説明

カメラシステム及びデジタルカメラ

【課題】レンズユニットの種類に関わらず、レンズユニット側の動作とカメラ本体側の動作とを同期させるカメラシステム及びデジタルカメラを提供する。
【解決手段】カメラシステム10は、カメラ本体11と、このカメラ本体11に着脱自在に装着されるレンズユニット12とで構成されている。レンズユニット12には、ユニット内の各部の駆動タイミングを制御するTG46が設けられており、カメラ本体11には、本体内の各部の駆動タイミングを制御するTG69が設けられている。本体制御部60は、切り替えダイヤル26によって、静止画及び動画撮影モードに設定された時に、TG46に主導されるタイミングでカメラ本体11を動作させるレンズ主導モードに切り替え、これら以外のモードに設定された時に、TG69に主導されるタイミングでカメラ本体を動作させる本体主導モードに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズ及び固体撮像素子を有するレンズユニットが、カメラ本体に着脱自在に装着されるカメラシステム及びデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDイメージセンサ等の固体撮像素子によって撮像された画像データを記録するデジタルカメラが一般に普及している。また、撮影レンズ及び固体撮像素子を有するレンズユニットが、カメラ本体に着脱自在に装着されるカメラシステムが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
上記特許文献1〜4に記載のカメラシステムでは、撮影者は、撮影レンズの焦点距離や固体撮像素子の種類等が異なる多種のレンズユニットの中から所望のレンズユニットを選択し、このレンズユニットをカメラ本体に装着して使用する。
【特許文献1】特開平10−191122号公報
【特許文献2】特開平10−233953号公報
【特許文献3】特開2000−50138号公報
【特許文献4】特開2000−106640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び特許文献3のカメラシステムでは、各部を動作させるタイミングの主導権はカメラ本体側にあり、レンズユニットは、カメラ本体のタイミング信号に追従して動作する。しかしながら、固体撮像素子を駆動するために必要なタイミング信号は、固体撮像素子の種類によって大きく異なる。このため、カメラ本体からのタイミング信号で駆動するために、カメラ本体によって全てのレンズユニットを駆動できるように汎用性を持たせることは困難であるという問題があった。
【0005】
また、上記特許文献2に記載のカメラシステムでは、レンズユニット内にタイミングジェネレータを内蔵しているため、上記特許文献1及び特許文献3のような問題はないが、レンズユニット側の動作とカメラ本体側の動作との同期については考慮されていない。また、上記特許文献4も同様に、前述の同期については考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レンズユニットの種類に関わらず、レンズユニット側の動作とカメラ本体側の動作とを同期させることが可能なカメラシステム及びデジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のカメラシステムは、撮影レンズ及び固体撮像素子を有するレンズユニットと、このレンズユニットが着脱自在に装着されるカメラ本体とで構成されるカメラシステムであり、前記レンズユニットは、ユニット内の各部の駆動タイミングを制御するレンズ側タイミングジェネレータを備え、前記カメラ本体は、本体内の各部の駆動タイミングを制御する本体側タイミングジェネレータと、前記本体側タイミングジェネレータに主導されるタイミングで前記カメラ本体を動作させる本体主導モードと、前記レンズ側タイミングジェネレータに主導されるタイミングで前記カメラ本体を動作させるレンズ主導モードとを切り替える切替手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記切替手段は、撮影モードに設定されている場合、前記レンズ主導モードに切り替え、前記撮影モード以外のモードに設定されている場合、前記本体主導モードに切り替えることが好ましい。
【0009】
さらに、前記レンズ側タイミングジェネレータは、前記本体側タイミングジェネレータのタイミングをリセットするリセット信号を出力する出力端子を有し、前記本体側タイミングジェネレータは、前記リセット信号が入力される入力端子を有し、前記切替手段によって前記レンズ主導モードに切り替えられ、前記入力端子に前記リセット信号の入力があった場合、前記本体側タイミングジェネレータは、所定のタイミングパターンから再起動することが好ましい。
【0010】
また、前記レンズユニットは、前記出力端子と接続された第1接点を有し、前記カメラ本体は、前記入力端子と接続された第2接点を有し、前記レンズユニットが前記カメラ本体に装着された時に、前記第1接点と前記第2接点とが当接し、前記出力端子と前記入力端子とが電気的に接続されることが好ましい。
