説明

カメラ

【課題】低温下においても安定した撮影を行うことができるカメラを提供する。
【解決手段】電源として、第1電池81と、この第1電池81よりも温度低下による電圧変動が少ない第2電池82とを装着可能なカメラ1であって、カメラ本体の周辺温度を検出する温度センサ85と、この温度センサ85により検出された周囲温度が所定の閾値温度未満であるときは、カメラ1の電源を第1電池81から第2電池82に切り替える電源制御部91とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電源を使用可能なカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、単3形電池やリチウム電池などの複数の電池を同時に装着することができるカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−80310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような複数の電池を同時に装着できるカメラでは、ユーザがどちらかの電池を使用するかを設定すると、以後はその電池が継続して使用される。このため、温度条件などの環境変化があった場合、ユーザは温度特性に優れた電池に設定し直す必要があり、このような再設定の操作が撮影に影響を及ぼすことがあった。
【0004】
例えば、低温下のストロボ撮影では、単3形電池のほうがリチウム電池よりも充電に多くの時間を要するため、単3形電池を設定していた場合にはシャッターチャンスを逃してしまうおそれがある。また、その時点でユーザが単3形電池からリチウム電池に再設定しても、その再設定の操作に時間がかかるため、同様にシャッターチャンスを逃してしまうことになる。
【0005】
本発明の課題は、低温下においても安定した撮影を行うことができるカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、電源(80)として、第1電池(81)と、当該第1電池(81)よりも温度低下による電圧変動が少ない第2電池(82)とを装着可能なカメラ(1)であって、カメラ本体の周辺温度を検出する温度検出手段(85)と、前記温度検出手段により検出された周囲温度が所定の閾値温度未満であるときは、カメラの電源を前記第1電池から前記第2電池に切り替える制御手段(91)とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカメラ(1)であって、前記制御手段(91)は、前記温度検出手段(85)により検出された周囲温度が所定の閾値温度未満であり、且つ所定の重負荷動作を実行する場合のみカメラの電源を前記第1電池(81)から前記第2電池(82)に切り替えることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のカメラ(1)であって、前記制御手段(91)は、カメラの電源を前記第1電池(81)から前記第2電池(82)に切り替えた後、前記温度検出手段(85)により検出された周囲温度が所定の閾値温度以上となったときは、カメラの電源を前記第2電池から前記第1電池に切り替えることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカメラ(1)であって、前記制御手段(91)は、予め電源の自動切り替えが指示されていないときには、カメラの電源を前記第1電池(81)から前記第2電池(82)へ切り替えないことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のカメラ(1)であって、電池の識別情報を表示可能な表示手段(60)を備え、前記制御手段(91)は、カメラの電源を前記第1電池(81)から前記第2電池(82)に切り替えたとき、または前記第2電池から前記第1電池に切り替えたときに、前記表示手段(60)に切り替えた電池の識別情報(65、66)を表示させることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカメラ(1)であって、前記第2電池(82)の使用可能容量を検出する容量検出手段(83)を備え、前記制御手段(91)は、前記容量検出手段により検出された前記第2電池の使用可能容量が所定の閾値未満であるときは、カメラの電源を前記第1電池(81)から前記第2電池へ切り替えないことを特徴とするものである。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低温下においても安定した撮影を行うことができるカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を、撮影レンズがカメラ本体に内蔵されたデジタルのコンパクトカメラに適用した実施形態について説明する。図1は本実施形態のカメラ1の構成を示すブロック図である。図2及び図3は、カメラ1の正面図及び背面図である。
