説明

カラオケマイクシステム

【課題】 カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性タイプを複数の中から選択可能とし、任意の周波数特性タイプが選択されると、当該周波数特性タイプに割り当てられているトーン周波数にて、カラオケマイクからマイクレシーバに対してトーン信号を送信可能とする。
【解決手段】 所定の条件に基づき、複数の周波数特性タイプの中から一の周波数特性タイプを特定する周波数特性タイプ特定手段101と、特定された周波数特性タイプに割り当てられているトーン周波数チャンネルをカラオケマイク23に設定する第1のトーン周波数チャンネル設定手段102と、カラオケマイク23に設定したものと同一のトーン周波数チャンネルをマイクレシーバ24に設定する第2のトーン周波数チャンネル設定手段106と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性に予め割り当てられているトーン周波数チャンネルにて、カラオケマイクからマイクレシーバに対してトーン信号を送信することが可能なカラオケマイクシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラオケ演奏装置を用いてカラオケを歌唱する際に、カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性に応じて、歌唱の印象や、演奏とミキシングした場合の雰囲気が異なることが知られている。カラオケマイクには、メーカー別やタイプ別に固有の周波数特性があり、それぞれ低音域から高音域の間における感度が異なっている。このような周波数特性に応じて、利用者に対して快適な音響空間を提供するための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)
【0003】
また、カラオケシステムでは、ワイヤレスマイクの混信を防止することを目的として、特定の搬送波周波数帯域に対応したカラオケマイクからの歌唱音声のみを選択的に抽出したり、あるいは雑音を遮断することを目的として、トーンスケルチ機構が設けられたりしている。
【0004】
トーンスケルチ機構とは、カラオケマイクに入力された歌唱音声の変調信号に対して、予め連続した単一周波数のAF信号(トーン)を重畳して送信し、マイクレシーバ側において、復調器の出力からバンドパスフィルタによりトーン信号を選択的に取り出し、トーン信号が受信されない場合は、復調器からスピーカに至る区間のどこかを半導体スイッチやリレーで遮断したり、AFアンプの電源を遮断したりすることで無音状態にするものである(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−224816号公報
【特許文献2】特開2004−128566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、トーン信号の周波数帯域は、カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性に対応する歌唱音声の音域とは異なる周波数帯域に設定されているが、歌唱音声の変調信号に対してトーン信号を重畳した場合には、このトーン信号が歌唱音声の再生に影響を与えるおそれがある。このため、歌唱音声の変調信号に対してトーン信号を重畳する場合には、使用するカラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性に適した周波数帯域のトーン信号を使用する必要があるが、現在、このような技術は開発されていない。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性タイプを複数の中から選択可能とし、任意の周波数特性タイプが選択されると、当該周波数特性タイプに割り当てられているトーン周波数にて、カラオケマイクからマイクレシーバに対してトーン信号を送信することが可能なカラオケマイクシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカラオケマイクシステムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のカラオケマイクシステムは、カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性タイプを複数の中から選択可能とし、任意の周波数特性タイプが選択されると、当該周波数特性タイプに割り当てられているトーン周波数にて、カラオケマイクからマイクレシーバに対してトーン信号を送信するカラオケマイクシステムであって、周波数特性タイプ特定手段と、カラオケマイクに対してトーン周波数チャンネルを設定する第1のトーン周波数チャンネル設定手段と、マイクレシーバに対してトーン周波数チャンネルを設定する第2のトーン周波数チャンネル設定手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、周波数特性タイプ特定手段は、所定の条件に基づき、複数の周波数特性タイプの中から一の周波数特性タイプを特定するための手段である。第1のトーン周波数チャンネル設定手段は、複数の周波数特性タイプ毎に割り当てられた異なるトーン周波数に対応するトーン周波数チャンネルを管理してなるトーン周波数チャンネル管理テーブルを参照して、特定された周波数特性タイプに基づき、カラオケマイクからマイクレシーバに対してトーン信号を送信するためのトーン周波数チャンネルを、カラオケマイクに設定するための手段である。第2のトーン周波数チャンネル設定手段は、第1のトーン周波数チャンネル設定手段により設定されたトーン周波数チャンネルと同一のトーン周波数チャンネルを、マイクレシーバに設定するための手段である。