【0011】
さらに、前記リセット信号は、前記固体撮像素子を駆動するために、前記レンズ側タイミングジェネレータによって生成される垂直同期信号であることが好ましい。
【0012】
本発明のデジタルカメラは、撮影レンズ及び固体撮像素子を有するレンズユニットが、着脱自在に装着されるデジタルカメラであり、各部の駆動タイミングを制御する本体側タイミングジェネレータと、前記本体側タイミングジェネレータに主導されるタイミングで前記各部を動作させる本体主導モードと、前記レンズユニット内のタイミングジェネレータに主導されるタイミングで前記各部を動作させるレンズ主導モードとを切り替える切替手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記本体側タイミングジェネレータは、前記レンズ側タイミングジェネレータから出力されたリセット信号が入力される入力端子を備え、前記切替手段によって前記レンズ主導モードに切り替えられ、前記入力端子に前記リセット信号の入力があった場合、前記本体側タイミングジェネレータは、所定のタイミングパターンから再起動することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカメラシステムデジタルによれば、本体側タイミングジェネレータに主導されるタイミングでカメラ本体を動作させる本体主導モードと、レンズ側タイミングジェネレータに主導されるタイミングでカメラ本体を動作させるレンズ主導モードとを切り替えることが可能であり、レンズユニットの種類に関わらず、レンズユニット側の動作とカメラ本体側の動作とを同期させることができる。
【0015】
撮影モードに設定されている場合、レンズ主導モードに切り替えられ、撮影モード以外のモードに設定されている場合、本体主導モードに切り替えられる。このため、レンズユニットが駆動される時に、レンズ主導モードに切り替えられるので、固体撮像素子の種類に応じたタイミング信号をカメラ本体側のタイミングジェネレータで生成する必要がない。このため、カメラ本体は、固体撮像素子の種類が異なる全てのレンズユニットに対応し、汎用性が向上する。
【0016】
レンズ主導モードでは、レンズ側タイミングジェネレータから出力されたリセット信号が、本体側タイミングジェネレータに入力されるので、この本体側タイミングジェネレータをレンズ側タイミングジェネレータに同期させることができる。
【0017】
リセット信号は、固体撮像素子を駆動するために、レンズ側タイミングジェネレータによって生成される垂直同期信号であり、リセット信号として新たな信号を生成する必要がない。このため、レンズ側タイミングジェネレータに負荷が掛かることを防止できる。
【0018】
本発明のデジタルカメラによれば、本体側タイミングジェネレータに主導されるタイミングで動作させる本体主導モードと、レンズ側タイミングジェネレータに主導されるタイミングで動作させるレンズ主導モードとを切り替えることが可能であり、レンズユニットの種類に関わらず、レンズユニット側の動作とカメラ本体側の動作とを同期させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1に示すカメラシステム10は、デジタルカメラ本体(以下、カメラ本体と称する)11と、レンズユニット12とを備えて構成されており、レンズユニット12は、カメラ本体11に着脱自在に装着される。レンズユニット12の前面には、撮影レンズ13が露呈されており、背面にはマウント部14が設けられている。
【0020】
このマウント部14は、3つのバヨネット爪15を備え、これらが外周に沿って等間隔に配置されている。また、このレンズユニット12内には、撮影レンズ13によって結像された被写体像を撮像する固体撮像素子であるCCDイメージセンサ(以下、単にCCDと称する)16が設けられている。なお、このレンズユニット12としては、撮影レンズ13の焦点距離が異なるものや、CCD16の画素数が異なるもの、モノクロ撮影が可能なもの、赤外線撮影が可能なもの等の複数種類のものが用意される。
【0021】
また、カメラ本体11の前面には、マウント部18が設けられている。このマウント部18は、3つのバヨネット溝19を備えており、これらは外周に沿って等間隔に配置されている。前述のレンズユニット12をカメラ本体11に装着する場合、バヨネット爪15をバヨネット溝19に位置合わせして押し込み、時計回りに回転させることによって、レンズユニット12がカメラ本体11に装着される。
【0022】
マウント部18には、ロックピン20が設けられており、レンズユニット12がカメラ本体11に装着された時に、このロックピン20が、レンズユニット12の背面に形成されたピン孔(図示せず)と係合して、レンズユニット12の回転がロックされる。このため、レンズユニット12が回転して、カメラ本体11から脱落することが防止される。
【0023】
