カテーテル固定具
【課題】カテーテルを体内臓器に対して直接固定する際に、播種や出血を防止することができるカテーテル固定具を提供すること。
【解決手段】人間を含む哺乳類の体内の臓器4にカテーテル2を取り付ける際に用いられるカテーテル固定具1であって、平板状に形成され、カテーテル2が穿刺される表面側Saに比して体内の臓器4に密着する裏面Sb側が、生体組織に対して結合性が高くなるようにしている。これによって、カテーテル固定具1の裏面Sbと臓器4の表面とが密着し、表面Saでの他の臓器との結合性が低いのでさらに裏面Sbと臓器4とが密着し、カテーテル2がカテーテル固定具1を介して臓器4に固定される。
【解決手段】人間を含む哺乳類の体内の臓器4にカテーテル2を取り付ける際に用いられるカテーテル固定具1であって、平板状に形成され、カテーテル2が穿刺される表面側Saに比して体内の臓器4に密着する裏面Sb側が、生体組織に対して結合性が高くなるようにしている。これによって、カテーテル固定具1の裏面Sbと臓器4の表面とが密着し、表面Saでの他の臓器との結合性が低いのでさらに裏面Sbと臓器4とが密着し、カテーテル2がカテーテル固定具1を介して臓器4に固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人間を含む哺乳類の体内臓器にカテーテルを取り付ける際に用いられるカテーテル固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、臓器内に薬剤や栄養物等を投与したり、臓器内にセンサー等を挿入したり、臓器から流体等を排出する場合、カテーテルを用いることが多い。このようなカテーテルの使用が、ある程度長期間に渡る場合には、カテーテルを体に対して固定する必要がある。
【0003】
この場合、臓器につながったカテーテルを体表においてバンデージ等で固定することが従来から行われてきた。例えば、チューブの先端に穿刺針を有するカテーテルでは、穿刺針を内蔵に刺し、体外に出ているチューブをバンデージで体表に固定するようにしている。しかし、この方法では、患者の姿勢の変化や臓器の運動によって、臓器とカテーテルとの接続が外れる可能性がある。
【0004】
なお、特許文献1には、体表にカテーテルを固定する用具が開示されている。また、特許文献2には、体表に内視鏡のポータルとなるスリーブやカテーテルを固定する用具が開示されている。これら特許文献1,2は、いずれもカテーテルを体表でのみ固定している。
【0005】
【特許文献1】特開平8−168534号公報
【特許文献2】米国特許第5375588号明細書
【特許文献3】特開平8−81616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、体内にカテーテルが挿入される場合、挿入作業時・挿入状態・抜出時において、臓器中の患部から感染危険物質が流出・飛散して体内の別箇所に付着する、いわゆる播種の問題が存在する。臓器は表面組織が脆弱であり、この播種の問題は、臓器に直接カテーテルを取り付ける場合に顕著である。また、カテーテルを取り外す際の出血にも対処が必要である。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カテーテルを体内臓器に対して直接固定する際に、播種や出血を防止することができるカテーテル固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテル固定具は、人間を含む哺乳類の体内臓器にカテーテルを取り付ける際に用いられるカテーテル固定具であって、平板状に形成され、前記カテーテルが穿刺される表面側に比して前記体内臓器に密着する裏面側が、生体組織に対して結合性が高いことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、 前記生体組織に対する結合性は、前記生体組織に対する密着性であることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、シリコンが含まれる材質で形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記カテーテルが穿刺される表面側は、前記生体組織に対して付着性が高い材質で形成されたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、少なくとも前記表面側が、脂肪組織に対して付着性の高い材質で形成されたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記裏面側の層が非多孔性材で形成され、前記表面側の層および側面の少なくとも一部が多孔性材で形成されたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記カテーテルが穿刺される部分および/または縫合糸の通過する部分が少なくとも弾性部材で形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルよりも径が大きい凹部が形成されることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記凹部は、前記表面側に隆起した凸部内に設けられることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記凹部は、複数設けられることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、複数の前記凹部は、少なくとも同一の径を有することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、複数の前記凹部は、少なくとも異なる径を有することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記凹部の底面は、ダイヤフラムを形成することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、厚みが0.5〜5.0mmであることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルよりも径が大きいリング状の溝部または突起部が形成されることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記リング状の溝部または突起部の底面または表面に、前記カテーテルを穿刺するための目印を設けたことを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルを穿刺するための目印を設けたことを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分の輪郭に沿って、壁を設けたことを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分の輪郭に沿って、溝を設けたことを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記カテーテルは、薬剤投与装置本体から生体内に薬剤を供給する薬剤輸送管であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、平板状に形成され、カテーテルが穿刺される表面側に比して体内臓器に密着する裏面側が、生体組織に対して結合性を高くしているので、カテーテルを体内臓器に対して直接固定する際に、播種や出血を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して、この発明にかかるカテーテル固定具の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態)
図1は、この発明の実施の形態にかかるカテーテル固定具を用いたカテーテルの全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、体内の臓器4の表面に密着するようにカテーテル固定具1は置かれ、フィブリン糊等の接着剤あるいは縫合により臓器4に固定されている。カテーテル2は、カテーテル固定具1を貫通して臓器4内に侵入しており、その先は腫瘍などの患部5に達している。また、カテーテル2は、取付リング6により体表3に固定されている。カテーテル2の体表3側末端は、シリンジポンプ110に接続され、シリンジポンプ110から抗癌剤などの薬液111が投与される。
【0031】
ここで、カテーテル固定具1は、医療グレードのシリコン系材料(シリコン樹脂、シリコンゴムなど)で形成され、プレート状の形状をなしている。カテーテル固定具1の臓器4側の裏面Sbは、カテーテル2が穿刺される側の表面Saに比して、臓器4などの生体組織に対する結合性を高くしている。裏面Sbは、生体組織に対する結合性が高いので、裏面Sbと臓器4表面とは、隙間なく密着した状態を形成し、臓器4側からの体液等の播種や出血を防止することができる。また、表面Saは、裏面Sbに比して生体組織に対する結合性が低いので、臓器4に隣接する他の臓器に対して剥離しやすく、カテーテル固定具1の臓器4に対する固定を一層増すことができる。
【0032】
なお、カテーテル固定具1の裏面Sb側は、生体組織に対する結合性を高くするため、粘着性を有することが好ましい。たとえば、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体を100重量部に対して水添ジエン系ブロック共重合体を10〜100重量部配合した重合体組成物を用いるのが好ましい(特許文献3参照)。
【0033】
また、図2および図3に示すように、カテーテル固定具1は、表面Sa側であってカテーテル2が挿入される部分に、カテーテル2の外径よりもやや径が大きい凹部7が設けられており、凹部7の底は、ダイヤフラム8を形成している。この凹部7によって、カテーテル2の臓器4への装着時に、カテーテル2の穿刺位置決めとカテーテル2のガイドを行うことができ、さらに、ダイヤフラム8を形成しているため、カテーテル固定具1への貫通を容易にしている。また、穿刺前のカテーテル固定具1には孔が無いので、臓器4表面とカテーテル固定具1を液密状態で密着させることが容易であり、播種や出血を減少させることができる。
【0034】
さらに、カテーテル固定具1は、少なくともカテーテル2が貫通する領域や縫合領域を弾性部材で形成するようにしている。もちろん、カテーテル固定具1全体を弾性部材で形成してもよい。この結果、カテーテル2が貫通した状態で、カテーテル固定具1がその弾性によってカテーテル2を締めて隙間が塞がれ、カテーテル2とカテーテル固定具1とを液密状態で固定することができる。また、図4に示すように、縫合糸100などによる縫合によってカテーテル固定具1を臓器4に固定する場合であっても、カテーテル固定具1内を通過する縫合糸100は、カテーテル固定具1の領域Ea,Ebの弾性によって縫合糸100を締めて隙間が塞がれ、縫合糸100とカテーテル固定具1とを液密状態に維持することができる。このため、臓器4に固定されたカテーテル固定具1によってカテーテル2を臓器4に固定することができるとともに、臓器4側からの播種や出血を防止することができる。
【0035】
ここで、図5および図6を参照して、カテーテル固定具1にカテーテル2を装着する手順について説明する。なお、この手順は、切開手術によって行う。また、ここでは、カテーテル2がガイドシースとして機能するものについて説明する。
(1)まず、臓器4の表面にカテーテル固定具1を密着させて置き、カテーテル固定具1を臓器4にフィブリン糊等の医療用接着剤や縫合糸等による縫合で固定する。
(2)次に、カテーテル2の内部ルーメンに穿刺針9を貫通させ、穿刺針9の先端をカテーテル2の先端から突出させる。この状態で、凹部7を目安にカテーテル2をカテーテル固定具1に穿刺する。ダイヤフラム8は、穿刺針9によって破られ、カテーテル2の先端はカテーテル固定具1の表面Saから裏面Sbに向けて貫通する。なお、破られたダイヤフラム8は、カテーテル2に沿ってカテーテル進行方向に伸長するが、カテーテル2を引き戻す方向に少し動かして、凹部7とカテーテル2の隙間に収容してもよい。
(3)凹部7とカテーテル2との隙間にフィブリン糊等の充填剤10をあてがい、凹部7とカテーテル2との間を完全にシールする。このようにして、凹部7とカテーテル2との隙間は埋められるので、臓器からの播種や出血の可能性は大きく低減する。
【0036】
(変形例1)
図7は、この発明の実施の形態の変形例1を示す平面図である。このカテーテル固定具15は、カテーテル固定具1に対応し、カテーテル固定具15上に複数の凹部11,12,13を形成するとともに、各凹部11,12,13の径を異ならせて、様々な径のカテーテルに対応できるようにしている。
【0037】
(変形例2)
図8、この発明の実施の形態の変形例2を示す平面図である。このカテーテル固定具16には、凹部が形成されていない。この場合、カテーテル固定具1よりも肉薄に形成するとカテーテル2の穿刺が容易となり、好ましい。また、この変形例2のカテーテル固定具1は、凹部が形成されないので、製造が容易となる。また、上述した実施の形態と同様に、穿刺前のカテーテル固定具16には孔が無いので、臓器4表面とカテーテル固定具16とを液密に密着させることが容易となり、播種や出血を減少させることができる。
