説明

カチオン性アシルピリジニウム誘導体、共漂白活性剤、および過酸化水素を含む漂白剤

本発明の対象は、ケラチン繊維を漂白するための製剤であって、化粧品担体に、第1に、式(I):


〔式中、Rは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cヒドロキシアルキル基、C〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル基、カルボキシ−C〜Cアルキル基、アリール−C〜Cアルキル基、ヘテロアリール−C〜Cアルキル基、モノ−またはジ−C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル基、3−オキソブチル基、2−オキソプロピル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
R’は、C〜Cアルキル基、C〜Cヒドロキシアルキル基またはC〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル基を表し、
は、生理学的適合性アニオンを表す〕
で示される少なくとも1つのカチオン性アシルピリジニウム誘導体、第2に、少なくとも1つの、毒物学的に安全な共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩、および第3に、過酸化水素を含有する製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の明色化のための、カチオン性アシルピリジニウム誘導体、毒物学的に安全な共漂白活性剤および過酸化水素を含有する、特に人毛におけるケラチン繊維の明色化用製剤(すなわち、ケラチン繊維に適用する製剤)、およびそれに対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
髪型や毛髪の色を変えることは、現代美容の重要な分野である。このため、毛髪の外観は、現在のファッション傾向と個人の好みの両方に合わせられ得る。髪型を変えるためにパーマネントウェーブや他の方法は、実質的には処理される毛髪のタイプにかかわらず適用され得る。これに対して、染色やブロンド化の方法は、元々の毛髪の色に制限される。ブロンド化の方法の原理は当業者に既知であり、関連する論文(例えばKh. Schraederによる「Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika」第2巻、1989年、Alfred Huethig Verlag、ハイデルベルグまたはW. Limbach、「Kosmetik」、第2巻、1995年、Georg Thieme Verlag、シュトゥットガルト、ニューヨーク)で調べることができる。
【0003】
ブロンドヘアがファッション的な観点から魅力的であり望ましいとされているため、染色に加えて、天然の毛髪の色を明るくしたりブロンド化したりすることは、多くの消費者がとりわけ望んでいることである。この目的のために、種々のブロンド化力を有する様々なブロンド化剤が市販されている。これらの製品の中に存在する酸化剤は、毛髪自身の着色剤メラニンの酸化的破壊により毛髪繊維を明るくする能力がある。適度なブロンド化の効果を達成するためには、唯一の酸化剤として過酸化水素を、必要に応じてアンモニアまたは他のアルカリ剤とともに用いれば十分であるが、強いブロンド化の効果を達成すべき場合には、過酸化水素とペルオキソ二硫酸塩および/またはペルオキソモノ硫酸塩の混合物を用いるのが通常である。しかしながら、明色化は、酸化的損傷を受ける天然の毛髪着色成分だけでなく、毛髪の他の構成成分の毛髪損傷も伴う。損傷はその程度によって、滑らかでない、脆い、毛髪の抵抗力および引張強度の減少により櫛通りが困難、切れ毛に至るまで変化する。一般的に、過酸化水素および場合によりペルオキソ二硫酸塩のより多くの使用量は、ケラチン繊維に生じる損傷をより深刻にする。良好な明色化力を有するとともに、毛髪繊維を損傷しない毛髪染料または明色化製剤はこれまでに知られていない。
【0004】
通常、人の毛髪に塗布する前に、固体またはペースト状の毛髪染料および/または明色化製剤を、希釈過酸化水素水溶液と混合する。その後、この混合物を毛髪に塗布し、特定の暴露時間の後濯ぎ流す。完全な脱色または明色化を達成するための毛髪上での暴露時間は約30〜40分である。これらの毛髪染料または明色化剤の使用者の間には、明らかに、この暴露時間の短縮に対する要求が存在する。
【0005】
従来のケラチン繊維上でのブロンド化プロセスは、アルカリpH値、特に9.0〜10.5で進行する。外側のキューティクルを開き、活性種(染料前駆体および/または過酸化水素)を毛髪内部に浸透させるために、これらのpH値を確保する必要がある。従来使用されているアルカリ化剤はアンモニアであるが、アンモニアは、きつい匂いや炎症の可能性という使用者に対する欠点を有しており、それは皮膚炎および皮膚感作性まで引き起こし得る。
【0006】
たとえ従来市場におけるブロンド化製剤が良好な明色化力を示すとしても、毛髪損傷、長い暴露時間および高濃度の酸化剤やアルカリ剤による皮膚炎の可能性のため、これらが最適なものであるとはいえない。
【0007】
毛髪染色におけるカチオン性アシルピリジニウム誘導体の使用は、例えば、文献DE10148845A1またはDE10261656A1から既知である。しかしながら、いずれの文献も、これらの誘導体は少なくとも1つの第2の染色成分とともに、染色し、それにより毛髪の色の強さを増加させるための製剤として記載される。これまで、非常に良好な脱色作用により毛髪を漂白するために、これらの4−アシルピリジニウム誘導体を、特定の毒物学的に安全な共漂白活性剤および過酸化水素との特異的な組み合わせにおいて使用し得ることは、先行技術から明らかでなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第10148845号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10261656号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、低減された毛髪損傷を示すとともに、明色化力において市場の従来製剤と同等のまたは優れている、毛髪を明色化またはブロンド化するための新規の製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
今回、一般式(I)のカチオン性アシルピリジニウム化合物と、少なくとも1つの毒物学的に安全な共漂白活性剤および過酸化水素の組み合わせの使用が、同量の過酸化水素単独の使用により可能となる明るさより毛髪を明るくすることがわかった。
【0011】
本発明の製剤を使用した場合の向上したブロンド化力の結果、使用する酸化剤の量を減らすことができ、それにより毛髪損傷を最小にすることができる。また、これにより、先行技術に相当する明色効果を達成するまでの暴露時間を減らすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の製剤は、酸化により天然の着色剤メラニンを脱色する。さらなる染料/染料前駆体の不存在下において、本発明の活性成分の組み合わせは、ケラチン含有繊維において何らの着色剤も形成しない。ケラチン含有繊維上に、またはケラチン含有繊維中に存在する従来の合成染料は、本発明の製剤の助けにより漂白され得る。
【0013】
したがって、本発明は、第1に、化粧品担体中に
式(I):
【化1】

〔式中、Rは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cヒドロキシアルキル基、C〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル基、カルボキシ−C〜Cアルキル基、アリール−C〜Cアルキル基、ヘテロアリール−C〜Cアルキル基、モノ−またはジ−C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル基、3−オキソブチル基、2−オキソプロピル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
R’は、C〜Cアルキル基、C〜Cヒドロキシアルキル基またはC〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル基を表し、
は、生理学的適合性アニオンを表す〕
で示される少なくとも1つのカチオン性アシルピリジニウム誘導体、
(ii)少なくとも1つの、毒物学的に安全な共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩、および
(iii)過酸化水素
を含有するケラチン繊維を明色化するための製剤を提供する。
【0014】
ここで、ケラチン繊維は、毛皮、羊毛、羽毛および特に人の毛髪を意味すべきである。本発明の製剤は、主にケラチン繊維の染色および/または明色化に適当であるが、他の分野に使用すべきでない理由は原則ない。
【0015】
式(I)の化合物に対する置換基として前述した基の例は、以下のとおりである。
〜Cアルキル基の例は、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH、−CH(CH)CHCH、−C(CHの基である。
〜Cアルケニル基の例は、2−プロペニル基(アリル基)、2−メチルプロプ−2−エニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、4−ペンテニル基または3−ペンテニル基の基である。これに関して、2−プロペニル基が特に好ましい。
さらに、C〜Cヒドロキシアルキル基の好ましい例は、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−CHCH(OH)CH、−CHCHCHCHOHであり、−CHCHOHが好ましい。
〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル基の例は、−CHCHOCH、−CHCHCHOCH、−CHCHOCHCH、−CHCHCHOCHCH、−CHCHOCH(CH、−CHCHCHOCH(CHの基である。
カルボキシ−C〜Cアルキル基の例は、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基または3−カルボキシプロピル基である。
アリール−C〜Cアルキル基の例は、ベンジル基および2−フェニルエチル基である。
ヘテロアリール−C〜Cアルキル基の例は、ピリジン−2−イルメチル基、ピリジン−3−イルメチル基、ピリジン−4−イルメチル基、ピリミジン−2−イルメチル基、ピロール−1−イルメチル基、ピロール−1−イルエチル基、ピラゾール−1−イルメチル基またはピラゾール−1−イルエチル基である。
モノ−またはジ−C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル基の例は、2−メチルアミノエチル基、2−エチルアミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、2−ジエチルアミノエチル基、3−メチルアミノプロピル基、3−ジメチルアミノプロピル基、1−ピペリジノエチル基、1−ピロリジノエチル基、4−モルフォリノエチル基および2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチル基であり、2−ジメチルアミノエチル基および2−ジエチルアミノエチル基が特に好ましい。
アリール基の例は、フェニル基、1−ナフチル基または2−ナフチル基である。
ヘテロアリール基の例は、ピリジン−2−イル基、ピリジン−3−イル基、ピリジン−4−イル基、ピリミジン−2−イル基、ピロール−1−イル基、ピロール−2−イル基、ピラゾール−1−イル基、ピラゾール−3−イル基、ピラゾール−2−イル基である。
【0016】
本発明の製剤は、少なくとも3つの必須成分:式(I)で示される少なくとも1つのカチオン性アシルピリジニウム誘導体、少なくとも1つの毒物学的に安全な共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩および過酸化水素を含有する。本発明の製剤は、「塗布混合物」であってもよい。すなわち、(例えば、安定性の理由のため)別々に包装されているが、製剤を塗布前に混合し、塗布混合物を形成した後塗布する。
【0017】
式(I)で示されるそのような化合物としては、一般構造式(I)の基Rが、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cヒドロキシアルキル基を表す場合が好適である。
【0018】
さらに、本発明によれば、式(I)のR’が、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cヒドロキシアルキル基、C〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル基、特にC〜Cアルキル基(好ましくはメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル)を表すことが好ましい。
【0019】
式(I)のアニオンXは、ハロゲン、特に塩素、ホウ素およびヨウ素、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、C〜Cアルキルスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、過塩素酸塩、1/2硫酸塩、ハイドロジェンスルフェート、テトラフルオロホウ酸塩、テトラフルオロリン酸塩またはテトラクロロ亜鉛酸塩から選択されることが好ましい。本発明によれば、生理学的適合性アニオンXは、ハロゲンイオン(特に塩素またはホウ素)、ハイドロジェンスルフェート、1/2硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩または酢酸塩を表すことが特に好ましい。
【0020】
特に好ましい一般式(I)で示されるカチオン性アシルピリジニウム誘導体は以下のものである。
【0021】
【表1】

