説明

カラーフィルタおよび液晶表示装置

【課題】
高コントラストなカラーフィルタの特性を保持しながら、 斜め視認性と正面視認性をともに改善したカラーフィルタ、及びこれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】
透明基板上、少なくとも1色が、リタデーション調整剤を添加した着色組成物を硬化形成したに形成された着色層を有する複数の着色層からなるカラーフィルタであって、前記カラーフィルタの各着色層が、2枚の偏光板の間に挟み、一方の偏光板側からバックライトを当てて、他方の偏光板を透過した光を輝度計にて測定し、偏光板が平行状態における光の輝度(Lp)と直交状態における光の輝度(Lc)の比より算出されるコントラストC(C=Lp/Lc)と、着色画素のない透明基板のみを偏光板の間に挟んで測定したコントラストCSの比(C/CS)が、0.45より大きくすることにより解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色着色画素の厚み方向位相差が最適化されたカラーフィルタ、およびこれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶分子の持つ複屈折性を利用した表示素子であり、液晶セル、偏光素子および光学補償層から構成される。液晶表示装置は光源の種類により、光源を内部に有する構造である透過型と、外部の光源を利用する構造である反射型の2つに大別される。
透過型液晶表示装置では、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償層を液晶セルと偏光素子との間に配置した構成からなる。
また、反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償層、そして一枚の偏光素子の順に配置する。液晶セルには、二枚の基板に狭持された棒状液晶性分子が配向して封入されており、二枚の基板の両側もしくは片側に配置された電極層に電圧を加えることにより、棒状液晶性分子の配向状態を変化させて光の透過/遮光をスイッチングするしくみとなっている。
【0003】
前記液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensated Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。
【0004】
偏光素子は、一般に、ポリビニルアルコール(以下、PVAと称する)にヨウ素を拡散して延伸した偏光膜の両側にトリアセチルセルロース(以下、TACと称する)からなる二枚の透明保護膜を取り付けた構成を有する。
【0005】
光学補償層としては様々なものが提案されているが、例えば、高コントラストな表示が可能なVA(垂直配向)モード液晶表示装置では、光軸が基板に垂直で、負の複屈折異方性を有する位相差フィルム(負のCプレート)と、光軸が基板に水平で、正の複屈折異方性を有する位相差フィルム(正のAプレート)が併用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
近年、液晶表示装置は、その薄型ゆえの省スペース性や軽量性、また省電力性などが評価されテレビ視聴機としても急速な広がりを見せると同時に、輝度、コントラストや全方位の視認性などの表示性能をより高めることが強く要求されるようになっている。
【0007】
具体的には、テレビ用途としては、より高コントラスト、広視野角表示が可能なノーマリーブラックモードのIPSやVAの液晶表示装置が特に好まれて使用されることが多く、上述した光学補償層も、正面から見た時の黒表示時の色付きや、斜めから見たときの色ずれが最小となるように最適な値に設計されたものが使用されることがほとんどであった。
【0008】
ところが、カラーフィルタを構成する赤色・緑色および青色の着色画素層の厚み方向位相差値(以下、Rth(R)、Rth(G)、Rth(B)と称する)がそれぞれ異なる場合、斜めから見たときの黒表示時に色付きが観察されるといった問題が生じてしまう。
特に赤色・緑色および青色の着色画素層の厚み方向位相差値が不均一、すなわち、Rth(R)<Rth(G)>Rth(B)もしくはRth(R)>Rth(G)<Rth(B)といった関係にある場合、光の波長に対して一方向(連続的)な波長分散性を示す光学補償層では、各色不揃いの厚み方向位相差値を、近時求められる高度な表示品質のレベルで補償することができなくなる。
具体的には、表示面に対して正面(垂直方向)からの視認性は良いが、45度など斜めから観察した視認性(以下、斜め視認性と略称する)において、ある特定の色だけが光漏れすることになり、その結果黒表示時に 赤味や青味など、あるいは緑味などの色付きを生じさせてしまうのである。
【0009】
液晶表示装置に用いられる他の部材に比べて、カラーフィルタのリタデーションは比較的小さいものであったために、これまでこの問題は重視されていなかったが、高コントラストや広い視野角特性が要求される液晶テレビなどでは無視できないレベルとなってきた。
特に1000、あるいは3000以上の高コントラストの液晶表示装置では、要求される黒表示の画質に高いものが求められ問題となってきた。
通常、光学設計は緑色を中心として行われるため、赤色・青色と緑色の着色画素層のリタデーションが大きく異なると漏れ光として斜め視認性に問題が生じてしまうのである。
これに対しては、着色高分子薄膜の側鎖に平面構造基を有する高分子を含有させるかまたは着色高分子薄膜に、高分子と正負逆の複屈折率をもつ複屈折低減粒子を含有させることで、カラーフィルタのもつリタデーション量を低減させる試みがなされている(例えば、特許文献1,2)。
【特許文献1】特開2000-136253号公報
【特許文献2】特開2000-187114号公報
【0010】
ところが、カラーフィルタのもつ厚み方向位相差値は、用いる顔料種によって大きく異なることや、また該顔料の微細化や分散、あるいはマトリックス樹脂(たとえばアクリル樹脂やカルド樹脂など)によって厚み方向位相差値の程度も大きくなることを本発明者らは見出しており、これら高分子薄膜や複屈折低減粒子を含有させる方法では十分な効果が得られず、上述の問題を解決できなかった。
【0011】
特に、高コントラスト液晶表示装置向けの、有機顔料の分散性が良いアクリル樹脂に代表される透明樹脂を基材とするカラーフィルタでは、要求されるコ高ントラスト値(1000以上、より好ましくは、3000以上)を維持しながら 斜め視認性を改善することは困難であった。
【0012】
加えて、従来の技術では、単純に複屈折の小さいカラーフィルタが優れたカラーフィルタであるとされており、斜め視認性を改善する手段については検討されていても、高コントラスト液晶表示装置として、厚み方向位相差値の差を黒表示に問題ないレベルまで小さくし、各色の厚み方向位相差を最適な値に調整する手段についてはほとんど検討されていなかった。
一方、本発明者等は、新たに赤色、緑色および青色の各色画素パターンのカラーフィルタ層のリタデーションがそれぞれ異なり、赤色は正または負のリタデーションを示し、青色は正のリタデーションを示し、緑色は負のリタデーションを示すことを見出した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明は、前記新たな知見に基づき、高コントラストの液晶表示装置において、その斜め視認性を向上させるため、特に、緑色着色画素層の厚み方向位相差値を適切に制御できるカラーフィルタを提供することを目的とする。
加えて、本発明は、前記新たな知見に基づき、光学補償層および他の構成部材と組み合わせることによって、表示面観察方向(法線方向)のみでなく、観察方向からおよそ45度ずれた斜め方向からの観察においても着色がなく、かつ正面(表示面法線方向)視認性の良い液晶表示装置、あるいは、厚み方向位相差値が適切に制御されたカラーフィルタを提供することを目的とする。
