説明

カメラ

【課題】ライブビュー撮影において上面液晶パネルを視認する必要のない場合の電力消費を抑えることができるカメラを提供する。
【解決手段】本発明に係わるカメラは、被写体像を撮像する撮像部11と、上面液晶パネル5と、少なくとも撮像部11で撮像された被写体像の画像を表示する、回動自在に構成された背面液晶パネル6と、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する角度検出部19と、この角度検出部19において背面液晶パネル6の表示面の角度が所定の閾値以上であることが検出されたときは上面液晶パネル5への電力供給を停止するCPU20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の液晶表示パネルを備えたカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、背面液晶パネルと上面液晶パネルとを備えたカメラが知られている。このカメラでは、カメラ上部に固定配置された上面液晶パネルに対して、背面液晶パネルが可動自在に取り付けられている。このため、例えば、ライブビュー撮影でカメラをハイアングルにした場合は、背面液晶パネルを手前側に傾け、カメラを頭上に差し上げることにより、ファインダーを覗くことなく撮影を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−18057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記カメラでは、上面液晶パネルにシャッタースピード、絞り値、設定感度などの撮影条件が表示され、背面液晶パネルにはライブビューの画像と上記撮影条件とが表示される。一方、カメラをハイアングルした撮影では、カメラが頭上に位置するため、撮影者は上面液晶パネルに表示された撮影条件を視認することができない。しかし、従来はこのような状況においても上面液晶パネルには撮影条件が表示されたままとなるため、表示のために無駄な電力を消費していた。
【0004】
本発明の課題は、ライブビュー撮影において上面液晶パネルを視認する必要のない場合の電力消費を抑えることができるカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、光学部材(2a)により形成された被写体像を撮像する撮像部(11)と、撮影条件に関する情報の画像を表示する第1表示部(5)と、少なくとも前記撮像部で撮像された被写体像の画像を表示する、回動自在に構成された第2表示部(6)と、前記第1表示部の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する検出手段(19、19A)と、前記検出手段において前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることが検出されたときは前記第1表示部への電力供給を停止する制御手段(20)とを備えることを特徴とするカメラである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカメラであって、前記第1表示部(5)の表示面を照明するバックライト(13)を備え、前記制御手段(20)は、前記検出手段(19、19A)において前記第2表示部(6)の表示面の角度が所定の閾値以上であることが検出されたときは前記第1表示部と前記バックライトへの電力供給を停止することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のカメラであって、前記検出手段(19、19A)は、前記第1表示部(5)の表示面に対する前記第2表示部(6)の表示面の角度が所定の第1閾値以上であること、及び前記第1表示部の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が前記第1閾値よりも角度の大きな第2閾値以上であることを検出するものであり、前記制御手段(20)は、前記検出手段において前記第2表示部の表示面の角度が所定の第1閾値以上であることが検出されたときは前記第1表示部への電力供給を停止し、前記検出手段において前記第2表示部の表示面の角度が所定の第2閾値以上であることが検出されたときは前記第1表示部へ電力供給することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラであって、前記検出手段(19)は、前記第2表示部(6)とともに回動する可動電極(21)と、前記第2表示部の回動角度に応じて前記可動電極と接触する固定電極(22)と、前記可動電極と前記固定電極との接触状態に基づいて、前記第1表示部(5)の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する角度検出回路(25)とを備えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラであって、前記検出手段(19A)は、前記第2表示部(6)の回動に伴い位置が変位する磁界発生部(26)と、前記磁界発生部との距離に応じて変化する磁界の強度に基づいて、前記第1表示部(5)の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する磁界検出部(27)とを備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラであって、ユーザ操作に基づいて、前記所定の閾値を設定する角度設定手段(6、9、14、20)を備えることを特徴とする。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ライブビュー撮影において上面液晶パネルを視認する必要のない場合の電力消費を抑えることができるカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明に係わるカメラの実施形態について説明する。なお、以下の説明で使用する図には、説明と理解とを容易にするために、必要に応じてXYZの直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸Aを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZ方向とする。
【0008】
図1は、本実施形態に係わるカメラの概観図である。本実施形態のカメラシステム10は、カメラ(ボディ)1と、レンズ鏡筒2とからなり、カメラ1にレンズ鏡筒2が着脱自在なレンズ交換式のカメラシステムとして構成されている。
【0009】
カメラ1の上面には、撮影モードなどを選択可能なモードダイアル3、レリーズボタン4、上面液晶パネル5などが配置されている。また、カメラ背面の中央付近には、背面液晶パネル6が配置されている。この背面液晶パネル6は、可動部6aにより回動自在に支持されており、図中の矢印方向に角度調節が可能となっている。したがって、ライブビュー撮影でカメラをハイアングルにした場合は、背面液晶パネル6を手前側に回動させ、カメラを頭上に差し上げることにより、ファインダー7を覗くことなく撮影を行うことが可能となる。なお、背面液晶パネル6を回動させたときの角度については後述する。
【0010】
また、背面液晶パネル6の上部には、撮影者が被写体を光学的に視認するためのファインダー7が配置され、右側には露出モードの設定や撮影条件などを入力するコマンドダイアル8、メニュー項目の移動や設定が可能なセレクタダイアル9が配置されている。なお、本実施形態のカメラ1には、操作部材として、レリーズボタン4やモードダイアル3、セレクタダイアル9以外にも、各種ダイアル、レバー、スイッチなどが配置されているが、これらの図示と説明を省略する。
【0011】
図2は、本実施形態にカメラシステム10の電気的な構成を示すブロック図である。以下、各部について順に説明する。
【0012】
レンズ鏡筒2は、内部に光学部材であるレンズ2aを備えている。レンズ鏡筒2に入射した被写体光はレンズ2aにより屈折され、射出側となる撮像部11の受光面に被写体像が結像される。
【0013】
撮像部11は、平面配置された複数の図示しない固体撮像素子により構成され、レンズ2aにより結像された被写体像を固体撮像素子の受光面で撮像し、画像信号に変換して画像処理部12へ出力する。
【0014】
画像処理部12は、撮像部11から出力された画像信号に対し、ノイズ除去、A/D変換、色補正処理、サイズ変更、符号化などの処理を行い、デジタルの画像データを作成する。この画像データは後述するDRAM16に一時的に記憶される。
【0015】
上面液晶パネル5は、カメラ1の上面に固定的に配置された表示装置であり、本実施形態における第1表示部として機能する。この上面液晶パネル5には、シャッタースピード、絞り値、設定感度などの撮影条件に関する情報が表示される。また、上面液晶パネル5の表示面と反対側となる裏面には、照明用のバックライト13が配置されている。
【0016】
背面液晶パネル6は、カメラ1の背面に回動自在に配置された表示装置であり、本実施形態における第2表示部として機能する。この背面液晶パネル6には、上記撮影条件のほかに、各種設定や登録を行うためのメニュー画面、撮影した画像の静止画、ライブビューの画像を含む動画などが表示される。
【0017】
EEPROM14は、カメラ1の電源がオフしても記憶した情報を保持する不揮発性メモリであり、ユーザ設定やカスタム設定などの入力情報が記憶される。
【0018】
ROM15は、カメラ1の動作や制御に必要なプログラムのほか、このプログラムの実行に必要な初期値や設定値などが記憶される。
【0019】
DRAM16は、カメラ1の電源がオフしたときに記憶した情報が消去される揮発性メモリであり、上述した画像データのほか、画像処理部12、CPU20などが処理を行う際に必要なデータが一時的に記憶される。
【0020】
メモリカードI/F(インターフェース)部17は、DRAM16に記憶されている画像データをメモリカード100に記録し、またメモリカード100に記録されている画像データを読み出す機能を備えた書き込み/読み出し装置である。このメモリカードI/F部17の図示しないメモリカードスロットには、メモリカード100が着脱自在に装着される。
【0021】
電源回路18は、図示しない電源装置から出力された電力を各部の作動状況に応じて供給する回路であり、上面液晶パネル5、背面液晶パネル6、バックライト13に電力を供給している。この電源回路18による電力供給は、CPU20により制御されている。なお、電源回路18は、上面液晶パネル5、背面液晶パネル6、バックライト13の他にも、図示しない回路基板などに電力を供給しているが、ここでは説明を省略する。
【0022】
