カメラペンのための光学部品
カメラペンのための小型化された光学部品(36)は、板状であり、物体面の画像を透過させるように構成された結像部(36’)と、物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部(36”)との、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備える。結像部および照明部を設けるために、例えば画像生成表面構造、照明制御表面構造、放射光フィルタ、迷光遮蔽部、および開口絞りなどの受動光学素子が部品に組み込まれてよい。これらの光学素子は、平板基板上の明確な表面構造および層として設けられてよい。光学部品は、これらの光学部品を複数備えるウエハ構造として製造されてよい。カメラ筐体(22)には、光学部品(36)のための第1の取付構造(56)と、画像を検出するように構成された画像センサ(11)のための第2の取付構造(64)と、照明光を生成するように構成された放射源(13)のための第3の取付構造(66)とが設けられてよい。スタイラス(8)を受けるための細長いガイド管(24)が、カメラ筐体(22)の外壁部の細長い凹部(28)に受けられて組み合わされてよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願では、2007年3月28日に出願されたスウェーデン特許出願第0700785−9号、および2007年3月28日に出願された米国仮特許出願第60/907318号の利益を主張し、当該両出願は引用されることによりここに組み込まれているものとする。
【0002】
本発明は、概して電子ペンの改良に関し、特にカメラペンに関する。
【背景技術】
【0003】
カメラペンは、製品表面の画像を取り込むための小型カメラを含むことが知られている。例えば、米国特許出願公開第2004/0179000号明細書、国際公開第2005/057471号、および米国特許出願公開第2003/0075673号明細書を参照されたい(特許文献1〜3参照)。
【0004】
一般に、そうしたカメラは、CCDセンサ、1個以上の結像レンズ、開口絞り、放射光フィルタ、照明用LED、LEDから発された照明光の向きを変えたり成形をする光学部品類などの、多数の別部品の集まりとして設計される。これらの部品は数が多い上に小さいので、組立作業が困難かつ時間のかかるものとなりかねない。さらに、許容差の累積の問題を回避するため、カメラは厳しい組立許容差で設計される必要がある場合がある。従って、たとえ小さな寸法で製造されたとしても簡単に高精度で組み立てられるカメラ設計が必要である。
【0005】
従来技術のペンは、個々のペン設計用にカスタマイズされたカメラを有する。カメラ設計には、許容できるペン方向、被写界深度、視野、スタイラス先端に対する視野の位置、照明の明るさ、組立および製造上の許容差などの間の、複雑なトレードオフが伴う。従って、ペンの設計および/または使用法のわずかな変更でさえ、カメラを適合させるために広範な開発作業が生じてしまう場合がある。カメラ設計に対するこうした高い要求事項を緩和することが望ましいということは明らかである。
【0006】
電子ペンは、ペンのスタイラスが製品表面と接触していることをペンの処理部に示すスタイラスセンサを含む場合がある。例えば、米国特許出願公開第2005/0030297号明細書を参照されたい(特許文献4参照)。一般に、スタイラスセンサは、スタイラスの長手方向の動きに反応する。従って、ペンは、スタイラスが長手方向に可動となるように設計されなければならない。ペンが筆記に用いられる場合、スタイラスのこの動きは、ユーザの筆記感を損なうことがある。さらに、スタイラスの突き出るペンの前端を密封するために特別な配慮をしないと、水分とほこりがペンに入り込む恐れがある。従って、代替となる接触センサが電子ペンには必要である。
【0007】
電子ペンは、特定の目的のために、つまり所定の機能を提供するために、設計される。代替の、または追加の機能が望まれる場合、ユーザは別の電子ペンを購入する必要がある。解決策の一つは多目的なペンを提供することであろうが、そのようなペンはより高価になり、また所望の機能が欠落する可能性も残る。従って、電子ペンに機能を追加するための簡単で効率的な方法が必要である。
【0008】
また、電子ペンは、筆記用インクや電力などの、時々補充される必要があるかもしれない消費物も含む。補充のため、ユーザは、インクのスペアカートリッジまたは充電器のような、付加的な装置を携帯することが必要な場合がある。これらの装置を忘れることはよくあることだが、そうした時、ペンは最後には動作不能になってしまう。従って、電子ペンの消費物の補充を容易にする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0179000号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/057471号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0075673号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0030297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術の上記の問題を全面的または部分的に克服することである。
【0011】
概して、本発明の目的は、独立請求項に係る、あるいは従属請求項に定められた好ましい実施の形態に係る光学部品、ウエハ構造、カメラペン、製造方法、カメラペンにおける方法、コンピュータ可読媒体、電子ペン、電子ペンにおける方法、および電子ペンのための保護キャップによって、少なくとも部分的に達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、カメラペンのための光学部品に関し、この部品は、板状であり、物体面の画像を透過させるように構成された結像部と、物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部との、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備える。このような、別々の結像部および照明部を持つ板状の光学部品は、小さな寸法で製造され得るものであり、しかも、扱いやすく、カメラペンの小型カメラに高精度で取り付けやすい。また、この部品は、結像部と照明部との明確な関係も考慮している。さらに、結像部および照明部を設けるために、例えば画像生成表面構造、照明制御表面構造、放射光フィルタ、迷光遮蔽部、および開口絞りなどの受動光学素子を部品に組み込むことが可能である。これらの光学素子は、平板基板上の明確な表面構造および層として設けられてよい。究極的には、光学部品は、結像と照明の両方を定めて、カメラペンの完全な光学系を形成してよい。
【0013】
光学部品は、このような光学部品を複数備えるウエハ構造として製造されてよい。この目的のため、光学部品は、以下の方法に従って製造されてよい。すなわち、板状のウエハ基板を用意し、同一の光学部品を複数画定するように受動光学素子をウエハ基板に付けることを含む方法において、光学部品のそれぞれは、物体面の画像を透過させるように構成された結像部と、物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部との、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備えることを特徴とする方法である。こうすることで、光学部品を高精度で一括製造することができる。また、ウエハ基板を用意することにより、検査と生産管理も簡単になるが、これは、個々の部品を、加工されたウエハ基板の一部分という状態のまま検査してよいからである。
【0014】
カメラペンは、カメラ筐体を内蔵してよく、筐体は、光学部品のための第1の取付構造と、画像を検出するように構成された画像センサのための第2の取付構造と、照明光を生成するように構成された放射源(光源)のための第3の取付構造とを備える。このようなカメラ筐体は、扱いやすく、また光学部品、画像センサ、および放射センサ(光センサ)を配置する際に許容差の連鎖を短くするであろう。
【0015】
カメラペンは、スタイラスを受けるための細長いガイド管をさらに備えてよく、ガイド管は、カメラ筐体の外壁部の細長い凹部に受けられて組み合わされる。この設計は、コンパクトなカメラ、ひいては細いペンを提供する。というのも、この設計では、カメラ筐体をスタイラスに近づけ得るからである。また、この設計は、小型軽量も提供する。これは、スタイラスは筐体の材料を貫いて延びる必要がなく、その代わりに、筐体の外側に組み合わされたガイド管を貫いて延びるからである。また、この設計は、筐体に対するスタイラスの横方向の位置を明確にすることや、カメラ筐体の材料とガイド管の材料とを別々に最適化するという選択肢も提供する。
【0016】
第2の態様によれば、本発明はカメラペンに関し、カメラペンは、表面の画像を生成するように構成された結像系と、画像を記録するように構成された画像センサとを備えるカメラペンであって、結像系は、可変焦点レンズを備え、カメラペンは、画像から導出されたパラメータに応じて、可変焦点レンズのために焦点制御信号を生成するように構成された制御部をさらに備えることを特徴とするカメラペンである。第2の態様は、カメラペンにおける方法であって、結像系によって生成された表面の画像を記録するために画像センサを制御し、そのように記録された画像からパラメータ値を導出し、パラメータ値に基づいて結像系の焦点距離を制御することを含む方法をさらに含む。
【0017】
このように、本カメラペンは、従来技術の固定焦点カメラよりも汎用性のある装置である可変焦点カメラを含む。おそらくわずかな調整を施すだけで、同一の可変焦点カメラを異なるカメラペンに用いることが可能である。焦点制御は、カメラペンでデータ取り込みに用いられる画像に基づいて行われると好適であり、これにより、付加的な画像取り込み回路を導入する必要が減る。カメラの焦点距離を制御することにより、結像系に要求される被写界深度を、固定焦点カメラと比較して著しく浅くしてよい。これにより、カメラ設計時の複雑さを減らすことが可能になり得る。
【0018】
ある実施の形態において、パラメータは、表面に本質的に一様に分布させられたコード記号を表す。例えば、パラメータは、個々の画像中のコード記号の数を表してよい。そのようなパラメータは、既知の符号化パターン上でペンが操作されている時はいつでも、画像から容易に導出できる。
【0019】
ある実施の形態において、ペンは、画像センサによって新しい一連の画像を取り込もうとするたびに、開始手順を実行してよい。この開始手順は、例えばペンが表面と接触させられることによりトリガをかけられる。開始手順は、内部メモリから少なくとも1つの開始値を取り出し、開始値に基づいて初期焦点制御信号を出力することを含んでよい。開始値は、データ損失を最小化するように計算されてよく、例えば、ペンが最初に表面に当てられる時のペンの通常の向きに結像系の焦点距離を適合させるようにする。開始値は、ペンの実際の動作状態を反映するために選択的に更新されてよく、そうして更新された開始値は、ペンの内部メモリに格納されてよい。
【0020】
データ損失を最小化するさらに別の実施の形態では、開始手順は、少なくとも2つの異なる所定の焦点距離に結像系を制御し、結果として得られたパラメータの値を解析することを含んでよい。
【0021】
第3の態様によれば、本発明は電子ペンに関し、電子ペンは、スタイラスを受けるための細長いガイド管と、スタイラスに対する力の印加を示す出力信号を生成するセンサとを備える電子ペンであって、センサは、ガイド管とスタイラスとの間の静電容量を表すパラメータを測定するように動作することを特徴とする電子ペンである。第3の態様は、電子ペンにおける方法であって、電子ペンは、スタイラスを受けるための細長いガイド管を備え、方法は、ガイド管とスタイラスとの間の静電容量を表すパラメータを検知し、スタイラスに対する力の印加を示す出力信号を、パラメータに応じて生成することを含むことを特徴とする方法をさらに含む。
【0022】
この態様は、スタイラスが長手方向に可動であることを必要とせずに、スタイラスと表面との接触を示すことができる。長手方向に固定されたスタイラスによって、筆記感が向上する可能性があり、またほこりや水分に対してペンの前端を密封するのが容易になる。
【0023】
ある実施の形態では、静電容量の変化を増やすために、ペンは力の印加の際にスタイラスを横方向に片寄らせるようにスタイラスの末端と係合する傾斜した制御面を持つ支持部をさらに備えてよい。
【0024】
第4の態様によれば、本発明はカメラペンに関し、カメラペンは、表面との相互作用のための先端を持つスタイラスと、表面の画像を記録するように構成されたカメラシステムと、マイクと、マイクの出力信号に基づいてカメラペンを低電力状態と高電力状態との間で選択的に切り替えるように構成された制御部とを備える。第4の態様は、データ取り込み回路とマイクとを含む電子ペンにおける方法であって、マイクから出力信号を受信し、出力信号に基づいてデータ取り込み回路を低電力状態と高電力状態との間で選択的に切り替えることを含む方法をさらに含む。
【0025】
この態様は、スタイラスが長手方向に可動であることを必要とせずに、スタイラスと表面との接触を示すことができる。長手方向に固定されたスタイラスによって、筆記感が向上する可能性があり、またほこりや水分に対してペンの前端を密封するのが容易になる。ある実施の形態では、マイクの出力信号によって示される特徴的な振動に基づいて、スタイラス先端と表面との初期接触が識別される。
【0026】
さらに、マイクは、筆記音を検出する付加機能を有してよい。筆記音は、ペンの周囲の音の録音をきれいにするために用いられる。周囲音は、前述のマイクで検出してもよいし、あるいは専用の別マイクで検出してもよい。
【0027】
第5の態様によれば、本発明は電子ペンであって、電子ペンは、細長い本体と、本体の前端部と取り外し可能に係合するように構成された保護キャップとを備える電子ペンであって、保護キャップは、ペンに消費物を供給する手段を備えることを特徴とする電子ペンである。第5の態様は、電子ペンのための保護キャップであって、電子ペンの前端部と取り外し可能に係合する手段と、電子ペンと動作可能に係合させられた時に電子ペンに消費物を供給する手段とを備える保護キャップも含む。
【0028】
保護キャップは、たいていは電子ペンに不可欠な部分と見なされるものなので、この態様により、消費物の蓄えを必要なだけペンと共に確実に携行できる。
【0029】
ある実施の形態において、保護キャップは、ペンに電力を供給する内蔵電源を備える。別の実施の形態では、保護キャップは、マーキング液をペンに供給する貯蔵部を備える。
【0030】
第6の態様によれば、本発明は、データ取り込み機能を提供する電子ペンに関し、電子ペンは、データ取り込み回路を収容する細長い本体と、本体の前端部と取り外し可能に係合するように構成された保護キャップとを備え、保護キャップは、電子ペンに機能を追加する手段を備えることを特徴とする電子ペンである。第6の態様は、データ取り込み機能を提供する電子ペン、のための保護キャップであって、電子ペンの前端部と取り外し可能に係合する手段と、電子ペンと動作可能に係合させられた時に電子ペンに機能を追加する手段とを備える保護キャップも含む。
【0031】
この態様は、ペンに機能を追加するための簡単で効率的な方法を提供する。保護キャップは、たいていは電子ペンに不可欠な部分と見なされるものであり、従って必然的にペンと共に持ち運ばれる。さまざまの異なるキャップが提供されてよく、それぞれが独自の機能をペンに追加する。これにより、単にキャップを取り換えるだけで異なる機能がペンに追加されてよい。
【0032】
ある実施の形態において、上記手段は、ポインタ機能またはフラッシュライト機能を提供する放射源(光源)と、画像取り込み能力を提供するカメラシステムと、電子ペンの既存のカメラシステムの光学特性を変更する光学系と、電子ペンのデータ取り込み回路から送出されたデータを処理するデータ処理回路と、データ格納能力を提供する不揮発性メモリと、電子ペンの通信能力を拡張する無線送信部と、のうちの少なくとも1つを備える。
【0033】
本発明のさらなる目的、特徴、態様、および効果は、以下の詳細な開示から、添付の従属請求項から、そして図面から、明らかになるであろう。
【0034】
次に、本発明の例示的な実施の形態について、添付の概略図を参照してさらに詳しく説明する。概略図では、同一の参照番号を用いて類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、既知の電子ペンの平面図であり、選択された内部部品を示す図である。
【図2】図2は、既知のカメラペンの平面図であり、選択された内部部品を示す図である。
【図3】図3は、カメラペンのカメラモジュールの実施の形態の側面図である。
【図4】図4は、図3のカメラモジュールの正面図である。
【図5】図5は、図3のカメラモジュールの斜視図であり、カメラモジュールのさらなる詳細を説明する図である。
【図6】図6は、図3のカメラモジュールの斜視図であり、カメラモジュールのさらなる詳細を説明する図である。
【図7】図7は、図3〜6のモジュールに組み付けられる光学部品の側面図である。
【図8】図8は、図7の部品の上面図である。
【図9】図9は、図7〜8の部品を一括製造する工程を説明する一連の側面図である。
【図10】図10は、カメラペンにおけるカメラの焦点制御のための構成のブロック図である。
【図11】図11は、ペンと目標物との異なる傾斜のための、カメラペンの被写界深度の必要条件を説明する図である。
【図12A】図12Aは、可変焦点レンズの実施の形態の側面図である。
【図12B】図12Bは、可変焦点レンズの別の実施の形態の断面図である。
【図13A】図13Aは、カメラペンの、動作範囲と被写界深度との関係を示すグラフである。
【図13B】図13Bは、カメラペンが、2つの焦点を切り替えて動作範囲をカバーするためにどのように制御され得るかを示すグラフである。
【図14A】図14Aは、情報を符号化する既知のドットパターンの図である。
【図14B】図14Bは、図14Aのドットパターンの画像において、ドット数が物体距離に応じてどのように変化するか、の例を示すグラフである。
【図15】図15は、静電容量の変化によってペンダウン/ペンアップを検出する実施の形態の断面図である。
【図16】図16は、振動センサによってペンダウン/ペンアップを検出する実施の形態を組み込んだ電子ペンの平面図である。
【図17A】図17Aは、ペンに付帯機能を提供し、または消費物を供給するための、キャップと電子ペンとのさまざまな係合方法を説明する平面図である。
【図17B】図17Aは、ペンに付帯機能を提供し、または消費物を供給するための、キャップと電子ペンとのさまざまな係合方法を説明する平面図である。
【図17C】図17Aは、ペンに付帯機能を提供し、または消費物を供給するための、キャップと電子ペンとのさまざまな係合方法を説明する平面図である。
【図18A】図18Aは、ペンにインクを供給するためのキャップ−ペン構成の断面図である。
【図18B】図18Bは、キャップに放射源を持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【図18C】図18Cは、キャップにカメラを持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【図18D】図18Dは、キャップに光学系を持つキャップ−ペン構成の断面図である。
【図18E】図18Eは、キャップにデータ処理回路を持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【図18F】図18Fは、キャップに不揮発性メモリを持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【図18G】図18Gは、キャップに無線送信部/送受信部を持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(全体)
以下の説明では、電子ペンのさまざまな態様を中心に論じる。一般に、電子ペン1は、ペン形状のケーシング4に封入されたデータ取り込み回路2を備えており、これは図1に示す通りである。ペンは、データ送信部3と、取り込まれたデータをさらに処理する処理部5と、データ格納のためのメモリ6と、バッテリなどの内部電源7と、製品表面Sを指すと共に随意に表面に印を付けるスタイラス8とを含んでもよく、あるいは、含まなくてもよい。
【0037】
ペンは、ペンダウン検出部(Pen Down Detector、PDD)10をさらに備えてよい。PDD10は、ペン1が製品表面Sに関して動作位置にあることを示す信号を生成するものである。PDD10からの信号によって、データ取り込み回路2および/または処理部5および/または送信部3を選択的に作動させてよい。これにより、電力を多く消費する主要な部品はペンが動作位置にある時だけ完全に作動させられるので、ペンの電力消費が低減する。PDD10は、典型的には、電気機械式スイッチとして、ペンの前端部に実装されるか、あるいはスタイラス8が長手方向に可動である場合には、スタイラスの末端に実装される。また、PDD10は、例えば国際公開第03/069547号に開示されたように、例えば、PDDに組み込まれた、力を感知する材料によって、スタイラス8に印可された実際の力を検出するように構成されてもよい。
【0038】
電子ペンの種類の1つはカメラペンであり、カメラペンでは、データを製品表面Sの画像という形で取り込むように、データ取り込み回路2が構成される。画像は次に、データ抽出のためにペンの内部または外部で処理されてよい。ある例では、画像から相対位置または絶対位置が導出されて、製品表面上でのペンの動きが表現される。別の例では、バーコードまたはマトリックスコードのような、画像中の機械可読符号から、データが抽出される。さらに別の例では、手書きまたは印刷されたテキストが画像において識別され、文字認識のために処理される。
【0039】
位置決定のため、製品表面Sは特別に形式を定められてもよいし、定められなくてもよい。前者の場合、製品には、製品表面の絶対位置を符号化する符号化パターンが設けられてよく、これについては、例えば米国特許第6663008号明細書を参照されたい。後者の場合、ペンは、製品表面全体の画像を取り込んで、製品表面の角および縁を基準として位置が定められ得るようにしてよく、これについては、例えば国際公開第2004/077107号を参照されたい。あるいは、部分的に重なり合う一連の画像を相互に関係づけることによってペンの動きの電子的なトレースが決定されてよく、これについては、例えば米国特許第6985643号明細書を参照されたい。さらには、製品表面で反射されたコヒーレントな放射を解析することによって位置が導出されてもよく、これについては、例えば米国特許第6452683号明細書を参照されたい。
【0040】
このようなカメラペン1は、画像を記録する電磁放射センサ11を持つカメラまたはカメラシステム2’を備えてよく、これは図2に示す通りである。また、カメラ2’は、製品表面Sの画像を放射センサ11に映す結像系12を含んでもよい。センサ11は、放射を感知する素子でできた表面で、または放射を感知する別々のデバイスの2次元配列で、構成され得る。センサおよび結像系は、典型的には光学的なものであるが、代わりに、製品表面の何らかの好適な特性を示すように構成されてもよい。この特性とは、磁気的特性、静電容量特性、誘導特性、化学的特性などである。カメラペンが、図1のペンと同様にさらなる部品を含んでよいことは理解されよう。
【0041】
カメラ2’は、製品表面Sの、結像系12の視野(Field of View)FoV内を照明する放射源13を備えてもよく、この照明光を視野に対して方向付け、および/または成形するためのビーム制御システム(図示しない)が設けられてもよい。
【0042】
最後に、電子ペンにおける位置決定の技術が他にも提案されていることに留意されたい。そのような技術は、製品表面と接触するローラボールの動きを検知すること、複数の外部の放射源または超音波源から受信した信号に基づいて位置を三角測量すること、ペンに組み込まれた加速度センサからの信号を処理すること、スタイラスと結びつけられた歪みセンサからの信号を処理すること、および上記の技術の任意の組み合わせを含む。
【0043】
以下、いくつかの異なる態様の好ましい実施の形態について詳しく説明する。これらの態様は、特にカメラペンに関するものであるが、いくつかの事例では電子ペン全般に関するものである。これらの態様は、カメラペンのためのコンパクトなカメラ、カメラペンのための汎用性のある結像系、電子ペンのための代替となるPDDデバイス、および電子ペンのための多機能な保護キャップを含む。
【0044】
全体として、以下に説明または暗示される方法および処理は、適用できる限りにおいて、処理装置によって実行されるプログラム命令として実施されてよいことが理解されよう。例えば、プログラム命令は、コンピュータ可読媒体で、または電気的な搬送信号で搬送されて、または読み出し専用媒体に収録されて、処理装置へ提供されてよい。
【0045】
(カメラの設計)
図3〜4は、カメラペンのためのカメラモジュール20を模式的に説明する図である。モジュールは、カメラ筐体22と、細長いスタイラス8をカメラ筐体22に対して配置する管状ガイド部24とを含む。筐体は、製品表面の画像を生成して電子的に取り込むのに必要な撮像部品を保持するように構成される。ガイド部24は、筐体22の上壁26に組み込まれる。
【0046】
このカメラモジュールは、いくつかの潜在的利点を有する。例えば、筐体22、ひいては撮像部品をスタイラス8に近づけられ、それによってカメラペンを細く設計することができるので、コンパクトな設計が可能になる。さらに、ガイド部24が、筐体22内に封入されず、逆に筐体22の外部表面の一部として組み込まれるので、小型軽量を維持できる。それでいて、この設計によれば、高い強度と耐久性も得られる。また、この設計では、許容差の連鎖を短くでき、筐体22に対するスタイラス8の横方向の位置が明確に定まる。
【0047】
