説明

カラーフィルター用インク、該インクを用いたカラーフィルター及びその製造方法、表示装置

【課題】色再現性、輝度、コントラストが良好で、熱安定性等のインク保存性に優れ、印字安定性(インクジェット吐出安定性)等のインクジェット適正、信頼性に優れたカラーフィルター用インクを提供する。
【解決手段】少なくとも着色剤としての顔料と熱硬化性樹脂を含むカラーフィルター用インクであって、前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントイエロー180である、カラーフィルター用インク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色再現性、輝度、コントラストが良好で、熱安定性等のインク保存性に優れ、印字安定性(インクジェット吐出安定性)等のインクジェット適正、信頼性に優れたカラーフィルター用インク、該インクを用いたカラーフィルター及びその製造方法、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した画素部を備えたカラーフィルター用のインクが種々開発されている。
【0003】
例えば、特開2007−177179号公報には、良好な色度を有し、特にノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の液晶表示装置等に用いた場合であっても、高い色純度を実現することができるカラーフィルター等の提供を目的として、レッド(R)画素、グリーン(G)画素、及びブルー(B)画素を有するカラーフィルターの画素を形成するための、特定の顔料を用いた各色のインクが開示されている(特許文献1)。
しかし、このインクを用いた場合には、レッド(R)の色相が、要望されている程度にまで及ばないという問題がある。
【0004】
また、特開2007−122042号公報には、インクジェット法を用いて画素を形成して特定の色を実現する時に、輝度及びコントラストを高くすることが可能なカラーフィルター用インクジェットインクの提供を目的として、特定の3種の顔料を含有する、特定色のカラーフィルター用インクジェットインクが開示されている。(特許文献2)。
しかし、このインクジェットインクを用いた場合には、他の色とセットで使用した場合のトータルな色バランスや、コントラストが十分に得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−177179号公報
【特許文献2】特開2007−122042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、色再現性、輝度、コントラストが良好で、熱安定性等のインク保存性に優れ、印字安定性(インクジェット吐出安定性)等のインクジェット適正、信頼性に優れたカラーフィルター用インクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
少なくとも着色剤としての顔料とバインダー樹脂を含むカラーフィルター用インクであって、
前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントイエロー180である、カラーフィルター用インク。
[2]
前記C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントイエロー180の重量比が、1〜10:1〜4:1である、[1]に記載のカラーフィルター用インク。
[3]
前記顔料の粒子径が、50nm以下である、[1]又は[2]に記載のカラーフィルター用インク。
[4]
前記バインダー樹脂が熱硬化性樹脂である、[1]〜[3]の何れかに記載のカラーフィルター用インク。
[5]
水溶性有機溶媒をさらに含む、[1]〜[4]の何れかに記載のカラーフィルター用インク。
[6]
インクジェット法による吐出に用いられる、[1]〜[5]の何れかに記載のカラーフィルター用インク。
[7]
[1]〜[6]の何れかに記載されたカラーフィルター用インクを用いて、インクジェット方式により形成された画素パターンを有することを特徴とするカラーフィルター。
[8]
[1]〜[6]の何れかに記載されたカラーフィルター用インクを用いるインクジェット方式によるカラーフィルターの製造方法であって、予め隔壁を形成した透明基板の光を透過させる各光透過領域に、インクジェットヘッドから当該インクを吐出させて、隔壁で区画された各光透過領域にインクを貯留させる工程と、各光透過領域に貯留されたインクを乾燥して画素パターンを形成する工程と、該画素パターンを覆うように保護層を形成する工程とを備えてなることを特徴とするインクジェット方式によるカラーフィルターの製造方法。
[9] 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が、[7]に記載のカラーフィルター、又は[8]に記載のカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターであることを特徴とする、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、色再現性、輝度、コントラストが良好で、熱安定性等のインク保存性に優れ、印字安定性(インクジェット吐出安定性)等のインクジェット適正、信頼性に優れたカラーフィルター用インクが得られる。
また、本発明のカラーフィルターは、色再現性、輝度、コントラストが良好な画素を備えた、カラーフィルターである。
また、本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、色再現性、輝度、コントラストが良好画素を備えたカラーフィルターを高い生産性で製造することができる。
また、本発明によれば、高品質で生産性の高い表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明におけるカラーフィルターの製造工程を例示する要部縦断面図であり、(a)は隔壁の形成工程、(b)は画素パターンの形成工程、(c)は乾燥工程、(d)は保護層の形成工程、および(e)は共通電極の形成工程を示す。
【図2】本発明におけるカラーフィルターの製造方法により製造されたカラーフィルターを有する液晶表示装置を例示する要部縦断面図である。
【図3】本発明におけるカラーフィルターの製造方法により製造されたカラーフィルターの平面図である。
【図4】本発明におけるカラーフィルターの製造方法に使用されるカラーフィルター製造装置の概要を例示する図である。
【図5】本発明におけるカラーフィルターの製造方法に使用されるインクジェットヘッドの要部を例示する一部断面図である。
【図6】本発明におけるカラーフィルターの製造方法に使用されるインクジェットヘッドにおける各ノズルの配置と、隔壁が形成された基板におけるフィルタエレメントを例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、その好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】
(カラーフィルター用インク)