角度検出部19は、背面液晶パネル6の可動部6a(図1参照)に設けられ、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する検出手段として機能する。詳しくは、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度が所定の第1閾値以上であること、及び上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6表示面の角度が前記第1閾値よりも角度の大きな第2閾値以上であることを検出する検出手段として機能する。この角度検出部19は、後述のCPU20に接続されている。
【0023】
CPU20は、カメラシステム10全体の動作を制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。CPU20には、モードダイアル3、レリーズボタン4、セレクタダイアル9などの操作部材から送信された各種信号やデータなどが入力される。
【0024】
このCPU20では、例えばレリーズボタン4が半押しされると、図示しない焦点検出部で検出された被写体像のデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を演算する。このレンズ駆動量に関する情報をレンズ鏡筒2側のCPUへ送信することにより、レンズ鏡筒2のレンズ内モータによる焦点調節がなされる。または、このレンズ駆動量に基づいて図示しないボディ内モータを駆動することにより、カップリング機構を介して駆動力がレンズ鏡筒2側に伝達されて焦点調節がなされるものであってもよい。
【0025】
また、CPU20は、図示しない測光センサによる被写体像の測光値や、装着されたレンズ鏡筒2のレンズの種類、開放F値、焦点距離などのレンズ情報のほか、ユーザにより設定された撮影モード、図示しない感度設定部から入力された感度情報などに基づいて適正な露出値を演算する。そして、その露出値に応じた絞り値とシャッタースピード値を選択し、図示しない絞りユニットやシャッターユニットへ送信することにより、露出制御が行われる。
【0026】
また、CPU20は、角度検出部19において、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度が所定の閾値以上であることが検出されたときは、上面液晶パネル5への電力供給を停止する制御手段として機能する。詳しくは、角度検出部19において上面液晶パネル5の表示面の角度が所定の第1閾値以上であることが検出されたときは上面液晶パネル5への電力供給を停止し、角度検出部19において上面液晶パネル5の表示面の角度が所定の第2閾値以上であることが検出されたときは上面液晶パネル5へ電力供給するように制御する制御手段として機能するものである。
【0027】
本実施形態において、上記第1閾値は160°であり、第2閾値は201°となる。なお、以下の説明において、「上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度」を、適宜に「背面液晶パネル6の表示面の角度」と省略して記載する。また、通常のカメラシステムとして備えている、測光部、焦点検出部、絞りユニット、シャッターユニット、ミラー駆動部、ファインダー光学系などについては図示を省略する。
【0028】
次に、背面液晶パネル6の角度範囲と角度検出部19の構成について説明する。図3は、上面液晶パネル5と背面液晶パネル6との位置関係を示す側面図である。図3において、上面液晶パネル5と背面液晶パネル6に示す矢印は、各表示面に直角な法線を示している。また、カッコ内の数値は上面液晶パネル5の法線に対し、背面液晶パネル6の法線がとりうる角度を示している。背面液晶パネル6がカメラ1背面の定位置にある場合、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度は90°となる。
【0029】
一般に、ライブビュー撮影でカメラをハイアングルにした場合は、背面液晶パネル6を手前側に傾けて、カメラ1を頭上に差し上げるようにして撮影を行う。このとき、撮影者は背面液晶パネル6を下から仰ぎ見るような姿勢となる。
【0030】
そこで、本実施形態では、図3に示すように、背面液晶パネル6の表示面の角度が160°以上の場合は、上記のようなライブビュー撮影でカメラをハイアングルにしていると考えられるため、上面液晶パネル5への電力供給を停止するようにしている。
【0031】
また、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度を最大で270°としている。本実施形態では、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度が200°以上となった場合には、ライブビュー撮影でカメラをハイアングルにしているのではなく、例えば、撮影者自らがカメラ1の被写体側に回り込んで被写体となるような撮影(自分撮り)が行われていると考えられるため、上面液晶パネル5への電力供給を再開するようにしている。このような自分撮りの場合は、撮影者が上面液晶パネル5に表示された撮影条件を視認することができると考えられるからである。
【0032】
したがって、上面液晶パネル5への電力供給を停止するのは、背面液晶パネル6の表示面の角度が180°±20°(160°〜200°)の範囲であり、それ以外の角度では、上面液晶パネル5へ電力供給が行われることになる。