さらに、マウント部18には、前方に向かってバネ付勢されたマウント蓋21が設けられており、レンズユニット12が装着されていない時に、カメラ本体11内に塵埃が侵入することが防止されている。
【0024】
また、マウント部18の近傍には、ロック解除ボタン22が設けられている。レンズユニット12がカメラ本体11に装着されている時に、このロック解除ボタン22が押圧操作されると、この操作に連動してロックピン20が後方に移動し、ロックピン20とピン孔(図示せず)との係合が解除される。このため、ロック解除ボタン22を押圧しながら、レンズユニット12を回転させることによって、レンズユニット12をカメラ本体11から取り外すことができる。
【0025】
カメラ本体11の前面上部には、ストロボ24が設けられている。また、カメラ本体11の上面には、シャッタボタン25と、切り替えダイヤル26とが設けられている。シャッタボタン25は、撮影を行う時に撮影者によって押圧操作される。
【0026】
また、カメラ本体11は、動画撮影モードと、静止画撮影モードと、パソコン等に画像を転送する画像転送モードと、各種設定を行うセットアップモードと、記録画像を再生する再生モードとを有しており、切り替えダイヤル26を回転操作することによって各モードが選択される。例えば、図2に示すように、切り替えダイヤル26に表示された「Cam」を矢印27に合わせると、静止画撮影モードに設定される。同様に、「Mov」で動画撮影モード、「PC」で画像転送モード、「Setup」でセットアップモード、「Play」で再生モードに設定される。
【0027】
また、図示せぬ背面には、後述する電源操作ボタン(図5参照)78、及びLCD(図5参照)71が設けられている。
【0028】
前述のバヨネット爪15の背面には、図3に示すように、マウント接点30が設けられている。このマウント接点30は、24個の接点PL1〜PL24で構成され、各バヨネット爪15に8個ずつ設けられている。
【0029】
また、マウント部18には、図4に示すように、マウント接点31が設けられている。このマウント接点31は、前述のマウント接点30と同様に、24個の接点PB1〜PB24で構成され、各接点PB1〜PB24は、レンズユニット12がカメラ本体11に装着された時に、前述の接点PL1〜PL24の各々と接続される位置に配置されている。
【0030】
カメラ本体11側の各接点PB1〜PB24は、レンズユニット12がカメラ本体11に装着された時に、レンズユニット12側の各接点PL1〜PL24と接続される。例えば、接点PL1は、接点PB1と接続され、接点PL24は、接点PB24と接続される。
【0031】
次に、レンズユニット12の電気的構成について説明する。図5に示すように、レンズユニット12には、ユニット内の各部を制御するユニット制御部40が設けられている。ユニット制御部40は、各部を制御する制御プログラムが記憶されたROM40aと、作業用データを一時的に記憶するRAM40bとを備えている。ユニット制御部40は、この制御プログラムに基づいて各部を制御する。
【0032】
ユニット制御部40には、データバス41を介してAFE(Analog Front End)42が接続されており、AFE42は、ユニット制御部40によって制御される。このAFE42は、図6に示すように、CDS(相関二重サンプリング回路)43と、VGA(可変ゲインアンプ)44と、A/D変換器45と、タイミングジェネレータ(以下、TGと称する)46とを備えて構成されている。TG46は、レンズ側タイミングジェネレータであり、CDS43、VGA44、及びA/D変換器45へタイミング信号を出力して、これらを駆動する。
【0033】
また、TG46は、水平同期信号HL、垂直同期信号VL、及び駆動信号(H1〜H4,V1〜V8等)を生成する。また、このAFE42は、CCD16に接続されており、CCD16は、前述の駆動信号が入力されて駆動する。
【0034】
CCD16は、撮影レンズ13によって結像された被写体像を光電変換によって電気信号に変換し、撮像信号を出力する。CCD16から出力された撮像信号は、前述のCDS43によってノイズが除去された後、VGA44によって増幅され、さらに、A/D変換器45によってデジタル信号の画像データに変換される。
【0035】
また、TG46は、デジタル信号処理部46に接続されており、このデジタル信号処理部48にタイミング信号を出力して駆動する。デジタル信号処理部48は、A/D変換器45に接続されており、画像データが入力される。このデジタル信号処理部46は、A/D変換器45から取得した画像データに対して、YC変換処理や、階調変換処理や、ホワイトバランス補正等の各種画像処理を施す。
【0036】
また、A/D変換器45には、AE/AF検出部49が接続されており、画像データが入力される。AE/AF検出部49は、画像データに基づいて、露出が最適となるAE検出値を検出するとともに、画像データの高周波成分を積分して、この積分値が最大となるAF検出値を検出する。
【0037】