【0010】
このような構成からなるカラオケマイクシステムでは、カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性タイプを複数の中から選択可能となっている。そして、周波数特性タイプ特定手段の機能により、利用者の好みや、楽曲毎あるいは楽曲のジャンル毎に適した周波数特性タイプが特定される。特定可能な周波数特性タイプは、例えば、低音域及び高音域を強調した周波数特性、高音域のみを強調した周波数特性、低音域から高音域に至るまでフラットな周波数特性等である。
【0011】
周波数特性とトーン周波数チャンネルとの関係は、トーン周波数チャンネル管理テーブルにて管理されている。そして、第1のトーン周波数チャンネル設定手段の機能により、トーン周波数チャンネル管理テーブルを参照して、特定された周波数特性タイプに対応するトーン周波数チャンネルを把握し、このトーン周波数チャンネルをカラオケマイクに設定する。なお、トーン信号とは、トーンスケルチ機能を発揮するために、歌唱音声の変調信号に対して重畳される信号のことである。
【0012】
また、第2のトーン周波数チャンネル設定手段の機能により、マイクレシーバで使用するトーン周波数チャンネルとして、カラオケマイクに設定されたトーン周波数チャンネルと同一のトーン周波数チャンネルを設定する。
【0013】
また、上述した構成に加えて、周波数特性タイプ選択手段をさらに備えることが可能である。ここで、周波数特性タイプ選択手段は、周波数特性タイプを複数記憶した周波数特性管理テーブル、及び利用者毎に設定された利用者IDと当該利用者が所望する周波数特性タイプとを紐付けして構成された利用者別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、現にシステムログインしている利用者の利用者IDに対応する周波数特性タイプを選択する手段として構成することが可能である。
【0014】
また、周波数特性タイプ選択手段は、周波数特性タイプを複数記憶した周波数特性管理テーブル、及びカラオケ楽曲毎に設定された楽曲IDと当該カラオケ楽曲に割り当てられた周波数特性タイプとを紐付けして構成された楽曲別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、演奏されるカラオケ楽曲の楽曲IDに対応する周波数特性タイプを選択するための手段として構成することが可能である。
【0015】
さらに、周波数特性タイプ選択手段は、周波数特性タイプを複数記憶した周波数特性管理テーブル、及びカラオケ楽曲のジャンルを示す楽曲ジャンルIDと当該楽曲ジャンルに割り当てられた周波数特性タイプとを紐付けして構成されたジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、演奏されるカラオケ楽曲の楽曲ジャンルIDに対応する周波数特性タイプを選択するための手段として構成することが可能である。
【0016】
周波数特性タイプ特定手段をさらに備えた場合には、周波数特性選択手段は、周波数特性タイプ特定手段により特定された周波数特性に基づいて、周波数特性が選択される。
【0017】
このような構成からなるカラオケマイクシステムでは、周波数特性タイプ選択手段の機能により、利用者の所望に応じて設定されている周波数特性、カラオケ楽曲毎に適したものとして設定されている周波数特性、楽曲ジャンル毎に適したものとして設定されている周波数特性が選択される。そして、周波数特性タイプ特定手段により、選択された周波数特性タイプを、カラオケマイクで使用する周波数特性タイプとして特定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカラオケマイクシステムでは、カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性を複数の中から選択可能となっている。そして、任意の周波数特性が選択された場合に、当該周波数特性に適したものとして割り当てられたトーン周波数チャンネルを用いて、カラオケマイクからマイクレシーバに対してトーン信号を送信する。このため、いかなる周波数特性に基づく歌唱音声の変調信号であっても、トーン信号が歌唱音声の再生に影響を与えることがなく、カラオケの歌唱を快適に楽しむことが可能となる。
【0019】
さらに、本発明のカラオケマイクシステムでは、利用者の好みや、楽曲毎あるいは楽曲のジャンル毎に適した周波数特性タイプを、利用者の手を煩わすことなく自動的に選択・設定することができるので、さらに一層、カラオケの歌唱を快適に楽しむことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るカラオケマイクシステムを適用したカラオケ演奏装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るカラオケマイクシステムの概略構成を示すブロック図。
【図3】利用者別周波数特性タイプ管理テーブルの構成を示す説明図。
【図4】楽曲別周波数特性タイプ管理テーブルの構成を示す説明図。
【図5】ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<カラオケマイクシステム>
