説明

カラーフィルタ検査方法

【課題】カラーフィルタの着色画素であるRGBの位置ずれをオーバーラップ量の自動測定を行い、検査員の作業負荷を減らしRGBの位置ずれによる不良発生を防ぐカラーフィルタ検査方法を提供する。
【解決手段】ブラックマトリックスを有するカラーフィルタの着色画素の位置ずれ不良を検査する方法であって、カラーフィルタを撮像して得られた撮像画像から、着色画素の同一画素の対面する辺の組み合わせ、または同一色内における別画素間においては前記同一画素の対面する辺の組み合わせに対応する辺同志の組み合わせのいずれか一方の組み合わせにおける着色画素とブラックマトリックスの重なり度合いを測定して、着色画素の位置ずれ不良を検査するカラーフィルタ検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラーフィルタの着色画素であるレッドR/グリーンG/ブルーBの位置ずれを検査する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1はカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ基板71の一例を断面で示した図であり、ガラス基板10上にブラックマトリックス(以下BM)11、着色画素(レッドR、グリーンG、ブルーB)(以下RGB画素)12、透明電極13、フォトスペーサー(Photo Spacer)/バーテイカルアライメント(Vertical Alignment)(以下PS/VA)14が順次形成されたものである。
【0003】
BM11は、遮光性を有するマトリックス状のものであり、カラーフィルタのRGB画素の位置を定め、大きさを均一なものとし、また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮断し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させる機能を有している。RGB画素は、レッドR、グリーンG、ブルーBのフィルター機能を有するものである。
【0004】
ガラス基板10上へのBM11の形成は、例えば、ガラス基板10上に金属薄膜を形成し、この金属薄膜にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィー法によってBM形状を有したパターンを露光、現像、エッチングをして形成するといった方法や、または、ガラス基板10上に黒色のフォトレジスト樹脂を塗布し、この樹脂塗膜をフォトリソグラフィー法によってBM形状を有したパターンを露光、現像して、いわゆる樹脂BMと称するパターンを形成する方法がとられている。
【0005】
液晶表示装置の多くに用いられている上記構造のカラーフィルタの製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法が知られているが、図2はフォトリソグラフィー法の工程を示す概略ブロック図である。カラーフィルタは、先ずガラス基板上にBM(BM)を形成する工程、ガラス基板を洗浄する工程、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥する工程、着色フォトレジストを乾燥、硬化するプリベーク工程、露光する工程、現像する工程、着色フォトレジストを硬化させる工程、透明電極成膜工程、PS/VAを形成する工程がこの順に行なわれ製造される。
【0006】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素が形成される場合には、ガラス基板を洗浄する工程から、着色フォトレジストを硬化する工程間ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色レジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。露光工程では、既にガラス基板に形成されているBMに対してガラス基板1枚毎にR画素の原版を位置合わせした後、露光される。同様にG画素、B画素を形成する場合にも、ガラス基板1枚毎に原版を位置合わせして露光される。
【0007】
