説明

カバーのロック装置

【課題】開閉自在なカバーを閉位置にロックするためのロック装置を設ける場合に、カバーを開き方向に付勢するバネを不要にする。
【解決手段】ロック部材用スプリング18を、保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持が解除された状態では、カバー9の重量に抗してロック部材17をロック姿勢からロック解除姿勢に変姿せしめる付勢力を有するものとし、該ロック部材用スプリング18の付勢力によるロック部材17のロック解除姿勢への変姿に伴ってカバー9が閉位置から当接位置まで自動的に開く構成にすると共に、当接位置のカバー9とストレージボックス7の上面7aとの間に、作業員の手が挿入できる間隙Sが形成される構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉自在なカバーを閉位置にロックするためのカバーのロック装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば油圧ショベル等の建設機械においては、ペール缶や工具等を収納するためのストレージボックスが設けられるが、該ストレージボックスは、収納物を出入れするべく上面が開口していると共に、該開口は開閉自在なカバーによって覆蓋されている。この様なカバーは、通常、作業中における機体の傾斜や振動等により不用意に開いてしまうようなことがないように、ロック装置によって閉位置にロックされるようになっている。
前記カバーを閉位置にロックするためのロック装置として、従来、カバーにロック受体を設ける一方、ストレージボックス等の箱体にロック機構部を設け、さらに該ロック機構部を、ロック受体が係脱する係合溝を有し、且つ、ロック受体の係合溝への係脱を許容するロック解除姿勢と、係合溝に係合したロック受体の係合溝からの離脱を規制するロック姿勢とに変姿自在なロック部材と、該ロック部材をロック姿勢に保持する保持部材と、該保持部材によるロック部材のロック姿勢保持を解除する解除手段とを備えて構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−59953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記特許文献1のものには、解除手段を操作することに伴い保持部材によるロック部材のロック姿勢保持が解除された場合に、カバーを開き方向に付勢するためのバネ(トーションバースプリング)が設けられている。つまり、バネが設けられていないと、解除手段を操作してもカバーはその重量によって閉じたままであり、この状態で解除手段の操作をやめると、ロック部材は再び保持部材によってロック姿勢に保持されてしまうことになる。従って、上記バネが設けられていない場合には、解除手段を操作しながらカバーを開けなければならないことになって、両手が必要になり、このため、例えば片手にペール缶等の収納物を持ちながらカバーを開けるという操作ができないことになる。さらに、開き方向に付勢するバネが設けられていなければ、閉じている状態のカバーを手で開けることになるが、この場合、例えば建設機械に設けられるストレージボックスのカバーは一般的に重量が数kg以上あるから、把手がないと片手で開けることは難しい。しかるに、この様な把手を設けると、例えば、建設機械においてストレージボックスの上面を機体上面に昇降するためのステップとして用いる場合に、昇降の邪魔になる。而して、特許文献1のものでは、前述したように、カバーを開き方向に付勢するためのバネが必要となるが、該バネに加えて、バネを取付けるための部品やバネを取付ける手間も必要であって、コスト削減の妨げになるという問題があり、ここに本発明が解決しようとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、箱体の開口を開閉自在に覆うカバーを閉位置にロックするためのロック装置であって、該ロック装置を、箱体に設けられるロック機構部と、カバーに設けられるロック受体とから構成すると共に、前記ロック機構部は、ロック受体が係脱する係合溝を有し、且つ、ロック受体の係合溝への係脱を許容するロック解除姿勢と、係合溝に係合したロック受体の係合溝からの離脱を規制するロック姿勢とに変姿自在なロック部材と、該ロック部材をロック解除姿勢側に付勢するロック部材用スプリングと、ロック部材をロック姿勢に保持する保持部材と、該保持部材によるロック部材のロック姿勢保持を解除する解除手段とを備え、さらに、前記ロック受体は、カバーの閉過程でカバーが閉位置に達する前にロック解除姿勢のロック部材に当接し、該ロック受体とロック解除姿勢のロック部材とが当接する当接位置から更にカバーを閉位置側に移動せしめることで係合溝に係合したロック受体がロック部材をロック解除姿勢からロック姿勢に変姿せしめる構成である一方、前記ロック部材用スプリングは、保持部材によるロック部材のロック姿勢保持が解除された状態では、カバーの重量に抗してロック部材をロック姿勢からロック解除姿勢に変姿せしめる付勢力を有し、該ロック部材用スプリングの付勢力によるロック部材のロック姿勢からロック解除姿勢への変姿に伴いカバーが閉位置から当接位置まで自動的に開く構成にしたことを特徴とするカバーのロック装置である。
