説明

カメラ

【課題】カメラをペットボトルに取り付けた際に転倒を防止する。
【解決手段】デジタルカメラ10は、カメラ本体12の下面に設けられた嵌合部48をボトルキャップ46と嵌合させることで、ペットボトル44に取り付けることができる。デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられると、移動筒22が沈胴位置へ移動され、リモコン14の変倍ボタン42の操作が無効化される。続いて、パイロットランプ32が点滅し、スピーカ34から警告音が出力されるとともに、LCD30に報知メッセージ102が表示され、デジタルカメラ10に転倒の恐れがあることが報知され、ユーザーに注意が促される。また、デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられた状態で、ズームボタン38が操作されると、改めて前述した報知が行われ、ユーザーに注意が促される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を撮影するカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラを固定するために従来より三脚が用いられている。一般に、三脚の頭部にはカメラ本体の底面に設けられたネジ穴に螺合するネジが設けられ、カメラは三脚の頭部にネジ止めされて固定される。また、三脚の中には、カメラ本体の底面や側面を覆うクレードル装置状の頭部を有するものもある(下記特許文献1参照)。この三脚によれば、カメラを三脚の頭部へ置くようにセットすることで固定できるため、固定の作業が簡単で便利である。
【特許文献1】特開2004−45678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カメラを三脚に固定することで、集合写真を撮る際や、自分自身を撮影する際に便利であり、また、手ぶれを防止できるといった効果もある。しかしながら、三脚を持ち歩くことはユーザーにとって負担であった。
【0004】
このため、カメラの外面に、ペットボトルのボトルキャップと嵌合する嵌合穴を設け、カメラをペットボトルに取り付けて固定できるようにするといったことが検討されている。こうすれば、三脚を携帯していない場合であっても、ペットボトルを三脚代わりに用いることができるので便利である。
【0005】
しかし、カメラをペットボトルに固定した状態は、三脚に固定した状態と比較すると不安定なため、カメラが転倒してしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、このような転倒を防止できるカメラを提供することを目的としている。また、本発明は、万が一転倒した場合の被害を最小限に抑えることができるカメラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のカメラは、カメラ本体の外面に、ペットボトルのボトルキャップに対応した形状に窪むように形成され、前記ボトルキャップの嵌合により前記カメラ本体を前記ペットボトルに固定するための嵌合穴と、前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合された際にこれを検知する検知手段と、前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合されたと検知された際に、転倒の恐れがある旨を報知する報知手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
前記報知手段は、表示部に報知メッセージを表示することで前記報知を行うものでもよい。
【0009】
また、前記報知手段は、スピーカから報知音を出力することで前記報知を行うものでもよい。
【0010】
さらに、前記報知手段は、発光部を発光させて前記報知を行うものでもよい。
【0011】
また、前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合されたと検知されている間、振動、もしくは、重心位置の変化を伴う動作の実行を制限する駆動制御手段を備えることが好ましい。
【0012】
前記駆動制御手段は、リモコンから送信された操作信号に基づく処理実行時に、前記制限を行うことが好ましい。
【0013】
また、カメラ本体内に納められる沈胴位置と、カメラ本体から繰り出した繰り出し位置との間で移動自在の移動筒を有し、前記移動筒を移動させてズーム倍率を変倍させる変倍動作を行うレンズ鏡胴を備え、前記駆動制御手段は、前記変倍動作を制限するものでもよい。
