説明

カテーテル用のロボット駆動装置

【課題】ハンドルを有する可動型侵襲性プローブを制御するための装置を提供する。
【解決手段】本装置は、プラットフォームと、プラットフォームに装着され、ハンドルを受容するように構成される治具とを含む。治具は、少なくとも、ハンドルをプローブの軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、プローブの先端を偏向させるためのハンドル上の制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを含む。駆動モジュールは、1つ以上のモータを含む。変速機は、少なくとも第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、プローブを前進及び退縮させるために軸に平行な方向に沿ってプラットフォームを並進運動させるように、駆動モジュール及び治具に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、侵襲性医療機器に関し、より具体的には、診断又は治療目的のために、侵襲性プローブを操作及び操縦するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテル用の、種々の種類のロボット操縦機構が、当該技術分野で周知である。例えば、参照としてその開示が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0203382号には、ユーザーによって手動で操作されるように設計された、カテーテルを操縦するためのロボットが記載されている。カテーテルは、ユーザーが操作可能な制御ハンドル又は親指制御を有し、ロボットは、外科医の手の動きを大まかに模倣することにより、カテーテルを保持し、操作する。
【0003】
別の例として、参照としてその開示が本明細書に組み込まれるPCT国際公開第WO 99/45994号には、可撓性の細長いプローブを患者の身体内に制御可能に挿入する推進装置を含む、遠隔制御カテーテル法システムが記載されている。推進装置と通信する制御卓は、推進装置によるプローブの身体内への挿入を制御するための、患者から離れたシステムのユーザーによって制御されるユーザー制御装置を含む。
〔課題を解決するための手段〕
【0004】
以下に記載される本発明の実施形態は、患者の身体の内部において、デバイスの動きの多用途な、正確な制御を可能にする、カテーテル等の侵襲性医療デバイスのためのロボット駆動装置を提供する。
【0005】
したがって、本発明の実施形態に従い、ハンドルを有する可動型侵襲性プローブを制御するための装置が提供される。装置は、プラットフォームと、プラットフォームに装着され、ハンドルを受容するように構成される治具とを含む。治具は、少なくとも、ハンドルをプローブの軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、プローブの先端を偏向させるためのハンドル上の制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを含む。駆動モジュールは、1つ以上のモータを含む。変速機は、少なくとも第1及び第2のギアを、制御可能に回転させ、プローブを前進及び退縮させるために、プラットフォームを軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、駆動モジュール及び治具に連結される。
【0006】
開示される実施形態において、第2のギアは、プローブの先端を、軸に対する第1の方向に偏向させるための第1の制御輪を回転させるように位置決め及び成形され、治具は、第1の方向に垂直な第2の方向にプローブの先端を偏向させるためのハンドル上の第2の制御輪を回転させるように位置決め及び成形される、第3のギアを含む。
【0007】
第1及び第2のギアは、ハンドルを包囲するように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、変速機は、様々なプラットフォームの位置にわたって、第1及び第2のギアを駆動するようにそれぞれ連結される、少なくとも第1及び第2の入れ子式駆動モジュールを含む。典型的に、入れ子式駆動モジュールのそれぞれは、それぞれのモータによって回転されるように固定して連結される、駆動シャフトと、駆動シャフトによって回転されるように、駆動シャフトを摺動自在に係合する一方で、軸に平行な方向に沿って、プラットフォームとともに移動するように、治具に固定して連結される、従動シャフトとを含む。
【0009】