位置合わせして露光する一例を図3に示す。図3はガラス基板42上にカラーフィルタのパターン41が4面配置(4面付け)されたカラーフィルタを示す。4面のパターンが形成されたカラーフィルタを作成する際に、四面全体が描画されているガラス基板大の一枚のフォトマスク(図示せず)を用いて、ガラス基板上に塗布されたフォトレジストに一回の露光によりパターンを4面全体を露光する方法を一括露光法と称している。これは、IC製造におけるウエハーガラス基板上に塗布されたフォトレジストに、例えば一個のICのパターンが描画されているフォトマスクを用いて、ウエハー基板の位置を変えて多数回の露光をし、多数のICを面付けした状態に露光する方法、すなわちステップアンドリピート露光法に対する称し方である。前記一括露光法では、BMパターン上の位置合わせ用マークと前記フォトマスク上の位置合わせ用マークをフォトマスクを載置したアライメントテーブルを移動させて両者のマークを光学的に一致させたところで露光が行われる。この際、前記両者のマークの一致が必ずしも正確に行われず、いわゆる位置ずれが発生することがある。
【0008】
更に、このような一括露光法においては、ガラス基板が大型化するに伴い、用いられるフォトマスクも大型化するすることになるが、このフォトマスクの価格は、大型化に伴い飛躍的に高価なものとなる。そこで上記のようなカラーフィルタのパターンの4面を2面に分割して、2面付けされた大きさのフォトマスクを用いて2回分割露光が行われている。
【0009】
図4は分割露光の場合のアライメント(位置合わせ)と、露光の一例を説明するための図である。図4に示す分割露光による露光装置は、搬入コンベア51、アライメントステージ52、搬入搬出ロボット53、露光装置本体54、および搬出コンベア55などで構成されている。56a、56b、56c、56dは各々、搬入コンベア51上、アライメントステージ52上、露光装置本体54上、および搬出コンベア55上のガラス基板を示している。
【0010】
図5は、図4に示す露光装置54の矢印57の方向から見た側面図である。図4および図5に示すように、露光装置本体54は、露光ステージ61と、光源63、フォトマスク64などからなる露光部62を備えている。位置(a)は露光ステージ61上の2回分割露光における第1露光の位置を示し、また、位置(b)は第2露光の位置を示している。
【0011】
図4、および図5に示すように、露光部62は固定されたまま、露光ステージ61上のガラス基板56cは露光ステージ61により移動し、(a)位置で第1露光が行われ、次に露光ステージ61が一定距離移動し停止し、(b)位置で第2露光が行われるようになっている。すなわち、ガラス基板56aは、搬入コンベア51上からアライメントステージ52上に移動され(56b)、アライメントステージ52上にてアライメントされる。次に、搬入搬出ロボット53によって露光ステージ61上に搬入される。露光ステージ61上のガラス基板56cは露光ステージ61に固定されたまま、上記2回分割露光後、同一搬入搬出ロボット53によって露光ステージ61から搬出コンベア55上に搬出される(56d)ようになっている。
【0012】
すなわち、ガラス基板はアライメントステージ52上にてアライメントされた後に露光ステージ61上に搬入するために、アライメントステージ52上での位置ずれや搬入搬出ロボット52の精度や露光装置54の露光ステージの精度及びアライメントステージ52や搬入搬出ロボット53や露光装置54の露光ステージの調整不良に起因したガラス基板の位置ずれが発生する。
【0013】
また、マークを読み取るカメラ(図示せず)の向きが運転中に除々に傾いて読み取る位置がずれてしまうことがある。このような場合には、アライメントが正しく行われるように調整、復旧する必要がある。
【0014】
図6はBMとRGB画素の位置合わせの結果の良否を説明するための図である。10はガラス基板、11はBM、12は着色画素(例えばR画素)であって、BM11に対してR画素12を位置合わせする場合を例として説明する。BM11のエッジ部分20およびR画素12のエッジ部分21は垂直面ではなく、なだらかな曲面の形状となっている。着色画素12とBM11とはお互いのエッジ部分が重なるように、いわゆるオーバーラップ量が調整されて位置合わせされる。オーバーラップ量が良好に調整されなかったカラーフ
ィルタは、表示装置とした場合にコントラストの無いものとなってしまう。図6(a)は位置合わせが良好な状態を示す。一方図6(b)ではR画素12の左端のオーバーラップ量が少なく(逆に、右端のオーバーラップ量が大きく)、図6(c)では、R画素の左端のBMとR画素のオーバーラップ量がまったく無く、BM11に対して図6(b)および図6(c)のようにR画素が位置合わせされたカラーフィルタは不良となる。
【0015】
図7は図6図(a)、図6(b)、図6(c)のBM11とR画素12のオーバーラップ量とオーバーラップ部分の様子を示したものである。図7(a)、図7(b)、図7(c)の各上段の図は、BM11とR画素12のオーバーラップ量を示し、各下段の図はBM11とR画素12の左側のオーバーラップ部分の平面状態をを透過画像で見た場合の様子を示す。
【0016】