【0014】
さらに、前記駆動制御手段は、前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合された際に、前記移動筒を前記沈胴位置へ移動させることが好ましい。
【0015】
また、カメラ本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、検出されたカメラ本体の姿勢に基づいて、カメラ本体が転倒を開始したか否かを判定する判定手段とを備え、前記駆動制御手段は、カメラ本体が転倒を開始したと判定された際に、前記移動筒を前記沈胴位置へ移動させることが好ましい。
【0016】
さらに、カメラ本体内に納められる収納位置と、カメラ本体から突出した発光位置との間で移動自在のポップアップ式ストロボ発光部を備え、前記駆動制御手段は、前記ストロボ発光部を収納位置から発光位置へ移動させるホップアップ動作を制限するものでもよい。
【0017】
また、前記駆動制御手段は、前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合された際に、前記ストロボ発光部を前記収納位置へ移動させることが好ましい。
【0018】
さらに、カメラ本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、検出されたカメラ本体の姿勢に基づいて、カメラ本体が転倒を開始したか否かを判定する判定手段とを備え、前記駆動制御手段は、カメラ本体が転倒を開始したと判定された際に、前記ストロボ発光部を前記収納位置へ移動させることが好ましい。
【0019】
また、カメラ本体内に納められる沈胴位置と、カメラ本体から繰り出した繰り出し位置との間で移動自在の移動筒を有し、前記移動筒を移動させてズーム倍率を変倍させる変倍動作を行うレンズ鏡胴と、前記変倍動作の際に、前記移動筒の移動方向とは反対方向へ移動して、移動筒の移動に伴う重心位置の変化を抑えるバランスウェイトとを備えていてもよい。
【0020】
前記バランスウェイトは、前記移動筒を移動させるモータに連結され、このモータの回転に連動して移動することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のカメラは、ペットボトルのボトルキャップに取り付けて固定することができる。このため、三脚を携帯していない場合であっても、身近にあるペットボトルを三脚代わりに利用することができるので便利である。また、本発明のカメラは、カメラをペットボトルに取り付けた際に、転倒の恐れがある旨を報知してユーザーに注意を促すようにしたので転倒を防止できる。さらに、移動筒の移動によるズーム倍率の変倍動作や、ストロボ発光部のポップアップ動作など、振動や、重心位置の変化を伴う動作の実行を制限することで、より確実に転倒を防止できる。
【0022】
また、ズーム倍率の変倍動作を行う際に、移動筒の移動方向とは反対の方向へ移動して、移動筒の移動に伴う重心位置の変化を抑えるバランスウェイトを設けることで、より確実に転倒を防止できる。さらに、カメラの姿勢を検出し、カメラが転倒を開始したと判定される場合に、移動筒やストロボ発光部をカメラ本体内に納めるように移動させることで、転倒の被害を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施し、ペットボトルに取り付け可能としたデジタルカメラの前面側及び背面側の概観図を図1、図2にそれぞれ示す。また、このデジタルカメラをペットボトルに取り付けた状態を図3に示す。
【0024】
デジタルカメラ10のカメラ本体12は略直方体形状に形成され、その前面には、付属のリモコン14から送られる操作信号を受信するリモコン信号受信部15や、撮影レンズ16を保持したレンズ鏡胴18が設けられている。レンズ鏡胴18は、カメラ本体12の前面側に内蔵される鏡胴本体20と、この鏡胴本体20内に配置される移動筒22とから構成され、図1(A)に示すように、カメラ本体12内に納めた沈胴位置と、同図(B)に示すように、カメラ本体12から突出させた繰り出し位置との間で移動筒22を移動させて、ズーム倍率を変倍させる。
【0025】
カメラ本体12の上面には、シャッタボタン24が設けられ、側面には、メモリカード26(図6参照)が着脱自在に装填されるメモリカードスロットを塞ぐ蓋28が設けられている。デジタルカメラ10を撮影モードにセットして、シャッタボタン24を押下すると、撮影処理が行われ、撮影された画像がメモリカード26に記録される。
【0026】
