カテーテル係留器具
【課題】医療用画像モダリティの画像上で、カテーテルの薬剤吐出口の位置を容易に確認することができるカテーテル係留器具を提供すること。
【解決手段】臓器2の中に薬剤吐出口5が位置するように生体を貫通するカテーテル4を臓器2の表面に係留するカテーテル係留器具1であって、臓器2の表面とカテーテル4とが交差する第1の位置においてカテーテル4を臓器2の表面に係留する第1の係留器具7と、臓器2の表面とカテーテル4とが交差する第2の位置においてカテーテル4を臓器2の表面に係留する第2の係留器具8と、を備え、第1の係留器具7と第2の係留器具8との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造、たとえば、第1の係留器具7と第2の係留器具8との大きさが異なる構造としている。
【解決手段】臓器2の中に薬剤吐出口5が位置するように生体を貫通するカテーテル4を臓器2の表面に係留するカテーテル係留器具1であって、臓器2の表面とカテーテル4とが交差する第1の位置においてカテーテル4を臓器2の表面に係留する第1の係留器具7と、臓器2の表面とカテーテル4とが交差する第2の位置においてカテーテル4を臓器2の表面に係留する第2の係留器具8と、を備え、第1の係留器具7と第2の係留器具8との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造、たとえば、第1の係留器具7と第2の係留器具8との大きさが異なる構造としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体組織を貫通するカテーテルを該生体組織の表面に係留するカテーテル係留器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体組織、たとえば臓器などにカテーテルを留置して臓器中の腫瘍などに薬剤を投与する技術が知られている。このように生体組織に、カテーテルから薬剤を投与する場合には、健康な組織に薬剤が浸潤しないように、腫瘍などの患部である薬剤投与対象に、カテーテルの薬剤吐出口を正確に位置づけて投与する必要がある。従って、正確な位置への投与が行われていることを定期的に確認し、薬剤投与対象となる人や動物の姿勢変化や運動により、穿刺したカテーテルの薬剤吐出口と患部との位置関係に、想定以上のずれが生じている場合には、投薬を中止するなどの処置をとることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−528062号公報
【特許文献2】特表2005−505101号公報
【特許文献3】米国特許第7463934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬剤吐出口の近くでカテーテルを生体組織に係留した場合には、患部の疾患の進行や治療による治癒などで、患部の形状・サイズ・固さが物理的に変化し、この変化に伴ってカテーテルの係留場所として更に望ましい位置が見つかった場合には、この状態への対応も必要である。しかし、留置したカテーテルの薬剤吐出口と患部との位置関係を、低侵襲かつ簡便に確認することは困難である。
【0005】
特に、細長いカテーテルの薬剤吐出口の位置は、医療用画像モダリティの画像上で確認することは容易ではなかった。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、医療用画像モダリティの画像上で、カテーテルの薬剤吐出口の位置を容易に確認することができるカテーテル係留器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテル係留器具は、生体組織の中に薬剤吐出口が位置するように生体を貫通するカテーテルを前記生体組織の表面に係留するカテーテル係留器具であって、前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第1の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具と、を備え、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有していることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との大きさが異なる構造であることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の最小投影面積が前記第2の係留器具の最大投影面積の1.5倍以上である構造であることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との形状が異なる構造であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の投影形状の最小幅が前記第2の係留器具の投影形状の最大幅の1.5倍以上である構造であることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが異なる材質で形成される構造であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具は金属で形成され、前記第2の係留器具は非金属で形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に表面処理が施された構造であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記表面処理は、ディンプル加工であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に目印物が埋め込まれている構造であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記目印物は、金属タグであることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、前記カテーテルが巻回される貫通穴を有し、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状と、前記第2の係留器具における前記カテーテルの巻回形状とを異ならせる構造であることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、鋭利な突出部が無い滑らかな形状であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、前記カテーテルに沿った移動を一方向にのみ許す移動制御機構を有することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方には、前記カテーテルに沿った移動の許可と禁止とを切り替える移動制御機構を有することを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、生体組織の中に薬剤吐出口が位置するように生体を貫通するカテーテルを前記生体組織の表面に係留する係留器具であって、前記生体組織表面と前記カテーテルが交差する第1の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、前記生体組織表面と前記カテーテルが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具と、を備え、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において、前記第1の係留器具および前記第2の係留器具と前記医療用画像モダリティとの間の角度関係に関わらず、他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有し、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の最小投影面積が前記第2の係留器具の最大投影面積の1.5倍以上である構造、前記第1の係留器具の投影形状の最小幅が前記第2の係留器具の投影形状の最大幅の1.5倍以上である構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に表面処理が施されている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが異なる材質で形成されている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に目印物が埋め込まれている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが前記カテーテルが巻回される貫通穴を有し、前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状と前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状とが異なる構造のなかから、選択された1つの構造または複数の構造を組み合わせた構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、生体組織表面とカテーテルとが交差する第1の位置においてカテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具との少なくとも一方が、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有しているので、医療用画像モダリティの画像上で、カテーテルの薬剤吐出口の位置を容易に確認することができ、治療の成績や患者のQOL(Quality of Life)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、カテーテル係留器具が臓器に対してカテーテルを係留した状態を示す断面図である。