【0038】
(変形例3)
つぎに、この発明の実施の形態の変形例3について説明する。この変形例3では、図9に示すように、このカテーテル固定具17は、カテーテル2の穿刺方向に沿って少なくとも2層構造としている。図9では、裏面Sb側の層17bと、表面Sa側の層17aとの2層構造としている。層17bは、表面が滑らかな非多孔性材で形成され、層17aは、表面が粗い多孔性材で形成されている。ここで、層17aは、生体適合性のある多孔性材であり、たとえば、多孔性のチタンによって実現される。また、層17bは、生体適合性のある非多孔性材であり、生体組織への結合性が高く、たとえば、ポリエチレン(PE)やエチレンテレフタラート(PET)などによって実現される。なお、カテーテル固定具17の臓器4への固定は、縫合糸100などの縫合で固定することが好ましい。この場合、この縫合糸100は、デキソン、バイクリル(R)、PDS(R)、マクソン、モノクリル(R)などの、いわゆる溶ける糸であることがさらに好ましい。
【0039】
この層17bを臓器4に密着後、数日で、図10に示すように、脂肪組織200がカテーテル固定具17を覆い、臓器4とカテーテル固定具17との密着固定が実現される。この場合、層17aは、多孔性材であるので、脂肪組織200との密着を良好にする。一方、層17bは、非多孔性材であるので、密着度が当初から良好である。その後、縫合糸は、溶けていき、縫合糸の溶けた後、カテーテル固定具17は、脂肪組織200によって固定されるとともに、カテーテル2を軸方向に強く引くのみで、カテーテル2およびカテーテル固定具17を臓器4から分離することができる。
【0040】
なお、この変形例3では、2層構造としたが、図11に示す構造としてもよい。層13bに対応する層13dの中央部分に凸状の円柱を形成し、層13aに対応する層13cの中央部分にこの円柱が嵌合して挿入される穴を設け、これら層13c,13dを嵌め合わせることによってカテーテル固定具を形成する。この場合、臓器4と反対側の面は、内側の円状の表面Sa1と外側のリング状の表面Sa2とによって形成され、内側の表面Sa2が非多孔性材で滑らかとなり、外側の表面Sa1が多孔性材で粗くなる。また、側面Scの一部も多孔性材が露出し、粗い表面となる。さらに、臓器4側の面は、層13dによる非多孔性材が露出して、滑らかな表面となる。これによって、表面Sbは、確実に臓器に密着して結合し、一方、表面Sa1および側面Scは、脂肪組織200によって固定されることになる。
【0041】
ところで、上述した実施の形態で示したカテーテル固定具は、少なくとも臓器4側の表面が、臓器4などの生体組織に対して結合性が高い材質であることが好ましい。この生体組織に対する高い結合性をもたせるには、生体組織に対する密着性を高くするものであることが好ましい。たとえば、シリコン含有物などによって実現される。このシリコン含有物は、非多孔性材でもある。また、生体組織に対する高い結合性を持たせるには、生体組織に対する付着性を高めるようにしてもよい。たとえば、上述したように、脂肪組織に対する付着性の高い材質で実現することができる。上述した実施の形態では、脂肪組織に対する付着性の高い材質として多孔性材を用いている。
【0042】
(変形例4)
図12は、この発明の実施の形態の変形例4の構成を示す図であり、図13は、図12に示したカテーテル固定具にカテーテル2が穿刺された状態を示す断面図である。この変形例4のカテーテル固定具20は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分20aが、周辺部分20bに比して厚く形成している。この場合、挿入部分20aが厚いので、挿入部分20aからの播種や出血を防止することができ、カテーテル2の固定も確実に行うことができる。
【0043】
(変形例5)
図14は、この発明の実施の形態の変形例5の構成を示す図であり、図15は、図14に示したカテーテル固定具にカテーテル2が穿刺された状態を示す断面図である。この変形例5のカテーテル固定具21は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分21aが、周辺部分21bに比して厚く形成され、かつ逆円錐形の凹部を形成している。この場合、変形例4と同様に、挿入部分21aが厚いので、挿入部分21aからの播種や出血を防止することができ、カテーテル2の固定も確実に行うことができる。さらに、凹部が形成されているので、カテーテル2の位置決めおよびガイドを行うことができ、カテーテルの挿入を容易に行うことができる。なお、変形例4,5の挿入部分20a,21a等は、それ自体立体的な目印となるが、周辺部分20b,21bと異なる色の部材で形成し、あるいは異なる色で印刷することによって、カテーテル2の挿入部位の目印として機能させることもできる。
【0044】
(変形例6)
図16は、この発明の実施の形態の変形例6の構成を示す図である。この変形例6のカテーテル固定具22は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分に、目印22aを印刷したものである。これによって、カテーテル2の挿入位置の位置決めを確実に行うことができる。また、カテーテル2が挿入される挿入部分は、カテーテル2の固定に十分な厚さを維持できる。
【0045】
(変形例7)
図17は、この発明の実施の形態の変形例7の構成を示す図である。この変形例7のカテーテル固定具23は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分と周辺部分との厚みを同じにし、挿入部分の輪郭に沿って壁23aを設けている。この壁23aの内径は、カテーテル2の外径に略一致している。これによって、カテーテル2の位置決めおよびガイドを容易に行うことができる。また、カテーテル2の挿入部分での厚さを保持できるため、播種や出血を防止することができる。
【0046】
(変形例8)
図18は、この発明の実施の形態の変形例8の構成を示す図である。この変形例8のカテーテル固定具24は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分と周辺部分との厚みを同じにし、挿入部分の輪郭に沿って溝24aを設けている。この溝24aによって、カテーテル2の挿入位置の立体的な目印とすることができる。また、カテーテル2の挿入部分での厚さを保持できるため、播種や出血を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態にかかるカテーテル固定具を用いたカテーテルの全体構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の構成を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の構成を示す断面図である。
