説明

カチオン性微粒子およびHCVE1E2DNAを含有する組成物ならびにその使用

免疫原性HCV ElE2809 DNA組成物およびその使用方法を記載する。この組成物は、カチオン性微粒子(ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)微粒子など)に吸着したHCV EIE2809 DNAを含む。本発明は、本質的に、薬学的に受容可能な賦形剤およびカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる組成物であって、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である、組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、HCV免疫原をコードするDNAを含む免疫原性組成物に関する。特に、本発明は、カチオン性微粒子に吸着したHCV E1E2ポリペプチドをコードするDNAを含む組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
C型肝炎ウイルス(HCV)は十数年前に同定され、非A非B型肝炎の主な原因であることが知られている(Choo et al.,Science(1989)244:359−362;Armstrong et al.,Hepatology(2000)31:777)。HCVは、全世界で約3%(推定200万人)が感染している(Cohen,J.,Science(1999)285:26)。米国では、毎年約30,000人がHCVに感染している。さらに、発展途上国では、HCV感染率が高い。免疫応答はHCV感染を除去することができるにもかかわらず、大部分の感染は慢性となる。ほとんどの急性感染は無症候性であり、通常、慢性感染の数年後にしか肝臓疾患を発症しない。
【0003】
配列の獲得方法として、HCVのウイルスゲノム配列は公知である。例えば、国際公開番号WO89/04669;WO 90/11089;およびWO 90/14436を参照のこと。HCVは、9.5kbの正の向きの一本鎖RNAゲノムを有し、ウイルスのフラビウイルス科のメンバーである。系統樹分析に基づいて、少なくとも6つの異なるが関連するHCVの遺伝子型が同定されている(Simmondset al.,J.Gen.Virol.(1993)74:2391−2399)。ウイルスは、3000個を超えるアミノ酸残基を有する単一ポリタンパク質をコードする(Chooetal.,Science(1989)244:359− 362;Choo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455;Han et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:1711−1715)。ポリタンパク質は、翻訳時および翻訳後に構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質にプロセシングされる。2つの構造タンパク質は、E1およびE2として公知のエンベロープ糖タンパク質である。HCV E1およびE2糖タンパク質は、霊長類での研究でウイルス攻撃から保護することが示された(Choo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91:1294−1298)。
【0004】
現在、唯一利用可能なHCVの治療薬は、IFN−αおよびリバビリンである。不運なことに、これらの薬剤は、治療患者の半分未満でしか有効ではない(Poynard et al.,Lancet(1998)352:1426;McHutchison et al.,Engl.J.Med.(1998)339:1485)。したがって、HCV感染を防止する有効なワクチンおよび既存の治療薬の代わりまたは組み合わせて使用される免疫治療薬の開発が急務である。
【0005】
HCVに対するT細胞免疫は、HCV感染およびHCV疾患の結果を決定することができる(Missale et al.,J.Clin.Invest.(1996)98:706;Cooper et al.,Immunity(1999)10:439;およびLechner et al.,J Exp.Med.(2000)191:1499)。1つの研究は、TH0/Th1CD4+Tヘルパー応答を支配的に示す個体はHCV感染を解決する一方で、Th2型応答を示す個体は慢性化すると結論づけた(Tsai et al.,Hepatology(1997)25:449−458)。さらに、HCV特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の頻度とウイルス量とが逆相間することが示された(Nelson,et al.,J.Immnunol.(1997)158:1473)。最近、チンパンジーにおけるHCVの調節がTh1T細胞応答に関連することが示された(Major et al.,J.Virol.(2002)76:6586−6595)。したがって、HCV特異的T細胞応答は、HCV感染の調節で重要な役割を果たすようである。防御における抗体の役割は、患者の慢性感染の自発的解決というまれなケースに基づくと提案された(Abrignani et al.,J.Hepatol.(1999)31 Suppll:259−263)。さらに、霊長類における防御は、抗E1E2抗体の力価と直接関連し、抗体が防御において役割を果たす可能性が証明された(Choo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91:1294−1298)。
【0006】
DNAワクチンは、一定範囲の動物モデルにおいて強力な長期CTLおよびTh1細胞応答を誘導することが示された(Gurunathan et al.,Ann.Rev.Immunol.(2000)18:927−974)。DNAワクチンは多数の臨床試験でヒトボランティアに投与され、安全に見えるが、その効力はより小さな動物モデルにおいて得られる応答との関連は低かった(Gurunathan et al.,Ann.Rev.Immunol.(2000)18:927−974)。例えば、検出可能なCTL応答がヒトボランティアで誘導されているが、高用量のDNA(2.5mg)でさえも検出可能な抗体応答を誘導できなかった(Wang et al.,Science(1998)282:476−480)。効力を改善しようとしてDNA送達のために無針ジェット式注射デバイスを使用した場合でさえ、DNA送達抗体応答はヒトボランティアで検出されなかった(Epstein et al.,Hum.Gen.Ther(2002)13:1551−1560)。したがって、特にヒト応答のためにDNAワクチンの効力および有効性の改善が明確に必要である。
【0007】
適切な免疫応答を誘発するために、吸着または捕捉された抗原を有する特定のキャリアが使用される。特定のキャリアの例には、ポリ(ラクチド)由来の微粒子(例えば、米国特許第3,773,919号を参照のこと)、PLGとして公知のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(例えば、米国特許第4,767,628号を参照のこと)、およびPEGとして公知のポリエチレングリコール(例えば、米国特許第5,648,095号を参照のこと)由来のキャリアが含まれる。ポリメチルメタクリレートポリマーは非分解性である一方で、PLG粒子は乳酸とグリコール酸とのエステル結合の無作為な非酵素加水分解によって分解可能であり、通常の代謝経路で排泄される。
【0008】
このようなキャリアは選択された高分子の複数のコピーを免疫系に送達して局所リンパ節中の分子の捕捉および保持を促進する。粒子をマクロファージによって貪食することができ、サイトカイン放出による抗原提示を増強することができる。国際公開番号WO 00/050006は、吸着性表面を有するカチオン性微粒子の生成を記載する。DNAワクチンの送達系としてのカチオン性微粒子の使用により、効力が劇的に改善されることが示された(Singh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97:811−816)。例えば、微粒子により、HIV抗原をコードするプラスミドと組み合わせて送達させた場合に一定範囲の動物モデルでの体液性応答およびT細胞応答の両方が増強されることが示された(Singh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97:811−816;Briones et al.,Pharm.Res.(2001)18:709−712;O’Hagan et al.,J.virol.(2001)75:9037−9043)。
【0009】
吸着DNAに対する応答の増強を誘導するための、カチオン性PLG微粒子の作用機構を決定するために多数の研究が行われている。予備研究により、PLG/DNAはインビトロで樹状細胞のトランスフェクションを媒介することができるが、プラスミドDNAではできないことが示された(Denis−Mize et al,GeneTher.(2000)7:2105−2112)。さらに、PLG/DNAは、分解からDNAを保護し、筋肉および局所リンパ節中での遺伝子発現を増強する(Singh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97:811−816;Briones et al.,Pharm.Res.(2001)18:709−712;Denis−Mize et al,Gene Ther.(2000)7:2105−2112)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような粒子送達系の使用にもかかわらず、従来のワクチンは標的にした病原体を適切に防御できないことがある。したがって、安全且つ非毒性の送達因子を含むHCVに対する有効な免疫原性組成物が必要であり続けている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、カチオン性微粒子に吸着させたHCV E1E2809DNAの使用により、E1E2DNAのみよりも抗体力価が有意に高くなるという驚くべき発見に一部基づく。カチオン性微粒子は、DNAを強力に吸着し、負荷効率(loading efficiency)を高くし、吸着DNAの分解を保護し、筋肉中および局所リンパ節中での遺伝子発現を増強することができる。さらに、微粒子を使用して送達されたDNAは、単独で送達されたDNAと対照的に、免疫化後に多数の活性化APCを注射部位に補充することもできる。したがって、このような組み合わせの使用により、HCV E1E2抗原の免疫原性を増強するための安全且つ有効なアプローチが得られる。
【0012】
したがって、1つの実施形態では、本発明は、実質的に薬学的に受容可能な賦形剤およびカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる組成物に関する。ポリヌクレオチドは、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含む。HCV免疫原は、ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列と少なくとも80%の配列が同一であるアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である。
【0013】
特定の実施形態では、HCV E1E2複合体は、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる。
【0014】
さらなる実施形態では、カチオン性微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、およびポリ無水物(ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)など)からなる群より選択されるポリマーから形成される。
【0015】
さらなる実施形態では、本発明は、実質的に、(a)薬学的に受容可能な賦形剤、および
(b)ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成されたカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる組成物に関する。ポリヌクレオチドは、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、HCV免疫原は、ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなるHCV E1E2複合体である。
【0016】
なおさらなる実施形態では、本発明は、実質的に薬学的に受容可能な賦形剤およびカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる治療有効量の第1の組成物を被験体に投与する工程を含む脊椎動物被験体の免疫応答を刺激する方法に関する。ポリヌクレオチドは、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含む。HCV免疫原は、ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列と少なくとも80%の配列が同一であるアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体であり、HCV E1E2複合体が免疫応答を誘発するためにインビボで発現する。
【0017】
特定の実施形態では、HCV E1E2複合体は、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる。
【0018】
さらなる実施形態では、カチオン性微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、およびポリ無水物(ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)など)からなる群より選択されるポリマーから形成される。
【0019】
さらなる実施形態では、方法は、治療有効量の第2の組成物を被験体に投与する工程をさらに含み、第2の組成物は、免疫原性HCVポリペプチドおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含む。
【0020】
特定の実施形態では、第2の組成物を第1の組成物の後に投与する。加えて、第2の組成物中の免疫原性HCVポリペプチドは、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列と少なくとも80%の配列が同一であるアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体であり得る。さらなる実施形態では、HCV E1E2複合体は、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる。
【0021】
さらなる実施形態では、第2の組成物は、免疫原性HCVポリペプチドに対する免疫応答を増強することができる1ミクロン未満などのアジュバントをさらに含む。1ミクロン未満の水中油型エマルジョンは、(i)全体積の1%〜12%の量で存在する代謝可能な油と、(ii)0.01重量%〜1重量%の量で存在し、ポリオキシエチレンソルビタンのモノ、ジ、またはトリエステルおよび/またはソルビタンのモノ、ジ、またはトリエステルを含む乳化剤とを含み、油および乳化剤は、油滴を有する油中水滴型乳濁液の形態で存在し、油滴の実質的に全ての直径が約100nmから1ミクロン未満である。
【0022】
特定の実施形態では、1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、4〜5w/v%スクアレン、0.25〜1.0w/v%モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、および/または0.25〜1.0%トリオレイン酸ソルビタン、ならびに、任意選択的に、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む。
【0023】
さらなる実施形態では、1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、実質的に、約5重量%のスクアレンならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される1種以上の乳化剤からなり、乳化剤の全存在量が約1重量%(w/v)である。
【0024】
さらなる実施形態では、1種以上の乳化剤がモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンであり、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンの全存在量が約1重量%(w/v)である。
【0025】
なおさらなる実施形態では、第2の組成物は、CpGオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、脊椎動物被験体の免疫応答を刺激する方法において、
(a)実質的にポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成したカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる治療有効量の第1の組成物を被験体に投与する工程と、ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、HCV免疫原が、ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなるHCV E1E2複合体であることと、HCV E1E2複合体がインビボで発現することと、
(b)治療有効量の第2の組成物を被験体に投与することと、この第2の組成物が、この被験体で免疫応答を誘発するための(i)図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる免疫原性HCV E1E2複合体、(ii)アジュバント、および(iii)薬学的に受容可能な賦形剤を含む、脊椎動物被験体の免疫応答を刺激する方法に関する。
【0027】
特定の実施形態では、アジュバントは、第2の組成物中で免疫原性HCV E1E2複合体に対する免疫応答を増強することができる1ミクロン未満の水中油型エマルジョンである。1ミクロン未満の水中油型エマルジョンは、(i)全体積の1%〜12%の量で存在する代謝可能な油と、(ii)0.01重量%〜1重量%の量で存在し、ポリオキシエチレンソルビタンのモノ、ジ、またはトリエステルおよび/またはソルビタンのモノ、ジ、またはトリエステルを含む乳化剤とを含み、油および乳化剤は、油滴を有する油中水滴型乳濁液の形態で存在し、この油滴の実質的に全ての直径が約100nmから1ミクロン未満である。
【0028】
さらなる実施形態では、1ミクロン未満の水中油型エマルジョンは、4〜5w/v%スクアレン、0.25〜1.0w/v%モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、および/または0.25〜1.0%トリオレイン酸ソルビタン、ならびに、任意選択的に、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む。
【0029】
さらなる実施形態では、1ミクロン未満の水中油型エマルジョンは、実質的に、約5重量%のスクアレンならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される1種以上の乳化剤からなり、乳化剤の全存在量が約1重量%(w/v)である。
【0030】
さらなる実施形態では、1種以上の乳化剤はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンであり、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンの全存在量が約1重量%(w/v)である。
【0031】
特定の実施形態では、第2の組成物がCpGオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0032】
なおさらなる実施形態では、本発明は、薬学的に受容可能な賦形剤をカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドと組み合わせる工程を含む組成物の作製方法に関する。ポリヌクレオチドは、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含む。HCV免疫原は、ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列と少なくとも80%の配列が同一であるアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である。
【0033】
本明細書中の開示を考慮して、当業者は、本発明のこれらおよび他の実施形態を容易に思いつく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明は、特に指定のない限り、当業者の技術の範囲内の従来の化学的方法、生物化学的方法、組換えDNA技術による方法および免疫学的方法を使用する。このような技術は、文献中に完全に説明されている。例えば、Fundamental Virology,2nd Edition,vol.I &II(B.N.Fields および D.M.Knipe,eds.);Hおよびbook of Experimental Immunology,Vols.I−IV(D.M.Weir および C.C.Blackwell eds.,Blackwell Scientific Publications);T.E.Creighton,Proteins:Structures および Molecular Properties(W.H.Freeman および Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition);Sambrook,et al.,MolecularCloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);Methods In Enzymology(S.Colowick および N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)を参照のこと。
