説明

カメラ装置およびカメラ装置の製造方法

【課題】画素タイプの異なるカメラ装置でも、共通の治具を用いて光軸調整を行うことのできるカメラ装置を提供する。
【解決手段】カメラ装置は、撮像素子6を有する撮像素子ユニット7と、撮像素子ユニット7が組み付けられるマウント部材5と、撮像素子ユニット7が組み付けられた状態のマウント部材5を収納する本体ケースとを備える。マウント部材5は、光学フィルタ14を有する光学フィルタユニット12を撮像素子6の光軸上に差し込むための差込口13を備えている。光学フィルタユニット12は、撮像素子ユニット7を組み付けた状態のマウント部材5に対して着脱自在である。光学フィルタユニット12を差し込まない状態で撮像素子6の光軸調整を行うことにより、光学フィルタ14の光学特性の違いによる影響を考慮する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタが着脱可能なカメラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラ等として使用されるカメラ装置では、昼間および夜間を通じて鮮明な画像を得るために光学フィルタが使用される(例えば、特許文献1参照)。このような従来のカメラ装置では、通常、光学フィルタが、撮像素子の前側(撮像面側)に固定されている。
【0003】
また、従来から、カメラ装置では撮像素子の光軸調整を行う(撮像素子の中心軸と光学系の光軸とを一致させるように撮像素子の位置を調整する)のが一般的である。この光軸調整は、撮像素子のフォーカス位置が調整された状態(焦点が合った状態)で行う必要がある。したがって、従来は、そのカメラ装置の焦点距離(フォーカス位置)にあわせた専用の治具を用いて、撮像素子の光軸調整を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−75140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カメラ装置には、用途や価格などに応じて様々な画素タイプのカメラ装置がある。高画素タイプのカメラ装置と低画素タイプのカメラ装置では、それぞれ使用する光学フィルタが異なる(光学フィルタに要求される光学性能が異なる)が、光学フィルタが異なると、その光学フィルタの光学特性に応じて焦点距離(フォーカス位置)が異なることになる。
【0006】
しかしながら、従来のカメラ装置では、光学フィルタが撮像素子の前側に固定されているため、その焦点距離(フォーカス位置)に応じた別々の治具を用いて、撮像素子の光軸調整を行う必要があるという問題があった。つまり、画素タイプの異なるカメラ装置(つまり、高画素タイプのカメラ装置と低画素タイプのカメラ装置)では、共通の治具を用いて光軸調整を行うことが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、画素タイプの異なるカメラ装置でも、共通の治具を用いて光軸調整を行うことのできるカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカメラ装置は、撮像素子を有する撮像素子ユニットと、前記撮像素子の撮像面側に配置され、前記撮像素子ユニットが組み付けられるマウント部材と、前記撮像素子ユニットが組み付けられた状態の前記マウント部材を収納する本体ケースと、を備えたカメラ装置において、前記マウント部材は、光学フィルタを有する光学フィルタユニットを前記撮像素子の光軸上に差し込むための差込口を備えており、前記光学フィルタユニットは、前記撮像素子ユニットを組み付けた状態の前記マウント部材に対して着脱自在である構成を有している。
【0009】
この構成により、撮像素子ユニットをマウント部材に組み付けた状態であっても、光学フィルタユニットをマウント部材に対して自由に着脱することができる。したがって、撮像素子ユニットをマウント部材に組み付けた状態で、まず(光学フィルタを差し込まない状態で)撮像素子の光軸調整を行って、光軸調整が完了した後に、光学フィルタユニットをマウント部材の差込口から撮像素子の光軸上に差し込むことが可能である。このように光学フィルタを差し込まない状態で撮像素子の光軸調整を行うことにより、光学フィルタの光学特性の違いによる影響を考慮する必要がなく、画素タイプの異なるカメラ装置でも、共通の治具を用いて光軸調整を行うことが可能になる。