【0022】
まとめると、本発明の好ましい製剤は、一般式(I)のカチオン性アシルピリジニウム誘導体として、少なくとも1つの下記からなる群からの化合物を含む製剤である。
4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−メチルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−メチルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−メチルピリジニウム−ハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−アリルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−アリルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−アリルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−アリルピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−(2−オキソプロピル)ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−(2−オキソプロピル)ピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−(2−オキソプロピル)ピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−(2−オキソプロピル)ピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−エチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−エチルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−エチルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−エチルピリジニウムハイドロジェンスルフェート、−アセチル−1−(2−メチルプロプ−2−エニル)ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−(2−メチルプロプ−2−エニル)ピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−(2−メチルプロプ−2−エニル)ピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−(2−メチルプロプ−2−エニル)ピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−ベンジルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−ベンジルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−ベンジルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−ベンジルピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−(2−メトキシエチル)ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−(2−メトキシエチル)ピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−(2−メトキシエチル)ピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−(2−メトキシエチル)−ピリジニウムハイドロジェンスルフェート。
【0023】
これらの群から以下のアシルピリジニウム塩が、明らかに特に好ましい。
4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−メチルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−メチルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−メチルピリジニウム−ハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−アリルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−アリルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−アリルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−アリルピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムハイドロジェンスルフェート。
【0024】
他に明記しない限り、以下に記載する全ての量は、それぞれの場合において即用製剤の総重量に対する。
【0025】
本発明の製剤は、第1の必須成分として一般式(I)のアシルピリジニウム誘導体を、即用製剤の総重量に対して、好ましくは0.01〜25重量%、特に0.1〜10重量%の量で含有する。
【0026】
本発明の製剤は、第2の必須成分として、少なくとも1つの毒物学的に安全な共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩を含有する。特にイミダゾールは、本発明の目的に対して毒物学的に安全とみなすべきではない。
【0027】
前記毒物学的に安全な共漂白活性剤は、好ましくは脂肪族および/または炭素環共漂白活性剤から選択される。
【0028】
前記毒物学的に安全な共漂白活性剤は、特に好ましくは、必須の構造的特徴としてヒドロキシ基、カルボキシル基、硫酸モノエステル、リン酸モノエステルおよび/またはそれらの生理学的適合性塩を含有する。
【0029】
毒物学的に安全な共漂白活性剤が、例えば、置換された二重結合または非対称中心のような複数の空間的配置を許す構造単位を含む場合、本発明の目的のためにすべての考え得る立体異性体を含むことは言うまでもない。しかしながら、本発明によれば、場合により考え得る立体異性体のいずれかただ一つまたは明確に2つ以上の立体異性体の混合物を使用することが好ましい。
【0030】
本発明の好ましい製剤は、式(II)で示される少なくとも1つの共漂白剤および/またはその生理学的適合性塩を、共漂白剤および/またはその生理学的適合性塩として含有することを特徴とする。
【0031】
【化2】