カメラ本体12の背面には、液晶表示パネル(LCD)30、パイロットランプ32、スピーカ34、操作部36が設けられている。LCD30には、撮影モードではいわゆるスルー画が表示され、再生モードではメモリカードに記録済みの画像が表示され、メニューモードにおいては各種設定を行うためのメニュー画面が表示される。また、詳しくは後述するが、LCD30には、デジタルカメラ10に転倒の恐れがある場合、この旨を報知する報知メッセージが表示される。またこのとき、パイロットランプ32が点滅し、スピーカ34からは警告音が出力される。
【0027】
操作部36は、撮影モード、再生モード、メニューモードの各動作モードを切り替えるためのモード選択ボタン、移動筒22を移動させてズーム倍率を変倍するためのズームボタン38、カーソルを移動させるためのカーソルキーなどを備えている。また、前述のように、デジタルカメラ10にはリモコン14が付属され、リモコン14にはシャッタボタン24に対応する撮影指示ボタン40と、ズームボタン38に対応する変倍ボタン42とが設けられている(図1参照)。そして、デジタルカメラ10では、これら操作部36、リモコン14、並びに、シャッタボタン24を操作することで各種指示を入力できる。
【0028】
カメラ本体12の底面には、ペットボトル44のボトルキャップ46と嵌合する嵌合部48が設けられている。デジタルカメラ10は、嵌合部48がボトルキャップ46と嵌合することによって、ペットボトル44に固定される(図3参照)。
【0029】
図4に示すように、嵌合部48は、嵌合穴50と、この嵌合穴50内に配置される蓋体52、バネ54、検出スイッチ56とから構成される。嵌合穴50は、ペットボトル44のボトルキャップ46と直径が等しい円柱形状に形成される。嵌合穴50の内周部には滑り止め加工が施されており、前記嵌合により、ボトルキャップ46が嵌合穴50内で確実に保持され、カメラ本体12がペットボトル44上でぐらついたり、ペットボトル44から脱落しないようになっている。
【0030】
蓋体52は、略円盤形状に形成され、中央部にはネジ穴58が設けられ、両側部には突起60が設けられている。ネジ穴58は、三脚(図示せず)の頭部に設けられたネジに螺号するように設けられ、デジタルカメラ10を三脚に取り付ける際に用いられる。突起60は、嵌合穴50の内周面に形成されたスライドレール62に係合される。この係合により、蓋体52は、スライドレール62に沿ってスライド自在に保持される。バネ54は、蓋体52をカメラ本体12の底面側へ向けて付勢する。
【0031】
検出スイッチ56は、デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられた際に、これを検知する検知手段であり、本実施形態では、検出スイッチ56として一対の接点64、66(図5参照)を備え、これらの接触、非接触によりオンオフの切り替えを行う押圧検知式のスイッチを用いている。なお、フォトリフレクタなどのセンサを用いて、デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられたことを検知するようにしてもよい。
【0032】
図5(A)に示すように、蓋体52は、嵌合穴50にボトルキャップ46が嵌合される際にボトルキャップ46により押圧され、バネ54の付勢に抗して嵌合穴50内に押し込まれる。そして、蓋体52は、嵌合穴50にボトルキャップ46が嵌合されることで嵌合穴50内に押し込まれたまま保持される。また、このとき、接点66が蓋体52により押し上げられるように弾性変形して接点64に接触することで、検出スイッチ56がオンされる。
【0033】
図5(B)に示すように、嵌合穴50からボトルキャップ46が取り外されると、バネ54の付勢によって蓋体52がカメラ本体12の底面側へ移動する。そして、蓋体52は、スライドレール62の一端部に突起60が当接することでカメラ本体12の底面とほぼ等しい高さ位置にて係止され、嵌合穴50を塞ぐ。また、このとき、接点66が接点64から離れるように移動して、検出スイッチ56がオフされる。
【0034】
デジタルカメラ10の構成を示す図6において、撮影レンズ16は、ズームレンズ70と、フォーカスレンズ72とからなり、ズームレンズ70がレンズ鏡胴18の移動筒22内に納められ、フォーカスレンズ72がレンズ鏡胴18の鏡胴本体20内に納められている。移動筒22にはズームモータ74が接続され、移動筒22はズームモータ74の回転により駆動される。また、フォーカスレンズ72にはフォーカスモータ76が接続され、フォーカスレンズ72はフォーカスモータ76の回転により駆動される。
【0035】