また、本発明の実施形態に従い、軸及び、被験者の身体内へ挿入するための遠位先端を有する可動型侵襲性プローブを含み、かつハンドルと、遠位先端の偏向を制御するための、ハンドル上の少なくとも1つの制御装置とを含む侵襲性医療システムが提供される。ロボット駆動装置は、プラットフォームと、プラットフォームに装着され、ハンドルを受容するように構成され、少なくとも、ハンドルをプローブの軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、少なくとも1つの制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを含む、治具とを含む。駆動モジュールは、1つ以上のモータを含む。変速機は、少なくとも第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、プローブを前進及び退縮させるために、プラットフォームを軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、駆動モジュール及び治具に連結される。制御ユニットは、身体内部でプローブを移動するように、駆動モジュールを制御するように連結される。
【0010】
開示される実施形態では、プローブは、被験者の心臓内への挿入のために構成されるカテーテルを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、身体内部のプローブの位置座標を判断するための、位置検知サブシステムを含み、制御ユニットは、位置座標に応答可能に駆動モジュールを制御するように構成される。典型的に、位置検知サブシステムは、プローブの遠位先端内に位置変換器を含む。
【0012】
更に、本発明の実施形態に従い、ハンドルを有する可動型侵襲性プローブを制御するための方法を提供する。この方法は、ハンドルを、プラットフォーム上に装着され、少なくとも、ハンドルをプローブの軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、プローブの先端を偏向させるために、ハンドル上の制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを含む、治具内に挿入することを含む。変速機は、少なくとも第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、プローブを前進及び退縮させるためにプラットフォームを軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、1つ以上のモータを含む駆動モジュールと治具とに連結される。
【0013】
以下の発明の実施形態の詳細な説明を以下の図面と併せ読むことで本発明のより完全な理解がなされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に従う、ロボット駆動装置を用いたカテーテル法システムの概略的な図的説明。
【図2】本発明の実施形態に従う、ロボット駆動装置内に保持されるカテーテルを示す、概略的な図的説明。
【図3A】それぞれ、本発明の実施形態に従う、カテーテル用のロボット駆動装置の概略的側面及び上面図。
【図3B】それぞれ、本発明の実施形態に従う、カテーテル用のロボット駆動装置の概略的側面及び上面図。
【図4】本発明の実施形態に従う、ロボット駆動装置内にカテーテルを把持させるために使用される治具の概略側面図。
【図5A】本発明の実施形態に従う、カテーテルを制御する際に使用される、1組のギアの概略的な図的説明。
【図5B】本発明の実施形態に従い、図5Aのギアによって係合される回転制御装置を含む、カテーテルハンドルの概略側面図。
【図6A】それぞれ、本発明の実施形態に従い、カテーテルを駆動する際に使用される、変速機の駆動及び従動サブアセンブリの概略的な図的説明。
【図6B】それぞれ、本発明の実施形態に従い、カテーテルを駆動する際に使用される、変速機の駆動及び従動サブアセンブリの概略的な図的説明。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、通常カテーテル又は他の可動型プローブの人間の操作者によって行われることができる、全ての4つの種類の動きを実行するロボット駆動装置を提供する。
1.内/外(前進/後退−カテーテル先端を標的臓器の更に内部へ前進させるか、又は外へ退縮させる)。
2.カテーテル軸の周囲を回転(ロール)させる。
3.カテーテル先端を左右に偏向させる。
4.カテーテル先端を上下に偏向させる。
(いくつかの用途では、偏向を所望の方向にそろえるために、カテーテルがその軸の周囲を回転し得るため、1方向の偏向で十分である。したがって、偏向の第2の方向は、追加的な、任意的な機能であると見なされる。)
【0016】
カテーテルは、右/左、及び上/下の偏向を制御するための、ハンドル上の1つ以上の制御装置を有する、人間の操作者によって手動で操作されるように設計された、標準的な種類であってもよい。以下に描写される実施形態において、ハンドル上の制御装置は、回転可能な制御輪の形状を有し、ロボット治具は、これらの輪のそれぞれをギア中に把持し、ハンドル自体を別のギア中に把持する。代替的に、治具の中のギアは、線形制御等の他の種類の制御装置を駆動するように構成されてもよい。
【0017】