なお、以下に示す各図には、説明と理解とを容易にするために、XYZの直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸を水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZ方向とする。
【0009】
図1に示すように、本実施形態のカメラ1は、撮像部10、レンズ鏡筒20、操作部30、カード40、メモリ50、LCDモニタ60、発光部70、電源80、CPU90等を備えている。
【0010】
撮像部10は、撮像素子11及びA/Dコンバータ12を備えている。撮像素子11は、レンズ鏡筒20の撮影レンズ21を通過した被写体光を電気信号に変換して出力する光−電気変換素子であり、CCD、CMOS等のイメージセンサにより構成されている。撮像素子11から出力された電気信号は、不図示の信号処理回路においてゲインコントロール等のアナログ処理が行われた後にA/Dコンバータ12に入力される。A/Dコンバータ12は、アナログ処理された電気信号をデジタル変換してCPU90に出力する。
【0011】
レンズ鏡筒20は、ズームレンズを含む撮影レンズ21、シャッタ22、駆動部23とを含んでいる。撮影レンズ21に入射した被写体光は、開口されたシャッタ22を経て撮像部10の撮像素子11に導かれる。シャッタ22は、撮像素子11に対する露光時間を調節するものであり、撮影時に開閉動作を行う。駆動部23は、例えば、撮影レンズ21を光軸方向に駆動するアクチュエータや、シャッタ22を駆動するアクチュエータ等を含んでいる。
【0012】
操作部30は、撮影者がCPU90に対して各種の入力指示を行う際に操作するものである。操作部30としては、図2及び図3に示す電源スイッチ31、レリーズボタン32、セレクタスイッチ33、決定ボタン34、ズームボタン35、撮影モードボタン36及び再生モードボタン37、ストロボポップアップボタン38等が含まれる。
【0013】
カメラ1の電源スイッチ31は、図2及び図3に示すように、撮影者の押圧操作によりカメラ1の電源のオン・オフを切り替える。レリーズボタン32は、半押し操作及び全押し操作の2段階の操作が可能であり、撮影者がレリーズボタン32への半押し操作を行うことにより、CPU90に対してオートフォーカス(AF)動作の実行信号が送信される。これにより、CPU90は撮像部10の出力に基づいてコントラスト検出方式等により、例えば、主要な被写体に対して自動的にピント合わせを行うAF制御や、自動的に露出を合わせるAE制御を行う。そして、撮影者がレリーズボタン32を全押し操作することにより、CPU90に対して撮影開始信号が送信されることになる。
【0014】
セレクタスイッチ33は、例えば、液晶モニタ60にメニュー画面の表示や撮影済画像の表示を行った状態で、項目や画像の選択を行う際に使用される。決定ボタン34は、例えば、メニュー画面においてセレクタスイッチ33で選択した項目に応じた動作をカメラ1に実行させる際に使用される。ズームボタン35は、撮影時に画角の変更を行う場合や、液晶モニタ60に撮影済み画像を再生表示する状態で画像の拡大・縮小を行う際に使用される。撮影モードボタン36は、再生モードから撮影モードへの切り替えを行う際に使用される。再生モード37は、撮影モードから再生モードへの切り替えを行う際に使用される。ストロボポップアップボタン38は、内蔵のポップアップストロボを起動する際に使用される。
【0015】
カード40は、撮影済みの画像とそのデータを記録するフラッシュメモリ等からなる不揮発性記憶媒体である。カード40は、カメラ1の不図示のカードスロットに着脱可能に装着される。またカメラ1には、カード40に対してデータの書き込みを行うための不図示の記録装置が設けられている。
【0016】
メモリ50は、CPU90による作業エリアとして機能するものであり、また、各種データを格納している。撮影時に撮像部10から出力された画像データは、一時的にメモリ50に保存され、その後にカード40に記録される。
【0017】
液晶モニタ60は、液晶表示パネルからなり、撮影済み画像やメニュー画面のほか、シャッタースピードや絞り値等の撮影条件を表示する。本実施形態において、液晶モニタ60は、撮影時における被写体像や撮影条件等を表示するとともに、後述するように、使用中している電池の残量を図形表示することが可能となっている。
【0018】
発光部70は、カメラ1の上面に設けられたポップアップストロボ71(図2参照)により、被写体に対してストロボ光を照射する照明装置である。ポップアップストロボ71は、常時はカメラ1の上面に収納されており、カメラ背面のストロボポップアップボタン38が押されることにより、図2に示す位置にポップアップしてストロボ光の照射が可能となるように構成されている。また、ポップアップストロボ71には、不図示のストロボ用コンデンサが接続されており、ポップアップと同時にストロボ用コンデンサへの充電が開始される。そして、ストロボ用コンデンサへの充電が完了すると、液晶モニタ60の所定位置に充電完了を知らせるマークが表示されるとともに、ストロボ撮影が可能となる。
【0019】