【0035】
以下のアミノ酸の略語を本明細書を通して使用する:
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
トレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)。
【0036】
(1.定義)
本発明の記載において、以下の用語を使用し、以下で示すように定義することを意図する。
【0037】
本明細書および添付の特許請求範囲で使用される、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈中で明らかに別のものを示さない限り、複数形が含まれることを留意しなければならない。したがって、例えば、「E1E2ポリペプチド」には、1種以上のこのようなポリペプチドの混合物などが含まれる。
【0038】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指し、産物の長さの下限に制限されない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、および多量体などは、この定義の範囲内に含まれる。全長タンパク質およびそのフラグメントは共にこの定義に含まれる。この用語には、ポリペプチドの発現後修飾(例えば、グリコシル化、アセチル化、およびリン酸化)も含まれる。さらに、本発明の目的のために、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を保持する限り、天然の配列の修飾(欠失、付加、および置換(一般に、事実上保存的))を含むタンパク質をいう。これらの修飾は部位特異的変異誘発による意図的なものであり得るか、タンパク質を産生する宿主の変異またはPCR増幅に起因するエラーなどによる偶然のものであり得る。
【0039】
「E1ポリペプチド」は、HCVE1領域由来の分子を意味する。HCV−1の成熟E1領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号をつけたポリペプチドの約アミノ酸192から始まり、約アミノ酸383まで続く。(図1および2A〜2Cを参照のこと。図2A〜2Cのアミノ酸192〜383は配列番号2のアミノ酸20位〜211位に対応する)。約173から約191のアミノ酸(配列番号2のアミノ酸1〜19)は、E1のシグナル配列として作用する。したがって、「E1ポリペプチド」は、前駆体(E1タンパク質)(シグナル配列を含む)またはこの配列を欠く成熟E1ポリペプチドまたは異種シグナル配列を有するE1ポリペプチドのいずれかを意味する。E1ポリペプチドには、約アミノ酸360位〜383位が得られるC末端メンバーアンカー配列が含まれる(1996年2月15日に公開された国際公開番号WO 96/04301参照のこと)。本明細書中で定義される「E1タンパク質」は、C末端アンカー配列またはその一部を含んでも含まなくても良い。
【0040】
「E2ポリペプチド」は、HCVE2領域由来の分子を意味する。HCV−1の成熟E2領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号をつけた約アミノ酸383〜385から始まる。(図1および2A〜2Cを参照のこと。図2A〜2Cのアミノ酸383〜385は配列番号2のアミノ酸211位〜213位に対応する)。シグナルペプチドは、ポリタンパク質の約アミノ酸364から始まる。したがって、「E2ポリペプチド」は、シグナル配列を含む前駆体E2タンパク質またはこの配列を欠く成熟E2ポリペプチド、または異種シグナル配列を有するE2ポリペプチドを意味する。E2ポリペプチドには、約アミノ酸715位〜730位が得られるC末端膜アンカー配列が含まれ、約アミノ酸残基746の範囲まで伸長し得る(Lin et al.,J Virol.(1994)68:5063−5073を参照のこと)。本明細書中で定義される、「E2ポリペプチド」は、C末端アンカー配列またはその一部を含んでも含まなくても良い。さらに、E2ポリペプチドは、E2のC末端の直ぐ隣に生じるp7領域の全部または一部も含み得る。図1および2A〜2Cに示すように、p7領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に関して番号をつけた747位〜809位に見出される(配列番号2のアミノ酸575位〜637位)。さらに、複数のHCVE2種が存在することが公知である(Spaete et al.,Virol.(1992)188:819−830;Selby et al.,J;Virol.(1996)70:5177−5182;Grakoui et al.,J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomei et al.,J;Virol.(1993)67:4017−4026)。したがって、本発明の目的のために、用語「E2」は、これらのE2種(E2のN末端から1〜20個またはそれ以上のアミノ酸が欠失した種(例えば、1、2、3、4、5....10...15、16、17、18、19個のアミノ酸の欠失など)が含まれるが、これらに限定されない)を含む。このようなE2種には、アミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403などから始まる種が含まれる。
【0041】
HCV−1の代表的なE1およびE2領域を、図2A〜2Cおよび配列番号2に示す。本発明の目的のために、E1およびE2領域を、HCV−1のゲノムによってコードされるポリタンパク質のアミノ酸番号に関して定義し、開始目地温を1位と指定する。Choo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455を参照のこと。しかし、本明細書中で使用される、用語「E1ポリペプチド」または「E2ポリペプチド」は、HCV−1配列に制限されないことに留意すべきである。これに関して、多のHCV単離物中の対応するE1またはE2領域を、配列アラインメントを最大にする様式での単離物由来の配列のアラインメントによって容易に決定することができる。任意の多数のコンピュータソフトウェア(University of Virginia,Department of Biochemistry(Attn:Dr.William R.Pearson)から利用可能なALIGN1.0など)を使用してこれを行うことができる。Pearson et al.,Proc.Natl.Acad Sci.USA(1988)85:2444−2448を参照のこと。
【0042】
さらに、本明細書中で定義される、「E1ポリペプチド」または「E2ポリペプチド」は、図に示した配列を正確に有するポリペプチドに制限されない。実際には、HCVゲノムはインビボで常に不安定な状態であり、単離物間の可変性が比較的高いいくつかの可変ドメインを含む。これらの株の間で多数の保存領域および可変領域が公知であり、一般に、これらの領域由来のエピトープのアミノ酸配列の配列相同性は高く、例えば、2つの配列をアラインメントした場合、アミノ酸配列は、30%超、好ましくは40%超、60%超、さらに80〜90%相同である。この用語は任意の種々のHCV株および単離物(Simmonds et al.,J.Gen.Virol.(1993)74:2391−2399に記載のHCVの6つの任意の遺伝子型を有する単離物(例えば、株1、2、3、4など)ならびに新規に同定された単離物、およびこれらの単離物のサブタイプ(HCV1a、HCV1bなどなど)が含まれる)由来のE1およびE2ポリペプチドを含むことが容易に明らかである。
【0043】
したがって、例えば、用語「E1」または「E2」ポリペプチドは、以下にさらに定義するように、任意のHCV株由来の天然のE1またはE2、ムテイン(mutein)、および免疫原性フラグメントをいう。これらの株の多数の完全な遺伝子型は公知である。例えば、米国特許第6,150,087号ならびにGenBankアクセッション番号AJ238800およびAJ238799を参照のこと。
【0044】
さらに、用語「E1ポリペプチド」および「E2ポリペプチド」は、天然の配列の修飾(内部欠失、付加、および置換など(事実上保存的))を含むタンパク質(親配列と実質的に相同なタンパク質)を含む。これらの修飾は部位特異的変異誘発による意図的なものであり得るか、天然に存在する変異事象などによる偶然のものであり得る。修飾E1およびE2ポリペプチドがその意図する目的のために機能する限り、これらの全修飾が本発明に含まれる。したがって、例えば、E1および/またはE2ポリペプチドをワクチン組成物中で使用され、免疫学的活性(すなわち、ポリペプチドに対する体液性または細胞性免疫応答を誘発する能力)が喪失しないように修飾すべきである。
【0045】
「E1E2」複合体は、上記のように、少なくとも1つのE1ポリペプチドおよび少なくとも1つのE2ポリペプチドを含むタンパク質を意味する。このような複合体は、E2のC末端のすぐ隣りに生じるp7領域の全部または一部を含み得る。図1および2Aぁら2Cに示すように、p7領域は、全長HCV−1ポリタンパク質(配列番号2のアミノ酸5757位〜637位)に関して番号がつけられた747位〜809位で見出される。p7タンパク質を含む代表的なE1E2複合体を、本明細書中で「E1E2809」と呼ぶ。
【0046】
E1E2複合体中でのE1とE2の会合様式は重要でない。E1およびE2ポリペプチドを、静電気力などの非共有相互作用または共有結合によって会合することができる。例えば、本発明のE1E2ポリペプチドは、上記で定義のように、免疫原性E1ポリペプチドおよび免疫原性E2ポリペプチドを含む融合タンパク質の形態であり得る。融合物を、E1E2キメラをコードするポリヌクレオチドから発現することができる。あるいは、E1E2複合体は、個別に産生されたE1タンパク質とE2タンパク質との単純な混合によって自発的に形成することができる。同様に、同時発現して培地に分泌された場合、E1およびE2タンパク質は、自発的に複合体を形成することができる。したがって、この用語は、E1および/またはE2の精製時に自発的に形成するE1E2複合体(凝集体ともよばれる)を含む。このよう凝集体は、1種以上のE2単量体に会合した1種以上のE1単量体を含み得る。E1単量体およびE2単量体の存在数は、少なくとも1つのE1単量体および1つのE2単量体が存在する限り、同一である必要はない。E1E2複合体の存在は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの標準的なタンパク質検出技術および免疫沈降などの免疫学的技術を使用して容易に検出される。
【0047】
用語「アナログ」および「ムテイン」は、本明細書中に記載のアッセイにおける免疫反応性などの所望の活性を保持した基準分子の生物活性誘導体(E1E2809など)またはこのような誘導体のフラグメントをいう。一般に、用語「アナログ」は、天然のポリペプチド配列、ならびに、修飾によって免疫原性活性が破壊されない限り、天然の分子に対して1種以上のアミノ酸の付加、置換(一般に、事実上保存的)、および/または欠失を受けた構造をいう。用語「ムテイン」は、国際公開番号WO 91/04282などに記載の1種以上のペプチド模倣物(「ペプトイド」)を有するペプチドをいう。好ましくは、アナログまたはムテインは、少なくとも天然の分子と同一の免疫反応性を有する。ポリペプチドアナログおよびムテインの作製方法は当該分野で公知であり、以下にさらに記載する。
【0048】
特に好ましいアナログは、事実上保存的な置換(すなわち、その側鎖に関連するアミノ酸ファミリー内で起こる置換)を含む。詳細には、アミノ酸は、一般に、以下の4つのファミリーに分類される:(1)酸性−−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−−リジン、アルギニン、ヒスチジン、(3)非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、および(4)非荷電極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時折、芳香族アミノ酸として分類される。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの単独置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との単独置換、トレオニンのセリンとの単独置換、またはアミノ酸の構造が関連するアミノ酸への類似の保存的置換は、生物活性に大きな影響を与えないことが合理的に予想される。例えば、E1E2ポリペプチドなどの目的のポリペプチドは、分子の所望の機能が無傷なままである限り、約5〜10個の保存的または非保存的アミノ酸置換、さらに約15〜25個または50個の保存的または非保存的アミノ酸置換、または5〜50の間の任意の整数の保存的または非保存的アミノ酸置換を含み得る。当業者は、当該分野で周知のHopp/WoodsおよびKyte−Coolittleプロットを参照した変化を許容することができる目的の分子の領域を容易に決定することができる。
【0049】
「フラグメント」は、無傷な全長ポリペプチド配列および構造の一部のみからなるポリペプチドを意図する。フラグメントには、天然のポリペプチドのC末端欠失、N末端欠失、および/または内部欠失が含まれ得る。特定のHCVタンパク質の「免疫原性フラグメント」には、一般に、目的のフラグメントが本明細書中に定義の免疫学的応答を誘発する能力を保持するという条件で、エピトープを定義する全長分子の少なくとも約5〜10個の連続アミノ酸残基、好ましくは全長分子の少なくとも約15〜25個の連続アミノ酸残基、最も好ましくは全長分子の少なくとも約20〜50個またはそれ以上の連続アミノ酸残基、または5個のアミノ酸と全長配列との間の任意の整数の連続アミノ酸残基が含まれる。HCV E1およびE2の公知の免疫原性フラグメントの説明については、例えば、Chien et alの国際公開番号WO 93/00365を参照のこと。
【0050】
本明細書中で使用される、用語「エピトープ」は、それ自体で配列またはより大きな配列の一部を定義し、投与した被験体における免疫学的応答を誘発する、少なくとも3〜5個、好ましくは約5〜10個または15個、多くて約500個のアミノ酸(またはその間の任意の整数)の配列をいう。しばしば、エピトープは、このような配列に応答して生成された抗体に結合する。フラグメントの長さの上限は存在せず、タンパク質配列のほぼ全長を含み得るか、HCVポリタンパク質由来の1種以上のエピトープを含む融合タンパク質ですら含み得る。本発明で使用するためのエピトープは、由来する親タンパク質の一部の正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際、ウイルスゲノムは、常に不安定な状態であり、単離物間の可変性が比較的高いいくつかの可変ドメインを含む。したがって、用語「エピトープ」は、天然の配列と同一の配列ならびに欠失、付加、および置換(一般に、事実上保存的)などの天然の配列に対する修飾配列を含む。
【0051】
エピトープを含む所与のポリペプチド領域を、当該分野で周知の任意の数のエピトープマッピング技術を使用して同定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66(Glenn E.Morris,Ed.,1996)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照のこと。例えば、線状エピトープを、例えば、固体支持体上での多数のペプチド(タンパク質分子の一部に対応するペプチド)の同時合成、および依然として支持体に結合しているペプチドの抗体との反応によって決定することができる。このような技術は当該分野で公知であり、例えば、米国特許第4,708,871号;Geysen et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002;Geysen et al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178−182;Geysen et al.(1986)Molec.Immunol.23:709−715に記載されている。このような技術を使用して、HCVの多数のエピトープが同定されている。例えば、Chien et al.,Viral Hepatitis afad Live Disease(1994)pp.320−324およびさらに以下を参照のこと。同様に、エピトープの高次構造は、例えば、X線結晶学および二次元核磁気共鳴などによるアミノ酸の空間的高次構造の決定によって容易に決定される。例えば、Epitope Mapping Protocols,supraを参照のこと。タンパク質の抗原性領域を、標準的な抗原性およびハイドロパシープロット(例えば、Oxford Molecular Groupから利用可能なOmigaバージョン1.0ソフトウェアプログラムをなどを使用して計算したものなど)を使用して同定することもできる。このコンピュータプログラムは、抗原性プロフィールを決定するためのHopp/Woods法(Hopp et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)78:3824−3828)およびハイドロパシープロットのためのKyte−Doolittle技術(Kyte et al.,J;Mol.Biol.(1982)157:105−132)を使用する。
【0052】
本明細書中で使用される、用語「エピトープの高次構造」は、全長タンパク質内のエピトープをコードするアミノ酸起源とする構造の特徴を有する全長タンパク質の一部またはそのアナログもしくはフラグメントをいう。天然の構造の特徴には、グリコシル化構造および三次元構造が含まれるが、これらに限定されない。これらのエピトープが抗原の三次元の形状(例えば、折りたたみ)によって形成されると考えられる場合、エピトープ定義配列の長さを、幅広いバリエーションで供することができる。したがって、エピトープを定義するアミノ酸は、比較的少数であり得るが、分子の長さに沿って(または、二量体の場合、異なる分子上に)広範に分散し、折りたたみを介して正確なエピトープ高次構造となることができる。エピトープを定義する残基の間の抗原の一部は、エピトープの高次構造に重要ではない可能性がある。例えば、エピトープの高次構造に重要な配列が維持される場合、これらの介在配列の欠失または置換は高次構造エピトープに影響を与えないことが可能である(例えば、ジスルフィド結合を包含するシステイン、糖鎖付加部位等)。
【0053】
高次構造エピトープは、上記考察の方法を使用して容易に同定される。さらに、所与のポリペプチド中の高次構造エピトープの有無を、抗体(高次構造エピトープに対するポリクローナル血清またはモノクローナル)での目的の抗原のスクリーニングおよびその反応性と線状エピトープ(存在する場合)のみを保持する抗原の変性バージョンの反応性との比較によって容易に決定することができる。ポリクローナル抗体を使用したこのようなスクリーニングでは、ポリクローナル抗原が変性抗原に最初に吸収され、目的の抗原に対する抗体を保持するかどうかを調査することが有利であり得る。E1およびE2領域由来の高次構造エピトープは、例えば、国際公開番号WO94/01778に記載されている。
【0054】
HCV抗原または組成物に対する「免疫学的応答」は、被験体における目的の組成物中に存在する分子に対する体液性および/または細胞性免疫応答の発生である。本発明の目的のために、「体液性免疫応答」は、抗体分子によって媒介される免疫応答をいい、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/または他の白血球によって媒介される免疫応答をいう。細胞性免疫の1つの重要な態様は、細胞溶解性T細胞(「CTL」)による抗原特異的応答である。CTLは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によってコードされ、且つ細胞表面上で発現する、タンパク質に会合して提示されるペプチド抗体に特異的である。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊またはこのような微生物に感染した細胞の溶解の誘導および促進を補助する。細胞性免疫の別の態様は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を含む。ヘルパーT細胞は、その表面上のMHC細胞と会合してポリペプチド抗原を表示する細胞に対する非特異的エフェクター細胞の機能を刺激し、その活性に集中する。「細胞免疫応答」はまた、活性T細胞および/または他の白血球によって産生されたサイトカイン、ケモカイン、および他のこのような分子(CD4+およびCD8+T細胞由来のものが含まれる)の産生をいう。細胞免疫応答を誘発する組成物またはワクチンは、細胞表面のMHCと会合した抗原の提示によって脊椎動物被験体を感作するように作用することができる。その表面で抗原を提示した細胞またはその近くで細胞媒介性免疫応答が指示される。さらに、免疫化宿主をさらに保護するために抗原特異的Tリンパ球を生成することができる。特定の抗原が細胞媒介性免疫学的応答を刺激する能力を、多数のアッセイ(リンパ増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL脂肪傷害性細胞アッセイ、または感作被験体における抗原に特異的なTリンパ球についてのアッセイなど)によって決定することができる。このようなアッセイは当該分野で周知である。例えば、Erickson et al.,J.Immunol.(1993)151:4189−4199;Doe et al.,Eur.J.Immuriol.(1994)24:2369−2376を参照のこと。
【0055】
