説明

オレフィン重合用の触媒系、その製造、及び使用

前段の担持工程において第1の所定の温度で第1の活性触媒成分を担体に施し、後段の担持工程において第1の所定の温度よりも少なくとも20℃低い温度で第2の活性触媒成分を担体に施す、担体上に少なくとも2種類の異なる活性触媒成分を含む触媒系を担持させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体上に少なくとも2種類の異なる活性触媒成分を含む触媒系を製造する方法であって、
(A)第1の温度において第1の活性触媒成分を活性化し;
(B)第1の温度よりも少なくとも15℃低い第2の温度において第2の活性触媒成分を活性化する;
工程を含む上記方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、このようにして得られる触媒系、オレフィンを重合又は共重合するためのかかる触媒系の使用、並びにかかる触媒系の存在下で行うオレフィン重合方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ここ10年の間に、少なくとも2種類の活性触媒成分を有する所謂ハイブリッド触媒系である触媒系が開発されている。この方法で分子量を二峰性又は多峰性生成物まで広げることを達成することができる。触媒系は、例えば2種類のメタロセン、メタロセンとチーグラー触媒又はメタロセンとクロム触媒、メタロセンと鉄触媒、チーグラーと鉄触媒の組合せ等である。異なる触媒成分は、通常は順次担体材料に施す。このようにして得られる触媒系は、しばしば低い活性を有し、及び/又は、触媒は計量装置の壁に粘着して容易に流下しないので、重合反応器中に容易に計量投入することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、重合プロセスにおいて用いると高い触媒活性を示し、重合反応器中に容易に計量投入することができる触媒系を提供することである。更に、かかる触媒系は簡単で安価に製造することができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、結果的に、
(A)第1の温度において第1の活性触媒成分を活性化し;そして
(B)第1の温度よりも少なくとも15℃低い第2の温度において第2の活性触媒成分を活性化する;
工程を含む触媒系の製造方法を見出した。
【0006】
更に、本発明者らは、かかる方法によって製造される触媒系、及びオレフィンを重合又は共重合するためのかかる触媒系の使用を見出した。
【発明を実施するための形態】
【0007】
可能な活性触媒成分は、α−オレフィンの重合において触媒として活性な任意の化合物である。これらの活性触媒化合物の例は、有機基を含み、所謂共触媒又は活性化化合物との反応後にオレフィン重合において活性な、周期律表第3〜12族又はランタニド族の遷移金属化合物である。活性触媒化合物は、通常は、少なくとも1つの単座又は多座リガンドがσ又はπ結合を介して中心金属原子に結合している化合物である。
【0008】
本方法は、前周期遷移金属化合物及び後周期遷移金属化合物を含む担持ハイブリッド触媒系の製造に特に適しており、これは特に好ましくは前周期遷移金属コンプレックスとしてメタロセン、特に好ましくはハフノセン又はジルコノセン、及び鉄を含む後周期遷移金属コンプレックス、特に好ましくは三座リガンドを有する鉄コンプレックスを含む触媒系の製造である。Chem. Rev. 2000, vol.100, No.4, 1169以降において、オレフィン重合に好適な後周期遷移金属コンプレックスに関する多数の例が記載されている。
【0009】
本方法は、少なくとも1つのシクロペンタジエニルリガンドを有する有機遷移金属化合物に特に適している。このタイプの特に有用なコンプレックスは、式(I):
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、置換基及び指数は以下の意味を有する:
I1は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、又はタングステン、或いは周期律表第3族及びランタニド族の元素であり;
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C10アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、−ORI6又は−NRI6I7であるか、或いは2つの基Xは置換又は非置換ジエンリガンド、特に1,3−ジエンリガンドを形成し、基Xは同一か又は異なり、互いに結合してもよく、
I1〜EI5は、それぞれ独立して、炭素、リン、及び窒素から選択され、但し1より多い基EI1〜EI5はリン又は窒素であり、好ましくはそれぞれのEI1〜EI5は炭素であり;
wは、MI1の価数に応じて1、2、又は3であり、一般式(I)のコンプレックスが非荷電である値を有し;
ここで、RI1〜RI5は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、置換基としてC〜C10アルキル基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜16個の炭素原子及びアリール部分に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、NRI8、N(SiRI8、ORI8、OSiRI8、SiRI8であり、ここで、有機基RI1〜RI5は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は、2つの基RI1〜RI5、特に隣接する基は、また、結合して5、6、又は7員環を形成してもよく、及び/又は、2つの隣接する基RI1〜RI5は、結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成してもよく;
I6及びRI7は、それぞれ、互いに独立して、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、ここで、有機基RI6及びRI7は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は、2つの基RI6及びRI7は、また、結合して、5、6、又は7員環を形成してもよく;
基RI8は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、C〜C10アルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであってよく、ここで、有機基RI8は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は、2つの基RI8は、また、結合して、5、6、又は7員環を形成してもよく;
I1は、X、又は式:
【0012】
【化2】

【0013】
であり;
ここで、基RI9〜RI13は、それぞれ、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、置換基としてC〜C10アルキル基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜16個の炭素原子及びアリール部分に6〜21個の炭素原子を有するアリールアルキル、RI14−C(O)O、RI14−C(O)NRI14、NRI14、N(SiRI14、ORI14、OSiRI14、SiRI14であり、ここで、有機基RI9〜RI13は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は、2つの基RI9〜RI13、特に隣接する基は、また、結合して、5、6、又は7員環を形成してもよく、及び/又は、2つの隣接する基RI9〜RI13は、結合して、N、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成してもよく;
基RI14は、同一か又異なり、それぞれ、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、C〜C10アルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであり、ここで、有機基RI14は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は、2つの基RI14は、また、結合して、5、6、又は7員環を形成してもよく;
I6〜EI10は、それぞれ、それぞれ独立して炭素、リン、及び窒素から選択され、但し1より多いEI6〜EI10はリン又は窒素であり、好ましくはそれぞれのEI6〜EI10は炭素であり;
或いは基RI4及びZI1は、一緒になって−RI15−AI1−基を形成し;
ここで、RI15は、
【0014】
【化3】

【0015】
=BRI16、=BNRI16I17、=AlRI16、−Ge−、−Sn−、−O−、−S−、=SO、=SO、=NRI16、=CO、=PRI16、又は=P(O)RI16であり;