本発明は、既述の通り、少なくとも着色剤としての顔料とバインダー樹脂を含むカラーフィルター用インクであって、
前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントイエロー180を少なくとも含有する。
【0012】
本発明のカラーフィルター用インクは、かかる構成からなるものであるため、色再現性、輝度、コントラストが良好で、熱安定性等のインク保存性に優れ、印字安定性(インクジェット吐出安定性)等のインクジェット適正、信頼性に優れたものとなる。
【0013】
本発明に用いられる着色剤としての顔料は、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントイエロー180を少なくとも含有する。
前記C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントイエロー180の重量比(レッド254:レッド177:イエロー180)は、1〜10:1〜4:1であることが好ましい。かかる好ましい重量比の範囲内では、色再現が良好で美しい画像を提供することができる。
【0014】
これらの顔料の粒子径は、50nm以下、特に40nm以下であることが好ましい。かかる粒子径範囲の顔料を用いることにより、透明度が高く、輝度が高い鮮やかな画像が提供できる。
【0015】
本発明のカラーフィルター用インクにおける顔料としては、上記3つの顔料のみを含んで構成されていても良いが、適宜に、他の顔料を用いることもできる。
そのような他の顔料としては、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyersand Colourists発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0016】
例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175が挙げられる。
【0017】
例えば、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38が挙げられる。
【0018】
例えば、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265が挙げられる。
【0019】
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、アンバー等を挙げることができる。本発明において、他の顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
本発明のカラーフィルター用インクにおいて、顔料の含有量は、インク全量に対して、通常は4〜12重量%、好ましくは8〜9重量%である。
【0021】
本発明のカラーフィルター用インクに用いられるバインダー樹脂は、前記顔料のバインダーとして機能するもので、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。熱硬化性樹脂を用いることにより、着色部の硬度、耐熱性を向上できる。
【0022】
バインダー樹脂としては、前記の顔料に対してバインダーとして作用する限り、適宜の樹脂を使用することができる。特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、単に「カルボキシル基含有不飽和単量体」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「他の不飽和単量体(b1)」という。)との共重合体(以下、「カルボキシル基含有共重合体(B1)」という。)である。
【0023】
前記カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端にカルボキシル基とヒドロキシル基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。なお、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)およびフタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)は、それぞれM−5300およびM−5400(東亞合成化学工業(株)製)の商品名で市販されている。これらのカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
また、他の不飽和単量体(b1)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の芳香族ビニル化合物;インデン、1−メチルインデン等のインデン類;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングルコールアクリレート、メトキシジエチレングルコールメタクリレート、メトキシトリエチレングルコールアクリレート、メトキシトリエチレングルコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;
【0025】
2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノプロピルアクリレート、2−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、3−ジメチルアミノプロピルアクリレート、3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、マレイミド等の不飽和アミド類あるいは不飽和イミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらの他の不飽和単量体(b1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
カルボキシル基含有共重合体(B1)としては、(1)アクリル酸および/またはメタクリル酸と(2)スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体が好ましい。
【0027】
好ましいカルボキシル基含有共重合体(B1)の具体例としては、アクリル酸/ベンジルアクリレート共重合体、アクリル酸/スチレン/メチルアクリレート共重合体、アクリル酸/スチレン/ベンジルアクリレート共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、アクリル酸/スチレン/メチルメタクリレート共重合体、アクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体等のアクリル酸共重合体類;
【0028】
メタクリル酸/ベンジルアクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/メチルアクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルアクリレート共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体等のメタクリル酸共重合体類等を挙げることができる。