【図3】図3は、図2に示した係留の状態を、所定の医療用画像モダリティで撮影した医療モダリティ画像を示す模式図である。
【図4】図4は、この実施の形態1におけるカテーテル係留器具の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、この発明の実施の形態2にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態3にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、この発明の実施の形態4にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、この発明の実施の形態5にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、この発明の実施の形態6にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態7におけるカテーテル係留器具の移動制御機構の構成を示す模式図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態8におけるカテーテル係留器具の移動制御機構の概要構成を示す模式図である。
【図12】図12は、図11に示した移動制御機構の詳細構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるカテーテル係留器具について説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。図1では、カテーテル4が、人体に挿入され、さらに人体内の生体組織である臓器2を貫通し、臓器2の表面に係留された状態を示している。カテーテル係留器具1は、臓器2を貫通するカテーテル4を、臓器2の表面に係留する。カテーテル4は、臓器2の内部にある腫瘍などの患部3の中に、薬剤吐出口5が位置しており、薬剤吐出口5から薬剤を患部3に吐出する。
【0027】
ここで、カテーテル4の一端は薬剤ポンプPに連通し、カテーテル4の他端は空気を排出した後にカテーテル4内からの薬剤の排出を止めて薬剤吐出口5から薬剤を吐出するための止め具6を有し、この止め具6によってカテーテル4の他端は閉塞される。なお、カテーテル4は、他端が止め具6によって閉塞される構成に限らず、たとえば、カテーテル4の一端が薬剤ポンプPに連通し、他端が薬剤溜に連通し、薬剤ポンプPからカテーテル4に送出された薬剤のうち、薬剤吐出口5から吐出されなかった残りの薬剤が薬剤溜に溜まるようにしてもよい。また、カテーテル4の他端から別のポンプで引いてカテーテル4内を陰圧にし、薬剤の送出が容易になるようにしてもよい。
【0028】
カテーテル係留器具1は、臓器2の表面とカテーテル4とが交差する第1の位置においてカテーテル4を臓器2の表面に係留する第1の係留器具7と、臓器2の表面とカテーテル4とが交差する第2の位置においてカテーテル4を臓器2の表面に係留する第2の係留器具8とを有する。第1の係留器具7および第2の係留器具8は、例えばシリコン、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンなどの高分子材料、あるいはチタンなどが用いられる。
【0029】
なお、第1の係留器具7および第2の係留器具8の臓器2の表面への取り付けは、縫合、フィブリン糊などの接着剤による接着、バンド等による固定、密着など様々な方法が適宜採用可能である。
【0030】
また、第1の係留器具7と第2の係留器具8とは、互いに接続されていない独立したユニットである。このため、臓器2の表面での係留位置は自由に設定でき、臓器2の形状や大きさに合わせた適切な位置に第1の係留器具7と第2の係留器具8とを設置できる。
【0031】
このように、本実施の形態のカテーテル係留器具1は、二箇所においてカテーテル4を臓器2に係留しているので、一箇所での係留に比較して、安定した係留を実現している。
【0032】
特に、2つの離間した係留位置の間に薬剤吐出口5が位置しているので、薬剤吐出口5の周囲の患部3の形状・サイズ・固さの変化が薬剤吐出口5の位置に及ぼす影響が少ない。さらに、第1の係留器具7と第2の係留器具8とがカテーテル4と臓器2との交差位置に配設されるので、臓器2からの出血や播種の防止の面で有利である。さらに、係留は臓器2の表面で行うので、低侵襲であり、不必要な圧迫もない。
【0033】
ここで、カテーテル4に形成された薬剤吐出口5は、第1の係留器具7と第2の係留器具8と所定の位置関係にある。したがって、第1の係留器具7と第2の係留器具8との位置が特定できれば、これにより薬剤吐出口5の位置を推定できる。この実施の形態1では、薬剤吐出口5が、第1の係留器具7と第2の係留器具8との中間に位置する。
【0034】
この場合、第1の係留器具7と第2の係留器具8との位置が特定されると、CT装置、Cアーム装置、エコー装置、MRI装置、PET装置、SPECT装置、マンモグラフィ装置等の所定の医療用画像モダリティで撮影した医療モダリティ画像上でカテーテル4の確認がし難くても、第1の係留器具7と第2の係留器具8とを結んだ線としてカテーテル4のおおよその位置が推定され、この推定したカテーテル上で第1の係留器具7と第2の係留器具8との中間の位置を薬剤吐出口5の位置として推定できる。
【0035】
なお、薬剤吐出口5の位置は中間に限らず、第1の係留器具7と第2の係留器具8との少なくとも一方からの薬剤吐出口5の位置の離間量が既知ならば、薬剤吐出口5の位置の推定は可能である。
【0036】
図2は、カテーテル係留器具1が臓器2に対してカテーテル4を係留した状態を示す断面図である。また、図3は、図2に示した係留の状態を、所定の医療用画像モダリティで撮影した医療モダリティ画像を示す模式図である。ここで、第1の係留器具7および第2の係留器具8の少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有し、これにより所定の医療用画像モダリティの画像上で第1の係留器具7および第2の係留器具8の位置を区別して特定することができる。例えば、図3では、画像上で、第1の係留器具7と第2の係留器具8との大きさが異なるように、第1の係留器具7および第2の係留器具8が画像に関連した特徴構造をもたせているので、画像上で、第1の係留器具7および第2の係留器具8を区別することができる。すなわち、図3に示した画像では、第1の係留器具7が第2の係留器具8よりも大きく表示されている。この結果、第1の係留器具7および第2の係留器具8の位置の特定がなされると、画像上で、第1の係留器具7および第2の係留器具8の中間に位置する薬剤吐出口5の位置5aも、容易に推定することができる。
【0037】
図4は、この実施の形態1におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図4では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具7と第2の係留器具8との大きさを異なる構造としている。そして、第1の係留器具7の最小投影面積は、第2の係留器具8の最大投影面積の1.5倍以上としてある。つまり、所定の医療用画像モダリティの画像上に現れる第1の係留器具7や第2の係留器具8の像の大きさは、各係留器具の形状と撮影角度とによって変化する。このとき、所定の医療用画像モダリティの画像上において第1の係留器具7の像の面積が最小となる場合の面積(最小投影面積)が、第2の係留器具8の像の面積が最大となる場合の面積(最大投影面積)の1.5倍以上あれば、各係留器具が所定の医療用画像モダリディの撮影部に対してどのような角度にあろうとも、像の面積によって第1の係留器具7と第2の係留器具8とを区別し、特定できる。
