説明

オリゴマーポリオールを含むポリウレタン発泡体

本発明は、オリゴマーポリオールを含むポリウレタン発泡体に関する。本発明の実施形態において、ポリウレタン発泡体は、(a)ポリイソシアネートと(b)約45〜約65mgKOH/gのヒドロキシル価、約2.7未満の数平均ヒドロキシル官能性(Fn)及び約40重量%以上のオリゴマーを有するオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物との反応生成物を含む。本発明のポリウレタン発泡体は、スラブストック発泡体又は成形発泡体であってよい。低臭気ポリオール及びポリウレタン組成物も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴマーポリオールを含むポリウレタン発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタン発泡体は、一般に、触媒、発泡剤及び他の任意の成分の存在下で石油由来のポリオール又はポリオール組成物を有機ポリイソシアネートと反応させることにより製造される。1960年代以来、軟質ポリウレタン発泡体は、自動車、寝具及び輸送機関のクッション材、荷重支持材及び快適提供構成材として使用されてきた。
【0003】
軟質ポリウレタン発泡体を製造する際に、用いるポリオール又はポリオール組成物のいくつかの特性が所望の特性を有する軟質発泡体の製造に重要である。1つの重要なポリオールの特性は、ポリオールの数平均ヒドロキシル官能性である。一般に、所望の特性を有する軟質ポリウレタン発泡体を形成させるために、約3の数平均ヒドロキシル官能性を有するポリオールが望ましい。数平均ヒドロキシル官能性がその所望の範囲から低くなると、ポリウレタンポリマーネットワークの質が失われ、発泡体の特性は急速に劣化すると従来から理解されている。数平均ヒドロキシル官能性が3.0以下である場合、安定な連続気泡発泡体が形成されないか、又は形成されたとしても有用でないような不良な物理的特性を有すると予想される。
【0004】
ポリウレタン発泡体の特性は、様々な方法により測定することができる。一般に、発泡体は、引張強さ、引裂き、硬度、伸び、圧縮及び他の特性について測定することができる。特性の相対的重要性は、発泡体の予想される用途によって異なる。
【0005】
石油由来ポリオールは、発泡体の製造に広く使用されている。しかし、発泡体の製造における再生可能な資源の使用に対する関心が高くなっている。これが、発泡体の製造用の植物油ベースのポリオールの開発の研究につながった。
【0006】
他の研究者らは、バイオベースのポリオールから軟質発泡体を製造することを試みた。国際公開第2004/096883A1号及び国際公開第2004/09882A1号は、バイオベースのポリオール配合物からTDIベースの従来のスラブストック発泡体を製造する方法を報告し、得られた発泡体の物理的特性を記載している。報告されたバイオベースのポリオールは、2.8を超える数平均ヒドロキシル官能性を有する。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、オリゴマーポリオールを含むポリウレタン発泡体に関する。いくつかの実施形態において、ポリウレタン発泡体は、スラブストック発泡体、例えば、軟質スラブストック発泡体である。他の実施形態において、ポリウレタン発泡体は、成形発泡体である。
【0008】
1つの態様において、本発明は、(a)ポリイソシアネートと(b)約45〜約65mgKOH/gのヒドロキシル価、約2.7未満の数平均ヒドロキシル官能性(Fn)及び約40重量%以上のオリゴマーを有するオリゴマーポリオール含む活性水素含有組成物との反応生成物を含むポリウレタン発泡体を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、オリゴマーポリオールに特性の所望のバランスを与えるエポキシ化天然油のある程度の開環及びオリゴマー化を有する。すなわち、開環及びオリゴマー化の程度を調節して、所望のヒドロキシル(OH)価、数平均ヒドロキシル官能性(Fn)、エポキシ酸素含量(EOC)、粘度、分子量、反応性ヒドロキシル基間の距離等を有するオリゴマーポリオールを提供する。例えば、いくつかの実施形態において、約0.01〜約5.5%の残留エポキシ酸素含量(EOC)を有するオリゴマーポリオールを提供するために、エポキシ化天然油を部分的に開環させる。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールが約40重量%以上のオリゴマー、例えば、約55重量%〜約65重量%のオリゴマーを有するようにポリオールのオリゴマー化の程度を調節する。ここで、オリゴマーは、二量体、三量体、四量体及びより高次のオリゴマーを含む。例えば、オリゴマーポリオールは、約8重量%〜約12重量%の二量体、約5重量%〜約10重量%の三量体、並びに約35重量%以上の四量体及びより高次のオリゴマーを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約45〜約65mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールを用いて、ポリウレタン発泡体配合物における1つ又は複数の石油由来ポリオールの少なくとも一部を置換する。例えば、軟質スラブストックポリウレタン発泡体配合物において、オリゴマーポリオールは、石油由来ポリオール、例えば、約3000g/モルの分子量及び約56mgKOH/gのヒドロキシル価を有する石油由来トリオールの少なくとも一部を置換することができる。したがって、いくつかの実施形態において、活性水素含有組成物は、オリゴマーポリオール及び石油由来ポリオールを含む。一般に、活性水素含有組成物は、約10重量%〜約60重量%のオリゴマーポリオール及び約40重量%〜約90重量%の石油由来トリオール、又は約15重量%〜約40重量% のオリゴマーポリオール及び約60重量%〜約85重量%の石油由来ポリオールを含む。
【0011】
有利なことに、活性水素含有化合物がオリゴマーポリオール及び石油由来ポリオールを含む場合に、得られる軟質スラブストック発泡体の支持係数は、発泡体の密度に無関係にオリゴマーポリオール及び石油由来ポリオールの量を変化させることによって調節することができる。特に、オリゴマーポリオールの量が増加すると、一定の密度の発泡体の支持係数も増加する。
【0012】
多くの実施形態において、オリゴマーポリオールは、例えば、2.7以下の低い数平均ヒドロキシル官能性を有する。低いヒドロキシル官能性のポリオールは、単官能種が連鎖停止剤として作用する可能性があるため、軟質ポリウレタン発泡体の一部の物理的特性(例えば、引張強さ、引裂強さ等)を劣化させることが知られているが、本発明のポリウレタン発泡体は、低い数平均ヒドロキシル官能性ポリオールを含む発泡体において予測されるような物理的特性より良好な物理的特性を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明のポリウレタン発泡体は、石油由来トリオールに基づく対照配合物を含むポリウレタン発泡体の外部スキン密度より低い外部スキン密度を有する。いくつかの実施形態において、ポリウレタン発泡体の外部スキンの密度は、対照配合物と比較して約0.25lb/ft3低い。いくつかの実施形態において、外部スキンの密度は、対照配合物と比較して約0.50lb/ft3以上又は約0.75lb/ft3以上又は約1.0lb/ft3以上低い。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明のポリウレタン発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して改善された手触りを有する。手触りは、例えば、5%IFD、表面粗度及び平均気泡サイズにより測定することができる。いくつかの実施形態において、5%IFDが対照配合物のIFDと比較して約2%以上低い。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明のポリウレタン発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して改善された難燃性を有する。例えば、該ポリウレタン発泡体は、Technical Bulletin 117「装飾家具に用いる弾性充填材の難燃性の試験の要件、試験手順及び装置(Requirements, Test Procedure and Apparatus for Testing the Flame Retardance of Resilient Filling Materials Used in Upholstered Furniture)」(2000年3月)により測定されたように、改善されたチャー長さ(char length)を有すると思われる。
【0016】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは臭気発生化合物が低く、結果として、ポリウレタン発泡体は低い臭気を有する。臭気は、例えば、臭気発生化合物、例えば、化合物ヘキサナール、ノナナール及びデカナールの量を測定することによって測定することができる。したがって、他の態様において、本発明は、低い臭気のオリゴマーポリオール及びそれから製造されるポリウレタン発泡体を提供する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオール又はポリウレタン発泡体は、約30ppm以下のヘキサナールを有する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオール又はポリウレタン発泡体は、約30ppm以下のノナナールを有する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオール又はポリウレタン発泡体は、約20ppm以下のデカナールを有する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオール又はポリウレタン発泡体中のヘキサナール、ノナナール及びデカナールの総量は、約80ppm以下である。
【0017】
例えば、改善された耐水性、色堅牢度及びIFD勾配などの本発明のポリウレタン発泡体の他の利点を本明細書に記載する。
【0018】
本明細書で用いる場合、「ポリオール」は、1分子当たり平均1.0個を超えるヒドロキシル基を有する分子を意味する。これは、他の官能性も含んでいてよい。
【0019】
本明細書で用いる場合、「オリゴマーポリオール」は、オリゴマーの生成をもたらす方法で完全又は部分的エポキシ化天然油(植物ベース(based)油又は動物脂肪)を開環することによって調製された天然に存在しないポリオールを意味する。
【0020】
本明細書で用いる場合、「オリゴマー」は、エポキシド開環反応により互いに化学的に結合させた2つ以上のトリグリセリドベースの単量体を意味する。オリゴマーは、二量体、三量体、四量体及びより高次のオリゴマーを含む。
【0021】
本明細書で用いる場合、「二量体」は、エポキシド開環反応により互いに化学的に結合させた2つのトリグリセリドベースの単量体を意味する。
【0022】
本明細書で用いる場合、「三量体」は、エポキシド開環反応により互いに化学的に結合させた3つのトリグリセリドベースの単量体を意味する。
【0023】
本明細書で用いる場合、「四量体」は、エポキシド開環反応により互いに化学的に結合させた4つのトリグリセリドベースの単量体を意味する。
【0024】
本明細書で用いる場合、「スラブストック(slabstock)」は、反応物を混合し、それらをキャリア上に計量供給することにより、それらが自由膨張し、硬化して、一般に名目上長方形の断面を有するポリウレタン発泡体の連続的ブロック又はバン(bun)を形成するように製造されるポリウレタン発泡体を意味する。スラブストックポリウレタン発泡体には、軟質スラブストック発泡体が含まれる。
【0025】
本明細書で用いる場合、「成形(された)」は、反応物を混合し、それらを型に計量注入することにより、それらが反応し、型を満たして、型の空洞の形状をとるように調製されるポリウレタン発泡体を意味する。
【0026】
本明細書で用いる場合、「活性水素含有組成物」は、イソシアネート基と反応することができる水素原子を含む基を有する反応物を含む組成物を意味する。例としては、アルコール(例えば、ポリオール)及びアミン(例えば、ポリアミン)が挙げられる。
【0027】
本明細書で用いる場合、「石油由来のポリオール」は、石油原料から製造されるポリオールを意味する。
【0028】
本明細書で用いる場合、「対照配合物」は、オリゴマーポリオールが、3000g/モル石油由来のトリオールのような等量の石油由来のトリオールで置換されたポリウレタン配合物を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、オリゴマーポリオールを含むポリウレタン発泡体(例えば、軟質スラブストックポリウレタン発泡体)に関する。
【0030】
オリゴマーポリオールの調製
本発明のポリウレタン発泡体に有用なオリゴマーポリオールは、エポキシ化天然油を開環することにより調製することができる。多くの実施形態において、開環は、(1)エポキシ化天然油、(2)開環酸触媒及び(3)開環剤を含む反応混合物を用いて行う。これらの材料については、下でより詳細に述べる。本発明のポリウレタン発泡体のいくつかの実施形態において国際公開第2006/012344A1号(Petrovicら)に報告されている修飾植物油ベースのポリオールも有用である。
【0031】
エポキシ化天然油
第1の成分は、エポキシ化天然油である。エポキシ化天然油としては、例えば、エポキシ化植物ベース(plant-based)油(例えば、エポキシ化植物油)及びエポキシ化動物脂肪などがある。エポキシ化天然油は、部分的又は完全にエポキシ化されていてよい。部分的にエポキシ化された天然油は、油に存在する最初の二重結合の量の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%以上を含んでいてよい。部分的にエポキシ化された天然油は、油に存在する最初の二重結合の量の最大約90%、最大約80%、最大約75%、最大約70%、最大約65%、最大約60%以下を含んでいてよい。完全にエポキシ化された天然油は、油に存在する最初の二重結合の量の最大約10%、最大約5%、最大約2%、最大約1%以下を含んでいてよい。
【0032】
天然油の例としては、植物ベース油(例えば、植物油)及び動物脂肪などがある。植物ベース油の例としては、ダイズ油、ベニバナ油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ひまわり油、オリーブ油、カノーラ油、ゴマ油、綿実油、パームベース(palm-based)油、ナタネ油、桐油、ラッカセイ油、及びその組合せなどがある。動物脂肪は、例えば、魚油、ラード及び獣脂も用いてよい。植物ベース油は、天然又は遺伝学的に修飾された植物油、例えば、高オレインベニバナ油、高オレインダイズ油、高オレインラッカセイ油、高オレインひまわり油及び高エルカナタネ油(クランベ油)であってよい。天然油における1分子当たりの二重結合の数は、油のヨウ素価(IV)により定量することができる。例えば、1分子当たり1つの二重結合を有する植物油は、約28のヨウ素価に相当する。ダイズ油は、一般に二重結合約4.6個/分子を有し、約127〜140のヨウ素価を有する。カノーラ油は、一般に二重結合約4.1個/分子を有し、約115のヨウ素価を有する。一般に、植物油のヨウ素価は、約40〜約240であろう。いくつかの実施形態において、約80を超える、約100を超える、又は約110を超えるヨウ素価を有する植物油を用いる。いくつかの実施形態において、約240未満、約200未満、又は約180未満のヨウ素価を有する植物油を用いる。
【0033】
有用な天然油は、脂肪酸のトリグリセリドを含む。脂肪酸は、飽和又は不飽和であってよく、約C12〜約C24の鎖長を含んでいてよい。不飽和脂肪酸は、一価不飽和及び多価不飽和脂肪酸を含む。一般的な飽和脂肪酸としては、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)及びリグノセリン酸(テトラコサン酸)などがある。一般的な一価不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン(C16不飽和酸)及びオレイン(C18不飽和酸)などがある。一般的な多価不飽和脂肪酸としては、リノール酸(C18二価不飽和酸)、リノレン酸(C18三価不飽和酸)及びアラキドン酸(C20四価不飽和酸)などがある。トリグリセリド油は、三官能性グリセリン分子の3部位にランダムに配置された脂肪酸のエステルからなる。異なる植物油は、これらの脂肪酸の異なる比率を有する。所与の植物油の脂肪酸の比率は、例えば、作物が生育する場所、作物の成熟度、生育期中の天候等のような因子によっても異なる。このため、所与の植物油について特定又は固有の組成を提供することは困難であり、むしろ組成は一般に統計的平均として報告される。例えば、ダイズ油は、約15:24:50:11の比率のステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸の混合物を含む。これは、平均分子量が約800〜860g/モルであり、二重結合の平均数が1トリグリセリド当たり約4.4〜約4.7であり、ヨウ素価が約120〜約140であるということになる。
【0034】
例示的な実施形態において、エポキシ化天然油は、完全にエポキシ化されたダイズ油である。理論により束縛されることを望まないが、残留エポキシ基を有する飽和エポキシ化植物油の使用により、良好な酸化安定性を有するオリゴマーポリオールが得られると考えられる。不飽和エポキシ化植物油の使用により、飽和エポキシ化植物油を用いて調製した生成物と比較して低い粘度を有するオリゴマーポリオールが得られるということも考えられる。
【0035】
他の例示的な実施形態において、天然油は、パームベース油である。本明細書で用いる場合、「パームベース油」は、アブラヤシの果実の中果皮及び/又は核から得られる油又は油画分を意味する。パームベース油としては、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、パーム核油、パーム核オレイン、パーム核ステアリン及びその混合物などがある。パームベース油は、粗、精製、脱ガム、脱色、脱臭、分別又は結晶化されていてよい。多くの実施形態において、パームベース油は、精製され、脱色され、脱臭されている(すなわち、「RBD」油)。
【0036】
パーム油は、アブラヤシ果実の中果皮から得られる油を意味する。パーム油は、一般に室温で半固体であり、約50%の飽和脂肪酸と約50%の不飽和脂肪酸を含む。パーム油は、モノグリセリド及びジグリセリドが少量存在してもよいが、一般に主として脂肪酸トリグリセリドを含む。脂肪酸は、一般に約C12〜約C20の範囲の鎖長を有する。代表的な飽和脂肪酸としては、例えば、C12:0、C14:0、C16:0、C18:0及びC20:0飽和脂肪酸などがある。代表的な不飽和脂肪酸としては、例えば、C16:1、C18:1、C18:2及びC18:3不飽和脂肪酸などがある。パーム油の代表的な組成範囲を表Aに示す。
【0037】
パームオレインは、制御された温度での結晶化後のパーム油の分別により得られる液体画分を意味する。パーム油と比較して、パームオレインは、不飽和脂肪酸、例えば、C18:1及びC18:2脂肪酸の高い含量を有し、高いヨウ素価を有する。いくつかの実施形態において、パームオレインを複数回分別して、不飽和脂肪酸(C18:1、C18:2)のより高い含量及びより高いヨウ素価を有するパームオレインを生成させる。複数回分別されたパームオレインは、場合によってスーパーパームオレインと呼ばれることがある。パームオレインの代表的な組成範囲を表Aに示す。市販のパーム油及びパームオレインの代表的な例としては、IOI Group、Loders Croklaan Company製の商品名「SANS TRANS 25」、「SANS TRANS-39」及び「DURKEX NT100」並びに「FULLY REFINED PALM OLEIN IV 62 - SUPEROLEIN」(Cargill, Incorporated製)のもとに市販されているものなどがある。
【0038】
パームステアリンは、制御された温度での結晶化後のパーム油の分別により得られる固体画分を意味する。パーム油と比較して、パームステアリンは、より多くの飽和脂肪酸を含み、より高い融点を有する。パームステアリンの代表的な組成を表Aに示す。
【表1】