【0033】
次に、角度検出部19の構成について説明する。図4は、角度検出部19の構成を示す説明図である。本実施形態における角度検出部19は、背面液晶パネル6とともに回動する可動電極21と、背面液晶パネル6の回動角度に応じて可動電極21と接触するように配置された固定電極22と、背面液晶パネル6の回動により可動電極21と固定電極22とが接触しているときにCPU20に角度検出信号を出力する角度検出回路25とから構成されている。
【0034】
図4では、背面液晶パネル6が回動したときのそれぞれの位置における可動電極21を破線で示している。可動電極21には信号線23が接続されており、この信号線23を通じて角度検出回路25と電気的に接続されている。また、信号線23は可動電極21とともに移動自在に配線されている。このため、可動電極21がどの位置に回動しても可動電極21と角度検出回路25との電気的な接続は維持される。一方、固定電極22は信号線24により角度検出回路25と電気的に接続されている。図4では、可動電極21と固定電極22とを可動部6aの内部に配置した例について示しているが、可動電極21と固定電極22は、カメラ1の内部に設けられていてもよい。
【0035】
角度検出回路25は、信号線23、24とつながる閉回路に一定電圧の検出信号を供給している。これにより、可動電極21と固定電極22とが接触しているときは、角度検出回路25において検出信号を検出することができる。一方、可動電極21と固定電極22とが接触していないときは、角度検出回路25において検出信号を検出することができない。そして、角度検出回路25では、検出信号を検出したときにはCPU20に角度検出信号を送信し、また検出信号を検出できないときにはCPU20へ角度検出信号を送信しないようにしている。
【0036】
図4において、固定電極22は、背面液晶パネル6の表示面の角度が180°±20°(160°〜200°)の範囲にあるときに可動電極21と接触するように略三日月形に形成されている。また、固定電極22を複数の小電極に分割し、その小電極毎に角度検出回路25との接続/非接続を切り替えることにより、角度検出信号を出力する範囲の設定を任意に変更することができる。なお、上面液晶パネル5への電力供給を、背面液晶パネル6の表示面のどの角度で停止するかの設定については後述する。
【0037】
したがって、CPU20では、角度検出回路25から角度検出信号を受信したときは、背面液晶パネル6の表示面の角度が180°±20°(160°〜200°)の範囲にあり、また角度検出信号を受信しないときは、背面液晶パネル6の表示面の角度が、それ以外の角度にあると判断することができる。
【0038】
次に、角度検出部19の他の実施形態について説明する。図5(a)は他の実施形態における角度検出部19Aの構成を示す説明図、(b)は背面液晶パネル6の角度と磁界強度との関係を示す特性図である。なお、図5(b)に示す特性図は、背面液晶パネル6の角度と磁界強度との関係を理解し易くするために概念的に示したものであり、実際の特性曲線の形状を示したものではない。
【0039】
図5(a)に示すように、他の実施形態における角度検出部19Aは、背面液晶パネル6側に設けられ、背面液晶パネル6の回動に伴い位置が変位する磁石などの磁界発生部26と、カメラ1側に設けられ、磁界発生部26との距離に応じて変化する磁界の強度を検出するMRセンサなどの磁界検出部27とから構成されている。このうち、磁界検出部27は、CPU20と電気的に接続されている。
【0040】
磁界検出部27は、磁界発生部26との距離に応じて変化する磁界の強度に基づいて、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する。詳しくは、検出された磁界の強度が所定の強度範囲内にあるときは、背面液晶パネル6の表示面の角度が所定の閾値以上であることを示す角度検出信号をCPU20に送信し、それ以外の強度であれば角度検出信号を送信しないようにしている。
【0041】
ここで、背面液晶パネル6の角度と磁界強度との関係について説明する。図5(b)に示すように、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度と、磁界検出部27で検出される磁界強度とは反比例の関係にある。すなわち、背面液晶パネル6の表示面の角度が大きくなるほど、磁界検出部27で検出される磁界強度は小さくなり、背面液晶パネル6の表示面の角度が小さくなるほど、磁界検出部27で検出される磁界強度は大きくなる。
【0042】
そこで、あらかじめ背面液晶パネル6の表示面の角度を180°±20°(160°〜200°)に設定し、それぞれの角度において、磁界検出部27で検出される磁界強度X1,X2をそれぞれ計測しておく。そして、磁界検出部27において磁界強度X1〜X2の磁界強度を検出したときにはCPU20に角度検出信号を送信し、それ以外の磁界強度であればCPU20に角度検出信号を送信しないように、検出した磁界強度Xと角度検出信号とを対応付けて記憶しておく。これにより、背面液晶パネル6の表示面の角度に応じた角度検出信号を送信することができる。
【0043】
