説明

カスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法

【課題】本発明は、ユーザーの好む熟成度を記憶できて、記憶された熟成度を選択することによって、一定の熟成度の物品を常に得ることができるカスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明によるカスタマイズ熟成が可能な熟成装置は、物品の熟成度を感知する感知センサーと、前記物品が使用者の好む熟成状態に到達した場合には、これを記憶するように選択可能な記憶キーを有する入力部と、前記加熱部及び前記冷却部の少なくとも一方の作動を制御して、前記記憶キーが選択される場合には、前記感知センサーからの熟成度の値をカスタマイズ熟成度の値として保存する制御部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイン、味噌、醤油、キムチ、お酢、チーズなどはその製造過程で特定の時間、温度及び湿度などの条件下で熟成させて、各々特殊な香りと味を持つようにした後、使用することが一般的である。
【0003】
熟成方法は、熟成を要する物品によって各々異なる。キムチの場合、従来は、キムチを漬けた後にキムチ壷のような貯蔵容器に入れて、土の中に埋めたり、室温に一定時間放置する方法が一般的であった。しかし、最近では図1Aに示すようなキムチ冷蔵庫を使用する傾向にある。
【0004】
キムチ冷蔵庫100とは、キムチを熟成した後、冷蔵保管できるように熟成モード及び冷蔵保管モードの運転が可能な装置である。このようなキムチ冷蔵庫100は、内部にキムチの貯蔵のための収容空間が形成された一つ以上の貯蔵室と、前記貯蔵室を熟成モードに運転する加熱部及び熟成完了後に冷蔵保管モードに運転する冷却部が形成された本体130と、本体130の上部開口を開閉して本体130内部を密閉するドア120とを含んで構成される。
【0005】
一方、図1Bに示すように、キムチ冷蔵庫100の前面には、キムチ冷蔵庫の作動のための電源キー177、熟成モード運転のための熟成キー171、熟成完了後に手動で冷蔵保管モードに移行するための冷蔵保管キー173、熟成モード運転時の熟成進行程度を表示する表示部180が形成された入力/表示部パネル110が形成される。
【0006】
また、機種によっては、図1Cに示すように、キムチの種類と熟成度を選択することができる自動熟成キー178が設けられて、使用者が該自動熟成キー178を選択する場合、自動的に選択された段階まで熟成を進行した後、冷蔵保管モードに移行する自動熟成機能を備える機種もある。
【0007】
しかし、前記の手動で熟成した場合、使用者は、熟成が進行する過程でキムチの熟成度を確認するために、繰り返し味とにおいを確認しなければならず不便であった。
【0008】
また、自動熟成機能を有するキムチ冷蔵庫の場合には、選択できる醗酵物品の種類及び熟成度が製造時に一律に設定されて出荷されるため、その選択の自由度が制限される。従って、提供された熟成度が使用者の好みに合わない場合には、前述した手動熟成の不便さがそのまま再現される問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ユーザーの望む熟成度を記憶できて、記憶された熟成度を選択することによって、ユーザーの望む熟成度を持つ物品を常に得ることができるカスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的は、本発明により、物品の貯蔵のための収容空間が形成された貯蔵室と、前記貯蔵室内の物品を熟成させる加熱部及び冷却部の少なくとも一方を有する熟成装置において、前記物品の熟成度を感知する感知センサーと、前記物品が使用者の望む熟成状態になる場合、該熟成状態を記憶するための記憶キーを有する入力部と、前記加熱部及び前記冷却部の少なくとも一方の作動を制御して、前記記憶キーが選択される場合において、前記感知センサーから得た熟成度の値をカスタマイズ熟成度の値として保存する制御部を含む熟成装置により達成される。
【0011】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合、前記感知センサーが前記物品の熟成度を感知することができる。
【0012】
前記入力部には、前記制御部により、前記カスタマイズ熟成度の値が保存されたことを表示する記憶表示部をさらに含むことができる。
【0013】
