説明

カラーフィルター用着色組成物、その調整方法及びカラーフィルター

【課題】着色力、色相等の色彩的特性に優れ、かつ耐光性等の耐久性にも優れるアゾ顔料、顔料分散物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるアゾ顔料を含むことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。


(一般式(1)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルターの色材として有用なカラーフィルター用着色組成物、その調整方法及びカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置は、小型化、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化などが要求されている。そしてその用途は、パーソナルコンピューター用ディスプレー、テレビ受像機、ゲーム機等に拡大し、カラー液晶ディスプレーの需要が急速に増加している。
このような背景の中で、液晶表示素子に使用するカラーフィルターも高色純度が求められるようになってきている。
【0003】
固体撮像素子や液晶表示素子をカラー化するために素子上に形成されるカラーフィルターとしては、基板上に同一平面に隣接して形成されたイエローフィルタ層、マゼンタフィルタ層、及びシアンフィルタ層からなるカラーフィルターや、赤色フィルタ層、緑色フィルタ層、及び青色フィルタ層から構成されるカラーフィルターが知られている。
【0004】
近年、カラーフィルターにおいては、更なる高精細化が望まれている。しかし、従来の顔料分散系においては解像度が向上せず、また、顔料の粗大粒子による色ムラが発生する等の問題点を有しているために、固体撮像素子のような微細パターンが要求される用途には適さなかった。この問題点を解決するために従来から染料の使用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
カラーフィルターの赤色のフィルターアレイには赤染料が用いられることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、染料により得られた着色パターンは、耐熱性、耐光性が十分でないため、耐熱性、耐光性に優れた有機顔料を用いたカラーフィルターについて検討されている。
有機顔料を用いたカラーフィルターの製造方法としては、例えば、有機顔料を感光性樹脂中に分散した組成物を露光し、現像することによってパターニングする工程を所要の回数繰り返し行う、フォトリソグラフィー法(例えば、特許文献3参照)、有機顔料を含有するインクを用いるオフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷方法などが挙げられる。
【0006】
カラーフィルター用有機顔料として、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系、キナクリドン系、イソインドリン系、ペリノン系、ペリレン系、縮合アゾ系などの耐熱性及び耐光性に優れた有機顔料の使用が検討されている。しかし、これらの顔料は一般にカラーフィルター中で分散しがたく、透明性の高いカラーフィルターを得難いという問題があった。
同様に、イエローフィルタ層、マゼンタフィルタ層、及びシアンフィルタ層からなるカラーフィルターにおいても、イエローフィルタ層に用いられるイエロー色素において更なる堅牢性の改良が望まれていた。
【0007】
そして、特許文献4にはナフタレン環を含むモノアゾ化合物を含むカラーフィルター用赤色インク組成物について提案されている。しかし、特許文献4に記載の化合物を用いたカラーフィルターはコントラストの面で十分でなく、高いコントラスト化が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−75375号公報
【特許文献2】特開平5−5067号公報
【特許文献3】特開平1−152449号公報
【特許文献4】国際公開第05/052074号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、良好な色相を有し、光、熱及びオゾンに対して良好な堅牢性を発揮し、かつ分散性が良好であり、透明性の高く分光特性、コントラスト、分散物経時安定性に優れたカラーフィルターを提供し得るカラーフィルター用着色組成物を提供することにある。
さらに本発明の目的は、上記カラーフィルター用着色組成物を用いて得られる、透明性が高く、分光特性、コントラスト、分散物経時安定性に優れたカラーフィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の含窒素ヘテロ環アゾ顔料が上記課題を解決し得ることとの知見を得た。
以下前記課題を解決するための具体的手段を以下に示す。
【0011】
〔1〕
一般式(1)で表されるアゾ顔料を含むことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
【0012】
【化1】

【0013】
(一般式(1)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。Aは、下記一般式(A−1)〜(A−32)のいずれかを表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、R、R、A又はGを介した2量体を表す。n=3の場合はR、R、A又はGを介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、A又はGを介した4量体を表す。一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0014】
【化2】

【0015】
(一般式(A−1)〜(A−32)中、R51〜R59は水素原子、置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(1)のアゾ基との結合位置を表す。)
〔2〕
前記一般式(1)におけるAが下記一般式(A−1)、(A−4)〜(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−19)〜(A−23)、(A−25)〜(A−32)のいずれかを表すことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
【0016】
【化3】

【0017】
(一般式(A−1)、(A−4)〜(A−11)、(A−13)〜(A―17)、(A−19)〜(A−23)、(A−25)〜(A−32)中、R51〜R59は水素原子、置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(1)のアゾ基との結合位置を表す。)
〔3〕
前記一般式(1)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のカラーフィルター用着色組成物。
【0018】
【化4】

【0019】
(一般式(2)中、R21、R22、R55、R59、m、及びnは一般式(1)で定義したR、R、R55、R59、m、及びnと同じである。Zはハメットのσp値が0.2以上の電子求引性基を表す。n=2の場合は、R21、R22、R55、R59又はZを介した2量体を表す。n=3の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した3量体を表す。n=4の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した4量体を表す。一般式(2)がイオン性親水性基を有することはない。)
〔4〕
さらに重合性化合物及び溶剤を含むことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔5〕
一般式(1)で表されるアゾ顔料を、重合性化合物1質量部に対し、0.01〜2質量部含む〔4〕に記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔6〕
重合性化合物が感光性化合物であることを特徴とする〔4〕又は〔5〕に記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔7〕
さらに、界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤を含むことを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のカラーフィルター用着色組成物。
〔8〕
〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて形成されたことを特徴とするカラーフィルター。
〔9〕
フォトリソグラフィー法、又はインクジェット法によって形成されたことを特徴とする〔8〕に記載のカラーフィルター。
〔10〕
界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤及び、一般式(1)で表されるアゾ顔料を、溶剤の一部に分散して顔料分散体を得る工程、及び、該顔料分散体を重合性化合物及び残余の溶剤と混合する工程を含む、〔7〕に記載のカラーフィルター用着色組成物の調製方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば種々の用途におけるカラー液晶ディスプレー及びカメラモジュールに要求される高コントラスト、優れた透明性を達成するカラーフィルターが得られる分散性、分散物経時安定性、耐熱性及び耐光性が良好なカラーフィルター用着色組成物を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】合成例1に従って合成された具体的化合物例D−1の赤外吸収スペクトルの図である。
【図2】合成例2に従って合成された具体的化合物例D−33の赤外吸収スペクトルの図である。
【図3】合成例3に従って合成された具体的化合物例D−20の赤外吸収スペクトルの図である。
【図4】合成例4に従って合成された具体的化合物例D−22の赤外吸収スペクトルの図である。
【図5】合成例5に従って合成された具体的化合物例D−222の赤外吸収スペクトルの図である。
【図6】合成例6に従って合成された具体的化合物例D−228の赤外吸収スペクトルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、一般式(1)で表されるアゾ顔料を含むものである。
まず、本発明における脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基及び置換基について説明する。
本発明における脂肪族基において、その脂肪族部位は直鎖、分岐鎖及び環状のいずれであってもよい。また、飽和であっても不飽和であってもよい。具体的には例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等を挙げることができる。さらに脂肪族基は無置換であっても置換基を有していてもよい。
【0023】
また、アリール基は、単環であっても縮合環であってもよい。また、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、ヘテロ環基は、そのヘテロ環部位は環内にヘテロ原子(例えば、窒素原子、イオウ原子、酸素原子)を持つものであればよく、飽和環であっても、不飽和環であってもよい。また、単環であっても縮合環であってもよく、さらに無置換であっても置換基を有していてもよい。
アシル基は、脂肪族カルボニル基であっても、アリールカルボニル基であっても、ヘテロ環カルボニル基であってもよく、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、下記置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。例えばアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、3−ピリジンカルボニル等が挙げられる。
【0024】
また、本発明における置換基とは、置換可能な基であればよく、例えば脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、ジアリールオキシホスフィニル基等を挙げることができる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基から選択される基を挙げることができる。
【0025】
本発明のアゾ顔料は溶解性の観点からイオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)を置換基として含有することはない。イオン性親水性基を含有する場合は、多価金属カチオンとの塩(例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム)であることが好ましく、レーキ顔料であることがより好ましい。
【0026】
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳細に記載されている。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明の一般式(1)又は(2)、で表される顔料はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
【0027】
<アゾ顔料>
顔料は、色素分子間の強力な相互作用による凝集エネルギーによって、分子同士がお互いに強固に結合しあっている状態のことである。この状態を作るには、分子間のファンデルワールス力、分子間水素結合が必要であることが、例えば、日本画像学会誌、43巻、10頁(2004年)等に記載されている。
分子間のファンデルワールス力を強めるには、分子への芳香族基、極性基及び/又はヘテロ原子の導入等が考えられる。また、分子間水素結合を形成させるには、分子へのヘテロ原子に結合した水素原子を含有する置換基の導入及び/又は電子供与性の置換基の導入等が考えられる。更に分子全体の極性が高い方が好ましいと考えられる。そのためには、例えば、アルキル基等鎖状の基は短い方が好ましく、分子量/アゾ基の値は小さい方が好ましいと考えられる。
これらの観点から、顔料分子は、アミド結合、スルホンアミド結合、エーテル結合、スルホン基、オキシカルボニル基、イミド基、カルバモイルアミノ基、ヘテロ環、ベンゼン環等を含有することが好ましい。
【0028】
本発明にかかるアゾ顔料は下記一般式(1)で表される。
一般式(1)で表される化合物は、その特異的な構造により色素分子の分子間相互作用を形成しやすく、水又は有機溶媒等に対する溶解性が低く、アゾ顔料とすることができる。
顔料は、水や有機溶媒等に分子分散状態で溶解させて使用する染料とは異なり、溶媒中に分子集合体等の固体粒子として微細に分散させて用いるものである。
また、下記一般式(1)で表される特定の構造を有することにより、着色力、色相等の色彩的特性において優れた特性を示し、かつ耐光性、耐オゾン性等の耐久性にも優れた特性を示すことができる。
次に一般式(1)で表される顔料について説明する。
【0029】
【化5】