図7(a)はBM11に対してR画素12の位置合わせが正しく出来ている場合で、オーバーラップ量が正常で透過画像を示すBM部31、R画素部32、オーバーラップ部33は共に白抜けに見える部分は存在しない。一方、図7(c)では、ガラス基板が見えるほどR画素部32がずれているため、オーバーラップ部33(図7(c)の場合は、オーバーラップ部分は無い)白抜けに見えるので検査機または目視検査で検出しやすい。また、図7(b)ではBM11に対してR画素12の位置がずれてオーバーラップ量が少なく、オーバーラップ部33は、完全に白抜けしているわけではないので、周辺との輝度差がつきにくく、検査機または目視検査で検出困難なため検査員が画像拡大装置等を使用して確認する必要がある。
【0017】
しかしながら製造工程の中で前記確認を行うには、確認回数に限りがあり、一定枚数毎に抜き取り確認を行ったとしても、抜き取り確認の間に突然位置ずれが発生した場合は、次の抜き取り確認まで確認されないまま、製造を続けることになってしまう。
【0018】
更に、検査員による画像拡大装置等を使用して確認する作業負荷が大きく、オーバーラップ量を自動で検査することが望まれていた。
【0019】
一般的な技術背景としては、特許文献1がある。
【特許文献1】特開2001−255659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたもので、カラーフィルタの着色画素であるRGB画素の位置ずれを、オーバーラップ量の自動測定を可能とすることによって、検査員の作業負荷を減らしRGB画素の位置ずれによる不良発生を防ぐRGB画素の位置ずれ検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の請求項1に係る発明は、ブラックマトリックスを有するカラーフィルタの着色画素の位置ずれ不良を検査する方法であって、カラーフィルタを撮像して得られた撮像画像から、着色画素の同一画素の対面する辺の組み合わせ、または同一色内における別画素間においては前記同一画素の対面する辺の組み合わせに対応する辺同志の組み合わせのいずれか一方の組み合わせにおける着色画素とブラックマトリックスの重なり度合いを測定して、着色画素の位置ずれ不良を検査するカラーフィルタ検査方法である。
【0022】
本発明の請求項2に係る発明は、前記ブラックマトリックスの一部と、前記組み合わせた辺のそれぞれの辺の一部の領域との間の相対的な位置情報を予め登録しておくことを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ検査方法である。
【0023】
本発明の請求項3に係る発明は、前記着色画素とブラックマトリックスが重なる部分の重なり度合いを測定し、重なりの有無によって着色画素の位置ずれの良否を判定する第一次検査と、重なりが認められた場合には重なり度合いによって着色画素の位置ずれの良否を判定する第二次検査を行うことを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタ検査方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明のカラーフィルタ検査装置によれば、RGB画素の位置ずれを自動的に検出でき、検査員の作業負荷を減らし、位置ずれ検出時には製造工程に使われている製造装置の調整を行うことによって、RGB画素の位置ずれが繰り返して発生することを防ぐことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照してこの発明に係わるカラーフィルタ検査方法を実施するための最良の形態を説明する。
【0026】
図8は本発明に係わるカラーフィルタ検査方法を用いてカラーフィルタの検査を行う場合に使用する装置の概念図を示す。カラーフィルタ基板71を載置して定盤74上を移動するテーブル70と、カメラヘッド72と、カメラヘッド72に固定され一体となっている顕微鏡ヘッド73、等を有しており、カラーフィルタ基板71を照明する照明手段である照明光源(図示せず)がカラーフィルタ基板71の下方にあって、照明光源によって照明されたカラーフィルタ基板71を、撮像する手段であるカメラヘッド72で撮像している。顕微鏡ヘッド73は着色画素とブラックマトリックスの重なり度合いを目視で確認する場合に使用される。本実施例ではカメラヘッド72を固定しカラーフィルタ基板71を移動するが、カラーフィルタ基板71を固定しカメラヘッド72を移動しても良い。
【0027】
