説明

カバーフィルム

【課題】
本発明はヒートシール性に優れ、剥離強度の温度依存性の小さいカバーフィルムを提供するものである。特に、ポリカーボネート製キャリアテープに対する高速ヒートシール性に優れ、剥離強度の温度依存性の小さいカバーフィルムを提供するものである。
【解決手段】
二軸延伸ポリエステル層、ポリオレフィン層、及びガラス転移温度が0℃〜50℃のオキサゾリン基含有重合体からなるシーラント層を有するカバーフィルム。二軸延伸ポリエステル層、ポリオレフィン層、及びガラス転移温度が−50℃〜50℃のガラス転移温度の異なる2種以上のオキサゾリン基含有重合体の混合物からなるシーラント層を有するカバーフィルム。オキサゾリン基含有重合体が水溶性ポリマー及び/又は水系エマルションである前記カバーフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の包装体に使用するカバーフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化に伴い、使用される電子部品についても小型高性能化が進み、併せて電子機器の組み立て工程においてはプリント基板上に部品を自動的に実装することが行われている。表面実装用電子部品は、電子部品の形状に合わせて収納しうるエンボス成形されたポケットが連続的に形成されたキャリアテープに収納されている。電子部品を収納後、キャリアテープの上面に蓋材としてカバーフィルムを重ね、加熱したシールバーでカバーフィルムの両端を長さ方向に連続的にヒートシールして、包装体としている。カバーフィルム材としては、二軸延伸したポリエステルフィルムを基材に、シーラント層にホットメルト層を積層したものなどが使用されている。
【0003】
カバーフィルムがキャリアテープから剥離される際の強度を剥離強度というが、キャリアテープに収納された部品は、電子機器等の製造工程の部品実装時には、カバーフィルムがキャリアテープから自動剥離装置により剥離される為、カバーフィルムの機能としてキャリアテープとの剥離強度が特に重要となっている。剥離強度が強すぎるとカバーフィルムが切れたりする場合があり、逆に剥離強度が弱すぎると搬送体移送時に、カバーフィルムがキャリアテープから剥がれ、内容物である電子部品が脱落する可能性がある。また、収納物である電子部品が容易に識別できるように、透明性が高いこともカバーフィルムには重要な特性となっている。
【0004】
キャリアテープとカバーフィルムによって収納された部品は、電子機器等の製造工程の部品実装時には、カバーフィルムが自動剥離装置により剥離され、部品は自動取り出し機により取り出された後、回路基板等に実装される。
電子部品の実装が高速化されることに伴い、キャリアテープにも強い引張応力が掛かるようになってきている。キャリアテープには引張強度に優れ、高速かつ高強度で引っ張ってもキャリアテープの切断を生じにくいポリカーボネート製のキャリアテープが使用されてきている。ポリカーボネート製のキャリアテープにはポリスチレンなどに比べて、カバーフィルムをヒートシールで接着させることが難しい性質があるが、部品収納時の高速化によりカバーフィルムにシールバーが接触する時間が短くなってきているので、ポリカーボネート製のキャリアテープに対して、カバーフィルムを充分にヒートシール出来ない問題が生じることがある。
本願発明に関係する先行技術としては、特許文献1〜5などがある。
特許文献2〜4は凝集破壊タイプのカバーフィルムに関するものである。凝集破壊タイプのカバーフィルムは剥離強度がキャリアテープの材質、性状の影響を受けにくいという長所があるが、凝集破壊する位置の設定が難しく、剥離時にシーラント層がキャリアテープ表面に残り、内容物を取り出すことが出来なくなる状態(デラミ)になる場合があり問題となっていた。特許文献5、6にはシーラント層とキャリアテープのシール面で剥離が生じる界面剥離タイプのカバーフィルムに関するものがある。又、界面剥離タイプのカバーフィルムでは、剥離強度がキャリアテープの材質、性状に影響を受け易く、剥離強度のヒートシール温度に対する温度依存性が大きくなる傾向がある。剥離強度のヒートシール温度に対する温度依存性が大きいと、目的とする剥離強度を得るためのヒートシールの条件設定が難しくなるだけでなく、カバーフィルムをヒートシールした際に、キャリアテープとの接着状態が不安定になる場合がある。そのため、カバーフィルムを引き剥がす際にスムーズに剥離されず、キャリアテープが振動して内容物の電子部品が収納ポケットから飛び出す現象、すなわちジャンピングトラブルを発生する場合がある。
【特許文献1】特開2001−348561号公報
【特許文献2】特開2005−96852号公報
【特許文献3】特開2005−178870号公報
