説明

オルトシリケート誘導体に基づく新規なリチウム挿入電極材料

【課題】本発明は、オルトシリケート誘導体に基づく新規なリチウム挿入電極材料、これらの材料を含む電極を有する電気化学的発電装置及び可変光伝導装置に関する。
【解決手段】少なくとも二価の結合価を有する少なくとも一の遷移金属を取り込むことによって、ビルディングブロックとしてSiO44-テトラニオンを含むオルトシリケートを使用する。構造からリチウムが出入りして、電極作動中のレドックス共役体の原子価の変化を補償し、全体としての電気的中性度を保つ。本発明の電極材料は、例えば、LiMnSiO,LiFeSiOなどが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルトシリケート誘導体に基づく新規なリチウム挿入電極材料、これらの材料を含む電極を有する電気化学的発電装置及び可変光伝導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極材料は主として遷移金属カルコゲニド、特に酸化物であってラメラ構造、例えばLixCoO2又はスピネル、例えばLi2xMn2O4を有する。これらの材料は通常、単位式中の遷移金属当たり1より小さい交換されたリチウム及び電子(0≦x≦0.6)を伴うリチウム挿入機構を介して作動する。さらに、これらの材料は遷移金属が電極中に浸出して容易に失われるという損害を受ける。コバルトは高価すぎて大規模に使用することができない。
カンラン石型構造のLiFePO4(トリフィル石)及び“□FePO4”として示される準同形脱リチウム材料(ここで“□”はリチウムが抜けた後を意味する)は、平板の放電(リチウム挿入)プラトーを有する液状及びポリマー電解質の双方の安定な窓において、作動電圧が3.5V vs.Li+/Li0であるという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらこの材料はLi+拡散速度キネティックス及び電子伝導性が共に相対的に低いために制限され、その原因はホスフェートアニオンの電気陰性度が高いことにある。両相(LiFePO4及び□FePO4)に非−化学量論性又は相互混和性がないことは放電カーブの形から見て有利ではあるが、最終的には高電流密度で材料を細分化し、また電流収集体として作用する炭素粒子との接触を減少させる相転移のキネティックスを制限する。この型のホスフェートは、単位式当たりただ一つのリチウムを交換する可能性を提供する。
逆に、Li2SO4、Li3PO4、Li4SiO4及びその固溶体との複合物はリチウムイオンに対して相対的に高い拡散係数を有するが、レドックス活性を全く有しないことが知られている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明で、ビルディングブロックとしてSiO44-テトラニオン(tetranion)を含むオルトシリケートが、少なくとも二価の遷移金属を少なくとも一取り込むことによって、レドックス材料として使用される。リチウムが構造体に出入りして、電極として作動中のレドックス共役体の原子価の変化を補償し、また全体としての電気中性度を保持する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の材料の一般式は以下の通りである:
LixMm-(d+t+q+r)DdTtQqRr[SiO4]1-(p+s+g+v+a+b)[SO4]s[PO4]p[GeO4]g[VO4]v[AlO4]a[BO4]b
式中、
MはMn2+又はFe2+及びその混合物を意味し;
Dは+2酸化状態にある金属で、Mg2+、Ni2+、Co2+、Zn2+、Cu2+、Ti2+、V2+、Ca2+から選択する金属を意味し;
Tは+3酸化状態にある金属で、Al3+、Ti3+、Cr3+、Fe3+、Mn3+、Ga3+、Zn3+、V3+から選択する金属を意味し;
Qは+4酸化状態の金属で、Ti4+、Ge4+、Sn4+、V4+から選択する金属を意味し;
Rは+5酸化状態の金属で、V5+、Nb5+、Ta5+から選択する金属を意味し;
M、D、T、Q、Rはすべて八面体又は四面体部位に位置する元素であり;