各ギアは、入れ子式伝動軸アセンブリを介して、それぞれのモータによって駆動される(操作中、アセンブリの長さが変更可能であるという意味で、「伸縮自在」である)。ギアは、上記の一覧の後の3つの動きを実施し、カテーテル先端の任意の所望の配向性を与えるために、別々に駆動されても、一斉に駆動されてもよい。電動の線形駆動は、全体の治具をプラットフォーム上で前方及び後方に動かし、カテーテルのその軸に沿った内/外の動きを提供する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に従う、ロボット駆動装置26を持つ、カテーテル法システム20の概略的な図的説明である。図示される実施形態において、カテーテル22は、被験者の心室等の体腔24内に挿入される。カテーテルの遠位先端(挿入図に拡大表示される)は、典型的に、診断及び/又は治療目的のために、機能要素28を備える。例えば、要素28は、電気検知及び/又は組織の焼灼用の電極、又は心臓内撮像用の超音波変換器を備えてもよい。以下に記載の態様で駆動され得る他の種類の機能要素及び侵襲性プローブは、当業者に明白であり、本発明の範囲内であると見なされる。
【0019】
描写される実施形態において、カテーテル22はまた、先端の位置座標を判断する際に使用するための、その遠位先端内側に位置変換器30を備える。例えば、変換器30は、フィールド変換器32によって生成される磁場を体外の既知の場所で検出する、磁場センサを備えてもよい。この種類の磁気位置検知システムは、例えば、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,391,199号に記載され、CARTO(商標)(Biosense Webster Inc.,Diamond Bar,Californiaにより製造)等の心臓内追跡システムにおいて使用されている。代替的に、変換器30は、変換器32によって検知される場を生成してもよい。更に代替的又は追加的に、変換器30は、インピーダンスを使用した位置検知を目的とする電極、超音波変換器、又は身体の2次元又は3次元画像内でカテーテル先端の位置を特定するための基準マーク等の、当技術分野で周知の、任意の他の適切な種類の位置変換器を備えてもよい。
【0020】
位置検知モジュール34は、被験者の身体内部のカテーテル先端の位置座標を判断するために、変換器30及び32と通信する。制御ユニット36は、カテーテル22を身体内の所望の場所に誘導するために、座標を使用して、駆動装置26を制御する。この点において、制御ユニット36は、所定のプログラム命令に従って、自立的に動作してもよい。代替的又は追加的に、制御ユニットは、人間の操作者(図示せず)がカテーテルを制御することが可能となるように、典型的にマップ又は画像上に並列されるディスプレイ38上にカテーテルの位置を表示してもよい。制御ユニット36は、典型的に、所望の機能を実行するようにソフトウェア内にプログラムされた汎用コンピュータプロセッサを備える。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に従い、ロボット駆動装置26内に保持されるカテーテル22を示す、概略的な図的説明である。カテーテル22は、人間の操作者によって保持及び操作されるように設計されたハンドル40を備える。従来の使用では、操作者はカテーテルの遠位先端を血管に経皮挿入し、次にカテーテルをその長手方向軸に沿って、血管を通って腔24の内部へと前進させる。操作者は、ハンドル40(以下の図5Bに示す)上の2つの制御輪を使用して、カテーテルの遠位先端を、カテーテル軸に対して、個別に、互いに直交する方向に偏向させる。操作者は、カテーテルを前進及び退縮させるために、ハンドルを前後に動かし、カテーテル自体を回転させるために、軸の周囲でハンドルを回転させてもよい。近位末端42は、カテーテルを制御ユニット36に接続するが、この接続は、図の簡略化及び明瞭化のために、図2から割愛する。
【0022】
本発明の実施形態では、しかしながら、駆動装置26は、これらの操作を人間の操作者の代わりに実行する。治具44は、ハンドル40を保持する。治具は、ハンドルを軸の周囲で回転させるための1つのギア(又は1組のギア)と、ハンドル上で制御輪(以下で図4及び図5Aに図示される)を回転させるための他のギアとを備える。治具44は、カテーテルをその軸に沿って前進及び後退させるために、本体47に対して並進運動することが可能な、プラットフォーム46に装着される。駆動モジュール48は、ギアを回転させ、プラットフォーム46を本体47に沿って並進運動するために、変速機50によって治具44に連結される。治具及び駆動モジュールの構成要素は、以下の図においてより詳細に示される。
【0023】
図3A及び図3Bは、それぞれ、本発明の実施形態に従う、ロボット駆動装置26の概略的な側面及び上面図である。駆動モジュール48は、小型ステッパー又はサーボモータ等の、制御ユニット36(図1)によって制御される4つの電気モータ52を備える。この実施形態では、下位モータ(図3Aの図に示す)は、線形駆動58によって接続され、シャフト60を前進及び後退させる。このシャフトが前進又は後退するにつれて、シャフトは、プラットフォーム46を本体47に対して移動させ、したがって治具44及びカテーテル22を前進又は後退させる。このようにして、カテーテル22は、被験者の身体内部で前進及び後退される。
