カラーフィルタ用フォトマスク、カラーフィルタの製造方法、及びカラーフィルタ
【課題】配向制御用突起を近接露光で形成する際に、頭頂部の形状が良好で、幅及び高さのバラツキを小さく形成するフォトマスク、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ。同突起及びフォトスペーサーを形成する際に、同突起の頭頂部が良好でバラツキを小さく、同時にフォトスペーサーの幅及び高さのバラツキを小さく形成するフォトマスク、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ。
【解決手段】配向制御用突起を形成する開口部35の外形は円形又は多角形であり、開口部内に外形と相似な環状遮光部38を有する。開口部の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmである。
【解決手段】配向制御用突起を形成する開口部35の外形は円形又は多角形であり、開口部内に外形と相似な環状遮光部38を有する。開口部の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルタの製造に関するものであり、特に、近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成するカラーフィルタ用フォトマスク、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を模式的に示した平面図である。また、図6は、図5に示すカラーフィルタのX−X’線における断面図である。
図5、及び図6に示すように、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ(4)は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたものである。
図5、及び図6はカラーフィルタを模式的に示したもので、着色画素(42)は12個表されているが、実際のカラーフィルタにおいては、例えば、対角17インチの画面に数百μm程度の着色画素が多数個配列されている。
【0003】
液晶表示装置の多くに用いられている、上記構造のカラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成し、次に、このブラックマトリックスのパターンに位置合わせして着色画素を形成し、更に透明導電膜を位置合わせして形成するといった方法が広く用いられている。
ブラックマトリックス(41)は、遮光性を有するマトリックス状のものであり、着色画素(42)は、例えば、赤色、緑色、青色のフィルタ機能を有するものであり、透明導電膜(43)は、透明な電極として設けられたものである。
【0004】
ブラックマトリックス(41)は、着色画素(42)間のマトリックス部(41A)と、着色画素(42)が形成された領域(表示部)の周辺部を囲む額縁部(41B)とで構成されている。ブラックマトリックスは、カラーフィルタの着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとし、また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。
【0005】
ガラス基板上へのブラックマトリックスの形成は、例えば、ガラス基板(40)上に、ブラックマトリックス形成用の黒色フォトレジストを用いてフォトリソグラフィ法によってブラックマトリックス(41)を形成するといった方法がとられている。
【0006】
また、着色画素(42)の形成は、このブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、例えば、顔料などの色素を分散させたネガ型の着色フォトレジストを用いて塗布膜を設け、この塗布膜への露光、現像によって着色画素を形成するといった方法がとられている。また、透明導電膜(43)の形成は、ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0007】
図5、及び図6に示すカラーフィルタは、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとして基本的な機能を備えたものである。多様な液晶表示装置の開発、実用に伴い、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには、上記基本的な機能に付随して、例えば、1)透過表示の領域と反射表示の領域を通過する光の位相を揃えるための透明樹脂膜、2)反射
表示の領域への光散乱層、3)スペーサー機能を有するフォトスペーサー(突起部)、4)液晶の配向制御を行う配向制御用突起、などの種々な機能がカラーフィルタの用途、仕様にもとづき付加されるようになった。
【0008】
例えば、配向制御機能においては、従来の液晶表示装置では液晶分子を一様に配向させるために、液晶を挟持する両基板に設けられた透明導電膜上に、予めポリイミドを塗布し、その表面に一様なラビング処理をしておく。液晶としてはTN型が広く用いられてきたが、TN型液晶においては、原理的に広い視野角を得ることは困難であり、コントラストが良好な視野角は狭く表示品質が悪化する、といった問題を有していた。
【0009】
このような問題を解決する技法として、一画素内での液晶分子の配向方向が一方向でなく、複数の方向になるように制御し視野角の広い、配向分割垂直配向型液晶表示装置(MVA(Multi−domain Vertical Alignment)−LCDが開発された。
この技法は、ラビング処理に代わり、突起を設けることにより液晶分子の配向を制御するものである。
【0010】
図7(a)、(b)は、MVA−LCDに用いられるカラーフィルタの一例の一画素を拡大して示す平面図、及びB−B’線での断面図である。この例は、平面形状が円形の配向制御用突起(23A)が形成されたカラーフィルタ(8A)である。このようなカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、一画素内で液晶分子の傾斜方向が多方向となる。
平面形状が円形の配向制御用突起(23A)の幅(W3)は、例えば、8〜16μm程度、高さ(H3)は1.0〜1.6μm程度である。透明なフォトレジストを用いて形成される。
【0011】
また、前記図5に示す基本的な機能を備えたカラーフィルタ(4)に付加される機能として、例えば、スペーサー機能においては、従来の液晶表示装置では基板間に間隔を形成するために、スペーサーと呼ばれるガラス又は合成樹脂の透明球状体粒子(ビーズ)を散布していた。
このスペーサーは透明な粒子であることから、画素内に液晶と一諸にスペーサーが入っていると、黒色表示時にスペーサーを介して光がもれてしまい、また、液晶材料が封入されている基板間にスペーサーが存在することによって、スペーサー近傍の液晶分子の配列が乱され、この部分で光もれを生じ、コントラストが低下し表示品質に悪影響を及ぼす、などの問題を有していた。
【0012】
このような問題を解決する技法として、フォトレジストを用い、フォトリソグラフィ法により、例えば、画素間のブラックマトリックスの位置にスペーサー機能を有するフォトスペーサー(突起部)を形成する方法が開発された。
図8は、このような液晶表示装置用カラーフィルタの部分断面図である。図8に示すように、液晶表示装置用カラーフィルタ(7)は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成され、ブラックマトリックス(41)上方の透明導電膜(43)上にスペーサー機能を有する突起部としてのフォトスペーサー(44)が形成されている。このような液晶表示装置用カラーフィルタ(7)を用いた液晶表示装置には、フォトスペーサー(44)が画素内を避けた位置に形成されているので、上記コントラストの改善がみられる。このフォトスペーサー(44)の幅は、15μm程度、高さは4μm程度である。
【0013】
上記カラーフィルタを構成するブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、配向制御用突起(23A)、フォトスペーサー(44)などをフォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際のパターン露光には、ガラス基板(40)のフォトレジスト層
とフォトマスクの間にギャップを設けて露光を行う近接露光が広く採用されている。このギャップ量は形成するパターンの大きさなどにより異なるものであるが、100μm程度のものである。
【0014】
図9は、フォトレジストとしてネガ型フォトレジストを用い、配向制御用突起を形成する際に使用されるフォトマスクの一例の部分を拡大して示す平面図である。図9に示すように、このフォトマスクは、石英基板の全面に設けられた遮光部(53)に配向制御用突起の形成に対応した開口部(54)が設けられている。この例は、幅(D)を有した正八角形である。
このようなフォトマスクを用い、近接露光によって配向制御用突起を形成すると、ギャップによる露光光の干渉及び回折により、配向制御用突起の頭頂部が凹むといった問題が生じる。
【0015】
図10は、このようなフォトマスクを用い、近接露光によって露光を与えた際の、露光強度分布のシミュレーションの一例を示したものである。図10中、符号G1、G2、G3は、各々ギャップ量が100μm、150μm、200μmの際の強度分布である。図10に示すように、近接露光のギャップ量が100μm(G1)の際には、配向制御用突起の頭頂部が凹むといった現象がみられる。