請求項2の発明は、当接位置のカバーと箱体との間に、作業員の手を挿入できる間隙が形成される構成にしたことを特徴とする請求項1に記載のカバーのロック装置である。
請求項3の発明は、箱体は、建設機械に設けられるストレージボックスであり、カバーは、ストレージボックスの上面に開設された開口を開閉自在に覆うストレージボックス用のカバーであることを特徴とする請求項2に記載のカバーのロック装置である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明とすることにより、保持部材によるロック部材のロック姿勢保持が解除された状態では、ロック部材を解除姿勢側に付勢するのに不可欠なロック部材用スプリングの付勢力によって、カバーが閉位置から当接位置まで自動的に開くことになり、而して、カバーを開き方向に付勢する専用のバネを別途設ける必要がなく、また、該バネを取付けるための部品や手間も必要なくなって、コスト削減に大きく貢献できる。
請求項2の発明とすることにより、当接位置のカバーと箱体との間に形成される間隙に手を挿入することで、片手で簡単にカバーを開けることができることになり、而して、カバーに把手を設けなくても、箱体に収納される収納物等を片手で持ちながらのカバーの開操作が容易になる。
請求項3の発明とすることにより、建設機械に設けられるストレージボックス用のカバーの開操作を、片手で簡単に行うことができると共に、ストレージボックスの上面を昇降用ステップとして用いる場合に邪魔になる把手を、不要にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は建設機械の一例である油圧ショベルであって、該油圧ショベル1の上部旋回体2には、掘削等の作業を行なうフロント作業部3が取付支持されると共に、キャブ4、燃料タンクや作動油タンク等のタンク5、エンジン(図示せず)等の各種機器が収納されるエンジンルーム6、後述するストレージボックス7等が配設されている。
【0007】
前記ストレージボックス7(本発明の箱体に相当する)は、ペール缶や各種工具等を収納するためのものであって、本実施の形態では、上部旋回体2の右側前部に配されているが、該ストレージボックス7の上面7aには開口8が開設されていると共に、該開口8は開閉自在なカバー9によって覆蓋されている。
【0008】
前記カバー9は、一側縁部がヒンジ10を介してストレージボックス7の上面7aに揺動自在に軸支されていて、開口8を閉じる閉位置と開口8を開く開位置とに開閉揺動する構成になっているが、閉位置のときのカバー9の上面は、メンテナンス時等において作業員が地上からエンジンルーム6の上面まで昇降するときのステップとして用いられるようになっている。尚、開位置のカバー9は、図示しないが、ステー等によって開位置に保持されるようになっている。
【0009】
さらに、11は前記カバー9を閉位置にロックするためのロック装置であって、該ロック装置11は、ストレージボックス7側に設けられるロック機構部12と、カバー9側に設けられるロック受体13とから構成されている。
【0010】
前記ロック受体13は、下方に向けて突出する略凵字形状のものであって、カバー9の内側面に固着されたブラケット14にボルト−ナット14aを介して取付けられている。
【0011】
一方、ロック機構部12は、ストレージボックス7の前面7bの内側に取付板15を介して取付けられているが、該ロック機構12は、ベース体16、ロック部材17、ロック部材用スプリング18、保持部材19、保持部材用スプリング20、解除装置(本発明の解除手段に相当する)21等を用いて構成されている。尚、前記ベース体16は、第一、第二、第三ベース板16A 、16B、16Cをボルト−ナット22で一体的に固定して形成されている。
【0012】
前記ロック部材17は、第一ベース板16Aと第二ベース板16Bとの間に支軸23を介して揺動自在に軸承されていると共に、該ロック部材17の揺動先端側には、前記ロック受体13に係脱自在に係合する係合溝17aが形成され、さらに、該係合溝17aの一方の溝入口側縁部には、後述する保持部材19の係止受部19aに係脱自在に係止する係止突部17bが形成されている。そして、ロック部材17は、前記支軸23を軸として、ロック受体13の係合溝17aへの係脱を許容するロック解除姿勢(図6(A)参照)と、ロック受体13の係合溝17aからの離脱を規制するロック姿勢(図7(B)参照)とに揺動変姿できるように構成されている。
