説明

カウンタウエイトおよび作業機械

【課題】後方監視カメラ側に接続したカメラケーブルの切断および接続の作業性を向上したカウンタウエイトを提供する。
【解決手段】後方監視カメラ55に接続したカメラケーブル56をカウンタウエイト本体54内へと導くパイプ57の後方監視カメラ55側と反対の端部側に、カメラケーブル56のコネクタ部56c,56dを収納可能な箱状の収納部58を接続する。収納部58にカウンタウエイト本体54の外部へと開口する開口部84を設ける。開口部84から収納部58へとアクセスすることで、収納部58に収納されたコネクタ部56c,56dを介してカメラケーブル56の切断および接続の作業性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンタウエイト本体にカメラが搭載されたカウンタウエイトおよびこれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベルなどの作業機械の機体の後部に設けられるカウンタウエイトとして、上部に後方監視用カメラなどの電装品を備えたものが知られている。この電装品に接続された配線は、カウンタウエイト内部に設けられたトンネル状の通路あるいはパイプなどに挿通されて機体側へと接続されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−161306号公報(第4−5頁、図4−5)
【特許文献2】特開2008−184789号公報(第3−5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の構成では、カウンタウエイトと機体側とは通路、あるいはパイプにより接続されているため、配線の途中に設けたコネクタ部であるハーネスコネクション部によって配線を切断あるいは接続可能な位置が、機体側、あるいはカウンタウエイト上部などとなる。このため、配線の切断あるいは接続の作業性が良好でないという問題点を有している。
【0005】
また、カウンタウエイトは、作業機械の搬送時の重量制限をクリアするために機体側から取外されることがある。その際、配線のハーネスコネクション部の切断を忘れてしまい、ハーネスコネクション部を断裂させるなどの破損不具合を引き起こすおそれもある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、カメラ側に接続した配線の切断および接続の作業性を向上したカウンタウエイトおよび作業機械を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、機体の後部に位置するカウンタウエイト本体と、このカウンタウエイト本体に搭載されたカメラと、このカメラに接続された配線をカウンタウエイト本体内へと導く配管と、この配管のカメラ側と反対の端部側に接続され、配線のコネクタ部を収納可能で、かつ、カウンタウエイト本体の外部へと開口する開口部を備えた箱状の収納部とを具備したカウンタウエイトである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のカウンタウエイトにおいて、収納部が、カウンタウエイト底部に配置されているものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のカウンタウエイトにおいて、収納部が、エンジンを覆うエンジンカバー部に設けられたカバー部開口に隣接し機体側とカウンタウエイト本体側とを連通するカウンタウエイト開口に開口部が臨むように配置されているものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のカウンタウエイトにおいて、収納部が、機体側に開口された機体側開口に臨み機体側とカウンタウエイト本体側とを連通するサポート開口に開口部が臨むように配置されているものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか記載のカウンタウエイトにおいて、カウンタウエイト本体を機体に対して着脱可能とする着脱機構と、この着脱機構を動作させるスイッチとを具備し、収納部が、スイッチの近傍に配置されているものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、下部走行体およびこの下部走行体に旋回可能に設けられた上部旋回体を有する機体と、この機体の上部旋回体の前部に設けられた作業装置と、機体の上部旋回体の後部に設けられた請求項1乃至5いずれか記載のカウンタウエイトとを具備した作業機械である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、カメラに接続した配線をカウンタウエイト本体内へと導く配管のカメラ側と反対の端部側に、配線のコネクタ部を収納可能な箱状の収納部を接続し、この収納部にカウンタウエイト本体の外部へと開口する開口部を設けることにより