カテーテル
【課題】ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上し得るとともに、より良好な画像取得が可能なカテーテルを提供する。
【解決手段】本発明のカテーテル1は、検査波が透過する窓部26を備えたカテーテル本体2と、カテーテル本体内で検査波を検出する検出部41と、窓部を覆うシース4と、ガイドワイヤが挿通し得る、カテーテル本体の先端部に設けられたガイドワイヤ挿通部と、を有し、シースが、カテーテル本体に沿って窓部から軸方向に移動可能であるとともに、当該シースに、ガイドワイヤが挿通し得る他のガイドワイヤ挿通部47が設けられている。
【解決手段】本発明のカテーテル1は、検査波が透過する窓部26を備えたカテーテル本体2と、カテーテル本体内で検査波を検出する検出部41と、窓部を覆うシース4と、ガイドワイヤが挿通し得る、カテーテル本体の先端部に設けられたガイドワイヤ挿通部と、を有し、シースが、カテーテル本体に沿って窓部から軸方向に移動可能であるとともに、当該シースに、ガイドワイヤが挿通し得る他のガイドワイヤ挿通部47が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管及び脈管等の体腔の診断に用いられるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管及び脈管などの体腔内に生じる狭窄部又は閉塞部の治療では、これらの性状を観察するため、又は治療後の状態を観察するため、超音波又は光等の検査波を利用して体腔の画像を取得する診断用のカテーテルが用いられる。
【0003】
診断用のカテーテルは、曲がりくねった体腔内に挿入されるため、通常、挿入の際には先にガイドワイヤが患部まで挿入され、ガイドワイヤに沿わせてカテーテルが案内される。従って、カテーテルは、ガイドワイヤを挿通させるためのガイドワイヤルーメンを有する。
【0004】
ガイドワイヤルーメンは、一般的に、カテーテルの先端にだけ設けられる。このため、カテーテル先端に設けられたガイドワイヤルーメンより基端側でガイドワイヤがカテーテルから遊離してたわみ(以下、このガイドワイヤが遊離してたわむ現象を単にガイドワイヤセパレーションと称す)、その結果、操作性が悪くなってカテーテルが思うようにガイドワイヤに沿って進まない、又は、体腔内に留置されたステントにガイドワイヤが引っ掛かり、それが原因で合併症が発生する等の問題が生ずる虞がある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載のカテーテルは、カテーテル先端に設けられた一のガイドワイヤルーメンに加え、一のガイドワイヤルーメンから一定の距離をおいて基端側に他のガイドワイヤルーメンを有し、そしてこれら2つのガイドワイヤルーメンにガイドワイヤを挿通することによって、ガイドワイヤセパレーション、ひいては上述のような問題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−97286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、上記従来のカテーテルは、2つのガイドワイヤルーメンによって、ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上できるものの、検査波を送受信する検出器がカテーテル内でプルバックされ、検査波の送受信範囲内に、基端側に設けられた他のガイドワイヤルーメンが入ってくると、このガイドワイヤルーメンが画像に映ってしまう。このため、更なる画像改善が望まれていた。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上し得るとともに、より良好な画像取得が可能なカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のカテーテルは、検査波が透過する窓部を備えたカテーテル本体と、前記カテーテル本体内で前記検査波を検出する検出部と、前記窓部を覆うシースと、ガイドワイヤが挿通し得る、前記カテーテル本体の先端部に設けられたガイドワイヤ挿通部と、を有し、前記シースが、前記カテーテル本体に沿って前記窓部から軸方向に移動可能であるとともに、当該シースに、前記ガイドワイヤが挿通し得る他のガイドワイヤ挿通部が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明のカテーテルによれば、少なくとも2つのガイドワイヤ挿通部がガイドワイヤを保持するため、ガイドワイヤセパレーションが生じ難く、また、シースに設けられたガイドワイヤ挿通部が、シースの移動にともなって移動するため、検出部がプルバックされてもガイドワイヤ挿通部が画像に映り難い。従って、本発明のカテーテルは、ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上し得るとともに、より良好な画像取得が可能である。
【0011】
また、前記カテーテル本体に対する前記シースの軸回り移動を阻止する回転阻止部を有するようにすれば、ガイドワイヤ挿通部に挿通したガイドワイヤが捩れ難いため、操作性に優れる。
【0012】
また、前記シースを前記カテーテル本体に沿って移動させるためのシース操作部を有するようにすれば、シース操作部によってシースが自在に移動するため、操作性が優れる。
【0013】
また、前記シース操作部が、前記シースに取り付けられるケース本体と、前記ケース本体内に回転可能に連結されて手動で回転させることが可能であり、且つ回転力によって前記シースを移動させる回転部材と、を有するようにすれば、手動で回転部材を回転させることによってシースが自在に移動するため、操作性に優れる。
【0014】
また、前記シース及び前記検出部が、前記シースの先端側の端部が前記検出部の基端側の端部に位置した相対的位置関係を維持したまま、前記カテーテル本体に沿って移動可能であるようにすれば、検出部が位置する部位の窓部を常に観察可能な状態に露出させつつ、検出部よりもカテーテル本体基端側の窓部をシースによって補強することができる。また、シース及び検出部が同時に移動するため、シース及び検出部を個別に操作する必要がなく、操作性に優れる。
【0015】
また、前記シースと前記カテーテル本体との間から体液が流出するのを止めるシール部を有するようにすれば、カテーテルが体腔内に挿入された際に体液がシースとカテーテル本体とのクリアランス部から体外に流出し難いため、安全性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態のカテーテルの概略構成図である。
【図2】カテーテル本体及びシースの先端部の長手方向断面図である。
【図3】シースを先端側へ最も移動させたときのカテーテルの一部を示す図である。
【図4】シースを基端側へ最も移動させたときのカテーテルの一部を示す図である。
【図5】内管をユニットコネクタに最も押しこんだときのカテーテルを示す図である。
【図6】内管をユニットコネクタから最も引き出したときのカテーテルを示す図である。
【図7】ハブの長手方向断面図である。
【図8】ユニットコネクタ及び中継コネクタの長手方向断面図である。
【図9】中継コネクタの長手方向断面図、及びA−A線矢視断面図である。
【図10】カテーテル本体とシースとの間のシール部を示す長手方向断面図である。
【図11】カテーテルと外部駆動装置との関係を示す図である。
【図12】変形例のユニットコネクタ及び中継コネクタの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
【0018】
本実施形態のカテーテル1は、血管及び脈管などの体腔内に挿入されて体腔内を診断するためのものであり、図1に示すように、長尺状で可撓性を有するカテーテル本体2と、カテーテル本体2を覆う進退可能なシース4と、カテーテル本体2の基端側に設けられ、操作者が操作するために体腔内に挿入されず操作者の手元側に配置される操作部3とを備える。なお、本明細書中では、カテーテル1の体腔内に挿入される側を先端側と称し、体腔内に挿入されない側を基端側と称する。
【0019】
図2に示すように、カテーテル本体2の中空形状を有するカテーテル本体部材22は、先端側へと延出され、また、カテーテル本体2の先端部でガイドワイヤ25を挿通させるガイドワイヤ挿通部21を覆うように、該ガイドワイヤ挿通部21と接着されている。
【0020】
ガイドワイヤ挿通部21とカテーテル本体部材22との間には、体腔内挿入時にX線透視下でカテーテル1の先端位置を確認するためのマーカ24が配置されている。なお、マーカ24は、X線不透過性を有することによりX線透視下において造影性を有するものであるが、このようなマーカ24は、通常、CTスキャンにおいても造影性を有するため、CTスキャンにおいても使用することができる。
【0021】
