説明

カメラモジュール

【課題】赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合を防止しつつ、適切に特定波長の光をカットすること。
【解決手段】光軸方向に沿って配置される複数の光学レンズ群(第1〜第3の光学レンズ21〜23)からなる撮像レンズ2と、この撮像レンズ2を介して入射した光を受光する撮像素子31とを具備し、撮像レンズ2における最も被写体側に配置される第1の光学レンズ21の外側の一方の光学面に平面部211を設け、この平面部211に赤外線カット膜211aを形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールに関し、特に、携帯電話装置等に搭載されるデジタルカメラ機能に好適に用いられるカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話装置においては、デジタルカメラ機能を備える機種が普及している。このような携帯電話装置においては、携帯性の便宜から小型化、軽量化が要請されている。このような要請に伴って携帯電話装置に搭載されるカメラモジュールにおいても、小型化、軽量化が要請されている。一方、このようなカメラモジュールの機能も高機能化してきている。例えば、1000万画素以上の撮像機能を有するカメラモジュールを搭載する携帯電話装置も普及し始めている。
【0003】
携帯電話装置に搭載されるカメラモジュールにおいては、CCDやCMOSなどの撮像素子が用いられている。これらの撮像素子は、可視領域のみならず、赤外領域にも強い感度を有しており、受光特性を視感度に近づけるために、λ=800〜1200nmの波長の光をカットする必要がある。従来は、撮像レンズと撮像素子との間に赤外線カットフィルタを配置し(例えば、特許文献1参照)、或いは、撮像レンズの光学面に対して赤外線カット膜を形成するなどして(例えば、特許文献2参照)、これらの波長の光をカットしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−309011号公報
【特許文献2】特開2007−206172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のカメラモジュールにおいて、フィルムタイプの赤外線カットフィルタを用いる場合においては、フィルタ自体が軽量であることに起因してカメラモジュールに組み込む際に所望の位置に配置できない事態や、入射光の複屈折に起因して撮像素子におけるピクセルサイズが小型化された場合に撮像性能が低下する事態が発生し得る。一方、ガラスタイプの赤外線カットフィルタを用いる場合においては、カメラモジュールに組み込む際に発生する外圧等に応じて破損する事態や、ガラス基材から切断加工時に赤外線カットフィルタに付着した異物等が撮像素子の収納空間に混入する事態が発生し得る。
【0006】
撮像レンズの光学面に対して赤外線カット膜を形成する場合には、赤外線カットフィルタを用いる場合のような不具合を抑制することができる。しかしながら、特許文献2に記載のように、撮像レンズの曲面に赤外線カット膜を形成する場合には、均一に赤外線カット膜を形成することが困難であり、適切に特定波長の光をカットすることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合を防止しつつ、適切に特定波長の光をカットすることができるカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカメラモジュールは、光軸方向に沿って配置される複数の光学レンズ群からなる撮像レンズと、前記撮像レンズを介して入射した光を受光する撮像素子とを具備し、前記撮像レンズにおける最も被写体側又は前記撮像素子側に配置される光学レンズの外側の一方の光学面に平面部を設け、当該平面部に赤外線カット膜を形成したことを特徴とする。
【0009】
上記カメラモジュールによれば、最も被写体側又は撮像素子側に配置される光学レンズの外側の一方の光学面に平面部を設け、当該平面部に赤外線カット膜を形成したことから、光学レンズの光学面に均一に赤外線カット膜を形成することができるので、適切に特定波長の光をカットすることができる。また、光学レンズの光学面に赤外線カット膜を形成することから、赤外線カットフィルタを別途配設する必要がなくなるので、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合が発生することもない。この結果、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合を防止しつつ、適切に特定波長の光をカットすることが可能となる。
