説明

カラーフィルタ

【課題】本発明は、均一な高さで、液晶表示装置に用いた際に焼きつき等が生じることの少ない高品質な液晶配向制御用突起を有するカラーフィルタを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上の上記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用突起とを有するカラーフィルタであって、上記液晶配向制御用突起は、1種または2種の原子による6員環構造を有し、上記6員環構造中は3つの不飽和結合を含み、かつ上記6員環構造に隣接する原子の少なくとも1つ以上が酸素原子または窒素原子であるユニットを有する高分子を含有することを特徴とするカラーフィルタを提供することにより、上記目的を達成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直配向液晶表示装置に用いられるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、カラーフィルタ側の透明基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶化合物を封入して薄い液晶層を形成し、液晶駆動側基板により液晶層内の液晶配列を電気的に制御してカラーフィルタの透過光または反射光の量を選択的に変化させることによって表示を行う。
【0003】
近年、電圧が印加されていない状態で液晶分子が基板面に垂直に配列されており、電圧が印加されると液晶分子がいろいろな方向に倒れる垂直配向液晶表示装置が提案されている。この垂直配向液晶表示装置は、従来より使用されている捩れネマチック方式の液晶表示装置と比較して、コントラスト比、応答速度等の面で優れている。また、液晶分子が倒れる方向を、多数の方向にする場合には、効果的に広視野角を実現することができる、という利点も有する。
【0004】
このような液晶が倒れる方向を多数の方向とする垂直配向液晶表示装置としては、例えば図2に示すように、透明電極層3および対向する液晶駆動側基板12に形成された第2電極層11の表面に、液晶配向制御用突起4を形成し、電圧を印加した際の液晶13の配向方向を制御する方式(以下、MVA方式ともいう。)が提案されている(例えば特許文献1等)。
【0005】
ここで、上記液晶配向制御用突起の形成には、通常ポジ型レジストが用いられている。ネガ型レジストを用いた場合、液晶表示装置に電圧を印加後、電圧を除去した際に、液晶配向制御用突起の周囲の液晶の向きが電圧印加前の状態と同じ方向に戻りづらい、すなわち焼きつきが生じてしまうからである。これは、ネガ型レジストでは架橋点間距離が短く、また用いられている樹脂の特性等から電圧を印加した際に発生した電子やイオンが逃げ難いこと等により生じると推測される。なお一般的に用いられているポジ型レジストでは、上記焼きつきが生じ難いことが確認されている。
【0006】
しかしながら、ポジ型レジストを用いた場合には、目的とする高さに高精細に液晶配向制御用突起を形成することができない、という問題があった。これは、液晶配向制御用突起を形成する際、光の回りこみ(回折)等の影響により、液晶配向制御用突起を形成する領域まで露光されてしまい、現像液によってポジ型レジストが溶解してしまうこと等によるものである。また大面積の液晶表示装置を製造する際に、ポジ型レジストを用いた場合では、カラーフィルタの全領域で液晶配向制御用突起の高さが均一となるように液晶配向制御用突起を形成することが難しいという問題もあった。これは、大面積の液晶表示装置に用いられるカラーフィルタを製造する場合、液晶配向制御用突起をパターニングする際に用いられるフォトマスクが撓んでしまうことがあり、レジストとフォトマスクとの距離が一定とならない。そのため、光の回り込み(回折)の影響が大きい領域と、光の回り込み(回折)の影響が小さい領域とが生じることによるものである。
【0007】
またさらに、一般的なカラーフィルタの着色層や柱状スペーサ等、他の部材はネガ型レジストを用いて形成されているため、液晶配向制御用突起形成用組成物としてポジ型レジストを用いた場合、液晶配向制御用突起を形成する際に現像液を変える工程等が必要となり、カラーフィルタの製造効率が悪いという問題もあった。
【0008】
【特許文献1】特開2003−75839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで均一な高さで、液晶表示装置に用いた際に焼きつき等が生じることの少ない高品質な液晶配向制御用突起を有するカラーフィルタの提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上の上記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用突起とを有するカラーフィルタであって、上記液晶配向制御用突起は、1種または2種の原子による6員環構造を有し、上記6員環構造中は3つの不飽和結合を含み、かつ上記6員環構造に隣接する原子の少なくとも1つ以上が酸素原子または窒素原子であるユニットを有する高分子を含有することを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0011】