筐体22とガイド部24とは、例えば接着、溶着、締め付け、固定具の使用、ねじ等によって、組立工程で組み合わせられるように構成された2つの別部品であってよい。図示された実施の形態では、ガイド部24の周囲面が、筐体22の上壁26の、開けた溝28に受けられる。溝28は、ガイド部24の端面と係合する支持部30を有し、それによって、組立工程の際にガイド部24を長手方向に位置決めするようになっている。当然のことながら、溝28は、ガイド部24、ひいてはスタイラス8を筐体内の光学部品に対して所望の傾斜で配置するように、筐体22に対して任意の傾斜を有し得る。このような傾斜は、例えばカメラモジュール20の視野をスタイラス8の先端の近傍に位置させるために望ましい場合がある。
【0048】
図示の2部品設計は、製造を容易にする可能性を有する。これは、例えば、ガイド部24および筐体22それぞれを製造するために、個々に最適化された異なる生産技術を用いてよいからである。また、異なる部分の許容差を考慮して製造も最適化してよく、それによって製造コストを低減してもよい。さらに、ガイド部24および筐体22を異なる材料から作成してよい。
【0049】
しかしながら、組立作業を削減するために、ガイド部24および筐体22の一体構造も考えられる。
【0050】
スタイラス8がガイド部24内で長手方向に可動であってもなくてもよいことは留意されてよい。従来のPDD10(図1)には、一般に可動なスタイラス8が必要であるが、この必要性を緩和または解消するために、以下に説明する新しいPDDが本カメラモジュール20に組み込まれてよい。
【0051】
図5〜6は、カメラ筐体22の実施の形態をより詳しく説明する図である。カメラ筐体は、CMOS、CCD、またはCIDセンサのような2次元の放射センサ11と、LEDまたはレーザーダイオードのような照明光の放出源13と、製品表面の画像を放射センサ11に映すように働くと共に放出源13からの照明光を製品表面に向けるように働く単一の光学部品36とを配置するように構成される。
【0052】
光学部品36について、図7〜8でさらに説明する。この部品は、ユニット構造であり、結像部36’および照明部36”を画定するさまざまな受動光学素子を含む。これらの部は、該当する波長範囲において透明な、共通の基板38に並んで形成される。好適な基板材料の例としては、ガラス、サファイア、プラスチック等がある。
【0053】
結像部36’は、表面レンズ構造40と開口絞り42とを含み、これらは、結像面において、所望の被写界深度でノミナルな物体面の画像を生成するように設計され構成される。レンズ構造40と開口絞り42とは、好適には基板38の反対側に設けられ、開口絞り42が物体面に面するようにされる。代替となる実施の形態(図示しない)では、レンズ構造40と開口絞り42とは基板38の同じ側に配置されるが、現在は、これらの素子の間に間隔をあける方がより柔軟な設計を行うことができると考えられている。例えば、基板の厚さは、例えば像面湾曲または主光線角度に関して、望ましい間隔が得られるように選択されてよい。典型的には、基板38の厚さはおよそ0.5〜2mmである。
【0054】
レンズ構造40は、例えば図7に示す曲面のような屈折面として形成されてよい。ある実施の形態において、曲面は偶数次非球面である。あるいは、またはさらに、レンズ構造40は、フレネルレンズ構造のような回折素子を備えてよい。コントラストに対する要求が高い場合は、屈折面の方が好ましい場合がある。レンズ構造40の直径は、およそ0.5〜2mmくらいでよい。
【0055】
開口絞り42は、レンズ構造40と位置を合わせて基板38に施された非透過性コーティングの開口、として形成される。コーティングは、任意の好適な材料でできていてよい。そのような材料の1つは、よく使われるメッキ材料である黒色クロムである。
【0056】
結像部36’は、限られた波長範囲の放射を選択的に透過する放射光フィルタ44’をさらに備えてよい。好適には、この波長範囲は、照明光の波長を含む。ある例において、フィルタ44’は、近赤外放射(Near-Infrared Radiation、NIR)を透過し、それより短い波長を遮る。フィルタ44’は、基板38に施されたコーティングであってよく、コーティングは、基板のどちらかの側か、あるいは両側に施されてよい。コーティングは、吸収フィルタまたは干渉フィルタを形成してよい。代替となる実施の形態では、コーティングは、基板材料に分散させられた吸収性の物質で置き換えられ、または補われる。
【0057】
結像部36’は、迷光が結像面に達するのを防ぐバッフル46をさらに備えてよい。そのような迷光は、物体面の視野FoV(図2)の外側から生じる。バッフル46は、開口絞り42を形成する材料と同様に、非透過性材料の開口として実装されてよい。
【0058】
照明部36”は、放出源13(図5)からの照明光のビームを成形および/またはその向きを変えるように設計された表面レンズ構造48を備える。レンズ構造48は、基板38のどちら側に配置されてもよいが、製造上の理由から、両レンズ構造を基板の同じ側に有する方が好ましい場合がある。レンズ構造48は、(図7に示すように)回折性であってもよいし、屈折性であってもよい。コスト効率の良い方法で前述のビーム成形能力を達成するには、回折構造の方が好ましい場合がある。
【0059】
照明部36”は、結像部36’のフィルタ44’と同様の放射光フィルタ44”を備えてもよい。
【0060】
光学部品36は、必要な光学素子すべてが一体化された、コンパクトな、ユニット式の小型部品として設けられてよい。商業的な実施の形態において、この部品は、およそ5mm×2mmの底面形状を有してよい。
【0061】
構造40、48は、射出成形、エンボス加工、リソグラフィ、エッチング、機械加工等のような、任意の好適な技術によって基板に設けられてよく、その際、コーティング42、44’、44”、46が、蒸着、メッキ、塗装等のような、付けるための任意の好適な技術によって付けられる。光学部品36を製造するための現時点で好ましい工程については、図9を参照して後述する。
【0062】
次に、図5〜6に戻って、上記の部品36を内蔵する図3〜4のカメラモジュール20の実施の形態について、さらに詳しく説明する。モジュール20の筐体22は、前端50と後端52との間に延びる。筐体22は、管状のスタイラスガイド部24の周囲と対応するように構成された長手方向の凹部28を設けられるだけの十分な厚さを持つ上壁を有する。筐体の前端は、開口56を有しており、開口56は、光学部品36のための取付部を画定して、取り付けられた部品の結像部36’と照明部36”とを筐体内で結像室58と照明室60とに対してそれぞれ位置合わせするようになっている。これらの室58、60は、前端50と後端52との間に延びる、穴のあいていない長手方向の仕切り62によって隔てられる。部品36が取り付けられると、前方の開口56は部品36でふさがれる。
【0063】
ガイド部24の中心軸から離れた幾何学的平面に結像室58と照明室60とを並べて配置することによって、カメラモジュール20のコンパクトな設計が実現される。これにより、カメラモジュールは、結像室58と、照明室60と、スタイラス8とを、モジュールの前方から見て三角形のそれぞれの角へ配置する(図4の点線を参照されたい)。この三角形は、二等辺三角形であってもよいが、その必要はない。
【0064】
筐体22の後端は、放射センサ11のための取付部64を有する。取付部64は、放射センサ11の有効表面、すなわち放射を感知する領域11’が結像室58と位置合わせされ、かつ結像室58の方を向くように、配置される。これにより、カメラモジュール20は、有効表面11’を光学部品36の結像面に位置させるように構成される。
【0065】
筐体22は、照明室60の、前方の取付部56から所定の距離に放出源13のための取付部66をさらに備え、ビーム制御レンズ構造48(図7)からノミナルな距離のところに放出源13を配置するようになっている。ノミナルな距離は、部品36に入射するビームの特性がレンズ構造48のビーム制御機能と整合するように設定される。
【0066】
結像室58は、放射センサ11と、部品36の結像部36’と、仕切り62と、側壁68とによって画定される。側壁には、放射トラップを形成するように開口70が画定される。トラップ70は、物体面(図2)の視野FoVから来ずに部品36を通過してくる照明光を集めて減衰させるように配置される。トラップ70は、ペン本体に通じていてもよいし、例えば、部品の外側に放射吸収テープなどを付けることによって、密封されてもよい。
【0067】
筐体22は、ユニット部品として作成されるのが好適であり、モールド成形、機械加工等のような任意の好適な技術によって製造されてよい。ある実施の形態において、筐体はプラスチック材料製である。別の実施の形態では、壁厚を薄くして外形寸法を小さくできるように、筐体は金属製である。
【0068】
モジュール20はペンの前端に位置するので、モジュールの大きさはペンのデザインに大きな影響を及ぼす。従って、モジュールを小型化すること、特に横寸法を小さくすることが必須であろう。小型にしておくために、いくつかの壁部分が省略されてよい。図5〜6はそのような一例を示しており、これらの図では、照明室60の側壁が省略されている。同様に、底壁を省略して、照明室60および結像室58を露出させるようにしてもよい。必要であれば、これらの側面は、例えば放射吸収テープなどの、別個のシート材を貼り付けることによって、全体的または部分的に密封することもできる。また、このような筐体22の壁開放設計によって、筐体の製造を単純化できる場合もある。
【0069】
図9は、図7〜8に示された種類の光学部品36を製造する工程を示すための図である。この工程は、板状の基板からひとまとまりの光学部品を製造するものであり、図9は、全工程を通じて基板がどのように変化するかを示す。
【0070】
このように、本工程は、ガラスまたはプラスチックのような好適な材料でできた板状のウエハ基板38を基部とするものであり、これがいくつかの工程ステップで変えられていく。ウエハ基板は、典型的には、形状の安定した材料でできた円盤または長方形の板である。基板材料は、該当する波長範囲において透明である必要がある。所定の波長の透過を選択的に遮るために、基板材料に吸収性の成分が分散させられてもよいし、分散させられなくてもよい。図9の点線は、説明の目的だけのために含めてあるが、個々の光学部品の位置を示している。
【0071】
ステップ902において、フィルタ材料でできた1以上の層形状の薄いコーティング44がウエハに施され、吸収/干渉フィルタ44’、44”が形成される。部品の結像部および照明部には、各部に必要な透過特性に応じて、異なるコーティングが施されてよい。
【0072】
続くステップ903では、各部品の迷光バッフル46を形成するために、ウエハの放射光フィルタ44’上に非透過性コーティングが選択的に施される。
【0073】
ステップ904では、変形可能な材料でできた一様なフィルム72が、ウエハに貼り付けられる。この変形可能な材料は、可塑的に変形可能な状態か、粘性のある状態か、または液体状態にあることが好適である。ある実施の形態において、変形可能な材料は、熱可塑性材料か、例えばエポキシ樹脂などの樹脂である。
【0074】
ステップ905では、結像レンズ構造40およびビーム制御レンズ構造48が上記の変形可能なフィルムにエンボス加工される。その際、複製ツールをフィルム72に押しつけることによってエンボス加工されると好適である。複製ツールは、好適には、フィルム72に形成されるレンズ構造40、48の反転という構造的特徴をもつ複製面を有する。複製面は、すべてのレンズ構造が1回のエンボス加工ステップで形成されるように、少なくともウエハと同じ大きさであってもよいし、あるいは、ウエハ表面にわたってエンボス加工を繰り返すことによってレンズ構造が形成されるように、ウエハより小さくてもよい。そして、結果として得られた複製は、複製面を取り除いた後に、あるいは複製面が変形可能なフィルムと接触している間に、例えばUV硬化によって硬化させられる。
【0075】
ステップ906では、結像レンズ構造40と位置を合わせて、ウエハの反対側にさらなる非透過性コーティングが施されて、各部品の開口絞り42が形成される。
【0076】
最後に、ステップ907において、加工されたウエハが個々の光学部品36へと切断される。
【0077】
上述の製造工程によれば、簡単、効率的、かつ安価に、そして十分な精度で、光学部品の大量生産を行うことができる。また、検査と生産管理も簡単になるが、これは、個々の光学部品を、加工されたウエハの一部分という状態のまま検査できるからである。
【0078】
代替技術を用いてウエハ上にレンズ構造を生成できることに留意されたい。例えば、マスク等による従来の光構造化技術または電子ビーム構造化技術を用いて、ウエハ上にレジストパターンを形成することが可能である。このレジストパターンを回折レンズ構造として用いてもよいし、あるいは、レジストパターンで露出したウエハ材料をエッチングして、所望の形状のレンズ構造を生成してもよい。さらに、上記のステップが他の順序で行われてよいこと、そしていくつかのステップがまとめて省かれてよいことが理解されよう。
【0079】
(カメラの制御)
カメラペンのカメラ2’(図2)は、一般に、スタイラス先端8の一方の側に位置する視野FoV内で画像を取り込む。このため、カメラと、例えば一枚の紙のような、典型的にはおおむね平坦な目標物である物体との距離は、ペンの向きによって、すなわち物体とカメラとの間の広範囲な角度にわたって、著しく変化する。従って、カメラは、ペンが物体上で操作された時に起こり得る物体距離の全範囲にわたって十分な品質の画像を取り込めるように、深い被写界深度を有するように設計される。そのようなカメラは、典型的には高いF値を有しており、結像面、ひいては放射センサ11にはわずかな光しか届かない。このため、放射センサ11の感度および/または放射源13の明るさに対する要求も高くなってしまう。
【0080】
図10は、これらの高い要求を軽減し得るカメラ2’を示す。カメラ2’は、可変焦点レンズ80を含む。レンズ80の焦点の位置、ひいてはカメラ2’の焦点距離は、先に取り込まれた画像Iから導出されたパラメータpによって与えられる物体距離に応じて制御される。焦点距離を物体距離に応じて調整できれば、必要な被写界深度を浅くすることが可能になる。被写界深度は、物体とカメラとの間の所定最大角度でペンによって取り込まれた画像において物体がまたがっている物体距離範囲、に相当してさえいれば十分である。これは、被写界深度を著しく浅くすることにつながり得る。例えば、本出願人から市販されているカメラペンはおよそ8mmの被写界深度を必要とするが、上記の原理を実装することによって、これをおよそ2.5mmにまで浅くすることが可能である。この改良について、図11でさらに説明する。同図は、スタイラス先端と物体表面Sとの接触点まわりの2つの異なる傾き(−45度、+45度)について、視野の範囲を模式的に示す図である。視野内における当該情報の位置を太線で示す。明らかに、この当該情報は画像から得られなければならず、それによって被写界深度の最小値に対する要求が決まる。可変焦点レンズがある場合とない場合に必要とされる被写界深度を、それぞれFD1およびFD2で示す。
【0081】
図12Aは、可変焦点レンズ80の、ある実施の形態を示す。ここでは、アクチュエータ81が、レンズ部品82に動作可能に接続され、電気制御信号cに応じて部品82を光軸に沿って動かすように構成される。アクチュエータ81は、ピニオン86’とラック86”の構成と共に微小機械モータ84を含んでよい。ピニオン86’とラック86”の構成は、モータのトルクを部品82の直線運動に変換するためのものであり、部品82はラック86”に固定的に接続される。あるいは(図示しない)、部品82は、電気活性な(例えば圧電性の)材料上の複数の表面構造上に配置されてもよい。その場合、表面構造は、電圧の印加によって制御可能であり、構造の表層面において同期的に振動して、小刻みなスティックスリップで部品82を動かすようにされる。さらにまた(図示しない)、アクチュエータ81は、部品82の回りに螺旋状に巻かれた、ねじれた圧電性曲げテープを含んでよい。これは国際公開第02/103451号に記載された通りであり、テープへの電圧の印加によってテープの長さが変化し、その結果、螺旋構造の主軸に沿って部品82が直線運動する。さらに別の代替手法では(図示しない)、アクチュエータ81は、いわゆるボイスコイル構成を含んでよい。その場合、部品82に取り付けられ、かつ磁場に囲まれるように配置された巻線を通る電流を駆動することによって動きが制御される。
【0082】
図12Bは、可変焦点レンズ80の別の実施の形態を示す図であり、この可変焦点レンズ80では、焦点を移動させるためにレンズ面の形が変えられる。レンズ80は「液体レンズ」であり、フィリップス社によって開発されて国際公開第03/069380号に記載されたレンズと同等のものである。レンズ80は、毛細管を形成する円筒電極88を備え、これが透明前部要素90と透明後部要素92とによって密封されて、2つの流体を含む流体室を形成する。2つの流体は、典型的には液体A、Bである。2つの液体A、Bは非混和性であり、よってこれらの界面にメニスカスlが形成される。液体Aは電気絶縁性、液体Bは導電性であり、両者は異なる屈折率を有する。円筒電極88は、流体接触層94でコーティングされている。層94は、電圧を印加されると、液体Bに対する濡れ性が変化する。そして、濡れ性が変化すると、メニスカスlの形も変化する。こうして、液体レンズ80の焦点距離が、円筒電極88と、流体室の一端に配置された環状電極96との間に印加される電圧に応じて制御されてよい。レンズ80は、半径およそ1〜2mmまでの小さな寸法で製造可能であり、これはカメラペンのための小型カメラへの組み込みに好適な寸法である。液体レンズの代替構成は、特に米国特許出願公開第2005/0002113号明細書、米国特許出願公開第2006/0126190号明細書、米国特許出願公開第2006/0152814号明細書、およびそれらの参照文献で知られている。
【0083】
図10に戻るが、カメラ2’は、制御モジュール100によって制御されてよい。制御モジュール100は、解析モジュール102から導出されたパラメータ値pに基づいて、可変焦点レンズ80のアクチュエータ81のために制御信号cを生成して出力するものである。解析モジュール102は、カメラの画像センサ11によって、または別の光デバイス(図示しない)によって取り込まれた画像Iからパラメータ値pを導出する。制御信号cの生成は、制御モジュール100が現在のパラメータ値pを代数式に入力すること、または制御モジュール100が現在のパラメータ値pを入力として1つ以上の参照用テーブル等の好適なデータ構造にアクセスすることを含んでよい。制御モジュール100および解析モジュール102は、マイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアで実装されてもよいし、および/または、ASIC、DSP、FPGA等のような専用ハードウェアで実装されてもよい。
【0084】
焦点制御を安定させるには、画像Iからパラメータ値pを常に導出できるように保証することが必要であろう。図13Aに示すように、ペンは、許容できる最短物体距離と最長物体距離との差によって与えられる動作範囲OPR(図11のFD2と同等であり、物体表面に対するペンの傾きの最悪の場合によって与えられる)を持つように設計される。カメラは、より限られた被写界深度FDを焦点Fの前後に有する。検出される画像が動作範囲OPRにわたって十分に鮮明となるように、この焦点Fの位置が変えられる。焦点Fは、動作範囲OPRにわたって連続的に調整されてもよいし、あるいは、所定の段階の間で調整されてもよい。図13Bは、F1およびF2の2つの焦点だけにカメラが切り替えられて動作範囲をカバーする実施の形態を示す。
【0085】
画像フレームレートが70〜100Hzであれば、当然のことながら、ペンが手で表面上を動かされている間の画像間での物体距離の変化は、比較的ゆっくりしたものになる可能性が高い。従って、ある画像について適切なパラメータ値を導出することが可能になり次第、後続の画像すべてについてカメラの焦点を十分に制御することができる。
【0086】
制御モジュール100および解析モジュール102は、画像取り込み処理と同期して動作するのが好適である。制御モジュール100および解析モジュール102が画像取り込み処理のフレームレートで動作することも考えられるが、代わりに、画像間の物体距離の変化がカメラの被写界深度に対して小さいと予想される場合には、このフレームレートの何分の1かで動作してもよい。例えば、物体距離が30mm/sよりもゆっくり変化すると予想され、かつ画像フレームレートが100Hz、被写界深度が2.5mmである場合には、100×2.5/30=8.33Hzの制御レートを用いれば十分である。これはつまり、制御信号cが12画像ごとに更新されるということである。もちろん、例えば焦点制御の精度を向上させるために、より高い制御レートを用いることもできる。
【0087】
焦点制御に用いることのできる画像パラメータは、いくつか考えられる。
【0088】
ある実施の形態では、パラメータ値は、現在の画像の平均コントラストを表す。平均コントラストを計算する方法は、簡単、高速であり、当業者に周知である。
【0089】
別の実施の形態では、解析モジュール102は、現在の焦点ぼけを表すパラメータ値を導出する。そのような実施の形態では、焦点ぼけは、位相比較による焦点検出に基づいて比較的高い精度で導出されてよい。位相比較による焦点検出は、当業者に周知である。
【0090】
さらに別の実施の形態では、パラメータ値は、現在の画像から導出された方向データによって与えられる。そのような方向データは、例えば線形変換行列もしくは同次変換行列によって与えられるパースペクティブデータ、またはそれから抽出されるデータを含んでよい。あるいは、またはさらに、方向データは、傾斜角(すなわちカメラの光軸と物体との間の角)とスキュー角(すなわちペンの縦軸回りのカメラの回転)との組み合わせ、またはそれから導出されたデータを含んでもよい。さらに別の実施の形態では、方向データは、平均物体距離を含む。平均物体距離は、物体とペンの基準点との間の距離として与えられる。ペンの基準点は、典型的には放射センサである。方向データの計算は、例えば、表面上の図形的な符号化パターンの一般的な特性のような、表面の既知の特性に基づいて行われてよい。方向データを計算するための異なる方法およびシステムについては、米国特許第7050653号明細書、米国特許第6929183号明細書、および米国特許出願公開第2002/0048404号明細書に開示されている。
【0091】
さらなる実施の形態では、パラメータ値は、現在の画像から導出された倍率によって与えられる。
【0092】
パラメータ値が、現在の画像から検出された、物体表面の特性または特性の組み合わせを直接反映することも考えられる。例えば、図形的なコード記号の所定の配列で構成された位置符号化パターンが表面にある場合は、検出された画像中のコード記号の数がセンサと表面との距離に応じて変化する。パラメータ値は、画像中の個々のコード記号またはコード記号要素の個数であってよい。
【0093】
図14Aは、既知の符号化パターンの例を示す図であり、この符号化パターンは、本出願人によって開発され、米国特許第6,663,008号明細書などに記載されたものである。このパターンは、規則的な格子形態を基準として配列された印(ドット)で構成される。印のそれぞれが符号値を表してよく、符号値は、印と格子形態における印の基準点とのずれの方向によって与えられる。また、格子形態の位置を示す印(図示しない)が設けられてもよい。このパターンは、既知の(ノミナルな)密度の印を有しており、検出された画像で認識される印の数が、画像センサと符号化された表面との間の距離に応じて変化する。図14Bは、ドット数が物体距離に応じてどのように変化し得るかの例を、カメラペンのある特定の設計について示す図である。図14Bの関係を用いれば、解析モジュール102によって計算された現在の画像中のドット数を示すパラメータ値に基づいて適切な焦点制御値を出力するように、制御モジュール100を設計できる。
【0094】
前置きとして言及したように、ペンは、ペンが表面に十分接近している時に画像の取り込み/処理を開始するように構成されてよい。ペンの接近は、例えばペンダウン検出部(PDD)によって示される。制御モジュール100は、取り込まれた画像から適切なパラメータ値が導出されるまでは、カメラの焦点を調整できない。従って、ペンダウン時には、データを損失する潜在的なリスクがある。このリスクを低減するために講じられるべき対策は、各種存在する。
【0095】
対策の一つは、動作範囲OPRの全体においてパラメータ値が導出され得るように、符号化パターンを設計することであろう。例えば、符号化パターンは、動作範囲OPR内では焦点ぼけにかかわらず可視となるように調整された記号などの、合焦専用の特徴を1つ以上含んでよい。そのような合焦用の特徴をコード記号自体が含んだり提供したりすることも考えられる。例えば、たとえ被写界深度FDの外に位置するコード記号の画像を復号できなくても、そのような画像中のコード記号の数を導出し、この数に基づいて焦点を制御することは可能かもしれない。
【0096】
別の対策としてあり得るのは、制御モジュール100が、データ損失を最小化するように導出されたデフォルトの開始値によって与えられる焦点に、カメラ2’を設定することである。カメラはこうして、ペンダウン時に最も可能性の高い物体距離に開始時の焦点を合わせるように制御されてよい。そのような開始値は、例えばペンを物体に当てる時のユーザの通常の迎え角を反映するように、ユーザ特有の特徴に基づいて計算されてよい。開始値は、時間をかけて事前に計算されて固定されてもよいし、ペンの実際の使われ方に基づいて間欠的に更新されてもよい。例えば、開始値は、所与の数の先行ストロークまたは所与の期間(秒、分、日など)のような、所与の先行する間隔について計算された平均物体距離を反映するように設定されてよい。あるいは、開始値は、直前のストロークの最初または最後に制御モジュールによって用いられたパラメータ値で与えられてもよいし、直前のストロークの間に導出されたパラメータ値の(随意に重み付けされた)平均で与えられてもよい。
【0097】