以下、図面を参照して、本発明のカラオケマイクシステムの実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係るカラオケマイクシステムを適用したカラオケ演奏装置の構成を示すブロック図、図2は本発明の実施形態に係るカラオケマイクシステムの概略構成を示すブロック図である。また、図3〜図5は周波数特性タイプ管理テーブルの構成を示す説明図であり、図3は利用者別周波数特性タイプ管理テーブルの構成、図4は楽曲別周波数特性タイプ管理テーブルの構成、図5はジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルの構成をそれぞれ示している。
【0022】
本発明の実施形態に係るカラオケマイクシステム100は、図2に示すように、カラオケマイク23、マイクレシーバ24、カラオケ本体21により構成されるシステムであって、主要な構成要素として、周波数特性タイプ特定手段101、第1のトーン周波数チャンネル設定手段102、トーン周波数チャンネル管理テーブル103、第2のトーン周波数チャンネル設定手段106を備えている。また、これらの主要な構成要素に加えて、周波数特性タイプ選択手段107、周波数特性管理テーブル108、周波数特性タイプ管理テーブル109を備えた構成とすることができる。なお、周波数特性タイプ管理テーブル109は、利用者別周波数特性タイプ管理テーブル、楽曲別周波数特性タイプ管理テーブル、ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブル等からなる。さらに、本実施形態では、付随的な構成要素として、周波数チャンネル識別信号送信手段104、周波数チャンネル識別信号受信手段105、周波数特性タイプ識別信号送信手段110、周波数特性タイプ識別信号受信手段111を備えている。
【0023】
これらの手段及びテーブルは、カラオケマイク23、マイクレシーバ24、カラオケ本体21に組み込まれていてもよいし、これらの装置とは別の装置として構成してもよい。なお、これらの手段及びテーブルは、CPU、ROM、RAM等の機能を有するコンピュータシステムにより構成されるもので、例えば、ROMとして機能する部分に記憶されたプログラムに従ってCPUとして機能する部分が動作することにより、各手段の機能が発揮される。また、各テーブルは、ROMとして機能する部分やHDD等の記憶手段に記憶することができる。
【0024】
<周波数特性タイプ特定手段>
周波数特性タイプ特定手段101は、所定の条件に基づき、複数の周波数特性タイプの中から一の周波数特性タイプを特定するためのプログラムからなる。なお、周波数特性タイプ特定手段101における周波数特性の特定は、カラオケ店員やサービス要員の設定や、利用者の設定に基づいて行ってもよいし、後に詳述するように、周波数特性タイプ選択手段107による周波数特性タイプの選択に基づいて行ってもよい。特定される周波数特性は、例えば、低音域及び高音域を強調した周波数特性、高音域のみを強調した周波数特性、低音域から高音域に至るまでフラットな周波数特性等である。この周波数特性タイプ特定手段101により特定された周波数特性タイプは、第1のトーン周波数チャンネル設定手段102及び第2のトーン周波数チャンネル設定手段106におけるトーン周波数チャンネルの設定に反映される。
【0025】
<第1のトーン周波数チャンネル設定手段>
第1のトーン周波数チャンネル設定手段102は、複数の周波数特性タイプ毎に割り当てられた異なるトーン周波数に対応するトーン周波数チャンネルを管理してなるトーン周波数チャンネル管理テーブル103を参照して、周波数特性タイプ特定手段101により特定された周波数特性タイプに基づき、カラオケマイク23からマイクレシーバ24に対してトーン信号を送信するためのトーン周波数チャンネルを、カラオケマイク23に設定するためのプログラムからなる。すなわち、本実施形態のカラオケマイクシステム100では、カラオケマイク23における入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性タイプを複数の中から選択可能となっており、周波数特性タイプ特定手段101の機能により、利用者の好みや、楽曲毎あるいは楽曲のジャンル毎に適した周波数特性タイプが特定されると、特定された周波数特性タイプに対応したトーン周波数チャンネルが、カラオケマイク23及びマイクレシーバ24に設定される。本実施形態における第1のトーン周波数チャンネル設定手段102は、カラオケマイク23に内蔵された機能であり、この第1のトーン周波数チャンネル設定手段102の機能により、カラオケマイク23に対してトーン周波数チャンネルが設定される。
【0026】
<トーン周波数チャンネル管理テーブル>
トーン周波数チャンネル管理テーブル103は、図2に示すように、周波数特性のタイプ種別と、トーン信号の送受信に用いるトーン周波数チャンネルとを紐付けして構成したテーブルである。本実施形態では、タイプA、タイプB、タイプCという周波数特性のタイプ種別に対して、それぞれトーン周波数チャンネル「1」、トーン周波数チャンネル「2」、トーン周波数チャンネル「3」が、適応するトーン周波数チャンネルとして設定されている。トーン周波数チャンネルは、使用するカラオケマイク23や、選択する周波数特性に応じて適宜設定されるが、例えば、806.125〜809.750MHzの発信周波数を設定可能なUHFワイヤレスマイクロホンの場合には、30〜40KHzの周波数の中から適切なトーン周波数チャンネルが設定される。トーン周波数チャンネル管理テーブル103は、例えば、カラオケマイク23に内蔵されたROM(図示せず)に記憶されている。
【0027】
<第2のトーン周波数チャンネル設定手段>
第2のトーン周波数チャンネル設定手段106は、第1のトーン周波数チャンネル設定手段102により設定されたトーン周波数チャンネルと同一のトーン周波数チャンネルを、マイクレシーバ24に設定するためのプログラムからなる。本実施形態における第2のトーン周波数チャンネル設定手段106は、マイクレシーバ24に内蔵された機能であり、この第2のトーン周波数チャンネル設定手段106の機能により、マイクレシーバ24に対して、第1の周波数チャンネルで設定されたトーン周波数チャンネルと同一のトーン周波数チャンネルが設定される。これにより、カラオケマイク23とマイクレシーバ24との間で、同一のトーン周波数チャンネルを用いて、トーン信号の送受信を行うことができる。
【0028】
<周波数チャンネル識別信号送信手段/周波数チャンネル識別信号受信手段>
周波数チャンネル識別信号送信手段104は、第1のトーン周波数チャンネル設定手段102により設定されたトーン周波数チャンネルを、第2のトーン周波数チャンネル設定手段106に認識させるための識別信号を送信するためのプログラム及び機器からなる。一方、周波数チャンネル識別信号受信手段105は、周波数チャンネル識別信号送信手段104から送信されてくる識別信号を受信するためのプログラム及び機器からなる。両者の間における通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。本実施形態では、周波数チャンネル識別信号送信手段104は、カラオケマイク23に内蔵した機能とされており、周波数チャンネル識別信号受信手段105は、マイクレシーバ24に内蔵した機能とされている。
【0029】
<周波数特性タイプ選択手段>
周波数特性タイプ選択手段107は、周波数特性管理テーブル108と周波数特性タイプ管理テーブル109とを参照して、所定の周波数特性を選択するためのプログラムである。本実施形態では、周波数特性タイプ管理テーブル109として、利用者別周波数特性タイプ管理テーブル、楽曲別周波数特性タイプ管理テーブル、ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルのうちの少なくとも1つを備えている。ここで、2つ以上の周波数特性タイプ管理テーブル109を備えており、特定すべき周波数特性タイプが競合する場合には、いずれの周波数特性タイプ管理テーブル109を優先するかが予め設定されている。
【0030】
周波数特性タイプ選択手段107を備えた場合には、選択された周波数特性タイプを周波数特性タイプ特定手段101に認識させるために、周波数特性タイプ識別信号の送受信を行うための周波数特性タイプ識別信号送信手段110及び周波数特性タイプ識別信号受信手段111を備えた構成とする。
【0031】
<周波数特性管理テーブル>
周波数特性管理テーブル108は、図2に示すように、周波数特性の態様と、そのタイプ種別とを紐付けして構成したテーブルであり、例えば、カラオケ本体21のHDD34に格納されている(図1参照)。本実施形態では、低音域及び高音域の双方を強調したAタイプと、高音域のみを強調したBタイプと、低音域から高音域にわたってフラットなCタイプとが、特定可能な周波数特性として設定されている。
【0032】
<周波数特性タイプ識別信号送信手段/周波数特性タイプ識別信号受信手段>
周波数特性タイプ識別信号送信手段110は、周波数特性タイプ選択手段107により選択された周波数特定タイプを周波数特性タイプ特定手段101に認識させるための識別信号を送信するためのプログラム及び機器からなる。一方、周波数特性タイプ識別信号受信手段111は、周波数特性タイプ識別信号送信手段110から送信されてくる識別信号を受信するためのプログラム及び機器からなる。両者の間における通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。本実施形態では、周波数特性タイプ識別信号送信手段110は、カラオケ本体21に内蔵した機能とされており、周波数特性タイプ識別信号受信手段111は、カラオケマイク23に内蔵した機能とされている。
【0033】
<利用者別周波数特性タイプ管理テーブル>
利用者別周波数特性タイプ管理テーブルは、図3に示すように、システムログインした利用者IDと、当該利用者IDを有する利用者により選択された周波数特性タイプとを紐付けして構成したテーブルである。
【0034】
周波数特性タイプ管理テーブル109として、利用者別周波数特性タイプ管理テーブルを備えている場合に、周波数特性タイプ選択手段107は、利用者毎に設定された利用者IDと当該利用者が所望する周波数特性とを紐付けして構成した利用者別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、システムログインした利用者の利用者IDに対応する周波数特性を選択する。図3に示す例では、利用者ID「****13」の利用者が歌唱する場合にはタイプAが選択され、利用者ID「****17」の利用者が歌唱する場合にはタイプBが選択され、利用者ID「****23」の利用者が歌唱する場合にはタイプCが選択される。
【0035】