このAE/AF検出部49は、データバス41を介してユニット制御部40に接続されており、前述のAE検出値及びAF検出値がユニット制御部40に出力される。ユニット制御部40は、AE検出値に基づいてCCD16の電子シャッタ速度を制御し、さらに、AF検出値に基づいて、図示せぬモータを制御して、撮影レンズ13のフォーカスレンズを合焦位置に移動させる。
【0038】
また、データバス41には、ユニット制御部40、AFE42、デジタル信号処理部48、及びAE/AF検出部49の他に、高速シリアルドライバ50、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)51が接続されており、これらは、ユニット制御部40によって制御される。
【0039】
高速シリアルドライバ50は、例えば、抵抗の両端の電位差を利用した低振幅の差動方式でデータをシリアル転送するLVDS(Low Voltage Differential Signaling)回路である。この高速シリアルドライバ50は、マウント接点30に接続されており、画像データをパラレル信号からシリアル信号に変換して、マウント接点30を介してカメラ本体11に送信する。
【0040】
また、UART51は、パラレル信号からシリアル信号への変換や、シリアル信号からパラレル信号への変換を行い、カメラ本体11との間で制御信号を送受信する。また、このUART51は、カメラ本体11へステータス情報の送信を行う。
【0041】
マウント接点30には、電源制御部52及びDC/DCコンバータ54が接続されており、さらに、DC/DCコンバータ54は、電源制御部52に接続されている。DC/DCコンバータ54は、マウント接点30を介してカメラ本体11から給電される。電源制御部52は、DC/DCコンバータ54を制御して、カメラ本体11から供給される電圧を所定の電圧に降圧させて、レンズユニット12内の各部に電源供給させる。
【0042】
次に、カメラ本体11の電気的構成について説明する。カメラ本体11には、本体内の各部を制御する本体制御部60が設けられている。本体制御部60は、各部を制御する制御プログラムが記憶されたROM60aと、作業用データを一時的に記憶するRAM60bとを備えている。本体制御部60は、この制御プログラムに基づいて各部を制御する。
【0043】
本体制御部60には、データバス61を介して、高速シリアルドライバ62、UART63、RAM64、圧縮伸張処理部65、LCDドライバ66、メディアコントローラ67、ストロボ制御部68、TG69、及びI/Oポート70が接続されており、これらは、本体制御部60によって制御される。
【0044】
高速シリアルドライバ62は、マウント接点31に接続されている。この高速シリアルドライバ62は、LVDS回路であり、マウント接点31を介して、前述の高速シリアルドライバ50によって送信された画像データを受信し、シリアル信号からパラレル信号に変換する。この高速シリアルドライバ62によって受信された画像データは、DMA(Direct Memory Access)方式、すなわち、本体制御部60を介さずに画像データがRAM64に直接転送される。
【0045】
また、UART63は、前述のUART51と同様に、レンズユニット12との間で制御信号等のデータの送受信を行う。
【0046】
圧縮伸張処理部65は、画像データがRAM64に一時的に記憶されている時に、圧縮伸張処理を施す。つまり、この圧縮伸張処理部65は、レンズユニット12から受信した画像データに対する圧縮処理や、記録メディア72に記録された画像データを再生する時に、この画像データに対する伸長処理を施す。なお、記録メディア72は、例えば、カメラ本体11に対して着脱自在に装填されるメモリカードである。
【0047】
LCDドライバ66には、レンズユニット12から受信したスルー画用の画像データや、記録メディア72に記録された画像データが入力され、LCDドライバ66は、LCD71にスルー画や、再生画像を表示させる。
【0048】
メディアコントローラ67は、レンズユニット12から受信した記録用の画像データを記録メディア72に記録するとともに、記録メディア72に記録された画像データの読み出しを行う。また、ストロボ制御部68は、ストロボ24を制御してストロボ光を発光させる。
【0049】
また、TG69は、本体側タイミングジェネレータであり、本体制御部60によって制御され、タイミング信号を発生させる。このタイミング信号は、本体内の各部に入力され、このタイミング信号に基づいて各部が駆動する。I/Oポート70は、マウント接点31を介してレンズユニット12との間で信号の送受信を行う。
【0050】
また、カメラ本体11内には、電源制御部75が設けられており、この電源制御部75には、バッテリ76、及びDC/DCコンバータ77が接続されており、バッテリ76とDC/DCコンバータ77は、互いに接続されている。また、電源制御部75には、電源操作部78が接続されている。
【0051】