ここで、RI16〜RI21は、同一か又は異なり、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、トリメチルシリル基、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、C〜C10アルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであり、ここで、有機基RI16〜RI21は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は、2つの基RI16〜RI21は、また、結合して、5、6、又は7員環を形成してもよく;
I2〜MI4は、それぞれ、ケイ素、ゲルマニウム、又はスズ、好ましくはケイ素であり;
I1は、−O−、−S−、>NRI22、>PRI22、=O、=S、=NRI22、−O−RI22、−NRI22、−PRI22、或いは、非置換、置換、又は縮合複素環系であり;
ここで、RI22は、それぞれ、互いに独立して、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリール、又はSi(RI23であり、ここで、有機基RI22は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は、2つの基RI22は、また、結合して、5、6、又は7員環を形成してもよく;
I23は、水素、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜20個の炭素原子を有するアルキルアリールであり、ここで、有機基RI23は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は、2つの基RI23は、また、結合して、5、6、又は7員環を形成してもよく;
vは、1であるか、又はAI1が、非置換、置換又は縮合複素環系である場合には0であってもよく;
或いは、基RI4及びRI12は、一緒になって−RI15−基を形成する)
のものである。
【0016】
かかるコンプレックスはそれ自体公知の方法によって合成することができ、適当に置換された環式炭化水素アニオンを、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、又はクロムのハロゲン化物と反応させることが好ましい。
【0017】
I1は、例えば橋架基RI15と一緒に、アミン、エーテル、チオエーテル、又はホスフィンを形成してもよい。AI1は、また、環炭素に加えて、酸素、イオウ、窒素、及びリンからなる群からのヘテロ原子を含んでいてもよい、非置換、置換、又は縮合複素環式芳香環系であってもよい。炭素原子に加えて環原子として1〜4個の窒素原子及び/又はイオウ若しくは酸素原子を含んでいてもよい5員のヘテロアリール基の例は、2−フリル、2−チエニル、2−ピロリル、3−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、及び1,2,4−トリアゾール−3−イルである。1〜4個の窒素原子及び/又はリン原子を含んでいてもよい6員のヘテロアリール基の例は、2−ピリジニル、2−ホスファベンゾイル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル及び1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イル及び1,2,4−トリアジン−6−イルである。5員及び6員のヘテロアリール基は、また、C〜C10アルキル、C〜C10アリール、アルキル部分に1〜10個の炭素原子及びアリール部分に6〜10個の炭素原子を有するアルキルアリール、トリアルキルシリル、又はハロゲン、例えばフッ素、塩素、又は臭素によって置換されていてもよく、或いは、1以上の芳香族又はヘテロ芳香族基と縮合していてもよい。ベンゾ縮合5員ヘテロアリール基の例は、2−インドリル、7−インドリル、2−クマロニル、7−クマロニル、2−チオナフテニル、7−チオナフテニル、3−インダゾリル、7−インダゾリル、2−ベンズイミダゾリル、及び7−ベンズイミダゾリルである。ベンゾ縮合6員ヘテロアリール基の例は、2−キノリル、8−キノリル、3−シンノリル、8−シンノリル、1−フタラジル、2−キナゾリル、4−キナゾリル、8−キナゾリル、5−キノキサリル、4−アクリジル、1−フェナントリジル、及び1−フェナジルである。複素環の命名及び付番は、L. Fieser及びM. Fieser, Lehrbuch der organischen Chemie, 第3改訂版, Verlag Chemie, Weinheim 1957からとった。
【0018】
一般式(I)における基Xは、好ましくは同一であり、好ましくは、フッ素、塩素、臭素、C〜Cアルキル又はアラルキル、特に塩素、メチル、又はベンジルである。
式(I)のこのタイプのコンプレックスは、また、シクロペンタジエニル又はヘテロシクロペンタジエニルと縮合複素環によって形成される少なくとも1つのリガンドを有する化合物も包含し、複素環は、好ましくは芳香族であり、好ましくは窒素及び/又はイオウを含む。かかる化合物は、例えばWO−98/22486に記載されている。これらは、特に、ジメチルシランジイル(2−メチル−4−フェニルインデニル)(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリド、又は(インデニル)(2,5−ジメチル−N−フェニル−4−アザペンタレン)ジルコニウムジクロリドである。
【0019】
一般式(I)のコンプレックスの中で、
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、MI1、X、w、RI1〜RI5、RI9〜RI13、RI15は、式(I)において定義するものである)
が好ましい。
【0022】
式(Ia)のコンプレックスの中で、
I1が、ジルコニウム、ハフニウム、又はクロムであり;
が、フッ素、塩素、C〜Cアルキル、又はベンジルであるか、或いは2つの基Xが置換又は非置換ブタジエンリガンドを形成し;
tが、クロムの場合には0、それ以外の場合には1又は2、好ましくは2であり;
I1〜RI5が、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、NRI8、OSiRI8、又はSi(RI8であり;
I9〜RI13が、それぞれ、水素、C〜Cアルキル若しくはC〜C10アリール、NRI14、OSiRI14、又はSi(RI14であり;
I8及びRI14が、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アリール、C〜C10アルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであってよく;
ここで、有機基RI8及びRI14は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの基RI8又はRI14は、また、結合して5、6、又は7員環を形成してもよく;
或いは、2つの基RI1〜RI5及び/又はRI9〜RI13は、C環と一緒に、インデニル、フルオレニル、又は置換インデニル若しくはフルオレニル系を形成する;
ものが好ましい。
【0023】
特に有用な式(Ia)のコンプレックスは、シクロペンタジエニル基が同一であるものである。
特に有用な式(Ia)のコンプレックスの例は、
I1が、ハフニウムであり;
が、フッ素、塩素、C〜Cアルキル、又はベンジルであるか、或いは2つの基Xが置換又は非置換ブタジエンリガンドを形成し;
tが、2であり;
I1〜RI5が、同一か又は異なり、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アリールであり;
I9〜RI13が、同一か又は異なり、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、又はC〜C10アリールであり;
I8及びRI14が、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C22アリール、C〜C10アルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであってよく;
ここで、有機基RI8及びRI14は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの基RI8又はRI14は、また、結合して5、6、又は7員環を形成してもよく;
或いは、2つの基RI1〜RI5及び/又はRI9〜RI13は、C環と一緒に、インデニル、フルオレニル、又は置換インデニル若しくはフルオレニル系を形成する;
ものである。
【0024】
具体例は、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ビス(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(トリメトキシシリルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(3−ブテニルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1,3−ジ−tert−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(トリフルオロメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(N,N−ジメチルアミノメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(メチルシクロペンタジエニル)(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、並びに対応するジメチルハフニウム化合物である。