【0029】
これらのカルボキシル基含有共重合体(B1)のうち、特に、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/メチルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体が好ましい。カルボキシル基含有共重合体(B1)におけるカルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。本発明において、カルボキシル基含有共重合体(B1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0030】
また、本発明に用いることのできる他の好ましいバインダー樹脂は、N位−置換マレイミドと他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「他の不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体(以下、「N位−置換マレイミド共重合体(B2)」という。)である。N位−置換マレイミドにおけるN位−置換基としては、例えば、炭素数1〜20の(シクロ)アルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基や、これらの基の置換誘導体等を挙げることができ、これらのN位−置換基のうち、炭素数6〜20のアリール基やその置換誘導体が好ましい。
【0031】
N位−置換マレイミドの具体例としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−4−メチルシクロヘキシルマレイミド、N−4−クロロシクロヘキシルマレイミド等のN位−(シクロ)アルキル置換マレイミド類や、これらの置換誘導体類;N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド等のN位−アリール置換マレイミド類や、これらの置換誘導体類;N−ベンジルマレイミド、N−フェネチルマレイミド、N−o−ヒドロキシベンジルマレイミド、N−m−ヒドロキシベンジルマレイミド、N−p−ヒドロキシベンジルマレイミド、N−o−メチルベンジルマレイミド、N−m−メチルベンジルマレイミド、N−p−メチルベンジルマレイミド、N−o−メトキシベンジルマレイミド、N−m−メトキシベンジルマレイミド、N−p−メトキシベンジルマレイミド、N−p−クロロベンジルマレイミド等のN位−アラルキル置換マレイミド類や、これらの置換誘導体類等を挙げることができる。
【0032】
これらのN位−置換マレイミドのうち、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミドが好ましい。前記N位−置換マレイミドは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
また、他の不飽和単量体(b2)としては、N位−置換マレイミドと共重合しうる限り限定されるものではないが、前記カルボキシル基含有不飽和単量体の1種以上と前記他の不飽和単量体(b1)の1種以上とを含有する単量体混合物が好ましい。
【0034】
N位−置換マレイミド共重合体(B2)としては、N−フェニルマレイミドの共重合体が好ましく、さらに好ましくはN−フェニルマレイミドとカルボキシル基含有不飽和単量体と他の不飽和単量体(b1)との共重合体であり、就中、(1)N−フェニルマレイミドと、(2)アクリル酸および/またはメタクリル酸と、(3)スチレンと、(4)メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種との共重合体が好ましい。
【0035】
好ましいN位−置換マレイミド共重合体(B2)の具体例としては、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/アリルアクリレート共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/アリルメタアクリレート共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/フェニルメタクリレート共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/フェニルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/フェニルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/フェニルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、N−フェニルマレイミド/メタクリル酸/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/フェニルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体等を挙げることができる。
【0036】
N位−置換マレイミド共重合体(B2)におけるN位−置換マレイミドの共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。また、N位−置換マレイミド共重合体がN位−置換マレイミドとカルボキシル基含有不飽和単量体と他の不飽和単量体(b1)との共重合体である場合、カルボキシル基含有不飽和単量体の共重合割合は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であり、他の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、通常、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%である。本発明において、N位−置換マレイミド共重合体(B2)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0037】
本発明に用いられるバインダー樹脂を構成する各樹脂成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;溶出溶媒テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」という。)は、好ましくは3,000〜300,000、特に好ましくは5,000〜100,000である。本発明におけるバインダー樹脂の使用割合は、(A)顔料100重量部に対して、通常、10〜1,000重量部、好ましくは20〜500重量部である。この場合、バインダー樹脂の使用割合が10重量部未満では、例えば、カラーフィルター用インクの吐出性や形成された画素の硬度が低下する傾向があり、一方1,000重量部を超えると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となる場合がある。
【0038】