この例においても、検出した磁界強度と角度検出信号との対応関係を変更することにより、角度検出信号を出力する範囲の設定を任意に変更することができる。例えば、背面液晶パネル6の表示面の角度が180°以上となったときに角度検出信号を送信させるには、背面液晶パネル6の表示面の角度が90°〜179°の範囲における磁界強度を検出したときに角度検出信号を送信しないように設定を変更すればよい。また、背面液晶パネル6の表示面の角度が180°以上となったときに角度検出信号を送信し、さらに背面液晶パネル6の表示面の角度が220°以上となったときに、再び角度検出信号を送信しないようにするには、背面液晶パネル6の表示面の角度が220°以上となったときの磁界強度を検出したときに角度検出信号を送信しないように設定を変更すればよい。
【0044】
したがって、CPU20では、磁界検出部27から角度検出信号を受信したときは、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度が180°±20°(160°〜200°)の範囲にあり、また角度検出信号を受信しないときは、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度が、それ以外の角度にあると判断することができる。
【0045】
次に、上記のように構成されたカメラ1において、ライブビュー撮影時における画像の撮影から記録までのCPU120による一連の処理手順を図6、図7のフローチャートを参照しながら説明する。このフローチャートの動作は、ユーザがライブビュー撮影(ここでは手持ち撮影)を設定する操作を行った後、図示しないレリーズボタンを全押しすることでスタートする。
【0046】
ステップS101において、CPU20は、図示しないミラー駆動部を制御して、メインミラーとサブミラーを上方に跳ね上げて光路上から退避させる(ミラーアップ)。
【0047】
ステップS102において、CPU20は、図示しないシャッターユニットを制御して、シャッターを開放させる。
【0048】
ステップS103において、CPU20は、撮像部11で撮像された画像を背面液晶パネル6に表示する(ライブビュー開始)。
【0049】
ステップS104において、CPU20は、ライブビューが終了したかどうかを判断する。ライブビューを終了するには、他モードへの切り換え、又は特定ボタンを押すなどの操作を行う。このステップS104の判断でYESであれば、ステップS105において、CPU20は、図示しないミラー駆動部を制御して、上方に跳ね上げていたメインミラーとサブミラーを元の位置に戻して光路上に復帰させる(ミラーダウン)。そして、本ルーチンの処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS104の判断でNOであれば、ステップS106へ進み、CPU20は、撮像部11で取得した画像データに基づいて測光と焦点調節を行う。なお、通常撮影中は位相差AFにより焦点調節が行われるが、ライブビュー中はコントラストAFにより焦点調節行われる。なお、ライブビューの開始後、例えばレリーズボタンが半押しされている間はライブビューを一時中断して、通常のオートフォーカスによる測光と焦点調節を行うようにしてもよい。
【0051】
ステップS107において、CPU20は、サブルーチンの表示処理を実行する。ここで、ステップS107の表示処理を図7のフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、図4に示す角度検出部19からの角度検出信号に基づいて表示処理を行う例について説明するが、図5に示す角度検出部19Aからの角度検出信号に基づいて表示処理を行うようにしてもよい。
【0052】
ステップS201において、CPU20は、角度検出回路25から角度検出信号を受信したかどうかを判断する。このステップS201の判断でYESであれば、ステップS202において、CPU20は、上面液晶パネル5への電力供給を停止するように電源回路18を制御して、図6のメインルーチンへリターンする。
【0053】
なお、ステップS202において、上面液晶パネル5への電力供給を停止するだけでなく、この上面液晶パネル5を照明するバックライト13への電力供給を同時に停止するようにしてもよい。
【0054】
このように、CPU20が角度検出信号を受信するのは、背面液晶パネル6の表示面の角度が160°以上となった場合である。この場合は、撮影者がライブビュー撮影でカメラをハイアングルにしていると考えられるため、上面液晶パネル5への電力供給を停止する。これにより、上面液晶パネル5は消灯することになる。
一方、ステップS201でNOであれば、ステップS203へ進み、CPU20は、上面液晶パネル5への電力供給を再開して、図6のメインルーチンへリターンする。
【0055】
このように、CPU20が角度検出信号を受信しなくなるのは、背面液晶パネル6の表示面の角度が160°未満又は200°以上となった場合である。例えば、背面液晶パネル6の表示面の角度が160°未満となった場合は、撮影者が背面液晶パネル6を定位置に戻そうとしていると考えられ、また背面液晶パネル6の表示面の角度が200°以上となった場合は、撮影者が自分撮りをしているものと考えられる。このため、いずれの場合も上面液晶パネル5への電力供給を再開する。これにより上面液晶パネル5は再び点灯することになる。
【0056】