【0025】
式(Ia)のコンプレックスの更に好ましい群は、
I1が、ジルコニウムであり;
が、フッ素、塩素、C〜Cアルキル、又はベンジルであるか、或いは2つの基Xが置換又は非置換ブタジエンリガンドを形成し;
tが、1又は2、好ましくは2であり;
I1〜RI5が、それぞれ、水素、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、OSiRI8であり;
I9〜RI13が、それぞれ、水素、C〜Cアルキル若しくはC〜C10アリール、OSiRI14であり;
I8及びRI14が、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ、C〜C10アルキル、5〜7員のシクロアルキル又はシクロアルケニル、C〜C15アリール、C〜C10アルコキシ、又はC〜C10アリールオキシであってよく;
ここで、有機基RI8及びRI14は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく、及び/又は2つの基RI8又はRI14は、また、結合して5、6、又は7員環を形成してもよく;
或いは、2つの基RI1〜RI5及び/又はRI9〜RI13は、C環と一緒に、インデニル、フルオレニル、又は置換インデニル若しくはフルオレニル系を形成する;
ものである。
【0026】
特に有用な式(Ib)のコンプレックスは、
I15が、
【0027】
【化5】

【0028】
であり;
I1が、チタン、ジルコニウム、又はハフニウム、特にジルコニウム又はハフニウムであり;
基Xが、同一か又は異なり、それぞれ、塩素、C〜Cアルキル、ベンジル、フェニル、又はC〜C15アルキルアリールオキシである;
ものである。
【0029】
更に好ましい式(Ib)のコンプレックスは、rac又は偽rac形態の橋架ビスインデニルコンプレックスである。ここで、偽racという用語は、コンプレックスの全ての他の置換基を無視した場合に2つのインデニルリガンドが互いに対してrac配置であるコンプレックスを指す。
【0030】
特に有用なコンプレックス(Ib)の更なる例は、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、テトラメチルエチレン−9−フルオレニルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−tert−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−tert−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−メチル−5−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(3−エチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−エチル−4,5−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−i−ブチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−(9−フェナントリル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2,7−ジメチル)−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[p−トリフルオロメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[3’,5’−ジメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジエチルシランジイルビス(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−プロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−n−ブチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(2−ヘキシル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−エチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[3’,5’−ビス−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[1’−ナフチル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、及びエチレン(2−イソプロピル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)(2−メチル−4−[4’−tert−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロリド、並びに、対応するジメチルジルコニウム、モノクロロモノ(アルキルアリールオキシ)ジルコニウム、及びジ(アルキルアリールオキシ)ジルコニウム化合物である。コンプレックスは好ましくはrac形態で用いる。
【0031】
かかる系の製造は、例えばWO−97/28170−A1において開示されている。
かかるコンプレックスはそれ自体公知の方法によって合成することができ、適当に置換されている環式炭化水素アニオンと、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、又はクロムのハロゲン化物との反応が好ましい。適当な製造法の例は、とりわけJournal of Organometallic Chemistry, 369 (1989), 359-370に記載されている。
【0032】
一般式(II):
【0033】
【化6】

【0034】
(式中、変数は以下の意味を有する;
Aは、互いに独立して、
【0035】
【化7】

【0036】
を表し;
II1〜RII3は、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、NRII9、ORII9、ハロゲン、SiRII8、或いはN、P、O、又はSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を表し、ここで、有機基RII1〜RII3は、場合によってはハロゲン基、C〜C10アルキル基、C〜C20アルケニル基、C〜C20アリール基、NRII9、ORII9、又はSiRII8によって置換されており、及び/又は、2つの基RII1〜RII3は、互いに結合して、5、6、又は7員環を形成し、及び/又は、2つの基RII1〜RII3は、互いに結合して、N、P、O、又はSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し;
II4、RII5は、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、又はSiRII8を表し、ここで、有機基RII4、RII5は、場合によってはハロゲン基、C〜C10アルキル基、C〜C20アルケニル基、又はC〜C20アリール基によって置換されており、或いは2つの基RII4、RII5は、互いに結合して5又は6員の炭素環を形成し;
II6、RII7は、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、又はSiRII8を表し、ここで、有機基RII6、RII7は、場合によってはハロゲン基、C〜C10アルキル基、C〜C20アルケニル基、又はC〜C20アリール基によって置換されており、或いは2つの基RII6、RII7は、互いに結合して5又は6員の炭素環を形成し;
II8は、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキルを表し、
II9は、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、又はSiRII8を表し、ここで、有機基RII9は、場合によってはハロゲン基、C〜C10アルキル基、C〜C20アルケニル基、又はC〜C20アリール基によって置換されており、或いは2つの基RII9は、互いに結合して5又は6員環を形成し;
II1〜EII3は、互いに独立して、炭素又は窒素を表し;
uは、互いに独立して、それぞれの基が窒素に結合している場合には0、それぞれの基が炭素に結合している場合には1であり;
IIは、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水素、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C20アリール、NRII10、ORII10、SRII10、SOII10、OC(O)RII10、CN、SCN、β−ジケトネート、CO、BF、PF、或いは嵩高な非配位アニオンであり、ここで有機基XIIは、場合によってはハロゲン基、C〜C10アルキル基、C〜C20アルケニル基、又はC〜C20アリール基によって置換されており、基XIIは場合によっては互いに結合しており;