さらに本発明は当該カラーフィルタと光学補償層および他の構成部材とを組み合わせることにより製造される、斜め方向からの観察においても着色がなく視認性の良い液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の発明は、透明基板上、少なくとも1色が、リタデーション調整剤を添加した着色組成物を硬化形成したに形成された着色層を有する複数の着色層からなるカラーフィルタであって、前記カラーフィルタの各着色層を、2枚の偏光板の間に挟み、一方の偏光板側からバックライトを当てて、他方の偏光板を透過した光を輝度計にて測定し、偏光板が平行状態における光の輝度(Lp)と直交状態における光の輝度(Lc)の比より算出されるコントラストC(C=Lp/Lc)と、着色画素のない透明基板のみを偏光板の間に挟んで測定したコントラストCSの比(C/CS)が、0.45より大きい着色層が、2色以上有することを特徴とするカラーフィルタである。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記リタデーション調整剤は、リタデーションを増加させる化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタである。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記リタデーション調整剤が、一つ以上の架橋性基を有する平面構造基を有する有機化合物、メラミン化合物、ポリフィリン化合物、および重合性液晶化合物から選択される1種以上を選択した有機化合物であることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタである。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記有機顔料が、平均1次粒子が5〜40nmの範囲にある有機顔料であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルタである。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記着色画素が、少なくとも緑色を含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタである。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルタを用いたことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、カラーフィルタ特有のリタデーションを調整可能であるので、コントラスト値が1000以上、あるいは3000以上である高品質なカラーフィルタでありながら、各色の厚み方向位相差の差を小さくしすることが可能となった。
また、用いる顔料種を特定することで、透明樹脂にこれらを分散することで、さらに、正面から視認性を向上させることが可能となった。
【0021】
前記カラーフィルタを用いることで、液晶ディスプレイを作製した場合、各着色画素の表示領域を通過する光の偏光状態にばらつきを低減し、斜め方向および正面の視認性が良い液晶表示装置を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
【0023】
本発明における各着色画素層の厚み方向位相差値は、少なくとも赤色3(R)・緑色3(G)および青色3(B)の3色の着色画素3を備えたカラーフィルタに、可視域(たとえば 光の波長 380nmから780nmの範囲)の透過光ピーク域の波長を含む連続した光を正面および複数の傾斜した角度から照射し、分光エリプソメータなどの位相差測定装置を用いて3次元屈折率を測定することで得られる。
【0024】
例えば、赤色着色画素では610nm、緑色着色画素では550nm、青色着色画素では450nmの波長で、正面と入射角45度の少なくとも2方向からの光で位相差測定を行い、Nx、Ny、Nzの3次元屈折率を得たのち、以下に示す式1より厚み方向位相差値(Rth)を算出する。
Rth={(Nx+Ny)/2-Nz}×d (式1)
式中、Nxは、着色画素層の平面内のx方向の屈折率であり、Nyは、着色画素層の平面内のy方向の屈折率であり、Nzは、着色画素層の厚み方向の屈折率であり、NxをNx≧Nyとする遅相軸とする。dは、着色画素層の厚み(nm)である。
【0025】
この際、測定する基板がカラーフィルタである場合は、R・G・Bの単一着色画素層のみを透過するように加工されたマスクを介して測定することで単一着色画素層の位相差値を求めることができる。
また、例えば、610nmの波長の光を入射光として使用した場合は、赤色着色画素のみに起因する位相差値、550nmの場合は、緑色着色画素のみに起因する位相差値、450nmの場合は、青色着色画素のみに起因する位相差値としてそれぞれ単一着色画素層のおおよその値を見積もることができる。
なお、測定する基板がR・G・Bのうちいずれかの単一着色画素層(透明基板に単色のカラーフィルタ着色組成物の塗膜を形成した構成)である場合は、マスクを介することなく位相差の測定が可能となる。
【0026】
本発明に用いるカラーフィルタ着色組成物は、 高コントラストを確保しやすいアクリル樹脂、カルド樹脂などのポリマーやモノマーを基材として、少なくとも有機溶剤、光重合性開始剤もしくは硬化剤に 有機顔料を分散した液状の塗布液である。
本発明のカラーフィルタは、用いる着色組成物を、公知のフォトリソグラフィーに用いるカラーレジストとして、 あるいは、インクジェットや印刷などのインキとして加工することができる。
なお、カラーフィルタに用いる着色組成物としての構成要素についての詳細は後述する。
【0027】
本発明におけるリタデーション調整は、カラーフィルタ着色組成物を用いて、透明基板や反射性基板、半導体基板上に着色塗膜として形成したカラーフィルタの厚み方向の位相差を調整できる添加剤である。
特に斜め視認性を改善する目的で リタデーション調整剤は、1色以上のカラーフィルタ着色組成物に添加するものである。
使用する化合物は、1000あるいは3000以上の高いコントラストを確保するために分散性の良い有機化合物であることが望ましい。
具体的には、無機物など粒子形状のものも採用可能であるが、光散乱性や消偏性の観点から避けたほうが良い。
また、複数色のカラーフィルタとして透明基板などの上に形成する場合、全色に添加しても良いが、1色ないし2色に限定して添加することが可能である。
【0028】
本発明におけるリタデーション調整剤は、前記リタデーションを増加の方向で調整できる有機化合物であれば良い。
具体的には、一つ以上の架橋性基を有する平面構造基を有する有機化合物、メラミン樹脂、ポリフィリン化合物、および重合性液晶化合物から選択された1種以上を選択すれば良い。
【0029】
通常、顔料や他の樹脂と正負逆の複屈折率をもつ平面構造基を有する粒子を添加するだけで、膜全体の厚み方向位相差を打ち消すことが可能であると考えられる。
しかし、単に平面構造基をもつ粒子を添加するだけでは、粒子自体がランダムに配向してしまい、膜全体の厚み方向位相差への影響は小さいものとなってしまう。
そこで本発明者らは鋭意調査の結果、該平面構造基の少なくとも1つ以上の架橋性基を持たせることで、膜全体の厚み方向位相差が大きく変化し十分な効果を発揮することを見出した。
すなわち、例えば、フォトリソ工程での光硬化プロセスもしくは熱硬化プロセス中で架橋する官能基を有することで、平面構造基が自由に回転しないこと、および熱硬化時の収縮の際に平面構造基がより同じ方向に配向して固定されやすいことにより、効果的に位相差制御の機能を発現が可能となる。
【0030】
平面構造基としては、芳香族環を少なくとも1つ以上有するものであり、単環式炭化水素では、フェニル基、クメニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、トリチル基など、多環式炭化水素ではペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビフェニレン基、アセナフチレン基、フルオレン基、フェナントリル基、アントラセン基、トリフェニレン基、ピレン基、ナフタセン基、ペンタフェン基、ペンタセン基、テトラフェニレン基、トリナフチレン基などの公知の化合物を使用することができる。ヘテロ単環化合物では、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、トリアジン基など、ヘテロ多環化合物では、インドリジニル基、イソインドリル基、インドリル基、プリニル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シノリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、アクリジニル基、ポルフィリン基などの公知の化合物が例示でき、これらは、炭化水素基、ハロゲン基などの置換基を有するものであってもよい。
【0031】
該平面構造基に付属する少なくとも1つ以上の架橋性基としては、表1に示す不飽和重合性基(A、B、C、D、E、F)または官能基(I、J、K、L、M、N、O)または熱重合性基(G、H、P、Q、R、S、T、U)であることが好ましく、エポキシ基(G、H)がさらに好ましく用いられ、P〜Uが最も好ましく用いられる。
また、不飽和重合性基では、エチレン性不飽和重合性基(A、B、C、D)であることがさらに好ましく、また、−CHNHCOCH=CH、−CHNHCO(CHCH=CH(CHCH、−OCO(C)O(CHCH=CHなども好適に用いられる。
これらの架橋性基は、該平面構造基に少なくとも1つ以上の水酸基等の反応性官能基を有する場合に、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシイソシアネート、トリレン−2、4−ジイソシアネート等の上記反応性官能基と反応する官能基およびエチレン性不飽和基を有する化合物を公知の方法で反応させることによって容易に得られる。
【表1】

【0032】
メラミン化合物としては、下記一般式(2)で表される市販のものを好ましく用いることができるが、上述の平面構造基を有する化合物であれば何でもよく公知のものを使用できる。以下にメラミン化合物を例示する。
【化1】

【0033】
式中、R1、R、Rはそれぞれ水素原子、メチロール基、アルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基、R、R、Rはそれぞれメチロール基、アルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基である。二種類以上の繰り返し単位を組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。