前記制御部は複数のカスタマイズ熟成度の値を記憶できる。
【0014】
前記入力部には、前記カスタマイズ熟成度の値に対応する前記記憶キー及び前記記憶表示部を各々形成できる。
【0015】
前記入力部には、一つの前記記憶キーと、前記カスタマイズ熟成度の値に対応する複数の記憶表示部とが形成できる。
【0016】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合、前記冷却部を制御することにより、前記物品の熟成を中断して冷蔵保管モードに移行させることができる。
【0017】
前記感知センサーは、ガスセンサー及びpHセンサーのいずれか一つにすることができる。
【0018】
前記制御部は、保存された前記カスタマイズ熟成度の値に対応する前記記憶キーが選択されることによって、カスタマイズ熟成が遂行される場合において、前記感知センサーが前記物品の熟成度を感知して、前記感知センサーからの熟成度の値が選択された前記カスタマイズ熟成度の値に到達するまで、前記物品の熟成が進行するように前記加熱部及び前記冷却部の少なくとも一方を制御することができる。
【0019】
また、前記制御部は、前記感知センサーからの熟成度の値が選択された前記カスタマイズ熟成度の値になる場合において、前記冷却部を制御することにより、前記物品の熟成を中断して冷蔵保管モードに自動的に移行させることができる。
【0020】
ここで、前記感知センサーからの熟成度の値が、選択された前記カスタマイズ熟成度の値に到達する場合には、前記制御部を通じて、前記物品の熟成が完了したことを知らせる警報部をさらに含むことができる。
【0021】
一方、前記本発明の目的は、物品の貯蔵のための収容空間が形成された貯蔵室と、前記貯蔵室内の物品を熟成させる加熱部及び冷却部の少なくとも一方とを有する熟成装置において、前記物品の熟成度を感知する感知センサーと、前記物品が使用者の望む熟成状態になる場合に、前記熟成状態を記憶するために選択可能な、少なくとも一つの記憶キーを有する入力部と、熟成度の値を保存するメモリー部と、前記記憶キーが選択される場合に、前記メモリー部に前記感知センサーから得た熟成度の値をカスタマイズ熟成度の値として記憶する制御部とを含む熟成装置によっても達成される。
【0022】
前記メモリー部には、前記制御部を介して、複数個のカスタマイズ熟成度の値を保存することができる。
【0023】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合において、前記冷却部を制御することにより、前記物品の熟成を中断して冷蔵保管モードに移行させることができる。
【0024】
前記制御部は、保存された前記カスタマイズ熟成度の値に対応する前記記憶キーを選択することによりカスタマイズ熟成を遂行する場合において、前記感知センサーが前記物品の熟成度を感知して、前記感知センサーからの熟成度の値が選択された前記カスタマイズ熟成度の値になるまで、前記物品の熟成を進行するように前記加熱部及び前記冷却部の少なくとも一方を制御することができる。
【0025】
前記メモリー部は、熟成を要する複数の物品の熟成状態によるガス濃度値及びpH値の少なくとも一方を熟成度の値として予め保存する。
【0026】
前記制御部は、前記物品の熟成状態を表示する表示部をさらに含んで、前記感知センサーからの熟成度の値と前記メモリー部に保存された熟成度の値とを比較して、前記物品の熟成度を評価し、その結果を前記表示部に表示することができる。
【0027】
一方、前記本発明の目的は、物品の熟成度を使用者が設定できるカスタマイズ熟成方法において、熟成を要する物品を前記貯蔵室に貯蔵する段階、前記貯蔵室内の前記物品を熟成する段階、前記物品の熟成度を前記感知センサーを介して感知する段階、前記物品の熟成度が使用者の望む熟成状態になった場合に、前記熟成度を記憶する記憶キーを選択する段階、前記記憶キーを選択した時に前記物品の熟成度を感知した結果をカスタマイズ熟成度の値として保存する段階を含むカスタマイズ熟成方法によっても達成される。
【0028】
本発明においては、前記記憶キーを選択した場合には、前記物品の熟成を完了して冷蔵保管モードに自動的に移行する段階をさらに含むことができる。
【0029】
また、熟成を要する物品を前記貯蔵室に再び貯蔵する段階、使用者が前記貯蔵されたカスタマイズ熟成度の値を選択する段階、前記貯蔵室内の前記物品を熟成する段階、前記物品の熟成度を前記感知センサーを介して感知する段階、感知した結果、前記物品の熟成度の値がカスタマイズ熟成度の値に到達する場合には、前記熟成を完了する段階を含むことができる。