ガイドワイヤ挿通部21にはカテーテル本体2の軸方向に沿って貫通されたガイドワイヤルーメン241が形成されており、ガイドワイヤ25はこのガイドワイヤルーメン241に挿入されて通り抜ける。ガイドワイヤ25は、カテーテル1を生体内に挿入する前に予め生体内の患部付近まで挿入され、カテーテル1を患部等の目的部まで導くために使用される。
【0022】
カテーテル本体2には、長手方向に沿って延在するワーキングルーメン23が形成されている。このワーキングルーメン23は、後述のイメージングコア40が該カテーテル本体2の軸方向にスライド可能に内蔵されている中空の通路である。
【0023】
カテーテル本体2の管壁は、ガイドワイヤ挿通部21よりも基端側が、光や超音波等の検査波を透過する窓部26となっている。本実施形態に係るカテーテル1は、超音波画像診断カテーテル(IVUS)を利用した超音波信号により画像を取得するカテーテルであり、窓部26を介して超音波を送受信することで、断層像を得ることができる。
【0024】
イメージングコア40は、体腔内組織に向けて超音波を送受信するための超音波振動子411をハウジング412内に収容した構成を有する振動子ユニット41(検出部)と、振動子ユニット41を先端に取り付けるとともに回転動力を伝達する駆動シャフト42と、振動子ユニット41の先端側に取り付けられる回転安定コイル44と、を備える。
【0025】
超音波振動子411は、ワーキングルーメン23内を進退動可能な駆動シャフト42の先端に固定されている。固定方法は特に限定されず、例えば、接着剤や半田付けによって接着することができる。
【0026】
振動子ユニット41のハウジング412は、先端側が閉塞した筒状に形成され、基端側が駆動シャフト42に固定されている。固定方法は特に限定されず、例えば、接着剤や半田付けによって接着することができる。ハウジング412は、超音波振動子411の超音波の送受信部に当たる部分を切欠いて形成される開口部を有する。
【0027】
駆動シャフト42は、柔軟で、しかも操作部3において生成された回転の動力を振動子ユニット41に伝達可能な特性をもち、例えば、右左右と巻き方向を交互にしている3層コイルなどの多層コイル状の管体で構成されている。駆動シャフト42が回転の動力を伝達することによって、振動子ユニット41が回転し、血管及び脈管などの体腔内の患部を360度観察することができる。また、駆動シャフト42は、振動子ユニット41で検出された信号を操作部3に伝送するための信号線が内部に通されている。
【0028】
回転安定コイル44は、素線を螺旋状に巻回して形成されている。回転安定コイル44は、基端側がハウジング412に固定されており、超音波振動子411を安定的に回転させるためのガイドとなる。固定方法としては、前述と同様に特に限定されず、例えば、接着剤や半田付けにより接着することができる。
【0029】
回転安定コイル44は、金属材料で作製されることが好ましく、例えば、バネ鋼、ステンレス鋼、超弾性合金、コバルト系合金や、金、白金、タングステン等のX線不透過性金属又はこれらを含む合金等により作製される。なお、回転安定コイル44を、金属材料以外で製造することもできる。
【0030】
シース4は、カテーテル本体2の外側を覆う管状の部材であり、カテーテル本体2に対して軸方向へ移動可能に設けられている。シース4は、剛性の低いカテーテル本体2を案内・補強する。シース4は、樹脂により形成されることが好ましいが、カテーテル本体2を補強できるのであれば材料又は構造は限定されない。なお、シース4を金属で形成する場合には、可撓性を付与するためにスパイラル状にカット加工が施されたステンレス鋼製等の管体であることが好ましい。
【0031】
シース4の一部、例えば先端部には、上記ガイドワイヤ挿通部21よりも基端側においてガイドワイヤ25を挿通させるためのガイドワイヤ挿通部47(他のガイドワイヤ挿通部)が突設されている。
【0032】
上記ガイドワイヤ挿通部21は、その中心軸が、カテーテル本体2の中心軸に対して偏心して配置されている。ガイドワイヤ挿通部47も同様に、その中心軸が、カテーテル本体2の中心軸に対して偏心して配置されている。このガイドワイヤ挿通部47にはガイドワイヤ25を挿通させるための貫通したガイドワイヤルーメン471が形成されており、このガイドワイヤルーメン471の中心軸は、好ましくはガイドワイヤルーメン241の中心軸と同芯上に配置される。また、ガイドワイヤ挿通部47は、シース4の先端に配置されていることが好ましい。ガイドワイヤ挿通部47がシース4の先端に配置されることによって、カテーテル1の先端側がガイドワイヤ25から遊離し難いため、体腔へのカテーテル1の挿入操作が容易になる。
【0033】
図3、4に示すように、シース4は、先端側に最も押し込まれたときには、窓部26の全体を覆った状態とし(図3参照)、基端側に最も引き戻されたときには、先端側が窓部26の基端側に位置して窓部26を完全に露出した状態とする(図4参照)。
【0034】
ガイドワイヤ挿通部47は、シース4の進退移動にともなって、ガイドワイヤ挿通部21に接近又は離間し、ガイドワイヤ挿通部21よりも基端側のガイドワイヤ25を保持する。
【0035】
操作部3は、図1に示すように、基端側に配置されたハブ31と、内管312を介してハブ31と接続されるユニットコネクタ32と、外管331を介してユニットコネクタ32に接続されるとともに、カテーテル本体2と操作部3とを接続する中継コネクタ33とを有する。中継コネクタ33には、シース4の移動を操作するためのシース操作部34が設けられている。
【0036】
ハブ31は、図7に示すように、駆動シャフト42及び内管312を保持する。内管312がユニットコネクタ32及び外管331に押し込まれ、又は引き出されることによって、駆動シャフト42が連動して操作部3及びカテーテル本体2内を軸方向にスライドする。内管312の押し込み及び引き出しによる駆動シャフト42の移動の様子は、図5及び図6に示すようになる。
【0037】
内管312を最も押し込んだときには、図5に示すように、内管312は、カテーテル本体2側の端部が外管331のカテーテル本体2側端部付近、すなわち、中継コネクタ33付近まで到達する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、カテーテル本体2のカテーテル本体部材22の先端付近に位置する。
【0038】
また、内管312を最も引き出したときには、図6に示すように、内管312は、先端に形成されたストッパ313(図8参照)がユニットコネクタ32の内壁に引っかかり、引っかかった先端付近以外が露出する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、内管312が引き出された分だけ操作部3の方に向かった場所に位置する。振動子ユニット41が回転しながら移動することによって、血管及び脈管などの断層画像を作成することができる。
【0039】
図10に示すように、カテーテル1は、シース4とカテーテル本体2との間から血液等の体液が流出するのを止めるシール部90を、シース4内に備える。シール部90は、カテーテル本体2の軸方向摺動操作に対してもシール性を維持する。シール部90として、シリコン樹脂などからなるパッキンが挙げられる。
【0040】
シース4内のシール部90より先端側にはサイドポート311が形成されている。カテーテル1の内部は、カテーテル1を体腔内に挿入する前に、サイドポート311を利用して事前に生理食塩液によってプライミングされる。
【0041】
次に、カテーテル1の各部のより詳細な構造について述べる。
【0042】
図7において概説すると、ハブ31は、ジョイント50と、雄コネクタ51と、ロータ52と、接続パイプ53と、信号線54と、ハブ本体55と、シール部材56と、耐キンクプロテクタ57とを有する。
【0043】
ジョイント50は、カテーテル1の使用者手元側に開口部501を有し、雄コネクタ51及びロータ52を内部に配置した構成を有する。雄コネクタ51は、ジョイント50の開口部501側から外部駆動装置80(図11参照)が有する雌コネクタを連結することができ、これにより、外部駆動装置80と雄コネクタ51との機械的及び電気的接続が可能になる。
【0044】
外部駆動装置80は、図11に示すように、モータ等の外部駆動源を内蔵するスキャナ装置81と、スキャナ装置81を把持しモータ等により軸方向へ移動させる軸方向移動装置82と、スキャナ装置81と軸方向移動装置82を制御する制御部83と、振動子ユニット41によって得られた画像を表示する表示部84とを有する。軸方向移動装置82には、スキャナ装置81を把持固定するスキャナ把持部821と、移動時にカテーテル本体2がずれないように支えるカテーテル支持部822が含まれる。スキャナ装置81は、雄コネクタ51に接続することによって、振動子ユニット41からの信号の送受信を行うと同時に、駆動シャフト42を回転させる駆動力を伝達する。
【0045】