この場合、全利用者の利用者IDと周波数特性タイプとの関係を、カラオケ本体21のHDD34や、カラオケ演奏装置10とネットワーク接続されたホスト装置(図示せず)の記憶領域に記憶しておき、システムログインした利用者について、利用者別周波数特性タイプ管理テーブルを作成する構成としてもよい。利用者別周波数特性タイプ管理テーブル(周波数特性タイプ管理テーブル109)は、例えば、カラオケ本体21のHDD34に記憶されている(図1参照)。
【0036】
<楽曲別周波数特性タイプ管理テーブル>
楽曲別周波数特性タイプ管理テーブルは、図4に示すように、カラオケ楽曲の楽曲IDと、当該楽曲IDを有するカラオケ楽曲に最適な周波数特性タイプとを紐付けして構成したテーブルである。
【0037】
周波数特性タイプ管理テーブル109として、楽曲別周波数特性タイプ管理テーブルを備えている場合には、周波数特性タイプ選択手段107は、カラオケ楽曲毎に設定された楽曲IDと当該カラオケ楽曲に適した周波数特性とを紐付けして構成された楽曲別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、演奏されるカラオケ楽曲の楽曲IDに対応する周波数特性を選択する。図4に示す例では、楽曲ID「****a」のカラオケ楽曲が選曲された場合にはタイプAが選択され、楽曲ID「****b」のカラオケ楽曲が選曲された場合にはタイプBが選択され、楽曲ID「****c」のカラオケ楽曲が選曲された場合にはタイプCが選択される。
【0038】
この場合、全カラオケ楽曲の楽曲IDと周波数特性タイプとの関係を、カラオケ本体21のHDD34や、カラオケ演奏装置10とネットワーク接続されたホスト装置(図示せず)の記憶領域に記憶しておき、選曲されたカラオケ楽曲について、楽曲別周波数特性タイプ管理テーブルを作成する構成としてもよい。楽曲別周波数特性タイプ管理テーブル(周波数特性タイプ管理テーブル109)は、例えば、カラオケ本体21のHDD34に記憶されている(図1参照)。
【0039】
<ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブル>
ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルは、図5に示すように、カラオケ楽曲の楽曲ID、カラオケ楽曲のジャンルID、当該ジャンルに属するカラオケ楽曲に最適な周波数特性タイプを紐付けして構成したテーブルである。なお、ジャンルとは、JPOP、演歌、アニメソング、韓国語の楽曲、中国語の楽曲等のように、カラオケ楽曲を所定の基準に従って分類したものである。
【0040】
周波数特性タイプ管理テーブル109として、ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルを備えている場合には、周波数特性タイプ選択手段107は、カラオケ楽曲のジャンルを示す楽曲ジャンルIDと当該楽曲ジャンルに適した周波数特性とを紐付けして構成されたジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、演奏されるカラオケ楽曲の楽曲ジャンルIDに対応する周波数特性を選択する。図5に示す例では、JPOPのジャンルに属するカラオケ楽曲が選曲された場合にはタイプAが選択され、演歌のジャンルに属するカラオケ楽曲が選曲された場合にはタイプBが選択され、アニメソングのジャンルに属するカラオケ楽曲が選曲された場合にはタイプCが選択される。
【0041】
この場合、カラオケ楽曲のジャンルIDと周波数特性タイプとの関係を、カラオケ本体21のHDD34や、カラオケ演奏装置10とネットワーク接続されたホスト装置(図示せず)の記憶領域に記憶しておき、選曲されたカラオケ楽曲について、ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルを作成する構成としてもよい。ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブル(周波数特性タイプ管理テーブル109)は、例えば、カラオケ本体21のHDD34に記憶されている(図1参照)。
【0042】
なお、本発明において、周波数特性タイプを自動選択しない場合には、周波数特性タイプ選択手段107を省略してもよい。この場合には、周波数特性管理テーブル108、周波数特性タイプ管理テーブル109、周波数特性タイプ識別信号送信手段110、周波数特性タイプ識別信号受信手段111も省略される。
【0043】
<カラオケ演奏装置>
本発明のカラオケマイクシステム100を利用するカラオケ演奏装置10は、図1に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、カラオケマイク23、マイクレシーバ24、スピーカ25、表示装置26、ミキシングアンプ27を備えている。
【0044】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21の送受信手段35に対して有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、カードリーダ22c、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置22に付帯するスイッチ類や、入出力表示部(図示せず)に表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等が行われる。
