説明

オリゴマーシルセスキオキサンを有するポリイミドポリマー

オリゴマーシルセスキオキサン化合物が繋がれた可溶性ポリイミドポリマーが、効率的で穏やかな反応を使用して製造される。ポリマー主鎖上のカルボン酸結合点を使用してオリゴマーシルセスキオキサンに連結される。オリゴマーシルセスキオキサン化合物は、有機テザー上にアミンまたはアルコールを含み、これがカルボン酸結合点と反応してアミド結合またはエステル結合のいずれかを形成する。アミド結合またはエステル結合は、ポリマー主鎖中のフェニル基に直接連結したカルボニル炭素を含む。結果として得られるポリイミドポリマーは多くの有益な性質を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年9月7に出願された米国仮出願番号60/970,571の優先権を主張する。この出願の内容は、参照により本明細書に組込まれる。
【0002】
本発明は、高性能ポリマーに関する。特に、本発明は、熱安定性および強度などの多くの望ましい性質を有するポリイミドポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリイミドは、ポリマー材料の重要な種類の1つであり、これらの優れた性能特性で知られている。このような特性としては、高いガラス転移温度、良好な機械的強度、高いヤング率、良好なUV耐久性、および優れた熱安定性が挙げられる。ほとんどのポリイミドは、芳香族/環状部分などの比較的剛直性の分子構造で構成されている。
【0004】
これらの望ましい特性の結果として、ポリイミド組成物は、航空宇宙産業、エレクトロニクス産業、および電気通信産業などの多くの産業で広く使用されるようになっている。エレクトロニクス産業では、ポリイミド組成物は、半導体の保護および応力緩和コーティング、多層集積回路およびマルチチップモジュールの誘電体層、高温ソルダーマスク、多層回路の接合層、電子デバイス上の最終不動態化コーティングの形成などの用途に使用されている。さらに、ポリイミド組成物から、モーター、コンデンサ、半導体、プリント回路基板、およびその他のパッケージ構造などの電気および電子デバイス中の誘電体膜を形成することができる。ポリイミド組成物は、半導体と薄膜マルチチップモジュールとの両方における中間層誘電体として機能することもできる。ポリイミド組成物の低誘電率、低応力、高弾性率、および固有の延性のために、これらの多層用途に好適となる。ポリイミド組成物の他の用途としては、ディスプレイの配向層および/または誘電体層、ならびに微細機械加工用途における構造層が挙げられる。
【0005】
航空宇宙産業では、ポリイミド組成物は、メンブレンリフレクタなどの光学用途に使用される。使用する場合は、ポリイミド組成物は、ポリイミド組成物の縁部を固定する金属(多くの場合アルミニウム、銅、またはステンレス鋼)または複合材料(多くの場合グラファイト/エポキシまたはガラス繊維)の取り付けリングによって固定される。このような光学用途では、宇宙空間中で使用される場合があり、その場合、太陽光および陰が交互に訪れる周期に構造体が曝露されるときに、軌道中のポリイミド組成物および取り付けリングが、反復される過酷な加熱および冷却のサイクルにさらされる。
【0006】
ポリイミドポリマーは、大部分の炭化水素系およびハロカーボン系のポリマーと同様に、酸素プラズマまたは原子酸素[AO]などの高酸化環境において急速に劣化する。AOは低地球軌道[LEO]中に存在するため、多くの宇宙船はこの高酸化環境を経験する。酸化環境とポリマー材料との間の相互作用によって、ポリマー材料の腐食および厚さの減少が生じ得る。腐食を防止するためには、金属、金属酸化物、セラミック、ガラス、およびその他の無機材料を含む保護コーティングが、酸化環境にさらされるポリイミドへの表面処理として多くの場合に適用される。
【0007】
これらのコーティングは、下にある材料の酸化的劣化の防止には有効であるが、熱的および機械的応力、機械的摩耗、ならびに破片の衝突によって亀裂が生じることが多い。亀裂が生じると、保護表面が損なわれ、下にあるポリマー材料は酸化環境にさらに曝露することで劣化し得る。従って、AO劣化に抵抗できるポリマーを利用可能がなることが非常に望ましい。
【0008】
オリゴマーシルセスキオキサン[OS]を、ポリイミドマトリックス中に組み込むことで、これらの環境中でのポリイミドの耐久性を改善することができる。OSが組み込まれたポリイミドは、LEO環境中に一般的なAO劣化に対して優れた抵抗性を示す。OSが組み込まれたポリイミドではさらなる利点も得られる。商標POSS(商標)によって多面体OSが言及されており、多面体OSはOSの一般的な形態の1つである。現在存在するOSが組み込まれたポリイミドポリマーの例が存在する。
【0009】
Leuらによる論文(Synthesis and Dielectric Properties of Polyimide−Tethered Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane(POSS) Nanocomposites via POSS−diamine(Macromolecules 2003,36,9122−9127(2003)))には、有機テザーによってポリマー主鎖に結合した多面体OS基を有するポリイミドポリマーが記載されている。多面体OSは、ジアミンモノマーに結合することによってポリマー中に組み込まれる。このジアミンモノマーは、合成および精製のための3つの反応および精製のステップと、二無水物モノマーとして利用されるピロメリット酸二無水物(PMDA)を使用してモノマーをポリイミドポリマー中に組み込むためのさらなる1つの反応ステップとを必要とする。
【0010】
Wrightらは、論文(Chemical Modification of Fluorinated Polyimides:New Thermally Curing Hybrid Polymers with POSS(Macromolecules 2006,39,4710−4718(2006)))において多面体OS含有ポリイミドポリマーを開示している。多面体OSは、有機テザーによってポリマー主鎖に連結され、テザーは、ジアミンモノマーの3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)−1−ヒドロキシメチルベンゼン(BNB)上の利用可能なアルコール基を介して連結される。4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6−FDA)が、二無水物モノマーとして使用され、その結果得られるポリイミドポリマーはある種の有機溶媒に対して可溶性となる。最終ポリマーの形成を記載した方法には、1)ポリイミドポリマーが形成された後;2)利用可能なアルコール基を修飾して酸塩化物を得た後;および3)多面体OSをこの酸塩化物に結合させた後の3回のポリイミドポリマーの単離が含まれていた。さらに、BHBモノマーが実験室内で調製されたが、この理由はこの化合物が市販されていないためである。
【0011】
Lichtenhanらは米国特許6,933,345に、多面体OS基を含む多くのポリマーを記載している。Lichtenhanは、多面体OSをポリマーと混合して、ポリマー主鎖中と反応させる、またはポリマー主鎖に繋ぐことを記載している。このポリマーの具体的な特性は開示されておらず、有機テザーを介して結合した多面体OS基を有するポリイミドポリマーの製造方法も開示されていない。
【0012】
Weiらによる米国特許出願2006/0122350には、有機テザーを使用してポリマー主鎖に結合した多面体OS基を有するポリイミドポリマーが開示されている。この多面体OS基は、アルキル炭素を介して、またはベンゼン環を介して、1位および4位の炭素のポリマー主鎖に連結している。多面体OS基がベンゼン環においてポリマー主鎖に結合している場合、このベンゼン環は2つのイミド基に直接結合していない。多面体OS基を有するポリマーの調製方法は、多面体OS基が結合したモノマーを形成するステップと、続いてポリマーを製造するステップとを含むか、または、ポリイミドを形成し、塩素化POSSをこのポリイミドと反応させる。記載の方法は、ポリイミドポリマーの2回の単離および精製を含んでいる。