【0010】
また、本発明のカメラ装置では、前記撮像素子ユニットを前記マウント部材に組み付けた状態で、前記撮像素子の位置を光軸方向に沿って移動させてフォーカス位置の調整をすることが可能なフォーカス調整手段を備え、前記フォーカス位置の調整は、前記光学フィルタユニットを前記差込口に差し込まない状態で行われる構成を有している。
【0011】
この構成により、撮像素子ユニットをマウント部材に組み付けた状態で、光学フィルタユニットを差し込まずに、フォーカス位置の調整をすることができる。したがって、光学フィルタユニットを差し込まない状態で(フォーカス位置の調整を行った後に)撮像素子の光軸調整を行うことが可能になる。
【0012】
また、本発明のカメラ装置では、前記光学フィルタユニットは、略四角形状の本体部の対角位置に少なくとも二つの位置決め部を備えており、前記マウント部材は、前記差込口の内部において前記対角位置に対応する位置に、前記位置決め部に対応する形状の少なくとも二つの対応位置決め部を備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、光学フィルタユニットの位置決め部とマウント部材の対応位置決め部によって、光学フィルタユニットがマウント部材に対して正しい位置に容易に取り付けることができる。この場合、位置決め部が、光学フィルタユニットの略四角形状の本体部の対角位置に設けられているので、光学フィルタユニットのマウント部材に対するガタつきを防ぐ効果が高くなる。
【0014】
本発明のカメラ装置の製造方法は、撮像素子を有する撮像素子ユニットを、前記撮像素子の撮像面側に配置したマウント部材に組み付けることと、前記撮像素子ユニットが前記マウント部材に組み付けられた状態で、前記撮像素子の位置を光軸方向に交わる平面に沿った方向に移動させて、前記撮像素子の光軸調整を行うことと、前記撮像素子の光軸調整を行った後に、光学フィルタを有する光学フィルタユニットを前記マウント部材に設けられた差込口から前記撮像素子の光軸上に差し込むことと、前記撮像素子ユニットが組み付けられた状態の前記マウント部材を、本体ケース内に収納することと、を含んでいる。
【0015】
この製造方法によっても、上記と同様、撮像素子ユニットをマウント部材に組み付けた状態であっても、光学フィルタユニットをマウント部材に対して自由に着脱することができる。したがって、撮像素子ユニットをマウント部材に組み付けた状態で、まず(光学フィルタを差し込まない状態で)撮像素子の光軸調整を行って、光軸調整が完了した後に、光学フィルタユニットをマウント部材の差込口から撮像素子の光軸上に差し込むことが可能である。このように光学フィルタを差し込まない状態で撮像素子の光軸調整を行うことにより、光学フィルタの光学特性の違いによる影響を考慮する必要がなく、画素タイプの異なるカメラ装置でも、共通の治具を用いて光軸調整を行うことが可能になる。
【0016】
また、本発明のカメラ装置の製造方法は、前記撮像素子ユニットを前記マウント部材に組み付けた状態で、前記光学フィルタユニットを前記差込口に差し込む前に、前記撮像素子の位置を光軸方向に沿った方向に移動させてフォーカス位置の調整をすることを含んでいる。
【0017】
この製造方法によっても、上記と同様、撮像素子ユニットをマウント部材に組み付けた状態で、光学フィルタユニットを差し込む前に、フォーカス位置の調整をすることができる。したがって、光学フィルタユニットを差し込まない状態で(フォーカス位置の調整を行った後に)撮像素子の光軸調整を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、光学フィルタを差し込まない状態で撮像素子の光軸調整を行うことにより、光学フィルタの光学特性の違いによる影響を考慮する必要がなく、画素タイプの異なるカメラ装置でも、共通の治具を用いて光軸調整を行うことが可能になるという効果を有するカメラ装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態におけるカメラ装置の主要な構成(マウント部材への組付け前の状態)を示す分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態のカメラ装置の外観を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態のカメラ装置の主要な構成(マウント部材への組付け後の状態)を示す斜視図