上述した図7の表示処理が終了すると、図6のステップS108において、CPU20は、図示しないレリーズボタンが全押しされたかどうかを判断する。このステップS108の判断でNOであれば、ステップS104へリターンする。したがって、ライブビュー中にレリーズボタンの全押しによる撮影が行わなければ、ステップS106,ステップS107の処理が繰り返し実行されることになる。
【0057】
ステップS108の判断でYESであれば、ステップS109において、CPU20は撮像処理を実行する。ここでは、上方に跳ね上げていたメインミラーとサブミラーをミラーダウンして、通常のオートフォーカスによる測光と焦点調節を行った後、撮像部11により撮像を行う。そして、得られた画像信号を画像処理部12で画像データとして生成し、DRAM16に一時的に記憶する。次に、ステップS110において、CPU20は、DRAM16に記憶していた画像データを、メモリカードI/F部17を介してメモリカード100へ記録する。その後は、ステップS104へリターンする。したがって、ライブビューが終了するまでは、ステップS106〜ステップS110の処理が繰り返し実行されることになる。
【0058】
次に、上面液晶パネル5への電力供給を停止する、背面液晶パネル6の角度範囲の設定について説明する。
【0059】
図8は、上面液晶パネル消灯設定のためのメニュー画面31を示す説明図である。このメニュー画面31は背面液晶パネル6に表示されるものであり、背面液晶パネル6の角度範囲を設定するために、角度範囲の上限値を入力する第1設定エリア32と、下限値を入力する第2設定エリア33とが表示されている。本実施形態において、背面液晶パネル6、カメラ1背面のセレクタダイアル9、EEPROM14、及びCPU20は、ユーザ操作により入力された、上面液晶パネル5の表示面に対する背面液晶パネル6の表示面の角度に基づいて、所定の閾値を設定する角度設定手段として機能する。
【0060】
例えば、第1設定エリア32に角度を入力する場合は、カメラ1背面のセレクタダイアル9の上向き又は下向きの三角マークを所定回数押すことにより、数値を上昇又は下降させることができる。そして、所望の数値を入力した時点でセレクタダイアル9の中央(OK)を押すことにより、入力した数値を設定することができる。このメニュー画面31を介して設定された値は、CPU20によってEEPROM14に記憶される。そして、再び角度範囲の設定がなされるまで、EEPROM14に記憶された数値に基づいて、角度検出部19から角度検出信号が送信されることになる。
【0061】
上記実施形態によると、以下の効果を奏する。
(1)背面液晶パネル6の表示面の角度が第1閾値以上のときは、上面液晶パネル5への電力供給を停止するようにしたので、ライブビュー撮影でカメラをハイアングルにした場合に、撮影者が視認することのない上面液晶パネル5での無駄な電力消費を抑えることができる。
(2)上面液晶パネル5だけでなく、バックライト13への電力供給も停止することにより、更に電力消費を抑えることができる。
(3)背面液晶パネル6の表示面の角度が第1閾値よりも角度の大きな第2閾値以上のときは、上面液晶パネル5への電力供給を再開するようにしたので、撮影者が自分撮りをしている場合において、撮影者は上面液晶パネル5に表示された撮影条件を視認することができる。
(4)角度検出部19(図4)は、可動電極21と固定電極22との接触/非接触により角度検出信号を出力する構成であるため、背面液晶パネル6の表示面の角度を正確に検出することができる。また、固定電極22を複数の小電極に分割し、その小電極毎に角度検出回路25との接続/非接続を切り替える構成とすることにより、角度検出信号を出力する範囲の設定を任意に変更することができる。
(5)角度検出部19A(図5)は、磁界発生部26と磁界検出部27との距離に応じて角度検出信号を出力する構成であるため、機械的な可動部分が不要となり、構成を簡素化するこができる。また、磁界発生部26や磁界検出部27の設置が容易であるため、外観設計の自由度を高めることができる。
(6)上面液晶パネル5への電力供給を停止する、背面液晶パネル6の角度範囲をユーザ設定できるようにしたので、ユーザは撮影条件などに応じて、所望の角度で上面液晶パネル5を消灯させることができる。
[変形形態]
【0062】
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)角度検出部19は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、同等に機能し得るものであれば、他の構成により実現することができる。例えば、回転角度を検出するロータリーエンコーダを可動部6aに設け、このロータリーエンコーダで検出された角度検出信号に基づいてCPU20が背面液晶パネル6の表示面の角度を判断するようにしてもよい。
(2)上面液晶パネル5と背面液晶パネル6との位置関係は図1に示す例に限らず、例えば、図9に示すような位置関係であってもよい。図9は、上面液晶パネル5を背面液晶パネル6と同じ背面の上部に配置した例を示している。このような配置においても、ライブビュー撮影でカメラをハイアングルにした場合に、背面液晶パネル6の表示面の角度が第1閾値(例えば、160°)以上になると、撮影者は上面液晶パネル5を視認することができない状況となる。したがって、背面液晶パネル6の表示面の角度が第1閾値上となったときに、上面液晶パネル5への電力供給を停止することにより、撮影者が視認することのない上面液晶パネル5での無駄な電力消費を抑えることができる。