【0039】
部分的にエポキシ化又は完全にエポキシ化された天然油は、油の二重結合の一部又はすべてをエポキシ基に変換する条件下で天然油をペルオキシ酸と反応させることを含む方法により調製することができる。
【0040】
ペルオキシ酸の例としては、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、トリフルオロペルオキシ酢酸、ベンジルオキシペルオキシギ酸、3,5-ジニトロペルオキシ安息香酸、m-クロロペルオキシ安息香酸及びその組合せなどがある。いくつかの実施形態において、ペルオキシギ酸又はペルオキシ酢酸を用いる。ペルオキシ酸は、反応混合物に直接加えることができ、或いはヒドロペルオキシドをギ酸、安息香酸、脂肪酸(例えば、オレイン酸)又は酢酸などの対応する酸とin situで反応させることにより生成させることもできる。用いることができるヒドロペルオキシドの例としては、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド、トリフェニルシリルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド及びその組合せなどがある。例示的な実施形態において、過酸化水素を用いる。一般に、ペルオキシ酸を生成させるのに用いる酸の量は、植物油中1モルの二重結合当たり約0.25〜約1.0モルの酸、より一般には植物油中1モルの二重結合当たり約0.45〜約0.55モルの酸である。一般に、ペルオキシ酸を生成させるために用いるヒドロペルオキシドの量は、植物油中1モルの二重結合当たり約0.5〜約1.5モルのヒドロペルオキシド、より一般には植物油中1モルの二重結合当たり約0.8〜約1.2モルのヒドロペルオキシドである。
【0041】
一般に、その他の酸成分も反応混合物中に存在する。そのようなその他の酸成分の例としては、硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フルオロホウ酸、ルイス酸、酸性クレイ又は酸性イオン交換樹脂などがある。
【0042】
場合によって、溶媒を反応物に含めることができる。有用な溶媒は、化学的に不活性な溶媒、例えば、非プロトン性溶媒などである。これらの溶媒は、求核試薬を含まず、酸と非反応性である。芳香族及び脂肪族炭化水素などの疎水性溶媒が特に望ましい。適切な溶媒の代表的な例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、イソヘキサン、ペンタン、ヘプタン及び塩素化溶媒(例えば、四塩化炭素)などである。例示的な実施形態において、トルエンを溶媒として用いる。溶媒は、反応速度を低下させるため、或いは副反応の数を減少させるために用いることができる。一般に、溶媒は、得られる組成物の粘度低下剤としても作用する。
【0043】
エポキシ化反応に続いて、反応生成物を中和してもよい。中和剤は、反応生成物中の残存酸成分を中和するために用いることができる。適切な中和剤は、弱塩基、金属重炭酸塩又はイオン交換樹脂などである。用いることができる中和剤の例は、アンモニア、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、アミン及び樹脂並びに中和剤の水溶液などである。一般に、中和剤は、陰イオンイオン交換樹脂とする。適切な弱塩基性イオン交換樹脂の1つの例は、商品名「LEWATIT MP-64」(Bayer製)のもとに販売されている。固体中和剤(例えば、イオン交換樹脂)を用いる場合、ろ過により固体中和剤をエポキシ化植物油から除去することができる。或いは、樹脂又は他の物質を含む中和層に反応混合物を通すことにより、反応混合物を中和することができる。或いは、反応生成物を繰返し洗って、生成物から酸性成分を分離し、除去することができる。さらに、反応生成物の中和に際して、1つ又は複数の方法を組み合わせることができる。例えば、生成物を洗い、樹脂物質で中和し、次いでろ過することができよう。
【0044】
エポキシ化反応の後に、過剰の溶媒を反応生成物(すなわち、完全にエポキシ化された植物油)から除去することができる。過剰の溶媒は、反応により生じた生成物又は反応物に加えられたものを含む。過剰の溶媒は、分離、真空又は他の方法により除去することができる。好ましくは、過剰の溶媒の除去は、真空への曝露により達成する。
【0045】
有用な完全にエポキシ化されたダイズ油は、商品名EPOXOL 7-4(American Chemical Systems製)及びFLEXOL ESO(Dow Chemical Co.製)のもとに市販されているものなどである。
【0046】
開環酸触媒
多くの実施形態において、開環反応を開環酸触媒の存在下で行わせる。開環酸触媒の代表的な例は、ルイス又はブレンステッド酸などである。ブレンステッド酸の例としては、ヒドロフルオロホウ酸(HBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸、次亜ホスホン酸、ボロン酸、スルホン酸(例えば、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸)及びカルボン酸(例えば、ギ酸及び酢酸)などがある。ルイス酸の例としては、三塩化リン及びハロゲン化ホウ素(例えば、三フッ化ホウ素)などがある。プロトン型のイオン交換樹脂も用いることができる。例示的な実施形態において、開環触媒はヒドロフルオロホウ酸(HBF4)である。開環触媒は、一般に反応混合物の総重量に基づいて約0.01重量%〜約0.3重量%、より一般には約0.05重量%〜約0.15重量%の量で存在する。
【0047】
開環剤
反応混合物の第3の成分が開環剤である。アルコール、水(残留量の水を含む)及び1つ又は複数の求核基を有する他の化合物などの種々の開環剤を用いることができる。開環剤の組合せを用いることができる。いくつかの実施形態において、開環剤は一価アルコールである。代表的な例は、メタノール、エタノール、プロパノール(n-プロパノール及びイソプロパノールを含む)及びブタノール(n-ブタノール及びイソブタノールを含む)並びにエチレングリコールのモノアルキルエーテル(例えば、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)などである。例示的な実施形態において、アルコールはメタノールである。いくつかの実施形態において、開環剤はポリオールである。軟質発泡体用に、1分子当たり約2以下のヒドロキシル基を有するポリオールを用いることが一般に好ましい。軟質発泡体用オリゴマーポリオールの製造に有用なポリオール開環剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどがある。植物油ベースポリオールも有用である。
【0048】
開環反応
開環反応は、得られる開環ポリオールのオリゴマー化を促進するために、化学量論的比率より小さい開環剤とエポキシドの比率を用いて行わせる。例示的な実施形態において、オリゴマーポリオールは、開環触媒、例えば、フルオロホウ酸の存在下で完全にエポキシ化されたダイズ油(ESBO)をメタノールと反応させることにより調製する。一般に、メタノールと完全にエポキシ化されたダイズ油とのモル比は、約0.5〜約3.0、より一般に約1.0〜約2.0である。例示的な実施形態において、メタノールとエポキシ化されたダイズ油とのモル比は、約1.3〜約1.7である。
【0049】
一般に、反応の開始時に、完全にエポキシ化されたダイズ油は約6.8%〜約7.4%のエポキシド酸素含量(EOC)を有する。開環反応は、好ましくは、すべてのエポキシド環が開環される前に停止させる。ある種の開環触媒の場合、触媒の活性は、開環反応中時間の経過に伴って低下する。したがって、開環触媒は、所望の終点(又はその近くの)EOCで反応が停止するような制御された速度で反応混合物に加えることができる。開環反応は、既知の技術、例えば、ヒドロキシル数滴定(ASTM E1899-02)、EOC滴定(AOCS Cd9-57法)又は発熱反応から除去される熱のモニタリングを用いてモニターすることができる。
【0050】
一般に、完全にエポキシ化されたダイズ油を用いる場合、開環反応は、残留エポキシ酸素含量(EOC)が約0.01%〜約6.0%、例えば、約0.5%〜約5.5%、約1%〜約5.0%、約2%〜約4.8%、約3%〜約4.6%又は約3.5%〜約4.5%であるときに停止させる。他のエポキシ化天然油を用いる場合、ポリオールの残留エポキシ酸素含量(EOC)は異なる可能性がある。例えば、パーム油の場合、残留EOCは約0.01%〜約3.5%、例えば、約0.2%〜約3.0%、約0.5%〜約2.0%又は約0.8%〜約1.5%である。本明細書で用いる場合、「エポキシ酸素含量」すなわち「EOC」は、パーセントとして表した分子中のエポキシド酸素の重量を意味する。
【0051】
開環反応中、開環ポリールのヒドロキシル基の一部が反応混合物中の他の分子(例えば、未反応の完全にエポキシ化されたダイズ油の分子又は未反応エポキシド基を有するポリオールの分子)に存在するエポキシド基と反応して、ポリオールのオリゴマー化(すなわち、二量体、三量体、四量体及びより高次のオリゴマーの生成)がもたらされる。オリゴマー化の程度は、例えば、数平均ヒドロキシル官能性、粘度及び反応性ヒドロキシル基間距離などのオリゴマーポリオールの所望の特性に寄与する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約40重量%以上のオリゴマー(すなわち、二量体、三量体及びより高次のオリゴマーを含む)を含む。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約35%〜約40重量%の単量体ポリオール及び約55%〜約65重量%のオリゴマー(例えば、二量体、三量体、四量体及びより高次のオリゴマー)を含む。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約35重量%〜約45重量%の単量体ポリオール、約55重量%〜約65重量%のオリゴマー(例えば、二量体、三量体、四量体及びより高次のオリゴマー)を含む。例えば、いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約35重量%〜約40重量%の単量体ポリオール、約8%〜約12重量%の二量体ポリオール、約5%〜約10重量%の三量体ポリオール及び約35重量%以上のより高次のオリゴマーを含む。
【0052】
オリゴマー化は、例えば、触媒濃度、反応物の化学量論及び開環中の撹拌の程度によって制御することができる。オリゴマー化は、例えば、より高濃度の触媒によって、又はより低濃度の開環剤(例えば、メタノール)によってより大きい程度で起る傾向がある。開環反応の完了時に、一般に任意の未反応のメタノールを例えば、真空蒸留により除去する。未反応のメタノールは、ポリイソシアネートをエンドキャップする単官能性種であるため、オリゴマーポリオール中では望ましくない。任意の過剰のメタノールを除去した後、得られたポリオールは、任意の固体不純物を除去するために、一般に例えば、50ミクロンバッグフィルターを用いてろ過する。
【0053】
オリゴマーポリオールの特性
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、低い数平均ヒドロキシル官能性を有する。数平均ヒドロキシル官能性は、ポリオールの分子に存在するペンダントヒドロキシル基(例えば、第一級、第二級又は第三級ヒドロキシル基)の平均数を意味する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約2.7以下、例えば、約2.6以下、約2.5以下、約2.4以下、約2.3以下、約2.2以下、約2.1以下、約2.0以下、約1.9以下、約1.8以下、約1.7以下、約1.6以下、約1.5以下又は約1.4以下の数平均ヒドロキシル官能性(Fn)を有する。一般に、数平均ヒドロキシル官能性は、約1.5〜約2.4又は約1.7〜約2.2の範囲である。
【0054】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約45〜約65mgKOH/g又は約55〜約65mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価(OH価)を有する。ヒドロキシル価は、反応に利用可能な反応性ヒドロキシル基の数を示す。これは、1gの試料のヒドロキシル含量に相当する水酸化カリウムのミリグラム数として表す。約45〜約65mgKOH/gの範囲のヒドロキシル価は、オリゴマーポリオールが、該配合物に一般に使用される石油由来のトリオールの少なくとも一部を置換している、軟質スラブストックポリウレタン配合物におけるオリゴマーポリオールの使用を促進するので、望ましい。例えば、いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約3000g/モルの分子量及び約56のヒドロキシル価を有する石油由来のトリオールの少なくとも一部を置換している。
【0055】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、低い酸価を有する。酸価は、ポリオールの1gの試料中に存在する酸を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラム数(すなわち、mgKOH/g)に等しい。酸は発泡速度を遅くするアミン触媒を中和する可能性があるので、高い酸価は望ましくない。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約5(mgKOH/g)未満、例えば、約4(mgKOH/g)未満、約3(mgKOH/g)未満、約2(mgKOH/g)未満又は約1(mgKOH/g)未満である酸価を有する。例示的な実施形態において、酸価は、約1(mgKOH/g)未満、例えば、約0.5(mgKOH/g)未満又は約0.2〜約0.5(mgKOH/g)である。
【0056】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールの数平均分子量(すなわち、Mn)は、約1000g/モル以上、例えば、約1100g/モル以上、約1200 g/モル以上、約1300 g/モル以上、約1400g/モル以上又は約1500 g/モル以上である。いくつかの実施形態において、Mnは、約5000g/モル未満、例えば、約4000g/モル未満、約3000g/モル未満又は約2000g/モル未満である。いくつかの実施形態において、Mnは、約1000〜5000g/モル、例えば、約1200〜3000g/モル、約1300〜2000g/モル、約1700〜1900g/モル又は約1500〜1800g/モルの範囲にある。数平均分子量は、例えば、光散乱、蒸気圧浸透法、末端基滴定及び束一的性質を用いて測定することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールの重量平均分子量(すなわち、Mw)は、約5000g/モル以上、例えば、約6000 g/モル以上、約7000 g/モル以上又は約8000g/モル以上である。いくつかの実施形態において、Mwは、約50000g/モル未満、例えば、約40000g/モル未満、約30000g/モル未満又は約20000g/モル未満である。いくつかの実施形態において、Mwは、約5000〜50000g/モル、例えば、約5000〜20000g/モル又は約6000〜15000g/モルの範囲にある。重量平均分子量は、例えば、光散乱、小角中性子散乱(SANS)、X線散乱及び沈降速度を用いて測定することができる。
【0058】
一般に、オリゴマーポリオールは、約3〜15、例えば、約4〜12又は約5〜10の多分散性(Mw/Mn)を有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、25℃で約0.5〜約10Pa・sの粘度を有する。ダイズ油を用いる場合、オリゴマーポリオールの粘度は、一般に約2〜約8Pa・s又は約3〜約7Pa・sである。パームベース油を用いる場合、オリゴマーポリオールの粘度は、一般に約4Pa・s未満、例えば、約3Pa・s未満、約2Pa・s未満、約1Pa・s未満又は約0.7Pa・s未満である。いくつかの実施形態において、パームベース油製のオリゴマーポリオールの粘度は、約0.5Pa・s〜約2Pa・sである。
