオチド類似体を含む残渣を得た。この残渣にローディングバッファー(90%ホルムアミド中1×TBE、100μL)を加え、20%PAGEにより(500V,20mA)、目的とする一本鎖のオリゴヌクレオチド類似体を単離した。PAGEから目的のオリゴヌクレオチドを切り出し、そこへTEAA緩衝液(0.1M(20mL)(EDTA水溶液(1mM)を含む)を加え、12時間振とうした。ろ液を、平衡化させたC−18逆相カラムクロマトグラフィー(Sep−Pak)(溶出液:水中、50%CH3CN(3mL))により精製した。配列番号1で表わされるオリゴヌクレオチド類似体の収量は、0.38mg、5.8%であった。この終了は、水(1mL)中の260nmにおける吸光度を測定して算出した。
MALDI−TOF/MS 計算値:6612、実測値:6613。
【0105】
前記溶液の調製方法について説明する。
0.1MのTEAA緩衝液は、以下のようにして調製した。酢酸(114.38mL)およびトリエチルアミン(277.6mL)の混合物に、水を加えて1Lにした。その溶液に酢酸を加えてpHを7.0に調整し、次いでその溶液を20倍に希釈することにより調製した。
【0106】
20%PAGEは、以下のようにして調製した。40%アクリルアミド溶液(45mL)、尿素(37.8g)および10×TBE緩衝液(9mL)を混合して溶解させ、その後水を加えて90mLとした。その溶液に、APS(62mg)を加えて溶解させた後、TEMED(45μL)を加えて振り混ぜた。その溶液を、1.5mmスペーサーを挟んで固定した2枚ガラス板の間に流し込み、1時間以上静置して固化させて、20%PAGEを得た。
【0107】
EDTA水溶液は、EDTA・4Na(1.80g)を水(40mL)に溶解させることにより調製した。
【0108】
40%アクリルアミド溶液は、アクリルアミド190gとN,N’−メチレンビスアクリルアミド10gを水に溶解させて500mLにして調製した。アクリルアミド:N,N’−メチレンビスアクリルアミド=19:1。
【0109】
10×TBE緩衝液は、トリス(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール)を109g、ホウ酸55gおよびEDTA・2Na(7.43g)を水に溶かして1Lとした。
【0110】
前記オリゴヌクレオチド類体の吸光度および収量は、以下のようにして測定した。
前記オリゴヌクレオチド類似体を水に溶解させて、水溶液を調製し、その水溶液を、波長260nmでの吸光度(Abs260)が、吸光度計の有効範囲になるように希釈した。光路長(l)1cmの吸光度測定用石英セルを用い、室温にてAbs260を測定した。OD260値の計算には以下の式(1)を用いて算出した。

OD260(ε・M・mL-1)=Abs260(ε・cm・M)×V-1(mL)×l-1(cm) (1)

前記式(1)中、Abs260は、前記オリゴヌクレオチド類似体溶液の波長260nmにおける吸光度を示し、Vは溶液の全量を示し、lは光路長を示し、Mはモル濃度を示す。
前記式(1)中、前記オリゴヌクレオチド類似体のモル吸光係数ε260は、以下の式(2)を用いて算出した。

ε=2{ε(N1p2)+ε(N2p3)+・・・+ε(Nn-1pn)}−{ε(N2)+ε(N3)+・・・+ε(Nn-1)} (2)

前記式(2)中、ε(Nn)はある核酸Nnのε260を示し、ε(Nn-1pn)はある核酸二量体Nn-1pnのε260を示す。
【0111】
濃度C(mol/L)は、以下の式(3)を用いて算出した。

C=Abs260×ε260-1×l-1 (3)

前記式(3)中、Abs260、ε260、およびlは、前記のとおりである。
【0112】
得られたオリゴヌクレオチド類似体の吸光度のε値、260nmにおける吸光度および収率を、表1に示す。また、得られたオリゴヌクレオチド類似体の分子量は、MALDI−TOF/MSにより確認した。その結果は、表2に示す。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【実施例2】
【0115】
配列番号1の代わりに配列番号2(下記に示す塩基配列参照)の塩基配列に従い、実施例1と同様にして一本鎖オリゴヌクレオチドを得た。
【0116】
【化11】

【実施例3】
【0117】
Renilla(ルシフェラーゼ)の19塩基配列の3’末端にTを付加したものをsiRNAとした。そのsiRNAのアンチセンス鎖の3’末端のTを式(I)で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えたものを配列番号3とする。また、そのsiRNAのセンス鎖の3’末端のTを式(I)で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えたものを配列番号4とする。配列番号1の代わりに配列番号3(下記に示す塩基配列参照)の塩基配列に従い、実施例1と同様にして一本鎖オリゴヌクレオチドを得た。
【0118】
【化12】

【実施例4】
【0119】
配列番号1の代わりに配列番号4(下記に示す塩基配列参照)の塩基配列に従い、実施例1と同様にして一本鎖オリゴヌクレオチドを得た。
【0120】
【化13】

【実施例5】
【0121】
実施例1で製造した配列番号1からなるオリゴヌクレオチド類似体(0.6nmmol)および実施例2製造した配列番号2からなるオリゴヌクレオチド類似体(0.6nmmol)を、アニーリングバッファー(10mMのリン酸ナトリウム塩(pH7.0)および1MのNaCl)中に溶解させた。その溶液を90℃で5分間、次いで室温で1時間の間、インキュベートして、下記に示す塩基配列のような、配列番号1からなるオリゴヌクレオチド類似体と配列番号2からなるオリゴヌクレオチド類似体とからなる、二本鎖オリゴヌクレオチド類似体を得た。
【0122】
【化14】

【実施例6】
【0123】
実施例1で製造した配列番号1からなるオリゴヌクレオチド類似体の代わりに、実施例3で製造した配列番号3からなるオリゴヌクレオチド類似体を、実施例2で製造した配列番号2からなるオリゴヌクレオチド類似体の代わりに、実施例4で製造した配列番号4からなるオリゴヌクレオチド類似体を用いた以外は実施例5と同様にして、下記に示す塩基配列のような、配列番号3からなるオリゴヌクレオチド類似体と配列番号4からなるオリゴヌクレオチド類似体とからなる、二本鎖オリゴヌクレオチド類似体を得た。
【0124】
【化15】

【実施例7】
【0125】
実施例2で製造した配列番号2からなるオリゴヌクレオチド類似体(50pmol)を、10×PNK緩衝液(2μL)、6unit/μLのLT4ポリヌクレオチドキナーゼ(E.Coli A19)(1μL)、γ−32P ATP(1μL)および滅菌水(16μL)の混合液中で、氷冷下に、混合し、その後、37℃で30分間攪拌した。その後、スピンカラムを用いて前記混合物から夾雑物を除去して、5’末端が32P同位体で標識された、配列番号2からなるオリゴヌクレオチド類似体を得た。
【0126】
[二本鎖の安定性]
実施例6で製造した二本鎖オリゴヌクレオチド類似体および天然型の二本鎖オリゴヌクレオチドについて、測定したそれぞれのTm値を、以下の表3および図1に示す。それぞれの二本鎖の濃度は3μMになるように調整し,測定用緩衝液(10mMのNaH2PO4−Na2HPO4,100mMのNaCl(pH7.0)、(200μL)に溶解させ、95℃で3分間加熱した。その後,1時間放置し混合物を常温に戻した。その混合物のうち150μLを専用セルに入れ測定した。なお、天然型の二本鎖オリゴヌクレオチドの配列は、以下の式に示すとおりである(配列番号5および6)。この二本鎖オリゴヌクレオチドは、Renilla(ルシフェラーゼ)の19塩基配列の3’末端にTTを付加したものであり、siRNAである。
【0127】
【化16】

【0128】
【表3】

【0129】
前記表3および図1に示すように、本発明のオリゴヌクレオチド類似体は、天然型のものと比較して同等の熱的安定性を有することを、確認できた。
【0130】
[デュアル・ルシフェラーゼ・アッセイ]
HeLa細胞(4000セル/mL)を96ウェルプレートの各ウェルに100μLずつ入れ、24時間培養した。実施例5で製造した二本鎖オリゴヌクレオチド類似体を、培地(OPTI−MEM)各量、0.2μg/μL psi−CHECK(ホタル、Renilla各々の配列を持つベクター)1μL、transfast(トランスフェクション試薬)3μLを総量350μLになるように混合した。培地を吸い出した96ウェルプレートの各ウェルに前記二本鎖オリゴヌクレオチドの混合液(35μL)を入れ、1時間後培地を100μL加えて24時間培養した。前記ウェル中にデュアル−グロ(Dual glo)基質(ホタルルシフェラーゼの基質)24μLを加え、発光測定用の96ウェルプレートにサンプルを移した。プレートを10分放置後、ホタル・ルシフェラーゼを測定した。その後、ウェルにストップ・アンド・グロ(Stop and glo)基質(24μL)を加え、10分放置た。その後、ウェルのRenillaルシフェラーゼを測定した。Renillaルシフェラーゼの値は、ホタル・ルシフェラーゼの値で割り、コントロールに対する%を用いて比較した。なお、ルシフェラーゼの測定には、Luminescenser JNRIIを使用した。実施例5で製造した二本鎖オリゴヌクレオチド
類似体の代わりに、天然型の二本鎖オリゴヌクレオチド類似体をコントロールとして用いて同様にアッセイした。その結果を図2(a)に示す。図2(a)中、2本のバーのうち左が天然型の二本鎖オリゴヌクレオチド類似体を用いた場合、右が実施例5で製造した二本鎖オリゴヌクレオチド類似体を用いた場合の結果である。なお、天然型の二本鎖オリゴヌクレオチド類似体の配列は、以下の式に示すとおりである(配列番号7および8)。この二本鎖オリゴヌクレオチドは、Renilla(ルシフェラーゼ)の19塩基配列の3’末端にTを付加したものであり、siRNAである。
【0131】
【化17】

【0132】
また、実施例5で製造した二本鎖オリゴヌクレオチド類似体の代わりに実施例6で製造した二本鎖オリゴヌクレオチド類似体を用いたアッセイの結果を図2(b)に示す。図2(b)中、2本のバーのうち左が天然型の二本鎖オリゴヌクレオチド類似体を用いた場合、右が実施例6で製造した二本鎖オリゴヌクレオチド類似体を用いた場合の結果である。なお、その際に用いた天然型の二本鎖オリゴヌクレオチド類似体の配列は、以下の式に示すとおりである(配列番号5および6)。
【0133】
【化18】