【0013】
Svejdaらは米国特許6,767,930において、全体的にポリマー中に多面体OS基を組み込むことが記載されている。この多面体OSは、非反応性混合、反応性グラフト化、ポリマー主鎖中への反応性重合、および反応性架橋によって組み込まれる。ポリイミドポリマー中での多面体OS基の具体的な使用としては、多面体OS基とポリイミドポリマーとの非反応的混合と、多面体OSとポリイミドとの反応的重合との両方が挙げられ、これらによって多面体OS基がポリマー主鎖の一部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,933,345号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0122350号明細書
【特許文献3】米国特許第6,767,930号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Synthesis and Dielectric Properties of Polyimide−Tethered Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane(POSS) Nanocomposites via POSS−diamine(Macromolecules 2003,36,9122−9127(2003))
【非特許文献2】Chemical Modification of Fluorinated Polyimides:New Thermally Curing Hybrid Polymers with POSS(Macromolecules 2006,39,4710−4718(2006))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ポリイミドポリマーは多くの望ましい特性を有する。ポリイミドポリマーの特性の一部はOSを組み込むことによって改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、あるポリマー主鎖を有するポリイミドポリマーを含む。テザーを使用することで、OS化合物がポリマー主鎖に結合する。従って、OS基はポリマー主鎖中には組み込まれない。本発明は、本明細書に記載されるポリイミドポリマーの製造方法も含む。
【0018】
本発明のその他の態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】アミン酸の形成を示している。
【図2】アミン酸からのイミド結合の形成を示している。
【図3】オリゴマーシルセスキオキサン(OS)化合物を示している。
【図4】多面体型OS化合物を示している。
【図5】4−4’−[ヘキサフルオロイソプロピリデン]ジフタル酸無水物[6−FDA]を示している。
【図6】4,4’−オキシジフタル酸無水物[ODPA]を示している。
【図7】1,3−ジアミノ安息香酸[DBA]を示している。
【図8】4,4’−ジアミノビフェニル−3,3’−ジカルボン酸[DBDA]を示している。
【図9】p−フェニレンジアミン[p−PDA]を示している。
【図10】アミンとカルボン酸との反応により繋がれたアミド結合の形成を示している。
【図11】アミドと連結したOSを有する代表的なポリイミドポリマーの一部を示している。
【図12】エステルと連結したOSを有する代表的なポリイミドポリマーの一部を示している。
【図13】XXで示されるエステル結合またはアミド結合で連結したXで示されるOS化合物を有するポリマー主鎖の非末端フェニル基を示している。
【図14】図13中に記号YYで表される種々の構造を示しており、ZZは、直接結合、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CH−、−CF−、−C(CH−、−(CF−、−(CH−、−(CHCHCHO)−、−((CHO)−、−(Si(CHO)−、−(SiH(CH)O)−、−(SiH(C)O)−、または−(Si(CO)−を表している。
【図15】図14中に「WW」で表されている可能な構造を示している。
【0020】
注記:波線「
【0021】
【化1】

」の使用は分子が続くことを示しているが、必ずしも繰り返しがある必要はない。角括弧「[」および/または「]」の使用は、この括弧を超えて構造が繰り返すことを示している。丸括弧「(」および/または「)」の使用は、繰り替えし内の下部構造を示しており、丸括弧を超えて下部構造が繰り返すことを示すのではない。本明細書の説明において、炭素原子を表す角度の代わりに結合を介してフェニル基に連結して示される原子AAは、フェニル基中の利用可能ないずれかの炭素原子に連結していることを示し、特定の炭素原子に連結しているのではないことを意味する。従って、このような描画は、AA原子への結合がオルト位、メタ位、またはパラ位であることを明示しているのではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ポリイミド
ポリイミドは、多くの望ましい特性を有するポリマーの種類の1つである。一般に、ポリイミドポリマーは、ポリマー主鎖中に窒素原子を含み、この窒素原子は2つのカルボニル炭素に連結しており、これによって窒素原子は隣接するカルボニル基によってある程度安定化される。カルボニル基は、カルボニル炭素と呼ばれる炭素を含み、これは酸素原子に二重結合している。ほとんどのポリイミドは、ポリイミドポリマーの生成に2つの異なる種類のモノマーが使用されるため、AA−BB型ポリマーと見なされている。一方の種類のモノマーは酸モノマーと呼ばれ、通常は二無水物の形態である。他方の種類のモノマーは、通常はジアミン、またはジアミノモノマーである。ポリイミドは、数種類の方法によって合成することができる。芳香族ポリイミドを合成するための従来の二段階方法では、N−メチルピロリドン(NMP)などの極性非プロトン性溶媒が使用される。最初に、ジアミノモノマーを溶媒中に溶解させ、次に二無水物モノマーをこの溶液に加える。ジアミンおよび酸モノマーは、一般にほぼ1:1のモル化学量論で加えられる。
【0023】
1つの二無水物モノマーが2つの無水物基を有するので、異なるジアミノモノマーを各無水物基と反応させることができ、そのため二無水物モノマーは、2つの異なるジアミノモノマーの間に位置することができる。ジアミンモノマーは2つのアミン官能基を含有し、そのため1つのアミンが第1の二無水物モノマーに結合した後に、第2のアミンが、別の二無水物モノマーに依然として結合可能であり、次に別のジアミンモノマーに結合したりなどが可能となる。このようにして、ポリマー主鎖が形成される。結果として重縮合反応によってポリアミン酸が形成される。アミン酸を形成するための無水物とアミンとの反応が図1に示されている。生成された高分子量ポリアミン酸は反応溶媒に対して可溶性であり、従ってこの溶液を、流延などによってキャストして好適な基材上でフィルムにすることができる。このキャストフィルムを複数の段階で高温まで加熱して溶媒を除去し、脱水環化反応でアミン酸基をイミドに変換することができ、これはイミド化とも呼ばれる。または、一部のポリアミン酸は、化学脱水剤、触媒、および/または熱を使用して溶液中で可溶性ポリイミドに変換することができる。アミン酸からイミドへの変換を図2に示している。
【0024】
ポリイミドポリマーは、2つの異なる種類のモノマーから通常は形成され、それぞれの種類のモノマーに関してさまざまな種類のものを混合することができる。従って、1、2、またはこれを超える種類の二無水物型モノマーを反応容器中に投入することができ、同様に1、2、またはこれを超える種類のジアミノモノマーを投入することができる。二無水物型モノマーの全モル量は、ジアミノモノマーの全モル量とほぼ同じに維持される。ジアミンまたは二無水物の2種類以上を使用できるので、各ポリマー鎖の厳密な形態は、望ましい特性を有するポリイミドが生成されるように変化させることができる。
