説明

オーディオ再生装置

【課題】ユーザの操作に合わせてオーディオデータの再生を制御することが可能なオーディオ再生装置を提供する。
【解決手段】特徴抽出部12は、メモリ11に記憶されるオーディオデータのリズム検出を行い、時間情報列を生成して主制御部13に出力する。オーディオデータの再生時、主制御部13はセンサ17の検出結果に基づいてオーディオ再生装置1の筐体の動作を検出し、その検出結果に基づいて検出情報を生成する。主制御部13は、特徴抽出部12で生成した時間情報列とセンサ17の検出結果に基づいて生成した検出情報とを比較し、合致するか否かの判定を行う。再生制御部14は、合致すると判定された場合にはオーディオデータに変更を加えずにサウンドシステム15から再生させ、合致しないと判定された場合にはオーディオデータに所定のエフェクトを加えてサウンドシステム15から再生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオデータの再生に合わせてユーザの操作タイミングを検出するオーディオ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音楽の再生に基づいてユーザが行った操作を検出してその操作タイミングを評価し、その評価結果に基づいて効果音を発音させたり画面表示を制御したりするゲーム性のある音楽再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような音楽再生装置では、予め音楽と同期したイベントデータ列を記憶しており、音楽を再生しつつイベントデータを表示する。ユーザがそのイベントデータのタイミングで操作を行うと、その操作タイミングとイベントデータのタイミングとの差を検出することで操作タイミングの評価を行っている。
【特許文献1】特開2001−232058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の音楽再生装置においては、ユーザの操作タイミングに合わせて所定の制御を行うためには、予め音楽と同期したイベントデータ列を作成するオーサリングの工程が必要になるという課題があった。
【0005】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、オーディオデータを再生する装置において、オーディオデータのオーサリングを行うことなく、ユーザの操作に合わせてオーディオデータの再生を制御することが可能なオーディオ再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、オーディオデータを記憶する記憶手段と、前記オーディオデータの再生を行う再生手段と、ユーザによる操作を入力し、操作態様を検出する検出手段と、前記オーディオデータから再生時間軸上の所定の音楽的特徴を抽出し、該音楽的特徴を示す時間情報列を生成する特徴抽出手段と、前記操作態様の時間軸上の検出情報と前記時間情報列とを比較する比較手段と、前記オーディオデータの再生中に、前記比較手段の比較結果に基づいて所定の制御を行う制御手段とを具備することを特徴とするオーディオ再生装置である。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記操作態様に応じて楽音を生成する楽音生成手段と、前記オーディオデータから特定の周波数帯域又は楽器音を消去する消去手段とをさらに具備し、前記特徴抽出手段は、前記オーディオデータから前記特定の周波数帯域又は楽器音を抽出し、該特定の周波数帯域又は楽器音に対応する楽音が発音されるべきタイミングを示す時間情報列を生成することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記特徴抽出手段は、前記時間情報列を構成する時間情報に所定の幅を持たせることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記制御手段は、前記オーディオデータの再生中に、前記比較手段の比較結果に基づいて該オーディオデータの再生状態を変化させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記制御手段は、前記オーディオデータの再生中に、前記比較手段の比較結果に基づいて該オーディオデータの再生の一時停止又は音量の制御又は該オーディオデータへの効果の付与を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明において、表示手段をさらに具備し、前記制御手段は、前記オーディオデータの再生中に、前記比較手段の比較結果に基づいて前記表示手段への表示を変化させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