説明

オープンショーケース

【課題】ナイトカバーによって開口部が閉塞された際に、安定して省エネ運転を実行することができるオープンショーケースを提供する。
【解決手段】本発明は、庫内ファン27、28により冷気を貯蔵室10の開口部12に吐出して冷気エアーカーテンを形成しながら貯蔵室11内を冷却すると共に、開口部12を覆うナイトカバー51を備えたオープンショーケース1において、貯蔵室11内を照明する照明装置36等と、圧縮機26と、制御装置20を備え、制御装置20は、照明装置20が消灯された場合、圧縮機26の運転率が低下していることを条件として、貯蔵室11内の設定温度を上昇させる制御を含む所定の省エネ運転を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庫内ファンにより冷却器と熱交換した冷気を貯蔵室の開口部に吐出して冷気エアーカーテンを形成しながら貯蔵室内を冷却すると共に、開口部を覆うナイトカバーを備えたオープンショーケース、特に、夜間や閉店時などの省エネ運転に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗に設置されるショーケースには、内部に商品を陳列するための貯蔵室が形成されており、当該貯蔵室内を圧縮機やコンデンサ、蒸発器などから構成される冷却装置によって、所定の温度に冷却している。大きな開口部を有するオープンショーケースでは、開口部に冷気エアーカーテンを形成し、外気の貯蔵室内への侵入を抑制しているが、多くの顧客が来店する昼間は、顧客や店員などの往来によって、外乱が生じるため、冷気が漏洩しやすくなると共に、外気が貯蔵室内に侵入する。これにより、貯蔵室内の温度を所定の冷却温度に維持することが困難となる。そのため、当該昼間などの開店時における冷却運転では、外乱による温度上昇を考慮した上で、冷却目標温度が設定されて、所定の冷却温度に維持される。
【0003】
他方、顧客の来店が少なくなる夜間や閉店時では、顧客等の往来による外乱が減少するため、冷気の漏洩が減少する。また、オープンショーケースの前面開口部は、ナイトカバーによって閉塞されるため、外気の侵入や冷気の漏洩が抑制される。そのため、従来では、特許文献1に示されるように、閉店時に手動で、若しくは、照明スイッチがOFFされることでナイトカバーが閉じられたことを検出して、貯蔵室内の冷却設定温度を上昇させる、所謂ナイトセットバック制御が行われる。
【0004】
これにより、照明灯の通電制御に基づいてショーケースの冷却装置の運転制御が行われることにより、営業時間外における冷却装置の運転率を低下させ、省エネが図られている。
【特許文献1】特開2002−257451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の場合、貯蔵室内の温度にかかわらず、照明スイッチがOFFとされることで、ナイトカバーが閉じられたことを検出して直ぐにナイトセットバック制御が開始されることとなる。そのため、外乱の影響によって、貯蔵室内の温度が冷却設定温度よりも高く、十分に貯蔵室内の冷やし込みが行われる以前にナイトセットバック制御が開始されることとなる。
【0006】
そのため、貯蔵室内の温度が冷却設定温度よりも高い状況で、開口部がナイトカバーによって閉塞されると、急激に貯蔵室内の熱負荷が低減するため、急速に貯蔵室内温度が低下し、補正により上昇させた後の冷却目標温度(例えば、圧縮機のOFF点となる下限温度)を大きく下回ってしまうこととなる。これにより、補正後の上限温度(圧縮機のOFF点温度)にまで貯蔵室内の温度が上昇するまで、圧縮機の運転を停止することから、急激に圧縮機の運転率が低下することとなる。
【0007】
これにより、急激に冷却装置の運転率が低下すると、貯蔵室内の温度が、ナイトセットバック制御のために補正された後の上限温度(圧縮機のON点温度)よりも上昇してしまうこととなり、これによって、再度冷却装置の運転率が上昇することとなる。
【0008】
従って、ナイトセットバック制御を開始した当初は、大きく貯蔵室内の温度が変化して不安定となり、冷却装置の運転率も不安定となることから、結果として効果的な省エネ運転を実行できないという問題がある。
【0009】