【0060】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、残留二重結合を有するとしても少数である。オリゴマーポリオールを完全にエポキシ化されたダイズ油から調製する場合、これが特に当てはまる。物質中の二重結合の量の1つの尺度は、そのヨウ素価(IV)である。化合物のヨウ素価は、1gの物質当たりのヨウ素(I2)のセンチグラム数(cgI2/g)で表される、物質の試料と反応するヨウ素の量である。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールは、約50未満、例えば、約40未満、約30未満、約20未満、約10未満又は約5未満のヨウ素価を有する。
【0061】
ポリウレタン発泡体
本発明は、ポリウレタン発泡体、例えば、スラブストックポリウレタン発泡体又は成形ポリウレタン発泡体の調製に有用なポリウレタン組成物を提供する。いくつかの実施形態において、ポリウレタン発泡体は、
(a)ポリイソシアネートと、
(b)約45〜約65mgKOH/gのヒドロキシル価、約2.7未満の数平均ヒドロキシル官能性及び40重量%以上のオリゴマーを有するオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物と
の反応生成物を含む。
【0062】
オリゴマーポリオールのヒドロキシル基がポリイソシアネートのイソシアネート基と化学的に反応して、得られるポリウレタン発泡体中のウレタン結合を形成する。したがって、オリゴマーポリオールはポリウレタンポリマーに化学的に組み込まれる。
【0063】
活性水素含有組成物に含まれるオリゴマーポリオールの量は、発泡体の所望の性能に基づいて選択することができる。例えば、いくつかの実施形態において、活性水素含有組成物は、約10重量%〜約90重量%のオリゴマーポリオール、例えば、約10重量%〜約60重量%のオリゴマーポリオール又は約15重量%〜約40重量%のオリゴマーポリオールを含んでいてよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、活性水素含有組成物は、オリゴマーポリオール及び石油由来ポリオールを含む。例えば、いくつかの実施形態において、活性水素含有組成物は、約10重量%〜約90重量%のオリゴマーポリオール及び約10重量%〜約90重量%の石油由来ポリオールを含む。いくつかの実施形態において、活性水素含有組成物は、約10重量%〜約60重量%のオリゴマーポリオール及び約40重量%〜約90重量%の石油由来ポリオールを含む。他の実施形態において、活性水素含有組成物は、約15重量%〜約40重量%のオリゴマーポリオール及び約60重量%〜約85重量%の石油由来ポリオールを含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、石油由来のポリオールは、トリオールである。本明細書で用いる場合、「トリオール」という用語は、1分子当たり平均約2.7〜約3.1ヒドロキシル基を有するポリオールを意味する。特定の実施形態において、トリオールは、約3000g/モル〜約3500g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。市販の石油由来のトリオールの代表例は、商品名ARCOL F3040、ARCOL F3022及びARCOL3222(Bayer製)、PLURACOL1385及びPLURACOL1388(BASF製)、VORANOL3322、VORANOL3010、VORANOL3136及びVORANOL3512A(Dow製)などである。
【0066】
ポリイソシアネート
有用なポリイソシアネートの代表的な例は、1分子当たり平均少なくとも約2.0個のイソシアネート基を有するものなどである。脂肪族及び芳香族ポリイソシアネートを用いることができる。適切な脂肪族ポリイソシアネートの例は、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-及び1,4-ジイソシアネート、1,5-ジイソシアネート-3,3,5-トリメチルシロヘキサン、水素化2,4-及び/又は4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート等である。適切な芳香族ポリイソシアネートの例は、2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)及びその混合物、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(少量の2,4'異性体とその混合物を含む)(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(PMDI) 等である。ウレタン、カルボジイミド、アロファネート、イソシアヌレート、アシル化尿素、ビウレット、エステル及び同様な基を含むものなどの前記のポリイソシアネートの誘導体及びプレポリマーも用いることができる。
【0067】
ポリイソシアネートの量は、好ましくは約60〜約120、好ましくは約70〜約110のイソシアネート指数、及び高含水量配合物(すなわち、配合物中の他の活性水素含有物質の100重量部当たり少なくとも約5重量部の水を含む配合物)の場合には、約70〜約90のイソシアネート指数をもたらすのに十分な量である。本明細書で用いる場合、「イソシアネート指数」は、用いるイソシアネートの当量と水、ポリオール及び他の反応物の総当量との間の化学量論的平衡の尺度を意味する。指数100は、活性水素原子を含むすべての化合物と反応するのに十分なイソシアネートが提供されることを意味する。
【0068】
ポリウレタン触媒
有用なポリウレタン触媒の例は、第三級アミン化合物及び有機金属化合物などである。有用な第三級アミン化合物の特定の例は、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N-ココモルホリン、1-メチル-4-ジメチルアミノエチルピペラジン、3-メトキシ-N-ジメチルプロピルアミン、N'N-ジエチル-3-ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルベンジルアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル等である。第三級アミン触媒は、配合物中の活性水素含有物質100重量部当たり約0.01〜約5、好ましくは約0.05〜約2部の量で用いることが有利である。
【0069】
有用な有機金属触媒の特定の例は、スズ、ビスマス、鉄、亜鉛等の金属の有機塩などであり、有機スズ触媒が好ましい。適切な有機スズ触媒は、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、オクタン酸スズ(stannous octoate)等である。他の適切な触媒は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,846,408号に教示されている。好ましくは、配合物中の活性水素含有物質100重量部当たり約0.001〜約1.0重量部の有機金属触媒を用いる。触媒の混合物も用いることができる。
【0070】
発泡剤
発泡剤は、活性水素化合物とポリイソシアネートとの反応条件下でガスを発生する。適切な発泡剤は、水、液体二酸化炭素、アセトン、塩化メチレン及びペンタンなどであり、水が好ましい。
【0071】
発泡剤は、所望の泡密度及びIFDを得るのに十分な量で用いる。例えば、水を唯一の発泡剤として用いる場合、配合物中の他の活性水素含有物質の100重量部当たり、約0.5〜約10、好ましくは約1〜約8、より好ましくは約2〜約6重量部を用いる。
【0072】
他の添加剤
配合物に含めることができる他の添加剤は、界面活性剤、触媒、気泡サイズ制御剤、気泡開放(cell opening)剤、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、静電気消散剤(static dissipative agent)、可塑剤、架橋剤、難燃剤等である。
【0073】
有用な界面活性剤の例は、シリコーン界面活性剤及び脂肪酸のアルカリ金属塩などである。シリコーン界面活性剤、例えば、アルキレンオキシドとジメチルシロキサンのブロックコポリマーが好ましく、「低フォグ(low fog)」グレードのシリコーン界面活性剤が特に好ましい。
【0074】
いくつかの例で、静電気消散剤は、発泡体の調製時に配合物に含めるか、又は最終発泡体を処理するために用いることができる。有用な例としては、米国特許第4,806,571号、第4,618,630号及び第4,617,325号に記載されているように、場合によって促進化合物と組み合わされた不揮発性イオン性金属塩などがある。特に興味深いものは、最大3重量%のテトラフェニルホウ素ナトリウム又は最大約8個の炭素原子を有するペルフルオロ脂肪族カルボン酸のナトリウム塩の使用である。
【0075】
ポリウレタン発泡体の製造
本発明のポリウレタン発泡体は、従来のスラブストック(すなわち、自由膨張(free-rise))及び成形発泡体を製造するための既知の技術を用いて製造することができる。スラブストック法においては、ポリウレタン反応物を混合し、コンベヤ上に注ぐと、反応混合物はその自重にさからって膨張し、硬化して、名目上長方形の断面を有するスラブストックバンを形成する。得られたスラブストックバンは、最終用途に適合する所望の形状に切断することができる。成形発泡体法においては、反応物を混合し、型に分注すると、それらは反応して型を満たし、型の空洞の形状をとる。成形発泡体が硬化した後に、型を開き、成形ポリウレタン物品を取り出す。
【0076】
スラブストックポリウレタン発泡体は、従来のスラブストック発泡装置、例えば、市販のボックスフォーマー(box-foamers)、高若しくは低圧連続式発泡装置(foam machines)、クラウンブロックプロセス(crowned block process)、矩形ブロックプロセス(rectangular block process)(例えば、Draka、Petzetakis、Hennecke、Planiblock、EconoFoam及びMaxfoam processes)又はベンチフォームプロセス(venti-foam process)を用いて製造することができる。いくつかの実施形態において、スラブストック発泡体を減圧下で製造する。例えば、可変圧力発泡(VPF)において、発泡装置の完全コンベヤ部が気密エンクロージャ中に設けられている。この技術は、発泡体密度の制御と他の方法では製造することが困難であると思われる等級の発泡体の製造を可能にする。そのようなスラブストック発泡法の詳細は、例えば、Herrington及びHockにより編集されたFlexible Polyurethane Foams(第2版、1997年、Dow Chemical Company)の第5章に報告されている。
【0077】
いくつかの例において、最適の物理的特性を得るために、最初の発泡(及び成形発泡体の場合には成形品の取出し)の後に発泡体を後硬化することが望ましい。後硬化は、周囲条件下で例えば、約12時間〜7日間の期間にわたり、又は高温で例えば、約10分間〜数時間の期間にわたり行うことができる。
【0078】
発泡体は、様々な用途に用いることができ、例えば、それらは、自動車又は家具用の座席構成材(例えば、シートクッション、背もたれ、肘掛等)に組み込むことができる。
【0079】
ポリウレタン発泡体の特性
本発明のスラブストックポリウレタン発泡体は、例えば、調節可能な支持係数(supportfactor)、スキン厚さの低下、改善された色堅牢性、低臭気、改善された手触り、低い密度分布(spread)、低いIFD分布、改善された耐燃性及び圧力マッピングにより測定される改善された快適さなどの多くの望ましい特性を示す。
【0080】
引張、引裂き及び伸び
スラブストック発泡体において、低い数平均ヒドロキシル官能性を有する、又はかなりの量の単官能性種を有するポリオールを使用した場合、ポリウレタンポリマーの連鎖停止が引き起こされ、それにより、得られるスラブストック発泡体の引張、引裂き、伸び及び耐久性が低下する可能性があることはスラブストック発泡体業界で知られている。驚くべきことに、本発明のスラブストックポリウレタン発泡体は、存在する低い数平均ヒドロキシル官能性種による中程度の低下のみを示す。
【0081】
いくつかの実施形態において、本発明のポリウレタン発泡体は、少なくとも10PPHのオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物を含み、該ポリウレタン発泡体は、約1.5lb/ft3の密度及び約23N/323cm2の25%IFDを有するスラブストック発泡体について引張強さをASTM3574(最小3日間の硬化時間に修正した)を用いて測定するとき、次の式
引張強さ低下率(%)=m×(オリゴマーポリオールのPPH)
から計算される値以下である引張強さ低下率(%)(すなわち、対照配合物を基準とした低下)を有する。いくつかの実施形態において、mは0.89に等しい。他の実施形態において、mは1.0又は1.1に等しい。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明のポリウレタン発泡体は、少なくとも10PPHのオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物を含み、該ポリウレタン発泡体は、約1.5lb/ft3の密度及び約23N/323cm2の25%IFDを有するスラブストック発泡体について引裂き強さをASTM3574(最小3日間の硬化時間に修正した)を用いて測定するとき、次の式
引裂強さ低下率(%)=1.40×(オリゴマーポリオールのPPH)
から計算される値以下である引裂強さ低下率(%)(すなわち、対照配合物を基準とした低下)を有する。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明のポリウレタン発泡体は、少なくとも10PPHのオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物を含み、該ポリウレタン発泡体は、約1.5lb/ft3の密度及び約23N/323cm2の25%IFDを有するスラブストック発泡体について伸びをASTM3574(最小3日間の硬化時間に修正した)を用いて測定するとき、次の式
伸び低下率(%)=1.36×(オリゴマーポリオールのPPH)
から計算される値以下である伸び低下率(%)(すなわち、対照配合物を基準とした低下)を有する。
【0084】
いくつかの実施形態において、該ポリウレタン発泡体は、約2.7未満の数平均ヒドロキシル官能性を有する少なくとも10PPHのオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物を含み、約1.5lb/ft3の密度を有する該ポリウレタン発泡体は、少なくとも約85kPaの引張強さを有する。
【0085】
支持係数
いくつかの実施形態において、本発明のスラブストックポリウレタン発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して高い支持係数を示す。本明細書で用いる場合、「支持係数(support factor)」は、下の式に示すようにスラブストック発泡体試料の65%IFDと25%IFDとの比を意味する。支持係数は、時として「サグ係数」又は「モジュラス」とも呼ばれており、スラブストック発泡体のクッション品質の指標を示す。支持係数が増加するにつれて、スラブストック発泡体は底つき(bottoming)に対する抵抗性がより大きくなる。
【0086】
支持係数=(65%IFDの堅さ)/(25%IFDの堅さ)
式中、「IFD」は、発泡体の荷重支持(loading bearing)品質の尺度である「押込力たわみ値(indentation force deflection value)」を意味する。IFDは、一般に発泡体の所与のたわみ率における323cm2当たりのニュートン値(N/323cm2)で表される。力が高いほど、スラブストック発泡体はより堅くなる。IFDを得るために、323cm2の円板を発泡体試料の上面に押し込み、所与のたわみで止め、はかりの力を読み取る。例えば、150の25%IFDは、100mmの厚さの発泡体のシートを75mmの厚さに圧縮するのに150N/323cm2の力が必要であることを意味する。