【0024】
3つの上位モータ52は、入れ子式駆動モジュールに連結され、それぞれは、駆動シャフト54及び従動シャフト56を備える。駆動シャフトは、それぞれのモータによって回転されるように固定して連結され、一方、従動シャフトは、駆動シャフトを摺動自在に係合する一方で、プラットフォーム46とともに移動するように、治具44に固定して連結される。図6A及び6Bにより詳細に示される、この入れ子式配列は、従動シャフト56が、広く様々なプラットフォームの長手方向の位置にわたって駆動シャフト54によって回転されることを可能にする。
【0025】
前述のとおり、治具44は、カテーテル自体がカラー62を通って飛び出す一方で、カテーテル22のハンドル40を保持する。ハンドルが治具内に挿入された後、カバー64は、ハンドルを所定の位置に包囲し、及び固定する。ハンドルは、シャフト68上のギア66によって駆動されるギア(以下の図に示される)によって囲まれる。これらのシャフトは、従動シャフト56のつなぎとして回転するようにそれぞれ接続される。描写される実施形態では、各シャフト68は、一対のギア66を有する。
【0026】
図4は、本発明の実施形態に従う、治具44の概略的な側面図である。この図は、カテーテルハンドル(本図面には図示せず)を囲み、治具44の内部で自由に回転することができる、ギア70、72及び74を示す。ギア70、72及び74のそれぞれは、それぞれのシャフト68上のギア66のうちの1つによって回転される。ギア66のそれぞれの長手方向の位置は、ギア70、72及び74のうちのどれを回転させるかを判断する。
【0027】
ここで、本発明の実施形態に従う、治具44の制御の態様の更なる詳細を示す、図5A及び図5Bを参照する。図5Aは、ギア70、72及び74の1組80の概略的な図的説明である。図5Bは、ギア70及び72によって係合される、制御輪82及び84を含む、カテーテルハンドル40の概略的な側面図である。これらの制御輪のそれぞれを回転させることは、カテーテル22の遠位先端を、それぞれの方向に偏向させる(両制御輪は、一緒に回転して、対角線の偏向を与える)。
【0028】
駆動装置26の制御に備えて、ギア70、72及び74は、ギア72が輪84を囲み、及び掴む一方で、ギア70が輪82を囲み、及び掴むように、ハンドル40上を摺動する。ギア74は、ハンドル40自体を保持し、このギアの内部形状は、この実施例では、ハンドルの強い把持を維持するために、四角に区切られる。ギア70、72及び74は、駆動装置26がカテーテル22を任意の所望の配向に回転及び偏向することを可能にするために、駆動ギア66の制御下で独立して回転する。
【0029】
図6A及び6Bは、それぞれ、本発明の実施形態に従う、カテーテルを駆動する際に使用される、変速機の駆動及び従動サブアセンブリの概略的な図的説明である。図6Aに示される駆動アセンブリは、駆動モジュール48内のそれぞれのモータ52に固定して接続される、駆動シャフト54及び線形駆動58を備える。シャフト54は、不規則な(環状に対称でない)断面形状を有する。駆動モジュール48は、プラットフォーム46を受容するためのトラック90を含む、本体47に装着される。
【0030】
図6Bに示される従動サブアセンブリは、プラットフォーム46上に装着され、したがって駆動サブアセンブリに対して長手方向に並進運動される。サブアセンブリは、それぞれの従動シャフト56に取り付けられたナット94を含む連結サブアセンブリ92によって互いに連結される。ナット94は、駆動シャフト54の外形と一致するような形状とされ、したがってプラットフォーム46がトラック90内で前後に移動するにつれて、ナットを通って伸縮自在に内外に摺動する。しかしながら、駆動シャフト54の回転は、シャフトの相対的な長手方向位置に関わらず、従動シャフト56の同時回転を駆動する。したがって、駆動装置26は、カテーテルが身体内に前進及び身体内から退縮する際に、カテーテル22の配向性の一貫した制御を維持する。
【0031】
前述の種類の駆動機構は、同時に制御するように2つのカテーテルを駆動するために使用されることができる。例えば、カテーテルのうちの1つは、焼灼治療等の治療目的のために使用されることができ、一方、他方はこの治療的カテーテルの超音波画像を捕獲する。この種類の用途は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0106147号に記載されている。超音波カテーテルは、カテーテルが治療的カテーテル等の適切な標的に向けられていることを確実にするために、ロボット操縦によって制御される。位置検知システムは、カテーテルが指すべき方向を判断し、カテーテル内の磁気位置センサを使用して、この方向から任意の偏向を測定する。次に、位置検知システムは、ロボット駆動機構を使用して、治療的カテーテルをその視野内に留めるように、カテーテル位置及び配向性を自動的に修正する。