また、電源制御部75は、電源操作部78から操作信号が入力されてON/OFFされ、電源操作部78の操作によってONにされた時に、DC/DCコンバータ77を制御することによって、バッテリ76の電圧を所定電圧に降圧して、本体内の各部へ供給させる。また、バッテリ76は、マウント接点31と接続されており、レンズユニット12側に電源供給する。
【0052】
シャッタボタン25は、マウント接点31に接続されている。シャッタボタン25は、半押しされた時にシャッタ信号S1を出力し、全押しされた時にシャッタ信号S2を出力する。これらのシャッタ信号S1,S2は、マウント接点30,31を介してユニット制御部40に入力される。
【0053】
また、本体制御部60には、切り替えダイヤル26が接続されている。切り替えダイヤル26は、前述したように回転操作され、回転位置に対応する信号を本体制御部60に出力する。本体制御部60は、この信号を受信して、各信号に対応するモードに設定する。
【0054】
また、カメラ本体11は、レンズユニット12内のTG46に主導されるタイミングでカメラ本体11内の各部が駆動されるレンズ主導モードと、カメラ本体11内のTG69に主導されるタイミングでカメラ本体11内の各部が駆動される本体主導モードとの2つの駆動モードを備えている。
【0055】
前述の本体制御部60は、この2つの駆動モードを切り替える切替手段であり、静止画及び動画撮影モードに設定されている場合、駆動モードをレンズ主導モードに切り替え、これらの撮影モード以外のモード、すなわち、画像転送モード、セットアップモード、及び再生モードに設定されている場合、駆動モードを本体主導モードに切り替える。
【0056】
以下に、これらのレンズ主導モードと本体主導モードとの切り替えについて説明する。図6に示すように、レンズユニット12内のTG46は、リセット信号である垂直同期信号VLを出力する出力端子46aを備えており、この出力端子46aは、信号線80aによって、第1接点である接点PL24に接続されている。また、カメラ本体11内のTG69には、リセット信号が入力される入力端子69aが設けられている。この入力端子69aは、バッファ81を介して信号線80bによって、第2接点である接点PB24と接続されている。また、入力端子69aには、プルアップ抵抗82が接続されている。
【0057】
レンズユニット12がカメラ本体11に装着されると、前述の接点PL24と、接点PB24とが接続され、TG46及びTG69が、信号線80a,80bによって接続される。なお、接点PL24,PB24を用いる場合を例に説明したが、使用する接点は適宜変更可能である。
【0058】
また、I/Oポート70は、入力端子70aと、出力端子70bとを備えている。入力端子70aは、信号線83によって接点PB23と接続されている。また、この入力端子70aには、プルアップ抵抗84が接続されている。出力端子70bは、信号線85によって接点PB22と接続されている。さらに、この出力端子70bは、信号線86によって前述のバッファ81と接続されている。また、レンズユニット側の接点PL23は接地されており、接点PL22は、電源制御部52と接続されている。
【0059】
レンズユニット12がカメラ本体11に装着されていない場合、入力端子70aは、プルアップ抵抗84によって、例えば、5V程度に昇圧されており、Hi信号が入力される。また、レンズユニット12がカメラ本体11に装着された場合、接点PL23と接点PB23が接続され、接点PL23は接地されているので、入力端子70aは0Vとなる。このため、Low信号が入力端子70aに入力される。このため、I/Oポート70は、Low信号が入力された時にレンズユニット12の装着を検出する。
【0060】
また、I/Oポート70は、本体制御部60によって制御され、出力端子70bから電源制御信号を出力させる。この電源制御信号は、接点PL22,PB22を介して電源制御部52に入力される。つまり、静止画撮影モードや動画撮影モードのように、レンズユニット12を駆動させるモードに設定された時には、電源制御信号として、レンズユニット12の電源をONにするON信号が出力され、それ以外のモード、つまり、レンズユニット12を駆動させずに行うモードに設定された時に、出力端子70bからOFF信号を出力させる。電源制御部52は、ON信号を取得すると、レンズユニット12内の各部に電源供給を開始し、OFF信号を取得すると電源供給を停止する。
【0061】
また、前述のバッファ81には、信号線86を介して、前述の電源制御信号が入力される。このバッファ81の出力は、電源制御信号によって制御される。レンズユニット12の電源が投入されていない状態、つまり、バッファ81にOFF信号が入力された場合、出力がHiインピーダンスとなり、バッファ81から垂直同期信号VLは出力されない。このため、入力端子69aは、プルアップ抵抗82によって昇圧された状態であり、Hi信号が入力される。このため、カメラ本体11内の各部は、TG69に主導されるタイミングで駆動される。
【0062】