【0087】
いくつかの実施形態において、本発明のスラブストックポリウレタン発泡体は、スラブストック発泡体に存在するオリゴマーポリオールの量を変化させることによって制御することができる支持係数を示す。有利なことに、スラブストック発泡体の支持係数は、スラブストック発泡体の等級に無関係に制御することができる。オリゴマーポリオールの量を増加させることにより、支持係数も増加する。これは、発泡体製造業者が配合物中のオリゴマーポリオールと石油由来ポリオールの量を調節することにより、支持係数を制御することを可能にする。本発明の実施形態において、支持係数は、1.5以上、例えば、1.6以上、1.7以上、1.8以上、1.9以上、2.0以上、2.1以上、2.2以上、2.3以上であってよい。いくつかの実施形態において、支持係数は1.7〜2.2の範囲である。
【0088】
活性水素含有組成物がオリゴマーポリオール及び石油由来ポリオールを含む場合、ポリウレタン発泡体の支持係数は、オリゴマーポリオールと石油由来ポリオールとの相対的な量を調節することにより制御することができる。例えば、いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールの量が約10重量%〜約90重量%の範囲であり、石油由来ポリオールの量が約10重量%〜約90重量%の範囲である。他の実施形態において、オリゴマーポリオールの量が約10重量%〜約60重量%の範囲であり、石油由来ポリオールの量が約40重量%〜約90重量%の範囲である。他の実施形態において、オリゴマーポリオールの量が約15重量%〜約40重量%の範囲であり、石油由来ポリオールの量が約60重量%〜約85重量%の範囲である。
【0089】
スキン厚さ
いくつかの実施形態において、本発明の軟質スラブストックポリウレタン発泡体は、薄い又は低密度外部スキンを有する。本明細書で用いる場合、「スキン」という用語はスラブストック発泡体バン上に形成されている高密度の外層を指す。一般に、バンのスキン層は、切り離され、廃棄物又は廃物として捨てられる。外部スキンの厚さ又は密度を最小にすることにより、切り離し、捨てなければならない発泡体がより少なくなるため、発泡体の正味の収量が改善される。スキン密度は、例えば、発泡体バンの外層の部分の密度を測定することによって測定することができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールを含む発泡体バンのスキン密度(すなわち、発泡体の外側1インチ(1")(2.54cm)の密度)は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して約20%以上低い。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオールを含む発泡体バンのスキン密度は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して約0.25lb/ft3以上低い。他の実施形態において、該スキン密度は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して約0.50lb/ft3以上又は約0.75lb/ft3以上又はさらに約1.0lb/ft3以上低い。
【0091】
色堅牢度
該発泡体の他の有用な属性はその色堅牢度であり、色堅牢度は、周囲条件下で光に曝露させた時に長期間にわたってそれらの製造されたままの白色を保持するそれらの能力を意味する。好ましくは、該発泡体は、紫外線安定剤の不存在下で6週間にわたる周囲条件下での光への曝露後に少なくとも70単位の(L)値、25単位以下の(b)値及び好ましくは4単位以下の(a)値を特徴とする色を含む鏡面反射を有する。さらに、該発泡体は、製造時に、好ましくは列挙された値に適合する(L)、(a)及び(b)値を有し、これらの値は、上記の条件下で光に曝露させた時に実質的に変化しない。特に、(L)及び(b)値は14単位以上変化せず、(a)値は5単位以上変化しない。
【0092】
臭気
いくつかの実施形態において、本発明のポリウレタン発泡体は、オリゴマーポリオールではなく、石油由来のポリオールを用いて調製した対照発泡体と少なくとも同様に良好、又はより良好である軽度の臭気を示す。軽度の臭気は、市販用発泡体生産に発泡体を用いることを許容できるものにする。臭気は、例えば、ヒトテストパネルを用いることにより、或いはオリゴマーポリオールに存在する可能性がある特定の臭気発生化合物の量を測定することにより、測定することができる。臭気発生化合物の例は、一般にアルデヒド化合物、例えば、ヘキサナール、ノナナール及びデカナールである脂質酸化生成物などである。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオール又はポリウレタン発泡体は、約30ppm以下のヘキサナール、例えば、約25ppm以下、約20ppm以下、約15ppm以下、約10ppm以下、約5ppm以下又は約1ppm以下のヘキサナールを有する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオール又はポリウレタン発泡体は、約30ppm以下のノナナール、例えば、約25ppm以下、約15ppm以下、約10ppm以下、約5ppm以下又は約1ppm以下のノナナールを有する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオール又はポリウレタン発泡体は、約20ppm以下のデカナール、例えば、約15ppm以下、約10ppm以下、約5ppm以下又は約1ppm以下のデカナールを有する。いくつかの実施形態において、オリゴマーポリオール又はポリウレタン発泡体中のヘキサナール、ノナナール及びデカナールの合計量は、約80ppm以下、例えば、約70ppm以下、約60ppm以下、約50ppm以下、約40ppm以下、約30ppm以下、約20ppm以下、約10ppm以下、約5ppm以下又は約3ppm以下である。
【0093】
手触り
いくつかの実施形態において、本発明の発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して改善された手触りを有する。本明細書で用いる場合、「手触り」は、ヒトの手をその表面に軽くこすりつけたときのポリウレタン発泡体の感触を意味する。発泡体が、手を触れてざらざら感又は粗い感じがする場合、それを「不良な手触り」を有すると記述する。発泡体が滑らか又はベルベット様の手触りを有する場合、それを「良い手触り」を有すると記述する。手触りは定性的な特性であるが、比較スラブストックポリウレタン発泡体試料において手触りの改善が実測5%IFDの低下と良く相関することが認められた。すなわち、試料の5%IFDが低下すると、手触りが改善する。
【0094】
本発明の実施形態において、軟質スラブストックポリウレタン発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して低い5%IFDを有する。例えば、5%IFDは、対照配合物と比較して約2%減少させることができる。他の実施形態において、5%IFDは、対照配合物と比較して5%以上減少させることができる。
【0095】
手触りは、軟質スラブストックポリウレタン発泡体の表面粗度とも相関させることができる。顕微鏡的には、発泡体試料の表面は、一連の高点と低点からなっている。面粗度計(perthometer)は、発泡体の表面上のこれらの高低点の平均高さの定量的測定(「Ra」)を提供する。高いRa値は、不良な手触りと相関する粗い表面を示す。低いRa値は、改善された手触りと相関する平滑な表面を示す。スラブストックポリウレタン発泡体のRaは、面粗度計、例えば、Mahr GmbH(Gottingen、Germany)により市販されているものを用いて測定することができる。
【0096】
手触りは、ポリウレタン発泡体の平均気泡サイズ(例えば、平均気泡直径)とも相関させることができる。平均気泡サイズが減少すると、発泡体は改善された手触りを示す。平均気泡サイズは、例えば、発泡体の顕微鏡像を手作業により測定することにより、或いは顕微鏡像における気泡サイズを自動的に測定するためのコンピュータソフトウエアを用いることにより測定することができる。
【0097】
難燃性
いくつかの実施形態において、本発明の発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して改善された難燃性を有する。難燃性は、例えば、Technical Bulletin 117「装飾家具に用いる弾性充填材の難燃性の試験の要件、試験手順及び装置(Requirements, Test Procedure and Apparatus for Testing the Flame Retardance of Resilient Filling Materials Used in Upholstered Furniture)」(2000年3月)に従って試験することができる。難燃性は、1つ又は複数の難燃剤、例えば、ハロゲン化リン酸エステル、アルミナ三水和物又はメラミンの添加により一般に改善される。一般に、そのような物質は、ポリウレタン組成物に約6重量%〜10重量%のハロゲン化リン酸エステル或いは最大約50重量%のアルミナ三水和物又はメラミンの量で加える。
【0098】
スラブストックバン中のIFD勾配
軟質スラブストック発泡体の生産バンは、一般にかなり大きく、例えば、幅が約7フィート(2.1m)、高さが約4'(10cm)、長さが最大約300フィート(91.4m)である。望ましくは一定の特性を有する家具クッションを製造するためには、スラブストック発泡体のバンの全体にわたり硬さ(例えば、25%IFDにより測定)及び密度の変動が最小限であることが好ましい。本発明のポリウレタン発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して25%IFDの変動が低いことが認められた。
【0099】
耐水性
いくつかの実施形態において、本発明のスラブストックポリウレタン発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して改善された耐水性又は高い疎水性を示す。改善された耐水性は、例えば、屋外適用例又は海洋適用例で重要である。スラブストック発泡体の耐水性又は疎水性は、例えば、計量済みの水を発泡体の表面にのせ、水が発泡体の気泡構造内に吸収されるのにかかる時間を測定することにより、測定することができる。より長い吸収時間は、高い耐水性又は疎水性を有する発泡体の特性である。いくつかの実施形態において、本発明の発泡体の水吸収時間は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して、約20%以上、例えば、約30%以上、約40%以上又は約50%以上長い。
【0100】
柔軟感
いくつかの実施形態において、本発明のポリウレタン発泡体は、オリゴマーポリオールを含まない対照配合物と比較して、ほぼ同じ25%IFDを維持すると同時に低い5%IFDを有する。5%IFDと25%IFDのこの望ましいバランスは、本発明のポリウレタン発泡体製の家具クッションに用いるポリエステル(PET)繊維の減量を可能にすると思われる。特に、低い5%IFDは、軟質ポリエステル繊維でポリウレタン発泡体を包むことによってこれまで得られていた柔軟感を発泡体に与える。
【0101】
本発明は、本発明の理解を助けることを目的とするが、その限定と解釈すべきでない以下の実施例を参照することによりさらに明らかになるであろう。
【実施例】
【0102】
略語
酸価(AV):酸価としても知られており、(mgKOH/gポリオール)単位で測定する。
【0103】
ヨウ素価(IV):1gの物質と反応するヨウ素(I2)のセンチグラム数で表した物質中の二重結合の測定値。
【0104】
ヒドロキシル価(OH価):mgKOH/gポリオール単位で測定されるヒドロキシル価。
【0105】
Fn:1分子当たりのヒドロキシル基の数で表した数平均ヒドロキシル官能性。Fnは、式Fn=(OH#/56)*(Mn/1000)を用いて計算される。ここで、Mnは蒸気圧浸透法により測定する。
【0106】
EOC:エポキシド酸素含量(エポキシドの酸素の%)。
【0107】
Mn(GPC):GPCにより測定される(g/モル)単位の数平均分子量。
【0108】
Mn(LS):光散乱により測定される(g/モル)単位の数平均分子量。
【0109】
Mn(VPO):蒸気圧浸透法により測定される(g/モル)単位の数平均分子量。
【0110】
EW:(Mn/Fn)として計算されるヒドロキシル当量。
【0111】
Mw(LS):光散乱により測定される(g/モル)単位の重量平均分子量。
【0112】
単量体(Mon):ポリオール中の単量体の重量パーセント。
【0113】
二量体(Dim):ポリオール中の二量体の重量パーセント。
【0114】
三量体(Trim):ポリオール中の三量体の重量パーセント。
【0115】
四量体+(Tetr+):ポリオール中の四量体及びより高次のオリゴマーの重量パーセント。
【0116】
%オリゴマー:すべての二量体、三量体、四量体及びより高次のオリゴマーの総重量パーセント。
【0117】
g'M:スチレン標準に対するオリゴマー化の程度を特徴づけるために用いるGPCによるポリオールの流体力学的直径のGPC尺度。g'Mは、オリゴマー化が増加するとき減少する。。
【0118】
粘度:25℃でPa・sの単位で測定される物質の粘度。
【0119】
CS:パーセントとして表される圧縮永久ひずみ。
【0120】
PV:AOCS法Cd 8b-90により測定される過酸化物価で、(meq過酸化物/1000g試料)単位で報告する。
【0121】
B-Sideマスターバッチ(Masterbatch):後に発泡体生成反応を開始させるために所望のポリイソシアネートと混合させるポリオール、界面活性剤、架橋剤、触媒、添加剤及び発泡剤の予混合物。
【0122】
発泡体臭気:いくつかの場合、発泡体が製造された直後に、各発泡体の臭気特性を評価した。正常の等級は、従来の技術を用いて新たに調製された発泡体から通常予想されるものと差がない臭気を示す発泡体に割り当てた。他の例において、発泡体は、時として用いられる特定のポリオールにさかのぼることができる著しい臭気を帯びる。軽度の等級は、著しく異なるが、不快なレベルでない臭気を有する発泡体に割り当てた。強度の等級は、臭気は異なり、ほとんどの観測者がそれを嫌うようなレベルで存在することを示す。
【0123】
発泡体の強固さ:発泡体がどの程度閉じた気泡か、又は開いた気泡かの主観的評価。強固さは、発泡体が開いた気泡よりより閉じた気泡であることを意味する。
【0124】
荷重支持特性:軟質発泡体の荷重支持能力の試験で認められる結果を指すのに用いる集合的用語。通常報告されるデータは、25%及び65%押込み力たわみ値を含む。
【0125】
MDI:メチレンビス(フェニルイソシアネート)。
【0126】
サグ係数:65%押込み力たわみ値と25%押込み力たわみ値との比として計算される数。
【0127】
TDI:トルエンジイソシアネート。
【0128】
材料:
実施例1〜14で以下の材料を用いた。
【0129】
Arcol(登録商標)F-3022-グリセリンベースのインシエータ化合物へのプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの添加により製造される石油由来の公称3000分子量ポリエーテルトリオール。市販の製品の一般的な特徴は、無色透明、事実上すべてが第二級である末端ヒドロキシル、約56のヒドロキシル価及び480mPa・sの範囲の25℃粘度などである。この材料は、非常に軽度で、独特のポリエーテルポリオール臭を示す。この材料は、Bayer Corporationから入手可能である。
【0130】
ダイズ油-本特許で言及する場合、ダイズ油は、精製され(refined)、脱色され(bleached)、脱臭された(deodrized)(RBD)等級の市販の油を指す。
【0131】
Flexol(登録商標)-Union Carbideから入手可能なエポキシ化ダイズ油又は他の市販の銘柄のエポキシ化ダイズ油。市販のエポキシ化ダイズ油は、一般に以下の特性を有する。
【表2】

