説明

カラーフィルタの製造方法及びカラーフィルタ、これを用いた液晶表示装置

【課題】着色層を積層したスペーサに絶縁層を設けたカラーフィルタを、インクジェット法により高さ精度を良好に絶縁層を設け廉価に製造するカラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】スペーサ4上に透明電極膜5を介し絶縁層16を形成するための硬化性樹脂組成物をインクジェット法により設け、硬化し絶縁層を形成する。インク吐出量は絶縁層1個当たり2〜9plにて、1回の吐出で設ける。配向膜26’を形成する材料として、硬化性樹脂組成物と同一材料を用い配向膜を絶縁層26と同時に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルタに関するものであり、特に、ビーズを含有しない樹脂組成物を用い、インクジェット法により高さ精度の良好な絶縁層を設ける廉価なカラーフィルタの製造方法及びカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、着色層を積層して形成したスペーサが設けられた液晶表示装置用カラーフィルタの一例の断面図である。図1は、着色層が赤色、緑色、青色の順に形成されたカラーフィルタの赤色着色層と緑色着色層の間を拡大した示したものである。
図1に示すように、このカラーフィルタ(CF1)は、透明基板(1)上に、ブラックマトリックス層(2)、3色の着色層(3R、3G、(3B))、スペーサ(4)、透明電極膜(5)、絶縁層(6)が順次に形成されたものである。スペーサ(4)は、赤色着色層(3R’)、緑色着色層(3G’)、青色着色層(3B’)を積層して形成されたものである。
【0003】
スペーサ(4)を構成する赤色着色層(3R’)、緑色着色層(3G’)、青色着色層(3B’)は、3色の着色層(3R、3G、3B)の形成と同時に形成されたものである。赤色着色層(3R)と赤色着色層(3R’)は連続しており、赤色着色層(3R)が延長されて赤色着色層(3R’)となっている。緑色着色層(3G’)も同様である。また、青色着色層(3B’)は、青色着色層(3B)から独立したパターンの形態である。
【0004】
透明電極膜(5)は、ブラックマトリックス層(2)、3色の着色層(3R、3G、3B)、スペーサ(4)が形成された透明基板(1)の全面に設けられ、スペーサ(4)の上部には対向基板との短絡を防ぐために、透明電極膜(5)を介して絶縁層(6)が形成されている。この絶縁層(6)は、ブラックマトリックス層(2)や、3色の着色層(3R、3G、(3B))と同様にフォトリソグラフィ法によって形成される。
【0005】
従来、液晶パネルの基板間のギャップを保持するスペーサとしては、球状体粒子(ビーズ)を用いていた。画素内にビーズが散布されると、黒表示時にビーズを介した光もれや、ビーズ近傍の液晶分子の配向の乱れによる光もれによってコントラストが低下し、表示品質に悪影響を及ぼすなどの問題を有していた。
【0006】
この問題を解決する手法として、感光性樹脂を用いフォトリソグラフィ法によって、例えば、画素間のブラックマトリックス層の位置にスペーサ機能を有する突起部(スペーサ)(図示せず)を形成する方法が開発された。
この際に用いる感光性樹脂としては、絶縁性を有する、適切な弾性特性を有する、液晶に溶出する不純物を含有しない、などのスペーサ適性を具備した材料を用い、所望する高さに、3色の着色層の形成とは別工程で、ブラックマトリックス層(2)、3色の着色層(3R、3G、3B)、透明電極膜(5)が形成された透明基板(1)上に、1層でスペーサを設けていた。
【0007】
図1に示すスペーサ(4)は、この突起部(スペーサ)を形成する際の工程数を削減するために、3色の着色層(3R’、3G’、3B’)で代替えしたものである。
しかし、図1に示すカラーフィルタ(CF1)では、対向基板との短絡を防ぐために、フォトリソグラフィ法によって絶縁層(6)を形成するといった工程が増えることになる。
【0008】
すなわち、図1に示す、着色層を積層して形成したスペーサを有するカラーフィルタ(CF1)は、上記スペーサとして絶縁性を有し、適切な弾性特性を有し、液晶に溶出する不純物を含有しない材料を用い、所望する高さに、3色の着色層の形成とは別工程で、透明電極膜が形成された透明基板上に設けていた、1層のスペーサと対比すると優位なものとはいえない。
【0009】
一方、前記従来における、球状体粒子(ビーズ)を用いた際の問題を解決する他の手法としては、例えば、特開平9−105946には、インクジェットノズルを用いて液晶パネルの基板間の間隔を調整するための、ビーズと樹脂との混合液をブラックマトリックス層の上方に滴下し、硬化させスペーサを形成する方法が開示されている。
また、例えば、特許第4018465には、インクジェット装置のノズルからビーズ分散滴を吐出し、基板上のブラックマトリックス層の格子点(交点)に着弾させてスペーサを形成する方法が開示されている。
【0010】
しかし、上記のように、ビーズを樹脂組成物に分散したインクを用いたインクジェット法では、a)インクジェットノズルがビーズにより詰まりやすい、b)滴下後にビーズが凝集して狙いのビーズ1個の大きさよりも大きなセルギャップとなる、c)狙った位置にビーズを固定するのが困難でブラックマトリックス層上へ狙った配置をしても画素内にはみ出す、などの問題が発生する。