本発明のカラーフィルター用インクは、通常、前述した顔料及びバインダー樹脂に加えて有機溶媒をさらに含むのが好ましく、また必要に応じて任意の他の成分を含んでもよい。なお、有機溶媒の中では、水溶性有機溶媒が好適である。
【0039】
上記水溶性有機溶媒としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、又はイソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、あるいは、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、又はスルホランなどを挙げることができる。
【0040】
上記水溶性有機溶媒の他に、1,2−アルキルジオールが好ましく用いられる。具体的には、多価アルコールのアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられる。1,2−アルキルジオールとしては、具体的には、例えば1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが挙げられる。これらの他に、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等の直鎖炭化水素のジオール類からも適宜選択されても良い。
【0041】
また、本発明のカラーフィルター用インクは、有機溶媒として、カラーフィルター用インク目詰まりを防止する目的で、高沸点有機溶媒を用いることができる。
【0042】
具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルグリコール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールを挙げることができる。
【0043】
これらは単独又は2種以上の混合物として使用することができる。これにより、開放状態(室温で空気に触れている状態)で放置しても流動性と再分散性とを長時間で維持するカラーフィルター用インクを提供することができる。更に、インクジェット吐出中もしくは吐出中断後の再起動時にノズルの目詰まりが生じ難くなり、高い吐出安定性が得られる。
【0044】
これらの有機溶媒の含有量は、カラーフィルター用インクの全重量に対して、好ましくは10〜50重量%程度であり、より好ましくは10〜30重量%である。
【0045】
さらに、有機溶媒としては、2−ピロリドン,N−メチルピロリドン,ε−カプロラクタム,ジメチルスルホキシド,スルホラン,モルホリン,N−エチルモルホリン,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶媒を挙げることができ、これらから一種以上選択して用いてもよい。これら極性溶媒の添加は分散性に効果があり、インクの吐出安定性を良好とすることができる。これらの極性溶媒の含有量は、カラーフィルター用インクの全重量に対して、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは1重量%〜10重量%である。
【0046】
インクジェット法による吐出は、本発明の実施形態に係るインクジェット方式カラーフィルター用インクを公知のインクジェットプリンタ装置に搭載し、フィルタ用の基板に吐出することにより、好適に行われる。これにより、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性を優れたものにできる。
【0047】
本発明におけるカラーフィルター用インクは、架橋性単量体成分として、2個以上の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体を含有することができる。前記多官能性単量体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジアクリレートまたはジメタクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリアクリレートもしくはポリメタクリレート類またはこれらのカルボン酸変成物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴアクリレートまたはオリゴメタクリレート類;両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジアクリレート類またはジメタクリレート類や、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)フォスフェート等を挙げることができる。
【0048】
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の多価アルコールのポリアクリレートもしくはポリメタクリレート類またはこれらのカルボン酸変成物、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、下記式(1):
【0049】
【化1】

【0050】
で表される化合物等が好ましく、特に、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、画素強度が高く、画素表面の平滑性に優れる点で好ましい。前記多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。本発明における多官能性単量体の使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常、500重量部以下、好ましくは20〜300重量部である。この場合、多官能性単量体の使用割合が500重量部を超えると、インクの吐出性能が低下する傾向がある。
【0051】
また、本発明においては、前記多官能性単量体の一部を、1個の重合性不飽和結合を有する単官能性単量体に置き換えることもできる。このような単官能性単量体の具体例としては、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、こはく酸2−アクリロイロキシエチル、こはく酸2−メタクリロイロキシエチル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート等を挙げることができ、さらに市販品として、M−5300、M−5400(商品名、東亞合成化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの単官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。単官能性単量体の使用割合は、多官能性単量体と単官能性単量体との合計に対して、通常、90重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
【0052】
本発明におけるカラーフィルター用インクは、光重合開始剤を配合することにより、放射線硬化性を付与することができる。ここで、放射線とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等を含むものを意味する。
【0053】