【0010】
上記カメラモジュールにおいて、前記撮像レンズは、前記被写体側から前記撮像素子に向けて第1〜第3の光学レンズを有し、前記第1の光学レンズの前記被写体側の光学面に平面部を設ける一方、前記第1の光学レンズの前記撮像素子側の光学面、前記第2の光学レンズの光学面の両面及び前記第3の光学レンズの前記被写体側の光学面に曲面部を設けることが好ましい。この場合には、最も被写体側に配置される第1の光学レンズの被写体側の光学面で特定波長の光をカットすることができるので、当該特定波長の光の撮像レンズにおける内面反射に起因する迷光現象を軽減でき、撮像素子を介して得られる撮像画像の劣化を抑制することが可能となる。
【0011】
また、上記カメラモジュールにおいて、前記撮像レンズは、前記被写体側から前記撮像素子に向けて第1〜第3の光学レンズを有し、前記第3の光学レンズの前記撮像素子側の光学面に平面部を設ける一方、前記第3の光学レンズの前記被写体側の光学面、前記第2の光学レンズの光学面の両面及び前記第1の光学レンズの前記撮像素子側の光学面に曲面部を設けることが好ましい。この場合には、最も撮像素子側に配置される第3の光学レンズの撮像素子側の光学面で特定波長の光をカットすることができるので、第1〜第3の光学レンズを介して収束した特定波長の光をカット対象とすることができ、効率的に特定波長の光をカットすることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、最も被写体側又は撮像素子側に配置される光学レンズの外側の一方の光学面に平面部を設け、当該平面部に赤外線カット膜を形成したことから、光学レンズの光学面に均一に赤外線カット膜を形成することができるので、適切に特定波長の光をカットすることができる。また、光学レンズの光学面に赤外線カット膜を形成することから、赤外線カットフィルタを別途配設する必要がなくなるので、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合が発生することもない。この結果、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合を防止しつつ、適切に特定波長の光をカットすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの分解斜視図である。
【図2】実施の形態1に係るカメラモジュールが有する撮像レンズの側断面図である。
【図3】実施の形態1に係るカメラモジュールの側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るカメラモジュールの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係るカメラモジュールは、例えば、携帯電話装置やパーソナルコンピュータなどにおけるデジタルカメラ機能に用いられるものである。なお、本実施の形態に係るカメラモジュールが搭載される装置については、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るカメラモジュール1の分解斜視図である。以下においては、説明の便宜上、カメラモジュール1が有する回路基板4側をカメラモジュール1の後方側と呼び、カメラモジュール1が有するケース6側をカメラモジュール1側の前方側と呼ぶものとする。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態に係るカメラモジュール1は、複数(本実施の形態では3枚)の光学レンズ群(第1〜第3の光学レンズ21〜23)からなる撮像レンズ2と、この撮像レンズ2を介して入射した光を受光する撮像素子31を有するイメージセンサ3と、このイメージセンサ3が実装される回路基板4と、撮像レンズ2とイメージセンサ3との間に配置されるスペーサ5と、撮像レンズ2及びスペーサ5を収容し、回路基板31に固定されるケース6とを含んで構成されている。
【0017】
撮像レンズ2は、第1の光学レンズ(以下、「第1レンズ」という)21と、第2の光学レンズ(以下、「第2レンズ」という)22と、第3の光学レンズ(以下、「第3レンズ」という)23とを有している。これらの第1レンズ21、第2レンズ22及び第3レンズ23は、光軸方向に沿って配置されている。第1レンズ21が最も被写体側に配置される一方、第3レンズ23が最も撮像素子31側に配置されており、これらの間に第2レンズ22が配置されている。なお、第1レンズ21〜第3レンズ23の形状については後述する。
【0018】