【0132】
Dabco(登録商標)BL-11:ジプロピレングリコール中ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%溶液からなるAir Products Corporation製の市販触媒製品。一般に発泡反応用触媒として用いる。
【0133】
Dabco(登録商標)DC-5169:Air Products Corporation製の市販界面活性剤製品。
【0134】
Dabco(登録商標)33-LV:ジプロピレングリコール中トリエチレンジアミンの33重量%溶液からなるAir Products Corporation製の市販触媒製品。一般に重合又はゲル化触媒として用いる。
【0135】
DEOA:発泡体安定化架橋剤として用いる商用等級のジエタノールアミン。
【0136】
Niax(登録商標)D-19:GE Silicones-OSI Specialties, Inc.から入手可能なスズベースのゲル化触媒。
【0137】
Niax(登録商標)Y-10184:GE Silicones-OSI Specialties, Inc.から入手可能なシリコーンベースの界面活性剤。この製品は、軟質成形ポリウレタン発泡体の製造用に設計されている。
【0138】
Tegostab(登録商標)B-2370:従来のスラブストック発泡体用に設計されたDegussa AG製の市販界面活性剤製品。
【0139】
Tegostab(登録商標)B-4690LF:Degussa AGにより市販されている低曇性等級界面活性剤。
【0140】
トルエンジイソシアネート:Bayer Corporationから入手され、それらのMondur(登録商標)TD-80製品の等級Aと識別されたトルエンジイソシアネートの2,4及び2,6異性体の80/20混合物。
【0141】
水:蒸留水を間接発泡剤として用いた。
【0142】
実施例1-部分的にエポキシ化されたダイズ油A
部分的にエポキシ化されたダイズ油を以下のように調製した。
【0143】
5リットル3頚丸底フラスコに温度制御装置、滴下漏斗、還流冷却器及び撹拌器を取り付けた。この反応器システムに、1500gのダイズ油(131のヨウ素価及び62mPa・sの粘度を有するRBD等級、Archer Daniels Midland Companyから入手可能)、225gの氷酢酸(Fisherから入手可能)及び19gの50%硫酸水溶液(Aldrichから入手可能)を加えた。反応器システムを70℃の温度に上昇させている間にこれらの成分を十分に混合した。この温度設定点に到達した後に、70℃の温度設定点を維持し、激しい撹拌を継続しつつ、滴下漏斗から729gの35%過酸化水素水溶液(Aldrichから入手可能)を30分間にわたって加えた。
【0144】
さらに60分間の反応時間の後に、反応器システムの内容物を3リットル分液漏斗に移し、冷却した。冷却期間中、水と粗製の部分エポキシ化ダイズ油とが2層に分離した。この最初の水層を排出させることにより生成物の後処理を継続し、次いで、1リットルずつの蒸留水を用いて粗部分エポキシ化ダイズ油層を3回水洗した。次いで、洗浄済み部分エポキシ化ダイズ油を再び分離し、三角フラスコに加え、100gの塩基性イオン交換樹脂(Bayer製Lewatite MP-64)を加えた。この混合物を2時間撹拌して、任意の残りの酸を中和した。次いで、生成物をろ過してイオン交換樹脂を除去し、低真空にかけて残留水を除去した。
【0145】
83のヨウ素価及び2.74%のエポキシ酸素含量(EOC)を有する部分エポキシ化ダイズ油生成物が得られた。用いた方法及び得られた値の要約は、表1.1に見いだすことができる。
【表3】