これらモータ74、76は、ステッピングモータからなり、CPU78に接続されたモータドライバ80、82から送信される駆動パルスにより駆動される。CPU78は、モータドライバ80を介してズームモータ74を駆動することで移動筒22とともにズームレンズ70を移動させて、ズーム倍率を変倍する。また、CPU78は、モータドライバ82を介してフォーカスモータ76を駆動することでフォーカスレンズ72を移動させて、撮影条件が最適となるように焦点調節を行う。
【0036】
撮影レンズ16の背後には、CCD84が配置されている。CCD84には、CPU78によって制御されるタイミングジェネレータ(TG)86が接続される。CCD84は、TG86から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により駆動され、撮影レンズ16を透過した被写体光を光電変換した撮像信号を出力する。
【0037】
CCD84から出力された撮像信号は、アナログ信号処理回路88に入力される。アナログ信号処理回路88には、図示しない相関二重サンプリング回路(CDS)、増幅器(AMP)、A/D変換器(A/D)が設けられ、入力された撮像信号は、ノイズの除去及び信号の増幅が行われた後、デジタルな画像データに変換され、データバス90を介してフレームメモリ92に出力される。フレームメモリ92は、作業用メモリであり、出力された画像データを一時的に記憶する。デジタル信号処理回路94は、フレームメモリ92に記憶された画像データに対して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正などの各種画像処理を施す。
【0038】
撮影モードにおいては、CCD84から所定のフレームレートで撮像信号が出力され、この撮像信号に対応する画像データがフレームメモリ92に記憶される。この後、デジタル信号処理回路94により各種画像処理の施された処理済みの画像データが、LCDドライバ96により表示用画像に変換されてLCD30に表示される。また、撮影モード中にシャッタボタン24が押下されると、デジタル信号処理回路94により各種画像処理の施された処理済みの画像データが、圧縮伸張回路98により所定の圧縮形式(例えば、JPEG形式)で圧縮され、メモリカード26に記憶される。
【0039】
これらデジタルカメラ10の各部は、CPU78に接続され、CPU78によって駆動制御される。また、CPU78には、シャッタボタン24、操作部36、並びに、リモコン信号受信部15を介してリモコン14が接続される。CPU78によるデジタルカメラ10各部の駆動制御は、シャッタボタン24、操作部36、リモコン14から入力される操作信号に基づいて行われる。
【0040】
また、CPU78には、転倒防止処理回路100が設けられている。転倒防止処理回路100には、検出スイッチ56が接続される。転倒防止処理回路100は、検出スイッチ56がオンすると、すなわち、デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられると、デジタルカメラ10の各部を制御して、転倒を防止するための転倒防止処理を行う。
【0041】
転倒防止処理手順を示す図7において、転倒防止処理回路100は、検出スイッチ56がオンされると、ズームモータ74を制御して、移動筒22を沈胴位置へ移動させる。続いて、転倒防止処理回路100は、リモコン14の変倍ボタン42の操作を無効化する。変倍ボタン42の無効化は、検出スイッチ56がオンされている間継続される。
【0042】
次に、転倒防止処理回路100は、パイロットランプ32、スピーカ34、LCD30を制御し、デジタルカメラ10が転倒する恐れがあることを報知する。報知は、パイロットランプ32を点滅させ、スピーカ34からビープ音などの警告音を出力し、LCD30に報知画面を表示することによって行われる。報知画面には、例えば、図8に示すように、デジタルカメラ10が転倒する恐れがあることを報知する報知メッセージ102と、変倍ボタン42の無効化を通知する通知メッセージ104とが表示される。
【0043】
また、転倒防止処理回路100は、検出スイッチ56がオンされている間にズームボタン38が操作された場合、改めて前述した報知を行う。ズームボタン38の操作は無効化されていないので、ズームボタン38の操作後は、この操作に応じて移動筒22が移動され、ズーム倍率が変倍される。
【0044】
以下、上記構成による本発明の作用について説明する。デジタルカメラ10は、嵌合部48にボトルキャップ46を嵌合させることで、ペットボトル44上に固定できる。これにより、三脚を携帯していない場合もペットボトル44を三脚代わりに用いることができる。