s、p、g、v、a及びbは、ケイ素四面体部位に位置するS6+(スルフェート)、P5+(ホスフェート)、Ge4+(ゲルマネート)、V5+(バナデート)、Al3+(アルミネート)及びB3+(ボレート)それぞれに対応する化学量論係数である。
化学量論係数のd、t、q、r、p、s、v、a、bはすべて正の数であり、0(含む)と1(含む)の間の数である。他の条件は:
0≦x≦2; 1≦m≦2; p+s+v+a+b<1(含まない)
x+2m+t+2q+3r=4-p-2s-v+a+b。
【0006】
ケイ素は地殻で第二に豊富な元素であり、シリケート構造体は化学的に強固で、従って電気化学的に安定である。鉄及びマンガンに加えて好ましい遷移金属を以下から選択する:チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ及びタンタル。大量の鉄及び/又はマンガンを含む複合物が好ましいのは、それらの元素が豊富であり、毒性がないからである。さらに、ポテンシャルが電極の作動領域の外にある固定原子価又はレドックス状態の金属を、遷移元素で部分的に置換して、リチウムイオンの拡散特性を改良し及び/又は利用可能な部位の数を増加させ、粒子の大きさの制御を助けかつ電極材料の酸化型及び還元型の間の連続固溶体の存在を可能にすることができる。これらの元素をリチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウム及びスズから選択するのが好ましい。例えば、鉄及び/又はマンガンが同一相中で異なる二つの酸化状態で共存することを考慮すると、これらの置換は鉄とマンガンのレドックスレベルに近似したレベルの他の元素との特異的な相互反応(例えば、Fe2+/Ti4+⇔Fe3+/Ti3+、Mn2+/V5+⇔Mn3+/V4+など)を導入し、両者は共に電子伝導については好ましく、アニオン性の部位の不整合はLi+に対して優先的な拡散を提供する。
【0007】
本発明の他の観点はケイ素部位を種々の元素で置換する可能性に関する。オルトシリケートアニオンは、スルフェート、ホスフェート、ゲルマネート及びバナデートアニオンと等量であり、ホウ素及びアルミニウムと同様に、この型の構造体では対応する元素が容易にケイ素を置換し、アニオン性部位における荷電密度を完全に制御する材料の幅広い選択を提供する。同様に、オルトシリケートの、大量の結合手の空きや中間的なイオンに適応する傾向は、リチウムの出入り工程中に構造体を統一的に保持する一方リチウムイオンが拡散するには極めて好ましい。
本発明の材料は、低温型及び高温型のリン酸リチウム(a及びb型)についてX−線及び電子線回折によって決定される斜方晶構造を有するのが好ましく、金属イオンは、残された7個の非占有四面体部位又は4個の八面体部位(ASTM No 25-1020及び15-760)若しくはリチウムオルトシリケートLi4SiO4の部分的に占有された“スタッフドカンラン石型”構造のいずれかを部分的に占有する。160 mAh/gより大きい容量ウエルを得ることができ、これは常用の電極材料より優れている。本発明の材料の他の利点は遷移金属が電極に浸出するのを防止することにあるが、これは、遷移元素を含む多重に荷電したカチオンを選択的に結合するオルトシリケートアニオンSiO44-の荷電が高いためである。
【0008】
本発明の複合物が特に有用なのは、単独で使用する場合又は電気化学的電池、及び陰電極がリチウムイオン源である一次若しくは二次電池において安定な電極材料の成分として他のレドックス−活性複合物と混合して使用する場合である。典型的な例は、制限するものではなく、金属リチウム、リチウム合金、例えばSnO又はSnO2を還元して得られた酸化リチウムマトリックス中の該合金のナノディスパージョン(nanodispersion)、炭素、特にグラファイト又は石油コークス若しくはポリパラフェニレンのような有機材料を熱分解して得られる炭素物質中にリチウムを挿入した複合物、一般式 Li1+yTi2-x/4O4(独立に0≦x≦1、0≦y≦1)のリチウム−チタンスピネル及び他のスピネルとのその固溶体又はリチウム−遷移金属混合ニトリド、例えばLi3-xCoxN(0≦x≦1)である。これらの材料を単独で又は混合して使用することができる。