【0032】
前述の実施形態は、説明の明瞭化のためにカテーテル22に特に関連するが、本発明の原理は、内視鏡等の他の種類の可動型侵襲性プローブにも同様に適用され得る。図に示される、駆動装置26の構成要素の特定の形状及び構成は、カテーテルの特定の形状及び特性に適合される。カテーテル22又は他の種類の侵襲性プローブに関連して、同様の機能性を達成するための代替的な構成は、前述の説明に基づき当業者には明白であり、本発明の範囲内であると見なされる。
【0033】
上記に述べた実施形態は一例として引用したものであって、本発明は上記に具体的に図示及び説明したものに限定されない点は認識されるであろう。その逆に、本発明の範囲は、上記に述べた異なる特性のすべてのものの組み合わせ及び一部のものの組み合わせを含み、更に上記の説明文を読むことで当業者によって想到されるであろう、先行技術には開示されていない変形例及び改変例をも含むものである。
【0034】
〔実施の態様〕
(1) ハンドルを有する可動型侵襲性プローブを制御するための装置において、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに装着され、前記ハンドルを受容するように構成される治具であって、少なくとも、前記ハンドルを前記プローブの軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、前記プローブの先端を偏向させるための前記ハンドル上の制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを備える、治具と、
1つ以上のモータを備える、駆動モジュールと、
少なくとも前記第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、前記プローブを前進及び退縮させるために前記プラットフォームを前記軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、前記駆動モジュール及び前記治具に連結される変速機と、を備える、装置。
(2) 前記第2のギアが、前記プローブの前記先端を前記軸に対する第1の方向に偏向させるための第1の制御輪を回転させるように位置決め及び成形され、前記治具が、前記第1の方向に垂直な第2の方向に前記プローブの前記先端を偏向させるための前記ハンドル上の第2の制御輪を回転させるように位置決め及び成形される、第3のギアを備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1及び第2のギアが、前記ハンドルを包囲するように構成される、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記変速機が、様々な前記プラットフォームの位置にわたって、前記第1及び第2のギアを駆動するようにそれぞれ連結される、少なくとも第1及び第2の入れ子式駆動モジュールを備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 各前記入れ子式駆動モジュールが、
それぞれのモータによって回転されるように固定して連結される、駆動シャフトと、
前記駆動シャフトによって回転されるように、前記駆動シャフトを摺動自在に係合する一方で、前記軸に平行な前記方向に沿って、前記プラットフォームとともに移動するように、前記治具に固定して連結される、従動シャフトと、を備える、実施態様4に記載の装置。
(6) 被験者の身体内部の前記プローブの位置座標を判断するための位置検知モジュールを備え、かつ前記位置座標に応答可能に前記身体内部の前記プローブを移動させるように前記駆動モジュールを制御するように連結される、制御ユニットを備える、実施態様1に記載の装置。
(7) 侵襲性医療システムにおいて、
軸、及び被験者の身体内へ挿入するための遠位先端を有し、かつハンドルと、前記遠位先端の偏向を制御するための、前記ハンドル上の少なくとも1つの制御装置とを備える、可動型侵襲性プローブと、
ロボット駆動装置であって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに装着され、前記ハンドルを受容するように構成される治具であって、少なくとも、前記ハンドルを前記プローブの前記軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、前記少なくとも1つの制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを備える、治具と、
1つ以上のモータを備える、駆動モジュールと、
少なくとも前記第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、前記プローブを前進及び退縮させるために前記プラットフォームを前記軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、前記駆動モジュール及び前記治具に連結される変速機と、を備える、ロボット駆動装置と、