【0045】
デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられると、移動筒22が沈胴位置へ移動され、リモコン14の変倍ボタン42の操作が無効化される。続いて、パイロットランプ32が点滅し、スピーカ34から警告音が出力されるとともに、LCD30に報知メッセージ102が表示され、デジタルカメラ10に転倒の恐れがあることが報知され、ユーザーに注意が促される。また、デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられた状態で、ズームボタン38が操作されると、改めて前述した報知が行われ、ユーザーに注意が促される。
【0046】
このように、デジタルカメラ10では、転倒の恐れがある場合に、この旨をユーザーに報知して注意を促すようにしたので、転倒を防止することができる。また、移動筒22が繰り出し位置にある場合、移動筒22が沈胴位置にある場合と比較してデジタルカメラ10の重心がカメラ本体12の前面側に位置し、デジタルカメラ10が不安定で転倒し易いが、デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられた際に、移動筒22を沈胴位置へ移動するようにしたので、デジタルカメラ10が安定し、転倒を防止することができる。
【0047】
さらに、デジタルカメラ10がペットボトル44に取り付けられている間、リモコン14の変倍ボタン42の操作を無効化したので、リモコン14の操作により移動筒22が移動し、デジタルカメラ10がバランスを崩して転倒するといったことを防止できる。リモコン14はユーザーがデジタルカメラ10から離れた状態で操作されるので、デジタルカメラ10がバランスを崩してもユーザーが支えることができない場合がある。このため、変倍ボタン42の操作無効化は転倒防止に有効である。
【0048】
なお、デジタルカメラがペットボトルに取り付けられている間、カメラ本体のズームボタンの操作を無効化することもできる。しかし、こうすると操作の自由度が低下して不便になってしまう場合がある。すなわち、例えば、手ぶれ防止の目的でデジタルカメラをペットボトルに取り付けた場合、ユーザーがカメラ本体を把持しているため、転倒を防止する必要がない。しかし、ズームボタンの操作を無効化すると、このような場合であってもズーム倍率の変倍ができないので不便である。
【0049】
このため、デジタルカメラがペットボトルに取り付けられている間に、ズームボタンが操作された場合は、前述した報知のみにとどめることが好ましい。また、カメラ本体のズームボタンの操作を無効化する場合は、例えば、この無効化を解除するための解除ボタンを設けることが好ましい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、デジタルカメラがペットボトルに取り付けられている間は、変倍ボタンからのズーム操作を完全に無効化する例で説明をしたが、変倍ボタンからのズーム操作を一部有効にしてもよい。この場合、移動筒の突出量が小さく、転倒の恐れが少ない範囲に関しては変倍ボタンからのズーム操作を有効にし、この範囲を超える場合に、変倍ボタンからのズーム操作を無効化すればよい。もちろん、ズームボタンが操作された際に同様の制御を行ってもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態では、デジタルカメラがペットボトルに取り付けられている間、移動筒の移動(ズーム倍率の変倍動作)を制限する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すデジタルカメラ110ように、カメラ本体112内に納められた図中実線で示す収納位置と、カメラ本体112から突出された図中破線で示す発光位置との間で移動自在のポップアップ式のストロボ発光部114を備えている場合は、ストロボ発光部114の移動(ポップアップ動作)を制限するようにしてもよい。なお、図9以降の図面においては、上述した実施形態と同様の部材については同様の符号を付して説明を省略している。
【0052】
このデジタルカメラ110では、撮影時の被写体照度に応じてストロボ発光部114が自動で発光位置へ移動するオートポップアップ機能を備える他、カメラ本体112の上面に設けられたポップアップスイッチ116を押下することで、ストロボ発光部114を手動で発光位置へ移動させることができる。図10において、デジタルカメラ110の内部には、カム、ギア、アクチュエータなどを含んで構成され、ストロボ発光部114を移動させるための移動機構118が設けられている。移動機構118は、CPU120に接続されて駆動制御され、収納位置と発光位置との間でストロボ発光部114を移動させる。
