説明

カメラ、および外部装置

【課題】無線通信を介して接続される装置間で処理の開始タイミングを一致させること。
【解決手段】マスター電子閃光装置200のCPU206mは、発光開始タイミングをリモート電子閃光装置400へ指示するためのタイミングデータをデータの最後に含めたパケットを生成し、生成したパケットを無線通信によりリモート電子閃光装置400へ送信する。そして、CPU206mは、撮影に関する処理の開始タイミングでパケットの送信状態を変更する。リモート電子閃光装置400のCPU206rは、パケットの送信状態が変更されたことを検出した場合に、発光制御回路212rに発光開始を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を撮影するためのカメラ、およびカメラに接続する外部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次のようなワイヤレス増灯システムが例えば特許文献1によって知られている。このシステムでは、補助ストロボは、カメラに接続されている主ストロボの発光を検知して自身の発光動作を開始する。
【0003】
【特許文献1】特開平6−267682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムにおいては、補助ストロボは、主ストロボの発光を検出してから、自身の発光動作を開始タイミングを決定するためのタイマの計測を開始するため、カメラ側の主ストロボと外部装置としての補助ストロボの発光タイミングを一致させることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、撮影に関する処理の開始タイミングを外部装置へ指示するためのタイミングデータをパケットの最後に含めたパケットを生成し、パケットを無線通信により外部装置へ送信し、撮影に関する処理の開始タイミングでパケットの送信状態を変更することを特徴とする。
このとき、撮影に関する処理の開始タイミングでタイミングデータの送信を停止することによって、パケットの送信状態を変更してもよく、撮影に関する処理の開始タイミングでタイミングデータのデータパターンを変更することによって、パケットの送信状態を変更してもよい。
また、撮影に関する処理の実行を外部装置に対して指示するための指示データをタイミングデータよりも前に含めてパケットを生成してもよく、外部装置が電子閃光装置である場合には、このときの指示データは、電子閃光装置に対して発光を指示するためのデータであってもよい。また、カメラのシャッタが全開している時間を表すデータをタイミングデータよりも前に含めてパケットを生成してもよい。
外部装置が電子閃光装置である場合には、カメラのモードがシャッタの後幕走行の直前に電子閃光装置を発光させる後幕シンクロモードに設定されている場合には、タイミングデータを含まず発光指示を示す発光指示パケットを生成し、シャッタの後幕走行前に発光指示パケットを送信させることが好ましい。また、外部装置が電子閃光装置である場合には、電子閃光装置を発光させる発光モードに応じて、パケットの送信開始タイミングを変更するようにしてもよい。
パケットに含まれるデータをチェックするためのチェックデータを、指示データの後であって、タイミングデータの前に含めてパケットを生成するようにしてもよい。
外部装置が電子閃光装置である場合には、記撮影に関する処理の開始タイミングは、カメラが測光を開始するタイミング、および電子閃光装置が本発光に先立って行う予備発光を開始するタイミングであって、撮影に関する処理の開始タイミングで測光を開始するようにしてもよい。また、外部装置が外部カメラである場合には、撮影に関する処理のタイミングは、カメラがシャッタを開くタイミング、および外部カメラがシャッタを開くタイミングであって、撮影に関する処理の開始タイミングでシャッタを開くようにしてもよい。
また、外部装置を個別に特定するための情報、または全ての外部装置をまとめて特定するための情報をタイミングデータよりも前に含めてパケットを生成してもよく、外部装置が複数ある場合、パケット内にそれぞれの外部装置を個別に制御するための制御情報をタイミングデータよりも前に含めてパケットを生成するようにしてもよい。
外部装置が電子閃光装置である場合、電子閃光装置に対して、発光状況を示す情報を含むパケットの送信を要求するようにしてもよく、発光状況を示す情報は、電子閃光装置がフル発光したことを示す情報と、発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報との少なくとも一方であればよい。
本発明はまた、撮影に関する処理の開始タイミングを外部装置へ指示するためのタイミングデータをデータの最後に含めたパケットを生成し、パケットを無線通信により外部装置へ送信し、撮影に関する処理の開始タイミングでパケットの送信状態を変更するカメラと無線接続される外部装置であって、パケットを受信し、パケットの送信状態が変更されたことを検出し、パケットの送信状態が変更されたことを検出した場合に、撮影に関する処理を開始することを特徴とする。
このとき、タイミングデータの送信が停止されたことを検出したときに、パケットの送信状態が変更されたことを検出してもよく、タイミングデータのデータパターンが変更されたことを検出したときに、パケットの送信状態が変更されたことを検出してもよい。また、パケットには、撮影に関する処理の実行を指示するための指示データがタイミングデータよりも前に含まれており、指示データに応じた処理を開始するようにしてもよい。
外部装置が電子閃光装置である場合には、指示データは、電子閃光装置に対して発光を指示するためのデータであることが好ましく、このとき、パケットには、カメラのシャッタが全開している時間を表すデータがタイミングデータよりも前に含まれていることが好ましい。
また、パットには、パケットに含まれるデータをチェックするためのチェックデータが、指示データの後であって、タイミングデータの前に含まれていてもよい。
外部装置が電子閃光装置である場合には、撮影に関する処理の開始タイミングは、カメラが測光を開始するタイミング、および電子閃光装置が本発光に先立って行う予備発光を開始するタイミングであって、撮影に関する処理の開始タイミングで予備発光を開始するようにしてもよい。また、外部装置が外部カメラである場合には、撮影に関する処理のタイミングは、カメラがシャッタを開くタイミング、および外部カメラがシャッタを開くタイミングであって、撮影に関する処理の開始タイミングでシャッタを開くようにしてもよい。
外部装置が電子閃光装置である場合には、カメラからの要求に応じてカメラに発光状況を示す情報を含むパケットを送信するようにしてもよく、発光状況を示す情報は、電子閃光装置がフル発光したことを示す情報と、発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報との少なくとも一方であるようにしてもよい。
本発明によるカメラおよび外部装置はさらに、互いに無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カメラと外部装置の処理の開始タイミングを一致させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
―第1の実施の形態―
図1は、第1の実施の形態における発光制御システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。この発光制御システム100においては、ストロボ(マスター電子閃光装置)200を搭載したカメラ300と、外部ストロボ(リモート電子閃光装置)400とが無線LAN、Bluetooth、またはZigBeeなどの無線装置を用いて接続されている。しかし、これらの通信方式や通信規格は用いずに、独自の方式で通信を行うものとする。なお、発光制御システム100は、マスター電子閃光装置200を搭載した1台のカメラ300と、少なくとも1台の外部装置としてのリモート閃光装置400とで構成される。図1では、1台のカメラ300と2台のリモート閃光装置400とで構成される場合の具体例を示している。
【0008】
マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300のブロック図を図2に示す。マスター電子閃光装置200とカメラ300とは、カメラ300の上部に装備されるホットシューのX接点2aを介して接続されている。また、リモート電子閃光装置400のブロック図を図3に示す。
【0009】
なお、マスター電子閃光装置200とリモート電子閃光装置400とは、その構成が同一であるため、図2および図3に示すように、それぞれを構成する各部に付与する符号は数字部分を一致させて表す。そして、各部に付与する符号の末尾にマスター電子閃光装置200においては「m」を、リモート電子閃光装置400においては「r」を付加することによって両者を区別する。本実施の形態では、マスター電子閃光装置200の構成を代表して説明し、リモート電子閃光装置400の構成については説明を省略する。
【0010】
マスター電子閃光装置200は、アンテナ201mと、周波数ダウンコンバータ202mと、変調送信回路203mと、復調回路204mと、検出器205mおよび210mと、CPU206mと、バッファメモリ207mおよび211mと、エラー検出回路208mと、発振器209mと、発光制御回路212mと、キセノン管213mとを備えている。カメラ300は、レンズ301と、シャッタ302と、撮像素子303と、測光センサ304と、シャッタ駆動装置305と、CPU306と、レリーズスイッチ307とを備えている。
【0011】
ここで、マスター電子閃光装置200が備えるアンテナ201m〜バッファメモリ211m(CPU206mを除く)は、リモート電子閃光装置400と無線通信するための無線モジュールを構成する。すなわち、図2に示す例では、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300においては、マスター電子閃光装置200が無線モジュールを備えている。なお、マスター電子閃光装置200が無線モジュールを搭載しておらず、カメラ300が無線モジュールを搭載している場合には、カメラ300が備える無線モジュールを介してリモート電子閃光装置400と無線通信すればよい。また、マスター電子閃光装置200およびカメラ300のいずれもが無線モジュールを搭載している場合には、いずれか一方、例えばマスター電子閃光装置200側の無線モジュールを介してリモート電子閃光装置400と無線通信すればよい。