前記身体内で前記プローブを移動させるように、前記駆動モジュールを制御するように連結される制御ユニットと、を備える、システム。
(8) 前記プローブが、前記被験者の心臓内への挿入のために構成される、カテーテルを備える、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記身体内の前記プローブの位置座標を判断するための位置検知サブシステムを備え、前記制御ユニットが、前記位置座標に応答可能に前記駆動モジュールを制御するように構成される、実施態様7に記載のシステム。
(10) 前記位置検知サブシステムが、前記プローブの前記遠位先端内に位置変換器を備える、実施態様9に記載のシステム。
【0035】
(11) 前記第2のギアが、前記プローブの前記先端を前記軸に対する第1の方向に偏向させるための第1の制御輪を回転させるように位置決め及び成形され、前記治具が、前記プローブの前記先端を前記第1の方向と垂直な第2の方向に偏向させるための前記ハンドル上の第2の制御輪を回転させるように位置決め及び成形される、第3のギアを備える、実施態様7に記載のシステム。
(12) 前記第1及び第2のギアが、前記ハンドルを包囲するように構成される、実施態様7に記載のシステム。
(13) 前記変速機が、様々な前記プラットフォームの位置にわたって、前記第1及び第2のギアを駆動するようにそれぞれ連結される、少なくとも第1及び第2の入れ子式駆動モジュールを備える、実施態様7に記載のシステム。
(14) 各前記入れ子式駆動モジュールが、
それぞれのモータによって回転されるように固定して連結される、駆動シャフトと、
前記駆動シャフトによって回転されるように前記駆動シャフトを摺動自在に係合する一方で、前記軸に平行な前記方向に沿って、前記プラットフォームとともに移動するように前記治具に固定して連結される、従動シャフトと、を備える、実施態様13に記載のシステム。
(15) ハンドルを有する可動型侵襲性プローブを制御するための方法において、
前記ハンドルを治具内に挿入することであって、前記治具が、プラットフォーム上に装着され、少なくとも、前記ハンドルを前記プローブの軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、前記プローブの先端を偏向させるために前記ハンドル上の制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを備える、ことと、
少なくとも前記第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、前記プローブを前進及び退縮させるために前記プラットフォームを前記軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、変速機を、1つ以上のモータを備える駆動モジュールと前記治具とに連結させることと、を含む、方法。
(16) 前記プローブが、カテーテルを備え、前記方法が、前記カテーテルを被験者の心臓内に挿入することと、前記カテーテルを前記心臓内で誘導するように、前記駆動モジュールを操作することとを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 位置検知サブシステムを使用して前記身体内の前記プローブの位置座標を判断することと、前記位置座標に応答可能に前記駆動モジュールを制御することとを含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記位置検知サブシステムが、前記プローブの前記遠位先端内に位置変換器を備える、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記第2のギアが、前記プローブの前記先端を前記軸に対する第1の方向に偏向させるための第1の制御輪を回転させるように位置決め及び成形され、前記治具が、前記プローブの前記先端を前記第1の方向と垂直な第2の方向に偏向させるための前記ハンドル上の第2の制御輪を回転させるように位置決め及び成形される、第3のギアを備える、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記第1及び第2のギアが、前記ハンドルを包囲する、実施態様15に記載の方法。
【0036】
(21) 前記変速機が、様々な前記プラットフォームの位置にわたって、前記第1及び第2のギアを駆動するようにそれぞれ連結される、少なくとも第1及び第2の入れ子式駆動モジュールを備える、実施態様15に記載の方法。
(22) 各前記入れ子式駆動モジュールが、
それぞれのモータによって回転されるように固定して連結される、駆動シャフトと、