【0053】
また、CPU120には、転倒防止処理回路122が設けられている。図11に示すように、転倒防止処理回路122は、デジタルカメラ110が、ペットボトル44に取り付けられ、検出スイッチ56がオンされると、デジタルカメラ110の各部を制御して転倒防止処理を行う。転倒防止処理回路122は、転倒防止処理の開始に伴ってオートポップアップ機能を無効化させる。
【0054】
続いて、転倒防止処理回路122は、パイロットランプ32、スピーカ34、LCD30を制御し、デジタルカメラ110が転倒する恐れがあることを報知する。報知は、パイロットランプ32を点滅させ、スピーカ34からビープ音などの警告音を出力し、LCD30に報知画面を表示することによって行われる。報知画面には、例えば、図12に示すように、デジタルカメラ110が転倒する恐れがあることを報知する報知メッセージ102と、オートポップアップ機能の無効化を通知する通知メッセージ124とが表示される。
【0055】
ストロボ発光部がホップアップする際は、重心位置の変化は少ないが、ポップアップに伴って発生する振動によりデジタルカメラが転倒する恐れがある。このため、本例のように、デジタルカメラがペットボトルに取り付けられた際に、オートポップアップ機能を無効化することによって転倒を防止することができる。もちろん、デジタルカメラがペットボトルに取り付けられた際に、ストロボ発光部が自動的に収納位置へ移動するようにしてもよい。こうすることでデジタルカメラが安定して転倒を防止できる。
【0056】
なお、上記実施形態では、デジタルカメラを例に説明をしてきたが、本発明は、デジタルカメラに限定されず、写真フイルムを用いるフイルムカメラに対しても適用することができる。また、写真フイルムを用いるカメラの中には、撮影後に写真フイルムを自動で巻き取る巻き取り動作を行うものもあり、巻き取り動作に伴って発生する振動や重心位置の変化によりカメラが転倒してしまうといった恐れがある。このようなカメラにおいては、カメラがペットボトルに取り付けられている間、巻き取り動作を制限してもよい。もちろん、前述した変倍動作、ポップアップ動作、巻き取り動作以外の振動や重心位置の変化を伴う動作を制限してもよい。また、制限する動作は1つに限定されるものではなく、複数の動作を制限してもよい。
【0057】
なお、上記実施形態では、重心位置や振動を発生させる動作を制限することにより転倒を防止する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図13に示すカメラ130ように、カメラ本体132内に移動自在のバランスウェイト134を設け、バランスウェイト134を移動させることによって転倒を防止してもよい。
【0058】
図14に、バランスウェイト134を移動させる移動機構136を示す。移動機構136は、歯車群138とリードスクリュー140とを含んで構成される。歯車群138は、複数の歯車からなり、そのうちの1つが、ズームモータ74に直結された歯車142に連結される。また、歯車142は、移動筒22を移動させる歯車群144に連結されており、ズームモータ74の駆動力は、歯車142と歯車群144とを介して移動筒22に伝達され、歯車142と歯車群138とを介して、リードスクリュー140に伝達される。
【0059】
リードスクリュー140は、外周面にネジ山が形成された棒状の本体部146と、この本体部146の一端に形成された歯車部148とからなり、長手方向がカメラ本体132の前後方向に一致するように配置される。歯車部148は歯車群138と連結されており、リードスクリュー140は、ズームモータ74の回転に伴って回転する。
【0060】
バランスウェイト134は、リードスクリュー140の本体部146と螺合するネジ穴を有する連結部150を備え、連結部150がリードスクリュー140と連結される。また、バランスウェイト134は、図示しない回転規制部材により、リードスクリュー140周りの回転が規制されており、ズームモータ74の回転に伴うリードスクリュー140の回転により、リードスクリュー140の長手方向に沿ってスライド移動する。
【0061】
バランスウェイト134は、ズームモータ74が移動筒22を繰り出し位置へ向けて移動させる方向に回転すると、リードスクリュー140に沿ってカメラ本体132の背面側へ移動する。また、バランスウェイト134は、ズームモータ74が移動筒22を沈胴位置へ向けて移動させる方向に回転すると、リードスクリュー140に沿ってカメラ本体132の前面側へ移動する。