【0030】
(一般式(1)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。Aは、下記一般式(A−1)〜(A−32)のいずれかを表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、R、R、A又はGを介した2量体を表す。n=3の場合はR、R、A又はGを介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、A又はGを介した4量体を表す。一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0031】
【化6】

【0032】
(一般式(A−1)〜(A−32)中、R51〜R59は水素原子、置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(1)のアゾ基との結合位置を表す。)
【0033】
Gで表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表される脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8の脂肪族基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、ビニル、シクロヘキシル、カルバモイルメチル等が挙げられる。
【0034】
Gで表されるアリール基としては、縮環していてもよく、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表されるアリール基として、好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、4−ニトロフェニル、4−アセチルアミノフェニル、4−メタンスルホニルフェニル等が挙げられる。
【0035】
Gで表されるヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、縮環していてもよい。置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Gで表されるヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜12の炭素原子で結合したヘテロ環基であり、より好ましくは炭素原子で結合した総炭素原子数2〜10の5〜6員へテロ環であり、例えば2−テトラヒドロフリル、2−ピリミジル等が挙げられる。
【0036】
Gとして好ましくは、水素原子である。これは分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成しやすくなるためである。
【0037】
で表されるアミノ基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、置換基として好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等が挙げられる。
これらの置換基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
で表される置換基を有してもよいアミノ基として、好ましくは無置換のアミノ基、総炭素原子数1〜10のアルキルアミノ基、総炭素原子数2〜10のジアルキルアミノ基(ジアルキル基が互いに結合し、5〜6員環を形成していても良い)、総炭素原子数6〜12のアリールアミノ基、総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基であり、より好ましくは、無置換のアミノ基、総炭素原子数1〜8のアルキルアミノ基、総炭素原子数2〜8のジアルキルアミノ基、総炭素原子数6〜10のアリールアミノ基、総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基であり、例えばメチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N−フェニルアミノ、N−(2−ピリミジル)アミノ等が挙げられる。
更に好ましくは、置換基を有していても良い総炭素原子数6〜13のアリールアミノ基及び置換基を有していても良い総炭素原子数2〜12の飽和であっても、不飽和であってもよいヘテロ環アミノ基である。
がアリールアミノ基の場合、アリール基上の置換基が、アミノ基との結合位置からパラ位に置換基を有する場合が好ましく、パラ位にのみ置換基を有する場合が最も好ましい。その置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で置換可能な基であればなんでも良く、好ましくは、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良い脂肪族基(例えばメチル、エチル、アリル、(i)−プロピル、(t)−ブチル等)、総炭素原子数1〜7の置換基を有していても良い脂肪族オキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、(i)−プロピルオキシ、アリルオキシ等)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素等)、総炭素原子数1〜7の置換基を有していても良いカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N−メチルカルバモイル等)、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良いウレイド基(例えばウレイド、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−4−ピリジルウレイド、N−フェニルウレイド等)、ニトロ基、総炭素原子数1〜7の該アリール基と縮環したヘテロ環(例えばイミダゾロン)、ヒドロキシ基、総炭素原子数1〜7、より好ましくは総炭素原子数1〜4の置換基を有していても良い脂肪族チオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、(i)−プロピルチオ、アリルチオ、(t)−ブチルチオ等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良いアシルアミノ基(例えばアセトアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良い脂肪族オキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、プロピルオキシカルボニルアミノ等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良い脂肪族オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、総炭素原子数2〜7、より好ましくは総炭素原子数2〜4の置換基を有していても良いアシル基(脂肪族カルボニル基であっても、アリールカルボニル基であっても、ヘテロ環カルボニル基であってもよく、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。好ましくは総炭素原子数2〜7のアシル基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜4のアシル基であり、例えばアセチル、プロパノイル、ベンゾイル、3−ピリジンカルボニル等が挙げられる。)等が挙げられる。
アリールアミノ基のアリール基上の置換基が、アミノ基との結合位置からパラ位に置換した場合、置換基が分子の末端にあるために、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易く、そのために色相がシャープになる。該アリール基上の置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
がへテロ環アミノ基の場合、その置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で置換可能な基であればなんでも良く、好ましくは、前記アリールアミノ基の場合と同じ置換基が好ましいが、該ヘテロ環基上の置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
【0038】
がアリールアミノ基、へテロ環アミノ基の場合のより好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。置換基として更に好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基、総炭素原子数1〜4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、総炭素原子数1〜4のカルバモイル基、総炭素原子数2〜4の脂肪族オキシカルボニル基である。
【0039】
で表される脂肪族オキシ基としては、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Rの脂肪族オキシ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシ基であって、より好ましくは総炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、(t)−ブトキシ、メトキシエトキシ、カルバモイルメトキシ等が挙げられる。
【0040】
で表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。Rの脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であって、より好ましくは総炭素数数1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、(s)−ブチル、メトキシエチル、カルバモイルメチル等が挙げられる。
【0041】
で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。Rのアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であって、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えば、フェニル、4−メチルフェニル、3−クロルフェニル等が挙げられる。
【0042】
で表されるヘテロ環基としては、飽和ヘテロ環であっても、不飽和ヘテロ環基であってもよく、置換基を有していてもよく、置換基としては、前述の置換基の項で述べた基であって、置換可能な基であればなんでもよく、好ましい置換基としては、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、該へテロ基と縮環したへテロ環、脂肪族オキシカルボニル基である。Rのヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜10のヘテロ環基であって、より好ましくは総炭素原子数2〜8の窒素原子で結合した5〜6員環の非芳香族ヘテロ環基であり、例えば、1−ピペリジル、4−モルホリニル、1−キノイル、2−ピリミジル、4−ピリジル等が挙げられる。
【0043】
として好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基、脂肪族オキシ基、窒素原子で結合した5〜6員環の非芳香族ヘテロ環基の場合であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基、脂肪族オキシ基、更に好ましくは置換基を有していてもよいアミノ基である。
【0044】
として好ましくは、置換基を有していてもよいアミノ基の場合である。
【0045】
で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であればなんでもよく、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子であり、最も好ましくは、脂肪族オキシ基である。
これらの置換基が更に置換基を有する場合は、脂肪族基、ヒドロキシ基、アミド結合、エーテル結合、オキシカルボニル結合、チオエーテル結合等を有する置換基が好ましく、ヘテロ原子と水素原子の結合を有する置換基が、分子間水素結合等の分子間相互作用をし易くする観点でより好ましい。
【0046】
mは、0〜3である場合が好ましく、0〜1である場合はより好ましく、0である場合は更に好ましい。
nは1又は2である場合が好ましい。
【0047】
で表される脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、i−プロピル、シクロヘキシル、t−ブチル等が挙げられる。
【0048】
で表されるアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、3−メトキシフェニル、4−カルバモイルフェニル等が挙げられる。
【0049】
で表されるヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、縮環していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのヘテロ環基として、好ましくは総炭素原子数2〜16のヘテロ環基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜12の5〜6員環のヘテロ環基であり、例えば1−ピロリジニル、4−モルホリニル、2−ピリジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ベンゾイミダゾリル等が挙げられる。
【0050】
で表される脂肪族オキシカルボニル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族オキシカルボニル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシカルボニル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、i−プロピルオキシカルボニル、カルバモイルメトキシカルボニル等が挙げられる。
【0051】
で表されるカルバモイル基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいカルバモイル基として、好ましくはカルバモイル基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイル基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイル基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイル基であり、より好ましくはカルバモイル基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイル基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイル基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイル基であり、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、4−ピリジンカルバモイル等が挙げられる。
【0052】
で表されるアシルアミノ基としては、置換基を有していてもよく、脂肪族であっても、芳香族であっても、ヘテロ環であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのアシルアミノ基として、好ましくは総炭素原子数2〜12のアシルアミノ基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜8のアシルアミノ基であり、更に好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキルカルボニルアミノ基であって、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、2−ピリジンカルボニルアミノ、プロパノイルアミノ等が挙げられる。
【0053】
で表されるスルホンアミド基としては、置換基を有していてもよく、脂肪族であっても、芳香族であっても、ヘテロ環であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rのスルホンアミド基として、好ましくは総炭素原子数1〜12のスルホンアミド基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜8のスルホンアミド基であり、更に好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキルスルホンアミド基であって、例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、2−ピリジンスルホンアミド等が挙げられる。
【0054】
で表されるカルバモイルアミノ基としては置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基として、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜12のヘテロ環カルバモイルアミノ基であり、より好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2〜7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7〜11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3〜10のヘテロ環カルバモイルアミノ基であり、例えば、カルバモイルアミノ、メチルカルバモイルアミノ、N,N−ジメチルカルバモイルアミノ、フェニルカルバモイルアミノ、4−ピリジンカルバモイルアミノ等が挙げられる。
【0055】
で表されるスルファモイル基としては置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましくは、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等である。Rの置換基を有していてもよいスルファモイル基として、好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7〜13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜12のヘテロ環スルファモイル基であり、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1〜7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3〜6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6〜11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2〜10のヘテロ環スルファモイル基であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、4−ピリジンスルファモイル等が挙げられる。
【0056】
で表される脂肪族オキシ基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族オキシ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルコキシ基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、i−プロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ、メトキシエトキシ等が挙げられる。
【0057】
で表される脂肪族チオ基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Rの脂肪族チオ基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキルチオ基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオ、カルバモイルメチルチオ、t−ブチルチオ等が挙げられる。
【0058】
で表されるハロゲン原子としては、好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくは塩素原子が挙げられる。
本発明の効果の点で、Rは、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基である場合が好ましい。本発明の効果の点で、mは0又は1である場合が好ましく、0である場合は更に好ましい。
【0059】
Aで表される一般式(A−1)〜(A−32)について説明する。一般式(A−1)〜(A−32)で表される部位は、好ましくは、総炭素原子数2〜15であって、より好ましくは総炭素原子数2〜12である。
【0060】
51〜R54で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R51〜R54の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等であり、より好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基等である。
【0061】
本発明の効果の点でR51〜R54は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基である場合はより好ましい。
【0062】
55で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R55の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等であり、より好ましくは脂肪族基、アリール基、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である。
【0063】
本発明の効果の点で、R55は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基である場合が好ましく、脂肪族基、アリール基、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である場合はより好ましく、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である場合は更に好ましい。R55が窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基あることにより、色素分子の分子間相互作用だけでなく、分子内相互作用を強固に形成しやすくなる。それにより安定な分子配列の顔料を構成しやすくなり、良好な色相、高い堅牢性(耐光・ガス・熱・水等)を示す点で好ましい。
本発明の効果の点で、R55として好ましい、窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基であり、飽和へテロ環であっても不飽和へテロ環であっても、縮環へテロ環であってもよく、好ましくは総炭素原子数2〜12の窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基であり、より好ましくは総炭素原子数2〜10の窒素原子との結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基である。例えば、2−チアゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−オキサゾリル、2−ベンゾオキサゾリル、2−ピリジル、2−ピラジニル、3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、2−イミダゾリル、2−ベンズイミダゾリル、2−トリアジニル等が挙げられ、これらのヘテロ環基は置換基と共に互変異性体構造であってもよい。
【0064】
本発明の効果の点で、R55として好ましいアリール基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。R55のアリール基として、好ましくは総炭素原子数6〜12のアリール基であり、より好ましくは総炭素原子数6〜10のアリール基であり、例えばフェニル、3−メトキシフェニル、4−カルバモイルフェニル等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
本発明の効果の点で、R55として好ましい脂肪族基としては、置換基を有していてもよく、置換してもよい基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよく、好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基である。R55の脂肪族基として、好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜4の脂肪族基であり、例えばメチル、エチル、メトキシエチル、カルバモイルメチル等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0065】
一般式(1)中、R55としては、下記(Y−1)〜(Y−13)のいずれかである場合が好ましく、分子内水素結合構造をとり易い構造にするために6員環の下記(Y−1)〜(Y−6)のいずれかである場合はより好ましく、下記(Y−1)、(Y−3)、(Y−4)、(Y−6)のいずれかである場合は更に好ましく、下記(Y−1)、又は(Y−4)である場合は特に好ましい。一般式(Y−1)〜(Y−13)中の*は、ピラゾール環のN原子との結合部位を表す。Y〜Y11は水素原子又は置換基を表す。(Y−13)におけるG11は5〜6員ヘテロ環を構成する事ができる非金属原子群を表し、G11で表されるヘテロ環は無置換であっても、置換基を有していてもよく、ヘテロ環は単環であっても縮環していてもよい。式(Y−1)〜(Y−13)は置換基と共に互変異性体構造であってもよい。
【0066】
【化7】