〔式中、Yは、カルボニル基、直接結合またはメチレン基を表し、
R1は、水素、C〜Cアルキル基、生理学的適合性カチオンまたはSOまたはPO2−基を表し、
R2は、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、トリメチルアミノ基、フェニル基、ベンジル基、フェノキシメチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−トルオイル基、3−トルオイル基、4−トルオイル基またはR4−O−(CHCHO)基[式中、R4はC〜C20アルキル基を表し、nは15を超える数を表す]を表し、
R3は、水素、または場合により分枝したC〜Cアルキル基を表す;
但し、Yがカルボニル基を表す場合、
R1は、水素、C〜Cアルキル基または生理学的適合性カチオンを表し、
R2は、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基またはトリメチルアミノ基を表し、かつ、R3は、水素または場合により分枝したC〜Cアルキル基を表し、
Yが直接接合を表す場合、
R1は水素を表し、
R2は、フェニル基、ベンジル基、フェノキシメチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−トルオイル基、3−トルオイル基または4−トルオイル基を表し、かつ、
R3は、水素、または場合により分枝したC〜Cアルキル基を表し、
Yがメチレン基を表す場合、
R1は、SOまたはPO2−基を表し、
R2は、R4−O−(CHCHO)基[式中、R4はC〜C20アルキル基を表し、nは15を超える数を表す]を表し、かつ
R3は、水素を表す。〕
【0032】
本発明の好ましい製剤は、特に、少なくとも1つの脂肪族アミノ酸、場合により、それらの窒素原子がN−メチル化またはN,N−ジメチル化された脂肪族アミノ酸、および/またはその生理学的適合性塩を共漂白活性剤として含有することを特徴とする。
【0033】
好ましい共漂白活性剤は、グリシン、N−メチルグリシン、N,N-ジメチルグリシン、アラニン、N−メチルアラニン、N,N-ジメチルアラニン、ロイシン、N−メチルロイシン、N,N-ジメチルロイシン、イソロイシン、N−メチルイソロイシン、N,N-ジメチルイソロイシンまたはそれらの生理学的適合性塩から選択される。
【0034】
本発明の製剤は、とりわけ好ましくはグリシンおよび/またはその生理学的適合性塩を共漂白活性剤として含有する。
【0035】
本発明の好ましい製剤は、少なくとも1つの芳香族アルコールおよび/またはその生理学的適合性塩を共漂白活性剤として含有する。
【0036】
本発明において好ましいものとして挙げ得る芳香族アルコールは、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェノキシエタノール、1−ヒドロキシメチルナフタレンおよび/または2−ヒドロキシメチルナフタレンである。
【0037】
本発明の共漂白活性剤としてとりわけ好ましい芳香族アルコールの1つはベンジルアルコールである。
【0038】
最後に、本発明の好ましいとされ得る製剤は、共漂白活性剤として、式(III):
R4−O(CHCHO)SOY (III)
〔式中、R4はC〜C20アルキル基を表し、mは15より大きな数を表し、Yはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたはアルカノールアンモニウムを表す〕で表わされるアルキルエーテル硫酸塩の生理学的適合性塩を含有する製剤である。
【0039】
アルキルエーテル硫酸塩(硫酸エーテル)は、大きな工業的規模において、脂肪またはオキソアルコールポリグリコールエーテルのSO硫酸化またはクロロスルホン酸(CSA)硫酸化、それに続く中和により製造される。本発明の好ましい実施例は、カプロン酸アルコール、カプリル酸アルコール、2−エチルヘキシルアルコール、カプリン酸アルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エイコシルアルコールまたはそれらの工業用混合物への少なくとも16、平均20〜40、特に25〜35モルの(式(III)のmにより表される)エチレンオキシドの高エトキシル化付加物のナトリウムおよび/またはマグネシウム塩の形態の硫酸塩である。これらは、例えば、脂肪および油に基づく工業用メチルエステルの高圧水素化またはローレンオキソ合成からのアルデヒドから、不飽和脂肪アルコールの二量化におけるモノマー断片として得られる。好ましい工業用脂肪アルコールは、12〜18個の炭素原子を有する脂肪アルコールであり、例えば、ココナッツ、ヤシ、パーム核または獣脂脂肪アルコールである。ここで、エーテル硫酸塩は、通常のおよび狭い同族体分布を示す。工業用C12/14またはC12/18ヤシ脂肪アルコール断片への平均25〜35モルのエチレンオキシドの付加物に基づく硫酸エステルをそれらのナトリウムおよび/またはマグネシウム塩の形態で用いることが特に好ましい。
【0040】
1つの特に好ましい共漂白活性剤は、INCI名Sodium Coceth−30Sulfateにより既知であり、商品名Disponil(商標登録)FES77のもと31〜33重量%水溶液としてCognisから流通している。
【0041】
共漂白活性剤は、好ましくは特定の量の範囲内で使用される。本発明の好ましい製剤は、それぞれ即用製剤の総重量に基づき、0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%の量の、少なくとも1つの毒物学的に安全な共漂白活性剤を含有する。
【0042】
本発明の製剤は、第3の必須成分として過酸化水素を含有する。過酸化水素自体は、好ましくは水溶液の形態で用いる。しかしながら、過酸化水素を、過酸化水素と無機または有機化合物の固体付加化合物の形態(例えば過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸マグネシウム、ナトリウムペルカルバミド、ポリビニルピロリドン・nH〔nは0より大きい正の整数である〕、過酸化尿素および過酸化メラミン)で使用してもよい。後者の場合、付加化合物は、本発明の塗布混合物において過酸化水素を放出する。すなわち、付加化合物に加えて、これらの製剤は化粧品担体中に遊離過酸化水素を含む。
【0043】
本発明によれば、とりわけ好ましくは、過酸化水素を本発明の製剤に過酸化水素水溶液として加える。過酸化水素溶液の濃度は、一方では法規定により決定されるが、他方では所望する効果により決定される;6〜12重量%水溶液を好ましくは用いる。本発明の好ましい製剤は、製剤の総重量に対して、製剤が0.01〜12重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは1〜6重量%の過酸化水素(100%Hとして計算)を含有することを特徴とする。
【0044】
前述の好ましい実施態様を考慮すると、1つの非常に特異的で明らかに好ましい実施態様は、ケラチン繊維を明色化するための製剤が化粧品担体中に、第1成分として、4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−メチルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−メチルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−メチルピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−アリルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−アリルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−アリルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−アリルピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムブロミドおよび4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムハイドロジェンスルフェートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を、第2の共漂白活性成分として、グリシン、ベンジルアルコールおよびコセス−30硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を、第3成分として過酸化水素を、すでに記載した好ましい割合で含む製剤である。
【0045】
とりわけ好ましい製剤は、最終的に下記のいずれかの組み合わせを含有する製剤である(記載される重量は、即用製剤の総重量に基づく):
組み合わせ(a):0.1〜4.0重量%の4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、0.1〜3.0重量%のグリシンおよび0.1〜12.0重量%の過酸化水素。
組み合わせ(b):0.1〜4.0重量%の4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、0.1〜3.0重量%のベンジルアルコールおよび0.1〜12.0重量%の過酸化水素。
組み合わせ(c):0.1〜4.0重量%の4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、0.1〜3.0重量%のコセス−30硫酸ナトリウムおよび0.1〜12.0重量%の過酸化水素。
【0046】
ケラチン繊維のブロンド化は、従来、アルカリ環境下で行われていた。しかしながら、ケラチン繊維や皮膚をできる限り穏やかに処理する場合に、過剰に高いpH値を確保することは好ましくない。したがって、即用製剤のpH値は、7〜11、特に8〜10.5の間であることが好ましい。本発明のためのpH値は、22℃の温度で測定したpH値である。好ましいpH値を確保するために使用し得るアルカリ剤は、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカノールアミン、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸水素塩からなる群から選択される。好ましく使用されるアルカリ金属イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、特にナトリウムまたはカリウムである。本発明におけるアルカリ剤として使用し得るアルカリ金属水酸化物は、好ましくは水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択される。
【0047】
本発明におけるアルカリ剤として使用し得るアルカノールアミンは、好ましくは、少なくとも1個のヒドロキシ基を有するC〜Cアルキル親物質を伴った第1級アミンから選択される。特に好ましいアルカノールアミンは、2−アミノエタン−1−オール(モノエタノールアミン)、3−アミノプロパン−1−オール、4−アミノブタン−1−オール、5−アミノペンタン−1−オール、1−アミノプロパン−2−オール、1−アミノブタン−2−オール、1−アミノペンタン−2−オール、1−アミノペンタン−3−オール、1−アミノペンタン−4−オール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジオールからなる群から選択される。本発明において特に好ましいアルカノールアミンは、2−アミノエタン−1−オール、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オールおよび2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジオールからなる群から選択される。
【0048】