したがって、本明細書中で使用される、「免疫学的応答」は、CTLの産生および/またはヘルパーT細胞の産生または活性化を刺激するものであり得る。目的の抗原はまた、抗体媒介性免疫応答(例えば、結合中和(NOB)抗体が含まれる)を誘発することができる。NOB抗体応答の存在は、例えば、Rosa et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93:1759に記載の技術によって容易に決定される。したがって、免疫学的応答には、1つまたは複数の以下の効果が含まれ得る:B細胞による抗体の産生、および/または目的の組成物またはワクチン中に存在する抗原に特異的に指向するサプレッサーT細胞および/またはγδT細胞の活性化。これらの応答は、免疫化宿主を防御またはその症状を緩和するために感染力を中和し、そして/または抗体−補体または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介するように作用することができる。このような応答を、当該分野で周知の標準的な免疫アッセイおよび中和アッセイを使用して決定することができる。
【0056】
カチオン性微粒子などのHCV E1E2 DNA組成物は、組成物が、カチオン性微粒子を使用しないで送達させた同量のE1E2 DNAによって誘発された免疫応答よりも免疫応答を誘発する能力が高い場合、組成物中のDNAによって産生されたHCV E1E2ポリペプチドに対する免疫応答を増強する。このような免疫原性の増強を、さらなる成分を含むか含まないE1E2 DNAの投与および当該分野で周知の放射性免疫アッセイ、ELISA、およびリンパ増殖アッセイなどの標準的なアッセイを使用して産生された抗体力価または細胞性免疫応答の比較によって決定することができる。
【0057】
「単離」は、ポリペプチドを指す場合、示した分子が生物そのものから分離および別にされており、分子が天然に見出されるか、同型の他の生体高分子の実質的存在下で存在することを意味する。ポリヌクレオチドに関する用語「単離」は、通常は事実上会合している配列を全部または一部欠く核酸分子、事実上存在するが、異種配列が会合した配列、または染色体から解離した分子である。
【0058】
「等価な抗原決定基」は、HCVの株1、2、3などの由来の異なるHCVの亜種または種由来の抗原決定基を意味し、抗原決定基は配列の変化によって必ずしも同一でなくて良いが、目的のHCV配列中の等価な位置に生じる。一般に、等価な抗原決定のアミノ酸配列は、2つの配列をアラインメントした場合、配列相同性が高い(例えば、30%超、通常40%超(60%超など)、さらに80〜90%超のアミノ酸配列相同性)。
【0059】
「相同性」は、2つのポリヌクレオチド部分または2つのポリペプチド部分の間の同一率をいう。2つのDNA配列または2つのポリペプチド配列は、定義した長さの分子について配列が少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80〜85%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも95%〜98%の配列同一性を示す場合、互いに「実質的に相同」である。本明細書中で使用される、「実質的に相同」はまた、特定のDNA配列またはポリペプチド配列に対する完全な同一性を示す配列をいう。
【0060】
一般に、「同一性」は、それぞれ2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の正確なヌクレオチド−ヌクレオチドまたはアミノ酸−アミノ酸の対応をいう。配列アラインメントによる2分子間の配列情報の直接比較、2つのアラインメント配列間の正確な適合数の計数、より短い配列の長さで除すること、および結果に100を掛けることによって同一率を決定することができる。ペプチド分析用のSmith および Watermanの局所相同性アルゴリズム(Advances in Appl.Math.2:482−489,1981)に適合させたALIGN(Dayhoff,M.O.in Atlas of Protein Sequence および Structure M.O.Dayhoff ed.,5 Suppl.3:353−358,National biomedical Research Foundation,Washington,DC)などの容易に利用可能なコンピュータプログラムを使用して、分析を補助することができる。ヌクレオチド配列同一性を決定するためのプログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8(Genetics Computer Group,Madison,WIから利用可能)で利用可能である(例えば、Smith および Waterman アルゴリズムにも依存するBESTFIT、FASTA、およびGAPプログラム)。これらのプログラムを、製造者によって推奨され、且つ上記で言及したWisconsin Sequence Analysis Packageに記載のデフォルトパラメータを使用して容易に利用される。例えば、基準配列に対する特定のヌクレオチド配列の同一率を、デフォルトスコアリングテーブルおよびヌクレオチド上の6つの位置でのギャップペナルティを使用したSmith および Watermanの相同性アルゴリズムを使用して決定することができる。
【0061】
本発明の文脈中における同一率の別の確立方法は、エディンバラ大学が著作権を有し、Jolm F.Collins および Shane S.Sturrokによって開発され、IntelliGenetics,Inc.(Mountain View,CA)から販売されているMPSRCHプログラムパッケージを使用することである。このパッケージスイートから、スコアリングテーブルのためにデフォルトパラメータを使用するSmith−Watermanアルゴリズムを使用することができる(例えば、ギャップオープンペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ1、およびギャップ6)。作成されたデータから、「適合」値は、「配列同一性」を反映する。2配列間の同一率または類似性を計算するための他の適切なプログラムは、当該分野で一般に公知であり、例えば、別のアラインメントプログラムはデフォルトパラメータを使用したBLASTである。例えば、BLASTNおよびBLASTPを、以下のデフォルトパラメータを使用して使用することができる:遺伝コード=標準;フィルタ=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;行列=BLOSUM62;記載=50配列;分類=ハイスコア;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳物 + Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細を、以下のインターネットアドレスで見出すことができる:http://www.ncbi.nlm.gov/cgi−bin/BLAST。
【0062】
あるいは、相同領域間で安定な二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリッド形成、その後の一本鎖特異的ヌクレアーゼでの消化、および消化フラグメントのサイズ決定によって相同性を決定することができる。実質的に相同なDNA配列を、例えば、特定の系について定義したストリンジェントな条件下でのサザンハイブリッド形成実験で同定することができる。適切なハイブリッド形成条件の定義は、当業者の範囲内である。例えば、Sambrook et al.,supra;DNA Cloning,supra;Nucleic Acid Hybridization,supraを参照のこと。
【0063】
用語「縮重改変体」は、宿主変異型が由来するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするその核酸配列が変化したポリヌクレオチドを意図する。したがって、E1E2809DNAの縮重改変体は、分子が由来するが同一のE1E2809アミノ酸配列をコードするDNA配列中の1つまたは複数の塩基が異なる分子である。
【0064】
選択配列の「コード配列」または選択配列を「コードする」配列は、適切な制御配列の調節下においた場合に転写されるか(DNAの場合)、ポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸分子である。コード配列の境界を、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定する。転写終結配列は、コード配列に対して3’側に存在し得る。
【0065】
「核酸」分子または「ポリヌクレオチド」には、二本差および一本鎖配列を含むことができ、ウイルス由来のcDNA、原核生物もしくは真核生物mRNA、ウイルス(DNAウイルスおよびレトロウイルス)または原核生物DNA由来のゲノムDNA配列、または合成DNA配列をいうが、これらに限定されない。この用語は、DNAおよびRNAの任意の公知の塩基アナログを含む配列も含む。
【0066】
「HCVポリヌクレオチド」は、上記定義のように、HCVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0067】
「作動可能に連結された」は、記載の成分がその所望の機能を発揮するように構成されたエレメントの配置をいう。したがって、コード配列に作動可能に連結された所与のプロモーターは、適切な転写因子などが存在する場合にコード配列の発現に影響を与えることができる。プロモーターは、その発現を指示するように機能する限り、コード配列に隣接する必要はない。したがって、例えば、イントロンを転写することができる場合、介翻訳されないが転写される介在配列はプロモーター配列とコード配列との間に存在することができるので、プロモータ配列を、依然としてコード配列に「作動可能に連結された」と見なすことができる。
【0068】
核酸分子を説明するために本明細書中で使用される、「組換え」は、その起源または操作が事実上関連するポリヌクレオチドの全部または一部に関連しないゲノム、cDNA、ウイルス、半合成、または合成起源のポリヌクレオチドを意味する。タンパク質またはポリペプチドに関して使用される、用語「組換え」は、組換えポリヌクレオチドの発現によって産生されたポリペプチドを意味する。一般に、以下でさらに説明するように、目的の遺伝子をクローン化し、次いで、形質転換生物中で発現させる。宿主生物は、発現条件下でタンパク質を産生するための外来遺伝子を発現する。
【0069】
「制御要素」は、連結されたコード配列の発現を補助するポリヌクレオチド配列をいう。この用語には、宿主細胞でのコード配列の転写および翻訳のために集合的に提供される、プロモーター、転写終結配列、上流調節ドメイン、ポリアデニル化シグナル、非翻訳領域(5’−UTRおよび3’−UTR、ならびに、適切な場合、リーダー配列およびエンハンサーが含まれる)が含まれる。
【0070】
本明細書中で使用される、「プロモーター」は、宿主細胞中でRNAポリメラーゼに結合して作動可能に連結された下流(3’方向)コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。本発明の目的のために、プロモーター配列には、バックグラウンドを超える検出レベルで目的の遺伝子の転写を開始するための最小数の塩基が含まれる。プロモーター内で、配列は、転写開始部位およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)である。真核生物プロモーターは、しばしば(常にではない)、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含む。
【0071】
RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合してコード配列をmRNAに転写する場合、調節配列は、細胞中のコード配列の「転写を指示し」、その後コード配列によってコードされたポリペプチドに翻訳される。
【0072】
「発現カセット」または「発現構築物」は、目的の配列または遺伝子の発現を指示することができるアセンブリをいう。発現カセットには、目的の配列または遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターなどの上記の制御要素が含まれ、しばしばポリアデニル化配列も同様に含まれる。本発明の特定の実施形態では、本明細書中に記載の発現カセットを、プラスミド構築物内に含めることができる。発現カセットの成分に加えて、プラスミド構築物は、1つまたは複数の選択マーカー、プラスミド構築物を一本鎖DNAとして存在させるシグナル(例えば、M13複製起点)、少なくとも1つのクローニング部位、および「哺乳動物」の複製起点(例えば、SV40またはアデノウイルスの複製起点)も含むことができる。
【0073】
本明細書中で使用される、「形質転換」は、挿入のために使用した方法と無関係の宿主細胞への外因性ポリヌクレオチドの挿入(例えば、直接取り込み、トランスフェクション、および感染などによる形質転換)をいう。特定のトランスフェクション法については、以下をさらに参照のこと。外因性ポリヌクレオチドを、非組み込みベクター(例えば、エピソーム)として維持することができるか、宿主ゲノムに組み込むことができる。
【0074】
「核酸免疫化」は、免疫原のインビボ発現のためのE1E2などの1つまたは複数の選択された免疫原をコードする核酸分子の宿主細胞への移入を意味する。核酸分子を、注射、吸入、経口投与、鼻腔内投与、および筋肉投与などによってレシピエントに直接移入することができるか、宿主から取出した細胞にエキソビボで移入することができる。後者の場合、形質転換細胞を核酸分子によってコードされた免疫原に対して免疫応答が増加する被験体に再移入する。
【0075】
本明細書中で提供される、用語、免疫原性組成物の「有効量」または「薬学的有効量」は、非毒性であるが、免疫学的応答などの所望の応答ならびに、任意選択的に、対応する治療効果を得るために十分な組成物の量をいう。正確な必要量は、被験体の種、年齢、および一般的な健康状態、治療を受ける病態の重症度、目的の特定の高分子、ならびに投与様式などに依存して、被験体によって変化する。任意の各症例における適切な「有効」量を、当業者によって日常実験を使用して決定することができる。
【0076】
「脊椎動物」は、脊索動物亜門の任意のメンバーを意味し、ヒトおよび他の霊長類(チンパンジーおよび他の類人猿およびサルが含まれる);ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマなどの家畜;イヌおよびネコなどのペット(domestic mammmals);実験動物(マウス、ラット、およびモルモットなどのげっ歯類が含まれる);トリ(ニワトリ、シチメンチョウなどの家禽、野生、および狩猟鳥、およびダチョウ、アヒル、およびガチョウなどの他の家禽類が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。この用語は、特定の年齢を意味しない。したがって、成体および新生個体を対象とすることが意図される。本明細書中に記載の発明は、これら全ての脊椎動物の免疫系が簡単に操作されるので、任意の上記脊椎動物種での使用が意図される。
【0077】
本明細書中で使用される、用語「処置」は、(1)感染または再感染の防止(予防)、または(2)目的の疾患の症状の緩和または排除(治療)をいう。
【0078】
(2.発明の実施様式)
本発明を詳細に説明する前に、本発明が特定の処方物またはプロセスパラメータに制限されず、勿論変更可能であると理解すべきである。本明細書中で使用した専門用語は本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を制限することを意図しないとも理解すべきである。
【0079】
本明細書中に記載のものに類似するか等価な多数の方法および材料を、本発明で使用することができ、好ましい材料および方法を本明細書中に記載する。
【0080】
カチオン性微粒子に吸着したHCV E1E2エンベロープタンパク質をコードするプラスミドDNAが非吸着プラスミドE1E1DNAの使用と比較して有意に増強された抗体応答を誘導するという発見が本発明の中核をなす。さらに、吸着DNAは、非吸着DNAを使用して検出可能な抗体を産生するのに必要な用量よりも非常に低い用量で検出可能な応答を誘導する。さらに、吸着DNAによって誘導された抗体応答は、E1E2タンパク質の投与によって達成される応答に匹敵する一方で、非吸着E1E2 DNAの送達は検出可能な応答をわずかに誘導する。カチオン性微粒子に吸着したE1E2は、プラスミドDNAのみよりも組換えタンパク質での追加免疫化後の強力な応答のためのプライミング有効である。さらに、以下の実施例は、吸着E1E2 DNAが細胞性免疫応答を起こす能力を証明する。
【0081】
したがって、以下により詳細に記載するように、最初に、被験体を、カチオン性微粒子に吸着したE1E2809をコードするDNAを投与する。その後、被験体を、E1E2複合体を含むDNA組成物および/またはE1E2タンパク質複合体を含むタンパク質組成物で追加免疫することができる。追加免疫のために使用したE1E2複合体は、いずれかのE1E2809であり得るか、免疫応答が得られる限り、以下にさらに記載する他のE1E2タンパク質であり得る。さらに、上記組成物を、単独で使用するか、他の組成物(他のHCVタンパク質を含む組成物、他のHCVタンパク質をコードするDNAを含む組成物、および付属物を含む組成物が含まれる)と組み合わせて使用することができる。他の組成物と組み合わせて使用する場合、このような組成物を、E1E2組成物の前、同時、または後に投与することができる。
【0082】
本発明をさらに理解するために、本方法で使用するためのE1E2 DNAおよびタンパク質組成物、カチオン性微粒子、およびさらなる組成物に関して以下により詳細に考察する。
【0083】
(E1E2ポリペプチドおよびポリヌクレオチド)
E1E2複合体は、非共有性または共有性相互作用のいずれかによって会合したE1およびE2ポリペプチドを含む。上記で説明するように、HCV E1ポリペプチドは糖タンパク質であり、およそアミノ酸192位からアミノ酸383位まで(HCV−1のポリタンパク質に対する番号づけ)の長さである。Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455を参照のこと。約173位から約191位のアミノ酸は、E1のシグナル配列を示す。HCV E2ポリペプチドも糖タンパク質であり、およそアミノ酸383位または384位からアミノ酸746位までの長さである。E2のシグナルペプチドは、ポリタンパク質のおよそアミノ酸364位から始まる。したがって、本明細書中で使用される、用語「全長」E1または「非短縮」E1は、少なくともHCVポリタンパク質のアミノ酸192位〜383位(HCV−1に対する番号づけ)を含むポリペプチドをいう。E2に関して、本明細書中で使用される、用語「全長」または「非短縮」は、HCVポリタンパク質の少なくともアミノ酸383位または384位からアミノ酸746位(HCV−1に対する番号づけ)を含むポリペプチドをいう。この開示から明らかなように、本発明で使用するためのE2ポリペプチドは、p7領域由来のさらなるアミノ酸(アミノ酸747位〜809位など)を含み得る。
【0084】
E2は、複数の種として存在し(Spaete et al.,Virol.(1992)188:819−830;Selbyet al.,J.Virol.(1996)70:5177−5182;Gralcoui et al.,J.Viol.(1993)67:1385−1395;Tomei et al.,J.Virol.(1993)67:4017−4026)、E1およびE2ポリペプチドのN末端およびC末端でクリッピングおよびタンパク質分解が起こり得る。したがって、本明細書中に記載の使用のためのE2ポリペプチドは、HCVポリタンパク質の少なくともアミノ酸405位〜661位(例えば、400位、401位、402位、...、661位(383位または384位〜661位、383位または384位〜715位、383位または384位〜746位、383位または384位〜749位、383位または384位〜809位、または383位または384位〜661位と809位との間の任意のC末端など))(HCV−1ポリタンパク質に対する番号づけ)を含み得る。同様に、本明細書中での使用に好ましいE1ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸192位〜326位、192位〜330位、192位〜333位、192位〜360位、192位〜363位、192位〜383位、または192位〜326と383との間の任意のC末端を含み得る。
【0085】
E1E2複合体を、エピトープを含むE1およびE2の免疫原性フラグメントから作製することもできる。例えば、E1ポリペプチドのフラグメントは、約5個から分子のほぼ全長まで(6、10、25、50、75、100、125、150、175、185、またはそれ以上など)のE1ポリペプチドのアミノ酸または示した数字の間の任意の整数のアミノ酸を含み得る。同様に、E2ポリペプチドのフラグメントは、6、10、25、50、75、100、150、200、250、300、または350 個のE2ポリペプチドのアミノ酸、または示した数字の間の任意の整数のアミノ酸を含み得る。E1およびE2ポリペプチドは、同一または子となるHCV株に由来し得る。
【0086】
例えば、エピトープは、例えば、アミノ酸384位〜410位または390位〜410位にわたる領域などのE2の超可変領域由来のエピトープを、E2ポリペプチドに含めることができる。E2配列に組み込むのに特に有効なE2エピトープには、この領域由来のコンセンサス配列(HCV1型ゲノムのアミノ酸390位〜410位のコンセンサス配列を示す、コンセンサス配列Gly−Ser−Ala−Ala−Arg−Thr−Thr−Ser−Gly−Phe−Val−Ser−Leu−Phe−Ala−Pro−Gly−Ala−Lys− Gln−Asnなど)である。E1およびE2のさらなるエピトープは公知であり、例えば、Chien et al.の国際公開番号WO 93/00365に記載されている。
【0087】