本実施形態のカテーテル1における超音波を利用した走査は、スキャナ装置81内のモータの回転運動を駆動シャフト42に伝達し、駆動シャフト42の先端に固定されたハウジング412を回転させることによって、振動子ユニット41で送受信される画像を略径方向に走査することによって行われる。ここで得られる超音波画像は、血管内の横断面像である。また、カテーテル1全体を手元側へ引っ張り、振動子ユニット41を長手方向に移動させることによって、血管内の軸方向にわたる包囲組織体における360°の断面画像を任意の位置まで走査的に得ることができる。
【0046】
ロータ52は、図7に示すように、接続パイプ53を保持しており、雄コネクタ51と一体的に回転する。接続パイプ53は、ロータ52の回転を駆動シャフト42に伝達するために、ロータ52側と反対の端部で駆動シャフト42を保持する。接続パイプ53の内部には信号線54が通されており、この信号線54は、一端を雄コネクタ51に、他端を駆動シャフト42内を通り抜けて振動子ユニット41に接続されている。振動子ユニット41における観察結果は、雄コネクタ51を介して外部駆動装置80に送信され、適当な処理を施され、画像として表示される。
【0047】
ハブ本体55には、内管312の一部が嵌挿され、内管312及びハブ本体55の周囲に耐キンクプロテクタ57が配置される。耐キンクプロテクタ57は、内管312の硬度とハブ本体55の硬度との中間の硬度を有する材料で形成されており、内管312がハブ本体55から露出する部位における内管312の折れ曲がり及びねじれなどを防止することができる。
【0048】
内管312内では、駆動シャフト42と内管312との間に、保護管7が配置される。この保護管7は、ハブ31側の端部で開口されており何にも保持されていない、すなわち自由端71を有している。保護管7は、図8に示す外管331まで伸びる。
【0049】
図8において概説すると、ユニットコネクタ32は、ユニットコネクタ本体61と、封止部材62と、カバー部材63と、パッキン64とを有する。
【0050】
ユニットコネクタ本体61は、中継コネクタ33に取り付けられた外管331が挿入され、この外管331の内部にハブ31から伸びた内管312が挿入される。封止部材62は、ユニットコネクタ本体61と組み合わさってパッキン64を保持する。カバー部材63は、ユニットコネクタ本体61と組み合わさって外管331を保持する。
【0051】
また、ハブ31から伸びる内管312は、先端にストッパ313が形成されているので、ハブ31が最も引き出されたとき、すなわち、内管312が外管331から最も引き出されたときでも、ストッパ313がユニットコネクタ本体61の内壁に引っ掛かってユニットコネクタ32から内管312が抜けてしまうようなことがない。
【0052】
中継コネクタ33は、図8、9に示すように、外管保持部65と、中継コネクタ本体66と、シース操作部34とを有する。外管保持部65は、外管331を保持する。また、外管保持部65の内面には、カテーテル本体2の基端側端部が連結されており、外管331から通り抜けた駆動シャフト42をカテーテル本体2に導入する経路が形成されている。この経路内には、さらに複数の管を挿入して、駆動シャフト42の座屈などを防止することもできる。
【0053】
外管保持部65の駆動シャフト42が通り抜ける出口部材332の内壁には、保護管7が固定されている。この保護管7は、ハブ31から伸びる内管312内に向かって伸びる。従って、外管331に内管312が押し込まれるときには、その押し込みの向きと反対向きに内管312に保護管7が押し込まれていくことになる。外管331に内管312が押し込まれたり引き出されたりする際に、反対方向から保護管7も内管312に相対的に押し込まれたり引き出されたりするので、駆動シャフト42に撓む力が発生しても、保護管7によって撓む力を抑制し、折れ曲がりなどを防止することができる。
【0054】
シース操作部34は、外管保持部65の先端側に連結されるケース本体35を有しており、ケース本体35の内部には、カテーテル本体2、駆動シャフト42、及びシース4が貫通する空間部36が形成されている。空間部36には、ケース本体35に回転可能に連結された2つの回転部材36a、36bが設けられており、一方の回転部材36aには、外周面の一部がケース本体35に設けられる開口部37から外部に露出する操作ダイヤル38が同軸で形成されている。2つの回転部材36a、36bの外周面には、ゴム等からなる滑り止めとしての高摩擦部材39a、39bが固定されている。2つの回転部材36a、36bは、高摩擦部材39a、39bによってシース4を挟むように配置されている。従って、外部に露出した操作ダイヤル38を手動で回転させることによって、回転部材36aの回転力がシース4へ伝わり、シース4を軸方向へ移動させることができる。
【0055】
また、シース操作部34に、回転部材36aを非回転的に固定するロック機構が設けられてもよい。ロック機構は、たとえばケース本体35にスライド可能に設けられて、回転部材36a又は回転部材36bに近接離間可能であり、近接することで回転部材36a又は回転部材36bに係合して非回転的に固定する構造等とすることができる。
【0056】
中継コネクタ本体66は、シース操作部34の先端側に連結された耐キンクプロテクタであり、シース4の外面を覆って保護しつつ、剛性の急激な変化によるシース4及びカテーテル本体2の折れ曲がり(キンク)を防止している。
【0057】
カテーテル1は、カテーテル本体2に対してシース4が軸回り移動することを阻止する回転阻止部91を備えている。具体的には、図9(b)に示すように、カテーテル本体2に取り付けられた外管保持部65の内面に軸方向の凹部912が形成されるとともに、シース4の外面に軸方向の凸部911が形成されており、該シース4外面の凸部911は外管保持部65の凹部912内に係合している。従って、シース4はカテーテル本体2の軸方向に移動可能であるが、カテーテル本体2に対する軸回りが阻止される。
【0058】
次に、体腔内を観察するときのカテーテル1の操作について説明する。
【0059】
カテーテル1のカテーテル本体2を体腔内に挿入する前には、当該カテーテル1内を生理食塩液で満たすプライミング操作を行う。このプライミング操作を行うことによって、カテーテル1内の空気を除去し、血管などの体腔内に空気が入り込むことを防止することできる。
【0060】
プライミング操作は、サイドポート311を利用して生理食塩液を注入することによって行われる。注入された生理食塩液は、サイドポート311から順にカテーテル1内に充填されていく。
【0061】
次に、図11に示すように、カテーテル1を、外部駆動装置80に連結する。すなわち、雄コネクタ51を外部駆動装置80の雌コネクタに連結し、ユニットコネクタ本体61を外部駆動装置80のシース支持部822に連結する。
【0062】
次に、ハブ31を押し込み、外管331に内管312が最も押し込まれた状態とし、さらに、操作ダイヤル38を手動で回転させて、シース4を最も先端側に移動させて窓部26をシース4によって覆う(図3参照)。この状態で、カテーテル本体2を体内に挿入していき、カテーテル本体2の先端が患部を越えてから挿入を止める。
【0063】
例えば、心臓の冠動脈血管にカテーテル1が挿入される場合、カテーテル1の挿入前にガイディングカテーテルが体内に挿入されるとともに、冠動脈血管の入口にガイディングカテーテルが留置される。
【0064】
その後、ガイドワイヤ25がガイディングカテーテルを通じて冠動脈血管の目的の箇所まで挿入される。そして、シース4が窓部26を覆った状態で、カテーテル1が、ガイディングカテーテル内のガイドワイヤ25に沿って挿入される。ガイディングカテーテルの基端には、ガイディングカテーテルに同軸的に連通する本体部とこの本大部から分岐したサイドポートとを有するY字状のYコネクタ(不図示)が連結されており、Yコネクタによって、カテーテル1とガイディングカテーテルとの間のクリアランス部のシール性が確保される。
【0065】
次に、カテーテル1を体腔内の目的部位に到達させた後、カテーテル本体2の位置を固定し、操作ダイヤル38を手動で回転させることで、シース4を基端側へ移動させて窓部26を露出させる(図4参照)。カテーテル1は回転阻止部91を備えているので、カテーテル本体2に対してシース4が軸回りすることはない。
【0066】
この状態で、駆動シャフト42を回転させながらプルバック操作することで、体腔の軸方向の画像取得を行うことが可能となる。
【0067】
プルバック操作は、カテーテル1の後端部に接続される軸方向移動装置(Motor Drive Unit)82を制御部83により操作することによって行うことができる。取得されたデータは、制御部83でデジタル処理をされた後、イメージデータとして表示部84に表示される。
【0068】
本実施形態の作用効果を述べる。
【0069】