本発明におけるカラーフィルター用インクは、カラーフィルター隔壁形成用樹脂組成物から形成された隔壁との接触角が好ましくは45度以上、より好ましくは50度以上である。このような接触角を有することにより、画素アレイ間におけるインクの混色がなくなり、また光透過領域に吐出できるインクの量を、画素パターンの十分な色濃度が確保されるように多くすることも可能となる。
【0054】
〔カラーフィルターの製造方法〕
次に、前記カラーフィルター用インクを用いる、本発明の一実施形態におけるインクジェット方式によるカラーフィルターの製造方法(以下、単に「カラーフィルターの製造方法」という。)について説明する。図2は、本発明におけるカラーフィルターの製造方法により製造されたカラーフィルターを有する液晶表示装置を例示する要部縦断面図である。図に示すように、カラーフィルター1は、基板101、隔壁102、各色の画素パターン20(例えば赤)、21(例えば緑)および22(例えば青)、並びに画素パターンを覆う保護層103を基本的に積層して構成されており、これらの構成部品は、隔壁102を除き光透過性を有しているが、隔壁102は、光透過性でも遮光性でもよい。さらに、液晶表示装置6は、基板101の外面側に偏光板201が配置され、また保護層103の上に、共通電極202、配向膜203、液晶層204、配向膜205、画素電極206、基板207および偏光板208が基本的に積層して構成されている。
本カラーフィルターにおいて、前述したインクは、画素パターン20が赤の色を示す場合に該画素の形成に用いられる。
【0055】
基板101の材料としては、カラーフィルターの製造工程における加熱条件に対する耐熱性を有し、一定以上の機械的強度を備えたものであれば、適宜の光透過性の材料を採用することができ、その例としては、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等を挙げることができる。また、これらの材料からなる基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。また、これらの材料は、基板207にも使用することができるが、場合により、両基板で材質を変えてもよい。
【0056】
隔壁102は、適当な隔壁形成用樹脂組成物から形成されており、基板101の表面を、図では格子状に区画しており、隔壁102で区画された領域が光を透過させる光透過領域をなしている。但し、隔壁102による区画形状は、所望により変えてもよい。隔壁102の形成に使用される樹脂組成物としては、例えば、(i)バインダー樹脂、多官能性単量体、光重合開始剤等を含有する、放射線の照射により硬化する感放射線性樹脂組成物や、(ii)バインダー樹脂、放射線の照射により酸を発生する化合物、放射線の照射により発生した酸の作用により架橋しうる架橋性化合物等を含有する、放射線の照射により硬化する感放射線性樹脂組成物等を使用することができる。これらの隔壁形成用感放射線性樹脂組成物は、通常、その使用に際して溶媒を混合して液状組成物として調製されるが、この溶媒は、高沸点溶媒でも低沸点溶媒でもよい。本発明における隔壁形成用感放射線性樹脂組成物としては、特開平10−86456号公報に記載されているような、(a)ヘキサフルオロプロピレンと不飽和カルボン酸(無水物)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体、(b)放射線の照射により酸を発生する化合物、(c)放射線の照射により発生した酸の作用により架橋しうる架橋性化合物、(d)前記(a)成分以外の含ふっ素有機化合物並びに(e)前記(a)〜(d)成分を溶解しうる溶媒を含有する組成物が好ましい。
【0057】
画素パターン20は、例えば赤色の着色剤を含有するカラーフィルター用樹脂組成物から形成され、画素パターン21は、例えば緑色の着色剤を含有するカラーフィルター用樹脂組成物から形成され、画素パターン22は、例えば青色の着色剤を含有するカラーフィルター用樹脂組成物から形成されており、これらの画素パターンは、後述するインクジェット方式により形成される。隔壁102で区画される画素パターンの総数は、液晶表示装置における各色の画素パターンの数に原色数(図では、赤色、緑色および青色の三原色)を乗じたものとなる。例えば、パソコン等の情報端末に使用されるVGA仕様の液晶表示装置の場合、各色の画素パターンの数は640列×480行となるので、総計で(640×480×3)個の画素パターンから構成されることになる。また、画素パターンの配列ピッチは、例えば100μmである。なお図では、理解を容易とするため、画素パターンの数を少なく表示している。
【0058】
保護層103の材料としては、カラーフィルター用保護層の形成に用いられる通常のものでよいが、汎用の露光装置、ベーク炉やホットプレートが利用できるような、光または熱の作用により、あるいは光と熱との併用により、硬化するものが好ましく、それにより設備のコスト低減や省スペース化を図ることが可能となる。
【0059】
さらに、共通電極202は、光透過性と導電性を備えた材料、例えばITO(インジュウム錫酸化物)を用い、常法により加工して形成することができる。配向膜203および205は、例えば、適当な液晶配向剤から形成した膜に対してラビング処理等を施して形成することができ、液晶分子を一定方向に配向させる作用を有するものである。液晶層204は、分極した液晶分子より構成され、電圧の印加により液晶分子の配向方向の制御が可能なように構成されている。画素電極206は、カラーフィルター1の各画素パターンに対応して配置され、駆動手段(図4参照)の出力端子が接続されている。画素電極206も、光透過性と導電性を備えた材料からなり、その材料としては、共通電極202と同様のものを使用することができるが、場合により共通電極202とは材質を変えてもよい。前記駆動手段としては、例えば、TFT(薄膜トランジスター)、TFD(薄膜ダイオード)等を使用することができる。基板101と207の外側には、偏光板201および208が貼り付けられている。これらの偏光板は、液晶表示装置6の背後から照射されるバックライト光のうち、特定の偏光状態の光のみを透過するものである。この2個の偏光板は、それらを透過後の光の偏光方向が、例えば、液晶層204に電圧を印加しないときに液晶分子が光に与える偏光回転角だけ"ずれる"ように配置されている。
【0060】
次に、図1および図3を参照して、カラーフィルターの製造工程について説明する。ここでは、液晶表示装置6のうちカラーフィルター1の製造工程だけを述べる。液晶表示装置6の残りの構成部品の製造には、公知の技術を適用することが可能である。図1は、カラーフィルター1の製造工程を例示する要部縦断面図で、図3のA−A矢視図に対応する切断面を示しており、図3は、カラーフィルター1の平面図である