過酸化水素または過酸化水素と有機または無機化合物との付加生成物の単独使用は、しばしば、非常に暗い毛髪の大幅な明色化にとって不十分である。これらの場合、一般的に、過酸化水素と過硫酸塩またはペルオキソ二硫酸塩の組み合わせを用いる。本発明の一般構造式(I)のアシルピリジニウム誘導体と毒物学的に安全な共漂白活性剤を混合することにより、過酸化水素単独の場合だけでなく、過酸化水素と過硫酸塩またはペルオキソ二硫酸塩の組み合わせの場合にも、明色化力が増加することが判明した。
【0049】
したがって、さらなる実施態様において、消費者が非常に強いブロンド化を望む場合、ケラチンの明色化用製剤が、一般構造式(I)のカチオン性アシルピリジニウム化合物、毒物学的に安全な共漂白活性剤および過酸化水素に加えて、さらに少なくとも1つの無機過硫酸塩またはペルオキソ二硫酸塩を含有することが好ましい。
【0050】
好ましいペルオキソ二硫酸塩は、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムである。ペルオキソ二硫酸塩は、即用製剤の総重量に対して、0.1〜25重量%の量、特に0.5〜15重量%の量で存在し得る。
【0051】
すでに述べたように、本発明の製剤は塗布の直前に、2つまたは3つに分けて包装された生成物から調製されてよい。これは、非相溶性成分を分割し、早期の反応を回避するために適切である。
【0052】
したがって、1つの一般的な方法は、少なくとも1つの一般式(I)のカチオン性アシルピリジニウム誘導体および少なくとも1つの毒物学的に安全な共漂白活性剤を含有する第1製剤を、塗布の直前に、本発明の酸化剤を含有する第2製剤と混合することを含む。
【0053】
したがって、本発明は、毛髪への塗布直前に、一般式(I)のカチオン性アシルピリジニウム誘導体と毒物学的に安全な共漂白活性剤を含有する流動性調製物Aと、過酸化水素および/または過酸化水素と有機または無機化合物との付加化合物から選択される少なくとも1つの酸化剤を含有する酸化剤調製物Bとから得られる、特に人の毛髪においてケラチン繊維を明色化するための製剤を提供する。
【0054】
酸化剤調製物Bは、好ましくは水性の流動性酸化剤調製物である。ケラチン繊維の明色化のための本発明の製剤は、流動性酸化剤調製物Bが、その重量に対して、40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、特に好ましくは55〜80重量%、より好ましくは60〜77.5重量%、特に65〜75重量%の水を含有することを特徴とする。
【0055】
過硫酸塩またはペルオキソ二硫酸塩は、通常、場合により制塵粉末(dedusted powder)の形態でまたは圧縮成形品の形態で用いられる。過硫酸塩またはペルオキソ二流酸塩との接触による本発明のアシルピリジニウム誘導体の早期分解を回避するため、本発明によれば、過硫酸塩またはペルオキソ二流酸塩を別包装した成分Cとして供給することが好ましい。
【0056】
これに関連して、本発明は、人の毛髪を明色化するための3成分からなる製剤を提供する。この製剤は、一般式(I)のカチオン性アシルピリジニウム誘導体と毒物学的に安全な共漂白活性剤を含有する流動性調製物A、過酸化水素および/または過酸化水素と有機または無機化合物との付加化合物から選択される少なくとも1つの酸化剤を含有する酸化剤調製物Bと、さらに少なくとも1つの無機過硫酸塩またはペルオキソ二流酸塩を含有する粉末状の第3調製物Cとを、毛髪への塗布直前に注意深く混合することにより調製される。
【0057】
塗布前に、調製物AとB、または場合により調製物A、BとCを混合することにより、3つの必須成分を含んでなる本発明の製剤である塗布混合物が生じる。
【0058】
乳化剤または界面活性剤を、好ましくは、流動性調製物Aおよび/またはBに加える。界面活性物質は適用分野により、界面活性剤または乳化剤として規定され、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、両性および非イオン性界面活性剤および乳化剤から選択される。これらの物質を以下に詳細に説明する。
【0059】
特に本発明に適当なアニオン性界面活性剤は、人体への使用に適した全てのアニオン性界面活性剤である。これらは、水可溶化アニオン基、例えば、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基またはリン酸基、および約8〜30個の炭素原子を含む親油性アルキル基を特徴とする。さらに、グリコールまたはポリグリコールエーテル基、エステル、エーテルおよびアミド基、およびヒドロキシ基を分子中に含有し得る。適当なアニオン性界面活性剤の例は、直鎖および分枝状脂肪酸(石ケン)、式RO(CHCHO)CHCOOHのエーテルカルボン酸、アシルサルコシド、アシルタウリド、アシルイセチオネート、場合によりポリアルコキシル化されたスルホコハク酸モノ−およびジアルキルエステル、直鎖アルカンスルホネート直鎖α−オレフィンスルホネート、不飽和脂肪酸のスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、式RO(CHCHO)SOHのアルキル硫酸塩およびアルキルエーテル硫酸塩、ヒドロキシスルホネートの混合物、硫酸化ヒドロキシアルキルポリエチレングリコールエーテルおよび/またはヒドロキシアルキレンプロピレングリコールエーテル、酒石酸およびクエン酸とアルコールのエステル、アルキルおよび/またはアルキレンエーテルリン酸塩、式RC(O)O(alkO)SOHの硫酸化脂肪酸アルキレングリコールエステルおよびモノグリセリド硫酸塩およびモノグリセリドエーテル硫酸塩の、それぞれナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、アルカノール基中に2〜4個の炭素原子を有するモノ−、ジ−およびトリアルカノールアンモニウム塩である。
【0060】
双性イオン性界面活性剤は、少なくとも1個の第4級アンモニウム基および少なくとも1個のカルボキシレート基またはスルホン酸基を分子中に有する界面活性化合物である。特に適当な双性イオン性界面活性剤は、「ベタイン」であり、例えばN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばヤシ油アルキルジメチルアンモニウムグリシネート)、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート(例えばヤシ油アシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート)、および2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリンであって、アルキル基またはアシル基の炭素数8〜18のもの、ならびにヤシ油アシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインとして知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0061】
両性界面活性剤は、C〜C24アルキル基またはアシル基に加えて、分子中に少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の−COOHまたは−SOH基を有し、分子内塩を形成し得る界面活性化合物を意味すると理解される。適当な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルアミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸であり、これらはそれぞれ、アルキル基に約8〜24個の炭素原子を有する。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ヤシ油アルキルアミノプロピオネート、ヤシ油アシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12−18アシルサルコシンである。
【0062】
非イオン性界面活性物質を含有することが、本発明の製剤に対して有利であることが判明している。非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基またはポリオール基およびポリグリコールエーテル基の組み合わせを、親水基として含有する。そのような化合物は、例えば、以下の通りである。
−8〜30個の炭素原子を有する直鎖および分枝状脂肪アルコール、8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸および、アルキル基に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、2〜50モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシドの付加生成物、
−メチル基またはC〜Cアルキル基により末端化された、8〜30個の炭素原子を有する直鎖および分枝状脂肪アルコール、8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸および、アルキル基に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、2〜50モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシドの付加生成物、
−グリセロールへの1〜30モルのエチレンオキシド付加生成物のC12〜C30脂肪酸モノ−およびジエステル、
−ポリグリセロールエステルおよびアルコキシル化ポリグリセロールエステル、
−ヒマシ油および水添ヒマシ油への5〜60モルのエチレンオキシド付加生成物、
−ポリオール脂肪酸エステル、
−アルコキシル化、好ましくはプロポキシル化、特にエトキシル化された、モノ−、ジ−およびトリグリセリド、例えば、グリセロールモノラウレート+20エチレンオキシドおよびグリセロールモノステアレート+20エチレンオキシド、
−式RC(O)−(OCHCHOR’〔式中RC(O)−は、6〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝状の、飽和および/または不飽和アシル基を表し、R’は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルキル基を表し、wは1〜20の数を表す〕、
−アミン酸化物、
−ヒドロキシ混合エーテル、
−ソルビタン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルへのエチレンオキシド付加生成物、例えば、ポリソルベート、ソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノラウレート+20モルエチレンオキシド(EO)、
−糖脂肪酸エステルおよび糖脂肪酸エステルへのエチレンオキシド付加生成物、
−脂肪酸アルカノールアミドおよび脂肪アミンへのエチレンオキシド付加生成物、
−脂肪酸N−アルキルグルカミド、
−アルキル鎖に6〜21個、特に6〜15個の炭素原子および0〜30のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を有するアルキルフェノールおよびアルキルフェノールアルコキシレート。この分類の好ましい代表例は、例えばノニルフェノール+4EO、ノニルフェノール+9EO、オクチルフェノール+3EOおよびオクチルフェノール+8EOである。
−一般式RO−(Z)〔式中、Rはアルキル基を表し、Zは糖を表し、xは糖単位の数を表す〕で示されるアルキルポリグリコシド。本発明において使用し得るアルキルポリグリコシドは、例えばただ1つの特定アルキル基Rを含有していてよい。
【0063】
適当な非イオン性界面活性剤は、特にC〜C22アルキルモノグリコシドおよびオリゴグリコシドならびにそれらのエトキシル化類似体である。特に、非エトキシル化化合物が好適であることがわかっている。
【0064】