本実施形態のカテーテル1によれば、2つのガイドワイヤ挿通部21、47がガイドワイヤ25を保持するため、ガイドワイヤセパレーションが生じ難く、また、ガイドワイヤ挿通部47がシース4の移動にともなって窓部26から退避するように移動するため、振動子ユニット41がプルバックされてもガイドワイヤ挿通部47が画像に映らない。従って、カテーテル1は、ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上し得るとともに、より良好な画像取得が可能である。
【0070】
また、体腔へカテーテル1が挿入されるとき、シース4が剛性の低い窓部26を覆うことによって、窓部26が補強されるため、押し込み性、耐キンク性、追従性等の操作性に優れ、カテーテル1が目的の位置まで良好に挿入される。
【0071】
また、2つのガイドワイヤ挿通部21、47がガイドワイヤ25を保持するため、先端側に位置するガイドワイヤ挿通部21の軸方向の長さを短く設定しても、ガイドワイヤセパレーションの発生を積極的に防止できる。よって、先端側のガイドワイヤ挿通部21の軸方向の長さ、ひいてはカテーテル先端から振動子ユニット41までの長さを短くすることが可能となり血管のより奥深くを診断可能となる。本実施形態と異なりガイドワイヤ挿通部47がない場合、ガイドワイヤセパレーションの発生を防止するため、ガイドワイヤ挿通部21の軸方向の長さとして20mm程度必要であり、カテーテル先端から振動子ユニット41までの長さは25mm程度である。一方、本実施形態では、ガイドワイヤ挿通部21の軸方向の長さは、例えば10mm程度であり、また、カテーテル先端から振動子ユニット41までの長さは、例えば15mm程度である。
【0072】
また、回転阻止部91によって、カテーテル本体2に対するシース4の軸回りが阻止され、その結果、ガイドワイヤ挿通部21、47に挿通したガイドワイヤ25が捩れ難いため、操作性に優れる。
【0073】
また、術者がシース操作部34の操作ダイヤル38を手動で回転させることによって、シース4がシース2に沿って自在に進退するため、例えば術者は片手で操作でき、操作性に優れる。 また、シール部90によって、カテーテル1が体腔内に挿入された際に血液等の体液がシース4とカテーテル本体2とのクリアランス部から体外に流出し難いため、安全性に優れる。
【0074】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変できる。例えば、上記実施の形態では、超音波画像診断カテーテル(IVUS)を利用して診断する場合について説明したが、他の診断用カテーテルに適用することもできる。例えば、画像診断装置として、光干渉断層診断装置(OCT : Optical Coherence Tomography)も利用されるようになってきている。光干渉断層診断装置は、光源から射出された低コヒーレント光を測定光と参照光に分割した後、この測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光、もしくは後方散乱光と参照光とを合波し、この反射光と参照光との干渉光の強度に基づいて断層画像を取得するもので、先端に光学レンズ及び光学ミラーを取り付けた光ファイバを内蔵したイメージングコアを内蔵したカテーテルを血管内に挿入し、光ファイバの先端側に配置したイメージングコアをラジアル走査させながら、血管内に光を照射し、生体組織からの反射光をもとに血管の断面画像を描出する。つまり、本発明を光干渉断層診断装置に適用した場合には、イメージングコアを光信号の送受信を行うための光ファイバを内蔵するものとし、光ファイバ先端にはカテーテルの径方向に光の進行方向を屈折させる反射部を設ける。また、光干渉断層診断装置としては波長掃引型の光源を用いて、参照光と信号光の光路長は変えることなく、光のスペクトル成分毎に干渉光強度を測定し、ここで得られたスペクトル干渉強度信号を計算機にてフーリエ変換に代表される周波数解析を行うことで、深さ位置に対応した反射光強度分布を取得するFD−OCT計測を用いても良い。
【0075】
尚、超音波画像診断カテーテル(IVUS)においては、駆動シャフト42を回転させながらプルバック操作することで、体腔の軸方向の画像取得を行うことが可能となるが、光干渉式画像診断装置であれば、プルバック前に、ガイディングカテーテルの基端に連結されたYコネクタのサイドポートを通じて、血管内を造影剤入り生理食塩液等でフラッシュすることで、血液を排除させた状態で血管の画像取得を行うことが可能となる。従って、検査波として、超音波だけでなく、光、磁場、音等の検出のために適用可能なあらゆるものを適用できる。
【0076】
また、上記実施形態では、ガイドワイヤ挿通部47は、シース4の先端に設けられているが、これに限定されず、ガイドワイヤ挿通部47はシース4の先端から基端側へ離隔した位置に設けられてもよい。また、ガイドワイヤ挿通部47は、複数設けられてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、操作ダイヤル38を手動で回転させる構造としているが、ケース本体にスライド可能に設けたスライド部材をシース4に連結すれば、回転力ではなく、スライド部材を進退動させることで、シース4を移動させることもできる。
【0078】
さらに、シース操作部34が設けられない構造に形成することもできる。この場合、例えば、中継コネクタ本体66よりも先端側で露出するシース4を直接操作することで、シース4を進退動させて窓部26を開閉することができる。
【0079】
また、シース操作部34が設けられない場合、外部駆動装置80が、シース4を進退動させてもよい。例えば、図12に示すように、外部保持管65に形成された貫通孔を貫通する連結ロッド104が、外管保持管65を挟んで位置する内管312の先端側とシース4の基端側とを連結することによって、外部駆動装置80からの駆動力がシース4に伝えられてシース4が進退動する。図示した例では、連結ロッド104は周方向に2本設けられるが、その数は2本でなくてもよい。内管312は、ハブ31の移動にともなってイメージングコア40とともに進退動するため、内管312と連結されたシース4は、イメージングコア40とともに進退動することになる。
【0080】
シース4の先端側は、イメージングコア40の振動子ユニット41よりも基端側に、振動子ユニット41に極力近接して配置されている(図2参照)。そして、シース4はイメージングコア40とともに進退動するため、シース4及び振動子ユニット41は、その状態、すなわちシース4の先端側の端部が振動子ユニット41の基端側の端部に位置した相対的位置関係を維持したまま、カテーテル本体2に沿って移動する。
【0081】
従って、振動子ユニット41が位置する部位の窓部26を常に観察可能な状態に露出させつつ、振動子ユニット41よりもカテーテル本体基端側の窓部26をシース4によって補強することができる。また、シース4及び振動子ユニット41が同時に移動するため、シース4及び振動子ユニット41を個別に操作する必要がなく、操作性に優れる。
【符号の説明】
【0082】
1 カテーテル、
2 カテーテル本体、
4 シース、
21 ガイドワイヤ挿通部、
26 窓部、
34 シース操作部、
35 ケース本体、
36a、36b 回転部材、
38 操作ダイヤル、
40 イメージングコア、
41 振動子ユニット(検出部)、
42 駆動シャフト、
47 ガイドワイヤ挿通部(他のガイドワイヤ挿通部)、
90 シール部、
91 回転阻止部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管及び脈管等の体腔の診断に用いられるカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管及び脈管などの体腔内に生じる狭窄部又は閉塞部の治療では、これらの性状を観察するため、又は治療後の状態を観察するため、超音波又は光等の検査波を利用して体腔の画像を取得する診断用のカテーテルが用いられる。
【0003】
診断用のカテーテルは、曲がりくねった体腔内に挿入されるため、通常、挿入の際には先にガイドワイヤが患部まで挿入され、ガイドワイヤに沿わせてカテーテルが案内される。従って、カテーテルは、ガイドワイヤを挿通させるためのガイドワイヤルーメンを有する。
【0004】
ガイドワイヤルーメンは、一般的に、カテーテルの先端にだけ設けられる。このため、カテーテル先端に設けられたガイドワイヤルーメンより基端側でガイドワイヤがカテーテルから遊離してたわみ(以下、このガイドワイヤが遊離してたわむ現象を単にガイドワイヤセパレーションと称す)、その結果、操作性が悪くなってカテーテルが思うようにガイドワイヤに沿って進まない、又は、体腔内に留置されたステントにガイドワイヤが引っ掛かり、それが原因で合併症が発生する等の問題が生ずる虞がある。
【0005】