【0012】
このように、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300、およびリモート電子閃光装置400とを有する発光制御システム100においては、使用者によってカメラ300のレリーズスイッチ307が押下されたときに、シャッタ302を開いてレンズ301を通して入力される被写体像を撮像素子303で撮像するタイミング、マスター電子閃光装置200が発光するタイミング、および全てのリモート電子閃光装置400が発光するタイミングを一致させる必要がある。すなわち、各装置の間で撮影に関する処理の開始タイミングを一致させる必要がある。
【0013】
ここで、シャッタ302を開くタイミングと、マスター電子閃光装置200が発光するタイミングとを一致させる一般的な方法について説明する。シャッタ302はCPU306によって電気的に制御される先幕、後幕と呼ばれる2つの部材を備えており、先幕の走行が完了した時点から後幕が走行を開始する直前までの間にマスター電子閃光装置200を発光させる必要がある。なお、この先幕および後幕の走行は、物理的な運動であるため、移動には走行時間と呼ばれる時間がかかる。このため、カメラ300は、先幕が走行を完了したタイミングで走行完了を検出するためのスイッチとしてX接点2aを設け、そのスイッチからの信号(X信号)を電子閃光装置に出力することで、電子閃光装置に発光タイミングを通知する。
【0014】
なお、電子閃光装置の発光モードとしては、先幕の走行が完了した時点で発光を開始する先幕シンクロモードと、後幕が走行を開始する直前で発光を開始し、後幕が走行を開始した時点で発光を停止する後幕シンクロモードとがある。
【0015】
例えば、発光モードが先幕シンクロモードに設定されている場合には、図4に示すように、CPU306は、シャッタ302の先幕の走行か完了した時点4aでX接点2aを介してCPU206mへX信号を出力する。CPU206mは、X信号を検出した時点4cで発光制御回路212mに対して発光の開始を指示する。発光制御回路212mは、CPU206mから発光開始指示があったことを検出した時点4dで発光を開始する。これによって、マスター電子閃光装置200は、先幕の走行完了時点4aから後幕の走行開始時点4bまでのシャッタ全開時間4eの間に発光する。
【0016】
また、発光モードが後幕シンクロモードに設定されている場合には、CPU306は、シャッタ302の先幕の走行か完了した時点4aでX接点2aを介してCPU206mへX信号を出力する。CPU206mは、シャッタ全開時間4eを加味して、後幕の走行開始時点4bで発光が完了するように発光開始タイミングを決定し、決定したタイミングで発光制御回路212mに対して発光の開始を指示する。発光制御回路212mは、CPU206mから発光開始指示があったことを検出した時点4fで発光を開始し、後幕の走行が開始する時点4bまで発光を持続する。これによって、マスター電子閃光装置200は、後幕の走行開始時点4bの直前に発光を開始し、後幕の走行開始時点4bで発光を終了する。なお、図4に示す先幕の走行完了時点4aから後幕の完了時点4gまでの間の期間4hは、シャッタ302のシャッタ時間を表している。
【0017】
ここで、さらにリモート電子閃光装置400の発光タイミングを、シャッタ302が開くタイミングおよびマスター電子閃光装置200が発光するタイミングと一致させる場合について考える。この場合、リモート電子閃光装置400は、マスター電子閃光装置200と無線接続されているため、X接点2aをリモート電子閃光装置400へ直接接続することでリモート電子閃光装置400へX信号を出力することはできない。
【0018】
このため、本実施の形態では、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置400に対して発光を指示するためのパケットを送信するようにし、このパケットに含めるデータを用いてリモート電子閃光装置400へ発光タイミングを通知するようにする。まず、発光モードが先幕シンクロモードに設定されている場合について説明する。
【0019】
発光モードが先幕シンクロモードに設定されている場合には、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、カメラ300のCPU306からX信号が出力されたことを検出したタイミングでパケットの送信状態を変更することによって、リモート電子閃光装置400へ発光タイミングを通知する。そして、リモート電子閃光装置400は、マスター電子閃光装置200からのパケットの受信状態が変化したことを検出したときに、そのタイミングをX信号の検出タイミング、すなわち発光タイミングとして検出する。マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400は、具体的には以下のように処理を実行する。
【0020】
マスター電子閃光装置200のCPU206mは、カメラ300のCPU306からパケットの送信開始指示があったことを検出したときに、リモート電子閃光装置400に対して発光を指示するための指示データと共に、発光タイミングを一致させるためのタイミングデータを含んだデジタル通信のフォーマットに則ったパケットを生成する。
【0021】
CPU206mは、例えば図5に示すようなフォーマットのパケットを生成する。図5において、preamble5aは、通信の最初に送信する助走部分のようなデータであり、4バイト程度のpreamble5aの送信が義務付けられている。preamble5aは、例えば0,0,0,0・・・のような固定ビットパターンが設定される。
【0022】
SFD(Start of Frame Delimiter)5bは、preamble5aに続いてパケットの先頭部分に付加される1バイトの同期用データである。SFD5bは、通信方式に固有の固定データであって、他の通信と混信した場合に誤動作を防止する働きがある。すなわち、受信側では、あらかじめ設定されているSFDとデータのパターンが一致しないSFDを含むパケットを受信した場合には、そのパケットは自分自身が受信すべきパケットではないと判断する。Flame length5cは、パケットのデータ容量(バイト数)を示す1バイトのデータである。
【0023】
Data5dには、図6に示すように、コマンド5e、相手先ID5f、パラメータ5g、チェックデータ5hが含まれる。コマンド5eには、リモート電子閃光装置400に撮影に関する処理を指示するための指示データが設定される。相手先ID5fは、コマンド5eで定義した制御コマンドの実行対象となるリモート電子閃光装置400のIDが含まれる。すなわち、相手先ID5fに指定したリモート電子閃光装置400に対して、コマンド5eで定義した制御コマンドの実行を指示する。
【0024】
なお、各リモート電子閃光装置400には個別にID(個別ID)が付加されており、この個別IDによって各リモート電子閃光装置400を一意に識別することができる。よって、相手先ID5fには、この個別IDを指定して、コマンド5eの実行対象を指定することができる。また、この個別IDに代えて、全てのリモート電子閃光装置400をコマンド5eの実行対象として指定するためのID(全装置ID)を指定することもできる。例えば、図1に示した2台のリモート電子閃光装置400の個別IDが1および2である場合に、これらをまとめて指定する場合の全装置IDとして0を指定することができる。また、マスター電子閃光装置200にもマスター電子閃光装置200を示すIDとして例えばMが付加されている。
【0025】
これによって、全てのリモート電子閃光装置400に同じコマンド5eを実行させたい場合には、相手先ID5fに全装置IDを指定することで、全てのリモート電子閃光装置400に対して一括してコマンド5eで定義した制御コマンドの実行を指示することができる。すなわち、パケットを受信したリモート電子閃光装置400においては、相手先ID5fに自分自身の個別IDが含まれている場合、または全装置IDが含まれている場合に、コマンド5eで定義した制御コマンドの実行対象が自分自身であることを認識する。
【0026】
パラメータ5gは、コマンド5eで定義した制御コマンドを実行するための制御用パラメータである。例えば、コマンド5eにリモート電子閃光装置400に発光を指示するための発光コマンドを指定した場合には、各リモート電子閃光装置400の発光量を指定するためのデータが設定される。チェックデータ5hは、誤動作防止のためのチェックサムやCRC等のエラーチェック用のデータである。本実施の形態では、コマンド5eとパラメータ5gをリモート電子閃光装置400を制御するための制御情報と呼ぶ。
【0027】
また、Data5dの最後には、マスター電子閃光装置200とリモート電子閃光装置400との間で発光タイミングを一致させるために用いるタイミングデータとして、所定のデータパターンの繰り返しで構成される固定データ5iが付加される。例えば、固定データ5iとしては、1バイトのデータパターン「10101010」が複数付加される。
【0028】
CPU206mは、生成したパケットをバッファメモリ211mへ一時的に記憶して、変調送信回路203mに対してパケットの送信開始を指示する。すなわち、パケットは、バッファメモリ211mから検出器210mに出力された後、変調送信回路203mへ出力される。変調送信回路203mは、パケットを所定の周波数の無線伝送可能な信号に変調した後、搬送波の形でアンテナ201mを介してリモート電子閃光装置400へ出力される。この所定の周波数は発振器209mにより決められる。リモート電子閃光装置400は、アンテナ201rを介して搬送波の形でこのパケットを受信する。
【0029】
CPU206mは、カメラ300のCPU306からのX信号を検出したときに、発光制御回路212mに対して発光の開始を指示する。これによって、マスター電子閃光装置200の発光タイミングとカメラ300におけるシャッタの先幕走行完了タイミングとを一致させることができる。また、CPU206mは、カメラ300のCPU306からのX信号を検出したときに、リモート電子閃光装置400へのパケットの送信状態を変更することで、リモート電子閃光装置400に発光を指示する。
【0030】