これらの化合物は、全ての所望する単糖またはオリゴ糖を糖構造ブロックZとして使用し得ることにより特徴付けられる。5または6個の炭素原子を有する糖および対応するオリゴ糖を通常使用する。そのような糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースである。好ましい糖構造ブロックは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノースおよびスクロースであり、グルコースが特に好ましい。
【0065】
本発明に使用し得るアルキルポリグリコシドは、平均して、1.1〜5個の糖単位を含む。1.1〜2.0のx値を有するアルキルポリグリコシドが好ましい。xが1.1〜1.8であるアルキルグリコシドが特に好ましい。
【0066】
上述したアルキルポリグリコシドのアルコキシル化同族体も本発明に使用し得る。これらの同族体は、アルキルグリコシド単位あたり平均して10個までのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を含み得る。
【0067】
さらに、好ましい非イオン性界面活性剤は、それぞれ脂肪アルコールまたは脂肪酸1モルあたり、2〜30モルのエチレンオキシドを有する飽和直鎖脂肪アルコールおよび脂肪酸へのアルキレンオキシド付加生成物であることがわかっている。同様に、非イオン性界面活性剤としてエトキシル化グリセロールの脂肪酸エステルを含有する場合に、優れた特性を有する調製物が得られる。
【0068】
ここで、加工のし易さから、特に好ましい非イオン性界面活性物質は、固体または液体として純粋な形態で市販されている物質である。本発明において、純度は化学的に純粋な化合物を指すものではない。むしろ、特に天然系生成物に関して、例えば、天然油脂に基づく生成物の場合に得られるような、異なるアルキル鎖長を有する異なる同族体の混合物を使用し得る。アルコキシル化生成物の場合においても、アルコキシル化度の異なる混合物が通常存在する。むしろこれに関して、用語純度は、選択される物質が好ましくは溶媒、調整剤および他の添加物質を含むべきでないという事実を指している。
【0069】
脂肪アルコールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物、またはこれら付加生成物の誘導体である界面活性剤は、「通常」の同族体分布を有する生成物として、および狭い同族体分布を有する生成物として使用され得る。ここで、「通常の」同族体分布は、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドを触媒として使用して脂肪アルコールとアルキレンオキシドとを反応させた場合に得られる同族体の混合物を意味するものと理解される。これに対して、狭い同族体分布は、例えば、ヒドロタルサイト、エーテルカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物またはアルコキシドを触媒として使用した場合に得られる。狭い同族体分布を有する生成物の使用が好ましい。
【0070】
陰イオン性、非イオン性、双性イオン性または両性界面活性剤は、即用製剤の総量に対して、0.1〜45重量%の量、好ましくは1〜30重量%の量、特に好ましくは1〜15重量%の量で使用される。
【0071】
本発明によれば、第4級アンモニウム化合物、エステルクォートおよびアミドアミン型のカチオン性界面活性剤を加えることも好ましい。好ましい第4級アンモニウム化合物は、ハロゲン化(特に塩化および臭化)アンモニウムであり、例えばアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドおよびトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドおよびトリセチルメチルアンモニウムクロリド、ならびにINCI名クオタニウム−27およびクオタニウム−83により既知のイミダゾリニウム化合物である。上述した界面活性剤の長いアルキル鎖は、好ましくは10〜18個の炭素原子を含有する。さらに、4級化タンパク加水分解物も本発明に使用し得るカチオン性界面活性剤である。
【0072】
アルキルアミドアミンは、一般に天然または合成脂肪酸および脂肪酸カットのジアルキルアミノアミンによるアミド化により調製され、良好なコンディショニング作用に加えて、良好な生分解性を有することにより特に識別される。
【0073】
4級化エステル化合物または「エステルクォート」も、非常に容易に生分解され得る。エステルクォートは、構成成分として、少なくとも1つのエステル官能基および少なくとも1つの第4級アンモニウム基を含有する既知の物質である。好ましいエステルクォートは、脂肪酸とトリエタノールアミンとの4級化エステル塩、脂肪酸とジエタノールアルキルアミンとの4級化エステル塩、および脂肪酸と1,2−ジヒドロキシプロピルジアルキルアミンとの4級化エステル塩である。
【0074】
本発明の製剤は、好ましくは、製剤全体に対して0.05〜10重量%の量のカチオン性界面活性剤を含有する。0.1〜5重量%の量が特に好ましい。
【0075】
1つの好ましい実施態様においては、非イオン性、双性イオン性および/または両性界面活性剤およびそれらの混合物が好適であり得る。
【0076】
さらに好ましい実施態様において、本発明の活性成分の作用は、乳化剤により促進され得る。そのような乳化剤の例は、
−8〜22個の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸および、アルキル基に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、4〜30モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシドの付加生成物、
−3〜6個の炭素原子を有するポリオール、特にグリセロールへの、1〜30モルのエチレンオキシド付加生成物のC12〜C22脂肪酸モノエステルおよびジエステル、
−メチルグルコシド/脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドおよび脂肪酸グルカミドへのエチレンオキシドおよびポリグリセロール付加生成物、
−1.1〜5、特に1.2〜2.0のオリゴマー化度を有するC〜C22アルキルモノグリコシドおよびオリゴグリコシド(糖成分としてはグルコースが好ましい)ならびにそれらのエトキシル化類似体、
−アルキル(オリゴ)グルコシドと脂肪アルコールとの混合物、
−ヒマシ油および水添ヒマシ油への、5〜60モルのエチレンオキシドの付加生成物、
−3〜6個の炭素原子を有するポリオールと8〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸の部分エステル、
−ステロール、特に動物ステロール(コレステロールおよびラノステロール)、植物ステロール(エルゴステロール、スチグマステロールおよびシトステロール)および菌類ステロール、
−リン脂質、例えばレシチンまたはホスファチジルコリン、
−糖および糖アルコールの脂肪酸エステル、例えばソルビトール、
−ポリグリセロールおよびポリグリセロール誘導体、例えばポリグリセロールポリ−12−ヒドロキシステアレート、
−8〜30個の炭素原子を有する直鎖および分枝状脂肪酸およびそれらのNa、K、アンモニウム、Ca、MgおよびZn塩
である。
【0077】
本発明の製剤は、好ましくは、即用製剤の総量に対して0.1〜25重量%の量の、特に0.5〜15重量%の量の乳化剤を含有する。
【0078】
本発明の組成物は、好ましくは、Roempp-Lexikon Chemie (J.Falbe、M.Regitz著)、第10版、Georg Thieme Verlag Stuttgart、ニューヨーク、1997年、第1764頁に記載された定義による、HLB値8〜18の少なくとも一つの非イオン性乳化剤を含有し得る。本発明によれば、HLB値10〜15の非イオン性乳化剤が特に好適であり得る。
【0079】
上述した乳化剤の中でも、分子中にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを含まない乳化剤が特に好ましい。
【0080】
さらに、本発明の製剤は、染料および/または染料前駆体を含有してもよく、これにより明色化と同時に染色作用を有する製剤として提供される。そのような製剤を、以下、「染色調製物」、「明色化染色調製物」または「染色および明色化剤」と称する。
【0081】
酸化染料前駆体の存在下でのケラチンの酸化的染色は、通常、大気中の酸素により進行する。しかしながら、特に、人の毛髪を明るくするとともに染色したい場合には、好ましくは化学的酸化剤を使用する。この明色化効果は、染色方法とは独立的に要求され得る。考え得る酸化剤は、過硫酸塩、亜塩素酸塩、特に、過酸化水素または、尿素、メラミンおよびホウ酸ナトリウムへのその付加生成物である。
【0082】
しかしながら、本発明によれば、例えば大気中の酸素によって染料前駆体の酸化を活性化する触媒とともに、酸化染料剤を毛髪に適用することもできる。そのような触媒は、例えば、特定の酵素、ヨウ化物、キノンまたは金属イオンである。
【0083】
適当な酵素は、例えば、少量の過酸化水素の作用を顕著に促進することができるペルオキシダーゼである。さらに本発明に適当な酵素は、例えばラッカーゼのような、大気中の酸素の助けで酸化染料前駆体を直接的に酸化する酵素、または、インサイチューで少量の過酸化水素を生成し、染料前駆体の酸化を生体触媒的に活性化する酵素である。染料前駆体の酸化に特に適当な触媒は、特異的な基質と組み合わせた「二電子酸化還元酵素」であり、ピラノースオキシダーゼ(と、例えばD−グルコースまたはガラクトース)、グルコースオキシダーゼ(とDグルコース)、グリセロールオキシダーゼ(とグリセロール)、ピルベートオキシダーゼ(とピルビン酸またはその塩)、アルコールオキシダーゼ(とアルコール、例えばMeOH、EtOH)、ラクテートオキシダーゼ(と乳酸)、チロシナーゼオキシダーゼ(とチロシン)、ウリカーゼ(と尿酸)、コリンオキシダーゼ(とコリン)、およびアミノ酸オキシダーゼ(とアミノ酸)である。
【0084】
さらなる酸化剤を使用する場合、実際の明色化剤および/または染色調製物は、通常塗布直前に、さらなる酸化剤調製物と本発明の過酸化水素溶液と、式(I)の化合物および毒物学的に安全な共漂白活性剤および場合により染料前駆体を含有する調製物と混合することにより調製される。得られた即用明色化調製物およびまたは毛髪染色調製物は、好ましくは6〜12の範囲のpH値を有するべきである。弱アルカリ性環境において明色化調製物および/または毛髪染色調製物を使用することが特に好ましい。使用温度は、15〜40℃の範囲とすることができる。5〜45分の露出時間の後、染色される毛髪から毛髪染料を濯ぎ流す。高い界面活性剤含量を有する化粧品担体を使用した場合(例えば、カラーリングシャンプー)には、シャンプーによる再洗浄は必要ない。
【0085】
しかしながら、特に染色が困難な毛髪の場合には、場合によりさらなる染料前駆体を含む本発明の製剤を、酸化成分との前混合なしに毛髪へ塗布することもできる。20〜30分の露出時間の後、場合により中間すすぎをした後に、式(I)のアシルピリジニウム誘導体および毒物学的に安全な共漂白活性剤を含有する調製物と混合した酸化成分を塗布する。さらに、10〜20分の露出時間の後、毛髪をすすぎ、必要であれば再洗髪する。染料前駆体の前使用が毛髪内へのより良い浸透をもたらすことを目的とした、この実施態様の第1の変法によれば、対応する製剤は、約4〜7のpH値に調整される。第2の変法によれば、大気酸化が初めに求められ、塗布される製剤は7〜10のpH値を有することが好ましい。その後に続く促進された後酸化のために、酸化剤として、酸性のペルオキシジスルフェート溶液のさらなる使用が好適であり得る。
【0086】
同様に、強力な染色を得るために、特定の金属イオンまたは複合体を使用することが好適であり得る。適当な金属イオンは、例えば、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Mn2+、Mn4+、Li、Mg2+、Ca2+、Ce4+、V3+、Co2+、Ru3+およびAl3+である。Zn2+、Cu2+およびMn2+が、特に好ましい。原則として、金属イオンは、任意の好ましい生理的適合性塩の形態、または錯化合物の形態で使用し得る。好ましい塩は、酢酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、乳酸塩および酒石酸塩である。これらの金属塩を使用することにより、染色を促進し、目標とする色合いに影響を与えることができる。
【0087】
特に好ましい製剤は、0.0001〜2.5重量%の、好ましくは0.001〜1重量%の、塩化銅(CuCl)、硫酸銅(CuSO)、硫酸鉄(II)、硫酸マンガン(II)、塩化マンガン(II)、塩化コバルト(II)、硫酸セリウム、塩化セリウム、硫酸バナジウム、二酸化マンガン(MnO)の群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。
【0088】
本発明によれば、「錯化剤」を使用することも好ましい。錯化剤は、金属イオンを錯化することができる物質である。好ましい錯化剤は、「キレート」錯化剤であり、すなわち金属イオンと環状化合物を形成する物質であり、1つのリガンドが中心原子における2つ以上の配位を有する、すなわち少なくとも「二座」である。この場合、伸長した化合物は、このように、イオンによる錯化により一般に閉鎖し、環になる。結合リガンドの数は、中心原子の配位数に依存する。
【0089】
全ての先行技術の錯化剤を本発明の目的のために使用し得る。これらは種々の化学群に属し得る。以下のものを個別にまたは互いに組み合わせて、好ましくは使用し得る:
カルボキシル基および場合によりヒドロキシ基の合計量が少なくとも5になるポリカルボン酸、例えばグルコン酸、
窒素含有モノカルボン酸またはポリカルボン酸、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリド二酢酸−3−プロピオン酸、イソセリン二酢酸、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−(1,2−ジカルボキシ−2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−(1,2−ジカルボキシ−2−ヒドロキシエチル)アスパラギン酸またはニトリロ三酢酸(NTA)
ジェミナルジホスホン酸、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、最大8個の炭素原子を有するその高級同族体、およびそのヒドロキシ基またはアミノ基含有誘導体、ならびに1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、最大8個の炭素原子を有するその高級同族体、およびそのヒドロキシ基またはアミノ基含有誘導体、
アミノホスホン酸、例えば、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、またはニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、
ホスホノポリカルボン酸、例えば、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、および
シクロデキストリン。
【0090】
本発明に好ましい錯化剤は、ホスホン酸塩、好ましくはヒドロキシアルカン−またはアミノアルカンホスホン酸塩、特に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸塩(HEDP)またはそれらの二ナトリウム塩または三ナトリウム塩および/またはエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸塩(EDTMP)またはその六ナトリウム塩および/またはジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸塩(DTPMP)またはその七ナトリム塩または八ナトリウム塩である。
【0091】
すでに述べたように、本発明の製剤は、純粋な明色化剤(すなわちブロンド化剤)だけでなく、明色化と同時にケラチン繊維の染色をもたらす染色および明色化剤も提供し得る。
【0092】
染色された色における要求に応じて、当業者は、特に皮膚またはケラチン含有繊維(例えば人の毛髪)用の色修正化粧品を提供するための種々の染色系を知っている。
【0093】
当業者に既知であるように、対応する堅牢性を有する耐久性のある高強度染色のために、「酸化染料調製剤」を使用する。そのような染色調製物は、酸化染料前駆体、すなわち、「顕色成分」および「カプラー成分」を通常含有している。酸化剤または大気中の酸素の影響下で、顕色成分は互いに作用して、または1つ以上のカプラー成分と結合して、染料となる。酸化染料調製物は、優れた持続性染色効果により区別される。しかしながら、自然に見える染色した色を達成すべき場合には、比較的多数の酸化染料前駆体の混合物の使用が通常必要であり、さらに、多くの場合、直接染料がシェーディング目的のために使用される。
【0094】
一時的な染色のために、着色成分として「直接」染料を含む染料またはティントが通常用いられる。これらは、基質に直接入り、発色のための酸化過程を必要としない染料分子である。これらの染料は、例えば、体や毛髪を染色するために古くから知られているヘンナを包含する。これらの染料は、一般的に酸化染色した色よりもシャンプーに対する感受性が非常に高いので、しばしば望ましくない色の変化または目に見える一定の退色が一層速く起こる。
【0095】
最後に、別の染色方法がかなりの関心を集めている。この方法においては、天然毛髪着色剤メラニンの前駆体を基質(例えば毛髪)に対して使用する;これらは毛髪における酸化過程において天然類似染料を形成する。5,6-ジヒドロキシインドリンを含有する製剤を特に多く使用した場合には、白髪の人の毛髪を自然な色に復元することができる。着色は、大気中の酸素を唯一の酸化剤として開始することができ、さらなる酸化剤を使用する必要はない。もともと中程度のブロンドないし褐色の毛髪の人の場合には、インドリンを唯一の染料前駆体として使用することができる。もともと赤色、特に濃色ないし黒色の毛髪の人に使用する場合には、しばしば、さらなる染料成分、特に特定の酸化染料前駆体の使用によってのみ満足のゆく結果を得ることができる。
【0096】
色修正のための1つの実施態様において、本発明の主題を、少なくとも1つの色修正成分と組み合わせ得る。本発明の目的のための色修正成分は、好ましくは、
(1)少なくとも1つの酸化染料前駆体、および/または
(2)少なくとも1つの直接染料
から選択される。
【0097】
このため、そのような本発明の製剤は、少なくとも1つの染料前駆体、好ましくは酸化染料前駆体および/または少なくとも1つの直接染料を含有する。これらの中でも「酸化染料調製物」が特に好ましい。
【0098】
本発明の酸化染料調製物は、少なくとも1つのカプラー成分と少なくとも1つの顕色成分を含有する。カプラー成分および顕色成分は、酸化染料前駆体として既知である。本発明の酸化染料調製物は、さらに、シェーディング剤として直接染料を含んでいてもよい。
【0099】
したがって、ケラチン繊維の染色および/または明色化のための本発明の好ましい製剤は、顕色型および/またはカプラー型の、少なくとも1つの酸化染料前駆体を含有することを特徴とする。
【0100】
好ましい顕色成分は、下記からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である:
p−フェニレンジアミン、p−トリレンジアミン、2−(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−(1,2−ジヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(4−アミノ−3−メチルフェニル)−N−[3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]アミン、N,N’−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス−(4−アミノフェニル)−1,3−ジアミノプロパン−2−オール、ビス−(2−ヒドロキシ−5−アミノフェニル)メタン、1,3−ビス−2,5−ジアミノフェノキシ)プロパン−2−オール、N,N’−ビス−(4’−アミノフェニル)−1,4−ジアザシクロヘプタン、1,10−ビス−(2,5−ジアミノフェニル)−1,4,7,10−テトラオキサデカン、p−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール、4−アミノ−2−(1,2−ジヒドロキシエチル)フェノールおよび4−アミノ−2−(ジエチルアミノメチル)フェノール、4,5−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエチル)ピラゾール、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5,6−トリアミノピリミジン、ならびにこれらの生理学的適合性塩。
【0101】
酸化的染色において、カプラー成分単独では、大幅に染色された色を形成しないため、常に顕色成分の存在を必要とする。したがって、本発明によれば、少なくとも1つの顕色成分を使用する場合、少なくとも1つのカプラー成分も使用することが好ましい。
【0102】
特に好ましいカプラー成分は、下記から選択される:
m−アミノフェノール、5−アミノ−2−メチルフェノール、3−アミノ−2−クロロ−6−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−アミノフェノキシエタノール、5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール、5−(2−ヒドロキシエチル)−アミノ−2−メチルフェノール、2,4−ジクロロ−3−アミノフェノール、2−アミノフェノール、3−フェニレンジアミン、2−(2,4−ジアミノフェノキシ)エタノール、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、2,6−ビス−(2’−ヒドロキシエチルアミノ)−1−メチルベンゼン、2−({3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−メトキシ−5−メチルフェニル}アミノ)エタノール、2−({3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メトキシ−5−メチルフェニル}アミノ)エタノール、2−({3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4、5−ジメチルフェニル}アミノ)エタノール、2−[3−モルホリン−4−イルフェニル)アミノ]エタノール、3−アミノ−4−(2−メトキシエトキシ)−5−メチルフェニルアミン、1−アミノ−3−ビス−(2’−ヒドロキシエチル)−アミノベンゼン、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン、1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン、1−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、4−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドール、7−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシインドリン、6−ヒドロキシインドリン、7−ヒドロキシインドリン、またはこれらの混合物、あるいは前記化合物の生理学的適合性塩。
【0103】
顕色成分およびカプラー成分は、好ましくは、即用酸化染料調製物に対して、それぞれ、0.005〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で使用される。
【0104】
顕色剤成分とカプラー成分は、通常、互いにほぼモル量で使用される。モル量の使用は好都合であることもわかっているが、一定の過剰な個々の酸化染料前駆体は不都合ではなく、その結果、顕色剤成分およびカプラー成分が1:0.5〜1:3、特に1:1〜1:2のモル比で存在し得る。
【0105】
さらに、本発明の製剤は、少なくとも1つの直接染料を含有し得る。これらは毛髪に直接入り、発色のための酸化過程を必要としない。直接染料は、通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノンまたはインドフェノールである。
【0106】
直接染料は、好ましくはそれぞれ、即用調製物全体に対して0.001〜20重量%の量で使用される。直接染料の総重量は、好ましくは最大でも20重量%である。
【0107】
直接染料は、アニオン性、カチオン性および非イオン性直接染料に細分化され得る。好ましいアニオン性直接染料は、Acid Yellow 1、Yellow 10、Acid Yellow 23、Acid Yellow 36、Acid Orange 7、Acid Red 33、Acid Red 52、Pigment Red 57:1、Acid Blue 7、Acid Green 50、Acid Violet 43、Acid Black 1およびAcid Black 52の国際名または商品名で既知の化合物である。好ましいカチオン性直接染料はカチオン性トリフェニルメタン染料であり、例えばBasic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2およびBasic Violet 14;第4級窒素基で置換された芳香族系、例えばBasic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 99、Basic Brown 16およびBasic Brown 17、および、例えばEP−A2−998908の請求項6〜11に記載されるような(ここで該文献が明らかに参照される)、少なくとも1つの第4級窒素基を含む複素環を含んでなる直接染料である。また、Basic Yellow 87、Basic Orange 31およびBasic Red 51の名称で既知の化合物も非常に好ましいカチオン性直接染料である。商品名Arianor(登録商標)のもと流通しているカチオン性直接染料も、同様に、本発明に非常に好ましいカチオン性直接染料である。適当な非イオン性直接染料は、特に非イオン性ニトロおよびキノン染料および天然アゾ染料である。好ましい非イオン性直接染料は、HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、HC Orange 1、Disperse Orange 3、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、HC Red BN、HC Blue 2、HC Blue 11、HC Blue 12、Disperse Blue 3、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Black 9の国際名または商品名で既知の化合物、および1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、1,4−ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロベンゼン、3−ニトロ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノフェノール、2−(2’−ヒドロキシエチル)アミノ−4,6−ジニトロフェノール、4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−ニトロ−1−メチルベンゼン、1−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−5−クロロ−2−ニトロベンゼン、4−アミノ−3−ニトロフェノール、1−(2’−ウレイドエチル)アミノ−4−ニトロベンゼン、2−[(4−アミノ−2−ニトロフェノール)アミノ]−安息香酸、6−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、4−エチルアミノ−3−ニトロ安息香酸および2−クロロ−6−エチルアミノ−4−ニトロフェノールである。
【0108】
直接染料は、いずれの場合にも均一な化合物である必要はない。それよりむしろ、個々の染料の製造行程の結果として、従属的な量の付加的成分が存在していてもよい。但し、それらが染色効果に不都合な影響を与えないこと、または、例えば、毒物学的のような他の理由により排除される必要がないことを条件とする。
【0109】
さらに、直接染料として、例えば、ヘンナレッド、ヘンナニュートラル、ヘンナブラック、カモミールの花、ビャクダン、紅茶、セイヨウイソノキの樹皮、セージ、ロッグウッド、アカネの根、アセンヤクノキおよびアルカンナの根に含まれるような天然に存在する直接染料も含有し得る。
【0110】
さらに、本発明の製剤は、さらなる活性成分、助剤物質および添加剤、例えば、非イオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、双性イオン性および両性ポリマー、アニオン性ポリマー、増粘剤、構造剤、ヘアコンディショニング化合物、タンパク加水分解物、香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン、繊維構造を改善する活性物質、シリコーンのような消泡剤、製剤を着色するための染料、ピロクトンオラミン、亜鉛オマジンおよびクリムバゾールのようなフケ防止活性成分、光安定剤、特に、誘導体化ベンゾフェノン、桂皮酸誘導体およびトリアジン、活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびその塩およびビサボロール、ビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体、特にビタミンA、B、B、B、C、E、FおよびH、植物物抽出物、コレステロール、粘稠度調整剤、例えば糖エステル、ポリオールエステルまたはポリオールアルキルエーテル、脂肪およびロウ、例えば、鯨ロウ、ミツロウ、モンタンロウおよびパラフィン、脂肪酸アルカノールアミド、膨張および浸透物質、乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー、真珠光沢剤、顔料、過酸化水素および他の酸化剤のための安定化剤、噴射剤、例えば、プロパン/ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、COおよび空気、酸化防止剤を含み得る。
【0111】
当業者は、製剤の所望する特性にしたがってこれらのさらなる物質を選択するであろう。
【0112】
さらなる任意の成分およびこれらの成分の使用量に関しては、当業者に既知の関連ハンドブック、例えば、Kh. Schraeder, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika、第2版、Huethig Buch Verlag、ハイデルベルグ、1989年に明確に参照される。
【0113】
本発明の組成物は、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウムおよび/またはカルバミン酸アンモニウムの群から選択される少なくとも1つのアンモニウム化合物を、製剤の総重量に対して0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の量で、さらなる成分として含有し得る。
【0114】
本発明の製剤は、化粧品担体中に活性成分を含有する。この化粧品担体は、好ましくは水溶液、アルコールまたはアルコール水溶液である。毛髪脱色の目的に適する担体は、例えば、クリーム、エマルション、ゲルまたは界面活性剤含有フォーミング溶液、例えばシャンプー、フォームエアゾールまたは毛髪における使用に適した他の調製物である。しかしながら、粉末状またはタブレット状の調製物を提供することも可能であり、これは明色化剤に好適である。使用前に、前記調製物を溶剤(例えば水または有機溶剤あるいは水と有機溶剤の混合物)に混合し、塗布混合物を得る。
【0115】
本発明のための水溶性担体は、少なくとも40重量%、特に少なくとも50重量%の水を含有する。
【0116】
本発明の目的のために、水−アルコール溶液は、3〜70重量%のC〜Cアルコール、特にエタノールまたはイソプロパノールを含む水溶液であると理解すべきである。本発明の製剤は、さらに他の有機溶剤、例えばメトキシブタノール、エチルジグリコール、1,2−プロピレングリコール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ブチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、およびジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルを含有し得る。全ての水溶性有機溶剤がこの目的に好適である。
【0117】
本発明の好ましい製剤は、さらに非水性溶剤を含有することを特徴とし、特に好ましい本発明の製剤は、それぞれ製剤に対して0.1〜30重量%の濃度、好ましくは1〜20重量%の濃度、非常に好ましくは2〜10重量の濃度の有機溶剤を含む。
【0118】
第2に、本発明は、特に人の毛髪におけるケラチン繊維を明色化するための方法であって、本発明の第1の主題の製剤をケラチン含有繊維に塗布し、該繊維を5〜60分間放置し、その後濯ぎ流すかシャンプーにより洗浄する方法を提供する。特に、5〜60分の暴露時間中の温度は10〜40℃、特に20〜38℃である。
【0119】
そのような方法のために、方法が、
必要な場合に、前処理剤M1を繊維に塗布し、その後
製剤M2(場合により使用前にさらなる製剤M3を製剤M2に加える)を繊維に使用し、
5〜60分後、繊維から製剤M2を濯ぎ流し、
処理後、必要に応じて後処理剤M4を繊維に塗布し、数分間の露出時間の後再度濯ぎ流す、〔製剤M1、M2またはM3あるいは製剤M2とM3の混合物の少なくとも1つは、本発明の第1の主題にしたがった本発明の製剤である〕
ことを特徴とすることが好適であり得る。
【0120】
したがって、本発明の製剤は、一成分製剤(染色調製物および/または明色化剤M2)として調製されてもよく、二成分製剤(M2+M3)として調製されてもよく、それに応じて使用し得る。多成分系中の分割は、特に成分の非相溶性が起こり得るまたは懸念される場合に考慮し得る。このような系においては、使用する製剤は、消費者により塗布直前に成分を混合することにより調製される。
【0121】
一般構造式(I)の化合物および共漂白活性剤が、初めは過酸化水素と別々に存在している染色および/または明色化の方法が好ましい。したがって、本発明は人の毛髪を明色化し、場合により染色もする方法であって、過酸化水素を含有する水系組成物を、少なくとも1つの一般構造式(I)の化合物と少なくとも1つの毒物学的に安全な共漂白活性剤(上記参照)を含有する組成物と混合し、本発明の第1の主題の製剤を形成し、その後毛髪に塗布する方法を提供する。
【0122】
人の毛髪を明色化し、場合により染色もする本発明の方法のさらなる実施態様は、過酸化水素を含有する水系組成物を、好ましくは少なくとも1つのアルカリ供与体および/または直接毛髪染料および/または少なくとも1つの酸化染料前駆体を含有する別の製剤と、一般構造式(I)(上記参照)の化合物および共漂白活性剤(上記参照)も含有する製剤と混合し、均質組成物を形成し、その後毛髪に塗布する場合に得られる。
【0123】
第3に、本発明は、本発明の第1の主題の製剤の、特に人の毛髪におけるケラチン含有繊維を明色化するための使用を提供する。
【0124】
本発明の方法および本発明の使用のさらなる好ましい実施態様に関しては、本発明の製剤についての記載を準用する。
【実施例】
【0125】
1.0.4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネートの合成
【化3】