他の適用として、スーパーキャパシター(supercapacitor)における使用又は制御された反射伝達窓(reflection-transmission window)(“スマートウインドウ(smartwindow)”)用の対電極としての使用があり、これは異なる酸化状態にある複合物の光吸収が低いことによるものである。
【0009】
本発明の複合物は、当業者に公知の無機化学及びセラミックスの技術によって容易に製造される。一般に、材料の最終組成物に取り込まれる元素の酸化物、塩又は誘導体を、所定の比率で混合し、その温度で加熱して反応を確実なものにする。好ましくは、金属塩は緩和な温度で容易に分解して酸化物を放出するアニオンから誘導される塩である。これらには有機塩、例えば酢酸塩、シュウ酸塩及び一般的にカルボキシル酸誘導体の塩、ベータジケトン、アルコキシド又はそれらの混合物がある。同様に好ましい無機塩を、ヒドロキシド、ニトレート、カーボネート、スルフェートから選択する。いわゆるゾル−ゲル技術が特に評価されるのは、この技術によって元素を高度に分散した形態で取り込むことができ、その結果、相対的に低い温度で粒子の大きさが制御可能な均一な粉末が得られるからである。シリコンアルコキシドが本目的のために特に有用なのは、それが室温で加水分解してシリカ前駆体となり、このようにして形成されたシリカゲルが広い表面積を有し、熱処理によって均一な材料になる金属塩を大量に吸着するからである。ケイ素、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム誘導体アルコキシドの広範囲な選択が商業的に可能である。この技術の変形に水性又は非水性媒体からの元素の共沈殿及びペチニ(Pechini)法があり、この方法においてはポリエステルポリ酸が溶液中に形成されかつ溶液からのイオンをキレート化し、次いで乾燥及び熱分解する。元素、特に遷移金属の酸化程度の制御を、制御した環境下で操作することによって達成できる。真空、不活性気体又は還元混合物、例えば水素又は一酸化炭素/二酸化炭素混合物によって、低い酸素分圧を保持することができる。従って、充分に規定した酸素活性を公知の熱力学的データから得ることができる。逆に、空気又は酸素によって遷移金属の原子価状態が高くなる。
【0010】
材料のレドックス状態を、構造体からのリチウムの化学的抽出又はそれへの挿入によっても制御することができ、これは電極操作を模倣している。リチウムが抽出可能な公知の酸化剤を、臭素、塩素、沃素、安定なアニオンのニトロソニウム又はニトロニウム塩、例えばNO+BF4-又はNO2+PF6-から選択することができるが、これに限定するものではない。還元剤を、ヨージドイオン、LiBH4、縮合芳香核(ナフタレン、アントラセン、ベンゾフェノン)を有するリチウムの遊離基アニオン誘導体、有機金属試薬、例えばブチルリチウム、リチウムチオレートから選択することができるが、これに限定するものではない。本発明の複合物の望ましいリチウム含量は、電気化学的にも得られる。
以下の実施例を本発明を説明するために示すが、その範囲を制限するものと解すべきではない。
【0011】
実施例1
90mlの水と10mlのメタノールに20.4gの酢酸リチウム二水化物Li(C2H3O2)・2(H2O)、24.5gの酢酸マンガン四水化物(Mn(C23O2)2・4(H2O))及び14.8mlのテトラメトキシシランを添加する。混合物をローラーミル上の厚い壁のプラスチック容器の中でジルコニアペレットと共に60時間粉砕する。濃密なスラリーをPTFE蒸発皿にあけてオーブン中で空気を循環して90℃で乾燥する。得られる物質を乳鉢で粉末にし、空気中で350℃で熱処理して有機残渣を除去する。得られる褐−緑色粉末をアルミナボートに移し、アルゴンで希釈した8%水素を含む還元気流によって電気炉中800℃で複合物を処理する。13gのLi2MnSiO4を得る(収量81%)。
【0012】
実施例2
71.8gの酸化第一鉄FeO及び89.9gのリチウムメタシリケートLi2SiO3を高炭素鋼のボールで4時間ボールミルにかける。得られる混合物を石英のアンプルに移し、少量の鉄ターニング(turnings)を添加する。200℃を保ちつつ第二真空下でアンプルを真空にし次いで密封する。以下の反応
FeO+Li2SiO3⇒Li2FeSiO4
が4時間800℃で完了する。冷却後、アンプルをアルゴン雰囲気下で開封し鉄ターニングを磁力で除去する。