の発明において、前記検出手段は、ユーザによる操作を検出する操作ボタンであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の発明において、前記検出手段は、加速度を検出する加速度センサであることを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の発明において、前記検出手段は、磁界を検出する磁気センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のオーディオ再生装置によれば、特徴抽出手段にてオーディオデータの音楽的特徴を抽出し時間情報列として生成することが可能であるため、予めオーディオデータと同期したイベントデータ列を作成することなく、ユーザの操作に合わせてオーディオデータの再生を制御することができる。
【0015】
また、オーディオデータの再生中に、検出手段で検出した操作態様に基づいてオーディオデータの再生状態を変化させたり、表示部への表示内容を変化させる等の制御が可能であるため、ユーザは再生されるオーディオデータを聴くだけでなく、検出手段への操作入力を通して該オーディオデータの再生に参加しているという実感を得ることができる。
【0016】
さらに、検出手段で検出した操作態様に応じて楽音を生成する楽音生成手段を具備し、オーディオデータから特定の周波数帯域又は楽器音を消去して再生することで、前記消去した周波数帯域又は楽器音に対応する楽音を、ユーザの操作に合わせて楽音生成手段で生成し発音させることが可能となり、ユーザは検出手段への操作入力を通して該オーディオデータの演奏に参加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るオーディオ再生装置の構成を示す構成図である。
【0018】
図1において、メモリ11(記憶手段)は、オーディオデータを記憶するメモリである。ここで、オーディオデータはMPEGやAAC等の所定の圧縮方式により圧縮されたものであってもよい。特徴抽出部12(特徴抽出手段)は、メモリ11に記憶されたオーディオデータの音楽的特徴(リズムやメロディ等)を抽出し、時間情報列として出力するものである。なお、特徴抽出部12の詳細な動作については、図2及び図3を参照して後述する。
【0019】
主制御部13(比較手段)は、特徴抽出部12及びインタフェース18から入力したデータに基づいてユーザの操作タイミングを判定し、判定結果を再生制御部14へ出力するものである。また、主制御部13は、操作部16から入力したユーザの操作指示に基づいて、再生制御部14の制御を行うものである。
【0020】
再生制御部14は、メモリ11に記憶された音楽データを読み取り、主制御部13から入力した判定結果に基づいて再生条件を制御し、サウンドシステム15から再生させるものである。制御部141(制御手段)は、主制御部13から入力した判定結果に基づいて再生制御部14内の各部へ再生条件の指示を出力するものである。
【0021】
読み出し制御部142は、制御部141からの指示に基づいて、メモリ11に記憶されたオーディオデータを読み取り、フィルター部143へと出力するものである。なお、オーディオデータが圧縮されている場合は、読み出し制御部142で伸張処理を行う。
【0022】
フィルター部143(消去手段)は、制御部141からの指示入力に基づいて、オーディオデータに対して所定の周波数成分をカットする等のフィルター処理を行い、エフェクター部144へ出力するものである。エフェクター部144は、制御部141からの指示入力に基づいて、オーディオデータにエフェクト処理を行うものである。エフェクト処理の種類としては、例えば音量制御、ローパス/ハイパスフィルター、ディストーション、コーラス、リバーブ、エコーなどである。
【0023】
サウンドシステム15(再生手段)は、エフェクター部144から出力されるオーディオデータの再生を行うものである。操作部16は、ユーザによる操作指示を入力する押しボタン(操作ボタン)を備え、該押しボタンへの押下を検出して主制御部13へ検出結果(操作指示)を出力するものである。
【0024】
センサ17(検出手段)は、オーディオ再生装置1の筐体の動作を検出する加速度センサである。インタフェース18は、センサ17の検出出力を入力し、主制御部13へと出力するものである。
【0025】
次に、図1の特徴抽出部12の詳細な動作について、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、特徴抽出部12の機能構成を示す図である。図2において、フィルター部121では、入力したオーディオデータに対して、所定の周波数帯域を抽出するフィルター処理を行う。フィルター処理では、例えば、ベース音やバスドラム音を抽出できるようにカットオフ周波数を調整する。なお、フィルター部121においてフィルターをかける周波数帯域又は抽出する楽器音はユーザにより選択可能としてもよい。