II10は、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、又はSiRII11を表し、ここで、有機基RII10は、場合によってはハロゲン基、C〜C10アルキル基、C〜C20アルケニル基、又はC〜C20アリール基によって置換されており;
II11は、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリールを表し、ここで、有機基RII11は、場合によってはハロゲン基、C〜C10アルキル基、C〜C20アルケニル基、又はC〜C20アリール基によって置換されており;
sは、1、2、3、又は4であり;
IIは、中性ドナーであり;
tは、0〜4である)
の後周期遷移金属コンプレックスが第2の活性触媒成分として好適である。
【0037】
3つの原子EII1〜EII3は、それぞれ好ましくは炭素である。
置換基RII1〜RII3は広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基RII1〜RII3は、例えば以下のものである:線状又は分岐であってよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロドデシル;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても又は末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−フェニルエチル;ここで、2つの隣接基RII1〜RII3は、場合によっては結合して、5、6、又は7員の炭素環、或いはN、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し、及び/又は、有機基RII1〜RII3は、非置換か、或いはフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されている。更に、RII1〜RII3は、また、アミノ:NRII9又はN(SiRII8、アルコキシ又はアリールオキシ:ORII9、例えばジメチルアミノ、N−ピロリジニル、ピコリニル、メトキシ、エトキシ、又はイソプロポキシ、或いはフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンであってもよい。
【0038】
好ましい基RII1〜RII3は、水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、o−ジアルキル−又は−ジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−又はトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニル、及びアントラニルである。特に好ましい有機ケイ素置換基は、アルキル基中に1〜10個の炭素原子を有するトリアルキルシリル基、特にトリメチルシリル基である。
【0039】
置換基RII4〜RII7も、広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基RII4〜RII7は、例えば以下のものである:線状又は分岐であるC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロドデシル;線状、環式、又は分岐であり、二重結合が内部であっても又は末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル;ここで、2つのジェミナルな基RII4〜RII7は、場合によっては結合して、5、6、又は7員の炭素環、及び/又はN、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し、及び/又は、有機基RII4〜RII7は、非置換か、或いはフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されている。更に、RII4〜RII7は、アミノ:NRII9又はN(SiRII8、例えば、ジメチルアミノ、N−ピロリジニル、又はピコリニルであってよい。有機ケイ素置換基:SiRII8中の可能な基RII8は、RII1〜RII3に関して上記したものと同じ炭素有機基であり、ここで、2つのRII19は、また、結合して5又は6員環を形成してもよく、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。これらのSiRII19基は、また、窒素を介してそれらを有する炭素と結合していてもよい。
【0040】
好ましい基RII4〜RII7は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ベンジル、フェニル、o−ジアルキル−又はジクロロ−置換フェニル、トリアルキル−又はトリクロロ−置換フェニル、ナフチル、ビフェニル、及びアントラニルである。また、アミド置換基:NRII9、特に、ジメチルアミド、N−エチルメチルアミド、ジエチルアミド、N−メチルプロピルアミド、N−メチルイソプロピルアミド、N−エチルイソプロピルアミド、ジプロピルアミド、ジイソプロピルアミド、N−メチルブチルアミド、N−エチルブチルアミド、N−メチル−tert−ブチルアミド、N−tert−ブチルイソプロピルアミド、ジブチルアミド、ジ−sec−ブチルアミド、ジイソブチルアミド、tert−アミル−tert−ブチルアミド、ジペンチルアミド、N−メチルヘキシルアミド、ジヘキシルアミド、tert−アミル−tert−オクチルアミド、ジオクチルアミド、ビス(2−エチルヘキシル)アミド、ジデシルアミド、N−メチルオクタデシルアミド、N−メチルシクロヘキシルアミド、N−エチルシクロヘキシルアミド、N−イソプロピルシクロヘキシルアミド、N−tert−ブチルシクロヘキシルアミド、ジシクロヘキシルアミド、ピロリジン、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、デカヒドロキノリン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリド、又はN−エチルアニリドのような第2級アミドも好ましい。
【0041】
基RII9を変化させることによって、例えば溶解度のような物理特性を精細に調節することができる。可能な炭素有機置換基RII9は、例えば以下のものである。線状又は分岐であってよいC〜C20アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロドデシル;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても又は末端であってもよいC〜C20アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基及び/又はN−若しくはO−含有基によって置換されていてもよいC〜C20アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル、2−メトキシフェニル、2−N,N−ジメチルアミノフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル;ここで、2つの基RII9は、また、結合して、5又は6員環を形成してもよく、及び、有機基RI9は、また、フッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されていてもよい。有機ケイ素置換基SiRII8中の可能な基RII8は、RII9に関して上記したものと同じ基であり、ここで、2つの基RII8は、また、結合して、5又は6員環を形成してもよく、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。基RII9として、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルのようなC〜C10アルキル、並びに、ビニル、アリル、ベンジル、及びフェニルを用いることが好ましい。
【0042】
リガンドXIIは、例えば、鉄コンプレックスの合成のために用いる適当な出発金属化合物の選択に由来するが、その後に変化させることもできる。可能なリガンドXIIは、特に、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素のようなハロゲン、特に塩素である。また、メチル、エチル、プロピル、ブチルのようなアルキル基、ビニル、アリル、フェニル、又はベンジルも、用いることのできるリガンドXIIである。更なるリガンドXIIとしては、純粋に例示の目的で且つ全く排他的ではなく、トリフルオロアセテート、BF、PF、及び、弱配位又は非配位アニオン(例えば、S. Strauss, Chem. Rev., 1993, 93, 927〜942を参照)、例えばB(Cに言及することができる。また、アミド、アルコキシド、スルホネート、カルボキシレート、及びβ−ジケトネートも、特に有用なリガンドXIIである。これらの置換リガンドXIIの幾つかは、安価で容易に入手できる出発物質から得ることができるので、特に好ましく用いられる。而して、特に好ましい態様は、XIIが、ジメチルアミド、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、フェノキシド、ナフトキシド、トリフレート、p−トルエンスルホネート、アセテート、又はアセチルアセトネートであるものである。