、この開口部から収納部へとアクセスすることで、収納部に収納されたコネクタ部を介して配線の切断および接続の作業性を向上できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、収納部をカウンタウエイト底部に配置することにより、開口部を介して、収納部に収納された配線のコネクタ部へのアクセス性を向上できる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、エンジンカバー部のカバー部開口に隣接し機体側とカウンタウエイト本体側とを連通するカウンタウエイト開口に開口部が臨むように収納部を配置することにより、カバー部開口、カウンタウエイト開口および開口部を介して、収納部に収納された配線のコネクタ部へのアクセス性を向上できる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、機体側に開口された機体側開口に臨み機体側とカウンタウエイト本体側とを連通するサポート開口に開口部が臨むように収納部を配置することにより、機体側開口、サポート開口および開口部を介して、収納部に収納された配線のコネクタ部へのアクセス性を向上できる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、カウンタウエイト本体を機体に対して着脱可能とする着脱機構を動作させるスイッチの近傍に収納部を配置することにより、収納部を、カウンタウエイト本体を機体に対して着脱させる際に作業者の目に付きやすい位置として、配線のコネクタ部を切断し忘れることを抑制できるとともに、配線の切断あるいは接続とスイッチ操作の一連の作業を効率よく行うことができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至5いずれか記載のカウンタウエイトを備えることにより、カウンタウエイトに搭載したカメラ側に接続した配線の切断および接続の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態の配線の配置を示す斜視図である。
【図2】同上要部を底部側から示す斜視図である。
【図3】同上カウンタウエイトを後方から示す斜視図である。
【図4】同上カウンタウエイトを備えた作業機械を示す説明平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のカウンタウエイトを後方から示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態の配線の配置を示す斜視図である。
【図7】同上機体の側部を示す斜視図である。
【図8】同上要部を機体側から示す斜視図である。
【図9】同上カウンタウエイトを後方から示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態の機体の側部を示す斜視図である。
【図11】同上カウンタウエイトを後方から示す斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態の機体の側部を示す斜視図である。
【図13】同上カウンタウエイトを後方から示す斜視図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態のカウンタウエイトを後方から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図4を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図4は、作業機械としての油圧ショベル10を示し、下部走行体11に対し上部旋回体12が旋回可能に設けられた機体13を有し、上部旋回体12の前部上には、キャブ14および作業装置15が搭載され、これらの後部には、エンジン、油圧ポンプおよびクーリングユニットなどの動力装置16が搭載され、さらに、上部旋回体12の後部上には、カウンタウエイト17が搭載されている。
【0022】
上部旋回体12は、旋回フレーム21上にカバー部22と複数のサイドドア23などとが取付けられて構成されている。そして、この上部旋回体12には、作動油を貯留する図示されない作動油タンクおよび燃料を貯留する図示されない燃料タンクを収容する図示されないタンク室が右側前部に形成され、作業装置15の後方に図示されないコントロールバルブを搭載する図示されないバルブ室が形成され、キャブ14の後方に、クーリングユニットを収容するクーリングユニット室が形成され、バルブ室の後方にエンジンを収容するエンジン室が形成され、かつ、タンク室の後方に油圧ポンプを収容するポンプ室が形成されている。
【0023】
旋回フレーム21は、図1に示されるように、旋回用の旋回モータ(図示せず)などを搭載した底板すなわちボトムプレート31と、このボトムプレート31に一体的に設けられた側板32,33および後板すなわちバックプレート34とを備えている。また、旋回フレーム21には、バルブ室とエンジン室との間に、側板32,33間に亘ってファイアウォール(防火壁)35が左右方向に設けられている。