【0026】
包絡線生成部122では、フィルター部121でフィルター処理後のオーディオデータから波形の頂点を検出し、頂点の山と山、谷と谷をそれぞれ結ぶことで包絡線を生成する。なお、包絡線の生成は必ずしも行う必要は無いが、包絡線の生成を行うことで波形が単純化され、以降の処理を簡素化することができる。
【0027】
閾値比較部123では、包絡線生成部122から出力される包絡線の波形データのレベルを予め設定された閾値と比較し、該オーディオデータの再生時間軸上においてその閾値を超えている時間帯を求める。この閾値は、例えばベースギターやバスドラムが弾かれた瞬間に超えるような値に設定する。
【0028】
閾値比較部123は、包絡線の波形データのレベルが閾値を下回っている時間帯をLow、上回っている時間帯をHighとして時間情報列を出力する。このように、本実施形態では、フィルター部121で抽出した波形データから所定の閾値を超えているか否かを示す時間情報列を生成することで、オーディオデータのリズム検出を行うことができる。
【0029】
図3(a)は、閾値比較部123から出力される時間情報列の一例であり、オーディオデータの再生時間軸上における時刻t0〜t1,時刻t2〜t3,時刻t4〜t5,時刻t6〜t7において包絡線の波形データのレベルが閾値を上回っている。
【0030】
図3(b)は、図3(a)に示した時間情報列において、Highの時間帯に一定の幅Δtを持たせたものである。すわなち、時刻t0−Δt〜t1+Δt,時刻t2−Δt〜t3+Δt,時刻t4−Δt〜t5+Δt,時刻t6−Δt〜t7+Δtの時間帯がHighとなる。
【0031】
このように、時間情報列に所定の幅を持たせることで、ユーザの操作タイミングが本来操作すべき時刻から多少前後にずれても、主制御部13における比較において合致と判定することが可能である。
【0032】
なお、オーディオデータが単音のメロディで構成されている場合には、フィルター処理や包絡線生成処理を行わず、オーディオデータの波形のレベルを所定の閾値と比較することでメロディ検出が可能であり、音が鳴っているタイミングを示す時間情報列を作成することができる。
【0033】
次に、図1のオーディオ再生装置において、ユーザの操作を検出してオーディオの再生を制御する手順について図4のフローチャートを参照して説明する。
図4において、オーディオの再生処理が開始されると、主制御部13は再生を行うオーディオデータの指定が操作部16より入力されたか否かを判定する(ステップS101)。
【0034】
再生を行うオーディオデータの指定を操作部16より入力すると、主制御部13は該オーディオデータの時間情報列を生成するよう特徴抽出部12に指示する。特徴抽出部12は、主制御部13より指示されたオーディオデータをメモリ11から読み取り、時間情報列を生成する(ステップS102)。
【0035】
なお、時間情報列は一度生成したらオーディオ再生装置1内のメモリに記憶し、次回の再生時にはステップS101〜S103の手順を省略し、ステップS104以降の処理では生成済みの時間情報列を使用する。また、ステップS102における時間情報列の生成は、オーディオデータの再生と同時にリアルタイムで行ってもよい。
【0036】
特徴抽出部12で時間情報列の生成が終了すると(ステップS103:Y)、主制御部13は該時間情報列を一時的に記憶し、再生制御部14にオーディオデータの再生を開始するよう指示する(ステップS104)。
【0037】
主制御部13からの再生指示を入力すると、再生制御部14内の制御部141は読み出し制御部142に対して、再生するオーディオデータをメモリ11から読み込むよう指示する。再生の開始時には、オーディオデータに対してフィルター部143及びエフェクター部144で処理は行わず、サウンドシステム15から再生させる。
【0038】
オーディオデータの再生が開始されると、主制御部13はインタフェース18を介してセンサ17の検出出力を入力する。ユーザがオーディオ再生装置を所定の振り方(例えば、上下方向)で振ると、センサ17では所定の軸方向の加速度が検出され、主制御部13へと出力される。
【0039】
本実施形態では、ユーザの操作を検出するセンサとして加速度センサを用いたが、磁気センサを用いてもよい。磁気センサを用いる場合は、ユーザがオーディオ再生装置を所定の振り方で振ると、所定の軸方向の地磁気強度の変化が検出される。
【0040】
主制御部13は、センサ17の検出結果に基づいて、所定の軸方向の加速度が一定値以上であるか否かを示す検出情報を生成する。続いて、主制御部13は、オーディオデータから生成された時間情報列における現在時間(オーディオ再生がスタートしてからの時間)の情報と、センサ出力から生成された検出情報とを比較し(ステップS105)、合致しているかの判定を行う(ステップS106)。主制御部13は、この判定結果を再生制御部14内の制御部141へ出力する。