【0025】
例えば、1種類のジアミンモノマーAAを2種類の二無水物コモノマーBおよびBと反応させて、(AA−B−(AA−Bの一般形態のポリマー鎖を形成することができ、式中のxおよびyは、ポリマー主鎖中へのBおよびBの相対的な組み込み量によって決定される。または、ジアミンコモノマーAおよびAを1種類の二無水物モノマーBBと反応させて、(A−BB)−(A−BB)の一般形態のポリマー鎖を形成することができる。さらに、2種類のジアミンコモノマーAおよびAを2種類の二無水物コモノマーBおよびBと反応させて、(A−B−(A−B−(A−B−(A−Bの一般形態のポリマー鎖を形成することができ、式中のw、x、y、およびzは、ポリマー主鎖中へのA−B、A−B、A−B、およびA−Bの相対的な組み込み量によって決定される。従って、1種類以上のジアミンモノマーを1種類以上の二無水物と重合させることができ、ポリマーの一般形態は、使用されるモノマーの量および種類を変動させることによって決定される。
【0026】
二無水物は、AA−BB型ポリイミドの生成に使用される酸モノマーの単なる1つの種類でしかない。二無水物の代わりに異なる酸モノマーを使用することが可能である。例えば、4つの酸官能基を有するテトラカルボン酸、テトラエステル、ジエステル酸、またはトリメチルシリルエステルを二無水物の代わりに使用することができる。本明細書の説明では、酸モノマーは、二無水物、テトラエステル、ジエステル酸、テトラカルボン酸、またはトリメチルシリルエステルのいずれかを意味する。他方のモノマーは通常はジアミンであるが、ジイソシアネートであってもよい。ポリイミドはAB型モノマーから調製することもできる。例えば、アミノジカルボン酸モノマーを重合させてAB型ポリイミドを形成することができる。
【0027】
ポリイミドポリマーの特性は、少なくとも一部は、ポリマーの調製に使用されるモノマーによって決定される。モノマーの選択および比率が適切であれば、所望のポリマー特性が得られる。例えば、ポリイミド構造中に溶解性を付与するモノマーを選択することによって、ポリイミドを有機溶媒に対して可溶性にすることができる。不溶性モノマーの使用が、可溶性モノマーの十分な量の使用とバランスがとれているか、または著しく可溶性のモノマーをより少ない量で使用することで、不溶性ポリマーを形成しやすいある種のモノマーを使用して可溶性ポリイミドポリマーを生成することもできる。著しく可溶性のモノマーという用語は、ほとんどの他のモノマーよりも高い溶解性をポリイミドポリマーに付与するモノマーを意味する。一部の可溶性ポリイミドポリマーは、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびフェノール類などの比較的極性の溶媒、ならびにクロロホルムおよびジクロロメタンなどのより極性の低い溶媒に対して可溶性である。選択したモノマーの溶解特性および濃度によって、結果として得られるポリマーの溶解特性が決定される。本明細書の説明では、ポリマーを溶媒中に溶解させて、溶媒中のポリマーが少なくとも1%の溶液、またはより好ましくは5%溶液、最も好ましくは10%以上の溶液を形成できる場合に、ポリマーは可溶性である。
【0028】
ポリイミドポリマーの生成に使用されるモノマーのすべてではないが大部分は芳香族基を含む。これらの芳香族基は、ポリマー主鎖上のテザー用の結合点を提供するために使用することができる。テザーは、ポリマー主鎖を別の化合物または亜化合物に連結するために使用される少なくとも1つの炭素、酸素、硫黄、リン、またはケイ素の原子を含む鎖を意味する。従って、ポリマー主鎖がフェニル基上のパラ位を介して連結する場合、パラ位は、ベンゼン環上の1位および4位の炭素を意味し、オルト位およびメタ位は、このポリマー主鎖にテザーを結合させるために利用可能である。1位炭素に対するオルト位は2位および6位の炭素を意味し、一方1位炭素に対するメタ位は3位および5位の炭素を意味する。
【0029】
多くのポリイミドポリマーは、反応容器中でポリアミン酸ポリマーを調製することによって生成される。次にポリアミン酸は、シートまたはフィルムに成形され、続いて熱(多くの場合、250℃を超える温度)または熱と触媒との両方を使用して処理して、ポリアミン酸をポリイミドに変換する。しかし、ポリアミン酸は水分に対して敏感であり、水がポリマー溶液中に取り込まれるのを回避するように注意する必要がある。さらに、ポリアミン酸は溶液中で自己イミド化して、徐々にポリイミド構造に変換される。イミド化反応は、一般にポリマーの溶解性を低下させ、副生成物として水を生成する。次に生成した水は、残りのポリアミン酸と反応し、これによってポリマー鎖を開裂させることがある。さらに、ポリアミン酸は、一般に、安定な純粋ポリマー粉末としては単離することができない。その結果、ポリアミン酸は限定された貯蔵寿命を有する。
【0030】
場合によっては、ポリイミドポリマーフィルム用の材料を製造することが望ましいが、フィルムが実際にキャストされる前にある時間の間待機される。この目的のため、可溶性ポリイミドまたはポリアミン酸のいずれかを保管することができる。可溶性ポリイミドは、保管の目的ではポリアミン酸よりも多くの望ましい利点を有する。可溶性ポリイミドは、一般にポリアミン酸よりも加水分解に対してはるかに安定であり、そのためポリイミドは溶液中で保管することができるし、沈殿ステップで単離して、長期間固体材料として保管することもできる。ポリアミン酸が保管される場合、ポリイミド状態への段階的な変換、および/または加水分解的な解重合が起こる。保管した材料が加水分解的に解重合する場合、溶液粘度の低下を示し、保管した材料がポリイミド状態に変換されると、ポリイミドが反応媒体に対して可溶性でない場合には、ゲル状または沈殿固体になる。この粘度が低下した溶液は、所望の形状に成形するのに十分な粘度を示さない場合があり、ゲル状または固体の材料は、所望の形状に成形することができない。ポリアミン酸からポリイミド状態への段階的な変換によって水が副生成物として生成し、この水によって残存するポリアミン酸単位が開裂しやすくなる。残存するポリアミン酸単位の水による開裂は、前述の加水分解的な解重合である。従って、最終用途のための材料の成形が遅れる場合には、可溶性ポリイミドの製造が望ましい。
【0031】
可溶性ポリイミドは、貯蔵寿命以外にもポリアミン酸に対する利点を有する。可溶性ポリイミドは、ポリアミン酸の場合には一般に必要とされるある程度の加熱を行うことなく、工作物に加工することができる。そのため可溶性ポリイミドは、ポリアミン酸よりも複雑な形状に加工することができ、ポリアミン酸をイミド化するために典型的に必要となる最低温度の250℃においては耐久性ではない材料とともに加工することができる。可溶性ポリイミドから所望のフィルムを形成するためには、ポリイミドを好適な溶媒中に溶解させ、希望通りのフィルムに成形し、次に溶媒を蒸発させる。フィルムの溶媒は、溶媒の蒸発を促進するために加熱することができる。
【0032】
オリゴマーシルセスキオキサン
OS化合物または基は、[RSi][O1.5の一般式を有することを特徴とし、式中、Rは有機置換基を表し、SiおよびOは元素のケイ素および酸素の元素記号を表している。Rは、脂肪族または芳香族であってよく、多種多様な有機化合物を含む。図3に示されるように、ケイ素原子は酸素原子を介して互いに連結しており、R基はケイ素原子に連結している。これらのOS化合物は、有機と無機との複合的な性質を有する。Si−O基によって無機的性質が得られ、結合したR基によって有機的性質が得られる。多くの場合、図4に示されるようにこれらのOS化合物はかご型で存在し、ケイ素原子および酸素原子によって多面体が形成される。OS化合物がかご型または多面体型の場合、R基はかごの外側にあり、Si原子は全体的にかごのコーナーを形成する。