本実施の形態では、CPU206mは、固定データ5iの送信状態を変更することによって、リモート電子閃光装置400に発光タイミングを通知する。例えば、CPU206mは、発光タイミングで固定データ5iの送信を停止することによって、リモート電子閃光装置400に発光タイミングを通知する。あるいは、CPU206mは、発光タイミングで固定データ5iのデータパターンを変更することによって、リモート電子閃光装置400に発光タイミングを通知する。例えば、CPU206mは、発光タイミングで固定データ5iのデータパターンを「00110011」に変更する。なお、本実施の形態では、CPU206mが、発光タイミングで固定データ5iの送信を停止する場合について説明する。
【0031】
図7(a)は、CPU206mによって生成される、リモート電子閃光装置400に発光を指示するための発光指示パケットの具体例を示す図である。なお、カメラ300のCPU306は、シャッタ302の先幕が走行を開始したタイミングでこの発光指示パケットの送信開始をCPU206mに指示する。そして、CPU206mは、CPU306から発光指示パケットの送信開始が指示されると、図7(a)に示すような発光指示パケットの生成を開始する。
【0032】
図7(a)に示すように、この発光指示パケットは、上述したpreamble5a、SFD5b、Flame length5c、Data5dとで構成される。ここでは、Data5dの内容について詳細に説明する。
【0033】
発光指示パケットでは、コマンド5eとして、リモート電子閃光装置400に発光を指示するための指示データとして発光コマンドを含んでいる。また、相手先ID5fとしては、上述した個別IDが設定されており、個別IDが1および2のリモート電子閃光装置400に対して、それぞれ異なるパラメータ5gを設定している。すなわち、個別IDが1のリモート電子閃光装置400と、個別IDが2のリモート電子閃光装置400とに対して、それぞれ異なった発光量で発光するように指示している。そして、その後にチェックデータ5hを含み、さらにその後に固定データ5iを含んでいる。
【0034】
なお、個別IDが1のリモート電子閃光装置400、および個別IDが2のリモート電子閃光装置400にそれぞれ同じ発光量を指示する場合には、図7(b)に示すように、相手先ID5fに上述した全装置IDとして0を設定し、パラメータ5gに共通の発光量を指定すればよい。
【0035】
リモート電子閃光装置400では、受信した搬送波は、まず周波数ダウンコンバータ202rに入力される。周波数ダウンコンバータ202rでは、受信したパケットを所定の低周波数のデータにダウンコンバートした後、復調回路204rへ出力する。この所定の周波数は発振器209rにより決められる。復調回路204rでは、入力された信号をデジタルパケットに復調して検出器205rへ出力する。
【0036】
検出器205rは、入力されるパケットを先頭から読み込んで解析し、同期データとしてのSFD5bの読み込みが完了したことを検出したときに、割り込み信号をCPU206rへ出力する。このとき、検出器205rは、読み込んだSFD5bが、あらかじめ設定されているデータ列と一致した場合のみ、CPU206rへ割り込み信号を出力する。これによって、他の通信と混信した場合に誤動作を防止することができる。
【0037】
検出器205rは、読み込んだパケットをバッファメモリ207rへ出力して記録し、記録されたパケットの一部はさらにエラー検出回路208rへ出力される。エラー検出回路208rは、Data5dに含まれているエラーチェック用のチェックデータ5hに基づいて、受信したパケットにエラーがないかを検出する。その検出結果は、CPU206rへ出力される。
【0038】
リモート電子閃光装置400のCPU206rは、検出器205からの割り込み信号を検出した場合には、バッファメモリ207rに記憶されたパケットの読み込みを開始する。本実施の形態では、CPU206rは、例えば図8に示すように、バッファメモリ207rに記憶されたFlame length5c以降のデータを1バイトずつ読み込む。すなわち、バッファメモリ207r(FIFO)におけるFIFO信号は、バッファメモリ207rに1バイトでもデータが残っている場合にはHighとなり、データが全て読み出されて空になった場合にはLowとなるように機能する。
【0039】
よって、バッファメモリ207rに最初にFlame length5c(1バイト)が格納されるとFIFO信号はHighになる。CPU206rは、FIFO信号がLowからHighになった(FIFO信号が立ち上がった)ことによってFlame length5cの受信完了を検出すると、これを直ちに読み出す。CPU206rによってFlame length5cが読み出されると、バッファメモリ207r内は空になるので、FIFO信号はLowに戻る。そして、次にData5dの先頭の1バイトがバッファメモリ207rに格納されるとFIFO信号はHighになることから、CPU206rはそれを検出して、バッファメモリ207rに格納された1バイトのデータを読み出す。
【0040】
この処理をパケットの受信が終了するまでの間繰り返すことによって、CPU206rは、受信したパケット内のデータを1バイトずつ読み込むことができる。なお、パケット内のデータは、一定のビットレートでマスター電子閃光装置200から送信され、データ間のインタバル時間は無いので、このようなデータの読み出し方法を採用すれば、FIFO信号の立ち上がりは一定周期で発生することになる。
【0041】
CPU206rは、このようにして受信したパケット内のデータを1バイトずつ読み込んでいき、あるタイミングで上述した固定データ5iの受信状態(マスター電子閃光装置200からの送信状態)が変化したことを検出したときに、そのタイミングをX信号の出力タイミング、すなわち発光タイミングとして検出する。具体的には、CPU206rは、マスター電子閃光装置200から受信した1バイトのデータを読み込んだ後、あらかじめ設定した所定時間以内に次の1バイトのデータの受信完了を検出できない場合には、固定データ5iの送信が停止されたと判定して、発光タイミングを検出する。
【0042】
なお、ここで、所定時間とは、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置400へ1バイトの固定データを転送するために要する時間に余裕時間を加えた時間が設定される。例えば、固定データを1バイト転送するために必要な時間が16μsecである場合には、余裕時間を加えた18μsecが所定時間として設定される。
【0043】
そして、CPU206rは、発光タイミングを検出したときに、発光制御回路212rへ発光の開始を指示するための信号を出力する。このとき、CPU206rは、発光量としてパラメータ5gに指定された発光量を発光制御回路212rへ出力する。発光制御回路212rは、CPU206rからの指示に基づいて、指定された発光量でキセノン管213rを発光させる。
【0044】
図9は、本実施の形態におけるX信号の出力タイミング、先幕、後幕の走行開始タイミング、マスター電子閃光装置200から出力されるパケットの送信状態が変更されるタイミング、およびリモート電子閃光装置400の発光タイミングを模式的に示した図である。この図9に示すように、シャッタ302の先幕の走行が完了した時点4aで、CPU306はCPU206mへX信号を出力する。CPU206mは、CPU306からのX信号を受信した時点4cで固定データ5iの送信を停止する。具体的には、時点4cで送信中の1バイト分の固定データ5iを最後の固定データとし、当該最後の固定データの送信が完了した時点9aで固定データ5iの送信を停止する。
【0045】
リモート電子閃光装置400では、CPU206rは、マスター電子閃光装置200からの固定データ5iの受信が停止したことを検出した時点4dを発光タイミングとして検出し、発光制御回路212rへ発光の開始を指示するための信号を出力する。これによって、リモート電子閃光装置400は、カメラ300のシャッタ302の先幕走行完了時点4aから後幕走行開始時点4bまでの間のシャッタ全開時間4e内に発光することができる。
【0046】
なお、図9に示す例では、マスター電子閃光装置200のCPU206mがX信号を検出した時点4cからリモート電子閃光装置400のCPU206rが発光タイミングを検出する時点4dまでの間に遅延時間Tqが発生している。この遅延時間Tqは、原理上は、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置400へ1バイトの固定データを転送するために要する時間(16μsec)以下の時間であるが、実際には、ソフトウェアのオーバーヘッドや発光制御回路212rの応答時間などの微小時間が加わり、最大で50μsec程度になる可能性がある。しかしながら、通常のストロボ撮影時のシャッタ時間4hを1/250秒とした場合には、シャッタ全開時間は1msec程度あるため、この遅延時間は極めて短い時間となり、問題にはならない。
【0047】
次に、発光モードが後幕シンクロモードに設定されている場合について説明する。この場合には、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、上述したパケットの送信タイミングを先幕シンクロモードのときと異なるタイミングに変更する。すなわち、先幕シンクロモードの場合には、CPU206mは、カメラ300のCPU306からパケットの送信開始指示があった場合に、パケットを生成して送信を開始するようにした。これに対して、後幕シンクロモードの場合には、CPU206mは、カメラ300のCPU306からパケットの送信開始指示があったときにパケットを生成し、その後、所定時間が経過した後にパケットを送信するようにする。
【0048】
具体的には、CPU206mは、CPU306からパケットの送信開始指示があったときに上述したパケットを生成し、バッファメモリ211mへ記憶する。そして、リモート電子閃光装置400へパケットの送信を開始するまでの時間を計時するための送信開始タイマの計時をスタートする。その後、送信開始タイマの計測時間が所定時間になった時点でリモート電子閃光装置400へパケットの送信を開始する。ここでの所定時間としては、例えば、図4で上述した先幕シンクロモードのときの発光開始タイミング4dと後幕シンクロモードの発光開始タイミング4fの間の差分の時間を設定する。