図9は測定視野および測定エリアの登録方法を説明する図で、カラーフィルタを撮像して得られた撮像画像から、着色画素の同一画素の対面する辺の組み合わせにおける着色画素とブラックマトリックスの重なり度合いを測定する場合を例として説明するための図である。11はBM、12はR画素、82はG画素、83はB画素、84はBM11の一部、85は測定視野、86は測定エリア(1)、87は測定エリア(2)を示す。BM11の一部84はBMパターンの中から特徴のある部分を選ぶことが望ましい。
【0028】
測定エリア(1)86と測定エリア(2)87は着色画素の同一画素の対面する辺で組み合わせた辺のそれぞれの辺の一部の領域における着色画素とBMが重なる部分を示す。測定視野85はカラーフィルタ基板内の測定位置を示すもので、測定視野85の位置を示す座標を予め登録しておく。
【0029】
特徴のある形状を持つBMパターンの一部84は予めターゲットとして登録しておく。前記特徴のあるBMパターンの一部84と測定エリア(1)86と測定エリア(2)87が測定視野85に入るように、測定エリア(1)86と測定エリア(2)87を前記特徴のある形状を持つBMパターンの一部84との相対的な位置情報を予め登録しておく。
【0030】
測定エリア(1)86と測定エリア(2)87はBM11と重なるR画素12の両端になるようにそれぞれ登録する。
【0031】
G画素82およびB画素83についても同様に特徴のある形状を持つBMパターンの一部をターゲットとして登録し、該ターゲットと測定エリア(1)と測定エリア(2)の間の相対的な位置情報を予め登録しておく。
【0032】
カラーフィルタ基板の測定視野85の座標を予め登録しておくことによって、測定視野85の中からターゲットとして登録された特徴のある形状を持つBMパターンの一部84はパターン認識によって自動的に検出され、検出されたターゲットによって測定エリア(1)と測定エリア(2)が確定される。
【0033】
図9は、着色画素の同一画素の対面する辺の組み合わせにおける着色画素とBMの重なり度合いを測定する場合を例として説明するための図であるが、図10に示すように、同一色内における別画素間においては、前記同一画素の対面する辺の組み合わせに対応する辺同志の組み合わせにおける着色画素とBMの重なり度合いを測定しても良い。
【0034】
すなわち、図10に示すように辺の組み合わせとしては、辺91と辺92の組み合わせだけではなく、辺91と辺96の組み合わせや、辺97と辺98の組み合わせでも良い。
【0035】
また、ターゲットとして登録される特徴のある形状を持つBMパターンの一部として99に示されるような4個の着色画素に接する部分を採用してもよい。
【0036】
また、図10に示す測定視野90(測定エリアは辺91と辺92の組み合わせにおける着色画素とBMの重なり部分)、測定視野93(測定エリアは辺94と辺95の組み合わせにおける着色画素とBMの重なり部分)で示されるように、露光装置の1ショットで露光されるカラーフィルタのパターンの中で2箇所以上登録されることが望ましく、それによって、ひねりによる着色画素の位置ずれ不良を検査しやすくなる。
【0037】
RGB画素の位置ずれ検出方法を、図9および図11のフローチャート図を用いて説明する。
【0038】
先ずターゲット登録、測定エリア(1)と測定エリア(2)の登録を行う(S1)。このターゲットは測定位置を決めるためのもので、特徴ある形状を持つBMパターンの一部をターゲットとする。
【0039】
次に基板を検出装置内に搬入し(S2)、前記登録されたターゲットを含む測定視野がカメラヘッド72の視野に入るようにカラーフィルタ基板は移動される(S3)。
【0040】
予めカラーフィルタ基板の内の座標が登録された測定視野85にカメラヘッドの視野が入るようにカメラヘッド72が移動した後、予め登録されているターゲット84がパターン認識によって検出され、検出されたターゲット84との相対的な位置情報から測定エリア(1)86および測定エリア(2)87が確定される(S4)。なお、ターゲット84のパターン認識による検出やターゲット84から測定エリア(1)86および測定アリア(2)87を確定するには既存の画像ソフトを用いて行うことが出来る。
【0041】
次に測定エリア(1)86および測定エリア(2)87を撮像する(S5)。測定エリア(1)86および測定エリア(2)87は、例えばR画素12の両端、すなわちBM11とR画素12のオーバーラップ部に登録されている。次に、投影処理データの取得(S6)、および微分処理データの取得(S7)を行うが、図12、図13、図14に測定エリア(1)86および測定エリア(2)87で得られた画像の一例を示す。
【0042】
図12は、オーバーラップ部が右端、左端共に良好で、図13は左端はオーバーラップ部が少なく、逆に右端はオーバーラップ部が過大になっている。図14は左端のオーバーラップは無く、カラーフィルタ基板の素地が表面に露出した状態で、このようなカラーフィルタ基板で組上げられたデスプレイでは、前記左端は白く色抜けして見えてしまう。