【0067】
〜Y11で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。Y〜Y11の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等であり、より好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である。Y〜Y11中隣接する2つの置換基は5〜6員環を形成していても良い。
本発明の効果の点でY〜Y11は水素原子、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、水素原子、脂肪族基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基、シアノ基である場合はより好ましい。
本発明の効果の点でAは、色相の点から5員環へテロ環である場合が好ましく、含窒素あるいは含硫黄5員へテロ環である場合がより好ましく、ヘテロ原子を2個以上含有する5員へテロ環である場合は更に好ましい。
【0068】
56〜R57、R59で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。R56〜R57、R59の置換基として、好ましくは脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等であり、より好ましくは脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である。
【0069】
本発明の効果の点で、R56〜R57、R59は脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基等である場合が好ましく、脂肪族基、脂肪族オキシ基、脂肪族チオ基、シアノ基である場合はより好ましい。
【0070】
58で表される置換基としては、前述の置換基の項で述べた基で、置換可能な基であれば何でもよい。本発明の効果の点で、R58として、好ましくは、ヘテロ環基、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の電子求引性基であり、σp値が0.3以上の電子求引性基であることが好ましい。上限としては1.0以下の電子求引性基である。
【0071】
σp値が0.2以上の電子求引性基であるR58の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
また、本発明の効果の点で、R58として、前記(Y−1)〜(Y−13)である場合も好ましく、分子内水素結合構造をとり易い構造にするために6員環の下記(Y−1)〜(Y−6)のいずれかである場合はより好ましく、前記(Y−1)、(Y−3)、(Y−4)、(Y−6)のいずれかである場合は更に好ましく、前記(Y−1)、又は(Y−4)である場合は特に好ましい。
Aとして挙げられた(A−1)〜(A−32)の複素環の中でも、アゾ基に結合する炭素原子に隣接する原子がヘテロ原子であれば、光、熱堅牢性が高い方向であり、このような構造的特徴を有する顔料をカラーフィルターに用いることで、高いコントラストを示すカラーフィルターを得ることができるため好ましい。
【0072】
本発明の効果の点で、一般式(1)で表される顔料は、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、Rが脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基であって、Aが、(A−1)、(A−10)〜(A−17)、(A−20)〜(A-23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合が好ましく、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、Rが脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基であって、Aが、(A−1)、(A−10)、(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A-23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合がより好ましく、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基、窒素原子で結合した飽和ヘテロ環基であって、mが0であって、Aが、(A−10)、(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合がさらに好ましく、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、Aが、(A−16)〜(A−17)、(A−20)、(A−28)、(A−32)のいずれかであって、nが1又は2である場合が特に好ましく、Gが水素原子であって、Rが置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、Aが(A−16)であってnが1又は2である場合が最も好ましい。
【0073】
本発明の効果の点で、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、下記一般式(2)で表されるアゾ顔料であることがより好ましい。
一般式(2)で表されるアゾ顔料は、ZあるいはR55とナフタレン環のヒドロキシ基と、アゾ基で交叉水素結合を形成し、顔料構造の平面性を上げ、分子内、分子間相互作用が強くなり、その結果、光堅牢性、熱堅牢性、耐溶剤性等が大幅に向上するため好ましい。
【0074】
以下、一般式(2)により表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物について詳細に説明する。
【0075】
【化8】

【0076】
(一般式(2)中、R21、R22、R55、R59、m、及びnは一般式(1)で定義したR、R、R55、R59、m、及びnと同じである。Zはハメットのσp値が0.2以上の電子求引性基を表す。n=2の場合は、R21、R22、R55、R59又はZを介した2量体を表す。n=3の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した3量体を表す。n=4の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した4量体を表す。一般式(2)がイオン性親水性基を有することはない。)
【0077】
Zで表されるハメットのσp値が0.2以上の置換基としては前述の一般式(1)のR58の説明で述べた基が挙げられる。
【0078】
一般式(2)で表される顔料のR21、R22、R55、R59、m、nの好ましい置換基、範囲は、一般式(1)のR、R、R55、R59、m、及びnと同じである。
本発明の効果の点で、Zとしては、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、スルファモイル基が好ましく、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基がより好ましく、シアノ基である場合が最も好ましい。
【0079】
本発明の効果の点で、一般式(2)で表される顔料は、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0又は1であって、mが1の場合は、R22が脂肪族オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、脂肪族オキシ基であって、R55が、該結合部位の隣接位に窒素原子を含有する芳香族5〜6員ヘテロ環基であって、R59が水素原子、脂肪族基であって、Zがアシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、スルファモイル基であって、nが1又は2である場合が好ましく、Rが置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)〜(Y−13)のいずれかであって、R59が水素原子、脂肪族基であって、Zがカルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基であって、nが1又は2である場合がより好ましく、R21が置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)〜(Y−6)のいずれかであって、R59が水素原子、脂肪族基であって、Zがカルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基であって、nが1又は2である場合が更に好ましく、Rが置換基を有していてもよいアミノ基であって、mが0であって、R55が、(Y−1)、(Y−4)、又は(Y−6)であって、R59が水素原子であって、Zがシアノ基であって、nが1又は2である場合が更に好ましい。
【0080】
本発明の効果の点で、一般式(1)及び一般式(2)で表される顔料は、「総炭素数/アゾ基の数」が40以下であることが好ましく、30以下である場合はより好ましい。本発明の効果の点で、一般式(1)及び一般式(2)で表される顔料は、「分子量/アゾ基の数」が700以下であることが好ましい。本発明の効果の点で、一般式(1)及び一般式(2)で表される顔料は、スルホ基、カルボキシル基等イオン性置換基が置換していない場合が好ましい。
【0081】
前記一般式(1)で表されるアゾ化合物は、他の態様においては、Aが(A−1)〜(A−9)、(A−11)〜(A−13)、(A−17)、(A−20)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)であることが好ましく、(A−11)〜(A−13)、(A−17)、(A−20)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−30)〜(A−32)であることがより好ましく、(A−17)、(A−20)、(A−22)〜(A−23)、(A−27)、(A−28)、(A−31)、(A−32)であることがより好ましく、(A−20)、(A−28)、(A−32)であることが更に好ましく、(A−20)であることが最も好ましい。また、(A−20)のR56がR59であることが特に好ましい。
【0082】
本発明は、一般式(1)及び一般式(2)で表されるアゾ顔料の互変異性体もその範囲に含むものである。一般式(1)及び一般式(2)は、化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示しているが、記載された構造以外の互変異性体であってもよく、複数の互変異性体を含有した混合物として用いてもよい。
例えば、一般式(1)で表される顔料には、下記一般式(1’)で表されるアゾ−ヒドラゾンの互変異性体が考えられる。
本発明は、一般式(1)で表されるアゾ顔料の互変異性体である以下の一般式(1’)で表される顔料もその範囲に含むものである。
【0083】
【化9】

【0084】
一般式(1’)中、G、R、R、A及びmは一般式(1)で定義したものと同じである。
【0085】
一般式(1)で表されるアゾ顔料のうち、前述したように特に好ましいアゾ顔料の一般式の例としては、下記一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるアゾ顔料を挙げることができる。上記一般式(1)で表される顔料は、下記一般式(3−1)〜一般式(3−4)で表されるアゾ顔料であることが好ましい。
【0086】
以下、一般式(3−1)〜一般式(3−4)により表されるアゾ顔料、その互変異性体、それらの塩又は水和物について詳細に説明する。
【0087】
【化10】

【0088】
(一般式(3−1)〜一般式(3−4)中、R、R、m、及びnは一般式(1)及び一般式(2)で定義したものと同じである。Xは炭素原子又は窒素原子を表し、Ax及びBxは、X及び該炭素原子と共に芳香族5〜6員ヘテロ環基を表し、詳しくは一般式(1)のAで定義した(A−1)〜(A−32)の中で該当するものを表す。Yxは該窒素原子及び炭素原子と共に一般式(1)のR55で定義したへテロ環基のうち該当するものを表す。R23は一般式(1)で規定したR51、R54、R57、R58等の置換基の内、該当する置換基からカルボニル基を除いた基に相当する置換基を表す。)
【0089】
上記一般式(1)、(2)、(3−1)〜(3−4)で表されるアゾ顔料において多数の互変異性体が考えられる。
また、本発明において、一般式(1)で表されるアゾ顔料は、分子内水素結合又は分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましい。少なくとも1個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有することがより好ましく、少なくとも1個以上の分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが特に好ましい。
【0090】
この構造が好ましい要因としては、一般式(3−1)〜(3−4)で示すようにアゾ顔料構造に含有するヘテロ環基を構成する窒素原子、ナフタレン置換基のヒドロキシ基の水素原子及び酸素原子、及びアゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子、あるいはアゾ顔料構造に含有するアゾ成分に置換するカルボニル基、ナフタレン置換基のヒドロキシ基の水素原子及び酸素原子、及びアゾ基又はその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子が分子内の交叉水素結合を容易に形成し易いことが挙げられる。
その結果、分子の平面性が上がり、更に分子内・分子間相互作用が向上し、一般式(3−1)又は一般式(3−4)で表されるアゾ顔料の結晶性が高くなり(高次構造を形成し易くなり)、顔料としての要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、更に好ましい例となる。
この観点からも、一般式(1)で表される顔料は、一般式(2)、(3−1)〜(3−4)で表される顔料であることが好ましく、一般式(2)、(3−1)又は(3−2)で表される顔料がより好ましく、一般式(2)で表される顔料が特に好ましい。
【0091】
以下に前記一般式(1)で表されるアゾ顔料及びアゾ化合物の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ顔料は、下記の例に限定されるものではない。また、以下の具体例の構造は化学構造上取りうる数種の互変異性体の中から極限構造式の形で示されるが、記載された構造以外の互変異性体構造であってもよいことは言うまでもない。
【0092】
【化11】

【0093】
【化12】

【0094】
【化13】

【0095】
【化14】

【0096】
【化15】

【0097】
【化16】

【0098】
【化17】

【0099】
【化18】

【0100】
【化19】

【0101】
【化20】

【0102】
【化21】

【0103】
【化22】

【0104】
【化23】

【0105】
【化24】

【0106】
【化25】

【化26】

【0107】
【化27】

【0108】
【化28】

【0109】
【化29】

【0110】
【化30】

【0111】
【化31】

【0112】
【化32】

【0113】
本発明の一般式(1)で表される顔料は、化学構造式が一般式(1)若しくは一般式(2)又はその互変異性体であればよく、多形とも呼ばれるいかなる結晶形態の顔料であってもよい。
【0114】
結晶多形は、同じ化学組成を有するが、結晶中におけるビルディングブロック(分子又はイオン)の配置が異なることを言う。結晶構造によって化学的及び物理的性質が決定され、各多形は、レオロジー、色、及び他の色特性によってそれぞれ区別することができる。また、異なる多形は、X−Ray Diffraction(粉末X線回折測定結果)やX−Ray Analysis(X線結晶構造解析結果)によって確認することもできる。
【0115】
本発明の一般式(1)及び(2)で表される顔料に結晶多形が存在する場合、どの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であってもよいが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多形が混入していないものが好ましく、単一の結晶型を有するアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100、特に好ましくは100%である。単一の結晶型を有するアゾ顔料を主成分とすることで、色素分子の配列に対して規則性が向上し、分子内・分子間相互作用が強まり高次な3次元ネットワークを形成しやすくなる。その結果として色相の向上・光堅牢性・熱堅牢性・湿度堅牢性・酸化性ガス堅牢性及び耐溶剤性等、顔料に要求される性能の点で好ましい。
アゾ顔料における結晶多形の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
【0116】
上述した互変異性及び/又は結晶多形の制御は、カップリング反応の際の製造条件で制御することができる。
【0117】
また、本発明において一般式(1)及び一般式(2)で表されるアゾ顔料は、酸基のある場合には、酸基の一部あるいは全部が塩型のものであってもよく、塩型の顔料と遊離酸型の顔料が混在していてもよい。上記の塩型の例としてNa、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩が挙げられる。有機アミンの例として、低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換低級アルキルアミン、カルボキシ置換低級アルキルアミン及び炭素数2〜4のアルキレンイミン単位を2〜10個有するポリアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。
【0118】
更に、本発明で使用する顔料の構造において、その1分子中に酸基が複数個含まれる場合は、その複数の酸基は塩型あるいは酸型であり互いに異なるものであってもよい。
【0119】
本発明において、前記一般式(1)及び一般式(2)で表されるアゾ顔料は、結晶中に水分子を含む水和物であってもよい。
【0120】
次に上記一般式(1)で表されるアゾ顔料の製造方法の一例について説明する。例えば、下記一般式(4)で表されるヘテロ環アミンを非水系酸性でジアゾニウム化し、下記一般式(5)で表される化合物と酸性状態でカップリング反応を行い、常法による後処理を行って本発明の一般式(6)で表されるアゾ顔料を製造することができる。一般式(4)に代えて一般式(1)のAに対応するヘテロ環アミンを用い、同様の操作を行うことにより一般式(1)で表されるアゾ顔料を製造することができる。
【0121】
【化33】