【0030】
さらに、前記熟成が完了した場合には、物品冷蔵保管モードに自動的に移行される段階をさらに含むことができる。
【0031】
ここで、前記物品の熟成度の値がカスタマイズ熟成度の値になる場合、前記物品の熟成が完了したことを知らせる段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明により、カスタマイズ熟成が可能な熟成装置及びこれを利用したカスタマイズ熟成方法により、ユーザーの望む熟成度を記憶し、記憶された熟成度を選択することによって、一定の熟成度の物品を繰り返して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して、本発明に対して詳細に説明する。
【0034】
まず、同一構造を有し、同一機能を遂行する同一構成要素については、同一参照符号を付けて、第1実施例において説明することにする。他の実施例では、新たに追加された構成要素について詳細に説明する。
【0035】
また、各実施例を具体的に説明するため、キムチ冷蔵庫を例として説明するが、本発明はこれに限定されず、熟成を要するすべての物品に対する熟成装置または貯蔵装置に対しも適用できることに留意すべきである。
【0036】
図3に示す本発明の第1実施例において、熟成装置10は、貯蔵室50、貯蔵室50のための加熱冷却部60、入力部70、感知センサー20、制御部30を含む。一方、熟成装置10には、表示部80、警報部90をさらに含めることができる。
【0037】
貯蔵室50は、本体15の内部に物品を貯蔵できるように収容空間を形成する。ここで、本体15内部に一つの貯蔵室50を形成するだけでなく、必要に応じて多数の貯蔵室50を形成することもできる。貯蔵室50が多数形成される場合においては、各貯蔵室50は断熱材で区切られており、貯蔵室50全体が熟成又は冷蔵保管機能を実行することも、各貯蔵室50が独立的に熟成又は冷蔵保管機能を実行することもできる。
【0038】
加熱冷却部60は、加熱部61及び冷却部65の少なくとも一方を備えるものであって、前記貯蔵室50内の物品を熟成させる。例えば、加熱冷却部60は、室温が熟成温度より低い場合には加熱部61のみで形成され、室温が熟成温度より高い場合には冷却部65のみで形成される。また、加熱冷却部60に熟成及び冷蔵保管のために加熱部61及び冷却部65を設けることができることは言うまでもない。
【0039】
ここで、加熱部61は、特に制約はないが電気抵抗発熱体で形成できる。冷却部65は、圧縮機を含んだ冷凍サイクルで構成できる。この場合、各貯蔵室50の4面を冷媒管とヒーターが囲む形態で構成できる。
【0040】
図4Aから図4Cは、本発明の具体的な実施例であり、手動熟成運転方式のキムチ冷蔵庫における入力部70及び表示部80の様々な実施例を示した図である。図4Dは、自動熟成運転方式のキムチ冷蔵庫における入力部70及び表示部80の一実施例を示した図である。
【0041】
まず、図4Aによると、入力部70の一端は、熟成モード運転を選択するための熟成キー71と、熟成を完了した後冷蔵保管モード運転に移行するための冷蔵保管キー73と、使用者の要望にあわせた熟成度を記憶するための記憶キー75を備える。
【0042】
熟成キー71は、キムチのように熟成を要する物品が熟成装置10内に貯蔵された後、熟成を進行させるために選択される。熟成キー71を選択すると、後述する制御部30により加熱冷却部60が作動して、貯蔵室50に熟成温度を提供する。
【0043】
記憶キー75は、物品が使用者の要望に合った熟成状態になった場合、これを記憶するために選択される。記憶キー75を選択すると、後述する制御部30は、記憶キー75の選択時点における後述する感知センサー20により感知された物品の熟成度を保存する。ここで、記憶キー75は、使用者の要望にあったカスタマイズ熟成度の値の数に応じて、適正な数で形成させることもできる。図4Aは、一つのカスタマイズ熟成度を保存可能な場合、図4Bは三つのカスタマイズ熟成度を保存可能な場合を示す。当然ながら、入力部70は、必要に応じた数の記憶キー75を備えることができる。
【0044】
また、既に使用者が、第1記憶キー75aを選択して、カスタマイズ熟成度が保存されている場合にも、後に再び第1記憶キー75aを選択することによって他の熟成状態を再記憶させることができる。