【0013】
さらに、前記ロック部材17を軸承する支軸23には、一端側がロック部材17に係止され他端側が第一ベース板16Aに係止されたロック部材用スプリング18が巻装されている。そして、該ロック部材用スプリング18の付勢力によって、ロック部材17は、常時ロック解除姿勢側に向けて付勢されている。尚、ロック解除姿勢のロック部材17は、第二ベース板16Bに形成されたストッパ16Baに当接することによって、反ロック姿勢方向への揺動は規制されるようになっている。
【0014】
そして、ロック部材17は、カバー9が開位置に位置しているときには、前記ロック部材用スプリング18の付勢力によってロック解除姿勢に保持されていると共に、カバー9を閉じると自動的にロック解除姿勢からロック姿勢に揺動変姿し、さらに、後述する解除装置21の操作に基づいて自動的にロック姿勢からロック解除姿勢に揺動変姿する構成になっているが、該ロック部材17の揺動変姿について、以下、図6〜図8に基づいて説明する。
【0015】
まず、カバー9を閉じる閉過程において、カバー9が閉位置に達する少し手前の位置で、ロック受体13がロック解除姿勢のロック部材17の係合溝17aの一方の溝入口側縁部に当接する(図6(B)参照)。該ロック受体13とロック解除姿勢のロック部材17とが当接する当接位置のときのカバー9は、該カバー9の前側下縁部とストレージボックス7の上面7aとの間に間隙Sが形成される状態となっているが、該間隙Sは、作業員の手を挿入することができる寸法に設定されている。
【0016】
前記当接位置のカバー9を更に閉位置側に移動させると、ロック受体13がロック部材17の係合溝17aに係合すると共に、該係合溝17aに係合したロック受体13に押圧されることによって、ロック部材17はロック姿勢方向に揺動する(図7(A)参照)。そして、カバー9が閉位置に達した時点で、ロック部材17は、ロック受体13の係合溝17aからの離脱を規制するロック姿勢になると共に、該ロック姿勢のロック部材17は、後述するように保持部材19によってロック姿勢に保持されるようになっており(図7(B)参照)、これによりロック受体13のロック部材17からの離脱が禁止されて、カバー9が閉位置にロックされるようになっている。
【0017】
一方、保持部材19は、前記ロック部材17に隣接する状態で、第一ベース板16Aと第二ベース板16Bとの間に支軸24を介して揺動自在に軸承されていると共に、前記ロック部材17の係止突部17bに係脱自在に係止する係止受部19aが形成され、さらに、後述する解除装置21の操作力を受ける被操作部19bを有している。
【0018】
さらに、前記保持部材19を軸承する支軸24には、一端側が保持部材19に係止され他端側が第一ベース板16Aに係止された保持部材用スプリング20が巻装されている。そして、該保持部材用スプリング20によって、保持部材19は、常時後述する保持姿勢側に向けて付勢されている。
【0019】
前記保持部材19は、前述したロック部材17の揺動変姿および解除装置21の操作に基づいて前記支軸24を軸として揺動変姿するが、該保持部材19の揺動変姿について、前記図6〜図8に基づいて説明する。
【0020】
まず、カバー9が開位置或いは当接位置のとき、前述したようにロック部材17はロック解除姿勢になっているが、このとき保持部材19は、ロック部材17のロック解除姿勢からロック姿勢への揺動を許容する状態でロック部材17に接する待機姿勢になっている(図6(A)、(B)参照)。
【0021】
一方、カバー9を当接位置から更に閉位置側に移動させると、前述したように、ロック部材17の係合溝17aにロック受体13が係合し、これによりロック部材17はロック解除姿勢からロック姿勢に変姿するが、該ロック部材17がロック姿勢になったとき、保持部材19は保持部材用スプリング20の付勢力を受けて揺動して、保持姿勢に変姿する。該保持姿勢の保持部材19は、係止受部19aがロック部材17の係止突部17bに係止することでロック部材17のロック解除姿勢側への揺動を禁止するようになっており、これによってロック部材17はロック姿勢に保持される構成になっている。
【0022】
而して、カバー9が閉位置に位置しているとき、ロック部材17は、保持部材19によってロック姿勢に保持されるが、該保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持は、後述する解除装置21の操作に基づいて解除されるようになっている。
【0023】
前記解除装置21は、第三ベース板16Cに螺子21aにより固定される円筒状のケース体21b、該ケース体21bに軸方向移動自在に嵌合される解除釦21c、先端側が前記保持部材19の被操作部19bに対向するV字形状の保持部材操作アーム21d、該保持部材操作アーム21dと解除釦21cとを連結する軸部材21e等を用いて構成されている。