本発明によれば、上記高分子のπ電子結合によって、液晶配向制御用突起が液晶表示装置に用いられた際に生じる電子を通りやすくすることができることから、焼きつきが生じにくいものとすることができる。
【0012】
また、上記液晶配向制御用突起に含有される高分子が、下記一般式(1)で表されるフェノールノボラック酸変性樹脂であることが好ましい。
【0013】
【化1】

(式(1)中、R、R、およびRはそれぞれ、OH基、またはカルボキシル基を末端に有する下記一般式(1−1)で表される基を示し、R、R、およびRのうち、少なくとも1つが下記一般式(1−1)で表される基とされる。nは1以上の整数である。)
【0014】
【化2】

【0015】
(式(1−1)中、Rは、
H、(CHα、(CH)α、C、(C)−(COOH)
で示される基のいずれかである。またαは1〜6の範囲内の整数である。)
【0016】
上記フェノールノボラック酸変性樹脂を用いることにより、π電子結合によって、液晶配向制御用突起が液晶表示装置に用いられた際に生じる電子を通りやすくすることができ、焼きつきが生じにくいものとすることができるからである。また、フェノールノボラック酸変性樹脂は、構造中にカルボン酸を有しており、ネガ型のレジストとしても使用可能なものだからである。
【0017】
上記発明においては、上記液晶配向制御用突起がネガ型の樹脂組成物で形成されていることが好ましい。これにより、カラーフィルタの全領域で高さが均一となるように、液晶配向制御用突起が効率よく形成されたものとすることができるからである。
【0018】
また上記発明では、上記液晶配向制御用突起の残留DCの絶対値が500mV以下であることが好ましい。液晶配向制御用突起の残留DCの絶対値と、液晶表示装置を形成した際に生じる焼きつきとの間には相関関係が見られ、上記残留DCの絶対値を上記値以下とすることから、カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際、液晶配向制御用突起の近傍で焼きつきが生じることのないものとすることができるからである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、均一な高さで、液晶表示装置に用いた際に焼きつき等が生じることの少ない高品質な液晶配向制御用突起を有したカラーフィルタとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、垂直配向液晶表示装置に用いられるカラーフィルタに関するものである。本発明のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記透明電極層上の上記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用突起とを有するカラーフィルタであって、上記液晶配向制御用突起は、1種または2種の原子による6員環構造を有し、上記6員環構造中は3つの不飽和結合を含み、かつ上記6員環構造に隣接する原子の少なくとも1つ以上が酸素原子または窒素原子であるユニットを有する高分子を含有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明のカラーフィルタは、例えば図1に示すように、透明基板1と、その透明基板1上に形成された着色層2と、上記着色層2上に形成された透明電極層3と、上記透明電極層3上の上記各着色層2に対応する領域に形成された液晶配向制御用突起4とを有するものである。なお、液晶配向制御用突起4が上記透明電極層3上の各着色層2に対応する領域に形成されているとは、上記透明電極層3を挟んで各着色層2と上記各液晶配向制御用突起4とが対応するように形成されていることをいう。
【0022】
一般的に、構造中にπ電子結合を多く有する高分子を含有する膜は電子伝導が起きやすいことが知られている。本発明において、液晶配向制御用突起中に含有される上記高分子は構造中にπ電子結合を多く有するものとされていることから、液晶配向制御用突起が液晶表示装置に用いられた際に生じる電子を通しやすいものとすることができる。したがって、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置においては、液晶配向制御用突起の近傍で焼きつきが生じにくいものとすることができる。
以下、本発明のカラーフィルタの各構成ごとに詳しく説明する。
【0023】
1.液晶配向制御用突起