また、カメラ1の電源80は、図1に示すように、カメラ1に備えられている各電気要素に対して電力を供給する。電源80は、カメラ1に対して着脱自在に装着される各種の電池によって構成されている。この実施形態は、2種類の電池を電源として用いるものであり、第1電池81と第2電池82とを備えている。第1電池81としては例えば、単三電池が用いられる。第2電池82は第1電池81よりも温度低下による電圧変動が少ない電池であり、例えば、リチウム電池(リチウムイオン二次電池)が用いられる。温度低下による電圧変動が少ない第2電池82を電源として用いることにより、低温下においても常温と同様の条件での撮影が可能となる。
【0020】
第2電池82には、その使用可能容量を検出する容量検出部83が接続されている。容量検出部83は、第2電池82を収納する不図示の電池ケースに設けられていてもよく、この場合には、第2電池82をカメラ1に装填したときにカメラ1と電気的に接続される。また、容量検出部83がカメラ1の内部に配置され、第2電池82をカメラ1に装填した際に第2電池82と電気的に接続されるものであっても良い。第1電池81、第2電池82及び容量検出部83は、CPU90の電源制御部91にそれぞれ接続されている。なお、電池の使用可能容量とは、電池の総容量(定格容量)に対する残り容量の割合(%)であり、例えば、400mA/h(400mAを1時間出力可能)というように表わされる。以下、電池の使用可能容量を「電池残量」または単に「残量」という。
【0021】
CPU90は、カメラ1を構成する各要素を統括的に制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。CPU90は、カメラ1の基本的な制御として、撮像部10の出力に基づいて調光を行い、シャッタースピードの制御や、発光部70の発光量を決定するストロボ制御等を行っている。
【0022】
また、CPU90は、電源制御部91を備えている。この電源制御部91は、CPU90に含まれる機能ブロックとして、電源80における電池81、82の切り替えを制御するものである。電源制御部91には温度センサ85が接続されている。温度センサ85は、カメラ1の周辺温度を検出するものであり、好ましくは、電源80近辺に配置されて電源周辺の温度を検出するように用いられる。温度センサ85が検出した温度データは、電源制御部91に出力され、電源制御部91はこの温度データに基づいて電池81、82の切り替えを行う。
【0023】
電源制御部91による電池の切り替えは、温度センサ85が検出した周囲温度と予め設定された所定の閾値温度とを比較することにより行われる。周囲温度が所定の閾値温度以上のときには、電源制御部91は第1電池81を電源とする。また、周囲温度が所定の閾値温度未満であるときには、電源制御部91は、第1電池81から第2電池82に切り替えるように制御する。
【0024】
電源制御部91における電池の切り替えは、重負荷動作の実行の有無により判断されるものである。重負荷動作としては、例えば、ストロボ用コンデンサへの充電、連続した撮影(連写)動作等があり、これらの重負荷動作へ実行の際には、電源制御部91は第1電池81から第2電池82に切り替えるように制御する。このような重負荷動作の実行の際に電池を切り替えることにより、ストロボ用コンデンサへの充電遅れ、撮像素子11やA/Dコンバータ12の電気的処理の遅延等を防止することができる。
【0025】
次に、電源制御部91による電源制御の処理手順を図4のフローチャートにより説明する。図4においては、第1電池81を単三電池、第2電池82をリチウム電池として説明するものとし、重負荷動作としてストロボ用コンデンサへの充電を例とする。このフローチャートの動作は、撮影者が電源スイッチ31をオンすることによりスタートする。
【0026】
ステップS11において、電源制御部91はCPU90からの起動指示を取得する。そして、ステップS12において、電源制御部91は電源として単三電池を自動選択する。カメラ1の起動時には単三電池を選択するように設定されているため、単三電池を電源として撮影が行われる。
【0027】
ステップS13において、電源制御部91は、ポップアップストロボ71がアップ(ストロボアップ)したかを判定する。ストロボアップしていない場合には、ステップS19に移行する。また、ストロボアップした場合には、ステップS14に移行して、電源制御部91は、周辺温度が予め設定された閾値温度未満かを判定する。ステップS14において、周辺温度が予め設定された閾値温度未満である場合には、ステップS15に移行して、電源制御部91は、リチウム電池の残量が予め設定した閾値容量以上であるかを判定する。
【0028】
ステップS15において、リチウム電池の残量が予め設定した閾値容量以上である場合、ステップS16に移行して、電源制御部91は電源としてリチウム電池を選択する。これにより、ステップS18において、リチウム電池から発光部70のストロボ用コンデンサへの充電が行われる。このように、周辺温度が低温の場合にリチウム電池を選択することにより、ストロボ用コンデンサへの充電に時間がかかることがないので、シャッターチャンスを逃がすことがない。なお、ステップS16に移行した時点ですでにリチウム電池が選択されている場合は、リチウム電池を継続使用する。
【0029】