配向制御用突起の頭頂部の形状は、液晶の配向を良好に制御する上で重要なものであり、頭頂部に凹みがあると、液晶に配向不良が生じて光漏れをもたらすことになる。
【0016】
図10に示すように、このギャップ量を150μm(G2)以上に大きくすることによって、頭頂部に凹みは解消し凸状となる。形状が凸状の頭頂部は液晶の配向を良好に制御できるものである。従って、配向制御用突起を形成する際には、ギャップ量を150μm(G2)以上に保って近接露光を行うことになる。
しかしながら、ギャップ量を150μm(G2)以上に保って近接露光を行うと、形成される配向制御用突起の幅及び高さのバラツキは大きなものとなる、といった問題が発生する。
【0017】
具体的には、例えば、ギャップ量が150μm(G2)において、幅(W3)10μm、高さ(H3)1.0μmの配向制御用突起を形成すると、得られる配向制御用突起のバラツキは、幅において、バラツキの範囲は2.7μm以上、高さにおいて、バラツキの範囲は0.31μm以上であり、各バラツキの範囲は大きなものといえる。
つまり、配向制御用突起を近接露光により形成する際に、ギャップ量を、例えば、150μm(G2)とすることで、頭頂部の形状は良好なものとなるが、幅及び高さのバラツキは大きなものとなる。また、ギャップ量を、例えば、100μm(G2)とすることで、幅及び高さのバラツキは小さなものとなが、頭頂部は凹むといった問題がある。
【0018】
また、前記フォトスペーサーを、フォトレジストとしてネガ型フォトレジストを用いて形成する際には、配向制御用突起と同様に、図9に示すような構造のフォトマスクを使用して形成する。この際のフォトマスクとしては、図9に示すフォトマスクにおいて、開口部(54)はフォトスペーサーの形成に対応した幅(D)を有するものとなる。
フォトスペーサーにおいては、その高さの精度が、前記基板間の間隔を保つ上で重要なものであり、ギャップ量として、例えば、100μm(G1)を採用することになる。
【0019】
具体的には、例えば、ギャップ量が100μm(G1)において、幅13μm、高さ3.8μmのフォトスペーサーを形成すると、得られるフォトスペーサーのバラツキは、幅において、バラツキの範囲は1.0μm程度、高さにおいて、バラツキの範囲は0.08μm程度であり、各バラツキの範囲は小さなものといえる。
つまり、フォトスペーサーの場合には、ギャップを設けた近接露光によって形成する際に
、制約されずにギャップ量を100μm(G1)とした形成が可能であり、その幅、高さ、共にバラツキの範囲は小さなフォトスペーサーが得られる。
【0020】
さて、前記図5に示す、基本的な機能を備えたカラーフィルタ(4)に、配向制御用突起、及びフォトスペーサーを付随させたカラーフィルタを製造する際には、配向制御用突起を形成する工程と、フォトスペーサーを形成する工程の2工程により形成することになる。しかし、この工程を短縮するために、配向制御用突起とフォトスペーサーを、同一フォトレジストを用い、一回の露光で同時に形成することがある。
【0021】
図11は、このような、配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する際に使用するフォトマスクの一例の断面図である。図11に示すように、このフォトマスク(PM)は、石英基板(50)上の全面に設けられた遮光部(53)に、配向制御用突起の形成に対応した開口部(55)と、フォトスペーサーの形成に対応した開口部(56)が設けられている。この配向制御用突起の形成に対応した開口部(55)には、半透過膜(57)が設けられている。
この半透過膜(57)は、フォトスペーサーの高さより低い高さを有する配向制御用突起を同一フォトレジストを用い、一回の同時露光で形成するために、配向制御用突起の形成に対応した露光光を減衰させるために設けたものである。
上記半透過膜は、低波長領域に吸収をもたない波長選択性のあるものが好ましい。低波長領域をカットすることで、レジスト膜表面が硬化しにくくなり、フォトスペーサと配向制御用突起の膜厚差がつくようになる。
【0022】
図12は、図11に示すフォトマスク(PM)を用い、近接露光によって配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する露光の一例を説明する断面図である。図12に示すように、ブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたガラス基板(40)上にフォトレジスト層(60)が形成され、その上方には近接露光のギャップ(G)を設けてフォトマスク(PM)が配置されている。
【0023】
配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するためのネガ型フォトレジスト層(60)に上記フォトマスク(PM)を介した露光(E)を行って、フォトスペーサー、及びフォトスペーサーより高さの低い配向制御用突起を同時に形成する。図12においては、既に現像処理が終了し、フォトスペーサー(44)及び配向制御用突起(23A)が形成された状態のものを点線で示してある。
【0024】
この近接露光におけるギャップ量(G)として、配向制御用突起の頭頂部の形状が凸状になることを優先して、例えば、150μmを設けると、得られる配向制御用突起は、その頭頂部の形状は良好なものとなる、しかし、前記のように、配向制御用突起の幅及び高さのバラツキの範囲は大きなものとなってしまう。
一方、フォトスペーサーは、前記のように、フォトスペーサーを単独で形成する際のギャップ量、例えば、100μmに比較し、配向制御用突起と同時に形成する際にはギャップ量が150μmとなるので、得られるフォトスペーサーの幅及び高さのバラツキの範囲は、ギャップ量が100μmの際と比較して大きくなるといった問題が生じる。
【0025】
具体的には、幅13μm、高さ3.8μmのフォトスペーサーを形成すると、得られるフォトスペーサーのバラツキは、幅において、バラツキの範囲は1.5μm以上、高さにおいて、バラツキの範囲は0.25μm以上のものとなる。これは、前記ギャップ量が100μmの際と比較し、バラツキの範囲は大幅に悪化したものといえる。
つまり、配向制御用突起及びフォトスペーサーが共に問題を抱えることになる。
【特許文献1】特開2007−212508号公報
【特許文献2】特開2006−119327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、配向制御用突起が設けられた液晶表示装置用カラーフィルタの製造に用いるフォトマスクにおいて、配向制御用突起を形成する際に、ネガ型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができるカラーフィルタ用フォトマスクを提供することを課題とするものである。
また、該カラーフィルタ用フォトマスクを用いたカラーフィルタの製造方法、及びカラーフィルタを提供することを課題とする。
【0027】
また、本発明は、配向制御用突起及びフォトスペーサーが設けられた液晶表示装置用カラーフィルタの製造において、1枚のフォトマスクを用い、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成する際に、ネガ型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができ、同時にその幅及び高さのバラツキが小さなフォトスペーサーを形成することができるカラーフィルタ用フォトマスクを提供することを課題とするものである。
また、該カラーフィルタ用フォトマスクを用いたカラーフィルタの製造方法、及びカラーフィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、ネガ型フォトレジストを用い、近接露光により配向制御用突起を形成する際に使用するフォトマスクにおいて、前記フォトマスク上の、該配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、該開口部内に該外形と相似な環状遮光部を有することを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0029】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用フォトマスクにおいて、前記開口部の外形の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmであることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0030】
また、本発明は、ネガ型フォトレジストを用い、近接露光により配向制御用突起及びフォトスペーサーを1露光で同時に形成する際に使用するフォトマスクにおいて、
1)前記フォトマスク上の、該フォトスペーサーの形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、