。まず、隔壁形成用感放射線性樹脂組成物を溶液として基板101に塗布したのち、プリベーク(PB)を行い溶剤を蒸発させて、塗膜を形成する。この場合のPBの条件は、例えば、加熱温度が50〜150℃程度、加熱時間が30〜600秒程度である。その後、この塗膜にフォトマスクを介して放射線を照射して、ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行ったのち、アルカリ現像液により現像処理を行って、塗膜の放射線未照射部を溶解除去することにより、図1(a)に示すように、隔壁102により区画された所定形状の隔壁パターンが所定の配列にしたがって配置され、基板101の表面上に光を透過する多数の光透過領域105を形成した基板を得る。この場合のPEBの条件は、例えば、加熱温度が50〜150℃程度、加熱時間が30〜600秒程度であり、放射線の照射条件は、例えば1〜500mJ/cm2 程度である。また、現像条件は、例えば10〜300秒程度であり、現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、振動浸漬法等を採用することができる。また、現像後にさらにポストベークを行ってもよく、その条件は、例えば、加熱温度が150〜280℃程度、加熱時間が3分〜2時間程度である。
【0061】
次いで、図1(b)に示すように、インクジェット方式カラーフィルター用インクを、インクジェットヘッド10から各光透過領域105に吐出させて、インクの上面が隔壁102の上端より盛り上がった状態となるように各光透過領域105に貯留させて、インクの貯留層21、22、・・・を形成する。なお、20は、インクの吐出途中の状態を例示している。この場合のインクの吐出速度は、例えば、0.01〜100m/秒程度である。その後、図1(c)に示すように、各貯留層をなすインクに対し熱処理を行って溶媒を蒸発させることにより、インクを乾燥して、所定の厚みの画素パターン20、21、22、・・・を形成する。なお、このような処理により各貯留層の体積が減少する。この場合の熱処理は、例えばヒータを用いて行われ、全体を所定の温度(例えば、50度程度)に加熱して行われる。その後、場合により放射線を照射したのち、樹脂組成物を完全に乾燥・架橋させるため、所定の温度(例えば、150〜280℃程度)で所定時間(例えば、3分〜2時間程度)の加熱を行う。この場合の放射線の照射条件は、例えば、1〜500mJ/cm程度である。画素パターン20、21、22、・・・の形成に際しては、例えば、赤色、緑色または青色の樹脂組成物を順次用いることにより、赤色、緑色、青色の三原色の画素アレイを基板101上に配置することができる。
【0062】
その後、図1(d)に示すように、形成された各画素パターンを覆うように、保護およびカラーフィルター表面の平坦化のために、適当な樹脂を用いて、保護層103を形成する。さらに、保護層103上に、光透過性と導電性を備えた材料(例えば、ITO等)を用い、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の方法により、共通電極202を形成する。共通電極202にパターンを形成する場合には、画素電極206等の他の構成部品のパターン形状に対応させて、共通電極202をエッチングする。以上の各工程を経ることにより、カラーフィルター1を製造することができる。次いで、図1(e)に示すように、カラーフィルター1と別途画素電極206を配置した基板207との間に、さらに配向膜203、液晶層204および配向膜205を順次形成し、その両外面に偏光板201および208を貼り付けて、液晶表示装置6を製造する。
【0063】
隔壁形成用感放射線性樹脂組成物を基板101に塗布する際には、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布法を採用することができる。塗布厚さは、PB後の膜厚として、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜3.0μmである。隔壁102および画素パターン20、21、22、・・・を形成する際に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。また、隔壁102を形成する際に使用されるアルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硅素ナトリウム、メタ硅素ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。前記アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像液による現像後は、通常、水洗する。
【0064】
次に、図4は、本発明におけるカラーフィルターの製造方法に使用されるカラーフィルター製造装置の概要を例示している。このカラーフィルター製造装置は、インクジェットヘッド10を制御する制御装置2、モータ3および4、位置センサ5等から構成されている。インクジェットヘッド10は、供給されたカラーフィルター用インクをそのノズルから吐出するものであり、その形態は特に限定されるものではなく、公知のインクジェット方式でよいが、本発明においては、カラーフィルター用インクを使用するため、その材質を損なわないように、該樹脂組成物に熱を作用させないピエゾジェット式のものが好ましい。ピエゾジェット式のインクジェットヘッド10には、カラーフィルター用インクを吐出させるための圧電体素子40がN個(Nは任意の数)設けられている。また、圧電体素子40は、個々に駆動および非駆動が制御可能なように構成されている。
【0065】
また、図5は、インクジェットヘッド10の要部の一部破断図を例示している。インクジェットヘッド10は、主として、圧力室基板11、振動板12およびノズルプレート13から構成されており、振動板12は圧力室基板11の一方の面に設けられ、ノズルプレート13は圧力室基板11の他方の面に設けられる。圧力室基板11には、例えばシリコン基板をエッチングすることにより、圧力室14、側壁15、リザーバ16、供給口17等が形成されており、振動板12の変形によって圧力室14に体積変化が生じるように、振動板12に設けた各圧電体素子40と各圧力室14とが位置合わせされている。振動板12は、セラミックス等からなる弾性膜であり、圧電体素子40が配列して設けられ、圧電体素子40の歪により変形するように構成されている。また、振動板12には、図示しないインクタンクに貯蔵されたカラーフィルター用インクを圧力室基板11内に供給できるようにインクタンク口18が設けられており、圧力室基板11内に供給されたカラーフィルター用インクは、リザーバ16→各供給口17→各圧力室14の経路で流れるようになっている。圧電体素子40は、圧電性セラミックスの結晶を電極で挟持して構成されている。ノズルプレート13には、カラーフィルター用インクを吐出するためのノズル19が設けられており、各ノズル19が各圧力室16に対応するようにされている。インクジェットヘッド10は、カラーフィルター用インクの種類だけ設けられており、実際には、例えば、赤色用、緑色用および青色用の各インクジェットヘッド10が使用される。但し、ここでは理解を容易とするために、インクジェットヘッド10を一つだけ示してある。
【0066】
このようなインクジェットヘッド10においては、駆動回路に電圧が印可された圧電体素子40だけに歪を生じて、振動板12が変形し、該圧電体素子に対応する圧力室14に圧力が加えられ、ノズル19からカラーフィルター用インクが吐出されるようになっている。電圧が印可されない圧電体素子40には歪を生じないため、それに対応する圧力室14内の該インクが吐出されることはない。したがって、一組の圧電体素子40、圧力室14およびノズル19から、一つの作動ユニットが構成されている。