【0049】
後幕シンクロモードの場合には、カメラ300からのX信号の入力が先幕シンクロモードの場合よりも遅れるため、先幕シンクロモードと同じタイミングでパケットの送信を開始した場合には、固定データ5iのデータ長が長くなってしまう。しかしながら、上述したように、後幕シンクロモードのときには、先幕シンクロモードのときよりもパケットの送信開始タイミングを遅らせることによって、送信する固定データ5iのデータ長を減らして、通信負荷を低減することができる。
【0050】
さらに後幕シンクロモードの場合には、上述したように、後幕の走行開始時点4bで発光が完了するようにリモート電子閃光装置400を発光させる必要がある。このためにCPU206mは、パケット内に発光を維持する必要がある時間を表すデータ(発光維持時間)を含めて送信し、リモート電子閃光装置400のCPU206rは、発光維持時間の間は発光を持続するように発光制御回路212rを制御する。なお、CPU206mは、発光維持時間を次のようにして決定する。
【0051】
すなわち、CPU206mは、カメラ300からシャッタ時間4h、例えば1/250秒を取得し、これに基づいてシャッタ全開時間4eを算出する。例えば、CPU206mは、シャッタ時間4hから1msecを引いた時間をシャッタ全開時間4eとして算出する。そして、CPU206mは、このシャッタ全開時間4eを表すデータを発光維持時間としてパケットに含めるようにする。例えば、図7(c)に示すように、CPU206mは、パラメータ5gとして発光維持時間を指定するためのデータをパケットに含める。
【0052】
なお、このようにリモート電子閃光装置400による発光を発光維持時間だけ持続させるようにした場合でも、キセノン管213rや発光制御回路212rの性質上、発光停止後も一定時間、例えば100μsec程度は発光が残ってしまい、後幕走行が開始した後も発光が残ってしまうことになる。しかしながら、後幕走行時間を例えば3msecと考えた場合には、発光が残る時間は極めて微少な時間であり、その影響は極めて少ないといえる。
【0053】
なお、上述した発光指示パケットのパラメータ5gに設定する各リモート電子閃光装置400の発光量は、あらかじめ設定されている所定発光量としてもよいが、リモート電子閃光装置400を撮影時の発光(本発光)に先立ってあらかじめ予備発光(モニタ発光)させ、予備発光時の発光量に基づいて設定してもよい。具体的には、カメラ300のCPU306は、各リモート電子閃光装置400に対してあらかじめ予備発光を指示し、そのときの発光量を測光センサ304で測光する。このとき、リモート電子閃光装置400が複数ある場合には、それぞれのリモート電子閃光装置400に対して個別に予備発光を指示し、それぞれのリモート電子閃光装置400の予備発光量を測光する。
【0054】
CPU306は、このときの測光結果に基づいて、各リモート電子閃光装置400の撮影時に必要な発光量を算出し、上述した発光指示パケットのパラメータ5gに算出した発光量を設定する。このようにして事前にリモート電子閃光装置400を予備発光させて本発光時の発光量を決定する場合には、リモート電子閃光装置400が予備発光を開始するタイミングと、測光センサ304が測光を開始するタイミングとを一致させる必要がある。
【0055】
このため、CPU306は、マスター電子閃光装置200のCPU206mに対して、予備発光指示パケットの送信開始を指示する。CPU206mは、例えば図7(d)に示すような予備発光指示パケットを生成して、リモート電子閃光装置400に対してパケットの送信を開始する。すなわち、コマンド5eとして、リモート電子閃光装置400に予備発光を指示するための指示データとして予備発光コマンドを含み、パラメータ5gに予備発光時の発光量を設定した予備発光指示パケットを送信する。
【0056】
なお、リモート電子閃光装置400が複数ある場合には、それぞれのリモート電子閃光装置400を個別に発光させて測光結果を得る必要があることから、予備発光指示パケットでは、相手先ID5fには送信先のリモート電子閃光装置400の個別IDが設定される。そして、各リモート電子閃光装置400に対して、それぞれの個別IDおよび発光量を指定した予備発光指示パケットを送信する。CPU206mは、CPU306から予備発光指示タイミングになった旨を通知するための予備発光指示信号が入力されたことを検出した場合に、上述した発光指示パケットの場合と同様に、固定データ5iの送信を停止する。
【0057】
カメラ300においては、CPU306は、マスター電子閃光装置200のCPU206mへ予備発光指示信号を出力すると同時に測光センサ304を制御して測光を行う。また、リモート電子閃光装置400では、CPU206rは、上述した発光指示パケット受信時と同様に、固定データ5iの受信が停止したことを検出した時点で、パラメータ5gに設定されている発光量でモニタ発光を行う。これによって、測光センサ304による測光タイミングとリモート電子閃光装置400の予備発光タイミングとを一致させることができる。
【0058】
図10は、第1の実施の形態におけるカメラ300のCPU306によって実行される処理を示すフローチャートである。図10に示す処理は、使用者によってレリーズスイッチ307が押下されたことを検出したときに起動するプログラムとして実行される。
【0059】
ステップS1において、CPU306は、マスター電子閃光装置200のCPU206mに対して、上述した予備発光指示パケットの送信開始を指示する。その後、ステップS2へ進み、CPU306は、あらかじめ設定されている予備発光指示タイミングになったか否かを判断する。予備発光指示タイミングになったと判断した場合には、ステップS3へ進んで、マスター電子閃光装置200のCPU206mに対して、予備発光指示タイミングになった旨を通知するための予備発光指示信号を出力して、ステップS4へ進む。ステップS4では、CPU306は、測光センサ304を制御して測光を行う。その後、ステップS10へ進む。
【0060】
なお、リモート電子閃光装置400が複数ある場合には、各リモート電子閃光装置400に対して個別に予備発光を指示して発光結果を測定するために、ステップS1〜ステップS4の処理を各リモート電子閃光装置400を対象としてそれぞれ実行する必要がある。
【0061】
ステップS10では、CPU306は、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400の発光量、および後幕シンクロモードの場合には発光維持時間を算出して、ステップS20へ進む。このとき、リモート電子閃光装置400の発光量は、上述した予備発光時の測光結果に基づいて決定する。ステップS20では、シャッタ駆動装置305を制御して、シャッタ302の先幕走行を開始して、ステップS30へ進む。ステップS30では、マスター電子閃光装置200のCPU206mに対して、発光指示パケットの送信開始を指示する。このとき算出した発光量や発光維持時間もマスター電子閃光装置200のCPU206mへ出力する。その後、ステップS40へ進む。
【0062】
ステップS40では、シャッタ302からX接点2aがオンされたか否かを判断する。X接点2aがオンされていないと判断した場合には、ステップS50へ進み、所定時間が経過したか、すなわち処理がタイムアウトしたか否かを判断する。タイムアウトしたと判断した場合には、後述するステップS80へ進む。これに対して、タイムアウトしていないと判断した場合には、ステップS40へ戻る。一方、ステップS40において、X接点2aがオンされたと判断した場合には、ステップS60へ進む。
【0063】
ステップS60では、マスター電子閃光装置200のCPU206mに対してX信号を出力して、ステップS70へ進む。ステップS70では、先幕走行を開始してからシャッタ時間4hが経過したか否かを判断する。シャッタ時間が経過したと判断した場合には、ステップS80へ進み、シャッタ駆動装置305を制御して、シャッタ302の後幕走行を開始する。その後、処理を終了する。
【0064】
図11は、第1の実施の形態におけるマスター電子閃光装置200のCPU206mによって実行される処理を示すフローチャートである。図11に示す処理は、マスター電子閃光装置200の電源がオンされると起動するプログラムとして実行される。
【0065】
ステップS91において、CPU206mは、カメラ300のCPU306から予備発光指示パケットの送信開始指示があったか否かを判断する。予備発光指示パケットの送信開始指示があったと判断した場合には、ステップS92へ進み、CPU206mは、図7(d)に示した予備発光指示パケットを生成し、バッファメモリ211mへ格納して、ステップS93へ進む。ステップS93では、CPU206mは、変調送信回路203mを制御して生成した予備発光指示パケットの送信を開始し、ステップS94へ進む。
【0066】
ステップS94では、カメラ300のCPU306から、上述した予備発光信号が入力されたか否かを判断する。予備発光信号が入力されていないと判断した場合には、ステップS96へ進む。ステップS96では、CPU306から予備発光パケットの送信開始指示があってから所定時間、例えば10msecが経過したか否かを判断することによって、処理がタイムアウトしたか否かを判断する。タイムアウトしていないと判断した場合には、ステップ94へ戻って、タイムアウトするまで予備発光信号の入力を待つ。一方、タイムアウトしたと判断した場合には、ステップS97へ進み、不図示のモニタにエラーを表示して、処理を終了する。
【0067】
これに対して、予備発光信号が入力されたと判断した場合には、ステップS95へ進んで、変調送信回路203mを制御してリモート電子閃光装置400へのパケットの送信、すなわち固定データ5iの送信を停止する。その後、ステップS110へ進む。
【0068】
ステップS110では、CPU206mは、カメラ300のCPU306から発光指示パケットの送信開始指示があったか否かを判断する。送信開始指示があったと判断した場合には、ステップS120へ進み、カメラ300で設定されているモードが、上述した先幕シンクロモードか、後幕シンクロモードかを判断する。先幕シンクロモードであると判断した場合には、ステップS130へ進み、CPU206mは、図7(a)または図7(b)に示した先幕シンクロモード用の発光指示パケットを生成し、バッファメモリ211mへ格納して、ステップS170へ進む。
【0069】