2)前記フォトマスク上の、該配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、該開口部内に該外形と相似な環状遮光部を有し、該開口部には半透過膜が設けられていることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0031】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用フォトマスクにおいて、前記配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmであることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0032】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用フォトマスクにおいて、前記半透過膜が波長選択性を有する薄膜であることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0033】
また、本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導
電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起を形成するカラーフィルタの製造方法において、
1)前記ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素を順次に形成する工程、
2)該ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上の全面に透明導電膜を形成する工程、
3)該透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起を形成する工程を具備し、
前記フォトマスクとして請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用い、配向制御用突起を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0034】
また、本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するカラーフィルタの製造方法において、
1)前記ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素を順次に形成する工程、
2)該ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上の全面に透明導電膜を形成する工程、
3)該透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成する工程を具備し、
前記フォトマスクとして請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用い、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0035】
また、本発明は、請求項6記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造したことを特徴とするカラーフィルタである。
【0036】
また、本発明は、請求項7記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造したことを特徴とするカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、フォトマスク上の配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、開口部内に外形と相似な環状遮光部を有するので、配向制御用突起を形成する際に、ネガ型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができるカラーフィルタ用フォトマスクとなる。
【0038】
また、本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起を形成するカラーフィルタの製造方法において、透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起を形成する際に、上記カラーフィルタ用フォトマスクを用いるので、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができるカラーフィルタの製造方法となる。
【0039】
また、本発明は、フォトマスク上の配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、開口部内に外形と相似な環状遮光部を有し、開口部には半透過膜が設けられているので、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成する際に、ネガ
型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができ、同時にその幅及び高さのバラツキが小さなフォトスペーサーを形成することができるカラーフィルタ用フォトマスクとなる。
【0040】
また、本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するカラーフィルタの製造方法において、透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成する際に、上記カラーフィルタ用フォトマスクを用いるので、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができ、同時にその幅及び高さのバラツキが小さなフォトスペーサーを形成することができるカラーフィルタの製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明によるカラーフィルタ用フォトマスクの一実施例の開口部の部分を拡大して示す平面図である。このカラーフィルタ用フォトマスクは、配向制御用突起を形成するためのものであり、配向制御用突起を形成するフォトレジストとしてネガ型フォトレジストを用いた際のものである。
また、このカラーフィルタ用フォトマスクは、フォトマスクと基板上に設けられたフォトレジスト層との間にギャップを設けた近接露光にて用いられるものである。
【0042】
図1に示すように、フォトマスク(PM1)の遮光部(33)中に、配向制御用突起の形成に対応した開口部であって、その開口部の中央部に環状遮光部(38)を有する開口部(35)が設けられている。
図1は、開口部(35)の外形が正八角形であり、環状遮光部(38)の形状は開口部(35)の外形と相似な正八角形の例を示してある。
【0043】
図1に示す、本発明によるフォトマスク(PM1)においては、上方から照射された露光光の内、開口部(35)の外周と環状遮光部(38)の外周との間の光透過部(39)と、中心部の光透過部(32)からの光の干渉及び回折により、近接露光のギャップ量が150μm以下にても配向制御用突起の頭頂部は凸状に形成される。
【0044】
本発明者は、フォトレジスト層面での露光強度分布と、環状遮光部(38)の形状の関係についてシミュレーションを行った結果、例えば、開口部(35)の外径(D1)が20μm程度において、環状遮光部(38)の線幅(D2)が3μm程度で、開口部(35)の外周と環状遮光部(38)の外周との間の光透過部(35)の幅(D3)が3μm程度であると、ギャップ量を100μmに設定しても、図2に示すような露光強度分布が得られ、頭頂部が凸状の配向制御用突起が形成されることを見出した。
【0045】
開口部(35)の外径(D1)の寸法は、8〜30μmであることが好ましい。外径(D1)の寸法が8μm以下の場合には、光の回折の影響が大きく、ギャップ量を100μmに設定しても、配向制御用突起の頭頂部は凸状に保たれる。
外径(D1)の寸法が30μm以上の場合には、配向制御用突起の頭頂部は凸状にならない。
また、環状遮光部(38)の線幅(D2)は、0.5〜4μmであることが好ましい。線幅(D2)が0.5μm以下のフォトマスクは、作製するのが困難であり、また、線幅(D2)が4μm以上では、解像してしまい配向制御用突起は環状となる。
【0046】
具体的には、例えば、ギャップ量が100μmにて、幅10μm、高さ1.0μmの配向制御用突起を形成すると、得られる配向制御用突起の頭頂部は凸状となり、且つ、配向制御用突起のバラツキは、幅において、バラツキの範囲は1.0μm程度、高さにおいて、バラツキの範囲は0.27μm程度といった良好な結果が得られている。
【0047】
図3は、請求項3に係わる発明のカラーフィルタ用フォトマスク、すなわち、配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する際に使用するカラーフィルタ用フォトマスクの一例の断面図である。図3に示すように、このフォトマスク(PM2)は、石英基板(50)上の全面に設けられた遮光部(33)に、配向制御用突起の形成に対応した開口部(35)と、フォトスペーサーの形成に対応した開口部(36)が設けられている。この配向制御用突起の形成に対応した開口部(35)には、半透過膜(37)が設けられている。
この開口部(35)は、前記図1に示すように、その開口部の中央部に環状遮光部(38)を有する開口部である。フォトスペーサーの形成に対応した開口部(36)は、前記図9に示す開口部(54)のような光透過部を有したものである。
【0048】