【0038】
そして、上述したように、特定された第1の係留器具7と第2の係留器具とが特定されると、第1の係留器具7と第2の係留器具との間に位置する薬剤吐出口5の位置を容易に推定することができる。この結果、患部3の疾患の進行や治療による治癒などで、患部3の形状・サイズ・固さが物理的に変化し、この変化に伴ってカテーテルの係留場所として更に望ましい位置が見つかった場合、この薬剤吐出口5の現在位置の確認と移動すべき薬剤吐出口5の位置の確認とを容易に行うことができる。
【0039】
(実施の形態2)
図5は、この発明の実施の形態2におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図5では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具9と第2の係留器具10との形状を異なる構造としている。具体的には、第1の係留器具9は、お椀上状とし、第2の係留器具10は、球状としている。そして、第1の係留器具9の投影形状の最小幅は、第2の係留器具10の投影形状の最大幅の1.5倍以上としている。つまり、所定の医療用画像モダリティの画像に現れる第1の係留器具9や第2の係留器具10の画像の形状は、各係留器具の形状と撮影角度とによって変化する。このとき、どのような撮影角度においても所定の医療用画像モダリティの画像上において第1の係留器具9の像の最小幅が、第2の係留器具10の像の最大幅の1.5倍以上あれば、各係留器具が所定の医療用画像モダリディの撮影部に対してどのような角度にあろうとも、像の幅によって第1の係留器具9と第2の係留器具10とを区別し、特定することができる。
【0040】
(実施の形態3)
図6は、この発明の実施の形態3におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図6では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具11と第2の係留器具12とを異なる材質で形成される構造としている。たとえば、第1の係留器具11は金属で形成され、第2の係留器具12は非金属で形成されている。具体的には、第1の係留器具11の材質として金属であるチタンとし、第2の係留器具12の材質として非金属であるポリウレタンとしている。この実施の形態3では、第1の係留器具11と第2の係留器具12との材質を異ならせることによって、所定の医療用画像モダリティの画像上での像の明度を異ならせ、これによって、第1の係留器具11と第2の係留器具12とを画像上で区別し、特定できるようにしている。
【0041】
(実施の形態4)
図7は、この発明の実施の形態4におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図7では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具13と第2の係留器具14との少なくとも一方に表面処理を施す構造としている。たとえば、この表面処理としてディンプル加工を行う。このディンプル加工を施すことによって、所定の医療用画像モダリティの画像上で、各係留器具が一層明瞭に表すことができる。図7では、第1の係留器具13の表面上に形成されたディンプルの密度を、第2の係留器具14の表面上に形成されたディンプルの密度より高くして、第1の係留器具13と第2の係留器具14とを区別し、特定できるようにしている。
【0042】
なお、第1の係留器具13と第2の係留器具14との一方にのみ表面処理を施してもより。また、第1の係留器具13と第2の係留器具14とに施された各ディンプルの大きさを異なるようにしてもよい。さらに、表面処理はディンプルに限らず、表面コーティング等の別の表面処理としてもよい。
【0043】
(実施の形態5)
図8は、この発明の実施の形態5におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図8では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具15と第2の係留器具16との少なくとも一方に、所定の医療用画像モダリティの画像上で判別できる目印物17が埋め込まれている構造としている。この目印物17は、金属タグである。そして、この実施の形態5では、第1の係留器具15にのみ目印物17としてステンレスの板を埋め込んでいる。これによって、所定の医療用画像モダリティの画像上で、目印物17を含んだ係留器具を、第1の係留器具15として判別でき、目的物17を含まない係留器具を第2の係留器具16として判別できる。
【0044】
なお、第1の係留器具15と第2の係留器具16との両方に目印物を埋め込む構造としてもよい。この場合、目印物の大きさ・形状・材質などを異ならせて、両者を区別し、特定できるようにする。
【0045】
(実施の形態6)
図9は、この発明の実施の形態6におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図9では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具18と第2の係留器具19とにカテーテル4が巻回される貫通穴を設け、第1の係留器具18におけるカテーテル4の巻回形状と、第2の係留器具19におけるカテーテル4の巻回形状とが異なる構造としている。このような構造とすることにより、第1の係留器具18や第2の係留器具19が所定の医療用画像モダリティの画像上で目立たない材質で形成されている場合でも、カテーテル4の巻回形状の違いによって両者を区別し、特定することができる。
【0046】
この場合、カテーテル4自体を所定の医療用画像モダリティの画像上で観察してもよいが、カテーテル4内に造影剤を注入すれば更に容易にカテーテル4の巻回形状を確認することができる。また、例えば冷却された生理食塩水などの液剤を簡易な造影剤としてカテーテル内にボーラス投与することにより、ドップラーエコーにてカテーテル4の巻回形状を確認することも可能である。
【0047】
(実施の形態7)
図10は、この発明の実施の形態7におけるカテーテル係留器具の移動制御機構の構成を示す模式図である。図10に示すように、上述した実施の形態1〜6における第1の係留器具27と第2の係留器具28との少なくとも一方、たとえば第1の係留器具27には、カテーテル4に沿った移動を一方向にのみ許す移動制御機構30を設けている。移動制御機構30は、非対称な歯をもつラック31と、バネなどによって押さえ付けられた爪32とを有し、カテーテル4に沿った方向への回転のみを許し、逆方向には回転できないようにしたラチェット機構である。なお、移動制御機構30の両端には、カテーテル4の移動制御機構30への入出を案内するガイド33が設けられている。このような移動制御機構を第1の係留器具27と第2の係留器具28のいずれか一方に設けることによって、係留器具を臓器2に係留する作業は、係留器具をカテーテル4に沿って臓器2の表面に当接するまで動かすのみで済むので容易となる。なお、図10(a)に示すように、薬剤吐出口5からの距離を示す目盛りをカテーテル4上に設けておくことによって、臓器2内の患部3までのカテーテル4の挿入深さを容易に知ることができる。
【0048】
(実施の形態8)
図11は、この発明の実施の形態8におけるカテーテル係留器具の移動制御機構の概要構成を示す模式図である。また、図12は、図11に示した移動制御機構の詳細構成を示す模式図である。この実施の形態8の移動制御機構は、図11および図12に示すように、第1の係留器具と第2の係留器具との少なくとも一方、たとえば第1の係留器具40には、カテーテル4に沿った移動の許可と禁止とを切り替える移動制御機構50を設けている。移動制御機構50は、ボタン41a,41bと機構本体51とを有する。
【0049】
図11に示すように、第1の係留器具40の両側にあるボタン41a,41bを操作者が押圧すると、押圧している間のみ第1の係留器具40の機構本体51がリリース状態となり、このリリース状態で第1の係留器具40内のカテーテル4の移動が許可される。また、操作者がこのボタンへの押圧を解除すると、機構本体51がロック状態となり、このロック状態で第1の係留器具40内のカテーテル4の移動が禁止される。
【0050】