さらに別の対策としてあり得るのは、結果として得られる画像から適切なパラメータ値を導出することができるまで、異なる開始値の間で切り替えるように制御モジュール100を設計することである。こうすると、異なる開始値によって、動作範囲OPR内で異なる焦点にカメラが設定されることになる。これにより、カメラは、十分に鮮明な画像が取り込まれるまで動作範囲を走査するように制御される。好適には、この走査は、カメラの被写界深度に対応する段階で行われる。従って、図13Bの例に戻ると、カメラはペンダウン時に焦点F1およびF2の間で切り替えられてよい。切り替えレートが画像フレームレートと同等である場合は、最大データ損失は1画像か、またはおそらく数画像である。
【0098】
制御モジュール100および解析モジュール102が画像フレームレートの何分の1かの制御レートで動作させられている場合は、ペンダウン時に、取り込まれる画像のうちの1つから適切なパラメータ値を導出できるまで、つまり焦点制御が正しく動作するようになるまで、より高い制御レートを用いることによって、データの損失を低減させることができる。
【0099】
上記の対策を組み合わせてカメラ制御の頑健性をさらに向上させられることは明らかである。
【0100】
カメラペンが異なる動作モードの間で切り替え可能となることもまた可能である。その場合、各モードにおいて、ペンが、画像の処理/復号に、および/または復号されたデータの後処理に、異なるアルゴリズムを適用するようにする。異なるモードにおいて物体表面に対するペンの向きに違いが生じる可能性がある場合、ペンは、そのようなモードごとに専用の開始値を格納し、取り出してよい。例えば、カメラペンは、異なる種類の機械可読符号を読み取るために異なるモードに設定されてよい。さらに、ペンは、例えばスタイラスを介してペンが物体表面と物理的に接触した状態で物体表面からデータを読み取るために、接触モードで用いられてよく、また、ペンが物体表面上の低い距離範囲内に保持された状態で物体表面から位置を読み取るために、空中モードで用いられてよい。空中モードの結果として、ディスプレイ上のカーソル位置の実時間制御のために、復号された位置がペンから外部装置へストリーミングされてよい。空中モードにおいて、ペンは、3次元の位置データ、すなわち復号された位置とペンの物体表面に対する距離とを出力するように制御されてよく、これによりペンは、例えばジョイスティックに似た3D制御に用いられ得るようになる。
【0101】
当然のことながら、上述の可変焦点カメラは、従来技術のカメラペンで用いられる固定焦点カメラよりも汎用性がある。同じ可変焦点カメラを、おそらくはわずかな調整だけで、異なる種類のカメラペンに用いることができる。また、可変焦点を備えることによって、許容できるペン方向、被写界深度、視野、スタイラス先端に対する視野の位置、照明の明るさ、組立および製造上の許容差などのような、1つ以上のカメラ設計パラメータに対する要求を設計者が緩和できる場合もある。
【0102】
(ペンダウン検出)
既知の電子ペンにおいては、ペンダウン検出部(PDD)は、スタイラスの長手方向の動きに反応する。そのためにはスタイラスが可動である必要があり、筆記感に悪影響の出る恐れがある。また、スタイラスが可動になっていると、ほこりや水分に対してペンを適切に密封するのが困難な場合もある。
【0103】
図15は、スタイラスの長手方向の動きが働く必要のないPDD構成10’を示す。この構成は、スタイラス8および円筒管110を備え、両者は、1対の電極を構成するよう、少なくとも部分的に導電性材料で作られる。これらの電極は、固体誘電体112、すなわち電気絶縁体によって互いに間隔をあけられる。磁器、ガラス、プラスチック、ゴム等のような、任意の好適な誘電体を用いることができる。PDD構成10’は、両電極に電気的に接続された検出部114をさらに含む。検出部114は、ペンが製品表面と接触しているか否かを示すのに十分な電極間の電圧の変化を検出するように構成されてよい。このような検出部は、当業者に周知である。
【0104】
検出される変化は、少なくとも部分的に、スタイラス8が製品表面に降ろされた時にスタイラス8に入る電荷またはスタイラス8から逃げる電荷に起因するものであってよく、および/または、電極間の実際の静電容量の変化に起因するものであってよい。
【0105】
また、PDD構成10’は、管110内でのスタイラス8の小さな横方向の動きを許すように設計されてもよい。これは、柔軟な誘電体112をPDD構成に含めることによって実現されてよい。こうすることによって、スタイラス8が製品表面と接触して操作されると、スタイラス8と管110との間隔がわずかに変化し、その結果、これらの素子間の静電容量に相応の変化が生じることになる。静電容量の変化は、感圧性の誘電体、すなわち圧縮されると誘電率が高くなる材料を用いることにより、強められてよい。
【0106】
PDD構成10’は、スタイラスが表面に押し当てられた時にスタイラスの横方向の動きを引き起こすガイド要素115をさらに含んでよい。図15の実施の形態では、ガイド要素は、スタイラスの末端と係合する傾斜した制御面を有し、スタイラスが制御面の方へ押されるとスタイラスが横方向に片寄るようになっている。ガイド要素115は、管110などの、ペン内部の動かない部分に固定的に接続されてよい。
【0107】
例えば、ユーザが空のインク筆記用スタイラスを交換できるようにするために、または異なる種類のスタイラスを取り換えられるようにするために、スタイラス8がペンから取り外し可能であることが望ましい場合がある。そのような実施の形態の1つでは、誘電体112は管110の内側の裏張りまたはコーティングとして設けられ、それによってスタイラス8が管110に滑り込んだり管110から滑り出たりできるようになっている。好ましくは、スタイラス8は、スタイラス8を検出部114に電気的に接続するコネクタ/接点116と接触するまで滑り込まされる。スタイラス8が誘電体112への滑りばめによって所定の位置に保持されると好適である。別の変形例では、スタイラス8と、管110と、誘電体112とが交換可能なユニットを構成し、ユニットは、ペン内の管状ガイド部(図示しない)に摺動可能に受けられる。ユニットは、好適には、スタイラス8と管110とをそれぞれ検出部114に電気的に接続する1対のコネクタ/接点116、と接触するまで滑り込まされる。
【0108】
図16は、振動の検出によって動作するPDD構成10’を示す。PDD構成10’は、スタイラス8の長手方向の動きを許すように設計されてもよいし、されなくてもよい。
【0109】
このように、ペンは振動センサ120を備えてよく、振動センサ120は、スタイラス8と関連付けて配置されてもよいし、されなくてもよい。ある実施の形態において、振動センサ120は、スタイラス8が製品表面S上に降ろされた時、および引き続きこの表面上で操作された時に、スタイラス8によって生成される振動を拾うように、スタイラス8のためのガイド/保持部122に取り付けられる。別の実施の形態(図示しない)では、センサ120は、スタイラス8自体に取り付けられる。振動センサ120の出力信号を解析するために、制御部または処理部124が接続される。これらの信号がペンダウンを示すたびに、制御部124は、データ取り込み回路2や、もしあれば他の回路を、選択的に作動させてよい。ある実施の形態では、制御部124は、スタイラス8が表面Sに当てられた時に生成される特徴的な振動を識別することによってペンダウンを検出するように構成される。同様に、制御部124は、ペンが表面Sから持ち上げられたことを振動信号が示した時に、データ取り込み回路2などの回路の作動を止めてよい。
【0110】
ある実施の形態では、振動センサ120はマイクである。このマイクは、スタイラスの振動を取り込むように構成されることと、ペンの外部の音(環境音)を取り込むように構成されることとの、二重の用途を有してよい。取り込まれた音を位置などの他のデータと同期させて記録するように、ペンの処理部が構成されてよい。そのようなペンは、例えば米国特許第6665490号明細書に記載されたように、記録された音を記録された手書きメモと結びつけることを可能にしてよい。
【0111】
取り込まれる環境音は、筆記音のせいで低品質な場合がある。そのような筆記音は、スタイラスの動きによるクリック音と、スタイラス先端と製品表面との間の摩擦による擦過音とを含む場合がある。そのような筆記音は、結果として生じた音声トラックに対して、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで実装される雑音低減アルゴリズムを動作させることによって低減されてよい。
【0112】
そのような雑音低減の効果は、筆記音を含む一方の音声トラックと、環境音および筆記音を含む他方の音声トラック、という2つの音声トラックを同期させて記録することによって改善されてよい。雑音低減は、両方の音声トラックが環境音および筆記音を含んでいても実現可能である。
【0113】
このような訳で、ペンは、二重用途のマイク1つの代わりに、2つのマイク120、126を含んでよい。これらのマイクのうち一方が筆記音の取り込み専用、他方が環境音の取り込み専用とされてもよいし、両方のマイクが環境音および筆記音の両方の取り込みに等しく用いられてもよい。マイク120、126からの出力信号は、2つの同期可能音声トラックを生成して格納する制御部124によって受信されてよい。
【0114】
カメラペン(図2参照)では、振動データの解析をペンカメラ2’によって取り込まれた画像の解析と組み合わせることによって、上記の構成を改良することが考えられる。そのような組み合わせは、ペンアップ検出用には簡単に実装できる。なぜなら、カメラ2’は、ペンダウンによって作動させられて、ペンアップ検出のために解析され得る画像を提供するからである。例えば、ペンアップは、振動データおよび画像データの両方で確認された場合に限って示されてよい。そのような画像データは、画像倍率と、物体距離と、画像中のコード記号の平均表面積と、画像中のコード記号の個数と、のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0115】
ペンダウン検出を改良するためにも画像データが同様に用いられてよい。ただし、これには、ペンが表面Sから持ち上げられている時にカメラ2’が動作状態である必要がある。電力消費を制限するため、持ち上げられたペンを、低い画像フレームレートでカメラが動作する低電力モードに設定し、ペンダウンによって、通常の画像フレームレートでカメラが動作する通常電力モードにペンが入るようにすることが考えられる。
【0116】
(ペンキャップの機能)
電子ペンがその前端でキャップを受けることは知られている。ペンが前端に筆記用の先端を有する場合、キャップは、例えばペンがユーザのポケットに入れられて運ばれている時に、インクが不注意で出されてしまうのを防ぐ働きをしてよい。ペンが前端にカメラなどのデータ読取部を有する場合、キャップは、ペンの前端に露出している任意の読取部品を保護する働きをしてよい。
【0117】
電子ペンに他の付帯物を設けることが望ましい場合がある。しかし、ユーザの観点からすると、付帯物をいつ携帯すべきかが分かりにくい。最もありがちなのが、必要な時に利用できないということである。
【0118】
ゆえに、そのような付帯機能を保護キャップに組み込むことが提案される。なぜなら、このキャップはペンと共に持ち運ばれる可能性が高いからである。
【0119】
図17A〜17Cは、キャップ130を操作してペン1に付帯機能を設けるさまざまな方法を示す。すべての図において、ペン1は、スタイラスおよび/またはデータ読取部のような前端器具132と、ペンの内部リソース136に接続された機械的および/または電気的なインターフェース134とを有する。キャップ130は、対応するインターフェース138を有し、インターフェース138は、キャップに取り付けられた付帯物140に接続される。キャップインターフェース138は、キャップの内側に配置されて、キャップ130がペン本体と係合させられた時にペンインターフェース134と接続するようになっている。
【0120】
図17Aでは、キャップ130は、ペン前端(左側)に取り付けられた時には単に保護的な機能を有し、ペン前端の反対側のペン末端(右側)に取り付けられた時には付加的な付帯機能を有する。
【0121】
図17Bでは、キャップ130は、ペン前端に延長された第1の位置(左側)に取り付けられた時には単に保護的な機能を有し、ペン前端がさらにキャップに挿入される第2の位置(右側)に取り付けられた時には付加的な付帯機能を有する。キャップ130およびペン1には、第1および第2の位置を定めるための協働係合要素(図示しない)が設けられてよい。そのような係合要素は、ねじ山、取り外し可能なスナップ結合部、バヨネット結合部などを含んでよい。例えば、キャップ130は定位置までねじ込まれてもよいし、あるいは定位置まで押し込まれ/引き抜かれてもよい。
【0122】
図17Cでは、キャップ130は、ペン前端の保護と付加的な付帯機能の提供との両方に働く、ただ1つの位置を有する。
【0123】
次に、消費物をキャップ130からペン1に移送する働きをする、さまざまな付帯機能の例を挙げる。
【0124】
キャップ130は、ペン1の内部電源に電力を供給する電源を収容してよい。具体的には、キャップ付帯物140は、ペンの充電式電池に電力を供給するための、電池またはマイクロ燃料電池を含んでよい。あるいは、キャップ付帯物140は、ペン1内部の内蔵マイクロ燃料電池に燃料(例えば水素、メタノール、プロパン等)を供給するための燃料容器を備えてよい。別の変形例では、キャップ付帯物140は、ペン1の充電式電池に充電電力を供給するための主電源コネクタを、随意に電力変換器と共に、備えてよい。さらに別の変形例では、ペンは電源を一切収容しないが、その代わりに、キャップに配置された電源から電力を受け取る。
【0125】
前述のマイクロ燃料電池は、DMFC(Direct-Methanol Fuel Cell、ダイレクトメタノール型燃料電池)、PEM(Proton Exchange Membrane、プロトン交換膜)、PS(Porous Silicon、多孔質シリコン)、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell、固体酸化物燃料電池)等のような、利用可能な技術または将来の技術に基づいてよい。
【0126】
別の実施の形態において、キャップ付帯物140は、筆記用インクをペン1の筆記用器具に供給するためのインク容器を含んでよい。この筆記用器具は、ペン内部のインク室と、インク室と流体が通じている筆記用の先端とを備えてよい。そのような実施の形態では、筆記用インクをキャップのインク容器からペンのインク室へ機械的に流す機構をキャップが含んでもよいし、あるいは、例えばインクがキャップからペンへ流れ込むようにペンを向けることによって、重力の作用で筆記用インクを移送することもできる。
【0127】
図18Aは、主に毛管作用によってキャップ130から筆記用器具8へインクを引くように設計された実施の形態を示す。そのような毛管作用は、インクと物質との間の粘着しようとする分子間力がインク内部の凝集しようとする分子間力よりも強い時に生じる。ただし、本出願の関連では、「毛管作用」は、拡散も含むと意図されている。キャップ130は、インク容器150と、容器150の開口に配置されて筆記用器具8の先端と接触させられる毛細管状要素152とを内蔵する。毛細管状要素152の外部端は、先端と対応する形にされてもよいし、されなくてもよい。毛細管状要素152は、容器150から自動的にインクを引き出す、好適な毛細管状および/または多孔質の固体材料で作られる。そのような材料の非限定例としては発砲ゴムおよびフェルトがあるが、当業者は、必要な特性を示す多数の材料を必ず見いだすであろう。図18Aでは、キャップ130をペン1の前端に付けることによって、毛細管状要素152の外部端が先端と接触させられる。筆記用器具8のインクの量が少なければ、毛細管状要素152に含まれるインクが、毛管作用によって、そしておそらくは重力の作用によってこれが補われて、先端を伝って筆記用器具8へと移送される。筆記用の先端は、ボールペンのペン先、フェルトペンのペン先、万年筆のペン先等のような、好適な種類とすることができる。
【0128】
変形例では、毛細管状要素は省略される。すなわち、筆記用器具8の先端が直接、インク容器150の開口に係合させられる。開口を覆うように一方向弁(図示しない)を配置し、それによって、先端が容器150に入るのを許容すると共に先端が容器150から引っ込められると自動的に開口を密封するようにしてよい。医療分野で用いられるいわゆるシリンジバルブまたはセプタム弁などのような、任意の好適な一方向弁を用いてよい。当業者は、使用されるべき一方向弁の代替品を容易に見いだすであろう。
【0129】
これらの実施の形態のうちのある実装では、キャップ130がペン1の前端に付けられるたびに、先端がキャップ130のインクと接触させられる(図17C参照)。これにより、インク補充が自動的に、かつユーザに気付かれずに行われる。
【0130】
以下では、ペン1の機能を代わりに拡張して働く、異なる付帯機能について、図18B〜18Gを参照して説明する。図面には説明にとって重要と考えられる部分だけが含まれること、従って、図1〜2を参照して上述したようにペン/キャップがさらなる部品を含んでよいことは理解されるであろう。
【0131】
図18Bに模式的に示された、ある実施の形態において、キャップ付帯品は放射源160を含み、放射源160は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペンの内部電源7から電力を供給される。放射源160は、平行化された可視放射(可視光)を出力してよく、それにより、レーザーポインタに類似した遠隔ポインティングデバイスとして使用できる可能性がもたらされる。あるいは、放射源160は、発散する可視放射を出力してよく、それによりフラッシュライト/トーチとして使用できるようになる。
【0132】
図18Cに模式的に示された別の実施の形態では、キャップ付帯品はカメラ162を備え、カメラ162は、結像光学系および放射センサ(図示しない)を含む。キャップカメラ162は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペンの内部電源7から電力を供給されてよい。キャップ130は、取り込まれた画像またはその画像から導出されたデータを、PC、PDA、携帯電話などのような外部装置へ転送するための外部コネクタ163をさらに含んでよい。あるいは、こうして得られたデータがペン−キャップインターフェース134、138を介してキャップ130からペン1へ転送されてもよい。また、キャップ130がカメラ162のための電源166を収容することも考えられ、その場合は、カメラ162がペンの電源7から電力を供給される必要はない。キャップ130は、画像を取り込むようにキャップカメラ162にトリガをかける、押しボタン168などの手動アクチュエータをさらに含んでよい。カメラキャップ130は、カメラの付いていない電子ペンで使用されてもよいし、カメラペンと共に使用されてもよい。キャップ130によって与えられるカメラ機能は、所定の機械可読符号または印刷されたテキストものを読み取るための近視野能力を含んでもよいし、あるいは写真を撮るための遠視野能力を含んでもよい。
【0133】
図18Dに模式的に示された、さらに別の実施の形態では、キャップ付帯品は光学系170を含み、光学系170は、例えばレンズ、開口絞り、放射光フィルタなどの光学部品を1つ以上含む。光学系170は、ペンカメラ2’と連係するように設計されるが、これはペンカメラ2’の撮像能力を変更するためである。例えば、キャップ130は、キャップ130の光学系170をペンカメラの結像系12と位置合わせした状態で、ペンの前端に付けられてよく、それによってペンカメラの視野、焦点距離、被写界深度、および/または波長感度を変更してよい。例えば異なる符号に対して異なる視野が必要である場合には、キャップ130を取り付けることによって、特定の種類の機械可読符号を読み取るために設計されたペンを、異なる種類の機械可読符号を読み取るように適合させてよい。同様に、キャップ130によって符号読み取りペンをテキスト走査ペンに変換できるようにしてもよいし、その逆でもよい。また、キャップ130によって、写真撮影に好適な遠視野光学系を符号読み取りペンに設けてもよい。ペンは、ペンの前端の動作位置にキャップ130がいつ取り付けられたかを検知するキャップセンサ171をさらに含んでよい。ペンの処理部5は、そのようなキャップセンサ171の出力信号に基づいて、ペンカメラ2’によって取り込まれた画像を処理するための異なるアルゴリズムの間で切り替えてよい。
【0134】
図18Eに模式的に示された、さらに別の実施の形態では、キャップ付帯品はデータ処理回路172を含み、データ処理回路172は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペンから、画像またはその画像から導出されたデータを受信できる。こうして、データ処理が電子ペン1とキャップ130とに分散されてよい。ある極端な例では、ペン1自体は処理部を持たないか、または低級なプロセッサ5を有するという状態で、すべての、または本質的にすべてのデータ処理が、キャップの回路172によって実行されてよい。これにより、画像データを取り込んで、例えばコード記号の識別および復号といった処理および解析のためにキャップ回路172へ転送するカメラペンを提供することが可能になる。あるいは、ペン処理部5が、例えばコード記号を識別するために、画像を前処理するように構成され、識別されたコード記号の復号と、それに続く復号データの処理とが、こうして識別されたコード記号に基づいてキャップ回路172で実行されるようにしてもよい。
【0135】
カメラペンの潜在的な弱点の1つはその光学系である。カメラペンの光学系は、ほこり、水分、ごみに対して非常に敏感な場合がある。要求の厳しい環境または好ましくない環境で使用されると、カメラペンの寿命が限られる恐れがある。処理能力のすべて、またはいくらかをキャップに置くことによって、取替費用を低減できる可能性がある。なぜなら、キャップ130を保持したまま故障したカメラペン1だけを廃棄することが可能だからである。ペン1に配置される代わりにキャップ130に配置された電子部品のすべてについて、費用節減が改善することは明らかである。例えば、キャップ130は、復号されたデータの格納のためのメモリ174を含んでもよく、これにより、たとえカメラペン1が取り換えられたとしても復号されたデータは保持され得る、という効果が追加される。さらに、主なデータ処理がキャップ130で実行されれば、それぞれが独自の処理ハードウェアおよび/またはソフトウェアのセットを提供するさまざまなバージョンのキャップと共に、同一のカメラペン1を用いることが可能になる。こうして、カメラペン1は、キャップ130を別のものと取り換えることによって、「物理的にアップグレード」されてよい。
【0136】
図18Fに模式的に示された別の実施の形態では、キャップ付帯品は不揮発性メモリ176を含み、不揮発性メモリ176は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペン1から、画像またはその画像から導出されたデータを受信し、随意にこのインターフェース134、138を介してペンへデータを戻す。キャップ130は、受信された画像またはその画像から導出されたデータを、PC、PDA、携帯電話などのような外部装置へ転送するための外部コネクタ178をさらに含んでよい。こうして、キャップ130は、ペン1に付加的なデータ格納能力を提供してよく、さらに、データをペン1から外部装置に移すための移動データ媒体として働いてもよい。ある極端な例では、ペン1は、自前の内蔵の不揮発性格納能力を持たない。別の例では、キャップ付帯品は、SDカード、CFカード、スマートメディアカード、MMC、メモリースティック等のような、既知の種類のカードまたはカートリッジの形式の取り外し可能なメモリユニットのための受け部を含む。そのような取り外し可能なメモリユニットが、キャップメモリ176またはその一部を構成してよい。
【0137】
図18Gに模式的に示された、さらなる実施の形態では、キャップ付帯品は、外部装置Dと無線で通信する送信部または送受信部180を含む。キャップ130がペンに取り付けられると、送信部/送受信部は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペン処理部5にアクセス可能になる。これにより、キャップ130は、ペン1の通信能力を拡張する可能性を提供する。また、キャップ130は、ペン処理部5から受信したデータを1つ以上の通信プロトコルに準拠して変換するように構成された、および/または外部装置Dから受信したデータをペン処理部5によって解釈され得る形式に変換するように構成された、変換デバイス182も含んでよい。
【0138】
上記の実施の形態が任意の所望のやり方で組み合わせられ得ることは理解されるであろう。例えば、キャップは、放射源(光源)、カメラ、光学系、データ処理回路、不揮発性メモリ、および送信部/送受信部の、任意の組み合わせを収容してよい。
【技術分野】
【0001】
本出願では、2007年3月28日に出願されたスウェーデン特許出願第0700785−9号、および2007年3月28日に出願された米国仮特許出願第60/907318号の利益を主張し、当該両出願は引用されることによりここに組み込まれているものとする。
【0002】
本発明は、概して電子ペンの改良に関し、特にカメラペンに関する。
【背景技術】
【0003】
カメラペンは、製品表面の画像を取り込むための小型カメラを含むことが知られている。例えば、米国特許出願公開第2004/0179000号明細書、国際公開第2005/057471号、および米国特許出願公開第2003/0075673号明細書を参照されたい(特許文献1〜3参照)。
【0004】
一般に、そうしたカメラは、CCDセンサ、1個以上の結像レンズ、開口絞り、放射光フィルタ、照明用LED、LEDから発された照明光の向きを変えたり成形をする光学部品類などの、多数の別部品の集まりとして設計される。これらの部品は数が多い上に小さいので、組立作業が困難かつ時間のかかるものとなりかねない。さらに、許容差の累積の問題を回避するため、カメラは厳しい組立許容差で設計される必要がある場合がある。従って、たとえ小さな寸法で製造されたとしても簡単に高精度で組み立てられるカメラ設計が必要である。