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、ナイトカバーによって開口部が閉塞された際に、安定して省エネ運転を実行することができるオープンショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のオープンショーケースは、庫内ファンにより冷却器と熱交換した冷気を貯蔵室の開口部に吐出して冷気エアーカーテンを形成しながら貯蔵室内を冷却すると共に、開口部を覆うナイトカバーを備えたものであって、貯蔵室内を照明する照明装置と、冷却器と所定の冷媒回路を構成する圧縮機と、制御装置を備え、制御装置は、照明装置が消灯された場合、圧縮機の運転率が低下していることを条件として、少なくとも貯蔵室内の設定温度を上昇させる制御を含む所定の省エネ運転を実行することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明のオープンショーケースは、上記発明において、省エネ運転は、圧縮機の運転率を監視しながら庫内ファンの回転数を低下させる制御を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明のオープンショーケースは、上記各発明において、省エネ運転は、圧縮機の運転率を監視しながら圧縮機及び冷却器と冷媒回路を構成するコンデンサを空冷するためのコンデンシングファンの回転数を低下させる制御を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明のオープンショーケースは、上記各発明において、省エネ運転は、圧縮機及び冷却器と冷媒回路を構成するコンデンサを空冷するためのコンデンシングファンの最高回転数を低下させる制御を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、庫内ファンにより冷却器と熱交換した冷気を貯蔵室の開口部に吐出して冷気エアーカーテンを形成しながら貯蔵室内を冷却すると共に、開口部を覆うナイトカバーを備えたオープンショーケースにおいて、貯蔵室内を照明する照明装置と、冷却器と所定の冷媒回路を構成する圧縮機と、制御装置を備え、制御装置は、照明装置が消灯された場合、圧縮機の運転率が低下していることを条件として、少なくとも貯蔵室内の設定温度を上昇させる制御を含む所定の省エネ運転を実行することにより、十分に貯蔵室内が冷やし込まれていると判断し、貯蔵室内の設定を上昇させる制御を行うことで、安定した省エネ運転を実行することが可能となる。
【0015】
これにより、庫内温度の急激な変化を抑制して、所謂オーバーシュートやアンダーシュートを小さくした適切な温度制御を実行することが可能となる。
【0016】
請求項2の発明によれば、上記発明において、省エネ運転は、圧縮機の運転率を監視しながら庫内ファンの回転数を低下させる制御を含むので、圧縮機の運転率に応じて庫内ファンの回転数を低下させることが可能となり、消費電力量の低減を図ることができる。
【0017】
この場合、照明装置が消灯されていること及び、ナイトカバーによって開口部が閉塞されていることにより外乱が少なくなることから、貯蔵室内の熱負荷が小さくなり温度上昇も小さくなるため、庫内ファンの回転数を低下させても、支障なく陳列室内を冷却する能力を維持することが可能となる。また、騒音の発生を抑制することができ、静音化を図ることが可能となる。
【0018】
請求項3の発明によれば、上記各発明において、省エネ運転は、圧縮機の運転率を監視しながら圧縮機及び冷却器と冷媒回路を構成するコンデンサを空冷するためのコンデンシングファンの回転数を低下させる制御を含むので、圧縮機の運転率に応じてコンデンシングファンの回転数を低下させることが可能となり、消費電力量の低減を図ることが可能となる。
【0019】
この場合、照明装置が消灯されていること及び、ナイトカバーによって開口部が閉塞されていることにより外乱が少なくなることから、貯蔵室内の熱負荷が小さくなり温度上昇も小さくなるため、コンデンシングファンの回転数を低下させても、支障なく陳列室内を冷却する能力を維持することが可能となる。また、騒音の発生を抑制することができ、静音化を図ることが可能となる。
【0020】
請求項4の発明によれば、上記各発明において、省エネ運転は、圧縮機及び冷却器と冷媒回路を構成するコンデンサを空冷するためのコンデンシングファンの最高回転数を低下させる制御を含むので、消費電力量の低減を図ることができ、省エネ運転を実現することが可能となる。
【0021】
この場合、照明装置が消灯されていること、ナイトカバーによって開口部が閉塞されていることにより外乱が小さくなることから、貯蔵室内の熱負荷が小さくなり温度上昇も小さくなるため、コンデンシングファンの最高回転数を低下させても、支障なく陳列室内を冷却する能力を維持することが可能となる。従って、騒音の発生を抑制することができ、静音化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明を適用したショーケース1の斜視図、図2は図1のショーケース1の縦断側面図をそれぞれ示している。
【0023】
ショーケース1は、例えばスーパーマーケットなどの店舗内に据え付けられる縦型のオープンショーケースであり、前面に開口する断面略コ字状の断熱壁2と、据え付け現場において断熱壁2の側面に取り付けられた断熱性の側板5、5とから構成されている。
【0024】