【図4】縫合糸によるカテーテル固定具の固定状態を示す断面図である。
【図5】カテーテル固定具を用いたカテーテルの装着手順を示す図である。
【図6】カテーテルがカテーテル固定具に固定された状態を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例1の構成を示す平面図である。
【図8】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例2の構成を示す平面図である。
【図9】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例3の構成を示す斜視図である。
【図10】変形例3のカテーテル固定具を用いてカテーテルを固定した状態を示す断面図である。
【図11】変形例3の応用例を示すカテーテル固定具の構成を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例4の構成を示す図である。
【図13】変形例4のカテーテル固定具を用いてカテーテルを固定した状態を示す断面図である。
【図14】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例5の構成を示す図である。
【図15】変形例5のカテーテル固定具を用いてカテーテルを固定した状態を示す断面図である。
【図16】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例6の構成を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例7の構成を示す図である。
【図18】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例8の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1,15,16,17,20〜24 カテーテル固定具
2 カテーテル
3 体表
4 臓器
5 患部
6 取付リング
7 凹部
8 ダイヤフラム
9 穿刺針
10 充填剤
11〜13 凹部
17a,17b,17c,17d 層
23a 壁
24a 溝
100 縫合糸
110 シリンジポンプ
111 薬剤
200 脂肪組織
Sa 表面
Sb 裏面
【技術分野】
【0001】
この発明は、人間を含む哺乳類の体内臓器にカテーテルを取り付ける際に用いられるカテーテル固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、臓器内に薬剤や栄養物等を投与したり、臓器内にセンサー等を挿入したり、臓器から流体等を排出する場合、カテーテルを用いることが多い。このようなカテーテルの使用が、ある程度長期間に渡る場合には、カテーテルを体に対して固定する必要がある。
【0003】
この場合、臓器につながったカテーテルを体表においてバンデージ等で固定することが従来から行われてきた。例えば、チューブの先端に穿刺針を有するカテーテルでは、穿刺針を内蔵に刺し、体外に出ているチューブをバンデージで体表に固定するようにしている。しかし、この方法では、患者の姿勢の変化や臓器の運動によって、臓器とカテーテルとの接続が外れる可能性がある。
【0004】
なお、特許文献1には、体表にカテーテルを固定する用具が開示されている。また、特許文献2には、体表に内視鏡のポータルとなるスリーブやカテーテルを固定する用具が開示されている。これら特許文献1,2は、いずれもカテーテルを体表でのみ固定している。
【0005】
【特許文献1】特開平8−168534号公報
【特許文献2】米国特許第5375588号明細書
【特許文献3】特開平8−81616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、体内にカテーテルが挿入される場合、挿入作業時・挿入状態・抜出時において、臓器中の患部から感染危険物質が流出・飛散して体内の別箇所に付着する、いわゆる播種の問題が存在する。臓器は表面組織が脆弱であり、この播種の問題は、臓器に直接カテーテルを取り付ける場合に顕著である。また、カテーテルを取り外す際の出血にも対処が必要である。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カテーテルを体内臓器に対して直接固定する際に、播種や出血を防止することができるカテーテル固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテル固定具は、人間を含む哺乳類の体内臓器にカテーテルを取り付ける際に用いられるカテーテル固定具であって、平板状に形成され、前記カテーテルが穿刺される表面側に比して前記体内臓器に密着する裏面側が、生体組織に対して結合性が高いことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、 前記生体組織に対する結合性は、前記生体組織に対する密着性であることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、シリコンが含まれる材質で形成されたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記カテーテルが穿刺される表面側は、前記生体組織に対して付着性が高い材質で形成されたことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、少なくとも前記表面側が、脂肪組織に対して付着性の高い材質で形成されたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記裏面側の層が非多孔性材で形成され、前記表面側の層および側面の少なくとも一部が多孔性材で形成されたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記カテーテルが穿刺される部分および/または縫合糸の通過する部分が少なくとも弾性部材で形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルよりも径が大きい凹部が形成されることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記凹部は、前記表面側に隆起した凸部内に設けられることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記凹部は、複数設けられることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、複数の前記凹部は、少なくとも同一の径を有することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、複数の前記凹部は、少なくとも異なる径を有することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記凹部の底面は、ダイヤフラムを形成することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、厚みが0.5〜5.0mmであることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルよりも径が大きいリング状の溝部または突起部が形成されることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記リング状の溝部または突起部の底面または表面に、前記カテーテルを穿刺するための目印を設けたことを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルを穿刺するための目印を設けたことを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分の輪郭に沿って、壁を設けたことを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分の輪郭に沿って、溝を設けたことを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかるカテーテル固定具は、上述した発明において、前記カテーテルは、薬剤投与装置本体から生体内に薬剤を供給する薬剤輸送管であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、平板状に形成され、カテーテルが穿刺される表面側に比して体内臓器に密着する裏面側が、生体組織に対して結合性を高くしているので、カテーテルを体内臓器に対して直接固定する際に、播種や出血を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して、この発明にかかるカテーテル固定具の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態)
図1は、この発明の実施の形態にかかるカテーテル固定具を用いたカテーテルの全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、体内の臓器4の表面に密着するようにカテーテル固定具1は置かれ、フィブリン糊等の接着剤あるいは縫合により臓器4に固定されている。カテーテル2は、カテーテル固定具1を貫通して臓器4内に侵入しており、その先は腫瘍などの患部5に達している。また、カテーテル2は、取付リング6により体表3に固定されている。カテーテル2の体表3側末端は、シリンジポンプ110に接続され、シリンジポンプ110から抗癌剤などの薬液111が投与される。
【0031】
ここで、カテーテル固定具1は、医療グレードのシリコン系材料(シリコン樹脂、シリコンゴムなど)で形成され、プレート状の形状をなしている。カテーテル固定具1の臓器4側の裏面Sbは、カテーテル2が穿刺される側の表面Saに比して、臓器4などの生体組織に対する結合性を高くしている。裏面Sbは、生体組織に対する結合性が高いので、裏面Sbと臓器4表面とは、隙間なく密着した状態を形成し、臓器4側からの体液等の播種や出血を防止することができる。また、表面Saは、裏面Sbに比して生体組織に対する結合性が低いので、臓器4に隣接する他の臓器に対して剥離しやすく、カテーテル固定具1の臓器4に対する固定を一層増すことができる。
【0032】
なお、カテーテル固定具1の裏面Sb側は、生体組織に対する結合性を高くするため、粘着性を有することが好ましい。たとえば、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体を100重量部に対して水添ジエン系ブロック共重合体を10〜100重量部配合した重合体組成物を用いるのが好ましい(特許文献3参照)。
【0033】
また、図2および図3に示すように、カテーテル固定具1は、表面Sa側であってカテーテル2が挿入される部分に、カテーテル2の外径よりもやや径が大きい凹部7が設けられており、凹部7の底は、ダイヤフラム8を形成している。この凹部7によって、カテーテル2の臓器4への装着時に、カテーテル2の穿刺位置決めとカテーテル2のガイドを行うことができ、さらに、ダイヤフラム8を形成しているため、カテーテル固定具1への貫通を容易にしている。また、穿刺前のカテーテル固定具1には孔が無いので、臓器4表面とカテーテル固定具1を液密状態で密着させることが容易であり、播種や出血を減少させることができる。
【0034】
さらに、カテーテル固定具1は、少なくともカテーテル2が貫通する領域や縫合領域を弾性部材で形成するようにしている。もちろん、カテーテル固定具1全体を弾性部材で形成してもよい。この結果、カテーテル2が貫通した状態で、カテーテル固定具1がその弾性によってカテーテル2を締めて隙間が塞がれ、カテーテル2とカテーテル固定具1とを液密状態で固定することができる。また、図4に示すように、縫合糸100などによる縫合によってカテーテル固定具1を臓器4に固定する場合であっても、カテーテル固定具1内を通過する縫合糸100は、カテーテル固定具1の領域Ea,Ebの弾性によって縫合糸100を締めて隙間が塞がれ、縫合糸100とカテーテル固定具1とを液密状態に維持することができる。このため、臓器4に固定されたカテーテル固定具1によってカテーテル2を臓器4に固定することができるとともに、臓器4側からの播種や出血を防止することができる。
【0035】
ここで、図5および図6を参照して、カテーテル固定具1にカテーテル2を装着する手順について説明する。なお、この手順は、切開手術によって行う。また、ここでは、カテーテル2がガイドシースとして機能するものについて説明する。