【0005】
従来技術のペンは、個々のペン設計用にカスタマイズされたカメラを有する。カメラ設計には、許容できるペン方向、被写界深度、視野、スタイラス先端に対する視野の位置、照明の明るさ、組立および製造上の許容差などの間の、複雑なトレードオフが伴う。従って、ペンの設計および/または使用法のわずかな変更でさえ、カメラを適合させるために広範な開発作業が生じてしまう場合がある。カメラ設計に対するこうした高い要求事項を緩和することが望ましいということは明らかである。
【0006】
電子ペンは、ペンのスタイラスが製品表面と接触していることをペンの処理部に示すスタイラスセンサを含む場合がある。例えば、米国特許出願公開第2005/0030297号明細書を参照されたい(特許文献4参照)。一般に、スタイラスセンサは、スタイラスの長手方向の動きに反応する。従って、ペンは、スタイラスが長手方向に可動となるように設計されなければならない。ペンが筆記に用いられる場合、スタイラスのこの動きは、ユーザの筆記感を損なうことがある。さらに、スタイラスの突き出るペンの前端を密封するために特別な配慮をしないと、水分とほこりがペンに入り込む恐れがある。従って、代替となる接触センサが電子ペンには必要である。
【0007】
電子ペンは、特定の目的のために、つまり所定の機能を提供するために、設計される。代替の、または追加の機能が望まれる場合、ユーザは別の電子ペンを購入する必要がある。解決策の一つは多目的なペンを提供することであろうが、そのようなペンはより高価になり、また所望の機能が欠落する可能性も残る。従って、電子ペンに機能を追加するための簡単で効率的な方法が必要である。
【0008】
また、電子ペンは、筆記用インクや電力などの、時々補充される必要があるかもしれない消費物も含む。補充のため、ユーザは、インクのスペアカートリッジまたは充電器のような、付加的な装置を携帯することが必要な場合がある。これらの装置を忘れることはよくあることだが、そうした時、ペンは最後には動作不能になってしまう。従って、電子ペンの消費物の補充を容易にする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0179000号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/057471号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0075673号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0030297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来技術の上記の問題を全面的または部分的に克服することである。
【0011】
概して、本発明の目的は、独立請求項に係る、あるいは従属請求項に定められた好ましい実施の形態に係る光学部品、ウエハ構造、カメラペン、製造方法、カメラペンにおける方法、コンピュータ可読媒体、電子ペン、電子ペンにおける方法、および電子ペンのための保護キャップによって、少なくとも部分的に達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、カメラペンのための光学部品に関し、この部品は、板状であり、物体面の画像を透過させるように構成された結像部と、物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部との、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備える。このような、別々の結像部および照明部を持つ板状の光学部品は、小さな寸法で製造され得るものであり、しかも、扱いやすく、カメラペンの小型カメラに高精度で取り付けやすい。また、この部品は、結像部と照明部との明確な関係も考慮している。さらに、結像部および照明部を設けるために、例えば画像生成表面構造、照明制御表面構造、放射光フィルタ、迷光遮蔽部、および開口絞りなどの受動光学素子を部品に組み込むことが可能である。これらの光学素子は、平板基板上の明確な表面構造および層として設けられてよい。究極的には、光学部品は、結像と照明の両方を定めて、カメラペンの完全な光学系を形成してよい。
【0013】
光学部品は、このような光学部品を複数備えるウエハ構造として製造されてよい。この目的のため、光学部品は、以下の方法に従って製造されてよい。すなわち、板状のウエハ基板を用意し、同一の光学部品を複数画定するように受動光学素子をウエハ基板に付けることを含む方法において、光学部品のそれぞれは、物体面の画像を透過させるように構成された結像部と、物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部との、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備えることを特徴とする方法である。こうすることで、光学部品を高精度で一括製造することができる。また、ウエハ基板を用意することにより、検査と生産管理も簡単になるが、これは、個々の部品を、加工されたウエハ基板の一部分という状態のまま検査してよいからである。
【0014】
カメラペンは、カメラ筐体を内蔵してよく、筐体は、光学部品のための第1の取付構造と、画像を検出するように構成された画像センサのための第2の取付構造と、照明光を生成するように構成された放射源(光源)のための第3の取付構造とを備える。このようなカメラ筐体は、扱いやすく、また光学部品、画像センサ、および放射センサ(光センサ)を配置する際に許容差の連鎖を短くするであろう。
【0015】
カメラペンは、スタイラスを受けるための細長いガイド管をさらに備えてよく、ガイド管は、カメラ筐体の外壁部の細長い凹部に受けられて組み合わされる。この設計は、コンパクトなカメラ、ひいては細いペンを提供する。というのも、この設計では、カメラ筐体をスタイラスに近づけ得るからである。また、この設計は、小型軽量も提供する。これは、スタイラスは筐体の材料を貫いて延びる必要がなく、その代わりに、筐体の外側に組み合わされたガイド管を貫いて延びるからである。また、この設計は、筐体に対するスタイラスの横方向の位置を明確にすることや、カメラ筐体の材料とガイド管の材料とを別々に最適化するという選択肢も提供する。
【0016】
第2の態様によれば、本発明はカメラペンに関し、カメラペンは、表面の画像を生成するように構成された結像系と、画像を記録するように構成された画像センサとを備えるカメラペンであって、結像系は、可変焦点レンズを備え、カメラペンは、画像から導出されたパラメータに応じて、可変焦点レンズのために焦点制御信号を生成するように構成された制御部をさらに備えることを特徴とするカメラペンである。第2の態様は、カメラペンにおける方法であって、結像系によって生成された表面の画像を記録するために画像センサを制御し、そのように記録された画像からパラメータ値を導出し、パラメータ値に基づいて結像系の焦点距離を制御することを含む方法をさらに含む。
【0017】
このように、本カメラペンは、従来技術の固定焦点カメラよりも汎用性のある装置である可変焦点カメラを含む。おそらくわずかな調整を施すだけで、同一の可変焦点カメラを異なるカメラペンに用いることが可能である。焦点制御は、カメラペンでデータ取り込みに用いられる画像に基づいて行われると好適であり、これにより、付加的な画像取り込み回路を導入する必要が減る。カメラの焦点距離を制御することにより、結像系に要求される被写界深度を、固定焦点カメラと比較して著しく浅くしてよい。これにより、カメラ設計時の複雑さを減らすことが可能になり得る。
【0018】
ある実施の形態において、パラメータは、表面に本質的に一様に分布させられたコード記号を表す。例えば、パラメータは、個々の画像中のコード記号の数を表してよい。そのようなパラメータは、既知の符号化パターン上でペンが操作されている時はいつでも、画像から容易に導出できる。
【0019】
ある実施の形態において、ペンは、画像センサによって新しい一連の画像を取り込もうとするたびに、開始手順を実行してよい。この開始手順は、例えばペンが表面と接触させられることによりトリガをかけられる。開始手順は、内部メモリから少なくとも1つの開始値を取り出し、開始値に基づいて初期焦点制御信号を出力することを含んでよい。開始値は、データ損失を最小化するように計算されてよく、例えば、ペンが最初に表面に当てられる時のペンの通常の向きに結像系の焦点距離を適合させるようにする。開始値は、ペンの実際の動作状態を反映するために選択的に更新されてよく、そうして更新された開始値は、ペンの内部メモリに格納されてよい。
【0020】
データ損失を最小化するさらに別の実施の形態では、開始手順は、少なくとも2つの異なる所定の焦点距離に結像系を制御し、結果として得られたパラメータの値を解析することを含んでよい。
【0021】
第3の態様によれば、本発明は電子ペンに関し、電子ペンは、スタイラスを受けるための細長いガイド管と、スタイラスに対する力の印加を示す出力信号を生成するセンサとを備える電子ペンであって、センサは、ガイド管とスタイラスとの間の静電容量を表すパラメータを測定するように動作することを特徴とする電子ペンである。第3の態様は、電子ペンにおける方法であって、電子ペンは、スタイラスを受けるための細長いガイド管を備え、方法は、ガイド管とスタイラスとの間の静電容量を表すパラメータを検知し、スタイラスに対する力の印加を示す出力信号を、パラメータに応じて生成することを含むことを特徴とする方法をさらに含む。
【0022】
この態様は、スタイラスが長手方向に可動であることを必要とせずに、スタイラスと表面との接触を示すことができる。長手方向に固定されたスタイラスによって、筆記感が向上する可能性があり、またほこりや水分に対してペンの前端を密封するのが容易になる。
【0023】
ある実施の形態では、静電容量の変化を増やすために、ペンは力の印加の際にスタイラスを横方向に片寄らせるようにスタイラスの末端と係合する傾斜した制御面を持つ支持部をさらに備えてよい。
【0024】
第4の態様によれば、本発明はカメラペンに関し、カメラペンは、表面との相互作用のための先端を持つスタイラスと、表面の画像を記録するように構成されたカメラシステムと、マイクと、マイクの出力信号に基づいてカメラペンを低電力状態と高電力状態との間で選択的に切り替えるように構成された制御部とを備える。第4の態様は、データ取り込み回路とマイクとを含む電子ペンにおける方法であって、マイクから出力信号を受信し、出力信号に基づいてデータ取り込み回路を低電力状態と高電力状態との間で選択的に切り替えることを含む方法をさらに含む。
【0025】
この態様は、スタイラスが長手方向に可動であることを必要とせずに、スタイラスと表面との接触を示すことができる。長手方向に固定されたスタイラスによって、筆記感が向上する可能性があり、またほこりや水分に対してペンの前端を密封するのが容易になる。ある実施の形態では、マイクの出力信号によって示される特徴的な振動に基づいて、スタイラス先端と表面との初期接触が識別される。
【0026】
さらに、マイクは、筆記音を検出する付加機能を有してよい。筆記音は、ペンの周囲の音の録音をきれいにするために用いられる。周囲音は、前述のマイクで検出してもよいし、あるいは専用の別マイクで検出してもよい。
【0027】
第5の態様によれば、本発明は電子ペンであって、電子ペンは、細長い本体と、本体の前端部と取り外し可能に係合するように構成された保護キャップとを備える電子ペンであって、保護キャップは、ペンに消費物を供給する手段を備えることを特徴とする電子ペンである。第5の態様は、電子ペンのための保護キャップであって、電子ペンの前端部と取り外し可能に係合する手段と、電子ペンと動作可能に係合させられた時に電子ペンに消費物を供給する手段とを備える保護キャップも含む。
【0028】
保護キャップは、たいていは電子ペンに不可欠な部分と見なされるものなので、この態様により、消費物の蓄えを必要なだけペンと共に確実に携行できる。
【0029】
ある実施の形態において、保護キャップは、ペンに電力を供給する内蔵電源を備える。別の実施の形態では、保護キャップは、マーキング液をペンに供給する貯蔵部を備える。
【0030】
第6の態様によれば、本発明は、データ取り込み機能を提供する電子ペンに関し、電子ペンは、データ取り込み回路を収容する細長い本体と、本体の前端部と取り外し可能に係合するように構成された保護キャップとを備え、保護キャップは、電子ペンに機能を追加する手段を備えることを特徴とする電子ペンである。第6の態様は、データ取り込み機能を提供する電子ペン、のための保護キャップであって、電子ペンの前端部と取り外し可能に係合する手段と、電子ペンと動作可能に係合させられた時に電子ペンに機能を追加する手段とを備える保護キャップも含む。
【0031】
この態様は、ペンに機能を追加するための簡単で効率的な方法を提供する。保護キャップは、たいていは電子ペンに不可欠な部分と見なされるものであり、従って必然的にペンと共に持ち運ばれる。さまざまの異なるキャップが提供されてよく、それぞれが独自の機能をペンに追加する。これにより、単にキャップを取り換えるだけで異なる機能がペンに追加されてよい。
【0032】
ある実施の形態において、上記手段は、ポインタ機能またはフラッシュライト機能を提供する放射源(光源)と、画像取り込み能力を提供するカメラシステムと、電子ペンの既存のカメラシステムの光学特性を変更する光学系と、電子ペンのデータ取り込み回路から送出されたデータを処理するデータ処理回路と、データ格納能力を提供する不揮発性メモリと、電子ペンの通信能力を拡張する無線送信部と、のうちの少なくとも1つを備える。
【0033】
本発明のさらなる目的、特徴、態様、および効果は、以下の詳細な開示から、添付の従属請求項から、そして図面から、明らかになるであろう。
【0034】
次に、本発明の例示的な実施の形態について、添付の概略図を参照してさらに詳しく説明する。概略図では、同一の参照番号を用いて類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、既知の電子ペンの平面図であり、選択された内部部品を示す図である。
【図2】図2は、既知のカメラペンの平面図であり、選択された内部部品を示す図である。
【図3】図3は、カメラペンのカメラモジュールの実施の形態の側面図である。
【図4】図4は、図3のカメラモジュールの正面図である。
【図5】図5は、図3のカメラモジュールの斜視図であり、カメラモジュールのさらなる詳細を説明する図である。
【図6】図6は、図3のカメラモジュールの斜視図であり、カメラモジュールのさらなる詳細を説明する図である。
【図7】図7は、図3〜6のモジュールに組み付けられる光学部品の側面図である。
【図8】図8は、図7の部品の上面図である。
【図9】図9は、図7〜8の部品を一括製造する工程を説明する一連の側面図である。
【図10】図10は、カメラペンにおけるカメラの焦点制御のための構成のブロック図である。
【図11】図11は、ペンと目標物との異なる傾斜のための、カメラペンの被写界深度の必要条件を説明する図である。
【図12A】図12Aは、可変焦点レンズの実施の形態の側面図である。
【図12B】図12Bは、可変焦点レンズの別の実施の形態の断面図である。
【図13A】図13Aは、カメラペンの、動作範囲と被写界深度との関係を示すグラフである。
【図13B】図13Bは、カメラペンが、2つの焦点を切り替えて動作範囲をカバーするためにどのように制御され得るかを示すグラフである。
【図14A】図14Aは、情報を符号化する既知のドットパターンの図である。
【図14B】図14Bは、図14Aのドットパターンの画像において、ドット数が物体距離に応じてどのように変化するか、の例を示すグラフである。
【図15】図15は、静電容量の変化によってペンダウン/ペンアップを検出する実施の形態の断面図である。
【図16】図16は、振動センサによってペンダウン/ペンアップを検出する実施の形態を組み込んだ電子ペンの平面図である。
【図17A】図17Aは、ペンに付帯機能を提供し、または消費物を供給するための、キャップと電子ペンとのさまざまな係合方法を説明する平面図である。
【図17B】図17Aは、ペンに付帯機能を提供し、または消費物を供給するための、キャップと電子ペンとのさまざまな係合方法を説明する平面図である。
【図17C】図17Aは、ペンに付帯機能を提供し、または消費物を供給するための、キャップと電子ペンとのさまざまな係合方法を説明する平面図である。
【図18A】図18Aは、ペンにインクを供給するためのキャップ−ペン構成の断面図である。
【図18B】図18Bは、キャップに放射源を持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【図18C】図18Cは、キャップにカメラを持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【図18D】図18Dは、キャップに光学系を持つキャップ−ペン構成の断面図である。
【図18E】図18Eは、キャップにデータ処理回路を持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【図18F】図18Fは、キャップに不揮発性メモリを持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【図18G】図18Gは、キャップに無線送信部/送受信部を持つキャップ−ペン構成の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(全体)
以下の説明では、電子ペンのさまざまな態様を中心に論じる。一般に、電子ペン1は、ペン形状のケーシング4に封入されたデータ取り込み回路2を備えており、これは図1に示す通りである。ペンは、データ送信部3と、取り込まれたデータをさらに処理する処理部5と、データ格納のためのメモリ6と、バッテリなどの内部電源7と、製品表面Sを指すと共に随意に表面に印を付けるスタイラス8とを含んでもよく、あるいは、含まなくてもよい。
【0037】
ペンは、ペンダウン検出部(Pen Down Detector、PDD)10をさらに備えてよい。PDD10は、ペン1が製品表面Sに関して動作位置にあることを示す信号を生成するものである。PDD10からの信号によって、データ取り込み回路2および/または処理部5および/または送信部3を選択的に作動させてよい。これにより、電力を多く消費する主要な部品はペンが動作位置にある時だけ完全に作動させられるので、ペンの電力消費が低減する。PDD10は、典型的には、電気機械式スイッチとして、ペンの前端部に実装されるか、あるいはスタイラス8が長手方向に可動である場合には、スタイラスの末端に実装される。また、PDD10は、例えば国際公開第03/069547号に開示されたように、例えば、PDDに組み込まれた、力を感知する材料によって、スタイラス8に印可された実際の力を検出するように構成されてもよい。
【0038】
電子ペンの種類の1つはカメラペンであり、カメラペンでは、データを製品表面Sの画像という形で取り込むように、データ取り込み回路2が構成される。画像は次に、データ抽出のためにペンの内部または外部で処理されてよい。ある例では、画像から相対位置または絶対位置が導出されて、製品表面上でのペンの動きが表現される。別の例では、バーコードまたはマトリックスコードのような、画像中の機械可読符号から、データが抽出される。さらに別の例では、手書きまたは印刷されたテキストが画像において識別され、文字認識のために処理される。
【0039】
位置決定のため、製品表面Sは特別に形式を定められてもよいし、定められなくてもよい。前者の場合、製品には、製品表面の絶対位置を符号化する符号化パターンが設けられてよく、これについては、例えば米国特許第6663008号明細書を参照されたい。後者の場合、ペンは、製品表面全体の画像を取り込んで、製品表面の角および縁を基準として位置が定められ得るようにしてよく、これについては、例えば国際公開第2004/077107号を参照されたい。あるいは、部分的に重なり合う一連の画像を相互に関係づけることによってペンの動きの電子的なトレースが決定されてよく、これについては、例えば米国特許第6985643号明細書を参照されたい。さらには、製品表面で反射されたコヒーレントな放射を解析することによって位置が導出されてもよく、これについては、例えば米国特許第6452683号明細書を参照されたい。
【0040】
このようなカメラペン1は、画像を記録する電磁放射センサ11を持つカメラまたはカメラシステム2’を備えてよく、これは図2に示す通りである。また、カメラ2’は、製品表面Sの画像を放射センサ11に映す結像系12を含んでもよい。センサ11は、放射を感知する素子でできた表面で、または放射を感知する別々のデバイスの2次元配列で、構成され得る。センサおよび結像系は、典型的には光学的なものであるが、代わりに、製品表面の何らかの好適な特性を示すように構成されてもよい。この特性とは、磁気的特性、静電容量特性、誘導特性、化学的特性などである。カメラペンが、図1のペンと同様にさらなる部品を含んでよいことは理解されよう。
【0041】
カメラ2’は、製品表面Sの、結像系12の視野(Field of View)FoV内を照明する放射源13を備えてもよく、この照明光を視野に対して方向付け、および/または成形するためのビーム制御システム(図示しない)が設けられてもよい。
【0042】
最後に、電子ペンにおける位置決定の技術が他にも提案されていることに留意されたい。そのような技術は、製品表面と接触するローラボールの動きを検知すること、複数の外部の放射源または超音波源から受信した信号に基づいて位置を三角測量すること、ペンに組み込まれた加速度センサからの信号を処理すること、スタイラスと結びつけられた歪みセンサからの信号を処理すること、および上記の技術の任意の組み合わせを含む。
【0043】
以下、いくつかの異なる態様の好ましい実施の形態について詳しく説明する。これらの態様は、特にカメラペンに関するものであるが、いくつかの事例では電子ペン全般に関するものである。これらの態様は、カメラペンのためのコンパクトなカメラ、カメラペンのための汎用性のある結像系、電子ペンのための代替となるPDDデバイス、および電子ペンのための多機能な保護キャップを含む。
【0044】
全体として、以下に説明または暗示される方法および処理は、適用できる限りにおいて、処理装置によって実行されるプログラム命令として実施されてよいことが理解されよう。例えば、プログラム命令は、コンピュータ可読媒体で、または電気的な搬送信号で搬送されて、または読み出し専用媒体に収録されて、処理装置へ提供されてよい。
【0045】
(カメラの設計)
図3〜4は、カメラペンのためのカメラモジュール20を模式的に説明する図である。モジュールは、カメラ筐体22と、細長いスタイラス8をカメラ筐体22に対して配置する管状ガイド部24とを含む。筐体は、製品表面の画像を生成して電子的に取り込むのに必要な撮像部品を保持するように構成される。ガイド部24は、筐体22の上壁26に組み込まれる。
【0046】
このカメラモジュールは、いくつかの潜在的利点を有する。例えば、筐体22、ひいては撮像部品をスタイラス8に近づけられ、それによってカメラペンを細く設計することができるので、コンパクトな設計が可能になる。さらに、ガイド部24が、筐体22内に封入されず、逆に筐体22の外部表面の一部として組み込まれるので、小型軽量を維持できる。それでいて、この設計によれば、高い強度と耐久性も得られる。また、この設計では、許容差の連鎖を短くでき、筐体22に対するスタイラス8の横方向の位置が明確に定まる。
【0047】
筐体22とガイド部24とは、例えば接着、溶着、締め付け、固定具の使用、ねじ等によって、組立工程で組み合わせられるように構成された2つの別部品であってよい。図示された実施の形態では、ガイド部24の周囲面が、筐体22の上壁26の、開けた溝28に受けられる。溝28は、ガイド部24の端面と係合する支持部30を有し、それによって、組立工程の際にガイド部24を長手方向に位置決めするようになっている。当然のことながら、溝28は、ガイド部24、ひいてはスタイラス8を筐体内の光学部品に対して所望の傾斜で配置するように、筐体22に対して任意の傾斜を有し得る。このような傾斜は、例えばカメラモジュール20の視野をスタイラス8の先端の近傍に位置させるために望ましい場合がある。
【0048】
図示の2部品設計は、製造を容易にする可能性を有する。これは、例えば、ガイド部24および筐体22それぞれを製造するために、個々に最適化された異なる生産技術を用いてよいからである。また、異なる部分の許容差を考慮して製造も最適化してよく、それによって製造コストを低減してもよい。さらに、ガイド部24および筐体22を異なる材料から作成してよい。
【0049】
しかしながら、組立作業を削減するために、ガイド部24および筐体22の一体構造も考えられる。
【0050】
スタイラス8がガイド部24内で長手方向に可動であってもなくてもよいことは留意されてよい。従来のPDD10(図1)には、一般に可動なスタイラス8が必要であるが、この必要性を緩和または解消するために、以下に説明する新しいPDDが本カメラモジュール20に組み込まれてよい。
【0051】
図5〜6は、カメラ筐体22の実施の形態をより詳しく説明する図である。カメラ筐体は、CMOS、CCD、またはCIDセンサのような2次元の放射センサ11と、LEDまたはレーザーダイオードのような照明光の放出源13と、製品表面の画像を放射センサ11に映すように働くと共に放出源13からの照明光を製品表面に向けるように働く単一の光学部品36とを配置するように構成される。
【0052】
光学部品36について、図7〜8でさらに説明する。この部品は、ユニット構造であり、結像部36’および照明部36”を画定するさまざまな受動光学素子を含む。これらの部は、該当する波長範囲において透明な、共通の基板38に並んで形成される。好適な基板材料の例としては、ガラス、サファイア、プラスチック等がある。
【0053】