【0134】
図2(a)および図2(b)に示すように、本発明のオリゴヌクレオチド類似体は、天然型のものと同等のタンパク発現抑制作用を有することが確認できた。従って、本発明のオリゴヌクレオチド類似体は、ノックダウン効果に優れることが確認できた。
【0135】
[ヌクレーゼ耐性]
一本鎖オリゴヌクレオチド類似体のエキソヌクレアーゼ耐性の評価
実施例7で得られた配列番号2からなる一本鎖オリゴヌクレオチド類似体、その天然型の一本鎖オリゴヌクレオチドの、エキソヌクレアーゼ耐性を評価した。エキソヌクレアーゼとしては、ヘビ毒ホスホロジエステラーゼ(SVP)を使用した。SVPは、リン酸ジエステル結合を選択的に切断しオリゴヌクレオチドを5’−モノリン酸ヌクレオチドに分解する。
【0136】
以下に示す組成の反応溶液から、1、3、5、10、30、60分後に、ローディング溶液(7M urea XC BPB;5μL)を含む各エッペンドルフチューブに、反応液(5μl)をサンプリングして反応を停止させた。なお、0分後のサンプルは、SVP水溶液を加えていないものである。得られた各時間におけるサンプルを、20%ウレア入りPAGEにより電気泳動させて、ゲル中で分離した。前記ゲルを、イメージングプレートと接触させて、前記ゲル中の分離されたイメージを転写した。このイメージをバイオイメージングアナライザー(商品名:BAS2000、富士写真フィルム株式会社製)を用いて取り込み、RIイメージ解析ソフトにより画像処理した。その結果を図3に示す。
【0137】
一本鎖オリゴヌクレオチド類似体(実施例7)の反応溶液の組成
一本鎖オリゴヌクレオチド類似体 4μL
(最終濃度10μM)
緩衝液(250mM Tris-HCl、50mM MgCl2(pH7.0)) 6μL
1units/mL SVP水溶液 4μL
滅菌水 26μL
計 40μL
【0138】
天然型一本鎖オリゴヌクレオチドの反応溶液の組成
一本鎖オリゴヌクレオチド 4μL
(最終濃度10μM)
緩衝液(250mM Tris-HCl、50mM MgCl2(pH7.0)) 6μL
1units/mL SVP水溶液 4μL
滅菌水 26μL
計 40μL
【0139】
前記図3に示すように、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド類似体は、天然型一本鎖オリゴヌクレオチドと比較して、エキソヌクレアーゼ耐性が向上していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明のオリゴヌクレオチド類似体は、例えば、検査キット用オリゴヌクレオチドとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1は、本発明のオリゴヌクレオチド類似体の一例と、天然型のオリゴヌクレオチドの一例のTm値を示す図である。
【図2(a)】図2(a)は、本発明のオリゴヌクレオチド類似体の一例と、天然型のオリゴヌクレオチドの一例のsiRNAのタンパク発現抑制効果を示す図である。
【図2(b)】図2(b)は、本発明のオリゴヌクレオチド類似体の一例と、天然型のオリゴヌクレオチドの一例のsiRNAのタンパク発現抑制効果を示す図である。
【図3】図3は、本発明のオリゴヌクレオチド類似体のエキソヌクレアーゼに対する耐性を示す図である。
【配列表フリーテキスト】
【0142】
配列番号1 オリゴヌクレオチド類似体
配列番号2 オリゴヌクレオチド類似体
配列番号3 オリゴヌクレオチド類似体
配列番号4 オリゴヌクレオチド類似体
配列番号5 オリゴヌクレオチド類似体
配列番号6 オリゴヌクレオチド類似体
配列番号7 オリゴヌクレオチド類似体
配列番号8 オリゴヌクレオチド類似体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴヌクレオチドを構成する3’末端のヌクレオシドが、式(I)で表わされるヌクレオシド類似体で置き換えられているオリゴヌクレオチド類似体またはその塩。
【化1】

式(I)中、R1は、式(1)の基、式(2)の基、式(3)の基、式(4)の基、式(5)の基、式(6)の基、式(7)の基および式(8)の基からなる群から選択されるいずれかの基であり、R2は脂溶性残基であり、k1、l1、m1およびn1は、互いに独立して、1〜10の整数である。
【請求項2】
前記式(I)中、前記脂溶性残基が、式−O−C(=O)−R21、−O−(CH2X−R22、−O−R23および−NH−R24からなる群から選択される請求項1に記載のオリゴヌクレオチド類似体またはその塩。
前記式中、R21は、アリール、置換されたアリール、アルキル、または置換されたアルキルであり、
22は、アリールまたは置換されたアリールであり、
23は、アルキルまたは置換されたアルキルであり、
24は、アリール、置換されたアリール、アルキル、または置換されたアルキルであり、
xは1〜3の整数である。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチド類似体が、二本鎖形成能を有する請求項1または2に記載のオリゴヌクレオチド類似体またはその塩。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチド類似体が、ヌクレアーゼ耐性である請求項1〜3のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド類似体またはその塩。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドを含む遺伝子発現抑制剤であって、前記オリゴヌクレオチドが、請求項1〜4のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド類似体またはその塩である遺伝子発現抑制剤。
【請求項6】
遺伝子発現に伴う疾患を治療するための医薬組成物であって、
前記医薬組成物が、請求項5に記載の遺伝子発現抑制剤を含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のオリゴヌクレオチド類似体を含む検査キットであって、
前記オリゴヌクレオチド類似体が、検体中の遺伝子とハイブリッド形成することにより、前記遺伝子が検査される検査キット。
【請求項8】
請求項7に記載の検査キットであり、前記検査キットが、DNAチップであるキット。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−136157(P2009−136157A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312713(P2007−312713)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【Fターム(参考)】