【0041】
ステップS106における判定で合致していると判定された場合は(ステップS106:N)、制御部141はオーディオデータに処理を行うことなくサウンドシステム15より再生させる。
【0042】
一方、ステップS106における判定で合致していないと判定された場合は(ステップS106:Y)、制御部141は、フィルター部143及びエフェクター部144に対して、オーディオデータに所定の処理を行うよう指示する(ステップS107)。
【0043】
ステップS107における処理は、例えば、フィルター部143で所定の周波数領域をカットしたり、エフェクター部144で所定のエフェクトをかけたり、又は再生音量を小さくする等の処理を行う。なお、それらの処理については、操作タイミングと時間情報列との時間差や合致しなかった回数などに基づいて、処理の種類や強さ、同時に付与する処理の数などを適宜決めればよい。以降、オーディオデータの再生が終了するまでステップS105〜ステップS108を繰り返し実行する。
【0044】
なお、ステップS107においては、エフェクトをかけるだけでなく、再生を一時停止させてもよい。また、再生音の変更は行わず、ステップS105における比較の合致状況を表示部(図示せず)に表示するだけでもよいし、比較の合致状況をオーディオ再生装置1内のメモリに記憶するだけでもよい。また、図3に示す時間情報列は1つの閾値によりHighとLowの2値を示すものであったが、複数の閾値により3値以上を示すものであってもよい。その場合、センサ17の検出結果においても複数の閾値による3値以上の情報とし、それぞれを対応させればよい。また、センサ17は、必ずしもオーディオ再生装置の筐体の動作を検出するものである必要はない。センサ17を筐体とは別に設け、それ自体の動作を検出するものであってもよい。
【0045】
本実施形態のオーディオ再生装置は、オーディオデータの音楽的特徴を示す時間情報列を特徴抽出部12で生成する構成であるため、予めオーサリングによりオーディオデータに同期したイベントデータ列を作成する必要が無い。
【0046】
また、本実施形態においては、オーディオデータから生成された時間情報列のタイミングとユーザの操作タイミングとが合致していない場合、再生の一時停止やエフェクトの付与等でオーディオデータの再生状態が変更されるため、ユーザはオーディオデータの再生に合わせて適切なタイミングでオーディオ再生装置1の操作を行う必要がある。
【0047】
このため、本実施形態のオーディオ再生装置を用いることにより、ユーザは再生される音楽を聴くだけでなく、オーディオ再生装置の操作を通じて音楽に参加するという実感を得ることができる。
【0048】
続いて、本発明の第二の実施形態を、図5及び図6を参照して説明する。
図5は、本発明の第二の実施形態に係るオーディオ再生装置の構成を示す構成図である。図5において、図1と同様のものに関しては同じ符号を付与し、詳細の説明を省略する。
【0049】
再生制御部14内の音源145(楽音生成手段)は、各種楽器の音色を表す音色データを保持しており、ユーザによる押しボタンの押下検出を操作部16から入力すると、該押しボタンに対応する楽音データを生成するものである。ミキサー部146は、エフェクター部144から出力されるオーディオデータと、音源145から出力される楽音データとをミックスし、サウンドシステム15へと出力するものである。
【0050】
第二の実施形態では、特徴抽出部12でオーディオデータから所定の楽器音のリズム検出を行い、音源145は押しボタンの押下タイミングに合わせて該楽器音の楽音データを出力し、サウンドシステム15から再生させる。一方、再生制御部14では、フィルター部143でオーディオデータから該楽器音をキャンセルし、該楽器音のキャンセル後のオーディオデータをサウンドシステム15から再生させる。
【0051】
なお、フィルター部143においては、特定の楽器音をキャンセルするのではなく、特定の帯域の周波数成分を除去するものであってもよい。例えば、特徴抽出部12のフィルター部121においてカットオフ周波数HcのLPF(Low Pass Filter)を用いる場合には、再生制御部14のフィルター部143ではカットオフ周波数HcのHPF(High Pass Filter)を用いる。
【0052】
次に、図5のオーディオ再生装置において、ユーザの操作を検出してオーディオの再生を制御する手順について図6のフローチャートを参照して説明する。
図6において、オーディオの再生処理が開始されると、主制御部13は再生を行うオーディオデータの指定が操作部16より入力されたかを判定する(ステップS201)。