そこで、特許文献1に記載のカテーテルは、カテーテル先端に設けられた一のガイドワイヤルーメンに加え、一のガイドワイヤルーメンから一定の距離をおいて基端側に他のガイドワイヤルーメンを有し、そしてこれら2つのガイドワイヤルーメンにガイドワイヤを挿通することによって、ガイドワイヤセパレーション、ひいては上述のような問題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−97286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、上記従来のカテーテルは、2つのガイドワイヤルーメンによって、ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上できるものの、検査波を送受信する検出器がカテーテル内でプルバックされ、検査波の送受信範囲内に、基端側に設けられた他のガイドワイヤルーメンが入ってくると、このガイドワイヤルーメンが画像に映ってしまう。このため、更なる画像改善が望まれていた。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上し得るとともに、より良好な画像取得が可能なカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のカテーテルは、検査波が透過する窓部を備えたカテーテル本体と、前記カテーテル本体内で前記検査波を検出する検出部と、前記窓部を覆うシースと、ガイドワイヤが挿通し得る、前記カテーテル本体の先端部に設けられたガイドワイヤ挿通部と、を有し、前記シースが、前記カテーテル本体に沿って前記窓部から軸方向に移動可能であるとともに、当該シースに、前記ガイドワイヤが挿通し得る他のガイドワイヤ挿通部が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明のカテーテルによれば、少なくとも2つのガイドワイヤ挿通部がガイドワイヤを保持するため、ガイドワイヤセパレーションが生じ難く、また、シースに設けられたガイドワイヤ挿通部が、シースの移動にともなって移動するため、検出部がプルバックされてもガイドワイヤ挿通部が画像に映り難い。従って、本発明のカテーテルは、ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上し得るとともに、より良好な画像取得が可能である。
【0011】
また、前記カテーテル本体に対する前記シースの軸回り移動を阻止する回転阻止部を有するようにすれば、ガイドワイヤ挿通部に挿通したガイドワイヤが捩れ難いため、操作性に優れる。
【0012】
また、前記シースを前記カテーテル本体に沿って移動させるためのシース操作部を有するようにすれば、シース操作部によってシースが自在に移動するため、操作性が優れる。
【0013】
また、前記シース操作部が、前記シースに取り付けられるケース本体と、前記ケース本体内に回転可能に連結されて手動で回転させることが可能であり、且つ回転力によって前記シースを移動させる回転部材と、を有するようにすれば、手動で回転部材を回転させることによってシースが自在に移動するため、操作性に優れる。
【0014】
また、前記シース及び前記検出部が、前記シースの先端側の端部が前記検出部の基端側の端部に位置した相対的位置関係を維持したまま、前記カテーテル本体に沿って移動可能であるようにすれば、検出部が位置する部位の窓部を常に観察可能な状態に露出させつつ、検出部よりもカテーテル本体基端側の窓部をシースによって補強することができる。また、シース及び検出部が同時に移動するため、シース及び検出部を個別に操作する必要がなく、操作性に優れる。
【0015】
また、前記シースと前記カテーテル本体との間から体液が流出するのを止めるシール部を有するようにすれば、カテーテルが体腔内に挿入された際に体液がシースとカテーテル本体とのクリアランス部から体外に流出し難いため、安全性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態のカテーテルの概略構成図である。
【図2】カテーテル本体及びシースの先端部の長手方向断面図である。
【図3】シースを先端側へ最も移動させたときのカテーテルの一部を示す図である。
【図4】シースを基端側へ最も移動させたときのカテーテルの一部を示す図である。
【図5】内管をユニットコネクタに最も押しこんだときのカテーテルを示す図である。
【図6】内管をユニットコネクタから最も引き出したときのカテーテルを示す図である。
【図7】ハブの長手方向断面図である。
【図8】ユニットコネクタ及び中継コネクタの長手方向断面図である。
【図9】中継コネクタの長手方向断面図、及びA−A線矢視断面図である。
【図10】カテーテル本体とシースとの間のシール部を示す長手方向断面図である。
【図11】カテーテルと外部駆動装置との関係を示す図である。
【図12】変形例のユニットコネクタ及び中継コネクタの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
【0018】
本実施形態のカテーテル1は、血管及び脈管などの体腔内に挿入されて体腔内を診断するためのものであり、図1に示すように、長尺状で可撓性を有するカテーテル本体2と、カテーテル本体2を覆う進退可能なシース4と、カテーテル本体2の基端側に設けられ、操作者が操作するために体腔内に挿入されず操作者の手元側に配置される操作部3とを備える。なお、本明細書中では、カテーテル1の体腔内に挿入される側を先端側と称し、体腔内に挿入されない側を基端側と称する。
【0019】
図2に示すように、カテーテル本体2の中空形状を有するカテーテル本体部材22は、先端側へと延出され、また、カテーテル本体2の先端部でガイドワイヤ25を挿通させるガイドワイヤ挿通部21を覆うように、該ガイドワイヤ挿通部21と接着されている。
【0020】
ガイドワイヤ挿通部21とカテーテル本体部材22との間には、体腔内挿入時にX線透視下でカテーテル1の先端位置を確認するためのマーカ24が配置されている。なお、マーカ24は、X線不透過性を有することによりX線透視下において造影性を有するものであるが、このようなマーカ24は、通常、CTスキャンにおいても造影性を有するため、CTスキャンにおいても使用することができる。
【0021】
ガイドワイヤ挿通部21にはカテーテル本体2の軸方向に沿って貫通されたガイドワイヤルーメン241が形成されており、ガイドワイヤ25はこのガイドワイヤルーメン241に挿入されて通り抜ける。ガイドワイヤ25は、カテーテル1を生体内に挿入する前に予め生体内の患部付近まで挿入され、カテーテル1を患部等の目的部まで導くために使用される。
【0022】
カテーテル本体2には、長手方向に沿って延在するワーキングルーメン23が形成されている。このワーキングルーメン23は、後述のイメージングコア40が該カテーテル本体2の軸方向にスライド可能に内蔵されている中空の通路である。
【0023】
カテーテル本体2の管壁は、ガイドワイヤ挿通部21よりも基端側が、光や超音波等の検査波を透過する窓部26となっている。本実施形態に係るカテーテル1は、超音波画像診断カテーテル(IVUS)を利用した超音波信号により画像を取得するカテーテルであり、窓部26を介して超音波を送受信することで、断層像を得ることができる。
【0024】
イメージングコア40は、体腔内組織に向けて超音波を送受信するための超音波振動子411をハウジング412内に収容した構成を有する振動子ユニット41(検出部)と、振動子ユニット41を先端に取り付けるとともに回転動力を伝達する駆動シャフト42と、振動子ユニット41の先端側に取り付けられる回転安定コイル44と、を備える。
【0025】
超音波振動子411は、ワーキングルーメン23内を進退動可能な駆動シャフト42の先端に固定されている。固定方法は特に限定されず、例えば、接着剤や半田付けによって接着することができる。
【0026】
振動子ユニット41のハウジング412は、先端側が閉塞した筒状に形成され、基端側が駆動シャフト42に固定されている。固定方法は特に限定されず、例えば、接着剤や半田付けによって接着することができる。ハウジング412は、超音波振動子411の超音波の送受信部に当たる部分を切欠いて形成される開口部を有する。
【0027】
駆動シャフト42は、柔軟で、しかも操作部3において生成された回転の動力を振動子ユニット41に伝達可能な特性をもち、例えば、右左右と巻き方向を交互にしている3層コイルなどの多層コイル状の管体で構成されている。駆動シャフト42が回転の動力を伝達することによって、振動子ユニット41が回転し、血管及び脈管などの体腔内の患部を360度観察することができる。また、駆動シャフト42は、振動子ユニット41で検出された信号を操作部3に伝送するための信号線が内部に通されている。
【0028】
回転安定コイル44は、素線を螺旋状に巻回して形成されている。回転安定コイル44は、基端側がハウジング412に固定されており、超音波振動子411を安定的に回転させるためのガイドとなる。固定方法としては、前述と同様に特に限定されず、例えば、接着剤や半田付けにより接着することができる。