【0024】
前記解除釦21cは、先端側がケース体21bから突出し、さらにストレージボックス7の前面7bから外方に突出していて、作業員がストレージボックス7の外側から押し操作できるようになっている。一方、該解除釦21cに軸部材21eを介して連結される保持部材操作アーム21dは、解除釦21cが押し操作されていない状態では、前述した待機姿勢および保持姿勢の保持部材19の被操作部19bから離間していて保持部材19に干渉しないが、解除釦21cが押し操作されることにより保持姿勢の保持部材19の非操作部19bを押圧して保持部材19を揺動せしめ(図9参照)、これにより保持部材19は、該保持部材19の係止受部19aとロック部材17の係止突部17bとの係止が解除される解除姿勢に変姿する(図8参照)。これにより、保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持が解除されるようになっている。尚、ケース体21bには、図示しないが、解除釦21cを非操作位置に復帰させるスプリングが内装されている。
【0025】
而して、閉位置のカバー9を開ける場合には、前記解除装置21の解除釦21cを押し操作すると、保持部材19が保持姿勢から解除姿勢に変姿し、これにより保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持が解除される。さらに、該保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持が解除されると、ロック部材17は、ロック部材用スプリング18の付勢力によって、ロック姿勢からロック解除姿勢に復帰する(図8参照)。
【0026】
つまり、前記ロック部材用スプリング18は、保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持が解除された状態では、ロック受体13を介してロック部材17に働くカバー9の重量に抗して、ロック部材17をロック姿勢からロック解除姿勢に変姿せしめるだけの付勢力を有するように設定されている。そして、該ロック部材用スプリング18の付勢力によりロック部材17がロック解除姿勢に変姿することに伴い、カバー9が閉鎖位置から当接位置(ロック受体13とロック解除姿勢のロック部材17とが当接する位置)まで自動的に開くようになっている。尚、解除姿勢の保持部材19は、解除釦21cの押し操作をやめれば、保持部材用スプリング20の付勢力を受けて、自動的に待機姿勢に復帰する。
【0027】
而して、解除装置21の解除釦21cを押し操作することにより、ロック装置11によるロックが解除されると共に、カバー9が自動的に当接位置まで開くことになるが、該当接位置のカバー9の前側下縁部とストレージボックス7の上面7aとの間には、前述したように、作業員の手を挿入することができる寸法の間隙Sが形成されており、該間隙Sに手を挿入することで片手で簡単にカバー9を開けることができるようになっている。
【0028】
尚、前記解除装置21の解除釦21cにはキー挿入溝21fが形成されていて、該キー挿入溝21fに挿入したキーによって、解除釦21cを所定角度だけ軸回り方向に回動させることができるようになっている。そして、該解除釦21cを所定角度だけ回動させることで、保持部材操作アーム21dも一体的に所定角度だけ回動するが、この状態では、解除釦21cを押し操作しても保持部材操作アーム21dが保持部材19の非操作部19bに干渉しないようになっており、これによって、解除釦21cを押し操作してもロック装置11のロックを解除できないようになっている。
【0029】
叙述の如く構成された本形態において、ストレージボックス7の上面7aの開口8を開閉自在に覆うカバー9は、ロック装置11により閉位置にロックされることになるが、該ロック装置11は、ストレージボックス7に設けられるロック機構部12と、カバー9に設けられるロック受体13とから構成されると共に、上記ロック機構部12は、ロック受体13が係脱する係合溝17aを有し、且つ、ロック解除姿勢とロック姿勢とに変姿自在なロック部材17と、該ロック部材17をロック解除姿勢側に付勢するロック部材用スプリング18と、ロック部材17をロック姿勢に保持する保持部材19と、該保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持を解除する解除装置21とを備えている。そして、前記ロック受体13は、カバー9の閉過程でカバー9が閉位置に達する少し前にロック解除姿勢のロック部材17に当接し、該当接位置から更にカバー9を閉位置側に移動せしめることで係合溝17aに係合したロック受体13がロック部材17をロック解除姿勢からロック姿勢に変姿せしめる構成である一方、前記ロック部材用スプリング18は、保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持が解除された状態では、カバー9の重量に抗してロック部材16をロック姿勢からロック解除姿勢に変姿せしめる付勢力を有している。