【0013】
実施例3
鉄プロトキシドFeO(71.8g)とリチウムメタシリケートLi2SiO3(90g)を高炭素鋼のボールで4時間ボールミルにかける。得られる混合物を石英のアンプルに移し、少量の鉄ターニング(turnings)を添加する。200℃を保ちつつ第二真空下でアンプルを真空にし次いで密封する。以下の反応
FeO+Li2SiO3⇒Li2FeSiO4
が4時間800℃で完了する。
【0014】
実施例4
21.6gのシュウ酸鉄二水化物、1.79gのシュウ酸マンガン二水化物及び5.17gの炭酸リチウムを、実施例1と同様に100mlの96%エチルアルコール中の13.4gのポリジエトキシシロキサン(Gelest Inc, Tullytouwn PA, USA カタログNo PSI-023)で粉砕する。得られるスラリーを蒸発し、500℃で空気中で焼成する。ケーキをボールミルで20分間粉砕し、得られる粉末を1050℃で10時間管状炉においてCO2及びCOの等量混合物の存在下に処理する。得られる複合体は式Li1.4Fe1.2Mn0.1SiO4を有している。
【0015】
実施例5
50mlのメタノールに19.4gの酢酸リチウム二水化物Li(C2H3O2)・2(H2O)、19.6gの酢酸マンガン四水化物Mn(C23O2)2・4(H2O)、14.8mlのテトラメトキシシラン及び2.75mlのイソプロパノール20mlに希釈したチタンテトライソプロポキシドを添加する。混合物をローラーミル上の厚い壁のプラスチック容器の中でジルコニアペレットと共に60時間粉砕する。スラリーをPTFE蒸発皿にあけて空気循環オーブン中で80℃で乾燥する。得られる物質を乳鉢で粉末にし、空気中で350℃で熱処理して有機残渣を除去する。得られる粉末をアルミナボートに移し、アルゴンで希釈した8%水素を含む還元気流によって800℃で複合物を実施例1のように処理する。式Li1.9Mn0.8Ti0.1SiO4に対応する複合物が得られ、式中Tiは+3状態で、マンガンは二価である。
【0016】
実施例6
3gの実施例2の複合物Li2FeSiO4を20mlのアセトニトリルに懸濁させ、1.7gの臭素で室温下に攪拌しながら処理する。2時間後、懸濁物を濾過し、アセトニトリルで洗浄して組成Li1FeSiO4を有する固形物を残す。これは172 mAh/gの電極容量に相当する。同様に、7gの実施例4の材料を50mlのアセトニトリル中において3gの臭素で処理する。濾過後、材料Li0.1Fe1.2Mn0.1SiO4が得られる。これは260 mAh/gの電極容量に相当する。
【0017】
実施例7
5gの実施例1の複合物Li2MnSiO4を40mlのニトロメタンに懸濁させ、室温下に攪拌しつつ12gのニトロニウムヘキサフルオロホスフェートNO2PF6で処理する。2時間後、懸濁液を濾過し、ニトロメタンで洗浄して組成MnSiO4を有する褐−紫色の固形物を残す。これは345 mAh/gの電極容量に相当する。
【0018】
実施例8
8gの実施例1の複合物Li2MnSiO4及び3.36gのリチウム鉄ホスフェートLiFePO4を、粒子の大きさが4μm(4ミクロン)を越えなくなるまで不活性雰囲気下おいて鋼ボールでボールミルによる粉砕を行う。混合物を一端を閉じたニッケル管に入れ、真空にして溶接する。管を750℃で10時間処理し、室温まで放冷する。得られる固溶体は式Li1.7Mn0.7Fe0.3Si0.7P0.3O4を有する。
【0019】
実施例9
10mmのニッケルフォイルに被覆した10mmのリチウムアノード、25mmのポリマー電解質及び45mmの陽電極を使用するソリッドステートバッテリーを4cm2の活性表面を有するように構成する。電解質は架橋した縮合ポリマーで、溶質としてリチウムトリフルオロメタンスルホンイミドLi(CF3SO2)2Nを有し、ポリマーのエーテル基からの酸素のLi+に対する比率が16:1に相当し、J. Electrochem. Soc. 141-7, 1915(1994)及びJournal of Power sources, 54-1, 40(1995)に従って製造される。陽電極を、53容量%の分子量200000のPEO、40容量%の実施例4の材料及び実施例6に従う脱リチウム化した材料、並びに7容量%のアセトニトリル中のKetjenblack(登録商標)から、12mmのアルミニウムフォイルへの被覆技術によって得る。式単位当たり1.2のリチウムを3.5〜2.4ボルトの間で循環することができる。
