説明

カメラシステム及び遠隔操作装置

【課題】遠隔操作により電子カメラの撮影範囲を変更可能なカメラシステムを提供する。
【解決手段】カメラシステムは、電子カメラ2、雲台4及び遠隔操作装置(PC)6を備え、PC6は、電子カメラ2から送信された画像データを受信する受信部と、受信された画像データにより示される画像を表示する表示部と、表示部に表示された画像上の任意の領域を指定する位置指定装置(マウス)と、マウスにより指定された領域の中心を算出する中心算出部と、算出された中心が表示部の中心に位置するように台座の駆動を指示する駆動指示信号を生成する駆動指示信号生成部と、駆動指示信号を雲台4に送信する送信部とを備え、雲台4は、PC6から送信された駆動指示信号に基づいて、駆動制御部により駆動部を制御して台座を回動駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラ及び雲台を遠隔操作するカメラシステム、電子カメラ及び雲台と通信可能な遠隔操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔操作により電子カメラによって撮影される被写体上のオートフォーカスの位置を指定可能な撮影システムが存在する(特許文献1参照)。特許文献1記載の撮影システムにおいては、液晶ディスプレイ(LCD)に表示されるオートフォーカス(AF)カーソルを移動させることによって被写体上のAF位置を任意に指定可能な電子カメラと、該電子カメラを遠隔操作可能なリモコンとを備え、該リモコンにより電子カメラのLCDに表示されるAFカーソルの位置変更を行なっている。即ち、この撮影システムにおいては、ユーザが電子カメラに触れることなく、リモコンを用いた遠隔操作によりAF位置を指定することができる。
【特許文献1】特開2003−125273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年の撮影システムでは、電子カメラの画角や撮影範囲(又は撮影対象)を遠隔操作で変更することも要求されている。即ち、遠隔操作により電子カメラのズームレンズを駆動させて画角の変更を行うことや、遠隔操作により電子カメラが装着された雲台の台座を駆動させて電子カメラの向きを変更し、撮影範囲を変更することが要求されている。
【0004】
本発明の課題は、遠隔操作により雲台の台座を駆動させることによって電子カメラの画角や撮影範囲を変更することができるカメラシステム、電子カメラ及び雲台を遠隔操作可能な遠隔操作装置を提供するものであって、特に撮影範囲を変更する際に、撮影者が直観的に、変更後の表示画像をイメージすることができて、使い勝手の良いカメラシステム又は遠隔装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のカメラシステムは、被写体像を撮像して撮像信号を生成する撮像素子を備える電子カメラと、該電子カメラを装着可能な台座を有する雲台と、前記電子カメラ及び前記雲台と通信可能な遠隔操作装置とを備えるカメラシステムであって、前記電子カメラは、前記撮像信号を処理して画像データを出力する処理部と、前記画像データを前記遠隔操作装置に送信する通信制御部とを備え、前記雲台は、前記台座を水平方向及び垂直方向に回動駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する駆動制御部と、前記遠隔操作装置との間の通信を制御する通信制御部とを備え、前記遠隔操作装置は、前記電子カメラから送信された前記画像データを受信する受信部と、前記受信部により受信された画像データにより示される画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像上の任意の領域を指定する位置指定装置と、前記位置指定装置により指定された領域の中心を算出する中心算出部と、前記中心算出部により算出された前記中心が、前記表示部の中心に位置するように前記台座の駆動を指示する駆動指示信号を生成する駆動指示信号生成部と、前記駆動指示信号を前記雲台に送信する送信部とを備え、前記雲台は、前記遠隔操作装置から送信された前記駆動指示信号に基づいて、前記駆動制御部により前記駆動部を制御して前記台座を回動駆動することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の遠隔操作装置は、電子カメラから送信された画像データを受信する受信部と、前記受信部により受信された画像データにより示される画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像上の任意の領域を指定する位置指定装置と、前記位置指定装置により指定された領域の中心を算出する中心算出部と、前記中心算出部により算出された前記中心が、前記表示部の中心に位置するように雲台の台座の駆動を指示する駆動指示信号を生成する駆動指示信号生成部と、前記駆動指示信号を前記雲台に送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のカメラシステムによれば、電子カメラから遠隔操作装置に送信された画像データに基づいて、遠隔操作装置の表示部に表示された画像上で指定された任意の領域の中心を算出し、該中心が表示部の中心に位置するように雲台の台座を駆動させることができる。従って、遠隔操作装置により雲台の台座を駆動させることによって、電子カメラの向きを変更して、電子カメラの撮影範囲を変更することができる。また、ズームレンズを含む撮影光学系を備える電子カメラに対して、遠隔操作装置の表示部に指定された任意の領域を拡大表示するための拡大倍率を示す拡大倍率指示信号を送信し、指定された任意の領域を拡大表示することができる。即ち、遠隔操作装置により電子カメラのズームレンズを駆動させ、電子カメラの画角を変更することができる。
【0008】
また、本発明の遠隔操作装置によれば、電子カメラから送信された画像データに基づいて、被写体の画像を表示部に表示し、表示されている画像上において指定された任意の領域の中心を算出し、算出された中心と表示部の中心とを一致させるべく、雲台に対する駆動指示信号を生成し送信することができる。従って、遠隔操作により雲台の台座を駆動させ、電子カメラの撮影範囲を容易に変更することができる。また、電子カメラに対して指定された任意の領域を拡大表示するための拡大倍率指示信号を送信することができる。即ち、遠隔操作により電子カメラのズームレンズを駆動させ、電子カメラの画角を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態に係るカメラシステムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るカメラシステムの概念図である。カメラシステムは、被写体の撮影を行なう電子カメラ2、該電子カメラ2を装着可能な台座(図示省略)を有する雲台4、電子カメラ2及び雲台4と通信可能な遠隔操作装置(パーソナルコンピュータ:PC)6により構成されている。なお、電子カメラ2及び雲台4と、PC6との間は、ケーブル8により接続され通信可能となっているが、その他の手段、例えば、赤外線等の無線により通信を行なうようにしてもよい。
【0010】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電子カメラ2のブロック構成図である。電子カメラ2は、図2に示すように、撮影レンズ(撮影光学系)10、シャッタ12、撮像素子14、アナログ信号処理部16、画像用A/D変換部18、条件設定用A/D変換部20、焦点検出部22、タイミングジェネレータ24、シャッタ駆動部26、MPU28、操作部30、システムバス32、画像処理部34、メモリ36、モニタ制御部38、液晶モニタ40、交換可能なメモリカード(外部記録媒体)42及び通信制御部44を備えている。
【0011】
撮影レンズ10は、ピントを合わせるために移動可能な合焦用レンズ50、画角調節用に移動可能なズーム用レンズ(ズームレンズ)52、移動したレンズの位置を検出するエンコーダ54、透過光量を調節する絞り部材56、レンズや絞り部材56を駆動する駆動モータ58を備えている。なお、合焦用レンズ50とズームレンズ52とを、それぞれ専用のモータで駆動するように構成しても良い。
【0012】
ここで、図2に示す電子カメラ2においては、操作部30に設けられている電源ボタン(図示省略)がオンされたのち、ユーザは操作部30に設けられている各種ボタン(図示省略)を操作することによって、撮影モード等の設定を行なう。なお、撮影モードの中には、遠隔操作モード、即ち、図1に示すPC6に対して通信制御部44を介して画像データを送信すると共に、PC6から送信される指令に基づいて合焦用レンズ50による合焦、ズーム用レンズ52による画角の調整等の処理を行う遠隔操作モードが含まれている。
【0013】
撮像素子14は、被写体光を受光して画像信号(蓄積電荷としてのアナログ信号)を出力する。この画像信号は、アナログ信号処理部16によりクランプ処理や感度補正処理が施された後、画像用A/D変換部18及び条件設定用A/D変換部20に入力される。
【0014】
条件設定用A/D変換部20は、連続的に入力される画像信号をA/D変換して撮影レンズ10のピント位置の設定、ホワイトバランス調整等の条件を設定する際に用いる画像データを生成し、焦点検出部22及びMPU28に入力する。
【0015】
焦点検出部22は、入力された画像データにおいて所定のフォーカスエリア、例えば、画像データにおいて電子カメラ2に対して最至近に存在する物体又は人物を中心とした所定領域のコントラスト値を求め、MPU28に伝達する。MPU28はコントラスト値が最大となるように、駆動モータ58を介して合焦用レンズ50の位置を制御する(コントラスト検出方式のオートフォーカス)。これにより、フォーカスエリアの被写体(最至近に存在する物体又は人物)にピントを合わせる。なお、カメラ2が一眼レフタイプのカメラである場合に、焦点検出部22は、スルー画表示を行なう前に、カメラ本体のミラーボックス底部(不図示)に設けられた、従来周知の位相差検出方式AFセンサ15からの出力を受けて、それに基づき合焦用レンズ50の合焦駆動を行なうようにしても良い。
【0016】
また、画像用A/D変換部18は、アナログ信号処理部16から入力された画像信号をA/D変換して画像データを生成する。この画像データには、MPU28が設定した条件でのホワイトバランス調整やカラープロセス処理等が画像処理部34により実施され、その後、モニタ制御部38を介して液晶モニタ40に画像が表示される。
【0017】
ここで、撮影モードとして、遠隔操作モードが選択されている場合には、撮像素子14において所定のサンプリング間隔毎に被写体像が撮像され、撮像素子14から出力された画像信号に基づく画像、即ち、スルー画像が液晶モニタ40に表示される。同時に、液晶モニタ40に表示される画像と同一の画像が、PC6において表示される。即ち、画像処理部34により所定の処理が施された画像データ(スルー画像)は、通信制御部44を介してPC6に送信され、後述するPC6の表示部74(図1、図6参照)において表示される。従って、表示部74に表示された画像を参照することにより、合焦の状態及び画角等をユーザが確認することができる。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態に係る雲台4のブロック構成図である。雲台4は、図3に示すように、駆動制御部60、通信制御部62、駆動モータ64及び台座66を備えている。駆動制御部60は、通信制御部62を介して受信されたPC6からの信号に基づいて、駆動モータ64の駆動を制御する。駆動モータ64は、駆動制御部60による制御に基づいて、台座66を水平方向(図4(A)〜(C)に示す矢印R1の方向)及び垂直方向(図5(A)〜(C)に示す矢印R2の方向)に回転駆動する。なお、台座66は、電子カメラ2を装着可能な装着部、即ち、電子カメラ2を載置し保持可能な装着部(図示省略)を備えている。台座66は矢印R1方向にZ軸周りに回転されると図4(A)〜(C)に示すような状態をとることができ、矢印R2方向にX軸周りに回転されると図5(A)〜(C)に示すような状態をとることができる。
【0019】
図6は、本発明の実施の形態に係るPC(遠隔操作装置)6のブロック構成図である。PC6は、図6に示すように、データ制御部(CPU)70、通信制御部72、液晶表示パネル等により構成される表示部74、データ記憶部(メモリ)76及びマウス(位置指定装置)78を備えている。
【0020】
PC6においては、電子カメラ2から送信された被写体のスルー画像の画像データを通信制御部72を介して受信し、受信された画像データが一時的にデータ記憶部76に記憶される。データ記憶部76に記憶されたスルー画像の画像データは、データ制御部70により取り出され、表示部74に表示される。即ち、電子カメラ2の液晶モニタ40に表示される画像と同一のスルー画像が表示部74に表示される。
【0021】
また、データ記憶部76には、電子カメラ2から送信された画像データの他、雲台4の台座66の駆動を指示する駆動指示信号を生成する際に用いられる移動量変換テーブル、電子カメラ2に対して画像の拡大倍率を指示する拡大倍率指示信号を生成する際に用いられる倍率変換テーブルが記憶されている。
【0022】
ここで、移動量変換テーブルは、例えば、表示部74に表示されている画像上の画素数と電子カメラ2が備える撮像素子14における画素数との対応を示すものである。従って、マウス78により画像上の任意の位置が指定された場合、データ制御部70において、表示部74に表示されている画像上の中心と、マウス78により指定された位置との差が、表示部74における画素数として算出される。次に、データ記憶部76に記憶されている移動量変換テーブルを参照し、算出された画素数を、電子カメラ2の撮像素子14における画素数に換算する。そして、換算された撮像素子14における画素数に対応する雲台4の台座66の駆動量、即ち、台座66の回転角度及び回転方向を示す駆動指示信号が生成され、通信制御部72を介して雲台4に駆動指示信号が送信される。
【0023】
なお、移動量換算テーブルとして、表示部74における画素数と、台座66の回転角度との対応を示すものを記憶するようにしてもよい。この場合には、表示されている画像上の中心と、マウス78により指定された位置との間の表示部74上における画素数から、直接、台座66の回転角度及び回転方向を示す駆動指示信号を生成することができる。
【0024】
また、倍率変換テーブルは、例えば、マウス78のホイール回転量と拡大倍率とを対応させたものであり、表示部74に表示されている画像を拡大表示する際に用いられる。例えば、表示部74に画像が表示されている際に、画像上の任意の点にカーソルを移動し、マウス78のホイールを回転させることにより、カーソルの位置を中心として画像を拡大表示することができる。この時、データ制御部70においては、倍率変換テーブルを参照することによって、ホイールの回転量を拡大倍率に換算して拡大倍率指示信号を生成し、通信制御部72を介して電子カメラ2に拡大倍率指示信号を送信する。従って、電子カメラ2においては、拡大倍率指示信号に基づきズーム用レンズ52が駆動されて画角が変更される。これによりPC6の表示部74において拡大された画像が表示される。
【0025】
なお、倍率変換テーブルにおいては、拡大倍率に加えて縮小倍率を記憶するようにしてもよい。即ち、マウス78のホールを回転させる方向に応じ、例えば、手前に回転させた場合は縮小、反対側に回転させた場合は拡大を示すように設定し、回転方向及び回転量に対応させて拡大・縮小倍率指示信号を生成するようにしてもよい。
【0026】
図7は、表示部74における画像の表示状態を説明するための図である。表示部74においては、電子カメラ2から送信された画像データに基づく被写体の画像と共に、電子カメラ2のファインダに表示されているオートフォーカス(AF)位置を示す複数のAF指標75(75a〜75d)が表示される。このAF指標75は、電子カメラ2が備える位相差オートフォーカスセンサ15の位置に対応した位置に表示されるオートフォーカス領域を示すものである。なお、撮像素子14で得られた撮像信号に基づくコントラスト検出方式のオートフォーカスを行なう場合においても、これらAF指標75と位置的にほぼ対応する素子の信号を用いてオートフォーカスを行なうことができる。
【0027】
図8は、本発明の実施の形態に係るカメラシステムにおける遠隔操作処理について説明するフローチャートである。まず、PC6の表示部74に表示されている画像上において、ユーザがマウス78を用いることにより任意の領域が指定されたか否かを判断する(ステップS20)。即ち、図9に示すように、表示部74に表示されている画像上において、P1及びP2の2点を指定することにより、四角形状の領域S1が指定されたか否かを判断する。この領域S1は、P1、P2が指定されると、表示部74上でスルー画像上に重畳表示されるものである。
【0028】
領域の指定が行われた場合には(ステップS20)、指定された領域の中心P3を算出する(ステップS21)。即ち、図9に示すように、P1及びP2の2点により指定された領域S1の中心の位置P3を示す座標等を算出する。
【0029】
次に、算出された中心の位置P3と、表示部74の中心(画像表示領域の中心/図9中のAF指標75cの位置)との間の距離を算出し(ステップS22)、算出された距離に基づいて台座66の駆動を指示する駆動指示信号を生成する(ステップS23)。なお、ステップS22における処理では、次のようにして表示部74の中心と、算出された中心P3との間の距離を、表示部74における画素数として算出する。ここで、画素数は、水平方向の画素数及び垂直方向の画素数それぞれについて、ずれている方向と共に、例えば、右へ400画素、上へ120画素等というように算出される。
【0030】
また、例えば、表示部74の一部にウィンドウ形式で画像が表示されている場合には、表示部74に表示されている画像表示領域の中心と、マウス78により指定された領域の中心との間の距離を表示部74における画素数として算出する。また、例えば、表示部74に複数の画像が分割表示されている場合には、分割された表示部74における中心と、その分割された表示部74においてマウス78により指定された領域の中心との間の距離を表示部74における画素数として算出する。
【0031】
次のステップS23では、データ記憶部76に記憶されている移動量変換テーブルを参照し、表示部74における水平方向の画素数及び垂直方向の画素数を、それぞれ撮像素子14における水平方向の画素数及び垂直方向の画素数に換算する。次に、換算された画素数に対応する台座66の移動量、即ち、台座66の回転駆動量を示す回転角度を水平方向及び垂直方向のそれぞれについて算出し、水平方向(右方向又は左方向)への回転角度及び垂直方向(上方向及び下方向)への回転角度を示す駆動指示信号を生成する。
【0032】
次に、指定された領域を表示部74に拡大表示する際の倍率を指示する拡大倍率指示信号を生成する(ステップS24)。即ち、図9において示すP1及びP2の2点により指定された領域S1を、表示部74において、図10に示す状態で表示すべく拡大倍率を算出し拡大倍率指示信号を生成する。具体的には、領域S1の指定が行われた際に表示部74に表示されていた画像領域74の横方向の辺の長さと指定された画像領域S1の横方向の辺の長さとの比率を算出する。同様に、表示されていた画像領域74の縦方向の辺の長さと指定された画像領域S1の縦方向の辺の長さとの比率を算出する。次に、算出された横方向の辺の長さの比率と、算出された縦方向の辺の長さの比率との平均値を算出し、算出された平均値を拡大倍率とする拡大倍率指示信号を生成する。
【0033】
次に、生成された駆動指示信号及び生成された拡大倍率指示信号を通信制御部72を介して送信する(ステップS25)。即ち、駆動指示信号を雲台4に、拡大倍率指示信号を電子カメラ2に、それぞれ送信する。
【0034】
雲台4においては、PC6から送信された駆動指示信号を通信制御部62を介して受信し、受信した駆動指示信号に基づいて台座66を駆動する。即ち、駆動指示信号により指示された水平方向(右方向又は左方向)への回転角度及び垂直方向(上方向又は下方向)への回転角度を満たすように台座66を回転駆動させる。
【0035】
また、電子カメラ2においては、PC6から送信された拡大倍率指示信号を通信制御部44を介して受信し、受信した拡大倍率指示信号をMPU28を介して一時的にメモリ36に記憶する。次に、MPU28においてメモリ36から取り出した拡大倍率指示信号に基づいて、駆動モータ58を駆動させることによって、ズーム用レンズ52を駆動制御する。即ち、ズーム用レンズ52を駆動制御することによって、PC6の表示部74において図9で指定された領域が図10に示す状態で表示されるべく、ズーム用レンズ52の駆動が行われる。なお、ズーム用レンズ52の駆動処理と共に、指定された領域の被写体にピントを合わせる処理を行うようにしてもよい。例えば、電子カメラ2に最も近い位置、即ち、最至近に存在する物体や人物等に焦点を合わせるべく、焦点の自動調整を行うようにしてもよい。
【0036】
本実施の形態に係るカメラシステムによれば、PC上で任意に指定した領域S1の中心P3を算出し、該算出された中心P3が表示部74の中心となるように、遠隔操作により雲台を駆動させ電子カメラの向きを変更することができると共に、遠隔操作により電子カメラのズーム用レンズの駆動を制御して画角の変更を行い(光学的な画角の変更を行い)、指定された領域を表示部において拡大表示することができる。
【0037】
また、上述の実施の形態によれば、撮影者がPC6の表示部74上で拡大表示したい領域S1を指定すると、その指定された領域S1が表示部74の表示画面いっぱいに拡大されて表示されることになる。この手法には以下のようなメリットがある。例えば、表示74上で拡大表示させたい場所の指定を、その場所の中心点の1点(拡大中心位置)の指定だけで行なう方式であると、その中心位置を中心にどの範囲の画像が拡大表示されるのかを、拡大表示実行前に撮影者が認識することができない。しかながら本実施形態の方式であれば、拡大表示が実行される前に、撮影者は、拡大して表示される画像の中心位置だけでなくその領域S1を表示部74上で認識(視認)することもできるので、領域S1を指定する方式は、撮影者の意図(撮影者が拡大表示させたい領域)を正確に反映させた拡大表示領域の指定、及びその拡大表示を行なうことが出来る。
【0038】
なお、本実施形態において、図10の表示を行なった後に、マウス78のホイールを回転操作した場合には、その操作量に応じてズームレンズがズーム駆動されることになるので、表示部74上では、AF指標75cの位置を中心として拡大/縮小されたスルー画像が表示されることになる。
【0039】
また、上述の実施の形態においては、駆動指示信号として、台座の回転角度及び回転方向を指示しているが、駆動指示信号として回転方向のみを指示するようにしてもよい。即ち、実施の形態に係るカメラシステムにおいては、電子カメラからリアルタイムに画像データがPCに送信され表示部に表示されている。従って、PCにおいて、指定された位置が表示部の中心と一致したか否かを判断し、中心が一致した時点で雲台に対して駆動停止信号を送信し、台座の駆動を停止させるようにしてもよい。
【0040】
また、上述の実施の形態においては、表示されている画像領域の縦横の辺の長さと、指定された領域の縦横の辺の長さの比率に基づいて拡大倍率を算出しているが、その他の方法により拡大倍率を算出するようにしてもよい。例えば、領域の指定が行なわれた際に表示部に表示されていた画像領域と、指定された画像領域との形状が略相似形状となっている場合には、表示されていた画像領域の面積と、指定された画像領域の面積との比率に基づいて拡大倍率を算出し、拡大倍率指示信号を生成するようにしてもよい。
【0041】
また、上述の実施の形態においては、位置指定装置としてマウスを用いているが、位置指定装置はマウスに限定されるものではない。即ち、トラックパッドやトラックボール等のその他のポインティングデバイスを用いるようにしてもよい。
【0042】
また、上述の実施の形態においては、最至近に存在する物体又は人物に自動的に焦点を合わせるべく合焦を行なっているが、ユーザが任意に選択したフォーカスエリアに焦点を合わせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係るカメラシステムの概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子カメラのブロック構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る雲台のブロック構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る雲台の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る雲台の動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る遠隔操作装置(PC)のブロック構成図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像の表示状態の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る遠隔操作処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る領域の指定について説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る指定された領域の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
2・・・電子カメラ、4・・・雲台、6・・・遠隔操作装置(PC)、8・・・ケーブル、10・・・撮影レンズ、14・・・撮像素子、22・・・焦点検出部、28・・・MPU、44・・・通信制御部、50・・・合焦用レンズ、52・・・ズーム用レンズ、58・・・駆動モータ、60・・・駆動制御部、62・・・通信制御部、64・・・駆動モータ、66・・・台座、70・・・データ制御部、72・・・通信制御部、74・・・表示部、76・・・データ記憶部、78・・・マウス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して撮像信号を生成する撮像素子を備える電子カメラと、該電子カメラを装着可能な台座を有する雲台と、前記電子カメラ及び前記雲台と通信可能な遠隔操作装置とを備えるカメラシステムであって、
前記電子カメラは、
前記撮像信号を処理して画像データを出力する処理部と、
前記画像データを前記遠隔操作装置に送信する通信制御部とを備え、
前記雲台は、
前記台座を水平方向及び垂直方向に回動駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する駆動制御部と、
前記遠隔操作装置との間の通信を制御する通信制御部とを備え、
前記遠隔操作装置は、
前記電子カメラから送信された前記画像データを受信する受信部と、
前記受信部により受信された画像データにより示される画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された画像上の任意の領域を指定する位置指定装置と、
前記位置指定装置により指定された領域の中心を算出する中心算出部と、
前記中心算出部により算出された前記中心が、前記表示部の中心に位置するように前記台座の駆動を指示する駆動指示信号を生成する駆動指示信号生成部と、
前記駆動指示信号を前記雲台に送信する送信部とを備え、
前記雲台は、前記遠隔操作装置から送信された前記駆動指示信号に基づいて、前記駆動制御部により前記駆動部を制御して前記台座を回動駆動することを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記電子カメラは、ズームレンズを含む撮影光学系と、
前記ズームレンズを駆動制御するレンズ駆動制御部とを更に備え、
前記遠隔操作装置は、前記位置指定装置により指定された任意の領域を前記表示部に拡大表示するための拡大倍率を示す拡大倍率指示信号を生成する拡大倍率指示信号生成部を更に備え、
前記遠隔操作装置の前記送信部は、前記拡大倍率指示信号を前記電子カメラに送信し、
前記電子カメラは、前記遠隔操作装置から送信された前記拡大倍率指示信号に基づいて、前記レンズ駆動制御部により前記ズームレンズを駆動制御することを特徴とする請求項1記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記拡大倍率指示信号生成部は、前記任意の領域を、前記表示部の表示領域の大きさに対応する大きさに拡大表示するための拡大倍率を算出する拡大倍率算出部を含むことを特徴とする請求項2記載のカメラシステム。
【請求項4】
電子カメラから送信された画像データを受信する受信部と、
前記受信部により受信された画像データにより示される画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された画像上の任意の領域を指定する位置指定装置と、
前記位置指定装置により指定された領域の中心を算出する中心算出部と、
前記中心算出部により算出された前記中心が、前記表示部の中心に位置するように雲台の台座の駆動を指示する駆動指示信号を生成する駆動指示信号生成部と、
前記駆動指示信号を前記雲台に送信する送信部と
を備えることを特徴とする遠隔操作装置。
【請求項5】
前記位置指定装置により指定された任意の領域を、前記表示部に拡大表示するための拡大倍率を示す拡大倍率指示信号を生成する拡大倍率指示信号生成部を更に備え、
前記送信部は、前記拡大倍率指示信号生成部により生成された拡大倍率指示信号を電子カメラに送信することを特徴とする請求項4記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前記拡大倍率指示信号生成部は、前記任意の領域を、前記表示部の表示領域の大きさに対応する大きさに拡大表示するための拡大倍率を算出する拡大倍率算出部を含むことを特徴とする請求項5記載の遠隔操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−294954(P2008−294954A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140733(P2007−140733)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】