【0067】
さらに、図6は、インクジェットヘッド10における各ノズル19の配置と、カラーフィルター1の元となる隔壁102が形成された基板101におけるフィルタエレメントの平面図を例示している。N個のノズル番号をhn(nは1からNまでの数)として、図に示すように、各ノズル19の位置Nn(xn,yn)が、相対座標x2軸とy2軸とで特定されるようになっている。隔壁102の格子で区画された最小の画素要素をフィルタエレメントといい、例えば、x1軸(横)方向の幅300μm、y1軸(縦)方向の長さ100μm程度の大きさのウィンドウをなしており、隔壁を形成した基板では、各フィルタエレメントの位置Wm(xm,ym)(mは1からフィルタエレメントの最大数までの数)が、相対座標x1軸とy1軸とで特定されるようになっている。各ノズル19のピッチは、x1軸方向のピッチの整数倍に設定されている。例えば、インクジェットヘッド10にノズル19を60個配列し、一つのフィルタエレメントにカラーフィルター用樹脂組成物を3滴吐出させる場合、インクジェットヘッド10を駆動周波数14.4kHzで動作させると、約90万画素の10型VGA仕様のカラーフィルターには、90万画素×3滴/(14400回/秒×60個)=約3秒で、樹脂組成物の貯留ができることになる。但し、インクジェットヘッド10の移動時間を考慮する必要があるため、実際には1分以内ですべてのフィルタエレメントに樹脂組成物を貯留させることができる。
【0068】
このようなカラーフィルターの製造方法は、製造工程が簡便で、かつコストも低く、工業的に極めて有利である。前述したカラーフィルターの製造方法により製造されたカラーフィルターは、加法混色タイプおよび減法混色タイプとして、例えば、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子、カラーセンサー等に極めて有用である。
【0069】
本発明のカラーフィルター用インクは、カラーフィルター用色材として、フォトリソ法用カラーレジストや、インクジェット法用インク等に適合することができる。特に、本発明のカラーフィルター用インクは、インクジェット法による吐出に好ましく用いられる。
【0070】
また、本発明によれば、電界放出ディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)、プラズマディスプレイ(PDP)等における蛍光顔料の分散や、有機EL、有機TFTに使用するPEDOT等における導電性高分子の分散等にも応用することができる。
【0071】
また、本発明によれば、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が、前述したカラーフィルター、又はカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターである、液晶表示装置等の表示装置を提供することができる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に詳述しない限り、部は重量部を示す。
【0073】
(顔料分散液組成)
顔料分散液として、次の顔料を含むものを使用した。
平均粒子径(体積50%平均粒子径)
分散液1(C.I.ピグメントレッド254) … 45nm
分散液2(C.I.ピグメントレッド177) … 40nm
分散液3(C.I.ピグメントイエロー139)… 55nm
分散液4(C.I.ピグメントイエロー150)… 40nm
分散液5(C.I.ピグメントイエロー180)… 40nm
分散液6(C.I.ピグメントイエロー180)… 70nm
【0074】
上記分散液1〜6の組成は、次の表1の通りである(単位:wt%)。
【0075】
【表1】

【0076】
(分散液の調製)
分散液1〜5については、分散液組成表の割合で混合し、高速ディスパーで1時間撹拌した後、この混合液を直径0.1mmのジルコニアビーズを80%充填した湿式粉砕装置に入れて、5時間分散した。
一方、分散液6については、分散液組成表の割合で混合し、高速ディスパーで1時間撹拌した後、この混合液を直径0.2mmのジルコニアビーズを80%充填した湿式粉砕装置に入れて、4時間分散した。
【0077】
(インクの調製)
得られた分散液1〜6を用いて、下記インク組成表の組成となるように、通常公知の調製法により、レッド(R)画素のカラーフィルター用インクを調製した。
【0078】
【表2】

【0079】
(色再現性・色調:CIE標準表色系・Yxy表色系)
本発明のカラーフィルター用インクは、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、およびC.I.ピグメントイエロー180を少なくとも含むため、特定の色を実現しながら(色再現性が良好)、輝度が高く、且つコントラストが高い膜を実現することができるとともに、インク保存性が良好で、インクジェット適正・信頼性が良好なものとなる。ここでの膜は、インクジェットインクの乾燥後の膜、バインダー成分が硬化性である場合には更に硬化後の膜をいう。
具体的には、本発明に係るインクを平均膜厚1.5〜2.5μmの均一な膜に成膜し、当該膜をC光源で測色した時に、CIEのXYZ表色系においてxが0.600〜0.675、yが0.315〜0.355、輝度Yが17.0以上、及びコントラストが3500以上であることを達成可能である。
ここで上記均一な膜とは、膜厚差が0.1μm未満のものをいう。また、上記均一な膜は例えば以下のように作製することができる。まず、ガラス基板上に、スピンコートによりインクジェットインクを塗布する。その後、当該インク膜を乾燥し、必要に応じてプリベークした後、適宜露光及び/又は加熱することにより硬化させ、均一な膜を形成する。乾燥硬化後の膜厚の測定は、例えば、触針式膜厚測定装置(例えば、日本ビーコ製、製品名dektak3030)により行うことができる。
【0080】
(色調)
液晶表示装置をレッド(R)単色表示した場合の色度(NTSC比、色調)を測定した。色度の測定には色彩輝度計((株)トプコン製BM−5)を用いた。その結果、NTSC比率が90%以上であった。
この色度測定は、周囲からの入射光がない状態で色彩輝度計をディスプレイの中心に対して法線方向に配置し、観測距離は50cmとした。
色再現範囲は、赤、緑、青の画素から放射される光の色で決まり、それぞれの画素のCIE XYZ表色系における色度点を(x、y)、(x、y)、(x、y)としたとき、x−y色度図上のこれらの三点で囲まれる三角形の面積で表される。即ち、この三角形の面積が大きいほど鮮やかなカラー画像が再現できることになる。この三角形の面積は、通常、アメリカNational Television System Committee(NTSC)により定められた標準方式の3原色、赤(0.67、0.33)、緑(0.21、0.71)、青(0.14,0.08)の三点で形成される三角形を基準として、この三角形の面積に対する比(単位%、以下「NTSC比」と略す。)として表現される。この値は一般のノートパソコンで40〜50%程度、デスクトップパソコン用モニターで50〜60%、現行液晶TVで70%程度である。