【0029】
回転安定コイル44は、金属材料で作製されることが好ましく、例えば、バネ鋼、ステンレス鋼、超弾性合金、コバルト系合金や、金、白金、タングステン等のX線不透過性金属又はこれらを含む合金等により作製される。なお、回転安定コイル44を、金属材料以外で製造することもできる。
【0030】
シース4は、カテーテル本体2の外側を覆う管状の部材であり、カテーテル本体2に対して軸方向へ移動可能に設けられている。シース4は、剛性の低いカテーテル本体2を案内・補強する。シース4は、樹脂により形成されることが好ましいが、カテーテル本体2を補強できるのであれば材料又は構造は限定されない。なお、シース4を金属で形成する場合には、可撓性を付与するためにスパイラル状にカット加工が施されたステンレス鋼製等の管体であることが好ましい。
【0031】
シース4の一部、例えば先端部には、上記ガイドワイヤ挿通部21よりも基端側においてガイドワイヤ25を挿通させるためのガイドワイヤ挿通部47(他のガイドワイヤ挿通部)が突設されている。
【0032】
上記ガイドワイヤ挿通部21は、その中心軸が、カテーテル本体2の中心軸に対して偏心して配置されている。ガイドワイヤ挿通部47も同様に、その中心軸が、カテーテル本体2の中心軸に対して偏心して配置されている。このガイドワイヤ挿通部47にはガイドワイヤ25を挿通させるための貫通したガイドワイヤルーメン471が形成されており、このガイドワイヤルーメン471の中心軸は、好ましくはガイドワイヤルーメン241の中心軸と同芯上に配置される。また、ガイドワイヤ挿通部47は、シース4の先端に配置されていることが好ましい。ガイドワイヤ挿通部47がシース4の先端に配置されることによって、カテーテル1の先端側がガイドワイヤ25から遊離し難いため、体腔へのカテーテル1の挿入操作が容易になる。
【0033】
図3、4に示すように、シース4は、先端側に最も押し込まれたときには、窓部26の全体を覆った状態とし(図3参照)、基端側に最も引き戻されたときには、先端側が窓部26の基端側に位置して窓部26を完全に露出した状態とする(図4参照)。
【0034】
ガイドワイヤ挿通部47は、シース4の進退移動にともなって、ガイドワイヤ挿通部21に接近又は離間し、ガイドワイヤ挿通部21よりも基端側のガイドワイヤ25を保持する。
【0035】
操作部3は、図1に示すように、基端側に配置されたハブ31と、内管312を介してハブ31と接続されるユニットコネクタ32と、外管331を介してユニットコネクタ32に接続されるとともに、カテーテル本体2と操作部3とを接続する中継コネクタ33とを有する。中継コネクタ33には、シース4の移動を操作するためのシース操作部34が設けられている。
【0036】
ハブ31は、図7に示すように、駆動シャフト42及び内管312を保持する。内管312がユニットコネクタ32及び外管331に押し込まれ、又は引き出されることによって、駆動シャフト42が連動して操作部3及びカテーテル本体2内を軸方向にスライドする。内管312の押し込み及び引き出しによる駆動シャフト42の移動の様子は、図5及び図6に示すようになる。
【0037】
内管312を最も押し込んだときには、図5に示すように、内管312は、カテーテル本体2側の端部が外管331のカテーテル本体2側端部付近、すなわち、中継コネクタ33付近まで到達する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、カテーテル本体2のカテーテル本体部材22の先端付近に位置する。
【0038】
また、内管312を最も引き出したときには、図6に示すように、内管312は、先端に形成されたストッパ313(図8参照)がユニットコネクタ32の内壁に引っかかり、引っかかった先端付近以外が露出する。そして、この状態では、振動子ユニット41は、内管312が引き出された分だけ操作部3の方に向かった場所に位置する。振動子ユニット41が回転しながら移動することによって、血管及び脈管などの断層画像を作成することができる。
【0039】
図10に示すように、カテーテル1は、シース4とカテーテル本体2との間から血液等の体液が流出するのを止めるシール部90を、シース4内に備える。シール部90は、カテーテル本体2の軸方向摺動操作に対してもシール性を維持する。シール部90として、シリコン樹脂などからなるパッキンが挙げられる。
【0040】
シース4内のシール部90より先端側にはサイドポート311が形成されている。カテーテル1の内部は、カテーテル1を体腔内に挿入する前に、サイドポート311を利用して事前に生理食塩液によってプライミングされる。
【0041】
次に、カテーテル1の各部のより詳細な構造について述べる。
【0042】
図7において概説すると、ハブ31は、ジョイント50と、雄コネクタ51と、ロータ52と、接続パイプ53と、信号線54と、ハブ本体55と、シール部材56と、耐キンクプロテクタ57とを有する。
【0043】
ジョイント50は、カテーテル1の使用者手元側に開口部501を有し、雄コネクタ51及びロータ52を内部に配置した構成を有する。雄コネクタ51は、ジョイント50の開口部501側から外部駆動装置80(図11参照)が有する雌コネクタを連結することができ、これにより、外部駆動装置80と雄コネクタ51との機械的及び電気的接続が可能になる。
【0044】
外部駆動装置80は、図11に示すように、モータ等の外部駆動源を内蔵するスキャナ装置81と、スキャナ装置81を把持しモータ等により軸方向へ移動させる軸方向移動装置82と、スキャナ装置81と軸方向移動装置82を制御する制御部83と、振動子ユニット41によって得られた画像を表示する表示部84とを有する。軸方向移動装置82には、スキャナ装置81を把持固定するスキャナ把持部821と、移動時にカテーテル本体2がずれないように支えるカテーテル支持部822が含まれる。スキャナ装置81は、雄コネクタ51に接続することによって、振動子ユニット41からの信号の送受信を行うと同時に、駆動シャフト42を回転させる駆動力を伝達する。
【0045】
本実施形態のカテーテル1における超音波を利用した走査は、スキャナ装置81内のモータの回転運動を駆動シャフト42に伝達し、駆動シャフト42の先端に固定されたハウジング412を回転させることによって、振動子ユニット41で送受信される画像を略径方向に走査することによって行われる。ここで得られる超音波画像は、血管内の横断面像である。また、カテーテル1全体を手元側へ引っ張り、振動子ユニット41を長手方向に移動させることによって、血管内の軸方向にわたる包囲組織体における360°の断面画像を任意の位置まで走査的に得ることができる。
【0046】
ロータ52は、図7に示すように、接続パイプ53を保持しており、雄コネクタ51と一体的に回転する。接続パイプ53は、ロータ52の回転を駆動シャフト42に伝達するために、ロータ52側と反対の端部で駆動シャフト42を保持する。接続パイプ53の内部には信号線54が通されており、この信号線54は、一端を雄コネクタ51に、他端を駆動シャフト42内を通り抜けて振動子ユニット41に接続されている。振動子ユニット41における観察結果は、雄コネクタ51を介して外部駆動装置80に送信され、適当な処理を施され、画像として表示される。
【0047】
ハブ本体55には、内管312の一部が嵌挿され、内管312及びハブ本体55の周囲に耐キンクプロテクタ57が配置される。耐キンクプロテクタ57は、内管312の硬度とハブ本体55の硬度との中間の硬度を有する材料で形成されており、内管312がハブ本体55から露出する部位における内管312の折れ曲がり及びねじれなどを防止することができる。
【0048】
内管312内では、駆動シャフト42と内管312との間に、保護管7が配置される。この保護管7は、ハブ31側の端部で開口されており何にも保持されていない、すなわち自由端71を有している。保護管7は、図8に示す外管331まで伸びる。
【0049】
図8において概説すると、ユニットコネクタ32は、ユニットコネクタ本体61と、封止部材62と、カバー部材63と、パッキン64とを有する。
【0050】
ユニットコネクタ本体61は、中継コネクタ33に取り付けられた外管331が挿入され、この外管331の内部にハブ31から伸びた内管312が挿入される。封止部材62は、ユニットコネクタ本体61と組み合わさってパッキン64を保持する。カバー部材63は、ユニットコネクタ本体61と組み合わさって外管331を保持する。
【0051】
また、ハブ31から伸びる内管312は、先端にストッパ313が形成されているので、ハブ31が最も引き出されたとき、すなわち、内管312が外管331から最も引き出されたときでも、ストッパ313がユニットコネクタ本体61の内壁に引っ掛かってユニットコネクタ32から内管312が抜けてしまうようなことがない。
【0052】
