説明

カラーフィルターの製造方法およびカラーフィルター

【課題】カラーフィルターをより簡易に製造することができるカラーフィルター製造方法を提供する。
【解決手段】はじめに、基材70上に赤色着色層用材料71aを塗布し、次に、遮光部分64および赤色着色部分61に対応する領域に赤色着色層用材料71aが残るよう、赤色着色層用材料71aを露光する。その後、赤色着色層用材料71a上に遮光層用材料74aを塗布し、次に、遮光部分64に対応する領域に遮光層用材料74aが残るよう、遮光層用材料74aを露光する。その後、赤色着色層用材料71aおよび遮光層用材料74aを現像して、遮光層74と赤色着色層71とを含む遮光部分64を形成するとともに、赤色着色層71を含む赤色着色部分61を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光部分と、遮光部分間に設けられた着色部分とを有するカラーフィルターを製造する方法に関する。また本発明は、遮光部分と、遮光部分間に設けられた着色部分とを有するカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面ディスプレイとして液晶表示装置や有機EL表示装置などが実用化されている。これらの表示装置においては、一般に、光源からの光のうち所望の波長の光のみを取り出すため、または、光源からの光の色純度を向上させるため、カラーフィルターが設けられている。
【0003】
カラーフィルターは、基材上に設けられ、光源からの光を遮蔽する遮光部分と、遮光部分間に設けられ、光源からの光のうち所望の波長を有する光のみを透過させる着色部分と、を備えている。このようなカラーフィルターの製造方法は、一般に、遮光部分を形成する工程と、遮光部分間に設けられた着色部分を形成する工程と、を備えている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のカラーフィルター製造方法においては、はじめに、基材上に遮光部分が所定のパターンで形成され、次に、遮光部分間に、赤色着色部分、緑色着色部分および青色着色部分が形成される。このうち遮光部分を形成する工程においては、はじめに、基材上にクロム薄膜が形成され、次に、クロム薄膜上に感光性レジストが塗布される。その後、感光性レジストを所定のマスクを介して露光、現像することによりレジストパターンが形成され、次に、当該レジストパターンをマスクとしてクロム薄膜をエッチングすることにより、所定パターンを有する遮光部分が形成される。
【0005】
また、赤色着色部分を形成する工程においては、はじめに、赤色着色部分を構成する赤色用感光性樹脂が基材上に塗布され、次に、当該赤色用感光性樹脂が所定のマスクを介して露光、現像され、これによって、遮光部分間に赤色着色部分が形成される。緑色着色部分および青色着色部分を形成する工程においても、赤色着色部分の形成工程の場合と同様に、塗布処理、露光処理および現像処理を行うことにより、遮光部分間に緑色着色部分および青色着色部分が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−171624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のカラーフィルター製造方法においては、遮光部分の形成工程と、各色の着色部分の形成工程とにおいて、塗布処理、露光処理および現像処理がそれぞれ実施される。このように同様の処理が繰り返されるため、製造に要する時間が長くなることや、製造設備のコストが高くなることが考えられる。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、カラーフィルターをより簡易に製造することができるカラーフィルター製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分とを有するカラーフィルターを製造する方法において、基材を準備する工程と、前記基材上に第1着色層用材料を塗布する工程と、前記基材の前記遮光部分および前記第1着色部分に対応する領域に前記第1着色層用材料が残るよう、前記第1着色層用材料を露光する工程と、前記第1着色層用材料上に遮光層用材料を塗布する工程と、前記基材の前記遮光部分に対応する領域に前記遮光層用材料が残るよう、前記遮光層用材料を露光する工程と、前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成する工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルター製造方法である。
【0010】
本発明によるカラーフィルター製造方法において、カラーフィルターは、遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分、第2着色部分および第3着色部分とを有していてもよい。
この場合、前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成した後に、第2着色層を含む第2着色部分を形成し、第3着色層を含む第3着色部分を形成してもよい。
若しくは、前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成する前に、第2着色層を含む第2着色部分を形成し、第3着色層を含む第3着色部分を形成してもよい。
若しくは、前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成する前に、第2着色層を含む第2着色部分を形成し、かつ、前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成した後に、第3着色層を含む第3着色部分を形成してもよい。
【0011】
本発明によるカラーフィルター製造方法において、前記第1着色層用材料は、露光により硬化するネガ型の感光性材料からなっていてもよい。この場合、前記第1着色層用材料を露光する工程において、前記基材の前記遮光部分および前記第1着色部分に対応する領域に塗布された前記第1着色層用材料が露光される。
【0012】
本発明によるカラーフィルター製造方法において、前記第1着色層用材料は、露光により軟化するポジ型の感光性材料からなっていてもよい。この場合、前記第1着色層用材料を露光する工程において、前記基材の前記遮光部分および前記第1着色部分に対応する領域以外の領域に塗布された前記第1着色層用材料が露光される。
【0013】
本発明によるカラーフィルター製造方法において、前記遮光層用材料は、露光により硬化するネガ型の感光性材料からなっていてもよい。この場合、前記遮光層用材料を露光する工程において、前記基材の前記遮光部分に対応する領域に塗布された前記遮光層用材料が露光される。
【0014】
本発明によるカラーフィルター製造方法において、前記遮光層用材料は、露光により軟化するポジ型の感光性材料からなっていてもよい。この場合、前記遮光層用材料を露光する工程において、前記基材の前記遮光部分に対応する領域以外の領域に塗布された前記遮光層用材料が露光される。
【0015】
本発明は、基材と、基材上に形成された遮光層および第1着色層を有するカラーフィルターにおいて、カラーフィルターをその法線方向から見た場合、入射した光を遮光する遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分と、に区画され、前記第1着色部分は、前記基材と、前記基材上に形成された第1着色層とを含み、前記遮光部分は、前記基材と、前記基材上に形成された第1着色層と、当該第1着色層上に形成された遮光層とを含むことを特徴とするカラーフィルターである。
【0016】
本発明によるカラーフィルターは、基材上に形成された第2着色層および第3着色層をさらに有していてもよい。この場合、カラーフィルターをその法線方向から見た場合、入射した光を遮光する遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分、第2着色部分および第3着色部分に区画され、前記第2着色部分は、前記基材と、前記基材上に形成された第2着色層とを含んでおり、前記第3着色部分は、前記基材と、前記基材上に形成された第3着色層とを含んでいる。
【0017】
本発明によるカラーフィルター製造システムは、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分と、遮光部分間に設けられ、第1着色層を第1着色部分とを有するカラーフィルターを製造するシステムであって、カラーフィルター用の基材を保管するとともに搬送するコア装置と、前記コア装置に接続された第1着色処理ラインであって、前記基材上に第1着色層用材料を塗布する塗布装置と、前記基材の前記遮光部分および前記第1着色部分に対応する領域に前記第1着色層用材料が残るよう、前記第1着色層用材料を露光する露光装置と、を有する第1着色処理ラインと、前記コア装置に接続された遮光層用処理ラインであって、前記基材上に遮光層用材料を塗布する塗布装置と、前記基材の前記遮光部分に対応する領域に前記遮光層用材料が残るよう、前記遮光層用材料を露光する露光装置と、露光済みの前記遮光層用材料を現像する現像装置と、を有する遮光層用処理ラインと、を備え、前記コア装置は、露光済みの前記第1着色層用材料が形成された前記基材を、前記第1着色処理ラインから前記遮光層用処理ラインに搬送し、前記遮光層用処理ラインの前記現像装置において、露光済みの前記第1着色層用材と露光済みの前記遮光層用材料とがともに現像されることを特徴とするカラーフィルター製造システムである。
【0018】
本発明によるカラーフィルター製造システムにおいて、前記第1着色処理ラインは、露光済みの前記第1着色層用材料を現像する現像装置をさらに有していてもよい。この場合、前記第1着色処理ラインには、第1着色処理ラインの前記露光装置を経た前記基材を、第1着色処理ラインの前記現像装置をバイパスして前記コア装置に戻すバイパスラインが設けられている。
【0019】
本発明によるカラーフィルター製造システムにおいて、前記第1着色処理ラインは、第1着色処理ラインの前記現像装置を経た基材に対して加熱処理を施す焼成装置をさらに有していてもよい。この場合、前記第1着色処理ラインには、第1着色処理ラインの前記露光装置を経た前記基材を、第1着色処理ラインの前記現像装置および前記焼成装置をバイパスして前記コア装置に戻すバイパスラインが設けられている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カラーフィルター製造方法は、基材を準備する工程と、基材上に第1着色層用材料を塗布する工程と、基材の遮光部分および第1着色部分に対応する領域に第1着色層用材料が残るよう、第1着色層用材料を露光する工程と、第1着色層用材料上に遮光層用材料を塗布する工程と、基材の遮光部分に対応する領域に遮光層用材料が残るよう、遮光層用材料を露光する工程と、第1着色層用材料および遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成する工程と、を備えている。このように本発明によれば、まず、基材上に、露光済みの第1着色層用材料が形成され、その後、露光済みの第1着色層用材料上に、露光済みの遮光層用材料が形成される。このため、第1着色層用材料と遮光層用材料とを1回の現像処理により同時に現像することができる。このため、第1着色層用材料と遮光層用材料とを別々の現像処理により現像する場合に比べて、現像処理の回数を削減することができる。このことにより、製造に要する時間を短くすることができ、また、製造設備のコストを低減することができる。
【0021】
本発明によれば、カラーフィルターは、基材と、基材上に形成された遮光層および第1着色層を有している。また、カラーフィルターをその法線方向から見た場合、入射した光を遮光する遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分と、に区画される。このうち遮光部分は、基材と、基材上に形成された第1着色層と、当該第1着色層上に形成された遮光層とを含んでいる。このため、遮光部分が第1着色層を含まない場合に比べて、遮光部分における光学濃度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1(a)は、本実施の形態におけるカラーフィルターを示す縦断面図、図1(b)は、本実施の形態によるカラーフィルターを示す平面図。
【図2】図2は、本実施の形態におけるカラーフィルター製造システムを示す図。
【図3】図3(a)〜(d)は、本実施の形態におけるカラーフィルター製造方法を示す図。
【図4】図4(a)〜(e)は、本実施の形態によるカラーフィルター製造方法において、第1着色部分および遮光部分を形成する工程を示す図。
【図5】図5(a)〜(d)は、比較の形態におけるカラーフィルター製造方法を示す図。
【図6】図6(a)〜(d)は、本実施の形態におけるカラーフィルター製造方法の変形例を示す図。
【図7】図7(a)〜(d)は、本実施の形態におけるカラーフィルター製造方法のその他の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図1により、本実施の形態におけるカラーフィルター60全体について説明する。
【0024】
カラーフィルター
図1(a)に示すように、カラーフィルター60は、基材70と、基材70上に所定のパターンで形成された赤色着色層(第1着色層)71と、赤色着色層71上に所定パターンで形成された遮光層74と、赤色着色層71間に形成された緑色着色層(第2着色層)72および青色着色層(第3着色層)73と、を有している。
【0025】
また、図1(b)に示すように、カラーフィルター60をその法線方向(図1(a)において矢印Dで示す方向)から見た場合、カラーフィルター60に入射した光を遮光する遮光部分64と、遮光部分64間に設けられた赤色着色部分(第1着色部分)61、緑色着色部分(第2着色部分)62および青色着色部分(第3着色部分)63と、に区画される。このうち、赤色着色部分61は、図1(a)に示すように、基材70と、基材70上に形成された赤色着色層71と、を含んでいる。同様に、緑色着色部分62は、基材70と、基材70上に形成された緑色着色層72と、を含んでおり、青色着色部分63は、基材70と、基材70上に形成された青色着色層73と、を含んでいる。また、図1(a)に示すように、遮光部分64は、基材70と、基材70上に形成された赤色着色層71と、当該赤色着色層71上に形成された遮光層74とを含んでいる。
【0026】
次に、カラーフィルター60の各構成要素についてそれぞれ詳細に説明する。
【0027】
はじめに基材70について説明する。基材70の材料は、光透過性を有するとともに、所定の安定性、耐久性等を備える限り特に限定されるものではない。基材70の材料として、例えば、ガラスやポリマー等が使用される。
【0028】
次に、赤色着色層71、緑色着色層72および青色着色層73について説明する。各着色層71,72,73は、後述するように、はじめに、各色の顔料や染料等の着色剤が分散または溶解された感光性樹脂を基材70上に塗布し、その後、塗布された感光性樹脂を露光、現像することにより形成される層である。
このうち赤色着色層71に用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色着色層72に用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色着色層73に用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
各着色層71,72,73を構成する感光性樹脂としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれにおいても、一般的なネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂、例えばアルカリ可溶性の感光性樹脂を用いることができる。
例えば、ネガ型感光性樹脂としては、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。また例えば、アクリル系ネガ型感光性樹脂として、少なくとも紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にC=Cなるアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するものを用いることができる。上記のアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン−アクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマー等が挙げられる。
また、ポジ型感光性樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。
本実施の形態においては、各着色層71,72,73を構成する感光性樹脂として、ネガ型の感光性樹脂が用いられる。
【0030】
次に、遮光層74について説明する。遮光層74は、後述するように、はじめに、遮光性粒子を含有する感光性樹脂を基材70上に塗布し、その後、塗布された感光性樹脂を露光、現像することにより形成される層である。
遮光性粒子としては、感光性樹脂に所望の遮光性を付与することができる粒子が用いられ、例えば、カーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等が用いられる。
遮光層74を構成する感光性樹脂としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれにおいても、各着色層71,72,73の場合と同様に、一般的なネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂を用いることができる。
なお、本実施の形態においては、遮光層74を構成する感光性樹脂として、ネガ型の感光性樹脂が用いられる。
【0031】
なお、図示はしないが、カラーフィルター60は、各着色層71,72,73および遮光層74を覆うオーバーコート層をさらに有していてもよい。オーバーコート層は、各着色層71,72,73および遮光層74を外部から保護するとともに、各着色層71,72,73および遮光層74に含まれる不純物などが外部に流出するのを防ぐ層である。オーバーコート層は、例えば複数の層を積層して形成されており、各層の材料としては、例えば透明感光性樹脂、透明熱硬化性樹脂等を用いることができる。各層の材料として、珪素、アルミニウム、亜鉛またはスズの酸化物または酸窒化物等が用いられていてもよい。
【0032】
また、図示はしないが、カラーフィルター60は、カラーフィルター60と対向するよう配置される表示基板(液晶駆動用基板、有機EL基板など)との間隔を一定に保つためのスペーサーをさらに有していてもよい。スペーサーは、一般に、遮光部分64に形成される。スペーサーを形成する方法が特に限られることはなく、例えば、遮光層74よりも後に形成される緑色着色層72および青色着色層73を遮光層74上に積層させることによりスペーサーを形成してもよい。
【0033】
カラーフィルター製造システム
次に、図2を参照して、カラーフィルター60を製造するカラーフィルター製造システム1について説明する。図1に示すように、カラーフィルター製造システム1は、複数枚の基材70が収納された複数の基材収納済みのカセット(図示せず)または空のカセット(図示せず)を保管するスタッカークレーン方式のコア装置10と、コア装置10の複数の基材出し入れ位置(基材搬出位置C1および基材搬入位置C2)のそれぞれに接続され、コア装置10内に保管されている基材収納済みのカセット内に収納された基材70に対してカラーフィルター60を製造するための各種の処理を行う複数の処理ライン20,30,40,50とを備えている。なお、コア装置10は水平な設置面上にて直線状に延びるように設置され、各処理ライン20,30,40,50は設置面上にてコア装置10の側部から逆U字状に横方向に張り出すように設置されている。
【0034】
上述のように、カラーフィルター製造システム1において、スタッカークレーン方式のコア装置10が各処理ライン20,30,40,50に接続されている。また、コア装置10は、複数のカセットを保管するためのストッカー(図示せず)と、このストッカーに保管されているカセットをストッカー内で搬送するスタッカークレーン(図示せず)とを有している。ここで、スタッカークレーンは、図2における左右方向に走行可能となっている。このため、カセットに収納されている基材70に対して、各処理ライン20,30,40,50による処理を任意の順番で施すことが可能である。
【0035】
上述の処理ライン20,30,40,50のうち、処理ライン20は、基材70上に所定パターンで遮光層74を形成するための遮光層用処理ライン20である。この遮光層用処理ライン20は、図2に示すように、基材70上に遮光層用材料74aを塗布する塗布装置21と、塗布された遮光層用材料74aを加熱により固化させるホットプレート(HP)22と、加熱された基材70および遮光層用材料74aを冷却するコールドプレート(CP)23と、遮光層用材料74aを所定パターンで露光する露光装置24と、露光済みの遮光層用材料74aを現像して遮光層74を形成する現像装置25と、形成された遮光層74に対して加熱処理を施す焼成装置26と、を有している。
【0036】
処理ライン30は、基材70上に所定パターンで赤色着色層(第1着色層)71を形成するための第1着色処理ライン30である。この第1着色処理ライン30は、図2に示すように、基材70上に赤色着色層用材料(第1着色層用材料)71aを塗布する塗布装置31と、塗布された赤色着色層用材料71aを加熱により固化させるホットプレート(HP)32と、加熱された基材70および赤色着色層用材料71aを冷却するコールドプレート(CP)33と、赤色着色層用材料71aを所定パターンで露光する露光装置34と、を有している。後述するように、露光済みの赤色着色層用材料71aは、露光済みの遮光層用材料74aとともに現像装置25により現像され、これによって赤色着色層71が形成される。
【0037】
処理ライン40は、基材70上に所定パターンで緑色着色層(第2着色層)72を形成するための第2着色処理ライン40である。この第2着色処理ライン40は、図2に示すように、基材70上に緑色着色層用材料(第2着色層用材料)72aを塗布する塗布装置41と、塗布された緑色着色層用材料72aを加熱により固化させるホットプレート(HP)42と、加熱された基材70および緑色着色層用材料72aを冷却するコールドプレート(CP)43と、緑色着色層用材料72aを所定パターンで露光する露光装置44と、露光済みの緑色着色層用材料72aを現像して緑色着色層72を形成する現像装置45と、形成された緑色着色層72に対して加熱処理を施す焼成装置46と、を有している。
【0038】
処理ライン50は、基材70上に所定パターンで青色着色層(第3着色層)73を形成するための第3着色処理ライン50である。第3着色処理ライン50も、第2着色処理ライン40と同様に、基材70上に青色着色層用材料(第3着色層用材料)73aを塗布する塗布装置51と、塗布された青色着色層用材料73aを加熱により固化させるホットプレート(HP)52と、加熱された基材70および青色着色層用材料73aを冷却するコールドプレート(CP)53と、青色着色層用材料73aを所定パターンで露光する露光装置54と、露光済みの青色着色層用材料73aを現像して青色着色層73を形成する現像装置55と、形成された青色着色層73に対して加熱処理を施す焼成装置56と、を有している。
【0039】
なお、図示はしないが、各処理ライン20,40,50において、現像装置25,45,55による現像処理の後に基材70を洗浄(リンス処理)するための洗浄装置がさらに設けられていてもよい。また、各処理ライン20,30,40,50において、乾燥装置やさらなる洗浄装置などが適宜設けられていてもよい。
【0040】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、はじめに、カラーフィルター60の製造方法について説明し、その後、カラーフィルター60の作用について説明する。
【0041】
カラーフィルターの製造方法
図2、図3(a)〜(d)、図4(a)〜(e)を参照して、カラーフィルター60の製造工程について説明する。
図3(a)は、カラーフィルター製造システム1の第1着色処理ライン30により実施される処理を示す図であり、図3(b)は、遮光層用処理ライン20により実施される処理を示す図であり、図3(c)は、第2着色処理ライン40により実施される処理を示す図であり、図3(d)は、第3着色処理ライン50により実施される処理を示す図である。図3(a)〜(d)においては、右側に、各処理ラインにおいて実施される処理の手順が示されており、左側に、各処理ラインによる処理が実施された後の、基材70の縦断面図が示されている。
また、図4(a)〜(c)は、第1着色処理ライン30により実施される処理をより詳細に示す図であり、図4(d)〜(e)は、遮光層用処理ライン20により実施される処理をより詳細に示す図である。図4(a)〜(e)においては、右側に、処理中の基材70を上方から見た場合の平面図が示されており、左側に、処理中の基材70の縦断面図が示されている。
【0042】
まず、カラーフィルター製造システム1のコア装置10のストッカー内に、基材70を収納する。次に、コア装置10のスタッカークレーンにより、ストッカー内の基材70を第1着色処理ライン30内へ搬送する。
【0043】
(第1着色処理ラインによる処理)
次に、図3(a)および図4(a)に示すように、第1着色処理ライン30の塗布装置31により、基材70上に赤色着色層用材料71aを塗布する。赤色着色層用材料71aを基材70上に塗布する方法が特に限られることはなく、スピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法などを適宜用いることができる。
【0044】
その後、図3(a)に示すように、ホットプレート32により、塗布された赤色着色層用材料71aを加熱により固化させ、次に、コールドプレート33により、加熱された基材70および赤色着色層用材料71aを冷却する。加熱または冷却の際の温度などは、赤色着色層用材料71aの組成などに応じて適宜設定される。
【0045】
次に、図3(a)および図4(b)に示すように、露光装置34により、基材70のうち、上述のカラーフィルター60の遮光部分64および赤色着色部分61に対応する領域に赤色着色層用材料71aが残るよう、マスク81を介して赤色着色層用材料71aを露光する。このようにして、図3(a)の左側に示すように、露光済みの赤色着色層用材料71aが基材70上に形成される。
なお本実施の形態においては、上述のように、赤色着色層用材料71a(赤色着色層71)を構成する感光性樹脂として、ネガ型の感光性樹脂が用いられている。従って、赤色着色層用材料71aを露光する工程においては、遮光部分64および赤色着色部分61に対応する領域に塗布された赤色着色層用材料71aが露光される。また、図4(a)に示すように、マスク81は、遮光部分64および赤色着色部分61に対応する領域に形成された開口部81aと、それ以外の領域に形成された遮蔽部81bと、を有している。
【0046】
(遮光層用処理ラインによる処理)
その後、コア装置10のスタッカークレーンにより、露光済みの赤色着色層用材料71aが形成された基材70を、第1着色処理ライン30から遮光層用処理ライン20に搬送する。次に、図3(b)および図4(c)に示すように、遮光層用処理ライン20の塗布装置21により、露光済みの赤色着色層用材料71a上に遮光層用材料74aを塗布する。遮光層用材料74aを塗布する方法が特に限られることはなく、赤色着色層用材料71aの場合と同様に、様々な塗布方法を適宜用いることができる。
【0047】
その後、図3(b)に示すように、ホットプレート22により、塗布された遮光層用材料74aを加熱により固化させ、次に、コールドプレート23により、加熱された基材70および遮光層用材料74aを冷却する。加熱または冷却の際の温度などは、遮光層用材料74aの組成などに応じて適宜設定される。
【0048】
次に、図3(b)および図4(d)に示すように、露光装置24により、基材70のうち、上述のカラーフィルター60の遮光部分64に対応する領域に遮光層用材料74aが残るよう、マスク84を介して遮光層用材料74aを露光する。
なお本実施の形態においては、上述のように、遮光層用材料74a(遮光層用74)を構成する感光性樹脂として、ネガ型の感光性樹脂が用いられている。従って、遮光層用材料74aを露光する工程においては、遮光部分64に対応する領域に塗布された遮光層用材料74aが露光される。また、図4(d)に示すように、マスク84は、遮光部分64に対応する領域に形成された開口部84aと、それ以外の領域に形成された遮蔽部84bと、を有している。
【0049】
次に、現像装置25により、基材70上に形成されている露光済みの赤色着色層用材料71aおよび露光済みの遮光層用材料74aを現像する。これによって、図3(b)および図4(e)に示すように、遮光部分64に対応する領域に遮光層74と赤色着色層71とが形成され、同時に、赤色着色部分61に対応する領域に赤色着色層71が形成される。現像処理において用いられる現像液が特に限られることはなく、未露光のネガ型の感光性樹脂を除去することのできる一般的な現像液、例えばアルカリ性の水溶液が用いられる。アルカリ性の水溶液に含まれるアルカリ性物質としては、例えば、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
その後、焼成装置26により、形成された赤色着色層71および遮光層74に対して加熱処理が施される。
【0050】
(第2着色処理ラインによる処理)
その後、コア装置10のスタッカークレーンにより、基材70を、遮光層用処理ライン20から第2着色処理ライン40に搬送する。次に、図3(c)に示すように、第2着色処理ライン40により、緑色着色部分62に対応する領域に緑色着色層72を形成する。この場合、遮光層用処理ライン20による処理の場合と同様に、まず、塗布装置41による緑色着色層用材料72aの塗布と、ホットプレート42による加熱と、コールドプレート43による冷却とが行われる。その後、緑色着色層用材料72aに対して、露光装置44による露光と、現像装置45による現像と、焼成装置46による焼成とが行われる。これによって、図3(c)の左側に示すように、緑色着色部分62に対応する領域に緑色着色層72が形成される。
なお、第2着色処理ライン40における各処理は、上述の遮光層用処理ライン20における各処理と略同一であり、詳細な説明は省略する。
【0051】
(第3着色処理ラインによる処理)
その後、コア装置10のスタッカークレーンにより、基材70を、第2着色処理ライン40から第3着色処理ライン50に搬送する。次に、図3(d)に示すように、第3着色処理ライン50により、青色着色部分63に対応する領域に青色着色層73を形成する。この場合も、遮光層用処理ライン20による処理の場合と同様に、まず、塗布装置51による青色着色層用材料73aの塗布と、ホットプレート52による加熱と、コールドプレート53による冷却とが行われる。その後、青色着色層用材料73aに対して、露光装置54による露光と、現像装置55による現像と、焼成装置56による焼成とが行われる。これによって、図3(d)の左側に示すように、青色着色部分63に対応する領域に青色着色層73が形成される。
なお、第3着色処理ライン50における各処理も、上述の遮光層用処理ライン20における各処理と略同一であり、詳細な説明は省略する。
【0052】
このようにして、図3(d)の左側に示すように、遮光層74と赤色着色層71とを含む遮光部分64と、赤色着色層71を含む赤色着色部分61と、緑色着色層72を含む緑色着色部分62と、青色着色層73を含む青色着色部分63と、を有するカラーフィルター60が形成される。この場合、本実施の形態においては、上述のように、露光済みの遮光層用材料74aに対する現像処理および焼成処理と、露光済みの赤色着色層用材料71aに対する現像処理および焼成処理とが、遮光層用処理ライン20において同時に行われる。このため、露光済みの遮光層用材料74aに対する現像処理および焼成処理と、露光済みの赤色着色層用材料71aに対する現像処理および焼成処理とが、それぞれ別個の処理ラインにおいて行われる場合に比べて、カラーフィルター製造方法における現像処理および焼成処理の回数を削減することができる。このことにより、カラーフィルター60の製造に要する時間を短くすることができる。
また本実施の形態によれば、カラーフィルター製造システム1において、第1着色処理ライン30に現像装置および焼成装置を設ける必要がない。このため、カラーフィルター製造システム1を構築するためのコストを削減することができる。
【0053】
また本実施の形態によれば、上述のように、カラーフィルター60の遮光部分64は、基材70と、遮光層74と、基材70と遮光層74との間に設けられた赤色着色層71と、を含んでいる。このため、基材70と遮光層74との間に赤色着色層71が設けられていない場合に比べて、遮光部分64における光学濃度を高くすることができる。
なお、光学濃度(OD値、Optical density)とは、光の透過率Tとの間に、“OD値=−logT”で表される関係を有する値のことである。例えば、遮光部分64における光の透過率が0.01の場合、OD値は2となる。また、遮光部分64における光の透過率が0.001の場合、OD値は3となる。すなわち、遮光部分64における光学濃度が高いということは、遮光部分64における光の透過率が小さいことを意味している。
【0054】
比較の形態
次に、図5(a)〜(d)を参照して、本願発明の効果を比較の形態と比較して説明する。図5(a)〜(d)は、比較の形態におけるカラーフィルター製造方法を示す図である。図5(a)〜(d)に示す比較の形態において、図1乃至図4に示す本実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
はじめに、比較の形態におけるカラーフィルター100について説明する。図5(d)に示すように、カラーフィルター100は、遮光部分104と、遮光部分104間に設けられた赤色着色部分61、緑色着色部分62および青色着色部分63とを有している。このうち遮光部分104は、図5(d)に示すように、基材70と、遮光層74とを含んでいる。すなわち図5(d)に示す比較の形態における遮光部分104は、図1乃至図4に示す本実施の形態における遮光部分64とは異なり、基材70と遮光層74との間に赤色着色層71が設けられていない。このため、比較の形態における遮光部分104のOD値は、本実施の形態における遮光部分64のOD値よりも小さくなっている。
【0056】
次に、図5(a)〜(d)を参照して、比較の形態におけるカラーフィルター製造方法について説明する。はじめに、図5(a)に示すように、遮光部分104に対応する領域に遮光層74を形成する。この場合、まず、遮光層用材料74aの塗布と、ホットプレートによる加熱と、コールドプレートによる冷却とが行われる。その後、遮光層用材料74aに対して、露光処理と、現像処理と、焼成処理とが行われる。これによって、図5(a)の左側に示すように、遮光部分104に対応する領域に遮光層74が形成される。
【0057】
次に、図5(b)に示すように、赤色着色部分61に対応する領域に赤色着色層71を形成する。この場合、まず、赤色着色層用材料71aの塗布と、ホットプレートによる加熱と、コールドプレートによる冷却とが行われる。その後、赤色着色層用材料71aに対して、露光処理と、現像処理と、焼成処理とが行われる。これによって、図5(b)の左側に示すように、赤色着色部分61に対応する領域に赤色着色層71が形成される。
【0058】
その後、図5(b)に示す赤色着色層71の場合と同様にして、緑色着色部分62に対応する領域に緑色着色層72を形成し(図5(c)参照)、次に、青色着色部分63に対応する領域に青色着色層73を形成する(図5(d)参照)。これによって、図5(d)の左側に示すように、比較の形態におけるカラーフィルター100が形成される。
【0059】
このように比較の形態によれば、露光済みの赤色着色層用材料71aに対する現像処理および焼成処理と、露光済みの遮光層用材料74aに対する現像処理および焼成処理とが、それぞれ別個に行われる。このため、比較の形態によれば、基材70上に各着色層71,72,73と遮蔽層74とを形成する工程において、現像処理と焼成処理とがそれぞれ4回行われる。
【0060】
これに対して、本実施の形態によれば、上述のように、はじめに、基材70上に露光済みの赤色着色層用材料71aが形成され、次に、露光済みの赤色着色層用材料71aの上に、露光済みの遮光層用材料74aが形成される。その後、露光済みの赤色着色層用材料71aと、露光済みの遮光層用材料74aとに対して、同時に現像処理が行われ、また、同時に焼成処理が行われる。このため、本実施の形態によれば、基材70上に各着色層71,72,73と遮蔽層74とを形成する工程において、現像処理と焼成処理とがそれぞれ3回行われる。すなわち本実施の形態によれば、現像処理および焼成処理の回数を、比較の形態に比べてそれぞれ1回削減することができる。このことにより、カラーフィルター60の製造に要する時間を短くすることができる。
【0061】
なお本実施の形態において、はじめに、赤色着色層(第1着色層)71と遮光層74とが形成され、その後、緑色着色層(第2着色層)72と青色着色層(第3着色層)73とが形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、少なくとも、遮光層用材料が基材70上に塗布される前に、露光済みの第1着色層用材料が基材70上に形成されていればよい。これによって、第1着色層用材料と遮光層用材料とに対して、同時に現像処理を行うことができ、また、同時に焼成処理を行うことができる。以下、図6または図7を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。
【0062】
本実施の形態の変形例
図6(a)〜(d)を参照して、本実施の形態の変形例におけるカラーフィルター製造方法について説明する。この場合、はじめに、緑色着色部分62に対応する領域に緑色着色層72を形成し(図6(a)参照)、次に、青色着色部分63に対応する領域に青色着色層73を形成する(図6(b)参照)。各着色層72,73を形成する方法は、図1乃至図4に示す本実施の形態の場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0063】
次に、図6(c)に示すように、基材70および各着色層72,73上に、塗布装置31により赤色着色層用材料71aを塗布する。その後、赤色着色層用材料71aに対して、ホットプレート32による加熱と、コールドプレート33による冷却とを実施する。次に、図6(c)に示すように、遮光部分64および赤色着色部分61に対応する領域に赤色着色層用材料71aが残るよう、マスク81を介して赤色着色層用材料71aを露光する。
【0064】
次に、図6(d)に示すように、塗布装置21により、露光済みの赤色着色層用材料71a上に遮光層用材料74aを塗布する。その後、遮光層用材料74aに対して、ホットプレート22による加熱と、コールドプレート23による冷却とを実施する。次に、図6(d)に示すように、遮光部分64に対応する領域に遮光層用材料74aが残るよう、上述のマスク84を介して遮光層用材料74aを露光する。
【0065】
次に、現像装置25により、基材70上に形成されている露光済みの赤色着色層用材料71aおよび露光済みの遮光層用材料74aを現像する。これによって、図6(d)の左側に示すように、遮光部分64に対応する領域に遮光層74と赤色着色層71とが形成され、同時に、赤色着色部分61に対応する領域に赤色着色層71が形成される。その後、焼成装置26により、形成された赤色着色層71および遮光層74に対して加熱処理が施される。
【0066】
このように本変形例によれば、露光済みの赤色着色層用材料71aと、露光済みの遮光層用材料74aとに対して、同時に現像処理が行われ、また、同時に焼成処理が行われる。このため、露光済みの遮光層用材料74aに対する現像処理および焼成処理と、露光済みの赤色着色層用材料71aに対する現像処理および焼成処理とが、それぞれ別個に行われる場合に比べて、カラーフィルター製造方法における現像処理および焼成処理の回数を削減することができる。
【0067】
本実施の形態のその他の変形例
次に、図7(a)〜(d)を参照して、本実施の形態のその他の変形例におけるカラーフィルター製造方法について説明する。図7(a)〜(d)に示すカラーフィルターの製造方法は、赤色着色層71および遮光層74を形成した後に青色着色層73を形成する点が異なるのみであり、その他の方法は図6(a)〜(d)に示す本実施の形態の変形例の場合と略同一である。このため、本変形例においても、露光済みの赤色着色層用材料71aと、露光済みの遮光層用材料74aとに対して、同時に現像処理を行い、また、同時に焼成処理を行うことができる。このことにより、露光済みの遮光層用材料74aに対する現像処理および焼成処理と、露光済みの赤色着色層用材料71aに対する現像処理および焼成処理とが、それぞれ別個に行われる場合に比べて、カラーフィルター製造方法における現像処理および焼成処理の回数を削減することができる。
【0068】
なお、上記各実施の形態において、1回の現像処理により遮光層74とともに形成される第1着色層が、赤色着色層71からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1着色層が、緑色着色層72または青色着色層73からなっていてもよい。
【0069】
また上記各実施の形態において、カラーフィルター60が、3色の着色層71,72,73を有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、カラーフィルターは、1色の着色層のみを有していてもよい。この場合、当該着色層は、1回の現像処理により遮光層74とともに形成される。
若しくは、カラーフィルターは、2色または4色以上の着色層を有していてもよい。この場合、複数色の着色層のうちの1色の着色層は、1回の現像処理により遮光層74とともに形成される。
【0070】
また上記各実施の形態において、赤色着色層用材料(第1着色層用材料)71aを構成する感光性樹脂が、露光により硬化するネガ型の感光性樹脂からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、赤色着色層用材料(第1着色層用材料)71aを構成する感光性樹脂が、露光により軟化するポジ型の感光性材料からなっていてもよい。この場合、赤色着色層用材料71aを露光する工程において、遮光部分64および赤色着色部分61に対応する領域以外の領域に塗布された赤色着色層用材料71aが露光される。このため、後の現像処理により、遮光部分64および赤色着色部分61に対応する領域に赤色着色層71を形成することができる。
【0071】
また上記各実施の形態において、遮光層用材料74aを構成する感光性樹脂が、露光により硬化するネガ型の感光性樹脂からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、遮光層用材料74aを構成する感光性樹脂が、露光により軟化するポジ型の感光性材料からなっていてもよい。この場合、遮光層用材料74aを露光する工程において、遮光部分64に対応する領域以外の領域に塗布された遮光層用材料74aが露光される。このため、後の現像処理により、遮光部分64に対応する領域に遮光層74を形成することができる。
【0072】
また上記各実施の形態において、第1着色処理ライン30に、現像装置と焼成装置とが設けられていない例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図2において点線で示すように、第1着色処理ライン30が現像装置35と焼成装置36とを有していてもよい。この場合、図2に示すように、第1着色処理ライン30には、露光装置34を経た基材をコア装置に戻すバイパスライン37が設けられている。このため、露光装置34によって赤色着色層用材料71aに対する露光処理が行われた基材70は、現像装置35と焼成装置36とをバイパスしてコア装置10に戻される。
【0073】
また上記各実施の形態において、各処理ライン20,30,40,50に、加熱処理を実施するホットプレート(HP)22,32,42,52と、冷却処理を実施するコールドプレート(CP)23,33,43,53とがそれぞれ設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、各処理ライン20,30,40,50がホットプレート(HP)とコールドプレート(CP)とを有していなくてもよい。すなわち、各処理ライン20,30,40,50において、塗布処理と露光処理との間の加熱処理および冷却処理が省略されてもよい。例えば、基材70上に塗布された材料が容易に固化する場合などに、加熱処理および冷却処理を省略することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 カラーフィルター製造システム
10 コア装置
20 遮光層用処理ライン
21 塗布装置
22 ホットプレート
23 コールドプレート
24 露光装置
25 現像装置
26 焼成装置
30 第1着色処理ライン
31 塗布装置
32 ホットプレート
33 コールドプレート
34 露光装置
37 バイパスライン
40 第2着色処理ライン
41 塗布装置
42 ホットプレート
43 コールドプレート
44 露光装置
45 現像装置
46 焼成装置
50 第3着色処理ライン
51 塗布装置
52 ホットプレート
53 コールドプレート
54 露光装置
55 現像装置
56 焼成装置
60 カラーフィルター
61 赤色着色部分
62 緑色着色部分
63 青色着色部分
64 遮光部分
70 基材
71 赤色着色層
71a 赤色着色層用材料
72 緑色着色層
72a 緑色着色層用材料
73 青色着色層
73a 青色着色層用材料
74 遮光層
74a 遮光層用材料
81 赤色着色層用材料用マスク
81a マスクの開口部
81b マスクの遮蔽部
84 遮光層用材料用マスク
84a マスクの開口部
84b マスクの遮蔽部
100 カラーフィルター
104 遮光部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分とを有するカラーフィルターを製造する方法において、
基材を準備する工程と、
前記基材上に第1着色層用材料を塗布する工程と、
前記基材の前記遮光部分および前記第1着色部分に対応する領域に前記第1着色層用材料が残るよう、前記第1着色層用材料を露光する工程と、
前記第1着色層用材料上に遮光層用材料を塗布する工程と、
前記基材の前記遮光部分に対応する領域に前記遮光層用材料が残るよう、前記遮光層用材料を露光する工程と、
前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成する工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルター製造方法。
【請求項2】
カラーフィルターは、遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分、第2着色部分および第3着色部分とを有し、