【0146】
実施例2-部分的にエポキシ化されたダイズ油B
部分的にエポキシ化されたダイズ油は、用いた反応物の量及び時間は表2.1の横行「EX2」に示したとおりであったことを除いて、実施例1に従って調製した。表2.1に示す特性を有する最終部分エポキシ化ダイズ油生成物が得られた。
【表4】

【0147】
実施例3-部分的にエポキシ化されたダイズ油C
部分的にエポキシ化されたダイズ油は、表3.1の横行「EX3」に示した反応物の量及び時間を用いたことを除いて、実施例1に従って調製した。さらに、過酸化水素を、滴下漏斗により30分間にわたって加えずに、蠕動ポンプにより7.5ml/分の速度で加えた。表3.1に示す特性を有する最終部分エポキシ化ダイズ油生成物が得られた。
【表5】

【0148】
実施例4-ポリオールA
ポリオールの調製は、温度制御装置、滴下漏斗、還流冷却器及び撹拌器を取り付けた1リットル3頚丸底フラスコの実験準備から開始した。この反応器システムに80gのメタノール及び0.7gのフルオロホウ酸(水との48%混合物、Aldrichから入手可能)を加えた。反応器システムを沸騰に導く間にこれらの成分を十分に混合した。実施例1に従って調製した250gの部分エポキシ化ダイズ油を、激しく撹拌した反応器に素早く加えた。
【0149】
さらに40分間の反応時間の後に、混合物を50〜60℃に冷却し、約15gの塩基性イオン交換樹脂(Bayer製Lewatite MP-64)を加えて酸を中和した。この混合物を1時間撹拌し、次いで、冷却した。生成物の回収は、固体イオン交換樹脂をろ別し、真空蒸留により残留水及びアルコールを除去することによって継続した。方法及び用いた反応物の量の一覧は、表4.1の「EX4」に見いだすことができる。得られたオリゴマーポリオールの特性の一覧は、表4.2の「EX4」に見いだすことができる。
【表6】

【表7】

【0150】
実施例5-ポリオールB
1リットル三角フラスコに温度制御装置、滴下漏斗、還流冷却器及び撹拌器を取り付けた。実施例4に従って調製した250gのポリオール及び2.5gの炭酸アンモニウムをフラスコに加えた。反応器システムを60〜70℃の温度に上昇させている間に成分を十分に混合した。
【0151】
15分間撹拌した後、反応器システムの内容物を1リットル分液漏斗に移し、冷却した。冷却期間中に、水と粗ポリオールが2層に分離した。この最初の水層を排出させることにより生成物の後処理を継続し、次いで、500mlずつの蒸留水を用いて粗ポリオール層を5回水洗した。次いで、生成物を低真空にかけて残留水を除去した。一覧は、表4.1の「EX5」に見いだすことができる。最終回収オリゴマーポリオールは、表4.2の「EX5」に示す特性を有していた。
【0152】
実施例6-ポリオールC
ポリオールは、表4.1の横行「EX6」に示した反応物の量及び時間を用いたことを除いて、実施例4及び5による手順に従って調製した。最終回収オリゴマーポリオールは、表4.2の「EX6」に示す特性を有していた。
【0153】
実施例7-ポリオールD
ポリオールは、表4.1の横行「EX7」に示した反応物の量及び時間を用いたことを除いて、実施例4及び5による手順に従って調製した。最終回収オリゴマーポリオールは、表4.2の「EX7」に示す特性を有していた。
【0154】
実施例8-ポリオールE
ポリオールEの調製は、温度制御装置、滴下漏斗、還流冷却器及び撹拌器を取り付けた2リットル3頚丸底フラスコの実験準備から開始した。この反応器システムに35.5gのメタノール(認証A.C.S.、Fisherから入手可能)及び1.12gのフルオロホウ酸(水との48%混合物、Aldrichから入手可能)を加えた。反応器システムを50℃の温度に上昇させている間にこれらの成分を十分に混合した。この温度設定点に到達した後に、400gのエポキシ化ダイズ油(「Flexol」、Union Carbideから入手可能)を反応器に加えた。激しい撹拌を継続し、反応器温度を90℃に上昇させた。これらの反応条件で30分間反応させた後、追加の100gのエポキシ化ダイズ油(「Flexol」)を反応器に加え、反応をさらに3時間続けた。
【0155】
3時間後に、反応器を60℃に冷却し、15gの塩基性イオン交換樹脂(Bayer製Lewatite MP-64)を加えた。この混合物を1時間撹拌して残りの酸を中和した。次いで、生成物をろ過してイオン交換樹脂を除去し、低真空にかけて残留水及び溶媒を除去した。さらに、GPC分析により、ポリオールは次の組成を示した。すなわち、単量体47%、二量体12%、三量体8%及び四量体及び高オリゴマー33%。得られた最終ポリオールの特性を表8.1の「EX8」に示す。ポリオールEの他のいくつかのロットを調製し、実施例10に用いた(表10.1を参照)。
【表8】

【0156】
実施例9-ポリオールF
一連のポリオールを、33gのメタノール及び0.05%触媒を用いたことを除いて、実施例8の調製法に従って生成させた。これらの同じ条件を4回反復して4種の試料を調製した。得られたポリオールは、わずかなダイズ油臭及び表9.1のEX9-1、EX9-2、EX9-3及びEX-4に報告した特性を有していた。
【表9】

【0157】
実施例10-ポリオールEを用いて調製した発泡体
軟質発泡体の調製
(a)マスターバッチの調製
当実施例に示す成形軟質発泡体の調製における最初の段階として、1ガロン広口プラスチックジャグに所望の発泡体配合物の種々の成分を加えることにより、配合物B-Sideマスターバッチを調製した。最初にポリオールをジャグに加え、Jiff Mixer商標(Model HS-2)の混合ブレードを取り付けた電気式実験用混合装置にのせた。混合を開始し、混合装置を連続的に作動させながら他のすべての配合物成分を順次加えた。最後の配合物成分の添加後、さらに15分間混合を続けた。次いで、マスターバッチを混合装置から除去し、1000ml広口ガラスジャー試料を粘度の測定並びに色及び透明度の観察用に採取した。発泡体の調製のための他の準備を完了している間、残りのマスターバッチに蓋をし、静置した。
【0158】
温度を25℃に調整した後、マスターバッチの粘度の測定を伝統的な回転式Brookfield商標の粘度計を用いて行った。
【0159】
(b)成分の混合及び発泡体の製造の手順
所望の量の配合物B-Sideマスターバッチを33オンスポリカップ(Model DMC-33、International Paper Companyから入手可能)に加えて、発泡体の製造を開始する。成形された実施例の発泡体全てを105のトルエンジイソシアネート指数で調製した。各配合物について、計算量のトルエンジイソシアネートを注意深く秤取し、400mlトリポアスタイルプラスチックビーカーに入れ、混合ステーションの近くに置いた。
【0160】
発泡体生成反応を開始するために、B-Sideマスターバッチを含むカップを、3インチ(7.6cm)サイズの混合ブレード(Conn Mixers Company; ConnBlade商標、Model ITC、直径3インチ(7.6cm))を取り付けたDelta ShopMaster商標(Model DP-200)10インチ(25.4cm)サイズ工作ボール盤から組み立てた混合装置にのせた。混合装置は、電子カウントダウンタイマにより制御された30秒間の総時間1100rpmで回転するように設定した。混合は、フットスイッチを用いて開始した。タイマがカウントダウンしたときに、トルエンジイソシアネートのビーカーを持ち上げ、残りの混合時間が6秒となったときに、トルエンジイソシアネートをカップに速やかに加えた。
【0161】
混合サイクルの終了時に、混合カップの内容物を自由膨張させた。硬化期間中、当該配合物の膨張時間(rise time)を記録できるように、カップの中央を注意をそらさないで観察した。
【0162】
硬化サイクルの終了時に、発泡体をカップから取り出した。発泡体試料をトリミングし、秤量し、ラベル表示し、物理的特性を試験する前に25℃、50%相対湿度のもとで数日間静置した。
【0163】
物理的特性の試験
軟質発泡体の物理的特性は、ASTM D3574に示されている方法に従って測定した。場合によって、完全な7日間の推奨硬化時間の前に発泡体を試験したことに注意すること。
【0164】
以下の節に、種々のオリゴマーポリオール配合物を用いて調製された通常のスラブストック発泡体からのデータを示す。それぞれのオリゴマーポリオールが低い数平均ヒドロキシル官能性を有するという特性を有する。しかし、得られた発泡体の物理的特性は、用いたポリオールの数平均ヒドロキシル官能性に関する以前の予想を考慮すると、驚くほど良好であった。
【0165】
ポリオールEを用いて調製した発泡体の試料は、上の方法に従って調製した。下表に発泡体配合物(表10.2)及び2種の界面活性剤を用いて調製した発泡体の物理的特性データ(表10.3)を示す。
【表10】

【表11】

【表12】

【0166】
実施例11-ポリオールFを用いて調製した発泡体
下のグラフは、種々の組込みのレベルでポリオールFを用いた場合の通常のスラブストック発泡体の物理的特性データを示す。バッチサイズが小さいため、発泡体成分として使用する前に各種のポリオールFを合わせた。ポリオールの特性を表11.1に報告する。ポリウレタン配合物を表11.2及び表11.3に報告する。ポリウレタンの物理的特性を表11.4に報告する。
【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【0167】
実施例12-ポリオールCを用いて調製した発泡体
下のデータは、従来の石油由来ポリオール(Arcol F-3022)及びポリオールCを用いて調製した発泡体の通常のスラブストック発泡体の物理的特性を示す。ポリウレタン配合物を表12.1に報告する。ポリウレタン発泡体の特性を表12.2に示す。
【表17】

【表18】

【0168】
実施例13-ポリオールDを用いて調製した発泡体
下のデータは、従来の石油由来ポリオール(Arcol F-3022)及びポリオールDを用いて調製した発泡体の通常のスラブストック発泡体の物理的特性を示す。ポリウレタン配合物を表13.1に報告する。ポリウレタン発泡体の特性を表13.2に示す。
【表19】