【0024】
ボトムプレート31は、平面視で略四角形状に形成されており、キャブ14を搭載するキャブ搭載部41が一方(左側)の側板32の左側に形成され、タンク室の底部を形成するタンク室部42が他方(右側)の側板33の右側に形成され、バルブ室の底部となるバルブ室部43が側板32,33間の後部に形成され、また、クーリングユニット室の底部となるユニット室部44がキャブ搭載部41の後方に形成され、ポンプ室の底部となるポンプ室部45がタンク室部42の後方に形成され、エンジン室の底部となるエンジン室部46がファイアウォール35(バルブ室部43)の後方に形成されている。
【0025】
側板32,33間には、作業装置15の基端側が、図示されないブームフートピンを介して回動自在に軸支されている。
【0026】
バックプレート34は、カウンタウエイト17の前方に対向する壁状に形成されている。
【0027】
また、カバー部22は、エンジン室などの上方を覆うエンジンカバー部49などを備えている。エンジンカバー部49は、エンジン室の上部を開閉可能なエンジンフード49aと、フード部49bとを有している。
【0028】
また、図1および図3に示されるように、カウンタウエイト17は、外殻体51と、この外殻体51の前部に位置する隔壁52と、吊上げ用係合部としての機体丸吊り用係合部であるアイプレート53とを有するカウンタウエイト本体54と、このカウンタウエイト本体54に取付けられたカメラである後方監視カメラ55と、この後方監視カメラ55に接続された配線であるカメラケーブル56を導く配管であるパイプ57と、このパイプ57に連通する収納部58とを備えている。そして、外殻体51と隔壁52との間には、図示されない充填材が充填されることにより、カウンタウエイト17が所定の重量に設定されている。
【0029】
外殻体51は、平面視で略円弧形状で、かつ、側面視で上方へと前後方向に狭まる形状に形成されている。
【0030】
隔壁52は、カウンタウエイト17を機体13の上部旋回体12(図4)に対して取付けた状態で、機体13側のバックプレート34の後部に対向する垂直面状の隔壁本体61と、この隔壁本体61の下部から後方へと突設された水平面状の底板部62と、隔壁本体61の上部から後方へと水平面状に突設された天板部63とを備えている。
【0031】
隔壁本体61の後面には、左右幅方向に沿って補強用の複数のリブ65がそれぞれ設けられている。また、隔壁本体61の後部には、カウンタウエイト17を機体13の上部旋回体12に取付けるための筒状の取付部66が、後方へと突出して複数設けられている。
【0032】
取付部66は、隔壁本体61の上下方向の中心位置よりも下側寄りの位置に、左右に例えば4つ、隔壁本体61の下端近傍の位置に、左右に例えば2つ、それぞれ設けられている。また、各取付部66は、隔壁本体61に設けられた図示しない各取付孔にそれぞれ連通しており、これら取付部66には、図示されないボルトなどがスペーサを介して挿入され、これらボルトが上部旋回体12のボトムプレート31に締付け固定されることで、カウンタウエイト17が機体13と一体的に固定される。
【0033】
底板部62は、上部旋回体12のボトムプレート31と略面一となって機体13の後部下側を構成する部分であり、カウンタウエイト17の底部全体を覆っている。
【0034】
天板部63には、左右幅方向の略中心域の後部の外殻体51の上部との境界部に、後方監視カメラ55を取付けるためのカメラ取付部68が配置されている。また、この天板部63の右側部には、パイプ57に連通しカメラケーブル56を挿通するための丸孔状の挿通孔69が開口形成されている。
【0035】
カメラ取付部68は、後方監視カメラ55を機体13の後方に向けて図示されないボルトなどにより固定可能となっている。
【0036】
各アイプレート53は、垂直上下方向に沿ってリブ状に形成されており、隔壁本体61および天板部63に一体的に溶接されている。これらアイプレート53は、隔壁本体61の左右幅方向に対外に離間されて配置されており、上端部が天板部63から突出し、この天板部63から突出した上端部に、吊下げ用の孔部71が設けられている。
【0037】
また、後方監視カメラ55は、油圧ショベル10の運転時に後方、すなわちキャブ14内に座したオペレータの視界と反対側の領域を監視するためのものであり、撮像した映像が各種回路によって処理された状態でキャブ14内に表示装置であるモニタに表示されるように構成されている。
【0038】
カメラケーブル56は、後方監視カメラ55により撮像された映像の信号をキャブ14側へと伝達するためのものであり、このカメラケーブル56は、後方監視カメラ55に接続されるカメラ側配線であるカメラ側ケーブル56aと、機体13側(上部旋回体12側)に接続される機体側配線である機体側ケーブル56bとを備え、これらケーブル56a,56bの端部が、コネクタ部56c,56dを介して互いに電気的および物理的に接続されている。