前記駆動シャフトによって回転されるように、前記駆動シャフトを摺動自在に係合する一方で、前記軸に平行な前記方向に沿って前記プラットフォームとともに移動するように前記治具に固定して連結される、従動シャフトと、を備える、実施態様22に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルを有する可動型侵襲性プローブを制御するための装置において、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに装着され、前記ハンドルを受容するように構成される治具であって、少なくとも、前記ハンドルを前記プローブの軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、前記プローブの先端を偏向させるための前記ハンドル上の制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを備える、治具と、
1つ以上のモータを備える、駆動モジュールと、
少なくとも前記第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、前記プローブを前進及び退縮させるために前記プラットフォームを前記軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、前記駆動モジュール及び前記治具に連結される変速機と、を備える、装置。
【請求項2】
前記第2のギアが、前記プローブの前記先端を前記軸に対する第1の方向に偏向させるための第1の制御輪を回転させるように位置決め及び成形され、前記治具が、前記第1の方向に垂直な第2の方向に前記プローブの前記先端を偏向させるための前記ハンドル上の第2の制御輪を回転させるように位置決め及び成形される、第3のギアを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のギアが、前記ハンドルを包囲するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記変速機が、様々な前記プラットフォームの位置にわたって、前記第1及び第2のギアを駆動するようにそれぞれ連結される、少なくとも第1及び第2の入れ子式駆動モジュールを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
各前記入れ子式駆動モジュールが、
それぞれのモータによって回転されるように固定して連結される、駆動シャフトと、
前記駆動シャフトによって回転されるように、前記駆動シャフトを摺動自在に係合する一方で、前記軸に平行な前記方向に沿って、前記プラットフォームとともに移動するように、前記治具に固定して連結される、従動シャフトと、を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
被験者の身体内部の前記プローブの位置座標を判断するための位置検知モジュールを備え、かつ前記位置座標に応答可能に前記身体内部の前記プローブを移動させるように前記駆動モジュールを制御するように連結される、制御ユニットを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
侵襲性医療システムにおいて、
軸、及び被験者の身体内へ挿入するための遠位先端を有し、かつハンドルと、前記遠位先端の偏向を制御するための、前記ハンドル上の少なくとも1つの制御装置とを備える、可動型侵襲性プローブと、
ロボット駆動装置であって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに装着され、前記ハンドルを受容するように構成される治具であって、少なくとも、前記ハンドルを前記プローブの前記軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、前記少なくとも1つの制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを備える、治具と、
1つ以上のモータを備える、駆動モジュールと、
少なくとも前記第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、前記プローブを前進及び退縮させるために前記プラットフォームを前記軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、前記駆動モジュール及び前記治具に連結される変速機と、を備える、ロボット駆動装置と、
前記身体内で前記プローブを移動させるように、前記駆動モジュールを制御するように連結される制御ユニットと、を備える、システム。
【請求項8】