図4は、図3に示すフォトマスク(PM2)を用い、近接露光によって配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する露光の一例を説明する断面図である。図4に示すように、ブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたガラス基板(40)上にフォトレジスト層(60)が形成され、その上方には近接露光のギャップ(G4)を設けてフォトマスク(PM2)が、その膜面をフォトレジスト層(60)に対向させて配置されている。
【0049】
配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するためのネガ型フォトレジスト層(60)に上記フォトマスク(PM2)を介した露光(E)を行って、フォトスペーサー、及びフォトスペーサーより高さの低い配向制御用突起を同時に形成する。図4においては、既に現像処理が終了し、フォトスペーサー(PS)及び配向制御用突起(MV)が形成された状態のものを点線で示してある。
【0050】
この近接露光におけるギャップ量(G4)として、100μmが設けられている。得られる配向制御用突起は、前述するように、その頭頂部の形状は凸状となり、且つ、配向制御用突起の幅及び高さのバラツキの範囲は、幅において、バラツキの範囲は1.0μm程度、高さにおいて、バラツキの範囲は0.27μm程度といった良好な結果が得られる。一方、フォトスペーサーは、フォトスペーサーを単独で形成する際のギャップ量である100μmと同一のギャップ量となるので、前述するように、幅13μm、高さ3.8μmのフォトスペーサーを形成すると、得られるフォトスペーサーのバラツキは、幅において、バラツキの範囲は1.0μm程度、高さにおいて、バラツキの範囲は0.08μm程度であり、各バラツキの範囲は小さなものとなる。
【0051】
上述のように、本発明によるフォトマスク(PM2)は、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成する際に、ネガ型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができ、同時にその幅及び高さのバラツキが小さなフォトスペーサーを形成することができるフォトマスクとなる。
【0052】
また、請求項5に係わる発明は、開口部(35)に用いる半透過膜(37)が波長選択性を有する薄膜であることを特徴としている。
半透過膜(37)としては、例えば、フォトマスクを製造する際に成膜したクロム膜をフォトエチングして更に薄膜にした半透過膜が用いられる。本発明における波長選択性を有する薄膜は、ITO薄膜、Ti、Wを含む化合物薄膜、或いは、Ti、Moを含む化合物薄膜などであり、これらを用いると波長によって透過率の異なる半透過膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明によるカラーフィルタ用フォトマスクの一実施例の開口部の一部を拡大して示す平面図である。
【図2】本発明における露光光の強度分布のシミュレーションの一例を示した説明図である。
【図3】請求項3に係わる、配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する際に使用するカラーフィルタ用フォトマスクの一例の断面図である。
【図4】近接露光によって配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する露光の一例を説明する断面図である。
【図5】液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を模式的に示した平面図である。
【図6】図5に示すカラーフィルタのX−X’線における断面図である。
【図7】(a)、(b)は、MVA−LCDに用いられるカラーフィルタの一例の一画素を拡大して示す平面図、及びB−B’線での断面図である。
【図8】フォトスペーサーが形成されたカラーフィルタの一例である。
【図9】ネガ型フォトレジストを用い、配向制御用突起を形成する際に使用されるフォトマスクの一例の部分を拡大して示す平面図である。
【図10】露光光の強度分布のシミュレーションの一例を示した説明図である。
【図11】配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する際に使用するフォトマスクの一例の断面図である。
【図12】近接露光によって配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する露光の一例を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0054】
4、7、、8A・・・液晶表示装置用カラーフィルタ
23A、MV・・・配向制御用突起
33、53・・・遮光部
35・・・本発明における配向制御用突起の形成に対応した開口部
36、56・・・フォトスペーサーの形成に対応した開口部
37、57・・・半透過膜
38・・・環状遮光部
40・・・ガラス基板
41・・・ブラックマトリックス
42・・・着色画素
43・・・透明導電膜
44、PS・・・フォトスペーサー
50・・・石英基板
54・・・開口部
55・・・配向制御用突起の形成に対応した開口部
60・・・フォトレジスト層
E・・・露光光
G・・・近接露光のギャップ
PM・・・フォトマスク
PM1、PM2・・・本発明によるフォトマスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用カラーフィルタの製造に関するものであり、特に、近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成するカラーフィルタ用フォトマスク、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を模式的に示した平面図である。また、図6は、図5に示すカラーフィルタのX−X’線における断面図である。
図5、及び図6に示すように、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ(4)は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたものである。
図5、及び図6はカラーフィルタを模式的に示したもので、着色画素(42)は12個表されているが、実際のカラーフィルタにおいては、例えば、対角17インチの画面に数百μm程度の着色画素が多数個配列されている。
【0003】
液晶表示装置の多くに用いられている、上記構造のカラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成し、次に、このブラックマトリックスのパターンに位置合わせして着色画素を形成し、更に透明導電膜を位置合わせして形成するといった方法が広く用いられている。
ブラックマトリックス(41)は、遮光性を有するマトリックス状のものであり、着色画素(42)は、例えば、赤色、緑色、青色のフィルタ機能を有するものであり、透明導電膜(43)は、透明な電極として設けられたものである。
【0004】
ブラックマトリックス(41)は、着色画素(42)間のマトリックス部(41A)と、着色画素(42)が形成された領域(表示部)の周辺部を囲む額縁部(41B)とで構成されている。ブラックマトリックスは、カラーフィルタの着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとし、また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。
【0005】
ガラス基板上へのブラックマトリックスの形成は、例えば、ガラス基板(40)上に、ブラックマトリックス形成用の黒色フォトレジストを用いてフォトリソグラフィ法によってブラックマトリックス(41)を形成するといった方法がとられている。
【0006】
また、着色画素(42)の形成は、このブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、例えば、顔料などの色素を分散させたネガ型の着色フォトレジストを用いて塗布膜を設け、この塗布膜への露光、現像によって着色画素を形成するといった方法がとられている。また、透明導電膜(43)の形成は、ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0007】
図5、及び図6に示すカラーフィルタは、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとして基本的な機能を備えたものである。多様な液晶表示装置の開発、実用に伴い、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには、上記基本的な機能に付随して、例えば、1)透過表示の領域と反射表示の領域を通過する光の位相を揃えるための透明樹脂膜、2)反射
表示の領域への光散乱層、3)スペーサー機能を有するフォトスペーサー(突起部)、4)液晶の配向制御を行う配向制御用突起、などの種々な機能がカラーフィルタの用途、仕様にもとづき付加されるようになった。
【0008】