【表20】

【0169】
実施例14:ポリオールFを用いて調製した発泡体、色堅牢度
色堅牢度の試験手順
調製した発泡体の色堅牢度試験は、以下の手順に従って行った。
【0170】
1. 発泡体試料を周辺光に6週間、又は日光に8時間2回曝露させた。
【0171】
2. 曝露後、曝露した発泡体の色を対照試料と比較した。
【0172】
3. 発泡体試料は、色堅牢度試験の前後に黒色プラスチックバッグ中で保存した。
【0173】
色測定は、6インチ(15.24cm)積分球を装着したHunterLab Ultrascan XE分光光度計を用いて行った。鏡面反射を含めた場合と鏡面反射を除去した場合の測定を10度オブザーバ及び光源D65を用いてASTM E308に従って行った。試料ポートは円形であり、直径が1インチ(2.54cm)で、視野角が8度で、ビーム直径が1インチ(2.54cm)であった。データの処理(reduction)は、375nm〜750nmの波長範囲にわたり10nmごとに測定したスペクトルデータから計算した。CIE色スケールを用いてL、a、b値を測定した。
【0174】
一連のポリウレタン発泡体を、前述の手順に従い、表14.1に示す配合物を用いて調製した。
【表21】

【0175】
一連のポリオールを得るために、配合物に存在するポリオールFの量を変化させた。対照試料は、100部の石油ポリオールと0部のポリオールEを含んでいた。さらなる配合物は、10部、20部、30部、50部及び60部のポリオールEを含んでいた。紫外線安定剤は、発泡体配合物のいずれにも加えなかった。
【0176】
次いで、一連の発泡体を周辺光に6週間曝露させて色堅牢度について試験した。RSEX試験結果は鏡面反射を除外した分光光度測定試験の結果であるが、RSIX試験結果は鏡面反射を含めた場合のものである。結果を表14.2に示す。
【表22】

【0177】
L*値は、反射した光の尺度であり、スケールは、100の最大L*から0、すなわち完全に黒である最小L*までである。したがって、L*値が高いほど、試料は明るい。わかるように、UV安定剤を用いない場合、軟質ポリウレタン発泡体中のオリゴマーポリオールを増加させることにより、石油由来軟質ポリウレタン発泡体と比較して色堅牢度が有意に改善する。ポリオールEを用いて調製した軟質ポリウレタン発泡体は、周囲条件下で6週間光に曝露させたとき、石油由来のポリエーテルポリオールから調製した発泡体より良好に初期の白色を保持した。さらに、ポリオールEを用いて調製した軟質ポリウレタン発泡体は、直射日光に曝露させたときも、石油由来のポリエーテルポリオールから調製した発泡体より良好に初期の白色を保持した。
【0178】
実施例15〜24における成分の一覧
ARCOL F-3020:54.5〜57.5mgKOH/gのヒドロキシル価及び0.02mgKOH/gの酸価を有する石油由来の公称3000の分子量のトリオール(Bayer製)
B-2130:23.0〜26.0のヒドロキシル価を有し、共重合スチレン及びアクリロニトリルの約31%の固体を含む石油由来の第一級ヒドロキシル末端グラフトポリエーテルトリオール
DABCO BL-11:70%ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル及び30%ジプロピレングリコールからなる発泡触媒(Air Products製)
DABCO BL-13:23%ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル及び77%ジプロピレングリコールからなる発泡触媒(Air Products製)
CP-2:トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)リン酸難燃剤(Gulbrandsen Co.製)
DOP:フタル酸ジオクチル
EPOXOL7-4:完全にエポキシ化されたダイズ油(American Chemical Systems製)
充填剤:炭酸カルシウム
FR-550:リン-臭素難燃剤(Great Lakes Chemical製)
K-29:オクタン酸スズ触媒(Degussa製)
L-650:難燃性発泡体用シリコーン界面活性剤(GE Silicones製)
L-5770:シリコーン界面活性剤(GE Silicones製)
メラミン:難燃剤(BASF製)
P-945:4800分子量のトリオール(BASF製)
P-4600:27.1〜30.1のヒドロキシル価を有し、共重合スチレン及びアクリロニトリルの約42%の固体を含む第二級ヒドロキシル末端グラフトポリエーテルトリオール
T-9:オクタン酸スズ(Air Products製)
TD-33:67%ジプロピレングリコール中33%トリエチレンジアミンからなるアミン触媒(Air Products製)
TDI:トルエンジイソシアネート
RC-6366:70%ビス(2-ジメチルアミンエチル)エーテル及び30%ジプロピレングリコールを含むアミン触媒(RheinChemie製)
水:蒸留水
【0179】
実施例15
オリゴマーポリオールの調製(12リットル装置)
12リットル5頚フラスコに機械的撹拌機、熱電対、加熱用マントル/制御装置、冷却コイル、蠕動ポンプ及び窒素供給を取り付けた。フラスコに7000gのエポキシ化ダイズ油(EPOXOL7-4)及び280gのメタノールを入れた。別の容器中で、7.62gのHBF4(水中48%)を35.0gのメタノールと混合して触媒溶液を調製した。冷却器に水を流しながら、反応混合物の内容を55℃に加熱し、高速度で撹拌した。シリンジポンプを用いて、総触媒添加時間が約6時間になるように、HBF4触媒溶液を0.138ml/分の速度でフラスコに加えた。触媒は、下部撹拌ブレードの近くに設置した触媒添加チューブを介して反応混合物に加えた。温度が上昇し始めたとき、水を冷却コイルに循環させて、反応混合物の温度を55℃±2℃に維持した。反応は、EOCを測定することにより1時間ごとにモニターした。EOCが3.35%〜4.40%に達したとき、触媒の添加を停止した。次いで、触媒添加チューブを約2〜3mlのメタノールでフラッシュし、フラスコから除去した。触媒EOCが一定に維持されるまで、反応を15分間隔でモニターした。最終製品の目標は4.25%のEOCである。次いで、得られた生成物を約80℃、≦4Torrで蒸留して、未反応メタノールを除去した。オリゴマーポリオールの特性を表15.1に報告する。
【表23】


【0180】
実施例16
オリゴマーポリオールの調製
大規模反応装置は、グリコール冷却ジャケット及び熱交換器を含むポンプ周囲ループを装着した6000ガロン(22710リットル)連続撹拌槽式反応器からなっていた。反応物を加える前に、撹拌槽式反応器を窒素ガスでフラッシュして、蒸気ヘッドスペースを不活性雰囲気とした。次いで、エポキシ化ダイズ油を表16.1に示す量で反応器に加えた。この後、メタノールを表16.1に示す量で反応器に加えた。局所的な濃度勾配を最小限にするようにエポキシ化ダイズ油とメタノールを反応器中で十分に混合し、得られた混合物を約55℃の温度に加熱した。別個に、1部のHBF4水溶液(水中48重量%)を4.6部のメタノールと混合して、触媒溶液を調製した。約218lbs(98.9kg)の触媒溶液を約5.5時間にわたり撹拌槽式反応器に供給した。反応熱は、冷却したグリコールを冷却ジャケットに循環させて除去した。ほぼ最大発熱時に、反応混合物をポンプでポンプ周囲ループ/熱交換器に通して、さらなる熱を除去した。すべての触媒溶液を加えた後、反応器の温度を約30分間維持した。反応中、EOCの変化をモニターした。反応の終了時に、残りのメタノールを真空ストリッピングにより除去した。次いで、窒素ガスを通気して、得られたオリゴマーポリオールを条件づけた。オリゴマーポリオールの特性を表16.2に報告する。
【表24】

【表25】


【0181】
実施例17
軟質スラブストック発泡体の調製
ステップ1:B-sideの調製手順
表17.1に示すポリオールを、電気式はかりにのせた400mlプラスチックビーカーに量り入れた。次に、配合物に必要な量のシリコーン界面活性剤及びアミン触媒をビーカーに加えた。次に、配合物に必要な量のオクタン酸スズ及び水をバッチに加えた。ポリイソシアネートとの混合時に合わせた混合物が19.2℃±0.3℃の温度になるようにB-sideの温度を調節した。直径2"(5.08cm)の混合ブレード(Conn Mixers Co.製、ConnBlade商標、Model ITC)を装着した電気式実験用混合機(Delta ShopMaster商標、Model DP-200、10インチ(25.4cm)工作ボール盤)を用いて2340rpmでバッチを19秒間混合した。別個に、配合物に必要な量のTDIを50mlプラスチックビーカーに量り入れ、混合ステーションの近くに置いた。次いで、TDIをポリオール混合物に加え、6秒間混合した。この後、混合物を83oz(2353g)カップに注入し、自由膨張させた。自由膨張期間中、クリーム時間(すなわち、TDIの導入からカップ中のクリーム膨張の開始までの時間)、トップオブカップライズ時間(Top of Cup Rise Time)(すなわち、TDIの導入から発泡体のドームがカップの上部に達するまでの時間)、総膨張時間(すなわち、TDIの導入から発泡体が吹き消えるかそれ以上膨張しなくなるまでの時間)をそれぞれ記録した。次いで、発泡体及びカップを100℃の温度制御オーブンに15分間入れて硬化させた。オーブン硬化の終了時に、発泡体を一夜硬化させた。一夜硬化後、物理的特性を試験する前に発泡体を25℃、50%相対湿度で72時間コンディショニングした。物理的特性の試験結果を表17.2〜17.4に報告する。
【表26】

【表27】


【表28】


【表29】


【0182】
実施例18
MaxFoamのフルスケールの従来のスラブストック発泡体ラインを用いて軟質スラブストック発泡体を調製した。発泡体バンは、表18.1〜18.4に示す配合物を用いて調製した。各発泡体バンのスキン密度の測定を下記の手法に従って行った。
【表30】

【表31】

【表32】

【表33】

【0183】
スキン密度の測定
スキン密度は、表18.1〜18.4に示すポリウレタン配合物を用いたフルスケールの従来のスラブストック発泡体ラインを用いて調製した代表的なスラブストック発泡体からスキンの12"(30.48cm)x12" (30.48cm)x〜1"(2.54cm)の断片を切り取って測定した。各試料の高さ、幅及び重量を測定し、記録した。キャリパを用いて5〜9回の測定を行って、各試料の厚さを測定した。代表的な平均を保証するために、測定位置を試料全体に配置した。測定は、試料ごとに一貫した位置で行った。表面積、平均厚さ及び質量測定値を用いて、各発泡体のスキン試料の平均密度を計算した。平均密度が低いほど、試料がより低い密度のスキンを有していたことがわかった。これは、スラブストック発泡体バンからの主発泡体のより高い収量をもたらす、より薄いスキンに関連している。結果を表18.5に報告する。
【表34】

【0184】
実施例19
IFD及び密度の広がり
1.45/31グレードのスラブストック発泡体のバンをフルスケールのスラブストック発泡体ラインを用いて調製した。発泡体の配合物は、表18.2に示す。各バンについて、11個の試験ブロック(それぞれ15"(38.1cm)x15" (38.1cm)x4"(10.16cm)の寸法)をバンの断面から切り取った。試験ブロックに番号を付け、「M」(バンの中央を示す)又は「S」(バンの側面を示す)とラベル表示した。試験ブロックそれぞれを試験し、25%及び65%IFD並びに密度を測定した。バンを製造してから24時間後に試験を行ったことを除いて、ASTM試験法D3574を用いた。結果を表19.1に報告する。
【表35】

【0185】
実施例20
軟質スラブストック発泡体のバンをフルスケールのスラブストック発泡体ラインを用いて調製した。発泡体の配合物は、表18.1〜18.4に示す。発泡体をASTM D3574(5%押込みに関して修正)を用いて5%IFDについて試験した。結果を表20.2〜20.4に報告する。
【表36】

【0186】
配合物2の平均5%IFD=19.91
配合物2(対照)の平均5%IFD=21.66
変化の割合(%)=8.08%
【表37】

【0187】
配合物4の平均5%IFD=29.84
配合物4(対照)の平均5%IFD=30.98
変化の割合(%)=4.85%
配合物3の平均5%IFD=16.56
配合物3-対照の平均5%IFD=16.81
変化の割合(%)=1.52%
【表38】

【0188】
配合物1の平均5%IFD=18.63
配合物1-対照の平均5%IFD=19.76
変化の割合(%)=5.71%
実施例21:支持係数
表21.1に示す配合物を有する軟質スラブストックポリウレタン発泡体を表21.2に示すポリオールを用いて調製した。得られた発泡体試料をASTM D3574に従って試験し、25%IFD及び65%IFD値を得た。25%IFD及び65%IFDから支持係数を計算し、表21.3に報告する。
【表39】