これに対して、ステップS120で後幕シンクロモードであると判断した場合には、ステップS140へ進む。ステップS140では、CPU206mは、図7(c)に示した後幕シンクロモード用の発光指示パケットを生成して、ステップS150へ進む。ステップS150では、上述した送信開始タイマの計時をスタートして、ステップS160へ進む。ステップS160では、送信開始タイマの値に基づいて、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間経過したと判断した場合には、ステップS170へ進む。
【0070】
ステップS170では、変調送信回路203mを制御して生成した発光指示パケットの送信を開始し、ステップS180へ進む。ステップS180では、発光制御回路212mをカメラ300のCPU306で算出された発光量で発光するように設定して、ステップS190へ進む。ステップS190では、シャッタ302からX信号が入力されたか否かを判断する。X信号が入力されたと判断した場合には、ステップS200へ進んで、変調送信回路203mを制御してリモート電子閃光装置400へのパケットの送信、すなわち固定データ5iの送信を停止して、ステップS210へ進む。ステップS210では、発光制御回路212mを制御してキセノン管213mを発光させ、処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS190でX信号が入力されないと判断した場合には、ステップS220へ進む。ステップS220では、CPU306から発光パケットの送信開始指示があってから所定時間、例えば10msecが経過したか否かを判断することによって、処理がタイムアウトしたか否かを判断する。タイムアウトしていないと判断した場合には、ステップ190へ戻って、タイムアウトするまでX信号の入力を待つ。これに対して、タイムアウトしたと判断した場合には、ステップS230へ進み、不図示のモニタにエラーを表示して、処理を終了する。
【0072】
図12は、第1の実施の形態におけるリモート電子閃光装置400のCPU206rによって実行される処理を示すフローチャートである。図12に示す処理は、上述したように、検出器205rから割り込み信号の入力があったことを検出したときに起動するプログラムとして実行される。
【0073】
ステップS310において、CPU206rは、バッファメモリ207rが空であるか否かを判断する。バッファメモリ207rが空ではないと判断した場合には、ステップS320へ進み、タイムアウト検出用タイマの計時を開始する。その後、ステップS321へ進み、タイムアウト割り込みを許可する。これによって、ステップS320で計時を開始したタイムアウト検出用タイマが所定のタイムアウト時間になった場合には、図13で後述するタイムアウト割り込み処理の実行が可能になる。なお、タイムアウト時間としては、CPU206rが1バイトのデータを読み込むのに要する時間に余裕時間を付加した時間、例えば18μsecが設定されている。その後、ステップS330へ進む。ステップS330では、CPU206rは、バッファメモリ207rから1バイトのデータを読み込んで、ステップS340へ進む。
【0074】
ステップS340では、CPU206rは、パケットに含まれるデータのうち、コマンド5eまでデータの読み込みが完了したか否かを判断する。コマンド5eまでデータの読み込みがしていないと判断した場合には、ステップS310へ戻ってデータの読み込みを継続する。これに対して、コマンド5eまでデータの読み込みが完了したと判断した場合には、ステップS350へ進む。ステップS350では、読み込んだコマンド5eが発光を指示するための発光コマンドであるか否かを判断する。発光コマンドではないと判断した場合には、ステップS360へ進んで、コマンドに応じた処理を実行して処理を終了する。
【0075】
これに対して、発光コマンドであると判断した場合には、ステップS370へ進む。ステップS370では、CPU206rは、パケットに含まれるデータのうち、チェックデータ5hまでデータの読み込みが完了したか否かを判断する。チェックデータ5hまでデータの読み込みがしていないと判断した場合には、ステップS310へ戻ってデータの読み込みを継続する。これに対して、チェックデータ5hまでデータの読み込みが完了したと判断した場合には、ステップS371へ進む。ステップS371では、ステップS321で許可したタイムアウト割り込みを禁止してステップS380へ進む。
【0076】
ステップS380では、チェックデータ5hを用いてデータのチェックを行なった結果、データにエラーがあるか否かを判断する。データにエラーがあると判断した場合には、後述するステップS470へ進む。これに対して、データにエラーがないと判断した場合には、ステップS390へ進む。ステップS390では、発光制御回路212rをパケットに含まれるパラメータ5gで指定されている発光量、発光維持時間で発光するように設定して、ステップS400へ進む。
【0077】
ステップS400では、ステップS430で計時を開始したタイムアウト検出用タイマの値が、所定のタイムアウト時間に到達したか否かを判断して、処理がタイムアウトしたか否かを判断する。タイムアウトとしたと判断した場合には、ステップS410へ進む。ステップS410では、マスター電子閃光装置200からの固定データ5iの送信が停止した、すなわちマスター電子閃光装置200からのパケットの送信状態が変更されたと判断して、そのタイミングを発光タイミングとして検出する。そして、発光制御回路212rを制御してキセノン管213rを発光させ、処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS400でタイムアウトしていないと判断した場合には、ステップS420へ進む。ステップS420では、CPU206rは、バッファメモリ207rが空であるか否かを判断する。バッファメモリ207rが空であると判断した場合には、ステップS400へ戻る。これに対して、バッファメモリ207rが空ではないと判断した場合には、ステップS430へ進み、タイムアウト検出用タイマの計時を再度開始する。その後、ステップS440へ進み、バッファメモリ207rから1バイトのデータを読み込んで、ステップS450へ進む。
【0079】
ステップS450では、CPU206rは、読み込んだデータが固定データ5iであるか否かを判断する。固定データ5iであると判断した場合には、ステップS400へ戻って処理を繰り返す。これに対して、固定データ5iではないと判断した場合には、ステップS460へ進む。ステップS460では、図7に示したように、発光指示パケットは、チェックデータ5hの後には固定データ5iを含んでいるにも関わらず、固定データ5iを受信していないことから、エラーが発生したと判断して発光制御回路212rの設定をクリアする。その後、ステップS470へ進み、パケットの受信を終了(アボート)して処理を終了する。
【0080】
図13は、上述した図12のステップS321でタイムアウト割り込みが許可されてから、ステップS371で禁止されるまでの間に実行されるタイムアウト割り込み処理の流れを示すフローチャートである。図13に示す処理は、タイムアウト割り込みが許可されている間に、ステップS320で計時を開始したタイムアウト検出用タイマが上述した所定のタイムアウト時間になったことにより、処理がタイムアウトしたときに、CPU206rによって起動されるプログラムとして実行される。
【0081】
ステップS510においては、ステップS321で許可したタイムアウト割り込みを禁止する。これによって、タイムアウト処理の実行中にさらにタイムアウト割り込みが行なわれることを防ぐことができる。その後、ステップS520へ進み、上述した図12の処理を終了する。その後、処理を終了する。
【0082】
なお、本実施の形態では、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、各リモート電子閃光装置400に対して、発光が完了した後に発光状況を報告させるために、例えば図14に示す発光確認パケットを生成して送信する。この発光確認パケットにおいては、コマンド5eは発光確認コマンドである。また、この発光確認パケットは、各リモート電子閃光装置400に対して個別に送信されため、相手先ID5fに1を設定して個別IDが1のリモート電子閃光装置400を対象とした例を示している。
【0083】
なお、この発光確認パケットは、カメラ300またはマスター電子閃光装置200とリモート電子閃光装置400のとの間で発光確認コマンドの実行タイミングを一致させる必要がないため、固定データ5iは含んでいない。また、リモート電子閃光装置400に渡すパラメータはないため、パラメータ5gも含んでいない。
【0084】
この発光確認パケットを受信した各リモート電子閃光装置400のCPU206rは、例えば図15に示す報告パケットを生成してマスター電子閃光装置200に発光時の発光状況を報告する。この報告パケットは、パラメータ5gとして、マスター電子閃光装置200に対して発光時の発光状況を示す情報としての報告データを含んでいる。報告データとしては、例えば(1)発光指示コマンドでのパラメータ5gで指定された発光量(目標光量)がリモート電子閃光装置400の発光可能な光量を超えたためにフル発光させた旨を示す情報などが報告される。また、(2)発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報を報告するようにしてもよい。
【0085】
なお、報告パケットは、リモート電子閃光装置400からマスター電子閃光装置200に対して報告データを送信するためのパケットであって、処理の実行を指示するためのものではないため、パケット内にコマンド5eは含まない。また、相手先ID5fにはマスター電子閃光装置200を示すID、例えばMが指定されている。そして、この報告パケットもカメラ300、マスター電子閃光装置200、およびリモート電子閃光装置400間で処理の実行タイミングを一致させる必要がないため、固定データ5iは含んでいない。
【0086】
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)マスター電子閃光装置200のCPU206mは、カメラ300のCPU306からX信号が入力された場合に、リモート電子閃光装置400へ送信するパケットの送信状態を変更させることによって、リモート電子閃光装置400に対して発光タイミングを通知するようにした。これによって、無線接続されたリモート電子閃光装置400の発光タイミングをマスター電子閃光装置200の発光タイミング、およびカメラ300の撮影タイミングと一致させることができる。