第1レンズ21と第2レンズ22との間、並びに、第2レンズ22と第3レンズ23との間には、それぞれ絞り部材71、72が配設されている。絞り部材71は、円環形状を有する板状部材で構成されており、開口部71aの中心が第1レンズ21、第2レンズ22の中心に対応するように配置される。同様に、絞り部材72は、円環形状を有する板状部材で構成されており、開口部72aの中心が第2レンズ22、第3レンズ23の中心に対応するように配置される。これらの絞り部材71、72は、後述するケース6の入射口62aから不所望の入射角度で入射される光を除去するものである。
【0019】
イメージセンサ3は、矩形状の板状部材で構成され、一辺を除く部分の外縁部においてボンディングワイヤ32で回路基板4に実装されている。イメージセンサ3には、その前面の中央部に長方形状の撮像素子31が設けられている。撮像素子31は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)で構成され、カメラモジュール1が組み立てられた状態でスペーサ5を介して第3レンズ23と対向する位置に配置されている。
【0020】
回路基板4は、矩形状の板状部材で構成され、本実施の形態に係るカメラモジュール1の底面部を構成するものである。イメージセンサ3は、回路基板4の前面の中央部に実装される。ケース6は、このイメージセンサ3の配置されていない外縁部近傍で回路基板4の前面に取り付けられる。そして、回路基板4は、このようにケース6が取り付けられた状態で携帯電話装置などの機器に実装される。
【0021】
スペーサ5は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形され、概して矩形状の板状部材で構成されている。スペーサ5の中央には、円形状の開口部51が設けられている。この開口部51は、イメージセンサ3の撮像素子31を撮像レンズ2側に露出可能な寸法に設けられている。スペーサ5は、開口部51の中心が撮像素子31の中心に対応するように配置され、撮像レンズ2(より具体的には、第3レンズ23)と撮像素子31との間に一定の距離を確保する役割を果たす。
【0022】
ケース6は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形され、後方側に開口した箱状の基部61と、この基部61の前面に設けられた円筒形状部62とを有している。円筒形状部62の中央部には、入射口62aが形成されている。基部61及び円筒形状部62の内側には、撮像レンズ2、イメージセンサ3及びスペーサ5を収容可能な収容部63が設けられている(図3参照)。この収容部63のうちは、撮像レンズ2に対応する部分は、撮像レンズ2(第1レンズ21〜第3レンズ23)の周面と略同一寸法(より厳密には僅かに大径)に設けられ、これらの周面を密着させた状態で撮像レンズ2を収容可能に構成されている。
【0023】
ここで、本実施の形態に係るカメラモジュール1が有する撮像レンズ2の構成について説明する。図2は、実施の形態1に係るカメラモジュール1が有する撮像レンズ2の側断面図である。なお、図2においては、カメラモジュール1に組み込まれた状態の撮像レンズ2について示している。また、図2においては、説明の便宜上、絞り部材71、72も示している。
【0024】
図2に示すように、第1レンズ21は、前面に配置された光学面に平面部211が設けられる一方、後面に配置された光学面の中央部に曲面部212が設けられている。後面に配置された曲面部212は、ケース6に設けられる入射口62aに対応する位置に設けられ、被写体側(図2に示す左方側)に窪む凹形状を有している。また、第1レンズ21における図2に示す下端部には、第2レンズ22側に突出する突出部213が設けられている。この突出部213は、第1レンズ21に対する第2レンズ22の位置決めを行う役割を果たすものである。
【0025】
第2レンズ22は、両面(前面及び後面)に配置された光学面の中央部にそれぞれ曲面部221、222が設けられている。これらの曲面部221、222は、第1レンズ21の曲面部212に対応する位置に設けられている。前面に配置された曲面部221は、被写体側に突出する凸形状を有しており、後面に配置された曲面部222は、被写体側(図2に示す左方側)に窪む凹形状を有している。また、第2レンズ22における図2に示す下端部には、第3レンズ23側に突出する突出部223が設けられている。この突出部223は、第2レンズ22に対する第3レンズ23の位置決めを行う役割を果たすものである。また、この突出部223の前方側には、第1レンズ21の突出部213の形状に応じた凹部224が設けられている。第2レンズ22は、第1レンズ21の突出部213をこの凹部224で受けることで、その位置決めが行われる。
【0026】