結像部36’は、表面レンズ構造40と開口絞り42とを含み、これらは、結像面において、所望の被写界深度でノミナルな物体面の画像を生成するように設計され構成される。レンズ構造40と開口絞り42とは、好適には基板38の反対側に設けられ、開口絞り42が物体面に面するようにされる。代替となる実施の形態(図示しない)では、レンズ構造40と開口絞り42とは基板38の同じ側に配置されるが、現在は、これらの素子の間に間隔をあける方がより柔軟な設計を行うことができると考えられている。例えば、基板の厚さは、例えば像面湾曲または主光線角度に関して、望ましい間隔が得られるように選択されてよい。典型的には、基板38の厚さはおよそ0.5〜2mmである。
【0054】
レンズ構造40は、例えば図7に示す曲面のような屈折面として形成されてよい。ある実施の形態において、曲面は偶数次非球面である。あるいは、またはさらに、レンズ構造40は、フレネルレンズ構造のような回折素子を備えてよい。コントラストに対する要求が高い場合は、屈折面の方が好ましい場合がある。レンズ構造40の直径は、およそ0.5〜2mmくらいでよい。
【0055】
開口絞り42は、レンズ構造40と位置を合わせて基板38に施された非透過性コーティングの開口、として形成される。コーティングは、任意の好適な材料でできていてよい。そのような材料の1つは、よく使われるメッキ材料である黒色クロムである。
【0056】
結像部36’は、限られた波長範囲の放射を選択的に透過する放射光フィルタ44’をさらに備えてよい。好適には、この波長範囲は、照明光の波長を含む。ある例において、フィルタ44’は、近赤外放射(Near-Infrared Radiation、NIR)を透過し、それより短い波長を遮る。フィルタ44’は、基板38に施されたコーティングであってよく、コーティングは、基板のどちらかの側か、あるいは両側に施されてよい。コーティングは、吸収フィルタまたは干渉フィルタを形成してよい。代替となる実施の形態では、コーティングは、基板材料に分散させられた吸収性の物質で置き換えられ、または補われる。
【0057】
結像部36’は、迷光が結像面に達するのを防ぐバッフル46をさらに備えてよい。そのような迷光は、物体面の視野FoV(図2)の外側から生じる。バッフル46は、開口絞り42を形成する材料と同様に、非透過性材料の開口として実装されてよい。
【0058】
照明部36”は、放出源13(図5)からの照明光のビームを成形および/またはその向きを変えるように設計された表面レンズ構造48を備える。レンズ構造48は、基板38のどちら側に配置されてもよいが、製造上の理由から、両レンズ構造を基板の同じ側に有する方が好ましい場合がある。レンズ構造48は、(図7に示すように)回折性であってもよいし、屈折性であってもよい。コスト効率の良い方法で前述のビーム成形能力を達成するには、回折構造の方が好ましい場合がある。
【0059】
照明部36”は、結像部36’のフィルタ44’と同様の放射光フィルタ44”を備えてもよい。
【0060】
光学部品36は、必要な光学素子すべてが一体化された、コンパクトな、ユニット式の小型部品として設けられてよい。商業的な実施の形態において、この部品は、およそ5mm×2mmの底面形状を有してよい。
【0061】
構造40、48は、射出成形、エンボス加工、リソグラフィ、エッチング、機械加工等のような、任意の好適な技術によって基板に設けられてよく、その際、コーティング42、44’、44”、46が、蒸着、メッキ、塗装等のような、付けるための任意の好適な技術によって付けられる。光学部品36を製造するための現時点で好ましい工程については、図9を参照して後述する。
【0062】
次に、図5〜6に戻って、上記の部品36を内蔵する図3〜4のカメラモジュール20の実施の形態について、さらに詳しく説明する。モジュール20の筐体22は、前端50と後端52との間に延びる。筐体22は、管状のスタイラスガイド部24の周囲と対応するように構成された長手方向の凹部28を設けられるだけの十分な厚さを持つ上壁を有する。筐体の前端は、開口56を有しており、開口56は、光学部品36のための取付部を画定して、取り付けられた部品の結像部36’と照明部36”とを筐体内で結像室58と照明室60とに対してそれぞれ位置合わせするようになっている。これらの室58、60は、前端50と後端52との間に延びる、穴のあいていない長手方向の仕切り62によって隔てられる。部品36が取り付けられると、前方の開口56は部品36でふさがれる。
【0063】
ガイド部24の中心軸から離れた幾何学的平面に結像室58と照明室60とを並べて配置することによって、カメラモジュール20のコンパクトな設計が実現される。これにより、カメラモジュールは、結像室58と、照明室60と、スタイラス8とを、モジュールの前方から見て三角形のそれぞれの角へ配置する(図4の点線を参照されたい)。この三角形は、二等辺三角形であってもよいが、その必要はない。
【0064】
筐体22の後端は、放射センサ11のための取付部64を有する。取付部64は、放射センサ11の有効表面、すなわち放射を感知する領域11’が結像室58と位置合わせされ、かつ結像室58の方を向くように、配置される。これにより、カメラモジュール20は、有効表面11’を光学部品36の結像面に位置させるように構成される。
【0065】
筐体22は、照明室60の、前方の取付部56から所定の距離に放出源13のための取付部66をさらに備え、ビーム制御レンズ構造48(図7)からノミナルな距離のところに放出源13を配置するようになっている。ノミナルな距離は、部品36に入射するビームの特性がレンズ構造48のビーム制御機能と整合するように設定される。
【0066】
結像室58は、放射センサ11と、部品36の結像部36’と、仕切り62と、側壁68とによって画定される。側壁には、放射トラップを形成するように開口70が画定される。トラップ70は、物体面(図2)の視野FoVから来ずに部品36を通過してくる照明光を集めて減衰させるように配置される。トラップ70は、ペン本体に通じていてもよいし、例えば、部品の外側に放射吸収テープなどを付けることによって、密封されてもよい。
【0067】
筐体22は、ユニット部品として作成されるのが好適であり、モールド成形、機械加工等のような任意の好適な技術によって製造されてよい。ある実施の形態において、筐体はプラスチック材料製である。別の実施の形態では、壁厚を薄くして外形寸法を小さくできるように、筐体は金属製である。
【0068】
モジュール20はペンの前端に位置するので、モジュールの大きさはペンのデザインに大きな影響を及ぼす。従って、モジュールを小型化すること、特に横寸法を小さくすることが必須であろう。小型にしておくために、いくつかの壁部分が省略されてよい。図5〜6はそのような一例を示しており、これらの図では、照明室60の側壁が省略されている。同様に、底壁を省略して、照明室60および結像室58を露出させるようにしてもよい。必要であれば、これらの側面は、例えば放射吸収テープなどの、別個のシート材を貼り付けることによって、全体的または部分的に密封することもできる。また、このような筐体22の壁開放設計によって、筐体の製造を単純化できる場合もある。
【0069】
図9は、図7〜8に示された種類の光学部品36を製造する工程を示すための図である。この工程は、板状の基板からひとまとまりの光学部品を製造するものであり、図9は、全工程を通じて基板がどのように変化するかを示す。
【0070】
このように、本工程は、ガラスまたはプラスチックのような好適な材料でできた板状のウエハ基板38を基部とするものであり、これがいくつかの工程ステップで変えられていく。ウエハ基板は、典型的には、形状の安定した材料でできた円盤または長方形の板である。基板材料は、該当する波長範囲において透明である必要がある。所定の波長の透過を選択的に遮るために、基板材料に吸収性の成分が分散させられてもよいし、分散させられなくてもよい。図9の点線は、説明の目的だけのために含めてあるが、個々の光学部品の位置を示している。
【0071】
ステップ902において、フィルタ材料でできた1以上の層形状の薄いコーティング44がウエハに施され、吸収/干渉フィルタ44’、44”が形成される。部品の結像部および照明部には、各部に必要な透過特性に応じて、異なるコーティングが施されてよい。
【0072】
続くステップ903では、各部品の迷光バッフル46を形成するために、ウエハの放射光フィルタ44’上に非透過性コーティングが選択的に施される。
【0073】
ステップ904では、変形可能な材料でできた一様なフィルム72が、ウエハに貼り付けられる。この変形可能な材料は、可塑的に変形可能な状態か、粘性のある状態か、または液体状態にあることが好適である。ある実施の形態において、変形可能な材料は、熱可塑性材料か、例えばエポキシ樹脂などの樹脂である。
【0074】
ステップ905では、結像レンズ構造40およびビーム制御レンズ構造48が上記の変形可能なフィルムにエンボス加工される。その際、複製ツールをフィルム72に押しつけることによってエンボス加工されると好適である。複製ツールは、好適には、フィルム72に形成されるレンズ構造40、48の反転という構造的特徴をもつ複製面を有する。複製面は、すべてのレンズ構造が1回のエンボス加工ステップで形成されるように、少なくともウエハと同じ大きさであってもよいし、あるいは、ウエハ表面にわたってエンボス加工を繰り返すことによってレンズ構造が形成されるように、ウエハより小さくてもよい。そして、結果として得られた複製は、複製面を取り除いた後に、あるいは複製面が変形可能なフィルムと接触している間に、例えばUV硬化によって硬化させられる。
【0075】
ステップ906では、結像レンズ構造40と位置を合わせて、ウエハの反対側にさらなる非透過性コーティングが施されて、各部品の開口絞り42が形成される。
【0076】
最後に、ステップ907において、加工されたウエハが個々の光学部品36へと切断される。
【0077】
上述の製造工程によれば、簡単、効率的、かつ安価に、そして十分な精度で、光学部品の大量生産を行うことができる。また、検査と生産管理も簡単になるが、これは、個々の光学部品を、加工されたウエハの一部分という状態のまま検査できるからである。
【0078】
代替技術を用いてウエハ上にレンズ構造を生成できることに留意されたい。例えば、マスク等による従来の光構造化技術または電子ビーム構造化技術を用いて、ウエハ上にレジストパターンを形成することが可能である。このレジストパターンを回折レンズ構造として用いてもよいし、あるいは、レジストパターンで露出したウエハ材料をエッチングして、所望の形状のレンズ構造を生成してもよい。さらに、上記のステップが他の順序で行われてよいこと、そしていくつかのステップがまとめて省かれてよいことが理解されよう。
【0079】
(カメラの制御)
カメラペンのカメラ2’(図2)は、一般に、スタイラス先端8の一方の側に位置する視野FoV内で画像を取り込む。このため、カメラと、例えば一枚の紙のような、典型的にはおおむね平坦な目標物である物体との距離は、ペンの向きによって、すなわち物体とカメラとの間の広範囲な角度にわたって、著しく変化する。従って、カメラは、ペンが物体上で操作された時に起こり得る物体距離の全範囲にわたって十分な品質の画像を取り込めるように、深い被写界深度を有するように設計される。そのようなカメラは、典型的には高いF値を有しており、結像面、ひいては放射センサ11にはわずかな光しか届かない。このため、放射センサ11の感度および/または放射源13の明るさに対する要求も高くなってしまう。
【0080】
図10は、これらの高い要求を軽減し得るカメラ2’を示す。カメラ2’は、可変焦点レンズ80を含む。レンズ80の焦点の位置、ひいてはカメラ2’の焦点距離は、先に取り込まれた画像Iから導出されたパラメータpによって与えられる物体距離に応じて制御される。焦点距離を物体距離に応じて調整できれば、必要な被写界深度を浅くすることが可能になる。被写界深度は、物体とカメラとの間の所定最大角度でペンによって取り込まれた画像において物体がまたがっている物体距離範囲、に相当してさえいれば十分である。これは、被写界深度を著しく浅くすることにつながり得る。例えば、本出願人から市販されているカメラペンはおよそ8mmの被写界深度を必要とするが、上記の原理を実装することによって、これをおよそ2.5mmにまで浅くすることが可能である。この改良について、図11でさらに説明する。同図は、スタイラス先端と物体表面Sとの接触点まわりの2つの異なる傾き(−45度、+45度)について、視野の範囲を模式的に示す図である。視野内における当該情報の位置を太線で示す。明らかに、この当該情報は画像から得られなければならず、それによって被写界深度の最小値に対する要求が決まる。可変焦点レンズがある場合とない場合に必要とされる被写界深度を、それぞれFD1およびFD2で示す。
【0081】
図12Aは、可変焦点レンズ80の、ある実施の形態を示す。ここでは、アクチュエータ81が、レンズ部品82に動作可能に接続され、電気制御信号cに応じて部品82を光軸に沿って動かすように構成される。アクチュエータ81は、ピニオン86’とラック86”の構成と共に微小機械モータ84を含んでよい。ピニオン86’とラック86”の構成は、モータのトルクを部品82の直線運動に変換するためのものであり、部品82はラック86”に固定的に接続される。あるいは(図示しない)、部品82は、電気活性な(例えば圧電性の)材料上の複数の表面構造上に配置されてもよい。その場合、表面構造は、電圧の印加によって制御可能であり、構造の表層面において同期的に振動して、小刻みなスティックスリップで部品82を動かすようにされる。さらにまた(図示しない)、アクチュエータ81は、部品82の回りに螺旋状に巻かれた、ねじれた圧電性曲げテープを含んでよい。これは国際公開第02/103451号に記載された通りであり、テープへの電圧の印加によってテープの長さが変化し、その結果、螺旋構造の主軸に沿って部品82が直線運動する。さらに別の代替手法では(図示しない)、アクチュエータ81は、いわゆるボイスコイル構成を含んでよい。その場合、部品82に取り付けられ、かつ磁場に囲まれるように配置された巻線を通る電流を駆動することによって動きが制御される。
【0082】
図12Bは、可変焦点レンズ80の別の実施の形態を示す図であり、この可変焦点レンズ80では、焦点を移動させるためにレンズ面の形が変えられる。レンズ80は「液体レンズ」であり、フィリップス社によって開発されて国際公開第03/069380号に記載されたレンズと同等のものである。レンズ80は、毛細管を形成する円筒電極88を備え、これが透明前部要素90と透明後部要素92とによって密封されて、2つの流体を含む流体室を形成する。2つの流体は、典型的には液体A、Bである。2つの液体A、Bは非混和性であり、よってこれらの界面にメニスカスlが形成される。液体Aは電気絶縁性、液体Bは導電性であり、両者は異なる屈折率を有する。円筒電極88は、流体接触層94でコーティングされている。層94は、電圧を印加されると、液体Bに対する濡れ性が変化する。そして、濡れ性が変化すると、メニスカスlの形も変化する。こうして、液体レンズ80の焦点距離が、円筒電極88と、流体室の一端に配置された環状電極96との間に印加される電圧に応じて制御されてよい。レンズ80は、半径およそ1〜2mmまでの小さな寸法で製造可能であり、これはカメラペンのための小型カメラへの組み込みに好適な寸法である。液体レンズの代替構成は、特に米国特許出願公開第2005/0002113号明細書、米国特許出願公開第2006/0126190号明細書、米国特許出願公開第2006/0152814号明細書、およびそれらの参照文献で知られている。
【0083】
図10に戻るが、カメラ2’は、制御モジュール100によって制御されてよい。制御モジュール100は、解析モジュール102から導出されたパラメータ値pに基づいて、可変焦点レンズ80のアクチュエータ81のために制御信号cを生成して出力するものである。解析モジュール102は、カメラの画像センサ11によって、または別の光デバイス(図示しない)によって取り込まれた画像Iからパラメータ値pを導出する。制御信号cの生成は、制御モジュール100が現在のパラメータ値pを代数式に入力すること、または制御モジュール100が現在のパラメータ値pを入力として1つ以上の参照用テーブル等の好適なデータ構造にアクセスすることを含んでよい。制御モジュール100および解析モジュール102は、マイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアで実装されてもよいし、および/または、ASIC、DSP、FPGA等のような専用ハードウェアで実装されてもよい。
【0084】
焦点制御を安定させるには、画像Iからパラメータ値pを常に導出できるように保証することが必要であろう。図13Aに示すように、ペンは、許容できる最短物体距離と最長物体距離との差によって与えられる動作範囲OPR(図11のFD2と同等であり、物体表面に対するペンの傾きの最悪の場合によって与えられる)を持つように設計される。カメラは、より限られた被写界深度FDを焦点Fの前後に有する。検出される画像が動作範囲OPRにわたって十分に鮮明となるように、この焦点Fの位置が変えられる。焦点Fは、動作範囲OPRにわたって連続的に調整されてもよいし、あるいは、所定の段階の間で調整されてもよい。図13Bは、F1およびF2の2つの焦点だけにカメラが切り替えられて動作範囲をカバーする実施の形態を示す。
【0085】
画像フレームレートが70〜100Hzであれば、当然のことながら、ペンが手で表面上を動かされている間の画像間での物体距離の変化は、比較的ゆっくりしたものになる可能性が高い。従って、ある画像について適切なパラメータ値を導出することが可能になり次第、後続の画像すべてについてカメラの焦点を十分に制御することができる。
【0086】
制御モジュール100および解析モジュール102は、画像取り込み処理と同期して動作するのが好適である。制御モジュール100および解析モジュール102が画像取り込み処理のフレームレートで動作することも考えられるが、代わりに、画像間の物体距離の変化がカメラの被写界深度に対して小さいと予想される場合には、このフレームレートの何分の1かで動作してもよい。例えば、物体距離が30mm/sよりもゆっくり変化すると予想され、かつ画像フレームレートが100Hz、被写界深度が2.5mmである場合には、100×2.5/30=8.33Hzの制御レートを用いれば十分である。これはつまり、制御信号cが12画像ごとに更新されるということである。もちろん、例えば焦点制御の精度を向上させるために、より高い制御レートを用いることもできる。
【0087】
焦点制御に用いることのできる画像パラメータは、いくつか考えられる。
【0088】
ある実施の形態では、パラメータ値は、現在の画像の平均コントラストを表す。平均コントラストを計算する方法は、簡単、高速であり、当業者に周知である。
【0089】
別の実施の形態では、解析モジュール102は、現在の焦点ぼけを表すパラメータ値を導出する。そのような実施の形態では、焦点ぼけは、位相比較による焦点検出に基づいて比較的高い精度で導出されてよい。位相比較による焦点検出は、当業者に周知である。
【0090】
さらに別の実施の形態では、パラメータ値は、現在の画像から導出された方向データによって与えられる。そのような方向データは、例えば線形変換行列もしくは同次変換行列によって与えられるパースペクティブデータ、またはそれから抽出されるデータを含んでよい。あるいは、またはさらに、方向データは、傾斜角(すなわちカメラの光軸と物体との間の角)とスキュー角(すなわちペンの縦軸回りのカメラの回転)との組み合わせ、またはそれから導出されたデータを含んでもよい。さらに別の実施の形態では、方向データは、平均物体距離を含む。平均物体距離は、物体とペンの基準点との間の距離として与えられる。ペンの基準点は、典型的には放射センサである。方向データの計算は、例えば、表面上の図形的な符号化パターンの一般的な特性のような、表面の既知の特性に基づいて行われてよい。方向データを計算するための異なる方法およびシステムについては、米国特許第7050653号明細書、米国特許第6929183号明細書、および米国特許出願公開第2002/0048404号明細書に開示されている。
【0091】
さらなる実施の形態では、パラメータ値は、現在の画像から導出された倍率によって与えられる。
【0092】
パラメータ値が、現在の画像から検出された、物体表面の特性または特性の組み合わせを直接反映することも考えられる。例えば、図形的なコード記号の所定の配列で構成された位置符号化パターンが表面にある場合は、検出された画像中のコード記号の数がセンサと表面との距離に応じて変化する。パラメータ値は、画像中の個々のコード記号またはコード記号要素の個数であってよい。
【0093】
図14Aは、既知の符号化パターンの例を示す図であり、この符号化パターンは、本出願人によって開発され、米国特許第6,663,008号明細書などに記載されたものである。このパターンは、規則的な格子形態を基準として配列された印(ドット)で構成される。印のそれぞれが符号値を表してよく、符号値は、印と格子形態における印の基準点とのずれの方向によって与えられる。また、格子形態の位置を示す印(図示しない)が設けられてもよい。このパターンは、既知の(ノミナルな)密度の印を有しており、検出された画像で認識される印の数が、画像センサと符号化された表面との間の距離に応じて変化する。図14Bは、ドット数が物体距離に応じてどのように変化し得るかの例を、カメラペンのある特定の設計について示す図である。図14Bの関係を用いれば、解析モジュール102によって計算された現在の画像中のドット数を示すパラメータ値に基づいて適切な焦点制御値を出力するように、制御モジュール100を設計できる。
【0094】
前置きとして言及したように、ペンは、ペンが表面に十分接近している時に画像の取り込み/処理を開始するように構成されてよい。ペンの接近は、例えばペンダウン検出部(PDD)によって示される。制御モジュール100は、取り込まれた画像から適切なパラメータ値が導出されるまでは、カメラの焦点を調整できない。従って、ペンダウン時には、データを損失する潜在的なリスクがある。このリスクを低減するために講じられるべき対策は、各種存在する。
【0095】
対策の一つは、動作範囲OPRの全体においてパラメータ値が導出され得るように、符号化パターンを設計することであろう。例えば、符号化パターンは、動作範囲OPR内では焦点ぼけにかかわらず可視となるように調整された記号などの、合焦専用の特徴を1つ以上含んでよい。そのような合焦用の特徴をコード記号自体が含んだり提供したりすることも考えられる。例えば、たとえ被写界深度FDの外に位置するコード記号の画像を復号できなくても、そのような画像中のコード記号の数を導出し、この数に基づいて焦点を制御することは可能かもしれない。
【0096】
別の対策としてあり得るのは、制御モジュール100が、データ損失を最小化するように導出されたデフォルトの開始値によって与えられる焦点に、カメラ2’を設定することである。カメラはこうして、ペンダウン時に最も可能性の高い物体距離に開始時の焦点を合わせるように制御されてよい。そのような開始値は、例えばペンを物体に当てる時のユーザの通常の迎え角を反映するように、ユーザ特有の特徴に基づいて計算されてよい。開始値は、時間をかけて事前に計算されて固定されてもよいし、ペンの実際の使われ方に基づいて間欠的に更新されてもよい。例えば、開始値は、所与の数の先行ストロークまたは所与の期間(秒、分、日など)のような、所与の先行する間隔について計算された平均物体距離を反映するように設定されてよい。あるいは、開始値は、直前のストロークの最初または最後に制御モジュールによって用いられたパラメータ値で与えられてもよいし、直前のストロークの間に導出されたパラメータ値の(随意に重み付けされた)平均で与えられてもよい。
【0097】
さらに別の対策としてあり得るのは、結果として得られる画像から適切なパラメータ値を導出することができるまで、異なる開始値の間で切り替えるように制御モジュール100を設計することである。こうすると、異なる開始値によって、動作範囲OPR内で異なる焦点にカメラが設定されることになる。これにより、カメラは、十分に鮮明な画像が取り込まれるまで動作範囲を走査するように制御される。好適には、この走査は、カメラの被写界深度に対応する段階で行われる。従って、図13Bの例に戻ると、カメラはペンダウン時に焦点F1およびF2の間で切り替えられてよい。切り替えレートが画像フレームレートと同等である場合は、最大データ損失は1画像か、またはおそらく数画像である。
【0098】
制御モジュール100および解析モジュール102が画像フレームレートの何分の1かの制御レートで動作させられている場合は、ペンダウン時に、取り込まれる画像のうちの1つから適切なパラメータ値を導出できるまで、つまり焦点制御が正しく動作するようになるまで、より高い制御レートを用いることによって、データの損失を低減させることができる。
【0099】
上記の対策を組み合わせてカメラ制御の頑健性をさらに向上させられることは明らかである。
【0100】
カメラペンが異なる動作モードの間で切り替え可能となることもまた可能である。その場合、各モードにおいて、ペンが、画像の処理/復号に、および/または復号されたデータの後処理に、異なるアルゴリズムを適用するようにする。異なるモードにおいて物体表面に対するペンの向きに違いが生じる可能性がある場合、ペンは、そのようなモードごとに専用の開始値を格納し、取り出してよい。例えば、カメラペンは、異なる種類の機械可読符号を読み取るために異なるモードに設定されてよい。さらに、ペンは、例えばスタイラスを介してペンが物体表面と物理的に接触した状態で物体表面からデータを読み取るために、接触モードで用いられてよく、また、ペンが物体表面上の低い距離範囲内に保持された状態で物体表面から位置を読み取るために、空中モードで用いられてよい。空中モードの結果として、ディスプレイ上のカーソル位置の実時間制御のために、復号された位置がペンから外部装置へストリーミングされてよい。空中モードにおいて、ペンは、3次元の位置データ、すなわち復号された位置とペンの物体表面に対する距離とを出力するように制御されてよく、これによりペンは、例えばジョイスティックに似た3D制御に用いられ得るようになる。