【0011】
また、前記従来における、球状体粒子(ビーズ)を用いた際の問題を解決する他の第二手法としては、例えば、特開2001−83314には、ビーズを含有しない硬化型樹脂組成物を用い、インクジェット法によりスペーサを形成する方法が開示されている。
この方法は、基板上に形成された透明導電膜の表面を予め処理しておくことによって、ブラックマトリックス層上方のみに、小さなドットのスペーサを強固に固着することを可能としたものである。
【0012】
しかし、ビーズを含有しない硬化型樹脂組成物をスペーサを形成する材料として、インクジェットノズルより吐出し硬化させスペーサとする方法では、流動性の高い樹脂組成物のみで高さ3〜5μmのスペーサを構築させるため、形成されたスペーサの基板内での高さのバラツキは大きく、均一なセルギャップの液晶パネルを得ることは困難である。
【0013】
また、例えば、特開2001−108813には、ビーズを含有しない感光性樹脂組成物を用い、先ず、インクジェット法によりブラックマトリックス層及びその周囲の上方に塗布膜を設け、次に、フォトリソグラフィ法によって上記周囲の塗布膜を除去する方法が開示されている。
しかし、この方法では、上記特開2001−83314における、スペーサの高さの基板内でのバラツキといった難点に加え、画素内へはみ出した塗布膜を除去するためにフォトリソグラフィ工程が増えることになる。また、この方法では、塗布膜の高さとしては、形成するスペーサの高さ3〜5μmを必要とする。
【特許文献1】特開平9−105946号公報
【特許文献2】特許第4018465号公報
【特許文献3】特開2001−83314号公報
【特許文献4】特開2001−108813号公報
【特許文献5】特許第3651874号公報
【特許文献6】特開平4−198919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、着色層を積層して形成したスペーサが設けられ、該スペーサに透明電極膜を介して絶縁層が設けられた液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、ビーズを含有しない樹脂組成物を用いインクジェット法により高さ精度の良好な絶縁層を設け廉価に製造するカラーフィルタの製造方法及びカラーフィルタを提供することを課題とするものである。
また、上記カラーフィルタを用いた液晶表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、透明基板上にブラックマトリックス層、3原色の着色層、スペーサ、透明電極膜を備え、該スペーサは該3原色の内の少なくとも2原色の着色層を積層して形成された液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
前記スペーサ上に、透明電極膜を介し絶縁層を形成するための硬化性樹脂組成物をインクジェット法により設け、該硬化性樹脂組成物を硬化させ絶縁層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0016】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの製造方法において、前記硬化性樹脂組成物をインクジェット法により設ける際のインク吐出量は、絶縁層1個当たり2〜9plにて、1回の吐出で硬化性樹脂組成物を設けることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0017】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの製造方法において、前記硬化性樹脂組成物をインクジェット法により設ける際に、着色層上に配向膜を形成するための材料をインクジェット法により同時に設けることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0018】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの製造方法において、前記配向膜を形成するための材料として、前記硬化性樹脂組成物と同一材料を用いることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0019】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタの製造方法において、前記スペーサは、ブラックマトリックス層上に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0020】
また、本発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載するカラーフィルタの製造方法により製造されたことを特徴とするカラーフィルタである。
【0021】
また、本発明は、請求項6に記載するカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、スペーサ上に、透明電極膜を介し絶縁層を形成するための硬化性樹脂組成物をインクジェット法により設け、該硬化性樹脂組成物を硬化させ絶縁層を形成するので、ビーズを含有しない樹脂組成物を用いインクジェット法により高さ精度の良好な絶縁層を設け廉価に製造するカラーフィルタの製造方法となる。すなわち、ビーズを樹脂組成物に
分散したインクを用いたインクジェット法における、a)インクジェットノズルがビーズにより詰まりやすい、b)滴下後にビーズが凝集して狙いのビーズ1個の大きさよりも大きなセルギャップとなる、c)狙った位置にビーズを固定するのが困難でブラックマトリックス層上へ狙った配置をしても画素内にはみ出す、などの問題は発生しない。
【0023】
また、従来のビーズを含まない樹脂組成物をインクジェットノズルより滴下し硬化させてスペーサとする方法では、流動性の高い樹脂組成物のみで高さ3〜5μmのスペーサを構築するため、スペーサの高さのバラツキが大きく液晶パネル面内で均一なセルギャップを得る事が難しい。本発明は、着色層を2〜4μmの高さに積層したスペーサ上に、インクジェット法により硬化性樹脂組成物を0.1〜1μmの薄い膜とし絶縁層を形成するため、高さのバラツキは小さなものとなる。
また、積層したスペーサが核となり、塗布した硬化性樹脂組成物はスペーサ周りに表面張力で集まるため、樹脂組成物のみでスペーサを形成した際のように樹脂組成物が画素部に流れてしまうといった不具合はない。
【0024】
さらには、従来のスペーサの形成方法では、積層したスペーサ上に絶縁層をフォトリソグラフィ法で形成するといった工程が増えるが、本発明は、高さ精度の良好な絶縁層をインクジェット法により形成するので、廉価に製造することができる。
【0025】
また、本発明は、上記カラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタであるので、ビーズを含有しない樹脂組成物を用いインクジェット法により高さ精度の良好な絶縁層を設けた廉価なカラーフィルタとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図2は、本発明による液晶表示装置用カラーフィルタの一例の断面図である。図2は、着色層が赤色、緑色、青色の順に形成されたカラーフィルタの赤色着色層と緑色着色層の間を拡大した示したものである。
【0027】
図2に示すように、このカラーフィルタ(CF2)は、透明基板(1)上に、ブラックマトリックス層(2)、3色の着色層(3R、3G、(3B))、スペーサ(4)、透明電極膜(5)、絶縁層(16)が順次に形成されたものである。スペーサ(4)は、赤色着色層(3R’)、緑色着色層(3G’)、青色着色層(3B’)を積層して形成されたものである。
【0028】
スペーサ(4)を構成する赤色着色層(3R’)、緑色着色層(3G’)、青色着色層(3B’)は、3色の着色層(3R、3G、3B)の形成と同時に形成されたものである。赤色着色層(3R’)、緑色着色層(3G’)、青色着色層(3B’)の各々は、3色の着色層(3R、3G、(3B))から独立したパターンの形態である。着色層の積層数は、所望されるスペーサ(4)の高さにより設定され、3原色の内の2原色の場合もある。
【0029】
透明電極膜(5)は、ブラックマトリックス層(2)、3色の着色層(3R、3G、3B)、スペーサ(4)が形成された透明基板(1)の全面に設けられ、スペーサ(4)の上部には対向基板との短絡を防ぐために、透明電極膜(5)を介して絶縁層(16)が形成されている。この絶縁層(16)は、硬化性樹脂組成物を用いインクジェット法により形成される。
【0030】
透明基板上にブラックマトリックス層や着色層を形成する方法としては、顔料を分散した感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィ法が主流となっている。有機顔料などの色材を
分散した着色感光性樹脂の塗布膜をフォトマスクを介した露光、現像によってパターニングすることにより着色層を画素状に形成する方法である。
【0031】
ブラックマトリックス層(2)の厚さは、0.5〜3μm、幅は3〜30μm程度である。また、赤色着色層(3R)、緑色着色層(3G)、青色着色層(3B)の厚さは、0.5〜3μm程度である。スペーサ(4)を構成する赤色着色層(3R’)、緑色着色層(3G’)、青色着色層(3B’)の厚さは、3色の着色層(3R、3G、3B)の厚さを凡そ1.8μmで形成した場合に、ブラックマトリックス層(2)上に形成される赤色着色層(3R’)の厚さは0.95μm程度、緑色着色層(3G’)の厚さは0.91μm程度、青色着色層(3B’)の厚さは0.88μm程度と順に薄く形成される傾向にある。
【0032】
絶縁層の厚さは0.1〜2μm、より好ましくは0.5〜1μm範囲で、対向基板との電気的接触を防ぐためにインクジェット法により形成される。
【0033】
ブラックマトリックス層は、黒色樹脂を用いて形成されている。液晶表示装置のコントラストを向上させるために着色層間に形成する細い遮光パターンである。ブラックマトリックス層を形成する方法としては、黒色非感光性樹脂を用いフォトリソグラフィ法によって保護レジストを形成しエッチングによってマトリックス状に形成する方法、或いは黒色感光性樹脂を用いフォトリソグラフィ法によってマトリックス状に形成する方法がある。黒色の色材としては、カーボンブラックや酸化チタン等を用いることができる。
【0034】