【0039】
カメラ側ケーブル56aは、例えば3m程度の長さを有しており、一端部が後方監視カメラ55の背面側である前部に電気的および物理的に接続され、他端側が後方監視カメラ55から天板部63の上面に沿って右側へと、アイプレート53の前側を経由して挿通孔69へと導かれ、さらにカウンタウエイト本体54内のパイプ57を経由して収納部58へと導かれている。また、このカメラ側ケーブル56aは、天板部63の上面に対して、図示されない固定部材により複数箇所で固定されている。さらに、このカメラ側ケーブル56aは、収納部58内で右側へと屈曲されている。
【0040】
機体側ケーブル56bは、例えば7.5m程度の長さ、すなわちカメラ側ケーブル56aよりも長い長さを有しており、一端部がキャブ14内のモニタなどの表示装置に電気的に接続され、他端側が、旋回フレーム21の一方(左側)の側板32に沿って後方へと導かれ、ファイアウォール35の前側に沿って他方(右側)の側板33へと左右方向に導かれ、この他方の側板33の外側からボトムプレート31のポンプ室部45の状面に沿ってさらに後方へと導かれ、旋回フレーム21のバックプレート34の後部右側に取付けられた保護部材である環状のグロメット73および隔壁本体61に取付けられた保護部材である環状のグロメット74にそれぞれ挿通されて収納部58へと導かれている。また、この機体側ケーブル56bは、旋回フレーム21に対して、図示されない固定部材により複数箇所で固定されている。さらに、この機体側ケーブル56bは、収納部58内で前後方向から左側へと屈曲され、コネクタ部56dの近傍が取付ブラケット75を介してボルト76により旋回フレーム21のボトムプレート31に固定されている。
【0041】
コネクタ部56c,56dは、それぞれ収納部58の内部に収納されている。また、後方監視カメラ55側のコネクタ部56cは、取付ブラケット78を介してボルト79により収納部58側に固定されている。この結果、コネクタ部56c,56dは、前後方向に互いに切断あるいは接続されるように固定されている。また、これらコネクタ部56c,56dを互いに切断した状態では、カメラ側ケーブル56aはカウンタウエイト17にのみ固定され、機体側ケーブル56bは旋回フレーム21(機体13)にのみ固定されている。さらに、コネクタ部56cは、収納部58から外方へと突出しない位置に配置されている。
【0042】
また、パイプ57は、内部に導かれたカメラケーブル56のカメラ側ケーブル56aを保護するもので、金属などによって垂直上下方向に沿って直線状に形成されており、後方監視カメラ側の端部である上端部が天板部63の挿通孔69の下部に溶接され、後方監視カメラ55側と反対の端部である下端部が収納部58に溶接され、かつ、上下方向の中間位置が隔壁本体61の上側のリブ65に対してブラケット81を介して溶接されて固定されている。
【0043】
また、収納部58は、上側を覆いパイプ57の下端部が溶接される収納天板58aと、両側を覆う両収納側板58b,58cと、後部を覆う収納後板58dとを一体に有し、収納天板58aおよび両収納側板58b,58cのそれぞれの前側が隔壁本体61に溶接され、かつ、各板58a〜58dのそれぞれの下側が外殻体51の底板部62上に溶接されて、前後左右および上部がそれぞれ覆われた空間部を内部に区画する箱状すなわちボックス構造を有している。また、この収納部58の下側は、図2に示されるように、底板部62に形成されたカウンタウエイト底部開口となる四角形状の開口部84を介して開口されている。
【0044】
この開口部84には、閉塞板87が図示されないボルトを介して着脱可能に取付けられている。そして、この開口部84には、収納部58に収納されたカメラケーブル56のコネクタ部56c,56dが臨んでおり、閉塞板87を取外すことによって、作業者が機体13の下方からコネクタ部56c,56dにアクセスしてコネクタ部56c,56dの切断あるいは接続の作業ができるように構成されている。
【0045】
次に、上記第1の実施の形態の作用効果を説明する。
【0046】
後方監視カメラ55を取付け、カメラ側ケーブル56aを配線したカウンタウエイト17を機体13の上部旋回体12に対して取付ける際には、各取付部66にボルトおよびスペーサを挿入して締付け固定する。
【0047】
この後、開口部84に臨むコネクタ部56c,56dに対して機体13の下方からアクセスし、これらコネクタ部56c,56dを収納部58内で互いに接続することで、後方監視カメラ55がカメラケーブル56を介してキャブ14側に接続される。
【0048】
コネクタ部56c,56dの接続後は、開口部84に閉塞板87を取付け、この開口部84を閉塞する。
【0049】