機構本体51は、たとえば、図12に示すように、押圧部材52,53が伸張バネ54によってカテーテル4の外径方向に伸ばされた状態となっており、押圧部材52,53の押圧部52a,53aによってカテーテル4が挟まれ、装置本体51とカテーテル4との移動が禁止されたロック状態となる。一方、ボタン41a,41bの押下によって図12(c)に示した矢印方向に押圧力が加わると、伸張バネ54が圧縮され、押圧部52a,53a間が広がり、カテーテル4の移動が許可されるリリース状態となる。
【0051】
この移動制御機構50が設けられると、係留器具を臓器2に係留する作業は、係留器具を両側からボタン41a,41bを押下してリリース状態にして係留器具を臓器2の表面に当接するまでカテーテル4に沿って動かし、ボタン41a,41bの押下を解除して係留器具をロック状態に遷移させるのみで済むため、容易となる。
【0052】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態1〜6に示した画像に関連する特徴構造は、それぞれ単独、あるいは複数を組み合わせることができる。たとえば、図7では、実施の形態2の構造に、実施の形態4の構造を適用したものとなっている。
【0053】
また、上述した第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、鋭利な突出部が無く滑らかな形状となっている。具体的には、臓器2の表面に向けて90度以上となる各係留器具のエッジ部をテーパ面としている。たとえば、図5の第1の係留器具9、図7の第1の係留器具13、および図9の第2の係留器具19の底面周囲にはテーパ面が形成されている。なお、このテーパ面に替えて丸みを付けてもよい。これによって、臓器2の表面に対して第1の係留器具および第2の係留器具が安全に接することになる。
【符号の説明】
【0054】
1 カテーテル係留器具
2 臓器
3 患部
4 カテーテル
5 薬剤吐出口
6 止め具
7,9,11,13,15,18,27,40 第1の係留器具
8、10,12,14,16,19,28 第2の係留器具
17 目印物
30,50 移動制御機構
31 ラック
32 爪
33 ガイド
41a,41b ボタン
51 機構本体
52,53 押圧部材
52a,53a 押圧部
54 伸張バネ
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体組織を貫通するカテーテルを該生体組織の表面に係留するカテーテル係留器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体組織、たとえば臓器などにカテーテルを留置して臓器中の腫瘍などに薬剤を投与する技術が知られている。このように生体組織に、カテーテルから薬剤を投与する場合には、健康な組織に薬剤が浸潤しないように、腫瘍などの患部である薬剤投与対象に、カテーテルの薬剤吐出口を正確に位置づけて投与する必要がある。従って、正確な位置への投与が行われていることを定期的に確認し、薬剤投与対象となる人や動物の姿勢変化や運動により、穿刺したカテーテルの薬剤吐出口と患部との位置関係に、想定以上のずれが生じている場合には、投薬を中止するなどの処置をとることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−528062号公報
【特許文献2】特表2005−505101号公報
【特許文献3】米国特許第7463934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬剤吐出口の近くでカテーテルを生体組織に係留した場合には、患部の疾患の進行や治療による治癒などで、患部の形状・サイズ・固さが物理的に変化し、この変化に伴ってカテーテルの係留場所として更に望ましい位置が見つかった場合には、この状態への対応も必要である。しかし、留置したカテーテルの薬剤吐出口と患部との位置関係を、低侵襲かつ簡便に確認することは困難である。
【0005】
特に、細長いカテーテルの薬剤吐出口の位置は、医療用画像モダリティの画像上で確認することは容易ではなかった。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、医療用画像モダリティの画像上で、カテーテルの薬剤吐出口の位置を容易に確認することができるカテーテル係留器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテル係留器具は、生体組織の中に薬剤吐出口が位置するように生体を貫通するカテーテルを前記生体組織の表面に係留するカテーテル係留器具であって、前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第1の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具と、を備え、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有していることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との大きさが異なる構造であることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の最小投影面積が前記第2の係留器具の最大投影面積の1.5倍以上である構造であることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との形状が異なる構造であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の投影形状の最小幅が前記第2の係留器具の投影形状の最大幅の1.5倍以上である構造であることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが異なる材質で形成される構造であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具は金属で形成され、前記第2の係留器具は非金属で形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に表面処理が施された構造であることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記表面処理は、ディンプル加工であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に目印物が埋め込まれている構造であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記目印物は、金属タグであることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、前記カテーテルが巻回される貫通穴を有し、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状と、前記第2の係留器具における前記カテーテルの巻回形状とを異ならせる構造であることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、鋭利な突出部が無い滑らかな形状であることを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、前記カテーテルに沿った移動を一方向にのみ許す移動制御機構を有することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、上記の発明において、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方には、前記カテーテルに沿った移動の許可と禁止とを切り替える移動制御機構を有することを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるテーテル係留器具は、生体組織の中に薬剤吐出口が位置するように生体を貫通するカテーテルを前記生体組織の表面に係留する係留器具であって、前記生体組織表面と前記カテーテルが交差する第1の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、前記生体組織表面と前記カテーテルが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具と、を備え、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において、前記第1の係留器具および前記第2の係留器具と前記医療用画像モダリティとの間の角度関係に関わらず、他