まず、本発明に用いられる液晶配向制御用突起について説明する。本発明に用いられる液晶配向制御用突起は、所定の構造を有する高分子を含有するものであり、後述する透明電極層上に、後述する着色層と対応するように形成されるものである。本発明において、上記液晶配向制御用突起は、ネガ型の樹脂組成物により形成されたものであってもよく、またポジ型の樹脂組成物により形成されたものであってもよいが、特にネガ型の樹脂組成物により形成されたものであることが好ましい。ネガ型の樹脂組成物を用いて液晶配向制御用突起を形成することにより、パターニングの際、露光光の回りこみ(回折)等が生じた場合であっても、液晶配向制御用突起を形成する領域の液晶配向制御用突起形成用組成物は現像液に溶解しないことから、形成される液晶配向制御用突起の高さにバラつきが出ることがなく、カラーフィルタ全体に、均一な高さで液晶配向制御用突起が形成されたものとすることが可能となるからである。またさらに、液晶配向制御用突起を微細化することや、大面積のカラーフィルタに均一な高さで液晶配向制御用突起を形成することも可能となるからである。
【0024】
ここで、上記液晶配向制御用突起中に含有される上記高分子として具体的には1種または2種の原子による6員環構造を有し、上記6員環構造中に3つの不飽和結合を含み、かつ上記6員環構造に隣接する原子の少なくとも1つ以上が酸素原子または窒素原子であるユニットを有するものである。上記6員環構造を構成する原子としては、炭素原子、窒素原子が挙げられる。上記6員環の形としては、炭素原子または窒素原子のいずれかが含まれていればよい。また本発明において、上記6員環構造に隣接する原子は、中でも酸素原子とされることが好ましい。これにより、本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いた際、液晶配向制御用突起の近傍で焼きつきが生じることがないものとすることができるからである。
【0025】
また上記高分子は、1分子中に上記ユニットを1個〜100個程度、中でも1個〜75個程度、特に1個〜50個程度有していることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起が、液晶表示装置に用いられた際に生じる電子を通しやすいものとすることができるからである。またさらに上記高分子の重量平均分子量は500〜10000の範囲内、中でも500〜7500の範囲内、特に500〜5000の範囲内とされることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲より大きいと、粘度が高くなり、塗布性が悪くなる場合がある。また、上記高分子の重量平均分子量が上記範囲より小さいと、露光および現像の際に、上記高分子が流れ出てしまう可能性があるからである。
【0026】
なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ測定装置(東ソー(株)製 HLC-8220GPC)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として測定した値である。また分子量標準物質としてポリスチレンを用いて換算するものとする。
【0027】
本発明においては、上記高分子が液晶配向制御用突起中に1重量%〜60重量%程度、中でも5重量%〜50重量%程度含有されていることが好ましい。これにより、液晶配向制御用突起を形成した際に、焼きつきが生じることの少ないものとすることができるからである。また上記量より多い場合には、液晶配向制御用突起の硬化性が低下し、製版性が悪くなる可能性があるからである。
【0028】
上記ユニットを有する高分子として具体的には、フェノールノボラック酸変性樹脂、光硬化性メラミン樹脂、フェノール含有アクリル共重合体樹脂等が挙げられる。本発明においては、上記の中でもフェノールノボラック酸変性樹脂であることが好ましい。フェノールノボラック酸変性樹脂は下記一般式(1)で表されるものであり、フェノールノボラック樹脂を酸変性したものである。
【0029】
【化3】

【0030】
(式(1)中、R、R、およびRはそれぞれ、OH基、またはカルボキシル基を末端に有する下記一般式(1−1)で表される基を示し、R、R、およびRのうち、少なくとも1つが下記一般式(1−1)で表される基とされる。nは1以上の整数であり、中でもnが2〜50の範囲内、特に2〜30の範囲内とされることが好ましい。)
【0031】
【化4】

【0032】
(式(1−1)中、Rは、
H、(CHα、(CH)α、C、(C)−(COOH)
で示される基のいずれかである。またαは1〜6の範囲内の整数である。)
【0033】
上記フェノールノボラック酸変性樹脂は、フェノールノボラック樹脂のOH基が、上記カルボキシル基を末端に有する基(一般式(1−1)で表される基)と置換されていることから、現像液に対する溶解性を有するものとすることができ、ネガ型のレジストにも用いることが可能となる。上記一般式(1−1)で表される基の中でも本発明においては、RがC、(C)−(COOH)であることが好ましく、特にCであることが好ましい。
【0034】
また本発明においては、R、R、およびRのうちの、1つまたは2つがOH基以外の基とされることが好ましい。
【0035】