第3レンズ23は、前面に配置された光学面の中央部に曲面部231が設けられる一方、後面に配置された光学面に平面部232が設けられている。前面に配置された曲面部231は、撮像素子31側(図2に示す右方側)に窪む凹形状を有している。また、この曲面部231は、第2レンズ22の曲面部222に対応する位置に設けられている。第3レンズ23には、第2レンズ22の突出部223に対応する位置に、当該突出部223の形状に応じた凹部233が設けられている。第3レンズ23は、第2レンズ22の突出部223をこの凹部233で受けることで、その位置決めが行われる。
【0027】
第1レンズ21と第2レンズ22との間、並びに、第2レンズ22と第3レンズ23との間には、それぞれ絞り部材71、72が配設されている。第2レンズ22の曲面部221は、絞り部材71の開口部71aを介して第1レンズ21の曲面部212と対向配置されている。また、第3レンズ23の曲面部231は、絞り部材72の開口部72aを介して第2レンズ22の曲面部222と対向配置されている。
【0028】
このような構成を有する撮像レンズ2において、第1レンズ21の平面部211には、λ=800〜1200nmの波長の光をカットする赤外線カット膜211aが形成されている。これにより、第1レンズ21の内側には、これらの特定波長の光が除去された光が撮像素子31側に進行することとなる。
【0029】
次に、上記構成を有するカメラモジュール1を組み立てた場合の内部構造について説明する。図3は、実施の形態1に係るカメラモジュール1の側断面図である。本実施の形態に係るカメラモジュール1を組み立てると、図3に示すように、収容部63に撮像レンズ2を収容したケース6が、イメージセンサ3を実装した回路基板4の前面に取り付けられる。この場合において、ケース6は、撮像レンズ2の第3レンズ23がスペーサ5を介してイメージセンサ3の撮像素子32に対向配置されるように回路基板4に取り付けられている。
【0030】
ケース6の収容部63に収容される際、第1レンズ21は、前面に設けられた平面部211を収容部63の平坦な内壁面63aに当接させた状態で配置される。また、第2レンズ22は、第1レンズ21との間に絞り部材71を介在させ、第1レンズ21の突出部213を凹部224で収容した状態で配置される。さらに、第3レンズ23は、第2レンズ22との間に絞り部材72を介在させ、第2レンズ22の突出部223を凹部233で収容した状態で配置される。
【0031】
撮像レンズ2を収容したケース6が回路基板4に取り付けられると、撮像レンズ2は、第3レンズ23の平面部232をスペーサ5の一部で押さえられた状態となる。すなわち、撮像レンズ2は、第1レンズ21の平面部211をケース6の内壁面63aに当接させる一方、第3レンズ23の平面部232をスペーサ5の一部で押さえられた状態で収容部64に配置される。このため、例えば、第1レンズ21の前面が曲面である場合、第3レンズの後面が曲面である場合と比べてケース6内の収容部63内に容易に封止することができる。
【0032】
また、第1レンズ21の平面部211をケース6の内壁面63aに当接させた状態で撮像レンズ2をケース6の収容部63内に配置していることから、第1レンズ21の前面が曲面である場合と比べて埃や塵が混入する事態の発生を低減できるので、これらの埃や塵の混入に起因して撮像素子31が適切に光を受光することができない事態を効果的に抑制することができる。
【0033】
このように組み立てられた状態において、カメラモジュール1の撮像操作が行われると、ケース6の入射口62aを介して入射した光が撮像レンズ2に到達する。入射内62aからの入射光は、第1レンズ21の平面部211の赤外線カット膜211aで特定波長の光がカットされた後、第1レンズ21の曲面部212、第2レンズ22の曲面部221、222及び第3レンズ23の曲面部231、平面部232を透過して撮像素子31に導かれる。
【0034】
このように本実施の形態に係るカメラモジュール1においては、第1レンズ21の前面に配置された光学面(被写体側の光学面)に平面部211を設け、この平面部211に赤外線カット膜211aを形成したことから、第1レンズの光学面に均一に赤外線カット膜211aを形成することができるので、適切に特定波長の光をカットすることができるものとなっている。また、第1レンズ21の光学面に赤外線カット膜211aを形成することから、赤外線カットフィルタを別途配設する必要がなくなるので、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合が発生することもない。この結果、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合を防止しつつ、適切に特定波長の光をカットすることが可能となる。