【0034】
また、上記以外に1,3,5−トリアジン環を有する化合物で例えば特開2001−166144公報に記載のものを使用することができる。また下記一般式(3)に示す化合物も好んで用いられる。
【化2】

【0035】
7からR14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり、水素原子であることが特に好ましい。
【0036】
または下記一般式(4)で表されるポルフィリン骨格を有する化合物を好ましく用いることができる。nは1〜20の整数であり、2であるものが好ましく用いられる。
【化3】

【0037】
式中、R15〜R22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、置換もしくは未置換のフェノキシ基、置換もしくは未置換のナフトキシ基、置換もしくは未置換のフェニルチオ基、または置換もしくは未置換のナフチルチオ基を表す。
【0038】
本発明で用いる一般式(4)で表されるポルフィリン化合物の具体例を以下に記載する。R15〜R22におけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などがあげられる。
また、アルコキシ基およびチオアルキル基としては、特に限定されるものではないが、置換基中のアルキル基が炭素数1〜12の直鎖、分岐或いは環状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖、分岐或いは環状のアルキル基が特に好ましい。 Zは−CH2-、−N−を表す。
【0039】
アルコキシ基中およびチオアルキル基中のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、neo−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、3−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−オクチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−ジメチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラエチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−シクロペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−シクロヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。
【0040】
置換もしく未置換のフェノキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、4−アミノフェノキシ基、4−ジメチルアミノフェノキシ基、4−ジエチルアミノフェノキシ基等が挙げられる。
【0041】
置換もしく未置換のナフトキシ基の具体例としては、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、ニトロナフトキシ基、シアノナフトキシ基、ヒドロキシナフトキシ基、メチルナフトキシ基、トリフルオロメチルナフトキシ基等が挙げられる。
【0042】
置換もしく未置換のフェニルチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、3−メチルフェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、2−エチルフェニルチオ基、3−エチルフェニルチオ基、4−エチルフェニルチオ基、2,4−ジメチルフェニルチオ基、3,4−ジメチルフェニルチオ基、4−t−ブチルフェニルチオ基、4−アミノフェニルチオ基、4−ジメチルアミノフェニルチオ基、4−ジエチルアミノフェニルチオ基等が挙げられる。
【0043】
置換もしく未置換のナフチルチオ基の具体例としては、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ニトロナフチルチオ基、シアノナフチルチオ基、ヒドロキシナフチルチオ基、メチルナフチルチオ基、トリフルオロメチルナフチルチオ基等が挙げられる。
【0044】
Xは二種類以上の化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物と)を併用してもよい。
【0045】
上記の含平面構造基エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物;例えば、フェノールノボラック型エポシキ化合物、クレゾールノボラック型エポシキ化合物等のノボラック型エポシキ化合物;例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジル-m-アミノフェノール、テトラグリシジル-m-キシレンジアミン等のグリシジルアミン系エポキシ化合物;例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等のグリシジルエステル系エポキシ化合物;例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジルグリシドオキシアルヒダントイン等の複素還式エポキシ化合物などが例示できる。一般式(5)にその例を示す。
【化4】

【0046】
重合性液晶化合物としては、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子を適用することが可能であるが、特に ディスコティック液晶性分子が好ましい。棒状液晶性分子としては、特開2006-16599広報に記載の液晶性分子が採用可能で、他、例えばアゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類なども用いられる。ディスコティック液晶性分子としては、例えば特開平8−27284公報に記載のものを使用できる。以下にその例を表2示す。
【表2】

【0047】
前記表2において、Yは、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基、および該二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましく、アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
Rは、前記式1に示す不飽和重合性基(A、B、C、D、E、F)または官能基(I、J、K、L、M、N、O)または熱重合性基(G、H、P、Q、R、S、T、U)から選ばれる少なくとも一つ以上の架橋性基、もしくは該架橋性基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。不飽和重合性基では、エチレン性不飽和重合性基(A、B、C、D)であることがさらに好ましく、また、−CH2NHCOCH=CH2、−CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3、−OCO(C6H4)O(CH2)6CH=CH2なども好適に用いられる。
【0048】
次に本願発明のカラーフィルタについて説明する。
【0049】
図1に示すように、本発明のカラーフィルタは、ガラス基板1上に遮光層であるブラックマトリクス2を具備し、少なくとも赤色3(R)・緑色3(G)および青色3(B)の3色の着色画素3を備えている。
なお、これら3色に限らず、さらに、補色の組み合わせでも良く、あるいは補色や他色を含んだ3色以上の多色のカラーフィルタであっても良い。
【0050】
通常、カラーフィルタの複屈折率の絶対値が0.01以下である、すなわち厚み方向位相差値(Rth)が、限りなく、Rth(R)=Rth(G))=Rth(B)=0に近いことが望まれる。
しかし、本発明者らが鋭意検討の結果、カラーフィルタ以外の構成部材、例えば位相差の波長分散性と組み合わせる場合、Rth(R)=Rth(G))=Rth(B)=0 以外にも最適なカラーフィルタの厚み方向位相差に関する値が存在することを見いだした。
【0051】
カラーフィルタにおいて各着色画素の位相差値Rthがどの値をとるのが最も望ましいかは、他の部材との組み合わせにより変わるが、重要なのは、「緑色画素のRthが赤色画素より大きい値であるにもかかわらず、青色画素のRthが緑色画素より小さい値である組み合わせ」や、「緑色画素のRthが赤色画素より小さい値にもかかわらず、青色画素のRthが緑色画素より大きい値である組み合わせ」は、良好な斜め視認性を得ることができないという点である。
これは、液晶表示装置で用いられる位相差板に代表される部材では、複屈折性の波長分散性は透過光の波長に対して一方向(連続的)に変化することによるものである。 よって、液晶・偏光板・位相差板・配向膜などの液晶表示装置の光学部材組み合わせのなかで、最適な斜め視認性を得る組み合わせを選定する必要がある。 (C/CS)