また、ステップS14において、周辺温度が予め設定された閾値温度以上である場合、およびステップS15において、リチウム電池の残量が予め設定した閾値容量未満である場合は、ステップS17に移行して、電源制御部91は電源として単三電池を選択する。これにより、ステップS18において、単三電池から発光部70のストロボ用コンデンサへの充電が行われる。このように、周辺温度が低温でない場合、またはリチウム電池の残量が少ない場合、電源制御部91はリチウム電池への切り替えを行わず、発光部70のストロボ用コンデンサに対しては単三電池から充電が行われることになる。なお、ステップS17に移行した時点ですでに単三電池が選択されている場合は、単三電池を継続使用する。
【0030】
ステップS18において、発光部70のストロボ用コンデンサへの充電が終了すると、液晶モニタ60に充電完了を知らせるマークが表示される。この後、撮影者がレリーズボタン32の全押し操作を行うことにより、ストロボ発光による撮影が行われる。そして、ステップS19において、電源制御部91はCPU90から撮影完了通知を取得する。
【0031】
そして、ステップS20において、電源制御部91は、充電を継続するか否かを判定する。ステップS20において、充電を継続しない場合には、ステップS21へ移行して、電源制御部91は単三電池を電源とするように切り替えて、本ルーチンによる処理を終了する。なお、ステップS21に移行した時点ですでに単三電池が選択されている場合は、単三電池を継続使用する。また、ステップS20において、充電を継続する場合には、ステップS13に移行して、上述したステップS13〜ステップS20の処理を繰り返す。
【0032】
以上のように、本実施形態による制御では、重負荷動作であるストロボ撮影が実行されるときには、周辺温度によって温度特性の良いリチウム電池に切り替えるため、効率的なカメラ動作を行うことが可能となる。
【0033】
さらに、本実施形態の電源制御部91は以下の制御が可能である。
【0034】
電源を単三電池(第1電池81)からリチウム電池(第2電池82)に切り替えた後において、温度センサ85が検出した周囲温度が所定の閾値温度以上となったときに、電源制御部91はリチウム電池から単三電池に切り替える。この切り替えにより、周辺温度に適した電池を用いるため電池を効率良く使用することができる。
【0035】
また、不図示の電源選択ボタンへの操作により、電源制御部91による電池の自動切り替えが予め設定されていない場合には、電源制御部91は電池の切り替え制御を行わない。これにより、撮影者の好みの電池を電源として使用することができる。
【0036】
さらに、電源を第1電池81から第2電池82に切り替えたとき、または第2電池82から第1電池81に切り替えたときにおいて、電源制御部91は、切り替えた電池の識別情報として、電池ごとの画像情報を液晶モニタ60が表示するように液晶モニタ60を制御することができる。例えば、第1電池81の場合には電池の画像、第2電池82の場合にはボックス型電池の画像を表示する。
【0037】
図5は、電池を切り替えた場合における液晶モニタ60の表示例を示す。同図(a)は第1電池81(単三電池)に切り替えた場合の表示であり、単三電池の画像65が液晶モニタ60に表示される。同図(b)は、第2電池82(リチウム電池)に切り替えた場合の表示であり、ボックス型電池の画像66が液晶モニタ60に表示される。これにより、撮影者はどちらの電池を電源として用いているかを容易に識別することができる。なお、切り替えた電池の識別情報は、図5に示すような画像情報に限定されるものではなく、例えば、電池名称や記号等を表示するようにしてもよい。
【0038】
また、図5における画像情報の表示においては、使用中の電池の残量を同時に表示している。すなわち、電池の画像65、66内に複数の四角ブロックを表示し、四角ブロック内の色が背景色よりも濃い部分が電池残量を表わしている。このような表示を行うことにより、撮影者は電池残量を知ることができ、その対応を迅速に行うことが可能となる。
【0039】
上述した実施形態では、重負荷動作としてストロボ用コンデンサへの充電を例としたが、これに限らず、その他の重負荷動作の有無に基づいて電池切り替えの判定をしてもよい。さらには、複数の重負荷動作の有無により電池切り替えの判定するようにしてもよい。
【0040】
以上、本実施形態によると、以下の効果を奏する。
(1)カメラ1の周辺温度が所定の閾値温度未満のときには、温度低下による電圧変動が少ない第2電池82に切り替えるため、電気的処理や充電に時間がかかることがなく、シャッターチャンスを逃がすことがない。
(2)カメラ1の周辺温度が所定の閾値温度未満であり、且つ重負荷動作であるストロボ撮影を実行する場合のみ第2電池82に切り替えるため、上記(1)の効果に加えて、第2電池82の電池消費を最小限抑えることができる。
(3)周辺温度が所定の閾値温度以上となったときは、第2電池82から第1電池81に切り替えるため、電池を効率良く使用することができる。
(4)電源制御部91による電池の自動切り替えが予め設定されていない場合には、電池の切り替え制御を行わないため、撮影者の好みの電池を電源として使用することができる。