【0045】
一方、記憶キー75の数が、保存可能なカスタマイズ熟成度の数と一致しないような構成とすることもできる。例えば、図4Cに示すように、カスタマイズ熟成度の選択が可能な選択キー76aと、選択されたカスタマイズ熟成度も決定する選択貯蔵キー76bとを利用すると、三つのカスタマイズ熟成度を保存可能であり、それ以上の保存も可能である。
【0046】
一方、記憶キー75は、図4Dに示されたように、自動熟成方式の熟成装置10にも設けることができる。例えば、使用者が、十分に熟成した味に相当する自動熟成キー78aを選択して、熟成期間中の特定された熟成状態を記憶させようとする場合、使用者は記憶キー75を選択して、その熟成状態をカスタマイズ熟成度として保存することもできる。ここで、記憶キー75の個数を必要に応じて複数設けることが可能であり、図4B及び図4Cにおいて説明したような個数及び配置を有することもできる。
【0047】
ここで、記憶キー75を通じて、カスタマイズ熟成度を記憶する場合、後述する制御部30は、記憶されたカスタマイズ熟成度を表示する記憶表示部79を備える。記憶表示部79は、配置上制約はないが、図4Aに示す通り、前記記憶キー75の上段に設けられて、記憶キー75が選択される場合に発光する発光ダイオードLEDにより形成される。一方、図4Bに示すように、記憶キー75の数に対応する数の記憶表示部79を設けることができ、図4Cに示すように、記憶キー75の数と関係なく、カスタマイズ熟成度を記憶可能なように設けることができる。
【0048】
冷蔵保管キー73を操作することにより、使用者が手動で後述する制御部30を介して、加熱冷却部60が制御されて、熟成モード運転を終了して冷蔵保管モードに移行できる。ここで、記憶キー75が選択される場合には、別途の冷蔵保管キー73を利用しないで、制御部30が、熟成を完了させると共に、冷蔵保管モードに自動的に移行するように前記加熱冷却部60を制御させることができる。
【0049】
一方、使用者が、前述したカスタマイズ熟成度を記憶させた後に、物品記憶させた熟成度まで同じ物品を熟成させる場合には、選択するカスタマイズ熟成度に相当する記憶キー75を選択すれば、制御部30が加熱冷却部60を制御して記憶された熟成状態まで熟成されるため、使用者は好みの熟成状態となった物品を何度でも簡単に得ることができる。
【0050】
熟成完了後には、使用者は記憶表示部79によって熟成完了を知らされるので、使用者が、手動で熟成状態を記憶させて移行可能な、または自動的に熟成を完了して冷蔵保管モードに移行可能な構成とすることもできる。
【0051】
感知センサー20は、貯蔵室50内部の適所に設けられて、貯蔵室50内に貯蔵された物品の熟成度を感知する。ここで、感知センサー20は、物品の熟成度を感知するために任意の位置に制限なく設けられる。例えば、貯蔵室50内に物品を収容するために別途の貯蔵室を設ける場合には、前記貯蔵室の内部にも設けることができる。
【0052】
一方、感知センサー20は、記憶キー75が選択される場合に、制御部30を通じて作動して、貯蔵室50内の物品の熟成度の感知を開始させることができる。さらに、熟成が進行すると同時に感知を開始して、その結果を制御部30に送信することもできる。
感知センサー20の種類には制限はなく、貯蔵室50内の物品から発生するガスの濃度を感知するガス濃度検出センサーで構成することもできる。
【0053】
図5は、キムチの一種であるトンチミ(水キムチ)が熟成される過程における熟成時間とガス発生量との関係を示したグラフである。ここで、X軸は熟成時間(日)を示し、Y軸はガス発生量(ng)を示す。図5によると、トンチミから発生する硫化水素(HS)、メチルメルカプタン(CHSH)、ジメチルジサルファイド(DMDS)のガス発生量は、熟成開始後、1日間で線形的に増加する傾向を示す。従って、貯蔵室50内のガスの濃度をみると、逆にトンチミの熟成がどの程度に進行されたのかわかる。
【0054】
一方、感知センサー20は、物品から所定のガスが発生する場合に前記ガス発生を感知するガス発生検出センサーで構成することができる。例えば、物品の種類によっては、該物品特有の熟成段階になると、特定のガスを発生する場合、又は特定ガスの濃度が急激に増加する場合があるため、このような現象が好みの熟成状態で発生する場合には、これを感知する。一方、感知センサー20は、醗酵物品から発生するpHを感知するpH検出センサーで構成することもできる。