【0052】
赤色画素には、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができ、黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、147、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。橙色顔料としては、C.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0053】
赤色画素が、これら顔料のなかでジケトピロロピロール系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料のうち1種類以上を含む場合には、任意のRthを得ることが容易になるため好ましい。
なぜなら、ジケトピロロピロール系赤色顔料は、その微細化処理を工夫することにより、Rthを正負のどちらにすることも可能でその絶対値もある程度制御可能であり、また、アントラキノン系赤色顔料は、微細化処理に関わらず0に近いRthを得やすいためである。
その使用量は、顔料の合計重量を基準として、ジケトピロロピロール系赤色顔料を10〜90重量%、アントラキノン系赤色顔料を5〜70重量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚、コントラスト等の点から好ましく、特に、コントラストに着目した場合、ジケトピロロピロール系赤色顔料を25〜75重量%、アントラキノン系赤色顔料を30〜60重量%とすることがより好ましい。
【0054】
また、赤色画素には色相を調整する目的で黄色顔料や橙色顔料を含有させることができるが、高コントラスト化の点からアゾ金属錯体系黄色顔料を用いることが好ましい。
その使用量は、顔料の合計重量を基準として5〜25重量%であることが好ましく、5重量%未満の場合には、充分な明度向上などの色相調整ができず、30重量%を超える場合には、色相が黄味にシフトし過ぎるため、色再現性は悪くなる。
【0055】
上記において、ジケトピロロピロール系赤色顔料としては、C.I.Pigment Red 254、アントラキノン系赤色顔料としては、」C.I.Pigment Red 177、アゾ金属錯体系黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 150が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
【0056】
緑色画素には、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができ、黄色顔料を併用することもできる。黄色顔料としては、赤色画素のところで挙げた顔料と同様のものが使用可能である。
【0057】
その使用量は、顔料の合計重量を基準として、ハロゲン化金属フタロシアニン系緑色顔料を30〜90重量%、アゾ系黄色顔料を5〜60重量%、キノフタロン系黄色顔料を5〜60重量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚等の点から好ましい。さらに、ハロゲン化金属フタロシアニン系緑色顔料を50〜85重量%、アゾ系黄色顔料を5〜45重量%、キノフタロン系黄色顔料を5〜45重量%とすることがより好ましい。
【0058】
上記において、ハロゲン化金属フタロシアニン系緑色顔料としては、C.I.Pigment Green 7、36、アゾ系黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 150、キノフタロン系黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 138が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
【0059】
青色画素には、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、紫色顔料を併用することもできる。紫色顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0060】
青色画素が、これら顔料のなかで金属フタロシアニン系青色顔料と、ジオキサジン系紫色顔料のうち1種類以上を含む場合には、0に近いRthを得ることが容易になる。
その使用量は、顔料の合計重量を基準として、金属フタロシアニン系青色顔料を40〜100重量%、ジオキサジン系紫色顔料を1〜50重量%とすることが、画素の色相や明度、膜厚等の点から好ましく、さらに、金属フタロシアニン系青色顔料を50〜98重量%、ジオキサジン系紫色顔料を2〜25重量%とすることがより好ましい。
【0061】
上記において金属フタロシアニン系青色顔料としてはC.I.Pigment Blue 15:6、ジオキサジン系紫色顔料としてはC.I.Pigment Violet 23が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
【0062】
また、無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。
無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0063】
着色画素に含まれる顔料は、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるため、微細化されていることが好ましく、平均一次粒子径が小さいことが好ましい。顔料の平均一次粒子径は、顔料を透過型電子顕微鏡で撮り、その写真の画像解析により算出できる。
【0064】
顔料の平均一次粒子径は、40nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下であり、更に好ましくは20nm以下である。また、平均一次粒子径は5nm以上であることが好ましい。顔料の平均一次粒子径が上限値より大きい場合には、液晶表示装置の黒表示時の視認性が悪い。また、下限値より小さい場合は、顔料分散が難しくなり、着色組成物としての安定性を保ち、流動性を確保することが困難になる。
その結果、カラーフィルタの輝度、色特性が悪化する。 特に、平均一次粒子径が40μmを超える有機顔料は、正面視認性に悪影響を与える。
【0065】
また、透明基板上に形成された各色画素を2枚の偏光板の間に挟み、一方の偏光板側からバックライトを当てて、他方の偏光板を透過した光を輝度計にて測定し、偏光板が平行状態における光の輝度(Lp)と直交状態における光の輝度(Lc)の比より算出されるコントラストCは、C=Lp/Lcより算出され、CSは着色画素がない基板のみ、CRは赤色画素、CGは緑色画素、CBは青色画素のコントラストを表す場合、CR/CS>0.45、かつ、CG/CS>0.45、かつ、CB/CS>0.45を満たす場合に、表6に示すように液晶表示装置の黒表示時の正面視認性が優れたものとなる。
すなわち、光漏れの少ない締まった黒表示を再現できる。
CR/CS>0.45、かつ、CG/CS>0.45、かつ、CB/CS>0.45を満たさない場合、すなわち、CR/CS≦0.45、または、CG/CS≦0.45、または、CB/CS≦0.45の場合には、黒表示時の光漏れが多くなり、優れた正面視認性の液晶表示装置が得られなくなる。
さらに、色毎のリタデーション差を小さくすることにより、斜め視認性と正面視認性が ともに 優れた液晶表示装置となる。 なお、CR/CS>0.45かつ、CG/CS>0.45、かつ、CB/CS>0.45を満たしても、色毎のリタデーション差が大きい場合、 斜め視認性が不十分であることがある。 これは、本発明のリタデーション増加剤を 緑色画素に添加しない表8、比較例6に示される。
【0066】
顔料の平均一次粒子径および厚み方向位相差を制御する手段としては、顔料を機械的に粉砕して一次粒子径および粒子形状を制御する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解したものを貧溶媒に投入して所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、個々の顔料について適当な方法を選択して行うことができる。
【0067】
以下に、それぞれの方法について説明するが、本発明のカラーフィルタを構成する着色画素層に含まれる顔料の一次粒子径および粒子形状の制御方法は、上記方法のいずれを用いてもよい。
【0068】
磨砕法は、顔料をボールミル、サンドミルまたはニーダーなどを用いて、食塩等の水溶性の無機塩などの磨砕剤およびそれを溶解しない水溶性有機溶剤とともに機械的に混練(以下、この処理をソルトミリングと呼ぶ)した後、無機塩と有機溶剤を水洗除去し、乾燥することにより所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を得る方法である。ただし、ソルトミリング処理により、顔料が結晶成長する場合があるため、処理時に上記有機溶剤に少なくとも一部溶解する固形の樹脂や顔料分散剤を加えて、結晶成長を防ぐ方法が有効である。
【0069】
顔料と無機塩の比率は、無機塩の比率が多くなると顔料の微細化効率は良くなるが、顔料の処理量が少なくなるために生産性が低下する。