前記プローブが、前記被験者の心臓内への挿入のために構成される、カテーテルを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記身体内の前記プローブの位置座標を判断するための位置検知サブシステムを備え、前記制御ユニットが、前記位置座標に応答可能に前記駆動モジュールを制御するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記位置検知サブシステムが、前記プローブの前記遠位先端内に位置変換器を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2のギアが、前記プローブの前記先端を前記軸に対する第1の方向に偏向させるための第1の制御輪を回転させるように位置決め及び成形され、前記治具が、前記プローブの前記先端を前記第1の方向と垂直な第2の方向に偏向させるための前記ハンドル上の第2の制御輪を回転させるように位置決め及び成形される、第3のギアを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1及び第2のギアが、前記ハンドルを包囲するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記変速機が、様々な前記プラットフォームの位置にわたって、前記第1及び第2のギアを駆動するようにそれぞれ連結される、少なくとも第1及び第2の入れ子式駆動モジュールを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
各前記入れ子式駆動モジュールが、
それぞれのモータによって回転されるように固定して連結される、駆動シャフトと、
前記駆動シャフトによって回転されるように前記駆動シャフトを摺動自在に係合する一方で、前記軸に平行な前記方向に沿って、前記プラットフォームとともに移動するように前記治具に固定して連結される、従動シャフトと、を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ハンドルを有する可動型侵襲性プローブを制御するための方法において、
前記ハンドルを治具内に挿入することであって、前記治具が、プラットフォーム上に装着され、少なくとも、前記ハンドルを前記プローブの軸の周囲を回転させるように位置決め及び成形される第1のギアと、前記プローブの先端を偏向させるために前記ハンドル上の制御装置を操作するように位置決め及び成形される第2のギアとを備える、ことと、
少なくとも前記第1及び第2のギアを制御可能に回転させ、前記プローブを前進及び退縮させるために前記プラットフォームを前記軸に平行な方向に沿って並進運動させるように、変速機を、1つ以上のモータを備える駆動モジュールと前記治具とに連結させることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記プローブが、カテーテルを備え、前記方法が、前記カテーテルを被験者の心臓内に挿入することと、前記カテーテルを前記心臓内で誘導するように、前記駆動モジュールを操作することとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
位置検知サブシステムを使用して前記身体内の前記プローブの位置座標を判断することと、前記位置座標に応答可能に前記駆動モジュールを制御することとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記位置検知サブシステムが、前記プローブの前記遠位先端内に位置変換器を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のギアが、前記プローブの前記先端を前記軸に対する第1の方向に偏向させるための第1の制御輪を回転させるように位置決め及び成形され、前記治具が、前記プローブの前記先端を前記第1の方向と垂直な第2の方向に偏向させるための前記ハンドル上の第2の制御輪を回転させるように位置決め及び成形される、第3のギアを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1及び第2のギアが、前記ハンドルを包囲する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記変速機が、様々な前記プラットフォームの位置にわたって、前記第1及び第2のギアを駆動するようにそれぞれ連結される、少なくとも第1及び第2の入れ子式駆動モジュールを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
各前記入れ子式駆動モジュールが、
それぞれのモータによって回転されるように固定して連結される、駆動シャフトと、
前記駆動シャフトによって回転されるように、前記駆動シャフトを摺動自在に係合する一方で、前記軸に平行な前記方向に沿って前記プラットフォームとともに移動するように前記治具に固定して連結される、従動シャフトと、を備える、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2011−36670(P2011−36670A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−180049(P2010−180049)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(508080229)バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド (79)
【Fターム(参考)】