【0043】
図12(a)、図13(a)、図14(a)はBM11に例えばR画素12が位置合わせされた図を示し、図12(b)、図13(b)、図14(b)は、前記測定エリア(1)および前記測定エリア(2)から得られる撮像画像を示し、31L、32L、33Lは前記測定エリア(1)から得られる撮像画像で、それぞれ31LはR画素12の左端のBM部、32LはR画素部(正確にはBMとオーバラップした部分を除くR画素部)、33LはBM11とR画素12のオーバーラップ部であって、同様に31R、32R、33Rは前記測定エリア(2)から得られる撮像画像で、それぞれ31RはR画素12の右端のBM部、32RはR画素部(正確にはBMとオーバラップした部分を除くR画素部)、33RはBM11とR画素12のオーバーラップ部である。図12(c)、図13(c)、図14(c)は投影処理データをグラフ化したもので、カラーフィルタ基板10の位置に対する輝度値を表しており、SL1は白抜けを検出するためのシュレッシュレベル1を示す。図12(d)、図13(d)、図14(d)は前記投影処理データをグラフ化したものをさらに微分処理した微分処理データをグラフ化したもので、SL2はオーバーラップ部の境界部分(例えば図12(b)の34、35で示される部分)を検知するためのシュレッシュレベル2を示し、A、Bは左側および右側のオーバーラップ部の寸法を示している。
【0044】
前記オーバーラップ部の撮像画像から投影処理データを得る方法を図15を用いて説明する。図15(a)はBM11およびR画素12のオーバーラップ部を示し、図15(b)は、前記オーバーラップ部の撮像画像を示す。図15(c)は図15(b)の撮像画像の輝度から投影処理データを取得する方法を説明するための図で、図15(b)の撮像画像の各撮影された画素の輝度のアナログ値を256段階のデジタル値に変換し、さらにY方向に投影し(この場合、投影とはY方向のデジタル値を積分することを指す)、その平均値を投影処理データとする。図15(d)は投影処理データをグラフ化したものである。
【0045】
前記微分処理データを取得(S7)した後、白抜けがあるか否かの判定を行う(S8)。前記白抜けがあるか否かの判定は第一次検査である。白抜けは図14に示す左端のオーバーラップは無く、カラーフィルタ基板の素地が表面に露出した状態の場合であって、白抜けを検出するためのレッドR、グリーンG、ブルーBの各色毎に設定されたシュレッシュレベル1(SL1)によって白抜けは検出される。白抜けが検出された場合(YES)は、検査装置を停止し(S9)、さらに同じような白抜け不良を発生させないように露光装置等を再調整し、再調整後、検査装置は再始動される(S10)。
【0046】
白抜けがない場合(NO)には、すなわち重なりが認められた場合には次に示す第二次検査が行われる。オーバーラップ部の寸法を測定するための微分処理データとレッドR、グリーンG、ブルーBの各色毎に設定されたスレッシュレベル2(SL2)から左端のオーバーラップ部の寸法Aと右端のオーバーラップ部の寸法Bを測定し(S11)、AとBの差の絶対値と前もって用意されていた差の基準値Rとを比較し(S12)、AとBの差の絶対値が基準値Rよりも大きい場合には(NO)、検査装置を停止する(S9)。AとBの差の絶対値が基準値Rよりも小さい場合には(YES)、全数の検査が終了したかの判断を行い(S13)、全数終了でない場合は(NO)、次の基板が搬入され(S2)検査が継続される。全数終了の場合は(YES)、検査が終了となる(S14)。
【0047】
本発明の実施の形態では、撮影画像から投影処理データを得て、更に該投影処理データから微分処理データを得て着色画素とBMが重なる部分の重なり度合いを測定する場合を説明しているが、これに限定されず、投影処理を行わず例えば図15(c)におけるY方向の画像の輝度値のデジタル値のデータ5つの内の1つのX方向のデジタル値を微分処理しても良く、また、Y方向の画像の輝度値のデジタル値の5つのすべてを微分処理して5
つの微分処理データの平均値を得て、着色画素とBMが重なる部分の重なり度合いを測定しても良い。
【0048】
以上のように、本発明によるカラーフィルタの検査方法によれば、RGB画素の位置ずれをオーバーラップ量の有無、オーバーラップ量の寸法を自動測定することによって、検査員の作業負荷を減らしRGB画素の位置ずれによる不良発生を防ぐことが出来、不良品を検出した場合には製造工程に露光装置の再調整を行うことによって、RGB画素の位置ずれ不良が繰り返して発生することを防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を示した平面図。