例えば、配向制御機能においては、従来の液晶表示装置では液晶分子を一様に配向させるために、液晶を挟持する両基板に設けられた透明導電膜上に、予めポリイミドを塗布し、その表面に一様なラビング処理をしておく。液晶としてはTN型が広く用いられてきたが、TN型液晶においては、原理的に広い視野角を得ることは困難であり、コントラストが良好な視野角は狭く表示品質が悪化する、といった問題を有していた。
【0009】
このような問題を解決する技法として、一画素内での液晶分子の配向方向が一方向でなく、複数の方向になるように制御し視野角の広い、配向分割垂直配向型液晶表示装置(MVA(Multi−domain Vertical Alignment)−LCDが開発された。
この技法は、ラビング処理に代わり、突起を設けることにより液晶分子の配向を制御するものである。
【0010】
図7(a)、(b)は、MVA−LCDに用いられるカラーフィルタの一例の一画素を拡大して示す平面図、及びB−B’線での断面図である。この例は、平面形状が円形の配向制御用突起(23A)が形成されたカラーフィルタ(8A)である。このようなカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、一画素内で液晶分子の傾斜方向が多方向となる。
平面形状が円形の配向制御用突起(23A)の幅(W3)は、例えば、8〜16μm程度、高さ(H3)は1.0〜1.6μm程度である。透明なフォトレジストを用いて形成される。
【0011】
また、前記図5に示す基本的な機能を備えたカラーフィルタ(4)に付加される機能として、例えば、スペーサー機能においては、従来の液晶表示装置では基板間に間隔を形成するために、スペーサーと呼ばれるガラス又は合成樹脂の透明球状体粒子(ビーズ)を散布していた。
このスペーサーは透明な粒子であることから、画素内に液晶と一諸にスペーサーが入っていると、黒色表示時にスペーサーを介して光がもれてしまい、また、液晶材料が封入されている基板間にスペーサーが存在することによって、スペーサー近傍の液晶分子の配列が乱され、この部分で光もれを生じ、コントラストが低下し表示品質に悪影響を及ぼす、などの問題を有していた。
【0012】
このような問題を解決する技法として、フォトレジストを用い、フォトリソグラフィ法により、例えば、画素間のブラックマトリックスの位置にスペーサー機能を有するフォトスペーサー(突起部)を形成する方法が開発された。
図8は、このような液晶表示装置用カラーフィルタの部分断面図である。図8に示すように、液晶表示装置用カラーフィルタ(7)は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成され、ブラックマトリックス(41)上方の透明導電膜(43)上にスペーサー機能を有する突起部としてのフォトスペーサー(44)が形成されている。このような液晶表示装置用カラーフィルタ(7)を用いた液晶表示装置には、フォトスペーサー(44)が画素内を避けた位置に形成されているので、上記コントラストの改善がみられる。このフォトスペーサー(44)の幅は、15μm程度、高さは4μm程度である。
【0013】
上記カラーフィルタを構成するブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、配向制御用突起(23A)、フォトスペーサー(44)などをフォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際のパターン露光には、ガラス基板(40)のフォトレジスト層
とフォトマスクの間にギャップを設けて露光を行う近接露光が広く採用されている。このギャップ量は形成するパターンの大きさなどにより異なるものであるが、100μm程度のものである。
【0014】
図9は、フォトレジストとしてネガ型フォトレジストを用い、配向制御用突起を形成する際に使用されるフォトマスクの一例の部分を拡大して示す平面図である。図9に示すように、このフォトマスクは、石英基板の全面に設けられた遮光部(53)に配向制御用突起の形成に対応した開口部(54)が設けられている。この例は、幅(D)を有した正八角形である。
このようなフォトマスクを用い、近接露光によって配向制御用突起を形成すると、ギャップによる露光光の干渉及び回折により、配向制御用突起の頭頂部が凹むといった問題が生じる。
【0015】
図10は、このようなフォトマスクを用い、近接露光によって露光を与えた際の、露光強度分布のシミュレーションの一例を示したものである。図10中、符号G1、G2、G3は、各々ギャップ量が100μm、150μm、200μmの際の強度分布である。図10に示すように、近接露光のギャップ量が100μm(G1)の際には、配向制御用突起の頭頂部が凹むといった現象がみられる。
配向制御用突起の頭頂部の形状は、液晶の配向を良好に制御する上で重要なものであり、頭頂部に凹みがあると、液晶に配向不良が生じて光漏れをもたらすことになる。
【0016】
図10に示すように、このギャップ量を150μm(G2)以上に大きくすることによって、頭頂部に凹みは解消し凸状となる。形状が凸状の頭頂部は液晶の配向を良好に制御できるものである。従って、配向制御用突起を形成する際には、ギャップ量を150μm(G2)以上に保って近接露光を行うことになる。
しかしながら、ギャップ量を150μm(G2)以上に保って近接露光を行うと、形成される配向制御用突起の幅及び高さのバラツキは大きなものとなる、といった問題が発生する。
【0017】
具体的には、例えば、ギャップ量が150μm(G2)において、幅(W3)10μm、高さ(H3)1.0μmの配向制御用突起を形成すると、得られる配向制御用突起のバラツキは、幅において、バラツキの範囲は2.7μm以上、高さにおいて、バラツキの範囲は0.31μm以上であり、各バラツキの範囲は大きなものといえる。
つまり、配向制御用突起を近接露光により形成する際に、ギャップ量を、例えば、150μm(G2)とすることで、頭頂部の形状は良好なものとなるが、幅及び高さのバラツキは大きなものとなる。また、ギャップ量を、例えば、100μm(G2)とすることで、幅及び高さのバラツキは小さなものとなが、頭頂部は凹むといった問題がある。
【0018】
また、前記フォトスペーサーを、フォトレジストとしてネガ型フォトレジストを用いて形成する際には、配向制御用突起と同様に、図9に示すような構造のフォトマスクを使用して形成する。この際のフォトマスクとしては、図9に示すフォトマスクにおいて、開口部(54)はフォトスペーサーの形成に対応した幅(D)を有するものとなる。
フォトスペーサーにおいては、その高さの精度が、前記基板間の間隔を保つ上で重要なものであり、ギャップ量として、例えば、100μm(G1)を採用することになる。
【0019】
具体的には、例えば、ギャップ量が100μm(G1)において、幅13μm、高さ3.8μmのフォトスペーサーを形成すると、得られるフォトスペーサーのバラツキは、幅において、バラツキの範囲は1.0μm程度、高さにおいて、バラツキの範囲は0.08μm程度であり、各バラツキの範囲は小さなものといえる。
つまり、フォトスペーサーの場合には、ギャップを設けた近接露光によって形成する際に
、制約されずにギャップ量を100μm(G1)とした形成が可能であり、その幅、高さ、共にバラツキの範囲は小さなフォトスペーサーが得られる。
【0020】
さて、前記図5に示す、基本的な機能を備えたカラーフィルタ(4)に、配向制御用突起、及びフォトスペーサーを付随させたカラーフィルタを製造する際には、配向制御用突起を形成する工程と、フォトスペーサーを形成する工程の2工程により形成することになる。しかし、この工程を短縮するために、配向制御用突起とフォトスペーサーを、同一フォトレジストを用い、一回の露光で同時に形成することがある。
【0021】
図11は、このような、配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する際に使用するフォトマスクの一例の断面図である。図11に示すように、このフォトマスク(PM)は、石英基板(50)上の全面に設けられた遮光部(53)に、配向制御用突起の形成に対応した開口部(55)と、フォトスペーサーの形成に対応した開口部(56)が設けられている。この配向制御用突起の形成に対応した開口部(55)には、半透過膜(57)が設けられている。
この半透過膜(57)は、フォトスペーサーの高さより低い高さを有する配向制御用突起を同一フォトレジストを用い、一回の同時露光で形成するために、配向制御用突起の形成に対応した露光光を減衰させるために設けたものである。
上記半透過膜は、低波長領域に吸収をもたない波長選択性のあるものが好ましい。低波長領域をカットすることで、レジスト膜表面が硬化しにくくなり、フォトスペーサと配向制御用突起の膜厚差がつくようになる。
【0022】
図12は、図11に示すフォトマスク(PM)を用い、近接露光によって配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する露光の一例を説明する断面図である。図12に示すように、ブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたガラス基板(40)上にフォトレジスト層(60)が形成され、その上方には近接露光のギャップ(G)を設けてフォトマスク(PM)が配置されている。
【0023】