中継コネクタ33は、図8、9に示すように、外管保持部65と、中継コネクタ本体66と、シース操作部34とを有する。外管保持部65は、外管331を保持する。また、外管保持部65の内面には、カテーテル本体2の基端側端部が連結されており、外管331から通り抜けた駆動シャフト42をカテーテル本体2に導入する経路が形成されている。この経路内には、さらに複数の管を挿入して、駆動シャフト42の座屈などを防止することもできる。
【0053】
外管保持部65の駆動シャフト42が通り抜ける出口部材332の内壁には、保護管7が固定されている。この保護管7は、ハブ31から伸びる内管312内に向かって伸びる。従って、外管331に内管312が押し込まれるときには、その押し込みの向きと反対向きに内管312に保護管7が押し込まれていくことになる。外管331に内管312が押し込まれたり引き出されたりする際に、反対方向から保護管7も内管312に相対的に押し込まれたり引き出されたりするので、駆動シャフト42に撓む力が発生しても、保護管7によって撓む力を抑制し、折れ曲がりなどを防止することができる。
【0054】
シース操作部34は、外管保持部65の先端側に連結されるケース本体35を有しており、ケース本体35の内部には、カテーテル本体2、駆動シャフト42、及びシース4が貫通する空間部36が形成されている。空間部36には、ケース本体35に回転可能に連結された2つの回転部材36a、36bが設けられており、一方の回転部材36aには、外周面の一部がケース本体35に設けられる開口部37から外部に露出する操作ダイヤル38が同軸で形成されている。2つの回転部材36a、36bの外周面には、ゴム等からなる滑り止めとしての高摩擦部材39a、39bが固定されている。2つの回転部材36a、36bは、高摩擦部材39a、39bによってシース4を挟むように配置されている。従って、外部に露出した操作ダイヤル38を手動で回転させることによって、回転部材36aの回転力がシース4へ伝わり、シース4を軸方向へ移動させることができる。
【0055】
また、シース操作部34に、回転部材36aを非回転的に固定するロック機構が設けられてもよい。ロック機構は、たとえばケース本体35にスライド可能に設けられて、回転部材36a又は回転部材36bに近接離間可能であり、近接することで回転部材36a又は回転部材36bに係合して非回転的に固定する構造等とすることができる。
【0056】
中継コネクタ本体66は、シース操作部34の先端側に連結された耐キンクプロテクタであり、シース4の外面を覆って保護しつつ、剛性の急激な変化によるシース4及びカテーテル本体2の折れ曲がり(キンク)を防止している。
【0057】
カテーテル1は、カテーテル本体2に対してシース4が軸回り移動することを阻止する回転阻止部91を備えている。具体的には、図9(b)に示すように、カテーテル本体2に取り付けられた外管保持部65の内面に軸方向の凹部912が形成されるとともに、シース4の外面に軸方向の凸部911が形成されており、該シース4外面の凸部911は外管保持部65の凹部912内に係合している。従って、シース4はカテーテル本体2の軸方向に移動可能であるが、カテーテル本体2に対する軸回りが阻止される。
【0058】
次に、体腔内を観察するときのカテーテル1の操作について説明する。
【0059】
カテーテル1のカテーテル本体2を体腔内に挿入する前には、当該カテーテル1内を生理食塩液で満たすプライミング操作を行う。このプライミング操作を行うことによって、カテーテル1内の空気を除去し、血管などの体腔内に空気が入り込むことを防止することできる。
【0060】
プライミング操作は、サイドポート311を利用して生理食塩液を注入することによって行われる。注入された生理食塩液は、サイドポート311から順にカテーテル1内に充填されていく。
【0061】
次に、図11に示すように、カテーテル1を、外部駆動装置80に連結する。すなわち、雄コネクタ51を外部駆動装置80の雌コネクタに連結し、ユニットコネクタ本体61を外部駆動装置80のシース支持部822に連結する。
【0062】
次に、ハブ31を押し込み、外管331に内管312が最も押し込まれた状態とし、さらに、操作ダイヤル38を手動で回転させて、シース4を最も先端側に移動させて窓部26をシース4によって覆う(図3参照)。この状態で、カテーテル本体2を体内に挿入していき、カテーテル本体2の先端が患部を越えてから挿入を止める。
【0063】
例えば、心臓の冠動脈血管にカテーテル1が挿入される場合、カテーテル1の挿入前にガイディングカテーテルが体内に挿入されるとともに、冠動脈血管の入口にガイディングカテーテルが留置される。
【0064】
その後、ガイドワイヤ25がガイディングカテーテルを通じて冠動脈血管の目的の箇所まで挿入される。そして、シース4が窓部26を覆った状態で、カテーテル1が、ガイディングカテーテル内のガイドワイヤ25に沿って挿入される。ガイディングカテーテルの基端には、ガイディングカテーテルに同軸的に連通する本体部とこの本大部から分岐したサイドポートとを有するY字状のYコネクタ(不図示)が連結されており、Yコネクタによって、カテーテル1とガイディングカテーテルとの間のクリアランス部のシール性が確保される。
【0065】
次に、カテーテル1を体腔内の目的部位に到達させた後、カテーテル本体2の位置を固定し、操作ダイヤル38を手動で回転させることで、シース4を基端側へ移動させて窓部26を露出させる(図4参照)。カテーテル1は回転阻止部91を備えているので、カテーテル本体2に対してシース4が軸回りすることはない。
【0066】
この状態で、駆動シャフト42を回転させながらプルバック操作することで、体腔の軸方向の画像取得を行うことが可能となる。
【0067】
プルバック操作は、カテーテル1の後端部に接続される軸方向移動装置(Motor Drive Unit)82を制御部83により操作することによって行うことができる。取得されたデータは、制御部83でデジタル処理をされた後、イメージデータとして表示部84に表示される。
【0068】
本実施形態の作用効果を述べる。
【0069】
本実施形態のカテーテル1によれば、2つのガイドワイヤ挿通部21、47がガイドワイヤ25を保持するため、ガイドワイヤセパレーションが生じ難く、また、ガイドワイヤ挿通部47がシース4の移動にともなって窓部26から退避するように移動するため、振動子ユニット41がプルバックされてもガイドワイヤ挿通部47が画像に映らない。従って、カテーテル1は、ガイドワイヤセパレーションを防止して操作性及び安全性を向上し得るとともに、より良好な画像取得が可能である。
【0070】
また、体腔へカテーテル1が挿入されるとき、シース4が剛性の低い窓部26を覆うことによって、窓部26が補強されるため、押し込み性、耐キンク性、追従性等の操作性に優れ、カテーテル1が目的の位置まで良好に挿入される。
【0071】
また、2つのガイドワイヤ挿通部21、47がガイドワイヤ25を保持するため、先端側に位置するガイドワイヤ挿通部21の軸方向の長さを短く設定しても、ガイドワイヤセパレーションの発生を積極的に防止できる。よって、先端側のガイドワイヤ挿通部21の軸方向の長さ、ひいてはカテーテル先端から振動子ユニット41までの長さを短くすることが可能となり血管のより奥深くを診断可能となる。本実施形態と異なりガイドワイヤ挿通部47がない場合、ガイドワイヤセパレーションの発生を防止するため、ガイドワイヤ挿通部21の軸方向の長さとして20mm程度必要であり、カテーテル先端から振動子ユニット41までの長さは25mm程度である。一方、本実施形態では、ガイドワイヤ挿通部21の軸方向の長さは、例えば10mm程度であり、また、カテーテル先端から振動子ユニット41までの長さは、例えば15mm程度である。
【0072】
また、回転阻止部91によって、カテーテル本体2に対するシース4の軸回りが阻止され、その結果、ガイドワイヤ挿通部21、47に挿通したガイドワイヤ25が捩れ難いため、操作性に優れる。
【0073】
また、術者がシース操作部34の操作ダイヤル38を手動で回転させることによって、シース4がシース2に沿って自在に進退するため、例えば術者は片手で操作でき、操作性に優れる。 また、シール部90によって、カテーテル1が体腔内に挿入された際に血液等の体液がシース4とカテーテル本体2とのクリアランス部から体外に流出し難いため、安全性に優れる。