【0020】
実施例10
ゲル型のロッキングチェア(“リチウムイオン”)バッテリーを、エチレン−プロピレン−ジエンバインダーを5容量%で含むグラファイトフレーク(4mm)から製造した40mmのアノード、並びに10mmの銅フォイルに被覆し、ビニリデンフルオリド−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(Solvay、ベルギー)30質量%、等量のエチレンカーボネート−エチルメチルカーボネート中の1.2モルのリチウムヘキサフルオロフェートより成る液状電解質(65質量%)でゲル化した混合溶媒を有するヒュームドシリカ(5質量%)を含む45mmの電解質を使用して構成する。陽電極は、実施例5の電極材料(80質量%)、Ketjenblack(登録商標)及び電解質で使用したビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(12質量%)の混合物より成る。バッテリーを平板の金属−プラスチック被覆容器に入れ、電流のリードが通るようにする。25℃で、バッテリー作動によって2−4.3ボルトの範囲内で陽電極におけるマンガン当たり1.3リチウムの交換が可能である。
本発明をその特定の態様との関連で説明してきたが、さらなる変形が可能であり、本発明は、一般に本発明の考え方に従い、また、当該技術分野で公知又は慣行となるような本記載からの逸脱を含む、本発明のすべての変形、使用又は適応を含む意図であり、さらに先に記載し、以下に添付した請求の範囲の範囲内にある本質的な特徴に適用可能である変形、使用又は適応のすべてを含む意図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルトシリケート構造に基づき、以下の一般式を有するリチウム挿入型の電極材料:
LixMm-(d+t+q+r)DdTtQqRr[SiO4]1-(p+s+g+v+a+b)[SO4]s[PO4]p[GeO4]g[VO4]v[AlO4]a[BO4]b
式中、
MはMn2+又はFe2+及びその混合物を意味し;
DはMg2+、Ni2+、Co2+、Zn2+、Cu2+、Ti2+、V2+、Ca2+を含む+2酸化状態にある金属を意味し;
TはAl3+、Ti3+、Cr3+、Fe3+、Mn3+、Ga3+、Zn3+、V3+を含む+3酸化状態にある金属を意味し;
QはTi4+、Ge4+、Sn4+、V4+を含む+4酸化状態にある金属を意味し;
RはV5+、Nb5+、Ta5+を含む+5酸化状態にある金属を意味し;
M、D、T、Q、Rは八面体又は四面体部位に位置する元素であり;
s、p、g、v、a及びbは、ケイ素四面体部位に位置するS6+(スルフェート)、P5+(ホスフェート)、Ge4+(ゲルマネート)、V5+(バナデート)、Al3+(アルミネート)及びB3+(ボレート)それぞれに対応する化学量論係数であり;
化学量論係数のd、t、q、r、p、s、v、a、bはすべて正の数であり、0(含む)と1(含む)の間の数であり;
0≦x≦2; 1≦m≦2; p+s+v+a+b<1(含まない);かつ
x+2m+t+2q+3r=4-p-2s-v+a+bである。
【請求項2】
リン酸リチウム又はオルトケイ酸リチウムの結晶構造に一致する結晶構造を有する、請求項1の電極材料。
【請求項3】
単位式あたり一より大きいリチウムイオンが抽出又は挿入可能であることを特徴とする、請求項1及び2の電極材料。
【請求項4】
少なくとも一の陽電極が請求項1及び2の材料を含みかつ少なくとも一の陰電極が高い化学活性においてリチウムイオン源であることを特徴とする、少なくとも一の陽電極及び一の陰電極を有する電気発生装置。
【請求項5】
陰電極が、金属リチウム、リチウム合金、酸化リチウム中の可能な限りのナノディスパージョン、炭素若しくは有機誘導体の熱分解から得られる炭素物質のリチウム挿入複合物、リチウム−チタンスピネルLi1+yTi2-x/4O4(式中、0≦x≦1、0≦y≦1)及び他のスピネルとのその固溶体、又はリチウム−遷移金属混合ニトリド及びその混合物であることを特徴とする、請求項4の電気発生装置。