また、例えば油圧ショベル10を運搬する際に重量制限がある場合など、カウンタウエイト17を機体13の上部旋回体12から取外す際には、まず、開口部84を覆う閉塞板87を取外した後、この開口部84の下方から収納部58にアクセスして、コネクタ部56c,56dを互いに取外してカメラケーブル56を切断する。
【0050】
この状態で、各取付部66に挿入されたボルトを緩めてカウンタウエイト17と上部旋回体12との固定を解除し、カウンタウエイト17を上部旋回体12から取外す。
【0051】
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、後方監視カメラ55に接続したカメラケーブル56をカウンタウエイト本体54内へと導くパイプ57の後方監視カメラ55側と反対の端部側に、カメラケーブル56のコネクタ部56c,56dを収納可能な箱状の収納部58を接続し、この収納部58にカウンタウエイト本体54の外部へと開口する開口部84を設けることにより、この開口部84から収納部58へとアクセスすることで、収納部58に収納されたコネクタ部56c,56dを介してカメラケーブル56の切断および接続の作業性を向上できる。
【0052】
また、収納部58を、開口部84を底部側に向けるようにカウンタウエイト17の底部に配置することにより、開口部84を介して、収納部58に収納されたカメラケーブル56のコネクタ部56c,56dへのアクセス性を向上できる。
【0053】
しかも、カウンタウエイト17(カウンタウエイト本体54)を機体13の上部旋回体12に対して着脱する際には、カウンタウエイト17の上側で作業が行われるので、開口部84を介して機体13の下部(地面側)からコネクタ部56c,56d(収納部58)へとアクセス可能とすることで、カウンタウエイト17の着脱作業の邪魔になりにくく、コネクタ部56c,56dへとアクセスがしやすくなる。
【0054】
さらに、コネクタ部56cは、収納部58(開口部84)から外方に突出しないので、カウンタウエイト17(カウンタウエイト本体54)を上部旋回体12に取付ける際にコネクタ部56cをボトムプレート31との間などに噛み込むことを防止できる。
【0055】
そして、油圧ショベル10が上記カウンタウエイト17を備えることで、カウンタウエイト17に搭載した後方監視カメラ55側に接続したカメラケーブル56の切断および接続の作業性を向上できる。
【0056】
次に、図5に基づき、第2の実施の形態を説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、カウンタウエイト本体54を機体13の上部旋回体12に対して着脱可能とするための図示されない着脱機構が、カウンタウエイト本体54に取付けられている、いわゆるリムーバル式のものである。
【0058】
カウンタウエイト本体54の隔壁本体61には、左右幅方向の略中心域と、各アイプレート53,53に対応する位置とに、着脱機構を収容するための収容凹部93,94,95が上下方向に沿ってそれぞれ形成されている。
【0059】
着脱機構は、例えば図示されない油圧シリンダなどのアクチュエータを用いてカウンタウエイト本体54を機体13(上部旋回体12)に対して上下方向へと移動させるものであり、図示されないスイッチを介して操作可能である。
【0060】
そして、カメラケーブル56をカウンタウエイト本体54内へと導くパイプ57の後方監視カメラ55側と反対の端部側に、コネクタ部56c,56dを収納可能な箱状の収納部58を接続し、この収納部58にカウンタウエイト本体54の外部へと開口する開口部84を設けるなど、上記第1の実施の形態と同様の構成を有することにより、着脱機構を備えたリムーバル式のカウンタウエイト17でも上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
次に、図6乃至図9に基づき、第3の実施の形態を説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図7乃至図9に示されるように、隔壁52の隔壁本体61の後部に、収納部98が設けられ、この収納部98に対して、エンジンカバー部49のフード部49bに形成されたカバー部開口101からアクセス可能となっているものである。
【0063】
図7に示されるように、カバー部開口101は、左右方向に長手状であり、油圧ポンプ102を収容したポンプ室103の上方に位置して図示されないマフラなどを覆うフード部49bの側板部104の後部寄り、すなわちカウンタウエイト17寄りの位置に形成されている。また、このカバー部開口101には、閉塞板105が図示されないボルトを介して着脱可能に取付けられている。
【0064】
ポンプ室103は、機体側開口としての側部開口であるポンプ室開口103aがサイドドア23によって開閉可能となっている。また、このポンプ室103とエンジン室との間には、ファイアウォール(防火壁)107が形成されている。また、ポンプ室103の下側の側部には、エンジンなどの各部のメンテナンス用の足場となる板部材であるキャットウォーク108が旋回フレーム21から突設されている。