【0053】
主制御部13が再生を行うオーディオデータの指定を操作部16より入力すると、主制御部13は該オーディオデータの時間情報列を生成するよう特徴抽出部12に指示する。特徴抽出部12は、主制御部13より指示されたオーディオデータをメモリ11から読み取り、時間情報列を生成する(ステップS202)。第二の実施形態においては、この時間情報列は、音源145で生成される楽音データがサウンドシステム15から発音されるべきタイミングを示すものとなる。
【0054】
なお、時間情報列は一度生成したらオーディオ再生装置2内のメモリに記憶し、次回の再生時にはステップS201〜S203の手順を省略し、ステップS204以降の処理では生成済みの時間情報列を使用する。
【0055】
特徴抽出部12で時間情報列の生成が終了すると(ステップS203:Y)、主制御部13は該時間情報列を一時的に記憶し、再生制御部14に所定の楽器音をキャンセルした上でオーディオデータの再生を開始するよう指示する(ステップS204)。ここで、所定の楽器音とはユーザが押しボタンによる演奏を行う楽器音であり、後述するステップS206で再生される楽器音である。
【0056】
主制御部13からの再生指示を入力すると、再生制御部14内の制御部141は読み出し制御部142に対して、メモリ11から再生するオーディオデータを読み込むよう指示する。フィルター部143は、読み出し制御部142により読み出されたオーディオデータにフィルター処理を行って楽器音をキャンセルし、エフェクター部144へと出力する。
【0057】
オーディオデータの再生が開始されると、主制御部13はユーザによる操作部16への操作を入力する(ステップS205)。ユーザが操作部16の押しボタンを押下すると(ステップ205:Yes)、操作部16は該押しボタンへの押下を検出し主制御部13及び音源145へと出力する。
【0058】
音源145は、操作部16からの出力に基づいて所定の楽器音の楽音データを生成し、ミキサー部146へと出力する。ミキサー部146は、エフェクター部144から入力するオーディオデータと音源145から入力する楽音データとをミックスし、サウンドシステム15から再生させる(ステップS206)。
【0059】
一方、主制御部13は、操作部16の検出結果に基づいて、操作部16の押しボタンが押下された時間に基づいて検出情報を生成する。続いて、主制御部13は、オーディオデータから生成された時間情報列における現在時間(オーディオ再生がスタートしてからの時間)の情報と、操作部16の検出結果から生成された検出情報とを比較し(ステップS207)、合致しているかの判定を行う(ステップS208)。主制御部13は、この判定結果を再生制御部14内の制御部141へ出力する。
【0060】
ステップS208における判定で合致していると判定された場合は(ステップS208:N)、制御部141はオーディオデータに楽器音キャンセル以外の処理を行うことなくサウンドシステム15より再生させる。
【0061】
一方、ステップS208における判定で合致していないと判定された場合は(ステップS208:Y)、制御部141は、フィルター部143及びエフェクター部144に対して、オーディオデータに所定の処理を行うよう指示する(ステップS209)。
【0062】
ステップS209における処理は、例えば、フィルター部143で所定の周波数領域をカットしたり、エフェクター部144で所定のエフェクトをかけたり、又は再生音量を小さくする等の処理を行う。以降、オーディオデータの再生が終了するまでステップS205〜ステップS210を繰り返し実行する。
【0063】
なお、ステップS209においては、エフェクトをかけるだけでなく、再生を一時停止させてもよい。また、再生音の変更は行わず、ステップS207における比較の合致状況を表示部(図示せず)に表示するだけでもよいし、比較の合致状況をオーディオ再生装置2内のメモリに記憶するだけでもよい。さらに、ステップS204で楽器音のキャンセルは行わず、オリジナルのオーディオデータと音源で生成する楽音データとをミックスして再生してもよい。また、必ずしも押しボタンを使用する必要はなく、別にMIDI楽器を用意してオーディオ再生装置2に接続し、そのMIDI楽器の演奏(操作)に基づく検出情報を主制御部13に送ってもよい。
【0064】
このように、本実施形態のオーディオ再生装置により、ユーザは操作部16の押しボタンを押下することで特定の楽器の演奏を行うことが可能であるため、該楽器のリズムに合わせて押しボタン押下することでオーディオデータの再生に参加することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、オーディオデータの再生に合わせてユーザの操作タイミングを検出するオーディオ再生装置に用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るオーディオ再生装置の構成を示す構成図である。