【0062】
こうすることで、移動筒22の移動に伴う重心位置の変化を抑え、転倒を防止できる。なお本例では、1つのモータにより移動筒とバランスウェイトとの両方を移動させる例で説明をしたが、移動筒を移動させるモータと、バランスウェイトを移動させるモータとを別個に設けてもよい。
【0063】
また、カメラの中には、カメラ姿勢を検知するための姿勢検出手段を備え、姿勢検出手段から得られた情報に基づいて手ぶれを補正する手ぶれ補正機能を備えたもののある。このようなカメラにおいては、姿勢検出手段を利用することでカメラの転倒を予測し、カメラが転倒した場合の被害を最小限に抑えるといったことも考えられる。
【0064】
この場合、姿勢検出手段として、例えば、ジャイロセンサを設けるとともに、ジャイロセンサから得られるカメラの姿勢情報に基づいて、カメラが転倒を開始したか否かを判定する判定部を設ける。そして、図15に示すように、カメラが転倒を開始したと判定された場合、速やかに移動筒を沈胴位置へ移動させる。レンズ鏡胴のような可動部を備えた部品は、転倒時の衝撃で壊れやすく、転倒によりズーム機能やピント調節が行えなくなったり、撮影レンズが傾いてしまうといった問題がある。そこで、本例のように、移動筒を沈胴位置へ移動させることで、転倒の衝撃が直接レンズ鏡胴に加わる可能性が低くなり、破損を防止することができる。
【0065】
もちろん、手ぶれ補正機能に加え、オートポップアップ機能を備えたカメラにおいては、カメラが転倒を開始したと判定された際にストロボ発光部を収納位置へ移動させることで、ストロボ発光部の破損を防止することができる。また、ジャイロセンサによりカメラ姿勢を検出する例で説明をしたが、例えば、CCDから得られた画像の時間的な変化に基づいてカメラ姿勢を検出してもよい。
【0066】
さらに、上記実施形態では、報知の際に、パイロットランプ、スピーカ、LCDの3つを用いる例で説明をしたが、これらのうち1つのみ、もしくは、これらのうち2つを組み合わせて用いてもよい。
【0067】
なお、上記実施形態では、カメラを、ペットボトルのボトルキャップに取り付ける例で説明をしたが、カメラをペットボトルに直接取り付けるようにしてもよい。この場合、嵌合穴の内側壁に沿って、ペットボトルの頭部のネジ山と螺合するネジ溝を形成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】デジタルカメラの前面側の外観を示す斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面側の外観を示す斜視図である。
【図3】デジタルカメラをペットボトルに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】嵌合部の分解図である。
【図5】検出スイッチがオンオフされる様子を示す説明図である。
【図6】デジタルカメラの概略的な構成を示すブロック図である。
【図7】移動筒の移動を制限して転倒を防止する手順を示すフローチャートである。
【図8】報知画面を示す説明図である。
【図9】デジタルカメラの正面図である。
【図10】ストロボ発光部を駆動する駆動機構を示す説明図である。
【図11】ストロボ発光部の移動を制限して転倒を防止する手順を示すフローチャートである。
【図12】報知画面を示す説明図である。
【図13】カメラの正面、側面、底面を示す平面図である。
【図14】バランスウェイトを移動させる移動機構を示す説明図である。
【図15】転倒時の被害を最小限に抑える手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
10、110 デジタルカメラ
12、112、132 カメラ本体
14 リモコン
16 撮影レンズ
18 レンズ鏡胴
22 移動筒
30 LCD
32 パイロットランプ
34 スピーカ
38 ズームボタン
42 変倍ボタン
44 ペットボトル
46 ボトルキャップ
48 嵌合部
50 嵌合穴
56 検出スイッチ
70 ズームレンズ
78、120 CPU
100、122 転倒防止処理回路
102 報知メッセージ
114 ストロボ発光部
130 カメラ
134 バランスウェイト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体の外面に、ペットボトルのボトルキャップに対応した形状に窪むように形成され、前記ボトルキャップの嵌合により前記カメラ本体を前記ペットボトルに固定するための嵌合穴と、