【0035】
赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合とは、例えば、フィルムタイプの赤外線カットフィルタを用いる場合に発生し得る、フィルタ自体が軽量であることに起因してカメラモジュールに組み込む際に所望の位置に配置できない不具合や、入射光の複屈折に起因して撮像素子31におけるピクセルサイズが小型化された場合に撮像性能が低下する不具合が該当する。また、ガラスタイプの赤外線カットフィルタを用いる場合に発生し得る、カメラモジュール1に組み込む際に発生する外圧等に応じて破損する不具合や、ガラス基材から切断加工時に赤外線カットフィルタに付着した異物等が撮像素子31の収納空間に混入する不具合が該当する。本実施の形態に係るカメラモジュール1によれば、このような不具合を確実に防止することが可能となる。
【0036】
特に、本実施の形態に係るカメラモジュール1においては、最も被写体側に配置される第1レンズ21の前面に配置された光学面に平面部211を設け、第1レンズ21の後面に配置された光学面、第2レンズ21の両面の光学面及び第3レンズ23の前面の光学面に曲面部を設けていることから、最も被写体側に配置される第1レンズ21の被写体側の光学面で特定波長の光をカットすることができるので、当該特定波長の光の撮像レンズにおける内面反射に起因する迷光現象を軽減でき、撮像素子31を介して得られる撮像画像の劣化を抑制することが可能となる。また、第1レンズ21に平面部211に赤外線カット膜211aを形成したことから、経年劣化に伴う赤外線カット膜211aの剥離物が撮像素子31に与える悪影響を防止することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態に係るカメラモジュール1においては、第1レンズ21に設けた平面部211に赤外線カット膜211aを形成したことから、撮像レンズ2に不所望の光学特性が付与される事態を回避できるので、そのような光学特性に起因する収差を補正しなければならないという事態の発生を防止することが可能となる。仮に、撮像レンズ2に含まれる曲面部に赤外線カット膜を形成する場合には、当該赤外線カット膜211aの形成に伴って不所望の光学特性が付与され得る。このような光学特性は、撮像素子31における適切な受光を阻害する要因となり得るため、これに起因する収差を補正する必要がある。しかしながら、本実施の形態に係るカメラモジュール1においては、第1レンズ21に設けた平面部211に赤外線カット膜211aを形成したことから、撮像レンズ22に不所望の光学特性が付与される事態を回避でき、その光学特性に起因する収差を補正する工程を省略でき、カメラモジュール1を組み込む際の作業効率を向上することが可能となる。
【0038】
(実施の形態2)
実施の形態1に係るカメラモジュール1においては、撮像レンズ2を構成する光学レンズのうち、最も被写体側に配置される第1レンズ21の前面に設けられる平面部211に赤外線カット膜211aを形成する場合について説明している。実施の形態2に係るカメラモジュール1においては、撮像レンズ2を構成する光学レンズのうち、最も撮像素子31側に配置される第3レンズ23の後面に設けられる平面部232に赤外線カット膜を形成する点で実施の形態1に係るカメラモジュール1と相違する。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態2に係るカメラモジュール1の側断面図である。なお、図4において、図3と共通する構成については、同一の符号を付与し、その説明を省略する。図4に示すカメラモジュール1の側断面図においては、第1レンズ21の平面部211に赤外線カット膜211aが形成されず、第3レンズ23の平面部232に赤外線カット膜232aが形成されている点のみで図3に示すカメラモジュール1の側断面図と相違する。
【0040】
このように第3レンズ23の平面部232に赤外線カット膜232aを形成する実施の形態2に係るカメラモジュール1においては、第3レンズ23の後面に配置された光学面(撮像素子31側の光学面)に平面部232を設け、この平面部232に赤外線カット膜232aを形成したことから、第3レンズ21の光学面に均一に赤外線カット膜232aを形成することができるので、適切に特定波長の光をカットすることができるものとなっている。また、第3レンズ23の光学面に赤外線カット膜232aを形成することから、赤外線カットフィルタを別途配設する必要がなくなるので、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合が発生することもない。この結果、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合を防止しつつ、適切に特定波長の光をカットすることが可能となる。