【請求項6】
伝導性添加物が陽電極に存在することを特徴とする、請求項4の電気発生装置。
【請求項7】
陽電極材料中の伝導性添加物が炭素であることを特徴とする、請求項5の電気発生装置。
【請求項8】
陽電極が式LiλFefMnmSisPpO4(式中、f+m≦1.2;s+p=1;0≦p≦0.6;8-5p-4s-2m-2f≧λ≧8-5p-4s-4m-3f)の材料を含むことを特徴とする、請求項4の電気発生装置。
【請求項9】
陽電極が請求項1の材料に加えて他の挿入材料を含むことを特徴とする、請求項4の電気発生装置。
【請求項10】
挿入材料がラメラ状ジカルコゲニド、酸化バナジウムVOx(2.1≦x≦2.5)又はLi3Fe2(PO4)3のようなナシコン(Nasicon)類似材料であることを特徴とする、請求項9の電気発生装置。
【請求項11】
陽電極が重合性バインダーを含むことを特徴とする、請求項4ないし7の電気発生装置。
【請求項12】
重合性バインダーがテトラフルオロエチレンのホモポリマー若しくはコポリマー又はエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーであることを特徴とする、請求項4及び11の電気発生装置。
【請求項13】
陽電極が非プロトン性の溶媒及び塩を含み、そのカチオンが少なくとも部分的にLi+であることを特徴とする、請求項12の電気発生装置。
【請求項14】
重合性バインダーがイオン性伝導性を有することを特徴とする、請求項4及び11の電気発生装置。
【請求項15】
重合性バインダーが架橋し又は架橋しないポリエーテルでかつ塩を溶解し、そのカチオンが少なくとも部分的にLi+であることを特徴とする、請求項13の電気発生装置。
【請求項16】
重合性バインダーが非プロトン溶媒で膨潤しかつ塩を含み、そのカチオンが少なくとも部分的にLi+であることを特徴とする、請求項11の電気発生装置。
【請求項17】
重合性バインダーがポリエーテル、ポリエステル、メチルメタクリレートを主体とするポリマー、アクリロニトリルを主体とするポリマー、フッ化ビニリデンを主体とするポリマーであることを特徴とする、請求項11の電気発生装置。
【請求項18】
非プロトン性溶媒がエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−エチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラアルキルスルファミド、2000以下の分子量のモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−又は高級オリゴ−エチレングリコールのジアルキルエーテルであることを特徴とする、請求項13及び16の電気発生装置。
【請求項19】
少なくとも一の電極が請求項1及び2の材料を含むことを特徴とする、スーパーキャパシター型電気発生装置。
【請求項20】
ガラス又はプラスチックで被覆した透明な半導体及び固形又はゲル状電解質で分離した二つの電極から構成する可変光伝導装置であって、少なくとも一の電極が請求項1の材料を含むことを特徴とする装置。
【請求項21】
真空蒸着技術、スパッタリングによる、又はゾル−ゲル前駆体からのガラス又はプラスチックで被覆した透明な半導体に請求項1の材料の薄いフィルムを載置することによって少なくとも一の電極を得ることを特徴とする、請求項20の可変光伝導装置。

【公開番号】特開2012−64586(P2012−64586A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232978(P2011−232978)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【分割の表示】特願2000−117248(P2000−117248)の分割
【原出願日】平成12年3月14日(2000.3.14)
【出願人】(591117930)
【出願人】(500166437)サントル ナシオナル ド ラ ルシェルシュ シアーンティフィク (2)
【出願人】(500166057)ウニヴェルシテ ド モントリオール (2)
【Fターム(参考)】