一般的には、顔料が1重量部に対して無機塩を1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部用いるのが良い。また、上記水溶性有機溶剤は、顔料と無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、顔料と無機塩との配合比にもよるが、通常は顔料1重量部に対して0.5〜30重量部の量で用いられる。
上記磨砕法についてさらに具体的には、顔料と水溶性の無機塩の混合物に湿潤剤として少量の水溶性有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌しスラリー状とする。次に、このスラリーを濾過、水洗して乾燥することにより、所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を得ることができる。
【0070】
析出法は、顔料を適当な良溶媒に溶解させたのち、貧溶媒と混ぜ合わせて、所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を析出させる方法で、溶媒の種類や量、析出温度、析出速度などにより一次粒子径の大きさおよび粒子形状が制御できる。
一般に顔料は溶媒に溶けにくいため、使用できる溶媒は限られるが、例として濃硫酸、ポリリン酸、クロロスルホン酸などの強酸性溶媒または液体アンモニア、ナトリウムメチラートのジメチルホルムアミド溶液などの塩基性溶媒などが知られている。
【0071】
本法の代表例としては、酸性溶剤に顔料を溶解させた溶液を他の溶媒中に注入し、再析出させて微細粒子を得るアシッドペースティング法がある。工業的にはコストの観点から硫酸溶液を水に注入する方法が一般的である。
硫酸濃度は特に限定されないが、95〜100重量%が好ましい。顔料に対する硫酸の使用量は特に限定されないが、少ないと溶液粘度が高くハンドリングが悪くなり、逆に多すぎると顔料の処理効率が低下するため、顔料に対して3〜10重量倍の硫酸を用いることが好ましい。
なお、顔料は完全溶解している必要はない。溶解時の温度は0〜50℃が好ましく、これ以下では硫酸が凍結する恐れがあり、かつ溶解度も低くなる。高温すぎると副反応が起こりやすくなる。
注入される水の温度は1〜60℃が好ましく、この温度以上で注入を始めると硫酸の溶解熱で沸騰して作業が危険である。これ以下の温度では凍結してしまう。注入にかける時間は顔料1部に対して0.1〜30分が好ましい。時間が長くなるほど一次粒子径は大きくなる傾向がある。
【0072】
顔料の一次粒子径および粒子形状の制御は、アシッドペースティング法などの析出法とソルトミリング法などの磨砕法を組み合わせた手法を選択することにより、顔料の整粒度合を考慮しつつ行うことができ、さらにはこのとき分散体としての流動性も確保できることからより好ましい。
ソルトミリング時あるいはアシッドペースティング時には、一次粒子径および粒子形状制御に伴う顔料の凝集を防ぐために、下記に示す色素誘導体や樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を併用することもできる。また、一次粒子径および粒子形状制御を2種類以上の顔料を共存させた形で行うことにより、単独では分散が困難な顔料であっても安定な分散体として仕上げることができる。
【0073】
特殊な析出法としてロイコ法がある。フラバントロン系、ペリノン系、ペリレン系、インダントロン系等の建染染料系顔料は、アルカリ性ハイドロサルファイトで還元すると、キノン基がハイドロキノンのナトリウム塩(ロイコ化合物)になり水溶性になる。この水溶液に適当な酸化剤を加えて酸化することにより、水に不溶性の一次粒子径の小さな顔料を析出させることができる。
【0074】
合成析出法は、顔料を合成すると同時に所望の一次粒子径および粒子形状の顔料を析出させる方法である。しかし、生成した微細顔料を溶媒中から取り出す場合、顔料粒子が凝集して大きな二次粒子になっていないと一般的な分離法である濾過が困難になるため、通常、二次凝集が起きやすい水系で合成されるアゾ系等の顔料に適用されている。
【0075】
さらに、顔料の一次粒子径および粒子形状を制御する手段として、顔料を高速のサンドミル等で長時間分散すること(顔料を乾式粉砕する、いわゆるドライミリング法)により、顔料の一次粒子径を小さくすると同時に分散することも可能である。
【0076】
以下には、本発明のカラーフィルタの各色画素を形成するために用いられる着色組成物について説明する。
【0077】
各色画素を形成するために用いられる着色組成物に含まれる顔料担体は、顔料を分散させるものであり、透明樹脂、その前駆体、またはそれらの混合物により構成される。
【0078】
透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。
透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0079】
顔料担体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。
また、透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、透明樹脂は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。
また、透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
【0080】
熱可塑性樹脂としては、例えば, ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0081】
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0082】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。
また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0083】
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0084】
着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
光重合開始剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
【0085】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で含有させることができる。
【0086】
さらに、着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。
多官能チオールは、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.2〜150重量部、好ましくは0.2〜100重量部の量で用いることができる。
【0087】
さらに、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために溶剤を含有させることができる。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
溶剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
【0088】
着色組成物は、1種または2種以上の顔料を、必要に応じて上記光重合開始剤と共に、顔料担体および有機溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて製造することができる。また、2種以上の顔料を含む着色組成物は、各顔料を別々に顔料担体および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。
【0089】
顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散助剤を含有させることができる。
分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。分散助剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
【0090】
樹脂型顔料分散剤としては、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。
樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0091】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0092】
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物であり、用いる顔料の色相に近いものが好ましいが、添加量が少なければ色相の異なるものを用いても良い。