【0045】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケ演奏装置10で演奏に供されるカラオケ楽曲についての属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0046】
<カードリーダ>
カードリーダ22cは、任意の利用者がカラオケ演奏装置10を利用する際に、当該利用者の利用者IDを取得するための装置であり、本実施形態では、利用者がカラオケ演奏装置10を利用する際に、利用者が所持するID媒体28から利用者IDを読み取るようになっている。カードリーダ22cで読み取った利用者IDは、カラオケ本体21のRAM33において利用者管理テーブル33bとして記憶され、利用者管理手段36で管理される。ID媒体28は、例えば非接触型の、IDカード、携帯電話、携帯情報端末等からなり、利用者IDを記憶して、カードリーダ22cとの間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、中央制御手段31、ROM32、RAM33、HDD34、送受信手段35、利用者管理手段36、予約管理手段37、音楽再生制御手段38、映像再生制御手段39を備えている。
【0047】
<中央制御手段>
中央制御手段31は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM32等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0048】
<ROM/RAM>
ROM32は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM33は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM33を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM33を構成してもよい。本実施形態では、RAM33に、予約待ち行列33a及び利用者管理テーブル33bが記憶されるようになっている。
【0049】
<HDD>
HDD34は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース34a、映像データベース34b、周波数特性管理テーブル108、周波数特性タイプ管理テーブル109が格納されている。なお、HDD34に替えて、あるいはHDD34とともに、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0050】
楽曲データベース34aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成したデータベースである。演奏データは各楽曲の演奏データをデジタル化したものであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース34bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。なお、上述したように、周波数特性タイプ管理テーブル109は、利用者別周波数特性タイプ管理テーブル、楽曲別周波数特性タイプ管理テーブル、ジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルのうちの少なくとも1つである。
【0051】
<送受信手段>
送受信手段35は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間でデータの送受信が行われる。
【0052】
<予約管理手段>
予約管理手段37は、利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲され、送受信手段35を介して受信した楽曲IDを、選曲順に演奏予約待ち行列33aとしてRAM33に格納し、管理するためのプログラムからなる。
【0053】
<利用者管理手段>
利用者管理手段36は、取得された利用者IDに基づき利用者を特定して管理するためのプログラムからなる。すなわち、利用者管理手段36では、カードリーダ22cがID媒体28から利用者IDを読み取った場合に、この利用者IDに基づいて利用者を特定し、利用者管理テーブル33bにて管理する。取得した利用者IDは、選曲予約や周波数特性タイプを特定する際に利用される。
【0054】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段38は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース34aから抽出された演奏データをデジタル再生するとともにアナログ変換してミキシングアンプ27に出力するための電子回路である。ミキシングアンプ27は、カラオケマイク23から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段38から送出される演奏音声信号とをミキシングするとともに、アンプ機能により増幅してスピーカ25より出力させるための装置である。
【0055】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段39は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース34bから抽出した映像データ及び楽曲データベース34aから抽出した楽曲データのうちの歌詞テロップデータ(歌詞文字データ)を、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置26に出力するための電子回路である。