ブラックマトリックス層及び着色層の形成に用いる黒色感光性樹脂及び着色感光性樹脂は、例えば、樹脂バインダに顔料を分散剤を用いて分散させ、この分散液にモノマー、開始剤、増感剤、溶剤などを添加して調製される。
本実施の形態においては、ブラックマトリックス層及び着色層の形成に用いる黒色感光性樹脂及び着色感光性樹脂は、樹脂バインダと開始剤を主成分として、樹脂バインダが光重合、又は熱重合、或いは光重合及び熱重合を経て、三次元架橋される。
【0035】
ブラックマトリックス層及び着色層の樹脂バインダを三次元架橋させることによって、パネル組み立て工程における荷重によりブラックマトリックス層及び着色層の厚みが減じるのを抑制することができる。
光重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、アクリレート樹脂、熱重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、エポキシ樹脂、光重合及び熱重合に適合する樹脂バインダとしては、例えば、エポキシアクリレート樹脂があげられる。
【0036】
絶縁層の材料に用いる感光性樹脂としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤を主成分とする感光性樹脂を用いることができる。ポジ型の樹脂材料として、ノボラック樹脂を用いても良い。例えば、市販のポジ型の樹脂材料として、ローム・アンド・ハース(株)のLC100またはLC120、あるいは、AZエレクトニックマテリアルズ(株)のAZMir701を用いて、本発明に係わる0.5〜2μm高さ(厚さ)の絶縁層に形成することができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、アクリル酸を含む(メタ)アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ノボラック樹脂などがあげられる。
【0037】
重合性モノマーとしては、例えば、以下に示すようなモノマーを混合して、又は単独で使用することができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、あるいは、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0038】
前記重合性モノマーの一部が、カルボキシル基含有多官能性単量体を含む重合性モノマーであることは、好ましい。例えば、ペンタエリスリトール又はその誘導体であっても良い。これらモノマーは、他の樹脂固形分を増やさずに現像性などのフォトリソグラフィ適性を保持したまま、さらには、フォトスペーサの弾性復元率を保持したまま、重合性モノマーの混合比率を高めることができる。
【0039】
また、光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2−クロロチオサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン等の硫黄化合物、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシフェニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシナフチル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン類、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物等α−アミノケトン系光重合開始剤である2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニルト2]−モルフオリノプロパン−1−オン(イルガキュア907:チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノート(4−モルフオリノフェニルトブノン−1(イルガキュア369:チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名)などがあげられる。
【0040】
40”クラスサイズの液晶表示装置の表示面内で、フォトリソグラフィ法で形成するスペーサの高さのバラツキは、小さい場合で±0.05μm、大きい場合で±0.2μmの範囲内にある。小さいバラツキを前提としたときでも、パネル作製時の変形量は、最低でも0.16μm必要である(+0.1μm高さのスペーサと−0.1μm高さのスペーサとのバラツキを、貼り合わせ時の荷重とスペーサの変形で吸収する必要がある)。バラツキが大きい場合、0.2μm以上の変形量が必要である。
【0041】
なお、有機顔料を添加した着色層だけでは、堅く弾性にかけるため、有機顔料を含まない絶縁層を用いてスペーサの弾性を確保することが望ましい。絶縁層を設けることで液晶セル化工程での、スペーサ高さ方向の、およそ0.2μm変形量のマージンを吸収することができる。
【0042】
赤色着色層には、例えば、色材として、C.I.PigmentRed7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができ、黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