【0043】
リガンドXIIの数は鉄の酸化状態によって定まる。したがって、数値sは包括的な表現では与えることができない。触媒活性コンプレックス中の鉄の酸化状態は、当業者に通常的に知られている。しかしながら、その酸化状態が活性触媒のものに一致しないコンプレックスを用いることも可能である。かかるコンプレックスは、次に、好適な活性化剤を用いて適当に還元又は酸化することができる。+3又は+2の酸化状態の鉄コンプレックスを用いることが好ましい。
【0044】
IIは、非荷電のドナー、特に非荷電のルイス塩基又はルイス酸、例えば、アミン、アルコール、エーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、スルフィド、又はホスフィンであり、これは、鉄中心に結合していてもよく、或いは鉄コンプレックスの製造からの残留溶媒として残存していてもよい。
【0045】
リガンドDIIの数tは0〜4であってよく、しばしば、その中で鉄コンプレックスを製造する溶媒、及び得られたコンプレックスを乾燥する時間によって定まり、したがって、0.5又は1.5のような非整数であってもよい。特に、tは、0、1〜2である。
【0046】
好ましくは、鉄触媒は式(IIa):
【0047】
【化8】

【0048】
(式中、変数は以下の意味を有する:
II1、RII2、RII3、RII8、RII9、XII、DII、s、及びtは、式(II)に関して定義した通りであり;
II4は、互いに独立して、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、又はSiRII8を表し、ここで、有機基RII4は、また、ハロゲンによって置換されていてもよく;
II12〜RII16は、互いに独立して、水素、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アリール、アルキル基中に1〜10個の炭素原子及びアリール基中に6〜20個の炭素原子を有するアリールアルキル、NRII9、ORII9、ハロゲン、SiRII8、或いは、N、P、O、又はSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を表し、ここで、有機基RII12〜RII16は、非置換か、或いはハロゲン、NRII9、ORII9、又はSiRII8によって置換されており、或いは2つの基RII12〜RII16は、互いに結合して5、6、又は7員環を形成し、或いは2つの基RII12〜RII16は、互いに結合して、N、P、O、又はSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し、ここで基RII12〜RII16の少なくとも1つは、塩素、臭素、ヨウ素、CF、又はORII9からなる群から選択される)
のものである。
【0049】
置換基RII4は広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基RII4は、例えば以下のものである:水素;線状又は分岐であってよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;非置換であるか、或いは置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有する5〜7員のシクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロドデシル;線状、環式、又は分岐であり、二重結合が内部又は末端であるC〜C22アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル;ここで、有機基RII4は、非置換か、或いはフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されている。更に、RII4は、アミノ:NRII9又はN(SiRII8、例えばジメチルアミノ、N−ピロリジニル、又はピコリニルであってもよい。有機ケイ素置換基:SiRII8中の可能な基RII8は、式(II)におけるRII1〜RII3に関して上記したものと同じ炭素有機基であり、ここで、2つの基RII19は、また、結合して5又は6員環を形成してもよく、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ブチルジメチルシリル、トリブチルシリル、トリ−tert−ブチルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリル、又はジメチルフェニルシリルである。これらのSiRII19基は、また、窒素を介してそれらを有する炭素と結合していてもよい。
【0050】
好ましい基RII4は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、又はベンジル、特に水素又はメチルである。
【0051】
置換基RII12〜RII16は広範囲に変化してよい。可能な炭素有機置換基RII12〜RII16は、例えば以下のものである:線状又は分岐であってよいC〜C22アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、又はn−ドデシル;置換基としてC〜C10アルキル基及び/又はC〜C10アリール基を有していてもよい5〜7員のシクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、又はシクロドデシル;線状、環式、又は分岐であってよく、二重結合が内部であっても又は末端であってもよいC〜C22アルケニル、例えば、ビニル、1−アリル、2−アリル、3−アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニル;更なるアルキル基によって置換されていてもよいC〜C22アリール、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、o−、m−、p−メチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、又は2,6−ジメチルフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−、又は3,4,5−トリメチルフェニル;或いは、更なるアルキル基によって置換されていてもよいアリールアルキル、例えば、ベンジル、o−、m−、p−メチルベンジル、1−又は2−エチルフェニル;ここで、2つの隣接する基RII12〜RII16は、場合によっては結合して5、6、又は7員環、及び/又はN、P、O、及びSからなる群からの少なくとも1つの原子を含む5、6、又は7員の複素環を形成し、及び/又は有機基RII12〜RII16は、非置換か、或いはフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンによって置換されている。更に、RII12〜RII16は、また、アミノ:NRII9又はN(SiRII8、アルコキシ又はアリールオキシ:ORII9、例えばジメチルアミノ、N−ピロリジニル、ピコリニル、メトキシ、エトキシ、又はイソプロポキシ、或いはフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンであってもよい。有機ケイ素置換基:SiRII8中の可能な基RII8は、式(II)における上記に記載のものと同じ炭素有機基である。
【0052】
好ましい基RII12、RII16は、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素、及び臭素である。特に、RII12は、それぞれ、ハロゲンによって置換されていてもよいC〜C22アルキル、特にハロゲンによって置換されていてもよいC〜C22−n−アルキル、例えば、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、或いはフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンであり、RII16は、それぞれフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンである。RII12がそれぞれ、ハロゲンによって置換されていてもよいC〜C22アルキル、特にハロゲンによって置換されていてもよいC〜C22−n−アルキル、例えばメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニルであり、RII16がそれぞれフッ素、塩素、又は臭素のようなハロゲンであることが特に好ましい。
【0053】
好ましい基RII13〜RII15は、水素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素、及び臭素、特に水素である。RII14が、それぞれメチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビニル、アリル、ベンジル、フェニル、フッ素、塩素、又は臭素であり、RII13及びRII15がそれぞれ水素であることが特に好ましい。
【0054】
最も好ましい態様においては、基RII13及びRII15は同一であり、RII12は同一であり、RII14は同一であり、RII16は同一である。