【図2】図1の特徴抽出部12の詳細な構成を示す図である。
【図3】図1の閾値比較部123から出力される時間情報列の一例を示す図である。
【図4】図1のオーディオ再生装置において、ユーザの操作を検出してオーディオの再生を制御する手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第二の実施形態に係るオーディオ再生装置の構成を示す構成図である。
【図6】図5のオーディオ再生装置において、ユーザの操作を検出してオーディオの再生を制御する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1,2…オーディオ再生装置、11…メモリ(記憶手段)、12…特徴抽出部(特徴抽出手段)、13…主制御部、14…再生制御部、15…サウンドシステム(再生手段)、16…操作部、17…センサ(検出手段)、121…フィルター部、122…包絡線生成部、123…閾値比較部、141…制御部(制御手段)、142…読み出し制御部、143…フィルター部(消去手段)、144…エフェクター部、145…音源(楽音生成手段)、146…ミキサー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオデータを記憶する記憶手段と、
前記オーディオデータの再生を行う再生手段と、
ユーザによる操作を入力し、操作態様を検出する検出手段と、
前記オーディオデータから再生時間軸上の所定の音楽的特徴を抽出し、該音楽的特徴を示す時間情報列を生成する特徴抽出手段と、
前記操作態様の時間軸上の検出情報と前記時間情報列とを比較する比較手段と、
前記オーディオデータの再生中に、前記比較手段の比較結果に基づいて所定の制御を行う制御手段と
を具備することを特徴とするオーディオ再生装置。
【請求項2】
前記操作態様に応じて楽音を生成する楽音生成手段と、
前記オーディオデータから特定の周波数帯域又は楽器音を消去する消去手段と
をさらに具備し、
前記特徴抽出手段は、前記オーディオデータから前記特定の周波数帯域又は楽器音を抽出し、該特定の周波数帯域又は楽器音に対応する楽音が発音されるべきタイミングを示す時間情報列を生成することを特徴とする請求項1に記載のオーディオ再生装置。
【請求項3】
前記特徴抽出手段は、
前記時間情報列を構成する時間情報に所定の幅を持たせることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ再生装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記オーディオデータの再生中に、前記比較手段の比較結果に基づいて該オーディオデータの再生状態を変化させることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のオーディオ再生装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記オーディオデータの再生中に、前記比較手段の比較結果に基づいて該オーディオデータの再生の一時停止又は音量の制御又は該オーディオデータへの効果の付与を行うことを特徴とする請求項4に記載のオーディオ再生装置。
【請求項6】
表示手段をさらに具備し、
前記制御手段は、前記オーディオデータの再生中に、前記比較手段の比較結果に基づいて前記表示手段への表示を変化させることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のオーディオ再生装置。
【請求項7】
前記検出手段は、ユーザによる操作を検出する操作ボタンであることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のオーディオ再生装置。
【請求項8】
前記検出手段は、加速度を検出する加速度センサであることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のオーディオ再生装置。
【請求項9】
前記検出手段は、磁界を検出する磁気センサであることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のオーディオ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−65039(P2008−65039A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242674(P2006−242674)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】