【0101】
当然のことながら、上述の可変焦点カメラは、従来技術のカメラペンで用いられる固定焦点カメラよりも汎用性がある。同じ可変焦点カメラを、おそらくはわずかな調整だけで、異なる種類のカメラペンに用いることができる。また、可変焦点を備えることによって、許容できるペン方向、被写界深度、視野、スタイラス先端に対する視野の位置、照明の明るさ、組立および製造上の許容差などのような、1つ以上のカメラ設計パラメータに対する要求を設計者が緩和できる場合もある。
【0102】
(ペンダウン検出)
既知の電子ペンにおいては、ペンダウン検出部(PDD)は、スタイラスの長手方向の動きに反応する。そのためにはスタイラスが可動である必要があり、筆記感に悪影響の出る恐れがある。また、スタイラスが可動になっていると、ほこりや水分に対してペンを適切に密封するのが困難な場合もある。
【0103】
図15は、スタイラスの長手方向の動きが働く必要のないPDD構成10’を示す。この構成は、スタイラス8および円筒管110を備え、両者は、1対の電極を構成するよう、少なくとも部分的に導電性材料で作られる。これらの電極は、固体誘電体112、すなわち電気絶縁体によって互いに間隔をあけられる。磁器、ガラス、プラスチック、ゴム等のような、任意の好適な誘電体を用いることができる。PDD構成10’は、両電極に電気的に接続された検出部114をさらに含む。検出部114は、ペンが製品表面と接触しているか否かを示すのに十分な電極間の電圧の変化を検出するように構成されてよい。このような検出部は、当業者に周知である。
【0104】
検出される変化は、少なくとも部分的に、スタイラス8が製品表面に降ろされた時にスタイラス8に入る電荷またはスタイラス8から逃げる電荷に起因するものであってよく、および/または、電極間の実際の静電容量の変化に起因するものであってよい。
【0105】
また、PDD構成10’は、管110内でのスタイラス8の小さな横方向の動きを許すように設計されてもよい。これは、柔軟な誘電体112をPDD構成に含めることによって実現されてよい。こうすることによって、スタイラス8が製品表面と接触して操作されると、スタイラス8と管110との間隔がわずかに変化し、その結果、これらの素子間の静電容量に相応の変化が生じることになる。静電容量の変化は、感圧性の誘電体、すなわち圧縮されると誘電率が高くなる材料を用いることにより、強められてよい。
【0106】
PDD構成10’は、スタイラスが表面に押し当てられた時にスタイラスの横方向の動きを引き起こすガイド要素115をさらに含んでよい。図15の実施の形態では、ガイド要素は、スタイラスの末端と係合する傾斜した制御面を有し、スタイラスが制御面の方へ押されるとスタイラスが横方向に片寄るようになっている。ガイド要素115は、管110などの、ペン内部の動かない部分に固定的に接続されてよい。
【0107】
例えば、ユーザが空のインク筆記用スタイラスを交換できるようにするために、または異なる種類のスタイラスを取り換えられるようにするために、スタイラス8がペンから取り外し可能であることが望ましい場合がある。そのような実施の形態の1つでは、誘電体112は管110の内側の裏張りまたはコーティングとして設けられ、それによってスタイラス8が管110に滑り込んだり管110から滑り出たりできるようになっている。好ましくは、スタイラス8は、スタイラス8を検出部114に電気的に接続するコネクタ/接点116と接触するまで滑り込まされる。スタイラス8が誘電体112への滑りばめによって所定の位置に保持されると好適である。別の変形例では、スタイラス8と、管110と、誘電体112とが交換可能なユニットを構成し、ユニットは、ペン内の管状ガイド部(図示しない)に摺動可能に受けられる。ユニットは、好適には、スタイラス8と管110とをそれぞれ検出部114に電気的に接続する1対のコネクタ/接点116、と接触するまで滑り込まされる。
【0108】
図16は、振動の検出によって動作するPDD構成10’を示す。PDD構成10’は、スタイラス8の長手方向の動きを許すように設計されてもよいし、されなくてもよい。
【0109】
このように、ペンは振動センサ120を備えてよく、振動センサ120は、スタイラス8と関連付けて配置されてもよいし、されなくてもよい。ある実施の形態において、振動センサ120は、スタイラス8が製品表面S上に降ろされた時、および引き続きこの表面上で操作された時に、スタイラス8によって生成される振動を拾うように、スタイラス8のためのガイド/保持部122に取り付けられる。別の実施の形態(図示しない)では、センサ120は、スタイラス8自体に取り付けられる。振動センサ120の出力信号を解析するために、制御部または処理部124が接続される。これらの信号がペンダウンを示すたびに、制御部124は、データ取り込み回路2や、もしあれば他の回路を、選択的に作動させてよい。ある実施の形態では、制御部124は、スタイラス8が表面Sに当てられた時に生成される特徴的な振動を識別することによってペンダウンを検出するように構成される。同様に、制御部124は、ペンが表面Sから持ち上げられたことを振動信号が示した時に、データ取り込み回路2などの回路の作動を止めてよい。
【0110】
ある実施の形態では、振動センサ120はマイクである。このマイクは、スタイラスの振動を取り込むように構成されることと、ペンの外部の音(環境音)を取り込むように構成されることとの、二重の用途を有してよい。取り込まれた音を位置などの他のデータと同期させて記録するように、ペンの処理部が構成されてよい。そのようなペンは、例えば米国特許第6665490号明細書に記載されたように、記録された音を記録された手書きメモと結びつけることを可能にしてよい。
【0111】
取り込まれる環境音は、筆記音のせいで低品質な場合がある。そのような筆記音は、スタイラスの動きによるクリック音と、スタイラス先端と製品表面との間の摩擦による擦過音とを含む場合がある。そのような筆記音は、結果として生じた音声トラックに対して、ソフトウェアおよび/またはハードウェアで実装される雑音低減アルゴリズムを動作させることによって低減されてよい。
【0112】
そのような雑音低減の効果は、筆記音を含む一方の音声トラックと、環境音および筆記音を含む他方の音声トラック、という2つの音声トラックを同期させて記録することによって改善されてよい。雑音低減は、両方の音声トラックが環境音および筆記音を含んでいても実現可能である。
【0113】
このような訳で、ペンは、二重用途のマイク1つの代わりに、2つのマイク120、126を含んでよい。これらのマイクのうち一方が筆記音の取り込み専用、他方が環境音の取り込み専用とされてもよいし、両方のマイクが環境音および筆記音の両方の取り込みに等しく用いられてもよい。マイク120、126からの出力信号は、2つの同期可能音声トラックを生成して格納する制御部124によって受信されてよい。
【0114】
カメラペン(図2参照)では、振動データの解析をペンカメラ2’によって取り込まれた画像の解析と組み合わせることによって、上記の構成を改良することが考えられる。そのような組み合わせは、ペンアップ検出用には簡単に実装できる。なぜなら、カメラ2’は、ペンダウンによって作動させられて、ペンアップ検出のために解析され得る画像を提供するからである。例えば、ペンアップは、振動データおよび画像データの両方で確認された場合に限って示されてよい。そのような画像データは、画像倍率と、物体距離と、画像中のコード記号の平均表面積と、画像中のコード記号の個数と、のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0115】
ペンダウン検出を改良するためにも画像データが同様に用いられてよい。ただし、これには、ペンが表面Sから持ち上げられている時にカメラ2’が動作状態である必要がある。電力消費を制限するため、持ち上げられたペンを、低い画像フレームレートでカメラが動作する低電力モードに設定し、ペンダウンによって、通常の画像フレームレートでカメラが動作する通常電力モードにペンが入るようにすることが考えられる。
【0116】
(ペンキャップの機能)
電子ペンがその前端でキャップを受けることは知られている。ペンが前端に筆記用の先端を有する場合、キャップは、例えばペンがユーザのポケットに入れられて運ばれている時に、インクが不注意で出されてしまうのを防ぐ働きをしてよい。ペンが前端にカメラなどのデータ読取部を有する場合、キャップは、ペンの前端に露出している任意の読取部品を保護する働きをしてよい。
【0117】
電子ペンに他の付帯物を設けることが望ましい場合がある。しかし、ユーザの観点からすると、付帯物をいつ携帯すべきかが分かりにくい。最もありがちなのが、必要な時に利用できないということである。
【0118】
ゆえに、そのような付帯機能を保護キャップに組み込むことが提案される。なぜなら、このキャップはペンと共に持ち運ばれる可能性が高いからである。
【0119】
図17A〜17Cは、キャップ130を操作してペン1に付帯機能を設けるさまざまな方法を示す。すべての図において、ペン1は、スタイラスおよび/またはデータ読取部のような前端器具132と、ペンの内部リソース136に接続された機械的および/または電気的なインターフェース134とを有する。キャップ130は、対応するインターフェース138を有し、インターフェース138は、キャップに取り付けられた付帯物140に接続される。キャップインターフェース138は、キャップの内側に配置されて、キャップ130がペン本体と係合させられた時にペンインターフェース134と接続するようになっている。
【0120】
図17Aでは、キャップ130は、ペン前端(左側)に取り付けられた時には単に保護的な機能を有し、ペン前端の反対側のペン末端(右側)に取り付けられた時には付加的な付帯機能を有する。
【0121】
図17Bでは、キャップ130は、ペン前端に延長された第1の位置(左側)に取り付けられた時には単に保護的な機能を有し、ペン前端がさらにキャップに挿入される第2の位置(右側)に取り付けられた時には付加的な付帯機能を有する。キャップ130およびペン1には、第1および第2の位置を定めるための協働係合要素(図示しない)が設けられてよい。そのような係合要素は、ねじ山、取り外し可能なスナップ結合部、バヨネット結合部などを含んでよい。例えば、キャップ130は定位置までねじ込まれてもよいし、あるいは定位置まで押し込まれ/引き抜かれてもよい。
【0122】
図17Cでは、キャップ130は、ペン前端の保護と付加的な付帯機能の提供との両方に働く、ただ1つの位置を有する。
【0123】
次に、消費物をキャップ130からペン1に移送する働きをする、さまざまな付帯機能の例を挙げる。
【0124】
キャップ130は、ペン1の内部電源に電力を供給する電源を収容してよい。具体的には、キャップ付帯物140は、ペンの充電式電池に電力を供給するための、電池またはマイクロ燃料電池を含んでよい。あるいは、キャップ付帯物140は、ペン1内部の内蔵マイクロ燃料電池に燃料(例えば水素、メタノール、プロパン等)を供給するための燃料容器を備えてよい。別の変形例では、キャップ付帯物140は、ペン1の充電式電池に充電電力を供給するための主電源コネクタを、随意に電力変換器と共に、備えてよい。さらに別の変形例では、ペンは電源を一切収容しないが、その代わりに、キャップに配置された電源から電力を受け取る。
【0125】
前述のマイクロ燃料電池は、DMFC(Direct-Methanol Fuel Cell、ダイレクトメタノール型燃料電池)、PEM(Proton Exchange Membrane、プロトン交換膜)、PS(Porous Silicon、多孔質シリコン)、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell、固体酸化物燃料電池)等のような、利用可能な技術または将来の技術に基づいてよい。
【0126】
別の実施の形態において、キャップ付帯物140は、筆記用インクをペン1の筆記用器具に供給するためのインク容器を含んでよい。この筆記用器具は、ペン内部のインク室と、インク室と流体が通じている筆記用の先端とを備えてよい。そのような実施の形態では、筆記用インクをキャップのインク容器からペンのインク室へ機械的に流す機構をキャップが含んでもよいし、あるいは、例えばインクがキャップからペンへ流れ込むようにペンを向けることによって、重力の作用で筆記用インクを移送することもできる。
【0127】
図18Aは、主に毛管作用によってキャップ130から筆記用器具8へインクを引くように設計された実施の形態を示す。そのような毛管作用は、インクと物質との間の粘着しようとする分子間力がインク内部の凝集しようとする分子間力よりも強い時に生じる。ただし、本出願の関連では、「毛管作用」は、拡散も含むと意図されている。キャップ130は、インク容器150と、容器150の開口に配置されて筆記用器具8の先端と接触させられる毛細管状要素152とを内蔵する。毛細管状要素152の外部端は、先端と対応する形にされてもよいし、されなくてもよい。毛細管状要素152は、容器150から自動的にインクを引き出す、好適な毛細管状および/または多孔質の固体材料で作られる。そのような材料の非限定例としては発砲ゴムおよびフェルトがあるが、当業者は、必要な特性を示す多数の材料を必ず見いだすであろう。図18Aでは、キャップ130をペン1の前端に付けることによって、毛細管状要素152の外部端が先端と接触させられる。筆記用器具8のインクの量が少なければ、毛細管状要素152に含まれるインクが、毛管作用によって、そしておそらくは重力の作用によってこれが補われて、先端を伝って筆記用器具8へと移送される。筆記用の先端は、ボールペンのペン先、フェルトペンのペン先、万年筆のペン先等のような、好適な種類とすることができる。
【0128】
変形例では、毛細管状要素は省略される。すなわち、筆記用器具8の先端が直接、インク容器150の開口に係合させられる。開口を覆うように一方向弁(図示しない)を配置し、それによって、先端が容器150に入るのを許容すると共に先端が容器150から引っ込められると自動的に開口を密封するようにしてよい。医療分野で用いられるいわゆるシリンジバルブまたはセプタム弁などのような、任意の好適な一方向弁を用いてよい。当業者は、使用されるべき一方向弁の代替品を容易に見いだすであろう。
【0129】
これらの実施の形態のうちのある実装では、キャップ130がペン1の前端に付けられるたびに、先端がキャップ130のインクと接触させられる(図17C参照)。これにより、インク補充が自動的に、かつユーザに気付かれずに行われる。
【0130】
以下では、ペン1の機能を代わりに拡張して働く、異なる付帯機能について、図18B〜18Gを参照して説明する。図面には説明にとって重要と考えられる部分だけが含まれること、従って、図1〜2を参照して上述したようにペン/キャップがさらなる部品を含んでよいことは理解されるであろう。
【0131】
図18Bに模式的に示された、ある実施の形態において、キャップ付帯品は放射源160を含み、放射源160は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペンの内部電源7から電力を供給される。放射源160は、平行化された可視放射(可視光)を出力してよく、それにより、レーザーポインタに類似した遠隔ポインティングデバイスとして使用できる可能性がもたらされる。あるいは、放射源160は、発散する可視放射を出力してよく、それによりフラッシュライト/トーチとして使用できるようになる。
【0132】
図18Cに模式的に示された別の実施の形態では、キャップ付帯品はカメラ162を備え、カメラ162は、結像光学系および放射センサ(図示しない)を含む。キャップカメラ162は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペンの内部電源7から電力を供給されてよい。キャップ130は、取り込まれた画像またはその画像から導出されたデータを、PC、PDA、携帯電話などのような外部装置へ転送するための外部コネクタ163をさらに含んでよい。あるいは、こうして得られたデータがペン−キャップインターフェース134、138を介してキャップ130からペン1へ転送されてもよい。また、キャップ130がカメラ162のための電源166を収容することも考えられ、その場合は、カメラ162がペンの電源7から電力を供給される必要はない。キャップ130は、画像を取り込むようにキャップカメラ162にトリガをかける、押しボタン168などの手動アクチュエータをさらに含んでよい。カメラキャップ130は、カメラの付いていない電子ペンで使用されてもよいし、カメラペンと共に使用されてもよい。キャップ130によって与えられるカメラ機能は、所定の機械可読符号または印刷されたテキストものを読み取るための近視野能力を含んでもよいし、あるいは写真を撮るための遠視野能力を含んでもよい。
【0133】
図18Dに模式的に示された、さらに別の実施の形態では、キャップ付帯品は光学系170を含み、光学系170は、例えばレンズ、開口絞り、放射光フィルタなどの光学部品を1つ以上含む。光学系170は、ペンカメラ2’と連係するように設計されるが、これはペンカメラ2’の撮像能力を変更するためである。例えば、キャップ130は、キャップ130の光学系170をペンカメラの結像系12と位置合わせした状態で、ペンの前端に付けられてよく、それによってペンカメラの視野、焦点距離、被写界深度、および/または波長感度を変更してよい。例えば異なる符号に対して異なる視野が必要である場合には、キャップ130を取り付けることによって、特定の種類の機械可読符号を読み取るために設計されたペンを、異なる種類の機械可読符号を読み取るように適合させてよい。同様に、キャップ130によって符号読み取りペンをテキスト走査ペンに変換できるようにしてもよいし、その逆でもよい。また、キャップ130によって、写真撮影に好適な遠視野光学系を符号読み取りペンに設けてもよい。ペンは、ペンの前端の動作位置にキャップ130がいつ取り付けられたかを検知するキャップセンサ171をさらに含んでよい。ペンの処理部5は、そのようなキャップセンサ171の出力信号に基づいて、ペンカメラ2’によって取り込まれた画像を処理するための異なるアルゴリズムの間で切り替えてよい。
【0134】
図18Eに模式的に示された、さらに別の実施の形態では、キャップ付帯品はデータ処理回路172を含み、データ処理回路172は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペンから、画像またはその画像から導出されたデータを受信できる。こうして、データ処理が電子ペン1とキャップ130とに分散されてよい。ある極端な例では、ペン1自体は処理部を持たないか、または低級なプロセッサ5を有するという状態で、すべての、または本質的にすべてのデータ処理が、キャップの回路172によって実行されてよい。これにより、画像データを取り込んで、例えばコード記号の識別および復号といった処理および解析のためにキャップ回路172へ転送するカメラペンを提供することが可能になる。あるいは、ペン処理部5が、例えばコード記号を識別するために、画像を前処理するように構成され、識別されたコード記号の復号と、それに続く復号データの処理とが、こうして識別されたコード記号に基づいてキャップ回路172で実行されるようにしてもよい。
【0135】
カメラペンの潜在的な弱点の1つはその光学系である。カメラペンの光学系は、ほこり、水分、ごみに対して非常に敏感な場合がある。要求の厳しい環境または好ましくない環境で使用されると、カメラペンの寿命が限られる恐れがある。処理能力のすべて、またはいくらかをキャップに置くことによって、取替費用を低減できる可能性がある。なぜなら、キャップ130を保持したまま故障したカメラペン1だけを廃棄することが可能だからである。ペン1に配置される代わりにキャップ130に配置された電子部品のすべてについて、費用節減が改善することは明らかである。例えば、キャップ130は、復号されたデータの格納のためのメモリ174を含んでもよく、これにより、たとえカメラペン1が取り換えられたとしても復号されたデータは保持され得る、という効果が追加される。さらに、主なデータ処理がキャップ130で実行されれば、それぞれが独自の処理ハードウェアおよび/またはソフトウェアのセットを提供するさまざまなバージョンのキャップと共に、同一のカメラペン1を用いることが可能になる。こうして、カメラペン1は、キャップ130を別のものと取り換えることによって、「物理的にアップグレード」されてよい。
【0136】
図18Fに模式的に示された別の実施の形態では、キャップ付帯品は不揮発性メモリ176を含み、不揮発性メモリ176は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペン1から、画像またはその画像から導出されたデータを受信し、随意にこのインターフェース134、138を介してペンへデータを戻す。キャップ130は、受信された画像またはその画像から導出されたデータを、PC、PDA、携帯電話などのような外部装置へ転送するための外部コネクタ178をさらに含んでよい。こうして、キャップ130は、ペン1に付加的なデータ格納能力を提供してよく、さらに、データをペン1から外部装置に移すための移動データ媒体として働いてもよい。ある極端な例では、ペン1は、自前の内蔵の不揮発性格納能力を持たない。別の例では、キャップ付帯品は、SDカード、CFカード、スマートメディアカード、MMC、メモリースティック等のような、既知の種類のカードまたはカートリッジの形式の取り外し可能なメモリユニットのための受け部を含む。そのような取り外し可能なメモリユニットが、キャップメモリ176またはその一部を構成してよい。
【0137】
図18Gに模式的に示された、さらなる実施の形態では、キャップ付帯品は、外部装置Dと無線で通信する送信部または送受信部180を含む。キャップ130がペンに取り付けられると、送信部/送受信部は、ペン−キャップインターフェース134、138を介してペン処理部5にアクセス可能になる。これにより、キャップ130は、ペン1の通信能力を拡張する可能性を提供する。また、キャップ130は、ペン処理部5から受信したデータを1つ以上の通信プロトコルに準拠して変換するように構成された、および/または外部装置Dから受信したデータをペン処理部5によって解釈され得る形式に変換するように構成された、変換デバイス182も含んでよい。
【0138】
上記の実施の形態が任意の所望のやり方で組み合わせられ得ることは理解されるであろう。例えば、キャップは、放射源(光源)、カメラ、光学系、データ処理回路、不揮発性メモリ、および送信部/送受信部の、任意の組み合わせを収容してよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラペン用の光学部品であって、
前記光学部品は、板状であり、
物体面の画像を透過させるように構成された結像部と、前記物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部とを含む、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備えることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記光学部品は一体構造である請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記結像部は、前記画像を生成するための表面構造を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記照明部は、前記物体面における前記照明光の範囲および/または位置を画定するための表面構造を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項5】
前記結像部は、放射光フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項6】
迷光が前記結像部を透過するのを防ぐように構成された迷光遮蔽部をさらに備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項7】
前記結像部および照明部を形成するために受動光学素子を設けた平板基板を備える請求項1に記載の光学部品。
【請求項8】
前記結像部の前記素子は、前記平板基板の表面層に形成された結像レンズ構造を備えることを特徴とする請求項7に記載の光学部品。
【請求項9】
前記素子は、結像部に開口絞りをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の光学部品。
【請求項10】
前記開口絞りは、前記結像レンズ構造の反対側に設けられた前記平板基板上の非透過性コーティングの開口により画定されることを特徴とする請求項9に記載の光学部品。
【請求項11】
前記結像部において前記平板基板に施された非透過性コーティングとして形成された迷光遮蔽部をさらに備え、
前記非透過性コーティングは、前記結像レンズ構造および前記開口絞りと位置合わせをして開口を画定するように配置されることを特徴とする請求項9または10に記載の光学部品。
【請求項12】
前記素子は、前記照明部の前記表面層に形成されたビーム成形レンズ構造をさらに備えることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項13】
前記表面層は、前記平板基板に設けられ前記結像レンズ構造の形成後に硬化された樹脂層であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項14】
前記結像部は、前記平板基板に設けられた選択透過コーティングとして形成された放射光フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項15】
前記結像部は、前記平板基板に分散された放射光フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の複数の前記光学部品を備えるウエハ構造。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の前記光学部品を備えるカメラペン。
【請求項18】