【図4】マウント部材と光学フィルタユニットの分解斜視図
【図5】光学フィルタユニットの分解斜視図
【図6】本発明の実施の形態のカメラ装置における光軸調整の様子を示す説明図
【図7】光学フィルタユニットを差し込んだ状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態のカメラ装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、監視カメラや家庭用ビデオカメラ等に用いられるカメラ装置の場合を例示する。
【0021】
まず、本発明の実施の形態のカメラ装置の構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のカメラ装置の主要な構成(マウント部材への組付け前の状態)を示す分解斜視図である。図2は、カメラ装置の外観を示す斜視図であり、図3は、カメラ装置の主要な構成(マウント部材への組付け後の状態)の斜視図である。
【0022】
図2に示すように、カメラ装置1の本体ケース2は、上ケース3と下ケース4から構成されており、本体ケース2の内部には、マウント部材5が取り付けられている。図1および図3に示すように、マウント部材5には、CCDなどの撮像素子6を備える撮像素子ユニット7や、撮像素子ユニット7を支持する支持フレーム8が組み付けられている。なお、この場合、マウント部材5は、撮像素子6の撮像面側(図1における下側)に配置されている。
【0023】
また、このマウント部材5には、フォーカス位置を調整するためのフォーカス位置調整フレーム9、フォーカス位置調整リング10、フォーカス位置調整用の駆動ユニット11が組み付けらている。さらに、このマウント部材5には、光学フィルタユニット12が組み付けられている。そして、このマウント部材5は、これらの構成部品(撮像素子ユニット7など)が組み付けられた状態で、本体ケース2の内部に収納される。
【0024】
ここで、マウント部材5と光学フィルタユニット12の構成について、図面を参照しながら詳しく説明する。図4は、マウント部材5と光学フィルタユニット12の分解斜視図であり、図5は、光学フィルタ14の分解斜視図である。図4に示すように、マウント部材5には、光学フィルタユニット12を差し込むための差込口13が設けられている。そして、この光学フィルタユニット12は、撮像素子ユニット7を組み付けた状態のマウント部材5に、着脱可能になっている(図6および図7参照)。
【0025】
図5に示すように、光学フィルタユニット12には、昼間用の光学フィルタ14(赤外カットフィルタ)と夜間用の光学フィルタ14(光学ガラス)を備えており、これらの二つの光学フィルタ14(昼間用と夜間用の光学フィルタ14)は、いずれか一方の光学フィルタ14が中央の窓部15の位置に配置されるように、モータ16によってスライド切替え可能になっている。そして、窓部15の位置に配置された光学フィルタ14は、光学フィルタユニット12をマウント部材5の差込口13に差し込んだ状態で、撮像素子6の光軸上に位置するように構成されている(図7参照)。
【0026】
また、図4に示すように、光学フィルタユニット12は、略四角形の本体部17を備えている。この本体部17の先端側の角部には、位置決め凹部18が設けられており、本体部17の根端側の角部(位置決め凹部18とは対角に位置する角部)には、位置決め凸条19が設けられている。一方、マウント部材5の差込口13の内部には、位置決め凹部18に対応する位置に、対応位置決め凸部20が設けられており、位置決め凸条19に対応する位置に、対応位置決め溝21が設けられている。
【0027】