ショーケース1の断熱壁2の内側には所定間隔を存して内壁4が取り付けられると共に、当該内壁4と断熱壁2との間にはそれぞれ間隔を存して区画壁40が取り付けられ、内壁4と区画壁40間には、内層ダクト41が形成されると共に、区画壁40と断熱壁2間には外層ダクト42が形成されている。内壁4を構成する背部内壁10の下端前方には、底板9が断熱壁2の底壁2Aとの間にダクト用の間隔を存して取り付けられており、これら内壁4及び底板9の内側を貯蔵室11としている。
【0025】
また、この貯蔵室11内には、高さ及び取付角度が変更可能であると共に、貯蔵室11内背部の図示しない支柱に取り付けられる一対のブラケット31及びこれらと共に棚装置を構成する棚板32が複数段に渡って架設されている。棚板32の前縁には、硬質合成樹脂により成形されるプライスレール34が取り付けられており、当該プライスレール34は、棚板32の装飾体を兼用している。また、この棚板32の前壁とプライスレール34との間には、所定の間隔が形成されており、当該間隔には棚板32上の商品が落下することを防止するためのガード35が取り付けられる。また、各棚板32の下面前部には、下方の棚板32上に陳列される商品を照明するための照明装置(例えば蛍光灯)36が配設されている。
【0026】
断熱壁2の前面開口(開口部)12の上縁にはハニカム材13、14がそれぞれ取り付けられた内層吹出口16及び外層吹出口17が並設されており、これら内層吹出口16及び外層吹出口17は、内層ダクト41及び外層ダクト42にそれぞれ連通している。尚、内層吹出口16及び外層吹出口17は、区画壁40の前端において、仕切部材45によって区画形成される。他方、開口12の下縁には、内層吸込口18と外層吸込口19が並設されている。尚、内層吹出口16の貯蔵室11側の天面内壁8には、貯蔵室11内を上方から照明するための照明装置(例えば蛍光灯)39が設けられている。
【0027】
また、断熱壁2の天壁2B前端にはパネル33が取り付けられており、このパネル33の内方には、パネル33の後方に位置して照明装置(例えば蛍光灯)37を取り付けるための照明反射板50が取り付けられる。
【0028】
また、断熱壁2の天壁2Bの前端には、下方に延出して前記外層吹出口17の前側に位置して外層ダクト42の前端を閉塞する吹出口外壁52が取り付けられる。尚、この吹出口外壁52は、下端が後側に折り返された図示しない係合部が形成されており、当該係合部によって、前記外層吹出口17に取り付けられるハニカム材14の前端が支持される。そして、この吹出口外壁52の上面には、断熱壁2の天壁2Bの前端に位置して巻き取り式のナイトカバー51が収容される。
【0029】
このナイトカバー51は、図示しない保持具に取り付けられたトーションバーの周囲に巻回されて常時巻き取られる方向に付勢されており、保持具の下面前端から下方に引き出し可能とされる。引き出された際には、全開と全閉の途中の位置で停止するストッパー機能も備えられている。なお、このストッパー機能は下方へ引く所定の操作で解除され、巻き取られるようになる。これにより、ナイトカバー51は、保持具に引出/巻取自在とされる。
【0030】
また、ナイトカバー51の横幅は、実施例では、開口部12の幅寸法と略同等とされている。ナイトカバー51の先端(下端)には左右に張る硬質樹脂製の縁部材が取り付けられており、この縁部材の中央部には把手が形成されている。なお、この縁部材または把手に形成される固定部材は、断熱壁2の下部の前壁上端に係止部材に係脱自在に取付可能とされている。
【0031】
一方、底板9下方後部には断熱壁2の底壁2A上に内層ダクト41及び外層ダクト42のそれぞれに対応する庫内ファン27、28(図4のみ図示する)が複数台設置されている。そして、背部内壁10後方の内層ダクト41内には冷却装置の冷却器(図3のみ図示する)46が縦設されている。この冷却器46と共に冷凍サイクルを構成する圧縮機26(図3のみ図示する)、コンデンサ47、コンデンシングファン43(図3のみ図示する)等は、ショーケース1とは別置きに例えば、店舗内の機械室などに設けられている。
【0032】
ここで、図3の冷媒回路図を参照して本実施例における冷凍サイクルを構成する冷媒回路25について説明する。圧縮機26の吐出側の配管48には、コンデンサ47が接続されている。そして、このコンデンサ47の出口側には、減圧装置としての膨張弁29が接続されている。この膨張弁29は冷却器46に接続され、冷却器46の出口側は圧縮機26に接続されて環状の冷凍サイクルを構成している。圧縮機26、庫内ファン27、28、コンデンシングファン43、膨張弁29は、後述する制御装置20に接続され、詳細は後述する如く冷却運転の制御が行われるものとする。
【0033】