【特許文献4】特開2004−231226号公報
【特許文献5】特開2003−95322号公報
【特許文献6】特開2003−508253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はヒートシール性に優れ、剥離強度の温度依存性の小さいカバーフィルムを提供するものである。特に、ポリカーボネート製キャリアテープに対する高速ヒートシール性に優れ、剥離強度の温度依存性の小さいカバーフィルムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は,以下のような解決手段により,前記課題を解決する。
(1)二軸延伸ポリエステル層、ポリオレフィン層、及びガラス転移温度が0℃〜50℃のオキサゾリン基含有重合体からなるシーラント層を有するカバーフィルム。
(2)二軸延伸ポリエステル層、ポリオレフィン層、及びガラス転移温度が−50℃〜50℃のガラス転移温度の異なる2種以上のオキサゾリン基含有重合体の混合物からなるシーラント層を有するカバーフィルム。
(3)オキサゾリン基含有重合体が水溶性ポリマー及び/又は水系エマルションである前記(1)又は前記(2)に記載のカバーフィルム。
(4)少なくとも片側に帯電防止処理がなされている前記(1)〜(3)に記載のカバーフィルム。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のカバーフィルムを用いた電子部品包装容器。
(6)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のカバーフィルムとポリカーボネートのキャリアテープを用いた電子部品包装容器。
(7)前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のカバーフィルムを用いたキャリアテープ用カバーフィルム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒートシール性に優れ、剥離強度の温度依存性の小さいカバーフィルムを提供することができる。特に、ポリカーボネート製キャリアテープに対する高速ヒートシール性に優れ、剥離強度の温度依存性の小さいカバーフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカバーフィルムは、基材層、ポリオレフィン層、及びシーラント層を有する積層フィルムである。基材層は特に制限するものではないがヒートシール時の温度において使用上問題なければよく、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート等があげられる。さらにこれらの製膜されたフィルムを二軸延伸したものは耐テープの切れ性、耐熱性、剛性が向上し好適に使用できる。これら一般的なフィルムの他に、帯電防止処理のための帯電防止剤が塗布または練り込まれたもの、またはコロナ処理や易接着処理などを施したものを用いることが出来る。これらのフィルムはいずれも市販のフィルムを用いることができる。基材層の厚さは通常10〜25μm厚みのものを好適に用いることが出来る。基材層が薄すぎるとカバーフィルム剥離時の「フィルム切れ」を発生しやすく、一方厚すぎるとカバーフィルムの接着性の低下を招きやすい。
【0009】
ポリオレフィン層は、ポリオレフィン樹脂を用いた層である。ポリオレフィン層を設けることで、フィルムの柔軟性を調整したり、ヒートシール層との接着強度をあげてデラミを抑制することができる。ポリオレフィン樹脂とは、オレフィンを成分としてなる樹脂であって、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンや、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−エチレングラフト共重合体、スチレン−プロピレングラフト共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体、プロピレンなどを用いることが出来、これらのポリオレフィンは単独あるいはそれらの二種以上を混合物として併用することも可能である。また、ポリエチレンからなる層とエチレン−1−ブテン共重合体からなる層など、異なる樹脂からなる二層以上の層から構成することも可能である。
【0010】