【0043】
黄色顔料としては、C.I.PigmentYellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。
【0044】
橙色顔料としては、C.I.PigmentOrange36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0045】
赤色着色層が、これら顔料のなかでジケトピロロピロール系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料のうち1種類以上を含む場合には、任意のRthを得ることが容易になるため好ましい。
なぜなら、ジケトピロロピロール系赤色顔料は、その微細化処理を工夫することにより、Rthを正負のどちらにすることも可能であり、その絶対値もある程度制御可能であり、また、アントラキノン系赤色顔料は、微細化処理に関わらず0に近いRthを得やすいためである。
【0046】
その使用量は、顔料の合計重量を基準として、ジケトピロロピロール系赤色顔料を10〜90重量%、アントラキノン系赤色顔料を5〜70重量%とすることが、着色層の色相や明度、膜厚、コントラスト等の点から好ましく、特に、コントラストに着目した場合、ジケトピロロピロール系赤色顔料を25〜75重量%、アントラキノン系赤色顔料を30〜60重量%とすることがより好ましい。
【0047】
緑色着色層には、例えば、C.I.PigmentGreen7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができ、黄色顔料を併用することもできる。黄色顔料としては、赤色着色層に用いる顔料として挙げたものと同様のものが使用可能である。
【0048】
青色着色層には、例えば、C.I.PigmentBlue15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、紫色顔料を併用することもできる。紫色顔料としては、C.I.PigmentViolet1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0049】
青色着色層が、これら顔料のなかで金属フタロシアニン系青色顔料と、ジオキサジン系紫色顔料のうち1種類以上を含む場合には、0に近い位相差を得ることが容易になる。その使用量は、顔料の合計重量を基準として、金属フタロシアニン系青色顔料を40〜100重量%、ジオキサジン系紫色顔料を1〜50重量%とすることが、着色層の色相や明度、膜厚等の点から好ましく、さらに、金属フタロシアニン系青色顔料を50〜98重量%、ジオキサジン系紫色顔料を2〜25重量%とすることがより好ましい。
上記において金属フタロシアニン系青色顔料としてはC.I.PigmentBlue15:6、ジオキサジン系紫色顔料としてはC.I.PigmentViolet23が、優れた耐光性、耐熱性、透明性、および着色力等の点から好適である。
【0050】
絶縁層を構成する樹脂には、成分としては、それ自体は重合反応性のない樹脂、及び、それ自体が重合反応性を有する樹脂のいずれを用いてもよく、また、2種以上の樹脂を組み合わせてバインダー成分として用いても良い。そして、バインダー成分を主体とし、必要に応じて、多官能のモノマーやオリゴマー、単官能のモノマーやオリゴマー、光により活性化する光重合開始材、及び、増感剤などを配合して、光硬化性樹脂組成物を構成する。
【0051】
重合性バインダーとしては、例えば、次のモノマーの2種以上からなる共重合体を用いることができる:アクリル酸、メタクリル酸、トリメリット酸、メチルアクリレート、カプロラクトン、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマー。
【0052】
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
【0053】
一方、熱重合性官能基を有する樹脂をバインダー成分として用いる場合、次に示すようなエチレン性不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーの1種または2種以上を重合させた単独重合体または共重合体を用いることができる。
例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチルなどの(メタ)アクリレート類;o−ビニルフェニルグリシジルエーテル、m−ビニルフェニルグリシジルエーテル、p−ビニルフェニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのビニルグリシジルエーテル類;2,3−ジグリシジルオキシスチレン、3,4−ジグリシジルオキシスチレン、2,4−ジグリシジルオキシスチレン、3,5−ジグリシジルオキシスチレン、2,6−ジグリシジルオキシスチレン、5−ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル、4−ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル、ビニルフロログリシノールトリグリシジルエーテル、2,3−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、3,4−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,4−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、3,5−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,6−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,3,4−トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテル、及び、1,3,5−トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテルである。
【0054】
特に、バインダー成分は、主成分として、バインダー成分全量に対して、重量平均分子量35000以下のアクリル樹脂を10〜55重量%、および、重量平均分子量10000以下のメラミン樹脂を30〜50重量%の割合で含有することが好ましい。特に、上記2種のバインダー成分を、合計で、バインダー成分全量に対して、40〜100重量%の割合で含有することがより好ましい。
【0055】
さらに、その他のバインダー成分としては、耐熱性を有し、カラーフィルタの諸特性を阻害しないもの、例えば、界面活性剤、有機顔料の中間体、エポキシ系樹脂等も必要に応じて適宜使用される。
【0056】
また、本発明に用いる硬化性樹脂組成物は必要に応じて溶剤に溶解して使用することが可能である。主溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる。
例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸、2−エチルヘキサン酸、無水酢酸のような脂肪族カルボン酸類又はその酸無水物;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸のようなハロゲン化カルボン酸類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;N−エチルモルホリン、フェニルモルホリンのようなモルホリン類;ペンチルアミン、トリペンチルアミン、アニリンのような脂肪族又は芳香族アミン類である。
【0057】
主溶剤として使用できる溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。
これらの溶剤は、顔料の分散性、分散安定性も比較的良好であり、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散体の調製に用いられている溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散体を調製することができる。
【0058】
あるいは、絶縁層を構成する樹脂として、後述する配向膜と同じポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール等を用いても良い。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などが挙げられる。
なお、本発明に係わる絶縁層は、光硬化性樹脂組成物や上記樹脂など電気を通さない樹脂材料であれば良い。
【0059】
絶縁層はインクジェット法により硬化性樹脂組成物のインクを吐出することで形成される。インクジェット法により、不吐出、ミスディレクション、サテライト、ミストがなく正確に形成するためには、吐出時におけるインクのレオロジー特性を制御する必要がある。吐出時に、インクジェットヘッドに充填されたインクに与えられる、温度環境、および圧力において、優れた吐出性を有するインクのレオロジー特性は、周波数を100〜0.1 Hzまで変化させた時の23℃から25℃におけるインキの複素粘性率の初期値が20mPa・s以下、かつ、最大値が10000mPa・s以下で、周波数10〜50Hzにおける正接損失が1〜20であることが好ましい。
【0060】
また、そのようなレオロジー特性を持つインクは、主成分として、バインダー成分全量に対して、重量平均分子量35000以下のアクリル樹脂を10〜55重量%、および、重量平均分子量10000以下のメラミン樹脂を30〜50重量%の割合で適宜配合することにより得られる。
【0061】
着色層を積層して形成したスペーサの形状、すなわち、スペーサを基板と平行な面で切断した場合の横断面の形状は、特に限定されないが、円、楕円、角が丸い多角形、四角形、長方形などが好ましい。スペーサは、全画素間のブラックマトリックス層上に上記形状で形成しても良いが、カラーフィルタ基板とTFT基板を貼り合わせる工程での柔軟性を確保するために、赤色画素、緑色画素、青色画素を一組とする画素あたり一個形成することが望ましい。スペーサは上記3色を一組とする画素の間のブラックマトリックス層上に配置される。
【0062】
本発明におけるインクジェット法のインクの粘度は、4〜20cpの範囲にあるものが好適である。粘度調整は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンなどの有機溶剤の添加にて可能である。