前記ペンに組み付けられた筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記光学部品用の第1の取付構造と、前記画像を検出するように構成された画像センサのための第2の取付構造と、前記照明光を生成するように構成された放射源のための第3の取付構造とを備えることを特徴とする請求項17に記載のカメラペン。
【請求項19】
前記第1の取付構造は、前記筐体の前部に位置し、前記第2の取付構造は、前記筐体の後部に位置することを特徴とする請求項18に記載のカメラペン。
【請求項20】
前記筐体は、前記前部と前記後部との間に延びて前記筐体を結像室と照明室とに分ける内壁部を備え、
前記第1の取付構造は、前記光学部品の結像部が前記結像室と対応し、前記光学部品の照明部が前記照明室と対応するように、前記光学部品を配置するように構成されることを特徴とする請求項19に記載のカメラペン。
【請求項21】
スタイラスを受けるための細長形状のガイド管をさらに備え、前記ガイド管は、前記筐体の外壁部に設けられた細長形状の凹部に受けられて組み合わされることを特徴とする請求項19または20に記載のカメラペン。
【請求項22】
前記筐体は、前記ガイド管の端面と係合するように構成された位置決め構造を前記凹部に備えることを特徴とする請求項21に記載のカメラペン。
【請求項23】
前記凹部は、前記ガイド管の中心軸を前記結像室および前記照明室を含む幾何学的平面から間隔をあけて配置するように、前記筐体の底壁部に形成されることを特徴とする請求項21または22に記載のカメラペン。
【請求項24】
前記結像室および前記照明室は、前記筐体の上面に開口することを特徴とする請求項23に記載のカメラペン。
【請求項25】
カメラペン用の光学部品を製造する方法であって、
前記方法は、板状のウエハ基板を用意することと、同一の光学部品を複数画定するように受動光学素子を前記ウエハ基板に設けることと、を含み、
前記光学部品のそれぞれは、物体面の画像を透過させるように構成された結像部と、前記物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部とを含む、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備えることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記受動光学素子は、各光学部品の前記結像部および前記照明部を画定することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記受動光学素子を設けることは、前記ウエハ基板の表面層において、各光学部品の前記結像部内に結像レンズ構造を形成することを含むことを特徴とする請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記受動光学素子を設けることは、前記表面層において、各光学部品の前記照明部内にビーム成形レンズ構造を形成することをさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
樹脂層を前記ウエハ基板に設け、前記構造を前記樹脂層に形成し、前記樹脂層を硬化させることによって、前記表面層を形成することをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記受動光学素子を設けることは、前記樹脂層を設ける前に、各結像部において、非透過性コーティングを前記ウエハ基板に設けることによって迷光遮蔽部を設けることをさらに含み、
前記非透過性コーティングは、前記結像レンズ構造と位置合わせをして開口を画定するように配置されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記受動光学素子を設けることは、前記結像レンズ構造の反対側の前記ウエハ基板上に、非透過性コーティングを設けることをさらに含み、
各結像部内の前記非透過性コーティングの開口が、前記結像部の開口絞りを形成することを特徴とする請求項27〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記付けることは、選択透過コーティングを前記ウエハ基板に設けることによって放射光フィルタを設けることをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
表面の画像を生成するように構成された結像系と、
前記画像を記録するように構成された画像センサと、
を備えるカメラペンであって、
前記結像系は、可変焦点レンズを備え、
前記カメラペンは、前記画像から導出されたパラメータに応じて、前記可変焦点レンズのために焦点制御信号を生成するように構成された制御部をさらに備えることを特徴とするカメラペン。
【請求項34】
前記パラメータは、ペン方向データを含むことを特徴とする請求項33に記載のカメラペン。
【請求項35】
前記ペン方向データは、パースペクティブ情報と、前記表面に対するペン角度方向と、前記画像センサと前記表面との間の距離と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項34に記載のカメラペン。
【請求項36】
前記パラメータは、画像倍率情報を含むことを特徴とする請求項33〜35のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項37】
前記表面は、本質的に一様に分布させられたコード記号のパターンを備え、前記パラメータは、前記コード記号を表すことを特徴とする請求項33〜36のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項38】
前記パラメータは、前記画像中のコード記号の数を表すことを特徴とする請求項37に記載のカメラペン。
【請求項39】
前記パターンは、前記表面上に規則的な格子パターンを基準として配置された個々のドットで構成されることを特徴とする請求項33〜38のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項40】
前記パラメータは、前記画像のコントラストを含むことを特徴とする請求項33〜39のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項41】
前記パラメータは、前記画像の焦点ぼけ推定値を含むことを特徴とする請求項33〜40のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項42】
前記焦点ぼけ推定値は、位相比較測定値に基づいて前記制御部によって導出されることを特徴とする請求項41に記載のカメラペン。
【請求項43】
前記制御部は、前記カメラペンのメモリから少なくとも1つの開始値を取り出し、前記開始値に基づいて初期焦点制御信号を出力することによって、開始手順を実行するようにさらに構成されることを特徴とする請求項33〜42のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項44】
前記制御部は、前記カメラペンの実際の動作状態を反映するために前記開始値を選択的に更新し、更新された前記開始値を前記メモリに格納するように構成されることを特徴とする請求項43に記載のカメラペン。
【請求項45】
前記開始手順は、少なくとも2つの異なる所定の焦点距離に前記レンズを制御し、結果として得られた前記パラメータの値を解析することをさらに含むことを特徴とする請求項43または44に記載のカメラペン。
【請求項46】
前記制御部は、前記開始手順の間は前記画像センサのフレームレートが増大された状態で動作するようにさらに構成されることを特徴とする請求項43に記載のカメラペン。
【請求項47】
少なくとも2つの異なる動作モードを有し、前記制御部は、前記異なる動作モードにおいて異なる開始値を用いるように構成されることを特徴とする請求項43〜46のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項48】
前記表面と物理的に接触した状態でのデータ入力のための第1の動作モードと、前記表面と接触していない状態での動きに基づくディスプレイ上のカーソル制御のための第2の動作モードとを有する請求項47に記載のカメラペン。
【請求項49】
前記制御部は、後続の画像を取り込むように前記画像センサが制御される前に、現在の画像に基づいて前記焦点制御信号を生成するように構成されることを特徴とする請求項33〜48のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項50】
前記レンズは、メニスカス越しに接触する第1の流体と第2の流体とを持つ流体室と、少なくとも1対の電極と、前記流体室の壁部の接触層とを備え、
前記レンズは、前記電極への電圧の印加が前記接触層の前記第2の流体に対する濡れ性に影響を及ぼし、その結果、前記メニスカスの形を変化させ、それによって前記レンズの焦点距離を変化させるように構成されることを特徴とする請求項33〜49のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項51】
カメラペンにおいて用いられる方法であって、
結像系によって生成された表面の画像を記録するために画像センサを制御すること、
そのように記録された前記画像からパラメータ値を導出することと、
前記パラメータ値に基づいて前記結像系の焦点距離を制御することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記パラメータ値は、ペン方向を表すことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記パラメータ値は、パースペクティブ情報と、前記表面に対するペン角度方向と、前記画像センサと前記表面との間の距離と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記パラメータ値は、前記画像の倍率を表すことを特徴とする請求項51〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記表面は、本質的に一様に分布させられたコード記号のパターンを備え、前記パラメータ値は、前記コード記号を表すことを特徴とする請求項51〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記パラメータ値は、前記画像中のコード記号の数を表すことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記制御は、前記パラメータ値に基づいて焦点制御信号を計算し、前記結像系の制御のために前記焦点制御信号を出力することを含むことを特徴とする請求項51〜56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1つの開始値を取り出し、前記開始値に基づいて前記結像系の焦点距離を制御することを含む開始手順をさらに含む請求項51〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記カメラペンの実際の動作状態を反映するために前記開始値を選択的に更新し、更新された前記開始値を格納することをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記開始手順は、少なくとも2つの異なる所定の焦点距離に前記結像系を制御し、結果として得られたパラメータ値を解析することをさらに含むことを特徴とする請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
コンピュータに読み込まれた時に請求項51〜60のいずれか1項に記載の方法を実行するプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項62】
スタイラスを受けるための細長いガイド管と、前記スタイラスに対する力の印加を示す出力信号を生成するセンサとを備える電子ペンであって、
前記センサは、前記ガイド管と前記スタイラスとの間の静電容量を表すパラメータを測定するように動作することを特徴とする電子ペン。
【請求項63】
前記ガイド管と前記スタイラスとの中間に配置された誘電体材料をさらに備える請求項62に記載の電子ペン。
【請求項64】
前記ガイド管には、柔軟な誘電体材料の内張りが少なくとも部分的に設けられることを特徴とする請求項62に記載の電子ペン。
【請求項65】
前記力の印加の際に前記スタイラスを横方向に片寄らせるように前記スタイラスの末端と係合する傾斜した制御面を持つ支持部をさらに備える請求項62〜64のいずれか1項に記載の電子ペン。
【請求項66】
電子ペンにおいて用いられる方法であって、前記電子ペンは、スタイラスを受けるための細長いガイド管を備え、
前記方法は、前記ガイド管と前記スタイラスとの間の静電容量を表すパラメータを検知することと、前記スタイラスに対する力の印加を示す出力信号を、前記パラメータに応じて生成することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項67】
表面との相互作用のための先端を持つスタイラスと、
前記表面の画像を記録するように構成されたカメラシステムと、
マイクと、
前記マイクの出力信号に基づいてカメラペンを低電力状態と高電力状態との間で選択的に切り替えるように構成された制御部と、
を備えることを特徴とするカメラペン。
【請求項68】
前記制御部は、前記出力信号が前記スタイラス先端と前記表面との接触を示す時に前記カメラペンを前記高電力状態に設定するように構成されることを特徴とする請求項67に記載のカメラペン。
【請求項69】
前記マイクは、前記カメラペンの内部に配置されることを特徴とする請求項67または68に記載のカメラペン。
【請求項70】
前記マイクは、前記スタイラスと関連付けて配置されることを特徴とする請求項69に記載のカメラペン。
【請求項71】
前記制御部は、前記スタイラス先端と前記表面との初期接触の特徴的な振動を識別するように構成されることを特徴とする請求項67〜70のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項72】
前記カメラペンの外側の音を取り込むように構成された環境マイクをさらに備える請求項67〜71のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項73】
前記制御部は、前記マイクの前記出力信号と前記環境マイクの出力信号とを同期可能に記録するようにさらに構成されることを特徴とする請求項72に記載のカメラペン。
【請求項74】
前記制御部は、少なくとも1つの前記画像から導出されたパラメータに基づいて、前記ペンを前記低電力状態と前記高電力状態との間で選択的に切り替えるようにさらに構成されることを特徴とする請求項67〜73のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項75】
前記パラメータは、画像倍率と、前記ペンと前記表面との間の距離と、少なくとも1つの前記画像中のコード記号の表面積と、少なくとも1つの前記画像中のコード記号の個数と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項74に記載のカメラペン。
【請求項76】
電子ペンにおいて用いられる方法であって、前記電子ペンは、データ取り込み回路とマイクとを含み、
前記方法は、前記マイクから出力信号を受信することと、前記出力信号に基づいて前記データ取り込み回路を低電力状態と高電力状態との間で選択的に切り替えることと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項77】
前記電子ペンは、表面との相互作用のための先端を持つスタイラスをさらに備え、
前記方法は、前記出力信号が前記先端と前記表面との接触を示す時に前記データ取り込み回路を前記高電力状態に設定することをさらに含むことを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記先端と前記表面との初期接触の特徴的な振動を識別することをさらに含む請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記電子ペンは、前記電子ペンの外側の音を取り込むように構成された環境マイクをさらに備え、
前記方法は、前記マイクの前記出力信号と前記環境マイクの出力信号とを同期可能に記録することをさらに含むことを特徴とする請求項76〜78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記データ取り込み回路は、前記表面の画像を記録するカメラを備え、
前記方法は、少なくとも1つの前記画像からパラメータ値を導出することと、前記パラメータ値に基づいて前記データ取り込み回路を前記状態どうしの間で選択的に切り替えることと、をさらに含むことを特徴とする請求項76〜79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記パラメータ値は、画像倍率と、前記ペンと前記表面との間の距離と、少なくとも1つの前記画像中のコード記号の表面積と、少なくとも1つの前記画像中のコード記号の個数と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項80に記載の方法。
【請求項82】
コンピュータに読み込まれた時に請求項76〜81のいずれか1項に記載の方法を実行するプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項83】
細長い本体と、前記本体の前端部と取り外し可能に係合するように構成された保護キャップとを備える電子ペンであって、
前記保護キャップは、前記電子ペンに消費物を供給する手段を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項84】
前記保護キャップは、前記ペンに電力を供給する内蔵電源を備えることを特徴とする請求項83に記載の電子ペン。
【請求項85】
前記電源は、前記電子ペンに配置された主電源を補う補助電源であることを特徴とする請求項83または84に記載の電子ペン。
【請求項86】
前記電源は、前記ペンの前記主電源であることを特徴とする請求項83または84に記載の電子ペン。
【請求項87】
前記保護キャップが前記本体の後端部と係合すると前記電源を前記ペンの電子回路に電気的に接続するように構成された請求項83〜86のいずれか1項に記載の電子ペン。
【請求項88】
表記面上で操作された時にマーキング液を出すペン先をさらに備え、前記保護キャップは、前記マーキング液を前記ペンに供給する貯蔵部を備えることを特徴とする請求項83〜87に記載の電子ペン。
【請求項89】
前記保護キャップは、前記ペンの前記前端部との前記係合時に前記マーキング液を前記ペンに供給するように構成されることを特徴とする請求項88に記載の電子ペン。
【請求項90】
前記保護キャップは、前記係合時に、前記貯蔵部の開口に前記ペン先を受けるように構成されることを特徴とする請求項89に記載の電子ペン。
【請求項91】
前記保護キャップは、前記貯蔵部の開口を通って延びる毛細管状材料を備え、前記保護キャップは、前記係合時に、前記毛細管状材料を前記ペン先と係合させるように構成されることを特徴とする請求項89に記載の電子ペン。
【請求項92】
前記ペン先は、前記マーキング液が毛管作用によって前記ペン先に入るように、多孔質材料で作られることを特徴とする請求項90または91に記載の電子ペン。
【請求項93】
前記ペン先にマーキング用の流体を供給する内部の貯蔵部をさらに備え、前記ペンは、前記キャップが前記本体の所定の部分と係合させられた時に、前記保護キャップの前記貯蔵部と前記内部の貯蔵部との間で液体を通じさせるように構成されることを特徴とする請求項88に記載の電子ペン。
【請求項94】
前記所定の部分は、前記本体の後端部であることを特徴とする請求項93に記載の電子ペン。
【請求項95】
データ取り込み機能を提供する電子ペンであって、
データ取り込み回路を収容する細長い本体と、前記本体の前端部と取り外し可能に係合するように構成された保護キャップと、を備え、
前記保護キャップは、前記電子ペンに機能を追加する手段を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項96】
前記キャップは、光源を含むことを特徴とする請求項95に記載の電子ペン。
【請求項97】
前記キャップは、前記光源が可視光の分散ビームを発するように制御され得ることによって、フラッシュライト機能を提供することを特徴とする請求項96に記載の電子ペン。
【請求項98】
前記キャップは、前記光源が可視光の平行ビームを発するように制御され得ることによって、ポインタ機能を提供することを特徴とする請求項96に記載の電子ペン。
【請求項99】
前記キャップは、カメラシステムを備えることを特徴とする請求項95に記載の電子ペン。
【請求項100】
前記本体は、前記データ取り込み回路のための電源を収容し、
前記電源は、前記本体のコネクタを介して外部からアクセス可能であり、
前記キャップは、接点素子を備えると共に、前記キャップが前記本体の所定の部分と係合すると、前記接点素子を前記コネクタと電気的に接触させて、前記キャップの電子回路が前記電源によって電力を供給され得るようにするように構成されることを特徴とする請求項95〜99のいずれか1項に記載の電子ペン。
【請求項101】
前記本体の所定の部分は、前記本体の前記前端部または後端部であることを特徴とする請求項100に記載の電子ペン。
【請求項102】
前記データ取り込み回路は、前記前端部に配置されたカメラシステムを備え、
前記キャップは、前記キャップが前記係合の状態にあるときに、前記カメラシステムの光学特性を変更するように構成された光学系を備えることを特徴とする請求項95に記載の電子ペン。
【請求項103】
前記光学特性は、視野と、焦点距離と、透過波長と、被写界深度と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項102に記載の電子ペン。
【請求項104】
前記キャップは、前記カメラシステムの選択的作動のためのトリガ機構をさらに備えることを特徴とする請求項102または103に記載の電子ペン。
【請求項105】
機能を追加する前記手段は、データ処理回路と、不揮発性メモリと、無線送信部と、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項95に記載の電子ペン。
【請求項106】
電子ペン用の保護キャップであって、
前記電子ペンの前端部と取り外し可能に係合する手段と、前記電子ペンと動作可能に係合させられた時に前記電子ペンに消費物を供給する手段と、を備えることを特徴とする保護キャップ。
【請求項107】
前記供給する手段は、前記電子ペンに電力を供給する内蔵電源を備えることを特徴とする請求項106に記載の保護キャップ。
【請求項108】
前記供給する手段は、前記電子ペンにマーキング液を供給する貯蔵部を備えることを特徴とする請求項106に記載の保護キャップ。
【請求項109】
データ取り込み機能を提供する電子ペンのための保護キャップであって、
前記電子ペンの前端部と取り外し可能に係合する手段と、前記電子ペンと動作可能に係合させられたときに前記電子ペンに機能を追加する手段と、を備えることを特徴とする保護キャップ。
【請求項110】
前記追加する手段は、光源と、カメラシステムと、前記電子ペンのカメラシステムの光学特性を変更する光学系と、データ処理回路と、不揮発性メモリと、無線送信部と、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項109に記載の保護キャップ。
【請求項111】
前記追加する手段は、前記電子ペンの電源によって電力を供給されることを特徴とする請求項109または110に記載の保護キャップ。
【請求項1】
カメラペン用の光学部品であって、
前記光学部品は、板状であり、
物体面の画像を透過させるように構成された結像部と、前記物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部とを含む、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備えることを特徴とする光学部品。
【請求項2】
前記光学部品は一体構造である請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記結像部は、前記画像を生成するための表面構造を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記照明部は、前記物体面における前記照明光の範囲および/または位置を画定するための表面構造を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項5】
前記結像部は、放射光フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項6】
迷光が前記結像部を透過するのを防ぐように構成された迷光遮蔽部をさらに備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項7】
前記結像部および照明部を形成するために受動光学素子を設けた平板基板を備える請求項1に記載の光学部品。
【請求項8】
前記結像部の前記素子は、前記平板基板の表面層に形成された結像レンズ構造を備えることを特徴とする請求項7に記載の光学部品。
【請求項9】
前記素子は、結像部に開口絞りをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の光学部品。
【請求項10】
前記開口絞りは、前記結像レンズ構造の反対側に設けられた前記平板基板上の非透過性コーティングの開口により画定されることを特徴とする請求項9に記載の光学部品。
【請求項11】
前記結像部において前記平板基板に施された非透過性コーティングとして形成された迷光遮蔽部をさらに備え、
前記非透過性コーティングは、前記結像レンズ構造および前記開口絞りと位置合わせをして開口を画定するように配置されることを特徴とする請求項9または10に記載の光学部品。