(5)電池を切り替えた場合には、液晶モニタ60に切り替えた電池の画像情報を表示するようにしたので、撮影者はどちらの電池を電源として用いているかを容易に識別することができる。
(6)周辺温度が所定の閾値温度未満であっても、リチウム電池の残量が予め設定した閾値容量未満である場合は、電池の切り替えを行わないため、リチウム電池を使用するメリットが少ない場合において、リチウム電池の不要な電池消費を抑えることができる。また、電池の切り替えが行われないことにより、撮影者はリチウム電池の残量が少ないことを知ることができる。
(変形形態)
【0041】
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)上述した実施形態では、周囲温度との比較及び重負荷動作の実行に基づいて電池の切り替えを行っているが、これに限らず、周囲温度との比較だけに基づいて、或いは重負荷動作の実行だけに基づいて電池の切り替えを行っても良い。
(2)上述した実施形態では、本発明をデジタルカメラへの適用を説明したが、これに限らず、銀塩カメラ(フィルム式カメラ)に適用することができる。
(3)上述した実施形態では、本発明をデジタルのコンパクトカメラに適用した例について示したが、ボディ本体に対してレンズ鏡筒が着脱自在に装着されるデジタル一眼レフカメラにも適用することができる。その場合の重負荷動作としては、上述したストロボ用コンデンサへの充電、連続した撮影(連写)動作のほか、液晶モニタ60に被写体像を表示するライブビュー表示も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態におけるカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態のカメラの形状を示す正面図である。
【図3】実施形態のカメラの形状を示す背面図である。
【図4】電源制御部による電源制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】(a)、(b)は電池の識別表示を示す表示パネルの背面図である。
【符号の説明】
【0043】
1:カメラ、70:発光部、80:電源、81:第1電池、82:第2電池、83:容量検出部、85:温度センサ、90:CPU、91:電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源として、第1電池と、当該第1電池よりも温度低下による電圧変動が少ない第2電池とを装着可能なカメラであって、
カメラ本体の周辺温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出された周囲温度が所定の閾値温度未満であるときは、カメラの電源を前記第1電池から前記第2電池に切り替える制御手段と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラであって、
前記制御手段は、
前記温度検出手段により検出された周囲温度が所定の閾値温度未満であり、且つ所定の重負荷動作を実行する場合のみカメラの電源を前記第1電池から前記第2電池に切り替えること、
を特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラであって、
前記制御手段は、
カメラの電源を前記第1電池から前記第2電池に切り替えた後、前記温度検出手段により検出された周囲温度が所定の閾値温度以上となったときは、カメラの電源を前記第2電池から前記第1電池に切り替えること、
を特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記制御手段は、
予め電源の自動切り替えが設定されていないときには、カメラの電源を前記第1電池から前記第2電池へ切り替えないこと、
を特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のカメラであって、
電池の識別情報を表示可能な表示手段を備え、
前記制御手段は、
カメラの電源を前記第1電池から前記第2電池に切り替えたとき、または前記第2電池から前記第1電池に切り替えたときに、前記表示手段に切り替えた電池の識別情報を表示させること、
を特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記第2電池の使用可能容量を検出する容量検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記容量検出手段により検出された前記第2電池の使用可能容量が所定の閾値未満であるときは、カメラの電源を前記第1電池から前記第2電池へ切り替えないこと、
を特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−38981(P2010−38981A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198679(P2008−198679)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】