【0065】
また、収納部98は、図9に示されるように、上側を覆いパイプ57の下端部が溶接される収納天板98aと、両側を覆う両収納側板98b,98cと、下部を覆う収納下板98dと、後部を覆う収納後板98eとを一体に有し、収納天板98a、収納下板98dおよび両収納側板98b,98cのそれぞれの前側が隔壁本体61の後部に溶接されて、上下左右がそれぞれ覆われコネクタ部56c,56dを収納する空間部を内部に区画する箱状すなわちボックス構造を有している。また、この収納部98の前側は、各板98a〜98dにより区画された開口部111となっており、この開口部111は、図7および図8に示されるように、隔壁本体61に形成された四角形状のカウンタウエイト開口112に臨み(連通し)、このカウンタウエイト開口112がカバー部開口101に臨んでいる(連通している)。すなわち、収納部98は、右側の上寄りの位置に配置されている。
【0066】
カウンタウエイト開口112は、機体13側であるポンプ室103とカウンタウエイト本体54側とを連通している。したがって、このカウンタウエイト開口112およびカバー部開口101を介して、開口部111が機体13の外部と連通している。
【0067】
また、カメラケーブル56は、図6に示されるように、カメラ側ケーブル56aが、例えば3m程度の長さを有し、一端部が後方監視カメラ55の前部に電気的および物理的に接続され、他端側が後方監視カメラ55から天板部63の上面に沿って右側へと、挿通孔69へと導かれ、さらにカウンタウエイト本体54内のパイプ57を経由して収納部98へと導かれている。このカメラ側ケーブル56aは、天板部63の上面に対して、図示されない固定部材により複数箇所で固定されている。さらに、このカメラ側ケーブル56aは、収納部98内で前方へと屈曲されている。したがって、コネクタ部56cは前後方向に沿って位置している。
【0068】
また、機体側ケーブル56bは、例えば11m程度の長さを有しており、一端部がキャブ14内のモニタなどの表示装置に電気的に接続され、他端側が、旋回フレーム21の一方(左側)の側板32の前側から他方(右側)の側板33へと左右方向に導かれ、この他方の側板33の外側に沿って後方へと導かれ、さらに旋回フレーム21のポンプ室部45に沿ってファイアウォール107の右側面から、油圧ポンプ102(図7)の下側を経由して後方へと上方に傾斜状に導かれ、ポンプ室103の上部にて旋回フレーム21の後部にフレーム部材であるピラー115を介して固定された水平面状のブラケット116の上面へと導かれ、このブラケット116の上面に沿って左右方向に導かれて、カウンタウエイト開口112および開口部111から収納部58へと導かれている。
【0069】
また、この機体側ケーブル56bは、旋回フレーム21に対して、固定部材118を介してボルト119により複数箇所で固定されている(一部のみ図示(図8))。さらに、この機体側ケーブル56bは、収納部58内へと前後方向に沿って挿入され、コネクタ部56dが前後方向に沿って位置している。したがって、コネクタ部56c,56dは、前後方向に互いに切断あるいは接続されるように固定されている。また、これらコネクタ部56c,56dを互いに切断した状態では、カメラ側ケーブル56aはカウンタウエイト17にのみ固定され、機体側ケーブル56bは旋回フレーム21(機体13)にのみ固定される。
【0070】
また、図8に示されるように、コネクタ部56cは、取付ブラケット121を介してボルト122により収納部58側に固定され、収納部98から外方へと突出しない位置となっている。
【0071】
そして、作業者は、キャットウォーク108に載った状態で、カバー部開口101の閉塞板105を取外し、このカバー部開口101から、開口部111およびカウンタウエイト開口112に臨むコネクタ部56c,56dに対してアクセスし、これらコネクタ部56c,56dの切断あるいは接続の作業を行う。
【0072】
このように、カメラケーブル56をカウンタウエイト本体54内へと導くパイプ57の後方監視カメラ55側と反対の端部側に、コネクタ部56c,56dを収納可能な箱状の収納部98を接続し、この収納部98にカウンタウエイト本体54の外部へと開口する開口部111を設けるなど、上記第1の実施の形態と同様の構成を有することにより、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0073】
また、エンジンを覆うエンジンカバー部49のカバー部開口101に隣接し機体13側とカウンタウエイト本体54側とを連通するカウンタウエイト開口112に開口部111が臨むように収納部98を配置することにより、カバー部開口101、カウンタウエイト開口112および開口部111を介して、収納部98に収納されたカメラケーブル56のコネクタ部56c,56dへのアクセス性を向上できる。
【0074】