【0030】
而して、カバー9を開ける場合に、解除装置21を操作して保持部材19によるロック部材17のロック姿勢保持を解除すると、ロック部材用スプリング18の付勢力によってロック部材16がロック姿勢からロック解除姿勢に自動的に変姿し、これに伴いカバー9が閉位置から当接位置まで自動的に開くことになる。
【0031】
この結果、ロック部材17を解除姿勢側に付勢するのに不可欠なロック部材用スプリング18の付勢力によって、カバー9が閉位置から当接位置まで自動的に開くことになり、而して、カバー9を開き方向に付勢する専用のバネを別途設ける必要がなく、また、該バネを取付けるための部品や手間も必要なくなって、コスト削減に大きく貢献できる。
【0032】
しかも、前記当接位置のカバー9は、ストレージボックス7の上面7aとの間に、作業員の手を挿入することができる間隙Sが形成されることになるから、カバー9に把手が設けられていなくても、上記間隙Sに手を挿入することで片手で簡単にカバー9を開けることができる。而して、ペール缶等の収納物を片手で持ちながらのカバー9の開操作を容易に行うことができると共に、ストレージボックス7の上面を昇降ステップとして用いる場合に邪魔になる把手を、不要にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】油圧ショベルの側面図である。
【図2】(A)、(B)、(C)はそれぞれカバーが閉位置、当接位置、開位置のときのストレージボックスの側面図である。
【図3】ロック装置の正面図である。
【図4】ロック装置の側面図である。
【図5】ロック装置の底面図である。
【図6】(A)、(B)はロック装置の作動を示す図である。
【図7】(A)、(B)はロック装置の作動を示す図である。
【図8】解除釦を操作したときのロック装置の作動を示す図である。
【図9】(A)、(B)は解除装置の作動を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
7 ストレージボックス
7a 上面
9 カバー
11 ロック装置
12 ロック機構部
13 ロック受体
17 ロック部材
17a 係合溝
18 ロック部材用スプリング
19 保持部材
21 解除装置
S 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の開口を開閉自在に覆うカバーを閉位置にロックするためのロック装置であって、該ロック装置を、箱体に設けられるロック機構部と、カバーに設けられるロック受体とから構成すると共に、
前記ロック機構部は、
ロック受体が係脱する係合溝を有し、且つ、ロック受体の係合溝への係脱を許容するロック解除姿勢と、係合溝に係合したロック受体の係合溝からの離脱を規制するロック姿勢とに変姿自在なロック部材と、
該ロック部材をロック解除姿勢側に付勢するロック部材用スプリングと、
ロック部材をロック姿勢に保持する保持部材と、
該保持部材によるロック部材のロック姿勢保持を解除する解除手段とを備え、
さらに、前記ロック受体は、カバーの閉過程でカバーが閉位置に達する前にロック解除姿勢のロック部材に当接し、該ロック受体とロック解除姿勢のロック部材とが当接する当接位置から更にカバーを閉位置側に移動せしめることで係合溝に係合したロック受体がロック部材をロック解除姿勢からロック姿勢に変姿せしめる構成である一方、
前記ロック部材用スプリングは、保持部材によるロック部材のロック姿勢保持が解除された状態では、カバーの重量に抗してロック部材をロック姿勢からロック解除姿勢に変姿せしめる付勢力を有し、該ロック部材用スプリングの付勢力によるロック部材のロック姿勢からロック解除姿勢への変姿に伴いカバーが閉位置から当接位置まで自動的に開く構成にしたことを特徴とするカバーのロック装置。
【請求項2】
当接位置のカバーと箱体との間に、作業員の手を挿入できる間隙が形成される構成にしたことを特徴とする請求項1に記載のカバーのロック装置。
【請求項3】
箱体は、建設機械に設けられるストレージボックスであり、カバーは、ストレージボックスの上面に開設された開口を開閉自在に覆うストレージボックス用のカバーであることを特徴とする請求項2に記載のカバーのロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−203606(P2009−203606A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43842(P2008−43842)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】