(3)上記実施形態では、第1、第2表示部を液晶パネルで構成した例について示したが、表示部は有機ELディスプレイやプラズマディスプレイであってもよい。
(4)上記実施形態では、本発明をレンズ交換式のカメラシステムに適用した場合について説明したが、2つの表示部を備え、そのうちの一方が回動自在に構成されたものであれば、他のカメラシステムにも適用することができる。例えば、高倍率ズームレンズがカメラボディに一体に設けられたカメラにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態に係わるカメラの概観図である。
【図2】実施形態にカメラシステムの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】上面液晶パネルと背面液晶パネルとの位置関係を示す側面図である。
【図4】角度検出部の構成を示す説明図である。
【図5】(a)は他の実施形態における角度検出部の構成を示す説明図、(b)は背面液晶パネルの角度と磁界強度との関係を示す特性図である。
【図6】ライブビュー撮影時における画像の撮影から記録までの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図6の表示処理における処理手順を示すフローチャートである。
【図8】上面液晶パネル消灯設定のためのメニュー画面を示す説明図である。
【図9】上面液晶パネルを背面液晶パネルと同じ背面の上部に配置した例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0064】
1:カメラ、2:レンズ鏡筒、5:上面液晶パネル、6:背面液晶パネル、6a:可動部、10:カメラシステム、13:バックライト、18:電源回路、19(19A):角度検出部、20:CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材により形成された被写体像を撮像する撮像部と、
撮影条件に関する情報の画像を表示する第1表示部と、
少なくとも前記撮像部で撮像された被写体像の画像を表示する、回動自在に構成された第2表示部と、
前記第1表示部の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する検出手段と、
前記検出手段において前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることが検出されたときは前記第1表示部への電力供給を停止する制御手段と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラであって、
前記第1表示部の表示面を照明するバックライトを備え、
前記制御手段は、
前記検出手段において前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることが検出されたときは前記第1表示部と前記バックライトへの電力供給を停止すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカメラであって、
前記検出手段は、
前記第1表示部の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が所定の第1閾値以上であること、及び前記第1表示部の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が前記第1閾値よりも角度の大きな第2閾値以上であることを検出するものであり、
前記制御手段は、
前記検出手段において前記第2表示部の表示面の角度が所定の第1閾値以上であることが検出されたときは前記第1表示部への電力供給を停止し、前記検出手段において前記第2表示部の表示面の角度が所定の第2閾値以上であることが検出されたときは前記第1表示部へ電力供給すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記検出手段は、
前記第2表示部とともに回動する可動電極と、
前記第2表示部の回動角度に応じて前記可動電極と接触する固定電極と、
前記可動電極と前記固定電極との接触状態に基づいて、前記第1表示部の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する角度検出回路と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記検出手段は、
前記第2表示部の回動に伴い位置が変位する磁界発生部と、
前記磁界発生部との距離に応じて変化する磁界の強度に基づいて、前記第1表示部の表示面に対する前記第2表示部の表示面の角度が所定の閾値以上であることを検出する磁界検出部と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のカメラであって、
ユーザ操作に基づいて、前記所定の閾値を設定する角度設定手段を備えること、
を特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−98466(P2010−98466A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266681(P2008−266681)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】