【0063】
透明電極を介して積層部上に積層する絶縁層は、インクジェットのノズルからのインク吐出量として、2〜9pl(ピコリットル)の範囲で 1回の吐出で絶縁層を形成することが好ましい。1plより少ないと電気絶縁性が低下し、液晶表示装置としてのセル化工程での液晶パネル貼り合せ時に 対向する基板と電気的短絡を起こして不良を生じやすくなる。10plの吐出量を超えると周辺の着色画素にはみ出す問題が生じる。
【0064】
透明電極膜は、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化アンチモン等より選ばれる複数の金属酸化物の導電性酸化物薄膜として、スパッタリング等の真空成膜にて形成する。
【0065】
液晶表示装置用カラーフィルタは次のようにして製造する。
先ず、透明基板上にブラックマトリックス層を形成する。その後、赤色着色層、緑色着色層、青色着色層の各着色層を形成する。反射型液晶表示装置のような光の光路長に差の生じる液晶表示装置では、着色層の色度は、透過部、反射部で求められる色度が相違するために、着色層の膜厚や色度調整をする必要がある。色度を調整する方法としては、それぞれ別々にパターンを形成したり、反射部の膜厚を薄くしたり、反射部の着色層に開口部を設けるなどの方法があるが、これらの方法に限定するものではない。
【0066】
赤色着色層の形成に際しては、着色層が透明基板上の画素領域だけでなく、スペーサを形成するブラックマトリックス層上にも赤色着色層が形成されるようにパターン形成する。同様に、緑色着色層、青色着色層の形成に際しては、着色層が透明基板上の画素領域だけでなく、スペーサを形成するブラックマトリクス層上にも積層されるようにパターン形成する。
積層する着色層は赤色、緑色、青色の3色でも良く、或いは狙いのスペーサ高さによってはいずれか2色の着色層を積層してもよい。
【0067】
次いで、全面に透明電極膜を形成し、着色層を積層したスペーサ上の透明電極膜の部分にインクジェット法により絶縁層を形成する。
本発明によるカラーフィルタでは、透明電極膜を形成する前に透明保護層を形成しても良い。このような透明保護層の形成は、カラーフィルタの構造を複雑にし、製造コストが高
くなる点で不利であるが、一方、カラーフィルタからの不純物のシミ出し防止、表面平坦化に有利である。
【0068】
一方、着色層を積層したスペーサの高さは、ブラックマトリクス層や着色層の膜厚、絶縁層の膜厚、積層する着色層の数のいずれによっても変更することができるが、着色層の膜厚を変えた場合、着色層を形成する着色樹脂組成物の色材の量を調整する必要が生じるため、絶縁層やブラックマトリクス層の膜厚、積層する着色層の数によって調整することが望ましい。
【0069】
また、2種以上の異なる高さのスペーサを形成してもよい。液晶表示装置用カラーフィルタと対向基板を貼り合わせてパネルとするパネル組み立て工程では、周辺部にシール部を設け、液晶表示装置用カラーフィルタと対向基板のギャップを平行にして、上下定盤間に荷重を加えシール部及びスペーサを圧着し貼り合わせるが、この際に加わる荷重によってスペーサが変形するので、変形した状態で基板間のギャップが設定されることになる。この際、局部的に過剰な荷重を受けると、基板間のギャップが縮小して色ムラを発生させることがある。
このような局部的に過剰な荷重に対応して、2種のスペーサを有する液晶表示装置用カラーフィルタが提案されている。
【0070】
また、表1は、3色の着色層を積層した際の、各着色層の膜厚と得られるスペーサ高さ全体との関係を具体的に例示したものである。上記調整によって、スペーサ高さ全体は、ある範囲内にて任意に設定できることが示されている。
【0071】
【表1】

また、スペーサ高さ全体を低くしたい場合や、色設計の関係で着色層の膜厚が厚くなる場合には、2色の着色層を積層することによって対応できる。
表2は、2色の着色層を積層した際の、各着色層の膜厚と得られるスペーサ高さ全体との関係を具体的に例示したものである。上記調整によって、スペーサ高さ全体は、ある範囲内にて任意に設定できることが示されている。
【0072】
【表2】

図3は、請求項3又は4に係わるカラーフィルタの一例の断面図である。図3に示すカラーフィルタ(CF3)は、インクジェット法により絶縁層(26)を形成する際に着色層上に配向膜(26’)を同時にインクジェット法にて形成したものである。絶縁層(26)の材料と配向膜(26’)の材料は異なる樹脂組成物を用いても良いが、混合してしまう恐れがあるため同一材料を用いる事が望ましい。この際、配向膜(26’)の厚さは、通常0.05〜0.1μmで形成されるが、絶縁層(26)は電気的絶縁を確保するためインクジェットの吐出圧を調整し0.1μm以上の厚さで形成することが望ましい。
【0073】
配向膜を構成する材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール等が通常使用され、市販の配向膜材料を用いることができる。具体的には日産化学(株)製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製の配向膜材料(QL,LXシリーズ)、JSR(株)製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ(株)製の配向剤(リクソンアライナー)などが挙げられる。