【0087】
(2)マスター電子閃光装置200のCPU206mは、パケットの最後に付加した固定データ5iの送信を停止することによってパケットの送信状態を変更するようにした。これによって、リモート電子閃光装置400側では、データの受信状況を監視するだけで発光タイミングを検出することができ、処理を簡略化できる。
【0088】
(3)また、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、パケットの最後に付加した固定データ5iのデータパターンを変えることによってパケットの送信状態を変更するようにした。これによって、リモート電子閃光装置400側では、受信したデータのデータパターンを監視するだけで発光タイミングを検出することができ、処理を簡略化できる。
【0089】
(4)マスター電子閃光装置200のCPU206mは、撮影に関する処理の実行をリモート電子閃光装置400へ指示するための指示データとして、コマンド5eをパケットに含めるようにした。これによって、リモート電子閃光装置400に対してコマンドを送信するためのパケットを用いて、コマンドの実行内容も指示することができる。すなわち、リモート電子閃光装置400に発光を指示するための発光コマンドを含む発光指示パケットを用いて、リモート電子閃光装置400に発光指示も通知できる。
【0090】
(5)マスター電子閃光装置200のCPU206mは、先幕シンクロモードの場合と後幕シンクロモードの場合とで、発光指示パケットの送信開始タイミングを変更するようにした。これによって、モードに応じた最適なタイミングで発光指示パケットの送信を開始することができる。例えば、後幕シンクロモードの場合には、発光タイミングが先幕シンクロモードの場合よりも遅れるため、先幕シンクロモードと同じタイミングでパケットの送信を開始した場合には、固定データ5iのデータ長が長くなってしまう。しかしながら、後幕シンクロモードのときには、先幕シンクロモードのときよりもパケットの送信開始タイミングを遅らせることによって、送信する固定データ5iのデータ長を減らして、通信負荷を低減することができる。
【0091】
(6)送受信されるパケットにおいては、チェックデータ5hをコマンド5eの後であって固定データ5iの前に含めるようにした。固定データ5iは、発光開始を指示するタイミングで送信を停止する必要があるため、チェックデータ5hを固定データ5iより前に含める必要がある。また、チェックデータ5hはデータのエラーをチェックするためのものであるため、できるだけパケット内の後のほうに格納することが好ましい。これらのことを加味して、チェックデータ5hをコマンド5eの後であって固定データ5iの前に含めることによって、チェックデータ5hより前に含まれるデータが正しいか否かを判断することができる。
【0092】
(7)発光が完了した後は、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置400に対して発光確認パケットを送信して、各リモート電子閃光装置400に対して発光時の発光状況を報告させるようにした。これによって、マスター電子閃光装置200およびカメラ300は、各リモート電子閃光装置400の発光状況を把握することができる。
【0093】
(8)パケットに含まれる相手先ID5fとしては、リモート電子閃光装置400を個別に指定するための個別IDと全ての装置を一括して指定するための全装置IDのいずれかを設定できるようにした。これによって、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じ内容のパケットを送信する場合には、全装置IDを設定して一括送信することができる。
【0094】
(9)1つのパケット内に複数の相手先ID5fを含め、これにそれぞれのリモート電子閃光装置400の個別IDを指定して、各個別IDごとにそれぞれのパラメータ5gを設定できるようにした。これによって、各リモート電子閃光装置400へ送信するパラメータ5gの内容が異なる場合であっても、1つのパケットを送信すればよく、通信負荷を低減することができる。
【0095】
―第2の実施の形態―
上述した第1の実施の形態では、マスター電子閃光装置200からリモート電子閃光装置400に対して発光指示パケットを送信して発光を指示するようにした。そして、先幕シンクロモード時には、この発光指示パケット内のパラメータ5gにリモート電子発光装置400の発光量を指定するためのデータを含めた。また、後幕シンクロモード時には、パラメータ5gにリモート電子発光装置400の発光量を指定するためのデータと、発光を維持する必要がある時間を示す発光維持時間を指定するためのデータを含めた。
【0096】
これに対して、第2の実施の形態では、マスター電子閃光装置200のCPU206mは、上述した発光指示パケットを送信して発光を指示する前に、あらかじめリモート電子閃光装置400に発光量や発光維持時間を通知するためのデータを含んだ発光ゲインパケットを生成して送信する。その後、発光指示パケットには、発光量や発光維持時間に関するデータを含めずに送信する。
【0097】
リモート電子閃光装置400では、CPU206rは、発光ゲインパケットを受信した段階で、パケットに含まれる発光量や発光維持時間に基づいて発光制御回路212rを設定する。そして、第1の実施の形態と同様に、その後に受信する発光指示パケットの受信状態が変化したことを検出したタイミングを発光タイミングとして検出して、発光制御回路212rへ発光を指示する。なお、第2の実施の形態では、図1〜図6、および図8、図9、図13〜図15の各図については、第1の実施の形態と同じため、説明を省略する。
【0098】
図16(a)は、先幕シンクロモード時にリモート電子閃光装置400に発光に必要な情報、すなわち発光量を通知するための発光ゲインパケットの具体例を示す図である。この発光指示パケットは、上述したpreamble5a、SFD5b、Flame length5c、Data5dとで構成される。ここでは、第1の実施の形態で上述した発光指示パケットとの相違点を中心に説明する。
【0099】
図16(a)に示す発光ゲインパケットでは、コマンド5eは、リモート電子閃光装置400に発光の前準備として発光制御回路212rを設定することを指示するための指示データとして発光ゲインコマンドが設定されている。そして、パラメータ5gとして、発光制御回路212rを設定するために使用する発光量を示すデータが指定されている。なお、この発光ゲインパケットでは、相手先ID5fとして上述した全装置ID=0を設定することで、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じ発光量を指示している。また、発光ゲインパケットは、リモート電子閃光装置400に発光量を通知するためのパケットであるため、処理の開始タイミングを一致させるための固定データ5iは含まない。
【0100】
図16(b)は、後幕シンクロモード時にリモート電子閃光装置400に発光に必要な情報、すなわち発光量および発光維持時間を通知するための発光ゲインパケットの具体例を示す図である。図16(b)についても、第1の実施の形態で上述した発光指示パケットとの相違点を中心に説明する。
【0101】
図16(b)に示す発光ゲインパケットでは、コマンド5eは、図16(a)の場合と同様に発光ゲインコマンドが設定されている。そして、パラメータ5gとして、発光制御回路212rを設定するために使用する発光量を示すデータと、発光維持時間を示すデータとが指定されている。なお、この発光ゲインパケットにおいても、相手先ID5fとして上述した全装置ID=0を設定することで、全てのリモート電子閃光装置400に対して同じ発光量および発光維持時間を指示している。また、この場合も固定データ5iは含まない。
【0102】
図16(c)は、リモート電子閃光装置400に発光を指示するための発光指示パケットの具体例を示す図である。図16(c)についても、第1の実施の形態で上述した発光指示パケットとの相違点を中心に説明する。
【0103】
ここでは、既に上述した発光ゲインパケットを送信することで、リモート電子閃光装置400に対して発光量や発光維持時間を通知してあるため、図16(c)に示す発光指示パケットにはこれらの情報を含んでいない。すなわちCPU206mは、パラメータ5gを含まない発光指示パケットを生成する。
【0104】
なお、第2の実施の形態では、発光指示パケットの送信前にリモート電子閃光装置400に対して発光量や発光維持時間を通知してあることから、発光指示パケットをリモート電子装置400に対して発光を指示する直前に送るようにしてもよい。すなわち、リモート電子閃光装置400は、発光ゲインパケットを受信した段階で、あらかじめ発光制御回路212rを設定しておけば、発光タイミングの直前に発光指示パケットを受信してもすぐに発光することが可能である。
【0105】
このため、後幕シンクロモードの場合には、CPU206mは、発光指示パケットとして図16(d)に示すような固定データ5iを含まないパケットを生成してもよい。そして、シャッタ302の後幕走行の開始前に発光指示パケットをリモート電子閃光装置400へ送信する。この発光指示パケットを受信したリモート電子閃光装置400では、CPU206rは、受信した発光指示パケットに応答して、あらかじめ設定された発光量および発光維持時間となるように発光する。これによって、リモート電子閃光装置400は、固定データ5iを用いた場合と同様に、後幕シンクロモードにおける発光タイミングで発光することができる。
【0106】
図17は、第2の実施の形態におけるカメラ300のCPU306によって実行される処理を示すフローチャートである。図17に示す処理は、使用者によってレリーズスイッチ307が押下されたことを検出したときに起動するプログラムとして実行される。なお、図17においては、第1の実施の形態における図10に示す処理と同一の処理については同じステップ番号を付与して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0107】