【0122】
(式中、R55、R58及びR59は、前記一般式(2)で定義したものと同義である。)
【0123】
【化34】

【0124】
(式中、R、R及びmは、前記一般式(1)で定義したものと同義である。)
以下に反応スキームを示す。
【0125】
【化35】

【0126】
(式中G、R、R、R、R55、R58、R59、mは一般式(1)又は一般式(2)で定義したものと同義である。)
【0127】
上記一般式(4)及び(A−1)〜(A−32)のアミノ体で表されるヘテロ環アミンは、市販品で入手することができるものもあるが、一般的には公知慣用の方法、例えば特許第4022271号公報に記載の方法で製造することができる。上記一般式(5)で表されるヘテロ環カプラ−は、市販品で入手することもできるが、特開2008−13472号公報に記載の方法及びそれに準じた方法で製造することができる。上記反応スキームで表されるヘテロ環アミンのジアゾニウム化反応は例えば、硫酸、リン酸、酢酸などの酸性溶媒中、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸、亜硝酸イソアミル等の試薬と15℃以下の温度で10分〜6時間程度反応させることで行うことができる。カップリング反応は、上述の方法で得られたジアゾニウム塩と上記一般式(5)で表される化合物とを40℃以下、好ましくは25℃以下で10分〜12時間程度反応させることで行うことができる。
一般式(1)及び一般式(2)のnが2以上の場合の合成方法は、一般式(4)又は一般式(5)のR〜R、R55、R59、R58等において、置換可能な2価、3価あるいは4価の置換基を導入した原料を合成し、前記スキームと同様に合成することができる。
このようにして反応させたものは、結晶が析出しているものもあるが、一般的には反応液に水、あるいはアルコール系溶媒を添加し、結晶を析出させ、結晶を濾取することができる。また、反応液にアルコール系溶媒、水等を添加して結晶を析出させて、析出した結晶を濾取することができる。濾取した結晶を必要に応じて洗浄・乾燥して、一般式(1)で表されるアゾ顔料を得ることができる。
【0128】
上記の製造方法によって、上記一般式(1)及び一般式(2)で表される顔料は粗アゾ顔料(クルード)として得られるが、本発明の顔料として用いる場合、後処理を行うことが望ましい。この後処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の磨砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤及び分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
【0129】
本発明の一般式(1)及び一般式(2)で表される顔料は後処理として溶媒加熱処理及び/又はソルベントソルトミリングを行うことが好ましい。
溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、又はこれらの混合物等が挙げられる。上記で挙げた溶媒に、さらに無機又は有機の酸又は塩基を加えてもよい。溶媒加熱処理の温度は所望する顔料の一次粒子径の大きさによって異なるが、40〜150℃が好ましく、60〜100℃がさらに好ましい。また、処理時間は、30分〜24時間が好ましい。
ソルベントソルトミリングとしては、例えば、粗アゾ顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練機に仕込み、その中で混練磨砕を行うことが挙げられる。上記無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用でき、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を用いることが好ましい。また、平均粒子径0.5〜50μmの無機塩を用いることがより好ましい。当該無機塩の使用量は、粗アゾ顔料に対して3〜20質量倍とするのが好ましく、5〜15質量倍とするのがより好ましい。有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好適に使用でき、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール又はこれらの混合物が挙げられる。当該水溶性有機溶剤の使用量は、粗アゾ顔料に対して0.1〜5質量倍が好ましい。混練温度は、20〜130℃が好ましく、40〜110℃が特に好ましい。混練機としては、例えばニーダーやミックスマーラー等が使用できる。
【0130】
[カラーフィルター用着色組成物]
本発明のカラーフィルター用着色組成物(以下単に着色組成物と称する場合がある)は、少なくとも一種の一般式(1)で表されるアゾ顔料を含有する着色組成物を意味する。
本発明の着色組成物は、さらに重合性化合物及び溶剤を含むことが好ましい。
また、本発明の着色組成物を製造する際、上記のようにして得られたアゾ顔料はそのまま配合しても、溶剤中に分散した顔料分散物を配合してもよい。アゾ顔料は顔料分散物とすることで、色彩的特性、耐久性及び分散安定性、耐光性や耐候性が優れたものとなり好ましい。
【0131】
本発明の着色組成物における一般式(1)で表されるアゾ顔料(他の顔料を併用している場合には用いた顔料の合計量)の使用量は、重合性化合物1質量部に対し、0.01〜2質量部であるのが好ましく、0.1〜1質量部であるのが特に好ましい。
【0132】
〔重合性化合物〕
重合性化合物は、カラーフィルターの製造プロセスを考慮して適宜選択すれば良く、重合性化合物としては、感光性化合物及び/又は熱硬化性化合物などが挙げられるが、感光性化合物が特に好ましい。
【0133】
感光性化合物としては、光重合性樹脂、光重合性モノマー及び光重合性オリゴマーの少なくとも1種以上から選ばれ、エチレン性不飽和結合を有するものであることが好ましい。カラーフィルター用着色組成物には硬化した状態で樹脂となるものを含めば良く、未硬化の状態では樹脂化していない成分のみが含まれる場合を含む。
光重合性化合物、光重合性モノマー及び光重合性オリゴマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。また、アクリル酸(共)重合体、(メタ)アクリル酸(共)重合体、マレイン酸(共)重合体等のビニル樹脂や、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル等の側鎖にエチレン性二重結合を有する樹脂類も挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。重合性化合物の配合量は20〜90質量%、好ましくは40〜80質量%の範囲がよい。
重合性化合物の配合率は、カラーフィルター用組成物中の全固形分中40〜95質量%であることが好ましく、更には50〜90質量%であることが好ましい。組成物中には、必要に応じて他の樹脂類等を配合することができるが、この場合には、他の樹脂類を合わせた合計量が上記範囲に入ることが望ましい。なお、全固形分とは乾燥、硬化後に固形分として残る成分をいい、溶剤を含まず、単量体を含む。
【0134】
〔光重合開始剤〕
重合性化合物として感光性化合物を用いる場合には、感光性化合物の単量体及び/又はオリゴマーと共に光重合開始剤を用いる。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、及びトリアジン誘導体などの化合物から選択される1種以上が挙げられる。これらの光重合開始剤とともに、さらに公知の光増感剤を使用してもよい。
【0135】
熱硬化性樹脂としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シクロペンタジエン樹脂などが挙げられる。
【0136】
なお、本明細書及び請求の範囲において、「感光性樹脂」、及び「熱硬化性樹脂」は、各々硬化後の樹脂のみではなく、重合性の単量体及び/又はオリゴマーも含むものとする。
【0137】
上記の感光性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂とともに、他の重合性化合物として、酸性基を有するバインダー樹脂、及び、アクリル樹脂、ウレタン樹脂など一般的にインクに使用される樹脂を使用してもよい。
【0138】
〔溶剤〕
顔料分散物は、水系であっても非水系であってもよいが、そのカラーフィルターの製造方法によって異なり、例えばフォトリソグラフィー法では、非水系が好ましく、インクジェット法では、どちらでもかまわない。
本発明の着色組成物に用いる溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの脂肪酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサントリオールなどのグリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3―ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの含窒素極性有機溶媒;水などが挙げられる。
【0139】
これらの溶剤のうち水溶性であるものは、水と混合して水性媒体として用いてもよい。また、水を除く上記の溶剤から選ばれる二種以上を混合して油性媒体として用いてもよい。
【0140】
顔料分散物とされたアゾ顔料は、顔料分散物とされていないアゾ顔料と比較して、耐光性や耐候性が優れたものとなる。
【0141】
本発明の着色組成物は、一般式(1)で表されるアゾ顔料を二種以上含むものでもよい。また、本発明の目的を妨げない範囲において、一般式(1)で表されるアゾ顔料とともに、他種の顔料、例えば、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料などから選択される1種以上の顔料及び/又はその誘導体を使用してもよい。
【0142】
本発明で用いられる併用してもよい顔料は特に限定されない。具体的には、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、すなわち、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254等のレッド系ピグメント;及び、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等のグリーン系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット23:19などが挙げられる。
【0143】
また、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0144】
一般式(1)で表されるアゾ顔料以外の他の顔料を併用する場合、その含有量は、着色組成物中の顔料の総質量中、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
【0145】
なお、以下、本明細書において、「一般式(1)で表されるアゾ顔料」なる語は、一種の一般式(1)で表されるアゾ顔料のみならず、二種以上の一般式(1)で表されるアゾ化合物の組み合わせ、及び一般式(1)で表されるアゾ顔料と他の顔料の組み合わせを含む意味で用いられる。
【0146】
[顔料分散物]
顔料分散物は、上記のアゾ顔料及び水系又は非水系の媒体とを、分散装置を用いて分散することで得ることが好ましい。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ペイントシェイカー、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。
【0147】
本発明において、顔料の体積平均粒子径は10nm以上250nm以下であることが好ましい。なお、顔料粒子の体積平均粒子径とは、顔料そのものの粒子径、又は顔料に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒子径をいう。本発明において、顔料の体積平均粒子径の測定装置には、ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150;日機装社製)を用いた。その測定は、顔料分散物3mlを測定セルに入れ、所定の測定方法に従って行った。尚、測定時に入力するパラメーターとしては、粘度にはインク粘度を、分散粒子の密度には顔料の密度を用いた。
【0148】
より好ましい体積平均粒子径は、20nm以上250nm以下であり、更に好ましくは30nm以上230nm以下である。顔料分散物中の粒子の数平均粒子径が20nm未満である場合には、保存安定性が確保できない場合が存在し、一方、250nmを超える場合には、光学濃度が低くなる場合が存在する。
【0149】
本発明の顔料分散物に含まれる顔料の濃度は、1〜35質量%の範囲であることが好ましく、2〜25質量%の範囲であることがより好ましい。上記範囲であれば表面張力、粘度等の分散物の物性値を調整しやすく好ましい。
【0150】
本発明のアゾ顔料は、その用途に適した耐溶剤性、分散性、熱移動性などの物性を、置換基で調整して使用する。また、本発明のアゾ顔料は、用いられる系に応じて乳化分散状態、さらには固体分散状態でも使用することが出来る。
【0151】
また、成分を短時間で良好に分散させるために分散剤を組成物に含めてもよい。
本発明におけるカラーフィルター用着色組成物には、さらに、界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤を含むことが好ましい。これらの分散剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0152】
以下に前記の分散剤の具体例について説明する。
界面活性剤は界面活性作用を有するものであれば特に限定されないが、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、又は両性などの界面活性剤を挙げることができ、その具体例としては、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルりん酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルりん酸塩、及び脂肪族モノカルボン酸塩などの陰イオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、及び四級アミン塩などの陽イオン性界面活性剤;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;アルキルベタインなどの両性界面活性剤;陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、両性のいずれであってもよい高分子系界面活性剤などが挙げられる。
【0153】
シリコーン系添加剤の具体例としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン、ポリオルガノシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリオルガノシロキサンポリエーテルコポリマー、ポリフルオロシロキサン、オルガノシランなどが挙げられる。これらのシリコーン系添加剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0154】
顔料系の添加剤とは、顔料骨格に塩基性基、酸性基、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、ポリオキシエチレン基などの置換基を導入した顔料誘導体である。好ましい顔料骨格としては、モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ系顔料、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料などが挙げられる。
【0155】
これらの顔料系の添加剤の中でも、アゾ系顔料の骨格に、上記置換基を導入したものが、一般式(1)で表されるアゾ化合物との親和性がよく好ましい。
【0156】
シラン系カップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、及びn−オクタデシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0157】
チタン系カップリング剤の具体例としては、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、及びジブトキシビストリエタノールアミンチタネートなどが挙げられる。
【0158】
上記の分散剤の使用量は、使用する分散剤の種類にもよるが、一般式(1)で表されるアゾ化合物100質量部に対して、0.1〜100質量部用いるのが好ましく、0.5〜80質量部用いるのが特に好ましい。
【0159】
分散剤の使用方法は特に制限されず、公知のフォトリソグラフィー法用の着色組成物の調製方法に従えばよい。
本発明はカラーフィルター用着色組成物の調製方法にも関する。本発明のカラーフィルター用着色組成物の調製方法は界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤及びチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤及び、一般式(1)で表されるアゾ化合物を、溶剤の一部に分散して顔料分散体を得る工程、及び、該顔料分散体を重合性化合物及び残余の溶剤と混合する工程を含む。
カラーフィルター用着色組成物の調製方法としては本発明の方法を用いることが好ましい。
【0160】
本発明はまた、上記のカラーフィルター用着色組成物を用いて得られる、カラーフィルターを提供する。該カラーフィルターは、高いコントラスト及び良好な光透過性を示す。具体的には、650nmの波長において、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上の光透過性を示す。
【0161】
本発明のカラーフィルターを製造するには、公知のいずれの方法を用いてもよく、好適にはフォトリソグラフィー法及びインクジェット法が挙げられる。以下、フォトリソグラフィー法及びインクジェット法について、詳細に説明する。
【0162】
1)フォトリソグラフィー法
フォトリソグラフィー法によりカラーフィルターを形成する場合には、本発明のカラーフィルター用着色組成物の重合性化合物として、感光性樹脂を用いる。感光性樹脂は、単量体及び/又はオリゴマーとして光重合開始剤と共に着色組成物中に配合され、光照射により硬化し透明基板上に被膜を形成する。
【0163】
感光性樹脂としては、前述の分子中に一つ以上のエチレン性二重結合を有する重合性単量体の重合体又は共重合体が好適に用いられる。
【0164】
これらの感光性樹脂(重合性単量体)としては、特にアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルが好ましく、具体的にはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレートなどが挙げられる。
【0165】
フォトリソグラフィー法を用いる場合、本発明の着色組成物に、前述の感光性樹脂に加え、酸性基を有するバインダー樹脂を用いる。酸性基を有するバインダー樹脂としては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基などを有する樹脂が挙げられ、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するバインダー樹脂が好ましい。
【0166】
上記の酸性基を有するバインダー樹脂としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン及びアクリルアミドなどから選ばれるエチレン性二重結合を有する単量体と、アクリル酸、メタクリル酸、p−スチレンカルボン酸、p−スチレンスルホン酸、p−ヒドロキシスチレン及び無水マレイン酸などから選択される、酸性基を有するエチレン性二重結合を有する単量体との共重合体が好ましく使用される。
【0167】
酸性基を有するバインダー樹脂は、感光性樹脂(重合性単量体)1質量部に対して、0.5〜4質量部用いるのが好ましく、1〜3質量部用いるのが特に好ましい。
【0168】
フォトリソグラフィー法用の着色組成物に用いる溶剤としては、脂肪酸エステル類、ケトン類、芳香族類、アルコール類、グリコール類、グリセリン、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、エーテル類、及び含窒素極性有機溶媒から選択される1種以上の油性媒体が挙げられる。
【0169】
これらの溶剤の使用量は、着色組成物中の溶剤以外の成分の総質量に対して3〜30倍質量であるのが好ましく、4〜15倍質量であるのが特に好ましい。
【0170】
また、本発明におけるフォトリソグラフィー法用の着色組成物に、前述の成分の他に必要に応じて、湿潤剤、褪色防止剤、乳化安定剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤などの公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。これらの各種添加剤は、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0171】
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、一般式(1)で表されるアゾ化合物、重合性化合物、溶剤、及びその他各種添加剤を、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、二本ロールミル、三本ロールミル、ホモジナイザー、ニーダー、振とう分散機などの機器を用い、均一に混合、分散させる工程、及び前記溶剤等を用いて粘度調整する工程を含む方法により調製することが出来る。
【0172】
本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いてカラーフィルターを基板上に形成させる方法は、公知のフォトリソグラフィー法を用いれば良い。例えば、本発明の着色組成物を印刷法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法などの公知の方法によりディスプレー基板上に均一に塗布する工程、加熱によりインク中の溶剤を除去する工程、ディスプレー基板上のカラーフィルターパターンを高圧水銀ランプなどを用い露光する工程、アルカリ現像工程、洗浄工程、及び、ベーキング工程を含む方法によりカラーフィルターが得られる。
上記本発明のカラーフィルターの製造方法に用いる現像液としては、本発明の組成物を溶解し、一方、放射線照射部を溶解しない組成物であればいかなるものも用いることができる。具体的には種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
有機溶剤としては、本発明の組成物を調整する際に使用される前述の溶剤が挙げられる。
アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に、現像後、水で洗浄する。
【0173】
2)インクジェット法
カラーフィルターをインクジェット法を用いて形成する場合には、本発明のカラーフィルター用着色組成物の重合性化合物としては、インクジェット方式用インクに従来用いられているものであれば特に限定されず、いずれを用いてもよい。感光性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂の単量体が好適に用いられる。
【0174】
これらの感光性樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂及びエポキシ樹脂などが挙げられ、アクリル樹脂、及びメタクリル樹脂が好適に使用される。アクリル樹脂及びメタクリル樹脂は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アルキルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、アミノアルキルメタクリレートなどから選ばれる光重合性の単量体と、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、及びトリアジン誘導体などの化合物から選ばれる光重合開始剤を組み合わせて用いたものが好ましい。また、上記の光重合性単量体の他に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、酢酸ビニルなどの親水性基を有する光重合性単量体を加えてもよい。
【0175】
熱硬化性樹脂としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシクロペンタジエン樹脂などが挙げられる。
【0176】
インクジェット法を用いる場合、着色組成物に用いる溶剤は、油性媒体でも水性媒体でもよいが、水性媒体がより好適に使用される。水性媒体は水又は、水及び水溶性有機溶媒の混合溶媒が用いられるが、水及び水溶性有機溶媒の混合溶媒が好ましい。また、脱イオン処理されたものを使用することが望ましい。
【0177】
上記の着色組成物において使用する油性媒体は特に限定されないが、例えばフォトリソグラフィー法に用いる着色組成物用の溶剤として挙げたものなどを使用することが出来る。
【0178】
水性媒体中に使用する溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、グリコール類、グリセリン、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、アルカノールアミン類、及び含窒素極性有機溶媒などから選択され、水溶性を有するものが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
【0179】
これらの溶剤の使用量は特に限定されないが、着色組成物の粘度が室温にて20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下となるように使用量を適宜調節するのがよい。
【0180】
本発明のインクジェット用の着色組成物は、フォトリソグラフィー法用の着色組成物と同様に成分を分散、混合させる工程を含む方法により調製することが出来る。分散時には必要に応じ、フォトリソグラフィー法の場合と同様に分散剤を配合してもよい。
【0181】
また、本発明におけるインクジェット用の着色組成物に、前述の成分の他に必要に応じて、湿潤剤、褪色防止剤、乳化安定剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤などの公知の種々の添加剤を含めてもよい。
【0182】
上記のように得られた着色組成物を用いたカラーフィルターの形成方法は、公知のインクジェット方式によるカラーフィルターの形成方法であれば特に限定されない。例えば、基板上に液滴状で所定のカラーフィルターパターンを形成させる工程、これを乾燥させる工程、及び熱処理あるいは光照射あるいはこれらの双方を行って基板上のカラーフィルターパターンを硬化、皮膜化させる工程を含む方法によりカラーフィルターを形成することができる。
【0183】
以上、フォトリソグラフィー法とインクジェット法について説明したが、本発明のカラーフィルターは他の方法によって得られたものでもよい。
【0184】
上記以外のカラーフィルター形成方法(例えばオフセット印刷法などの種々の印刷法)を用いる場合であっても、着色組成物が前述の重合性化合物及び溶剤を含み、一般式(1)で表されるアゾ化合物を着色剤に使用するものであれば、カラーフィルター用着色組成物、得られたカラーフィルターの何れも本発明の範囲に含まれる。
【0185】
例えば、重合性化合物、溶剤、添加剤などの成分、及びカラーフィルター形成時の処方については、慣用例に従って選択すればよく、上述のフォトリソグラフィー法及びインクジェット法の説明に挙げたものに限定されない。
【0186】
以上のようにして得られる、本発明のカラーフィルターは、公知の方法によりG(緑)、B(青)のカラーフィルターパターンとともに画素を形成する。かかるフィルターは、透明性が非常に高く、分光特性にすぐれ、消偏光作用の小さい、鮮明な画像を表示可能な液晶ディスプレーを与えることができる。また、このカラーフィルタが形成されたデバイスを使用すると、良好な分光特性を有するカメラモジュールを与える事が出来る。
本発明のカラーフィルターは、液晶表示素子やCCD、CMOS等の固体撮像素子に用いることができ、100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS素子等にも好適である。
【実施例】
【0187】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」及び「部」は、「質量%」及び「質量部」を表し、分子量とは重量平均分子量のことを示す。
【0188】
〔合成例1〕
具体的化合物例D−1の合成
具体的化合物例D−1の合成は、以下のルートで合成した。
【0189】
【化36】

【0190】
D−1の合成
1.0gの化合物(1)を10mlのリン酸(和光純薬株式会社;試薬特級純度85%、以下同様)に加えて溶かした。この溶液を氷冷して−5〜0℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.38gを加えて1時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に化合物(0)1.30gにアセトニトリル25mlを添加し攪拌下に、前述のジアゾニウム塩溶液を8℃以下で加えた。添加終了と同時に氷浴をはずし、更に3時間攪拌した。反応液にアセトニトリル50mlを添加し、30分間攪拌し、析出している結晶を濾別し、アセトニトリル30mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水100mlに加え、炭酸水素ナトリウム0.5gを水30mlに溶かした溶液を添加し、20〜25℃で30分間攪拌した。析出している結晶を濾別し、更に水で充分にかけ洗いした。得られた結晶を乾燥させずにジメチルアセトアミド50mlに加え、100℃で加熱攪拌を30分間行なった。室温で30分間攪拌し、析出している結晶を濾過し、ジメチルアセトアミド30mlでかけ洗いをした。得られた結晶を乾燥させずにジメチルアセトアミド50mlに加え、水25mlを徐々に滴下し、80℃で1時間攪拌し、更に室温下で30分間攪拌した。析出している結晶を濾過し、ジメチルアセトアミド/水=2/1の20ml及びメタノール20mlでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−1を1.2g得た。収率52%。
図1に赤外吸収チャートを示す。
【0191】
〔合成例2〕
具体的化合物例D−33の合成
具体的化合物例D−33の合成は、以下のルートで合成した。
【0192】
【化37】