【0033】
多くの場合、OS化合物は、官能基を有する有機置換基を有する。従ってこれらのOS化合物は、1つのOS化合物内の異なるSi原子に連結した種々の構造を有する有機置換基を有することができる。典型例の1つは、式[RSi](n−1)[R’A][O1.5によって表される多面体OSであり、式中、R’は、OS化合物をポリマー主鎖または一部の他の分子に連結するために使用可能な官能基を有する有機置換基を表している。この場合、Aはある元素を表す場合に使用される。この元素は通常はSiであるが、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、およびアンチモン(Sb)などの他の元素であってよい。OS化合物中に組み込まれたこれらの他の原子によって、ポリマーに付与される種々の特性が得られる。
【0034】
OS基がポリイミドポリマーに結合することによって、酸化安定性、温度安定性、ガラス転移温度、溶解性、誘電率、引張特性、熱機械特性、光学特性、およびその他の特性などのポリマーの多くの特性に影響が生じ得る。OSがポリイミドポリマー中に組み込まれることによって改善される顕著な特性の1つは、前述のように酸素プラズマおよびAOなどの酸化環境における劣化に対する抵抗性の増加である。これらの環境中でのポリイミドの耐久性を改善するために、オリゴマーシルセスキオキサン[OS]をポリイミドマトリックス中に組み込むことができる。従って、OSが組み込まれたポリイミドポリマーが望ましい。
【0035】
OSを含む炭化水素またはハロカーボンのポリイミドは、酸素プラズマまたはAOに曝露されると、OSの有機置換基部分が酸化して揮発性生成物となり、一方、無機部分が、ポリイミドポリマーの露出面上に不動態化シリカ層を形成する。このプロセスをポリマーのガラス化と呼ぶ。シリカ層は、下にあるポリイミド材料を酸化環境によるさらなる劣化から保護する傾向にある。さらに、シリカ層は、紫外[UV]光、特に約256nmより短い波長のUV光の少なくとも一部を吸収する。従って、UV光は電磁放射線の一形態であるので、シリカ層はポリマーフィルムを放射線から保護もする。さらに、シリカ層が十分な厚さを示す場合、シリカ層によって、ポリイミドフィルムを透過する気体および水の透過性が減少する。ポリイミドフィルム上にさらにシリカを堆積して、フィルムを透過する気体および水の透過性を十分減少させるのに十分な厚さを得ることも可能である。
【0036】
本明細書のある程度の保護を得るためにOSがポリマーとブレンドされるが、ポリマーとブレンド可能なOSの量は限定されない。典型的には、ブレンド法によってポリマー中に組み込まれるOSの量は、可視光を散乱するのに十分大きな領域にOS化合物が凝集しない濃度に限定される。この量を超えてさらにOSを組み込むと、通常は光学的および/または機械的性質の低下が生じる。しかし、OSをポリマーと化学的に反応させることによって、OSの凝集が減少し、ポリマー内にOSがより均一に分布することが分かった。従って、より単純なブレンド方法よりも、共有結合を介してポリマーマトリックス中に典型的にはより多くのOSを組み込むことができる。その結果、酸素プラズマ、AO、およびUV放射線への曝露により耐えることができるポリマーが得られる。
【0037】
重合前にOSをモノマーの1つと反応させることによって、OS基をポリイミドポリマーに結合させることができる。しかし実際には、OSの費用が高く、十分な純度で使用可能なモノマーを得るために必要な反応および精製のステップ数が多いため、この方法は困難である。十分な分子量のポリアミン酸およびポリイミドを形成するためには、高モノマー純度が必要となる。例えば、Leuら(前述)は、合計4つの反応ステップを必要とする、多面体OSをポリイミド主鎖中に組み込む方法を記載している。原則として、反応および精製のステップ数が少なくなると、費用が減少し、全体のプロセスの効率が高くなる。従って、より少ない反応および精製ステップでの所望のポリマーの製造方法が望ましいが、この理由は、このような方法では恐らく費用が減少し、プロセス全体の効率が改善されるからである。本開示は、OSが組み込まれたポリイミド組成物、ならびに2回の反応ステップおよび0から2回の精製ステップを使用するこのようなポリマーの合成方法を示す。
【0038】
モノマーの選択
最終ポリマーの特性は、ポリマーの生成に使用されるモノマーの選択によって大部分は決定される。モノマーの選択時に考慮すべき要因としては、溶解性、熱安定性、およびガラス転移温度などの最終ポリマーの特性が挙げられる。考慮すべき他の要因としては、選択されるモノマーの費用および入手しやすさが挙げられる。大量に製造される市販のモノマーは、一般にポリイミドポリマーフィルムの製造費が減少するが、この理由はこのようなモノマーは、実験室規模およびパイロット規模で製造されたモノマーよりも一般に安価となるからである。さらに、市販のモノマーを使用することによって、ポリマー中に組み込まれるモノマーを生成するためのさらなる反応ステップが不要となるので、全体の反応効率が改善される。本発明の利点の1つは、好ましいモノマーが、10,000kg/年を超えることもある市販量で一般に製造されていることである。
【0039】
使用されるモノマーの種類の1つは酸モノマーと呼ばれ、これはテトラカルボン酸、テトラエステル、ジエステル酸、トリメチルシリルエステル、または二無水物のいずれかであってよい。四官能性酸、ジエステル酸、テトラエステル、またはトリメチルシリルエステルよりもジアミンに対して一般に高い反応速度を示すので、二無水物の使用が好ましい。二無水物モノマーを選択する場合に考慮すべき特性の一部としては、最終ポリマーの溶解性、およびモノマーの商業的な入手しやすさが挙げられる。
【0040】
ある種の特性は、ポリイミドポリマーの溶解性を改善する傾向にある。このような特性としては、可撓性スペーサー、いわゆるキンク結合(kinked linkage)、および嵩高置換基が挙げられる。可撓性スペーサーは、2つの離れたフェニル基の間で共有結合する原子である。これらのフェニル基は比較的硬く、そのため可撓性スペーサーによって、離れた位置にある複数のフェニル基の間の運動を増加させることができる。アルキル結合は、フェニル基ほど安定ではなく、フェニル基の間に単純な炭化水素アルキル基を使用するとポリマーの安定性が低下し得る。ポリマー全体の安定性は、水素の代わりにフッ素で結合を飽和させると改善することができる。また、酸素またはケイ素などの他の原子を使用すると、より安定なポリマーを得ることができる。
【0041】
キンク結合という用語は、フェニル基上のメタ結合を意味する。これは、ポリマー主鎖が、フェニル基上の1位および3位の炭素を介して連結することを意味する。ポリマー主鎖中にキンク結合、即ちメタ結合を使用すると、熱膨張係数が高くなりやすく、溶解性も高くなりやすい。
【0042】
ポリマー中の嵩高置換基も、ポリマー全体の溶解性を増加させる傾向にある。嵩高置換基は、大型であり、これらの大きさのために分子内および分子間の鎖の会合が妨害されやすい化合物である。嵩高置換基は、主鎖中の複数のフェニル基の間に含まれ、フェニル基に直接連結している場合もあるし、ポリマー主鎖に繋がれている場合もある。嵩高置換基は、隣接するポリマー鎖の強く会合する能力を低下させる傾向にある。これによって、溶媒分子が隣接ポリマー鎖間に入りやすくなり、これによってポリマーの溶解性が増加する。
【0043】
主鎖中の複数のフェニル基を異なる面内に配置することによっても、ポリマーの溶解性が増加する傾向にあり、この目的のために嵩高置換基を使用することができる。主鎖中の2つのフェニル基が比較的互いに接近しており、それぞれがこの基に連結または繋がれた嵩高置換基を有する場合、これらの嵩高置換基は互いに立体障害を起こし、一方のフェニル基は、他方のフェニル基の面に対して垂直な面に移動しやすくなる。
【0044】