【0055】
制御部30は、使用者が記憶キー75を選択すると、選択時に感知センサー20によって感知された物品の熟成度を保存して、熟成装置10が熟成モード及び冷蔵保管モードで運転されるように加熱冷却部60を制御する。ここで、制御部30は、記憶キー75を選択した時、熟成モードから冷蔵保管モードに自動的に移行させることが可能であり、入力部70に別途に設けられた冷蔵保管キー73を選択することにより、手動で移行させることも可能である。熟成が終了せず進行している間に、再び記憶キー75を選択して、新たな熟成状態を再保存することもできる。
【0056】
保存されたカスタマイズ熟成度を選択して、カスタマイズ熟成を遂行する場合には、即ち、既にカスタマイズ熟成度が使用者によって保存されて、同種の物品が熟成装置10に再貯蔵された後、前記カスタマイズ熟成度に対応する記憶キー75を選択する場合には、加熱冷却部60を制御して貯蔵された前記物品の熟成が進行するようにすると同時に、感知センサー20によって前記物品の熟成度を感知する。
【0057】
ここで、熟成するための温度は、使用者が選択できるように構成することもできて、制御部30により適切な選択を行うこともできる。
【0058】
この場合、制御部30は、感知センサー20から感知される各熟成度の値を保存されたカスタマイズ熟成度の値と比較して、現在の熟成状態を評価する。評価した結果としてまだカスタマイズ熟成度に至らないと判断された場合には、熟成モードが維持される。また、カスタマイズ熟成度に到達した場合には、熟成を完了して、移行加熱部61及び冷却部65を制御して、冷蔵保管モードに移行させる。一方、入力部70に別途の冷蔵保管キー73を形成して、手動で熟成モードから冷蔵保管モードに移行させることもできる。
【0059】
ここで、制御部30による評価の結果として前記物品の熟成度がカスタマイズ熟成度に到達したと判断された場合のために、前記制御部30は、これを使用者に知らせる警報部90をさらに備える。ここで、警報部90の警報方式は問わない。例えば、所定のLED発光ダイオードが所定の周期で点滅する視覚的警報手段や、所定の警報音を発生する聴覚的警報手段が使用可能であり、2種類の前記警報手段を同時に使用可能である。
【0060】
また、さらに物品の熟成進行程度を表示するために、評価した熟成度を表示物品する表示部80を備えることができる。この場合、制御部30は、前記評価結果を表示部80を通して、使用者が認知できるようにする。
【0061】
従って、本発明の第1実施例による熟成装置10は、使用者が望む熟成度を記憶可能なため、最初にカスタマイズ熟成度を設定した以後においては、カスタマイズ熟成を選択して、常に一定の熟成度の物品を得ることができる。
【0062】
本発明の第2実施例による熟成装置は、図6に示す通り、感知センサー20、制御部30、入力部70、加熱冷却部60及びメモリー部40を含む。
【0063】
メモリー部40は本体10内部の適所に設けられ、感知センサー20により感知された結果が後述する制御部30により保存される。ここで、感知センサー20により感知された熟成度の値が全部メモリー部40に保存される訳ではなく、記憶キー75の選択時における熟成度の値以外はメモリー部40に保存されない。
【0064】
さらに、メモリー部40に保存される情報は、前記感知センサー20の種類によって異なる。例えば、感知センサー20が貯蔵室50内のガスの濃度を感知するガス濃度検出センサーである場合には、前記ガス濃度に対応する熟成度の値が保存され、感知センサー20がガス発生検出センサーである場合には、貯蔵室50内の特定ガスの検出に対する検出信号発生の有無が保存される。また、感知センサー20がpH検出センサーである場合には、選択された熟成状態における貯蔵室50内のpH値に対応する熟成度の値が保存される。
【0065】
ここで、メモリー部40にはカスタマイズ熟成度における熟成度の値以外に、キムチのように頻繁に使われる醗酵物品の各熟成段階別熟成度の値が予め保存させることもできる。
【0066】
例えば、メモリー部40には、図5に示すトンチミの各熟成段階別ガス濃度の値、pH値が熟成度の値として予め保存される。この場合、制御部30は、予め保存された熟成度の値と感知センサー20により感知される各熟成段階の熟成度の値とを比較して、現在の熟成度を評価し、該熟成度を表示部80によって表示することができる。
【0067】
このように構成されたカスタマイズ熟成が可能な熟成装置のカスタマイズ熟成方法を図7及び図8を参照して、詳細に説明する。