ステップS11において、CPU306は、マスター電子閃光装置200のCPU206mに対して、発光ゲインパケットの送信開始を指示する。このとき算出した発光量や発光維持時間もマスター電子閃光装置200のCPU206mへ出力する。
【0108】
図18は、第2の実施の形態におけるマスター電子閃光装置200のCPU206mによって実行される処理を示すフローチャートである。図18に示す処理は、マスター電子閃光装置200の電源がオンされると起動するプログラムとして実行される。なお、図18においては、第1の実施の形態における図11に示す処理と同一の処理については同じステップ番号を付与して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0109】
ステップS101において、CPU206mは、カメラ300のCPU306から発光ゲインパケットの送信開始指示があったか否かを判断する。送信開始指示があったと判断した場合には、ステップS102へ進み、カメラ300で設定されているモードが、上述した先幕シンクロモードか、後幕シンクロモードかを判断する。先幕シンクロモードであると判断した場合には、ステップS103へ進み、CPU206mは、図16(a)に示した先幕シンクロモード用の発光ゲインパケットを生成し、バッファメモリ211mへ格納して、ステップS105へ進む。
【0110】
これに対して、ステップS102で後幕シンクロモードであると判断した場合には、ステップS104へ進む。ステップS104では、CPU206mは、図16(b)に示した後幕シンクロモード用の発光ゲインパケットを生成し、バッファメモリ211mへ格納して、ステップS105へ進む。ステップS105では、変調送信回路203mを制御して生成した発光ゲインパケットをリモート電子閃光装置400へ送信する。その後、ステップS110へ進む。
【0111】
CPU206mは、ステップS110で、カメラ300のCPU306から発光指示パケットの送信開始指示があったと判断した場合には、ステップS111へ進み、図16(c)に示した発光指示パケットを生成して、バッファメモリ211mへ格納する。
【0112】
図19は、第2の実施の形態におけるリモート電子閃光装置400のCPU206rによって実行される処理を示すフローチャートである。図19に示す処理は、上述したように、検出器205rから割り込み信号の入力があったことを検出したときに起動するプログラムとして実行される。なお、図19においては、第1の実施の形態における図12に示す処理と同一の処理については同じステップ番号を付与して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0113】
ステップS350で読み込んだコマンド5eが発光コマンドではないと判断した場合には、ステップS351へ進む。ステップS351では、CPU206rは、読み込んだコマンド5eが発光ゲインコマンドであるか否かを判断する。読み込んだコマンド5eが発光ゲインコマンドではないと判断した場合には、ステップS360へ進む。これに対して、発光ゲインコマンドであると判断した場合には、ステップS352へ進む。
【0114】
ステップS352では、CPU206rは、パケットに含まれるデータのうち、チェックデータ5hまでデータの読み込みが完了したか否かを判断する。チェックデータ5hまでデータの読み込みがしていないと判断した場合には、ステップS310へ戻ってデータの読み込みを継続する。これに対して、チェックデータ5hまでデータの読み込みが完了したと判断した場合には、ステップS353へ進む。
【0115】
ステップS353では、チェックデータ5hを用いてデータのチェックを行なった結果、データにエラーがあるか否かを判断する。データにエラーがあると判断した場合には、処理を終了する。これに対して、データにエラーがないと判断した場合には、ステップS390へ進む。ステップS390では、発光制御回路212rを発光ゲインパケットに含まれるパラメータ5gで指定されている発光量、発光維持時間で発光するように設定して、処理を終了する。
【0116】
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態における作用効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(1)あらかじめリモート電子閃光装置400に発光ゲインパケットを送信して発光量や発光維持時間を通知しておき、その後、発光指示パケットを送信して発光を指示するようにした。これによって、発光指示パケットのデータ容量を少なくすることでデータの遅延を抑制することができ、マスター電子閃光装置200およびカメラ300とリモート電子閃光装置400との間で、処理開始タイミングの一致精度を向上させることができる。
【0117】
(2)後幕シンクロモードの場合には、CPU206mは、発光指示パケットとして図16(d)に示した固定データ5i(タイミングデータ)を含まないパケットを生成し、シャッタ302の後幕走行の開始前に発光指示パケットをリモート電子閃光装置400へ送信するようにした。そして、リモート電子閃光装置400では、CPU206rは、受信した発光指示パケットに応答して、あらかじめ設定された発光量および発光維持時間となるように発光するようにした。これによって、後幕シンクロモードの場合には、固定データ5iを連続して送信する必要がなくなり、通信負荷を低減することができる。
【0118】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の発光制御システムは、以下のように変形することもできる。
【0119】
(1)上述した第1および第2の実施の形態では、外部装置はリモート電子閃光装置400であるものとし、マスター電子閃光装置200の発光タイミング、カメラ300がシャッタ302を開くタイミング、およびリモート電子閃光装置400の発光タイミングとを一致させる例について説明した。しかしながら、外部装置としてカメラ(外部カメラ)を用いてもよい。この場合、マスター電子閃光装置200の発光タイミング、カメラ300がシャッタ302を開くタイミング、および外部装置としてのカメラがシャッタ302を開くタイミングとを一致させて、複数のカメラで同一被写体を撮影するようにしてもよい。
【0120】
(2)上述した第1および第2の実施の形態では、無線モジュールを備えたマスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300と、リモート電子閃光装置400との間で、カメラ300がシャッタ302を開くタイミング、マスター電子閃光装置200の発光タイミング、およびリモート電子閃光装置400の発光タイミングとを一致させる例について説明した。しかしながら、カメラ300がマスター電子閃光装置200を搭載せず、無線モジュールのみを備えている場合には、カメラ300がシャッタ302を開くタイミングとリモート電子閃光装置400の発光タイミングとを一致させればよい。
【0121】
(3)上述した第1および第2の実施の形態では、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400は、無線モジュールを内蔵している例について説明した。しかしながら、マスター電子閃光装置200およびリモート電子閃光装置400においては、無線モジュールを着脱可能としてもよい。また、マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300では、マスター電子閃光装置200に無線モジュールを搭載する例について説明したが、カメラ300が無線モジュールを搭載してもよく、この場合、カメラ300における無線モジュールは内蔵しても着脱可能としてもよい。
【0122】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】発光制御システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】マスター電子閃光装置200を搭載したカメラ300のブロック図である。
【図3】リモート電子閃光装置400のブロック図である。
【図4】先幕シンクロモードと後幕シンクロモードにおけるシャッタの走行タイミングおよび発光タイミングを示す図である。
【図5】CPU206mが生成するパケットの一例を示す第1の図である。
【図6】CPU206mが生成するパケットの一例を示す第2の図である。
【図7】第1の実施の形態における発光指示パケットの具体例を示す図である。
【図8】CPU206rによるデータの読み込み方法を模式的に示した図である。
【図9】X信号の出力タイミング、先幕、後幕の走行開始タイミング、マスター電子閃光装置200から出力されるパケットの送信状態が変更されるタイミング、およびリモート電子閃光装置400の発光タイミングを模式的に示した図である。
【図10】第1の実施の形態におけるカメラ300のCPU306によって実行される処理を示すフローチャート図である。
【図11】第1の実施の形態におけるマスター電子閃光装置200のCPU206mによって実行される処理を示すフローチャート図である。
【図12】第1の実施の形態におけるリモート電子閃光装置400のCPU206rによって実行される処理を示すフローチャート図である。
【図13】タイムアウト割り込み処理を示すフローチャート図である。
【図14】発光確認パケットの具体例を示す図である。
【図15】報告パケットの具体例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態における発光ゲインパケットおよび発光指示パケットの具体例を示す図である。
【図17】第2の実施の形態におけるカメラ300のCPU306によって実行される処理を示すフローチャート図である。
【図18】第2の実施の形態におけるマスター電子閃光装置200のCPU206mによって実行される処理を示すフローチャート図である。
【図19】第2の実施の形態におけるリモート電子閃光装置400のCPU206rによって実行される処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0124】