【0074】
また、請求項5に係わるカラーフィルタは、3原色の着色層を積層して形成されたスペーサが、ブラックマトリックス層上に形成されたことを特徴としている。スペーサをブラックマトリックス層上に形成することにより、着色層上にスペーサを形成する場合と比較し、表示領域の開口部を高くすることができ、また、液晶の配向不良による表示不良を防ぐことができる。
【0075】
図4は、比較のためのカラーフィルタの第一例の断面図である。図4に示すカラーフィルタ(CF4)は、着色層の積層をせず、絶縁層のみでスペーサをインクジェット法により形成したものである。カラーフィルタ面内でのスペーサの高さのバラツキは、図2に示すカラーフィルタ(CF2)では±0.05μmであったのに対し、図4に示すカラーフィルタ(CF4)では、そのバラツキは±0.5μmであった。また、硬化性樹脂組成物が着色層上へ流れてしまい黒表示時に光漏れ発生するなど表示不良が生じた。
【0076】
図5は、比較のためのカラーフィルタの第二例の断面図である。図5に示すカラーフィルタ(CF5)は、図2に示すカラーフィルタ(CF2)にて着色層を積層したスペーサを形成せず、ビーズを含有した樹脂組成物をインクジェット法にて塗布しスペーサを形成したものである。
得られたカラーフィルタ(CF5)は、ブラックマトリクス層上への固着が難しく着色層上にはみ出している。また、連続してカラーフィルタを作成したところビーズ(46)により一部のインクジェットノズルに詰まりが発生し、カラーフィルタ上ではスペーサが形成されない部分が発生した。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】着色層を積層して形成したスペーサが設けられた液晶表示装置用カラーフィルタの一例の断面図である。
【図2】本発明による液晶表示装置用カラーフィルタの一例の断面図である。
【図3】請求項3又は4に係わるカラーフィルタの一例の断面図である。
【図4】比較のためのカラーフィルタの第一例の断面図である。
【図5】比較のためのカラーフィルタの第二例の断面図である。
【符号の説明】
【0078】
1・・・透明基板
2・・・ブラックマトリックス層
3R・・・赤色着色層
3G・・・緑色着色層
3B・・・青色着色層
3R’・・・積層した赤色着色層
3G’・・・積層した緑色着色層
3B’・・・積層した青色着色層
4・・・スペーサ
5・・・透明電極膜
6、36・・・絶縁層
16、26・・・本発明における絶縁層
26’・・・配向膜
46・・・ビーズ
CF1・・・着色層を積層して形成したスペーサが設けられた液晶表示装置用カラーフィルタの一例
CF2・・・本発明による液晶表示装置用カラーフィルタの一例
CF3・・・請求項3又は4に係わるカラーフィルタ
CF4・・・比較のためのカラーフィルタの第一例
CF5・・・比較のためのカラーフィルタの第二例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上にブラックマトリックス層、3原色の着色層、スペーサ、透明電極膜を備え、該スペーサは該3原色の内の少なくとも2原色の着色層を積層して形成された液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、
前記スペーサ上に、透明電極膜を介し絶縁層を形成するための硬化性樹脂組成物をインクジェット法により設け、該硬化性樹脂組成物を硬化させ絶縁層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項2】
前記硬化性樹脂組成物をインクジェット法により設ける際のインク吐出量は、絶縁層1個当たり2〜9plにて、1回の吐出で硬化性樹脂組成物を設けることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項3】
前記硬化性樹脂組成物をインクジェット法により設ける際に、着色層上に配向膜を形成するための材料をインクジェット法により同時に設けることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項4】
前記配向膜を形成するための材料として、前記硬化性樹脂組成物と同一材料を用いることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項5】
前記スペーサは、ブラックマトリックス層上に形成することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載するカラーフィルタの製造方法により製造されたことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載するカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−117482(P2010−117482A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289740(P2008−289740)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】