【0056】
<表示装置>
表示装置26は、カラオケ演奏時の映像、歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0057】
<他の実施形態>
本発明のカラオケマイクシステム100及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 カラオケ演奏装置
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
22c カードリーダ
23 カラオケマイク
24 マイクレシーバ
25 スピーカ
26 表示装置
27 ミキシングアンプ
28 ID媒体
31 中央制御手段
32 ROM
33 RAM
33a 予約待ち行列
33b 利用者管理テーブル
34 HDD
34a 楽曲データベース
34b 映像データベース
35 送受信手段
36 利用者管理手段
37 予約管理手段
38 音楽再生制御手段
39 映像再生制御手段
100 カラオケマイクシステム
101 周波数特性タイプ特定手段
102 第1のトーン周波数チャンネル設定手段
103 トーン周波数チャンネル管理テーブル
104 周波数チャンネル識別信号送信手段
105 周波数チャンネル識別信号受信手段
106 第2のトーン周波数チャンネル設定手段
107 周波数特性タイプ選択手段
108 周波数特性管理テーブル
109 周波数特性タイプ管理テーブル
110 周波数特性タイプ識別信号送信手段
111 周波数特性タイプ識別信号受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケマイクにおける入力音声を電気信号に変換する際の周波数特性タイプを複数の中から選択可能とし、任意の周波数特性タイプが選択されると、当該周波数特性タイプに割り当てられているトーン周波数にて、カラオケマイクからマイクレシーバに対してトーン信号を送信するカラオケマイクシステムであって、
周波数特性タイプ特定手段と、カラオケマイクに対してトーン周波数チャンネルを設定する第1のトーン周波数チャンネル設定手段と、マイクレシーバに対してトーン周波数チャンネルを設定する第2のトーン周波数チャンネル設定手段と、を備え、
前記周波数特性タイプ特定手段は、所定の条件に基づき、前記複数の周波数特性タイプの中から一の周波数特性タイプを特定し、
前記第1のトーン周波数チャンネル設定手段は、前記複数の周波数特性タイプ毎に割り当てられた異なるトーン周波数に対応するトーン周波数チャンネルを管理してなるトーン周波数チャンネル管理テーブルを参照して、特定された周波数特性タイプに基づき、カラオケマイクからマイクレシーバに対してトーン信号を送信するためのトーン周波数チャンネルを、カラオケマイクに設定し、
前記第2のトーン周波数チャンネル設定手段は、前記第1のトーン周波数チャンネル設定手段により設定されたトーン周波数チャンネルと同一のトーン周波数チャンネルを、マイクレシーバに設定する、
ことを特徴とするカラオケマイクシステム。
【請求項2】
周波数特性タイプ選択手段をさらに備え、
前記周波数特性タイプ選択手段は、周波数特性タイプを複数記憶した周波数特性管理テーブル、及び利用者毎に設定された利用者IDと当該利用者が所望する周波数特性タイプとを紐付けして構成された利用者別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、現にシステムログインしている利用者の利用者IDに対応する周波数特性タイプを選択し、
前記周波数特性タイプ特定手段は、前記複数の周波数特性タイプの中から、前記選択された周波数特性タイプを特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケマイクシステム。
【請求項3】
周波数特性タイプ選択手段をさらに備え、
前記周波数特性タイプ選択手段は、周波数特性タイプを複数記憶した周波数特性管理テーブル、及びカラオケ楽曲毎に設定された楽曲IDと当該カラオケ楽曲に割り当てられた周波数特性タイプとを紐付けして構成された楽曲別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、演奏されるカラオケ楽曲の楽曲IDに対応する周波数特性タイプを選択し、
前記周波数特性タイプ特定手段は、前記複数の周波数特性タイプの中から、前記選択された周波数特性タイプを特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケマイクシステム。
【請求項4】
周波数特性タイプ選択手段をさらに備え、
前記周波数特性タイプ選択手段は、周波数特性タイプを複数記憶した周波数特性管理テーブル、及びカラオケ楽曲のジャンルを示す楽曲ジャンルIDと当該楽曲ジャンルに割り当てられた周波数特性タイプとを紐付けして構成されたジャンル別周波数特性タイプ管理テーブルを参照して、演奏されるカラオケ楽曲の楽曲ジャンルIDに対応する周波数特性タイプを選択し、
前記周波数特性タイプ特定手段は、前記複数の周波数特性タイプの中から、前記選択された周波数特性タイプを特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカラオケマイクシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate