説明

オルガノシロキサンポリマーの製造

シロキサン含有ポリマーの製造方法が記載されている。この方法は、a)b)及びc)の存在下で、単独又は1分子当たり少なくとも2つの縮合できる基を持つ1以上の有機オリゴマーを有する混合物中に、1分子当たり少なくとも2つの縮合できる基を持つオリゴマーを有する非環状シロキサンを含有するオリゴマー100質量部を、の重縮合するステップを備え、b)は、(a)100質量部に対して少なくとも2質量部の、ブレンステッド酸又はルイス酸を有する1以上の縮合触媒であり、c)は、(a)100質量部に対して少なくとも15質量部の、1以上の液化ガス又は超臨界流体である。反応完了後、前記シロキサン含有ポリマーは、液化ガス又は超臨界流体(c)の膨張によって回収される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、除去できる希釈剤の存在下での鎖状オルガノシロキサンオリゴマーの縮合重合を通したシロキサン含有ポリマーの製造に関する。
【0002】
鎖状及び分岐状シロキサンオリゴマー、又は、2以上のヒドロキシル基及び/若しくは他の加水分解できる基を有する短鎖ポリマーは、適した縮合触媒及び必要と思われる熱の存在下における重合によって、高分子量、長鎖ポリマーへの重合反応経路を通して重合される、ことが良く知られている。
【0003】
得られた未硬化ポリマーのレオロジー特性は、第一にそれらの粘度の作用である。一般的に、ポリマーの粘度より低くすることは、そのポリマーを含む未硬化組成物の押し出し速度をより高くすることである。未硬化ポリマーの粘度は、直接的に、該ポリマーの分子量及びポリマー鎖の長さに関連し、一般的に重合度(dp)として定義される。未硬化ポリマーの粘度は、そのポリマーを組み込んだ組成物がその後硬化する際に、その組成物のいくつかの物性にも主要な影響を与える。上述の重縮合反応により得られたポリマーの粘度は、25℃で数千mPa・s(液状で比較的短鎖のポリマー)から何百万mPa・s(ゴム状で長鎖のポリマー)までの粘度を有する。より長い鎖のポリマーは、有利な物性を有するポリマーを含む組成物を提供できるが、しかしながら、より粘着性のある最終生成物(例えばポリマー鎖の長さをより長くすること)は、それを含んだ組成物を製造するときのポリマーの取扱及び利用をより困難にする。
【0004】
シロキサンオリゴマー及び/又は短鎖ポリマーの重縮合の新規プロセスは国際公開第2006/106362号パンフレットに記載され、そこでは一般的にはシリコーン系封止材のようなポリマー最終生成物を含有する組成物に用いられる増量剤(加工助剤と称されることもある)及び/又は可塑剤がさらに重合中に存在している。通常、増量剤及び/又は可塑剤は反応物質、中間物及び反応生成物とは反応しない。この革新的方法は、その後組成物に用いる際の加工上の問題を回避しながら、非常に長い鎖状ポリマーの調製をもたらすことができる。可塑剤及び/又は増量剤の存在は希釈ポリマーを扱いやすい粘度で維持するが、ポリマー単体では可塑剤及び/又は増量剤の非存在下では25℃で何百万mPa.sもの粘度を有するだろう。国際公開第2006/106362号パンフレットは、縮合中に形成される副生成物、例えば、水、HCl又はアルコールの除去を促進するため、重合プロセスは80kPaより低い圧力で行われ得るが、重縮合反応はいずれの適切な圧力で行うこともできることを示す。それは平衡を含む縮合型反応を所望に応じて大気より高い圧力で行うことができることをさらに示すが、後者のプロセスの実施例は提供されていない。
【0005】
本プロセスは、組成物中に含まれる可塑剤及び/又は増量剤の形で液体を有することを通常必要とする用途に優れた効果を示す。最も一般的な用途は、シリコーンベースの封止剤における使用である。しかしながら、本プロセスは、希釈しないポリマー生成物を必要とする多くの用途に適さない生成物を明確に提供するポリマー混合物中で、実質的に全ての可塑剤及び/又は増量剤を本質的に保持する。
【0006】
欧州特許第0221824号明細書は、1分子当たり少なくとも1つの−OH基を有する環状ポリジオルガノシロキサンオリゴマー又は環状及び線状ポリジオルガノシロキサンオリゴマーの混合物の酸性又は塩基性触媒重合プロセスについて記載する。欧州特許第0221824号の重合プロセスは少なくとも1つの液体において超大気圧下で行われる。重合中の液体の物理的状態は:
(i)超大気圧下で気体;
(ii)液体状態;又は
(iii)超臨界状態
から選択され、得られるポリマーは「膨張」、すなわち通常の気相状態に変化させることによる液体の除去により回収される。これは25℃で何百万mPa.sもの高粘度を有するほぼ不希釈のポリマーをもたらす。しかしながら、提供されている実験データは、調製後、少量だが有効量の低分子量揮発性シロキサン(>2重量%)がポリマー中に残り、従って純ポリマーが得られないことを示す。残留揮発性シロキサンの比較的高い濃度から、重合後反応槽から排出される際に液体がポリマーから揮発性シロキサンを抽出しないことは明らかであることをさらに理解すべきである。欧州特許第0221824号の実施例20及び21はジヒドロキシポリジメチルシロキサンの使用について開示するが、このポリマーは平衡プロセスによってOH基を再分配する末端ブロック剤として用いられ、水は反応から除去されないことを理解すべきである。従って、重縮合はこれらの実施例では行われていない。
【0007】
Mingotaud, A.-F., Cansell, F., Gilbert, N., and Soum, A., “Cationic and Anionic Ring-Opening Polymerization in Supercritical CO2 - Preliminary Results”, Polymer Jornal, Vol. 31, No. 5, pp. 406-410 (1999) 、及び、 Mingoptaud, A.-F., Dargelas, F., nd Cansell, F., “Cationic and Anionic Ring-Opening Polymerization in Supercritical CO2”, Mcromol. Symp. Vol. 153, 77-86 (2000)には、カチオン開始剤(触媒)、特にトリフリック酸(トリフルオロメタンスルホン酸)存在下の超臨界二酸化炭素中でD4の開環重合が開示されている。実験で考察される圧力範囲は、100〜200バール、温度範囲は110〜140℃である。
【0008】
事前に準備した粘性シリコーンベースポリマーから、揮発性シリコーン材料を抽出するための圧縮ガスを用いる方法が、米国特許出願公開第2002/0005344号明細書で述べられている。国際公開第03/080713号パンフレットでは、硝子体網膜シリコーンタンポン挿入法の超臨界流体抽出法が開示され、比較的低い分子量の環状シロキサン及びシリコーンオイルからのオリゴマーを除去するため、シリコーンオイル、又は、良好な超臨界二酸化炭素若しくは超臨界二酸化炭素混合物を用いる流体の精製を含む。
【0009】
超臨界流体の使用は、事前に硬化したシロキサンベース弾性材料を精製する手段として、従来技術でもよく知られている。例えば、米国特許第5436061号明細書では、硬化した圧力感度接着剤(PSA)の揮発性留分含有量を、超臨界状態であるかそれに近い流体を用いて該硬化PSAを抽出することによって低減する方法が開示されている。欧州特許第0435328号明細書では、減圧を制限することで、モールドの割れを避ける一方、長臨界二酸化炭素ガスを用いてオルガノポリシロキサンモールドに存在するシロキサンオリゴマーの除去方法が開示されている。
【発明の概要】
【0010】
そのためここで、本発明者らは、オリゴマーを含有するシロキサンの重縮合のプロセスを見出し、本プロセスでは、前記ポリマーが希釈剤の存在下でもたらされるが、該希釈剤は重合の後に取り除かれる。本プロセスは、前記ポリマーの揮発性成分の抽出によるよりも、同定された特異な反応状態の結果、極めて低い量の環状揮発シロキサン不純物を含有するポリマー生成物を提供するという別の利点がある。
【0011】
本発明によれば、(a)の重縮合と、その後、液化ガス又は超臨界流体(c)の膨張によってポリシロキサン含有ポリマーを回収するステップを備え、
(a)は、(b)及び(c)の存在下で、単独又は1分子当たり少なくとも2つの縮合できる基を持つ1以上の有機オリゴマーを有する混合物中に、1分子当たり少なくとも2つの縮合できる基を持つオリゴマーを有する非環状シロキサンを含有するオリゴマー100質量部であり、
(b)は、(a)100質量部に対して少なくとも2質量部の、ブレンステッド酸又はルイス酸を有する1以上の縮合触媒であり、
(c)は、(a)100質量部に対して少なくとも15質量部の、1以上の液化ガス又は超臨界流体である、ポリシロキサン含有ポリマーの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において用いる「含む」の概念は、「include(含む)」及び「consist of(からなる)」の概念を意味し、包含するようにもっとも広い意義において用いられる。特に指示のない限り与えられたすべての粘度値は25℃の温度でのものである。好適には、本方法は行われるただ1つの反応又は行われるほぼただ1つの反応が重縮合である「純粋な」重縮合系に関する。
【0013】
ポリシロキサン含有ポリマーとは、1分子当たり複数のポリシロキサン基を含むポリマーを意味することを意図し、ポリマー鎖中にほぼポリシロキサン基のみを含有するポリマー又は骨格がポリマー鎖中にポリシロキサン基及び有機ポリマー基の両方を含有するポリマーを含むことを意図している。
【0014】
重縮合は、水、アンモニア又は1〜6の間の炭素原子を含んでいるアルコール(典型的にはメタノール及びエタノール)のような低分子量の副生成物の除去を伴った、多数のモノマー及び/又はオリゴマーの重合である。縮重合タイプの重合反応は、最も一般的には、例えば、水又はメタノール、その他と相互に作用できる縮合末端基を有する化合物の相互作用と関連する。好ましくは、本発明のプロセスで用いられる前記オリゴマーの縮合末端基は、ヒドロキシル末端基又は加水分解できる末端基(例えば、アルコキシ基)である。本発明者らは、本発明に従う縮合重合プロセスは、特定量の上述した縮合触媒(b)の1又は複数とともに、いかなる公知の適したオリゴマー(a)も利用できることを見出した。
【0015】
従って、本発明による重合プロセスの1つの好適な方法は、複数の式(1)の単位を含む非環状(すなわち直鎖及び/又は分岐)シロキサン含有オリゴマーの重合である。
R’aSiO4−a/2 (1)
ここで、各R’は同じ又は異なっていてもよく、水素、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基又は最大18個の炭素原子を有する炭化水素オキシ基を表し、「a」は平均で1〜3、好適には1.8〜2.2の値を有する。好適には、シロキサン含有オリゴマーは25℃で10mPa.s〜50000mPa.sの粘度を有する。
【0016】
本出願の目的のため、「置換」とは、炭化水素基中の1個以上の水素原子が別の置換基で置き換えられていることを意味する。こうした置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素、及びヨウ素のようなハロゲン原子;クロロメチル、ペルフルオロブチル、トリフルオロエチル、及びノナフルオロへキシルのようなハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリル及びカルボキシルのような酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基のような窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基のような硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
特に好適な基R’の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロへキシル、フェニル、トリル基、3,3,3−トリフルオロプロピルのような塩素若しくはフッ素で置換したプロピル基、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル又はクロロシクロへキシル基が挙げられる。好適には少なくともいくつかの、より好適にはほぼすべての基R’はメチルである。いくつかのR’基は水素基であってもよい。シロキサン含有オリゴマーは、好適には線状又は分岐ポリジアルキルシロキサンであり、より好適には線状又は分岐ポリジメチルシロキサンである。もっとも好適には、シロキサン含有オリゴマーは線状ポリジメチルシロキサンである。
【0018】
シロキサン含有オリゴマーは好適には、式R”3SiO1/2のシロキサン単位で末端ブロックされるほぼ線状の物質であり、式中、各R”は同じ又は異なり、R’又は縮合性基である。縮合性末端基のいずれかの適切な組み合わせを本発明の重合プロセスに用いることができる(すなわち選択される縮合性基は重合するため一緒に縮合反応を受けることができなければならない)。好適には、少なくとも1つのR”基は水酸基又は加水分解性基である。一般的には、モノマー/オリゴマー末端基として用いられる縮合性基は上記のとおりであるが、本発明による液化ガスの存在下でのモノマー/オリゴマーの重縮合に関与するいずれかの基である。少量(<20%)の基R”3SiO1/2はトリアルキルシリル基のような非加水分解性末端基を含むことができる。
【0019】
必要に応じて、互いに重合可能であるような適当な縮合性末端基を有するシロキサン含有オリゴマーの混合物を用い、ランダムコポリマー又はABA若しくはAB型ブロックコポリマーを形成することができることも理解されるだろう。こうしたシロキサン含有オリゴマー及びポリマー鎖は上記(1)で表した単位の鎖から形成されるブロックを含むことができ、2つのR’基が存在する(すなわちポリマーのほとんどの単位と同様にa=2である)場合、R’基は:
・ともにアルキル基(好適にはともにメチル又はエチル)、
・アルキル及びフェニル基、
・アルキル及びフルオロプロピル、
・アルキル及びビニル、又は、
・アルキル及び水素基
である。一般的には、少なくとも1つのブロックはR'基が両方アルキル基であるシロキサン単位を含むだろう。
【0020】
必要に応じて、ランダムコポリマー又はABA若しくはAB型ブロックコポリマーを形成するため、オルガノポリシロキサンモノマー及び/又はオリゴマーと重合可能であるような適当な縮合性末端基を有する有機モノマー及び/又はオリゴマーを導入することができることも理解されるだろう。好適には、有機モノマー及び/又はオリゴマーはシロキサンモノマー及び/又はオリゴマーの縮合性基と縮合可能である2つ以上の縮合性基を含む。本発明に従って用いることができる有機モノマーの例としては、例えば、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(ビニルメチルスチレン)、ポリ(ρ−トリメチルシリルスチレン)及びポリ(ρ−トリメチルシリル−α−メチルスチレン)のようなポリスチレン及び/又は置換ポリスチレンが挙げられる。他の有機物成分は、アセチレン末端オリゴフェニレン、ビニルベンジル末端芳香族ポリスルホンオリゴマー、芳香族ポリエステル及び芳香族ポリエステル系モノマーを含むことができる。
【0021】
しかしながら、A中のもっとも好適な有機物系ポリマーブロックはポリオキシアルキレン系ブロックである。こうしたポリオキシアルキレン化合物は、好適には平均式(−C2n−O−)により例示される繰り返しオキシアルキレン単位(−C2n−O−)からなる線状の主にオキシアルキレンポリマーを含み、式中、nは2〜4の整数であり、yは少なくとも4の整数である。少なくともいくつかの水素単位を代替置換基で置換することができる。各ポリオキシアルキレンポリマーブロックの平均分子量は約300〜約10,000g/molの範囲とすることができる。また、オキシアルキレン単位はポリオキシアルキレンモノマー全体で必ずしも同一ではなく、単位ごとに異なり得る。ポリオキシアルキレンブロックは、例えば、オキシエチレン単位(−C−O−);オキシプロピレン単位(−C−O−);若しくはオキシブチレン単位(−C−O−);又はこれらの混合物からなり得る。本発明の1つの実施形態では、オキシアルキレンポリマーは好適にはペルハロオキシアルキレン基、もっとも好適にはペルフルオロキシアルキレン基を含むことができる。
【0022】
他のポリオキシアルキレンモノマー及び/又はオリゴマーは、例えば以下の構造単位を含み、
−[-R-O-(-R-O-)p-Pn-CRg2-Pn-O-(Rf-O-)q-Re]−
式中、Pnは1,4−フェニレン基であり、各Rは同じ又は異なり、2〜8個の炭素原子を有する二価炭化水素基であり、各Rは同じ又は異なり、エチレン基又はプロピレン基であり、各Rは同じ又は異なり、水素原子又はメチル基であり、下付き文字p及びqはそれぞれ3〜30の範囲内の正の整数である。
【0023】
本発明によれば、用いられる縮合触媒は、(a)100質量部に対して少なくとも2質量部の、ブレンステッド酸又はルイス酸で、1以上の縮合触媒である。触媒の使用量は、用いられる触媒に応じて変化するが、一般的に、用いられる触媒は、(a)100質量部に対して最大5質量部までである。あるいは前記触媒は、そのような酸の混合物とすることができる。適したブレンステッド酸又はルイス酸のどれでも用いられる。本発明における重合に適したルイス酸触媒(「ルイス酸」は、共有結合から電子対を受け取るあらゆる物質である。)は、例えば、三フッ化ホウ素、FeCl3、AlCl3、ZnCl2、ZnBr2、B(C6F5)3、及び、式M1R21qX2fを含む。ここで、M1は、B、Al、Ga、In又はTlであり、各R21は独立して、同様(同一)又は異なっており、6〜14の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基であり、そのような一価の芳香族炭化水素基は、好ましくは−CF3、−NO2若しくは−CNのような少なくとも1つの電子求引性成分若しくは基、又は少なくとも2つのハロゲン原子と置換した基を有し;X2は、F、Cl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲン原子であり;qは1、2又は2であり、fは、0、1又は2であるが;ただし、q+f=3である。ホスホン酸ニトリルハロゲン化物、及びホスホン酸ニトリル塩化物とリン酸エステルの反応生成物の、ルイス酸誘導体も用いられる。
【0024】
適切なブレンステッド酸(すなわちプロトン供与体、又はその前駆体として働く物質)としては、硫酸、リン酸、アルキル硫酸(例えばエチル硫酸)、ピロリン酸、硝酸、ホウ酸、活性フラー土、有機酸、例えばクエン酸、ステアリン酸、酢酸、スルホン酸、クロロスルホン酸のようなハロスルホン酸及びドデカン酸のようなアルカン酸、又は前記化合物のいずれかの前駆体、ハロゲン化リン(POCl3及びPCl5)並びにクロロホスファゼンが挙げられる。
【0025】
さらにより好適には、ブレンステッド酸は10個以上のC原子、より好適には12個以上のC原子、もっとも好適には14個以上のC原子を含む有機スルホン酸であり、スルホン酸は、例えばベンゼン、ナフタレン、フェナントレン又はアントラセン基であってもよい少なくとも1つの芳香族基をさらに含む。有機スルホン酸には、1つ又は2つ以上のスルホン酸基が存在することができ、スルホン酸基は有機スルホン酸の非芳香族、又は好適には芳香族基のいずれかに結合することができる。
【0026】
式R20(SO3H)Zを有するものがとくに好適であり、式中、R20は好適には6〜18個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、ヘキシル若しくはドデシル基、フェニル基のようなアリール基、又はジノニル−若しくはジドデシル−ナフチルのようなアルカリル基を表す。R20がアルキル基である場合z=1であるが、R20がアリール基を含有する場合zは1〜4の値を有することができる。有機芳香族スルホン酸シラノール縮合触媒として用いられる化合物は、好適には10〜200個のC原子、より好適には14〜100個のC原子を有する。R20は好適には4〜30個、より好適には6〜18個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルカリル基である。
【0027】
触媒は、有機芳香族スルホン酸である場合、構造単位R20(SO3H)Zを1回又は数回、例えば、2回又は3回含むことができる。例えば、2つのR20(SO3H)Z構造単位はアルキレン基のような架橋基によって互いに連結することができる。
【0028】
アルキルフェニルスルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)がもっとも好適である。この群の触媒は優れた縮合触媒であるが、従来技術はそれらが縮合専用ではないことを教示する。とくに、DBSAは界面活性平衡触媒であることも知られている(例えば、米国特許第4654041号明細書を参照)。平衡触媒はシロキサン結合の切断及び形成の両方を触媒することができ、縮合重合反応が行われるのを触媒するだけでなく、短鎖環状シロキサンの形成をもたらす。
【0029】
DBSAのこの二重の触媒活性は、本発明による反応プロセスの最終生成物が当業者により重縮合反応対平衡反応の相対速度により決定されると予想されることを意味する。多くの商業的な縮合重合プロセスでは、反応副生成物、例えば水は、化学的又は物理的水捕捉剤(重縮合反応を妨げないように選択される必要がある)により、触媒を吸着又は抑制することにより除去される。あるいは、反応副生成物は真空の印加により除去される。これはもちろん、前記反応が水が「フローズンアウト」され得る0℃を下回る温度で実施されることなしに、反応混合物中の液化したガスを保つ必要性のため、本発明のプロセス中では不可能である。
【0030】
それによって、最終製品の0.5質量%未満が、揮発性の環状シロキサン不純物であること(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(以下、「D」という。)、デカメチルシクロペンタシロキサン(以下、「D」という。)、及び、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(以下、「D」という。)は非常に驚くべきことである。これらの値は、GC−FID(炎イオン化検出)を用いた測定に基づいている。これは特に、予期できないものである。なぜなら、本発明のプロセスでは、縮合反応副生物(例えば、水)を取り除くために大きな努力をしておらず、重縮合反応速度への悪影響を有する反応生成物中で増加し続ける副生物(例えば、水)の存在を理由として、当業者は時間が経つに従って次第に優勢となる平衡反応を予測するからである。従って、本発明によるプロセス中にもたらされた前記のD、D及びDのような環状シロキサン不純物の非常に低いレベルは、当業者の予測に反するものである。
【0031】
前記触媒の活性は、前記触媒と反応しそれを非活性にならしめる中和剤を用いることによって抑えることが好ましい。典型的には、本発明において要求される縮合触媒酸の種類に応じて、前記中和剤は適当な塩基であり、例えば、モノ/ジ及びトリアルカノールアミンのようなアミン、具体例としてはこれに限定されないが、モノエタノールアミン(MEA)及びトリエタノールアミン(TEA)を含む。DBSA触媒を用いるシステムの場合、抑制手段は、DBSAを吸収し、安定したポリマーを残すために見出されたアルミナシリケートゼオライトを含む。大抵の場合、触媒残留物は、ポリマー生成物中に留まるか、又は、必要に応じてろ過若しくは代替の方法によって取り除かれる。好ましくは、(a)100質量部に対して、約2.5質量部の1以上の縮合触媒が、本発明に従って用いられる。
【0032】
任意の末端ブロック剤を用いてポリマーの分子量を制御し、及び/又は官能基を添加することができる。末端ブロック剤は、ただ1つの加水分解性末端基と反応する化合物を導入し、その後さらなる重縮合を防止することにより、ポリマーの反応性/ポリマー鎖長を制御する手段である。それはポリマー上に代替末端基、例えばケイ素結合水素基、アルケニル基を導入し、次にそれを用いて代替反応性末端基を生成し、又は非反応性末端基をもたらすことができる手段でもある。末端ブロックプロセスがシラノール末端基をトリオルガノシロキシ基で置き換え、さらなる重合を防止することを目的とする場合、これはトリオルガノシロキシシラン又はトリオルガノシラノールをモノマー及び/又はオリゴマー中に組み込むことにより達成することができる。こうしたシランの例は、トリメチルメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェニルビニルエトキシシラン及びアミノプロピルトリメトキシシランである。アルケニル末端基を要する場合、適切な末端ブロック剤としては、例えばアルケニルシラザンが挙げられる。末端ブロック剤を用いて導入することができる加水分解性基としては、アルコキシ基、アセトキシ基、
−Si(OH)3、−(Ra)Si(OH)2、−(Ra)2SiOH、−RaSi(ORb)2、−(ORb)3、−Ra2SiORb又はRa2Si−Rc−SiRdp(ORb)3-pが挙げられ、式中、各Raは単独で、とくに1~8個の炭素原子を有する、一価ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基を表し(好適にはメチルであり);Rb及びRd基はそれぞれ単独でアルキル基又はアルコキシ基であり、アルキル基は適切には最大6個の炭素原子を有し;Rcは最大6個のケイ素原子を有する1つ以上のシロキサンスペーサが介在し得る二価炭化水素基であり;pは0、1又は2の値を有する。水及び他の重縮合副生成物も末端ブロック剤として機能することができる。
【0033】
意味を明らかにするため、流体は液相及び気相を有し、温度が臨界温度(Tc)を超えると臨界超過と呼ばれることが理解される。この点で、2つの流体相は区別できない。用語「超臨界状態」は、ある溶剤が超臨界流体を形成すると知られている温度及び圧力の状態を含む。
【0034】
用語「超臨界又は超臨界に近い状態」も、ある溶剤が圧縮溶媒として称される温度及び圧力の状態を含む。これは、圧縮エタン、圧縮プロパン及びとりわけ圧縮CO2のような圧縮溶媒を含む。一般に、多くの反応は、超臨界又は超臨界に近い流体の形成を可能とするために選択された溶剤又は溶剤の混合物中で行われる。さらに、ある溶剤は、増大するポリマーマイクロカプセルを引き起こし、これは前記触媒とともに反応剤との接触の助けになる。超臨界又は超臨界に近い流体の形成を可能とするどんな溶剤も採用されうる。超臨界又は超臨界に近い流体の形成を可能とする溶剤は、低分子量の炭化水素ジメチルエステル、二酸化炭素、アンモニア、水、亜酸化窒素及びそれらの混合物を含む。好ましくは、溶剤は、低分子量の炭化水素を含み、特に最も好ましい溶剤は二酸化炭素である。溶剤の例としては、エタン、プロパン、ブタン、CO2、ジメチルエステル、N2O、水及びアンモニアを含む。基材及び反応の生成物のいずれも、溶剤とともに実質的に均質な混合物を形成し、この均質な混合物が超臨界又は長臨界に近い状態であるように、前記溶剤は選択されることが好ましい。
【0035】
本発明の説明のため、液化ガスは液体に変換されたガス状物質である。ガスの液化を実現する方法はいくつか挙げられるが、本発明の場合、物質がその臨界温度を下回った際の蒸気圧縮によって液化が達成されることが好ましい。しかしながら、どんな他の適当な方法も採用できる。そのため、本発明に従って使用される前記液化ガスは、臨界点より下(つまり、臨界点より低い)又は臨界点である。
【0036】
適当な流体はどれでも本発明に用いることができる。好適例としては、室温及び大気圧でガスである流体を含み、これらに限定されないが、例えば、1以上の、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、窒素、亜酸化窒素のような窒素酸化物、モノフルオロメタン、クロロトリフルオロメタンのようなハロゲン化アルキル、並びに/又は、メタン、エタン、プロパンエタン及びブタンのような炭化水素ガスが挙げられる。上述の二酸化炭素及び炭化水素は特に好ましい。前記流体は、四臭化炭素、クロロホルム、メチレン塩化物、キシレン、トルエン及びベンゼンのように、室温及び室内圧力で揮発性液体であるが、適度に温度が上昇したときにガスである流体も含む。
【0037】
本発明者らは、液化ガス及び/又は超臨界流体(構成要素(c))は、本発明によるプロセスに従ったオリゴマー及びポリマーにとって優れた希釈剤であり、(a)100質量部に対して少なくとも15質量部存在することを見出した。好ましくは、(a)100質量部に対して、構成要素(c)が15〜約500質量部である。最も好ましくは、(a)100質量部に対して、構成要素(c)が15好ましくは、(a)100質量部に対して、構成要素(c)が15〜約500質量部である。構成要素(c)が15質量部未満では縮重合生成物をもたらすことはできず、実際には、希釈剤を欠くため、生成物の高粘性という理由から用意された制限されたポテンシャルの鎖長を有する。一方、構成要素(a)の量と比較して量が増加するにつれて、前記オリゴマー(構成要素(a))が非常に希釈化されるため、前記希釈が重合速度に悪影響与える、過度に希釈となる範囲までは、構成要素(c)の量の絶対的な上限値はない。
【0038】
好適には、記載する本発明による重合プロセスから得られる生成物は、少なくとも2つの水酸基又は加水分解性基を含有するポリシロキサン系ポリマーを含み、もっとも好適にはポリマーは末端水酸基又は加水分解性基を含む。好適にはポリマーは一般式を有する。
X−A−X (2)
ここで、X及びXは単独で水酸基又は加水分解性基で終端するシロキサン基から選択され、Aはポリマー鎖である。
【0039】
水酸基末端又は加水分解性基X又はXの例としては、−Si(OH)、−(R)Si(OH)、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR又はRSi−R−SiR(OR3−pが挙げられ、式中、各Rは単独で、とくに1〜8個の炭素原子を有する一価ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基を表し(好適にはメチルであり);R及びR基はそれぞれ単独でアルキル基又はアルコキシ基であり、アルキル基は適切には最大6個の炭素原子を有し;Rは最大6個のケイ素原子を有する1つ以上のシロキサンスペーサが介在していてもよい二価炭化水素基であり;pは0、1又は2の値を有する。好適にはX及び/又はX1は水酸基又はそうでなければ水分の存在下で加水分解性である基を含有する。
【0040】
式(2)のA中に存在することができる適切なシロキサン基の例はポリジオルガノ−シロキサン鎖を含むものである。よって基Aは好適には式(3)のシロキサン単位を含む。
−(RSiO(4−s)/2)− (3)
ここで、各Rは単独で、選択的に塩素又はフッ素のような1つ以上のハロゲン基で置換される1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基のような有機基であり、sは0、1又は2であるが、一般的にすべての非末端基については2である。基Rの特定の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロへキシル、フェニル、トリル基、3,3,3−トリフルオロプロピルのような塩素又はフッ素で置換したプロピル基、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル又はクロロシクロへキシル基が挙げられる。適切には、基Rの少なくともいくつか、好適にはほぼすべてはメチルである。
【0041】
式(2)の化合物中の基Aは得られるポリマーに粘度(本発明に従って希釈剤の非存在下、25℃で最大20,000,000mPa・s(すなわち式(3)の最大200,000単位又はそれ以上)をもたらすいずれかの適切なシロキサン又はシロキサン/有機分子鎖を含むことができる。1つの好適な実施形態では、Aは線状オルガノポリシロキサン分子鎖であり、すなわちsはほぼすべての鎖単位について1.8~2.2の平均値を有する。好適な物質は一般式(4)によるポリジオルガノシロキサン鎖を有する。
−(RSiO)− (4)
ここで、各Rは上で定義するとおりであり、好適にはメチル基であり、tは最大200,000の値を有する。適切なポリマーは、本発明によるプロセスにおいて構成要素(c)の非存在下、25℃で、最大20,000,000mPa・s又はそれ以上の粘度を有するが、構成要素(c)の存在下で調製する場合、粘度は構成要素(c)の存在のため通常25℃で1000〜100,000mPa・s程度である。
しかしながら、反応容器中の圧力が一旦解放され、前記生成物のポリマー基材から構成要素(c)の除去を引き起こすと、前記粘度は大幅に増加することが好適である。
【0042】
式(4)の単位を含有する好適なポリシロキサンはよって、上で定義したように水分を用いて加水分解することができる末端ケイ素結合水酸基又は末端ケイ素結合有機ラジカルを有するポリジオルガノシロキサンである。ポリジオルガノシロキサンはホモポリマー又はコポリマーであってもよい。末端縮合性基を有する異なるポリジオルガノシロキサンの混合物も適している。
【0043】
本発明に従って、成分Aはあるいはランダム又はブロックコポリマーを含むことができ、ブロックコポリマー骨格は上記式(2)に表したタイプのシロキサン基及び上述の出発物質に関して以上で説明したような有機物成分を含む。A中のもっとも好適な有機物系ポリマーブロックは前述のタイプのポリオキシアルキレン系ブロックである。骨格Aはあるいは上記のX及びX基により終端される上述のようなポリオキシアルキレンブロックのみを含むことができる。
【0044】
本発明の最も重要な面の1つとしては、構成要素(c)出発物質の存在下で、ポリマーを重合することで、反応工程の間に生成され、得られた重合生成物混合物は、通常予測されるものよりも非常に低い粘度を有するという事実である。これは、液体又は超臨界流体の形状の間、構成要素(c)は効果的に混合物を希釈化するためです。重合の間この希釈化は、以前に実質的に用いられていたものと比べて、非常に大きな鎖長/分子量のポリマーの重合を可能となる。
【0045】
これは、前記ポリマーが極めて高い粘性のゴムの形をとるため、構成要素(c)出発物質の存在下で、前記ポリマーを有する組成物の他の材料の十分に完全な混合を可能とするのに、ポリマーの粘性が高すぎるためである。そのため、本発明のさらなる実施形態では、プロセスは、前記ポリマーが本発明に従って準備されるプロセスを含み、その後、得られたポリマーと組み合わせて調整される1以上の組成物の材料を、該材料の混合の効率を向上するため、構成要素(c)の除去に先立って、希釈化されたポリマー中に取り込む。このような、除去に先だって行う混合ステップは、(構成要素(c)がないときとは対象的に、)ポリマーを比較的低粘度に保持する。1以上の上述の組成物の他の材料を添加するステップの後に、構成要素(c)は、例えば圧力を解放することで除去される。
【0046】
このような追加的なプロセスステップは、最終組成物中に、一般的に用いられるフィラー、界面活性剤(エマルジョンを作製する場合)等を取り込んでいる、一般的に産業で用いられる高額な費用及び多大な時間の混合プロセスを必要としない。
【0047】
好ましくは、本発明の希釈ポリマーは、本発明に従って、ASTM D5296-05により決定され、ポリスチレンの分子量当量として計算された、少なくとも100000g/molの数平均分子量(Mw)を有するケイ素含有ポリマーであるポリマー成分を含む。
【0048】
本発明に従う前記重合プロセスは、回分式又は連続的にいずれかの適したミキサーを用いて実施される。前記縮重合の副生物が水の場合、該水は、例えば(末端ブロックポリマーとして追加的に機能する)メチルトリメトキシシランのような加水分解型シラン若しくはゼオライト若しくは同様のもの、又は、水の「フリージングアウト」、若しくは、蒸発、融合・遠心分離技術を用いることによる物理的分離によって、除去される。本発明に従う前記縮重合反応は、いくらかの適した温度で実施される。好ましくは、本発明に従うプロセスは、室温(約20〜25℃)から約80℃の間で行われるが、必要に応じて、一般的に水のような重縮合反応副生物をフリーズアウトする場合には、例えば0℃未満など適した環境でこの範囲を外れた温度で開始することもできる。
【0049】
本発明の方法に従って、ポリマーを調整するのに適した方法はどれでも用いられる。1つの適した方法は、構成要素(c)を液化するか、長臨界流体とするのに適度な圧力を利用する構成要素(c)に、先立って/同時に又は後に、オリゴマー(構成要素(a))を反応容器に投入し、混合物を均質化し、前記混合物を再均質化する触媒(構成要素(b))を添加し、その後、前記混合物を重合する。好ましくは、前記オリゴマーは、液化したガス/超臨界流体の形成に続いて添加される。一旦、前記重合は完成する(例えば、前記混合物が設定した粘度へ到達したときである)。前記圧力は、解放され、構成要素(c)は取り除かれる。
【0050】
本発明のいずれかの方法に従って得られたポリマーは、国際公開第2008/045427号パンフレットに記載されたものと類似するプロセスの後に、希釈剤の存在下、乳化される。このようなプロセスでは、希釈剤は、乳化ステップの後に初めて取り除かれる。これは極めて少量の環状揮発性シロキサン不純物を含有するシリコーンエマルジョンをもたらすという利点を有する。
【0051】
本発明のプロセスに従って得られた前記ポリマーは、以下の2点を必要とする、例えば、縮小しない低モジュラス封止剤、パーソナルケア用品又は圧力粘着剤の調整に有用である。
1)不希釈ポリマー(例えば、非可塑化性であり、及び/又は、増量剤を欠いている)
2)高純度のポリマー
本発明は、ここで、後に続く実施例において実証される。
【実施例】
【0052】
全ての表示された圧力は、アナログ圧力計(Heise CM 13961、Newton、Connecticut、最大圧力5000bar(5000×105Pa))を用いて決められた。ポリジメチルシロキサン出発材料の粘度は、Brookfield LV DV−E粘度計によって測定した。
【0053】
(実施例1)
ポリジメチルシロキサンポリマーを、50重量部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン及び二酸化炭素(ベストファーレン AG、ドイツによって提供されたCO2)の混合物を、DBSA(ドデシルベンゼンスルホン酸)を触媒として用いて重合させることにより調製した。前記ポリマーは、一連の異なる圧力で調整された。重合反応は、室温(約23℃)又は40℃で、さまざまな異なる圧力で、必要に応じてスクリュープレス手段を用いて、外圧を印加することができる同心円筒で構成される密閉型レオメーターセルを用いて行った。前記反応混合物は、圧力容器中でCO2をオリゴマーのシロキサン中に導入し、それらを所望の圧力でセル中に設けられたスチールボールを振動させる手段によって均質化することによって調整された。その後、前記触媒を加圧下で添加し、混合物を再均質化した後、加圧下で粘度測定セルへ移した。測定セルは、密閉容器を有していた。回転内筒は4つの磁石及び市販のレオメータードライブ(M5、Thermo−Haak、ドイツ、カルルスルーエ)に接続した測定ヘッドを含有する。レオメーターを既知粘度のシリコーンで調節した。混合物の粘度を5s−1の一定せん断速度で、時間に対して測定した。表1Aで示す温度で、約50000mPa・sの粘度に一旦達したとき、圧力を解放し、過度のTEA(トリエタノールアミン)の添加により重合を停止した。
【0054】
【表1A】

【0055】
得られたポリマー/増量剤混合物を、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)及びガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分子量及び環状シロキサン含量について分析した。分子量及び多分散性(Mw/Mn)をGPCでASTM D5296−05に従って溶剤としてトルエンを用いて測定した。分子量をポリスチレン分子量当量として計算した。環状シロキサン含量をGC−FID(炎イオン化検出)を用いて測定した。オートサンプラー及びFID検出を有するAgilent 6890 GCを用いた。分離をJ&W DB−130m0.32mm/0.25μmカラムで行った。分析を、スプリット/スプリットレス注入口(スプリット10/1)への1μL注入で完了した。検出器は、260℃の温度で稼働した。オーブンパラメーターは50℃で2時間であり、その後1分当たり15℃で250℃まで上昇し、250℃で10分間置いた。結果を表1に示す。
【0056】
【表1B】

【0057】
(実施例2)
一連のポリジメチルシロキサンポリマーを、実施例1で述べたものと同様の設備及びプロセスを用いて、25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン及びプロパン(Valentine Gas Mainz、ドイツ)の混合物を、DBSAを触媒として用いて重合させることによって調製した。前記ポリマーは、一連の異なる圧力で調整された。前記重合は、室温(約23℃)で、密閉型レオメーターセル内で行われた。前記反応混合物は、圧力容器中でプロパンをオリゴマーのシロキサン中に導入し、それらを上述したように所望の圧力で均質化することによって調整された。その後、前記触媒を加圧下で添加し、混合物を再均質化した後、加圧下で上述したような粘度測定セルへ移した。レオメーターを既知粘度のシリコーンで調節した。混合物の粘度を5s−1の一定せん断速度で、時間に対して測定した。前記圧力を解放し、過度のTEA(トリエタノールアミン)の添加により前記重合を停止した。