基材層にポリオレフィン層を積層する方法は特に限定されるものではないが、例えば、押出ラミネート法が安価で衛生面からみて望ましい。押出ラミネートを行う際にアンカーコート剤を基材層に塗布するためのコーターとしては、ロールコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター、バーコーター、ダイコーター等の通常使用されているものを用いることができる。又、ポリオレフィン樹脂を押し出すためのラミネーターのダイは、例えば、T−ダイを用いることができる。また、フィルム幅を調整するためのディッケルを備えていても良い。又、シーラント層を積層する側のポリオレフィン層の表面にはシーラント層との密着性を向上させる為、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の表面処理を施してもよい。
【0011】
シーラント層は、ガラス転移温度が0℃〜50℃のオキサゾリン基含有重合体を含有する樹脂組成物である。シーラント層にオキサゾリン基含有重合体を配合することによって、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの各種材料のキャリアテープと優れた接着性を発揮し、デラミ現象を抑制することができる。
本発明におけるオキサゾリン基含有重合体は、下記一般式(1)で表される付加重合性オキサゾリン化合物、および他の共重合性単量体を重合して得られる、側鎖にオキソザリン基を有する重合体である。
【化1】

【0012】
式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン元素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、または置換アリール基であり、R5は付加重合性不飽和結合を有する非環状有機基である。
前記一般式(1)で表される付加重合性オキサゾリン化合物の具体例としては、例えば、2−ビニルー2オキサゾリン、2−ビニルー5−メチルー2ーオキサゾリン、2−イソプロペニルー2−オキソザリン、2−イソプロペニルー4−メチルー2−オキソザリン、2−イソプロペニルー5−エチルー2−オキソザリン等が挙げられる。これらは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0013】
付加重合性オキサゾリン基含有重合体と共重合される他の共重合性単量体としては、オキサゾリン基と反応せず、付加重合性オキサゾリン化合物と共重合可能な単量体であれば、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルニトリル等の不飽和ニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β−不飽和単量体類、スチレン、α―メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β―不飽和芳香族単量体類、等が挙げられる。これらは1種または2種以上を使用することが出来る。
【0014】
オキサゾリン基含有重合体として、水溶性ポリマー、水系エマルションを用いることができる。水溶性ポリマーとしてはオキサゾリン基を側鎖に含有するアクリルポリマー、オキサゾリン基を側鎖に含有するポリスチレンーアクリルニトリル共重合体等のアクリル系ポリマーを初めとする公知のものを制限なく用いることができ、一般的に市販されているものを使用できる。具体的には水溶性ポリマーとして、日本触媒社製の商品名「エポクロスWS−500」、及び「エポクロスWS−700」が挙げられ、水系エマルションとしては、日本触媒社製の商品名「エポクロスK−1000」シリーズ、及び「エポクロスK−2000」シリーズが挙げられる。この中でも、シーラント層の耐水性を向上させることができるアクリル系エマルションを好適に用いることができる。
【0015】
オキサゾリン基含有重合体の好ましいガラス転移温度は0℃〜50℃である。ガラス転移温度は示唆熱分析(DTA)や示唆走査熱量測定(DSC)等の一般的な方法を用いて測定することができる。ガラス転移温度が0℃未満ではカバーフィルムがベタツキ易くなる為、ハンドリング性が悪くなる傾向がある。又、キャリアテープに収納した電子部品がカバーフィルムに付着し、実装工程において電子部品を取り出せなくなる可能性がある。又、ヒートシールした時の剥離強度が大きくなりすぎる恐れがある。一方、ガラス転移温度が50℃を超えるとシーラント層の柔軟性が低下してシーラント層が脆くなりやすくなる傾向にあり、シーラント層が、崩れて脱離し、キャリアテープに収納してある電子部品を汚染してしまうという問題が生じやすくなる。
【0016】