【0068】
図7は、カスタマイズ熟成度を設定する初期段階に該当するフローチャートである。また、図8は、設定されたカスタマイズ熟成を選択して、物品を熟成する方法を示したフローチャートである。
【0069】
使用者は、熟成装置10の貯蔵室50内に熟成する物品を貯蔵する(S110)。次に、入力部70に設けられた熟成キー71を選択して、熟成を始める(S111)。この時、使用者はカスタマイズされた熟成度を設定することもできるが、そうしない場合もある(S112)。もし使用者がカスタマイズされた熟成度を設定しない場合には、使用者から別途の指示があるまで熟成を継続して進行する(S117)。また、自動熟成機能を選択した場合には、物品は、設定された運転条件によって熟成された後、冷蔵保管される。
物品の熟成が開始された後、感知センサー20が貯蔵室50内の物品の熟成度を感知する(S113)。ここで、感知センサー20は、使用者が記憶キー75を選択する場合に、感知を開始することもできる。
【0070】
一方、熟成を進行させている間に、使用者は物品の熟成度を確認することができる。例えば、直接味わったり、においをかいだりすることができる。前記感知センサー20によって感知した結果として、制御部30によって評価された熟成度を表示する表示部80を通じて確認することもある。
【0071】
確認した結果、物品の現在の熟成状態が使用者の望む熟成状態にある場合、使用者は該熟成状態を記憶するために記憶キー75を選択できる(S115)。記憶キー75が選択されると、制御部30は記憶キー75選択時の感知センサー20からの感知結果をカスタマイズ熟成度として保存する(S116)。一方、別途のメモリー部40が設けられる場合には、制御部30によって前記熟成度の値がメモリー部40に保存される。
【0072】
カスタマイズ熟成度が保存されると同時に、制御部30は、冷蔵保管キー73の入力を受けた後に、または物品が自動的に熟成された後に、冷蔵保管モードに移行するために、加熱冷却部60を制御する(S118)。ここで、使用者が熟成を続けて行いたい場合には、例えば、カスタマイズ熟成度を色々な段階に設定したい場合には、又はもう少し熟成をしてから、保存されたカスタマイズ熟成度を変更したい場合には、熟成を続けて進行させることができる(S117)。
【0073】
図8は、使用者が既に設定されたカスタマイズ熟成度を選択して、カスタマイズ熟成を遂行することを示したフローチャートである。まず、カスタマイズ熟成時に貯蔵された同種の物品を熟成装置に貯蔵する(S120)。ここで、使用者はまず設定されたカスタマイズ熟成度を選択して、熟成を進行させることができる。さらには、カスタマイズ熟成度を変更したり、再保存することもできる(S121)。この場合には図7の過程を再度遂行することができる。
【0074】
使用者が保存されたカスタマイズ熟成度を選択する場合、制御部30は加熱冷却部60を制御して、貯蔵室50内の物品が熟成されるように貯蔵室50を加熱または冷却する(S122)。
【0075】
熟成が始まると同時に、制御部30は感知センサー20で物品の熟成度を感知する(S123)。この時、制御部30は、感知センサー20による感知結果と伝達されて選択されたカスタマイズ熟成度の値とを比較して、物品の熟成度を評価する。ここで、評価された熟成度を表示部80に表示する。
【0076】
感知センサー20による感知の結果、物品の熟成度の値がカスタマイズ熟成度の値に到達した場合には、制御部30は、熟成がこれ以上進行しないように加熱冷却部60を制御し(S125)、そうでない場合には、さらに熟成させる。ここで、物品警報部90を通じて、視覚的または聴覚的に物品の熟成が完了したことを知らせることができる。
【0077】
一方、熟成が完了した後には、制御部30は、入力部70に設けられた冷蔵保管キー73の入力を受けて、または自動的に冷蔵保管状態に移行するように加熱冷却部60を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1A】従来のキムチ冷蔵庫の斜視図である。
【図1B】図1Aのキムチ冷蔵庫の入力/表示部を示した図である。
【図1C】図1Aのキムチ冷蔵庫の入力/表示部を示した図である。
【図2】本発明の第1実施例による熟成装置の構成ブロック図である。
【図3】図2の熟成装置の側断面図である。
【図4A】図2の熟成装置において入力部及び表示部の多様な実施例を示した図である。