(1)まず、臓器4の表面にカテーテル固定具1を密着させて置き、カテーテル固定具1を臓器4にフィブリン糊等の医療用接着剤や縫合糸等による縫合で固定する。
(2)次に、カテーテル2の内部ルーメンに穿刺針9を貫通させ、穿刺針9の先端をカテーテル2の先端から突出させる。この状態で、凹部7を目安にカテーテル2をカテーテル固定具1に穿刺する。ダイヤフラム8は、穿刺針9によって破られ、カテーテル2の先端はカテーテル固定具1の表面Saから裏面Sbに向けて貫通する。なお、破られたダイヤフラム8は、カテーテル2に沿ってカテーテル進行方向に伸長するが、カテーテル2を引き戻す方向に少し動かして、凹部7とカテーテル2の隙間に収容してもよい。
(3)凹部7とカテーテル2との隙間にフィブリン糊等の充填剤10をあてがい、凹部7とカテーテル2との間を完全にシールする。このようにして、凹部7とカテーテル2との隙間は埋められるので、臓器からの播種や出血の可能性は大きく低減する。
【0036】
(変形例1)
図7は、この発明の実施の形態の変形例1を示す平面図である。このカテーテル固定具15は、カテーテル固定具1に対応し、カテーテル固定具15上に複数の凹部11,12,13を形成するとともに、各凹部11,12,13の径を異ならせて、様々な径のカテーテルに対応できるようにしている。
【0037】
(変形例2)
図8、この発明の実施の形態の変形例2を示す平面図である。このカテーテル固定具16には、凹部が形成されていない。この場合、カテーテル固定具1よりも肉薄に形成するとカテーテル2の穿刺が容易となり、好ましい。また、この変形例2のカテーテル固定具1は、凹部が形成されないので、製造が容易となる。また、上述した実施の形態と同様に、穿刺前のカテーテル固定具16には孔が無いので、臓器4表面とカテーテル固定具16とを液密に密着させることが容易となり、播種や出血を減少させることができる。
【0038】
(変形例3)
つぎに、この発明の実施の形態の変形例3について説明する。この変形例3では、図9に示すように、このカテーテル固定具17は、カテーテル2の穿刺方向に沿って少なくとも2層構造としている。図9では、裏面Sb側の層17bと、表面Sa側の層17aとの2層構造としている。層17bは、表面が滑らかな非多孔性材で形成され、層17aは、表面が粗い多孔性材で形成されている。ここで、層17aは、生体適合性のある多孔性材であり、たとえば、多孔性のチタンによって実現される。また、層17bは、生体適合性のある非多孔性材であり、生体組織への結合性が高く、たとえば、ポリエチレン(PE)やエチレンテレフタラート(PET)などによって実現される。なお、カテーテル固定具17の臓器4への固定は、縫合糸100などの縫合で固定することが好ましい。この場合、この縫合糸100は、デキソン、バイクリル(R)、PDS(R)、マクソン、モノクリル(R)などの、いわゆる溶ける糸であることがさらに好ましい。
【0039】
この層17bを臓器4に密着後、数日で、図10に示すように、脂肪組織200がカテーテル固定具17を覆い、臓器4とカテーテル固定具17との密着固定が実現される。この場合、層17aは、多孔性材であるので、脂肪組織200との密着を良好にする。一方、層17bは、非多孔性材であるので、密着度が当初から良好である。その後、縫合糸は、溶けていき、縫合糸の溶けた後、カテーテル固定具17は、脂肪組織200によって固定されるとともに、カテーテル2を軸方向に強く引くのみで、カテーテル2およびカテーテル固定具17を臓器4から分離することができる。
【0040】
なお、この変形例3では、2層構造としたが、図11に示す構造としてもよい。層13bに対応する層13dの中央部分に凸状の円柱を形成し、層13aに対応する層13cの中央部分にこの円柱が嵌合して挿入される穴を設け、これら層13c,13dを嵌め合わせることによってカテーテル固定具を形成する。この場合、臓器4と反対側の面は、内側の円状の表面Sa1と外側のリング状の表面Sa2とによって形成され、内側の表面Sa2が非多孔性材で滑らかとなり、外側の表面Sa1が多孔性材で粗くなる。また、側面Scの一部も多孔性材が露出し、粗い表面となる。さらに、臓器4側の面は、層13dによる非多孔性材が露出して、滑らかな表面となる。これによって、表面Sbは、確実に臓器に密着して結合し、一方、表面Sa1および側面Scは、脂肪組織200によって固定されることになる。
【0041】
ところで、上述した実施の形態で示したカテーテル固定具は、少なくとも臓器4側の表面が、臓器4などの生体組織に対して結合性が高い材質であることが好ましい。この生体組織に対する高い結合性をもたせるには、生体組織に対する密着性を高くするものであることが好ましい。たとえば、シリコン含有物などによって実現される。このシリコン含有物は、非多孔性材でもある。また、生体組織に対する高い結合性を持たせるには、生体組織に対する付着性を高めるようにしてもよい。たとえば、上述したように、脂肪組織に対する付着性の高い材質で実現することができる。上述した実施の形態では、脂肪組織に対する付着性の高い材質として多孔性材を用いている。
【0042】
(変形例4)
図12は、この発明の実施の形態の変形例4の構成を示す図であり、図13は、図12に示したカテーテル固定具にカテーテル2が穿刺された状態を示す断面図である。この変形例4のカテーテル固定具20は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分20aが、周辺部分20bに比して厚く形成している。この場合、挿入部分20aが厚いので、挿入部分20aからの播種や出血を防止することができ、カテーテル2の固定も確実に行うことができる。
【0043】
(変形例5)
図14は、この発明の実施の形態の変形例5の構成を示す図であり、図15は、図14に示したカテーテル固定具にカテーテル2が穿刺された状態を示す断面図である。この変形例5のカテーテル固定具21は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分21aが、周辺部分21bに比して厚く形成され、かつ逆円錐形の凹部を形成している。この場合、変形例4と同様に、挿入部分21aが厚いので、挿入部分21aからの播種や出血を防止することができ、カテーテル2の固定も確実に行うことができる。さらに、凹部が形成されているので、カテーテル2の位置決めおよびガイドを行うことができ、カテーテルの挿入を容易に行うことができる。なお、変形例4,5の挿入部分20a,21a等は、それ自体立体的な目印となるが、周辺部分20b,21bと異なる色の部材で形成し、あるいは異なる色で印刷することによって、カテーテル2の挿入部位の目印として機能させることもできる。