次に、図4を参照して制御装置20について詳述する。図4はショーケース1の制御装置20のブロック図を示している。この制御装置20は汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、時限手段としてのタイマ21を備えている。そして、この制御装置20の入力には、貯蔵室11内の温度を検出する温度センサ22と、電源スイッチ23と、貯蔵室11内を照明する照明装置36、37、39の点灯/消灯を行うための照明スイッチ24などが接続されている。尚、温度センサ22は例えば貯蔵室11内天井部に取り付けられているものである。
【0034】
他方、制御装置20の出力には、圧縮機26を駆動させる圧縮機モータ26Mと、庫内ファン27、28をそれぞれ駆動させるファンモータ27M、28M、コンデンシングファン43を駆動させるファンモータ43M、電磁弁29、照明装置36、37、39が接続されている。ここで、圧縮機モータ26Mは、インバータ装置53を介して接続されており、これによって、圧縮機モータ26Mの運転周波数を任意に変更可能とされている。また、庫内ファン27、28のファンモータ27M、28Mは、それぞれチョッパ回路などの駆動回路54を介して接続されており、これによって、ファンモータ27M、28Mの回転数を任意に変更可能とされている。同様に、コンデンシングファン43のファンモータ43Mは、チョッパ回路などの駆動回路55を介して接続されており、これによって、ファンモータ43Mの回転数を任意に変更可能とされている。
【0035】
以上の構成で本発明の実施例のショーケース1の動作を説明する。先ず、電源スイッチ23が投入されると、制御装置20は、冷却運転を開始し、圧縮機26、庫内ファン27及び28を起動する。圧縮機26が起動されると、内層ダクト41に縦設される冷却器46が冷却作用を発揮する。この冷却器46と熱交換した冷気は、庫内ファン27の運転により、内層ダクト41内を上昇せられ、内層吹出口16より内層吸込口18に向かって吹き出される。そして、内層吸込口18から吸い込まれた冷気は再び前記庫内ファン27によって加速される。これにより、開口部12には、冷気エアーカーテンが形成される。
【0036】
他方、外層ダクト42に対応した庫内ファン28が運転されると外層ダクト42内の保護気流は外層ダクト42内を上昇せられ、外層吹出口17より外層吸込口19に向かって吹き出される。そして、外層吸込口19から吸い込まれた空気は再び前記庫内ファン28によって加速される。これによって、開口部12には、冷気エアーカーテンの外側に保護エアーカーテンが形成され、開口部12には前後二重のエアーカーテンが形成されることとなる。そして、内側の冷気エアーカーテンの一部が貯蔵室11内に循環されて貯蔵室11は冷却される。
【0037】
制御装置20は、庫内ファン27、28を連続運転し、圧縮機26とコンデンシングファン43については温度センサ22の出力に基づき、インバータ装置53又は駆動回路55により、回転数制御される。即ち、温度センサ22により検出される貯蔵室11内の温度が所定の冷却設定温度(例えば+5℃)の上に設定された所定の上限温度(例えば+6℃)以上の場合には、圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数は最高回転数として運転する。検出温度が当該上限温度よりも低く、設定温度の下に設定された所定の下限温度(例えば+4℃)より高い場合には、当該温度が高くなるにつれて圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数を上昇させ、当該温度が低くなるにつれて圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数を低下させる。即ち、温度センサ22の検出温度の変化に応じてこれら圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数を調整する。また、検出温度が当該下限温度以下である場合には、圧縮機26及びコンデンシングファン43の運転を停止する。この場合、温度センサ22により検出される貯蔵室11内の温度が前記所定の上限温度より上昇した時点で圧縮機26及びコンデンシングファン43を起動し、最高回転数として運転する。
【0038】
なお、上記実施例では、冷却設定温度のディファレンシャル2degの範囲で制御しているが、これに限定されるものではない。また、圧縮機26は、インバータ装置53により制御され、コンデンシングファン43は、駆動装置55により制御されているため、回転数制御が可能となるが、これに限定されるものではなく、上記上限温度および下限温度によりON/OFF制御を実行してもよい。
【0039】
これによって、貯蔵室11内が平均+5℃の冷蔵温度に冷却されることになる。尚、本実施例では、圧縮機26とコンデンシングファン43の運転制御のみによって貯蔵室11内の温度制御を行っているが、これに限定されるものではなく、これに加えて、電磁弁29による開度制御を行うことにより温度制御を行っても良いものとする。
