説明

カメラ装置

【課題】製品断面を大きくせずに広角画像に対応できるカメラ装置を提供する。
【解決手段】監視カメラ装置11において、撮像素子と、撮像素子に被写体からの光を集光するレンズ24と、レンズ24を内側に配置する同軸円形状のレンズカバー29と、レンズカバー29の内側にレンズ24を包囲して環状に配置される複数の赤外光源26と、レンズ24と赤外光源26との間に設けられ撮像素子における画角の対角に対応する対角対応光路部を外方へ突出させた開口形状の遮光部材30と、を設けた。遮光部材30の開口形状は、例えば円形開口形状部の対角対応光路部に相当する箇所に、外方に突出する三角膨出形状部を設けて形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズカバーに遮光部材を備えるカメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光に比べて優れた透過性や分光特性を有する赤外線を利用する監視カメラ装置が知られている。この種の監視カメラ装置では、レンズの周囲に配置した赤外光源の赤外線が、直接に光学系に入射しないようにするため遮光部材をレンズカバーに設けている。レンズフードに遮光板を設ける技術は例えば特許文献1の撮像装置にも開示される。
【0003】
赤外光を遮光部材で遮光する従来の監視カメラ装置は、図9(A)、(B)に示すように、その要部に、撮像素子101と、撮像素子101に被写体からの光を集光するレンズ102と、レンズ102を内側に配置する同軸円形状のレンズカバー103と、を備える。レンズカバー103の内側には、レンズ102を包囲して環状に配置される複数の赤外光源104が設けられる。レンズ102と赤外光源104との間には、円形の開口形状を有する板状や筒状の遮光部材105が設けられる。遮光部材105を設けることにより、赤外光源104から被写体を経ないでレンズ102に入射する赤外光を抑止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3988051号公報(請求項2、図3、段落0016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遮光部材105が円形型であると、画角の対角方向でケラレが発生する。円形型の遮光部材105の場合、ケラレ無しとした時の水平画角は約80度が限界となる。従って、遮光部材105が円形型の場合、レンズ画角を広く取るためには、遮光部材105の直径を大きくする必要がある。その結果、遮光部材105の全体が大径となり、製品断面が大きくなる課題があった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、製品断面を大きくせずに広角画像に対応できるカメラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカメラ装置は、撮像素子と、前記撮像素子に被写体からの光を集光するレンズと、前記レンズを内側に配置する同軸円形状のレンズカバーと、前記レンズカバーの内側に前記レンズを包囲して配置される複数の赤外光源と、前記レンズと前記赤外光源との間に設けられ前記撮像素子における画角の対角に対応する対角対応光路部を外方へ突出させた開口形状の遮光部材と、を具備するものである。
【0008】
また、本発明のカメラ装置は、前記遮光部材の開口形状が、円形開口形状部の前記対角対応光路部に相当する箇所に、外方に突出する三角膨出形状部を有してなるものである。
【0009】
さらに、本発明のカメラ装置は、前記遮光部材の開口形状が、前記撮像装置における画角に対応して前記被写体から前記レンズに入射する光束の中心軸直交断面に相似形状であるものである。
【0010】
さらに、本発明のカメラ装置は、前記遮光部材の開口形状が、前記対角対応光路部の突出先端同士を直線で結ぶ四角形であるものである。
【0011】
さらに、本発明のカメラ装置は、前記遮光部材の開口形状が、円形開口形状部の前記対角対応光路部に相当する箇所に、外方に膨出する半長円形状部を有してなるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカメラ装置によれば、ケラレの無い広角画像に対応しながら製品を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態の監視カメラ装置の斜視図
【図2】図1に示した監視カメラ装置の分解斜視図
【図3】(A)は図2に示したレンズカバー部分の光軸を含む断面図、(B)はその正面図
【図4】(A)はレンズカバーの一部分を切り欠いた斜視図、(B)はその切り欠いた面の正面図
【図5】(A)は三角膨出形状部を開口形状に有する遮光部材の正面図、(B)は画角に対応する光束に相似する開口形状を有する遮光部材の正面図、(C)は矩形状の開口形状を有する遮光部材の正面図、(D)は半長円形状部を開口形状に有する遮光部材の正面図
【図6】(A)は画角に対応する光路を表したレンズ近傍の斜視図、(B)は実施形態の遮光部材を備えたレンズ近傍の斜視図、(C)は比較例の遮光部材を備えたレンズ近傍の斜視図