【0044】
(変形例6)
図16は、この発明の実施の形態の変形例6の構成を示す図である。この変形例6のカテーテル固定具22は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分に、目印22aを印刷したものである。これによって、カテーテル2の挿入位置の位置決めを確実に行うことができる。また、カテーテル2が挿入される挿入部分は、カテーテル2の固定に十分な厚さを維持できる。
【0045】
(変形例7)
図17は、この発明の実施の形態の変形例7の構成を示す図である。この変形例7のカテーテル固定具23は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分と周辺部分との厚みを同じにし、挿入部分の輪郭に沿って壁23aを設けている。この壁23aの内径は、カテーテル2の外径に略一致している。これによって、カテーテル2の位置決めおよびガイドを容易に行うことができる。また、カテーテル2の挿入部分での厚さを保持できるため、播種や出血を防止することができる。
【0046】
(変形例8)
図18は、この発明の実施の形態の変形例8の構成を示す図である。この変形例8のカテーテル固定具24は、カテーテル2が穿刺されて挿入される挿入部分と周辺部分との厚みを同じにし、挿入部分の輪郭に沿って溝24aを設けている。この溝24aによって、カテーテル2の挿入位置の立体的な目印とすることができる。また、カテーテル2の挿入部分での厚さを保持できるため、播種や出血を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態にかかるカテーテル固定具を用いたカテーテルの全体構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の構成を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の構成を示す断面図である。
【図4】縫合糸によるカテーテル固定具の固定状態を示す断面図である。
【図5】カテーテル固定具を用いたカテーテルの装着手順を示す図である。
【図6】カテーテルがカテーテル固定具に固定された状態を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例1の構成を示す平面図である。
【図8】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例2の構成を示す平面図である。
【図9】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例3の構成を示す斜視図である。
【図10】変形例3のカテーテル固定具を用いてカテーテルを固定した状態を示す断面図である。
【図11】変形例3の応用例を示すカテーテル固定具の構成を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例4の構成を示す図である。
【図13】変形例4のカテーテル固定具を用いてカテーテルを固定した状態を示す断面図である。
【図14】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例5の構成を示す図である。
【図15】変形例5のカテーテル固定具を用いてカテーテルを固定した状態を示す断面図である。
【図16】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例6の構成を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例7の構成を示す図である。
【図18】この発明の実施の形態であるカテーテル固定具の変形例8の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1,15,16,17,20〜24 カテーテル固定具
2 カテーテル
3 体表
4 臓器
5 患部
6 取付リング
7 凹部
8 ダイヤフラム
9 穿刺針
10 充填剤
11〜13 凹部
17a,17b,17c,17d 層
23a 壁
24a 溝
100 縫合糸
110 シリンジポンプ
111 薬剤
200 脂肪組織
Sa 表面
Sb 裏面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間を含む哺乳類の体内臓器にカテーテルを取り付ける際に用いられるカテーテル固定具であって、
平板状に形成され、前記カテーテルが穿刺される表面側に比して前記体内臓器に密着する裏面側が、生体組織に対して結合性が高いことを特徴とするカテーテル固定具。
【請求項2】
前記生体組織に対する結合性は、前記生体組織に対する密着性であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項3】
シリコンが含まれる材質で形成されたことを特徴とする請求項2に記載のカテーテル固定具。
【請求項4】
前記カテーテルが穿刺される表面側は、前記生体組織に対して付着性が高い材質で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項5】
少なくとも前記表面側が、脂肪組織に対して付着性の高い材質で形成されたことを特徴とする請求項4に記載のカテーテル固定具。
【請求項6】
前記裏面側の層が非多孔性材で形成され、前記表面側の層および側面の少なくとも一部が多孔性材で形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のカテーテル固定具。
【請求項7】
前記カテーテルが穿刺される部分および/または縫合糸の通過する部分が少なくとも弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項8】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルよりも径が大きい凹部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項9】
前記凹部は、前記表面側に隆起した凸部内に設けられることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル固定具。
【請求項10】
前記凹部は、複数設けられることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル固定具。
【請求項11】
複数の前記凹部は、少なくとも同一の径を有することを特徴とする請求項10に記載のカテーテル固定具。