【0040】
次に、上述した如きナイトカバー51によって開口部12が閉塞された際の冷却運転について図5の制御のフローチャートを参照して説明する。まず、制御装置20は、ステップS1において、照明スイッチ24がOFFとされているか否かの判断を行う。例えば、店舗が開店中である場合には、照明スイッチ24がONとされているとともに、ナイトカバー51は保持具に巻き取られている。そのため、開口部12が開放されている開店中の状態では、制御装置20は、ステップS2に進み、上述したように、温度センサ22により検出される貯蔵室11内の温度に基づき、圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数制御(ON/OFF制御)を行い、貯蔵室11内を所定の冷却設定温度に維持する。以後、ステップS1に戻る。
【0041】
閉店する際には、ナイトカバー51を保持具から引き出して降ろし、把手等を断熱壁2の前壁上端に形成される係止部材に係止させ、冷気エアーカーテンの外側で開口部12を覆う。これにより、閉店中は、開口部12をナイトカバー51にて閉塞することにより、貯蔵室11内の冷気を当該貯蔵室11内に滞留させることができ、冷却効率の向上が図られる。
【0042】
このとき、閉店に際して、照明スイッチ24がOFFされ、各照明装置36、37、39が消灯される。そのため、制御装置20は、照明スイッチ24がOFFとされているためステップS1においてステップS3に移行する。ステップS3では、制御装置20は、圧縮機26の運転率が所定の低運転率であるか否かの判断を行う。
【0043】
本実施例では、単位時間当たり例えば10分間における圧縮機26の運転率(最高回転数を100%、停止状態を0%とした場合における圧縮機の回転数から算出される運転率)が所定の低運転率、例えば20%より低いか否かを判断する。なお、ON/OFF制御を行っている場合には、単位時間当たりの圧縮機26のON時間の割合とする。
上記圧縮機26の運転率が所定の低運転率以上である場合には、実際にナイトカバー51が閉塞されていても、制御装置20は、未だ、ナイトカバー51が閉塞されていないものとみなして、上記ステップS2に移行し、上述した如き通常の冷却運転を継続する。
【0044】
他方、上記圧縮機26の運転率が所定の低運転率より低い場合には、制御装置20は、ナイトカバー51によって開口部12が閉塞され、貯蔵室11内の温度変化が安定したものとみなし、ステップS4に進み、所定の省エネ運転を実行する。
【0045】
即ち、ナイトカバー51によって開口部12が閉塞された時点において、貯蔵室11内の温度が未だ、外乱の影響等によって冷却設定温度よりも高い状態であった場合には、ナイトカバー51によって貯蔵室11の開口部12が閉塞された状態のまま、通常の冷却設定温度で冷却装置の運転制御が行われることにより、急激に貯蔵室11内の温度が所定の下限温度(補正前の下限温度)よりも低下してしまうアンダーシュートが生じても、通常の冷却設定温度(補正前の冷却設定温度)により冷却制御がされることから、当該アンダーシュート(補正前の下限温度と、実際の貯蔵室11内の温度との差)を小さくすることができる。そして、貯蔵室11内の温度が補正前の上限温度に達すると冷却装置を運転するため、当該補正前の上限温度を超えてしまうオーバーシュートを著しく小さく抑えることができる。これにより、ナイトカバー51により開口部12を閉塞した後、早期に、貯蔵室11内の十分な冷やし込みが行われた安定した状態とすることが可能となる。
【0046】
そして、省エネ運転に移行すると、制御装置20は、上述した如き通常の冷却運転時における冷却設定温度を所定温度(例え2〜3deg)だけ上げる補正を行い、当該補正された後の冷却設定温度により、冷却運転を実行する。即ち、補正後の冷却設定温度(例えば+8℃)に応じて上限温度(例えば+9℃)及び下限温度(例えば+7℃)をそれぞれ同様に補正し、当該温度を用いて圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数を制御する。具体的には、温度センサ22により検出される貯蔵室11内の温度が補正後の上限温度以上の場合には、圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数は最高回転数として運転する。検出温度が当該上限温度よりも低く、補正後の下限温度より高い場合には、当該温度が高くなるにつれて圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数を上昇させ、当該温度が低くなるにつれて圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数を低下させる検出温度が当該下限温度以下である場合には、圧縮機26及びコンデンシングファン43の運転を停止する。この場合も、温度センサ22により検出される貯蔵室11内の温度が前記補正後の上限温度より上昇した時点で圧縮機26及びコンデンシングファン43を起動し、最高回転数として運転する。