【図4B】図2の熟成装置において入力部及び表示部の多様な実施例を示した図である。
【図4C】図2の熟成装置において入力部及び表示部の多様な実施例を示した図である。
【図4D】図2の熟成装置において入力部及び表示部の多様な実施例を示した図である。
【図5】トンチミ熟成時における熟成時間とこれによるガス発生量との関係を示したグラフである。
【図6】本発明の第2実施例による熟成装置の構成ブロック図である。
【図7】本発明によるカスタマイズ熟成方法を示した制御フローチャートである。
【図8】本発明によるカスタマイズ熟成方法を示した制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
10 熟成装置
15 本体
20 感知センサー
30 制御部
50 貯蔵室
60 加熱冷却部
61 加熱部
65 冷却部
70 入力部
71 熟成キー
73 冷蔵保管キー
75 記憶キー
76 選択キー
79 記憶表示部
80 表示部
90 警報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の貯蔵のための収容空間が形成された貯蔵室と、該貯蔵室内の物品を熟成させる加熱部及び冷却部の少なくとも一方を有する熟成装置において、
前記物品の熟成度を感知する感知センサーと、
前記物品が使用者の好む熟成状態である場合に、該熟成状態による熟成度を記憶するための記憶キーを有する入力部と、
前記加熱部及び前記冷却部の少なくとも一方の作動を制御して、前記記憶キーが選択される場合には、前記感知センサーからの熟成度の値をカスタマイズ熟成度の値として保存する制御部を含むことを特徴とする熟成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合に、前記感知センサーが前記物品の熟成度を感知することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項3】
前記入力部が、前記制御部により、前記カスタマイズ熟成度の値が記憶されたことを表示する記憶表示部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項4】
前記制御部は、複数のカスタマイズ熟成度の値を保存することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項5】
前記入力部が、前記カスタマイズ熟成度の値に対応する前記記憶キー及び前記記憶表示部を備えることを特徴とする請求項4に記載の熟成装置。
【請求項6】
前記入力部が、一つの前記記憶キーと、前記カスタマイズ熟成度の値に対応する複数の記憶表示部とを備えることを特徴とする請求項4に記載の熟成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合において、前記冷却部を制御することにより、前記物品の熟成を中断して冷蔵保管モードに移行することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項8】
前記感知センサーは、ガスセンサー及びpHセンサーのうち、いずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項9】
前記制御部は、記憶された前記カスタマイズ熟成度の値に対応する前記記憶キーが選択されることによって、カスタマイズ熟成が遂行される場合において、前記感知センサーが前記物品の熟成度を感知して、前記感知センサーから得た熟成度の値が選択された前記カスタマイズ熟成度の値に到達するまで、前記物品の熟成を進行するように前記加熱部及び前記冷却部の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項1に記載の熟成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記感知センサーから得た熟成度の値が選択された前記カスタマイズ熟成度の値に到達した場合において、前記冷却部を制御することにより、前記物品の熟成を中断して冷蔵保管モードに自動的に移行することを特徴とする請求項9に記載の熟成装置。
【請求項11】
前記感知センサーから得た熟成度の値が、選択された前記カスタマイズ熟成度の値に到達した場合には、前記制御部を通じて、前記物品の熟成が完了したことを知らせる警報部をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の熟成装置。