【請求項12】
複数の前記凹部は、少なくとも異なる径を有することを特徴とする請求項10に記載のカテーテル固定具。
【請求項13】
前記凹部の底面は、ダイヤフラムを形成することを特徴とする請求項8に記載のカテーテル固定具。
【請求項14】
厚みが0.5〜5.0mmであることを特徴とする請求項1記載のカテーテル固定具。
【請求項15】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルよりも径が大きいリング状の溝部または突起部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項16】
前記リング状の溝部または突起部の底面または表面に、前記カテーテルを穿刺するための目印を設けたことを特徴とする請求項15に記載のカテーテル固定具。
【請求項17】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルを穿刺するための目印を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項18】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分の輪郭に沿って、壁を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項19】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分の輪郭に沿って、溝を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項20】
前記カテーテルは、薬剤投与装置本体から生体内に薬剤を供給する薬剤輸送管であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項1】
人間を含む哺乳類の体内臓器にカテーテルを取り付ける際に用いられるカテーテル固定具であって、
平板状に形成され、前記カテーテルが穿刺される表面側に比して前記体内臓器に密着する裏面側が、生体組織に対して結合性が高いことを特徴とするカテーテル固定具。
【請求項2】
前記生体組織に対する結合性は、前記生体組織に対する密着性であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項3】
シリコンが含まれる材質で形成されたことを特徴とする請求項2に記載のカテーテル固定具。
【請求項4】
前記カテーテルが穿刺される表面側は、前記生体組織に対して付着性が高い材質で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項5】
少なくとも前記表面側が、脂肪組織に対して付着性の高い材質で形成されたことを特徴とする請求項4に記載のカテーテル固定具。
【請求項6】
前記裏面側の層が非多孔性材で形成され、前記表面側の層および側面の少なくとも一部が多孔性材で形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のカテーテル固定具。
【請求項7】
前記カテーテルが穿刺される部分および/または縫合糸の通過する部分が少なくとも弾性部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項8】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルよりも径が大きい凹部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項9】
前記凹部は、前記表面側に隆起した凸部内に設けられることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル固定具。
【請求項10】
前記凹部は、複数設けられることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル固定具。
【請求項11】
複数の前記凹部は、少なくとも同一の径を有することを特徴とする請求項10に記載のカテーテル固定具。
【請求項12】
複数の前記凹部は、少なくとも異なる径を有することを特徴とする請求項10に記載のカテーテル固定具。
【請求項13】
前記凹部の底面は、ダイヤフラムを形成することを特徴とする請求項8に記載のカテーテル固定具。
【請求項14】
厚みが0.5〜5.0mmであることを特徴とする請求項1記載のカテーテル固定具。
【請求項15】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルよりも径が大きいリング状の溝部または突起部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項16】
前記リング状の溝部または突起部の底面または表面に、前記カテーテルを穿刺するための目印を設けたことを特徴とする請求項15に記載のカテーテル固定具。
【請求項17】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分に、前記カテーテルを穿刺するための目印を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項18】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分の輪郭に沿って、壁を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項19】
前記表面側であって前記カテーテルが穿刺される部分の輪郭に沿って、溝を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【請求項20】
前記カテーテルは、薬剤投与装置本体から生体内に薬剤を供給する薬剤輸送管であることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル固定具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−82263(P2010−82263A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255562(P2008−255562)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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