そして、光学フィルタユニット12をマウント部材5の差込口13に差し込んだ状態で、対応位置決め凸部20が位置決め凹部18に嵌り込み、また、位置決め凸条19が対応位置決め溝21に嵌り込むように構成されている。つまり、位置決め凹部18と対応位置決め凸部20とは互いに対応する形状になっており、また、位置決め凸条19と対応位置決め溝21とは互いに対応する形状になっている。したがって、ここでは、位置決め凹部18と位置決め凸条19が、本発明の位置決め部に相当し、対応位置決め凸部20と対応位置決め溝21が、本発明の対応位置決め部に相当する。
【0028】
図1に戻って、カメラ装置1の他の構成部品の説明を続ける。図1に示すように、撮像素子ユニット7は、支持フレーム8を介してマウント部材5に取り付けられている。この場合、撮像素子ユニット7には、3つの固定用ねじ部22が設けられ、支持フレーム8には、固定用ねじ部22に対応する位置に3つのねじ穴23が設けられている。これらの固定用ねじ部22とねじ穴23を用いて、撮像素子ユニット7が支持フレーム8に取り付けられている。
【0029】
支持フレーム8には、4つのバネ取付片24が外側に向けて突出して設けられている。このバネ取付片24には、コイルバネ25の一端側(図1における上側)が取り付けられる。また、マウント部材5の内側面(図1における上面)には、バネ取付片24に対応する位置に4つのバネ取付部26が設けられている。このバネ取付部26には、コイルバネ25の他端側(図1における下側)が取り付けられる。このように、コイルバネ25が支持フレーム8とマウント部材5との間に挟み込まれており、このコイルバネ25の弾性力によって、支持フレーム8がフォーカス位置調整リング10側(図1における上側)に押し付けられている。
【0030】
フォーカス位置調整フレーム9は、支持フレーム8が内側に挿着される円筒部27を有している。この円筒部27には、支持フレーム8のバネ取付片24に対応する位置に切欠き部28が設けられており、この切欠き部28の中にバネ取付片24が光軸方向にスライド可能に挿通されている。このフォーカス位置調整フレーム9は、円筒部27の内側を支持フレーム8が光軸方向(図1における上下方向)にスライドできるように構成されているともいえる。
【0031】
また、このフォーカス位置調整フレーム9の円筒部27の外周面には、ねじ形状の2つのカム部29が設けられている。一方、フォーカス位置調整リング10は、フォーカス位置調整フレーム9の円筒部27の外側に嵌着されるリング状の本体部30を有しており、本体部30の内周面には、カム部29に対応する形状の2つのねじ部31が設けられている。
【0032】
そして、フォーカス位置調整リング10をフォーカス位置調整フレーム9に対して回転させると、ねじ形状のカム部29によって回転運動が直線運動に変換され、フォーカス位置調整リング10が光軸方向(図1における上下方向)に移動する。この場合、フォーカス位置調整リング10の下端部は、支持フレーム8のバネ取付片24に当接している。したがって、フォーカス位置調整リング10が光軸方向に移動すると、そのフォーカス位置調整リング10に押されて支持フレーム8が(コイルバネ25の弾性力によってフォーカス位置調整リング10側に押し付けられた状態で)光軸方向に沿って移動する。
【0033】
また、フォーカス位置調整リング10の本体部30の外周面には、フォーカス位置調整用の駆動ユニット11からの回転駆動力を伝達するためのギア部32が全周にわたって設けられている。この場合、駆動ユニット11のモータの回転駆動力が、ギア部32を介してフォーカス位置調整リング10に伝達され、フォーカス位置調整リング10が回転する。このように、フォーカス位置調整フレーム9、フォーカス位置調整リング10、駆動ユニット11という構成によれば、撮像素子ユニット7をマウント部材5に組み付けた状態で、かつ、光学フィルタユニット12を差込口13に差し込まない状態で、撮像素子6の位置を光軸方向に沿って移動させて、フォーカス位置の調整をすることができる。したがって、これらの構成が、本発明のフォーカス調整手段に相当する。
【0034】
以上のように構成されたカメラ装置1を製造するときの工程について、以下、図面を参照して説明する。ただし、ここでは、特に本発明の特徴的な工程を中心に説明する。
【0035】
本発明の実施の形態のカメラ装置1を製造するときには、まず、撮像素子ユニット7をマウント部材5に組み付ける。具体的には、撮像素子ユニット7が取り付けられた支持フレーム8を、フォーカス位置調整リング10が嵌められたフォーカス位置調整フレーム9の内側に挿入し、そして、支持フレーム8とマウント部材5との間にコイルバネ25を挟み込んだ状態で、フォーカス位置調整フレーム9をマウント部材5に組み付ける(図1および図3参照)。この場合、フォーカス位置調整フレーム9をマウント部材5に固定するネジ33とネジ穴34には僅かなガタが生じる程度の隙間が形成されている。そこで、この隙間を利用して、次に(光学フィルタユニット12を差し込む前に)撮像素子6の光軸調整を行う。
【0036】
図6は、撮像素子6の光軸調整を行う様子を示す説明図である。図6に示すように、撮像素子6の光軸調整を行うときには、光軸調整用の治具35を用いて、撮像素子6の撮像面側(図6における下側)から十字パターン越しにライトを照射する。光軸調整用の治具35は、この十字パターンの中心点(十字の交点)がマウント部材5の中心点に位置するように構成されている。そして、光軸調整の作業では、撮像素子6で撮影した画像をモニタで見ながら、この十字パターンの中心点が撮像素子6の中心(画像の中心)にくるように、撮像素子6の位置を調整する。
【0037】
具体的には、まず、光軸調整を行う前に、フォーカス調整を行う。この場合、フォーカス位置調整用の駆動ユニット11を作動させる。そうすると、駆動ユニット11からの回転駆動力がフォーカス位置調整リング10に伝達されて、フォーカス位置調整リング10がフォーカス位置調整フレーム9に対して回転する。フォーカス位置調整リング10が回転すると、ねじ形状のカム部29によって回転運動が直線運動に変換され、フォーカス位置調整リング10が光軸方向に沿って移動する。このようにして、撮像素子6を支持する支持フレーム8を光軸方向に沿って移動させて、フォーカス位置の調整が行われる。
【0038】
このようにしてフォーカス位置の調整が完了すると、次に、上述の隙間を利用して、フォーカス位置調整フレーム9をマウント部材5に対して移動させることにより、撮像素子6の位置を光軸方向と垂直な平面に沿った方向に移動させて、撮像素子6の光軸調整を行う。そして、撮像素子6の光軸調整が完了した後に、光学フィルタユニット12をマウント部材5の差込口13から差し込んで、光学フィルタ14を撮像素子6の光軸上に配置させる(図7参照)。最後に、このようにして撮像素子ユニット7などが組み付けられた状態のマウント部材5を、本体ケース2の内部に収納する(図2参照)。
【0039】
このような本実施の形態のカメラ装置1によれば、光学フィルタユニット12を差し込まない状態で撮像素子6の光軸調整を行うことにより、光学フィルタ14の光学特性の違いによる影響を考慮する必要がなく、画素タイプの異なるカメラ装置1でも、共通の治具35を用いて光軸調整を行うことが可能になる。
【0040】
すなわち、本実施の形態では、撮像素子ユニット7をマウント部材5に組み付けた状態であっても、光学フィルタユニット12をマウント部材5に対して自由に着脱することができる。したがって、撮像素子ユニット7をマウント部材5に組み付けた状態で、まず(光学フィルタユニット12を差し込まない状態で)撮像素子6の光軸調整を行って、光軸調整が完了した後に、光学フィルタユニット12をマウント部材5の差込口13から撮像素子6の光軸上に差し込むことが可能である。このように光学フィルタユニット12を差し込まない状態で撮像素子6の光軸調整を行うことにより、光学フィルタ14の光学特性の違いによる影響を考慮する必要がなくなり、画素タイプの異なるカメラ装置1でも、共通の治具35を用いて光軸調整を行うことが可能になる。
【0041】
また、本実施の形態では、撮像素子ユニット7をマウント部材5に組み付けた状態で、光学フィルタユニット12を差し込まずに、フォーカス位置の調整をすることができる。したがって、光学フィルタユニット12を差し込まない状態で(フォーカス位置の調整を行った後に)撮像素子6の光軸調整を行うことが可能になる。このことにより、光学フィルタ12の窓部15に昼間用の光学フィルタ14(赤外光カットフィルタ)と夜間用の光学フィルタ14(光学ガラス)のどちらが配置されていても調整の作業には影響しないため、作業性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、光学フィルタユニット12の位置決め部(位置決め凹部18と位置決め凸条19)とマウント部材5の対応位置決め部(対応位置決め凸部20と対応位置決め溝21)によって、光学フィルタユニット12がマウント部材5に対して正しい位置に容易に取り付けることができる。