【0193】
D−33の合成
1.0gの化合物(2)を10mlのリン酸(和光純薬株式会社;試薬特級純度85%、以下同様)に加えて30℃に加温し溶かした。この溶液を氷冷して0〜5℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.38gを加えて1.5時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。このジアゾニウム塩溶液を、化合物(0)1.4gをジメチルアセトアミド5mlに溶かした溶液に5〜10℃に保ちながら滴下し、その後5〜10℃に保ちながら1時間攪拌した。その後、氷浴をはずし、更に0.5時間攪拌した。反応液に酢酸エチル50mlを加え、80℃で加熱完溶した。そこにヘキサン50mlを加え、さらに80℃で20分間、室温で40分間攪拌した。析出した結晶を濾別し、ヘキサン50mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水200ml、飽和炭酸水素ナトリウムを0.1ml加えて中和した。結晶にアセトニトリル100mlを加え、80℃で3時間、室温で1時間攪拌し、析出している結晶を濾過し、アセトニトリル50mlでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−33を0.51g得た。収率21%。
λmax:504nm、ε:1.59×10(CHCl
図2に赤外吸収チャートを示す。
【0194】
〔合成例3〕
具体的化合物例D−20の合成
具体的化合物例D−20の合成は、以下のルートで合成した。
【0195】
【化38】

【0196】
D−20の合成
1.0gの化合物(3)を10mlのリン酸に加えて30℃に加温し溶かした。この溶液を氷冷して0〜5℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.35gを加えて2時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。このジアゾニウム塩溶液を、化合物(0)1.3gをジメチルアセトアミド5mlに溶かした溶液に5〜10℃に保ちながら滴下し、その後5〜10℃に保ちながら20分間、その後、氷浴をはずし、更に20分間攪拌した。反応液にジメチルアセトアミド100mlを加え、40℃で20分間攪拌した。そこにアセトニトリル100mlを加え、室温で10分間攪拌した。析出した結晶を濾別し、アセトニトリル50mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水200ml、飽和炭酸水素ナトリウムを0.1ml加えて中和し、得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−20を0.49g得た。収率21%。
λmax:493nm、ε:1.93×10(CHCl
図3に赤外吸収チャートを示す。
【0197】
〔合成例4〕
具体的化合物例D−22の合成
具体的化合物例D−22の合成は、以下のルートで合成した。
【0198】
【化39】

【0199】
D−22の合成
4.5gの化合物(4)を45mlのリン酸に加えて30℃に加温し溶かした。この溶液を氷冷して0〜5℃に保ち、亜硝酸ナトリウム1.47gを加えて1時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。このジアゾニウム塩溶液を、化合物(0)4.5gをジメチルアセトアミド70mlに溶かした溶液に5〜10℃に保ちながら滴下し、その後5〜10℃に保ちながら30分間、その後、氷浴をはずし、更に1時間攪拌した。反応液に水200mlを加えて、析出した結晶を濾別し、水200mlでかけ洗いをした。結晶にアセトニトリル200mlを加え、80℃で2時間攪拌した。その後、室温で2時間攪拌したのちに析出した結晶を濾別した。結晶は飽和炭酸水素ナトリウムを0.1ml加えて中和し、得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−22を6.9g得た。収率82%。
λmax:494nm、ε:1.91×10(CHCl
図4に赤外吸収チャートを示す。
【0200】
〔合成例5〕
具体的化合物例D−222の合成
具体的化合物例D−222の合成は、以下のルートで合成した。
【0201】
【化40】

【0202】
1.0gの化合物(1’)を10mlのリン酸(和光純薬株式会社;試薬特級純度85%、以下同様)に加えて溶かした。この溶液を氷冷して−5〜0℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.55gを加えて1時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に化合物(0)1.60gにNMP(N−メチルピロリドン)20mlを添加し攪拌下に、前述のジアゾニウム塩溶液を8℃以下で加えた。添加終了と同時に氷浴をはずし、更に3時間攪拌した。反応液にメタノール50mlを添加し、30分間攪拌し、析出している結晶を濾別し、メタノール30mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水100mlに加え、炭酸水素ナトリウム0.5gを水30mlに溶かした溶液を添加し、20〜25℃で30分間攪拌した。析出している結晶を濾別し、更に水で充分にかけ洗いした。得られた結晶を乾燥させずにNMP20ml、水10mlに加え、100℃で加熱攪拌を30分間行なった。室温で30分間攪拌し、析出している結晶を濾過し、NMP/水=2/1の20ml及び水20mlでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−222を1.8g得た。収率72%。
図5に赤外吸収チャートを示す。
【0203】
〔合成例6〕
具体的化合物例D−228の合成
具体的化合物例D−228の合成は、以下のルートで合成した。
【0204】
【化41】

【0205】
1.0gの化合物(2’)を10mlのリン酸に加えて溶かした。この溶液を氷冷して−5〜0℃に保ち、亜硝酸ナトリウム0.54gを加えて1時間攪拌し、ジアゾニウム塩溶液を得た。別に化合物(3’)1.60gにNMP(N−メチルピロリドン)20mlを添加し攪拌下に、前述のジアゾニウム塩溶液を8℃以下で加えた。添加終了と同時に氷浴をはずし、更に1時間攪拌した。反応液にメタノール40mlを添加し、30分間攪拌し、析出している結晶を濾別し、メタノール30mlでかけ洗いをした。結晶を乾燥せずに水100mlに加え、20〜25℃で30分間攪拌した。析出している結晶を濾別し、更に水で充分にかけ洗いした。得られた結晶を乾燥させずにNMP20ml、水10mlに加え、100℃で加熱攪拌を30分間行なった。室温で30分間攪拌し、析出している結晶を濾過し、NMP/水=2/1の20ml及び水20mlでかけ洗いした。得られた結晶を乾燥し、本発明の化合物D−228を2.0g得た。収率80%。
図6に赤外吸収チャートを示す。
化合物例228と同様にして他の化合物を合成した。
【0206】
〔実施例1〕
〔フォトリソグラフィー法によるカラーフィルターの作製〕
合成例1で合成した化合物D−1で示される顔料を使用した。70ccのマヨネーズ瓶に、下記に示す材料を投入し、これを振とう分散機(LAU社製DAS200)で6時間振盪して、顔料分散体1を得た。
【0207】
【表1】

【0208】
顔料分散体1に下記に示す材料を加え、上記振とう分散機にてさらに30分振盪しフォトリソグラフィー法用のカラーフィルター用着色組成物1を調製した。
【0209】
【表2】

【0210】
得られたカラーフィルター用着色組成物1を、スライドグラスにバーコーター Rod No.10を用いて塗布した後、80℃のオーブンで5分間乾燥してインク塗膜を得た。
上記塗膜を、塗膜の一部を適当にマスキングした後、高圧水銀ランプを用い、200mJ/cmの条件で照射して露光した。その後0.5%炭酸ナトリウム水溶液を用い25℃で現像を行い、さらに220℃のオーブンで20分間乾燥を行って、カラーフィルターを作製した。このフィルムの光透過率を、分光光度計(日立製作所(株)製、U−3310)を用いて測定した。結果を図1に示す。また、波長540〜610nmの間で、得られたカラーフィルターの最低透過を示す波長を求めた。結果を表3に示す。
【0211】
〔実施例2〕
実施例1において使用した顔料の代わりに、合成例2で合成した化合物D−33で示される顔料を使用し、顔料分散体1の組成における溶剤(1,2−プロパンジオール 1−モノメチルエーテル 2−アセテート)の使用量を表1に記載の量とすること以外は、実施例1と同様にして着色組成物を調製した。得られた着色組成物を用いてカラーフィルターを作成し、光透過率の測定を行った。結果を図2に示す。また、波長540〜610nmの間で、得られたカラーフィルターの最低透過率を示す波長を求めた。結果を表3に示す。
【0212】
〔実施例3〜11〕
実施例1において使用した顔料の代わりに、表1に記載の顔料を使用し、顔料分散体1の組成における溶剤1(1,2−プロパンジオール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート)の使用量を表1に記載の量とすること以外は、実施例1と同様にして着色組成物を調製した。得られた着色組成物を用いてカラーフィルターを作成した。また、波長540〜610nmの間で、得られたカラーフィルターの最低透過率を示す波長を求めた。結果を表3に示す。
【0213】
【表3】

【0214】
〔実施例21〕
実施例1において、顔料0.6gに対して分散剤として界面活性剤(ビックケミー(株)社製顔料湿潤分散剤BYK−161)を0.5g添加して分散を行ったところ、分散時間6時間で実施例1と同等の性能を有するカラーフィルターが得られた。
【0215】
〔実施例22〜26〕
表2に示す分散剤を用い使用量を変更することの他は、実施例1と同様に振とう分散機(LAU社製DAS200)を用いて顔料を分散させ、顔料分散体を調製したところ、それぞれ分散時間6時間で実施例1と同等の性能を有するカラーフィルターが得られた。
【0216】
【表4】

【0217】
〔比較例1及び2〕
実施例1において使用した顔料の代わりに、C.I.Pigment Red 254 (IRGAPHORE DPP RED、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)及び下記式〔I〕で示される顔料を、それぞれ使用した以外は実施例1と全く同様にして着色フィルムを調製した。得られたフィルムの光透過率の測定を行い、光透過率の最低の波長と650nmの光透過率、540nmの光透過率を求めた。結果を表3に示す。
【0218】
【化42】