【請求項12】
物品の貯蔵のための収容空間が形成された貯蔵室と、前記貯蔵室内の物品を熟成させる加熱部及び冷却部の少なくとも一方を有する熟成装置において、
前記物品の熟成度を感知する感知センサーと、
前記物品が使用者の好みの熟成状態になった場合に、該熟成状態における熟成度を記憶する少なくとも一つの記憶キーを有する入力部と、
熟成度の値を保存するメモリー部と、
前記記憶キーが選択される場合に、前記メモリー部に前記感知センサーから得た熟成度の値をカスタマイズ熟成度の値として保存する制御部を含むことを特徴とする熟成装置。
【請求項13】
前記メモリー部が、前記制御部により複数のカスタマイズ熟成度の値を保存することを特徴とする請求項12に記載の熟成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記記憶キーが選択される場合において、前記冷却部を制御することにより、前記物品の熟成を中断して冷蔵保管モードに移行するを特徴とする請求項12に記載の熟成装置。
【請求項15】
制御部は、保存された前記カスタマイズ熟成度の値に対応する前記記憶キーが選択されて、カスタマイズ熟成が遂行される場合において、前記感知センサーが前記物品の熟成度を感知して、前記感知センサーから得た熟成度の値が選択された前記カスタマイズ熟成度の値に到達するまで、前記物品の熟成が進行するように、前記加熱部及び前記冷却部の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項12に記載の熟成装置。
【請求項16】
前記メモリー部には、熟成を要する複数の物品の熟成状態におけるガス濃度の値及びpH値の少なくとも一方が、熟成度の値として予め保存されることを特徴とする請求項12に記載の熟成装置。
【請求項17】
前記物品の熟成状態を表示する表示部をさらに含んで、
前記制御部は、前記感知センサーから得た熟成度の値と前記メモリー部に保存された熟成度の値とを比較して、前記物品の熟成度を評価し、その結果を前記表示部に表示することを特徴とする請求項16に記載の熟成装置。
【請求項18】
物品の熟成度を使用者が設定できるカスタマイズ熟成方法において、
熟成する物品を前記貯蔵室に記憶する段階、
前記貯蔵室内の前記物品を熟成する段階、
前記物品の熟成度を前記感知センサーを通じて感知する段階、
前記物品の熟成度が使用者の好みの熟成状態になった場合に、該熟成状態における熟成度を記憶する記憶キーを選択する段階、
前記記憶キーが選択される時点において、前記物品の熟成度を感知した結果による熟成度の値を、カスタマイズ熟成度の値として保存する段階を含むことを特徴とするカスタマイズ熟成方法。
【請求項19】
前記記憶キーが選択される場合において、前記物品の熟成を完了して冷蔵保管モードに自動的に移行させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のカスタマイズ熟成方法。
【請求項20】
熟成する物品を前記貯蔵室に再び貯蔵する段階、
使用者が、前記保存されたカスタマイズ熟成度の値を選択する段階、
前記貯蔵室内の前記物品を熟成させる段階、
前記物品の熟成度を前記感知センサーを通じて感知する段階、
感知した結果、前記物品の熟成度の値がカスタマイズ熟成度の値に到達する場合において、熟成を完了する段階を含むことを特徴とする請求項18に記載のカスタマイズ熟成方法。
【請求項21】
前記物品が熟成を完了して、冷蔵保管モードに自動的に移行する段階をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載のカスタマイズ熟成方法。
【請求項22】
前記物品の熟成度の値がカスタマイズ熟成度の値に到達する場合において、前記物品の熟成が完了したことを知らせる段階をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載のカスタマイズ熟成方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−288385(P2006−288385A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67960(P2006−67960)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】