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有し、前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の最小投影面積が前記第2の係留器具の最大投影面積の1.5倍以上である構造、前記第1の係留器具の投影形状の最小幅が前記第2の係留器具の投影形状の最大幅の1.5倍以上である構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に表面処理が施されている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが異なる材質で形成されている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に目印物が埋め込まれている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが前記カテーテルが巻回される貫通穴を有し、前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状と前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状とが異なる構造のなかから、選択された1つの構造または複数の構造を組み合わせた構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、生体組織表面とカテーテルとが交差する第1の位置においてカテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具との少なくとも一方が、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有しているので、医療用画像モダリティの画像上で、カテーテルの薬剤吐出口の位置を容易に確認することができ、治療の成績や患者のQOL(Quality of Life)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、カテーテル係留器具が臓器に対してカテーテルを係留した状態を示す断面図である。
【図3】図3は、図2に示した係留の状態を、所定の医療用画像モダリティで撮影した医療モダリティ画像を示す模式図である。
【図4】図4は、この実施の形態1におけるカテーテル係留器具の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。
【図5】図5は、この発明の実施の形態2にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態3にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、この発明の実施の形態4にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、この発明の実施の形態5にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、この発明の実施の形態6にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態7におけるカテーテル係留器具の移動制御機構の構成を示す模式図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態8におけるカテーテル係留器具の移動制御機構の概要構成を示す模式図である。
【図12】図12は、図11に示した移動制御機構の詳細構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態であるカテーテル係留器具について説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるカテーテル係留器具の構成を示す斜視図である。図1では、カテーテル4が、人体に挿入され、さらに人体内の生体組織である臓器2を貫通し、臓器2の表面に係留された状態を示している。カテーテル係留器具1は、臓器2を貫通するカテーテル4を、臓器2の表面に係留する。カテーテル4は、臓器2の内部にある腫瘍などの患部3の中に、薬剤吐出口5が位置しており、薬剤吐出口5から薬剤を患部3に吐出する。
【0027】
ここで、カテーテル4の一端は薬剤ポンプPに連通し、カテーテル4の他端は空気を排出した後にカテーテル4内からの薬剤の排出を止めて薬剤吐出口5から薬剤を吐出するための止め具6を有し、この止め具6によってカテーテル4の他端は閉塞される。なお、カテーテル4は、他端が止め具6によって閉塞される構成に限らず、たとえば、カテーテル4の一端が薬剤ポンプPに連通し、他端が薬剤溜に連通し、薬剤ポンプPからカテーテル4に送出された薬剤のうち、薬剤吐出口5から吐出されなかった残りの薬剤が薬剤溜に溜まるようにしてもよい。また、カテーテル4の他端から別のポンプで引いてカテーテル4内を陰圧にし、薬剤の送出が容易になるようにしてもよい。
【0028】
カテーテル係留器具1は、臓器2の表面とカテーテル4とが交差する第1の位置においてカテーテル4を臓器2の表面に係留する第1の係留器具7と、臓器2の表面とカテーテル4とが交差する第2の位置においてカテーテル4を臓器2の表面に係留する第2の係留器具8とを有する。第1の係留器具7および第2の係留器具8は、例えばシリコン、テフロン(登録商標)、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンなどの高分子材料、あるいはチタンなどが用いられる。
【0029】
なお、第1の係留器具7および第2の係留器具8の臓器2の表面への取り付けは、縫合、フィブリン糊などの接着剤による接着、バンド等による固定、密着など様々な方法が適宜採用可能である。
【0030】
また、第1の係留器具7と第2の係留器具8とは、互いに接続されていない独立したユニットである。このため、臓器2の表面での係留位置は自由に設定でき、臓器2の形状や大きさに合わせた適切な位置に第1の係留器具7と第2の係留器具8とを設置できる。
【0031】
このように、本実施の形態のカテーテル係留器具1は、二箇所においてカテーテル4を臓器2に係留しているので、一箇所での係留に比較して、安定した係留を実現している。
【0032】
特に、2つの離間した係留位置の間に薬剤吐出口5が位置しているので、薬剤吐出口5の周囲の患部3の形状・サイズ・固さの変化が薬剤吐出口5の位置に及ぼす影響が少ない。さらに、第1の係留器具7と第2の係留器具8とがカテーテル4と臓器2との交差位置に配設されるので、臓器2からの出血や播種の防止の面で有利である。さらに、係留は臓器2の表面で行うので、低侵襲であり、不必要な圧迫もない。
【0033】
ここで、カテーテル4に形成された薬剤吐出口5は、第1の係留器具7と第2の係留器具8と所定の位置関係にある。したがって、第1の係留器具7と第2の係留器具8との位置が特定できれば、これにより薬剤吐出口5の位置を推定できる。この実施の形態1では、薬剤吐出口5が、第1の係留器具7と第2の係留器具8との中間に位置する。
【0034】
この場合、第1の係留器具7と第2の係留器具8との位置が特定されると、CT装置、Cアーム装置、エコー装置、MRI装置、PET装置、SPECT装置、マンモグラフィ装置等の所定の医療用画像モダリティで撮影した医療モダリティ画像上でカテーテル4の確認がし難くても、第1の係留器具7と第2の係留器具8とを結んだ線としてカテーテル4のおおよその位置が推定され、この推定したカテーテル上で第1の係留器具7と第2の係留器具8との中間の位置を薬剤吐出口5の位置として推定できる。
【0035】
なお、薬剤吐出口5の位置は中間に限らず、第1の係留器具7と第2の係留器具8との少なくとも一方からの薬剤吐出口5の位置の離間量が既知ならば、薬剤吐出口5の位置の推定は可能である。
【0036】
図2は、カテーテル係留器具1が臓器2に対してカテーテル4を係留した状態を示す断面図である。また、図3は、図2に示した係留の状態を、所定の医療用画像モダリティで撮影した医療モダリティ画像を示す模式図である。ここで、第1の係留器具7および第2の係留器具8の少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有し、これにより所定の医療用画像モダリティの画像上で第1の係留器具7および第2の係留器具8の位置を区別して特定することができる。例えば、図3では、画像上で、第1の係留器具7と第2の係留器具8との大きさが異なるように、第1の係留器具7および第2の係留器具8が画像に関連した特徴構造をもたせているので、画像上で、第1の係留器具7および第2の係留器具8を区別することができる。すなわち、図3に示した画像では、第1の係留器具7が第2の係留器具8よりも大きく表示されている。この結果、第1の係留器具7および第2の係留器具8の位置の特定がなされると、画像上で、第1の係留器具7および第2の係留器具8の中間に位置する薬剤吐出口5の位置5aも、容易に推定することができる。