有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用できる。特に、塩基性基を有する色素誘導体は、顔料の分散効果が大きいため、好適に用いられる。これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0093】
着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で含有させることができる。
【0094】
また、着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.01〜100重量部の量で含有させることができる。
【0095】
着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、インクジェット用インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
顔料は、着色組成物の全固形分量を基準(100重量%)として5〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。より好ましくは、20〜50重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0096】
本発明のカラーフィルタ中の赤色画素、緑色画素、および青色画素は、透明基板上に、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、上記の各色着色組成物を用いて形成される。
【0097】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどの金属酸化物の組み合わせからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0098】
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0099】
インクジェット法は、微細な複数の吐出口(インクジェットヘッド)を各色ごとに揃えたインクジェット装置にて、 透明基板もしくはTFTなどアクティブ素子を形成した基板に直接印刷形成する方法である。
【0100】
フォトリソグラフィー法により各色画素を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。
塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。
さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0101】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0102】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。
また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【0103】
次に、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置について説明する。
【0104】
図2は、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置の概略断面図である。
図2に示す装置4は、ノート型パソコン用のTFT駆動型液晶表示装置の典型例であって、離間対向して配置された一対の透明基板5および6を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。
液晶(LC)は、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の 液晶配向モードに応じて配向される。
第1の透明基板5の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ7が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層8が形成されている。透明電極層8の上には、配向層9が設けられている。また、透明基板5の外面には、位相差フィルムを構成に含む偏光板10が形成されている。
【0105】
他方、第2の透明基板6の内面には、本発明のカラーフィルタ11が形成されている。カラーフィルタ11を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。カラーフィルタ11を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層12が形成され、透明電極層12を覆って配向層13が設けられている。また、透明基板6の外面には、偏光板14が形成されている。なお、偏光板10の下方には、三波長ランプ15を備えたバックライトユニット16が設けられている。
【0106】
このように本実施の形態によれば、より高コントラストなカラーフィルタを得るために、用いる顔料種を特定することや、該顔料を微細化することで、カラーフィルタを構成する赤色、緑色、および青色の着色画素層の厚み方向位相差値が不連続な状態になる可能性があっても、少なくとも1つ以上の平面構造基と、該平面構造基の少なくとも2箇所以上の異なる部位に光重合性基もしくは熱重合性基を有するリタデーション調整剤を用いることで、該厚み方向位相差値が連続となるように最適な値に調整可能なカラーフィルタ用着色組成物を提供することが可能となる。
【0107】
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いてカラーフィルタを作製することで、Rth(R)≧Rth(G)≧Rth(B)、もしくはRth(R)≦Rth(G)≦Rth(B)の関係にある連続した状態のカラーフィルタを得ることができる。
さらにもう一つの本発明によれば、光学補償層および他の構成部材の光学的特徴、特にリタデーションの波長分散の特徴に適するように、本発明のカラーフィルタを用いて液晶ディスプレイを作製した場合、各着色画素の表示領域を通過する光の偏光状態にばらつきが生じないため、斜め方向からの視野角表示に優れた液晶表示装置を得ることができる。さらにいうと斜め方向からの視野角補償を施された黒表示となるため、斜め方向から見た場合、カラーシフトを低減し、かつニュートラルな黒色が再現でき、非常に優れた表示特性を呈することができる。
【実施例】
【0108】
以下、本発明の実施の形態について具体的な実施例を挙げて記載するが、本発明は下述する実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いる材料は光に対して極めて敏感であるため、自然光などの不要な光による感光を防ぐ必要があり、全ての作業を黄色、または赤色灯下で行うことは言うまでもない。
なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PR254」は「C.I.Pigment Red 254」を、「PY150」は「C.I.Pigment Yellow 150」を表す。
【0109】
以下の実施例にて使用した色素誘導体を表3に示す。
【表3】

【0110】
a)微細化顔料の製造
実施例および比較例で用いた微細化顔料を以下の方法により製造した。そして、得られた顔料を透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM−1200EX」)により観察し、撮影した画像解析により、顔料の一次粒子径を算出した。ここで言う一次粒子径は、個数粒度分布の積算曲線において積算量が全体の50%に相当する粒子径(円相当径)を表す
【0111】
[製造例1]
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB-CF」;R−1)100部、色素誘導体(D−1)18部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。
この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部のソルトミリング処理顔料(R−2)を得た。得られた顔料の一次粒子径を表4に示す。
【0112】
[製造例2]
アントラキノン系赤色顔料PR177(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、色素誘導体(D−2)8部、粉砕した食塩700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、102部のソルトミリング処理顔料(R−3)を得た。得られた顔料の一次粒子径を表4に示す。
【0113】
[製造例3]
スルホン化フラスコにtert−アミルアルコール170部を窒素雰囲気下において装填する。ナトリウム11.04部を添加し、そしてこの混合物を92〜102℃に加熱する。溶融したナトリウムを激しく撹拌しながら100〜107℃に一晩保持する。