共触媒として好適な化合物は、遷移金属コンプレックスと反応してそれらを触媒的に活性か又はより活性の化合物に転化させることができる活性化化合物である。かかる活性化化合物は、例えば、アルミノキサン、非荷電の強ルイス酸、ルイス酸カチオンを有するイオン性化合物、又はカチオンとしてブレンステッド酸を含むイオン性化合物である。少なくとも2種類の活性触媒化合物の両方を活性化するためには、同じ種類の共触媒を用いることができ、或いは異なる複数の共触媒を用いることができる。メタロセン及び三座鉄コンプレックスの場合には、アルミノキサンが特に好ましい。
【0055】
特に有用なアルミノキサンは、一般式(III)又は(IV)
【0056】
【化9】

【0057】
(式中、R1B〜R4Bは、それぞれ、互いに独立して、C〜Cアルキル基、好ましくはメチル、エチル、ブチル、又はイソブチル基であり、lは、1〜40、好ましくは4〜25の整数である)
の開鎖又は環式アルミノキサン化合物である。
【0058】
特に有用なアルミノキサン化合物はメチルアルミノキサン(MAO)である。
更に、炭化水素基の幾つかが水素原子、又はアルコキシ、アリールオキシ、シロキシ、若しくはアミド基によって置換されている変性アルミノキサンを、活性化化合物として式(III)又は(IV)のアルミノキサン化合物に代えて用いることもできる。
【0059】
ボラン類及びボロキシン類、例えばトリアルキルボラン、トリアリールボラン、又はトリメチルボロキシンは、活性化化合物として特に有用である。少なくとも2つのペルフッ素化アリール基を有するボラン類を用いることが特に好ましい。より好ましくは、トリフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(トリル)ボラン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、又はトリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボランからなるリストから選択される化合物が用いられ、最も好ましくは、活性化化合物はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。また、ペルフッ素化アリール基を有するボリン酸類、例えば(CBOHも特に言及される。WO−97/36937−A1(参照として本明細書中に包含する)に記載されているアニオン性ホウ素複素環を含む化合物、例えばジメチルアニリノボラトベンゼン又はトリチルボラトベンゼンもまた、活性化化合物として好適に用いることができる。
【0060】
更に好適な活性化化合物は、WO−00/31090−A1及びWO−99/06414−A1(参照として本明細書中に包含する)に列記されている。
担持触媒系を製造することが好ましい。第1の活性触媒化合物及びその活性化化合物は、互いに独立して、例えば連続してか又は同時に固定化することができる。而して、担体成分をまず1種類又は複数の活性化化合物と接触させることができ、或いは担体成分をまず第1の活性触媒化合物と接触させることができる。担体と混合する前に1種類以上の活性化化合物を用いて第1の活性触媒化合物を予備活性化することも可能であり、好ましい。
【0061】
固定化は、一般に不活性溶媒中で行い、これは固定化の後に濾過又は蒸発によって除去することができる。個々のプロセス工程の後、固体を、脂肪族又は芳香族炭化水素のような好適な不活性溶媒で洗浄し、乾燥することができる。しかしながら、未だ湿潤状態の担持触媒を用いることも可能である。
【0062】
担持触媒系を製造する好ましい方法においては、少なくとも1種類の式(I)のメタロセンを好適な溶媒中で活性化化合物と接触させ、次に脱水又は不動態化した担体材料と混合する。式(II)の鉄コンプレックスを同様に、好適な溶媒、例えばトルエン中で、少なくとも1種類の活性化化合物、好ましくはMAOと接触させる。このようにして得られる調製物を、次に固定化したメタロセン(これは直接か又は好ましくは溶媒を分離除去した後に用いる)と混合する。得られる担持触媒系は、好ましくは乾燥して溶媒の全部又は殆どを担体材料の細孔から除去することを確保する。担持触媒は好ましくは自由流動粉末として得られる。上記のプロセスの工業的な実施の例は、WO−96/00243−A1、WO−98/40419−A1、又はWO−00/05277−A1に記載されている。
【0063】
メタロセンは、好ましくは、最終触媒系中のメタロセンの濃度が、担体1gあたり1〜200マイクロモル、好ましくは5〜100マイクロモル、特に好ましくは10〜70マイクロモルとなるような量で適用する。鉄コンプレックスは、好ましくは、最終触媒系中の鉄コンプレックスからの鉄の濃度が、担体1gあたり0.1〜20マイクロモル、好ましくは0.5〜10マイクロモル、特に好ましくは1〜7マイクロモルとなるような量で適用する。
【0064】
好ましくは、活性化及び担持工程は好適な溶媒中で行う。好適な溶媒は、非プロトン性溶媒、特に6〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素、例えばトルエン、エチルベンゼン、又はキシレン、或いは6〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、例えばn−ヘキサン又はイソヘキサン、ヘプタン、オクタン、又はデカリンのような炭化水素、或いは種々の炭化水素の混合物である。トルエン、ヘキサン、及びヘプタン、並びにこれらの混合物が特に好ましい。活性化化合物は、好ましくは溶液中、好ましくは炭化水素中に存在させる。
【0065】
混合が完了した後で担体成分を加える前に、活性触媒成分のそれぞれをそれぞれの活性化化合物によって30分間〜8時間、特に好ましくは30分間〜3時間活性化することが有利であることが見出された。以下において、活性化とは、混合物中の活性触媒化合物及び活性化化合物に互いに反応する時間を与えることを意味する。この時間中においては、好ましくは混合物を撹拌する。
【0066】
上記のプロセスにおいて、本発明の触媒系の2種類の活性触媒成分の活性化は異なる温度において行う。温度の差は少なくとも15℃、好ましくは少なくとも20℃である。第1の活性触媒成分の活性化は、15〜150℃の温度、好ましくは40〜120℃の温度において行うことができる。ハフノセン及びジルコノセンの場合には、好ましい活性化温度は40〜80℃の範囲である。第2の活性触媒成分の活性化は、0〜135℃の温度において行うことができ、好ましくは10〜100℃の温度において行うことができる。好ましい鉄触媒の場合には、好ましい活性化温度は10〜30℃の範囲である。
【0067】
このようにして本発明の触媒系の活性を大きく向上させることができる。混合及び活性化は、有機遷移金属化合物の光感受性によって光の存在下又は不存在下で行うことができる。
【0068】
担体成分としては、任意の有機又は無機の固体であってよい微粉砕担体を用いることが好ましい。特に、担体成分は、タルク;モンモリロナイト、マイカのような層状ケイ酸塩;無機酸化物;或いは微粉砕ポリマー粉末(例えばポリオレフィン、又は極性官能基を有するポリマー);のような多孔質担体であってよい。担体は乾燥しており、即ち溶媒中に懸濁されておらず、残留湿分含量は、含湿担体成分を基準として5重量%未満、好ましくは2重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満である。
【0069】
好ましい無機担体の例としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、マグネシウム、又はチタン元素の混合酸化物、並びに対応する酸化物混合物が挙げられる。単独か又は上記で言及した好ましい酸化物担体と組み合わせて用いることができる他の無機酸化物は、例えば、MgO、CaO、AlPO、ZrO、TiO、B、又はこれらの混合物である。他の好ましい無機担体材料は、MgClのような無機ハロゲン化物、或いはNaCO、KCO、CaCO、MgCOのような炭酸塩、NaSO、Al(SO、BaSOのような硫酸塩、KNO、Mg(NO、又はAl(NOのような硝酸塩である。
【0070】
無機担体は、例えば吸着水を除去するために熱処理にかけることができる。かかる乾燥処理は、一般に、50〜1000℃、好ましくは100〜600℃の範囲の温度において行い、100〜200℃における乾燥は、好ましくは減圧下及び/又は不活性ガス(例えば窒素)の雰囲気下で行い、或いは、無機担体は、適当な場合には固体の所望の構造を形成するか及び/又は表面上の所望のOH濃度を生成させるために200〜1000℃の温度において焼成することができる。また、担体は、金属アルキル、好ましくはアルミニウムアルキル、クロロシラン、又はSiClのような通常の乾燥剤、或いはメチルアルミノキサンを用いて化学的に処理することもできる。例えば、シリカゲルをNHSiF又は他のフッ素化剤で処理することによりシリカゲル表面をフッ素化することができ、或いは、シリカゲルを、窒素、フッ素、又はイオウ含有基を含むシランで処理することによって、相応して変性されたシリカゲル表面を形成することができる。適当な処理法は、例えばWO−00/31090−A1に記載されている。
【0071】