【0037】
図4は、この実施の形態1におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図4では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具7と第2の係留器具8との大きさを異なる構造としている。そして、第1の係留器具7の最小投影面積は、第2の係留器具8の最大投影面積の1.5倍以上としてある。つまり、所定の医療用画像モダリティの画像上に現れる第1の係留器具7や第2の係留器具8の像の大きさは、各係留器具の形状と撮影角度とによって変化する。このとき、所定の医療用画像モダリティの画像上において第1の係留器具7の像の面積が最小となる場合の面積(最小投影面積)が、第2の係留器具8の像の面積が最大となる場合の面積(最大投影面積)の1.5倍以上あれば、各係留器具が所定の医療用画像モダリディの撮影部に対してどのような角度にあろうとも、像の面積によって第1の係留器具7と第2の係留器具8とを区別し、特定できる。
【0038】
そして、上述したように、特定された第1の係留器具7と第2の係留器具とが特定されると、第1の係留器具7と第2の係留器具との間に位置する薬剤吐出口5の位置を容易に推定することができる。この結果、患部3の疾患の進行や治療による治癒などで、患部3の形状・サイズ・固さが物理的に変化し、この変化に伴ってカテーテルの係留場所として更に望ましい位置が見つかった場合、この薬剤吐出口5の現在位置の確認と移動すべき薬剤吐出口5の位置の確認とを容易に行うことができる。
【0039】
(実施の形態2)
図5は、この発明の実施の形態2におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図5では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具9と第2の係留器具10との形状を異なる構造としている。具体的には、第1の係留器具9は、お椀上状とし、第2の係留器具10は、球状としている。そして、第1の係留器具9の投影形状の最小幅は、第2の係留器具10の投影形状の最大幅の1.5倍以上としている。つまり、所定の医療用画像モダリティの画像に現れる第1の係留器具9や第2の係留器具10の画像の形状は、各係留器具の形状と撮影角度とによって変化する。このとき、どのような撮影角度においても所定の医療用画像モダリティの画像上において第1の係留器具9の像の最小幅が、第2の係留器具10の像の最大幅の1.5倍以上あれば、各係留器具が所定の医療用画像モダリディの撮影部に対してどのような角度にあろうとも、像の幅によって第1の係留器具9と第2の係留器具10とを区別し、特定することができる。
【0040】
(実施の形態3)
図6は、この発明の実施の形態3におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図6では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具11と第2の係留器具12とを異なる材質で形成される構造としている。たとえば、第1の係留器具11は金属で形成され、第2の係留器具12は非金属で形成されている。具体的には、第1の係留器具11の材質として金属であるチタンとし、第2の係留器具12の材質として非金属であるポリウレタンとしている。この実施の形態3では、第1の係留器具11と第2の係留器具12との材質を異ならせることによって、所定の医療用画像モダリティの画像上での像の明度を異ならせ、これによって、第1の係留器具11と第2の係留器具12とを画像上で区別し、特定できるようにしている。
【0041】
(実施の形態4)
図7は、この発明の実施の形態4におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図7では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具13と第2の係留器具14との少なくとも一方に表面処理を施す構造としている。たとえば、この表面処理としてディンプル加工を行う。このディンプル加工を施すことによって、所定の医療用画像モダリティの画像上で、各係留器具が一層明瞭に表すことができる。図7では、第1の係留器具13の表面上に形成されたディンプルの密度を、第2の係留器具14の表面上に形成されたディンプルの密度より高くして、第1の係留器具13と第2の係留器具14とを区別し、特定できるようにしている。
【0042】
なお、第1の係留器具13と第2の係留器具14との一方にのみ表面処理を施してもより。また、第1の係留器具13と第2の係留器具14とに施された各ディンプルの大きさを異なるようにしてもよい。さらに、表面処理はディンプルに限らず、表面コーティング等の別の表面処理としてもよい。
【0043】
(実施の形態5)
図8は、この発明の実施の形態5におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図8では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具15と第2の係留器具16との少なくとも一方に、所定の医療用画像モダリティの画像上で判別できる目印物17が埋め込まれている構造としている。この目印物17は、金属タグである。そして、この実施の形態5では、第1の係留器具15にのみ目印物17としてステンレスの板を埋め込んでいる。これによって、所定の医療用画像モダリティの画像上で、目印物17を含んだ係留器具を、第1の係留器具15として判別でき、目的物17を含まない係留器具を第2の係留器具16として判別できる。
【0044】
なお、第1の係留器具15と第2の係留器具16との両方に目印物を埋め込む構造としてもよい。この場合、目印物の大きさ・形状・材質などを異ならせて、両者を区別し、特定できるようにする。
【0045】
(実施の形態6)
図9は、この発明の実施の形態6におけるカテーテル係留器具1の画像に関連した特徴構造を示す斜視図である。図9では、画像に関連した特徴構造を、第1の係留器具18と第2の係留器具19とにカテーテル4が巻回される貫通穴を設け、第1の係留器具18におけるカテーテル4の巻回形状と、第2の係留器具19におけるカテーテル4の巻回形状とが異なる構造としている。このような構造とすることにより、第1の係留器具18や第2の係留器具19が所定の医療用画像モダリティの画像上で目立たない材質で形成されている場合でも、カテーテル4の巻回形状の違いによって両者を区別し、特定することができる。
【0046】
この場合、カテーテル4自体を所定の医療用画像モダリティの画像上で観察してもよいが、カテーテル4内に造影剤を注入すれば更に容易にカテーテル4の巻回形状を確認することができる。また、例えば冷却された生理食塩水などの液剤を簡易な造影剤としてカテーテル内にボーラス投与することにより、ドップラーエコーにてカテーテル4の巻回形状を確認することも可能である。
【0047】
(実施の形態7)
図10は、この発明の実施の形態7におけるカテーテル係留器具の移動制御機構の構成を示す模式図である。図10に示すように、上述した実施の形態1〜6における第1の係留器具27と第2の係留器具28との少なくとも一方、たとえば第1の係留器具27には、カテーテル4に沿った移動を一方向にのみ許す移動制御機構30を設けている。移動制御機構30は、非対称な歯をもつラック31と、バネなどによって押さえ付けられた爪32とを有し、カテーテル4に沿った方向への回転のみを許し、逆方向には回転できないようにしたラチェット機構である。なお、移動制御機構30の両端には、カテーテル4の移動制御機構30への入出を案内するガイド33が設けられている。このような移動制御機構を第1の係留器具27と第2の係留器具28のいずれか一方に設けることによって、係留器具を臓器2に係留する作業は、係留器具をカテーテル4に沿って臓器2の表面に当接するまで動かすのみで済むので容易となる。なお、図10(a)に示すように、薬剤吐出口5からの距離を示す目盛りをカテーテル4上に設けておくことによって、臓器2内の患部3までのカテーテル4の挿入深さを容易に知ることができる。
【0048】
(実施の形態8)