前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成した後に、第2着色層を含む第2着色部分を形成し、第3着色層を含む第3着色部分を形成することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター製造方法。
【請求項3】
カラーフィルターは、遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分、第2着色部分および第3着色部分とを有し、
前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成する前に、第2着色層を含む第2着色部分を形成し、第3着色層を含む第3着色部分を形成することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター製造方法。
【請求項4】
カラーフィルターは、遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分、第2着色部分および第3着色部分とを有し、
前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成する前に、第2着色層を含む第2着色部分を形成し、
前記第1着色層用材料および前記遮光層用材料を現像して、遮光層と第1着色層とを含む遮光部分を形成するとともに、第1着色層を含む第1着色部分を形成した後に、第3着色層を含む第3着色部分を形成することを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター製造方法。
【請求項5】
前記第1着色層用材料は、露光により硬化するネガ型の感光性材料からなり、
前記第1着色層用材料を露光する工程において、前記基材の前記遮光部分および前記第1着色部分に対応する領域に塗布された前記第1着色層用材料が露光されることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター製造方法。
【請求項6】
前記第1着色層用材料は、露光により軟化するポジ型の感光性材料からなり、
前記第1着色層用材料を露光する工程において、前記基材の前記遮光部分および前記第1着色部分に対応する領域以外の領域に塗布された前記第1着色層用材料が露光されることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター製造方法。
【請求項7】
前記遮光層用材料は、露光により硬化するネガ型の感光性材料からなり、
前記遮光層用材料を露光する工程において、前記基材の前記遮光部分に対応する領域に塗布された前記遮光層用材料が露光されることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター製造方法。
【請求項8】
前記遮光層用材料は、露光により軟化するポジ型の感光性材料からなり、
前記遮光層用材料を露光する工程において、前記基材の前記遮光部分に対応する領域以外の領域に塗布された前記遮光層用材料が露光されることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルター製造方法。
【請求項9】
基材と、基材上に形成された遮光層および第1着色層を有するカラーフィルターにおいて、
カラーフィルターをその法線方向から見た場合、入射した光を遮光する遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分と、に区画され、
前記第1着色部分は、前記基材と、前記基材上に形成された第1着色層とを含み、
前記遮光部分は、前記基材と、前記基材上に形成された第1着色層と、当該第1着色層上に形成された遮光層とを含むことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項10】
基材上に形成された第2着色層および第3着色層をさらに有し、
カラーフィルターをその法線方向から見た場合、入射した光を遮光する遮光部分と、遮光部分間に設けられた第1着色部分、第2着色部分および第3着色部分に区画され、
前記第2着色部分は、前記基材と、前記基材上に形成された第2着色層とを含み、
前記第3着色部分は、前記基材と、前記基材上に形成された第3着色層とを含むことを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルター。
【請求項11】
遮光層と第1着色層とを含む遮光部分と、遮光部分間に設けられ、第1着色層を第1着色部分とを有するカラーフィルターを製造するシステムにおいて、
カラーフィルター用の基材を保管するとともに搬送するコア装置と、
前記コア装置に接続された第1着色処理ラインであって、前記基材上に第1着色層用材料を塗布する塗布装置と、前記基材の前記遮光部分および前記第1着色部分に対応する領域に前記第1着色層用材料が残るよう、前記第1着色層用材料を露光する露光装置と、を有する第1着色処理ラインと、
前記コア装置に接続された遮光層用処理ラインであって、前記基材上に遮光層用材料を塗布する塗布装置と、前記基材の前記遮光部分に対応する領域に前記遮光層用材料が残るよう、前記遮光層用材料を露光する露光装置と、露光済みの前記遮光層用材料を現像する現像装置と、を有する遮光層用処理ラインと、を備え、
前記コア装置は、露光済みの前記第1着色層用材料が形成された前記基材を、前記第1着色処理ラインから前記遮光層用処理ラインに搬送し、
前記遮光層用処理ラインの前記現像装置において、露光済みの前記第1着色層用材と露光済みの前記遮光層用材料とがともに現像されることを特徴とするカラーフィルター製造システム。
【請求項12】
前記第1着色処理ラインは、露光済みの前記第1着色層用材料を現像する現像装置をさらに有し、
前記第1着色処理ラインには、第1着色処理ラインの前記露光装置を経た前記基材を、第1着色処理ラインの前記現像装置をバイパスして前記コア装置に戻すバイパスラインが設けられていることを特徴とする請求項11に記載のカラーフィルター製造システム。
【請求項13】
前記第1着色処理ラインは、第1着色処理ラインの前記現像装置を経た基材に対して加熱処理を施す焼成装置をさらに有し、
前記第1着色処理ラインには、第1着色処理ラインの前記露光装置を経た前記基材を、第1着色処理ラインの前記現像装置および前記焼成装置をバイパスして前記コア装置に戻すバイパスラインが設けられていることを特徴とする請求項12に記載のカラーフィルター製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−158625(P2011−158625A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18987(P2010−18987)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】