また、微粉砕ポリオレフィン粉末(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリスチレン)のような有機担体材料を用いることもでき、好ましくは、同様に、使用前に適当な精製及び乾燥操作によって、吸着湿分、残留溶媒、又は他の不純物を除去する。また、官能化ポリマー担体、例えば、その官能基、例えばアンモニウム又はヒドロキシ基を介して少なくとも1つの触媒成分を固定化することができるポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブチレンをベースとするものを用いることもできる。ポリマーブレンドを用いることもできる。
【0072】
その寸法及び構造のためにオレフィン重合のための担体として特に好適である粒子をこの材料から製造することができるので、固体担体成分としてシリカゲルを用いることが特に好ましい。特に、より小さな顆粒状粒子、即ち一次粒子の球状凝集体を含む噴霧乾燥シリカゲルが特に有用であることが見出された。シリカゲルは、使用前に乾燥及び/又は焼成することができる。
【0073】
用いるシリカゲルは、一般に、5〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは15〜100μm、特に20〜70μmの平均粒径D50を有し、通常は0.1〜10cm/g、好ましくは0.2〜5cm/gの細孔容積、及び30〜1000m/g、好ましくは50〜800m/g、特に100〜600m/gの比表面積を有する微粉砕粉末として用いる。本発明方法のために好適な代表的なシリカゲルは、市場において例えばW.R. Grace & Co., Maryland, 米国から入手できる。
【0074】
活性触媒化合物は、好ましくは活性触媒化合物の合計濃度が、担体成分1gあたり1〜200マイクロモル、好ましくは10〜150マイクロモル、特に好ましくは10〜80マイクロモルになるような量で適用する。
【0075】
担体成分は、工程(A)からの混合物と接触させる前に有機金属化合物と接触させることもできる。好ましい有機金属化合物は、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、n−ブチル−n−オクチルマグネシウム、n−ブチル−n−ヘプチルマグネシウム、特にn−ブチル−n−オクチルマグネシウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、メチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、及びトリメチルアルミニウム、並びにこれらの混合物である。
【0076】
第2の活性触媒成分を担持させた後、溶媒を場合によっては完全か又は部分的に除去する。これによって自由流動粉末の形態の固体が与えられる。溶媒は、好ましくは部分的に除去して、残留湿分含量が含湿触媒を基準として0〜60重量%、好ましくは含湿触媒を基準として1〜50重量%、特に好ましくは1〜20重量%となるようにする。このようにして得られる触媒は非常に良好な粉体流を示す。残留湿分含量は、溶媒以外の全ての出発物質が担体によって吸収されるという仮定の下で触媒の重量を計算し、この理論的重量を触媒の実際の重量(収量)と比較することによって、簡単な方法で見積もることができる。
【0077】
また、触媒系を、まずα−オレフィン、好ましくは線状のC〜C10−1−アルケン、特にエチレン又はプロピレンで予備重合し、得られる予備重合触媒固体を次に実際の重合において用いることもできる。
【0078】
本発明の触媒系は、オレフィンの重合、特にα−オレフィン、即ち末端二重結合を有する炭化水素の重合のために好適である。好適なモノマーとしては、官能化オレフィン性不飽和化合物、例えばアクロレイン、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミド誘導体、例えばアクリレート、メタクリレート、又はアクリロニトリル、或いはビニルエステル、例えば酢酸ビニルも挙げることができる。アリール置換α−オレフィンなどの非極性オレフィン性化合物が好ましい。特に好ましいα−オレフィンは、線状又は分岐のC〜C12−1−アルケン、特に線状のC〜C10−1−アルケン、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、又は分岐C〜C10−1−アルケン、例えば4−メチル−1−ペンテン、共役及び非共役ジエン、例えば1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、又は1,7−オクタジエン、或いはビニル芳香族化合物、例えばスチレン又は置換スチレンである。種々のα−オレフィンの混合物を重合することもできる。エテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、及び1−デセンからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンを重合することが好ましい。
【0079】
好適なオレフィンとしては、また、二重結合が環式構造の一部であり、1以上の環系を有していてよいものも挙げられる。例は、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及びメチルノルボルネン、並びに、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、又はエチルノルボルナジエンのようなジエンである。
【0080】
また、2種類以上のオレフィンの混合物を重合することもできる。特に、本発明の触媒系は、エテン又はプロペンの重合又は共重合のために用いることができる。エテンの重合におけるコモノマーとしては、C〜C−α−オレフィン又はノルボルネン、特に1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、及び/又は1−オクテンを用いることが好ましい。少なくとも50モル%のエテンを含むモノマー混合物を用いることが好ましい。プロピレンの重合において好ましいコモノマーは、エテン及び/又はブテンである。
【0081】
重合は、公知の方法で、バルク中、懸濁液中、気相中、或いは超臨界媒体中で、オレフィンの重合のために用いられる通常の反応器内において行うことができる。これは、バッチ式か、又は1以上の段階で連続的に行うことができる。管状反応器又はオートクレーブ内での高圧重合法、溶液法、懸濁法、撹拌気相法、及び気相流動床法が全て可能である。
【0082】
重合は、通常は−60〜350℃の範囲の温度及び0.5〜4000barの圧力下で行う。平均滞留時間は、通常は0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。重合を行うために有利な圧力及び温度の範囲は、通常は重合法によって定まる。通常は1000〜4000bar、特に2000〜3500barの圧力で行う高圧重合法の場合においては、一般に高い重合温度も設定される。これらの高圧重合法のために有利な温度範囲は、200〜320℃、特に220〜290℃である。低圧重合法の場合においては、一般に、ポリマーの軟化温度よりも少なくとも数度低い温度が設定される。特に、これらの重合法においては、50〜180℃、好ましくは70〜120℃の温度が設定される。重合温度は一般に−20〜115℃の範囲であり、圧力は一般に1〜100barの範囲である。懸濁液の固形分含量は一般に10〜80%の範囲である。重合は、例えば撹拌オートクレーブ内でバッチ式か、或いは例えば管状反応器、好ましくはループ反応器内で連続的に行うことができる。US−A−3,242,150及びUS−A−3,248,179に記載されているフィリップスPF法を用いることが特に好ましい。気相重合は、一般に30〜125℃の範囲で行う。
【0083】
本発明によって用いる遷移金属コンプレックス及びその中にそれらを存在させる触媒系は、複数の方法の組合せを用いて製造することもでき、或いはこれらの組み合わせた方法を用いてそれらの重合活性を試験することができる。
【0084】
本発明方法によってオレフィンのポリマーを製造することができる。本発明の記載においてここで用いる「重合」という用語は重合及びオリゴマー化の両方を包含し、即ち、約56〜10,000,000g/モルの範囲の分子量Mwを有するオリゴマー及びポリマーを本方法によって製造することができる。
【0085】
本発明の触媒系は、オレフィンの重合において非常に高い生産性を与え、触媒系を重合反応器中に計量投入する際の有利性を与え、ポリマー中の触媒残渣に関する問題を非常により僅かしか引き起こさない。本発明の触媒系を用いて製造されるポリマーは、高い生成物純度が要求される用途のために特に有用である。更に、本発明の触媒系は、有機遷移金属化合物に対するアルミノキサンの比較的低いモル比においても非常に良好な活性を示す。
【実施例】
【0086】
以下の試験を行って試料を特性分析した。
比表面積の測定:
DIN−66131にしたがって窒素吸着によって求めた。
【0087】
細孔容積の測定:
DIN66133にしたがって水銀ポロシメトリーによって求めた。
D10、D50、及びD90の測定:
粒子の粒径分布は、イソプロパノール中の分散液中で、Malvern, 英国からのMastersizer Xを用いたレーザー光散乱によって測定した。D10、D50、D90の寸法は、直径の体積基準の百分率である。D50値は、同時に粒径分布の中央値である。
【0088】
残留湿分含量の測定:
残留湿分含量は、不活性ガス雰囲気下におけるMettler-Toledo, Greifensee,スイスからのMettler LJ16湿分分析器を用いた測定から得られる揮発分の含量である。