図11は、この発明の実施の形態8におけるカテーテル係留器具の移動制御機構の概要構成を示す模式図である。また、図12は、図11に示した移動制御機構の詳細構成を示す模式図である。この実施の形態8の移動制御機構は、図11および図12に示すように、第1の係留器具と第2の係留器具との少なくとも一方、たとえば第1の係留器具40には、カテーテル4に沿った移動の許可と禁止とを切り替える移動制御機構50を設けている。移動制御機構50は、ボタン41a,41bと機構本体51とを有する。
【0049】
図11に示すように、第1の係留器具40の両側にあるボタン41a,41bを操作者が押圧すると、押圧している間のみ第1の係留器具40の機構本体51がリリース状態となり、このリリース状態で第1の係留器具40内のカテーテル4の移動が許可される。また、操作者がこのボタンへの押圧を解除すると、機構本体51がロック状態となり、このロック状態で第1の係留器具40内のカテーテル4の移動が禁止される。
【0050】
機構本体51は、たとえば、図12に示すように、押圧部材52,53が伸張バネ54によってカテーテル4の外径方向に伸ばされた状態となっており、押圧部材52,53の押圧部52a,53aによってカテーテル4が挟まれ、装置本体51とカテーテル4との移動が禁止されたロック状態となる。一方、ボタン41a,41bの押下によって図12(c)に示した矢印方向に押圧力が加わると、伸張バネ54が圧縮され、押圧部52a,53a間が広がり、カテーテル4の移動が許可されるリリース状態となる。
【0051】
この移動制御機構50が設けられると、係留器具を臓器2に係留する作業は、係留器具を両側からボタン41a,41bを押下してリリース状態にして係留器具を臓器2の表面に当接するまでカテーテル4に沿って動かし、ボタン41a,41bの押下を解除して係留器具をロック状態に遷移させるのみで済むため、容易となる。
【0052】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態1〜6に示した画像に関連する特徴構造は、それぞれ単独、あるいは複数を組み合わせることができる。たとえば、図7では、実施の形態2の構造に、実施の形態4の構造を適用したものとなっている。
【0053】
また、上述した第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、鋭利な突出部が無く滑らかな形状となっている。具体的には、臓器2の表面に向けて90度以上となる各係留器具のエッジ部をテーパ面としている。たとえば、図5の第1の係留器具9、図7の第1の係留器具13、および図9の第2の係留器具19の底面周囲にはテーパ面が形成されている。なお、このテーパ面に替えて丸みを付けてもよい。これによって、臓器2の表面に対して第1の係留器具および第2の係留器具が安全に接することになる。
【符号の説明】
【0054】
1 カテーテル係留器具
2 臓器
3 患部
4 カテーテル
5 薬剤吐出口
6 止め具
7,9,11,13,15,18,27,40 第1の係留器具
8、10,12,14,16,19,28 第2の係留器具
17 目印物
30,50 移動制御機構
31 ラック
32 爪
33 ガイド
41a,41b ボタン
51 機構本体
52,53 押圧部材
52a,53a 押圧部
54 伸張バネ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織の中に薬剤吐出口が位置するように生体を貫通するカテーテルを前記生体組織の表面に係留するカテーテル係留器具であって、
前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第1の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、
前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具と、
を備え、
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有していることを特徴とするカテーテル係留器具。
【請求項2】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との大きさが異なる構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項3】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の最小投影面積が前記第2の係留器具の最大投影面積の1.5倍以上である構造であることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル係留器具。
【請求項4】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との形状が異なる構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項5】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の投影形状の最小幅が前記第2の係留器具の投影形状の最大幅の1.5倍以上である構造であることを特徴とする請求項4に記載のカテーテル係留器具。
【請求項6】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが異なる材質で形成される構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項7】
前記第1の係留器具は金属で形成され、前記第2の係留器具は非金属で形成されていることを特徴とする請求項6に記載のカテーテル係留器具。
【請求項8】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に表面処理が施された構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項9】
前記表面処理は、ディンプル加工であることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル係留器具。
【請求項10】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に目印物が埋め込まれている構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項11】
前記目印物は、金属タグであることを特徴とする請求項10に記載のカテーテル係留器具。
【請求項12】
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、前記カテーテルが巻回される貫通穴を有し、
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状と、前記第2の係留器具における前記カテーテルの巻回形状とを異ならせる構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項13】
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、鋭利な突出部が無い滑らかな形状であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項14】
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、前記カテーテルに沿った移動を一方向にのみ許す移動制御機構を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項15】
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方には、前記カテーテルに沿った移動の許可と禁止とを切り替える移動制御機構を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項16】
生体組織の中に薬剤吐出口が位置するように生体を貫通するカテーテルを前記生体組織の表面に係留する係留器具であって、
前記生体組織表面と前記カテーテルが交差する第1の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、
前記生体組織表面と前記カテーテルが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具と、
を備え、
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において、前記第1の係留器具および前記第2の係留器具と前記医療用画像モダリティとの間の角度関係に関わらず、他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有し、