【0074】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変できる。例えば、上記実施の形態では、超音波画像診断カテーテル(IVUS)を利用して診断する場合について説明したが、他の診断用カテーテルに適用することもできる。例えば、画像診断装置として、光干渉断層診断装置(OCT : Optical Coherence Tomography)も利用されるようになってきている。光干渉断層診断装置は、光源から射出された低コヒーレント光を測定光と参照光に分割した後、この測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光、もしくは後方散乱光と参照光とを合波し、この反射光と参照光との干渉光の強度に基づいて断層画像を取得するもので、先端に光学レンズ及び光学ミラーを取り付けた光ファイバを内蔵したイメージングコアを内蔵したカテーテルを血管内に挿入し、光ファイバの先端側に配置したイメージングコアをラジアル走査させながら、血管内に光を照射し、生体組織からの反射光をもとに血管の断面画像を描出する。つまり、本発明を光干渉断層診断装置に適用した場合には、イメージングコアを光信号の送受信を行うための光ファイバを内蔵するものとし、光ファイバ先端にはカテーテルの径方向に光の進行方向を屈折させる反射部を設ける。また、光干渉断層診断装置としては波長掃引型の光源を用いて、参照光と信号光の光路長は変えることなく、光のスペクトル成分毎に干渉光強度を測定し、ここで得られたスペクトル干渉強度信号を計算機にてフーリエ変換に代表される周波数解析を行うことで、深さ位置に対応した反射光強度分布を取得するFD−OCT計測を用いても良い。
【0075】
尚、超音波画像診断カテーテル(IVUS)においては、駆動シャフト42を回転させながらプルバック操作することで、体腔の軸方向の画像取得を行うことが可能となるが、光干渉式画像診断装置であれば、プルバック前に、ガイディングカテーテルの基端に連結されたYコネクタのサイドポートを通じて、血管内を造影剤入り生理食塩液等でフラッシュすることで、血液を排除させた状態で血管の画像取得を行うことが可能となる。従って、検査波として、超音波だけでなく、光、磁場、音等の検出のために適用可能なあらゆるものを適用できる。
【0076】
また、上記実施形態では、ガイドワイヤ挿通部47は、シース4の先端に設けられているが、これに限定されず、ガイドワイヤ挿通部47はシース4の先端から基端側へ離隔した位置に設けられてもよい。また、ガイドワイヤ挿通部47は、複数設けられてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、操作ダイヤル38を手動で回転させる構造としているが、ケース本体にスライド可能に設けたスライド部材をシース4に連結すれば、回転力ではなく、スライド部材を進退動させることで、シース4を移動させることもできる。
【0078】
さらに、シース操作部34が設けられない構造に形成することもできる。この場合、例えば、中継コネクタ本体66よりも先端側で露出するシース4を直接操作することで、シース4を進退動させて窓部26を開閉することができる。
【0079】
また、シース操作部34が設けられない場合、外部駆動装置80が、シース4を進退動させてもよい。例えば、図12に示すように、外部保持管65に形成された貫通孔を貫通する連結ロッド104が、外管保持管65を挟んで位置する内管312の先端側とシース4の基端側とを連結することによって、外部駆動装置80からの駆動力がシース4に伝えられてシース4が進退動する。図示した例では、連結ロッド104は周方向に2本設けられるが、その数は2本でなくてもよい。内管312は、ハブ31の移動にともなってイメージングコア40とともに進退動するため、内管312と連結されたシース4は、イメージングコア40とともに進退動することになる。
【0080】
シース4の先端側は、イメージングコア40の振動子ユニット41よりも基端側に、振動子ユニット41に極力近接して配置されている(図2参照)。そして、シース4はイメージングコア40とともに進退動するため、シース4及び振動子ユニット41は、その状態、すなわちシース4の先端側の端部が振動子ユニット41の基端側の端部に位置した相対的位置関係を維持したまま、カテーテル本体2に沿って移動する。
【0081】
従って、振動子ユニット41が位置する部位の窓部26を常に観察可能な状態に露出させつつ、振動子ユニット41よりもカテーテル本体基端側の窓部26をシース4によって補強することができる。また、シース4及び振動子ユニット41が同時に移動するため、シース4及び振動子ユニット41を個別に操作する必要がなく、操作性に優れる。
【符号の説明】
【0082】
1 カテーテル、
2 カテーテル本体、
4 シース、
21 ガイドワイヤ挿通部、
26 窓部、
34 シース操作部、
35 ケース本体、
36a、36b 回転部材、
38 操作ダイヤル、
40 イメージングコア、
41 振動子ユニット(検出部)、
42 駆動シャフト、
47 ガイドワイヤ挿通部(他のガイドワイヤ挿通部)、
90 シール部、
91 回転阻止部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査波が透過する窓部を備えたカテーテル本体と、
前記カテーテル本体内で前記検査波を検出する検出部と、
前記窓部を覆うシースと、
ガイドワイヤが挿通し得る、前記カテーテル本体の先端部に設けられたガイドワイヤ挿通部と、を有し、
前記シースは、前記カテーテル本体に沿って前記窓部から軸方向に移動可能であるとともに、当該シースに、前記ガイドワイヤが挿通し得る他のガイドワイヤ挿通部が設けられた、カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル本体に対する前記シースの軸回り移動を阻止する回転阻止部を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記シースを前記カテーテル本体に沿って移動させるためのシース操作部を有する、請求項1又は請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記シース操作部は、前記シースに取り付けられるケース本体と、前記ケース本体内に回転可能に連結されて手動で回転させることが可能であり、且つ回転力によって前記シースを移動させる回転部材と、を有する、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記シース及び前記検出部は、前記シースの先端側の端部が前記検出部の基端側の端部に位置した相対的位置関係を維持したまま、前記カテーテル本体に沿って移動可能である、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1つに記載のカテーテル。
【請求項6】
前記シースと前記カテーテル本体との間から体液が流出するのを止めるシール部を有する、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1つに記載のカテーテル。
【請求項1】
検査波が透過する窓部を備えたカテーテル本体と、
前記カテーテル本体内で前記検査波を検出する検出部と、
前記窓部を覆うシースと、
ガイドワイヤが挿通し得る、前記カテーテル本体の先端部に設けられたガイドワイヤ挿通部と、を有し、
前記シースは、前記カテーテル本体に沿って前記窓部から軸方向に移動可能であるとともに、当該シースに、前記ガイドワイヤが挿通し得る他のガイドワイヤ挿通部が設けられた、カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル本体に対する前記シースの軸回り移動を阻止する回転阻止部を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記シースを前記カテーテル本体に沿って移動させるためのシース操作部を有する、請求項1又は請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記シース操作部は、前記シースに取り付けられるケース本体と、前記ケース本体内に回転可能に連結されて手動で回転させることが可能であり、且つ回転力によって前記シースを移動させる回転部材と、を有する、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記シース及び前記検出部は、前記シースの先端側の端部が前記検出部の基端側の端部に位置した相対的位置関係を維持したまま、前記カテーテル本体に沿って移動可能である、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1つに記載のカテーテル。
【請求項6】
前記シースと前記カテーテル本体との間から体液が流出するのを止めるシール部を有する、請求項1〜請求項5のうちのいずれか1つに記載のカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−179255(P2012−179255A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44433(P2011−44433)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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