配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するためのネガ型フォトレジスト層(60)に上記フォトマスク(PM)を介した露光(E)を行って、フォトスペーサー、及びフォトスペーサーより高さの低い配向制御用突起を同時に形成する。図12においては、既に現像処理が終了し、フォトスペーサー(44)及び配向制御用突起(23A)が形成された状態のものを点線で示してある。
【0024】
この近接露光におけるギャップ量(G)として、配向制御用突起の頭頂部の形状が凸状になることを優先して、例えば、150μmを設けると、得られる配向制御用突起は、その頭頂部の形状は良好なものとなる、しかし、前記のように、配向制御用突起の幅及び高さのバラツキの範囲は大きなものとなってしまう。
一方、フォトスペーサーは、前記のように、フォトスペーサーを単独で形成する際のギャップ量、例えば、100μmに比較し、配向制御用突起と同時に形成する際にはギャップ量が150μmとなるので、得られるフォトスペーサーの幅及び高さのバラツキの範囲は、ギャップ量が100μmの際と比較して大きくなるといった問題が生じる。
【0025】
具体的には、幅13μm、高さ3.8μmのフォトスペーサーを形成すると、得られるフォトスペーサーのバラツキは、幅において、バラツキの範囲は1.5μm以上、高さにおいて、バラツキの範囲は0.25μm以上のものとなる。これは、前記ギャップ量が100μmの際と比較し、バラツキの範囲は大幅に悪化したものといえる。
つまり、配向制御用突起及びフォトスペーサーが共に問題を抱えることになる。
【特許文献1】特開2007−212508号公報
【特許文献2】特開2006−119327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、配向制御用突起が設けられた液晶表示装置用カラーフィルタの製造に用いるフォトマスクにおいて、配向制御用突起を形成する際に、ネガ型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができるカラーフィルタ用フォトマスクを提供することを課題とするものである。
また、該カラーフィルタ用フォトマスクを用いたカラーフィルタの製造方法、及びカラーフィルタを提供することを課題とする。
【0027】
また、本発明は、配向制御用突起及びフォトスペーサーが設けられた液晶表示装置用カラーフィルタの製造において、1枚のフォトマスクを用い、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成する際に、ネガ型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができ、同時にその幅及び高さのバラツキが小さなフォトスペーサーを形成することができるカラーフィルタ用フォトマスクを提供することを課題とするものである。
また、該カラーフィルタ用フォトマスクを用いたカラーフィルタの製造方法、及びカラーフィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、ネガ型フォトレジストを用い、近接露光により配向制御用突起を形成する際に使用するフォトマスクにおいて、前記フォトマスク上の、該配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、該開口部内に該外形と相似な環状遮光部を有することを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0029】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用フォトマスクにおいて、前記開口部の外形の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmであることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0030】
また、本発明は、ネガ型フォトレジストを用い、近接露光により配向制御用突起及びフォトスペーサーを1露光で同時に形成する際に使用するフォトマスクにおいて、
1)前記フォトマスク上の、該フォトスペーサーの形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、
2)前記フォトマスク上の、該配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、該開口部内に該外形と相似な環状遮光部を有し、該開口部には半透過膜が設けられていることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0031】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用フォトマスクにおいて、前記配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmであることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0032】
また、本発明は、上記発明によるカラーフィルタ用フォトマスクにおいて、前記半透過膜が波長選択性を有する薄膜であることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスクである。
【0033】
また、本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導
電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起を形成するカラーフィルタの製造方法において、
1)前記ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素を順次に形成する工程、
2)該ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上の全面に透明導電膜を形成する工程、
3)該透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起を形成する工程を具備し、
前記フォトマスクとして請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用い、配向制御用突起を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0034】
また、本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するカラーフィルタの製造方法において、
1)前記ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素を順次に形成する工程、
2)該ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上の全面に透明導電膜を形成する工程、
3)該透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成する工程を具備し、
前記フォトマスクとして請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用い、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0035】
また、本発明は、請求項6記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造したことを特徴とするカラーフィルタである。
【0036】
また、本発明は、請求項7記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造したことを特徴とするカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、フォトマスク上の配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、開口部内に外形と相似な環状遮光部を有するので、配向制御用突起を形成する際に、ネガ型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができるカラーフィルタ用フォトマスクとなる。
【0038】
また、本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起を形成するカラーフィルタの製造方法において、透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起を形成する際に、上記カラーフィルタ用フォトマスクを用いるので、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができるカラーフィルタの製造方法となる。
【0039】
また、本発明は、フォトマスク上の配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、開口部内に外形と相似な環状遮光部を有し、開口部には半透過膜が設けられているので、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成する際に、ネガ
型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができ、同時にその幅及び高さのバラツキが小さなフォトスペーサーを形成することができるカラーフィルタ用フォトマスクとなる。
【0040】