【0047】
これにより、圧縮機26の運転率が低運転率となった状態で、冷却設定温度を上昇させる省エネ運転を実行することで、安定した省エネ運転を実行することが可能となり、庫内温度の急激な変化を抑制して、所謂オーバーシュートやアンダーシュートを小さくした適切な温度制御を実行することが可能となる。
【0048】
また、この場合において、制御装置20は、上記省エネ運転においてコンデンシングファン43の最高回転数を現在設定されている最高回転数よりも低下させて運転する。本実施例では、駆動回路55によって現在設定されている最高回転数を1step低下させて上述した如き補正後の上限温度と下限温度により回転数制御を実行する。
【0049】
これにより、省エネ運転は、コンデンシングファン43の最高回転数を低下させる制御をも行うため、消費電力量の低減を図ることができ、省エネ運転を実現することが可能となる。
【0050】
この場合、照明装置43が消灯されていること、ナイトカバー51によって開口部12が閉塞されていることにより外乱が小さくなることから、貯蔵室11内の熱負荷が小さくなり温度上昇も小さくなるため、コンデンシングファン43の最高回転数を低下させても、支障なく貯蔵室11内を冷却する能力を維持することが可能となる。従って、騒音の発生を抑制することができ、静音化を図ることが可能となる。
【0051】
その後、制御装置20は、ステップS4からステップS1に戻る。照明スイッチ24がOFFとされており、ステップS3において、圧縮機26の運転率が所定の低運転率より低くなった後、再びステップS4に移行した際には、更に、駆動回路55によって現在設定されているコンデンシングファン43の最高回転数を1step低下させて補正後の上限温度と下限温度により回転数制御を実行する。なお、当該コンデンシングファン43の最高回転数は、あらかじめ設定されている最小値に達すると、当該最小値の最高回転数としてコンデンシングファン43の回転数制御を行うものとする。
【0052】
従って、省エネ運転は、圧縮機26の運転率を監視しながらコンデンシングファン43の回転数を低下させる制御をも実行するため、圧縮機26の運転率に応じてコンデンシングファン43の回転数を低下させることが可能となり、消費電力量の低減を図ることが可能となる。
【0053】
この場合も、照明装置36、37、39が消灯されていること及び、ナイトカバー51によって開口部12が閉塞されていることにより外乱が少なくなることから、貯蔵室11内の熱負荷が小さくなり温度上昇も小さくなるため、コンデンシングファン43の回転数を低下させても、支障なく貯蔵室11内を冷却する能力を維持することが可能となる。また、騒音の発生を抑制することができ、静音化を図ることが可能となる。
【0054】
更にまた、上記省エネ運転では、圧縮機26及びコンデンシングファン43の回転数制御に加えて、補正後の冷却設定温度を用いて庫内ファン27、28の回転数を制御してもよい。温度センサ22により検出される貯蔵室11内の温度が補正後の上限温度以上の場合には、駆動回路54により、庫内ファン27、28の回転数は最高回転数として運転する。検出温度が当該上限温度よりも低く、補正後の下限温度より高い場合には、当該温度が高くなるにつれて庫内ファン27、28の回転数を上昇させ、当該温度が低くなるにつれて庫内ファン27、28の回転数を低下させる。また、検出温度が当該下限温度以下である場合には、庫内ファン27、28の運転を停止する。この場合も、温度センサ22により検出される貯蔵室11内の温度が前記補正後の上限温度より上昇した時点で庫内ファン27、28を起動し、最高回転数として運転する。
【0055】
また、制御装置20は、上記省エネ運転において庫内ファン27、28の最高回転数を現在設定されている最高回転数よりも低下させて運転する。本実施例では、駆動回路54によって現在設定されている最高回転数を1step低下させて上述した如き補正後の上限温度と下限温度により回転数制御を実行する。
【0056】
その後、制御装置20は、ステップS4からステップS1に戻る。照明スイッチ24がOFFとされており、ステップS3において、上述したように圧縮機26の運転率が所定の低運転率より低い場合には、再びステップS4に移行した際には、更に、駆動回路54によって現在設定されている庫内ファン27、28の最高回転数を1step低下させた補正後の上限温度と下限温度により回転数制御を実行する。なお、当該庫内ファン27、28の最高回転数は、あらかじめ設定されている最小値に達すると、当該最小値の最高回転数として庫内ファン27、28の回転数制御を行うものとする。