【図2】フォトリソグラフィー法の工程を示す概略ブロック図。
【図3】位置合わせして露光する一例を示す図。
【図4】分割露光の場合のアライメントと、露光の一例を説明するための図。
【図5】図4に示す露光装置54の矢印57の方向から見た側面図。
【図6】BMとRGB画素の位置合わせの結果の良否を説明するための図。
【図7】BMとR画素のオーバーラップ量とオーバーラップ部分の様子を示した図。
【図8】本発明に係わるカラーフィルタ検査装置の概観図。
【図9】本発明に係わる測定視野および測定エリアを説明するための図。
【図10】本発明に係わる別の測定視野および測定エリアを説明するための図。
【図11】本発明に係わる着色画素位置ずれ検出方法を説明するためのフローチャート図
【図12】本発明に係わる測定エリア(1)および測定エリア(2)87で得られた画像 の一例でオーバーラップ量が良好な場合を示す図。
【図13】本発明に係わる測定エリア(1)および測定エリア(2)87で得られた画像 の一例でオーバーラップ量が少ない場合を示す図。
【図14】本発明に係わる測定エリア(1)および測定エリア(2)87で得られた画像 の一例でオーバーラップ量が無く、白抜け不良の場合を示す図。
【図15】本発明に係わるオーバーラップ部の撮像画像から投影処理データを得る方法を 示す図。
【符号の説明】
【0050】
10・・・カラーフィルタ基板
11・・・BM
12・・・RGB画素
13・・・透明電極
14・・・フォトスペーサー(PS)/バーテイカルアライメント(VA)
20・・・BMのエッジ部分
21・・・R画素のエッジ部分
31・・・オーバーラップしたBM部
32・・・オーバーラップしたR画素部
33・・・オーバーラップ部
31L・・・R画素12の左端のBM部
32L・・・R画素部
33L・・・BM11とR画素12のオーバーラップ部
31R・・・R画素12の右端のBM部
32R・・・R画素部
33R・・・BM11とR画素12のオーバーラップ部
34・・・オーバーラップ部の境界部分
35・・・オーバーラップ部の境界部分
41・・・カラーフィルタのパターン
42・・・ガラス基板
51・・・搬入コンベア
52・・・アライメントステージ
53・・・搬入搬出ロボット
54・・・露光装置本体
55・・・搬出コンベア
56a・・・搬入コンベア51上のガラス基板
56b・・・アライメントステージ上のガラス基板
56c・・・露光装置本体上のガラス基板
56d・・・搬出コンベア上のガラス基板
57・・・矢印57
61・・・露光ステージ
62・・・露光部
63・・・光源
64・・・フォトマスク
70・・・テーブル
71・・・カラーフィルタ基板
72・・・カメラヘッド
73・・・顕微鏡ヘッド
82・・・G画素
83・・・B画素
84・・・特徴のある形状を持つBM11の一部
85・・・測定視野
86・・・測定エリア(1)
87・・・測定エリア(2)
90・・・測定視野
91、92、94、95、96、97、98・・着色画素の辺でBMと重なる部分
93・・・測定エリア
99・・・BM11の一部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラックマトリックスを有するカラーフィルタの着色画素の位置ずれ不良を検査する方法であって、カラーフィルタを撮像して得られた撮像画像から、着色画素の同一画素の対面する辺の組み合わせ、または同一色内における別画素間においては前記同一画素の対面する辺の組み合わせに対応する辺同志の組み合わせのいずれか一方の組み合わせにおける着色画素とブラックマトリックスの重なり度合いを測定して、着色画素の位置ずれ不良を検査するカラーフィルタ検査方法。
【請求項2】
前記ブラックマトリックスの一部と、前記組み合わせた辺のそれぞれの辺の一部の領域との間の相対的な位置情報を予め登録しておくことを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ検査方法。
【請求項3】
前記着色画素とブラックマトリックスが重なる部分の重なり度合いを測定し、重なりの有無によって着色画素の位置ずれの良否を判定する第一次検査と、重なりが認められた場合には重なり度合いによって着色画素の位置ずれの良否を判定する第二次検査を行うことを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−97109(P2010−97109A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269572(P2008−269572)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】