【図7】(A)は図6(C)の正面図、(B)はそれによって得られる画像の正面図
【図8】(A)は図6(B)の正面図、(B)はそれによって得られる画像の正面図
【図9】(A)は従来のレンズカバー部分の光軸を含む断面図、(B)はその正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明に係る実施形態のカメラ装置である監視カメラ装置の斜視図である。
本実施形態に係る監視カメラ装置11は、前面カバー12と、本体カバー13と、後面カバー14と、からなるカバーケース15により覆われる。カバーケース15は、上部がさらに天板16によって覆われている。監視カメラ装置11は、本体カバー13の位置に取付座17が設けられ、取付座17は図示しないメスLAN端子を備えたCD対応の支柱に固定される。
【0015】
図2は図1に示した監視カメラ装置11の分解斜視図である。
本体カバー13には、シール枠材18と、ヒートシンク19と、後面押さえ板20と、操作部カバー21と、が収容される。操作部カバー21には、撮像素子22が収容される。撮像素子22には筒状のレンズ座23が設けられ、レンズ座23は内側にレンズ24を収容している。レンズ24は、撮像素子22に被写体からの光を集光する。
【0016】
レンズ座23の外周には環状の光源取付基板25が外挿され、光源取付基板25には環状の赤外光源26が実装されている。本実施形態において、赤外光源26は、複数のLED27を円周方向に配列した環状LED発光部28として構成される。赤外光源26としては、LED以外の光源が用いられてもよい。
【0017】
環状LED発光部28の外側は、レンズカバー29によって覆われる。このレンズカバー29は、前面カバー12の内側に収容される。レンズカバー29は、環状LED発光部28と、レンズ24と、を内側に配置する同軸円形状で形成される。換言すれば、赤外光源26は、レンズカバー29の内側にレンズ24を包囲して環状に配置される。レンズ24と環状LED発光部28との間には、遮光部材30が設けられている。
【0018】
図3(A)は図2に示したレンズカバー部分の光軸を含む断面図、図3(B)はその正面図、 図4(A)はレンズカバー29の一部分を切り欠いた斜視図、図4(B)はその切り欠いた面の正面図である。
遮光部材30は、図4(A)に示すように、レンズカバー29の軸線方向一方を閉塞している円形端面板31に同軸で取り付けられる。レンズカバー29の円形端面板31は、少なくとも赤外光を透過させる部材により形成される。図4(B)に示すように、円形端面板31には遮光部材30が貫通して組み付けられる遮光部材取付孔32が形成される。遮光部材30は、この遮光部材取付孔32に嵌入される。遮光部材取付孔32に取り付けられた遮光部材30は、後端が光源取付基板25の凹部33に嵌合して固定される。つまり、遮光部材30は、先端が遮光部材取付孔32に固定され、後端が光源取付基板25に固定されている。この遮光部材30の内方にはレンズ座23に固定されたレンズ24が配置される。また、遮光部材30の前面開口部34は少なくとも赤外光を透過させるカバー部材35によって覆われている。カバー部材35は、円形端面板31とは別体となる。
【0019】
図5(A)は三角膨出形状部36を開口形状に有する遮光部材30の正面図、図5(B)は画角に対応する光束37(図6(A)、(B)、(C)参照)に相似する開口形状を有する遮光部材42の正面図、図5(C)は矩形状の開口形状を有する遮光部材44の正面図、図5(D)は半長円形状部38を開口形状に有する遮光部材45の正面図である。
遮光部材30は、撮像素子22における画角の対角に対応する対角対応光路部39を外方へ突出させた開口形状を有している。本実施形態において、遮光部材30は、図5(A)に示すように、開口形状が、円形開口形状部40の対角対応光路部39に相当する箇所に、外方に突出する三角膨出形状部36を有してなる。遮光部材30の円形開口形状部40は従来形状のままで、この円形開口形状部40から突出する三角膨出形状部36のみが、突出する対角対応光路部39を逃げるように形成されている。これにより、赤外光源26の位置を従来と大きく変えずに済む。
【0020】
次に、上記構成を有する監視カメラ装置11の作用を比較例と対比しながら説明する。
図6(A)は画角に対応する光路を表したレンズ近傍の斜視図、図6(B)は実施形態の遮光部材30を備えたレンズ近傍の斜視図、図6(C)は比較例の遮光部材105を備えたレンズ近傍の斜視図、図7(A)は図6(C)の正面図、図7(B)はそれによって得られる画像の正面図、図8(A)は図6(B)の正面図、図8(B)はそれによって得られる画像の正面図である。
図6(A)に示すように、レンズ24を通過した光が、撮像素子22の例えばCCD(またはCMOS)上に矩形状の像を結ぶ場合、レンズ24に入射する前の光束37は、光束線41によって囲まれる断面において対角対応光路部39が突出する(角が放射方向に延びる)傾向にある。特に広角系のレンズ24の場合、CCDの周辺部には斜めに光りが当たる。CCDでは斜めに光りが入ると十分な電荷が発生できない。これを光量で補うために対角部41が突出する傾向となる。