【表40】


【表41】

【0189】
実施例22:難燃性
実施例18で調製したスラブストック発泡体試料を、Technical Bulletin 117「装飾家具に用いる弾性充填材の難燃性の試験の要件、試験手順及び装置(Requirements, Test Procedure and Apparatus for Testing the Flame Retardance of Resilient Filling Materials Used in Upholstered Furniture)」(2000年3月)に従って難燃性について試験した。結果を表22.1に報告する。
【表42】

【0190】
実施例23
オリゴマーポリオールを、複数回のGPCカラム通しにより分画した。各画分について、フェニルイソシアネートを用いて画分におけるOH基を標識した。次いで、各画分の紫外吸光度を測定して、ヒドロキシル含量を求めた。標準との比較により、各画分のヒドロキシル価及び数平均ヒドロキシル官能性(Fn)を求めた。結果を表23.1に示す。
【表43】

【0191】
実施例24
表24.1に示す特性を有するオリゴマーポリオールを、臭気発生脂質酸化生成物であるヘキサナール、ノナナール及びデカナールの存在について分析した。オリゴマーポリオール中の酸化生成物のレベルを100万分の1(ppm)単位で測定するために用いた分析技術は固相微量抽出の後のガスクロマトグラフィー及びフレームイオン化検出であった。外標準を用いて、ヘキサナール、ノナナール及びデカナールの校正曲線を作製した。表24.1のオリゴマーポリオールの分析の結果を表24.2に示す。
【表44】

【表45】

【0192】
本明細書で言及したすべての刊行物及び特許は、ここに参照により組み込まれる。本明細書で開示した刊行物及び特許は、それらの開示のためにのみ示す。本明細書におけるすべての刊行物及び特許は、発明者らが、本明細書で引用したあらゆる刊行物及び/又は特許を含むあらゆる刊行物及び/又は特許を先行技術と認めていると解釈すべきでない。
【0193】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮により、或いは本明細書に開示した本発明の実施により、当業者には明らかとなろう。本明細書に記載した原理及び実施形態の様々な省略、修正及び変更は、添付の特許請求の範囲により示されている本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者によって行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリイソシアネートと、
(b)約45〜約65mgKOH/gのヒドロキシル価、約2.7未満の数平均ヒドロキシル官能性及び40重量%以上のオリゴマーを有するオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物と
の反応生成物を含むポリウレタン発泡体。
【請求項2】
オリゴマーポリオールが約55重量%〜約65重量%のオリゴマーを有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項3】
オリゴマーポリオールが約8重量%〜約12重量%の二量体、約5重量%〜約10重量%の三量体及び約35重量%以上のより高次のオリゴマーを有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項4】
オリゴマーポリオールが約2.5未満の数平均ヒドロキシル官能性を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項5】
オリゴマーポリオールが約2.0未満の数平均ヒドロキシル官能性を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項6】
オリゴマーポリオールが約1.0mgKOH/g未満の酸価を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項7】
オリゴマーポリオールが約1000〜5000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項8】
オリゴマーポリオールが約5000〜50000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項9】
オリゴマーポリオールが25℃で約0.5〜約10Pa・sの粘度を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項10】
オリゴマーポリオールが約0.5%〜約5.0%の残留エポキシ酸素含量を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項11】
オリゴマーポリオールが約0.01%〜約5.0%の残留エポキシ酸素含量を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項12】
オリゴマーポリオールがエポキシ化天然油から製造される、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項13】
天然油がダイズ油、ベニバナ油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ひまわり油、オリーブ油、カノーラ油、ゴマ油、綿実油、パームベース油、ナタネ油、桐油、ラッカセイ油、魚油、ラード、獣脂及びその組合せから選択される、請求項12に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項14】
天然油がダイズ油を含む、請求項13に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項15】
パームベース油がパームオレインを含む、請求項13に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項16】
活性水素含有組成物が石油由来ポリオールをさらに含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項17】
石油由来ポリオールがトリオールである、請求項16に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項18】
石油由来トリオールが約3000g/モルの分子量を有する、請求項16に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項19】
活性水素含有組成物が約45重量%〜約90重量%の石油由来ポリオール及び約10重量%〜約60重量%のオリゴマーポリオールを含む、請求項16に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項20】
ポリイソシアネートがトルエンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、重合4,4'-ジフェニルメタン又はその混合物である、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項21】
活性水素含有組成物が約10重量%〜約50重量%のオリゴマーポリオールを含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項22】
ポリウレタン発泡体がスラブストック発泡体である、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項23】
ポリウレタン発泡体が軟質スラブストック発泡体である、請求項22に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項24】
ポリウレタン発泡体が成形発泡体である、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項25】
ポリウレタン発泡体が約0.5〜約5.0lbs/ft3の密度を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項26】
活性水素含有組成物が少なくとも10PPHオリゴマーポリオールを含み、約1.5lb/ft3の密度及び約23N/323cm2の25%IFDを有するポリウレタン発泡体について式(I)
引張強さ低下率(%)=
0.89×(PPHオリゴマーポリオール)
(I)
以下である対照配合物を基準とした引張強さ低下率(%)を示す、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項27】
式(I)が
引張強さ低下率(%)=
1.0×(PPHオリゴマーポリオール)
(I)
に等しい、請求項26に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項28】
活性水素含有組成物が少なくとも10PPHオリゴマーポリオールを含み、約1.5lb/ft3の密度及び約23N/323cm2の25%IFDを有するポリウレタン発泡体について式(II)
引裂強さ低下率(%)=1.40×(オリゴマーポリオールのPPH)
(II)
以下である対照配合物を基準とした引裂強さ低下率(%)を示す、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項29】
活性水素含有組成物が少なくとも10PPHオリゴマーポリオールを含み、約1.5lb/ft3の密度及び約23N/323cm2の25%IFDを有するポリウレタン発泡体について式(III)
伸び低下率(%)=1.36×(オリゴマーポリオールのPPH)
(III)
以下である伸び低下率(%)を示す、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項30】
外側1インチの発泡体を含む高密度外部スキン層を有するスラブストック発泡体バンの形態であり、外部スキン層の密度が、対照配合物を含むポリウレタン発泡体バンの高密度外部スキン層より少なくとも約20%低い、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項31】
スラブストックポリウレタン発泡体の密度が、対照配合物を含むスラブストック発泡体の密度より約0.25lb/ft3以上低い、請求項30に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項32】
対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して高い支持係数を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項33】
支持係数が約1.7〜約2.2である、請求項32に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項34】
対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して改善された手触りを有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項35】
対照配合物と比較して約2%以上低い5%IFDを有する、請求項34に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項36】
対照配合物と比較して約5%以上低い5%IFDを有する、請求項34に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項37】
対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して改善された難燃性を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項38】
対照配合物と比較して低いチャー長さを有する、請求項37に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項39】
対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して改善された耐水性を有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項40】
対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して低い5%IFDを有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項41】
対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して低い5%IFD及び実質的に等しい25%IFDを有する、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項42】
スラブストック発泡体である、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項43】
成形発泡体である、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項44】
オリゴマーポリオールが、
(a)エポキシ化天然油を用意する段階と、
(b)エポキシ化天然油を開環アルコール及び触媒量の開環触媒と混合してオリゴマーポリオールを生成させる段階と
を含む方法によりを調製される、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項45】
開環アルコールが一価アルコールである、請求項44に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項46】
一価アルコールがメタノールである、請求項45に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項47】
開環アルコールがポリオールである、請求項44に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項48】
ポリオールがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、植物油ベースポリオール又はその混合物である、請求項47に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項49】
オリゴマーポリオールが約30ppm以下のヘキサナールを含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項50】
オリゴマーポリオールが約30ppm以下のノナナールを含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項51】
オリゴマーポリオールが約30ppm以下のデカナールを含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項52】
オリゴマーポリオールが約70ppm以下の総ヘキサナール、ノナナール及びデカナールを含む、請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項53】
ポリイソシアネートと、
約2.7未満の数平均ヒドロキシル官能性を有する少なくとも10PPHのオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物と
の反応生成物を含み、約1.5lb/ft3の発泡体の密度を有し、少なくとも約85kPaの引張強さを有するポリウレタン発泡体。
【請求項54】
少なくとも約90%の伸びを有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項55】
少なくとも約150N/mの引裂き強さを有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項56】
約20%未満の90%圧縮永久ひずみを有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項57】
商業発泡体生産に許容できる軽度の臭気を有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項58】
オリゴマーポリオールがエポキシ化天然油から調製される、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項59】
天然油がダイズ油、ベニバナ油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ひまわり油、オリーブ油、カノーラ油、ゴマ油、綿実油、パームベース油、ナタネ油、桐油、ラッカセイ油、魚油、ラード、獣脂及びその組合せから選択される、請求項58に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項60】
天然油がダイズ油を含む、請求項59に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項61】
パームベース油がパームオレインを含む、請求項59に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項62】
ポリイソシアネートがトルエンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、重合4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート又はその混合物を含む、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項63】
ポリオール組成物が約2.5未満の数平均ヒドロキシル官能性を有する少なくとも20PPHのオリゴマーポリオールを含む、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項64】
オリゴマーポリオールが約45〜約65mgKOH/gのヒドロキシル価を有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項65】
オリゴマーポリオールが約0.5%〜約5.0%のエポキシ酸素含量を有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項66】
オリゴマーポリオールが
(a)エポキシ化天然油を用意する段階と、
(b)エポキシ化天然油を開環アルコール及び触媒量の開環触媒と混合してポリオール組成物を生成させる段階と
を含む方法により調製される、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項67】
エポキシ化天然油が完全にエポキシ化された植物油であり、オリゴマーポリオールが約0.5%〜約5.0%のEOCを有する、請求項66に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項68】
スラブストック発泡体である、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項69】
スラブストック発泡体が軟質である、請求項68に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項70】
成形発泡体である、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項71】
対照配合物を含むポリウレタン発泡体より少ない臭気を有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項72】
対照配合物を含むポリウレタン発泡体と比較して改善された色堅牢度を有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項73】
オリゴマーポリオールが約30ppm以下のヘキサナールを含む、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項74】
オリゴマーポリオールが約30ppm以下のノナナールを含む、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項75】
オリゴマーポリオールが約30ppm以下のデカナールを含む、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項76】
オリゴマーポリオールが約70ppm以下のヘキサナール、ノナナール及びデカナールを含む、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項77】
紫外線安定剤の不存在下で6週間にわたる周囲条件下での光への曝露の際に少なくとも70単位の(L)値を特徴とする色を含む鏡面反射を有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項78】
紫外線安定剤の不存在下で6週間にわたる周囲条件下での光への曝露の際に少なくとも80単位の(L)値を特徴とする色を含む鏡面反射を有する、請求項53に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項79】
(a)ポリイソシアネートと、約45〜約65mgKOH/gのヒドロキシル価、約2.7未満の数平均ヒドロキシル官能性及び約40重量%以上のオリゴマーを有するオリゴマーポリオールを含む活性水素含有組成物とを、所定の形状を有する型に充填する段階と、
(b)発泡剤の存在下で型中でポリイソシアネートと活性水素含有組成物とを反応させて、ポリウレタン発泡体を含む物品を製造する段階と
を含む、成形ポリウレタン発泡体物品を製造する方法。
【請求項80】
(a)ポリイソシアネートと、活性水素含有組成物とを、発泡剤の存在下で発泡体運搬アセンブリ上で反応させて、スラブストックの形態の軟質ポリウレタン発泡体を製造する段階であって、ポリオール組成物が、約45〜約65mgKOH/gのヒドロキシル価、約2.7未満の数平均ヒドロキシル官能性及び約40重量%以上のオリゴマーを有するオリゴマーポリオールを含む段階と、
(b)スラブストック発泡体を成形して、物品を形成させる段階と
を含むスラブストックポリウレタン発泡体物品を製造する方法。
【請求項81】
約30ppm以下のヘキサナールを含むオリゴマーポリオール。
【請求項82】
約30ppm以下のノナナールを含むオリゴマーポリオール。
【請求項83】
約20ppm以下のデカナールを含むオリゴマーポリオール。
【請求項84】
約80ppm以下のヘキサナール、ノナナール及びデカナールを含むオリゴマーポリオール。

【公表番号】特表2008−539314(P2008−539314A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509064(P2008−509064)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015733
【国際公開番号】WO2006/116456
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】