得られた溶液に、4−クロロベンゾニトリルの44.2部およびジイソプロピルスクシナートの37.2部を80℃において、tert−アミルアルコールの50部中に溶解した溶液を、80〜98℃において2時間かけて導入する。導入後、この反応混合物を80℃においてさらに3時間撹拌し、そして同時にジイソプロピルスクシナートの4.88部を滴下添加する。この反応混合物を室温に冷却し、メタノールの270部、水200部、および濃硫酸48.1部の20℃の混合物へ添加し、20℃において攪拌を6時間続ける。この赤色混合物を濾過し、残留物をメタノールと水とで洗浄した後、80℃で乾燥して、46.7部の赤色顔料(R−4)を得た。得られた顔料の一次粒子径を表4に示す。
【0114】
[製造例4]
ハロゲン化銅フタロシアニン系緑色顔料PG36(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部のソルトミリング処理顔料(G−1)を得た。得られた顔料の一次粒子径を表4に示す。
【0115】
[製造例5]
塩化アルミニウム356部および塩化ナトリウム6部の200℃の溶融塩に、亜鉛フタロシアニン46部を溶解し、130℃まで冷却し1時間攪拌した。反応温度を180℃に昇温し、臭素を1時間あたり10部で10時間滴下した。その後、塩素を1時間あたり0.8部で5時間導入した。この反応液を水3200部に徐々に注入したのち、濾過、水洗して107.8部の粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。
粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の1分子内に含まれる平均臭素数は14.1個、平均塩素数は1.9個であった。得られた粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部のソルトミリング処理顔料(G−2)を得た。得られた顔料の一次粒子径を表4に示す。
【0116】
[製造例6]
セパラブルフラスコに水150部を仕込み、さらに攪拌しながら35%塩酸63部を仕込み、塩酸溶液を調製した。発泡に注意しながらベンゼンスルホニルヒドラジド38.7部を仕込み、液温が0℃以下になるまで氷を追加した。冷却後、30分かけて亜硝酸ナトリウム19部を仕込み、0〜15℃の間で30分撹拌した後、ヨウ化カリウムでんぷん紙で着色が認められなくなるまでスルファミン酸を仕込んだ。
さらにバルビツール酸25.6部を添加後、55℃まで昇温し、2時間そのまま撹拌した。さらにバルビツール酸25.6部を投入し、80℃まで昇温したのちpHが5になるまで水酸化ナトリウムを投入した。さらに80℃で3時間撹拌した後、70℃まで下げ、濾過、温水洗浄を行った。得られたプレスケーキを1200部の温水にリスラリーした後、80℃で2時間攪拌した。その後、そのままの温度で濾過を行い、80℃の水2000部で温水洗浄を行い、ベンゼンホンアミドが濾液側へ移行していることを確認した。
得られたプレスケーキを80℃で乾燥し、アゾバルビツール酸ジナトリウム塩61.0部を得た。次いで、セパラブルフラスコに水200部を仕込み、さらに撹拌しながら、得られたアゾバルビツール酸ジナトリウム塩の粉末8.1部を投入して分散した。均一に分散した後、溶液を95℃まで昇温した、メラミン5.7部、ジアリルアミノメラミン1.0部を添加した。
さらに、塩化コバルト(II)6水和物6.3部を水30部に溶解した緑色溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で1.5時間錯体化を行った。その後pHを5.5に調整し、さらにキシレン4部、オレイン酸ナトリウム0.4部、水16部をあらかじめ攪拌してエマルジョン状態とした溶液20.4部を添加し、さらに4時間加温撹拌した。70℃まで冷却後、速やかに濾過し、無機塩が洗浄できるまで70℃温水洗を繰り返した。その後、乾燥、粉砕の工程を経て、14部のアゾ系黄色顔料(Y−2)を得た。得られた顔料の一次粒子径を表4に示す。
【0117】
[製造例7]
銅フタロシアニン系青色顔料PB15:6(東洋インキ製造社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部のソルトミリング処理顔料(B−1)を得た。得られた顔料の一次粒子径を表4に示す。
【表4】

【0118】
b)アクリル樹脂溶液の調製
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記のモノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メタクリル酸メチル 65.0部
メタクリル酸ブチル 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後、さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて樹脂溶液を合成した。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0119】
c)顔料分散体の調製
表5に示す組成(重量比)の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して各色顔料分散体を得た。
【表5】

【0120】
d)リタデーション調整剤
以下の市販の化合物をリタデーション調整剤として使用した。
メラミン化合物 ・・・日本カーバイド工業製(商品名ニカラックMX−750)
ポルフィリン化合物・・・東京化成工業製(商品名テトラフェニルポルフィリン)
エポキシ化合物 ・・・ジャパンエポキシレジン製(商品名エピコート828)
【0121】
e)着色組成物(以下、レジストという)の調製
次いで、表6に示す組成(重量比)の混合物を均一に撹拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して各色レジストを得た。
【表6】

【0122】
f)各色塗膜の作製
表4に示した各色レジストをスピンコート法によりガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。その後、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、各色塗膜を得た。乾燥塗膜の膜厚は、いずれも2.0μmであった。
【0123】
g)各色塗膜の色度、分光透過率、厚み方向位相差値、およびコントラストの測定
[色度、分光透過率]
XYZ表色系色度図における色度は、分光光度計(オリンパス社製「OSP−200」)を用いて測定した。表4に示した各色レジストより作製された各色塗膜の色度を表5に示す。
【0124】
[厚み方向位相差値Rth]
厚み方向位相差値は、透過型分光エリプソメータ(日本分光社製「M−220」)を用いて、塗膜を形成した基板の法線方向から45°傾けた方位より、400nmから700nmの範囲で5nmおきの波長で測定し、エリプソパラメータであるδを得た。△=δ/360×λより位相差値△(λ)を算出し、この値を用いて、3次元屈折率を算出し、下記式2より厚み方向位相差値(Rth)を算出した。但し、赤色着色画素では610nm、緑色着色画素では550nm、青色着色画素では450nmの波長で測定を行った。
Rth={(Nx+Ny)/2-Nz}×d (式1)
式中、Nxは着色画素層の平面内のx方向の屈折率であり、Nyは着色画素層の平面内のy方向の屈折率であり、Nzは着色画素層の厚み方向の屈折率であり、NxをNx≧Nyとする遅相軸とする。
dは着色画素層の厚み(nm)である。表4に示した各色レジストより作製された各色塗膜の厚み方向位相差値Rthを表5に示す。
【0125】
[コントラスト]
塗膜を形成した基板の両側に偏光板を重ね、偏光板が平行時の輝度(Lp)と直交時の輝度(Lc)との比、Lp/Lcをコントラスト(C)として算出した。
そして、着色塗膜がない基板のみのコントラスト(CS)を測定し、C/CSにより規格化を行った。なお、輝度は、色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)を用い、2°視野の条件で測定し、偏光板は、日東電工社製「NPF−SEG1224DU」を用いた。表4に示した各色レジストより作製された各色塗膜のコントラストを表7に示す。
【表7】

【0126】
h)カラーフィルタの作製
表4に示した各色レジストを組み合わせて、下記に示す方法により、カラーフィルタを作製した。
[実施例1]
まず、赤色レジスト(RR−1)をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されてあるガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。
その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、基板上にストライプ状の赤色画素を形成した。
次に、緑色レジスト(GR−3)を使用し、同様に緑色画素を形成し、さらに、青色レジスト(BR−1)を使用し、青色画素を形成し、カラーフィルタを得た。各色画素の形成膜厚はいずれも2.0μmであった。
【0127】
[実施例2]
緑色レジストを(GR−3)から(GR−6)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0128】
[実施例3]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−2)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0129】