さらに、複合体のE1およびE2ポリペプチドは、膜貫通ドメインの全部または一部を欠き得る。膜アンカー配列は、ポリペプチドを小胞体に会合するように機能する。通常、このようなポリペプチドは、タンパク質を発現する生物が培養された成長培地に分泌することができる。しかし、国際公開番号WO98/50556に記載するように、このようなポリペプチドはまた、細胞内で回収され得る。成長培地への分泌は、多数の検出技術(例えば、ポリアクリルアミドゲルなどおよび、例えば、1996年2月15日公開の国際公開番号WO96/04301に記載の免疫沈降アッセイなどの免疫学的技術が含まれる)を使用して容易に決定される。E1を使用して、一般に約アミノ酸370位およびそれ以上で終結するポリペプチド(HCV−1 E1の番号づけに基づく)は、ERによって保持されるので、培養培地に分泌されない。E2を使用して、約アミノ酸731位およびそれ以上で終結するポリペプチド(これもHCV−1 E2の番号づけに基づく)は、ERによって保持されるので、分泌されない。(例えば、1996年2月15日公開の国際公開番号WO96/04301を参照のこと)。これらのアミノ酸位は絶対的なものではなく、いくらか変化させることができることに留意すべきである。したがって、本発明は、本発明によって獲得されることが意図される、膜貫通結合ドメインならびに膜貫通結合ドメインの全部または一部を欠くポリペプチド(約アミノ酸369位およびそれ以下で終結するE1ポリペプチドおよび約アミノ酸730位およびそれ以下で終結するE2ポリペプチドが含まれる)を意図する。さらに、C末端短縮は、N末端にドメインが及ぶ膜貫通を超えて伸長することができる。したがって、例えば、360位未満の位置で生じるE1短縮および例えば、715位未満の位置で生じるE2短縮も本発明に含まれる。必要なのは短縮E1およびE2ポリペプチドがその意図する目的のための機能を保持することである。しかし、約アミノ酸300位を超えて伸長しない短縮E1構築物が特に好ましい。360位で終結するものが最も好ましい。約アミノ酸715位を超えて伸長しないC末端短縮を有する短縮E2構築物が好ましい。特に好ましいE2短縮物は、725位などの任意のアミノ酸715位〜730位の後が短縮された分子である。短縮分子が使用される場合、両方が短縮されたE1およびE2分子を使用することが好ましい。
【0088】
E1およびE2ポリペプチドおよびその複合体は、アシアロ糖タンパク質として存在することもできる。このようなアシアロ糖タンパク質を、末端グリコシル化が遮断された細胞の使用などによる当該分野で公知の方法によって産生する。これらのタンパク質をこのような細胞中で発現させてGNZレクチンアフィニティクロマトグラフィによって単離する場合、E1およびE2タンパク質は自発的に凝集する。これらのE1E2凝集体の詳細な産生方法は、例えば、米国特許第6,074,852号に記載されている。
【0089】
さらに、E1E2複合体は、上記のように、クリッピングおよびタンパク質分解性切断に起因する分子の異種混合物を含み得る。したがって、E1E2複合体を含む組成物には、複数のE1E2種(アミノ酸746位で終結するE1E2(E1E2746)、アミノ酸809位で終結するE1E2(E1E2809)など)または任意の他の種々の上記E1およびE2分子(N末端の1〜20個のアミノ酸が短縮したE2分子(アミノ酸387位、アミノ酸402位、アミノ酸403位などから始まるE2種など)など)が含まれ得る。
【0090】
便宜上、E1およびE2領域を、一般に、Choo et al.(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2451に記載のようにHCV−1aのゲノムによってコードされたポリタンパク質に対するアミノ酸番号に関して定義し、開始メチオニンを1位と指定することに留意すべきである。しかし、本発明で使用するためのポリペプチドは、HCV−1a配列由来のものに制限されない。HCVの任意の株または単離物を、本発明で使用するための免疫原性配列の獲得の基本として使用することができる。これに関して、別のHCV単離物中の対応する領域を、配列アラインメントを最大にする様式での2つの単離物由来の配列のアラインメントによって容易に決定することができる。
【0091】
ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列が互いに異なるHCVの種々の株および単離物は当該分野で公知である。例えば、単離物HCV Jl.1は、Kubo et al.(1989)Japan.Nucl.Acids Res.17:10367−10372;Takeuchi et al.(1990)Gene 91:287−291;Takeuchi et al.(1990)J.Gen.Virol.71:3027−3033;およびTakeuchi et al.(1990)Nucl.Acids Res.18:4626に記載されている。2つの独立した単離物HCV−JおよびBKの完全なコード配列は、Kato et al.,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9524−9528およびTakamizawa et al.,(1991)J.Virol.65:1105−1113にそれぞれ記載されている。HCV−1単離物は、Choo et al.(1990)Brit.Med.Bull.46:423−441;Choo et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455およびHan et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1711−1715に記載されている。 HCV 単離物HC−J1およびHC−J4は、Okamoto et al.(1991)Japan J.Exp.Med.60:167−177に記載されている。HCV単離物HCT 18、HCT 23、Th、HCT 27、EC1、およびEC10は、Weiner et al.(1991)Virol.180:842−848に記載されている。HCV単離物Pt−1、HCV−K1、およびHCV−K2は、Enomoto et al.(1990)Biochem.Biophys.Res.Commun. 170:1021−1025に記載されている。HCV単離物A、C、D、およびEは、Tsukiyama− Kohara et al.(1991)Virus Genes 5:243−254に記載されている。本発明の組成物および方法で使用するためのHCV E1E2ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを、HCVの任意の上記株または感染患者の組織または流動物から単離した新規に発見された単離物から得ることができる。
【0092】
タンパク質としてのE1E2複合体の送達が望ましい場合(例えば、免疫応答の増加のため)、このようなE1E2複合体を、融合タンパク質として組換えによるか、宿主細胞と目的のE1およびE2ポリペプチドをコードする構築との接触によって容易に産生する。トランスまたはシスのいずれかで(すなわち、個別のベクターの使用によるか、E1遺伝子およびE2遺伝子の両方を有する1つのベクターの使用による)同時トランスフェクションを行うことができる。1つのベクターを使用して行う場合、両遺伝子を1つの制御要素組によって駆動することができるか、あるいは、遺伝子は、個別の制御要素によって駆動された個別の発現カセット中のベクターに存在し得る。発現後、E1およびE2タンパク質は自発的に会合する。あるいは、精製形態または半精製形態のいずれかで個別に産生された各タンパク質の混合またはタンパク質が分泌される場合にタンパク質を発現する宿主細胞を培養した培養培地の混合によって複合体を形成させることができる。最後に、本発明のE1E2複合体を、E1の所望の位置がE2の所望の部分に融合した融合タンパク質として発現し得る。
【0093】
培地に分泌された全長短縮E1およびE2タンパク質ならびに細胞内で産生された短縮タンパク質由来のE1E2複合体の産生方法は当該分野で公知である。例えば、米国特許第6,121,020号;Ralston et al.,J Virol.(1993)67:6753−6761,Grakoui et al.,J.Virol.(1993)67:1385−1395;およびLanford et al.,Virology(1993)197:225−235に記載のように、このような複合体を組換えによって産生することができる。
【0094】
したがって、本発明で使用するためのHCV E1E2ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、標準的な分子生物学技術を使用して作製することができる。例えば、上記分子をコードするポリヌクレオチド配列を、遺伝子を発現する細胞からのcDNAおよびゲノムライブラリーのスクリーニングまたはこれを含むことが知られているベクターからの遺伝子の誘導などの組換え法を使用して得ることができる。さらに、Houghton et al.,米国特許第5,350,671号などに記載の技術を使用して、所望の遺伝子をウイルス核酸分子から直接単離することができる。目的の遺伝子を、クローニングよりもむしろ合成によって産生することもできる。特定の配列の適切なコドンを有する分子をデザインすることができる。次いで、標準的方法によって調製した重複オリゴヌクレオチドから完全な配列をアセンブリし、完全なコード配列にアセンブリする。例えば、Edge(1981)Nature 292:756;Nambair et al.(1984)Science 223:1299;およびJay et al.(1984)J.Biol.Chem.259:6311を参照のこと。
【0095】
したがって、特定のヌクレオチド配列を、所望の配列を有するベクターから得るか、当該分野で公知の種々のオリゴヌクレオチド合成技術(適切な場合には、部位特異的変異誘発およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術など)を使用して完全または部分的に合成することができる。例えば、Sambrook,supraを参照のこと。特に、所望の配列をコードするヌクレオチド配列を得る1つの方法は、従来の自動化ポリヌクレオチド合成機で産生した重複合成オリゴヌクレオチドの相補組のアニーリングおよびその後のPCRを介した適切なDNAリガーゼでのライゲーションおよびライゲーションしたヌクレオチド配列の増幅による。例えば、Jayaraman et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4084−4088を参照のこと。さらに、オリゴヌクレオチド特異的合成(Jones et al.(1986)Nature 54:75−82)、既存のヌクレオチド領域のオリゴヌクレオチド特異的変異誘発(Riechmam et al.(1988)Nature 332:323−327およびVerhoeyen et al.(1988)Science 239:1534−1536)、およびT4DNAポリメラーゼを使用した空隙を含む(gapped)オリゴヌクレオチドの酵素充填(Queen et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029−10033)を使用して、抗原結合能力および免疫原性が変化または増強された分子を得ることができる。
【0096】
一旦コード配列が調製または単離されると、このような配列を任意の適切なベクターまたはレプリコンにクローン化することができる。多数のクローニングベクターが当業者に公知であり、適切なクローニングベクターを選択することができる。適切なベクターには、適切な制御要素と会合した場合に複製することができるプラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、またはウイルスが含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
次いで、コード配列を、発現に使用した系に依存して、適切な制御要素の存在下におく。したがって、コード配列を、プロモーター、リボゾーム結合部位(細菌発現用)、および、選択的に、オペレーターの調節下におくことができ、その結果、適切な形質転換体によって目的のDNA配列がRNAに転写される。コード配列は、その後宿主によって翻訳後プロセシングにおいて除去することができるシグナルペプチドまたはリーダー配列を含んでも含まなくても良い。例えば、米国特許第4,431,739;4,425,437;4,338,397を参照のこと。
【0098】
調節配列に加えて、宿主細胞の成長に関する配列の発現を制御する制御配列を付加することが望ましい。制御配列は当業者に周知であり、例には、化学的または物理的刺激(制御化合物の存在が含まれる)に応答して遺伝子発現がオンまたはオフになる制御配列が含まれる。他の制御エレメント型は、ベクター中にも存在し得る。例えば、本明細書中でエンハンサーエレメントを使用して、構築物の発現レベルを増加させることができる。例には、SV40初期遺伝子エンハンサー(Dijkema et al.(1985)EMBO J.4:761)、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)由来のエンハンサー/プロモーター(Gorman et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777)、およびヒトCMV由来のエレメント(Boshart et al.(1985)Cell 41:521)(CMVイントロンA配列中に含まれるエレメントなど(米国特許第5,688,688号))が含まれる。発現カセットは、適切な宿主細胞における自律的複製のための複製起点、1つまたは複数の選択マーカー、1つまたは複数の制限部位、高コピー数のポテンシャル、および強力プロモーターをさらに含み得る。
【0099】
特定のコード配列が適切な制御配列を有するベクターに位置づけられるようにし、調節配列に関するコード配列の位置づけおよび方向をコード配列が調節配列の「調節」下で転写されるように発現ベクターを構築する(すなわち、調節配列でDNA分子が結合するRNAポリメラーゼはコード配列を転写する)。目的の分子をコードする配列の修飾は、この目的を達成するのに望ましい。例えば、いくつかの場合、適切な方向で(すなわち、読み枠を維持するため)調節配列に付着することができるように配列を修飾することが必要であり得る。調節配列および他の制御配列を、ベクターへの挿入前にコード配列にライゲーションすることができる。あるいは、コード配列を、調節配列および適切な制限部位を既に含む発現ベクターに直接クローン化することができる。
【0100】
上記で説明するように、目的のポリペプチドの変異型またはアナログを産生することも望ましい。本発明の組成物で使用するためのHCVポリペプチドの変異体またはアナログを、目的のポリペプチドをコードする配列の一部の欠失、配列の挿入、および/または配列内の1つまたは複数のヌクレオチドの置換によって調製することができる。部位特異的変異誘発などのヌクレオチド配列の修飾方法は当業者に周知である。例えば、Sambrook et al.,supra;Kunkel,T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:448;Geisselsoder et al.(1987)BioTechniques 5:786;Zoller および Smith(1983)Methods Enzymol.100:468;Dalbie−McFarlおよび et al.(1982)Proc.Natl.Acad.Sci USA 79:6409を参照のこと。
【0101】
広範な種々の系(昆虫、哺乳動物、細菌、ウイルス、および酵母の発現系(全て当該分野で周知)が含まれる)で分子を発現することができる。例えば、バキュロウイルス系などの昆虫細胞発現系が当業者に公知であり、例えば、Summers および Smith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載されている。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系の材料および方法は、特に、Invitrogen,San Diego CA(「MaxBac」キット)からキット形態で市販されている。同様に、細菌および哺乳動物発現系は当該分野で周知であり、例えば、Sambrook et al.,supraに記載されている。酵母発現系が当該分野で公知であり、例えば、Yeast Genetic Engineering(Barr et al.,eds.,1989)Butterworths,Londonに記載されている。
【0102】
上記系で使用するための多数の適切な宿主細胞も公知である。例えば、哺乳動物細胞株が当該分野で公知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から利用可能な不死化細胞株(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト胚腎臓細胞、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、Madin−Darbyウシ腎臓(「MDBK」)細胞などであるが、これらに限定されない)が含まれる。同様に、E.コリ、バチルス・ズブチリス、およびストレプトコッカス属などの細菌宿主は、本発明の発現構築物で適用される。本発明で有用な酵母宿主には、特に、サッカロミセス・セレビシエ、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・マルトサ、ハンセイヌラ・ポリホルファ、クルイベロマイセス・フラジリス、クルイベロマイセス/ラクチス、ピキア・グイレリモンジイ(Pichia guillerimondii)、ピキア・パストリス、シゾサッカロミセス・ポンベ、およびヤロウィア・リポリチカが含まれる。バキュロウイルス発現ベクターと共に使用するための昆虫細胞には、特に、アエデス・アエギプチ、オートグラファ・カリフォルニア、ボンビックス・モリ、ドロソフィラ・メラノガスター、スポドプテラ・フルギペルダ、およびトリコプルシ属が含まれる。
【0103】
目的のヌクレオチド配列を含む核酸分子を、宿主細胞ゲノムに安定に組み込むか当該分野で周知の種々の遺伝子送達技術を使用して適切な宿主細胞安定なエピソームエレメントを組み込むことができる。例えば、U.S.Patent.5,399,346を参照のこと。
【0104】
選択した発現系および宿主に依存して、タンパク質が発現する条件下での上記発現ベクターによって形質転換された宿主細胞の成長によって、分子を産生する。ついで、発現タンパク質を、宿主細胞から単離し、精製する。発現系が成長培地にタンパク質を分泌する場合、産物を培地から直接精製することができる。分泌されない場合、細胞溶解物から単離することができる。適切な成長条件および回収方法の選択は、当業者の範囲内である。
【0105】
上記の組換え体産生方法を使用して、E1E2組成物との投与のための他のポリペプチド(下記の他のHCVポリペプチドなど)を得ることができる。
【0106】
(微粒子)
上記で説明するように、E1E2809DNAを、送達前にカチオン性微粒子に吸着させる。さらに、微粒子を使用して、他のHCVタンパク質免疫原およびこれをコードするDNAを送達することができる。例えば、カチオン性、アニオン性、または非電荷性のいずれかである微粒子を、例えば、E1E2 DNA、E1E2タンパク質のその後の送達またはさらなる免疫原の送達のための免疫応答の増加のために組成物中で使用することもできる。タンパク質免疫原を送達させるために使用する場合、免疫原を微粒子内に取り込むか吸着させることができる。
【0107】
本明細書中で使用される、用語「微粒子」は、約100nm〜約150μmの直径、より好ましくは約200nm〜約30μmの直径、最も好ましくは約500nm〜約10μmの直径の粒子をいう。好ましくは、微粒子は、ニードルおよびキャぴラリーを塞ぐことなく非経口投与が可能な直径である。微粒子のサイズは、当該分野で周知の技術(光子相関分光法、レーザ回折顕微鏡および/または走査電子顕微鏡など)によって容易に決定される。
【0108】
本明細書中で使用するための微粒子を、滅菌された非毒性の性分解性材料から形成する。このような材料には、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリビニルアルコール、およびエチレンビニルアセテートが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明で使用するための微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)(特に、ポリ(ラクチド))(例えば、米国特許第3,773,919号を参照のこと)にまたはD,L−ラクチドとグリコリドまたはグリコール酸とのコポリマー(ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLG」または「PLGA」)など)(例えば、米国特許第4,767,628号を参照のこと)に由来する。微粒子は、種々の分子量、PLGなどのコポリマーの場合、種々のラクチド:グリコリド比を有し、ポリペプチドの所望の用量および治療される障害に依存して広範に選択することができる任意の種々の重合開始物質に由来し得る。これらのパラメータを、以下でより完全に考察する。本発明の有用な微粒子を製造するための生分解性ポリマーは、Boehringer Ingelheim,Germany および Birmingham Polymers,Inc.,Birmingham,ALから容易に購入することができる。
【0109】
本明細書中で使用するための特に好ましいポリマーは、PLAおよびPLGである。これらのポリマーは、種々の分子量で利用可能であり、目的のポリヌクレオチドまたはポリペプチドについての所望の放出速度を得るために適切な分子量を、当業者は容易に決定する。したがって、例えば、PLAについては、適切な分子量は、約2000〜250,000である。PLGについては、適切な分子量は、一般に、約10,000から約200,000まで、好ましくは約150,000〜約150,000、最も好ましくは約50,000〜約100,000の範囲である。
【0110】
PLGなどのコポリマーを使用して微粒子を形成する場合、本明細書中で種々のラクチド:グリコリド比が適用され、その比を、所望の分解速度に一部依存して、広範に選択することができる。例えば、50%のD,L−ラクチドおよび50%グリコリドを含む50:50PLGポリマーは迅速な再吸収コポリマーを提供し、75:25PLGはよりゆっくり分解し、85:15および90:10は、ラクチド成分の増加によりなおさらにゆっくり分解する。適切なラクチド:グリコリド比を、治療される障害の性質に基づいて当業者は容易に決定することが容易に明らかである。さらに、種々のラクチド:グリコリド比の微粒子混合物は、所望の放出速度を達成するための処方物で適用される。種々のラクチド:グリコリド比および分子量のPLGコポリマーは、複数の業者(Boehringer Ingelheim,Germany および Birmingham Polymers,Inc.,Birmingham,AL)から容易に購入することができる。これらのポリマーを、Tabata et al.,J.Biomed.Mater.Res.(1988)22:837−858などに記載の当該分野で周知の技術を使用した乳酸成分の簡単な重縮合によって合成することもできる。
【0111】
典型的には、E1E2 DNA(または他のHCVなどをコードする他のDNA)を送達させるために使用する場合、DNAが表面に吸着するように微粒子を調製する。タンパク質送達のために、抗原を捕捉するか吸着させることができる。このような微粒子のいくつかの調製方法は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第3,523,907号およびOgawa et al.,Chez.Pharm.Bull.(1988)36:10951103などに記載の二重乳濁液(double emulsion)/溶媒蒸発技術を本明細書中で使用して微粒子を作製することができる。これらの技術は、ポリマー液の液適からなる一次乳濁液(primary emulsion)の形成およびその後の粒子安定剤/界面活性剤を含む連続水相との混合を含む。
【0112】
より詳細には、O’Hagan et al.Vaccine(1993)11:965−969およびJeffery et al.,Pharm Res.(1993)10:362に記載のように、水中油滴型(w/o/w)溶媒蒸発系を使用して、微粒子を形成することができる。この技術では、特定のポリマーを、有機溶媒(酢酸エチル、ジメチルクロリド(塩化メチレンおよびジクロロメタンとも呼ばれる)、アセトニトリル、アセトン、クロロホルムなど)と合わせる。ポリマーを、約2〜15%、より好ましくは約4〜10%、より好ましくは6%の有機溶媒溶液で提供する。ポリマー溶液を、例えば、ホモジナイザーを使用して乳化する。次いで、乳濁液を、ポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルピロリドンなどの大量の乳化安定剤の水溶液と合わせる。乳化安定剤は、典型的には、約2〜15%、より典型的には約4〜10%の溶液で提供する。次いで、混合物をホモジナイズして安定なw/o/w型二重乳濁液が得られる。次いで、有機溶媒を蒸発させる。
【0113】
小さな(5μm未満)および大きな(30μm超)微粒子を調製するように配合パラメータを操作することができる。例えば、Jeffery et al.,Pharm.Res.(1993)10:362−368;McGee et al.,J Microencap.(1996)を参照のこと。例えば、弱く震盪すると、内相体積が増加するので、巨大な微粒子が得られる。水相の体積を小さくしてPVA濃度を高くすることによって小さな粒子が得られる。例えば、Thomasin et al.,J.Controlled Release(1996)41:131;米国特許第2,800,457号;Masters,K.(1976)SprayDrying 2nd Ed.Wiley,New Yorkに記載の噴霧乾燥およびコアセルベーション、Hall et al.,(1980)The「Wurster Process」in Controlled Release Technologies:Methods,Theory,および Applications(A.F.Kydonieus,ed.),Vol.2,pp.133−154 CRC Press,Boca Raton,Florida および Deasy,P.B.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.(1988)S(2):99−139に記載のパンコーティングおよびWursterコーティングなどのエアサスペンションコーティング技術、ならびに、例えば、Lim et al.,Science(1980)210:908−910に記載のイオン性ゲル化を使用して、微粒子を形成することもできる。
【0114】
例えば、ヘリウム−ネオンレーザを組み込んだ分光計を使用したレーザ光散乱によって粒子サイズを決定することができる。一般に、粒子サイズを室温で決定し、粒子直径の平均値を得るための目的のサンプルの複数回(例えば、5〜10回)の分析を含む。粒子サイズは、走査電子顕微鏡法(SEM)を使用しても容易に決定される。
【0115】
微粒子の使用前に、適切な免疫学的応答を誘発するために適切な微粒子の量を被験体に送達させることができるように、DNAまたはタンパク質の含有量(例えば、微粒子に吸着されたかその中に捕捉されたDNAまたはタンパク質の量)を決定することができる。微粒子のDNAおよびタンパク質含有量を、微粒子の破壊および捕捉または吸着した分子の抽出などによる当該分野で公知の方法にしたがって決定することができる。例えば、Cohen et al.,Pharm.Res.(1991)8:713;Eldridge et al.,Infect.Immun.(1991)59:2978;およびElidridge et al.,J.Controlled Release(1990)11:205に記載のように、微粒子をジメチルクロリドおよび蒸留水に抽出された薬剤に溶解することができる。あるいは、微粒子を、5%(w/v)SDSを含む0.1M NaOHに分散させることができる。サンプルを震盪し、遠心分離し、適切なアッセイを使用して特定の薬剤について上清をアッセイした。例えば、O’Hagan et al.,Int.J.Pharm.(1994)103:37−45を参照のこと。
【0116】
粒子は、好ましくは、約0.05%〜約40%(w/v)(1%〜30%(例えば、0.5%...1%...1.5%...2%などから25%まで(w/v))など)、さらにより好ましくは約0.5%〜4%から約18%〜20%(w/w)のDNAまたはポリペプチドを含む。下記でより詳細に考察するように、微粒子中のDNAまたはポリペプチドの負荷は、所望の用量および治療される病態に依存する。
【0117】
調製後、微粒子を、さらに使用するために、そのまま、または凍結乾燥物として保存することができる。DNAおよび/またはタンパク質を微粒子に吸着させるために、微粒子調製物を、目的の分子と簡単に混合し、得られた処方物を使用前に再度凍結乾燥させることができる。一般に、本発明の目的のために、約1μg〜100mgのDNA(10μg〜5mgなど)または100μg〜500μg(1...5...10...20...30...40...50...100μgなどから500μgまでのDNAなど)およびこれらの範囲内の任意の整数のDNAを、本明細書中に記載の粒子と吸着させる。
【0118】
調製した微粒子上での高分子の1つの好ましい吸着方法は、国際公開番号WO00/50006に記載されている。簡単に述べれば、微粒子を、再水和し、透析可能な陰イオン性または陽イオン性界面活性剤を使用した微粒子の本質的に単量体の懸濁液に分散させる。有用な界面活性剤には、任意の種々のN−メチルグルアカミド(MEGAとしても公知)(ヘプタノイル−N−メチルグルアカミド(MEGA−7)、オクタノイル−N−メチルグルアカミド(MEGA−8)、ノナノイル−N−メチルグルアカミド(MEGA−9)、およびデカノイル−N−メチルグルアカミド(MEGA−10)など);コール酸;デオキシコール酸;デオキシコール酸ナトリウム;タウロコール酸;タウロコール酸ナトリウム;タウロデオキシコール酸;タウロデオキシコール酸ナトリウム;3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS);3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO);ブドデシル(Bdodecyl)−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパン−スルホネート(ZWITTERGENT3−12);N,N−ビス−(3−D−グルコンアミドプロピル)−デオキシコールアミド(DECXY−BIGCHAP);ボクチルグルコシド;モノラウリン酸スクロース;グリココール酸/グリココール酸ナトリウム;ラウロサルコシン(ナトリウム塩);グリコデオキシコール酸/グリコデオキシコール酸ナトリウム;硫酸ドデシルナトリウム(SDS);3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸(DSS);セトリミド(CTAB、その主成分はヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドである);ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド;テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ベンジルジメチルドデシルアンモニウムブロミド;ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド;およびベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムブロミドが含まれるが、これらに限定されない。上記界面活性剤は、例えば、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MOから市販されている。当該分野で公知の種々のカチオン性脂質を、界面活性剤として使用することもできる。Balasubramaniam et al.,1996,Gene Ther.,3:163−72およびGao,X.,および L.Huang.1995,Gene Ther.,2:7110−722を参照のこと。
【0119】
次いで、微粒子/界面活性剤混合物を、例えば、セラミック性の乳鉢および乳房でなめらかなスラリーが形成されるまで物理的に粉砕する。次いで、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)またはTris緩衝化生理食塩水などの適切な水溶液を添加し、得られた混合物を、微粒子が完全に懸濁するまで超音波処理するかホモジナイズする。E1E2 DNAまたはポリペプチドなどの目的の高分子を微粒子懸濁液に添加し、系を透析して界面活性剤を除去する。目的の高分子が微粒子表面に吸着する一方で、高分子の活性は依然として保持されるように、ポリマー微粒子および界面活性剤系を選択することが好ましい。以下にさらに記載するように、表面吸着高分子を含む得られた微粒子を洗浄して非結合高分子を除去し、適切な緩衝液との懸濁液として保存するか、適切な賦形剤と共に凍結乾燥させることができる。
【0120】
陰イオン性または陽イオン性界面活性剤などの荷電界面活性剤の存在下で製造した微粒子により、正味の負電荷または正味の正電荷を有する荷電表面を有する微粒子が得られる。これらの微粒子は、より多様な分子に吸着することができる。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)または3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸(DSS)などの陰イオン性界面活性剤を使用して製造した微粒子(すなわち、PLG/SDSまたはPLG/DSS微粒子)は、タンパク質などの正電荷の免疫原を吸着し、本明細書中で、「陰イオン性」とよぶ。同様に、CTBAなどの陽イオン性界面活性剤を使用して製造した微粒子(すなわち、PLG/CTAB微粒子)は、DNAなどの負電荷の高分子に吸着し、本明細書中で「陽イオン性」と呼ぶ。
【0121】
(他のHCVポリペプチドおよびポリヌクレオチド)
上記で説明するように、本発明は、HCV抗原またはこのような抗原をコードするDNAを含む他の組成物を使用することができる。このような組成物を、E1E2809DNA構築物の前、後、または同時、および使用する場合、免疫応答の増加のための組成物の前、後、または同時に送達させることができる。
【0122】
C型肝炎ウイルスのゲノムは、典型的には、ポリタンパク質に転写される約96,00ヌクレオチドの単一の読み取り枠を含む。ポリタンパク質の全長配列は、European Publication No.388,232および米国特許第6,150,087号に開示されている。表1および図1に示すように、HCVタンパク質は、切断時にNH2−コア−El−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOHの順序の少なくとも10個の異なる産物が産生される。コアポリペプチドは、HCV−1に対する番号をつけた1位〜191位に生じる(HCV−1ゲノムについては、Choo et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと)。このポリペプチドをさらにプロセシングして、約アミノ酸1位〜173位のHCVポリペプチドが産生される。エンベロープポリペプチドE1およびE2は、それぞれ192位〜383位および384位〜746位に生じる。P7ドメインは、約747位〜809位に見出される。NS2は、タンパク質分解活性を有する膜内在性タンパク質であり、ポリペプチドの約810位〜1026位で見出される。NSは、単独またはNS3(約1027位〜1657位で見出される)と組み合わせて、NS2−NS3シスル結合(sissle bond)を切断してNS3のN末端が得られ、セリンプロテアーゼよびRNAヘリカーゼ活性を含む巨大ポリタンパク質を放出する。約1027位〜1207位で見出されるNS3プロテアーゼは、残存ポリタンパク質をプロセシングするように作用する。ヘリカーゼ活性は、約1193位〜1657位で見出される。ポリタンパク質成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒されるNS3−NS4a連結点の自触的切断によって開始される。その後のHCVポリタンパク質のNS3媒介切断は、別のポリペプチドのNS3分子によるポリタンパク質切断連結点の認識に関与するようである。これらの反応では、NS3は、NS3補因子(約1658位〜1711位で見出されるNS4a)、2つのタンパク質(約1712位〜1972位で見出されるNS4bおよび約1973位〜2420位で見出されるNS4b)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(約2421位〜3011位で見出されるNS5b)を遊離する。
【0123】
【表1】

HCV−1に対する番号づけ。Choo et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照のこと。
【0124】
上記HCVポリタンパク質産物の配列、これをコードするDNA、および由来する免疫原性ポリペプチドは公知である(例えば、米国特許第5,350,671号を参照のこと)。例えば、HCVポリタンパク質由来の多数の一般的および特定の免疫原性ポリペプチドが記載されている。例えば、Houghton et al.,European Publ.Nos.318,216 および 388,232;Choo et al.Science(1989)244:359−362;Kuo et al.Science(1989)244:362−364;Houghton et al.Hepatology(1991)14:381−388;Chien et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chien et al.J Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chien et al.,International Publ.No.WO 93/00365;Chien,D.Y.,International Publ.No.WO 94/01778を参照のこと。これらの刊行物は、一般に、HCVならびにHCVポリペプチド免疫原性領域の製造および使用についての広範なバックグラウンドを提供する。
【0125】
任意の所望の免疫原性HCVポリペプチドまたはこれをコードするDNAを、本発明で使用することができる。例えば、アミノ酸1〜191;アミノ酸10〜53;アミノ酸10〜45;アミノ酸67〜88;アミノ酸86〜100;81〜130;アミノ酸121〜135;アミノ酸120〜130;アミノ酸121〜170の間で見出される領域由来のポリペプチドなどのコア領域HCVポリペプチドおよび、例えば、Houghton et al.,米国特許第5,350,671号;Chien et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chien etal.J Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chien etal.,International Publ.No.WO 93/00365;Chien,D.Y.,International Publ.No.WO 94/01778;および米国特許第6,150,087号で同定された任意のコアエピトープは、本発明の組成物および方法で適用される。
【0126】
さらに、ウイルスの非構造領域由来のポリペプチドも本明細書中で適用される。HCVポリタンパク質のNS3/4a領域が記載されており、タンパク質のアミノ酸配列および全構造は、Yao et al.Structure(November 1999)7:1353−1363に開示されている。Dasmahapatra et al.,米国特許第5,843,752号も参照のこと。上記で説明するように、天然の配列または免疫原性アナログを、本発明の処方物で使用することができる。Dasmahapatra et al.,米国特許第5,843,752号およびZhang et al.,米国特許第5,990,276号は共に、NS3/4aのアナログおおびその作製方法を記載している。
【0127】
さらに、本発明の組成物中で使用するためのポリペプチドおよび方法は、HCVポリタンパク質のNS3領域に由来し得る。多数のこのようなポリペプチドは、公知であり、c33cおよびc100領域由来のポリペプチドおよびc25などのNS3エピトープを含む融合タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。これらのおよび他のNS3ポリペプチドは、本発明の組成物で有用であり、当該分野で公知であり、例えば、Houghton et al,米国特許第5,350,671号;Chien et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chien et al.J.Gastroenf.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chien et al.,International Publ.No.WO 93/00365;Chien,D.Y.,International Publ.No.WO 94/01778;および米国特許第6,150,087号に記載されている。
【0128】
さらに、例えば、米国特許第6,514,731号および6,428,792号に記載の複数のエピトープ融合抗原(「MEFA」と呼ぶ)を、本発明の組成物で使用することができる。このようなMEFAには、2つまたはそれ以上の種々のウイルス領域由来の複数のエピトープが含まれる。エピトープは、好ましくは、1つを超えるHCV株に由来するので、1つのワクチン中の複数のHCV株を防御する活性が追加される。
【0129】
上記で説明するように、便宜上、変異HCV領域を、Choo et al.(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2451に記載のようにHCV−1aのゲノムによってコードされたポリタンパク質に対するアミノ酸番号に関して定義し、開始メチオニンを1位と指定することに留意すべきである。しかし、上記で詳細に説明するように、本発明で使用するためのHCVポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、HCV−1a配列由来のものに制限されず、HCVの任意の株または単離物を、本発明で使用するための免疫原性配列の獲得の基本として使用することができる。
【0130】
E1E2ポリペプチドおよびポリヌクレオチドのための上記の組換え産生方法を使用して、上記ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを得ることができる。
【0131】
(免疫原性組成物および投与)
(A.組成物)
一旦産生されると、E1E2ポリヌクレオチド、ポリペプチド、または他の免疫原を、免疫学的組成物(例えば、予防用(すなわち、感染の防止)または治療用(感染後にHCVを治療するため)のワクチン組成物)に提供することができる。組成物は、一般に、1つまたは複数の「薬学的に受容可能な賦形剤または媒体(vehicle)」(水、生理食塩水、グリセロール、エタノールなど)を含む。さらに、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝化物質などの補助剤をこのような媒体中で使用することができる。
【0132】
キャリアは、任意選択的に、例えば、E1E2809DNAに対する免疫応答を増加させるために使用されるタンパク質組成物中に存在する。キャリアは、それ自体が組成物を投与された個体に有害な抗体の産生を誘導しない分子である。適切なキャリアは、典型的には、巨大でゆっくりと代謝される高分子(タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集体(油滴またはリポソーム)、および不活性ウイルス粒子など)である。このようなキャリアは、当業者に周知である。さらに、免疫原性ポリペプチドを、ジフテリア、破傷風、コレラなど由来の類毒素に抱合することができる。
【0133】
免疫応答を増強するために組成物中にアジュバントも存在することができ、以下などが含まれるが、これらに限定されない:(1)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩(ミョウバン);(2)例えば、以下などの水中油型エマルジョン処方物:(a)Model 110Yのミクロフルイダイザー(Microfluidics,Newton,MA)などのフルイダイザーを使用して1ミクロン未満の粒子に処方した5%スクアラン、0.5%Tween80、および0.5%スパン85を含む(任意選択的に種々の量のMTP−PEを含む)MF59(PCT Publ.No.WO 90/14837;米国特許第6,299,884号および6,451,325号)、(b)1ミクロン未満の乳濁液にミクロ流動化するか、巨大な粒子サイズの乳濁液を得るためにボルテックスした10%スクアラン、0.4%Tween80.5%プルロニック遮断ポリマーL121、およびthr−MDP(以下を参照のこと)を含むSAF、(c)ならびに2%スクアラン、0.2%Tween80、モノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)(好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM))からなる群由来の1つまたは複数の細菌細胞壁成分を含むRibi(登録商標)アジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem,Hamilton,MT);(3)使用することができるQS21またはStimulon(登録商標)(Cambridge Bioscience,Worcester,MA)などのサポニンアジュバント、またはISCOM(免疫刺激複合体)などのこれらから生成された粒子(ISCOMはさらなる決定基を欠き得る)(例えば、国際公開番号WO 00/07621);(4)完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA);(5)IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12などのインターロイキン(例えば、国際公開番号WO 99/44636)、γインターフェロンなどのインターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン;(6)コレレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)、またはE.コリ熱不安定性毒素(LT)、特に、LT−K63(野生型アミノ酸63位をリジンに置換)、LT−R72(野生型アミノ酸72位をアルギニンに置換)、CT−S109(野生型アミノ酸109位をセリンに置換)、およびPT−K9/G129(野生型アミノ酸9位をリジンに置換および129位をグリシンに置換)などの細菌ADP−リボシル化毒素の解毒変異体(例えば、国際公開番号W093/13202およびW092/19265を参照のこと);(7)任意選択的にミョウバンの実質的非存在下でのモノホスホリル脂質A(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)(例えば、GB 2220221;EPA 0689454を参照のこと)(例えば、国際公開番号WO 00/56358を参照のこと);(8)3dMPLの、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ(例えば、EPA 0835318;EPA 0735898;EPA0761231を参照のこと);(9)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、国際公開番号WO 99/52549を参照のこと);(10)サポニンおよびCpGオリゴヌクレオチドなどの免疫原性オリゴヌクレオチド(例えば、国際公開番号WO 00/62800を参照のこと);(11)免疫刺激物質およびその金属塩粒子(例えば、国際公開番号WO 00/23105を参照のこと);(12)サポニンおよび水中油型エマルジョン(例えば、国際公開番号WO99/11241を参照のこと);(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(任意選択的+ステロール)(例えば、国際公開番号 WO 98/57659を参照のこと);および(14)組成物の有効性を増強するための免疫刺激薬として作用する他の物質。
【0134】
ムラミルペプチドには、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(isogluatme)(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0135】
組成物中で使用するための特に好ましいアジュバントは、1ミクロン未満の水中油型エマルジョンである。本明細書中での使用のための好ましい1ミクロン未満は、4〜5w/v%スクアレン、0.25〜1.0w/v%のTween80(登録商標)(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、および/または0.25〜1.0%のSpan85(登録商標)(トリオレイン酸ソルビタン)、ならびに、任意選択的に、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含むスクアラン/水乳濁液(例えば、「MF59」として公知の1ミクロン未満の水中油型エマルジョン)である(国際公開番号WO90/14837;米国特許第6,299,884号および6,451,325号;および Ott et al.,「MF59−−Design および Evaluation of a Safe および Potent Adjuvant for Human Vaccines」in Vaccine Design:The Subunit および Adjuvant Approacl2(Powell,M.F.および Newman,M.J.eds.)Plenum Press,New York,1995,pp.277−296)。MF59は、4〜5w/v%スクアレン(例えば、4.3%)、0.25〜0.5w/v% Tween80(登録商標)、および0.5w/v% Span 85(登録商標)を含み、任意選択的に、種々の量のMTP−PEを含み、Model 110Yのミクロフルイダイザー(microfluidizer)(Microfluidics,Newton,MA)などのフルイダイザーを使用して1ミクロン未満の粒子に処方した。例えば、MTP−PEは、約0〜500 μlg/投与、より好ましくは0〜250μg/投与、最も好ましくは0〜100μg/投与の量で存在し得る。本明細書中で使用される、用語「MF59−0」は、MTP−PEを欠く上記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンをいう一方で、用語「MF59−MT」は、MTP−PEを含む処方物を示す。例えば、「MF59−100」は、100μg MTP−PE/投与などを含む。本明細書中で使用するための別の1ミクロン未満であるMF69は、4.3w/v%スクアレン、0.25w/v% Tween80(登録商標)、および0.75w/v% Span 85(登録商標)、および、任意選択的にMTP−PEを含む。さらに別の1ミクロン未満の水中油型エマルジョンは、10%スクアレン、0.4%Tween80(登録商標)、5%プルロニック遮断ポリマーL121、およびthr−MDPを含むSAFとしても公知のMF75であり、1ミクロン未満の乳濁液にミクロ流動化もする。MF75−MTPは、100〜400μgのMTP−PE/投与などのMTPを含むMF75処方物を示す。
【0136】
1ミクロン未満の水中油型エマルジョン、その作製方法、および組成物中で使用するためのムラミルペプチドなどの免疫刺激薬は、国際公開番号WO 90/14837、米国特許第6,299,884号、および6,451,325号に詳細に記載されている。
【0137】
被験体に含めるための他の好ましい薬剤は、免疫刺激核酸配列(ISS)などの免疫刺激分子(CpGオリゴヌクレオチドなどの非メチル化CpGモチーフが含まれるが、これらに限定されない)である。
【0138】
非メチル化CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドは、B細胞、NK細胞、および抗原提示細胞(APC)(単球およびマクロファージなど)の活性化を誘導することが示されている。例えば、米国特許第6,207,646号を参照のこと。したがって、分子のCpGファミリー、CpGジヌクレオチド、および米国特許第6,207,646号に開示の任意の種々の免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドなどのCpGモチーフを含む合成オリゴヌクレオチド由来のアジュバント(例えば、Krieg et al.Nature(1995)374:546およびDavis et al.J linniunol.(1998)160:870−876を参照のこと)を、本発明の方法および組成物で使用することができる。このようなCpGオリゴヌクレオチドは、一般には、少なくとも8から約100までの塩基対、好ましくは8〜40塩基対、より好ましくは15〜35塩基対、好ましくは15〜25塩基対、およびこれらの値の間の任意の塩基対数を含む。例えば、式5’−X1CGX2−3’(式中、X1およびX2はヌクレオチドであり、Cは非メチル化されている)で示されるコンセンサスCpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドは、免疫刺激性CpG分子として適用される。一般に、X1はAであり、X2はCまたはTである。他の有用なCpG分子には、式5’−X1X2CGX3X4(式中、X1およびX2は、GpT、GpG、GpA、ApA、ApT、ApG、CpT、CpA、CpG、TpA、TpT、またはTpGなどの配列であり、X3およびX4は、TpT、CpT、ApT、ApG、CpG、TpC、ApC、CpC、TpA、ApA、GpT、CpA、またはTpGであり、「p」は、リン酸結合を示す)によって示されるものが含まれる。好ましくは、オリゴヌクレオチドは、5’末端および/または3’末端またはその付近にGCG配列を含まない。さらに、CpGは、好ましくは、2つのプリン(好ましくは、GpAジヌクレオチド)またはプリンおよびピリミジン(好ましくは、GpT)を含むその5’末端に隣接し、2つのピリミジン(好ましくは、TpTまたはTpCジヌクレオチド)を含むその3’末端に隣接する。したがって、好ましい分子は、配列GACGTT、GACGTC、GTCGTT、またはGTCGCTを含み、これらの配列はいくつかのさらなるヌクレオチドに隣接する。この中心コア領域の外側のヌクレオチドは、非常に変化しやすいようである。
【0139】
さらに、本明細書中で使用するためのCpGオリゴヌクレオチドは、二本鎖でも一本鎖でもよい。二本鎖分子はインビボでより安定である一方で、一本鎖分子は免疫活性が増強する。さらに、リン酸骨格を、CpG分子の免疫刺激活性を増強するために修飾(ホスホロジチオエート修飾など)することができる。米国特許第6,207,646号に記載するように、ホスホロチオエート骨格を有するCpG分子は優先的にB細胞を活性化する一方で、ホスホジエステル骨格を有するものは単球(マクロファージ、樹状細胞、および単球)およびNK細胞を優先的に活性化する。
【0140】
当該分野で周知の標準的な技術を使用して、免疫応答を刺激する能力についてCpG分子を容易に試験することができる。例えば、分子が体液性および/または細胞性免疫応答を刺激する能力を、上記の免疫アッセイを使用して容易に決定する。さらに、免疫応答が増強されるかどうかを決定するために、免疫原性組成物を、CpG分子を使用するか使用しないで投与することができる。
【0141】
本発明で使用するための組成物は、治療有効量のE1E2複合体をコードするDNA(または治療有効量のタンパク質)および必要に応じて任意の他の上記成分を含む。「治療有効量」は、投与された個体の免疫学的応答、好ましくは防御免疫学的応答を誘導するタンパク質またはこれをコードするDNAの量を意味する。このような応答により、一般に、被験体中で組成物に対する抗体媒介および/または分泌または細胞性免疫応答が生じる。通常、このような応答には、1つまたは複数の以下の効果が含まれるが、これらに限定されない:免疫グロブリンA、D、E、またはMなどの任意の免疫学的クラスからの抗体の産生;Bリンパ球およびTリンパ球の増殖;免疫細胞の活性化、成長、および分化シグナルの供給;ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、および/または細胞傷害性T細胞および/またはγδT細胞集団の拡大。
【0142】
例えば、E1E2809DNAの投与後に免疫応答を増加させるために使用されるE1E2タンパク質組成物は、1つを超えるウイルス単離物由来のE1E2複合体などの1つまたは複数のE1E2複合体ならびにさらなるHCV抗原の混合物を含み得る。さらに、上記で説明するように、E1E2複合体は、クリッピングおよびタンパク質分解性切断に起因する分子の異種混合物として存在し得る。したがって、E1E2複合体を含む組成物には、複数のE1E2種(アミノ酸746で終結したE1E2(E1E2746)、アミノ酸809で終結したE1E2(E1E2809)など)、または任意の他の上記変異型E1およびE2分子(1〜20個のアミノ酸がN末端で短縮したE2分子(アミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403などから始まるE2種など)など)が含まれ得る。
【0143】
組成物(DNAおよびタンパク質の両方)を、他の抗原および免疫調節薬(例えば、免疫グロブリン、サイトカイン、リンホカイン、およびケモカイン(IL−2、修飾IL−2(cysl25〜serl25)、GM−CSF、IL−12、γ−インターフェロン、IP−10、MIP1β、FLP−3、リバビリン、およびRANTESなどのサイトカインが含まれる))と組み合わせて投与することとができる。
【0144】
(B.投与)
典型的には、免疫原性組成物(DNAおよびタンパク質の両方)を、注射可能な液体もしくは懸濁液として調製し、注射前に溶液中、懸濁液中、液体媒体中で適切な固体形態も調製することができる。したがって、一旦処方されると、組成物を、従来のように、非経口(例えば、注射、皮下、または筋肉内)に投与する。他の投与様式に適切なさらなる処方物には、蛍光および肺用処方物、座剤、および経皮塗布が含まれる。投薬治療は、単回投与計画または複数回計画であり得る。好ましくは、有効量は、病徴の治療または防止に十分である。正確な量は、治療をうける被験体、治療を受ける個体の年齢および一般的な健康状態、個体の免疫系が抗体を合成する能力、所望の防御の程度、治療を受ける病態の重症度、選択された特定の高分子およびその投与様式などによって変化する。適切な有効量を、当業者は容易に決定することができる。「治療有効量」は、範囲が比較的広く、当該分野で公知のインビトロおよびインビボモデルを使用したに日常的試験によって決定することができる。以下の実施例で使用したE1E2 DNAおよびポリペプチドにより、抗E1、抗E2、および/または抗E1E2抗体の誘発を最適にするために使用することができる一般的ガイダンスが得られる。
【0145】
例えば、免疫原を、好ましくは、霊長類(例えば、ヒヒ、チンパンジー、またはヒト)などの大型哺乳動物に筋肉内注射する。E1E2DNAのカチオン性微粒子の吸着量は、一般に、約1μg〜500mgのDNA(5μg〜100mgのDNAなど)(例えば、10μg〜50mgまたは100μg〜5mg(20...30...40...50...60...100...20...μgなどから500μgのDNAなど))、および示した範囲の間の任意の整数である。本発明のE1E2発現構築物を、標準的な遺伝し送達プロトコールを使用して投与する。遺伝子送達方法は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,399,346号、5,580,859号、5,589,466号を参照のこと。E1E2809DNAを、脊椎動物被験体に直接送達させるか、被験体由来の細胞および被験体に再移植された細胞に送達させることができる。
【0146】
E1E2ポリペプチドをコードするDNAの投与により、哺乳動物における細胞性免疫応答、および/または抗E1、抗E2、および/または抗E1E1の抗体力価を誘発することができ、これが少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年、またはそれ以上続く。記憶応答を得るためにE1E2DNAを投与することもできる。このような応答が達成された場合、抗体力価は時間と共に減少し得るが、HCVウイルスまたは免疫原への曝露により、例えば、たった数日で抗体が迅速に誘導される。任意選択的に、上記で説明するように、最初の注射から2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、1年後、またはそれ以降のE1E2ポリペプチドの1回または複数回の追加免疫注射によって、哺乳動物の抗体力価を維持することができる。
【0147】
好ましくは、以下の実施例に記載の免疫アッセイなどの標準的な免疫アッセイを使用して決定したところ、少なくとも10、100、150、175、200、300、400、500、750、1,000、1,500、2,000、3,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000(幾何平均力価)、またはそれ以上、または示した力価の間の任意の数字の抗体力価が誘発される。例えば、Chien et al.,Lancet(1993)342:933;およびChien et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011を参照のこと。
【0148】
E1E2タンパク質の追加免疫のために、一般に、投与あたり約0.1μg〜約5.0mgまたは示した範囲の間の任意の量(0.5μg〜10mg、1μg〜約2mg、2.5μg〜約250μg、4μg〜約200μgなど)(4、5、6、7、8、9、10、...20...30...40...50...60...70...80...90...100など)の免疫原自体を投与する。免疫原を、HCVに感染していない哺乳動物に投与するか、HCV感染哺乳動物に投与することができる。
【0149】
(発明の実施で有用な株の寄託)
以下の株の生物学的に純粋な培養物を、American Type Culture Collection,10801 University Boulevard,Manassas,VAに寄託した。示したアクセッション番号は、特許手続き上の微生物寄託の国際的承認に関するブタペスト条約(ブダペスト条約)の条項にしたがって、効率の良い生存試験および料金支払い後に割り当てられた。これは、生きた培養物を受託日から30年間維持することを保証する。ブダペスト条約の条項にしたがって生物をATCCから利用可能であり、ATCCは、米国法典第35巻第122条およびこれに準じる長官の規則(commissioner’s rule)(連邦規則集第37巻第1.12条が含まれ、特に、886 OG 638を参照のこと)に従って米国特許商標局長官およびその権利を与えられた者によって決定された微生物の子孫を永久且つ無制限の利用を保証するものである。特許付与時、受託された培養物の公的利用に関する全ての制限が解除される。
【0150】
これらの寄託物は当業者の利便性のみを目的として提供されるが、連邦規則集第37巻第1.12条の下で寄託が必要とされる場合は許可されない。これらの遺伝子の核酸配列およびこれによってコードされる分子のアミノ酸配列は、本明細書中の記載と任意に抵触する事象において規制される。受託された物質を作製、使用、または販売するためには許可が必要であり得るが、このような許可は本明細書によって付与されない。
【0151】
プラスミド 寄託日 アクセッション番号
E1E2−809 2001年8月16日 PTA−3463
【実施例】
【0152】
(2.実施例)
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の実施例である。実施例は、例示のみを目的として提供し、本発明の範囲を制限することを決して意図しない。
【0153】
使用した数値(例えば、量、温度など)は確実に正確であるように努めたが、勿論、幾らかの実験の誤差および偏差が含まれる可能性がある。
【0154】
(材料と方法)
酵素を業者から購入し、製造者の指示にしたがって使用した。
【0155】
DNAフラグメントの単離では、記載しない限り、標準的な手順にしたがって全てのDNA操作を行った。Sambrook et al.,supraを参照のこと。制限酵素であるT4DNAリガーゼ、E.コリ、DNAポリメラーゼII、Klenowフラグメント、および他の生物試薬を、業者から購入し、製造者の指示にしたがって使用することができる。二本鎖DNAフラグメントを、アガロースゲルで分離した。
【0156】
化学試薬の供給元には、一般に、Sigma Chemical Company,St.Louis,MO;Alrich,Milwaukee,WI;Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,INが含まれる。
【0157】
(プラスミドデザイン)
プラスミドpCMVtpaE1E2p7(6275bp)を、上流組織プラスミノゲンアクチベーター(tpa)シグナル配列を有するアミノ酸192〜809をコードするHCV−1のpnewCMV−II発現ベクターへのクローニングによって構築した。pnewCMVベクターは、以下のエレメントを含むpUC19−ベースのクローニングベクターである:SV40複製起点、ヒトCMVエンハンサー/プロモーター、ヒトCMVイントロン、ヒト組織プラスミノゲンアクチベーター(tPA)リーダー、ウシ成長ホルモンpolyAターミネータ─、およびアンピシリン耐性遺伝子。
【0158】
以前に記載のように(Spaete et al.,Virology(1992)188:819−830)、E1E2809を組換えCHO細胞から発現させた。TritonX−100界面活性剤を使用して、CHO細胞の内部からE1E2抗原を抽出した。ガランサス・ニバリスレクチンのアガロース(Vector Laboratories,Burlingame,Calif.)クロマトグラフィおよびファーストフローS−Sepharose陽イオン交換クロマトグラフィ(Pharmacia)を使用して、E1E2抗原を精製した。水中油滴型アジュバントMF59は、Chiron Vaccines,Marburgで製造されており、以前に詳細に記載されている(Ott et al.,「MF59−−Design および Evaluation of a Safe および Potent Adjuvant for Human Vaccines」in Vaccine Design:The Subunit および Adjuvant Approach(Powell,M.F.および Newman,M.J.eds.)Plenum Press,New York,1995,pp.277−296))。
【0159】
CTLアッセイのために、HCV−1aのE1およびE2タンパク質(アミノ酸192〜809)にわたる44のペプチド(それぞれ10アミノ酸が重複した20アミノ酸長)を、Chiron Mimotopes Pty.Ltd.(Clayton,Australia)によって遊離アミンN末端および遊離酸C末端を使用して合成した。凍結乾燥ペプチドを、10%DMSO水に再懸濁し、それぞれ2mg/mlに希釈した。同量の各ペプチドを使用して、それぞれ27ペプチドの以下の2つのループを作製した:プール1(アミノ酸192〜470)およびプール2(アミノ酸461〜740)。HCV−1aアミノ酸134〜966(Sc59E12C/B)を発現する組換えワクシニアウイルス(VV)を、以前に記載の方法によって作製した(Choo et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91:1294−1298)。U96−Nunc Maxisorpプレート(Nalgene Nunc International,Rochester,NY、ヤギ抗マウスIgG−HRP抱合体(Caltag Laboratories,Burlingame,CA)、およびTMBマイクロウェルペルオキシダーゼ置換系(Kirkegaard & Perry Laboratories,Gaithersburg,MD)をELISAのために使用した。
【0160】
ポリラクチド−コ−グリコリド(RG 504、50:50 ラクチド:グリコリド単量体比)を、Boehringer Ingelheim,USA.から入手した。Sigma Chemical Co.,St.Louis,U.S.A.からCTABを入手し、輸送日に使用した。PLG/CTAB微粒子を、本質的に以前に記載の溶媒蒸発技術を使用して調製した(Singh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97:811−816;Briones et al.,Pharm.Res.(2001)18:709−712)。100mgの微粒子と200μg/mlのDNAを含む1×TE緩衝液との4℃で12時間の穏やかに撹拌しながらインキュベートすることによってHCV E1E2プラスミドを微粒子に吸着させた。次いで、粒子を遠心分離によって分離し、凍結乾燥させた。DNAの吸着量を、PLG微粒子の加水分解によって決定した。微粒子のサイズ分布を、粒子サイズ分析器(Malvern Instruments,Malvern,U.K.)を使用して決定した。DELSA 440 SX Zetasizer(Coulter Corp.Miami,FL)を使用して、ζポテンシャルを測定した。
【0161】
(実施例1)
(カチオン性微粒子に吸着したE1E2 DNAを使用したマウスの免疫化)
カチオン性微粒子に吸着したE1E2809プラスミドDNAの免疫原性を決定するために、3つのマウス研究を行った。第1の研究では、6〜8週齢で約20〜25gの10匹の雌CB6F1マウス群を、0日目および28日目にE1E2809プラスミドDNAまたはPLG/CTAB/E1E2809DNA(10および100μg)で免疫化した。処方物を含む生理食塩水をTA経路によって各動物の後足に注射した(部位あたり50μl)。42日目に眼窩後叢でマウスから採血し、血清を分離した。HCV E1E2特異的血清IgG力価を、ELISAによって定量した。
【0162】
第2の研究では、0日目および28日目の1および10μgのPLG/CTAB/E1E2809DNAでの免疫化を、2μgの組換えE1E2809タンパク質を含むMF59での免疫化と比較した(各群は10匹のマウスを含む群)。さらなるマウス群を、比較のために10μgのE1E2809プラスミドDNAで免疫化し、アッセイ42日目で血清を分離した。
【0163】
第3のマウス研究では、E1E2809プラスミドDNA、PLG/CTAB/ElE2809DNAおよびDNAプライム/タンパク質追加免疫によって誘発した免疫応答を比較した。E1E2809プラスミドDNA(10μg)、PLG/CTAB/ElE2809DNA(10μg)、または5μgのE1E2809タンパク質を含むMF59を使用して、最初の免疫化を行った。それぞれ10匹を含む3つの群を、PLG/CTAB/ElE2809DNA、E1E2809プラスミドDNA、またはE1E2809タンパク質を含むMF59で排他的に3回免疫化した。さらに、2つのさらなるマウス群に、PLG/CTAB/ElE2809DNAまたはE1E2809プラスミドDNAのいずれか(10μg)を2回投与し、両群を、E1E2809タンパク質(5μg)を含むMF59の1回投与からなる第3の免疫化を使用して追加免疫を行った。全動物群を、3つの場合で免疫化し、4週間後までに分離し、70日目に血清を回収した。
【0164】
マウスにおけるHCV E1E2に対する抗体応答を、各免疫化から2週間後に回収した血清に対してELISAによって測定した。マイクロタイタープレートを、0.625μg/mlの200μlの精製HCV E1E2809で4℃で一晩コーティングした。コーティングしたウェルを、300μlの1%BSAを含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)にて37℃で1時間ブロッキングした。プレートを、洗浄緩衝液(PBS、0.3%Tween−20)で5回洗浄し、捕捉し、乾燥させた。血清サンプルおよび血清標準を、最初にブロッキング緩衝液で希釈し、その後コーティングしたブロッキングプレートに移し、サンプルを同一の緩衝液で3倍ずつ連続希釈した。37℃で1時間のインキュベーション後に、プレートを洗浄した。ヤギ抗マウスIgGγ鎖特異的抗体に抱合した西洋ワサビペルオキシダーゼ(Caltag Laboratories,Inc.)を使用して、IgG力価を決定した。37℃で1時間のインキュベーション後、プレートを洗浄して非結合抗体を除去した。OPD基質を使用して、プレートを発色させ、30分後に4N HClの添加によって呈色反応をブロッキングした。IgG抗体の力価を、サンプル希釈倍率の逆数として示した(希釈サンプルの光学密度は492nmおよび620nmで等しく、0.5であった)。
【0165】
第1の研究では、E1E2809プラスミドDNAのみでの免疫化と比較して、両用量(10および100μgのDNA)でPLG/CTAB微粒子へのE1E2809プラスミドDNAの吸着によって、E1E2に対する血清IgG抗体応答が有意に増強された。さらに、10μgのE1E2809プラスミドDNAでは、検出可能な応答を誘導するのに必要な閾値用量未満であることが明らかである。対照的に、PLG/CTAB/ElE2809DNAは、10μgで強力な応答を誘導した(図3)。
【0166】
第2の研究は、PLG/CTAB/ElE2809DNAが、10μgではE1E2809プラスミドDNAのみよりも有意に高い応答を誘導する能力が確認されたが、PLG/CTAB/ElE2809DNAは1μgでは強力な応答を誘導しないことも示した。さらに、この研究は、2μgのMFでアジュバント化した(adjuvanted)E1E2809タンパク質と比較してPLG/CTAB/ElE2809DNA(10μg)が類似の応答を誘導することも示した(図4)。
【0167】
第3の研究は、前の研究からの所見を確認し、拡大した。PLG/CTAB/ElE2809DNAは、10μgで2回または3回の投与後ではE1E2809プラスミドDNAよりも有意により強力であり、2回または3回投与後の5μgのE1E2809タンパク質を含むMF59での免疫化に類似していた。さらに、3回の投与での10μgのE1E2809プラスミドDNAは検出可能な応答を誘導しないにもかかわらず、PLG/CTAB/ElE2809DNAの2回投与(10μg)では強力な応答を誘導した(図5)。さらに、PLG/CTAB/ElE2809DNAの2回投与(10μg)は、E1E2809タンパク質を含むMF59での追加免疫後に強力な応答をプライミングする一方で、E1E2809プラスミドDNAのみ(10μg)ではプライミング投与計画としての効果を低かった。さらに、PLG/CTAB/ElE2809DNAの3回投与(10μg)は、PLG/CTAB/ElE2809DNAの2回投与(10μg)およびその後の5μgのE1E2809タンパク質を含むMF59の単回投与での追加免疫と強度は等しかった(図5)。
【0168】
本明細書中で示されるように、E1E2809プラスミドは、マウスにおいて100μgの用量で検出可能な力価を誘導することができた。しかし、E1E2809DNAが吸着したカチオン性PLG微粒子は顕著により強力であり、MF59でアジュバント化した組換えE1E2809タンパク質での免疫化によって誘導された応答と類似していた。これは、マウスにおいてHCVE2プラスミドを使用した以前の研究と対照的である(Song et al.,J.Virol.(2000)74:2020−2025)。その研究では、プラスミドDNAは、高用量(100μg)でさえも、検出可能な抗体応答を誘導することができず、タンパク質ブースターの用量は血清反応反転の誘導に必要であった。本結果は、PLG微粒子に吸着したHIVプラスミドに関する以前のデータと一致し(O’Hagan et al.,J viral(2001)75:9037−9043)、本明細書中で使用したプラスミドから発現したE1E2809抗原は、以前にPLGと組み合わせて評価された抗原と非常に異なる。以前に評価されたenvプラスミド(Briones et al.,Plaamn.Res.(2001)18:709−712;O’Hagan et al.,J.Virol.(2001)75:9037−9043)は、抗原を最適に分泌しながら哺乳動物細胞を高レベル発現するためにコドンを最適化する一方で(Widera et al.,J.Immunol.(2000)164:4635−4640)、以前に評価されたgagプラスミド(Singh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97:811−816;O’Hagan et al.,J.Virol.(2001)75:9037−9043)もコドンが最適化され、細胞から有効に分泌される(Zur Megede et al.,J.Virol.(2000)74:2628−2635)。対照的に、本研究で使用したE1E2809プラスミドを、抗原を細胞内に産生するようにデザインした(例えば、国際公開番号WO 98/50556を参照のこと)。したがって、本研究における驚くべき所見は、PLG微粒子が細胞から分泌されるようにデザインした抗原に対して増強された抗体応答を誘導する能力である。
【0169】
第3のマウス研究では、E1E2809プラスミドDNAとLG/CTAB/ElE2809DNAとの組換えE1E2809タンパク質を含むMF59アジュバントでの追加免疫後に強力な抗体応答をプライミングする能力を研究した。E1E2809プラスミドDNAは、タンパク質による追加免疫応答をプライミングすることができたが、E1E2809プラスミドDNAのみ(10μg)では、3回投与しても一次応答を引き起こすことができなかった。対照的に、PLG/CTAB/ElE2809DNAの2回投与(10μg)では、強力な血清抗体応答を誘導した。さらに、PLG/CTAB/ElE2809DNAはまた、E1E2809プラスミドDNAのみよりもタンパク質に対する追加免疫応答のプライミングに有効であった。さらに、非常に驚くべき所見は、PLG/CTAB/ElE2809DNAの3回の投与は、2回投与後にタンパク質追加免疫を行うのと類似していることであった。いくつかの前の状況では、DNAは、強力な免疫応答の誘導に無効であることが示されたが、応答はタンパク質追加免疫によって有意に増強された。
【0170】
(実施例2)
(カチオン性微粒子に吸着したE1E2DNAを使用したアカゲザルの免疫化)
上記の正の結果に基づいて、以下の霊長類研究を行った。3頭のアカゲザル群を、PLG/CTAB/ElE2809DNA(1mg)または50μgのE1E2809タンパク質を含むMF59を、0、4週目、8週目、および24週目に免疫化した。さらに、64週目に、40μgのE1E2809タンパク質を含むMF59で全動物を追加免疫した(表2を参照のこと)。
【0171】
【表2】

(表2)
表2.PLG/CTAB/E1E2809DNAまたはE1E2809組換えタンパク質を含むM59で免疫化した3頭のアカゲザルの2群についての免疫化計画。
【0172】
アカゲザルにおけるHCV E1E2に対する抗体応答を、上記プロトコールにしたがって測定した。変更点は二次抗体としてヤギ抗アカゲザル抗体(Southern Biotech Association,Inc.)を使用したことのみである。
【0173】
麻酔下で大腿静脈から末梢血を採取した。Ficoll−Hypaque勾配による遠心分離によってPBMCを獲得し、5×10細胞/ウェルを24ウェルディッシュで培養した。これらの細胞のうち、1×10個を、10μMのペプチドプール(個別のペプチドからなる)にて37℃で1時間感作し、洗浄し、10ng/mlのIL−7(R & D Systems,Minneapolis,MN)を補足した2mlの培養培地(RPMI1640、10%熱不活化FBS、および1%抗生物質)中の残存する4×10個の非処置PBMCに添加した。48時間後、5%(最終)のIL−2含有上清(PHAを含まないT−STIM、Becton Dickinson Biosciences−Discovery Labware,San Jose,CA)および50U/ml(最終)のrIL−2を培地に添加した。培養物に3〜4日間栄養を与えた。培養10日後に、製造者の指示にしたがって、磁性ビーズ(Dynal,Oslo,Norway)に結合した抗CD8抗体を使用してCD8T細胞を単離した。精製CD8細胞(フローサイトメトリーによって測定したところ、純度93%超)を、さらに2〜3日間培養し、その後細胞傷害活性についてアッセイした。ヒヒヘルペスウイルス産生細胞株S394由来の上清を使用して、B−LCLは各動物に由来していた。
【0174】
標準的な51Cr放出アッセイにおいて細胞傷害活性を評価した。自家B−LCLを、9.25mg/mlペプチドおよび50mCiの51Crと共に1.5時間インキュベートし、3回洗浄し、5×10細胞/ウェルにて96ウェルプレートにプレートした。CD8+T細胞を、2連で3つのエフェクター:標的(E:T)比においた。ヒヒヘルペスウイルスによるB−LCLの溶解および/または内因性泡沫状ウイルス特異的CTLを最小にするように含まれるウェルあたり3.75×10個の非標識標的の存在下で、エフェクターおよび標的を共に4時間インキュベートした。上清(50ml)をLumaplate(Packard Bioscience,Meriden,CT)に移し、Wallac Microbeta 1450シンチレーション装置(Perkin Elmer,Boston,MA)を使用して放射能を測定した。特異的溶解率を、100×[(平均実験放出−平均自発的放出)/(平均最大放出−平均自発的放出)]として計算した。2つの最も高いE:T細胞比での特異的溶解率がコントロール標的の溶解率+10%以上である場合、CTL応答を陽性とスコアリングした。
【0175】
第2の免疫化から2週間後のE1E2809タンパク質を含むMF59で免疫化した3頭全てのアカゲザルは、血清IgG応答が得られ、第3の免疫化で応答が増加した。PLG/CTAB/ElE2809DNAで免疫化した3頭のアカゲザルのうちの2頭は、第2の免疫化から2週間後に応答し、3頭全ての動物は、第3の免疫化後に応答した。したがって、第3の投与後にPLG/CTAB/ElE2809DNAで免疫化した3頭全てのアカゲザルで血清反応反転が起こった。第3の投与で2頭の動物が応答したことは応答増加の証拠にはならないが、全動物で第4のPLG/CTAB/ElE2809DNAの投与後に応答増加が認められた(表3)。これにより、有効な応答増加を得るためには第3のDNA投与の間隔を第2の投与に非常に近づけるということが示唆される。第3の投与と第4の投与との間ではさらにより遅れており、第4の投与後に応答が増加した。それにもかかわらず、各免疫化後のPLG/CTAB/ElE2809DNAによって誘導されたIgGレベルは、一般に、E1E2809タンパク質を含むMF59によって誘導された応答よりも低かった。しかし、E1E2809タンパク質の単回投与により、前にPLG/CTAB/ElE2809DNAで免疫化されたアカゲザルにおいて優れた応答増加を誘導する一方で、前に4回タンパク質で免疫化された動物へのタンパク質の投与では類似のレベルの応答増加は誘導されなかった。したがって、5回の免疫化後、タンパク質のみを含むMF59で免疫化するかPLG/CTAB/ElE2809DNAで免疫化後にE1E2809タンパク質を含むMF59で1回追加免疫を行った両群において類似の血清抗体応答が得られた。
【0176】
PLG/CTAB/ElE2809DNAでの第4の免疫化から2週間後、全動物でPBMC由来のCTL応答を評価した。PLG/CTAB/ElE2809DNAで免疫化した3頭のうちの1頭の動物(BB227)は、ペプチド特異的CTL応答を示した(表4)。この動物(BB227)は、抗体に対する応答は最も弱く、第3のPLG/CTAB/ElE2809DNA投与後に弱く血清反応反転を示しただけであった。
【0177】
まとめるために、PLG/CTAB/ElE2809DNA微粒子により、3回の免疫化後に3/3の動物で血清反応反転が誘導され、第4の投与後に応答が増加した。第3の免疫化後にDNAに対する応答はほとんど増加しなかったにもかかわらず、第3の投与では依然として応答しない残りの1頭で血清反応反転が誘導されなかった。PLG/CTAB/ElE2809DNAによって誘導された血清IgG応答が組換えE1E2809タンパク質を含むMF59によって誘導された応答よりも有意に低いにもかかわらず、複数回の大量投与後でさえも霊長類における抗体応答の誘導のための以前のDNAワクチンの有効性が低いことを考えると(Gurunathan et al.,Ann.Rev.Immunol.(2000)18:927−974)、PLG/CTAB/ElE2809DNAがアカゲザル中で血清反応反転を誘導する能力は、顕著且つ向上している。
【0178】
PLG/CTAB/ElE2809DNAのみではE1E2809タンパク質を含むMF59での免疫化に対する類似の血清IgG応答を誘導することができないにもかかわらず、E1E2809タンパク質の単回追加免疫投与により、PLG/CTAB/ElE2809DNA免疫化アカゲザルにおける抗体応答が有機に増強された。組換えE1E2809タンパク質を含むMF59での単回追加免疫投与後、PLG/CTAB/ElE2809DNA群は、5回の投与で排他的にE1E2809タンパク質を含むMF59で免疫化したアカゲザルと類似の血清IgG力価を示した。E1E2809は細胞内抗原複合体として産生されるので(Heile et al.,J.Virol.(2000)74:6885)、普遍的なHCVワクチンに必要なレベルで組換えタンパク質として製造するのは困難である。したがって、PLG/CTAB/ElE2809DNAが単回用量のE1E2タンパク質を含むMF59で追加免疫することができる抗E1E2応答をプライミングする能力により、ワクチン開発のためのタンパク質用量を控えた選択肢が得られる。さらに、DNAワクチンは、HCVに対する防御免疫応答で重要であり得るCTL応答をプライミングすることができる。一般に、タンパク質ベースのワクチンは、非ヒト霊長類およびヒトにおけるCTL応答の誘導に無効であった(Singh and O’Hagan,Nat.Biotechnol(1999)17:1075−1081)。PLG/CTAB/ElE2809DNAで免疫化した3頭のアカゲザルのうちの1頭では、第4の免疫化後にCTL応答が検出された。CTLはE1E2809/MF59免疫化動物で評価されていないが、本発明者らは、このアジュバントがCTL応答を誘導しないと確信するに足る十分な経験を有している。
【0179】
【表3】

表3.PLG/CTAB/E1E2809DNAまたはE1E2809組換えタンパク質を含むMF59で免疫化したアカゲザルの血清IgG抗体の応答。
【0180】
【表4】

(表4)
表4.第4の免疫化から2週間後にPLG/CTAB/E1E2809DNAで免疫化したアカゲザルの細胞傷害性Tリンパ球応答。Percent specific lysis at different effector/target cell ratios:異なるエフェクター/標的細胞比での特異的溶解率。
【0181】
(実施例3)
(カチオン性微粒子に吸着したE1E2DNAを使用したチンパンジーの免疫化)
表5および6に示すように、チンパンジー群の各大腿部に3mg(大腿部あたり)の以下のプラスミド混合物で免疫化した:PLG/CTAB/ElE2809DNA、PLG/CTAB/HCV NS34a、PLG/CTAB/HCV NS4aNS4b、およびPLG/CTAB/HCV NS5。コントロールアミノ酸にはワクチンを投与しなかった。6ヶ月目に、チンパンジーを、HCV−H株の100CIDで静脈内に攻撃誘発した。
【0182】
表に示すように、PLG DNAは抗E1E2抗体をプライミングした。さらに、攻撃誘発後、ワクチン摂取した動物はウイルス血症を発症したが、PLG/CTAB/ElE2809DNAを投与した動物の4/5は最終的に回復し、ヒトにおけるHCVがもたらす主な影響であるキャリア状態に進行しなかった。対照的に、HCV−Hで攻撃誘発した全14頭のコントロールのうち、6/14がウイルス感染を消失させることができた。これらのデータは、カチオン性微粒子に吸着したE1E2DNAが予防効果を示すことを証明する。
【0183】
さらに、攻撃誘発後、PLG/CTAB/ElE2809DNAを投与した動物はコントロールと比較してHCV特異的T細胞の肝臓への流入がより迅速であることが自明であり、カチオン性微粒子に吸着したE1E2DNAの有効性がさらに証明される。
【0184】
E1E2809DNA組成物およびその使用方法を記載する。本発明の好ましい実施形態がある程度詳細に記載されているが、特許請求の範囲によって定義された本発明の精神および範囲を逸脱することなく明らかな変形形態を得ることができると理解される。
【0185】
(表5)
(CHO E1E2に対する抗体力価についてのElisa)
【0186】
【表5】

(表6)
(CHO E1E2に対する抗体力価についてのElisa)
【0187】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】図1は、HCVポリペプチドの種々の領域を示すHCVゲノムの図である。
【図2A】図2A〜2C(配列番号1および2)は、HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を示す。図中に示す数字は、全長HCV−1ポリタンパク質に関する。E1、E2、およびp7領域を示す。
【図2B】図2A〜2C(配列番号1および2)は、HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を示す。図中に示す数字は、全長HCV−1ポリタンパク質に関する。E1、E2、およびp7領域を示す。
【図2C】図2A〜2C(配列番号1および2)は、HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列を示す。図中に示す数字は、全長HCV−1ポリタンパク質に関する。E1、E2、およびp7領域を示す。
【図3】図3は、10μgおよび100μgのE1E2809プラスミドDNAのみまたはPLG/CTAB/E1E2809DNA(図中でPLG/DNAと示す)でのマウスの0および4週間の免疫化後の血清IgG力価(N=10、+/−SEM)を示す。
【図4】図4は、10μgのE1E2809プラスミドDNA、1μgおよび10μgのPLG/CTAB/E1E2809DNA、または2μgのMF59アジュバント中のE1E2809組換えタンパク質でのマウスの0および4週間の免疫化後の血清IgG力価(N=10、+/−SEM)を示す。
【図5】図5は、10μgのE1E2809プラスミドDNAまたはPLG/CTAB/E1E2809DNA、または5μgのMF59アジュバント中のE1E2809組換えタンパク質でのマウスの0、4、8週間の免疫化後の血清IgG力価を示す。さらに、2つのマウス群を、10μgのE1E2809プラスミドDNAまたはPLG/CTAB/E1E2809DNAで0および4週間2回免疫化し、5μgのMF59中のE1E2809組換えタンパク質で8週間追加免疫を行った(N=10、+/−SEM)。D=E1E2809DNA(10μg)、P−5μgのMF59中のE1E2809タンパク質。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に、薬学的に受容可能な賦形剤およびカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる組成物であって、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である、組成物。
【請求項2】
前記HCV E1E2複合体が、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、およびポリ無水物からなる群より選択されるポリマーから形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)から形成される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
実質的に、
(a)薬学的に受容可能な賦形剤;および
(b)ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成されたカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなるHCV E1E2複合体である、ポリヌクレオチド、
からなる組成物。
【請求項7】
実質的に、薬学的に受容可能な賦形剤およびカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる治療有効量の第1の組成物を被験体に投与する工程を包含する脊椎動物被験体の免疫応答を刺激する方法であって、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体であり、該HCV E1E2複合体が、免疫応答を誘発するためにインビボで発現する、脊椎動物被験体の免疫応答を刺激する方法。
【請求項8】
前記HCV E1E2複合体が、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、およびポリ無水物からなる群より選択されるポリマーから形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)から形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
治療有効量の第2の組成物を被験体に投与する工程をさらに包含し、該第2の組成物が、免疫原性HCVポリペプチドおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の組成物が、前記第1の組成物の後に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の組成物中の免疫原性HCVポリペプチドが、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記HCV E1E2複合体が、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の組成物が、アジュバントをさらに含有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記アジュバントが、免疫原性HCVポリペプチドに対する免疫応答を増強し得る1ミクロン未満の水中油型エマルジョンであり、該1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、(i)全体積の1%〜12%の量で存在する代謝可能な油、および(ii)0.01重量%〜1重量%(w/v)の量で存在し、ポリオキシエチレンソルビタンのモノエステル、ジエステル、もしくはトリエステルおよび/またはソルビタンのモノエステル、ジエステル、もしくはトリエステルを含む乳化剤を含有し、該油および該乳化剤が、油滴を有する水中油型エマルジョンの形態で存在し、該油滴の実質的に全ての直径が約100nmから1ミクロン未満である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、4〜5w/v%スクアレン、0.25〜1.0w/v%モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、および/または0.25〜1.0%トリオレイン酸ソルビタン、ならびに、必要に応じてN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、実質的に、約5体積%のスクアレン、ならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される1種以上の乳化剤からなり、該乳化剤の全存在量が、約1重量%(w/v)である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記1種以上の乳化剤が、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンであり、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンの全存在量が約1重量%(w/v)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の組成物が、CpGオリゴヌクレオチドをさらに含有する、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
脊椎動物被験体の免疫応答を刺激する方法であって、該方法は、以下:
(a)実質的にポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成したカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる治療有効量の第1の組成物を該被験体に投与する工程であって、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなるHCV E1E2複合体であって、該HCV E1E2複合体がインビボで発現する、工程;ならびに
(b)治療有効量の第2の組成物を該被験体に投与する工程であって、該第2の組成物が、該被験体で免疫応答を誘発するための(i)図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる免疫原性HCV E1E2複合体、(ii)アジュバント、および(iii)薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、工程
を包含する、方法。
【請求項23】
前記アジュバントが、前記第2の組成物中で免疫原性HCV E1E2複合体に対する免疫応答を増強し得る1ミクロン未満の水中油型エマルジョンであり、該1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、(i)全体積の1%〜12%の量で存在する代謝可能な油、および(ii)0.01重量%〜1重量%(w/v)の量で存在し、ポリオキシエチレンソルビタンのモノエステル、ジエステル、もしくはトリエステルおよび/またはソルビタンのモノエステル、ジエステル、もしくはトリエステルを含む乳化剤を含み、該油および乳化剤が、油滴を有する油中水滴型エマルジョンの形態で存在し、該油滴の実質的に全ての直径が約100nmから1ミクロン未満である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、4〜5w/v%スクアレン、0.25〜1.0w/v%モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、および/または0.25〜1.0%トリオレイン酸ソルビタン、ならびに、必要に応じて、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、実質的に、約5体積%のスクアレンならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される1種以上の乳化剤からなり、該乳化剤の全存在量が、約1重量%(w/v)である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記1種以上の乳化剤が、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンであり、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンの全存在量が約1重量%(w/v)である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の組成物がCpGオリゴヌクレオチドをさらに含有する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
薬学的に受容可能な賦形剤をカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドと組み合わせる工程を包含する、組成物を生成する方法において、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である、組成物を生成する方法。
【請求項29】
脊椎動物被験体の免疫応答を刺激するための方法における請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に、薬学的に受容可能な賦形剤およびカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる組成物であって、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である、組成物。
【請求項2】
前記HCV E1E2複合体が、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、およびポリ無水物からなる群より選択されるポリマーから形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)から形成される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
本質的に
(a)薬学的に受容可能な賦形剤;および
(b)ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成されたカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなるHCV E1E2複合体である、ポリヌクレオチド、
からなる組成物。
【請求項7】
本質的に、薬学的に受容可能な賦形剤およびカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる第1の組成物を備える、脊椎動物被験体の免疫応答を刺激するためのキットであって、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体であり、該HCV E1E2複合体が、免疫応答を誘発するためにインビボで発現する、キット
【請求項8】
前記HCV E1E2複合体が、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる、請求項7に記載のキット
【請求項9】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、およびポリ無水物からなる群より選択されるポリマーから形成される、請求項7に記載のキット
【請求項10】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(α−ヒドロキシ酸)から形成される、請求項9に記載のキット
【請求項11】
前記カチオン性微粒子が、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成される、請求項10に記載のキット
【請求項12】
2の組成物を備えるキットであって、該第2の組成物が、免疫原性HCVポリペプチドおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、請求項7に記載のキット
【請求項13】
前記第2の組成物が、前記第1の組成物の後に投与されるために処方されている、請求項12に記載のキット
【請求項14】
前記第2の組成物中の免疫原性HCVポリペプチドが、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である、請求項12に記載のキット
【請求項15】
前記HCV E1E2複合体が、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる、請求項14に記載のキット
【請求項16】
前記第2の組成物が、アジュバントをさらに含有する、請求項12に記載のキット
【請求項17】
前記アジュバントが、免疫原性HCVポリペプチドに対する免疫応答を増強し得る1ミクロン未満の水中油型エマルジョンであり、該1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、(i)全体積の1%〜12%の量で存在する代謝可能な油、および(ii)0.01重量%〜1重量%(w/v)の量で存在し、ポリオキシエチレンソルビタンのモノエステル、ジエステル、もしくはトリエステルおよび/またはソルビタンのモノエステル、ジエステル、もしくはトリエステルを含む乳化剤を含有し、該油および該乳化剤が、油滴を有する水中油型エマルジョンの形態で存在し、該油滴の実質的に全ての直径が約100nmから1ミクロン未満である、請求項16に記載のキット
【請求項18】
前記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、4〜5w/v%スクアレン、0.25〜1.0w/v%モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、および/または0.25〜1.0%トリオレイン酸ソルビタン、ならびに、必要に応じてN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項17に記載のキット
【請求項19】
前記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、本質的に、約5体積%のスクアレン、ならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される1種以上の乳化剤からなり、該乳化剤の全存在量が、約1重量%(w/v)である、請求項17に記載のキット
【請求項20】
前記1種以上の乳化剤が、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンであり、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンの全存在量が約1重量%(w/v)である、請求項19に記載のキット
【請求項21】
前記第2の組成物が、CpGオリゴヌクレオチドをさらに含有する、請求項12に記載のキット
【請求項22】
脊椎動物被験体の免疫応答を刺激するためのキットであって、該キットは、以下:
(a)本質的にポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成したカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドからなる第1の組成物であって、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなるHCV E1E2複合体であって、該HCV E1E2複合体がインビボで発現する、第1の組成物;ならびに
(b)第2の組成物であって、該第2の組成物が、該被験体で免疫応答を誘発するための(i)図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の配列からなる免疫原性HCV E1E2複合体、(ii)アジュバント、および(iii)薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、第2の組成物
備える、キット
【請求項23】
前記アジュバントが、前記第2の組成物中で免疫原性HCV E1E2複合体に対する免疫応答を増強し得る1ミクロン未満の水中油型エマルジョンであり、該1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、(i)全体積の1%〜12%の量で存在する代謝可能な油、および(ii)0.01重量%〜1重量%(w/v)の量で存在し、ポリオキシエチレンソルビタンのモノエステル、ジエステル、もしくはトリエステルおよび/またはソルビタンのモノエステル、ジエステル、もしくはトリエステルを含む乳化剤を含み、該油および該乳化剤が、油滴を有する水中油型エマルジョンの形態で存在し、該油滴の実質的に全ての直径が約100nmから1ミクロン未満である、請求項22に記載のキット
【請求項24】
前記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、4〜5w/v%スクアレン、0.25〜1.0w/v%モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、および/または0.25〜1.0%トリオレイン酸ソルビタン、ならびに、必要に応じて、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項23に記載のキット
【請求項25】
前記1ミクロン未満の水中油型エマルジョンが、本質的に、約5体積%のスクアレンならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンからなる群より選択される1種以上の乳化剤からなり、該乳化剤の全存在量が、約1重量%(w/v)である、請求項23に記載のキット
【請求項26】
前記1種以上の乳化剤が、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンであり、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびトリオレイン酸ソルビタンの全存在量が約1重量%(w/v)である、請求項25に記載のキット
【請求項27】
前記第2の組成物がCpGオリゴヌクレオチドをさらに含有する、請求項23に記載のキット
【請求項28】
薬学的に受容可能な賦形剤をカチオン性微粒子に吸着したポリヌクレオチドと組み合わせる工程を包含する、組成物を生成する方法において、該ポリヌクレオチドが、インビボでコード配列の転写および翻訳を指示する制御要素に作動可能に連結されたC型肝炎ウイルス(HCV)免疫原をコードするコード配列を含み、さらに、該HCV免疫原は、該ポリヌクレオチドがHCV E1E2複合体以外のHCV免疫原をコードしないという条件で、図2A〜2Cの192位〜809位に示すアミノ酸の連続配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸の連続配列を有する免疫原性HCV E1E2複合体である、組成物を生成する方法。
【請求項29】
脊椎動物被験体の免疫応答を刺激するための請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2006−524698(P2006−524698A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513239(P2006−513239)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/012510
【国際公開番号】WO2004/096136
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(591076811)カイロン コーポレイション (265)
【Fターム(参考)】