近年、液晶表示素子の色再現性を更に広め、より鮮やかなカラー画像を表現できるカラー液晶表示素子に対する要望が強くなっている。具体的には、NTSC比で80%以上の高色純度ディスプレイが要望されている。
【0081】
(コントラスト)
なお、本発明においてコントラストとは、2枚の偏光板を直交、或いは平行となるように組み合わせてカラーフィルターを挟んだ時に透過する輝度の比(偏光板平行時の輝度/偏光板直交時の輝度)を指標にすることができる。本発明における上記コントラストは、以下のように測定した場合の値である。
【0082】
コントラスト測定のための測定試料の構成、コントラスト測定における輝度測定の構成、及び具体的な測定方法については、特開2007−122042号公報の段落〔0119〕〜〔0121〕の記載が参照できる。
【0083】
<吐出性試験>
チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した図3〜図6に示すような液滴吐出装置、前記各実施例および各比較例のカラーフィルター用インクセットを用いて、25℃、35%RHの環境下で、液滴吐出装置を72時間、連続で運転させることにより、カラーフィルター用インクセットを構成するYインクの吐出を行った。
連続運転後における、液滴吐出ヘッドを構成するノズルの目詰まりの発生率([(目詰まりノズル数)/(全ノズル数)]×100)を求め、ノズルの目詰まりが発生しているものについては、可塑材料で構成されたクリーニング部材により、目詰まりの解消が可能であるか否かを調べた。その結果を、以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:ノズルの目詰まりの発生がない。
B:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%未満(ただし、ゼロを除く)であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
C:ノズルの目詰まりの発生率が0.5%以上1.0%未満であり、かつ、クリーニングによる目詰まりの解消が可能。
D:ノズルの目詰まりの発生率が1.0%以上、または、クリーニングによる目詰まりの解消が不可能。
【0084】
<インク保存安定性試験>
前記実施例および比較例の黄色のカラーフィルター用インク(Yインク)について、55℃の環境下に、40日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:加熱前からの変化が全く認められない。
B:顔料粒子の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:顔料粒子の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:顔料粒子の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:顔料粒子の凝集・沈降が顕著に認められる。
【0085】
以上の各評価結果を以下に示す。
【0086】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、色再現性、輝度、コントラストが良好で、熱安定性等のインク保存性に優れ、印字安定性(インクジェット吐出安定性)等のインクジェット適正、信頼性に優れたカラーフィルター用インク、及びこれを用いたカラーフィルター及びその製造方法、並びに表示装置として、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0088】
1 カラーフィルター、2 制御装置、3 モータ、4 モータ、5 位置センサ、6 液晶表示装置、10 インクジェットヘッド、11 圧力室基板、12 振動板、13 ノズルプレート、14 圧力室、15 側壁、16 リザーバ、17 供給口、18 インクタンク口、19 ノズル、20 画素パターン、21 画素パターン、22 画素パターン、40 圧電体素子、101 基板、102 隔壁、103 保護層、105 光透過領域、201 偏光板、202 共通電極、203 配向膜、204 液晶層、205 配向膜、206 画素電極、207 基板、208 偏光板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤としての顔料とバインダー樹脂を含むカラーフィルター用インクであって、
前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントイエロー180を含有する、カラーフィルター用インク。
【請求項2】
前記C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、及びC.I.ピグメントイエロー180の重量比が、1〜10:1〜4:1である、請求項1に記載のカラーフィルター用インク。
【請求項3】
前記顔料の粒子径が、50nm以下である、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インク。
【請求項4】
前記バインダー樹脂が熱硬化性樹脂である、請求項1〜3の何れかに記載のカラーフィルター用インク。
【請求項5】
水溶性有機溶媒をさらに含む、請求項1〜4の何れかに記載のカラーフィルター用インク。
【請求項6】
インクジェット法による吐出に用いられる、請求項1〜5の何れかに記載のカラーフィルター用インク。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載されたカラーフィルター用インクを用いて、インクジェット方式により形成された画素パターンを有することを特徴とするカラーフィルター。
【請求項8】
請求項1〜6の何れかに記載されたカラーフィルター用インクを用いるインクジェット方式によるカラーフィルターの製造方法であって、予め隔壁を形成した透明基板の光を透過させる各光透過領域に、インクジェットヘッドから当該インクを吐出させて、隔壁で区画された各光透過領域にインクを貯留させる工程と、各光透過領域に貯留されたインクを乾燥して画素パターンを形成する工程と、該画素パターンを覆うように保護層を形成する工程とを備えてなることを特徴とするインクジェット方式によるカラーフィルターの製造方法。
【請求項9】
表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が、請求項7に記載のカラーフィルター、又は請求項8に記載のカラーフィルターの製造方法によって製造されたカラーフィルターであることを特徴とする、液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203144(P2012−203144A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66741(P2011−66741)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】