可撓性スペーサーは、フッ素などのより大きな成分で飽和させることで、結果として得られるポリイミドポリマーの溶解性を改善することができる。フェニル基を分離するための他の好ましい原子としては酸素および硫黄が挙げられる。本発明の好ましい二無水物モノマーは、図5および6に示されるような6−FDAおよびODPAであるが、その他の二無水物モノマーを使用することもできる。
【0045】
二無水物よりもジアミンの方が利用しやすいために、OS基は通常ジアミンモノマーに結合される。従って、使用されるジアミンモノマーの1つは、2つのアミンとは独立した官能基を有するべきであり、2つのアミンがポリマー主鎖中に組み込まれたときに、この官能基は後の化学反応に依然として利用可能となる。この官能基は、OS基がポリマー主鎖に結合する点であるため結合点と呼ばれる。多種多様の結合点を使用することができるが、カルボン酸が好ましい。結合点はポリマー主鎖の長さの中に含まれるが、各鎖のちょうど末端および終端に位置するのではないため、より多くのOS化合物がポリマーに結合することができる。従って、好ましい結合点は、単結合によってフェニル基に連結したカルボン酸であり、このフェニル基は末端ではなく、このフェニル基はポリマー主鎖の一部である。
【0046】
図7および8中に示されるようなモノマーDBAおよびDBDAは、OS基の結合点として機能するカルボン酸基が存在するためによく利用される。遊離の結合点を有さない他のジアミノモノマーを使用することもできる。このようなモノマーの一例は、図9中に示されるようなp−PDAである。結合点を有さないジアミノモノマーの濃度が高いほど、遊離の結合点を有するジアミノモノマーの濃度が低くなる。OSは主として結合点を介してポリマー中に組み込まれるので、最終ポリマー中のOS化合物の全濃度は、遊離の結合点を有するジアミノモノマーと遊離の結合点を有さないジアミノモノマーとの比を変動させることによって制御することができる。限定するものではないが2,2−ビス[4−(4アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(BDAF)、1,3ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、3,3−ジアミノジフェニルスルホン(3,3−DDSO2)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDSO2)、m−フェニレンジアミン(m−PDA)、オキシジアニリン(ODA)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)(MBMCHA)の複数の異性体、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(MBCHA)の複数の異性体、1,4−シクロヘキシルジアミン(CHDA)の複数の異性体、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアモンブタン(diamonbutane)、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ジアミノズレン(DMDE)などの多くの他のジアミノモノマーを使用することができる。
【0047】
ポリマー鎖の末端または終端のあらゆる残留遊離カルボン酸も結合点として機能する。これらの末端カルボン酸基は、一般に末端フェニル基に連結している。非末端フェニル基に連結した結合点は、最終ポリマー中に組み込まれるOSの比率を増加させるために必要である。非末端フェニル基は、ポリマー主鎖中のフェニル基であり、ポリマー主鎖中の2つのイミド結合の間にある。
【0048】
オリゴマーシルセスキオキサンの考察
OS基のポリマーマトリックス中への組み込みは、前述した理由で有益となることが多い。通常、OS基は多面体かご構造中に組み込まれ、多面体OSはポリマーに結合している。このような場合、OS基は、ポリマーに結合するための官能基を有する少なくとも1つの有機置換基を有する。多面体OSは、2つ以上の官能基を有することも可能であり、このような場合モノマーとして、または架橋成分として使用することができる。例えば、2つのアミン官能基を含む多面体OS基を、ジアミンモノマーとしてポリマーの主鎖中に組み込むことができる。または、第1のOS官能基が第1のポリマー鎖に結合する場合、第2のOS官能基を異なるポリマー鎖に結合させることができ、これによって2つのポリマー鎖が架橋する。ポリマー鎖は、ポリマー鎖を架橋させる他の有機置換基を組み込むことによって架橋させることもできる。
【0049】
本発明は、テザーによってOS基を主鎖に結合することを考慮しており、そのためこれらのOS基はポリマーの主鎖の一部を形成しない。これは、ポリマー主鎖中にOS基が組み込まれる場合と比較すると利点が得られる。ペンダント結合の利点の1つは、OSおよび多角形OSが剛直性であることである。剛直性OSがポリマー主鎖中に組み込まれると、これによって一般に材料の剛性が増加し、最終的には組み込まれる多面体OSの量が制限される。テザーによってOS基を主鎖に結合させることによって、OS組み込み量の増加による全体のポリマーの剛性への影が少なくなる。
【0050】
OS基をポリイミドポリマー主鎖に結合する場合にテザーを使用すると好都合である。OS基は通常は嵩高く、テザーによって、OS全体から離れた結合点が得られるため、立体因子からは、テザーの使用が好都合である。テザーは、OS基がポリイミド主鎖と反応できるのに十分な長さが必要であるが、機械的および光学的性質を低下させる大きな領域にOSが凝集するのを制限するのに十分な短さであるべきである。OS基が結合点に接近した状態に維持することによって、OSがポリマー全体に比較的均一に分布する。また、OS基が結合点に接近した状態に維持することによって、ポリマー主鎖の近傍に嵩高い構成要素が形成され、これによってポリマーの溶解性が改善されやすくなる。テザー自体の一部の望ましい性質としては、安定で確実な結合の提供、およびOS基の多くの運動の自由度の提供が挙げられる。テザーは、アミドまたはエステルなどの官能基を含むことができる。テザーまたは約5原子の長さの鎖によって、結合するのに十分な長さが得られ、同時に、OS基が結合点に十分接近した状態に維持される。
【0051】
好ましくは、OS化合物は、ポリマー主鎖に結合するための官能基を有する1つの有機置換基を含む。この有機置換基は、ポリマー主鎖をOS化合物に連結するテザーとなる。この結合に好ましい官能基は、アミンまたはアルコールのいずれかである。OS化合物上のアミンまたはアルコールはポリマー主鎖上のカルボン酸と反応して、アミド結合またはエステル結合が形成され、図10中にはアミド反応を示している。このようにして形成されたアミドまたはエステルは、図10および11中に示されるようなカルボニル炭素および結合窒素のいずれか、または図12中に示されるようなカルボニル炭素および結合酸素のいずれかを含む。カルボニル炭素は単結合によってフェニル基に連結しており、このフェニル基はポリマー主鎖の一部である。結合窒素または結合酸素は単結合によってカルボニル炭素に連結しており、結合窒素または結合酸素は、OS化合物の有機置換基テザーにも連結している。
【0052】
前述の方法を使用することによって、非末端フェニル基をOS化合物に結合させるアミドまたはエステルのいずれかを含有するポリイミドポリマーが形成される。ポリマーのこの部分を図13中に示している。図13中の窒素は、ポリマー主鎖中のイミド結合に由来し、XXは、OS基がエステルまたはアミドの形成によって結合する場合に依存して、それぞれ酸素原子か、水素が結合した窒素原子かのいずれかを表している。記号Xは、XX原子とOS化合物との間のテザーを含めたOS化合物を表している。図14は、図13中の記号YYを表す種々の構造を示している。これらの種々の構造は、ポリイミドポリマー用に選択されるジアミノモノマーに依存する。図14中の記号WWは、水素原子、遊離のカルボン酸、または図15中に示されるようなOS化合物が結合した別のアミド結合またはエステル結合のいずれかを表しており、XXはこの場合も、水素が結合した窒素または酸素のいずれかを表している。図14中の記号ZZは、直接結合、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CH−、−CF−、−C(CH−、−(CF−、−(CH−、−(CHCHCHO)−、−((CHO)−、−(Si(CHO)−、−(SiH(CH)O)−、−(SiH(C)O)−、または−(Si(CO)−を表している。これらの図面中、炭素原子を表す六角形の角度の代わりに結合を介してフェニル基に連結して示される原子は、この原子がフェニル基中の利用可能ないずれかの炭素原子に連結していることを示し、特定の炭素原子に連結しているのではないことを意味する。