【0021】
ここで、例えば図6(C)に示すように、従来と同様の比較例に係る円形型の遮光部材105が用いられると、図7(A)に示すように、外方へ突出した対角対応光路部39が遮光部材105の外側となってケラレてしまう。その結果、画像は図7(B)に示すように、対角部が暗く落ちた像となる。
【0022】
これに対し、図6(B)に示す本実施形態による遮光部材30を用いた構成では、図8(A)に示すように、円形開口形状部40の対角対応光路部39に相当する箇所に、外方に突出する三角膨出形状部36を有する。これにより、レンズ広角時に必要な対角時光路が確保される。レンズ光路および撮像範囲は、一般的に対角部が突出する傾向にある。本構成では、遮光部材30におけるその対角対応光路部39のみを外側に逃がすことにより、遮光部材30の全体を大径とせずに、図8(B)に示すようなケラレの無い画像が確保される。
【0023】
次に、遮光部材30の変形例について説明する。
図5(B)に示すように、遮光部材42の開口形状は、撮像素子22における画角に対応して被写体からレンズ24に入射する光束37の中心軸直交断面43(図6(A)参照)に相似形状としてもよい。
この変形例に係る遮光部材42によれば、形状がやや複雑となるが、遮光部材42を、ケラレの生じない最小限の大きさで形成できる。
【0024】
図5(C)に示すように、遮光部材44の開口形状は、対角対応光路部39の突出先端同士を直線で結ぶ四角形としてもよい。
この変形例に係る遮光部材44によれば、ケラレの生じない遮光部材44を、製造容易な矩形状で製作できる。この場合においても、従来の円形型の遮光部材105の全体を大径とした場合よりも(大径の場合、その開口形状が本構成による矩形の外接円となる)、遮光部材44を小さく形成できる。
【0025】
図5(D)に示すように、遮光部材45の開口形状は、円形開口形状部40の対角対応光路部39に相当する箇所に、外方に膨出する半長円形状部38を有するものであってもよい。
この変形例に係る遮光部材45によれば、遮光部材30の円形開口形状部40が従来形状のままで、円形開口形状部40から半長円形状部38が放射方向に突出する。これにより、赤外光源26の位置を従来と大きく変えずに済む。また、この構成によれば、製造が容易となる。さらに、半長円形状部38の突出長を変えることで、広角の程度によって突出程度が増減する対角対応光路部39への対応を容易にできる。
【0026】
従って、本実施形態に係る監視カメラ装置11によれば、ケラレの無い広角画像に対応しながら製品を小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、製品断面を大きくせずに広角画像に対応したカメラ装置に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
11 監視カメラ装置(カメラ装置)
22 撮像素子
24 レンズ
26 赤外光源
29 レンズカバー
30 遮光部材
36 三角膨出形状部
37 光束
38 半長円形状部
39 対角対応光路部
40 円形開口形状部
43 中心軸直交断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子に被写体からの光を集光するレンズと、
前記レンズを内側に配置する同軸円形状のレンズカバーと、
前記レンズカバーの内側に前記レンズを包囲して配置される複数の赤外光源と、
前記レンズと前記赤外光源との間に設けられ前記撮像素子における画角の対角に対応する対角対応光路部を外方へ突出させた開口形状の遮光部材と、を具備するカメラ装置。
【請求項2】
請求項1記載のカメラ装置であって、
前記遮光部材の開口形状が、円形開口形状部の前記対角対応光路部に相当する箇所に、外方に突出する三角膨出形状部を有してなるカメラ装置。
【請求項3】
請求項1記載のカメラ装置であって、
前記遮光部材の開口形状が、前記撮像素子における画角に対応して前記被写体から前記レンズに入射する光束の中心軸直交断面に相似形状であるカメラ装置。
【請求項4】
請求項1記載のカメラ装置であって、
前記遮光部材の開口形状が、前記対角対応光路部の突出先端同士を直線で結ぶ四角形であるカメラ装置。
【請求項5】
請求項1記載のカメラ装置であって、
前記遮光部材の開口形状が、円形開口形状部の前記対角対応光路部に相当する箇所に、外方に膨出する半長円形状部を有してなるカメラ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−37050(P2013−37050A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170759(P2011−170759)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】