100 発光制御システム、200 マスター電子閃光装置、201m、201r アンテナ、202m、202r 周波数ダウンコンバータ、203m、203r 変調送信回路、204m、204r 復調回路、205m、205r、210m、210r 検出器、206m、206r、306 CPU、207m、207r、211m、211r バッファメモリ、208m、208r エラー検出回路、209m、209r 発振器、212m、212r 発光制御回路、213m、213r キセノン管、300 カメラ、301 レンズ、302 シャッタ、303 撮像素子、304 測光センサ、305 シャッタ駆動装置、307 レリーズスイッチ、400 リモート電子閃光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影に関する処理の開始タイミングを外部装置へ指示するためのタイミングデータをパケットの最後に含めたパケットを生成するパケット生成手段と、
前記パケットを無線通信により前記外部装置へ送信する送信手段と、
前記撮影に関する処理の開始タイミングで前記送信手段によるパケットの送信状態を変更する送信制御手段とを備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記送信制御手段は、前記撮影に関する処理の開始タイミングで前記タイミングデータの送信を停止することによって、前記パケットの送信状態を変更することを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記送信制御手段は、前記撮影に関する処理の開始タイミングで前記タイミングデータのデータパターンを変更することによって、前記パケットの送信状態を変更することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記パケット生成手段は、前記撮影に関する処理の実行を前記外部装置に対して指示するための指示データを前記タイミングデータよりも前に含めてパケットを生成することを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記外部装置は電子閃光装置であって、
前記指示データは、前記電子閃光装置に対して発光を指示するためのデータであることを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラにおいて、
前記パケット生成手段は、カメラのシャッタが全開している時間を表すデータを前記タイミングデータよりも前に含めてパケットを生成することを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記外部装置は電子閃光装置であって、
前記カメラのモードが前記シャッタの後幕走行の直前に前記電子閃光装置を発光させる後幕シンクロモードに設定されている場合には、前記パケット生成手段は、前記タイミングデータを含まず発光指示を示す発光指示パケットを生成し、
前記送信制御手段は、前記シャッタの後幕走行前に前記送信手段に前記発光指示パケットを送信させることを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記外部装置は電子閃光装置であって、
前記送信制御手段は、前記電子閃光装置を発光させる発光モードに応じて、前記パケットの送信開始タイミングを変更することを特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項4に記載のカメラにおいて、
前記パケット生成手段は、前記パケットに含まれるデータをチェックするためのチェックデータを、前記指示データの後であって、前記タイミングデータの前に含めてパケットを生成することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記外部装置は電子閃光装置であり、
前記撮影に関する処理の開始タイミングは、前記カメラが測光を開始するタイミング、および前記電子閃光装置が本発光に先立って行う予備発光を開始するタイミングであって、
前記撮影に関する処理の開始タイミングで測光を開始する処理実行手段をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項11】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記外部装置は外部カメラであり、
前記撮影に関する処理のタイミングは、前記カメラがシャッタを開くタイミング、および前記外部カメラがシャッタを開くタイミングであって、
前記撮影に関する処理の開始タイミングでシャッタを開く処理実行手段をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項12】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記パケット生成手段は、それぞれの外部装置を個別に特定するための情報、または全ての外部装置をまとめて特定するための情報を前記タイミングデータよりも前に含めてパケットを生成することを特徴とするカメラ。
【請求項13】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記パケット生成手段は、前記外部装置が複数ある場合、前記パケット内にそれぞれの外部装置を個別に制御するための制御情報を前記タイミングデータよりも前に含めてパケットを生成することを特徴とするカメラ。
【請求項14】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記外部装置は電子閃光装置であって、
前記電子閃光装置に対して、発光状況を示す情報を含むパケットの送信を要求する要求手段をさらに備えることを特徴とするカメラ。
【請求項15】
請求項14に記載のカメラにおいて、
前記発光状況を示す情報は、前記電子閃光装置がフル発光したことを示す情報と、発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報との少なくとも一方であることを特徴とするカメラ。
【請求項16】
撮影に関する処理の開始タイミングを外部装置へ指示するためのタイミングデータをデータの最後に含めたパケットを生成するパケット生成手段と、
前記パケットを無線通信により前記外部装置へ送信する送信手段と、
前記撮影に関する処理の開始タイミングで前記送信手段によるパケットの送信状態を変更する送信制御手段とを備えるカメラと無線接続される外部装置であって、
前記パケットを受信する受信手段と、
前記パケットの送信状態が変更されたことを検出する検出手段と、
前記パケットの送信状態が変更されたことを検出した場合に、前記撮影に関する処理を開始する処理実行手段とを備えることを特徴とする外部装置。
【請求項17】
請求項16に記載の外部装置において、
前記検出手段は、前記タイミングデータの送信が停止されたことを検出したときに、前記パケットの送信状態が変更されたことを検出することを特徴とする外部装置。
【請求項18】
請求項16に記載の外部装置において、
前記検出手段は、前記タイミングデータのデータパターンが変更されたことを検出したときに、前記パケットの送信状態が変更されたことを検出することを特徴とする外部装置。
【請求項19】
請求項16に記載の外部装置において、
前記パケットには、前記撮影に関する処理の実行を指示するための指示データが前記タイミングデータよりも前に含まれており、
前記処理実行手段は、前記指示データに応じた処理を開始することを特徴とする外部装置。
【請求項20】
請求項19に記載の外部装置において、
前記外部装置は電子閃光装置であって、
前記指示データは、前記電子閃光装置に対して発光を指示するためのデータであることを特徴とする外部装置。
【請求項21】
請求項20に記載の外部装置において、
前記パケットには、前記カメラのシャッタが全開している時間を表すデータが前記タイミングデータよりも前に含まれていることを特徴とする外部装置。
【請求項22】
請求項19に記載の外部装置において、
前記パケットには、前記パケットに含まれるデータをチェックするためのチェックデータが、前記指示データの後であって、前記タイミングデータの前に含まれていることを特徴とする外部装置。
【請求項23】
請求項16に記載の外部装置において、
前記外部装置は電子閃光装置であり、
前記撮影に関する処理の開始タイミングは、前記カメラが測光を開始するタイミング、および前記電子閃光装置が本発光に先立って行う予備発光を開始するタイミングであって、
前記処理実行手段は、前記撮影に関する処理の開始タイミングで前記予備発光を開始することを特徴とする外部装置。
【請求項24】
請求項16に記載の外部装置において、
前記外部装置は外部カメラであり、
前記撮影に関する処理のタイミングは、前記カメラがシャッタを開くタイミング、および前記外部カメラがシャッタを開くタイミングであって、
前記処理実行手段は、前記撮影に関する処理の開始タイミングでシャッタを開くことを特徴とする外部装置。
【請求項25】
請求項16に記載の外部装置において、
前記外部装置は電子閃光装置であって、
前記カメラからの要求に応じて前記カメラに発光状況を示す情報を含むパケットを送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする外部装置。
【請求項26】
請求項25に記載の外部装置において、
前記発光状況を示す情報は、前記電子閃光装置がフル発光したことを示す情報と、発光時の目標光量と実際の発光量との差に関する情報との少なくとも一方であることを特徴とする外部装置。
【請求項27】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のカメラにおいて、
少なくとも前記送信手段を含み、前記外部装置と無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とするカメラ。
【請求項28】
請求項16〜26のいずれか一項に記載の外部装置において、
少なくとも前記受信手段を含み、前記カメラと無線通信するための無線通信手段を着脱可能に備えることを特徴とする外部装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−102337(P2008−102337A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285144(P2006−285144)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】