レンズユニット12の電源が投入されている状態、つまり、バッファ81にON信号が入力された場合、バッファ81の出力はアクティブになり、レンズユニット12からの垂直同期信号VLを出力する。このため、この信号VLが入力端子69aにリセット信号として入力され、TG69は、垂直同期信号VLをリセット信号としてリセットされてリスタートするので、カメラ本体11の各部は、TG46に主導されるタイミングで駆動される。
【0063】
また、TG69は、出力端子69b,69cを備えており、出力端子69bから垂直駆動信号VBが出力され、出力端子69cから水平駆動信号HBが出力される。これらの駆動信号VB,HBは、LCDドライバ66に入力される。
【0064】
つまり、静止画撮影モードや動画撮影モードでは、レンズユニット12内のCCD16が駆動されており、レンズユニット12内のTG46によって、カメラ本体11内のTG69が同期され、LCDドライバ66が同期されて動作する。このため、LCD71の表示は、CCD16に同期する。
【0065】
次に、上記構成のカメラシステム10の作用について、図7のフローチャートを用いて説明する。電源操作部78が操作され、電源がONにされると、電源制御部75によってカメラ本体11内の各部への電源供給が開始される。
【0066】
その後、切り替えダイヤル26が操作されてモードが設定される。その後、設定モードが判定される。静止画撮影モードや動画撮影モードに設定された場合、レンズ主導モードに設定される。この時、I/Oポート70の出力端子70bからON信号が出力され、このON信号が電源制御部52に入力されてレンズユニット12の電源がONとなる。
【0067】
また、出力端子70bから出力されたON信号は、バッファ81にも入力され、バッファ81の出力がアクティブとなる。このため、リセット信号である垂直同期信号VLが、入力端子69aに入力される。
【0068】
この時、図8に示すように、入力端子69aに入力される垂直同期信号VLがLowの期間は、タイミング生成のためのカウンタ動作が停止しており、入力端子69aに入力される垂直同期信号VLがLowからHiに解除されると、所定のパターン(HBとVBの先頭)でタイミング生成が開始される。
【0069】
以下に、スルー画表示時におけるレンズユニット12とカメラ本体11との同期処理について説明する。例えば、図9に示すように、レンズユニット12におけるスルー画のV周期が、33ms(30フレーム/sec)となっている。
【0070】
レンズユニット12とカメラ本体11は、UART51,63によって制御信号を送受信することによってTG46,69を設定し、図9に示すように、V周期が互いに略33msになっている。しかし、レンズユニット12のTG46が発生する垂直同期信号VLと、カメラ本体11のTG69が発生するVB信号とは、電気信号波形の乱れ等によってジッタが発生するため、完全には一致しない。このため、レンズユニット12からの垂直同期信号VLによって、TG69を強制的にリセット及びリスタートさせているため、レンズユニット12とカメラ本体11のLCD71は同期して動作する。
【0071】
また、図10は、UART51,63によって制御信号を送受信することによってTG46,69を設定し、V周期が互いに略50msとした場合を示しており、同様に、レンズユニット12からの垂直同期信号VLによって、TG69を強制的にリセット及びリスタートさせているため、レンズユニット12とカメラ本体11のLCD71は同期して動作する。
【0072】
また、切り替えダイヤル26が操作され、静止画撮影モード、及び動画撮影モード以外のモード、すなわち、画像転送モード、セットアップモード、及び再生モードに設定された場合、本体主導モードに設定される。この時、I/Oポート70の出力端子70bからOFF信号が出力され、このOFF信号が電源制御部52に入力されてレンズユニット12の電源がOFFとなる。
【0073】
また、出力端子70bから出力されたOFF信号は、バッファ81にも入力され、バッファ81の出力が、Hiインピーダンスとなり、TG69の入力端子69aには、垂直同期信号VLが入力されない。このため、TG69は、この信号VLによってリセットされることなく、カメラ本体11は、TG69に主導されるタイミングで動作し、各種処理が実行される。
【0074】
その後、カメラ本体11の電源がOFFにされたか否かが判定され、電源がOFFにされていないと判定された場合、設定モードを判定する処理に戻る。また、電源がOFFにされたと判定された場合、処理を終了する。
【0075】
なお、上記実施形態において、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例に説明したが、これに限るものではなく、例えば、レンズユニットがカメラ本体に着脱自在に装着されるデジタルビデオカメラに本発明を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】カメラシステムの構成を示す斜視図である。
【図2】切り替えダイヤルの構成を示す平面図である。
【図3】レンズユニットの背面側の構成を示す平面図である。
【図4】カメラ本体のマウント部の構成を示す平面図である。
【図5】カメラシステムの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】TGの同期を説明するブロック図である。
【図7】カメラシステムの作用を説明するフローチャートである。
【図8】リセット入力による垂直及び水平駆動信号のリセット及びリスタートを説明するタイミングチャートである。
【図9】スルー画表示時のレンズユニットの動作とカメラ本体の動作との同期処理を説明するフローチャートであり、V周期が33msの場合を示している。
【図10】スルー画表示時のレンズユニットの動作とカメラ本体の動作との同期処理を説明するフローチャートであり、V周期が50msの場合を示している。
【符号の説明】
【0077】
10 カメラシステム
11 カメラ本体
12 レンズユニット
13 撮影レンズ
16 CCD
25 シャッタボタン
26 切り替えダイヤル
40 ユニット制御部
46,69 TG
46a 出力端子
60 本体制御部
69a 入力端子
PL24,PB24 接点
VL 垂直同期信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズ及び固体撮像素子を有するレンズユニットと、このレンズユニットが着脱自在に装着されるカメラ本体とで構成されるカメラシステムにおいて、
前記レンズユニットは、ユニット内の各部の駆動タイミングを制御するレンズ側タイミングジェネレータを備え、
前記カメラ本体は、本体内の各部の駆動タイミングを制御する本体側タイミングジェネレータと、
前記本体側タイミングジェネレータに主導されるタイミングで前記カメラ本体を動作させる本体主導モードと、前記レンズ側タイミングジェネレータに主導されるタイミングで前記カメラ本体を動作させるレンズ主導モードとを切り替える切替手段と、
を備えていることを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記切替手段は、撮影モードに設定されている場合、前記レンズ主導モードに切り替え、前記撮影モード以外のモードに設定されている場合、前記本体主導モードに切り替えることを特徴とする請求項1記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記レンズ側タイミングジェネレータは、前記本体側タイミングジェネレータのタイミングをリセットするリセット信号を出力する出力端子を有し、
前記本体側タイミングジェネレータは、前記リセット信号が入力される入力端子を有し、
前記切替手段によって前記レンズ主導モードに切り替えられ、前記入力端子に前記リセット信号の入力があった場合、前記本体側タイミングジェネレータは、所定のタイミングパターンから再起動することを特徴とする請求項1または請求項2記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記レンズユニットは、前記出力端子と接続された第1接点を有し、前記カメラ本体は、前記入力端子と接続された第2接点を有し、前記レンズユニットが前記カメラ本体に装着された時に、前記第1接点と前記第2接点とが当接し、前記出力端子と前記入力端子とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記リセット信号は、前記固体撮像素子を駆動するために、前記レンズ側タイミングジェネレータによって生成される垂直同期信号であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載のカメラシステム。
【請求項6】
撮影レンズ及び固体撮像素子を有するレンズユニットが、着脱自在に装着されるデジタルカメラにおいて、
各部の駆動タイミングを制御する本体側タイミングジェネレータと、
前記本体側タイミングジェネレータに主導されるタイミングで前記各部を動作させる本体主導モードと、前記レンズユニット内のタイミングジェネレータに主導されるタイミングで前記各部を動作させるレンズ主導モードとを切り替える切替手段と、
を備えていることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項7】
前記本体側タイミングジェネレータは、前記レンズ側タイミングジェネレータから出力されたリセット信号が入力される入力端子を備え、
前記切替手段によって前記レンズ主導モードに切り替えられ、前記入力端子に前記リセット信号の入力があった場合、前記本体側タイミングジェネレータは、所定のタイミングパターンから再起動することを特徴とする請求項6記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−104364(P2007−104364A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292043(P2005−292043)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】