しかも、ポンプ室103の上方にカバー部開口101を配置することにより、ポンプ室103などのメンテナンス用のキャットウォーク108上から作業者がコネクタ部56c,56d(収納部98)へとアクセスしやすくなり、作業性をより向上できるとともに、カバー部開口101が機体13の上側寄りに位置するので、作業者の視界を広く確保できる。
【0075】
次に、図10および図11に基づき、第4の実施の形態を説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0076】
この第4の実施の形態は、上記第3の実施の形態において、カウンタウエイト本体54に、上記第2の実施の形態と同様の着脱機構が取付けられているリムーバル式のものである。
【0077】
着脱機構には、この着脱機構を動作させるスイッチ125が、ポンプ室103のピラー115に隣接して隔壁本体61の前側に取り付けられている。すなわち、スイッチ125と収納部98とは互いに近傍に配置されている。
【0078】
カウンタウエイト本体54は、左右幅方向の略中心域に、着脱機構を収容するための収容凹部126が上下方向に沿って形成されている。
【0079】
また、カメラ取付部68は、カウンタウエイト本体54の上部に、左右幅方向の中心域よりも右側に偏って配置されている。
【0080】
そして、エンジンを覆うエンジンカバー部49のカバー部開口101に隣接し機体13側とカウンタウエイト本体54側とを連通するカウンタウエイト開口112に開口部111が臨むように収納部98を接続するなど、上記第3の実施の形態と同様の構成を有することにより、着脱機構を備えたリムーバル式のカウンタウエイト17でも上記第3の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0081】
また、収納部98を着脱機構のスイッチ125の近傍に配置することにより、油圧ショベル10の輸送などのためにカウンタウエイト17を機体13(上部旋回体12)から取外す場合に、コネクタ部56c,56dの切断を忘れて断裂させるなどの破損不具合を引き起こしにくくなるとともに、カメラケーブル56の切断または接続とスイッチ125の操作の一連の作業を効率よく行うことができる。
【0082】
次に、図12および図13に基づき、第5の実施の形態を説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0083】
この第5の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様のカウンタウエイト本体54に対して、上記第3の実施の形態および第4の実施の形態と同様の収納部98が取付けられているものである。
【0084】
収納部98は、旋回フレーム21のバックプレート34の上側右寄りの位置に開口されたサポート開口127に開口部111が臨むように配置されている。
【0085】
サポート開口127は、カウンタウエイト本体54側とポンプ室103側とを連通して設けられている。
【0086】
ポンプ室103は、ファイアウォール107により左側が区画されており、前後が隔壁部131とバックプレート34とにより区画されている。また、このポンプ室103のポンプ室開口103aは、バックプレート34の右側部に取付けられたヒンジ132,132を介して回動可能に取り付けられたサイドドア23により開閉可能となっている。
【0087】
また、隔壁部131には、油圧ポンプ102の上方の位置に、バックプレート34側である後方へと略水平面状に上部区画部である載置板部133が溶接され、この載置板部133上に、エンジンへの吸気をクリーニングするエアクリーナ134が取付けられている。さらに、載置板部133の後端側の上部には、バックプレート34との間に、後部隔壁部135が溶接され、この後部隔壁部135の右側部に、サポート開口127を避ける切欠部136が形成されている。ファイアウォール107、隔壁部131、後部隔壁部135および載置板部133により、ポンプ室103の上部に、エアクリーナ134を収容するクリーナ室137が区画されている。このクリーナ室137は、サイドドア23を開くことにより、側部がポンプ室開口103aから側方へと露出するように構成されている。したがって、開口部111は、ポンプ室開口103aおよびサポート開口127を介して機体13の外部と連通している。
【0088】
そして、作業者は、キャットウォーク108に載った状態で、サイドドア23を開き、ポンプ室開口103aから、サポート開口127および開口部111に臨むコネクタ部56c,56dに対してアクセスし、これらコネクタ部56c,56dの切断あるいは接続の作業を行う。
【0089】
このように、カメラケーブル56をカウンタウエイト本体54内へと導くパイプ57の後方監視カメラ55側と反対の端部側に、コネクタ部56c,56dを収納可能な箱状の収納部98を接続し、この収納部98にカウンタウエイト本体54の外部へと開口する開口部111を設けるなど、上記第1の実施の形態と同様の構成を有することにより、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