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の最小投影面積が前記第2の係留器具の最大投影面積の1.5倍以上である構造、前記第1の係留器具の投影形状の最小幅が前記第2の係留器具の投影形状の最大幅の1.5倍以上である構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に表面処理が施されている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが異なる材質で形成されている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に目印物が埋め込まれている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが前記カテーテルが巻回される貫通穴を有し、前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状と前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状とが異なる構造のなかから、選択された1つの構造または複数の構造を組み合わせた構造であることを特徴とするカテーテル係留器具。
【請求項1】
生体組織の中に薬剤吐出口が位置するように生体を貫通するカテーテルを前記生体組織の表面に係留するカテーテル係留器具であって、
前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第1の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、
前記生体組織表面と前記カテーテルとが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具と、
を備え、
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有していることを特徴とするカテーテル係留器具。
【請求項2】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との大きさが異なる構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項3】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の最小投影面積が前記第2の係留器具の最大投影面積の1.5倍以上である構造であることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル係留器具。
【請求項4】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との形状が異なる構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項5】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の投影形状の最小幅が前記第2の係留器具の投影形状の最大幅の1.5倍以上である構造であることを特徴とする請求項4に記載のカテーテル係留器具。
【請求項6】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが異なる材質で形成される構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項7】
前記第1の係留器具は金属で形成され、前記第2の係留器具は非金属で形成されていることを特徴とする請求項6に記載のカテーテル係留器具。
【請求項8】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に表面処理が施された構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項9】
前記表面処理は、ディンプル加工であることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル係留器具。
【請求項10】
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に目印物が埋め込まれている構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項11】
前記目印物は、金属タグであることを特徴とする請求項10に記載のカテーテル係留器具。
【請求項12】
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、前記カテーテルが巻回される貫通穴を有し、
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状と、前記第2の係留器具における前記カテーテルの巻回形状とを異ならせる構造であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項13】
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とは、鋭利な突出部が無い滑らかな形状であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項14】
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、前記カテーテルに沿った移動を一方向にのみ許す移動制御機構を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項15】
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方には、前記カテーテルに沿った移動の許可と禁止とを切り替える移動制御機構を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル係留器具。
【請求項16】
生体組織の中に薬剤吐出口が位置するように生体を貫通するカテーテルを前記生体組織の表面に係留する係留器具であって、
前記生体組織表面と前記カテーテルが交差する第1の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第1の係留器具と、
前記生体組織表面と前記カテーテルが交差する第2の位置において前記カテーテルを前記生体組織表面に係留する第2の係留器具と、
を備え、
前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方は、所定の医療用画像モダリティの画像において、前記第1の係留器具および前記第2の係留器具と前記医療用画像モダリティとの間の角度関係に関わらず、他方と区別される、画像に関連した特徴構造を有し、
前記画像に関連した特徴構造は、前記第1の係留器具の最小投影面積が前記第2の係留器具の最大投影面積の1.5倍以上である構造、前記第1の係留器具の投影形状の最小幅が前記第2の係留器具の投影形状の最大幅の1.5倍以上である構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に表面処理が施されている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが異なる材質で形成されている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具との少なくとも一方に目印物が埋め込まれている構造、前記第1の係留器具と前記第2の係留器具とが前記カテーテルが巻回される貫通穴を有し、前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状と前記第1の係留器具における前記カテーテルの巻回形状とが異なる構造のなかから、選択された1つの構造または複数の構造を組み合わせた構造であることを特徴とするカテーテル係留器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−200435(P2011−200435A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70729(P2010−70729)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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