また、本発明は、ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するカラーフィルタの製造方法において、透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成する際に、上記カラーフィルタ用フォトマスクを用いるので、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができ、同時にその幅及び高さのバラツキが小さなフォトスペーサーを形成することができるカラーフィルタの製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明によるカラーフィルタ用フォトマスクの一実施例の開口部の部分を拡大して示す平面図である。このカラーフィルタ用フォトマスクは、配向制御用突起を形成するためのものであり、配向制御用突起を形成するフォトレジストとしてネガ型フォトレジストを用いた際のものである。
また、このカラーフィルタ用フォトマスクは、フォトマスクと基板上に設けられたフォトレジスト層との間にギャップを設けた近接露光にて用いられるものである。
【0042】
図1に示すように、フォトマスク(PM1)の遮光部(33)中に、配向制御用突起の形成に対応した開口部であって、その開口部の中央部に環状遮光部(38)を有する開口部(35)が設けられている。
図1は、開口部(35)の外形が正八角形であり、環状遮光部(38)の形状は開口部(35)の外形と相似な正八角形の例を示してある。
【0043】
図1に示す、本発明によるフォトマスク(PM1)においては、上方から照射された露光光の内、開口部(35)の外周と環状遮光部(38)の外周との間の光透過部(39)と、中心部の光透過部(32)からの光の干渉及び回折により、近接露光のギャップ量が150μm以下にても配向制御用突起の頭頂部は凸状に形成される。
【0044】
本発明者は、フォトレジスト層面での露光強度分布と、環状遮光部(38)の形状の関係についてシミュレーションを行った結果、例えば、開口部(35)の外径(D1)が20μm程度において、環状遮光部(38)の線幅(D2)が3μm程度で、開口部(35)の外周と環状遮光部(38)の外周との間の光透過部(35)の幅(D3)が3μm程度であると、ギャップ量を100μmに設定しても、図2に示すような露光強度分布が得られ、頭頂部が凸状の配向制御用突起が形成されることを見出した。
【0045】
開口部(35)の外径(D1)の寸法は、8〜30μmであることが好ましい。外径(D1)の寸法が8μm以下の場合には、光の回折の影響が大きく、ギャップ量を100μmに設定しても、配向制御用突起の頭頂部は凸状に保たれる。
外径(D1)の寸法が30μm以上の場合には、配向制御用突起の頭頂部は凸状にならない。
また、環状遮光部(38)の線幅(D2)は、0.5〜4μmであることが好ましい。線幅(D2)が0.5μm以下のフォトマスクは、作製するのが困難であり、また、線幅(D2)が4μm以上では、解像してしまい配向制御用突起は環状となる。
【0046】
具体的には、例えば、ギャップ量が100μmにて、幅10μm、高さ1.0μmの配向制御用突起を形成すると、得られる配向制御用突起の頭頂部は凸状となり、且つ、配向制御用突起のバラツキは、幅において、バラツキの範囲は1.0μm程度、高さにおいて、バラツキの範囲は0.27μm程度といった良好な結果が得られている。
【0047】
図3は、請求項3に係わる発明のカラーフィルタ用フォトマスク、すなわち、配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する際に使用するカラーフィルタ用フォトマスクの一例の断面図である。図3に示すように、このフォトマスク(PM2)は、石英基板(50)上の全面に設けられた遮光部(33)に、配向制御用突起の形成に対応した開口部(35)と、フォトスペーサーの形成に対応した開口部(36)が設けられている。この配向制御用突起の形成に対応した開口部(35)には、半透過膜(37)が設けられている。
この開口部(35)は、前記図1に示すように、その開口部の中央部に環状遮光部(38)を有する開口部である。フォトスペーサーの形成に対応した開口部(36)は、前記図9に示す開口部(54)のような光透過部を有したものである。
【0048】
図4は、図3に示すフォトマスク(PM2)を用い、近接露光によって配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する露光の一例を説明する断面図である。図4に示すように、ブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたガラス基板(40)上にフォトレジスト層(60)が形成され、その上方には近接露光のギャップ(G4)を設けてフォトマスク(PM2)が、その膜面をフォトレジスト層(60)に対向させて配置されている。
【0049】
配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するためのネガ型フォトレジスト層(60)に上記フォトマスク(PM2)を介した露光(E)を行って、フォトスペーサー、及びフォトスペーサーより高さの低い配向制御用突起を同時に形成する。図4においては、既に現像処理が終了し、フォトスペーサー(PS)及び配向制御用突起(MV)が形成された状態のものを点線で示してある。
【0050】
この近接露光におけるギャップ量(G4)として、100μmが設けられている。得られる配向制御用突起は、前述するように、その頭頂部の形状は凸状となり、且つ、配向制御用突起の幅及び高さのバラツキの範囲は、幅において、バラツキの範囲は1.0μm程度、高さにおいて、バラツキの範囲は0.27μm程度といった良好な結果が得られる。一方、フォトスペーサーは、フォトスペーサーを単独で形成する際のギャップ量である100μmと同一のギャップ量となるので、前述するように、幅13μm、高さ3.8μmのフォトスペーサーを形成すると、得られるフォトスペーサーのバラツキは、幅において、バラツキの範囲は1.0μm程度、高さにおいて、バラツキの範囲は0.08μm程度であり、各バラツキの範囲は小さなものとなる。
【0051】
上述のように、本発明によるフォトマスク(PM2)は、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成する際に、ネガ型フォトレジストを用い近接露光で露光を行っても、その頭頂部の形状が良好で、且つその幅及び高さのバラツキが小さな配向制御用突起を形成することができ、同時にその幅及び高さのバラツキが小さなフォトスペーサーを形成することができるフォトマスクとなる。
【0052】
また、請求項5に係わる発明は、開口部(35)に用いる半透過膜(37)が波長選択性を有する薄膜であることを特徴としている。
半透過膜(37)としては、例えば、フォトマスクを製造する際に成膜したクロム膜をフォトエチングして更に薄膜にした半透過膜が用いられる。本発明における波長選択性を有する薄膜は、ITO薄膜、Ti、Wを含む化合物薄膜、或いは、Ti、Moを含む化合物薄膜などであり、これらを用いると波長によって透過率の異なる半透過膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明によるカラーフィルタ用フォトマスクの一実施例の開口部の一部を拡大して示す平面図である。
【図2】本発明における露光光の強度分布のシミュレーションの一例を示した説明図である。
【図3】請求項3に係わる、配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する際に使用するカラーフィルタ用フォトマスクの一例の断面図である。
【図4】近接露光によって配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する露光の一例を説明する断面図である。
【図5】液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を模式的に示した平面図である。
【図6】図5に示すカラーフィルタのX−X’線における断面図である。
【図7】(a)、(b)は、MVA−LCDに用いられるカラーフィルタの一例の一画素を拡大して示す平面図、及びB−B’線での断面図である。
【図8】フォトスペーサーが形成されたカラーフィルタの一例である。
【図9】ネガ型フォトレジストを用い、配向制御用突起を形成する際に使用されるフォトマスクの一例の部分を拡大して示す平面図である。
【図10】露光光の強度分布のシミュレーションの一例を示した説明図である。
【図11】配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する際に使用するフォトマスクの一例の断面図である。
【図12】近接露光によって配向制御用突起とフォトスペーサーを同時に形成する露光の一例を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0054】
4、7、、8A・・・液晶表示装置用カラーフィルタ
23A、MV・・・配向制御用突起
33、53・・・遮光部
35・・・本発明における配向制御用突起の形成に対応した開口部
36、56・・・フォトスペーサーの形成に対応した開口部
37、57・・・半透過膜
38・・・環状遮光部
40・・・ガラス基板
41・・・ブラックマトリックス