[実施例4]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−3)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0130】
[実施例5]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−3)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−5)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0131】
[実施例6]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−4)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0132】
[実施例7]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−5)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−2)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0133】
[実施例8]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−4)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−6)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0134】
[実施例9]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−5)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−7)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0135】
[実施例10]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−4)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−7)およびに青色レジストを(BR−1)から(BR−2)代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0136】
[比較例1]
緑色レジストを(GR−3)から(GR−1)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0137】
[比較例2]
緑色レジストを(GR−3)から(GR−4)に代えた以外は、比較例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0138】
[比較例3]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−2)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−1)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0139】
[比較例4]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−2)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−4)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0140】
[比較例5]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−3)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−1)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0141】
[比較例6]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−3)に、緑色レジストを(GR−3)から(GR−4)に代えた以外は、実施例1と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0142】
i)液晶表示装置の作製
得られたカラーフィルタ上に、透明ITO電極層を形成し、その上にポリイミド配向層を形成した。このガラス基板の他方の表面に偏光板を形成した。
他方、別の(第2の)ガラス基板の一方の表面にTFTアレイおよび画素電極を形成し、他方の表面に偏光板を形成した。こうして準備された2つのガラス基板を電極層同士が対面するよう対向させ、スペーサビーズを用いて両基板の間隔を一定に保ちながら位置合わせし、液晶組成物注入用開口部を残すように周囲を封止剤で封止した。
開口部から液晶組成物を注入し、開口部を封止した。前記偏光板には広視野角表示が可能なように最適化された光学補償層を設けた。このようにして作製した液晶表示装置をバックライトユニットと組み合わせて液晶パネルを得た。
【0143】
j)液晶表示装置の黒表示時の視認性評価
作製した液晶表示装置を黒表示させ、液晶パネルの法線方向(正面)および法線方向から45°傾けた方位(斜め)より漏れてくる光(直交透過光;漏れ光)の量を目視観察した。評価ランクは次の通りであり、結果を表8に示す。
【表8】

【0144】
実施例1ないし9に示すように、緑色がリタデーション調整剤を含む着色剤組成物を用い、形成されているので、得られたカラーフィルタを液晶表示装置に用いることで、斜め方向の視認性が良好な液晶表示装置を得ることができる。
【0145】
さらに、実施例5および8、9から得られるカラーフィルタでは、正面での高コントラスト化が図られているため、正面方向においても視認性が良好な液晶表示装置が得られる。比較例1ないし7から得られるカラーフィルタでは、緑色がリタデーション調整剤を含む着色剤組成物を用い、形成されていないので、赤色画素、緑色画素、および青色画素の厚み方向の位相差のバランスが良くないため、斜め方向において色ずれが生じ、視認性が不良となる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカラーフィルタを示す概略断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0147】
1・・・ガラス基板
2・・・ブラックマトリックス
3・・・着色画素
4・・・液晶表示装置
5、6・・・透明基板
7・・・TFTアレイ
8、12・・・透明電極
9、13・・・配向層
10、14・・・偏光板
11・・・カラーフィルタ
15・・・三波長ランプ
16・・・バックライトユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上、少なくとも1色が、リタデーション調整剤を添加した着色組成物を硬化形成したに形成された着色層を有する複数の着色層からなるカラーフィルタであって、前記カラーフィルタの各着色層を、2枚の偏光板の間に挟み、一方の偏光板側からバックライトを当てて、他方の偏光板を透過した光を輝度計にて測定し、偏光板が平行状態における光の輝度(Lp)と直交状態における光の輝度(Lc)の比より算出されるコントラストC(C=Lp/Lc)と、着色画素のない透明基板のみを偏光板の間に挟んで測定したコントラストCSの比(C/CS)が、0.45より大きい着色層が、2色以上有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記リタデーション調整剤は、リタデーションを増加させる化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記リタデーション調整剤が、一つ以上の架橋性基を有する平面構造基を有する有機化合物、メラミン化合物、ポリフィリン化合物、および重合性液晶化合物から選択される1種以上を選択した有機化合物であることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記有機顔料が、平均1次粒子が5〜40nmの範囲にある有機顔料であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記着色画素が、少なくとも緑色を含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のカラーフィルタを用いたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−185986(P2008−185986A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21899(P2007−21899)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】