【請求項12】
前記素子は、前記照明部の前記表面層に形成されたビーム成形レンズ構造をさらに備えることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項13】
前記表面層は、前記平板基板に設けられ前記結像レンズ構造の形成後に硬化された樹脂層であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項14】
前記結像部は、前記平板基板に設けられた選択透過コーティングとして形成された放射光フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項15】
前記結像部は、前記平板基板に分散された放射光フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の複数の前記光学部品を備えるウエハ構造。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の前記光学部品を備えるカメラペン。
【請求項18】
前記ペンに組み付けられた筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記光学部品用の第1の取付構造と、前記画像を検出するように構成された画像センサのための第2の取付構造と、前記照明光を生成するように構成された放射源のための第3の取付構造とを備えることを特徴とする請求項17に記載のカメラペン。
【請求項19】
前記第1の取付構造は、前記筐体の前部に位置し、前記第2の取付構造は、前記筐体の後部に位置することを特徴とする請求項18に記載のカメラペン。
【請求項20】
前記筐体は、前記前部と前記後部との間に延びて前記筐体を結像室と照明室とに分ける内壁部を備え、
前記第1の取付構造は、前記光学部品の結像部が前記結像室と対応し、前記光学部品の照明部が前記照明室と対応するように、前記光学部品を配置するように構成されることを特徴とする請求項19に記載のカメラペン。
【請求項21】
スタイラスを受けるための細長形状のガイド管をさらに備え、前記ガイド管は、前記筐体の外壁部に設けられた細長形状の凹部に受けられて組み合わされることを特徴とする請求項19または20に記載のカメラペン。
【請求項22】
前記筐体は、前記ガイド管の端面と係合するように構成された位置決め構造を前記凹部に備えることを特徴とする請求項21に記載のカメラペン。
【請求項23】
前記凹部は、前記ガイド管の中心軸を前記結像室および前記照明室を含む幾何学的平面から間隔をあけて配置するように、前記筐体の底壁部に形成されることを特徴とする請求項21または22に記載のカメラペン。
【請求項24】
前記結像室および前記照明室は、前記筐体の上面に開口することを特徴とする請求項23に記載のカメラペン。
【請求項25】
カメラペン用の光学部品を製造する方法であって、
前記方法は、板状のウエハ基板を用意することと、同一の光学部品を複数画定するように受動光学素子を前記ウエハ基板に設けることと、を含み、
前記光学部品のそれぞれは、物体面の画像を透過させるように構成された結像部と、前記物体面へ向けて照明光を透過させるように構成された照明部とを含む、少なくとも2つの重ならない放射透過部を備えることを特徴とする方法。
【請求項26】
前記受動光学素子は、各光学部品の前記結像部および前記照明部を画定することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記受動光学素子を設けることは、前記ウエハ基板の表面層において、各光学部品の前記結像部内に結像レンズ構造を形成することを含むことを特徴とする請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記受動光学素子を設けることは、前記表面層において、各光学部品の前記照明部内にビーム成形レンズ構造を形成することをさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
樹脂層を前記ウエハ基板に設け、前記構造を前記樹脂層に形成し、前記樹脂層を硬化させることによって、前記表面層を形成することをさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記受動光学素子を設けることは、前記樹脂層を設ける前に、各結像部において、非透過性コーティングを前記ウエハ基板に設けることによって迷光遮蔽部を設けることをさらに含み、
前記非透過性コーティングは、前記結像レンズ構造と位置合わせをして開口を画定するように配置されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記受動光学素子を設けることは、前記結像レンズ構造の反対側の前記ウエハ基板上に、非透過性コーティングを設けることをさらに含み、
各結像部内の前記非透過性コーティングの開口が、前記結像部の開口絞りを形成することを特徴とする請求項27〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記付けることは、選択透過コーティングを前記ウエハ基板に設けることによって放射光フィルタを設けることをさらに含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
表面の画像を生成するように構成された結像系と、
前記画像を記録するように構成された画像センサと、
を備えるカメラペンであって、
前記結像系は、可変焦点レンズを備え、
前記カメラペンは、前記画像から導出されたパラメータに応じて、前記可変焦点レンズのために焦点制御信号を生成するように構成された制御部をさらに備えることを特徴とするカメラペン。
【請求項34】
前記パラメータは、ペン方向データを含むことを特徴とする請求項33に記載のカメラペン。
【請求項35】
前記ペン方向データは、パースペクティブ情報と、前記表面に対するペン角度方向と、前記画像センサと前記表面との間の距離と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項34に記載のカメラペン。
【請求項36】
前記パラメータは、画像倍率情報を含むことを特徴とする請求項33〜35のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項37】
前記表面は、本質的に一様に分布させられたコード記号のパターンを備え、前記パラメータは、前記コード記号を表すことを特徴とする請求項33〜36のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項38】
前記パラメータは、前記画像中のコード記号の数を表すことを特徴とする請求項37に記載のカメラペン。
【請求項39】
前記パターンは、前記表面上に規則的な格子パターンを基準として配置された個々のドットで構成されることを特徴とする請求項33〜38のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項40】
前記パラメータは、前記画像のコントラストを含むことを特徴とする請求項33〜39のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項41】
前記パラメータは、前記画像の焦点ぼけ推定値を含むことを特徴とする請求項33〜40のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項42】
前記焦点ぼけ推定値は、位相比較測定値に基づいて前記制御部によって導出されることを特徴とする請求項41に記載のカメラペン。
【請求項43】
前記制御部は、前記カメラペンのメモリから少なくとも1つの開始値を取り出し、前記開始値に基づいて初期焦点制御信号を出力することによって、開始手順を実行するようにさらに構成されることを特徴とする請求項33〜42のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項44】
前記制御部は、前記カメラペンの実際の動作状態を反映するために前記開始値を選択的に更新し、更新された前記開始値を前記メモリに格納するように構成されることを特徴とする請求項43に記載のカメラペン。
【請求項45】
前記開始手順は、少なくとも2つの異なる所定の焦点距離に前記レンズを制御し、結果として得られた前記パラメータの値を解析することをさらに含むことを特徴とする請求項43または44に記載のカメラペン。
【請求項46】
前記制御部は、前記開始手順の間は前記画像センサのフレームレートが増大された状態で動作するようにさらに構成されることを特徴とする請求項43に記載のカメラペン。
【請求項47】
少なくとも2つの異なる動作モードを有し、前記制御部は、前記異なる動作モードにおいて異なる開始値を用いるように構成されることを特徴とする請求項43〜46のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項48】
前記表面と物理的に接触した状態でのデータ入力のための第1の動作モードと、前記表面と接触していない状態での動きに基づくディスプレイ上のカーソル制御のための第2の動作モードとを有する請求項47に記載のカメラペン。
【請求項49】
前記制御部は、後続の画像を取り込むように前記画像センサが制御される前に、現在の画像に基づいて前記焦点制御信号を生成するように構成されることを特徴とする請求項33〜48のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項50】
前記レンズは、メニスカス越しに接触する第1の流体と第2の流体とを持つ流体室と、少なくとも1対の電極と、前記流体室の壁部の接触層とを備え、
前記レンズは、前記電極への電圧の印加が前記接触層の前記第2の流体に対する濡れ性に影響を及ぼし、その結果、前記メニスカスの形を変化させ、それによって前記レンズの焦点距離を変化させるように構成されることを特徴とする請求項33〜49のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項51】
カメラペンにおいて用いられる方法であって、
結像系によって生成された表面の画像を記録するために画像センサを制御すること、
そのように記録された前記画像からパラメータ値を導出することと、
前記パラメータ値に基づいて前記結像系の焦点距離を制御することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記パラメータ値は、ペン方向を表すことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記パラメータ値は、パースペクティブ情報と、前記表面に対するペン角度方向と、前記画像センサと前記表面との間の距離と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記パラメータ値は、前記画像の倍率を表すことを特徴とする請求項51〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記表面は、本質的に一様に分布させられたコード記号のパターンを備え、前記パラメータ値は、前記コード記号を表すことを特徴とする請求項51〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記パラメータ値は、前記画像中のコード記号の数を表すことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記制御は、前記パラメータ値に基づいて焦点制御信号を計算し、前記結像系の制御のために前記焦点制御信号を出力することを含むことを特徴とする請求項51〜56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1つの開始値を取り出し、前記開始値に基づいて前記結像系の焦点距離を制御することを含む開始手順をさらに含む請求項51〜57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記カメラペンの実際の動作状態を反映するために前記開始値を選択的に更新し、更新された前記開始値を格納することをさらに含む請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記開始手順は、少なくとも2つの異なる所定の焦点距離に前記結像系を制御し、結果として得られたパラメータ値を解析することをさらに含むことを特徴とする請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
コンピュータに読み込まれた時に請求項51〜60のいずれか1項に記載の方法を実行するプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項62】
スタイラスを受けるための細長いガイド管と、前記スタイラスに対する力の印加を示す出力信号を生成するセンサとを備える電子ペンであって、
前記センサは、前記ガイド管と前記スタイラスとの間の静電容量を表すパラメータを測定するように動作することを特徴とする電子ペン。
【請求項63】
前記ガイド管と前記スタイラスとの中間に配置された誘電体材料をさらに備える請求項62に記載の電子ペン。
【請求項64】
前記ガイド管には、柔軟な誘電体材料の内張りが少なくとも部分的に設けられることを特徴とする請求項62に記載の電子ペン。
【請求項65】
前記力の印加の際に前記スタイラスを横方向に片寄らせるように前記スタイラスの末端と係合する傾斜した制御面を持つ支持部をさらに備える請求項62〜64のいずれか1項に記載の電子ペン。
【請求項66】
電子ペンにおいて用いられる方法であって、前記電子ペンは、スタイラスを受けるための細長いガイド管を備え、
前記方法は、前記ガイド管と前記スタイラスとの間の静電容量を表すパラメータを検知することと、前記スタイラスに対する力の印加を示す出力信号を、前記パラメータに応じて生成することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項67】
表面との相互作用のための先端を持つスタイラスと、
前記表面の画像を記録するように構成されたカメラシステムと、
マイクと、
前記マイクの出力信号に基づいてカメラペンを低電力状態と高電力状態との間で選択的に切り替えるように構成された制御部と、
を備えることを特徴とするカメラペン。
【請求項68】
前記制御部は、前記出力信号が前記スタイラス先端と前記表面との接触を示す時に前記カメラペンを前記高電力状態に設定するように構成されることを特徴とする請求項67に記載のカメラペン。
【請求項69】
前記マイクは、前記カメラペンの内部に配置されることを特徴とする請求項67または68に記載のカメラペン。
【請求項70】
前記マイクは、前記スタイラスと関連付けて配置されることを特徴とする請求項69に記載のカメラペン。
【請求項71】
前記制御部は、前記スタイラス先端と前記表面との初期接触の特徴的な振動を識別するように構成されることを特徴とする請求項67〜70のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項72】
前記カメラペンの外側の音を取り込むように構成された環境マイクをさらに備える請求項67〜71のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項73】
前記制御部は、前記マイクの前記出力信号と前記環境マイクの出力信号とを同期可能に記録するようにさらに構成されることを特徴とする請求項72に記載のカメラペン。
【請求項74】
前記制御部は、少なくとも1つの前記画像から導出されたパラメータに基づいて、前記ペンを前記低電力状態と前記高電力状態との間で選択的に切り替えるようにさらに構成されることを特徴とする請求項67〜73のいずれか1項に記載のカメラペン。
【請求項75】
前記パラメータは、画像倍率と、前記ペンと前記表面との間の距離と、少なくとも1つの前記画像中のコード記号の表面積と、少なくとも1つの前記画像中のコード記号の個数と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項74に記載のカメラペン。
【請求項76】
電子ペンにおいて用いられる方法であって、前記電子ペンは、データ取り込み回路とマイクとを含み、
前記方法は、前記マイクから出力信号を受信することと、前記出力信号に基づいて前記データ取り込み回路を低電力状態と高電力状態との間で選択的に切り替えることと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項77】
前記電子ペンは、表面との相互作用のための先端を持つスタイラスをさらに備え、
前記方法は、前記出力信号が前記先端と前記表面との接触を示す時に前記データ取り込み回路を前記高電力状態に設定することをさらに含むことを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記先端と前記表面との初期接触の特徴的な振動を識別することをさらに含む請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記電子ペンは、前記電子ペンの外側の音を取り込むように構成された環境マイクをさらに備え、
前記方法は、前記マイクの前記出力信号と前記環境マイクの出力信号とを同期可能に記録することをさらに含むことを特徴とする請求項76〜78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記データ取り込み回路は、前記表面の画像を記録するカメラを備え、
前記方法は、少なくとも1つの前記画像からパラメータ値を導出することと、前記パラメータ値に基づいて前記データ取り込み回路を前記状態どうしの間で選択的に切り替えることと、をさらに含むことを特徴とする請求項76〜79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記パラメータ値は、画像倍率と、前記ペンと前記表面との間の距離と、少なくとも1つの前記画像中のコード記号の表面積と、少なくとも1つの前記画像中のコード記号の個数と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項80に記載の方法。
【請求項82】
コンピュータに読み込まれた時に請求項76〜81のいずれか1項に記載の方法を実行するプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項83】
細長い本体と、前記本体の前端部と取り外し可能に係合するように構成された保護キャップとを備える電子ペンであって、
前記保護キャップは、前記電子ペンに消費物を供給する手段を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項84】
前記保護キャップは、前記ペンに電力を供給する内蔵電源を備えることを特徴とする請求項83に記載の電子ペン。
【請求項85】
前記電源は、前記電子ペンに配置された主電源を補う補助電源であることを特徴とする請求項83または84に記載の電子ペン。
【請求項86】
前記電源は、前記ペンの前記主電源であることを特徴とする請求項83または84に記載の電子ペン。
【請求項87】
前記保護キャップが前記本体の後端部と係合すると前記電源を前記ペンの電子回路に電気的に接続するように構成された請求項83〜86のいずれか1項に記載の電子ペン。
【請求項88】
表記面上で操作された時にマーキング液を出すペン先をさらに備え、前記保護キャップは、前記マーキング液を前記ペンに供給する貯蔵部を備えることを特徴とする請求項83〜87に記載の電子ペン。
【請求項89】
前記保護キャップは、前記ペンの前記前端部との前記係合時に前記マーキング液を前記ペンに供給するように構成されることを特徴とする請求項88に記載の電子ペン。
【請求項90】
前記保護キャップは、前記係合時に、前記貯蔵部の開口に前記ペン先を受けるように構成されることを特徴とする請求項89に記載の電子ペン。
【請求項91】
前記保護キャップは、前記貯蔵部の開口を通って延びる毛細管状材料を備え、前記保護キャップは、前記係合時に、前記毛細管状材料を前記ペン先と係合させるように構成されることを特徴とする請求項89に記載の電子ペン。
【請求項92】
前記ペン先は、前記マーキング液が毛管作用によって前記ペン先に入るように、多孔質材料で作られることを特徴とする請求項90または91に記載の電子ペン。
【請求項93】
前記ペン先にマーキング用の流体を供給する内部の貯蔵部をさらに備え、前記ペンは、前記キャップが前記本体の所定の部分と係合させられた時に、前記保護キャップの前記貯蔵部と前記内部の貯蔵部との間で液体を通じさせるように構成されることを特徴とする請求項88に記載の電子ペン。
【請求項94】
前記所定の部分は、前記本体の後端部であることを特徴とする請求項93に記載の電子ペン。
【請求項95】
データ取り込み機能を提供する電子ペンであって、
データ取り込み回路を収容する細長い本体と、前記本体の前端部と取り外し可能に係合するように構成された保護キャップと、を備え、
前記保護キャップは、前記電子ペンに機能を追加する手段を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項96】
前記キャップは、光源を含むことを特徴とする請求項95に記載の電子ペン。
【請求項97】
前記キャップは、前記光源が可視光の分散ビームを発するように制御され得ることによって、フラッシュライト機能を提供することを特徴とする請求項96に記載の電子ペン。
【請求項98】
前記キャップは、前記光源が可視光の平行ビームを発するように制御され得ることによって、ポインタ機能を提供することを特徴とする請求項96に記載の電子ペン。
【請求項99】
前記キャップは、カメラシステムを備えることを特徴とする請求項95に記載の電子ペン。
【請求項100】
前記本体は、前記データ取り込み回路のための電源を収容し、
前記電源は、前記本体のコネクタを介して外部からアクセス可能であり、
前記キャップは、接点素子を備えると共に、前記キャップが前記本体の所定の部分と係合すると、前記接点素子を前記コネクタと電気的に接触させて、前記キャップの電子回路が前記電源によって電力を供給され得るようにするように構成されることを特徴とする請求項95〜99のいずれか1項に記載の電子ペン。
【請求項101】
前記本体の所定の部分は、前記本体の前記前端部または後端部であることを特徴とする請求項100に記載の電子ペン。
【請求項102】
前記データ取り込み回路は、前記前端部に配置されたカメラシステムを備え、
前記キャップは、前記キャップが前記係合の状態にあるときに、前記カメラシステムの光学特性を変更するように構成された光学系を備えることを特徴とする請求項95に記載の電子ペン。
【請求項103】
前記光学特性は、視野と、焦点距離と、透過波長と、被写界深度と、のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項102に記載の電子ペン。
【請求項104】
前記キャップは、前記カメラシステムの選択的作動のためのトリガ機構をさらに備えることを特徴とする請求項102または103に記載の電子ペン。
【請求項105】
機能を追加する前記手段は、データ処理回路と、不揮発性メモリと、無線送信部と、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項95に記載の電子ペン。
【請求項106】
電子ペン用の保護キャップであって、
前記電子ペンの前端部と取り外し可能に係合する手段と、前記電子ペンと動作可能に係合させられた時に前記電子ペンに消費物を供給する手段と、を備えることを特徴とする保護キャップ。
【請求項107】
前記供給する手段は、前記電子ペンに電力を供給する内蔵電源を備えることを特徴とする請求項106に記載の保護キャップ。
【請求項108】
前記供給する手段は、前記電子ペンにマーキング液を供給する貯蔵部を備えることを特徴とする請求項106に記載の保護キャップ。
【請求項109】
データ取り込み機能を提供する電子ペンのための保護キャップであって、
前記電子ペンの前端部と取り外し可能に係合する手段と、前記電子ペンと動作可能に係合させられたときに前記電子ペンに機能を追加する手段と、を備えることを特徴とする保護キャップ。
【請求項110】
前記追加する手段は、光源と、カメラシステムと、前記電子ペンのカメラシステムの光学特性を変更する光学系と、データ処理回路と、不揮発性メモリと、無線送信部と、のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項109に記載の保護キャップ。
【請求項111】
前記追加する手段は、前記電子ペンの電源によって電力を供給されることを特徴とする請求項109または110に記載の保護キャップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図18F】
【図18G】
【公表番号】特表2010−523043(P2010−523043A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500875(P2010−500875)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050335
【国際公開番号】WO2008/118085
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(506145326)アノト アクティエボラーク (49)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050335
【国際公開番号】WO2008/118085
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(506145326)アノト アクティエボラーク (49)
【Fターム(参考)】
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