42・・・着色画素
43・・・透明導電膜
44、PS・・・フォトスペーサー
50・・・石英基板
54・・・開口部
55・・・配向制御用突起の形成に対応した開口部
60・・・フォトレジスト層
E・・・露光光
G・・・近接露光のギャップ
PM・・・フォトマスク
PM1、PM2・・・本発明によるフォトマスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネガ型フォトレジストを用い、近接露光により配向制御用突起を形成する際に使用するフォトマスクにおいて、前記フォトマスク上の、該配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、該開口部内に該外形と相似な環状遮光部を有することを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項2】
前記開口部の外形の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmであることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項3】
ネガ型フォトレジストを用い、近接露光により配向制御用突起及びフォトスペーサーを1露光で同時に形成する際に使用するフォトマスクにおいて、
1)前記フォトマスク上の、該フォトスペーサーの形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、
2)前記フォトマスク上の、該配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、該開口部内に該外形と相似な環状遮光部を有し、該開口部には半透過膜が設けられていることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項4】
前記配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmであることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項5】
前記半透過膜が波長選択性を有する薄膜であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項6】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起を形成するカラーフィルタの製造方法において、
1)前記ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素を順次に形成する工程、
2)該ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上の全面に透明導電膜を形成する工程、
3)該透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起を形成する工程を具備し、
前記フォトマスクとして請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用い、配向制御用突起を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するカラーフィルタの製造方法において、
1)前記ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素を順次に形成する工程、
2)該ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上の全面に透明導電膜を形成する工程、
3)該透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成する工程を具備し、
前記フォトマスクとして請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用い、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
請求項6記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造したことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項7記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造したことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項1】
ネガ型フォトレジストを用い、近接露光により配向制御用突起を形成する際に使用するフォトマスクにおいて、前記フォトマスク上の、該配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、該開口部内に該外形と相似な環状遮光部を有することを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項2】
前記開口部の外形の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmであることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項3】
ネガ型フォトレジストを用い、近接露光により配向制御用突起及びフォトスペーサーを1露光で同時に形成する際に使用するフォトマスクにおいて、
1)前記フォトマスク上の、該フォトスペーサーの形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、
2)前記フォトマスク上の、該配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形は円形又は多角形であり、該開口部内に該外形と相似な環状遮光部を有し、該開口部には半透過膜が設けられていることを特徴とするカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項4】
前記配向制御用突起の形成に対応した開口部の外形の寸法が8〜30μm、環状遮光部の線幅が0.5〜4μmであることを特徴とする請求項3記載のカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項5】
前記半透過膜が波長選択性を有する薄膜であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のカラーフィルタ用フォトマスク。
【請求項6】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起を形成するカラーフィルタの製造方法において、
1)前記ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素を順次に形成する工程、
2)該ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上の全面に透明導電膜を形成する工程、
3)該透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起を形成する工程を具備し、
前記フォトマスクとして請求項1又は請求項2に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用い、配向制御用突起を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成するカラーフィルタの製造方法において、
1)前記ガラス基板上に少なくともブラックマトリックス、着色画素を順次に形成する工程、
2)該ブラックマトリックス、着色画素が形成されたガラス基板上の全面に透明導電膜を形成する工程、
3)該透明導電膜が形成されたガラス基板上に、ネガ型フォトレジストの塗膜を設け、フォトマスクを介した近接露光による露光、及び現像処理により配向制御用突起及びフォトスペーサーを形成する工程を具備し、
前記フォトマスクとして請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用フォトマスクを用い、配向制御用突起及びフォトスペーサーを同時に形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
請求項6記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造したことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項7記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造したことを特徴とするカラーフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−180784(P2009−180784A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17445(P2008−17445)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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