【0057】
これにより、省エネ運転を実行している際にも、圧縮機26の運転率に応じて庫内ファン27、28の回転数を低下させることが可能となり、消費電力量の低減を図ることができる。
【0058】
この場合、照明装置36、37、39が消灯されていること及び、ナイトカバー51によって開口部12が閉塞されていることにより外乱が少なくなることから、貯蔵室11内の熱負荷が小さくなり温度上昇も小さくなるため、庫内ファン27、28の回転数を低下させても、支障なく貯蔵室11内を冷却する能力を維持することが可能となる。また、騒音の発生を抑制することができ、静音化を図ることが可能となる。
【0059】
なお、上記省エネ運転を実行している際に、ステップS1において、照明スイッチ24がONとされた場合や、ステップS3の圧縮機26の運転率の判定において、所定の低運転率以上となった場合には、貯蔵室11内の温度が上昇した、即ち、ナイトカバー51が開放されたものとみなし、ステップS2に移行して通常の冷却運転を行うものとする。
【0060】
また、この場合において、制御装置20は、照明スイッチ24がOFFとされていることを条件として、ステップS3において圧縮機26の運転率が所定の低運転率以上となったものと判断された場合、通常の冷却運転ではなく、省エネ運転における上記コンデンシングファン43の最高回転数や、庫内ファン27、28の最高回転数を1step上げて、再びステップS1に戻る制御を行ってもよい。
【0061】
これにより、当該省エネ運転において、圧縮機26の運転率を監視してコンデンシングファン43や庫内ファン27、28の回転数を制御することで、貯蔵室11内の温度を安定化させつつ、貯蔵室11内の温度を所定の冷却温度に維持することが可能となる。従って、安定した省エネ運転を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】ショーケースの斜視図である。
【図2】図1のショーケースの縦断側面図である。
【図3】冷媒回路図である。
【図4】制御装置の電気ブロック図である。
【図5】制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 オープンショーケース
2 断熱壁
9 底板
10 背部内壁
11 貯蔵室
12 前面開口(開口部)
16 内層吹出口
17 外層吹出口
20 制御装置
21 タイマ
22 温度センサ
23 電源スイッチ
24 照明スイッチ
25 冷媒回路
26 圧縮機
36、37、39 照明装置
40 区画壁
41 内層ダクト
42 外層ダクト
43 コンデンシングファン
46 冷却器
47 コンデンサ
48 冷媒配管
51 ナイトカバー
53 インバータ装置
54 駆動回路
55 駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内ファンにより冷却器と熱交換した冷気を貯蔵室の開口部に吐出して冷気エアーカーテンを形成しながら前記貯蔵室内を冷却すると共に、前記開口部を覆うナイトカバーを備えたオープンショーケースにおいて、
前記貯蔵室内を照明する照明装置と、前記冷却器と所定の冷媒回路を構成する圧縮機と、制御装置を備え、
該制御装置は、前記照明装置が消灯された場合、前記圧縮機の運転率が低下していることを条件として、少なくとも前記貯蔵室内の設定温度を上昇させる制御を含む所定の省エネ運転を実行することを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
前記省エネ運転は、前記圧縮機の運転率を監視しながら前記庫内ファンの回転数を低下させる制御を含むことを特徴とする請求項1に記載のオープンショーケース。
【請求項3】
前記省エネ運転は、前記圧縮機の運転率を監視しながら前記圧縮機及び冷却器と前記冷媒回路を構成するコンデンサを空冷するためのコンデンシングファンの回転数を低下させる制御を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオープンショーケース。
【請求項4】
前記省エネ運転は、前記圧縮機及び冷却器と前記冷媒回路を構成するコンデンサを空冷するためのコンデンシングファンの最高回転数を低下させる制御を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のオープンショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−71610(P2010−71610A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242410(P2008−242410)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】