【0219】
【表5】

【0220】
着色剤として化合物D−1及び化合物D−33で表される化合物を含む本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成したカラーフィルターは、透過率曲線がシャープに立ち上がり、且つ、650〜750nmの領域において、透過率が高く、優れた透過率曲線を示すものであった。更に、比較例1のカラーフィルターは、540nmに透過率の高い部分があるが、実施例1〜11のカラーフィルターは540nmの透過率は低く、優れたものであった。
【0221】
また、本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成したカラーフィルターは、比較例1及び比較例2において得られたカラーフィルターと比較し、350〜400nmの青色光の透過率が非常に低く、色純度の高い赤色を表示可能にするものであった。
【0222】
すなわち、本発明のカラーフィルター用着色組成物は、一般式(1)で表されるアゾ顔料の構造を選択することにより、透過率が急激に変化する波長を約540nmから約590nmの間で適宜調節することを可能とし、ディスプレーのバックライトの光源波長に応じて最適の色相の赤色を得ることができる点で有用なものである。
【0223】
〔耐熱性評価〕
実施例1〜11、比較例1及び2で得られたカラーフィルターを用いて、耐熱性試験を行った。
〈耐熱性試験方法〉
カラーフィルターを大気下、250℃で90分間曝露し、その前後の色差(ΔE*ab)を分光光度計(サカタインクス社製Macbeth Coloreye―3000)で測定を行った。下記判定基準に従って評価しこれらの結果を表4に示した。
<判定基準>
○:ΔE*ab<1.0
△1.0≦ΔE*ab<1.1
×:1.1≦ΔE*ab
【0224】
【表6】

【0225】
着色剤として一般式(1)で表されるアゾ化合物を含む本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成した実施例1〜11のカラーフィルターは、比較例1の顔料を用いたものと比べて、同等以上の耐熱性を示した。
【0226】
<耐光性評価>
着色力評価に用いた画像濃度1.0の塗布物を、フェードメーターを用いてキセノン光(170000lux.;325nm以下カットフィルター存在下、スガ試験機)を20日間照射し、その前後の色差(ΔE*ab)を分光光度計(サカタインクス社製Macbeth Coloreye―3000)で測定を行った。下記判定基準に従って評価しこれらの結果を表5に示した。
<判定基準>
○:ΔE*ab≦3.0
△:3.0<ΔE*ab≦6.0
×:6.0<ΔE*ab
【0227】
【表7】

【0228】
着色剤として一般式(1)で表されるアゾ化合物を含む本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成した実施例1〜11のカラーフィルターは、比較例1、2の顔料を用いたものと比べて、同等以上の耐光性を示した。
【0229】
(コントラスト評価)
得られたカラーフィルターのコントラストを、壷坂電機株式会社製、コントラストテスター CT−1を用いて測定した。評価はコントラスト≧23000を○、23000>コントラスト≧18000を△、18000>コントラストを×とし、結果を表6に示す。
【0230】
【表8】

【0231】
着色剤として一般式(1)で表される化合物を含む本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成した実施例1〜11のカラーフィルターは、比較例2の顔料を用いたものと比べて、優れたコントラストを示した。
【0232】
(分散物経時安定性の評価)
実施例1〜11、比較例1、2で作成した着色組成物1〜11、比較着色組成物1、2を暗所室温で2週間保存した後、異物の析出度合いを目視により下記判定基準に従って評価した。
<判定基準>
○:析出は認められなかった。
△:僅かに析出が認められた。
×:析出が認められた。
【0233】
【表9】

【0234】
着色剤として一般式(1)で表される化合物を含む本発明のカラーフィルター用着色組成物を用いて作成した顔料分散体1〜11は、比較例1及び2の顔料を用いたものと比べて、経時による異物が認められず、分散物経時安定性に優れていた。
【0235】
(実施例101)
<Green顔料分散液の調製>
−Green顔料分散液P1の調製−
顔料としてC.I.ピグメント・グリーン36とC.I.ピグメント・イエロー139との100/55(質量比)混合物12.6部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)5.2部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を2.7部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート78.3部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Green顔料分散液P1を調製した。
【0236】
<Red顔料分散液の調製>
−Red顔料分散液P2の調製−
顔料としてD−1とC.I.ピグメント・イエロー139との100/45(質量比)混合物12.1部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)10.4部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を3.8部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート73.7部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Red顔料分散液P2を調製した。
【0237】
<Blue顔料分散液の調製>
−Blue顔料分散液P3の調製−
顔料としてC.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との100/25(質量比)混合物14部と、分散剤としてBYK2001(Disperbyk:ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.1質量%)4.7部と、分散樹脂としてベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(酸価134mgKOH/g、Mw=30,000)を3.5部と、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート77.8部とからなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、Blue顔料分散液P3を調製した。
【0238】
<Green着色感光性組成物(塗布液)A−1の調製>
上記のGreen顔料分散液を用い、下記組成となるように混合、撹拌して着色感光性組成物A−1を調製した。
【0239】
【表10】

【0240】
<Red着色感光性組成物(塗布液)B−1の調製>
上記のRed顔料分散液P2を用い、下記組成となるように混合、撹拌して着色感光性組成物B−1を調製した。
【0241】
【表11】

【0242】
<Blue着色感光性組成物(塗布液)C−1の調製>
上記のBlue顔料分散液P3を用い、下記組成となるように混合、撹拌して着色感光性組成物C−1を調製した。
【0243】
【表12】

【0244】
前記において調製されたGreen着色感光性組成物A−1を、あらかじめヘキサメチルジシラザンを噴霧した8インチのデバイス形成済みシリコンウエハの上に塗布し、光硬化性の塗布膜を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が1.0μmになるように、100℃のホットプレートを用いて180秒間加熱処理(プリベーク)を行った。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で1.0μm四方のベイヤーパターンマスクを通して50〜1000mJ/cmにて照射した(50mJ/cmずつ露光量を変化)。その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハをスピン・シャワー現像機(DW−30型;(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の40%希釈液を用いて23℃で180秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハに着色パターンを形成した。
【0245】
着色パターンが形成されたシリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。
次に、200℃のホットプレートにて5分間加熱し、パターンが形成されたカラーフィルタを得た。
【0246】
さらに、上記Red着色感光性組成物B−1、Blue感光性組成物C−1を用い、露光パターンを1.0μm四方のアイランドパターンマスクを通して露光する以外はGreenと同様の工程を繰り返すことにより、RGBのパターンで形成されたカラーフィルタを形成した。
このカラーフィルタが形成されたデバイスを使用してカメラモジュールを作成すると、良好な分光特性を有することが確認できた。
【0247】
【化43】

【0248】
実施例101のD−1の代わりにD−26、D−136、D−209、D−236を使用し、カラーフィルタを作成し、カメラモジュールを作成すると実施例101と同様に良好な分光特性を有することが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるアゾ顔料を含むことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
【化1】

(一般式(1)中、Gは、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは、アミノ基、脂肪族オキシ基、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、Rは置換基を表す。Aは、下記一般式(A−1)〜(A−32)のいずれかを表す。mは0〜5の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。n=2の場合は、R、R、AまたはGを介した2量体を表す。n=3の場合はR、R、AまたはGを介した3量体を表す。n=4の場合はR、R、AまたはGを介した4量体を表す。一般式(1)がイオン性親水性基を有することはない。)
【化2】

(一般式(A−1)〜(A−32)中、R51〜R59は水素原子、置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(1)のアゾ基との結合位置を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)におけるAが下記一般式(A−1)、(A−4)〜(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−19)〜(A−23)、(A−25)〜(A−32)のいずれかを表すことを特徴とするカラーフィルター用着色組成物。
【化3】

(一般式(A−1)、(A−4)〜(A−11)、(A−13)〜(A−17)、(A−19)〜(A−23)、(A−25)〜(A−32)中、R51〜R59は水素原子、置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合し、5〜6員環を形成していてもよい。*は一般式(1)のアゾ基との結合位置を表す。)
【請求項3】
前記一般式(1)で表されるアゾ顔料が、下記一般式(2)で表わされることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルター用着色組成物。
【化4】

(一般式(2)中、R21、R22、R55、R59、m、及びnは一般式(1)で定義したR、R、R55、R59、m、及びnと同じである。Zはハメットのσp値が0.2以上の電子求引性基を表す。n=2の場合は、R21、R22、R55、R59又はZを介した2量体を表す。n=3の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した3量体を表す。n=4の場合はR21、R22、R55、R59又はZを介した4量体を表す。一般式(2)がイオン性親水性基を有することはない。)
【請求項4】
さらに重合性化合物および溶剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用着色組成物。
【請求項5】
一般式(1)で表されるアゾ顔料を、重合性化合物1質量部に対し、0.01〜2質量部含む請求項4に記載のカラーフィルター用着色組成物。
【請求項6】
重合性化合物が感光性化合物であることを特徴とする請求項4又は5に記載のカラーフィルター用着色組成物。
【請求項7】
さらに、界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤およびチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルター用着色組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のカラーフィルター用着色組成物を用いて形成されたことを特徴とするカラーフィルター。
【請求項9】
フォトリソグラフィー法、またはインクジェット法によって形成されたことを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルター。
【請求項10】
界面活性剤、シリコーン系添加剤、顔料系の添加剤、シラン系カップリング剤およびチタン系カップリング剤から選択される1種以上の分散剤および、一般式(1)で表されるアゾ顔料を、溶剤の一部に分散して顔料分散体を得る工程、および、該顔料分散体を重合性化合物および残余の溶剤と混合する工程を含む、請求項7に記載のカラーフィルター用着色組成物の調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−85979(P2010−85979A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169544(P2009−169544)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】