【0126】
30.0g(0.25モル)の4−アセチルピリジンおよび55.8g(0.30モル)のp−トルエンスルホン酸メチルエステルを加熱し、500mlのエタノール中で5時間還流させた。ロータリーエバポレーターにおいて溶剤を真空下で除去し、残留物をエーテルに溶解させた。エーテル相を分離した後、生成物が徐々に結晶化した。生成物を真空下で乾燥させた。
収率:59.9g(82.5%);H-NMR (400 MHz. DMSO-d6): δ [ppm] = 2.26 (s, 3H); 2.72 (s, 3H); 3.39 (s, 3H); 7.11 (d, 2H); 7.49 (d, 2H); 8.42 (d, 2H); 9.20 (d, 2H); 13C-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ [ppm] = 20.8; 26.4; 48.1; 124.8; 125.3; 127.7; 138.9; 145.2; 146.5; 148.3; 195.8
【0127】
2.0.ブロンド化の実施例
2.1.過酸化水素と共漂白活性剤によるブロンド化
2.1.1.ブロンド化クリームの調製
【0128】
ブロンド化クリームは、以下に記載した成分から調製した。
【0129】
【表2】

【0130】

【0131】
Hydrenol D、Lorol、Eumulgin B1、Eumulgin B2、Akypo Soft 45 NV、Plantacare 1200 UPおよびTexapon K 14 S 70 Cを80℃でともに溶解し、一部の量の水に分散させた。その後、処方の残りの成分を相次いで攪拌した。その後、水で処方を100重量%にし、調製物を冷たくなるまで攪拌した。
【0132】
調製物の比較例1および比較例2は、本発明に従わない共漂白活性剤を含有しない比較調製物である。調製物の実施例1〜3は、漂白活性剤4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネートおよび共漂白活性剤を含有する本発明の実施例である。
【0133】
2.1.2.顕色剤分散物との混合
各ブロンド化クリームを、下記組成物の顕色剤分散物と1:1の割合で十分に混合した。最終的な塗布混合物のpH値は、9〜10.2の間であった。
【0134】
【表3】

【0135】

【0136】
約0.7gの重量の、暗いブロンド、明るい茶色および暗い茶色の毛髪の房(コード:Kerling 7/0、Fischbach & Miller 6923およびKerling 2/0)に、4倍量の最終塗布混合物を塗布した。該房を32℃で30分間ブロンド化した後、一般的な化粧品シャンプーで洗浄し、その後ヘアドライヤーで乾燥させた。
【0137】
2.1.3.明色化力の評価
各毛髪の房を、漂白の前後で比色分析により測定した。下記式によるdL値を、明色化力の尺度として使用した。
dL=Lafter−Lbefore
〔式中、Lafterは漂白後の房の明度であり、Lbeforeは漂白前の明度である。〕
【0138】
各調製物および各毛髪タイプでそれぞれ12回の測定を行い、それぞれの平均を個々の値から計算した。dL値が大きいほど調製物の明色化力は良好である。
【0139】
暗いブロンドの房(Kerling 7/0)における明色化力
【表4】

【0140】
明るい茶色の房(Fischbach & Miller 6923)における明色化力
【表5】

【0141】
暗い茶色の房(Kerling 2/0)における明色化力
【表6】

【0142】
2.1.4.結果の説明
種々の調製物の漂白活性は、dL値を比較することにより評価することができる。過酸化水素だけを使用した場合またはアシルピリジニウム誘導体と組み合わせた場合に可能となるものより、本発明にしたがって、過酸化水素、特定の共漂白活性剤およびカチオン性アシルピリジニウム誘導体を組み合わせることにより、著しく高いdL値、すなわち良好な明色化を達成することができることが明らかにわかる。この3つの成分の特定の組み合わせを用いることにより、現存する先行技術に比べて、かなりの改善を達成することが可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維の明色化用製剤であって、化粧品担体に、
(i)式(I):
【化1】

〔式中、Rは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cヒドロキシアルキル基、C〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル基、カルボキシ−C〜Cアルキル基、アリール−C〜Cアルキル基、ヘテロアリール−C〜Cアルキル基、モノ−またはジ−C〜C−アルキルアミノ−C〜C−アルキル基、3−オキソブチル基、2−オキソプロピル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、
R’は、C〜Cアルキル基、C〜Cヒドロキシアルキル基またはC〜C−アルコキシ−C〜Cアルキル基を表し、
は、生理学的適合性アニオンを表す〕
で示される少なくとも1つのカチオン性アシルピリジニウム誘導体、
(ii)少なくとも1つの、毒物学的に安全な共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩、および
(iii)過酸化水素
を含有する製剤。
【請求項2】
式(I)のRが、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cヒドロキシアルキル基である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
4−アセチル−1−メチルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−メチルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−メチルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−メチルピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−アリルピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−アリルピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−アリルピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−アリルピリジニウムハイドロジェンスルフェート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムベンゼンスルホネート、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムブロミド、4−アセチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−ピリジニウムハイドロジェンスルフェートからなる群の少なくとも1つの化合物から選択される、少なくとも1つの式(I)の化合物が存在する、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
式(I)のアシルピリジニウム誘導体が、それぞれ、即用製剤の総重量に対して0.01〜25重量%、特に0.1〜10重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩として、少なくとも1つの脂肪族および/または炭素環共漂白活性剤を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩が、ヒドロキシ基、カルボン酸、硫酸モノエステルまたはリン酸モノエステルから選択される少なくとも1つの官能基を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
共漂白活性剤として、少なくとも1つの、式(II):
【化2】

〔式中、Yは、カルボニル基、直接結合またはメチレン基を表し、
R1は、水素、C〜Cアルキル基、生理学的適合性カチオンまたはSOまたはPO2−基を表し、
R2は、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、トリメチルアミノ基、フェニル基、ベンジル基、フェノキシメチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−トルオイル基、3−トルオイル基、4−トルオイル基またはR4−O−(CHCHO)基[式中、R4はC〜C20アルキル基を表し、nは15を超える数を表す]を表し、
R3は、水素、または場合により分枝したC〜Cアルキル基を表す;
但し、Yがカルボニル基を表す場合、
R1は、水素、C〜Cアルキル基または生理学的適合性カチオンを表し、
R2は、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基またはトリメチルアミノ基を表し、かつ、R3は、水素または場合により分枝したC〜Cアルキル基を表し、
Yが直接接合を表す場合、
R1は水素を表し、
R2は、フェニル基、ベンジル基、フェノキシメチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−トルオイル基、3−トルオイル基または4−トルオイル基を表し、かつ、
R3は、水素、または場合により分枝したC〜Cアルキル基を表し、
Yがメチレン基を表す場合、
R1は、SOまたはPO2−基を表し、
R2は、R4−O−(CHCHO)基[式中、R4はC〜C20アルキル基を表し、nは15を超える数を表す]を表し、かつ
R3は、水素を表す〕
で示される共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
共漂白活性剤として、グリシンおよび/またはその生理学的適合性塩が存在する、請求項1〜7のいずれかに記載の製剤。
【請求項9】
共漂白活性剤として、ベンジルアルコールを含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の製剤。
【請求項10】
共漂白活性剤として、R4−O(CHCHO)−SO〔式中、R4はC〜C20アルキル基を表し、mは15を超える数を表す〕の生理学的適合性塩を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
共漂白活性剤および/またはその生理学的適合性塩が、即用製剤の総重量に対して、0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%の量で存在する、請求項1〜10のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
7〜11のpH値を有する、請求項1〜11のいずれかに記載の製剤。
【請求項13】
少なくとも1つの無機過硫酸塩またはペルオキソ二硫酸塩、特にペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよび/またはペルオキソ二硫酸ナトリウムがさらに存在する、請求項1〜12のいずれかに記載の製剤。
【請求項14】
ケラチン繊維を明色化するための方法であって、請求項1〜13のいずれかに記載の製剤を、ケラチン含有繊維に塗布し、該繊維を5〜60分放置した後、濯ぎ流すまたはシャンプーにより洗い流す方法。
【請求項15】
特に人毛におけるケラチン含有繊維の明色化のための、請求項1〜13のいずれかに記載の製剤の化粧的使用。

【公表番号】特表2011−520800(P2011−520800A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507845(P2011−507845)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051835
【国際公開番号】WO2009/135700
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】