【0089】
用いたシリカゲルXPO-2107(Graceからの噴霧乾燥シリカゲル)は、600℃において6時間焼成した。これは、1.5mL/gの細孔容積、及び1重量%未満の含水量を有していた。
【0090】
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドはCromptonから商業的に入手できる。
Qianら, Organometallics 2003, 22, 4312-4321の方法によって2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニルアニル)鉄ジクロリドを調製した。ここでは、65.6gの2,6−ジアセチルピリジン(0.4モル)、170gの2,4−ジクロロ−6−メチルアニリン(0.483モル)、32gのシリカゲルタイプ135、及び160gのモレキュラーシーブ(4Å)を、1500mLのトルエン中において80℃で5時間撹拌し、続いて更に32gのシリカゲルタイプ135及び160gのモレキュラーシーブ(4Å)を加えた。混合物を80℃において更に8時間撹拌し、不溶の固体を濾別し、トルエンで2回洗浄した。得られた濾液から固体を留去し、残渣に200mLのメタノールを添加し、続いて55℃において1時間撹拌した。このようにして形成された懸濁液を濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄し、溶媒を除去した。これにより、95gの2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニルアニル)が47%の収率で与えられた。鉄(II)クロリドとの反応は、Qianら, Organometallics 2003, 22, 4312-4321によって記載されているように行った。
【0091】
実施例1
234mg(516マイクロモル)のビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、及び13.5mLのMAO(トルエン中4.6M、62.1ミリモル)の混合物を60℃において1時間撹拌し、続いて撹拌しながら8.6gの予備処理した担体材料に加えた。混合物を更に1時間撹拌した。固体を、自由流動状態になり、溶媒の計算残留湿分含量が5%未満になるまで減圧下で乾燥した。このようにして得られた固体に、前もって室温において60分間撹拌した更なる16mLのトルエン中の、31.3mg(51.65マイクロモル)の2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニルアニル)鉄ジクロリド、及び1.3mLのMAO(トルエン中4.6M、5.98ミリモル)の第2の混合物を加え、混合物を続いて室温において更に1時間撹拌した。担体の細孔容積に対する加えた溶液の全体積の比は1.34であった。固体を、自由流動状態になり、溶媒の計算残留湿分含量が5%未満になるまで減圧下で乾燥した。((Fe+Hf):Al=1:120)。これにより12.3gの触媒が与えられた。
【0092】
比較例C1
32g(52.8マイクロモル)の2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニルアニル)鉄ジクロリド、及び1.07mLのMAO(トルエン中4.75M、6.44ミリモル)の混合物を、室温において1時間撹拌し、続いて撹拌しながら8.6gの予備処理した担体材料に加え、混合物を室温において更に1時間撹拌した。固体を、自由流動状態になり、溶媒の計算残留湿分含量が5%未満になるまで減圧下で乾燥した。このようにして得られた固体に、前もって室温において60分間撹拌した更なる17mLのトルエン中の、241.6mg(532マイクロモル)のビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、及び14.6mLのMAO(トルエン中4.6M、67.16ミリモル)の混合物を加え、混合物を続いて室温において更に1時間撹拌した。担体の細孔容積に対する加えた溶液の全体積の比は0.85であった。固体を、自由流動状態になり、溶媒の計算残留湿分含量が5%未満になるまで減圧下で乾燥した。((Fe+Hf):Al=1:120)。これにより12.8gの触媒が与えられた。
【0093】
比較例C2
245.9mg(500マイクロモル)のビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、及び13mLのMAO(トルエン中4.6M、59.8ミリモル)の混合物を60℃において1時間撹拌し、続いて撹拌しながら8.6gの予備処理した担体材料に加えた。混合物を更に1時間撹拌した。固体を、自由流動状態になり、溶媒の計算残留湿分含量が5%未満になるまで減圧下で乾燥した。このようにして得られた固体に、前もって60℃において60分間撹拌した更なる15mLのトルエン中の、34.3mg(51.65マイクロモル)の2,6−ジアセチルピリジンビス(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニルアニル)鉄ジクロリド、及び1.44mLのMAO(トルエン中4.6M、5.98ミリモル)の第2の混合物を加え、混合物を続いて室温において更に1時間撹拌した。固体を、自由流動状態になり、溶媒の計算残留湿分含量が5%未満になるまで減圧下で乾燥した。((Fe+Hf):Al=1:120)。これにより12.3gの触媒が与えられた。
【0094】
重合
100gの初期充填量のポリエチレンを充填し、アルゴンによって不活性にした1Lのオートクレーブに、ヘプタン中のトリイソブチルアルミニウム溶液2mL(75mgのトリイソプレニルアルミニウムに相当)を加え、表1に示す量の触媒固体を最終的に導入した。10barのエチレン圧(全圧=19bar)及び90℃において、重合を60分間行った。オートクレーブを排気することによって重合を停止し、底部バルブを通して生成物を排出した。重合に関係するデータを表1に示す。C1からの触媒を用いた重合の場合には、重合を停止した後に計量装置内にポリマーの堆積物が見られた。
【0095】
【表1】

【0096】
表中の略語:
生産性:用いた触媒1gあたりの得られたポリマーのgでの生産性;
cat:触媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体上に少なくとも2種類の異なる活性触媒成分を含む触媒系を製造する方法であって、
(A)第1の温度において第1の活性触媒成分を活性化し;
(B)第1の温度よりも少なくとも15℃低い第2の温度において第2の活性触媒成分を活性化する;
工程を含む上記方法。
【請求項2】
(C)担体上に触媒成分を担持させる;
工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性化及び担持を非プロトン性溶媒中で行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(A)で得られる第1の活性化触媒成分を前段の担持工程において担体に施し、工程(B)で得られる第2の活性化触媒成分を後段の担持工程において担体に施す、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前段の担持工程の後で且つ後段の担持工程の前に、乾燥工程において担体を乾燥する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1の活性化工程を0〜70℃の温度において行い、一方、後段の活性化工程を−40℃〜50℃の温度において行う、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1の活性触媒成分が前周期遷移金属コンプレックスであり、一方、第2の活性触媒成分が後周期遷移金属コンプレックスである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前周期遷移金属コンプレックスがハフノセン又はジルコノセンであり、後周期遷移金属コンプレックスが鉄コンプレックスである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
用いる担体成分がシリカゲル又は焼成ハイドロタルサイトである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって得られる触媒系。
【請求項11】
エチレンを重合又は共重合するための請求項10に記載の触媒系の使用。
【請求項12】
請求項10に記載の触媒系の存在下で行うオレフィン重合方法。
【請求項13】
エチレンを場合によっては他のオレフィンモノマーと共に(共)重合するための請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2012−512289(P2012−512289A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541181(P2011−541181)
【出願日】平成21年12月12日(2009.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008911
【国際公開番号】WO2010/069527
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】