本発明においては、ガラス転移温度が50℃以上異なる2種以上のオキサゾリン基含有重合体を混合して用いることができる。混合するオキサゾリン基含有重合体のガラス転移温度は−50℃〜50℃であり、異なるガラス転移温度のオキサゾリン基含有重合体を混合して用いることにより、ヒートシール性、カバーフィルムのハンドリング性、シーラントの凝集力を調整することが可能である。これらを好適に調整するために、2種以上のガラス転移温度は50℃以上異なることが好ましい。特に、ガラス転移温度が−50℃であるオキサゾリン基含有重合体の添加量が、ガラス転移温度が異なる2種以上のオキサゾリン基含有重合体の混合物中の25〜50質量%であると、ヒートシール性を容易に調整することが出来好ましい。なお、ガラス転移温度が50℃以上異なる2種以上のオキサゾリン基含有重合体を混合して用いることにより、ガラス転移温度が0℃未満のオキサゾリン基含有重合体を用いても、カバーフィルムのハンドリング性は悪くならない。又、シーラント層の性能を損なわない範囲内で、必要に応じてさらに、例えば、粘着付与材剤、界面活性剤、充填剤、顔料、染料、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、防腐剤等の各種添加剤の1種または2種以上が含有されていてもよい。
【0017】
シーラント層はオキサゾリン基含有重合体からなる水溶性ポリマー、又は水系エマルジョンを、カバーフィルムのポリオレフィン層の上に直接塗工し、乾燥させることで形成することができる。塗工の方法は公知の技術、例えばグラビアコーター、リバースコーター、キスコーター、エアナイフコーター、メイヤーバーコーター、ディップコーター等により行うことができる。更にはオフライン(フィルム成形後に塗工)、インライン(フィルム成形時に塗工)の何れの方法もとることが可能である。
【0018】
乾燥後のシーラント層の厚さは3〜20μmが好ましく、更に好ましくは5〜10μmである。厚さが3μm未満ではヒートシールした際に充分な剥離強度が得られず、20μmよりも大きいと、フィルムの透明性が悪くなる。又、剥離強度が強くなりすぎて、カバーフィルム剥離時にテープ切れを起こしてしまう可能性がある。
【0019】
カバーフィルムの全体の厚さは40〜100μmの範囲を好適に用いることができる。カバーフィルムの全体の厚さが40μm未満の場合には、カバーフィルムが薄いため取り扱いが難しく、また、カバーフィルムを剥離する時にフィルムが切れ易い。一方、カバーフィルム全体の厚さが100μmを超えるとヒートシールが困難になる。
【0020】
本発明のカバーフィルムは、これを使用することにより、実用的な剥離強度を容易に得るためのヒートシール性、容易に取り出せるための易開封性に優れている。特に、ポリカーボネートからなるキャリアテープに対するヒートシール性に優れている。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。)
(実施例1)
12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材上に、アンカーコート剤を乾燥後の厚さが1μmとなるようにロールコーティング法で塗布した。アンカーコート剤を乾燥した後に、ポリエチレン(PE)樹脂(日本ポリエチレン製、「ノバテックLC」)を押出機で加熱し溶融させて、厚み20μmとなるように押出し、PET/PEからなる基材を形成した。続いて、コロナ処理機で、PE面へコロナ処理を施した。次にコロナ処理面へ、シーラント層として、オキサゾリン基含有エマルション1を乾燥後の厚さが10μmとなるように、グラビアコーティング法で塗布し、乾燥させて実施例1のカバーフィルムを得た。
(実施例2〜6、比較例1〜4)
オキサゾリン基含有エマルション2、3、オキサゾリン基含有重合体、アクリル系エマルション、及びスチレンーブタジエン系ラテックスを表1及び表2に示すような割合で配合(質量%)したものをシーラント層として、実施例1と同様の手法で乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、実施例2〜6、及び比較例1〜4のカバーフィルムを得た。
【0022】
実施例及び比較例で使用した材料は次の通りである。
1)オキサゾリン基含有エマルション1
(株)日本触媒社製「エポクロスK−2020E」ガラス転移温度0℃)
2)オキサゾリン基含有エマルション2
(株)日本触媒社製「エポクロスK−2030E」ガラス転移温度50℃)
3)オキサゾリン基含有エマルション3
(株)日本触媒社製「エポクロスK−2010E」ガラス転移温度−50℃)
4)オキサゾリン基含有重合体
(株)日本触媒社製「エポクロスRPS―1005」ガラス転移温度109℃)
5)アクリル系エマルション
(JSR(株)社製「AE116」ガラス転移温度50℃)
6)スチレンーブタジエン系ラテックス
(JSR(株)社製「SB−0604」ガラス転移温度40℃)
【0023】
各実施例及び各比較例で作製したカバーフィルムに対して、下記に示す評価を行った。これらの結果を表1、及び表2にまとめて示す。