【0053】
方法
最終ポリマーを形成する方法は、全体的な効率を最大化するためにできるだけ少ない回数の反応および少ない回数の単離を含むべきである。製造プロセス中に使用される容器または釜の数を最小限にすることも、ポリマーの反応および/または単離の回数が最小限となる傾向にあるので、効率が改善されやすい。
【0054】
第1のステップは、ポリイミドポリマー主鎖の形成である。このポリマー主鎖の一部の基本的要求は、可溶性であること、結合点を含むこと、およびポリイミドポリマーに典型的な所望の特性の多くを有することである。典型的には、ジアミノモノマーは、ジメチルアセトアミド[DMAc]などの溶媒中に溶解する。ジアミノモノマーを完全に溶解させた後、二無水物モノマーを容器に加えて約4から24時間反応させる。重合反応が進行して完了するまでは、一無水物またはモノアミンなどの末端封止剤の使用は好ましくない。その時点で、無水フタル酸または他の一無水物の末端封止剤を加えて、残留する末端基アミンを反応させることができる。重合反応中に末端封止剤を加えると、形成されるポリマー鎖が短くなる傾向にあり、結果として得られるポリマーの所望の機械的性質が低下することがある。例えば、重合反応中に末端封止剤を加えると、より脆性の高いポリマーが得られることがある。
【0055】
この時点で、モノマーが互いに反応してポリアミン酸を形成している。ポリアミン酸をポリイミドに変換することが望ましい。ポリアミン酸からポリイミド形態への変換はイミド化として知られており、図2中に示されるような水を生成する縮合反応である。水は縮合反応の副生成物であり、反応は平衡点まで進行するため、反応系から水を除去することによって、副生成物の水の有効濃度が低下するので、完全な反応に向かってさらに平衡が推進または移動する。一般に縮合反応などの化学反応に関してこのようなことが当てはまる。
【0056】
無水酢酸などの無水物、または水と反応して、ポリアミン酸のイミド化への水の影響を防止する他の材料を使用することによって、水を反応容器から化学的に除去することができる。水は蒸発によって除去することもできる。イミド化方法の1つは、ポリアミン酸からポリイミド形態に化学的に変換するための触媒の使用を含む。ピリジン、トリエチルアミン、および/またはβ−ピコリン(picolline)などの第3級アミンが触媒として多くの場合に使用される。前述の別の方法は、ポリアミン酸をフィルムに成形し、これを後に加熱することを含む。この場合、形成時に水が蒸発し、ポリマーがイミド化される。
【0057】
第3のイミド化方法は、形成された水を共沸蒸留によって除去することを含む。ポリマーを、イソキノリンなどの少量の触媒の存在下、およびキシレンなどの水性共沸剤の存在下で加熱して、イミド化が行われる。共沸蒸留法は、反応容器を加熱して、共沸剤および水を反応容器から共沸混合物として蒸留することを含む。共沸混合物が蒸発して反応容器を出た後で、これを凝縮させ、液体共沸剤および水を回収する。キシレン、トルエン、または水と非混和性である一部の他の化合物が共沸剤として使用される場合は、この凝縮した共沸混合物を分離し、水を分離して廃棄し、共沸剤を反応容器に戻すことができる。
【0058】
水が反応容器から気体として除去される場合には、形成されたポリイミドポリマーを単離せずにOS基の付加を進行させることができる。しかし、水が化学的に除去される場合には、OS基を付加する前に、ポリイミドを沈殿させ、濾過し、場合により洗浄することが好ましい。ポリマーを沈殿させる場合は、濾取した固体ポリイミドが次のステップの供給材料として使用される。ポリイミドの単離に関して言及する場合、全体の製造プロセスのある時点におけるポリイミドの単離を意味することに留意されたい。例えば、ポリイミドが基本のモノマーから形成され、次に沈殿および濾過が行われ、続いて数回の洗浄が行われる場合、数回の洗浄が行われるとしても、これは1回の単離および精製として数えられる。2回の単離は、反応ステップによって分離される。
【0059】
OS基は、先に形成されたポリイミド主鎖に連結される。第1のステップの1つは、OS基およびポリイミドポリマーを溶解させるのに適した溶媒を見つけることである。好適な溶媒の一部の例としては、塩化メチレン、クロロホルム、および場合によりテトラヒドロフラン(THF)が挙げられる。ポリマー中に組み込まれるOS量の制御方法の1つは、ポリイミドポリマーの形成中に含まれる結合点を有するモノマーの量を制御することによる。別の方法は、加えられるOS量を制限することである。OSが、利用可能な結合点よりも少ない化学量論量で加えられる場合、遊離の結合点が残留する。これらの遊離の結合点は、別のポリマー鎖との架橋に使用することができ、他の目的で使用することもできる。好ましくは、OS基は、ポリマー主鎖に結合するための1つの官能基を有する単官能基である。好ましくはこの官能基はアミンまたはアルコールであり、ポリマー主鎖上の結合点として利用可能な好ましいカルボン酸と結合する。
【0060】
OS基が2つ以上の官能基を含む場合、このOS基を介して複数の異なるポリマー鎖を架橋させることができる。このようなことが生じるためには、OS基が2つの別々のポリマー鎖と結合する。OS基上のアミンは、ポリマー鎖上のカルボン酸と反応してアミド結合を形成することができる。これは縮合反応であり、水が副生成物として生成される。反応の終了を促進するために、反応系から水を除去することが望ましい。これは、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水剤を使用して促進することができ、続いてポリイミドポリマーを単離することができる。さらに、このアミド形成反応は酸触媒を使用して促進することができる。OS化合物がカルボン酸と反応させるためのアルコールを含有する場合でも、水が副生成物として生成され、水を除去することによって反応終了が促進されやすくなる。
【0061】
別の可能性の1つは、反応容器から共沸蒸留によって水を除去することである。これは、キシレンまたはトルエンなどの共沸剤を加えるか、または使用し続け、次に水を蒸発させ、水を反応容器から除去し、反応器から水が出た後でこの水を廃棄することによって行うことができる。これは、イミド化反応に関して前述した方法と類似している。
【0062】
本発明の方法は、ポリイミドポリマーの最大2回の単離を含む。可能性のある第1の単離はポリマーイミド化反応の後であり、可能性のある第2の単離はOS基がポリイミドポリマーに結合した後である。縮合反応中に気体状態の水の共沸除去を行うと、後の単離が不要になる。従って、気体の水が、ポリマーイミド化反応またはOS結合反応のいずれか一方の間に共沸除去される場合、最終的なOS含有ポリマーの生成に必要な単離回数は1回まで減少する。気体の水が上記反応の両方の後に除去される場合、単離を全く行わずに最終生成物を生成することが可能である。
【0063】
ポリイミドポリマー上の結合点としてカルボン酸を使用し、OS上の官能基としてアミンまたはアルコールを使用することによって、穏やかな反応条件を使用してOS基をポリマー主鎖に連結することができる。例えば、カルボン酸/アミンの結合の反応条件は、厳格な材料の純度または乾燥度を必要とせず、および/または約25℃の比較的低温で完了させることができる。アルコールをカルボン酸結合点と反応させる場合も類似の条件が可能となる。
【0064】
留意すべきこととして、OS化合物の費用は高い場合があるので、OS基をポリイミドポリマーに連結するために非常に効率的な手段を使用することが望ましい。カルボン酸とアミン基との連結は、OSのポリイミドへの結合に関して非常に効率的であり、これを利用して約73%から約99%の範囲内の連結効率を得ることができる。OS基をポリイミドポリマーに連結した後、生成物は、後の使用のために保管することもできるし、生成物を直ちに使用してポリマーフィルムまたはその他の所望のポリマー物品を製造することもできる。
【0065】
ポリマーの使用
前述の方法で製造したポリイミドポリマーは、幾つかの特殊な目的で使用することができる。考慮すべき重要な特性の1つは、ポリマーの色である。ポリイミドポリマーは、通常、50%透過率波長(50%T)と呼ぶことができる特定波長までの短波長側の光を吸収する。50%透過率波長より長い波長を有する光は、一般に、ポリマーが吸収せずに透過するか、またはポリマーによって反射される。50%Tは、電磁放射線の50%がポリマーを透過する波長である。ポリマーは50%Tを超えるほとんどすべての電磁放射線を透過する傾向にあり、ポリマーは50%T未満のほとんどすべての電磁放射線を吸収し、ほぼ50%T波長において透過と吸収の間の急激な遷移が起こる。50%Tを可視スペクトル未満に移動できる場合、このポリマーは非常に透明になる傾向にあるが、50%Tが可視スペクトル内またはこれを超える場合、このポリマーは有色となる。
【0066】
一般に、ポリマーの溶解性を増加させる要因も50%Tを減少させる傾向にあり、これによってポリマーの色が減少する。従って、ポリマーの色を減少させる傾向にある要因としては、可撓性スペーサー、キンク結合、嵩高置換基、および異なる面内に配置された複数のフェニル基が挙げられる。本発明は、着色が非常にわずかなポリイミドポリマーを提供する。
【0067】
色の薄いポリイミドポリマーは幾つかの用途において有用である。例えば、ポリイミドが人工衛星の多層絶縁ブランケット中のカバーとして使用される場合、色がないことで、吸収される電磁放射線量が最小限となる。これによって、ポリマーが直接太陽光に曝露する場合に吸収される熱が最小限となる。人工衛星の温度変化は大きい場合があり、透明ポリイミドポリマー、特にAO劣化に対して抵抗性である透明ポリイミドポリマーでは利点が得られる。
【0068】
表示パネルも、表示画像の品質に影響しないようにするため、透明である必要がある。本発明は表示パネルに有用である。光学的透明性に加えて、表示パネルは、水および酸素に対する低い透過率、低い熱膨張係数を有するべきであり、より高温で安定であるべきである。200℃における熱安定性が望ましいが、250℃における安定性が好ましく、300℃における安定性がより好ましい。本発明のポリマーの表面は、表面を酸素プラズマに曝露することによってガラス化することができる。これによってOS基が劣化してガラス状物質となり、この物質はポリマー表面を被覆し保護する傾向にある。このガラス層は十分薄いため、層を曲げたりたわませたりしても破壊されない。このガラス化層は、ポリマーを保護し、ガラス化層が十分厚ければ、その結果得られるポリマーの水および酸素に対する透過性を低下させることができる。OS含有ポリマーの表面をガラス化させると、酸素および水蒸気に対する透過率が低下する傾向にあり、そのため、この透過率を低下させるためのさらなる対策の必要性が減少するか、または不要となる。透過率を低下させるために使用することができるさらなる対策の一例は、フィルムの表面上に酸化ケイ素を堆積させることによってガラス化層を厚くすることである。ポリマー中にわずかに存在する色の影響は、厚さ1ミルなどの薄いフィルムでポリマーを供給することによって最小限となる。フィルムが厚いほど耐久性が高くなるが、フィルムは重くなり、色の影響が大きくなる傾向も生じ、薄いフィルムではこの反対のことが当てはまる。
【0069】
ポリイミドフィルムは非常に強靱になりやすく、そのためこれらのフィルムは保護カバーとして使用することができる。例えば、ポリイミドフィルムのシートを太陽電池パネル上に配置して、パネルを気候およびその他の損傷原因から保護することができる。太陽電池パネルを適切に操作するためには、パネルが太陽光を吸収する必要がある。色の薄いポリイミドポリマーは、太陽電池パネル、および保護された物体が見えることが望ましい他の品目を保護するために有用である。
【実施例1】
【0070】
オーバーヘッドスターラー、温度計、およびゴム隔膜を取り付けた、清浄で乾燥させた5リットル(l)の反応器に、428.26グラム(g)のAPB、81.88gのDBA、および5591.08gのDMAcを加えた。反応器を閉じて試薬が溶解するまで溶液をオーバーヘッドスターラーで激しく撹拌しながら、乾燥アルゴンでパージした。この溶液に898.76gの6FDAを加え、得られたスラリーを24時間撹拌した後、13.78gの無水フタル酸(PA)を反応容器に加え、4時間反応させた。501.18gのピリジンおよび646.84gの無水酢酸をこの溶液に加えた。溶液を室温で24時間撹拌した後、70℃で24時間撹拌した後、室温まで冷却し、脱イオン水中で沈殿させた。回収したポリマーはSPCと呼ばれ、これを水で3回洗浄した後、100℃の真空オーブン中で終夜乾燥させると、1374.81gの乾燥SPC(収率98%)が得られた。
【0071】
オーバーヘッドスターラー、温度計、およびゴム隔膜を取り付けた、清浄で乾燥させた5Lの反応器に、前述のようにして調製したSPCを900.00gと5406.75gのジクロロメタン(DCM)とを加えた。反応器を閉じて均一になるまで溶液を撹拌しながら、乾燥アルゴンでパージした。398.75gのアミノプロピルイソブチル多面体OS、86.55gのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、および1802.25gのDCM、および891.00gのジメチルアセトアミド(DMAc)をこの溶液に加えた。反応を室温で24時間進行させた。次に反応器を0℃に3時間冷却すると、この時間の間に内容物は不均一になった。反応器の内容物を取り出し、濾過して沈殿物を除去した。回収したポリマー溶液をエタノール中で沈殿させ、回収し、脱イオン水で3回洗浄した。次に得られたOS含有ポリマーを110℃の真空オーブン中で48時間乾燥させると、1148.30gの乾燥ポリマー(収率94%)が得られた。
【実施例2】
【0072】
オーバーヘッドスターラー、温度計、およびゴム隔膜を取り付けた、清浄で乾燥させた5Lの反応器に、実施例1で調製したSPCを1050.00gと、4000.00gのテトラヒドロフラン(THF)とを加えた。反応器を閉じて均一になるまで溶液を撹拌しながら、乾燥アルゴンでパージした。403.18gのアミノプロピルイソブチル多面体OS、87.51gのDCC、および2090.00gのTHFをこの溶液に加えた。反応を室温で24時間進行させた。次に反応器を0℃に3時間冷却すると、この時間の間に内容物は不均一になった。反応器の内容物を取り出し、濾過して沈殿物を除去した。回収したポリマー溶液を脱イオン水中で沈殿させ、回収し、脱イオン水で3回洗浄した。次に得られたOS含有ポリマーを110℃の真空オーブン中で48時間乾燥させると、1207.90gの乾燥ポリマー(収率98%)が得られた。
【0073】
結論
本明細書に記載された方法は、非常に効率的であり、ポリイミドポリマーの単離が1回のみ、さらには0回となる変法を含む。このことは、ポリイミドポリマーが形成される反応、またはOS基をポリイミドポリマーに結合させる反応、またはこの両方のいずれかの間に、気体としての水を除去することによって行われる。全体のプロセスは、わずか1つまたは2つの釜で完了し、各反応は高収率で進行する。ポリマーの単離を行う場合、これは単純な沈殿および濾過による分離であり、これは比較的効率的となる。クロマトグラフィーや、他のより複雑な分離方法を使用する必要はない。より複雑な分離方法では、1バッチで製造することができる生成物量が限定され、およびバッチを進行できる速度が限定される。好ましいモノマーは市販されており、その結果、比較的安価となり、高い生産速度でより効率的なプロセスが得られる。
【0074】
本発明を限定された数の実施形態に関して説明してきたが、本開示の利益を有する当業者であれば、本明細書に開示されるような本発明の範囲から逸脱しない他の実施形態を考案できることが理解できる。従って、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドポリマーの製造方法であって:
(a)少なくとも1種類の酸モノマーを少なくとも1種類のジアミノモノマーと反応させて、ポリマー主鎖が少なくとも1つの非末端結合点を含むようなポリイミドポリマー主鎖を形成するステップであって、結合点がカルボン酸で構成されるステップ;
(b)ステップa)の後で、アミンおよびアルコールからなる群より選択される官能基をポリマー主鎖の結合点と反応させるステップであって、官能基がオリゴマーシルセスキオキサン(OS)化合物に連結されるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
ポリイミドポリマーが可溶性である、請求項1の方法。
【請求項3】
ポリマー主鎖が最大1回単離される、請求項1の方法。
【請求項4】
OSが多面体の形態である、請求項1の方法。
【請求項5】
酸モノマーが4−4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6−FDA)であり、ならびにジアミノモノマーがジアミノ安息香酸(DBA)とp−フェニレンジアミン(p−PDA)との両方である、請求項4の方法。
【請求項6】
ポリイミドポリマーの製造方法であって:
(a)少なくとも1種類の酸モノマーを少なくとも1種類のジアミノモノマーと反応させてポリマー主鎖を形成するステップであって、モノマーは、ポリマー主鎖が非末端結合点を含むように選択されるステップ;
(b)ステップ(a)で得たポリマーをイミド化して可溶性ポリイミドポリマー主鎖を形成するステップ;
(c)ステップ(b)の後、オリゴマーシルセスキオキサン(OS)化合物をポリイミドポリマー主鎖上の結合点と反応させて、OS化合物をポリイミドポリマー主鎖に連結させるステップ;および
(d)ポリマー主鎖の単離を最大1回行うステップ
を含む、方法。
【請求項7】
OSが多面体であり、OSが、一般式(RSi)n−1(R’A)(O1.5を有し、式中、RおよびR’は有機置換基であり、Aはある元素であり、ならびにR’はポリマー主鎖に連結している、請求項6の方法。
【請求項8】
AがSi、Al、B、Ge、Sn、Ti、およびSbからなる群より選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
酸モノマーが4−4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6−FDA)であり、ジアミノモノマーがジアミノ安息香酸(DBA)とp−フェニレンジアミン(p−PDA)との両方であり、ならびにAがケイ素である、請求項7の方法。
【請求項10】
ステップ(b)が、水の蒸発および除去によって、イミド化反応の水を除去することをさらに含む、請求項6の方法。
【請求項11】
ステップ(c)が、水の蒸発および除去によって、OS結合反応の水を除去することをさらに含む、請求項10の方法。
【請求項12】
結合点がカルボン酸であり、ならびにOS化合物が、アミンおよびアルコールからなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含み、前記官能基がカルボン酸結合点と反応することで、OS化合物がポリマー主鎖に連結する、請求項6の方法。
【請求項13】
ポリイミドポリマーであって、
少なくとも1つの非末端フェニル基を含むポリイミドポリマー主鎖;
カルボニル炭素および結合窒素原子を含むアミド結合であって、カルボニル炭素が、単結合によってポリマー主鎖中の非末端フェニル基に連結しており、結合窒素原子が、単結合によってカルボニル炭素に連結しているアミド結合;
互いに連結したケイ素原子および酸素原子を含む少なくとも1つのオリゴマーシルセスキオキサン(OS)化合物;および
OS化合物の各ケイ素原子に連結した有機置換基であって、少なくとも1つの有機置換基が、アミド結合の結合窒素原子に連結している有機置換基
を含む、ポリイミドポリマー。
【請求項14】
OS化合物が多面体型である、請求項13のポリイミドポリマー。
【請求項15】
ポリイミドポリマーが可溶性である、請求項13のポリイミドポリマー。
【請求項16】
ポリイミドポリマーであって、
少なくとも1つの非末端フェニル基を含むポリイミドポリマー主鎖;
カルボニル炭素および結合酸素原子を含むエステル結合であって、カルボニル炭素が、単結合によってポリマー主鎖中の非末端フェニル基に連結しており、結合酸素原子が、単結合によってカルボニル炭素に連結しているエステル結合;
互いに連結したケイ素原子および酸素原子を含む少なくとも1つのオリゴマーシルセスキオキサン(OS)化合物;および
OS化合物の各ケイ素原子に連結した有機置換基であって、少なくとも1つの有機置換基が結合酸素原子に連結することでテザーを形成している有機置換基
を含む、ポリイミドポリマー。
【請求項17】
OS化合物が多面体型である、請求項16のポリイミドポリマー。
【請求項18】
ポリイミドポリマーが可溶性である、請求項16のポリイミドポリマー。
【請求項19】
ポリイミドポリマーであって、次式:
【化1】

(式中、Xは、オリゴマーシルセスキオキサン(OS)化合物を含み、ならびにXXは、酸素原子、または水素原子が結合した窒素原子からなる群より選択され;YYは、次式:
【化2】

で表される化合物からなる群より選択され、
ならびにZZは、直接結合、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CH−、−CF−、−C(CH−、−(CF−、−(CH−、−(CHCHCHO)−、−((CHO)−、−(Si(CHO)−、−(SiH(CH)O)−、−(SiH(C)O)−、および−(Si(CO)−からなる群より選択され、ならびにWWは、水素、および次式:
【化3】

の1つによって表される化合物からなる群より選択される。)
によって表される少なくとも1つの単位を含むポリイミドポリマー主鎖を含む、ポリイミドポリマー。
【請求項20】
OS化合物が、一般式(RSi)n−1(R’A)(O1.5を有し、式中、RおよびR’は有機置換基であり、Aはある元素であり、ならびにR’はポリマー主鎖に連結している、請求項19のポリマー。
【請求項21】
AがSi、Al、B、Ge、Sn、Ti、およびSbからなる群より選択される、請求項20のポリマー。
【請求項22】
OS化合物が多面体型である、請求項19のポリマー。
【請求項23】
ポリイミドポリマーが可溶性である、請求項19のポリマー。
【請求項24】
ポリマーが次式:
【化4】

によって表される化合物からなる群より選択される少なくとも1つの単位を含む、請求項19のポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−538144(P2010−538144A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524061(P2010−524061)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/050891
【国際公開番号】WO2009/032355
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510061689)ネクソルブ・コーポレイシヨン (1)
【Fターム(参考)】