【0058】
【表2a】

【0059】
得られたポリマー/増量剤混合物を、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)及びガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分子量及び環状シロキサン含量について分析した。分子量及び多分散性(Mw/Mn)をGPCでASTM D5296−05に従って溶剤としてトルエンを用いて測定した。分子量をポリスチレン分子量当量として計算した。環状シロキサン含量を、上述したGC−FID(炎イオン化検出)を用いて測定した。
【0060】
【表2b】

【0061】
従って、本発明によって、1以上のD、D及び/又はDを、最終生成物の0.1質量%未満を有するシロキサンポリマーが調整されると考えられる。さらに、一部の例では、1以上のD、D及び/又はDの累計が、最終生成物の0.1質量%未満である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)の重縮合と、その後、液化ガス又は超臨界流体(c)の膨張によってポリシロキサン含有ポリマーを回収するステップを備え、
a)は、b)及びc)の存在下で、単独又は1分子当たり少なくとも2つの縮合できる基を持つ1以上の有機オリゴマーを有する混合物中に、1分子当たり少なくとも2つの縮合できる基を持つオリゴマーを有する非環状シロキサンを含有するオリゴマー100質量部であり、
b)は、(a)100質量部に対して少なくとも2質量部の、ブレンステッド酸又はルイス酸を有する1以上の縮合触媒であり、
c)は、(a)100質量部に対して少なくとも15質量部の、1以上の液化ガス又は超臨界流体である、
ポリシロキサン含有ポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記重合生成物は、以下の一般式を有する請求項1に記載の方法。
X-A-X1
ここで、Aはポリマー鎖を有するシロキサンであり、X及びXは独立して、ヒドロキシル基、又は、−Si(OH)3、−(Ra)Si(OH)2、−(Ra)2SiOH、−RaSi(ORb)2、−Si(ORb)3、−Ra2SiORb若しくは−Ra2Si−Rc−SiRdp(ORb)3-p(ここで、各Raは独立して一価のヒドロカルビル基、例えば、特に1〜8の炭素原子を有するアルキル基(好ましくはメチル基)を表し、各Rb及びRdは独立してアルキル基又は該アルキル基が適当に6以下の炭素原子を有するアルコキシ基であり、Rcは6以下のケイ素原子をもつ1以上のシロキサンスペーサによって中断された二価の炭化水素基であり、pは0、1又は2の値である。)から選択される水酸基又は加水分解性基で終端するシロキサン基から選択される。
【請求項3】
前記重合プロセスは、前記縮合触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸の存在下で、加水分解できる末端基を有する鎖状及び/又は分岐状のオルガノポリシロキサンが重合される縮合重合プロセスである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記重縮合反応は、モノ/ジ及びトリアルカノールアミン、又は、アルミナシリケートゼオライトによって抑制される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記若しくは各液化ガス及び/又は超臨界流体(c)が、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、窒素酸化物、モノフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、カーボンテトラクロライド、クロロホルム、メチレンクロライドのようなアルキルハライド、キシレン、トルエン、ベンゼン、並びに/又は、メタン、エタン、プロパンエタン及びのような炭化水素ガスの1つ以上から選択されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記若しくは各液化ガス及び/又は超臨界流体(c)が、合計で15〜250質量部の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
希釈剤が、少なくとも実質的にモノマー/オリゴマー及びポリマーと混和性を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセスは、150×105Pa以上で行われる請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
重合の後、生成物は乳化され、前記希釈剤が該乳化ステップの後に初めて取り除かれる請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に従うプロセスによって得られるポリマー。
【請求項11】
請求項11に記載のポリマーの使用。
【請求項12】
最終製品の0.5質量%未満が、揮発性の環状シロキサン不純物である請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−521459(P2012−521459A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501254(P2012−501254)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053569
【国際公開番号】WO2010/108854
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】