(1)ポリスチレン(PS)製キャリアテープに対するシール特性:シール機(システメーション社、ST−60)を使用し、シールヘッド幅0.5mm×2、シールヘッド長32mm、シール圧力3.5MPa、送り長16mm、シール時間0.5秒×2(ダブルシール)の条件で、熱ゴテ温度を130℃から180℃まで10℃間隔で、21.5mm幅のカバーフィルムを24mm幅のポリスチレン製キャリアテープ(電気化学工業製)にヒートシールした。24時間放置後、毎分300mmの速度、剥離角度180°でカバーフィルムを剥離した。130℃でヒートシールした時の平均剥離強度が0.4N〜0.6Nの範囲にあるものを「優」とし、0.3〜0.8Nの範囲にあるものを「良」とし、上記以外のものを「不良」と表記した。
(2)ポリスチレン(PS)製キャリアテープに対する剥離強度の温度依存性:上記シール方法において、130℃〜180℃の平均剥離強度が0.3N〜1.3Nの範囲にあり、且つ130℃でシールした時の平均剥離強度と180℃でシールした時の平均剥離強度の差が0.5N以下であるものを「優」とし0.8N以下であるものを「良」とし、上記以外の平均剥離強度のものを「不良」と表記した。
上記シール方法において、130℃でヒートシールした時の平均剥離強度が0.4N〜0.6Nの範囲にあるものを「良」とし、更に「良」となった中でも130℃〜180℃における平均剥離強度の最大値と最小値の差が0.5N以下であるものを「優」とし、上記以外の平均剥離強度のものを「不良」と表記した。1
(3)ポリカーボネート(PC)製キャリアテープに対する高速シール特性
シール機(システメーション社、ST−60)を使用し、シールヘッド巾0.5mm×2、シールヘッド長32mm、シール圧力3.5MPa、送り長16mm、シール時間0.2秒×2(ダブルシール)の条件で、熱ゴテ温度を150℃から200℃まで10℃の間隔で変化させて、21.5mm巾のカバーフィルムを24mm巾のポリカーボネート製キャリアテープ(電気化学工業製)にヒートシールした。24時間放置後、毎分300mmの速度、剥離角度180°でカバーフィルムを剥離した。150℃でヒートシールした時の平均剥離強度が0.4N〜0.6Nの範囲にあるものを「優」とし、0.3〜0.8Nの範囲にあるものを「良」とし、上記以外のものを「不良」と表記した。
(4)ポリカーボネート(PC)製キャリアテープに対する剥離強度の温度依存性
上記シール方法において、150℃〜200℃の平均剥離強度が0.3N〜1.3Nの範囲にあり、且つ150℃でシールした時の平均剥離強度と200℃でシールした時の平均剥離強度の差が0.5N以下であるものを「優」とし0.8N以下であるものを「良」とし、上記以外の平均剥離強度のものを「不良」と表記した。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】



【0026】
本発明により提供されるカバーフィルムは、ヒートシール性に優れ、剥離強度の温度依存性を小さくすることができる。特に、ポリカーボネート製キャリアテープに対する高速ヒートシール性に優れ、剥離強度の温度依存性を小さくすることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸延伸ポリエステル層、ポリオレフィン層、及びガラス転移温度が0℃〜50℃のオキサゾリン基含有重合体からなるシーラント層を有するカバーフィルム。
【請求項2】
二軸延伸ポリエステル層、ポリオレフィン層、及びガラス転移温度が−50℃〜50℃のガラス転移温度の異なる2種以上のオキサゾリン基含有重合体の混合物からなるシーラント層を有するカバーフィルム。
【請求項3】
オキサゾリン基含有重合体が水溶性ポリマー及び/又は水系エマルションである請求項1又は請求項2に記載のカバーフィルム。
【請求項4】
少なくとも片側に帯電防止処理がなされている請求項1〜3に記載のカバーフィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカバーフィルムを用いた電子部品包装容器。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカバーフィルムとポリカーボネートのキャリアテープを用いた電子部品包装容器。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカバーフィルムを用いたキャリアテープ用カバーフィルム。



【公開番号】特開2008−24337(P2008−24337A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198393(P2006−198393)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】