上記フェノールノボラック酸変性樹脂は、金属触媒下においてフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂とカルボン酸無水物とを加温反応させることで製造できる。
【0036】
一方、液晶配向制御用突起をネガ型レジストを用いて形成する場合には、上述した高分子以外に、液晶配向制御用突起の形成に用いられる材料としては、例えばポリマーやモノマー等の樹脂、光重合開始剤、界面活性剤、密着助剤、および溶剤等が挙げられる。このような各材料としては、一般的なネガ型のレジストに用いられるものと同様のものを用いることが可能である。
【0037】
ここで、本発明においては、フリッカー消去法により下記の条件で上記高分子を有する液晶配向制御用突起の残留DCを測定した場合に、残留DCの絶対値が500mV以下、中でも400mV以下、特に300mV以下とされることが好ましい。液晶配向制御用突起の残留DCの絶対値と、液晶表示装置に生じる焼きつきとの間には相関関係が見られることが確認されている。具体的には、液晶配向制御用突起の残留DCの絶対値が低い場合には、その液晶配向制御用突起を用いた液晶表示装置の焼きつきが少なく、また液晶配向制御用突起の残留DCの絶対値が高い場合には、その液晶配向制御用突起を用いた液晶表示装置の焼きつきが多い。したがって、上記液晶配向制御用突起の残留DCを上記値以下とすることにより、カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際、液晶配向制御用突起の近傍で焼きつきが生じることがより少ないものとすることができるからである。上記残留DCの測定装置としては、ハロゲン光源、光電変換素子、任意波形発生器、およびオシロスコープを有するものが用いられる。測定方法として具体的には、測定セルにAC5Vを印加してエージング処理を行う。この際の測定温度は23℃、電極距離は5μm、印加電圧パルス周波数は60Hzとする。その後、中間調表示状態の電圧を印加し、透過光からフリッカーを読み取る。そのフリッカーをなくすようにオフセット電圧を印加し、印加した電圧の値を残留DCとする。また、測定セルは、透明基板上に液晶配向制御用突起のみを1.2μmの膜厚、線幅11μmで形成したものである。
【0038】
また上記液晶配向制御用突起の高さは、カラーフィルタの用途等に応じて適宜選択されるが、通常、8μm〜14μm程度、中でも9μm〜12μm程度とすることができる。また上記液晶配向制御用突起の線幅についても適宜選択されるが、通常0.8μm〜1.6μm程度、中でも1.0μm〜1.4μm程度とすることができる。これにより、本発明のカラーフィルタが液晶表示装置に用いられた際、液晶配向制御用突起が液晶の配向方向を良好に制御することが可能となるからである。また上記液晶配向制御用突起の形状は、液晶表示装置の種類等に応じて適宜選択され、例えば円錐状や角錐状であってもよく、また円錐台状や角錐台状であってもよい。
【0039】
なお、上記液晶配向制御用突起の形成方法は、上記液晶配向制御用突起の形成に用いられる材料の種類等により適宜選択され、通常、フォトリソグラフィー法により形成することができる。
【0040】
2.着色層
次に、本発明に用いられる着色層について説明する。本発明に用いられる着色層は通常、赤色、緑色、および青色の3色が含まれているものとされるが、本発明においては例えば4色以上含まれているものであってもよい。
【0041】
また本発明に用いられる上記着色層の形状や配列は特に限定されるものではなく、例えばストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
【0042】
また、本発明に用いられる着色層の形成方法は、特に限定されるものではなく、一般的なカラーフィルタの着色層の製造の際に用いられる顔料分散法等を用いることができる。また、本発明に用いられる着色層の材料としては、一般的なカラーフィルタに用いられる着色層と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0043】
3.透明電極層
次に、本発明のカラーフィルタに用いられる透明電極層について説明する。本発明のカラーフィルタに用いられる透明電極層としては、一般的なカラーフィルタに用いられる透明電極層と同様とすることができ、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、および、その合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な成膜方法により形成することができる。このような透明電極層の厚みは、通常0.01μm〜1μm程度とすることができる。
【0044】
4.透明基板
次に、本発明に用いられる透明基板について説明する。本発明に用いられる透明基板は、上記着色層が形成可能なものであれば特に限定されるものではない。このような透明基板としては、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。
【0045】
5.カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、着色層、透明電極層、および液晶配向制御用突起を有するものであれば特に限定されるものではなく、用いられる液晶表示装置の種類等に応じて適宜その構成は選択される。例えば上記着色層と着色層との間に遮光部が形成されているもの等であってもよい。また本発明のカラーフィルタが半透過型液晶表示装置に用いられるものである場合には、反射光用領域とされる領域の着色層および透明基板の間、または着色層および透明電極層の間等にセルギャップ等を調整するための透明樹脂層等が設けられていてもよい。このような遮光部や透明樹脂層等については、一般的なカラーフィルタや半透過型液晶表示装置用カラーフィルタに用いられるものと同様とすることができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0047】
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
【0048】
[実施例1]
(カラーフィルタの作製)
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1000Å)を形成した。このクロム薄膜上にネガ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 CFPR DN-83)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像、熱処理して線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
次に、下記組成の赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色パターン用のネガ型
感光性樹脂組成物、および青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
【0049】
<赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
<青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
【0050】
次いで、ガラス基板上にブラックマトリックスを覆うように赤色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、赤色パターン用のフォトマスクを介して、露光、現像して、赤色パターンを形成した。この赤色パターンは、長方形状(100μm×300μm)とした。
その後、緑色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物、青色パターン用のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、同様の操作により、緑色パターン、青色パターンを形成した。これにより、赤色パターン、緑色パターン、青色パターンが配列された着色層を形成した。
次に、ブラックマトリックスおよび着色層を覆うように酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極層(厚み1500Å)をスパッタリング法により形成した。
【0051】
次に下記組成の液晶配向制御用突起形成用樹脂組成物を調製した。
<フェノールノボラック酸変性樹脂Iの合成>
フラスコにクレゾールノボラック樹脂(旭有機材社製EP-4080G)15重量部、シクロヘキサノン85重量部を添加し、攪拌した。均一溶解確認後、60℃まで加温し、触媒としてトリメチル錫ラウレートを0.2重量部加え、更に無水フタル酸を1重量部加え3時間反応させた。その後樹脂濃度が20重量%となるようシクロヘキサノンで調整してフェノールノボラック酸変性樹脂Iを得た。重量平均分子量は4500であった。
【0052】
<液晶配向制御用突起形成用樹脂組成物>
・上記フェノールノボラック酸変性樹脂I 25重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性物(東邦化学工業製DPT-25E)
8重量部
・光硬化性メラミン樹脂(三和ケミカル社製 ニカラックMX-302) 3重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 62.0重量部
【0053】
次いで、上記透明電極層上に上記液晶配向制御用突起形成用樹脂組成物をスピンコート法により塗布し、フォトマスクを介して、露光、現像して、液晶配向制御用突起を形成した。