【0041】
特に、本実施の形態に係るカメラモジュール1においては、最も撮像素子31側に配置される第3レンズ23の後面に配置された光学面に平面部232を設け、第3レンズ23の前面に配置された光学面、第2レンズ22の両面の光学面及び第1レンズ21の後面の光学面に曲面部を設けていることから、最も撮像素子31側に配置される第3レンズ23の撮像素子31側の光学面で特定波長の光をカットすることができるので、第1〜第3レンズ21〜23を介して収束した特定波長の光をカット対象とすることができ、効率的に特定波長の光をカットすることが可能となる。また、第3レンズ23の後面に配置された光学面に平面部232を設けていることから、平面部232をスペーサ5等の部材の受け面に利用することができ、撮像レンズ2と撮像素子31との位置精度を確保し易くなる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0043】
例えば、上記実施の形態においては、第1レンズ21、第2レンズ22及び第3レンズ23の3枚の光学レンズから成る撮像レンズ2を備え、最も被写体側又は撮像素子31側に配置される光学レンズの外側の一方の光学面に平面部を設け、当該平面部に赤外線カット膜を形成する場合について説明しているが、撮像レンズ2の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、撮像レンズ2を2枚の光学レンズで構成し、被写体側又は撮像素子31側に配置される光学レンズの外側の一方の光学面に平面部を設け、当該平面部に赤外線カット膜を形成するようしても良い。また、撮像レンズ2を4枚以上の光学レンズで構成し、最も被写体側又は撮像素子31側に配置される光学レンズの外側の一方の光学面に平面部を設け、当該平面部に赤外線カット膜を形成するようしても良い。このように撮像レンズ2の構成を変更した場合においても、上記実施の形態と同様に、赤外線カットフィルタを用いる場合の不具合を防止しつつ、適切に特定波長の光をカットすることが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 カメラモジュール
2 撮像レンズ
21 第1の光学レンズ(第1レンズ)
211 平面部
211a 赤外線カット膜
212 曲面部
213 突出部
22 第2の光学レンズ(第2レンズ)
221、222 曲面部
223 突出部
224 凹部
23 第3の光学レンズ(第3レンズ)
231 曲面部
232 平面部
232a 赤外線カット膜
3 イメージセンサ
31 撮像素子
32 ボンディングワイヤ
4 回路基板
5 スペーサ
51 開口部
6 ケース
61 基部
62 円筒形状部
62a 入射口
71、72 絞り部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に沿って配置される複数の光学レンズ群からなる撮像レンズと、前記撮像レンズを介して入射した光を受光する撮像素子とを具備し、前記撮像レンズにおける最も被写体側又は前記撮像素子側に配置される光学レンズの外側の一方の光学面に平面部を設け、当該平面部に赤外線カット膜を形成したことを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記撮像レンズは、前記被写体側から前記撮像素子に向けて第1〜第3の光学レンズを有し、前記第1の光学レンズの前記被写体側の光学面に平面部を設ける一方、前記第1の光学レンズの前記撮像素子側の光学面、前記第2の光学レンズの光学面の両面及び前記第3の光学レンズの前記被写体側の光学面に曲面部を設けることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記撮像レンズは、前記被写体側から前記撮像素子に向けて第1〜第3の光学レンズを有し、前記第3の光学レンズの前記撮像素子側の光学面に平面部を設ける一方、前記第3の光学レンズの前記被写体側の光学面、前記第2の光学レンズの光学面の両面及び前記第1の光学レンズの前記撮像素子側の光学面に曲面部を設けることを特徴とする請求項1記載のカメラモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−253116(P2011−253116A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128056(P2010−128056)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】