前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合された際にこれを検知する検知手段と、
前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合されたと検知された際に、転倒の恐れがある旨を報知する報知手段とを備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記報知手段は、表示部に報知メッセージを表示することで前記報知を行うことを特徴とする請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記報知手段は、スピーカから報知音を出力することで前記報知を行うことを特徴とする請求項1または2記載のカメラ。
【請求項4】
前記報知手段は、発光部を発光させて前記報知を行うことを特徴とする請求項1〜3いずれか1つ記載のカメラ。
【請求項5】
前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合されたと検知されている間、振動、もしくは、重心位置の変化を伴う動作の実行を制限する駆動制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1つ記載のカメラ。
【請求項6】
前記駆動制御手段は、リモコンから送信された操作信号に基づく処理実行時に、前記制限を行うことを特徴とする請求項5記載のカメラ。
【請求項7】
カメラ本体内に納められる沈胴位置と、カメラ本体から繰り出した繰り出し位置との間で移動自在の移動筒を有し、前記移動筒を移動させてズーム倍率を変倍させる変倍動作を行うレンズ鏡胴を備え、
前記駆動制御手段は、前記変倍動作を制限することを特徴とする請求項5または6記載のカメラ。
【請求項8】
前記駆動制御手段は、前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合された際に、前記移動筒を前記沈胴位置へ移動させることを特徴とする請求項7記載のカメラ。
【請求項9】
カメラ本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
検出されたカメラ本体の姿勢に基づいて、カメラ本体が転倒を開始したか否かを判定する判定手段とを備え、
前記駆動制御手段は、カメラ本体が転倒を開始したと判定された際に、前記移動筒を前記沈胴位置へ移動させることを特徴とする請求項7または8記載のカメラ。
【請求項10】
カメラ本体内に納められる収納位置と、カメラ本体から突出した発光位置との間で移動自在のポップアップ式ストロボ発光部を備え、
前記駆動制御手段は、前記ストロボ発光部を収納位置から発光位置へ移動させるホップアップ動作を制限することを特徴とする請求項5〜9いずれか1つ記載のカメラ。
【請求項11】
前記駆動制御手段は、前記嵌合穴に前記ボトルキャップが嵌合された際に、前記ストロボ発光部を前記収納位置へ移動させることを特徴とする請求項10記載のカメラ。
【請求項12】
カメラ本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
検出されたカメラ本体の姿勢に基づいて、カメラ本体が転倒を開始したか否かを判定する判定手段とを備え、
前記駆動制御手段は、カメラ本体が転倒を開始したと判定された際に、前記ストロボ発光部を前記収納位置へ移動させることを特徴とする請求項10または11記載のカメラ。
【請求項13】
カメラ本体内に納められる沈胴位置と、カメラ本体から繰り出した繰り出し位置との間で移動自在の移動筒を有し、前記移動筒を移動させてズーム倍率を変倍させる変倍動作を行うレンズ鏡胴と、
前記変倍動作の際に、前記移動筒の移動方向とは反対方向へ移動して、移動筒の移動に伴う重心位置の変化を抑えるバランスウェイトとを備えたことを特徴とする請求項1〜12いずれか1つ記載のカメラ。
【請求項14】
前記バランスウェイトは、前記移動筒を移動させるモータに連結され、このモータの回転に連動して移動することを特徴とする請求項13記載のカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−72103(P2007−72103A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258003(P2005−258003)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】