この場合、位置決め凹部18と位置決め凸条19が、光学フィルタユニット12の略四角形状の本体部17の対角位置に設けられているので、光学フィルタユニット12のマウント部材5に対するガタつきを防ぐ効果が高くなる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明にかかるカメラ装置は、画素タイプの異なるカメラ装置でも、共通の治具を用いて光軸調整を行うことが可能になるという効果を有し、監視カメラや家庭用ビデオカメラ等として用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 カメラ装置
2 本体ケース
5 マウント部材
6 撮像素子
7 撮像素子ユニット
8 支持フレーム
9 フォーカス位置調整フレーム
10 フォーカス位置調整リング
11 駆動ユニット
12 光学フィルタユニット
13 差込口
14 光学フィルタ
17 本体部
18 位置決め凹部
19 位置決め凸条
20 対応位置決め凸部
21 対応位置決め溝
33 ネジ
34 ネジ穴
35 治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を有する撮像素子ユニットと、
前記撮像素子の撮像面側に配置され、前記撮像素子ユニットが組み付けられるマウント部材と、
前記撮像素子ユニットが組み付けられた状態の前記マウント部材を収納する本体ケースと、
を備えたカメラ装置において、
前記マウント部材は、光学フィルタを有する光学フィルタユニットを前記撮像素子の光軸上に差し込むための差込口を備えており、前記光学フィルタユニットは、前記撮像素子ユニットを組み付けた状態の前記マウント部材に対して着脱自在であることを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記撮像素子ユニットを前記マウント部材に組み付けた状態で、前記撮像素子の位置を光軸方向に沿って移動させてフォーカス位置の調整をすることが可能なフォーカス調整手段を備え、
前記フォーカス位置の調整は、前記光学フィルタユニットを前記差込口に差し込まない状態で行われることを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記光学フィルタユニットは、略四角形状の本体部の対角位置に少なくとも二つの位置決め部を備えており、
前記マウント部材は、前記差込口の内部において前記対角位置に対応する位置に、前記位置決め部に対応する形状の少なくとも二つの対応位置決め部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラ装置。
【請求項4】
撮像素子を有する撮像素子ユニットを、前記撮像素子の撮像面側に配置したマウント部材に組み付けることと、
前記撮像素子ユニットが前記マウント部材に組み付けられた状態で、前記撮像素子の位置を光軸方向に交わる平面に沿った方向に移動させて、前記撮像素子の光軸調整を行うことと、
前記撮像素子の光軸調整を行った後に、光学フィルタを有する光学フィルタユニットを前記マウント部材に設けられた差込口から前記撮像素子の光軸上に差し込むことと、
前記撮像素子ユニットが組み付けられた状態の前記マウント部材を、本体ケース内に収納することと、
を含むことを特徴とするカメラ装置の製造方法。
【請求項5】
前記撮像素子ユニットを前記マウント部材に組み付けた状態で、前記光学フィルタユニットを前記差込口に差し込む前に、前記撮像素子の位置を光軸方向に沿った方向に移動させてフォーカス位置の調整をすることを含む請求項4に記載のカメラ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−7992(P2011−7992A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150863(P2009−150863)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】