その後、上記透明電極層上にセルギャップ保持スペーサパターン用の感光性樹脂組成物(JSR(株)製オプトマーNN780)をスピンコート法により塗布し、フォトマスクを介して、露光、現像して、スペーサパターンを形成した。このパターンは、ドット形状(下底30μmφ、高さ3.5μm)とした。次いで上記のように形成したカラーフィルタ表面の透明電極層上にポリイミドからなる配向膜を形成した。その後、TFTを形成したガラス基板上に垂直配向用液晶を必要量滴下した後、上述したように形成したカラーフィルタを重ね合わせ、UV硬化性樹脂をシール材として用い常温で0.3kgf/cmの圧力をかけながら400mJ/cmの照射量で露光することにより接合してセルを作製し、セルの上部と下部に偏光軸が90度となるように偏光板を貼り付けて液晶セルとした。
【0054】
[実施例2]
液晶配向制御用突起形成用樹脂組成物として下記組成物を使用した以外は実施例1と同様に液晶セルを作製した。
<液晶配向制御用突起形成用樹脂組成物>
・フェノールノボラック酸変性樹脂I 20重量部
・フェノール含有アクリル共重合体樹脂(4-ヒドロキシフェニルアクリレート/メタクリル酸メチル/アクリル酸)MW:15000 3重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性物(東邦化学工業製DPT-25E)
10重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 65.0重量部
【0055】
[比較例1]
液晶配向制御用突起形成用樹脂組成物として下記組成物を使用した以外は実施例1と同様に液晶セルを作製した。
<液晶配向制御用突起形成用樹脂組成物>
・アクリル共重合体樹脂(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸メチル/アクリル酸)MW:15000 10重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 84.0重量部
【0056】
[評価]
上述したように作製したカラーフィルタの液晶配向制御用突起の寸法を光学顕微鏡にて測定した。測定結果を表1に示す。なお、作製したカラーフィルタの液晶配向制御用突起が均一な場合は、○とした。
また各液晶セルの残留DCを上述したフリッカー消去法で測定した。更に各液晶セルで60Hz、AC5Vで所定の絵素パターンを通電表示した後黒表示した際の焼き付きを目視で評価した結果を表1に示す。なお、焼きつきの評価は、絵素パターンが消滅するまでの時間が直ぐであれば◎、10分以内であれば○、それ以外は×とした。
【0057】
実施例1および実施例2のように、液晶配向制御用突起にフェノールノボラック酸変性樹脂を含有させた場合、焼きつきの生じにくいものとすることができた。
【0058】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のカラーフィルタを説明するための概略断面図である。
【図2】一般的な液晶表示装置を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 … 透明基板
2 … 着色層
3 … 透明電極層
4 … 液晶配向制御用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、前記透明基板上に形成された着色層と、前記着色層上に形成された透明電極層と、前記透明電極層上の前記着色層に対応する領域に形成された液晶配向制御用突起とを有するカラーフィルタであって、
前記液晶配向制御用突起は、1種または2種の原子による6員環構造を有し、前記6員環構造中は3つの不飽和結合を含み、かつ前記6員環構造に隣接する原子の少なくとも1つ以上が酸素原子または窒素原子であるユニットを有する高分子を含有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記液晶配向制御用突起に含有される高分子が、下記一般式(1)で表されるフェノールノボラック酸変性樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【化1】

(式(1)中、R、R、およびRはそれぞれ、OH基、またはカルボキシル基を末端に有する下記一般式(1−1)で表される基を示し、R、R、およびRのうち、少なくとも1つが下記一般式(1−1)で表される基とされる。nは1以上の整数である。)
【化2】

(式(1−1)中、Rは、
H、(CHα、(CH)α、C、(C)−(COOH)
で示される基のいずれかである。またαは1〜6の範囲内の整数である。)
【請求項3】
前記液晶配向制御用突起がネガ型の樹脂組成物で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記液晶配向制御用突起の残留DCの絶対値が500mV以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−150976(P2009−150976A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327144(P2007−327144)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】