また、機体13側に開口されたポンプ室開口103aに臨み機体13側とカウンタウエイト本体54側とを連通するサポート開口127に開口部111が臨むように収納部98を接続することにより、ポンプ室開口103a、サポート開口127および開口部111を介して、収納部98に収納されたカメラケーブル56のコネクタ部56c,56dへのアクセス性を向上できる。
【0091】
次に、図14に基づき、第6の実施の形態を説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0092】
この第6の実施の形態は、上記第5の実施の形態において、カウンタウエイト本体54に、上記第2の実施の形態と同様の着脱機構が取付けられているリムーバル式のものである。
【0093】
すなわち、カウンタウエイト本体54は、左右幅方向の略中心域に、着脱機構を収容するための収容凹部139が上下方向に沿って形成されている。
【0094】
また、カメラ取付部68は、カウンタウエイト本体54の上部に、左右幅方向の中心域よりも右側に偏って配置されている。
【0095】
そして、エンジンを覆うエンジンカバー部49のカバー部開口101に隣接し機体13側とカウンタウエイト本体54側とを連通するカウンタウエイト開口112に開口部111が臨むように収納部98を接続するなど、上記第4の実施の形態と同様の構成を有することにより、脱機構を備えたリムーバル式のカウンタウエイト17でも上記第5の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0096】
なお、上記各実施の形態において、カウンタウエイト17は、作業装置を上部旋回体に有する任意の旋回式作業機械に適用できる。
【符号の説明】
【0097】
10 作業機械としての油圧ショベル
11 下部走行体
12 上部旋回体
13 機体
15 作業装置
17 カウンタウエイト
31 ボトムプレート
49 エンジンカバー部
54 カウンタウエイト本体
55 カメラである後方監視カメラ
56 配線であるカメラケーブル
56c,56d コネクタ部
57 配管であるパイプ
58,98 収納部
84,111 開口部
101 カバー部開口
103a 機体側開口であるポンプ室開口
112 カウンタウエイト開口
125 スイッチ
127 サポート開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部に位置するカウンタウエイト本体と、
このカウンタウエイト本体に搭載されたカメラと、
このカメラに接続された配線をカウンタウエイト本体内へと導く配管と、
この配管のカメラ側と反対の端部側に接続され、配線のコネクタ部を収納可能で、かつ、カウンタウエイト本体の外部へと開口する開口部を備えた箱状の収納部と
を具備したことを特徴とするカウンタウエイト。
【請求項2】
収納部は、カウンタウエイト底部に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のカウンタウエイト。
【請求項3】
収納部は、エンジンを覆うエンジンカバー部に設けられたカバー部開口に隣接し機体側とカウンタウエイト本体側とを連通するカウンタウエイト開口に開口部が臨むように配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のカウンタウエイト。
【請求項4】
収納部は、機体側に開口された機体側開口に臨み機体側とカウンタウエイト本体側とを連通するサポート開口に開口部が臨むように配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のカウンタウエイト。
【請求項5】
カウンタウエイト本体を機体に対して着脱可能とする着脱機構と、
この着脱機構を動作させるスイッチとを具備し、
収納部は、スイッチの近傍に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のカウンタウエイト。
【請求項6】
下部走行体およびこの下部走行体に旋回可能に設けられた上部旋回体を有する機体と、
この機体の上部旋回体の前部に設けられた作業装置と、
機体の上部旋回体の後部に設けられた請求項1乃至5いずれか記載のカウンタウエイトと
を具備したことを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−189869(P2010−189869A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33013(P2009−33013)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】